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特許7166016フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20221028BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20221028BHJP
   H01M 12/08 20060101ALI20221028BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20221028BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20221028BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20221028BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20221028BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20221028BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20221028BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20221028BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20221028BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20221028BHJP
   H01M 4/40 20060101ALI20221028BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20221028BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20221028BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/052
H01M12/08 Z
H01M10/0565
H01M10/0566
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M4/139
H01M4/66 A
H01M50/457
H01M50/417
H01M4/62 Z
H01M4/40
H01M4/505
H01M4/525
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020515815
(86)(22)【出願日】2018-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 CN2018088495
(87)【国際公開番号】W WO2018214972
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】201710385193.0
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710386080.2
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】501079107
【氏名又は名称】北京▲師▼▲範▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李林
(72)【発明者】
【氏名】劉鳳泉
(72)【発明者】
【氏名】周建軍
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-056822(JP,A)
【文献】特開2002-343435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/058
H01M 10/052
H01M 12/08
H01M 10/0565
H01M 10/0566
H01M 10/0568
H01M 10/0569
H01M 4/139
H01M 4/66
H01M 50/409
H01M 4/62
H01M 4/40
H01M 4/505
H01M 4/525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、上記方法は以下のステップ:
1a)エーテル系化合物、リチウム塩及び任意的に選んだ他の溶媒及び/または電解液、任意的に選んだ無機ナノ粒子、任意的に選んだ添加剤を混合し、攪拌下で混合溶液、即ちゲル化可能な体系を調製することを含む、ゲル化可能な体系を調製するステップ;
2a)負極と、セパレータと、正極と、を組み立て、注液前の全固体電池を得るステップ;
3a)ステップ2a)の注液前全固体電池に、ステップ1a)のゲル化可能な体系を注入し、パッキングしてから静置することで、全固体リチウムイオン二次電池を得るステップ;
を含み、
そのうち、上記ゲル化可能な体系は以下の組成:
リチウム塩およびエーテル系化合物を含み、上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも一種であり;
上記ゲル化可能な体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量%で≦1wt%;
であることを特徴とするフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項2】
フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、上記方法は以下のステップ:
1b)エーテル系化合物、リチウム塩及び任意的に選んだ他の溶媒及び/または電解液、任意的に選んだ無機ナノ粒子、任意的に選んだ添加剤を混合し、攪拌下で混合溶液、即ちゲル化可能な体系を調製することを含む、ゲル化可能な体系を調製するステップ;
2b)負極集電体と、負極材料と、を負極に圧制してから、ステップ1b)のゲル化可能な体系内に置いて浸潤させるステップ;または、ステップ1b)のゲル化可能な体系を、負極集電体と負極材料とを圧制することにより得られた負極表面に塗布するステップ;
3b)正極集電体と、正極材料と、を正極に圧制してから、ステップ1b)のゲル化可能な体系内に置いて浸潤させるステップ;または、ステップ1b)のゲル化可能な体系を、正極集電体と正極材料とを圧制することにより得られた正極表面に塗布するステップ;
4)下記のステップから選ばれる1種:
4b)ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、セパレータと、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、を組み立てることで注液前の全固体リチウムイオン二次電池が得られて、注液前の全固体リチウムイオン二次電池内にステップ1b)のゲル化可能な体系を注入し、パッキング、静置することで上記全固体リチウムイオン二次電池が得られるステップ;
4b’)ステップ1b)のゲル化可能な体系を基材の表面に塗布し、上記ゲル化可能な体系は基材の表面で固化され固体電解質薄膜を形成して、ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、固体電解質薄膜と、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、を組み立てることで全固体リチウムイオン二次電池が得られるステップ;または、
4b’’)ステップ1b)のゲル化可能な体系を基材の表面に塗布し、上記ゲル化可能な体系は基材の表面で固化され固体電解質薄膜を形成して、ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、固体電解質薄膜と、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、を組み立てることで注液前の全固体リチウムイオン二次電池が得られ、注液前の全固体リチウムイオン二次電池内にステップ1b)のゲル化可能な体系を注入し、パッキング、静置することで上記全固体リチウムイオン二次電池が得られるステップ、
を含み、
そのうち、上記ゲル化可能な体系は以下の組成:
リチウム塩及びエーテル系化合物を含み、上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも一種であり;
上記ゲル化可能な体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量%で≦1wt%;
である、ことを特徴とするフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項3】
フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、上記方法は以下のステップ:
1c)エーテル系化合物、リチウム塩及び任意的に選んだ他の溶媒及び/または電解液、任意的に選んだ無機ナノ粒子、任意的に選んだ添加剤を混合し、攪拌下で混合溶液、即ちゲル化可能な体系を調整することを含む、ゲル化可能な体系を調製するステップ;
2c)正極材料と、導電剤と、ステップ1c)のゲル化可能な体系と、任意的に選んだ粘着剤とを、溶媒と混合・叩解し、且つ正極集電体の表面に塗布することでゲル化可能な体系を含む正極を製造し得るステップ;
3c)負極材料と、導電剤と、ステップ1c)のゲル化可能な体系と、任意的に選んだ粘着剤とを、溶媒と混合・叩解し、負極集電体の表面に塗布することでゲル化可能な体系を含む負極を製造し得るステップ;
4)以下のステップから選ばれる一種:
4c)ステップ1c)のゲル化可能な体系を基材の表面に塗布し、上記ゲル化可能な体系は基材の表面で固化され固体電解質薄膜を形成して、ステップ2c)のゲル化可能な体系を含む正極と、固体電解質薄膜と、ステップ3c)のゲル化可能な体系を含む負極と、を組み立てることで全固体リチウムイオン二次電池が得られるステップ;または、
4c’)ステップ1c)のゲル化可能な体系を基材の表面に塗布し、上記ゲル化可能な体系は基材の表面で固化され固体電解質薄膜を形成して、ステップ2c)のゲル化可能な体系を含む正極と、固体電解質薄膜と、ステップ3c)のゲル化可能な体系を含む負極と、を組み立てることで注液前の全固体リチウムイオン二次電池が得られ、注液前の全固体リチウムイオン二次電池にステップ1c)のゲル化可能な体系を注入し、パッキングしてから静置することで上記全固体リチウムイオン二次電池を製造しうるステップ;または、
4c’’)ステップ2c)のゲル化可能な体系を含む正極と、セパレーターと、ステップ3c)のゲル化可能な体系を含む負極と、を組み立てることで注液前の全固体リチウムイオン二次電池が得られて、注液前の全固体リチウムイオン二次電池内にステップ1c)のゲル化可能な体系を注入し、パッキングしてから静置することで、上記全固体リチウムイオン二次電池を製造し得るステップ、
を含み、
そのうち、上記ゲル化可能な体系は以下の組成:
リチウム塩およびエーテル系化合物を含み、上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも一種であり;
上記ゲル化可能な体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量%で≦1wt%;
である、ことを特徴とするフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記ゲル化可能な体系は、更に無機ナノ粒子、他の溶媒および/または電解液、並びに、ポリエステルまたはその混合物の添加剤からなる群のうちの少なくとも一種を含むことを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記ゲル化可能な体系はゲル化してから、固体電解質に製造され、
上記ゲル化可能な体系のうち、上記リチウム塩の含有量は、質量%で5wt%≦リチウム塩≦60wt%であり、上記エーテル系化合物の含有量は、質量%で20wt%≦エーテル系化合物≦60wt%であり、上記他の電解液またはその溶媒の含有量は、質量%で20wt%≦他の電解液またはその溶媒≦75wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は、質量%で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり、上記ポリエステルまたはその混合物の添加剤の含有量は、質量%で0wt%≦添加剤≦30wt%であることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記ゲル化可能な体系のうち、上記リチウム塩の含有量は、質量%で10wt%≦リチウム塩≦40wt%であり、上記エーテル系化合物の含有量は、質量%で20wt%≦エーテル系化合物≦60wt%であり、上記他の電解液またはその溶媒の含有量は、質量%で20wt%≦他の電解液またはその溶媒≦60wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は、質量%で0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%であり、上記ポリエステルまたはその混合物の添加剤の含有量は、質量%で0wt%<添加剤≦20wt%であることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項7】
請求項4に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記ゲル化可能な体系はゲル化してから、ゲル電解質を製造し、
上記ゲル化可能な体系のうち、上記リチウム塩の含有量は、質量%で5wt%≦リチウム塩≦60wt%であり、上記エーテル系化合物の含有量は、質量%で60wt%<エーテル系化合物≦90wt%であり、上記他の電解液またはその溶媒の含有量は、質量%で5wt%≦他の電解液またはその溶媒≦30wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は、質量%で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり、上記ポリエステルまたはその混合物の添加剤の含有量は、質量%で0wt%≦添加剤≦30wt%であることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記ゲル化可能な体系のうち、上記リチウム塩の含有量は、質量%で10%≦リチウム塩≦40wt%であり、上記エーテル系化合物の含有量は、質量%で60wt%<エーテル系化合物≦85%であり、上記他の電解液またはその溶媒の含有量は、質量%で5wt%≦他の電解液またはその溶媒≦30wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は、質量%で0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%であり、上記ポリエステルまたはその混合物の添加剤の含有量は、質量%で0wt%<添加剤≦20wt%であることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記直鎖エーテル系化合物の式は式(1)が示す通り;
R1-O-(R2-O)n-R3 式(1)
そのうち、nは0より大きい整数であり;
R2は、直鎖または分岐鎖のC1-C6のアルキレン基、直鎖または分岐鎖のC-C6のアルケニレン基から選ばれ;上記R2の炭素原子のHは、以下の基のうちの少なくとも1種で置換されてよい:アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基;
R1はR3と同じまたは異なり、各自独立的に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、アルキニル基から選ばれる1種または多種であり;上記R1とR3との炭素原子のHは、以下の基のうちの少なくとも1種で置換されてよい:アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基;
であることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記式(1)中において、
nは1~6の間の整数であり;R2は、直鎖または分岐鎖のC1-Cのアルキレン基、直鎖または分岐鎖のC-C6のアルケニレン基から選ばれ;R1はR3と同じまたは異なり、各自独立的に直鎖または分岐鎖のC1-Cのアルキル基から選ばれることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記式(1)中において、
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ビニル基から選ばれ;
R1はR3と同じまたは異なり、各自独立的にメチル基、エチル基、プロピル基から選ばれることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記直鎖エーテル系化合物は、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、1,4-ブタンジオールジメチルエーテル、1,4-ブタンジオールジエチルエーテル、1,4-ブタンジオールメチルエチルエーテルから選ばれる1種または多種であることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項13】
請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記リチウム塩は、ヘキサフッ化リン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフッ化ヒ素酸リチウム、過塩酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、アルミン酸リチウム、クロロアルミン酸リチウム、イミドジスルフリルフルオリドリチウム、塩化リチウムおよびヨウ化リチウムから選ばれる一種または多種であることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項14】
請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記環状エーテル系化合物は酸素を1個、2個、3個またはそれ以上含む環状エーテル系化合物から選ばれ;
上記環状エーテル系化合物は、単環、縮合多環、スピロ環または架橋環であることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記環状エーテル系化合物は、以下の第1類化合物~第4類化合物の中から選ばれる1種であることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
第1類化合物:
【化1】

第2類化合物:
【化2】

第3類化合物:
【化3】

第4類化合物:
【化4】
【請求項16】
請求項14に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記環状エーテル系化合物は、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、2-クロロメチルオキセタン、2-(クロロメチル)-2-メチルオキシラン、1,4-エポキシシクロヘキサン、1,3-エポキシシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2-メチルテトラヒドロピラン、オキセパン、オキソカン、オキソナン、オキサシクロへプタン、1,3-ジオキソラン(DOL)、1,4-ジオキサン、1,3,5-トリオキサン、18-クラウン-6、12-クラウン-4および24-クラウン-8からなる群から選ばれることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項17】
請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
ステップ1)における上記ゲル化可能な体系を調製するステップは、エーテル系化合物をリチウム塩内に添加し、撹拌してリチウム塩のエーテル系化合物溶液を得、任意的に選んだ他の溶媒および/または電解液および/または無機ナノ粒子および/または添加剤を、リチウム塩の直鎖エーテル系化合物溶液、即ち、上記ゲル化可能な体系に添加することを含むステップであることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
ステップ1)における上記ゲル化可能な体系を調製するステップにおいて、上記エーテル系化合物、リチウム塩、任意的に選んだ無機ナノ粒子、任意的に選んだ他の溶媒および/または電解液、任意的に選んだ添加剤に対して、事前の脱水処理を行うことを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
分子篩および/または真空乾燥法で、上記エーテル系化合物、リチウム塩、任意的に選んだ無機ナノ粒子、任意的に選んだ他の溶媒および/または電解液、および任意的に選んだ添加剤に対して、事前の脱水処理を行うことを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項20】
請求項2または3に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記正極または負極を一体に圧制する過程は乾燥の条件下で行われ;
上記の塗布は、スプレー塗布、ブレード塗布、ロール塗布、ブラシ塗布から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項21】
請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池には、リチウムイオン電池、リチウム・硫黄電池、又はリチウム・空気電池が含まれることを特徴とする、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池の技術分野に関するものであり、具体的にはフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩は、日常電子製品に電気エネルギーを供給するリチウムイオン二次電池に急速な発展をもたらした。だが、リチウムイオン二次電池は使用中に無視できない安全問題を抱えている。例えば、電解液の漏洩、燃焼、爆発などがある。電池は人々の日常生活や生産活動を満足しながらも、安全性を必須の前提とするため、リチウムイオン二次電池の安全性に関する課題は多くの研究者達の重要な研究課題となっている。眼下、リチウムイオン二次電池の電解液漏洩を解決する主な解決策は、固体電解質を採用することである。固体電解質は、液体電解液には比較できない長点があり、リチウムイオン二次電池の安全問題を解決する技術ルートになる可能性が高い。さらに、全固体リチウムイオン二次電池は、液体リチウムイオン二次電池と比較して、稼働温度範囲の拡大、電池のエネルギー密度の増大、使用寿命の延長などの面でも大きく向上されている。
【0003】
固体電解質の成分の違いによって、固体電解質は、ポリマー複合リチウムイオン電解質と、全固体薄膜リチウムイオン電解質と、に分類される。そのうち、ポリマー複合リチウムイオン電解質は、主に高分子ポリマーと、リチウム塩と、の配位構造を形成することを採用することで、リチウムイオンの伝導を実現するが、リチウムイオンの導電率を高めるため、一般的に一定量の二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム (Al2O3)、ゼオライトなどの無機充填剤が添加される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、報道されている固体電解質のリチウムイオン二次電池での使用方法は、一般的に固体電解質膜を、正極と負極との間に配置している。このような製造方法は、正極と負極との接触防止には有効的であるが、固体電解質と正極との間、固体電解質と負極との間の界面抵抗は克服できず、さらに、電解質は固体薄膜であるため、電極板の内部が固体電解質と十分に接触できなくなり、製造されたリチウムイオン二次電池は、低導電性、高い界面抵抗、レート性能不足などの欠点を持つことになる。
【0005】
同時に、今使われている全固体リチウムイオン二次電池は全て剛性であるため、質量の重い、破れやすい、応変性不足、回復性不足、電池の電気化学的性能不足、循環性能の不足、駆動時間の短いなどの欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来技術中に存在する上記問題を改善するため、本発明では、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池およびその製造方法を提供することを目的としている。本発明記載の方法で製造されたリチウムイオン二次電池は、電池内部全体で導電性ネットワークを形成しているため、活性物質の作用が十分に発揮され、リチウムイオン二次電池の内部抵抗を極めて大きく軽減させることで、導電率及びレート性能を上昇するだけではなく、液体電解液による潜在的な安全上の問題も解決する。そして、良好な応変性、回復性を有し、進んではコンパクトで運びやすい。さらに、上記固体電解質を製造するゲル化可能な体系中の各組成の種類および含有量を制御することで、強度調整可能、形成時間調整可能(即ち、自由流動性の液体状態から非流動性の固体状態に変わる)、転移温度調整可能(即ち、非流動性の固体電解質状態から自由流動性の液体状態に転移する際の最低温度)な固体電解質が得られる。即ち、具体的な必要に合わせた違う強度の固体電解質を製造することで、様々な必要に答えることができる。当該固体電解質は、さらに良好な可逆性を有するため、温度が、固体電解質の転移温度を上回る場合、上記固体電解質の流動性は強くなるが、転移温度を下回る場合は固体電解質に戻られるし、その性質は影響されない。上記の考え方を趣旨に、本発明を完成させた。
【0007】
本発明の目的は、以下の技術案を通じて実現する:
本発明の第1形態は、以下のステップを含むフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法を提供する:
1a)ゲル化可能な体系を調製する;
2a)負極と、セパレータと、正極と、を組み立て、注液前の全固体電池を得る;
3a)ステップ2a)の注液前全固体電池に、ステップ1a)のゲル化可能な体系を注入し、パッキングしてから静置することで、全固体リチウムイオン二次電池を得る;
そのうち、ゲル化可能な体系はリチウム塩およびエーテル系化合物を含む。上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも一種である;体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量%で≦1wt%である。
【0008】
本発明により、上記ステップ2a)のうち、上記の注液前の全固体電池とは、注液口を設けた電池、即ち、乾いた電池コアを指す。上記組み立て方法は当業者慣用の方法であり、当該注液前の当該全固体電池を製造できる何れかの方法でも良い。例示的に、正極板と、セパレーターと、負極板と、をラミネートまたは巻回などの方法で注液前の全固体電池に組み立てる。または、負極と、セパレーターと、正極と、を電池プレス成形型内で一体に圧制することで、注液前の全固体電池を形成する。
【0009】
本発明の第2形態は、以下のステップを含むフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法を提供する。
【0010】
1b)ゲル化可能な体系を調製する。
【0011】
2b)負極集電体と、負極材料と、を負極に圧制してから、ステップ1b)のゲル化可能な体系内に置いて浸潤させる。または、ステップ1)のゲル化可能な体系を、負極集電体と負極材料とを圧制することにより得られた負極表面に塗布する。
【0012】
3b)正極集電体と、正極材料と、を正極に圧制してから、ステップ1b)のゲル化可能な体系内に置いて浸潤させる。または、ステップ1)のゲル化可能な体系を、正極集電体と正極材料とを圧制することにより得られた正極表面に塗布する。
【0013】
4)下記のステップから選ばれる1種:
4 b)ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、セパレータと、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、を組み立てることで注液前の全固体リチウムイオン二次電池が得られる。注液前の全固体リチウムイオン二次電池内にステップ1b)のゲル化可能な体系を注入し、パッキング、静置することで上記全固体リチウムイオン二次電池が得られる;
4b’)ステップ1b)のゲル化可能な体系を基材の表面に塗布し、上記ゲル化可能な体系は基材の表面で固化され固体電解質薄膜を形成する。ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、固体電解質薄膜と、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、を組み立てることで全固体リチウムイオン二次電池が得られる;または、
4b’’)ステップ1b)のゲル化可能な体系を基材の表面に塗布し、上記ゲル化可能な体系は基材の表面で固化され固体電解質薄膜を形成する。ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、固体電解質薄膜と、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、を組み立てることで注液前の全固体リチウムイオン二次電池が得られる。注液前の全固体リチウムイオン二次電池内にステップ1b)のゲル化可能な体系を注入し、パッキング、静置することで上記全固体リチウムイオン二次電池が得られる。
【0014】
そのうち、ゲル化可能な体系はリチウム塩及びエーテル系化合物を含む。上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも一種である。体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量%で≦1wt%である。
【0015】
本発明により、上記ステップ4b)のうち、上記組み立て方法は当業者慣用の製造方法であり、注液前の全固体リチウムイオン二次電池を製造できる何れかの方法を採用して良い。例示的に、ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、セパレーターと、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、をラミネートまたは巻回などの方法で電池に組み立てる;または、ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、セパレーターと、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、を電池プレス成形型内で一体に圧制することで、注液前の全固体リチウムイオン二次電池を形成する。
【0016】
本発明により、上記ステップ4b’)のうち、上記組み立て方法は、当業者慣用の製造方法であり、当該全固体リチウムイオン二次電池を製造できる何れかの方法を採用して良い。例示的に、ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、固体電解質薄膜と、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、をラミネートまたは巻回などの方法で電池に組み立てる;または、ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、固体電解質薄膜と、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、をラミネートまたは巻回などの方法で電池に組み立てる;または、ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、固体電解質薄膜と、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、を電池プレス成形型内で一体に圧制することで、全固体リチウムイオン二次電池を形成する。
【0017】
本発明により、上記ステップ4b’’)のうち、上記組み立て方法は、当業者慣用の製造方法であり、注液前の全固体リチウムイオン二次電池を製造できる何れかの方法を採用して良い。例示的に、ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、固体電解質薄膜と、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、をラミネートまたは巻回などの方法で電池に組み立てる;または、ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、固体電解質薄膜と、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、をラミネートまたは巻回などの方法で電池に組み立てる;または、ステップ2b)の浸潤または塗布後の負極と、固体電解質薄膜と、ステップ3b)の浸潤または塗布後の正極と、を電池プレス成形型内で一体に圧制することで、注液前の全固体リチウムイオン二次電池を形成する。
【0018】
本発明の第3形態は、以下のステップを含むフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池の製造方法を提供する。
【0019】
1c)ゲル化可能な体系を調製する。
【0020】
2c)正極材料と、導電剤と、ステップ1c)のゲル化可能な体系と、任意の粘着剤と、を溶媒と混合・叩解し、且つ正極集電体の表面に塗布することでゲル化可能な体系を含む正極を製造し得る。
【0021】
3c)負極材料と、導電剤と、ステップ1c)のゲル化可能な体系と、任意の粘着剤と、を溶媒と混合・叩解し、負極集電体の表面に塗布することでゲル化可能な体系を含む負極を製造し得る。
【0022】
4)以下のステップから選ばれる一種:
4c)ステップ1c)のゲル化可能な体系を基材の表面に塗布し、上記ゲル化可能な体系は基材の表面で固化され固体電解質薄膜を形成する。ステップ2c)のゲル化可能な体系を含む正極と、固体電解質薄膜と、ステップ3c)のゲル化可能な体系を含む負極と、を組み立てることで全固体リチウムイオン二次電池が得られる;または、
4c’)ステップ1c)のゲル化可能な体系を基材の表面に塗布し、上記ゲル化可能な体系は基材の表面で固化され固体電解質薄膜を形成する。ステップ2c)のゲル化可能な体系を含む正極と、固体電解質薄膜と、ステップ3c)のゲル化可能な体系を含む負極と、を組み立てることで注液前の全固体リチウムイオン二次電池が得られる。注液前の全固体リチウムイオン二次電池にステップ1c)のゲル化可能な体系を注入し、パッキングしてから静置することで上記全固体リチウムイオン二次電池を製造しうる;または、
4c’’)ステップ2c)のゲル化可能な体系を含む正極と、セパレーターと、ステップ3c)のゲル化可能な体系を含む負極と、を組み立てることで注液前の全固体リチウムイオン二次電池が得られる。注液前の全固体リチウムイオン二次電池内にステップ1c)のゲル化可能な体系を注入し、パッキングしてから静置することで、上記全固体リチウムイオン二次電池を製造し得る;
そのうち、ゲル化可能な体系はリチウム塩およびエーテル系化合物を含む。上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも一種である。体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量%で≦1wt%である。
【0023】
本発明により、上記ステップ4c)のうち、上記組み立て方法は当業者慣用の製造方法であり、当該全固体リチウムイオン二次電池を製造できる何れかの方法で良い。例示的に、ステップ2c)のゲル化可能な体系を含む正極と、固体電解質薄膜と、ステップ3c)のゲル化可能な体系を含む負極と、をラミネートまたは巻回などの方法で電池に組み立てる;または、ステップ2c)のゲル化可能な体系を含む正極と、固体電解質薄膜と、ステップ3c)のゲル化可能な体系を含む負極と、を電池プレス成形型内で一体に圧制することで、全固体リチウムイオン二次電池を形成する。
【0024】
本発明により、上記ステップ4c’)のうち、上記組み立て方法は当業者慣用の製造方法であり、注液前の全固体リチウムイオン二次電池を製造できる何れかの方法で良い。例示的に、ステップ2c)のゲル化可能な体系を含む正極と、固体電解質薄膜と、ステップ3c)のゲル化可能な体系を含む負極と、をラミネートまたは巻回などの方法で全固体リチウムイオン二次電池に組み立てる;または、ステップ2c)のゲル化可能な体系を含む正極と、固体電解質薄膜と、ステップ3c)のゲル化可能な体系を含む負極と、を電池プレス成形型内で一体に圧制することで、全固体リチウムイオン二次電池を形成する。
【0025】
本発明により、上記ステップ4c’’)のうち、上記組み立て方法は当業者慣用の製造方法であり、注液前の全固体リチウムイオン二次電池を製造できる何れの方法で良い。例示的に、ステップ2c)のゲル化可能な体系を含む正極と、セパレーターと、ステップ3c)のゲル化可能な体系を含む負極と、をラミネートまたは巻回などの方法で全固体リチウムイオン二次電池に組み立てる;または、ステップ2c)のゲル化可能な体系を含む正極と、セパレーターと、ステップ3c)のゲル化可能な体系を含む負極と、を電池プレス成形型内で一体に圧制することで、全固体リチウムイオン二次電池を形成する。
【0026】
本発明の第1形態から第3形態に基づき、上記ゲル化可能な体系には更に無機ナノ粒子、他の溶媒および/または電解液、ポリエステルまたはその混合物などの添加剤中の少なくとも一種を含まんでも良い。
【0027】
本発明により、ステップ1a)~ステップ1c)のうち、上記ゲル化可能な体系における各組成の重量%の合計は100wt%である。
【0028】
本発明により、上記ゲル化可能体系はゲル化してから、固体電解質に製造することができ、上記リチウム塩の含有量は、質量%で5wt%≦リチウム塩≦60wt%である。上記エーテル系化合物の含有量は、質量%で20wt%≦エーテル系化合物≦60wt%である。上記他の電解液またはその溶媒の含有量は、質量%で20wt%≦他の電解液またはその溶媒≦75wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は、質量%で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり、上記添加剤の含有量は、質量%で0wt%≦添加剤≦30wt%である。
【0029】
好ましくは、上記ゲル化可能体系はゲル化をしてから、固体電解質に製造することができ、上記リチウム塩の含有量は、質量%で10wt%≦リチウム塩≦40wt%である。上記エーテル系化合物の含有量は、質量%で20wt%≦エーテル系化合物≦60wt%である。上記他の電解液またはその溶媒の含有量は、質量%で20wt%≦他の電解液またはその溶媒≦60wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は、質量%で0wt%≦無機ナノ粒子≦20wt%であり、上記添加剤の含有量は、質量%で0wt%≦添加剤≦20wt%である。
【0030】
本発明により、上記ゲル化可能体系はゲル化をしてから、ゲル電解質に製造することができ、上記リチウム塩の含有量は、質量%で5wt%≦リチウム塩≦60wt%である。上記エーテル系化合物の含有量は、質量%で60wt%≦エーテル系化合物≦90wt%である。上記他の電解液またはその溶媒の含有量は、質量%で5wt%≦他の電解液またはその溶媒≦30wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は、質量%で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり、上記添加剤の含有量は、質量%で0wt%≦添加剤≦30wt%である。
【0031】
好ましくは、上記ゲル化可能体系はゲル化をしてから、ゲル電解質に製造することができるが、上記ゲル化可能体系のうち、上記リチウム塩の含有量は、質量%で10wt%≦リチウム塩≦40wt%である。上記エーテル系化合物の含有量は、質量%で60wt%≦エーテル系化合物≦85wt%である。上記他の電解液またはその溶媒の含有量は、質量%で5wt%≦他の電解液またはその溶媒≦30wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は、質量%で0wt%≦無機ナノ粒子≦20wt%であり、上記添加剤の含有量は、質量%で0wt%≦添加剤≦20wt%である。
【0032】
本発明の第1形態から第3形態により、上記ゲル化可能な体系の製造方法は具体的に以下のステップを含む:
エーテル系化合物と、リチウム塩と、任意的に選んだ他の溶媒および/または電解液と、任意的に選んだ無機ナノ粒子と、任意的に選んだ添加剤と、を混合し、撹拌下で混合溶液、即ち、上記ゲル化可能な体系を造る。
【0033】
好ましくは、上記ゲル化可能な体系の製造方法は具体的には以下のステップを含む:
エーテル系化合物をリチウム塩内に添加し、撹拌してリチウム塩のエーテル系化合物溶液を得る。任意的に選んだ他の溶媒および/または電解液および/または無機ナノ粒子および/または添加剤を、リチウム塩の直鎖エーテル系化合物溶液、即ち、上記ゲル化可能な体系に添加する。
【0034】
本発明により、上記エーテル系化合物、リチウム塩、任意的に選んだ無機ナノ粒子、任意的に選んだ他の溶媒および/または電解液、任意的に選んだ添加剤に対して、事前の脱水処理を行う。好ましくは、分子篩および/または真空乾燥法で、上記エーテル系化合物、リチウム塩、任意的に選んだ無機ナノ粒子、任意的に選んだ他の溶媒および/または電解液、および任意的に選んだ添加剤に対して、事前の脱水処理を行う。
【0035】
本発明の第1形態から第3形態により、上記正極または負極を一体に圧制する過程は乾燥の条件下で行う。
【0036】
本発明の第1形態から第3形態により、上記の塗布は、スプレー塗布、ブレード塗布、ロール塗布、ブラシ塗布などから選ばれる少なくとも一種である。
【0037】
本発明の第2形態により、上記の浸潤時間および浸潤温度には制限がない;上記浸潤温度が、上記ゲル化可能な体系から固体電解質に転移される転移温度を下回る場合、上記浸潤時間は、上記ゲル化可能な体系から固体電解質に転移される時間より短くすることが好ましい;または、上記浸潤温度が、上記ゲル化可能な体系から固体電解質に転移される転移温度より高い場合、上記ゲル化可能な体系はゲル化されないため、上記浸潤時間を制限しないことを当業者は理解する。
【0038】
本発明により、上記導電剤、粘着剤、負極集電体、負極材料、セパレーター、正極材料および正極集電体の選択には制限がなく、本発明記載のフレキシブル全固体リチウムイオン二次電池に適用されるものであれば良いことを、当業者は理解できる。
【0039】
好ましくは、上記導電剤は、導電性石墨、アセチレンブラック、スーパーP、カーボンナノチューブ、グラフェン、酸化グラフェン、導電性カーボンブラック、ケッチェンブラック、石墨(KS、SO)、SFG-6から選ばれる少なくとも一種である。
【0040】
好ましくは、上記粘着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリル酸エステルおよびその誘導体、シクロデキストリンおよびその誘導体、カリックスアレーンおよびその誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびその誘導体、アクリル酸およびその誘導体、アミノ樹脂およびその誘導体、ポリイミド、有機フルオロポリマー、有機ポリシロキサンから選ばれる少なくとも一種である。
【0041】
好ましくは、上記負極集電体は、銅箔、銅合金、銀箔、ステンレス鋼板、炭素材料から選ばれる少なくとも一種である。
【0042】
好ましくは、上記負極材料は、金属系負極材料(例えば金属リチウム、リチウム合金など)、無機非金属系負極材料(例えば炭素材料、シリコン材料、及びその他の各非金属の複合材料など)から選ばれる少なくとも一種である。
【0043】
好ましくは、上記セパレーターは、本発明記載のゲル化可能な体系から製造された固体電解質セパレータまたはポリオレフィン多孔膜、例えば、ポリエチレン微多孔膜、ポリプロピレン微多孔膜、三層複合セパレータから選ばれる少なくとも一種である。
【0044】
好ましくは、上記正極材料は、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、三元材料ニッケルコバルトマンガン酸化物、ナノ正極材料(例えば、ナノ結晶スピネルLiMn2O4、バリウムマグネシウムマンガン鉱石型MnO2ナノ繊維、ポリピロール被覆スピネル型LiMn2O4ナノチューブ、ポリピロール被覆スピネル型LiMn2O4ナノチューブ、ポリピロール/V2O5ナノ複合材料など)、混合電極、酸化バナジウム、層状化合物(例えば、アニリン改質後のオキシ塩化鉄など)から選ばれる少なくとも一種である。
【0045】
好ましくは、上記正極集電体は、アルミニウム箔、アルミニウム合金から選ばれる少なくとも一種である。
【0046】
本発明により、上記ステップのうち、上記の静置時間は、採用されるゲル化可能な体系が固体電解質に転移される時間であり、上記の静置温度は室温である。
【0047】
本発明の第4形態は、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池を提供して、上記リチウムイオン二次電池は上記方法中のいずれかの一種の方法で製造し得る。
【0048】
本発明により、上記リチウムイオン二次電池には、リチウムイオン電池、リチウム・硫黄電池、リチウム・空気電池などが含まれる。
【0049】
眼下使われている固体リチウムイオン二次電池のうち、一般的には固体電解質で通常の液体電解液を代替し、乃至セパレーターを代替しているが、このように製造された固体リチウムイオン二次電池は、電極表面だけが固体電解質と接触するため、導電性ネットワークは電極表面のみで形成され、電極内部では導電性ネットワークが形成されない。それだけではなく、電極と接触していない内部には巨大な界面抵抗が形成され、正極・負極の内部の活性材料は十分利用されず、リチウムイオン二次電池の電気化学的性能、サイクル安定性およびサイクル寿命も多いに制限されている。
【0050】
本発明では、ゲル化可能な体系をリチウムイオン二次電池用の固体電解質として採用するが、それが固体電解質に形成される前に、元の正極・負極中の粘着剤を代替する方法、または、浸潤または塗布の方法でリチウムイオン二次電池用の正極・負極を未だ固体電解質に固化されてないゲル化可能な体系内に入れる方法、または、ゲル化可能な体系をリチウムイオン二次電池内に直接的に入れる方法により、正極・負極の表面ならびに内部をゲル化可能な体系に浸潤させ、上記正極・負極内部の隙間にゲル化可能な体系を浸透させる。ゲル化可能な体系が固化されたあと、ゲル化可能な体系はその場で正極・負極の表面及びその内部で固体電解質に形成される。
【0051】
本発明のうち、上記「全固体」とは全固体状態を含む。即ち、上記電解液体系内には流動性の液体を一切含まない;そして半固体状態も含む。即ち、電解液体系内に一定の液体組成が含まれるが、得られた電解液はほとんど流動性を持たない。
【発明の効果】
【0052】
本発明では、フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池およびその製造方法を提供するが、上記フレキシブル全固体リチウムイオン二次電池は、元の正極・負極中の粘着剤を代替する方法、または、浸潤または塗布の方法にてリチウムイオン二次電池用の正極・負極を未だ固体電解質に固化されてないゲル化可能な体系内に入れる方法、または、ゲル化可能な体系をリチウムイオン二次電池内に直接的に入れる方法により、正極・負極の表面ならびに内部がゲル化可能な体系に浸潤され、上記正極・負極内部の隙間にゲル化可能な体系が浸透する。ゲル化可能な体系は固体電解質に固化される過程を経て、ゲル化可能な体系が浸透した正極・負極の表面及びその内部には固体電解質が形成される。上記方法によって製造されたリチウムイオン二次電池は、電池内部全体に導電性ネットワークが形成されるだけではなく、リチウムイオン二次電池の内部の抵抗を大いに減少させることで、導電率及びレート性能が向上されたうえ、さらに液体電解液に起因する潜在的安全問題の解決につながる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、実施例2の組み立て方式により得られた電池のレート性能図である。
図2図2は、実施例4の組み立て方式により得られた電池のレート性能図である。
図3図3は、実施例6の組み立て方式により得られた電池のレート性能図である。
図4図4は、実施例7の組み立て方式により得られた電池のレート性能図である。
図5図5は、実施例8の組み立て方式により得られた電池のレート性能図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
具体的な実施方法
「リチウム塩」
本発明のゲル化可能な体系にはリチウム塩が含まれるが、上記リチウム塩は、ヘキサフッ化リン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフッ化ヒ素酸リチウム、過塩酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、アルミン酸リチウム、クロロアルミン酸リチウム、イミドジスルフリルフルオリドリチウム、塩化リチウムおよびヨウ化リチウムから選ばれる一種または多種である;好ましくは、上記リチウム塩は、ヘキサフッ化リン酸リチウム、過塩酸リチウムなどから選ばれる一種または二種である。
「エーテル系化合物」
本発明のゲル化可能な体系にはエーテル系化合物が含まれるが、上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも一種である。
「環状エーテル系化合物」
本発明のエーテル系化合物は、環状エーテル系化合物から選ばれる。上記環状エーテル系化合物は酸素を1個、2個、3個またはその以上含む環状エーテル系化合物から選ばれる。
【0055】
本発明のうち、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも酸素原子1個を含むC2~C20シクロアルカン(即ち、環状構造の炭素数が2-20個)または少なくとも酸素原子1個を含むC3~C20シクロアルケン(即ち、環状構造の炭素数が3-20個)から選ばれ、そのうち少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含む。
【0056】
本発明のうち、上記シクロアルカンまたはシクロアルケンは、単環、縮合多環(例ビシクロ)、スピロ環または架橋環である;上記シクロアルカンまたはシクロアルケンがスピロ環または架橋環である共に、2個以上の酸素原子を含む場合、酸素原子は一つの環上にあっても良いし、複数個の環上にあっても良い。
【0057】
本発明のうち、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を有するC2~C20のシクロアルカンから選ばれ、好ましくは、少なくとも1個の酸素原子を有するC~C20のシクロアルカンから選ばれる。例えば、以下の第1類化合物中の1種である:
【0058】
【化1】
本発明のうち、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を有するC4~C20の縮合多環から選ばれ。例えば、以下の第2類化合物中の1種である:
【0059】
【化2】
本発明のうち、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を有するC4~C20の架橋環アルカンから選ばれる。例えば、以下の第3類化合物中の1種である:
【0060】
【化3】
本発明のうち、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を有するC4~C20のスピロ環アルカンから選ばれる。例えば、以下の第4類化合物中の1種である:
【0061】
【化4】
【0062】
【化5】
本発明のうち、上記4種類の化合物中で環構造中のC-C結合が、少なくとも1個がC=Cに置換され、かつ、安定的に存在する化合物である、上記少なくとも1個の酸素原子を有するC3~C20シクロアルケンは、 本発明で好ましい環状エーテル化合物の1種である。
【0063】
本発明のうち、上記シクロアルカンまたはシクロアルケンが単環または縮合環の場合、上記環上の炭素原子は1個または複数個のR1基で置換されてよい。上記シクロアルカンまたはシクロアルケンが架橋環の場合、その非架橋環の炭素原子は1個または複数個のR1基で置換されてよい。上記シクロアルカンまたはシクロアルケンがスピロ環の場合、その環上の炭素原子は1個または複数個のR1基で置換されてよい。上記R1基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基から選ばれる一種である。
【0064】
本発明のうち、上記1個の酸素を含む環状エーテル系化合物は、置換または無置換のトリメチレンオキシド、置換または無置換のテトラヒドロフラン、置換または無置換のテトラヒドロピランから選ばれる;上記置換基の個数は、1個または複数個で良い;上記置換基は、上記R1基である。
【0065】
本発明のうち、上記1個の酸素を含む環状エーテル系化合物は、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、2-クロロメチルオキセタン、2-(クロロメチル)-2-メチルオキシラン、1,4-エポキシシクロヘキサン、1,3-エポキシシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2-メチルテトラヒドロピラン、オキセパン、オキソカン、オキソナンまたはオキサシクロへプタンから選ばれる。
【0066】
本発明のうち、上記2個の酸素を含む環状エーテル系化合物は、置換または無置換の1,3-ジオキソラン(DOL)、置換または無置換の1,4-ジオキサンから選ばれる;上記置換基の個数は、1個または複数個で良い;上記置換基は、上記R1基である。
【0067】
本発明のうち、上記3個の酸素を含む環状エーテル系化合物は、置換または無置換の1,3,5-トリオキサンから選ばれる;上記置換基の個数は、1個または複数個で良い;上記置換基は、上記R1基である。
【0068】
本発明のうち、上記より多くの酸素を含むエーテル系化合物は、置換または無置換の18-クラウン-6、置換または無置換の12-クラウン-4、置換または無置換の24-クラウン-8から選ばれる;上記置換基の個数は、1個または複数個で良い;上記置換基は、上記R1基である。
【0069】
「直鎖エーテル系化合物」
本発明のうち、上記直鎖エーテル系化合物の式は式(1)が示す通り;
R1-O-(R2-O)n-R3 式(1)
そのうち、nは0より大きい整数である。
【0070】
R2は、直鎖または分岐鎖のC1-C6のアルキレン基、直鎖または分岐鎖のC-C6のアルケニレン基から選ばれる;上記R2の炭素原子のHは、以下の基のうちの少なくとも1種で置換されてよい:アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基。
【0071】
R1はR3と同じまたは異なり、各自独立的に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、アルキニル基から選ばれる1種または多種である;上記R1とR3との炭素原子のHは、以下の基のうちの少なくとも1種で置換されてよい:アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基。
【0072】
好ましくは、nは1~6の間の整数である。
【0073】
R2は、直鎖または分岐鎖のC1-Cのアルキレン基、直鎖または分岐鎖のC-C6のアルケニレン基から選ばれる;
R1はR3と同じまたは異なり、各自独立的に直鎖または分岐鎖のC1-Cのアルキル基から選ばれる。
【0074】
更に好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ビニル基から選ばれる。
【0075】
R1はR3と同じまたは異なり、各自独立的にメチル基、エチル基、プロピル基から選ばれる。
【0076】
最も好ましくは、上記直鎖エーテル系化合物は、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、1,4-ブタンジオールジメチルエーテル、1,4-ブタンジオールジエチルエーテル、1,4-ブタンジオールメチルエチルエーテルなどから選ばれる1種または多種である。
【0077】
本発明のうち、上記直鎖エーテル系化合物は、例えば、以下の化合物中の1種である。
【0078】
【化6】
「ゲル化可能な体系」
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系はリチウム塩及びエーテル系化合物を含み、上記エーテル系化合物は環状エーテル系化合物から選ばれる。
【0079】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系はリチウム塩、エーテル系化合物、及び他の溶媒及び/または電解液を含み、上記エーテル系化合物は環状エーテル系化合物から選ばれる。
【0080】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系はリチウム塩、エーテル系化合物、及び無機ナノ粒子を含み、上記エーテル系化合物は環状エーテル系化合物から選ばれる。
【0081】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系はリチウム塩、エーテル系化合物、他の溶媒及び/または電解液、及び無機ナノ粒子を含み、上記エーテル系化合物は環状エーテル系化合物から選ばれる。
【0082】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系はリチウム塩、エーテル系化合物、及び添加剤を含み、上記エーテル系化合物は環状エーテル系化合物から選ばれる。
【0083】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系はリチウム塩、及びエーテル系化合物を含み、上記エーテル系化合物は直鎖エーテル系化合物から選ばれる。
【0084】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系はリチウム塩、エーテル系化合物、及び他の溶媒及び/または電解液を含み、上記エーテル系化合物は直鎖エーテル系化合物から選ばれる。
【0085】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系はリチウム塩、エーテル系化合物、及び無機ナノ粒子を含み、上記エーテル系化合物は直鎖エーテル系化合物から選ばれる。
【0086】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系はリチウム塩、エーテル系化合物、たの溶媒及び/または電解液、及び無機ナノ粒子を含み、上記エーテル系化合物は直鎖エーテル系化合物から選ばれる。
【0087】
「無機ナノ粒子」
本発明のうち、上記無機ナノ粒子は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化亜鉛、二酸化チタン、炭化ケイ素、ケイ酸塩、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、粘土、四酸化三鉄、酸化セリウム、ナノ炭素材料、酸化鉄などから選ばれる1種または多種である;このましくは、上記無機ナノ粒子は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる1種または多種である。
【0088】
「他の溶媒及び/または電解液」
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系には他の溶媒および/または電解液も含まれるが、上記他の溶媒および/または電解液は、リチウム・硫黄電池用の電解液、リチウム・硫黄電池電解液用の溶媒、リチウムイオン電池用の電解液、リチウムイオン電池電解液用の溶媒、リチウム・空気電池電解液またはその溶媒から選ばれる少なくとも一種を含む。
【0089】
本発明のうち、上記リチウム・空気電池用の電解液またはその溶媒は、エーテル系電解液およびその溶媒と、エステル系電解液およびその溶媒と、アミド系電解液およびその溶媒と、ニトリル系電解液およびその溶媒と、スルホン系電解液およびその溶媒と、を含む。
【0090】
本発明のうち、上記リチウムイオン電池用の電解液は、リチウムイオン電池用のリチウム塩を含むエステル系混合液から選ばれる。例えば、1M六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を含むエチレンカーボネート(EC)と炭酸ジメチル(DMC)との混合液であるが、そのうち、上記エチレンカーボネート(EC)と炭酸ジメチル(DMC)との体積比は1:1である。
【0091】
本発明のうち、上記リチウムイオン電池電解液用の溶媒は、リチウムイオン電池電解液用の環状非水有機溶媒及びリチウムイオン電池電解液用の鎖状非水有機溶媒から選ばれる少なくとも1種である。
【0092】
本発明のうち、上記リチウムイオン電池電解液用の環状非水有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(FEC)、γ-ブチロラクトン(GBL)、亜硫酸エチレン(ES)、亜硫酸プロピレン(PS)、スルホラン(SL)、炭酸グリセリル(GC)から選ばれる少なくとも1種である。
【0093】
本発明のうち、上記リチウムイオン電池電解液用の鎖状非水有機溶媒は、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸エチル(EP)、酪酸エチル(EB)、酪酸メチル(MB)、亜硫酸ジメチル(DMS)、亜硫酸ジエチル(DES)、亜硫酸メチルエチル(EMS)、ジメチルスルホン(MSM)、ジメチルスルホキシド(DMSO)から選ばれる少なくとも1種である。
【0094】
本発明のうち、上記リチウム・硫黄電池用の電解液は、リチウム塩を含むエーテル系混合液、例えば1Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を含む1,3- ジオキソラン(DOL)と、エチレングリコールジメチルエーテル(DME)との混合液から選ばれる。そのうち、上記1,3-ジオキソラン(DOL)とエチレングリコールジメチルエーテル(DME)との体積比は1:1である。
【0095】
本発明のうち、上記リチウム・硫黄電池電解液用の溶媒は、1,3-ジオキソラン、1,2-ジメトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、ポリエチレングリコールホウ酸、1,1 '、2,2'-テトラフルオロエチル-2,2'、3,3'-テトラフルオロプロピレンエーテルから選ばれる1種または多種である。
【0096】
本発明のうち、上記エステル系電解液はリチウム塩を含むエステル系混合液から選ばれる。例:1M六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の炭酸エチレン(EC)と炭酸ジメチル(DMC)との混合液から選ばれるが、そのうち、上記炭酸エチレン(EC)と炭酸ジメチル(DMC)との体積比は1:1である。
【0097】
本発明のうち、上記エステル系電解液の溶媒は、エステル系環式非水有機溶媒およびエステル系鎖状非水有機溶媒から選ばれる少なくとも1種である。
【0098】
本発明のうち、上記エステル系環式非水有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(FEC)、γ-ブチロラクトン(GBL)、亜硫酸エチレン(ES)、亜硫酸プロピレン(PS)、スルホラン(SL)、炭酸グリセリル(GC)から選ばれる少なくとも1種である。
【0099】
本発明のうち、上記エステル系鎖状非水有機溶媒は、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸エチル(EP)、酪酸エチル(EB)、酪酸メチル(MB)、亜硫酸ジメチル(DMS)、亜硫酸ジエチル(DES)、亜硫酸メチルエチル(EMS)から選ばれる少なくとも1種である。
【0100】
本発明のうち、上記エーテル系電解液は、リチウム塩を含むエーテル系混合液、例えば、1Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を含む1,3-ジオキソラン(DOL)とエチレングリコールジメチルエーテル(DME)との混合液から選ばれる。そのうち、上記1,3-ジオキソラン(DOL)とエチレングリコールジメチルエーテル(DME)との体積比は1:1である。
【0101】
本発明のうち、上記エーテル系電解液の溶媒は、1,3-ジオキソラン、1,2-ジメトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、フルオロ炭酸エチレン、ポリエチレングリコールホウ酸エステル、1,1’,2,2’-テトラフルオロエチル-2,2’,3,3’-テトラフルオロプロピレンエーテルから選ばれる1種または多種である。
【0102】
本発明で、上記アミド系電解液は、リチウム塩を含むアミド系混合液、例えば、1Mトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを含むN、N-ジメチルアセトアミド溶液から選ばれる。
【0103】
本発明のうち、上記アミド系電解液の溶媒は、アミド基を含む化合物から選ばれる。
【0104】
好ましくは、上記アミド系電解液の溶媒は、C1~C20のアルキルアミド、C1~C20のエナミドニトリル、C1~C20のアルキニルアミド、C1~C20のハロアルキルアミド、C1~C20のハロアルケニルアミド、C1~C20のハロアルキニルアミド、C7~C20のアリールアミド、C1~C20のエポキシアミドから選ばれる少なくとも一種である。
【0105】
好ましくは、上記アミド系電解液の溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ベンズアミド、ホルムアミド、アセトアミド、スクシンイミド、O-フタルイミド、N-メチル-p-トルエンスルホンアミド、N-メチルアセトアミド、3-アミノ-6-メチルベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリクロロアセトアミド、ベンジルエステルN-エチル-p-トルエンスルホンアミド、3-アミノ-2,2-ジメチルプロパンアミド、エルカミド、N-エチル-5-メチル-2-(1-メチルエチル) - シクロヘキサンカルボキサミド、4-メトキシベンズアミド、2,4-ジヒドロキシベンズアミド、N,N-ジエチル-2-クロロアセトアミド、N-ブチルベンゼンスルホンアミド、N-エチルアセトアミド、クロロアセトアミド、N-(2-クロロフェニル)アセトアミド塩酸、N,N'-エチレンビスステアラミド、バレラミド、2-ヒドロキシイソブチルアミド、エトキシアミド、安息香酸メチルシンナムアミド、L-(+)-樟脳カンファースルタム、マロンアミド、スルホンアミド、シクロプロパンスルホンアミド、2-エチルスルホニルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-スルホンアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、4-クロロチオベンズアミド、N,N'-ジメチルオキサミド、4-クロロチオベンズアミド、N,N'-ジメチルオキサミド、N-メトキシ-N-メチルアセトアミド、ベンズアミド、N-メチルカプロラクタム、(S)-(-)- tert-ブチルスルフィンアミド、3-アミノ-N-メチルベンズアミド、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、2,2-ジブロモ-2-シアノアセトアミド、N,N-ジエチルドデカアミド、アミノグアニジン、チオアセトアミドモノクロリド、2-シアノアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、2-ニトロベンゼンスルホンアミド、p-アミノベンズアミド、イソブチルアミド、カプロラクタム、2-カルボメトキシベンゼンスルホンアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、2,3-ジブロモプロピオンアミド、2-アミノ-5-メチルベンズアミド、(2R) - ボルナン-10,2-スルタム、3-アミノ-2-アゼパノンオクタデカンアミド、1,1-シクロヘキサン二酢酸モノアミド、シクロプロパンカルボキサミド、p-ニトロベンズアミド、4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド、2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホンアミド、3,5-ジヒドロキシベンズアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸-N-メチルスクシンイミド、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、N-ビニル-ε-カプロラクタム、2-ヨードアセトアミド、o-アミノベンゼンスルホンアミド、2,4-ジクロロ-5-スルファモイル安息香酸-N-フェニルマレイミド、N-エチルマレイミド、4-アミノ-6-クロロ-1,3-ベンゼンジスルホンアミドo-クロロベンゼンスルホンアミド、2-アミノ-N,N-ジメチルアセトアミド、2-アミノフェノール-5-(N、N-ジメチル)スルホンアミド、4-アミノ-3,5-ジニトロベンズアミド、4-アミノ-N-メチルベンズアミド、2-フェニルアセトアミド、N-(tert-ブトキシカルボニル)-p-トルエンスルホンアミド、4-フルオロベンズアミド、オキシム2-アミノプロパンジアミド、ビス(テトラメチレン)フルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート、N-ヒドロキシイソブチリミダミド、チオプロピオンアミド、エチルエステル1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、シンナムアミド、4-アミノ-N-メチルベンゼンメタンスルホンアミド、4-ブロモ-3-フルオロベンゼンスルホンアミド、2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド、2-ブロモベンゼンスルホンアミド、4-フルオロベンゼンスルホンアミド、4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミド、4-クロロベンゼンスルホンアミド、2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド、トリフルオロメタンスルホンアミド、N- [ビス(メチルチオ)メチレン] -p-トルエンスルホンアミド、4-クロロ-3-ニトロ-5-スルファモイル安息香酸、N-メチルジアセトアミドN-ベンジリデンベンゼンスルホンアミド、2-メトキシ-5-スルホンアミド、3,5-ジクロロベンゼンスルホンアミド、2-フルオロベンゼンスルホンアミド、4-ブロモ-2-クロロベンゼンスルホンアミド、5-クロロ-2-フルオロベンゼンスルホニル、アミネp-メトキシベンゼンスルホンアミド、4-クロロサリチル酸-5-スルホンアミド、2-アミノ-N-エチル-N-フェニルベンゼンスルホンアミド、2-ブロモ-4-フルオロベンゼンスルホンアミド、4‐フルオロ‐2‐メチル - ベンゼンスルホンアミド、2-シアノベンゼンスルホンアミド、4-(2-(5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)エチル)ベンゼンスルホンアミド、3,4-ジフルオロベンゼンスルホンアミド、DL-α-アミノ-ε-カプロラクタム、2,4,6-トリクロロベンゼンスルホンアミド、シクロプロパンスルホンアミド、4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、N-(4-アミノブチル)アセトアミドセラミド、N-[(1R)-2-(3-アミノスルホニル)-4-メトキシフェニル] -1-メチルエチル] - アセトアミド、N-ベンジル-N-ニトロソ-p-トルエンスルホンアミド、N-(2-アミノエチル)-4-メチル - ベンゼンスルホンアミド、(1R)-10-樟脳スルホンアミド、4-アミノ-6-(トリフルオロメチル)ベンゼン-1,3-ジスルホンアミド、2-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、3-フルオロ-4-メチル - ベンゼンスルホンアミド、2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、ナフタレン-2-スルホンアミド、(S)-(+)-p-トルエンスルフィンアミド、 (1R2,1R)- N,N’-1,2-シクロヘキサンジイルビス(1,1,1-トリフルオロ - メタンスルホンアミド)、N-(2-フルオロフェニル) - メタンスルホンアミド、(S)-N-(-)-p-トリルスルフィニルトリプタミン、N-アセチル-N-アセトキシ-4-クロロベンゼンスルホンアミド、2-(トリメチルシリル) - エタンスルホンアミド、N-(4-アミノフェニル)-4-メチル - ベンゼンスルホンアミド(R)-(-)-4-メチルベンゼンスルフィンアミド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、(R,R)-(+)-N,N’--ビス(α-メチルベンジル)スルファミド、(S)-(-)-N-[1-(ヒドロキシメチル)-2-フェニルエチル] -4-メチルベンゼンスルファミド、シクロプロパンカルボキサミド、2-クロロ-4-フルオロ-5-スルファモイル安息香酸P、P-ジフェニル-N-(フェニルメチレン)ホスフィン酸アミド、N-(4-クロロベンジリデン)-4-メチルベンゼンスルホンアミドから選ばれる少なくとも一種である。
【0106】
本発明のうち、上記ニトリル系電解液は、リチウム塩を含むニトリル系混合液、例ば、1M過塩酸リチウムを含むアセトニトリル溶液から選ばれる。
【0107】
本発明のうち、上記ニトリル系電解液の溶媒はニトリル基を含む化合物から選ばれる。
【0108】
好ましくは、上記ニトリル系電解液の溶媒は、C1~C20のアルキルニトリル、C1~C20アルケニルニトリル、C1~C20のアルキニルニトリル、C1~C20のハロアルキルニトリル、C1~C20のハロアルケニルニトリル、C1~C20のハロアルキニルニトリル、C7~C20のアリールニトリル、C1~C20のエポキシニトリルのうちから選ばれる少なくとも一種である。
【0109】
好ましくは、上記ニトリル系電解液の溶媒は、アセトニトリル、ブチルニトリルから選ばれる。
【0110】
本発明のうち、スルホン系電解液は、リチウム塩を含むスルホン系混合液、例えば、1M過塩素酸リチウムのジメチルスルホキシド(DMSO)溶液から選ばれる。
【0111】
本発明のうち、スルホン系電解液の溶媒は、スルホニルを含む化合物から選ばれる。
【0112】
好ましくは、上記ニトリル系電解液の溶媒は、C1~C20のアルキルスルホン、C1~C20アルケニルスルホン、C1~C20のアルキニルスルホン、C1~C20のハロアルキルスルホン、C1~C20のハロアルケニルスルホン、C1~C20のハロアルキニルスルホン、C7~C20のアリールスルホン、C1~C20のエポキシスルホンのうちから選ばれる少なくとも一種である。
【0113】
好ましくは、上記スルホン系電解液の溶媒は、スルホラン(SL)、ジメチルスルホキシドから選ばれる。
【0114】
「添加剤」
本発明のうち、上記添加剤は、ポリエステルまたはそのブレンドから選ばれる1種または多種である。其の内、上記ポリエステルは、多塩基酸または酸無水物と多価アルコールとの重縮合により得られる。そのうち、上記多塩基酸は、二塩基酸、三塩基酸またはその以上の多塩基酸から選ばれ、上記多価アルコールは、二価アルコール、三価アルコールまたはその以上の多価アルコールから選ばれる。
【0115】
本発明のうち、上記多塩基酸は、置換または無置換の以下の多塩基酸から選ばれる1種または2種または3種またはその以上の種である:シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、トリカルバリル酸である;上記置換基の個数は1個または複数個で良い。上記置換基が複数個である場合、それは環を形成して良い;上記置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル、アルデヒド、スルフヒドリル基、アルコキシ基などから選ばれる1種または多種である。
【0116】
本発明のうち、上記酸の無水物は、置換または無置換の以下の酸無水物から選ばれる1種または2種または3種またはその以上の種である:シュウ酸無水物、マロン酸無水物、コハク酸無水物、フマル酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、ピメリン酸無水物、スベリン酸無水物、セバシン酸無水物、アゼライン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物。上記置換基の個数は1個または複数個で良い。上記置換基が複数個である場合、それは環を形成して良い;上記置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル、アルデヒド、スルフヒドリル基、アルコキシ基などのうちの1種または多種である。
【0117】
本発明のうち、上記多価アルコールは、置換または無置換の以下の多価アルコールから選ばれる1種または多種である:プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デシレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールである;上記置換基の個数は1個または複数個で良い;上記置換基が複数個である場合、それは環を形成して良い;上記置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル、アルデヒド、スルフヒドリル基、アルコキシ基などから選ばれる1種または多種である。
【0118】
本発明のうち、上記多価アルコールは、ポリエチレングリコール、またはポリエチレングリコールと以下の多価アルコール中の1種または多種との組み合わせから選ばれる。即ち、前記の多価アルコールは、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デシレングリコールである。
【0119】
本発明のうち、上記ポリエチレングリコールの重合度は、100-1000であり、好ましくは150-800であり、より好ましくは200-600である。そのうち、上記ポリエチレングリコールと他の多価アルコールの重量比は1:(0~1)であり、好ましくは1:(0~0.9)であり、より好ましくは1:(0~0.8)である。
【0120】
「添加剤」
特に説明のない限り、本出願の明細書に記載の基団及び用語の定義は、それが実施例としての定義と、例示的な定義と、優先される定義と、表に記載した定義と、実施例中の具体的な化合物の定義などを含み、お互いに任意に組み合すことや結合することができる。このような組合及び結合したあとの基団の定義及び化合物の構造は、本出願の保護範囲内に属するものとする。
【0121】
本発明中の「ゲル」という用語は、当業界周知の意味を有し、「ゲル化」という用語も、当業界周知の意味を有する。
【0122】
本発明中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーとは、一定の条件下でゲルを形成し得るポリマーおよび/またはプレポリマーまたはゲル化可能なポリマーおよび/またはプレポリマーを指す。
【0123】
非限定的に、本発明記載のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリ酢酸エチル(PVAC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリジビニル硫黄(PVS)、ポリトリメチレンカーボネート(PTMC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDM)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMSO)またはそのプレポリマー、またはその共重合物、またはそのブレンド中から選ばれる一種または多種である。
【0124】
本出願の明細書に記載の数値の範囲は、当数値の範囲を「整数」と定義した場合、当範囲の二つの端点及び当範囲内の個々の整数であると理解すべきである。例えば、「0~10の整数」は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10という個々の整数を記載したことに理解されるべきである。当数値の範囲を「数」と定義した場合、当範囲の二つの端点、当範囲内の個々の整数、及び当範囲内の個々の小数を記載したことに理解すべきである。例えば、「0~10の数」は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10という個々の整数以外に、少なくとも其の内の個々の整数を各自に0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9と足し算した合計を記載したことに理解されるべきである。
【0125】
本発明で使用される「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0126】
本発明で単独使用または接尾辞または接頭辞として使用される「アルキル基」は、1~20個の炭素原子、好ましくは1-6個の炭素原子(またはもし炭素原子の具体数を提供した場合は、当該具体的な数を指す)を含む分岐鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基のことを指す。例えば、「C1-6アルキル」は、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖アルキル基を指す。アルキル基の実施例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基を含むがそれらに限定ではない。
【0127】
本発明で単独使用または接尾辞または接頭辞として使用される「ハロアルキル基」または「アルキル基ハロゲン化物」は、少なくとも1個のハロゲン置換基を有する共に1~20個の炭素原子、好ましくは1-6個の炭素原子(またはもし炭素原子の具体数を提供した場合は、当該具体的な数を指す)を含む分岐鎖および直鎖の飽和脂肪族炭化水素基のことを指す。例えば、「C1-10ハロアルキル」は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の炭素原子を有するハロアルキル基を表す。ハロアルキル基の実施例は、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロフルオロメチル基、1-フルオロエチル基、3-フルオロプロピル基、2-クロロプロピル基、3,4-ジフルオロブチル基等を含むがそれらに限定ではない。
【0128】
本発明で単独使用または接尾辞または接頭辞として使用される「アルケニル基」は、2~20個の炭素原子、好ましくは2-6個の炭素原子(またはもし炭素原子の具体数を提供した場合は、当該具体的な数を指す)を含むアルケニル基またはアルケンの分岐鎖および直鎖脂肪族炭化水素基のことを指す。例えば「C2-6アルケニル基」は、2、3、4、5または6個の炭素原子を含むアルケニル基を表す。アルケニル基の実施例は、ビニル基、プロペニル、1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル基ブタ-2-エニル基、3-メチル基ブタ-1-エニル基、1-ペンテニル基、3-ペンテニル基及び4-ヘキセニル基を含むがそられに限定ではない。
【0129】
本発明で単独使用または接尾辞または接頭辞として使用される「アルキニル基」は、2~20個の炭素原子、好ましくは2-6個の炭素原子(またはもし炭素原子の具体数を提供した場合は、当該具体的な数を指す)を含むアルキニル基またはアルキンの分岐鎖および直鎖脂肪族炭化水素基のことを指す。例えばアセトニル、プロピニル(例えばl-プロピニル、2-プロピニル)、3-ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、1-メチル-2-ペンチニル基がある。
【0130】
本発明で使われている「アリール基」という用語は、5-20個の炭素原子からなる芳香族環構造を指す。例:5、6、7、8個の炭素原子を含む芳香族環構造は、単環芳香族基、例えばフェニル基で良い;8、9、10、11、12、13または14個の炭素原子を含む環構造は多環、例えばナフチルであって良い。芳香環は、環の置換位置中の1個または多数の置換位置に上記置換基を有して良い。「アリール基」という用語は、2個またはより多くの環を有する多環環系を含んで良いものの、そのうち2個またはより多くの炭素は隣通しの環に共有される(上記環は縮合環である)し、そのうち少なくとも1個の環は芳香族である共に、他の環は例えばシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基および/または複素環であって良い。多環の実施例は、2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキサシクロヘキサジエン及び2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフランを含むがそれらに限定ではない。
【0131】
本発明で使われている「シクロアルキル基」という用語は、指定数の炭素原子を持つ飽和環基を含むことを指す。これらの用語は、縮合または架橋した多環系を含んで良い。シクロアルキル基は、その環構造の中で3~40個の炭素原子を有する。一つの実施方法の中で、シクロアルキル基は、その環構造の中で3、4、5または6個の炭素原子を有する。例えば「C3-6シクロアルキル基」は例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを表す。
【0132】
本発明で使われている「ヘテロアリール基」という用語は、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例:硫黄、酸素または窒素)を有する複素芳香族複素環をさす。ヘテロアリール基は単環系統及び多環系統(例:2、3または4個の縮合多環)を含む。ヘテロアリール基の実例はピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フラニル、キノリン基、イソキノリン基、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドール基、ピロリル、オキサゾール基、ベンズフラニル基、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾール基、ピラゾール、トリアゾール、テトラアゾール、インダゾール基、1,2,4-チアジアゾール、イソチアゾリル、ベンゾチオフェニル、プリニル、カルバゾル基、ベンジイミダゾリル、ベンゾオキサゾール基、アザベンゾオキサゾール基、イミダゾロチアゾリル、ベンゾ[1,4]-ジオキサシクロヘキセニル、ベンゾ[1,3]-ジオキサシクロペンテニルなどを含むがそれらに限定ではない。一部の実施案の中で、ヘテロアリール基は、3~40個の炭素原子を有し、なお、他の実施案の中では3~20個の炭素原子を有する。一部の実施案の中で、ヘテロアリール基は、3~14個、4~14個、3~7個または5~6個の環状原子を含む。一部の実施案の中で、ヘテロアリール基は、1~4個、1~3個または1~2個のヘテロ原子を有する。一部の実施案の中で、ヘテロアリール基は、1個のヘテロ原子を有する。
【0133】
特に説明のない限り、本発明で使われている「複素環基」という用語は、3~20個の原子を含む飽和、不飽和または部分的に飽和した単環式、二環式環または三環式環を指し、其の内1、2、3、4または5個の環原子は、窒素、硫黄または酸素から選ばれ、特に説明のない限り、それは炭素または窒素を介して繋がって良いものの、其の内-CH2-基は任意に-C(O)-で置換される;及び其の内、特に説明のない限り、環窒素原子または環硫黄原子は、任意に酸化されN-酸化物またはS-酸化物を形成するか、または環窒素原子が任意に四級アンモニウム化される;其の内環の中の-NHは、任意にアセチル、ホルミル、メチル基、メタンスルホニルで置換される;及び環は任意に1個または複数のハロゲンで置換される。理解すべきなことは、複素環基中のS原子及びO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接しない。もし上記複素環基が二環式または三環式である場合、少なくとも任意の1つの環は複素芳香族環または芳香族環であるが、条件としては少なくとも1つの環は非芳香族環である。もし上記複素環基が単環式である場合、それは必ず芳香族ではない。複素環基の実例はピペリジル、N-アセチルピペリジル、N-メチルピペリジル、N-ホルミルピペラジニル、N-メタンスルホニルピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタン基、モルホリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロインドール基、テトラヒドロピラニル、ジヒドロ-2H-ピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラン-1-酸化物、テトラヒドロチオピラン-1,1-二酸化物、1H-ピリジン-2-トン及び2,5-ジオキソイミダゾリジニルを含むがそれらに限定ではない。
以下、具体的な実施例を持って、本発明をさらに詳しく説明する。理解すべきなことは、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を説明するだけを目指している。そして理解すべきなことは、本発明記載の内容を閲覧したあと、当業者は本発明に対して様々な変更や修正をすることができるが、これらの等価形式は同じよう本発明の限定範囲内とする。
「製造例1」
「固体電解質薄膜の製造」
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI):ポリエチレンオキシド(PEO):テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME):ベンゾフェノン(MBP)=10:41.3:41.2:7.5の割合で研磨混合してから、ポリテトラフルオロエチレン板の表面に均一に塗布することで薄膜が得られる。この薄膜を紫外線照射にて架橋重合させると固体電解質薄膜が得られる。当該薄膜の室温での導電率は約10-3S/cmである。上記固体電解質薄膜の具体的な製造方法はLuca Porcarelli et al. Super Soft All-Ethylene Oxide Polymer Electrolyte for Safe All-Solid Lithium Batteries. Scientific Reports,2016,6,1-14.の記載を参考する。
【実施例1】
【0134】
(1)ゲル化可能な体系の製造
1.2gのイミドジスルフリルフルオリドリチウム固体を秤量しフラスコ内に入れ、1.5mLの慣用のリチウム電池の電解液(1mol/L のLiPF6を含む炭酸ジメチル(DMC)と炭酸エチレン(EC)との混合液であり、上記炭酸ジメチル(DMC)と炭酸エチレン(EC)との体積比は1:1)を添加する。磁気力撹拌下でリチウム塩を完全溶解させてから、5.5 mLのテトラヒドロピランを上記混合溶液中に添加して、十分混合してから静置しておく。
【0135】
(2)電池材料の製造及び電池の組み立て
リチウムイオン電池の正極:コバルト酸リチウムを、導電性石墨と、導電剤アセチレンブラック(super p)と、粘着剤ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、85:5:5:5の質量比で均一に混合し、N-メチル-ピロリジノン(NMP)により当該混合物をスラリーに調製してから、アルミホイル上に均一に塗布し、120℃の真空オーブンで24時間乾燥し、用意して置く。リチウムイオン電池の負極:リチウム板。正極板および負極板を各自上記のように製造した、固体電解質に固化しない電解液溶液中に浸潤させ、固体電解質を形成する前に、浸潤させた正極板および負極板を取り出す。
【0136】
セパレーター:ポリプロピレン(PP)多孔質性膜;セパレーターを、電解液で浸潤した正極と負極との間に配置させ、さらに、電池内部に上記固体電解質に固化しない電解液を注入し、電池を圧制し、パッキングし、電解液が固体電解質に形成されるまで静置してから、ブルーバッテリーパックにて電池の電気化学的性能を測定した。
【0137】
造られた上記固体電解質および電池の性能パラメータを表1で示す。
【実施例2】
【0138】
(1)ゲル化可能な体系の製造
0.75gのクロロアルミン酸リチウムと、0.1gのリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、を計量し試薬瓶に入れる。さらに1.2mLのトリエチレングリコールジメチルエーテルを加え、磁気力撹拌下でクロロアルミン酸リチウムとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとを完全溶解させ、2.5mLのテトラヒドロピランと1.2 mLの1,3-ジオキソランとを加えてから十分混合した後に、静置して置く。
【0139】
(2)電池材料の製造及び電池の組立
リチウム・硫黄電池の正極:炭素硫黄複合材料と、導電剤アセチレンブラック(super p)と、粘着剤ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、8:1:1の質量比で均一に混合し、N-メチル-ピロリジノン(NMP)により当該混合物をスラリーに調製してから、アルミホイル上に均一に塗布し、60℃の真空オーブンで24時間乾燥して、用意し置く。
【0140】
リチウムイオン電池の負極:負極活性物質導電性石墨90.5部、アセチレンブラック6部、ヒドロキシメチルセルロース1部、ブチルベンゼンゴム系粘着剤2.5部を、エタノール-水混合溶液にて十分混合させることで負極用スラリーを得る。当該スラリーを銅ホイル上に塗布してから、60℃の真空オーブンで24時間乾燥して、用意し置く。
【0141】
上記で得られた正極板および負極板を、各自上記で製造した固体電解質に固化しない電解液溶液中に浸潤させるが、その固体電解質に形成される前に、浸潤後の正極板および負極板を取り出す。
【実施例3】
【0142】
正極・負極及び固体電解質の製造方法は実施例1と同じであり、正・負極板を、同じく実施例1の固体電解質形成前の電解液で浸潤させるが、その相違点は、ポリプロピレン製セパレーターを、上記製造例1で製造した固体電解質薄膜に代替し、上記固体電解質形成前の電解液も電池内部に注入しないままに電池のパッキングをする。静置及び電池の測定などの手順は実施例1と同じであり、電池の性能パラメータは表1で示す。
【実施例4】
【0143】
正極・負極及び固体電解質の製造方法は実施例2と同じであり、正・負極板を、同じく実施例2の固体電解質形成前の電解液で浸潤させるが、その相違点は、ポリプロピレン製セパレーターを、上記製造例1で製造した固体電解質薄膜に代替し、上記固体電解質形成前の電解液も電池内部に注入しないままに電池のパッキングをする。静置及び電池の測定などの手順は実施例1と同じであり、電池の性能パラメータは表1で示す。
【実施例5】
【0144】
正極・負極及び固体電解質の合成方法は実施例3と同じであり、その相違点は、正・負極板を、固体電解質に凝固される前の電解液に浸潤させず、ポリプロピレン製セパレーターを上記製造例1で製造した固体電解質薄膜に代替し、上記固体電解質形成前の電解液は、電池内部に注入しないままに電池を組み立てる。静置及び電池の測定などの手順は実施例3と同じであり、電池の性能パラメータは表1で示す。
【実施例6】
【0145】
正極・負極及び固体電解質の合成方法は実施例4と同じであり、その相違点は、正・負極板を、固体電解質に凝固される前の電解液に浸潤させず、ポリプロピレン製セパレーターを上記製造例1で製造した固体電解質薄膜に代替し、上記固体電解質形成前の電解液は、電池内部に注入しないままに電池を組み立てる。静置及び電池の測定などの手順は実施例3と同じであり、電池の性能パラメータは表1で示す。
【実施例7】
【0146】
(1)ゲル化可能な体系の製造
0.05gの酸化アルミニウムを計量し試薬瓶に入れ、そして4.5mLの3,3-ビス(クロロメチル)オキセタンを加え、磁気力撹拌下で十分均一に混合することで混合液Aが得られる。0.4gのイミドジスルフリルフルオリドリチウムと、0.6gの過塩酸リチウムと、を別当計量しフラスコに入れ、さらに1.2mLのリチウム - 硫黄電池慣用の電解液を加え、リチウム塩が完全溶解するまで攪拌することで混合液Bが得られる。上記得られたAとBとを十分混合することで混合液が得られるが、十分混合してから静置して置く。
【0147】
(2)電池材料の製造及び電池の組立
リチウムイオン電池の正極:リン酸鉄リチウムと、導電性石墨と、導電剤アセチレンブラック(super p)と、粘着剤ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、85:5:5:5の質量比で均一に混合し、N-メチル-ピロリジノン(NMP)にて当混合物をスラリーに調製してから、アルミホイル上に均一に塗布し、120℃の真空オーブンで24時間乾燥し、用意して置く。リチウムイオン電池の負極:リチウム板。
【0148】
正極・負極板を、各自上記で製造した固体電解質に凝固しない電解液溶液中に浸潤させるが、その固体電解質に形成される前に、浸潤後の正極板と負極板とを取り出す。
【0149】
ブレード塗布にて上記のゲル化可能な体系をガラス板上に塗布してから静置する。固体電解質膜に重合された後、ブレードで剥がし取り、上記で得られた正極・負極の間に設置してから、電池の圧制・パッキングを行う。電解液が固体電解質に形成されるまで静置し、ブルーバッテリーパックにて電池の電気化学的性能を測定する。
【0150】
得られた上記固体電解質及び電池の性能パラメータは表1で示す。
【実施例8】
【0151】
(1)ポリエステルの合成
15.0gのグルタル酸と、10.0gのフマル酸と、20.0gのポリエチレングリコール-400と、10.0gの1,4-ブタンジオールと、を計量し3フラスコに入れ、油浴加熱で140℃まで昇温し、この温度で1.5h維持してから、20分おきに20℃ずつ昇温させるが、220℃まで昇温してから、この温度で2時間維持したあと、0.2gの触媒テトラブチルチタネートおよび0.2gの重合抑制剤p-ヒドロキシフェノールを加えて50min間反応させ、1時間真空処理してから冷却させることで粗製品が得られる。トリクロロメタン50.0mLを加え、室温で24時間撹拌してから、エタノール中で沈殿させ、生成物を60℃の真空オーブンで24時間乾燥させ、得られたポリエステルDをグローブボックス内で保存する。
【0152】
(2)ゲル化可能な体系及び固体電解質の調製
1.0mLのポリエステルDと4.67mLのテトラヒドロフランとを秤量し、攪拌しそれらを混合することで、透明な液体が得られるが、均一に混合されたら1.0gのイミドジスルフリルフルオリドリチウムを加えて1時間攪拌し、イミドジスルフリルフルオリドリチウムが上記混合溶液中に完全溶解されたら、ゲル化可能な体系が得られる;引き続き2時間撹拌してから静置しておく。
【0153】
(3)電池材料の製造および電池の組み立て
リチウムイオン電池の正極:リン酸鉄リチウムと、導電性石墨と、導電剤アセチレンブラック(スーパーp)と、上記ステップ(2)で製造したゲル化可能な体系とを質量比85:5:5:5で均一に混合する。N-メチル-ピロリジノン(NMP)にて当該混合物をスラリーに調製し、アルミホイル上に均一に塗布し、120℃の真空オーブンで24時間乾燥して、用意しておく。リチウムイオン電池の負極:リチウム板。セパレーター:ポリプロピレン(PP)多孔質膜。
セパレーターを、電解液を浸潤した正極・負極の間に設置してから、上記固体電解質形成前の電解液を電池内部に注入しないままに電池の圧制・パッキングを行う。電解液が固体電解質に形成されるまで静置してから、ブルーバッテリーパックにて電池の電気化学的性能を測定する。
【0154】
得られた上記固体電解質及び電池の性能パラメータは表1で示す。
【実施例9】
【0155】
(1)ゲル化可能な体系の製造
0.4 gのテトラフルオロホウ酸リチウムを秤量し試薬ボトルに入れ、さらに2.0mLの炭酸ジメチルと炭酸エチレンとの混合液を加え、リチウム塩が完全溶解するまで攪拌し、1.0 mLのテトラヒドロフランを上記リチウム塩溶液中に添加し、十分攪拌混合した後、ゲル化可能な体系が得られる。静置しておく。
【0156】
(2)電池材料の製造および電池の組み立て
リチウムイオン電池の正極:リン酸鉄リチウムと、導電性石墨と、導電剤アセチレンブラック(スーパーp)と、粘着剤ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを質量比85:5:5:5で均一に混合する。N-メチル-ピロリジノン(NMP)にて当該混合物をスラリーに調製し、アルミホイル上に均一に塗布し、120℃の真空オーブンで24時間乾燥して、用意しておく。リチウムイオン電池の負極:リチウム板。セパレーター:ポリプロピレン(PP)多孔質膜。
上記正極と負極との間にセパレーターを設置した後、上記の準固体電解質の前駆体電解液を電池の内部に注入し、電池を圧制し、パッキングし、電解液が準固体電解質に形成されるまで静置してから、ブルーバッテリーパックにて電池の電気化学的性能を測定する。
【0157】
得られた上記準固体電解質及び電池の性能パラメータは表1で示す。
【実施例10】
【0158】
(1)ゲル化可能な体系の製造
0.2gの酸化亜鉛を秤量し試薬ボトルに入れ、さらに6.0mL の1,3-ジオキソランと3.0 mLのテトラヒドロピランとを添加し、磁力撹拌下でそれらを十分均一に溶解することで、混合液Aが得られる。0.5gのトリフルオロメタンスルホン酸リチウムと1.5gの6フッ化ヒ素酸リチウムとを、別途秤量し試薬ボトルに入れ、さらに2.4mLの炭酸ジメチルを添加し、リチウム塩が完全溶解するまで攪拌することで、混合液Bが得られる。上記で得られた溶液Aと溶液Bとを十分混合して、混合液が得られるが、ゲル化可能な体系である。静置しておく。
【0159】
(2)固体電解質膜の製造
ステップ(1)中のゲル化可能な体系を、清潔なガラス板上にブレード塗布し、固化するまで静置したあと、ナイフで軽く剥がし取り、用意しておく。
【0160】
(3)電池材料の製造及び電池の組み立て
リチウムイオン電池の正極:リン酸鉄リチウムと、導電性石墨と、導電剤アセチレンブラック(スーパーp)と、上記ステップ(1)で製造したゲル化可能な体系とを質量比85:5:5:5で均一に混合する。当混合物をスラリーにしアルミホイル上に均一に塗布し、60℃の真空オーブンで24時間乾燥して、用意しておく。リチウムイオン電池の負極:リチウム板。
【0161】
固体電解質膜を上記のゲル化可能な体系を含む正極と負極との間に設置してから、電池を圧制し、パッキングし、電解液が固体電解質に形成されるまで静置してから、ブルーバッテリーパックにて電池の電気化学的性能を測定する。
【0162】
得られた上記準固体電解質及び電池の性能パラメータは表1で示す。
【実施例11】
【0163】
(1)ゲル化可能な体系の製造
0.2gのテトラフルオロホウ酸リチウムと、0.2gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、0.4gのリチウムビス(シュウ酸塩)ホウ酸塩固体とを秤量し試薬ボトルに入れ、さらに2.0mLの1,4-エポキシシクロヘキサンと8.0 mLテトラヒドロフランとを添加し、磁力撹拌下でリチウム塩含量が8wt%のテトラフルオロホウ酸リチウム+リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド+リチウムビス(シュウ酸塩)ホウ酸塩/1,4-エポキシシクロヘキサン+テトラヒドロフラン溶液を製造することで、ゲル化可能な体系が得られる。リチウム塩が完全溶解するまで撹拌し続けてから、静置しておく。
【0164】
(2)電池材料の製造及び電池の組み立て
リチウムイオン電池の正極:リン酸鉄リチウムと、導電性石墨と、導電剤アセチレンブラック(スーパーp)と、上記ステップ(1)で製造したゲル化可能な体系とを質量比85:5:5:5で均一に混合する。当該混合物をスラリーにしアルミホイル上に均一に塗布し、60℃の真空オーブンで24時間乾燥して、用意しておく。リチウムイオン電池の負極:リチウム板。セパレーター:ポリプロピレン(PP)多孔質膜。
【0165】
セパレーターを上記のゲル化可能な体系を含む正極・負極の間に設置してから、ステップ(1)で製造したゲル化可能な体系を注入し、電池を圧制し、パッキングする。電解液が半固体電解質に形成されるまで静置してから、ブルーバッテリーパックにて電池の電気化学的性能を測定する。得られた上記準固体電解質及び電池の性能パラメータは表1で示す。
【0166】
【表1】
図1は、実施例2の組み立て方式で得られた電池のレート性能図である。図から分かるように、浸透後の正・負極板は、セパレーターがある場合、一定量の固体電解質になる前の電解液を補充したあと、より良いレート性能を見せた。
【0167】
図2は、実施例4の組み立て方式で得られた電池のレート性能図である。図から分かるように、浸透後の正・負極板を、固体電解質で隔離した場合、当該電池はより良いレート性能を見せた。
【0168】
図3は、実施例6の組み立て方式で得られた電池のレート性能図である。図から分かるように、正・負極板を浸潤せず、固体電解質膜のみで単純隔離の共に表面導電体の役割を働かせた場合、そのレート性能は落ちてきた。
【0169】
図4は、実施例7の組み立て方式で得られた電池のレート性能図である。図から分かるように、正・負極板をゲル化体系で浸潤させ、電池内部でイオン導電ネットワークを形成し、固体電解質によりセパレータを代替し、固体電池を形成する。良いレート性能を持ち、10℃でも良い性能を見せている。
【0170】
図5は、実施例8の組み立て方式で得られた電池のレート性能図である。図から分かるように、正極板を製造する中で、ゲル化可能な体系で従来の粘着剤を代替することで、活性物質の面密度を高める共に、電極の内部で良いイオン導電ネットワークが形成され、電池は優れたレート性能を表した。
【0171】
表1から分かるように、浸潤してない正・負極で組み立てた電池と比較して、固体電解質になる前の溶液で浸潤した正・負極で組み立てた電池は、優れたレート性能を示した。ということは、浸潤をへた正・負極内部には導電ネットワークが形成されため、電子及びイオンの輸送力が向上され、大きい倍率の充放電に耐えられるが、浸潤してない正・負極内部には導電ネットワークが形成されず、その電気化学性能は電極と固体電解質が接触する部分だけで電子及びイオン輸送が行われるため、そのレート性能は落ちてくる。
【0172】
以上、本発明の実施方法に対して説明した。ただし、本発明は上記実施方法に限定されるものではない。本発明の精神および原則を基盤としたあらゆる修正、同等の置換、改善などは、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとされる。

図1
図2
図3
図4
図5