(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】仕切弁及び仕切弁の設置方法
(51)【国際特許分類】
F16K 27/04 20060101AFI20221028BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20221028BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20221028BHJP
F16L 21/06 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
F16K27/04
F16K27/00 C
F16L55/00 C
F16L21/06
(21)【出願番号】P 2019097129
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】戸次 浩之
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-044793(JP,A)
【文献】特表2006-515406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/04
F16K 27/00
F16L 55/00
F16L 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の流体管の間に挿入されることにより流路を閉塞可能な弁体と、
一対の前記流体管の間に配置され、前記弁体を収容する弁箱と、
一対の前記流体管と前記弁箱との間を密封状態で覆う密封バンドと、を備え、
前記密封バンドは、一対の前記流体管と夫々の前記流体管の端面に対向する前記弁箱の両端部とを個別に覆うように前記流体管の管軸方向に垂直な面で分割された一対の環状分割体で構成されており、
夫々の前記環状分割体は、前記流体管と前記弁箱とを密封状態に覆う本体
部を有し、前記流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成されて
おり、
前記弁箱には、前記管軸方向に沿う側面から外側に突出させた突出部が形成されており、
前記環状分割体は、前記側面に対向するように前記本体部から延出した延出部を有しており、当該延出部の先端部と前記突出部とが係合している仕切弁。
【請求項2】
前記突出部には、前記側面に向かうほど前記管軸方向の幅が大きくなる傾斜面が形成されており、
前記
先端部には、前記傾斜面に対向する対向傾斜面が形成されている請求項
1に記載の仕切弁。
【請求項3】
前記弁箱は、弁箱本体から前記管軸方向に突出する一対の突出管部を有しており、
前記本体部の内面には、前記流体管と前記突出管部とに跨るシール部材が装着されており、
前記シール部材には、前記流体管の外周面に当接する第一環状凸部と前記突出管部の外周面に当接する第二環状凸部とが突出形成されている請求項1
又は2に記載の仕切弁。
【請求項4】
一対の前記端面は、前記弁体の挿抜方向に対して前記流体管の中間位置に行くほど近付く一対の円弧状切断面であり、
前記突出管部には、前記円弧状切断面に沿うように対向する円弧状端面が形成されている請求項
3に記載の仕切弁。
【請求項5】
前記弁箱の底面には、位置決め用の底面凹部が形成されている請求項1~
4のいずれか一項に記載の仕切弁。
【請求項6】
夫々の前記分割部材は、互いに接合される一対の半円筒部材で構成されている請求項1~
5のいずれか一項に記載の仕切弁。
【請求項7】
一対の前記半円筒部材の割面には、互いに嵌合する凹凸形状が形成されている請求項
6に記載の仕切弁。
【請求項8】
一対の前記半円筒部材の端部はヒンジで結合されている請求項
6又は
7に記載の仕切弁。
【請求項9】
前記本体部の前記弁箱とは反対側に設けられ、前記環状分割体の前記管軸方向の移動を防止する移動防止機構をさらに備えた請求項1から
8のいずれか一項に記載の仕切弁。
【請求項10】
前記環状分割体の内周面には、前記流体管に喰い込む爪部が形成されている請求項1から
8のいずれか一項に記載の仕切弁。
【請求項11】
前記流体管の外周面には、環状凹部が形成されており、
前記環状分割体の内周面には、前記環状凹部に嵌合する環状凸部が形成されている請求項1から
8のいずれか一項に記載の仕切弁。
【請求項12】
一対の流体管の間に挿入されることにより流路を閉塞可能な弁体と、前記弁体を収容する弁箱と、前記流体管の管軸方向に分割された一対の環状分割体で構成され、当該環状分割体が前記流体管の周方向に分割された複数の分割部材で形成された密封バンドと、を備えた仕切弁を前記流体管に設置する仕切弁の設置方法であって、
前記密封バンドが収容された筺体を、前記流体管に密封状態で装着する筺体装着工程と、
前記筺体の内部で切断装置により前記流体管を切断して、前記弁体の挿抜方向に対して前記流体管の中間位置に行くほど近付く一対の円弧状切断面を形成する流体管切断工程と、
前記筺体の内部で、一対の前記円弧状切断面の間に前記弁体が収容された前記弁箱を挿入する弁箱設置工程と、
前記筺体の外部に設けられた操作部を操作して前記分割部材を前記流体管の径方向に移動させ、前記流体管と前記弁箱との間を前記密封バンドで密封状態に覆う密封バンド装着工程と、
前記流体管から前記筺体を取外す筺体除去工程と、を備えた仕切弁の設置方法。
【請求項13】
前記密封バンド装着工程において、前記分割部材は、前記筺体の底部に設けられ前記分割部材を保持する保持部により案内されながらスライド移動される請求項
12に記載の仕切弁の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の流体管の間に挿入されることにより流路を閉塞可能な弁体を備えた仕切弁及び仕切弁の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホールソーで流体管としての水道管を切断し、弁体の挿抜方向に対して水道管の中間位置に行くほど近付く一対の円弧状切断面の間に弁体を収容する弁箱(文献では接続管部)を設けた仕切弁が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の仕切弁は、弁箱と水道管との間を密封状態で覆う継ぎ輪を備え、この継ぎ輪の内周面には環状シール材が配置されている。この仕切弁の設置に際し、継ぎ輪を予め水道管に装着しておき、筺体(文献はハウジング)により水道管及び仕切弁を密封状態で囲んだ状態で、フィダー装置により継ぎ輪を水道管の外周面に沿って管軸方向に摺動させて、円弧状切断面を跨いで弁箱と水道管との間に継ぎ輪を装着している。そして、筺体を撤去することにより、仕切弁が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の仕切弁は、筺体を撤去して継ぎ輪により弁箱と水道管との間を密封しているため、コンパクト化が図られるものである。しかしながら、特許文献1に記載の仕切弁では、継ぎ輪を管軸方向に移動させているため、水道管の外周面にバリ等があった場合、継ぎ輪の内周面に配置された環状シール材がバリ等に当接して環状シール材の機能が損なわれるおそれがある。このため、仕切弁の耐久性の観点から改善の余地があった。
【0006】
そこで、耐久性の高いコンパクトな仕切弁及び仕切弁の設置方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る仕切弁の特徴構成は、一対の流体管の間に挿入されることにより流路を閉塞可能な弁体と、一対の前記流体管の間に配置され、前記弁体を収容する弁箱と、一対の前記流体管と前記弁箱との間を密封状態で覆う密封バンドと、を備え、前記密封バンドは、一対の前記流体管と夫々の前記流体管の端面に対向する前記弁箱の両端部とを個別に覆うように前記流体管の管軸方向に垂直な面で分割された一対の環状分割体で構成されており、夫々の前記環状分割体は、前記流体管と前記弁箱とを密封状態に覆う本体部と、前記弁箱の被係合部に係合する係合部とを有し、前記流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成されている点にある。
【0008】
本構成では、弁体と、弁箱と、流体管と弁箱との間を密封状態で覆う密封バンドとで仕切弁を構成しているため、作業用ハウジング等を残置することなく、仕切弁のコンパクト化を図ることができる。
【0009】
また、本構成の環状分割体は、流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成され、弁箱の被係合部に係合する係合部を有している。つまり、被係合部と係合部とを係合させるように複数の分割部材を流体管の径方向から装着することが可能となるため、密封バンドを管軸方向に沿って移動させる必要がない。その結果、流体管の外周面に形成されたバリ等に密封バンドの内周面が損傷することなく、密封バンドの耐久性を高めることができる。よって、耐久性の高いコンパクトな仕切弁を提供できた。
【0010】
他の特徴構成は、前記弁箱には、前記被係合部として、前記管軸方向に沿う側面から外側に突出させた突出部が形成されており、前記環状分割体は、前記側面に対向するように前記本体部から延出した延出部を有しており、前記延出部の先端部には、前記係合部が形成されている点にある。
【0011】
本構成のように、被係合部を弁箱の側面から突出させた突出部で形成し、係合部を環状分割体の延出部の先端部に形成すれば、装置構成が簡便なものとなる。しかも、環状分割体に本体部から延出させた延出部を設ければ、密封バンドの強度を高めることができる。
【0012】
他の特徴構成は、前記突出部には、前記側面に向かうほど前記管軸方向の幅が大きくなる傾斜面が形成されており、前記係合部には、前記傾斜面に対向する対向傾斜面が形成されている点にある。
【0013】
本構成のように、弁箱の突出部に傾斜面を設け、環状分割体の係合部に対向傾斜面を設ければ、傾斜面及び対向傾斜面により弁箱に対する環状分割体の装着が案内される。その結果、弁箱に環状分割体を装着する作業が容易なものとなる。
【0014】
他の特徴構成は、前記弁箱は、弁箱本体から前記管軸方向に突出する一対の突出管部を有しており、前記本体部の内面には、前記流体管と前記突出管部とに跨るシール部材が装着されており、前記シール部材には、前記流体管の外周面に当接する第一環状凸部と前記突出管部の外周面に当接する第二環状凸部とが突出形成されている点にある。
【0015】
本構成のように、環状分割体の本体部の内面に配置されたシール部材に、流体管の外周面に当接する第一環状凸部と弁箱の突出管部の外周面に当接する第二環状凸部を設ければ、流体管と突出管部との間から流出する流体を確実に遮断することができる。
【0016】
他の特徴構成は、一対の前記端面は、前記弁体の挿抜方向に対して前記流体管の中間位置に行くほど近付く一対の円弧状切断面であり、前記突出管部には、前記円弧状切断面に沿うように対向する円弧状端面が形成されている点にある。
【0017】
本構成のように、弁箱の突出管部に流体管の円弧切断面に対向する円弧状端面を設ければ、弁箱を円弧状切断面に接近させることが可能となり、仕切弁のコンパクト化が図られる。しかも、流体管に流通する流体が弁箱の突出管部により円滑に案内されるため、圧力損失を低減できる。
【0018】
他の特徴構成は、前記弁箱の底面には、位置決め用の底面凹部が形成されている点にある。
【0019】
本構成のように弁箱の底面に位置決め用の底面凹部を形成すれば、流体管に対する弁箱の装着位置が正確なものとなる。その結果、密封バンドにより流体管と弁箱との間を確実に密封できる。
【0020】
他の特徴構成は、夫々の前記分割部材は、互いに接合される一対の半円筒部材で構成されている点にある。
【0021】
本構成のように、分割部材を2分割の半円筒部材で構成すれば、分割部材を径方向から装着し易い。
【0022】
他の特徴構成は、一対の前記半円筒部材の割面には、互いに嵌合する凹凸形状が形成されている点にある。
【0023】
本構成のように、半円筒部材の割面に凹凸形状を設ければ、分割部材を径方向から更に装着し易くなる。
【0024】
他の特徴構成は、一対の前記半円筒部材の端部はヒンジで結合されている点にある。
【0025】
本構成のように、半円筒部材の端部をヒンジで結合すれば、開いた状態の半円筒部材を流体管又は弁箱に予め装着しておき、弁箱を一対の流体管の間に配置した状態で閉じ操作すれば、密封バンドの装着が完了するので作業性が高まる。
【0026】
他の特徴構成は、前記本体部の前記弁箱とは反対側に設けられ、前記環状分割体の前記管軸方向の移動を防止する移動防止機構をさらに備えた点にある。
【0027】
本構成のように移動防止機構を設ければ、密封バンドの管軸方向の移動を確実に防止できる。
【0028】
他の特徴構成は、前記環状分割体の内周面には、前記流体管に喰い込む爪部が形成されている点にある。
【0029】
本構成のように環状分割体の内周面に流体管に喰い込む爪部を設ければ、密封バンドの管軸方向の移動を確実に防止できる。しかも、本体部に爪部を設けるだけで良いので、部品点数を節約することができる。
【0030】
他の特徴構成は、前記流体管の外周面には、環状凹部が形成されており、前記環状分割体の内周面には、前記環状凹部に嵌合する環状凸部が形成されている点にある。
【0031】
本構成のように流体管の環状凹部と環状分割体の環状凸部とを嵌合させれば、密封バンドの管軸方向の移動を確実に防止できる。しかも、流体管に環状凹部を設け、環状分割体に環状凸部を設けるだけで良いので、部品点数を節約することができる。
【0032】
本発明に係る仕切弁の設置方法の特徴は、一対の流体管の間に挿入されることにより流路を閉塞可能な弁体と、前記弁体を収容する弁箱と、前記流体管の管軸方向に分割された一対の環状分割体で構成され、当該環状分割体が前記流体管の周方向に分割された複数の分割部材で形成された密封バンドと、を備えた仕切弁を前記流体管に設置する仕切弁の設置方法であって、前記密封バンドが収容された筺体を、前記流体管に密封状態で装着する筺体装着工程と、前記筺体の内部で切断装置により前記流体管を切断して、前記弁体の挿抜方向に対して前記流体管の中間位置に行くほど近付く一対の円弧状切断面を形成する流体管切断工程と、前記筺体の内部で、一対の前記円弧状切断面の間に前記弁体が収容された前記弁箱を挿入する弁箱設置工程と、前記筺体の外部に設けられた操作部を操作して前記分割部材を前記流体管の径方向に移動させ、前記流体管と前記弁箱との間を前記密封バンドで密封状態に覆う密封バンド装着工程と、前記流体管から前記筺体を取外す筺体除去工程と、を備えた点にある。
【0033】
本方法では、予め筺体内に密封バンドを収容しておき、筺体の外部に設けられた操作部を操作して分割部材を移動させて流体管と弁箱との間に密封バンドを装着し、筺体を流体管から取外すことにより、仕切弁の装着が完了する。このように、弁体と弁箱と流体管と弁箱との間を密封状態で覆う密封バンドとで仕切弁を構成しているため、筺体を残置することなく、仕切弁のコンパクト化を図ることができる。
【0034】
また、本方法では複数の分割部材を流体管の径方向から装着しているため、密封バンドを管軸方向に沿って移動させる必要がない。その結果、流体管の外周面に形成されたバリ等により密封バンドの内周面が損傷することなく、密封バンドの耐久性を高めることができる。よって、耐久性の高いコンパクトな仕切弁の設置方法を提供できた。
【0035】
他の特徴は、前記密封バンド装着工程において、前記分割部材は、前記筺体の底部に設けられ前記分割部材を保持する保持部により案内されながらスライド移動される点にある。
【0036】
本方法のように、筺体の底部に設けられた保持部により分割部材の側方移動が案内されるので、流体管及び弁箱に対する複数の分割部材の装着位置が正確なものとなる。その結果、密封バンドにより流体管と弁箱との間を確実に密封できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図3】一方の分割部材を取外した状態の側面図である。
【
図7】底面側から見た密封バンドを装着した状態を示す斜視図である。
【
図8】一方の分割部材にシール部材を装着する状態を示す図である。
【
図14】第二実施形態に係る仕切弁の側面図である。
【
図15】第二実施形態に係る仕切弁の断面図である。
【
図16】第二実施形態の変形例に係る仕切弁の平面図である。
【
図17】第三実施形態に係る仕切弁の断面図である。
【
図18】第三実施形態に係る一方の分割部材を取外した状態の側面図である。
【
図20】第三実施形態の一方の分割部材にシール部材を装着する状態図である。
【
図21】第四実施形態に係る密封バンドを内側から見た斜視図である。
【
図22】第五実施形態に係る仕切弁の拡大斜視図である。
【
図23】第六実施形態に係る仕切弁の側面図である。
【
図24】第六実施形態に係る密封バンドの背面図である。
【
図25】第六実施形態に係る仕切弁の断面図である。
【
図26】その他の実施形態に係る密封バンドの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明に係る仕切弁及び仕切弁の設置方法の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、仕切弁の一例として、水道管W(流体管の一例)に設置される仕切弁1として説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、重力方向を下、重力方向と反対方向を上として説明する場合がある。
【0039】
[第一実施形態]
図1~
図4に示すように、仕切弁1は、弁蓋11と弁箱12と密封バンド13と移動防止機構14とを備えている。また、
図3に示すように、仕切弁1は、弁箱12に収容される弁体15を備えている。
【0040】
図1~
図3に示すように、弁蓋11は、弁箱12の弁箱フランジ12aにボルト,ナットにより締結される弁蓋フランジ11aと、開弁状態の弁体15を収容する弁蓋側収容部11bと、弁蓋側収容部11bの上部に設けられ、不図示の操作具を用いて回転操作される被操作部11cとを有している。弁蓋11には、被操作部11cが回転操作されることにより、弁体15を直進移動させる直動機構が構成されている。この直動機構は、弁体15が水道管Wを閉塞するための前進移動、又は、弁体15が水道管Wを開放するための後進移動の何れかで弁体15を直進移動させる。
【0041】
図3及び
図4に示すように、弁箱12は、水道管Wが切断されることにより形成される一対の水道管W1,W2の円弧状切断面20間に挿入される。弁箱12は、弁体15を収容する弁箱側収容部12A(弁箱本体の一例)と、管軸方向Xに交差する平面となる一対の交差面12Aaから水道管Wの管軸方向X(以下、「管軸方向X」と言う)に沿うように水道管W1,W2に向かって突出する一対の突出管部12Bとを有している。
【0042】
図5に示すように、弁箱側収容部12Aは、管軸方向Xに交差する平面となる一対の交差面12Aaと、管軸方向Xに沿う平面となる一対の側面12Abとを有するボックス状に形成されている。一対の交差面12Aaは、弁蓋11側にあり管軸方向Xの幅が一定である一対の基端面12Aa1と、基端面12Aa1との接続部位よりも先端方向(下方向)に行くほど次第に管軸方向Xの幅が狭くなる一対のテーパ面12Aa2と、テーパ面12Aa2との接続部位から先端までの領域において管軸方向Xと直交する一対の先端面12Aa3と、で構成されている。また、夫々の先端面12Aa3におけるテーパ面12Aa2との接続部位近傍の内側には、夫々の先端面12Aa3を接続する補強板21が形成されている。一対の側面12Abには、外側に突出させたU字状の突出部12Ab1(被係合部の一例)が形成されている。この突出部12Ab1の一対の外側端には、側面12Abに向かうほど(水道管Wの中心に向かうほど)管軸方向Xの幅が大きくなる傾斜面12Ab2が形成されている。
【0043】
図6及び
図7に示すように、弁箱側収容部12Aの底面には、中央部分に位置決め用の底面凹部12Acと、運搬時の載置部位となる一対の支持脚部12Adとが形成されている。また、一対の支持脚部12Adと底面凹部12Acと一対の先端面12Aa3とで囲まれる領域には空間となる肉抜き部12Aeが形成されている。
【0044】
夫々の突出管部12Bは水道管Wと同一径の円柱状に形成されており、夫々の突出管部12Bには、一対の水道管W1,W2の円弧状切断面20に対向するフラット端面12Baが形成されている。詳細は後述するが、回転するホールソー5により切断された水道管Wには、弁体15の挿抜方向Yに対して水道管Wの側面視中間位置に行くほど近付く側面視円弧状である一対の円弧状切断面20が形成されている(
図3参照)。
【0045】
図4に示すように、密封バンド13は、一対の水道管W1,W2と弁箱12との間を密封状態で覆っている。密封バンド13は、一対の水道管W1,W2の円弧状切断面20(水道管W)と夫々の円弧状切断面20に対向する一対のフラット端面12Ba(弁箱12の両端部)とを個別に覆うように、管軸方向Xに垂直な面で分割された一対の環状分割体Bで構成されている。
図1~
図4に示すように、夫々の環状分割体Bは、水道管Wの周方向に更に分割された一対の分割部材Baで構成されており、夫々の分割部材Baは互いに接合される一対の半円筒部材(複数の分割部材の一例)で構成されている。夫々の分割部材Baは同一形状で形成されており、一方の分割部材Baを管軸方向X周りに180度回転させた状態で他方の分割部材Baに接合される。
【0046】
一対の分割部材Baが接合された環状分割体Bは、水道管Wと弁箱12とを密封状態に覆う本体部B1と、弁箱12の側面12Abに対向するように本体部B1から延出した延出部B2とを有している(
図7も参照)。
【0047】
本体部B1は、環状部22と、環状部22の両端部から外側に突出し、一対の分割部材Baを締結ボルト16a及び締結ナット16bにより接合するための一対の接合部23とを有している(
図1~
図2参照)。
【0048】
図8に示すように、環状部22の内面には、シール部材Sが装着されるシール溝22aが形成されている。このシール溝22aには、弁箱12の突出管部12Bの外周面に対向する側に管軸方向Xに直交する第一フラット壁部22a1が形成されており、水道管Wの外周面に対向する側に管軸方向Xに直交する第二フラット壁部22a2が形成されている。また、一対の分割部材Ba(半円筒部材)の割面には、後述するシール部材Sの嵌合脚部Sbが嵌合する嵌合溝22a3が形成されている。
【0049】
シール部材Sは、水道管W及び弁箱12の突出管部12Bの対向部位の外周面に密着する密着部Saと、密着部Saから外側に突出し、シール溝22aの嵌合溝22a3に嵌合される嵌合脚部Sbとを有している(
図4及び
図8参照)。密着部Saには、弁箱12の突出管部12Bの外周面に当接する側面視直線状の第一環状凸部Sa1と、水道管Wの外周面に当接する2つの第二環状凸部Sa2,Sa3とが突出形成されている。水道管Wの外周面に当接する2つの第二環状凸部Sa2,Sa3のうち、弁箱12側にある一方の第二環状凸部Sa2は、水道管Wの円弧状切断面20に沿うように側面視円弧状に形成されており、移動防止機構14側にある他方の第二環状凸部Sa3は側面視直線状に形成されている。このように、環状分割体Bの本体部B1の内面に配置されたシール部材Sに、弁箱12の突出管部12Bの外周面に当接する第一環状凸部Sa1と、水道管Wの外周面に当接する2つの第二環状凸部Sa2,Sa3とを設ければ、水道管Wと突出管部12Bとの間からの漏水を確実に防止することができる。なお、第二環状凸部Sa2,Sa3の何れか1つを省略しても良い。
【0050】
図4に示すように、環状分割体Bの環状部22の外側端には、移動防止機構14が一体形成されている。移動防止機構14は、弁箱12とは反対側に位置しており、環状分割体Bの管軸方向Xの移動を防止する。この移動防止機構14は、環状部22に一体形成される半割状の一対の分割押え体14Aと、水道管Wの外周面に喰い込み可能な複数(本実施形態では6つ)の抜止め部材14Bとを有している(
図1~
図2も参照)。一対の分割押え体14Aの周方向端部に形成された接合部23に亘って、一対の分割押え体14Aを連結する連結ボルト14Ab1及び連結ナット14Ab2が設けられている。また、分割押え体14Aの連結ボルト14Ab1及び連結ナット14Ab2の間には、複数(本実施形態では6つ)の押ボルト14Ab3が挿入されている。抜止め部材14Bは、分割押え体14Aの内周面の周方向複数箇所に形成された凹状収容部14Ba内で移動自在に装着されていて、押ボルト14Ab3の締付け操作に伴って、各抜止め部材14Bが径方向内側に移動して水道管Wの外周面に喰い込むように構成されている。
【0051】
図1~
図2に示すように、一対の接合部23は、延出部B2とは反対側で環状側壁22bに干渉しない位置に形成されており、複数(本実施形態では夫々の環状分割体Bに2つずつ)の締結ボルト16a及び締結ナット16bにより締結されている。また、
図8に示すように、接合部23の一方の割面には複数(本実施形態では2つ)の凸部23b1が形成されており、他方の割面には複数(本実施形態では2つ)の凹部23b2が形成されている。このように、接合部23の凸部23b1及び凹部23b2により、一対の分割部材Ba(半円筒部材)の割面には、互いに嵌合する凹凸形状が形成されている。さらに、接合部23の外側面には、後述する筺体3(下部ケース3Aの底壁3Ab)に設けられた保持部33の突起33Aに係合する複数(凸部23b1及び凹部23b2の位置する近傍に2つ)の係合溝23cが凹状に形成されている。
【0052】
図7~
図8に示すように、延出部B2は、環状部22に接続された基端部24と、基端部24の先端側に形成され、弁箱12の突出部12Ab1に係合する係合部25とを有している。
【0053】
基端部24は、弁箱側収容部12Aの交差面12Aa(主としてテーパ面12Aa2及び先端面12Aa3)に対向する対向壁部24aと、対向壁部24aから管軸方向Xに屈曲した屈曲壁部24bとを有している。係合部25は、屈曲壁部24bの先端部に形成されており、凹状溝部25aを有している。この凹状溝部25aには、突出部12Ab1の傾斜面12Ab2に対向する対向傾斜面25a1が形成されている(
図4参照)。詳細は後述するが、一対の分割部材Baを径方向外側から径方向内側に向けて移動させて弁箱12に装着する際、対向傾斜面25a1が突出部12Ab1の傾斜面12Ab2と当接して、分割部材Baが案内される。
【0054】
続いて、仕切弁1の設置方法に用いられる仕切弁設置装置10について説明する。
図10~
図11に示すように、仕切弁設置装置10は、上述した仕切弁1と、水道管Wを切断する切断装置2と、作業弁4が連結された状態で水道管Wを覆う筺体3と、弁体15が収容された弁箱12を下降操作可能な昇降装置Cとを備えている。
【0055】
図10に示すように、切断装置2は、電動モータやエンジン等で構成される原動部27と、作業弁4に連結される連結ケース31と、連結ケース31が連結されるケーシング28と、ケーシング28により支持され、原動部27により回転駆動される駆動回転軸29と、駆動回転軸29の先端部の連結フランジ部29Aに他種のものと付替え自在に連結されたホールソー5とを有している。ケーシング28の下側連結フランジ部28Aには、ホールソー5の一部を収納可能な連結ケース31の上側連結フランジ部31Aがボルト,ナット等の締結部材により固定連結されている。ホールソー5は、水道管Wの外径よりも大径に形成されている。このホールソー5は、先端部に切削チップが設けられている円筒状ボディー5Aと、円筒状ボディー5Aの中心位置を通して切削チップよりも前方に突出するセンタードリル5Bとから構成されている。また、センタードリル5Bには、円筒状ボディー5A内に入り込んだ切断除去管部の抜け出しを防止する起伏揺動自在な一対の抜止め片5Cが設けられている。切断装置2は、原動部27の駆動により駆動回転軸29に対して駆動回転力と送り力とを付与し、駆動回転軸29に連結されたホールソー5を、開き操作された作業弁4を通して管軸方向Xと直交する鉛直方向(挿抜方向Y)に沿って回転させながら送り込むことにより、水道管Wを円筒状に切断するように構成されている。これにより、
図11に示すように、水道管Wには、弁体15の挿抜方向Yに対して水道管Wの側面視中間位置に行くほど近付く側面視円弧状である一対の円弧状切断面20が形成される。
【0056】
筺体3は、下方から外嵌装着される半割り状の下部ケース3Aと、水道管Wに対して上方から外嵌装着される半割り状の上部ケース3Bと、上部ケース3Bに連結される作業弁4と、を有している。両ケース3A,3Bは、不図示のボルト,ナット等の締結部材で脱着自在に密封状態でフランジ接合され、上部ケース3Bの管軸芯方向中央部に一体形成された連結筒部3Baには、ボルト,ナット等の締結部材により作業弁4の弁ケース4Aが密封状態で取付けられている。作業弁4の弁ケース4Aには、水平方向に沿って開閉移動自在な作業弁体4Cとこれを開閉操作する操作ハンドル4Dが設けられている。作業弁4の上端には、上述した連結ケース31の下側連結フランジ部31Bにボルト,ナット等の締結部材により着脱自在に固定連結される上側連結フランジ部4Bが一体形成されている。
【0057】
図9に示すように、下部ケース3Aは、側壁3Aaと底壁3Abとを有する上部が開口したボックス状に形成されている。長手方向の(管軸方向Xに沿う)一対の側壁3Aaと底壁3Abとの間には、内側に屈曲した一対の段差部3Acが形成されている。筺体3を水道管Wに密封状態で装着する際、段差部3Acには、分割部材Baの本体部B1が支持された状態となっている(
図13参照)。段差部3Acの側面には、分割部材Baを内側に(水道管Wの方向に)押込み可能なプッシャ部材P(操作部の一例)が挿入される複数(本実施形態では6つ)の貫通孔部3Ac1が形成されている。
【0058】
底壁3Abには、分割部材Baの接合部23を保持する保持部33が接着、ネジ止め、はめ込み等により固定されている(
図12参照)。この保持部33は、水道管Wと弁箱12との間の所定位置に分割部材Baが装着されるように、一対の段差部3Acの間の領域で径方向に沿って設けられている。保持部33の上面の中央部分には、接合部23の外側面に形成された係合溝23cに係合する複数(本実施形態では2つ)の突起33Aが、一対の段差部3Acで挟まれた領域に亘り径方向に沿って設けられている。これら係合溝23cと突起33Aとによって、分割部材Baが所定の位置に位置決めされ、プッシャ部材Pにより水道管Wの側方から分割部材Baがスライド移動する際の案内機構が構成されている。また、
図9及び
図12に示すように、底壁3Abには、弁箱側収容部12Aの底面に形成された底面凹部12Acに挿入される位置決めピン3Ab1が一体的に突出形成されている。弁箱12を筺体3内部における一対の水道管W1,W2の間に配置する際、位置決めピン3Ab1が底面凹部12Acに挿入されることにより、弁箱12と筺体3との相対位置が位置決めされる。
【0059】
図11に示すように、昇降装置Cは、作業弁4に密封状態で連結される上部ハウジングHと、上部ハウジングHの蓋体34に支持され、レーンやウインチ等の昇降駆動部に対する連結部36Aを有する昇降操作軸36と、昇降操作軸36に接続され、弁箱12を脱着自在に吊下げ支持する吊下げ治具37と、蓋体34の内面との当接により、弁箱12を上部ハウジングHと共に一体的に吊下げ搬送する鍔部38とを有している。
【0060】
続いて、仕切弁1の設置方法について説明する。まず、
図12~
図13に示すように、下部ケース3Aの段差部3Acに分割部材Baの本体部B1を当接させると共に本体部B1の係合溝23cと保持部33の突起33Aとを係合させることにより、保持部33に複数の分割部材Ba(本実施形態では、一対の分割部材Baを2組)を載置する。
【0061】
次いで、水道管Wに下部ケース3A,上部ケース3B及び作業弁4とを装着して、筺体3の内部に複数の分割部材Baを収容する。つまり、
図10に示すように、密封バンド13(複数の分割部材Ba)が収容された筺体3(下部ケース3A)を水道管Wに密封状態で装着する(筺体装着工程)。次いで、切断装置2を筺体3に密封状態で装着し、作業弁4を開いた状態の筺体3の内部でホールソー5を回転させて、水道管Wを切断する(流体管切断工程)。その結果、弁体15の挿抜方向Yに対して水道管Wの側面視中間位置に行くほど近付く側面視円弧状である一対の円弧状切断面20が形成される。
【0062】
次いで、
図11に示すように、作業弁4を閉じ操作して、水道管Wの切断除去管部と共に切断装置2を撤去し、筺体3に昇降装置Cを密封状態で装着する。そして、作業弁4を開き操作して、昇降装置Cにより、筺体3の内部で、一対の円弧状切断面20の間に弁体15が収容された弁箱12を挿入する(弁箱設置工程)。このとき、弁箱12の底面に位置決め用の底面凹部12Acを形成しているので、水道管Wに対する弁箱12の装着位置が正確なものとなる(
図12参照)。次いで、
図13に示すように、筺体3の外部に設けられたプッシャ部材Pを押込み操作して、水道管Wの側方から分割部材Baをスライド移動させる(密封バンド装着工程)。このとき、本体部B1の係合溝23cと保持部33の突起33Aとが係合しているため、分割部材Baが所定の位置まで正確に案内される(
図12参照)。
【0063】
そして、水道管Wと弁箱12との間の所定位置まで移動した一対の分割部材Baの接合部23の凸部23b1及び凹部23b2を嵌合させ、プッシャ部材Pを回転操作して、締結ボルト16a及び締結ナット16bと連結ボルト14Ab1及び連結ナット14Ab2とにより一対の接合部23を締結する。その結果、水道管Wと弁箱12との間が密封バンド13により密封状態で覆われる(密封バンド装着工程、
図1~
図2も参照)。次いで、水道管Wから筺体3及び昇降装置Cを取外す(筺体除去工程)。そして、
図1に示すように、移動防止機構14の押ボルト14Ab3を締付け操作して、抜止め部材14Bを水道管Wの外周面に喰い込ませて環状分割体Bの管軸方向Xの移動を防止し、仕切弁1が完成する。
【0064】
上述した実施形態では、弁体15と、弁箱12と、水道管Wと弁箱12との間を密封状態で覆う密封バンド13とで仕切弁1を構成しているため、筺体3等を残置することなく、仕切弁1のコンパクト化を図ることができる。また、
図1~
図4に示すように、本実施形態における環状分割体Bは、水道管Wの周方向に分割された複数の分割部材Baで構成され、弁箱12の突出部12Ab1に係合する係合部25を有している。つまり、突出部12Ab1と係合部25とを係合させるように複数の分割部材Baを水道管Wの径方向から装着することが可能となるため、密封バンド13を管軸方向Xに沿って移動させる必要がない。その結果、水道管Wの外周面に形成されたバリ等により分割部材Baの内周面に装着されたシール部材Sが損傷することなく、密封バンド13の耐久性を高めることができる。
【0065】
また、
図7に示すように弁箱12の突出部12Ab1に傾斜面12Ab2を設け、環状分割体Bの係合部25に対向傾斜面25a1を設ければ、傾斜面12Ab2及び対向傾斜面25a1により弁箱12に対する環状分割体Bの装着が案内される。その結果、弁箱12に環状分割体Bを装着する作業が容易なものとなる。
【0066】
以下、別実施形態について説明する。なお、第一実施形態と同様の部材については、図面の理解を容易にするため、同一の符号及び名称を用いて説明する。
【0067】
[第二実施形態]
図14及び
図15に示すように、環状部22の外面には、管軸方向Xに沿って対向する一対の環状側壁22bが形成されている。環状部22の外面に形成された一対の環状側壁22bのうち、延出部B2とは反対側の環状側壁22bは、移動防止機構14により係止されている。つまり、第一実施形態では移動防止機構14が環状分割体Bに一体形成されていたが、本実施形態では移動防止機構14を別部材で構成している点が異なっている。
【0068】
移動防止機構14は、環状分割体Bの弁箱12とは反対側に装着され、環状分割体Bの管軸方向Xの移動を防止する。この移動防止機構14は、弁箱12の延出部B2とは反対側の環状側壁22bに対して径方向外方から係脱自在な係止部14Aaを含む半割状の一対の分割押え体14Aと、水道管Wの外周面に喰い込み可能な複数個の抜止め部材14Bとを有している。抜止め部材14Bは、分割押え体14Aの内周面の周方向複数箇所に形成された凹状収容部14Ba内に径方向内側に移動自在に装着されている。この抜止め部材14Bは、連結ボルト14Ab1及び連結ナット14Ab2の締付け操作に伴う一対の分割押え体14Aの縮径揺動により、各抜止め部材14Bが径方向内側に移動して水道管Wの外周面に喰い込むように構成されている。その他の構成は、第一実施形態と同様であるので説明を省略する。なお、移動防止機構14の他の装着例として、
図16に示すように、
図14の移動防止機構14を90度回転させて、環状分割体Bの一対の分割部材Baの割面に跨って移動防止機構14を装着することが好ましい。これにより、移動防止機構14が一対の分割部材Baを均等に引っ張るため、環状分割体Bと移動防止機構14との離脱防止力を高めることができる。
【0069】
[第三実施形態]
図17及び
図18に示すように、弁箱12の両端部には、一対の水道管W1,W2の円弧状切断面20に沿うように対向する円弧状端面12Bbが形成されている。そして、本実施形態における一対の円弧状端面12Bbは、弁体15の挿抜方向Yに対して水道管Wの側面視中間位置に行くほど近付くように側面視円弧状に形成されている。このように、弁箱12の突出管部12Bに水道管Wの円弧状切断面20に対向する円弧状端面12Bbを設ければ、突出管部12Bを円弧状切断面20に接近させることが可能となり、仕切弁1のコンパクト化が図られる。しかも、水道管Wに流通する水が弁箱12の突出管部12Bにより円滑に案内されるため、圧力損失を低減できる。
【0070】
図19に示すように、上述した弁箱側収容部12Aの交差面12Aaの形状及び突出管部12Bの円弧状端面12Bbの形状により、突出管部12Bの上壁の管軸方向Xの幅Wtは、下壁の管軸方向Xの幅Wbよりも小さく形成されており、側壁の管軸方向Xの幅Wsよりも大きく形成されている。
【0071】
図20に示すように、シール溝22aには、弁箱12の突出管部12Bの外周面に対向する側が円弧状端面12Bbに沿うように中間部分が突出した円弧状壁部22a4が形成されており、水道管Wの外周面に対向する側が管軸方向Xに直交するフラット壁部22a2が形成されている。また、シール部材Sの第一環状凸部Sa1は、水道管Wの円弧状切断面20の側面視円弧状に沿うように水道管Wの側面視中間位置に行くほど弁箱12側に膨らんでいる。その他の構成は、第一実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0072】
[第四実施形態]
図21に示すように、上述した実施形態における移動防止機構14に代えて、環状分割体B(分割部材Ba)の内周面に、水道管Wの外周面に喰い込み可能な環状爪部39(爪部の一例)を設けても良い。この環状爪部39は、本体部B1のうち、弁箱12の延出部B2とは反対側の環状側壁22bの内周面に一体形成されている。本実施形態における仕切弁1の設置方法は、上述した実施形態における移動防止機構14の装着工程を省略することができる。しかも、本体部B1に環状爪部39を設けるだけで良いので、部品点数を節約することができる。
【0073】
[第五実施形態]
図22に示すように、上述した実施形態における移動防止機構14に代えて、環状分割体B(分割部材Ba)の内周面に環状凸部40を設けると共に、水道管Wの外周面に環状凹部41を形成し、これら環状凸部40と環状凹部41とを嵌合させても良い。この環状凸部40は、本体部B1のうち、弁箱12の延出部B2とは反対側の環状側壁22bの内周面に一体形成されている。本実施形態における仕切弁1の設置方法は、上述した実施形態における移動防止機構14の装着工程を省略することができる。しかも、本体部B1に環状凸部40を設け、水道管Wの外周面に環状凹部41を形成するだけで良いので、部品点数を節約することができる。
【0074】
[第六実施形態]
図23に示すように、仕切弁1は、弁蓋11と弁箱12と密封バンド13と移動防止機構14とを備えている。弁蓋11と弁箱12と移動防止機構14とは、第一実施形態と同様であるので説明を省略する。なお、弁箱12を第三実施形態のように構成しても良いし、移動防止機構14を第二実施形態、第四実施形態又は第五実施形態のように構成しても良く、特に限定されない。この場合、上述した環状分割体Bが、後述する本体部B1に相当する。
【0075】
図23~
図25に示すように、本実施形態における密封バンド13は、夫々の水道管W1,W2及び弁箱12の突出管部12Bを密封状態に覆う一対の本体部B1と、弁箱側収容部12A(弁箱本体の一例)の管軸方向Xに沿う側面12Abに対向した状態で一対の本体部B1を接続する接続部B3とが一体形成され、水道管Wの周方向に分割された複数(本実施形態では2つ)の分割部材Baで構成されている。
【0076】
本体部B1は、環状部22と、環状部22の両端部から外側に突出し、一対の分割部材Baを締結ボルト16a及び締結ナット16bにより接合するための一対の接合部23とを有している。本体部B1の構成は、第一実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0077】
接続部B3は、一対の本体部B1の環状部22どうしを接続しており、環状部22から外方に屈曲する屈曲部43と、屈曲部43から管軸方向Xに沿った外面を有し、一対の屈曲部43を一体化させた一体部44とを備えている。一体部44の内面には、弁箱12の突出部12Ab1に係合する複数(本実施形態では2つ)の係合凹部44aが形成されている。この係合凹部44aには、突出部12Ab1の傾斜面12Ab2に対向する対向傾斜面を形成しても良い。一対の分割部材Baを径方向外側から径方向内側に向けて移動させて弁箱12に装着する際、突出部12Ab1と係合凹部44aとを係合させることにより、分割部材Baの弁箱12に対する装着位置が案内される。
【0078】
本実施形態における密封バンド13は、一対の本体部B1と一対の本体部B1を接続する接続部B3とで構成される一体型であるため、強度が高いものとなっている。しかも、密封バンド13が水道管Wの周方向に分割された複数の分割部材Baで構成されており、複数の分割部材Baを水道管Wの径方向から装着することが可能となるため、密封バンド13を管軸方向Xに沿って移動させる必要がない。その結果、水道管Wの外周面に形成されたバリ等に密封バンド13の内周面が損傷することなく、密封バンド13の耐久性を高めることができる。
【0079】
本実施形態における仕切弁1の設置方法は、第一実施形態と同様である。つまり、密封バンド13が収容された筺体3を水道管Wに密封状態で装着する筺体装着工程と、筺体3の内部で切断装置2により水道管Wを切断して、弁体15の挿抜方向Yに対して水道管Wの中間位置に行くほど近付く一対の円弧状切断面20を形成する流体管切断工程と、筺体3の内部で、一対の円弧状切断面20の間に弁体15が収容された弁箱12を挿入する弁箱設置工程と、筺体3の外部に設けられたプッシャ部材P(操作部の一例)を操作して分割部材Baを水道管Wの径方向に移動させ、水道管Wと弁箱12との間を密封バンド13で密封状態に覆う密封バンド装着工程と、水道管Wから筺体3を取外す筺体除去工程と、を備えている(
図10~
図13参照)。
【0080】
本実施形態では、予め筺体3内に密封バンド13を収容しておき、筺体3の外部に設けられたプッシャ部材Pを操作して分割部材Baを移動させて水道管Wと弁箱12との間に密封バンド13を装着し、筺体3を水道管Wから取外すことにより、仕切弁1の装着が完了する。このように、弁体15を収容した弁箱12と、水道管Wと弁箱12との間を密封状態で覆う密封バンド13とで仕切弁1を構成しているため、筺体3を残置することなく、仕切弁1のコンパクト化を図ることができる。しかも、一体部44の内面には、弁箱12の突出部12Ab1に係合する複数の突出部12Ab1が形成されているため、弁箱12に対する密封バンド13の装着位置が正確なものとなる。
【0081】
[その他の実施形態]
(1)
図26に示すように、環状分割体Bの一対の分割部材Ba(半円筒部材)の端部をヒンジ42で結合しても良い。この場合、弁箱12の突出管部12Bに一対の分割部材Baを予め装着した状態で、弁箱12を一対の水道管W1,W2の間に挿入し、その後、プッシャ部材P又は分割部材Baの自重により、一対の分割部材Baを閉じ操作しても良い。
(2)密封バンド13に代えて、管軸方向Xに伸縮自在な伸縮部材で構成し、この伸縮部材を公知の離脱防止具で押さえても良い。
(3)上述した実施形態のように一対の分割部材Baの割面は上下方向に限定されず、左右方向、斜め方向等であっても良い。一対の分割部材Baの割面を左右方向とした場合、上側の分割部材Baを突出管部12Bに予め装着させた弁箱12を一対の水道管W1,W2の間に挿入し、その後、下部ケース3Aの底壁3Abに設けられたジャッキ機構により下側の分割部材Baを押し上げて装着しても良い。
(4)弁体15の挿抜方向Yは、上下方向ではなく、斜め方向又は左右方向として仕切弁1を配置しても良い。
(5)流体管は水道管に限定されず、ガス管等の流体を流通させる管であれば特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、一対の流体管の間に挿入されることにより流路を閉塞可能な弁体を備えた仕切弁及び仕切弁の設置方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 :仕切弁
2 :切断装置
3 :筺体
12 :弁箱
12A :弁箱側収容部(弁箱本体)
12Ab :側面
12Ab1 :突出部(被係合部)
12Ab2 :傾斜面
12Ac :底面凹部
12B :突出管部
12Ba :円弧状端面
13 :密封バンド
14 :移動防止機構
15 :弁体
20 :円弧状切断面
25 :係合部
25a1 :対向傾斜面
33 :保持部
39 :環状爪部(爪部)
40 :環状凸部
41 :環状凹部
42 :ヒンジ
B :環状分割体
B1 :本体部
B2 :延出部
Ba :分割部材
P :プッシャ部材(操作部)
S :シール部材
Sa1 :第一環状凸部
Sa2 :第一環状凸部
Sa3 :第二環状凸部
W :水道管(流体管)
X :管軸方向
Y :挿抜方向