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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】歯磨剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20221028BHJP
   A61K 36/346 20060101ALI20221028BHJP
   A61K 36/539 20060101ALI20221028BHJP
   A61K 36/804 20060101ALI20221028BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20221028BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20221028BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K36/346
A61K36/539
A61K36/804
A61P1/02
A61P31/04
A61Q11/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018518065
(86)(22)【出願日】2016-10-07
(86)【国際出願番号】 JP2016080001
(87)【国際公開番号】W WO2017199453
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2019-09-30
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2016099260
(32)【優先日】2016-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391066490
【氏名又は名称】日本ゼトック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】坪川 理美
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 みずき
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】瀬良 聡機
【審判官】関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0005150(KR,A)
【文献】特開2006-342069(JP,A)
【文献】特開2011-256136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/,A61Q
CAplus/REGISTYRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オウゴン、ジオウおよびキキョウを含有する歯磨剤であって、
前記歯磨剤中における前記オウゴンの含有率が0.01質量%以上0.5質量%以下であり、前記歯磨剤中における前記キキョウの含有率が0.05質量%以上2質量%以下であり、前記歯磨剤中における前記ジオウの含有率が0.4質量%以上2質量%以下であり、かつ、ケイシを含まないことを特徴とする歯磨剤。
【請求項2】
前記歯磨剤中における前記オウゴンの含有率をX[質量%]、前記歯磨剤中における前記ジオウの含有率をX[質量%]としたとき、4≦X/X≦120の関係を満足する請求項1に記載の歯磨剤。
【請求項3】
前記歯磨剤中における前記キキョウの含有率をX[質量%]、前記歯磨剤中における前記ジオウの含有率をX[質量%]としたとき、0.0005≦X/X≦20000の関係を満足する請求項1または2に記載の歯磨剤。
【請求項4】
前記歯磨剤中における前記ジオウの含有率は、前記歯磨剤中における前記オウゴンの含有率よりも大きい請求項1ないしのいずれか1項に記載の歯磨剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯磨剤に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔用組成物として、単に、歯牙に付着した汚れを物理的に除去する口腔用組成物から、各種の薬効を期待して、薬効成分が配合された口腔用組成物まで、種々の口腔用組成物がある。
【0003】
特に、天然物由来の成分である植物成分(特に、長い歴史を有する生薬成分)を含む口腔用組成物が提案されている(特許文献1、2参照)。
【0004】
また、食品用途等に用いるバイオフィルム抑制剤としても、植物成分を含む抑制剤が提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、近年、口腔用組成物には、歯周病菌プラークの形成抑制効果のさらなる向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-54847号公報
【文献】特開平6-25000号公報
【文献】特開2014-34552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、複数の生薬が配合され、単独の生薬を用いるよりも低薬量で効果が得られる歯周病菌プラークの形成抑制効果を有する歯磨剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)~()の本発明により達成される。
(1) オウゴン、ジオウおよびキキョウを含有する歯磨剤であって、
前記歯磨剤中における前記オウゴンの含有率が0.01質量%以上0.5質量%以下であり、前記歯磨剤中における前記キキョウの含有率が0.05質量%以上2質量%以下であり、前記歯磨剤中における前記ジオウの含有率が0.4質量%以上2質量%以下であり、かつ、ケイシを含まないことを特徴とする歯磨剤。
【0010】
前記歯磨剤中における前記オウゴンの含有率をX[質量%]、前記歯磨剤中における前記ジオウの含有率をX[質量%]としたとき、≦X/X120の関係を満足する上記()に記載の歯磨剤
【0011】
前記歯磨剤中における前記キキョウの含有率をX[質量%]、前記歯磨剤中における前記ジオウの含有率をX[質量%]としたとき、0.0005≦X/X≦20000の関係を満足する上記()または()に記載の歯磨剤
【0013】
) 前記歯磨剤中における前記ジオウの含有率は、前記歯磨剤中における前記オウゴンの含有率よりも大きい上記(1)ないし()のいずれかに記載の歯磨剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の生薬が配合され、単独の生薬を用いるよりも低薬量で効果が得られる歯周病菌プラークの形成抑制効果を有する歯磨剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする。
《口腔用組成物》
【0017】
口腔用組成物として、単に、歯牙に付着した汚れを物理的に除去する口腔用組成物から、各種の薬効を期待して、薬効成分が配合された口腔用組成物まで、種々の口腔用組成物がある。
【0018】
特に、天然物由来の成分である植物成分(特に、長い歴史を有する生薬成分)を含む口腔用組成物が記載された文献がある。
【0019】
しかしながら、近年、歯周病菌プラークの形成抑制効果のさらなる向上が求められている。
【0020】
そこで、本発明者は、鋭意研究を行った結果、口腔用組成物において、各種生薬の中でも、オウゴンおよびキキョウを組み合わせて用いることにより、これらが相乗的に作用し、優れた効果が得られることを見出した。
【0021】
すなわち、本発明の口腔用組成物は、オウゴンおよびキキョウを含有する。これらをともに含むことにより、歯周病プラークに対して優れた形成抑制効果が得られる。特に、単独の生薬成分を用いた場合には、全く効果が得られないような低い含有率の場合であっても、歯周病プラークに対して十分に優れた形成抑制効果が得られる。
【0022】
なお、前述した文献には、各種生薬についての説明はあるものの、具体的にオウゴンおよびキキョウを組み合わせて用いた口腔用組成物についての開示はない。
【0023】
本発明において、口腔用組成物は、オウゴンおよびキキョウを、例えば、乾燥した状態の植物を粉砕してそのまま含んでいてもよいし、水や有機溶媒等の抽出溶媒や超臨界流体等の抽出媒体を用いて抽出された抽出エキスや抽出エキスから抽出媒体を除去して得られた成分(以下、これらを総称して抽出物ともいう)として含んでいてもよい。
【0024】
特に、口腔用組成物は、オウゴンおよびキキョウのうち少なくとも一方を、抽出物として含むことが好ましく、オウゴンおよびキキョウの両方を、抽出物として含むことがより好ましい。
【0025】
これにより、製造ロット間での品質のばらつきを抑制することができ、安定した品質を得ることができる。
【0026】
また、口腔用組成物中に、天然物由来成分のうち好ましい成分を比較的高い含有率で含ませることができ、好ましくない成分の含有率を低く抑えることができる。その結果、例えば、口腔用組成物の色調、風味等が低下するのを防止しつつ、期待する効果をより確実に発揮させることができる。また、口腔用組成物中における有効成分の優れた安定性を得ることができる。したがって、口腔用組成物全体としての保存安定性が向上し、口腔用組成物の使用期限をより長くすることができ、保存条件の緩和等を図ることができる。
【0027】
オウゴンおよびキキョウの抽出物を得るための抽出溶媒としては、例えば、各種無機溶媒、各種有機溶媒を用いることができる。より具体的には、水;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、オクタノール、フェノール等の単価アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、グリセリン、ポリエチレングリコール(分子量100~10万)等の多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類;クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化物;ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、抽出溶媒としては、適宜、規定度を調製した酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸等)やアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等)を用いてもよい。
【0028】
中でも、オウゴンの抽出物を得るための抽出溶媒としては、エタノール水溶液を用いるのが好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
【0029】
特に、オウゴンの抽出物を得るための抽出溶媒のエタノール水溶液の濃度(エタノールの含有率)は、30体積%以上95体積%以下であるのが好ましく、40体積%以上70体積%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がさらに顕著に発揮される。
【0030】
また、キキョウの抽出物を得るための抽出溶媒としては、水を含む溶媒を用いるのが好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
【0031】
特に、キキョウの抽出物を得るための抽出溶媒中に含まれる水の含有率は、90質量%以上であるのが好ましく、95質量%以上であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がさらに顕著に発揮される。
【0032】
口腔用組成物中において、オウゴンおよびキキョウは、いかなる形態で含まれてもよく、例えば、粉末、粒体状で含まれてもよいし、油状成分として含まれてもよいし、他の成分に溶解した状態で含まれてもよい。
【0033】
口腔用組成物中におけるオウゴンの含有率(乾燥状態のオウゴンの含有率)は、特に限定されないが、0.0001質量%以上2質量%以下であるのが好ましく、0.0005質量%以上0.5%質量%以下であるのがより好ましく、0.005質量%以上0.05質量%以下であるのがさらに好ましい。
【0034】
オウゴンの含有率が前記下限値未満であると、キキョウの含有率等によっては、本発明による効果が十分に発揮されない可能性がある。
【0035】
また、オウゴンの含有率が前記上限値を超えると、着色の問題や、苦味等の異味等による使用感の低下等の問題がより顕著に発生する場合がある。
【0036】
口腔用組成物中におけるキキョウの含有率(乾燥状態のキキョウの含有率)は、特に限定されないが、0.0001質量%以上2質量%以下であるのが好ましく、0.001質量%以上1質量%以下であるのがより好ましく、0.025質量%以上0.5質量%以下であるのがさらに好ましい。
【0037】
キキョウの含有率が前記下限値未満であると、オウゴンの含有率等によっては、本発明による効果が十分に発揮されない可能性がある。
【0038】
また、キキョウの含有率が前記上限値を超えると、着色の問題や、苦味等の異味等による使用感の低下等の問題がより顕著に発生する場合がある。
【0039】
口腔用組成物中におけるオウゴンの含有率をX[質量%]、口腔用組成物中におけるキキョウの含有率をX[質量%]としたとき、0.00005≦X/X≦20000の関係を満足するのが好ましく、0.002≦X/X≦2000の関係を満足するのがより好ましく、0.5≦X/X≦100の関係を満足するのがさらに好ましい。
【0040】
これにより、歯周病プラークのより優れた形成抑制効果を得ることができるとともに、口腔用組成物のより優れた保存安定性等を得ることができる。
【0041】
本発明の口腔用組成物は、オウゴンおよびキキョウに加え、さらに、ジオウを含むことが好ましい。
【0042】
このように、単独では歯周病プラーク形成抑制効果を有することが知られていないジオウを、オウゴンおよびキキョウと組み合わせて用いることにより、これらが相乗的に作用し合い、歯周病プラークのさらに優れた形成抑制効果を得ることができる。特に、単独では全く効果がない濃度のジオウを口腔用組成物に加えた場合であっても、オウゴンおよびキキョウと組み合わせて用いることにより、特に優れた歯周病プラークの形成抑制効果が得られる。
【0043】
口腔用組成物がジオウを含む場合、口腔用組成物は、ジオウを、例えば、乾燥した状態の植物を粉砕してそのまま含んでもよいし、水や有機溶媒等の抽出溶媒や超臨界流体等の抽出媒体を用いて植物から抽出された抽出エキスや、この抽出エキスから抽出媒体を除去して得られた成分(抽出物)として含んでいてもよい。
【0044】
特に、口腔用組成物は、ジオウを抽出物として含むことがより好ましい。
これにより、製造ロット間での品質のばらつきを抑制することができ、安定した品質を得ることができる。
【0045】
また、口腔用組成物中に、天然物としてのジオウ中に含まれる好ましい成分を比較的高い含有率で含ませることができ、好ましくない成分の含有率を低く抑えることができる。その結果、例えば、口腔用組成物の色調、風味等が低下するのを防止しつつ、期待する効果をより確実に発揮させることができる。また、口腔用組成物中における有効成分のより優れた安定性を得ることができる。したがって、口腔用組成物全体としての保存安定性が向上し、口腔用組成物の使用期限をより長くすることができ、保存条件の緩和等を図ることができる。
【0046】
ジオウの抽出物を得るための抽出溶媒としては、例えば、オウゴンおよびキキョウの抽出物を得るための抽出溶媒として例示した溶媒を用いることができる。
【0047】
中でも、ジオウの抽出物を得るための抽出溶媒としては、エタノール水溶液を用いるのが好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
【0048】
特に、ジオウの抽出物を得るための抽出溶媒のエタノール水溶液の濃度(エタノールの含有率)は、30体積%以上95体積%以下であるのが好ましく、40体積%以上70体積%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がさらに顕著に発揮される。
【0049】
口腔用組成物中において、ジオウは、いかなる形態で含まれてもよく、例えば、粉末、粒体状で含まれてもよいし、油状成分として含まれてもよいし、他の成分に溶解した状態で含まれてもよい。
【0050】
口腔用組成物中におけるジオウの含有率(乾燥状態のジオウの含有率)は、特に限定されないが、0.001質量%以上2質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%以上1質量%以下であるのがより好ましく、0.2質量%以上0.6質量%以下であるのがさらに好ましい。
【0051】
ジオウの含有率が前記下限値未満であると、ジオウを含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。
【0052】
また、ジオウの含有率が前記上限値を超えると、着色の問題や、苦味等の異味等による使用感の低下等の問題がより顕著に発生する場合がある。
【0053】
口腔用組成物中におけるオウゴンの含有率をX[質量%]、口腔用組成物中におけるジオウの含有率をX[質量%]としたとき、0.0005≦X/X≦20000の関係を満足するのが好ましく、0.1≦X/X≦2000の関係を満足するのがより好ましく、4≦X/X≦120の関係を満足するのがさらに好ましい。
【0054】
これにより、歯周病プラークのさらに優れた形成抑制効果を得ることができるとともに、口腔用組成物のさらに優れた保存安定性等を得ることができる。
【0055】
口腔用組成物中におけるキキョウの含有率をX[質量%]、口腔用組成物中におけるジオウの含有率をX[質量%]としたとき、0.0005≦X/X≦20000の関係を満足するのが好ましく、0.05≦X/X≦1000の関係を満足するのがより好ましく、0.4≦X/X≦24の関係を満足するのがさらに好ましい。
【0056】
これにより、歯周病プラークのさらに優れた形成抑制効果を得ることができるとともに、口腔用組成物のさらに優れた保存安定性等を得ることができる。
【0057】
本発明の口腔用組成物は、上記以外の成分を含んでいてもよい。
このような成分(その他の成分)としては、例えば、研磨剤、湿潤剤、溶剤、粘結剤、香料、賦形剤、甘味剤、pH調整剤、防腐剤、乳化剤、可溶化剤、発泡剤、滑沢剤、油、界面活性剤、着色剤、酸化防止剤、キレート剤、矯味剤、保湿剤、抗菌剤、抗炎症剤、フッ化物、ビタミン剤、前述した以外の生薬等が挙げられる。
【0058】
研磨剤としては、例えば、シリカゲル、沈降性シリカ、火成性シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤;第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物等の歯磨用リン酸水素カルシウム;軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム;リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、不溶性メタリン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、二酸化チタン、合成樹脂系研磨剤、ゼオライト等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
特に、口腔用組成物は、多孔質体で構成された研磨剤を含むことが好ましい。
【0060】
これにより、前述した生薬成分(特に、オウゴンの抽出物、キキョウの抽出物)を研磨剤(多孔質体)の空孔内に担持し、生薬の苦味を軽減させることができる。
【0061】
前述した各種研磨剤の中でも、特に、ゼオライトを用いるのが好ましい。
ゼオライトを用いることにより、生薬成分(特に、オウゴンの抽出物、キキョウの抽出物)を研磨剤(多孔質体)の空孔内に、より好適に担持することができ、生薬の苦味を軽減することができる。
【0062】
湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール等の多価アルコール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
溶剤としては、例えば、アルコール等の有機溶剤や水が好ましく、例えば、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、特にエタノールが好ましい。
【0064】
粘結剤として、例えば、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体;アルギン酸ナトリウム等のアルカリ金属アルギネート;キサンタンガム、トラガカントガム、アラビアガム等のガム類;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成粘結剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
香料としては、例えば、l-メントール、l-カルボン、シンナミックアルデヒド、オレンジオイル、アネトール、1,8-シネオール、メチルサリシレート、オイゲノール、チモール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール、エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンズアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール、マルトール、エチルマルトール、ガンマ/デルタデカラクトン、ガンマ/デルタウンデカラクトン、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、メンチルラクテート、エチレングリコール-l-メンチルカーボネート等の香料成分;ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油、クローブ油、タイム油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、マジョラム油、レモン油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油等の天然精油;アップル、バナナ、ストロベリー、ブルーベリー、メロン、ピーチ、パイナップル、グレープ、マスカット、ワイン、チェリー、スカッシュ、コーヒー、ブランデー、ヨーグルト等の調合フレーバー等の公知の香料素材等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
賦形剤としては、例えば、ショ糖、乳糖、デンプン、ブドウ糖、結晶性セルロース、マンニット、ソルビット、キシリトール、エリスリトール、パラチニット、パラチノース、マルチトール、トレハロース、ラクチトール、ラクチュロース、還元澱粉糖、還元イソマルトオリゴ糖、カップリングシュガー、ガムベース、アラビアガム、ゼラチン、セチルメチルセルロース、軽質無水ケイ酸、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
甘味剤としては、例えば、パラチニット、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルミン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、ρ-メトキシシンナミックアルデヒド等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、パントテン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、または、リン酸水素二ナトリウム等のこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等が挙げられる。これらは、組成物のpHが適切な範囲となるよう、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸およびその塩、サリチル酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアロイル乳酸ナトリウム、大豆リン脂質、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
可溶化剤としては、例えば、エステル類、ポリエチレングリコール誘導体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタンの脂肪酸エステル類、硫酸化脂肪アルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0072】
発泡剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、N-アシルグルタメート等のN-アシルアミノ酸塩、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0073】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、硬化油等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
油としては、例えば、ココナッツ油、オリーブ油、ごま油、落花生油、パセリ油、パセリ種子オイル、紅花油等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0075】
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、N-アシルグルタミン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アルキルグリコシド類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルエタノールアマイド、ココイルサルコシン酸ナトリウム、N-ラウロイルメチルタウリンナトリウム液等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0076】
着色剤としては、例えば、青色1号等の色素、二酸化チタン等の顔料や、各種染料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0077】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、d-δ-トコフェロール、ビタミンC、ビタミンE、エデト酸二ナトリウム、グルコン酸カルシウム等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エデト酸塩等が挙げられる。
【0078】
矯味剤としては、例えば、チャエキス、チャ乾留液、グルタミン酸ナトリウム等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0079】
保湿剤としては、例えば、アミノ酸またはその塩、ピロリドンカルボン酸、ムチン、ヒアルロン酸またはその塩、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖類、乳酸ナトリウム、尿素、パンテノール、アロエエキス、ローズマリーエキス、タイムエキス、チャエキス(チャ乾留エキス)等の天然エキス成分、コラーゲン、エラスチン等のいわゆる細胞外マトリックス等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0080】
抗菌剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ヒノキチオール、チモール等のフェノール系抗菌剤;塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウム、クロルヘキシジン塩酸塩、クロルヘキシジングルコン酸ナトリウム、ビサボロールクロルヘキシジン、ラクトフェリン、パラベン、ブチルパラベン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0081】
抗炎症剤としては、例えば、塩化リゾチーム、ε-アミノカプロン酸、アルミニウムヒドロキシルアラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、グァイアズレンスルホン酸、酢酸dl-α-トコフェロール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
また、フッ化物としては、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズ等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0083】
ビタミン剤としては、例えば、レチノイン酸、β-カロテン等のビタミンA類、パントテン酸またはその塩類、ナイアシン、ビオチン等のビタミンB類、アスコルビン酸またはその塩類、誘導体等のビタミンC類、α-トコフェロール等のビタミンE類、葉酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0084】
前述した以外の生薬としては、例えば、カミツレ、カノコソウ、ナツメ、ホップ、ラメンダー、リンデン、カリン、キンギンカ、クマザサ、グミ、チョウジ、デンシチニンジン、サルビア、ムクロジ、ケイヒ、ブクリョウ、シャクヤク、サンザシ、トウキ、チャ、ウラジロガシ、オオバク、シラカバ、ニンジン、アセンヤク、ウコン、ローズマリー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0085】
口腔用組成物が上記のような生薬を含む場合、口腔用組成物は、上記のような生薬を、例えば、乾燥した状態の植物を粉砕してそのまま含んでもよいし、水や有機溶媒等の抽出溶媒や超臨界流体等の抽出媒体を用いて抽出された抽出エキスや、この抽出エキスから抽出媒体を除去して得られた成分(抽出物)として含んでもよい。
【0086】
口腔用組成物の形態は、特に限定されず、例えば、液体(乳化形、可溶化形)、液状、ゲル状、ペースト状、錠剤、発泡錠、粉末状、顆粒状等が挙げられる。
【0087】
口腔用組成物の用途としては、例えば、練歯磨剤、粉歯磨剤、液状歯磨剤、液体歯磨剤等の歯磨剤類;トローチ剤;錠剤(発泡錠等を含む);クリーム剤;軟膏剤;貼付剤;口腔湿潤剤;洗口剤;口中清涼剤;うがい用錠剤;義歯安定剤;義歯洗浄剤;チューインガム等が挙げられる。
【0088】
《口腔用組成物の製造方法》
本発明の口腔用組成物は、前述したような各成分を混合することにより得ることができる。
【0089】
特に、口腔用組成物が多孔質体を含む場合、前述したような生薬を予め多孔質体と混合した後に、その他の成分と混合するのが好ましい。
【0090】
これにより、多孔質体の空孔内に生薬をより好適に担持させることができる。
【0091】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記のものに限定されない。
【実施例
【0092】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0093】
《1》液状組成物の製造
各実施例および各比較例に係る液状組成物を以下のようにして製造した。
【0094】
(実施例1)
オウゴン抽出物としてのオウゴン抽出液-J(丸善製薬社製)の凍結乾燥粉末、および、キキョウ抽出物としてのキキョウ乾燥エキス-S(アルプス薬品工業社製)を所定量(表1参照)だけ水に溶解させて液状組成物を得た。
【0095】
(実施例2)
オウゴン抽出物としてのオウゴン抽出液-J(丸善製薬社製)の凍結乾燥粉末、キキョウ抽出物としてのキキョウ乾燥エキス-S(アルプス薬品工業社製)、および、ジオウ抽出物としてのジオウ抽出液-J(丸善製薬社製)の凍結乾燥粉末を所定量(表1参照)だけ水に溶解させて液状組成物を得た。
【0096】
(実施例3~11)
原料となる各成分の含有率を表1に示すようにした以外は、前記実施例2と同様にして液状組成物を製造した。
【0097】
(比較例1)
原料としてキキョウを用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして液状組成物を製造した。
【0098】
(比較例2)
原料としてオウゴンを用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして液状組成物を製造した。
【0099】
(比較例3)
原料としてオウゴンおよびキキョウを用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして液状組成物を得た。すなわち、本比較例の液状組成物は水である。
【0100】
(比較例4)
原料としてキキョウを用いなかった以外は、前記実施例2と同様にして液状組成物を製造した。
【0101】
(比較例5)
原料としてオウゴンを用いなかった以外は、前記実施例2と同様にして液状組成物を製造した。
【0102】
(比較例6)
原料としてオウゴンおよびキキョウを用いなかった以外は、前記実施例2と同様にして液状組成物を製造した。
【0103】
前述した各実施例および各比較例に係る液状組成物の組成等を表1にまとめて示す。なお、表1中、液状組成物中におけるオウゴンの含有率をX[質量%]、液状組成物中におけるキキョウの含有率をX[質量%]、液状組成物中におけるジオウの含有率をX[質量%]で示した。
【0104】
【表1】
【0105】
《2》評価
前記実施例および前記比較例に係る液状組成物を用いて以下の評価を行った。
【0106】
《2-1》バイオフィルムの形成抑制試験
【0107】
ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis JCM12257)をGAM培地(和光純薬工業社製)にて、24時間37℃で前培養し、前培養菌液を得た。
【0108】
得られた前培養菌液を、細菌数が10CFU/mLとなるようにヘミン・メナジオンを含む培地に添加して培養菌液を得た。その後、当該培養菌液を48ウェルプレートに0.5mLずつ播種した。
【0109】
ここに、液状組成物0.5mLを48ウェルプレートに添加し、24時間37℃で嫌気培養した。
【0110】
24時間後、48ウェルプレートを、PBS(-)粉末(日水製薬社製)を用法に従って調製したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、浮遊菌を取り除いた。
【0111】
ここに、0.1質量%クリスタルバイオレット(和光純薬工業社製)溶液を添加し、形成されたバイオフィルムを染色した。
【0112】
その後、PBSでバイオフィルムを洗浄し、エタノールでクリスタルバイオレットを抽出した。次に、吸光度計にてバイオフィルムの量を定量し、以下の基準に従い評価した。吸光度が小さいほど、バイオフィルム量が少なく、歯周病菌プラークの形成を抑制することができているといえる。
【0113】
A:吸光度が1.0未満。
B:吸光度が1.0以上5.5未満。
C:吸光度が5.5以上7.0未満。
D:吸光度が7.0以上9.5未満。
E:吸光度が9.5以上。
【0114】
《2-2》色調
【0115】
前記実施例および前記比較例に係る液状組成物について、波長286nmの光の吸光度を測定し、以下の基準に従い評価した。吸光度が大きいと液状組成物の外観に劣り、吸光度が小さいとその外観に優れているといえる。
【0116】
A:吸光度が25.0未満。
B:吸光度が25.0以上。
これらの結果を表2に示す。また、表2には、上記の試験時における各成分の濃度(含有率)も併せて示した。
【0117】
【表2】
【0118】
表2から明らかなように、本発明では、優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。より具体的には、表2の実施例1と比較例1、2から明らかなように、オウゴン、キキョウ単独では全く効果がない濃度でも、これらを併用することにより顕著な効果が得られた。また、実施例2と比較例4、5から明らかなように、オウゴンとジオウ、キキョウとジオウのように2成分では全く効果がない濃度でも、3成分を混合することにより、顕著な効果が得られた。
【0119】
また、以下のようにして、前記実施例2に係る液状組成物を用いて、口腔用組成物としての練歯磨剤を製造した。その後、使用感についての評価を行った。
【0120】
<処方A>
まず、前記実施例2に係る液状組成物を、所定量の多孔質体としてのゼオライトに加えた。
次に、この混合物を乾燥させ、生薬の抽出物を多孔質体の空孔内に担持させた。
【0121】
その後、以下の処方(単位:質量%)に従って、常法により口腔用組成物としての練歯磨剤を製造した。
【0122】
オウゴン : 0.01
キキョウ : 0.05
ジオウ : 0.4
炭酸カルシウム :30.0
無水ケイ酸 : 5.0
ゼオライト : 5.0
ソルビット液 :15.0
濃グリセリン :10.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム : 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
香料 : 1.0
水 :残部
【0123】
<処方B>
まず、前記実施例2に係る液状組成物を、以下の質量%の各成分と混合した。その後、以下の処方(単位:質量%)に従って、常法により口腔用組成物としての練歯磨剤を製造した。
【0124】
オウゴン : 0.01
キキョウ : 0.05
ジオウ : 0.4
炭酸カルシウム :30.0
無水ケイ酸 : 5.0
ソルビット液 :15.0
濃グリセリン :10.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム : 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
香料 : 1.0
水 :残部
【0125】
すなわち、処方Bの練歯磨剤は、多孔質体としてのゼオライトを含まず、その分だけ水の含有率を多くした点で、処方Aの練歯磨剤と異なる。
【0126】
上記のようにして得られた2種の練歯磨剤(口腔用組成物)を、成人15名に、市販歯ブラシに適量(約1g)乗せて使用してもらい、その際の使用感を評価してもらった。
【0127】
その結果、15名全員が、処方Aの練歯磨剤(口腔用組成物)は処方Bの練歯磨剤(口腔用組成物)の使用時と比較し、苦み等の不快感がより少ないと回答した。
【0128】
また、前記実施例および比較例に係る液状組成物(水を含む組成物)を用いて、以下の処方(単位:質量%)に従って、常法により口腔用組成物としての洗口液(洗口剤)、義歯洗浄剤および義歯安定剤を製造した。
【0129】
<洗口液>
オウゴン : 0.01
キキョウ : 0.05
ジオウ : 0.4
変性アルコール56号 : 5.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 : 0.5
濃グリセリン : 5.0
キシリトール : 5.0
塩化セチルピリジニウム : 0.05
グリチルリチン酸ジカリウム : 0.05
パラオキシ安息香酸エチル : 0.05
パラオキシ安息香酸プロピル : 0.05
クエン酸 : 0.03
クエン酸ナトリウム : 0.12
香料 : 1.0
水 :残部
【0130】
<義歯洗浄剤>
オウゴン : 0.01
キキョウ : 0.05
ジオウ : 0.4
無水ケイ酸 : 3.0
含水ケイ酸 :10.0
ポリエチレングリコール400 : 5.0
濃グリセリン :35.0
60質量%ソルビット液 :30.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 2.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム : 1.5
香料 : 1.0
炭酸ナトリウム :適量
水 :残部
【0131】
<義歯安定剤>
オウゴン : 0.01
キキョウ : 0.05
ジオウ : 0.4
ゼオライト : 5.0
濃グリセリン :30.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム : 3.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 : 1.0
塩化セチルピリジニウム : 0.05
香料 : 1.0
炭酸ナトリウム :適量
水 :残部
【0132】
これらについて、前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明の口腔用組成物は、オウゴンおよびキキョウを含有することを特徴とする。そのため、歯周病菌プラークの形成抑制効果を有し、単独の生薬を用いるよりも低薬量で効果が得られる。従って、本発明の口腔用組成物は、産業上の利用可能性を有する。