IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 江▲蘇▼▲亞▼虹医▲薬▼科技股▲フン▼有限公司の特許一覧

特許7166021癌の処置のためのドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)阻害剤およびセロトニン受容体(5-HT)アンタゴニストの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】癌の処置のためのドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)阻害剤およびセロトニン受容体(5-HT)アンタゴニストの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/417 20060101AFI20221028BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALI20221028BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221028BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
A61K31/417
A61K31/4178
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021026242
(22)【出願日】2021-02-22
(62)【分割の表示】P 2019503980の分割
【原出願日】2017-07-27
(65)【公開番号】P2021088587
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】62/367,728
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521129576
【氏名又は名称】江▲蘇▼▲亞▼虹医▲薬▼科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU YAHONG MEDITECH CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】D-1009,New Drug Innovation Base,No.1,Yaocheng Avenue,CMC,Taizhou,Jiangsu 225316,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】パン ケ
(72)【発明者】
【氏名】リー チャン
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-512269(JP,A)
【文献】国際公開第2001/060349(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/417
A61K 31/4178
A61P 35/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする被検体において、癌の処置に使用される医薬組成物であって、
ネピカスタットおよびエタミカスタットからなる群から選択される治療有効量のドーパミン β-ヒドロキシラーゼ(DBH)阻害剤またはその薬学的に許容される塩と、ならびに、薬学的に許容されるキャリアを含み、前記DBH阻害剤がネピカスタットまたはその薬学的に許容される塩である場合、前記癌は結腸癌、乳癌および肝癌からなる群から選択され、前記DBH阻害剤がエタミカスタットまたはその薬学的に許容される塩である場合、前記癌は肝癌である、医薬組成物。
【請求項2】
前記DBH阻害剤が、ネピカスタットまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記DBH阻害剤が、エタミカスタットまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記処置が、化学療法薬、標的治療薬および免疫療法薬からなる群から選択される、少なくとも1種の追加の抗癌薬と組み合わせて行われる、請求項2または請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記処置が、手術、遺伝子治療、放射線治療および寒冷療法からなる群から選択される、少なくとも1つの追加の癌治療と組み合わせて行われる、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
がんを治療するための医薬の製造のための、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項7】
がんの処置に使用される医薬組成物であって、
(a)ネピカスタットおよびエタミカスタットまたはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される治療有効量の化合物、ならびに、薬学的に許容されるキャリアを含む第1の組成物と
(b)化学療法薬、標的治療薬および免疫療法薬からなる群から選択される治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌薬、
を含み、
前記治療有効量の前記少なくとも1種の追加の抗癌薬は、前記第1の組成物中または前記第1の組成物と組み合わされて投与される第2の組成物中に存在前記第1の組成物がネピカスタットまたはその薬学的に許容される塩を含む場合、前記がんは結腸癌、乳癌および肝癌からなる群から選択され、前記第1の組成物がエタミカスタットまたはその薬学的に許容される塩を含む場合、前記がんは肝癌である、医薬組成物。
【請求項8】
がんを治療するための医薬の製造のための、請求項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
前記被検体が、ヒトである、請求項に記載の使用。
【請求項10】
ネピカスタットまたはその薬学的に許容される塩が、約20mg/日~2.5g/日の用量で投与される、請求項6、8およびのいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
ネピカスタットまたはその薬学的に許容される塩が、40mg/日~1.0g/日の用量で投与される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
ネピカスタットまたはその薬学的に許容される塩が、80mg/日~500mg/日の用量で投与される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
エタミカスタットまたはその薬学的に許容される塩が、約40mg/日~4.0g/日の用量で投与される、請求項6、8およびのいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
エタミカスタットまたはその薬学的に許容される塩が、80mg/日~2.0g/日の用量で投与される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
エタミカスタットまたはその薬学的に許容される塩が、160mg/日~1.0g/日の用量で投与される、請求項13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)に従い、その開示内容の全体を本明細書に援用する2016年7月28日に出願された米国仮特許出願第62/367,728号明細書に基づく優先権を有する。
【0002】
本発明は、癌の処置のためのドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)阻害剤およびセロトニン受容体2A(5-HT2A)アンタゴニストの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)
ドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)は、ドーパミンβ-モノオキシゲナーゼとも呼ばれ、ヒトではDBH遺伝子によりコードされる酵素(EC1.14.17.1)である。ドーパミンβ-ヒドロキシラーゼは、下記スキーム1に示すように、ドーパミンが酸素によりノルエピネフリンに酸化される化学反応を触媒する。
スキーム1:DBHにより触媒されるドーパミンのノルエピネフリンへの酸化
【化1】
DBHは、同一の4つのサブユニットからなる290kDaの銅含有オキシゲナーゼであり、その活性には、補助因子としてアスコルベートが必要である[1]。
【0004】
DBHは、小分子膜結合神経伝達物質(small-molecule membrane-bound neurotransmitters)の合成に関与する唯一の酵素であり、小胞内で合成される唯一の伝達物質ノルエピネフリンを作る。ノルエピネフリンは、中枢および末梢神経系のノルアドレナリン作動性神経終末のほか、副腎髄質のクロム親和性細胞に発現する。
【0005】
DBHは主に、微量アミンと、エピネフリン(アドレナリン)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)およびドーパミンを含むカテコールアミンとの生合成に寄与する。DBHはさらに、これらの物質に関連する生体異物の代謝にも関わっている。たとえば、ヒトDBH酵素は、アンフェタミンおよびパラ-ヒドロキシ-アンフェタミンのβ-ヒドロキシル化を触媒し、それぞれノルエフェドリンおよびパラ-ヒドロキシノルエフェドリンを生成する[2~4]。
【0006】
DBHは、意志決定および依存性薬物(たとえば、アルコール依存症[5]および喫煙[6])、注意欠陥多動性障害[7]、統合失調症[8]およびアルツハイマー病[9]に関連する状態における関連因子(correlating factor)として関与している。DBHが不十分であると、ドーパミンβヒドロキシラーゼ欠損症と呼ばれる。
【0007】
DBHは、ジスルフィラム[10]、トロポロン[11]により阻害され、ネピカスタット[12]およびエタミカスタット[13]により最も選択的に阻害される。
ジスルフィラムは、1920年代に発見された薬剤であり、そして、酵素アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害して、エタノール(アルコール)に対する急性感受性を惹起し、アルコールを消費した直後に「二日酔い」の影響の多くを感じさせることにより、慢性アルコール症の処置を補助するのに使用される。
DBH阻害剤としてのジスルフィラムは、放出がコカインにより刺激される神経伝達物質ドーパミンの分解を防ぐため、コカイン依存症の処置薬としても研究されている。ドーパミンの過剰により、不安、血圧上昇、落ち着きのなさおよび他の不快な症状が増加する。ジスルフィラムはまた、金属と錯体(たとえば、ジチオ-カルバメート錯体)を形成することで機能するプロテアソーム阻害剤[14]でもあり、プロテアソーム阻害の新規なアプローチを代表する[15]。
【0008】
癌成長の阻害におけるジスルフィラムの前臨床結果が有望であったにもかかわらず、いくつかの臨床試験では、まちまちの結果が示されたことから、ジスルフィラムは、癌患者の処置における使用が限定されることが示唆された。たとえば、非転移性再発前立腺癌の男性にジスルフィラムを単独投与した第I相試験の1つでは[16]、治験責任医師は、毒性と臨床効果がまったくないこととから、この集団においてジスルフィラムのさらなる開発を進めるべきでないと結論した。
ジスルフィラムとテモゾロミドとの組み合わせを用いた化学放射線療法後に、新たに診断された膠芽細胞腫を処置するための別の第I相試験では[17]、500mgのジスルフィラムによる無増悪生存期間(progression-free survival)(PFS)の中央値は、5.4ヶ月であった。これは、以前の化学放射線療法で得られた8.1ヶ月と比較して短い。
PFSの有意な改善が見られないのは、ジスルフィラムの作用機序と考えられる患者におけるプロテアソーム阻害が限定的であることで説明がつく可能性がある。
【0009】
シスプラチンおよびビノレルビンなどの化学療法にジスルフィラムを加えると、患者40名の第II相試験において、新たに診断された非小細胞肺癌の患者の生存期間が延長したようであった[18]。
しかしながら、ジスルフィラムとシスプラチンの作用をシスプラチン単独の作用と比較する、患者53名の別の第II相試験では[19]、2群間の、奏効率、無憎悪期間または生存期間中央値に、統計学的に有意な差はなかった。
既報の報告に反して、ジスルフィラムは、シスプラチンに対して有意な腎保護を与えることなく、そして、実際には、胃腸毒性および聴器毒性を高める。
抗癌活性が報告されたトロポロンなどの他の細胞毒性DBH阻害剤[20]も存在するが、癌成長を直接阻害する際のそれらの作用機序は、それらのDBHに対する作用と無関係のようである。
たとえば、トロポロンおよびその誘導体は、ヒストンデアセチラーゼ2(HDAC2)に対して著しいレベルの選択性を示し、T細胞リンパ球細胞株の成長を強力に阻害した[21]。
【0010】
セロトニン受容体2A(5-HT 2A 受容体)
哺乳動物の5-HT2A受容体は、3種の5-HT2受容体A、BおよびCのサブタイプであり、セロトニン受容体ファミリーに属し、そして、Gタンパク質共役受容体(G protein-coupled receptor)(GPCR)である[22]。
これは、セロトニン(5-HT)のGPCRの中で主要な興奮受容体サブタイプであるが、5-HT2Aはさらに、視覚野および眼窩前頭皮質などの特定の領域に対して[24]阻害作用を有することもある[23]。
この受容体は、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)などのセロトニン作動性幻覚剤の標的としてとしてのその重要性で最初に知られた。その後、5-HT2A受容体は、多くの抗精神病薬、特に非定型の抗精神病薬の作用を少なくとも部分的に媒介することも分かったため、再び注目された。
【0011】
5-HT2Aは、中枢神経系(CNS)全体に広く発現する。
5-HT2Aは、新皮質(主に前頭前皮質、頭頂皮質および体性感覚皮質)および嗅結節を含む、セロトニン作動性終末に富んだ大部分の領域付近に発現する。特に皮質V層の錐体細胞の尖端樹状突起上で高濃度のこの受容体は、グルタミン酸放出を、続いて5-HT1A受容体[27]、GABAA受容体[28]、アデノシンA1受容体[29]、AMPA受容体[30]、mGluR2/3受容体[31]、mGlu5受容体[32]およびOX2受容体[33、34]との複雑な一連の相互作用を増強することにより、認知プロセス、作業記憶および注意力[24~26]を調節し得る。
末梢では、5-HT2Aは、循環器系の血小板および多くの細胞種、線維芽細胞ならびに末梢神経系のニューロンに高度に発現する。加えて、5-HT2A mRNA発現は、ヒト単球でも観察されている[35]。
【0012】
5-HT2A受容体は、主にGαqシグナル伝達経路と結びついていることで知られている。アゴニストによる受容体刺激時、Gαqサブユニットおよびβ-γサブユニットが解離して、下流のエフェクター経路を開始させる。
Gαqは、ホスホリパーゼC(PLC)活性を刺激し、これが、その後、ジアシルグリセロール(DAG)およびイノシトール三リン酸(IP3)の遊離を促進し、それが引いては、プロテインキナーゼC(PKC)活性およびCa2+放出を刺激する[36]。
この受容体のアゴニスト刺激により惹起される、PLA2活性を介したアラキドン酸の形成、ホスホリパーゼDの活性化、Rho/RhoキナーゼおよびERK経路活性化を含む、多くの追加のシグナルカスケード構成要素が存在する。
【0013】
5-HT2A受容体により仲介される生理的学プロセスは、下記を含む。
CNS:神経興奮、行動に対する作用、学習、不安;
- 平滑筋:収縮(胃腸管および気管支の);
- 血管収縮/血管拡張;
- 血小板:凝集
- 記憶[26、37、38]
【0014】
1-(2,5-ジメトキシ-4-ヨードフェニル)-2-アミノプロパン(DOI)による5-HT2A受容体の活性化は、心血管組織および腸組織を含むいくつかの組織において強力な抗炎症作用を起こす。
LSDなどの他の5-HT2Aアゴニストも、TNF-αによる炎症に対して強力な抗炎症作用を有する[39、40]。
視床下部の5-HT2A受容体の活性化は、オキシトシン、プロラクチン、ACTH、コルチコステロンおよびレニンのホルモンレベルの増加を引き起こす[41、42]。
【0015】
ネピカスタットおよびエタミカスタットは、高度に選択的なDBH阻害剤である。ネピカスタットは、SYN117およびRS-25560-197とも呼ばれ、鬱血性心不全の候補処置薬として研究されてきており、そうしたものとして忍用性は良好のようである[43]。ネピカスタット、およびエタミカスタットなどのそのアナログは共に、高血圧の処置に使用できる可能性を有する。さらに外傷後ストレス障害(PTSD)およびコカイン依存症の処置薬としてのネピカスタットを評価するための臨床試験も終了している。ネピカスタットはコカインと併用投与する場合、安全でありかつその正の主の効果(subjective effects)を抑制し得ることから、コカイン使用障害の処置のための薬物療法剤として提案される[44]。脳血液関門通過のレベルがより低いエタミカスタット(BIA 5-453)は、高血圧自然発症ラットの脳組織において作用を有さずに、末梢交感神経支配組織におけるノルエピネフリンレベルを低下させるドーパミン-β-ヒドロキシラーゼ阻害剤である[45]。第II相臨床試験では、エタミカスタットは、処置の10日後に用量依存的性に収縮期および拡張期血圧を低下させることが観察された[46]。
【0016】
アンペロジドは、5-HT2A受容体でアンタゴニストとして作用するジフェニルブチル-ピペラジンクラスの非定型抗精神病剤である[47]。
アンペロジドは、大部分の抗精神病薬と同様にドーパミン受容体をブロックしない[48]が、ドーパミン放出を阻害し[49、50]、ドーパミン作動性ニューロンの発火パターンを変更させる[51]。アンペロジドは、ヒトの統合失調症の処置について調査された[52]が、臨床的に採用されなかった。
むしろ、その主な用途は獣医学、主に集約養豚であり、攻撃性およびストレスを低下させることで、摂食および生産性を増加させるのに適する[53~56]。
【0017】
本発明者らの知る限り、ネピカスタット、エミカスタットおよびアンペロジドの抗癌活性は、インビトロかインビボかを問わず、報告されたことがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
効果的な処置を実現しながら細胞毒性または他の副作用を低下させた、癌を処置する改良された方法が、当該技術分野において求められている。本発明は、細胞毒性を示さないセロトニン受容体(5-HT)アンタゴニストおよび細胞毒性を示さないドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)阻害剤、特にネピカスタット、エミカスタットおよびアンペロジドならびにそれらのアナログおよび薬学的に許容される塩が、抗癌活性を有しており、単独であるいは1種もしくは複数種の追加の抗癌治療剤および/または抗癌薬、たとえば化学療法薬、標的治療薬もしくは免疫療法薬と組み合わせて癌を処置するのに使用できるという驚くべき知見に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0019】
一般的な一態様では、本発明は、癌の処置を必要とする被検体の癌を処置する方法であって、被検体に、治療有効量の細胞毒性を示さないセロトニン受容体(5-HT)アンタゴニストまたは細胞毒性を示さないドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)阻害剤、および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0020】
一実施形態では、本方法は、被検体に、治療有効量の細胞毒性を示さないセロトニン受容体(5-HT)アンタゴニスト、特にアンペロジドもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩などのセロトニン受容体2A(5-HT2A)アンタゴニスト、および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0021】
別の実施形態では、本方法は、被検体に、ネピカスタットもしくはエタミカスタットもしくはそのアナログまたはその薬学的に許容される塩、などの治療有効量の細胞毒性を示さないDBH阻害剤および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0022】
本発明のある種の実施形態では、細胞毒性を示さない5-HTアンタゴニストまたは細胞毒性を示さないDBH阻害剤を含む医薬組成物は、少なくとも1種の追加の抗癌薬、たとえば化学療法薬、標的治療薬および免疫療法薬と組み合わせて投与される。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、処置される癌は、結腸癌、乳癌、肝癌、メラノーマ、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌、子宮頸癌、腎細胞癌、膀胱癌または胃癌である。
【0024】
もう1つの一般的な一態様では、本発明は、
(a)アンペロジド、ネピカスタットおよびエタミカスタットからなる群から選択される治療有効量の化合物もしくはそのアナログまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容されるキャリアを含む第1の医薬組成物;ならびに
(b)化学療法薬、標的治療薬および免疫療法薬からなる群から選択される治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌薬、
を含み、
治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌薬は、第1の組成物中または第1の組成物と組み合わされて投与される第2の組成物中に存在する、
医薬組み合わせに関する。
【0025】
本発明の他の態様は、本発明の医薬組成物および組み合わせを製造する方法と、本発明の医薬組成物および組み合わせを用いて癌を処置する方法とに関する。
【0026】
本発明の他の態様、特徴および利点は、発明の詳細な説明およびその好ましい実施形態を含む以下の開示、ならびに添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施例3に記載されているような細胞増殖アッセイにより決定される、H22マウス肝細胞癌細胞におけるアンペロジドおよびネピカスタットのIC50データを示す。
図2A-2B】実施例4に記載されているような、H22マウス肝臓癌異種移植モデルにおけるインビボ腫瘍成長に対する、パクリタキセル処置と比較した、アンペロジド処置の作用を示す。図2Aは、腫瘍容積の変化を示す。図2Bは、体重の変化を示す。
図3A-3B】実施例4に記載されているような、H22マウス肝臓癌異種移植モデルにおけるインビボ腫瘍成長に対する、パクリタキセル処置と比較した、ネピカスタット処置の作用を示す。図3Aは、腫瘍容積の変化を示す。図3Bは、体重の変化を示す。
図4A-4B】実施例5に記載されているような、H22肝臓癌異種移植モデルにおける、インビボ腫瘍成長に対する、抗PD-1 mAb処置(腹腔内投与)と比較した、ネピカスタットおよびエタミカスタット処置の作用を示す。図4Aは、ネピカスタット処置による腫瘍容積および体重の変化を示す。図4Bは、エタミカスタット処置による腫瘍容積および体重の変化を示す。
図5A-5B】実施例6に記載されているような、CT-26マウス結腸癌およびEMT-6マウス乳癌異種移植モデルにおける、インビボ腫瘍成長および体重に対するネピカスタット処置の作用を示す。図5Aは、CT-26マウス結腸癌異種移植モデルにおける、腫瘍容積および体重に対する、ネピカスタット処置の作用を示す。図5Bは、EMT-6マウス乳癌異種移植モデルにおける腫瘍容積および体重に対するネピカスタット処置の作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
様々な刊行物、論文および特許が、背景技術においておよび本明細書を通して引用または記載されている。これらの各参考文献は、その全体を本明細書に援用する。
本明細書に含まれる文書、行為、材料、装置、物品または同種のものに関する考察は、本発明に関連する状況を提供するためのものである。そうした考察は、これらのもののいずれかまたは全部が、開示または特許請求されたどの発明に対しても先行技術の一部を形成することを承認するものではない。
【0029】
他に記載がない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を持つ。そうでない場合、本明細書に使用されるいくつかの用語は、本明細書に規定された意味を有する。
本明細書に引用された特許、公開された特許出願および刊行物はすべて、本明細書にすべて記載されているかのように援用する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「1つの(a、an)」および「前記(the)」は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、複数の言及を含むことに留意しなければならない。
【0030】
他に記載がない限り、本明細書に記載の濃度または濃度範囲などの任意の数値は、すべての場合、「約」という用語で修飾されていると理解されたい。
よって、数値は典型的には、記載された値の±10%を含む。たとえば、1mg/mLの濃度は、0.9mg/mL~1.1mg/mLを含む。
同様に、1%~10%(w/v)の濃度範囲は、0.9%(w/v)~11%(w/v)を含む。
本明細書で使用する場合、数値範囲の使用は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、あらゆる可能なサブレンジ、そうした範囲内の整数およびそれらの値の端数を含め、その範囲内のあらゆる個々の数値を明示的に含む。
【0031】
本明細書で使用する場合、「処置する」、「処置すること」および「処置」という用語はすべて、被検体において認識可能であるとは限らないが、被検体において認識可能であり得る、癌に関連する少なくとも1つの測定可能な身体パラメーターの改善または回復をいうことを意図している。「処置する」、「処置すること」および「処置」という用語はさらに、癌の退縮を引き起こすこと、その進行を阻止すること、または少なくとも進行を遅延させることをいうこともある。
特定の実施形態では、「処置する」、「処置すること」および「処置」は、癌に関連する1つもしくは複数の症状の緩和、その発生もしくは発症の予防、またはその持続期間の短縮をいう。
特定の実施形態では、「処置する」、「処置すること」および「処置」は、癌の再発の予防をいう。
特定の実施形態では、「処置する」、「処置すること」および「処置」は、癌を有する被検体の生存率の上昇をいう。
特定の実施形態では、「処置する」、「処置すること」および「処置」は、被検体の癌の消失をいう。
【0032】
本明細書で使用する場合、「被検体」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物をいう。特定の実施形態によれば、被検体は、非霊長類(たとえば、ラクダ、ロバ、シマウマ、雌ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ラット、ウサギ、モルモットもしくはマウス)または霊長類(たとえば、サル、チンパンジーもしくはヒト)を含む哺乳動物をいう。
特定の実施形態では、被検体はヒトである。
【0033】
本明細書で使用する場合、「有効量」または「治療有効量」という用語は、被検体に所望の生物学的反応または薬効反応を惹起する活性成分または要素の量をいう。
特定の実施形態では、有効量は、別の活性成分または化合物との相乗効果を達成するのに効果的な活性成分または化合物の量である。
治療有効量は、記載した目的に対して常法により実験的に決定することができる。たとえば、最適な投薬量範囲を特定しやすくするため、インビトロアッセイを任意選択的に利用してもよい。
当業者は、処置または予防対象の疾患、関連する症状、患者の体重、患者の免疫状態および当業者に知られている他の因子を含む、いくつかの因子の検討に基づき(たとえば、臨床試験により)、個々の有効用量の選択を決定することができる。
製剤中に使用される正確な用量も、投与経路および疾患の重症度により決まり、開業医の判断および患者それぞれの状況に応じて決定されるべきである。
有効用量は、インビトロ試験系または動物モデル試験系から得られる用量反応曲線から外挿してもよい。
【0034】
「薬学的に許容される塩」という語句は、本明細書で使用する場合、哺乳動物の医薬用途に安全で効果的であり、かつ所望の生物活性を有する目的の化合物の塩を意味する。
薬学的に許容される塩は、指定した化合物中に存在する塩基性基の塩である塩基付加塩、および指定の化合物中に存在する酸性基の塩である酸付加塩を含む。
酸性基または塩基性基は、有機でもあるいは無機でもよい。
薬学的に許容される塩に関する概説としては、本明細書に援用するBerge et al.,66 J.Pharm.Sci.1-19(1977)を参照されたい。
【0035】
本明細書で使用する場合、「抗癌薬」、「抗癌剤」および「抗癌治療」という語句は、癌の退縮を引き起こす、その進行を阻止するもしくは少なくとも進行を遅延させる、それを消失させるまたはその再発を予防する、あるいは癌を有する被検体の生存率を高めるのに使用することができる任意の物質または処置をいう。
典型的には、「作用物質」および「薬剤」という用語は、物質(たとえば、小分子化合物、抗体等)に関して使用されるに対し、「治療」という用語は、処置方法に関して使用される。
抗癌薬は、以下に限定されるものではないが、免疫応答の刺激、免疫抑制の阻害および/または細胞増殖の阻害を含む種々の機序によりその効果を発揮することができる。
抗癌薬または抗癌剤の例として、以下に限定されるものではないが、化学療法薬、免疫療法薬および標的治療薬が挙げられる。
抗癌治療の例として、以下に限定されるものではないが、手術、遺伝子治療、放射線治療および寒冷療法が挙げられる。
【0036】
本明細書で使用する場合、「化学療法薬」および「標的治療薬」という用語は、抗癌剤または抗癌薬である任意の化学物質をいう。
一般に、化学療法薬および標的治療薬は、癌細胞の成長および増殖をブロックする物質である。
化学療法薬は、多くの場合、細胞傷害性であり、これは、化学療法薬は腫瘍細胞を殺すが、典型的には全身で働くため健康な細胞をも殺し得ることを意味する。
化学療法剤と異なり、標的治療薬は、正常細胞と癌細胞との間の相違を利用して、通常、癌の成長、進行および拡散に関与する癌細胞に特異的な分子との相互作用により癌細胞の成長または増殖をブロックする。
【0037】
本明細書で使用する場合、「免疫療法薬」または「免疫療法モジュレーター」という用語は、免疫応答を刺激するおよび/または免疫抑制を阻害する任意の作用物質をいう。
癌免疫療法は、腫瘍を拒絶し破壊するため免疫系を刺激しようと試みるものである。
【0038】
本明細書で使用する場合、被検体に2種以上の治療剤を投与する文脈における「組み合わせて」および「と組み合わせて」という語句は、2種以上の治療剤の使用をいう。「組み合わせて」および「と組み合わせて」という語句の使用は、治療剤が被検体に投与される順序を限定するものではない。
たとえば、第1の治療剤(たとえば、有効量のDBH阻害剤またはセロトニン受容体2Aアンタゴニスト)は、第2の治療剤(たとえば、有効量の免疫療法薬、化学療法薬または標的治療薬)の投与前に(たとえば、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、16時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週前、2週前、3週前、4週前、5週前、6週前、8週前または12週前)、同時に、あるいは後に(たとえば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、16時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週後、2週後、3週後、4週後、5週後、6週後、8週後または12週後)被検体に投与してもよい。
【0039】
方法および組成物
本発明は、ネピカスタット、エタミカスタットおよびそのアナログなどの細胞毒性を示さないDBH阻害剤と、細胞毒性を示さない5-HTアンタゴニスト、特にアンペロジドおよびそのアナログなどの5-HT2Aアンタゴニストとを単独であるいは1種または複数種の抗癌薬および/または抗癌治療と組み合わせて癌および腫瘍を処置する方法に関する。
【0040】
本明細書で使用する場合、「DBH阻害剤」は、酵素ドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)を阻害する任意の化合物である。
DBHは、ドーパミンのノルエピネフリンへの酸化を触媒する。
DBH阻害剤は、DBHにより触媒されるドーパミンのノルエフィネフリンへの酸化を低下または防止する化合物を含む。特に、「細胞毒性を示さないDBH阻害剤」は、酵素DBHを阻害し、インビボで腫瘍成長を阻害または低下させるが、インビトロで細胞毒性作用(たとえば、癌細胞の殺傷)を低下させた任意の化合物である。
DBH阻害剤の例として、以下に限定されるものではないが、ネピカスタット、エタミカスタット、ジスルフィラムおよびトロポロンが挙げられる。エタミカスタットは、ネピカスタットのアナログとも考えられる。
細胞毒性を示さないDBH阻害剤の例として、以下に限定されるものではないが、ネピカスタットおよびエタミカスタット、ならびにその薬学的に許容される塩が挙げられる。
本発明の好ましい実施形態では、DBH阻害剤は、ネピカスタットおよびエタミカスタット、またはその薬学的に許容される塩から選択される。
【0041】
本明細書で使用する場合、「5-HTアンタゴニスト」は、5-HT受容体により仲介される生物学的反応を抑制またはブロックする任意の化合物である。
特に、「5-HT2Aアンタゴニスト」は、5-HT2A受容体により仲介される生物学的反応を抑制またはブロックする任意の化合物である。
5-HT2A受容体は、セロトニン受容体ファミリーの一部であるGタンパク質共役受容体(G protein-coupled receptor)(GPCR)である。
本明細書で使用する場合、「細胞毒性を示さない5-HTアンタゴニスト」は、5-HT受容体により仲介される生物学的反応を抑制またはブロックすることにより、インビボで腫瘍成長を阻害または低下させるが、インビトロで細胞毒性作用(たとえば、癌細胞の殺傷)を低下させた任意の化合物である。
5-HTアンタゴニスト、特に5-HT2Aアンタゴニストの例として、以下に限定されるものではないが、アンペロジドが挙げられる。
【0042】
本明細書で使用する場合、「ネピカスタット」、「エタミカスタット」および「アンペロジド」は、以下の化学構造を有する化合物をいう。
【化2】
【0043】
本発明の一実施形態では、癌の処置を必要とする被検体の癌を処置する方法は、被検体に、治療有効量のアンペロジドもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0044】
本発明の別の実施形態では、癌の処置を必要とする被検体の癌を処置する方法は、被検体に、治療有効量のネピカスタットもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0045】
本発明のなお別の実施形態では、癌の処置を必要とする被検体の癌を処置する方法は、被検体に、治療有効量のエタミカスタットもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0046】
癌は、正常な制御の喪失による細胞の無秩序な増殖であり、異常な成長、分化の欠如、局所的組織浸潤が起こり、多くの場合、転移に至る。
腫瘍は、良性でもあるいは悪性でもよい細胞または組織の異常な成長である。
本明細書に記載するような本発明の方法に従い、以下に限定されるものではないが、結腸癌、乳癌、肝癌、メラノーマ、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌、子宮頸癌、腎細胞癌、膀胱癌または胃癌を含む、どの癌または腫瘍も処置することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、癌は、結腸癌、乳癌、肝癌またはメラノーマである。
他の実施形態では、癌は、化学療法抵抗性、免疫療法抵抗性または放射線抵抗性の癌、たとえば化学療法抵抗性、免疫療法抵抗性または放射線抵抗性の乳癌、肝癌、結腸癌またはメラノーマである。
【0048】
本明細書に記載の化合物、作用物質または医薬組成物は、許容可能な任意の経路により投与することができる。
たとえば、本明細書に記載の化合物、作用物質または医薬組成物は、経口投与しても、脂肪内(intraadiposally)投与しても、動脈内投与しても、関節内投与しても、頭蓋内投与しても、皮内投与しても、病巣内投与しても、筋肉内投与しても、鼻腔内投与しても、眼内投与しても、心膜内投与しても、腹腔内投与しても、胸膜内投与しても、前立腺内投与しても、直腸内投与しても、髄腔内投与しても、気管内投与しても、腫瘍内投与しても、臍帯内投与しても、膣内投与しても、静脈内投与しても、膀胱内投与しても、硝子体内投与しても、リポソーム投与しても、局所投与しても、粘膜投与しても、非経口投与しても、直腸内投与しても、結膜下投与しても、皮下投与しても、舌下投与しても、局所(topically)投与しても、舌下(transbuccally)投与しても、経皮投与しても、経膣投与しても、クリームとして投与しても、脂質組成物として投与しても、カテーテル投与しても、洗浄投与しても、持続注入投与しても、注入投与しても、吸入投与しても、注射投与しても、局所送達投与しても、局所灌流投与しても、標的細胞を直接浸すことにより投与しても、あるいはそれらの任意の組み合わせにより投与してもよい。
【0049】
本発明による医薬組成物は、注射用(静脈内)投与、粘膜投与、経口投与(固体および液体調製物)、吸入投与、眼投与、直腸投与、局所(topical)投与または非経口(注入、注射、移植、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内)投与を含む任意の投与形態用に製剤化してもよい。
経口投与用の固体調製物の例として、以下に限定されるものではないが、散剤、カプセル剤、カプレット剤、ジェルキャップ剤および錠剤が挙げられ;経口または粘膜投与用の液体調製物の例として、以下に限定されるものではないが、懸濁剤、エマルジョン剤、エリキシル剤および溶液剤が挙げられ;局所(topical)製剤の例として、以下に限定されるものではないが、エマルジョン剤、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤、パッチ剤、ペースト剤、フォーム剤、ローション剤、滴剤または血清剤が挙げられる。非経口投与用の調製物の例として、以下に限定されるものではないが、注射用溶液剤、薬学的に許容される注射用キャリアに溶解または懸濁できる乾燥生成物、注射用懸濁剤および注射用エマルジョン剤が挙げられる。他の好適な組成物の例としては、点眼薬および他の眼科用調製物;鼻スプレー剤または吸入薬などのエアロゾル剤;非経口投与に好適な液体剤形;坐剤;およびロゼンジ剤が挙げられる。
【0050】
好ましい実施形態では、DBH阻害剤および/または5-HTアンタゴニストを含む医薬組成物は、散剤、カプセル剤、カプレット剤、ジェルキャップ剤および錠剤などの固体調製物;ならびに懸濁剤、エマルジョン剤、エリキシル剤および溶液剤などの液体調製物を含め、経口投与用に製剤化される。
【0051】
本発明による医薬組成物は、薬剤製造の技術分野において広く利用されているものなど、薬学的に許容されるキャリアをさらに含む。
本明細書で使用する場合、「キャリア」という用語は、任意の賦形剤、希釈液、賦形剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、油、脂質、脂質を含む小胞、ミクロスフェア、リポソーム封入、または医薬製剤に使用される当該技術分野において周知の他の材料をいう。
薬学的に許容されるキャリアは特に無毒性であり、1種または複数種の結合剤、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース;可溶化剤、たとえばポビドンおよび塩化セチルピリジニウム;酸性化薬、たとえばアルギン酸;造孔剤、たとえばスクロース;滑沢剤、たとえばステアリルフマレート;流動促進剤、たとえばコロイド状二酸化ケイ素;バインダー、懸濁化剤、乳化剤、希釈液、賦形剤、造粒剤、接着剤、錠剤分解物質、付着防止剤、湿潤剤、ゲル化剤、緩衝液、キレート化剤、防腐剤、着色剤、香味剤および甘味料ならびに同種のものを含んでもよい。
薬学的に許容されるキャリアは、投与に望ましい調製の形態に応じて多種多様な形態をとってもよく、その量および種類は、必要に応じて異なる。
当業者は、本開示に照らして本発明の医薬組成物に添加されるべき適切なキャリアを容易に決定することができる。
キャリアの非限定的な例として、食塩水および水が挙げられる。
【0052】
DBH阻害剤および/または5-HTアンタゴニストの投薬量は、たとえば、選択された特定の投与モードに従って、必要とされる用量、液量、粘度等に基づき選択される。いくつかの実施形態では、DBH阻害剤または5-HTアンタゴニストは、約1mg/日~4g/日、たとえば1mg/日、10mg/日、50mg/日、100mg/日、200mg/日、300mg/日、400mg/日、500mg/日、600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1g/日、2g/日、3g/日または4g/日の投薬量で投与され、好ましくは経口投与される。
たとえば、ネピカスタットまたはその薬学的に許容される塩は、たとえば、約20mg/日~2.5g/日、好ましくは40mg/日~1.0g/日、一層好ましくは80mg/日~500mg/日)の投薬量でヒト被験者に投与してもよく;アンペロジドまたはその薬学的に許容される塩は、たとえば、約1mg/日~100mg/日、好ましくは2mg/日~50mg/日、一層好ましくは4mg/日~25mg/日の投薬量でヒト被験者に投与してもよく;エタミカスタットは、たとえば、約40mg/日~4.0g/日、好ましくは80mg/日~2.0g/日、一層好ましくは160mg/日~1.0g/日の投薬量でヒト被験者に投与してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、DBH阻害剤および/もしくは5-HTアンタゴニストまたはその組成物は、1日1回投与される。
他の実施形態では、DBH阻害剤および/もしくは5-HTアンタゴニストまたはその組成物は、1日2回投与される。
他の実施形態では、DBH阻害剤および/もしくは5-HTアンタゴニストまたはその組成物は、1日複数回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、7日に1回、2週に1回、3週に1回、4週に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、5ヶ月に1回、6ヶ月に1回または1年1回投与される。
DBH阻害剤および/もしくは5-HTアンタゴニストまたはその組成物は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、10年間または15年間等投与してもよい。
【0054】
本発明の実施形態によれば、DBH阻害剤および/または5-HTアンタゴニストは、単独で使用しても、あるいは追加の抗癌治療および/または抗癌薬と組み合わせて使用してもよい。
いくつかの実施形態では、追加の抗癌治療または抗癌薬は、手術、放射線治療、化学療法もしくは化学療法薬、トキシン治療、免疫療法もしくは免疫療法薬、標的治療薬、寒冷療法または遺伝子治療を含む。
抗癌薬が使用される場合、DBH阻害剤および/または5-HTアンタゴニストは、その追加の抗癌薬と同じ組成物において一緒に投与してもよい。あるいは、DBH阻害剤および/または5-HTアンタゴニストと、追加の抗癌薬は、別の組成物において投与してもよい。別の組成物として投与される場合、DBH阻害剤および/または5-HTアンタゴニストは、追加の抗癌薬に使用されるのと同じ投与形態により(たとえば、両方経口投与により)投与しても、あるいは異なる投与経路(たとえば、DBH阻害剤および/または5-HTアンタゴニストでは経口投与、追加の抗癌薬では注射)により投与してもよい。
【0055】
本発明の他の態様は、DBH阻害剤および/または5-HTアンタゴニストと、少なくとも1種の追加の抗癌薬と、薬学的に許容されるキャリアとを含む医薬組成物および組み合わせに関する。本開示に照らして、本発明の組成物には、以下に限定されるものではないが、アンペロジド、ネピカスタット、エタミカスタット、そのアナログおよびその薬学的に許容される塩を含め、任意のDBH阻害剤および/または5-HTアンタゴニストを使用することができる。
【0056】
医薬組成物は、本開示に照らして、当該技術分野において公知の任意の方法により調製することができ、当業者は、そうした医薬組成物の調製に使用される技術に精通している。たとえば、本発明の医薬組成物は、DBH阻害剤(たとえば、ネピカスタット、エタミカスタット等)または5-HTアンタゴニスト(たとえば、アンペロジド等)と、少なくとも1種の追加の抗癌薬と、薬学的に許容されるキャリアとを組み合わせることにより調製することができる。
【0057】
本発明の実施形態はさらに、本明細書に記載の医薬組成物および組み合わせで癌を処置する方法に関する。
本発明の実施形態によれば、本方法は、それを必要とする被検体に医薬組成物または組み合わせを投与することを含む。
本方法は、本開示に照らして、任意の癌を処置するために使用することができ、本開示に照らして、任意の好適な経路により処置を必要とする被検体に投与してもよい。
【0058】
実施形態
実施形態1は、癌または腫瘍の処置を必要とする被検体の癌または腫瘍を処置する方法であって、被検体に、治療有効量の細胞毒性を示さないセロトニン受容体(5-HT)アンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
【0059】
実施形態2は、癌または腫瘍の処置を必要とする被検体の癌または腫瘍を処置する方法であって、被検体に、治療有効量の細胞毒性を示さないドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
【0060】
実施形態3は、細胞毒性を示さない5-HTアンタゴニストがアンペロジドもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩である、実施形態1の方法である。
【0061】
実施形態4は、細胞毒性を示さないDBH阻害剤がネピカスタットもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩である、実施形態2の方法である。
【0062】
実施形態5は、細胞毒性を示さないDBH阻害剤がエタミカスタットもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩である、実施形態2の方法である。
【0063】
実施形態6は、医薬組成物が被検体に経口投与される、実施形態1~5のいずれか1つの方法である。
【0064】
実施形態7は、被検体に、化学療法薬、標的治療薬および免疫療法薬からなる群から選択される治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌薬を投与することをさらに含む、実施形態1~6のいずれか1つの方法である。
【0065】
実施形態8は、少なくとも1種の追加の抗癌薬が免疫療法薬である、実施形態7の方法である
【0066】
実施形態9は、処置が手術、遺伝子治療、放射線治療および寒冷療法からなる群から選択される少なくとも1つの追加の抗癌治療と組み合わせて行われる、実施形態1~8のいずれか1つの方法である。
【0067】
実施形態10は、癌が結腸癌、乳癌、肝癌、メラノーマ、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌、子宮頸癌、腎細胞癌、膀胱癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態1~9のいずれか1つの方法である。
【0068】
実施形態11は、癌が乳癌、結腸癌、肝癌またはメラノーマである、実施形態10の方法である。
【0069】
実施形態12は、治療有効量の細胞毒性を示さないドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、たとえばネピカスタットもしくはエタミカスタットまたはその薬学的に許容される塩;化学療法薬、標的治療薬および免疫療法薬からなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗癌薬;および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物である。
【0070】
実施形態13は、治療有効量の細胞毒性を示さないセロトニン受容体(5-HT)アンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、たとえばアンペロジドまたはその薬学的に許容される塩;化学療法薬、標的治療薬および免疫療法薬からなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗癌薬;および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物である。
【0071】
実施形態14は、実施形態12の医薬組成物を製造する方法であって、細胞毒性を示さないDBH阻害剤またはその薬学的に許容される塩;少なくとも1種の追加の抗癌薬;および薬学的に許容されるキャリアを組み合わせることを含む方法である。
【0072】
実施形態15は、実施形態13の医薬組成物を製造する方法であって、細胞毒性を示さない5-HTアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩;少なくとも1種の追加の抗癌薬;および薬学的に許容されるキャリアを組み合わせることを含む方法である。
【0073】
実施形態16は、
(a)アンペロジド、ネピカスタットおよびエタミカスタットもしくはそのアナログまたはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される治療有効量の化合物、および薬学的に許容されるキャリアを含む第1の組成物;ならびに
(b)化学療法薬、標的治療薬および免疫療法薬からなる群から選択される治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌薬、
を含み、
治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌薬は、第1の組成物中または第1の組成物と組み合わされて投与される第2の組成物中に存在する
医薬組み合わせである。
【0074】
実施形態17は、第1の組成物が治療有効量のネピカスタットまたはその薬学的に許容される塩を含む、実施形態16の医薬組み合わせである。
【0075】
実施形態18は、第1の組成物が治療有効量のエタミカスタットまたはその薬学的に許容される塩を含む、実施形態16の医薬組み合わせである。
【0076】
実施形態19は、第1の組成物が治療有効量のアンペロジドまたはその薬学的に許容される塩を含む、実施形態16の医薬組み合わせである。
【0077】
実施形態20は、癌または腫瘍の処置を必要とする被検体の癌または腫瘍を処置する方法であって、被検体に、実施形態12~13のいずれか1つの医薬組成物または実施形態16~19のいずれか1つの医薬組み合わせを投与することを含む方法である。
【0078】
実施形態21は、癌または腫瘍が結腸癌、乳癌、肝癌、メラノーマ、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌、子宮頸癌、腎細胞癌、膀胱癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態20の方法である。
【0079】
実施形態22は、癌が乳癌、結腸癌、肝癌またはメラノーマである、実施形態21の方法である。
【0080】
実施形態23は、被検体がヒト被験者である、実施形態1~11および20~22のいずれか1つの方法である。
【0081】
実施形態24は、癌の処置を必要とする被検体の癌を処置するのに使用される、実施形態12~13のいずれか1つの医薬組成物または実施形態16~19のいずれか1つの医薬組み合わせである。
【0082】
実施形態25は、治療有効量の細胞毒性を示さないセロトニン受容体(5-HT)アンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容されるキャリアを含む、癌の処置を必要とする被検体の癌を処置するのに使用される医薬組成物である。
【0083】
実施形態26は、治療有効量の細胞毒性を示さないドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容されるキャリアを含む、癌の処置を必要とする被検体の癌を処置するのに使用される医薬組成物である。
【0084】
実施形態27は、細胞毒性を示さない5-HTアンタゴニストがアンペロジドもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩である、実施形態25を使用する医薬組成物である。
【0085】
実施形態28は、細胞毒性を示さないDBH阻害剤がネピカスタットもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩である、実施形態26を使用する医薬組成物である。
【0086】
実施形態29は、細胞毒性を示さないDBH阻害剤がエタミカスタットもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩である、実施形態26を使用する医薬組成物である。
【0087】
実施形態30は、医薬組成物が経口投与用に製剤化される、実施形態25~29のいずれか1つを使用する医薬組成物である。
【0088】
実施形態31は、医薬組成物が化学療法薬、標的治療薬および免疫療法薬からなる群から選択される治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌薬と組み合わせて使用される、実施形態25~30のいずれか1つを使用する医薬組成物である。
【0089】
実施形態32は、少なくとも1種の追加の抗癌薬が免疫療法薬である、実施形態31を使用する医薬組成物である
【0090】
実施形態33は、医薬組成物が手術、遺伝子治療、放射線治療および寒冷療法からなる群から選択される少なくとも1つの追加の抗癌治療と組み合わせて使用される、実施形態25~32のいずれか1つを使用する医薬組成物である。
【0091】
実施形態34は、癌が結腸癌、乳癌、肝癌、メラノーマ、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌、子宮頸癌、腎細胞癌、膀胱癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態25~33のいずれか1つを使用する医薬組成物である。
【0092】
実施形態35は、癌が乳癌、結腸癌、肝癌またはメラノーマである、実施形態34を使用する医薬組成物である。
【0093】
実施形態36は、癌を処置するための薬物の製造における、細胞毒性を示さないセロトニン受容体(5-HT)アンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩の使用である。
【0094】
実施形態37は、処置癌のための薬物の製造における、細胞毒性を示さないドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)阻害剤またはその薬学的に許容される塩の使用である。
【0095】
実施形態38は、細胞毒性を示さない5-HTアンタゴニストがアンペロジドもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩である、実施形態36の使用である。
【0096】
実施形態39は、細胞毒性を示さないDBH阻害剤がネピカスタットもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩である、実施形態37の使用である。
【0097】
実施形態40は、細胞毒性を示さないDBH阻害剤がエタミカスタットもしくはそのアナログ、またはその薬学的に許容される塩である、実施形態37の使用である。
【0098】
実施形態41は、薬物が経口投与用に製剤化される、実施形態36~40のいずれか1つの使用である。
【0099】
実施形態42は、癌を処置するための薬物の製造における、実施形態12または13の医薬組成物の使用である。
【0100】
実施形態43は、癌を処置するための薬物の製造における、実施形態16~19のいずれか1つの医薬組み合わせの使用である。
【0101】
実施形態44は、癌が結腸癌、乳癌、肝癌、メラノーマ、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌、子宮頸癌、腎細胞癌、膀胱癌および胃癌からなる群から選択される、実施形態36~43のいずれか1つの使用である。
【0102】
実施形態45は、癌が乳癌、結腸癌、肝癌またはメラノーマである、実施形態44の使用である。
【0103】
実施形態46は、アンペロジドもしくはそのアナログまたはその薬学的に許容される塩が、約1mg/日~100mg/日、好ましくは2mg/日~50mg/日、一層好ましくは4mg/日~25mg/日の用量で投与される、実施形態3、6~11および20~22いずれか1つの方法である。
【0104】
実施形態47は、ネピカスタットもしくはそのアナログまたはその薬学的に許容される塩が、約20mg/日~2.5g/日、好ましくは40mg/日~1.0g/日、一層好ましくは80mg/日~500mg/日の用量で投与される、実施形態4、6~11および20~22のいずれか1つの方法である。
【0105】
実施形態48は、エタミカスタットもしくはそのアナログまたはその薬学的に許容される塩が約40mg/日~4.0g/日、好ましくは80mg/日~2.0g/日、一層好ましくは160mg/日~1.0g/日の用量で投与される、実施形態5~11および20~22のいずれか1つの方法である。
【0106】
以下の本発明の例は、本発明の性質をさらに説明するものである。以下の例は、本発明を限定するものではないこと、および本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により決定されるべきであることを理解されたい。
【実施例
【0107】
実施例1:
H22マウス肝細胞癌細胞株におけるインビトロ細胞増殖アッセイの実験手順
材料および方法:
【0108】
【表1】
【0109】
試薬:
1.化合物:アンペロジド、ネピカスタット
2.陽性対照化合物:パクリタキセル
3.CTGアッセイキット:(Promega)-Cat No.G7572
4.RPMI-1640培地(Invitrogen)-Cat No.11875093
5.PBS(Hyclone)-Cat No.SH30256-01B
6.トリプシン/EDTA(Invitrogen)-25200-056
7.FBS(Biowest)-Cat No.S1580-500
8.ペニシリン-ストレプトマイシン液(Invitrogen)-Cat No.15140-122
9.96ウェルホワイトプレート(Costar)-Cat No.3917
機器:EnVision 2104 Multilabel Reader
【0110】
方法:
(1)細胞を、10%FBS、100U/mlのペニシリンおよび100mg/mlのストレプトマイシンを補充したRPMI-1640培地にて、37℃、5%CO2雰囲気で培養した。80%コンフルエントになった細胞をアッセイに使用した。
(2)細胞を、1000rpmで4分間回転させ、10%FBSを補充した新鮮培地に再懸濁し、次いで細胞密度を調整し、そして、細胞を、96ウェルホワイトプレートに播種した(3000細胞/ウェル/90μlのH22細胞、3ウェル/群)。
(3)24時間後、10×化合物溶液を調製し、そして、10μlの10×化合物溶液を、最終濃度1μMおよび0.1μMになるように各ウェルに移した(溶媒対照:0.1%DMSO;ブランク対照:細胞を含まず、機器のオートゼロ用)。
(4)細胞を、化合物と37℃および5%CO2雰囲気で72時間インキュベートした。
(5)プレートおよびその内容物を、室温で30分間平衡化した。
(6)次いで、96ウェルホワイトプレートの各ウェルに、100μLのCellTiter-Glo(登録商標)試薬を加えた。
(7)細胞溶解を誘発するため、内容物をオービタルシェーカーで2分間混合した。
(8)発光シグナルを安定化させるため、プレートを室温で10分間インキュベートした。
(9)EnVision 2104 Multilabel Readerを用いて発光を記録した。
【0111】
実施例2:
マウスのH22、CT-26およびEMT-6異種移植モデルにおけるインビボ腫瘍成長を試験するための実験手順
マウスのH22、CT-26およびEMT-6異種移植モデルを用いた実験を下記のように行った。
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
細胞培養:
細胞は、10%FBSを補充したRPMI-1640培地にて、37℃、空気中5%CO2の雰囲気で培養した。
この腫瘍細胞を毎週3回定期的に継代培養した。
指数増殖期で増殖した細胞を回収し、腫瘍接種のためカウントした。
【0115】
腫瘍接種
腫瘍形成のため、腫瘍細胞(H22、EMT-6またはCT-26)を含む0.1mLのPBSをマウス(雌、6~8週齢)の右側腹部に皮下接種した。
腫瘍容積が、約60~80mm3に達したとき、マウスを動物の体重および腫瘍容積によって無作為に群分けした。
各群は、腫瘍移植マウス5~8匹を有した。
【0116】
観察結果
所定のモニタリング時に、腫瘍成長および処置が、運動性などの通常行動、摂餌および摂水量(観察のみによる)ならびに体重増加/減少(体重は毎週3回測定した)に及ぼす任意の作用、眼脂/被毛のもつれおよび他の任意の異常作用について、動物をチェックする。
死亡および観察された臨床徴候を各サブセット内の動物数に基づき記録した。
【0117】
腫瘍測定およびエンドポイント
主要エンドポイントは、腫瘍成長を遅延させ得るかあるいはマウスを治癒させ得るかどうかを判定することであった。
腫瘍容積は、それぞれ、カリパスを用いて2次元で毎週3回測定し、式:V=0.5a×b2(aおよびbはそれぞれ、腫瘍の長径および短径である)を用いて、容積をmm3単位で表した。
T/C値(パーセント単位)を抗腫瘍有効性の指標とした(TおよびCはそれぞれ、ある特定の処置した群および対照群の平均容積であった)。T-C値は、TVに従って計算した。T-Cは、Tを処置群の腫瘍が所定の大きさ(たとえば、1000mm3としてのTV)になるのに必要とされた期間の中央値(日)とし、Cを対照群の腫瘍が同じ大きさになるのに必要とされた期間の中央値(日)として計算した。
体重は、化合物の毒性を観察したのと同じ期間に測定し記録した。
動物は、研究の終了時に屠殺した。
【0118】
統計解析
各群の各時点での腫瘍容積について、平均値および平均値の標準誤差(SEM)を含む要約統計量を示す。
体重、腫瘍容積および腫瘍容積の変化を比較するため、2元配置分散分析(ANOVA)を実施した。腫瘍重量を比較するため、1元配置分散分析を実施した。
データはすべて、GraphPad Prism 5を用いて解析した。p<0.05を統計学的に有意と見なした。
【0119】
実施例3:
H22マウス肝細胞癌細胞株におけるアンペロジドおよびネピカスタットの細胞増殖アッセイ
実施例1に記載した実験手順に従い、アンペロジド、ネピカスタットおよびパクリタキセルの抗増殖活性を、H22マウス肝細胞癌細胞株において試験した。結果を表1に示す。
【0120】
表1に示すように、パクリタキセルは、H22マウス肝細胞癌細胞株に対して1μMおよび0.1μMの濃度で強い阻害作用を示した。
アンペロジドおよびネピカスタットは、これらの同じ濃度で、H22マウス肝細胞癌細胞株に対して顕著な抗増殖作用を示さなかったことから、これら2つの化合物は細胞毒性がないことが示唆された。
【0121】
【表4】
【0122】
H22マウス肝細胞癌細胞の増殖におけるアンペロジドおよびネピカスタットのIC50を、それぞれ、38.84μMおよび52.59μMと算出したデータを図1に示す。
アンペロジド(10mg/日)[57]およびネピカスタット(160mg/日)[58]の臨床投薬量に基づく最高血漿中濃度(Cmax)は、それぞれ、約0.1μMおよび0.2μMであると報告されている。
臨床投薬量でのアンペロジドおよびネピカスタットのCmax値は、それらのH22マウス肝細胞癌細胞増殖のIC50値より非常に低いことから、アンペロジドおよびネピカスタットはどちらも、腫瘍成長の阻害に効果的な濃度で細胞毒性を示さないことが示唆される。
【0123】
上記の結果から、アンペロジドおよびネピカスタットは、マウスのH22肝細胞癌細胞株において細胞毒性を示さないことが立証される。
【0124】
実施例4:
肝臓癌のマウスモデルにおける、アンペロジドおよびネピカスタットのインビボ抗癌活性
実施例2に記載した実験手順に従い、H22マウス肝臓癌異種移植モデルにおいて、アンペロジドおよびネピカスタットの抗癌活性を評価した。
抗癌活性は、腫瘍容積の変化を測定することにより評価した。
【0125】
腫瘍接種後の様々な時点での処置群における腫瘍容積変化の結果を表2に示す。
アンペロジドに関する腫瘍成長および体重変化を表すデータを、それぞれ、図2Aおよび2Bに示し、そして、ネピカスタットのそれらを、それぞれ、図3Aおよび3Bに示す。
表3にH22腫瘍のインビボ成長阻害における、アンペロジドおよびネピカスタットの活性をまとめてある。
19日目に、ビヒクル群の平均腫瘍容積は、3027mm3になった。
陽性対照パクリタキセルは、本研究において抗腫瘍作用を示し、平均腫瘍容積が1982mm3(T/C=65.5%、腫瘍成長阻害率=34.5%、p<0.001)であることから、腫瘍モデルの樹立成功が示された。
アンペロジド(2mg/kg)およびネピカスタット(48mg/kg)群における平均腫瘍容積は、それぞれ、1948mm3(T/C=64.4%、腫瘍成長阻害率=35.6%、p<0.001)および1992mm3(T/C=66%、腫瘍成長阻害率=34.2%、p<0.001)であった。
【0126】
【表5】
【0127】
【表6】
【0128】
上記の結果から、アンペロジドおよびネピカスタットは、パクリタキセルと類似の腫瘍阻害活性を有することが示された。
しかしながら、アンペロジドおよびネピカスタットは、上記の実施例3に記載したインビトロ抗増殖アッセイの結果により証明されたように、パクリタキセルと同じ細胞毒性作用を有さなかった。
【0129】
実施例5:
肝臓癌のマウスモデルにおけるネピカスタットおよびエタミカスタットの抗PD-1モノクローナル抗体と比較したインビボ抗癌活性
ネピカスタット、エタミカスタットおよび抗PD-1モノクローナル抗体(mAb)の抗癌活性を、実施例2に記載した実験手順に従いH22マウス肝臓癌異種移植モデルにおいて評価した。
【0130】
腫瘍接種後の様々な時点での全処置群における腫瘍容積変化の結果を表4に示す。
ネピカスタットおよびエタミカスタット処置による腫瘍成長および体重変化を表すデータを、それぞれ、図4Aおよび4Bに示す。
表5に、H22肝臓腫瘍のインビボ成長に対するネピカスタット、エタミカスタットおよび抗PD-1 mAbの阻害活性をまとめてある。
22日目に、ビヒクル群の平均腫瘍容積は、1718.9mm3になった。
陽性対照抗PD-1 mAb(10mg/kg、毎週2回(BIW)×6用量、腹腔内投与(i.p.))は、本研究において強力な抗腫瘍有効性を示し、平均腫瘍容積が165.65mm3(T/C=9.64%、腫瘍成長阻害率=90.36%、p<0.001)であることから、腫瘍モデルの樹立成功が示された。
ネピカスタット(1日1回(QD)×20日、経口投与(p.o.))処置群の50mg/kgおよび100mg/kgの平均腫瘍容積は、それぞれ、880.28mm3(T/C=51.21%、腫瘍成長阻害率=48.79%、p<0.001)および1275.47mm3(T/C=74.20%、腫瘍成長阻害率=25.80%、p<0.001)であった。
エタミカスタット(1日1回(QD)×20日、経口投与(p.o.))処置群の80mg/kgおよび160mg/kgの平均腫瘍容積は、それぞれ1,210.52mm3(T/C=70.42%、腫瘍成長阻害率=29.58%、p<0.05)および1,309.12mm3(T/C=76.16%、腫瘍成長阻害率=23.84%、p>0.05)であった。
【0131】
【表7】
【0132】
【表8】
【0133】
上記の結果から、インビボH22肝臓癌モデルにおけるネピカスタットおよびエタミカスタットの抗腫瘍阻害活性が確認される。
【0134】
実施例6:
CT-26マウス結腸癌およびEMT-6マウス乳癌の異種移植モデルにおけるネピカスタットのインビボ抗癌活性
CT-26マウス結腸癌およびEMT-6マウス乳癌の異種移植モデルにおけるインビボ腫瘍成長阻害について、ネピカスタットをさらに試験した。
ネピカスタットは経口投与した。
【0135】
CT-26マウス結腸癌異種移植モデルにおける腫瘍成長抑制および体重変化に関するネピカスタットの経口投与の結果を図5Aに示す。
EMT-6マウス乳癌異種移植モデルにおける腫瘍成長抑制および体重変化に関するネピカスタットの経口投与の結果を図5Bに示す。
腫瘍接種後の様々な時点での表記の各処置群の腫瘍容積変化を示すデータを表6に示す(マウス5匹/群)。
表7に、CT-26およびEMT-6マウス腫瘍モデルにおけるネピカスタットの抗腫瘍阻害の有効性をまとめてある。
50mg/kgのネピカスタットを経口投与した群(1日1回(QD))は、CT2-6モデルおよびEMT-6モデルにおいてそれぞれ34.30%(p<0.001)および23.09%(p<0.001)の腫瘍阻害率を示した。
【0136】
【表9】
【0137】
【表10】
【0138】
上記の結果から、ネピカスタットは結腸癌および乳癌に対しても抗腫瘍阻害作用を有することが示される。
【0139】
上述の実施形態に対して、その広範な発明思想を逸脱することなく変更をなし得ることが当業者により理解されよう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神および範囲内の改変を包含することを意図していることが理解される。
【0140】
参考文献
1.Rush RA and Geffen LB.Dopamine beta-hydroxylase in health and disease.Critical Reviews in Clinical Laboratory Sciences 1980,12(3):241-77.
2.Glennon RA.Phenylisopropylamine stimulants:amphetamine-related agents.in Lemke TL,Williams DA,Roche VF,Zito W.Foye’sPrinciples of Medicinal Chemistry(7th ed.).Philadelphia,USA:Wolters Kluwer Health/Lippincott Williams & Wilkins.2013;pp.646-648.ISBN 9781609133450.
3.Taylor KB.Dopamine-beta-hydroxylase.Stereochemical course of the reaction.J.Biol.Chem.1974;249(2):454-458.
4.Horwitz D,Alexander RW,Lovenberg W,and Keiser HR.Human serum dopamine-β-hydroxylase.Relationship to hypertension and sympathetic activity.Circ.Res.1973;32(5):594-599.
5.Mutschler J,Abbruzzese E,Witt SH,Dirican G,Nieratschker V,Frank J,et al.Functional polymorphism of the dopamine β-hydroxylase gene is associated with increased risk of disulfiram-induced adverse effects in alcohol-dependent patients.Journal of Clinical Psychopharmacology 2012;32(4):578-80.
6.Ella E,Sato N,Nishizawa D,Kageyama S,Yamada H,et al.Association between dopamine beta hydroxylase rs5320 polymorphism and smoking behaviour in elderly Japanese.Journal of Human Genetics 2012;57(6):385-90
7.Bhaduri N,Sinha S,Chattopadhyay A,Gangopadhyay PK,Singh M,and Mukhopadhyay KK.Analysis of polymorphisms in the dopamine beta hydroxylase gene:association with attention deficit hyperactivity disorder in Indian children.Indian Pediatrics 2005;42(2):123-9.
8.Cubells JF,Sun X,Li W,Bonsall RW,McGrath JA,Avramopoulos D,……,Elston RC.Linkage analysis of plasma dopamine β-hydroxylase activity in families of patients with schizophrenia.Human Genetics 2011;130(5):635-43.
9.Combarros O,Warden DR,Hammond N,Cortina-Borja M,Belbin O,Lehmann MG et al.The dopamine β-hydroxylase-1021C/T polymorphism is associated with the risk of Alzheimer’s disease in the Epistasis Project.BMC Medical Genetics 2010;11(161):162.
10.Goldstein M,Anagnoste B,Lauber E,and Mckeregham MR.Inhibition of dopamine-beta-hydroxylase by disulfiram.Life Sciences 1964;3(7):763-7.
11.Goldstein M,Lauber E,and Mckereghan MR.The inhibition of dopamine-beta-hydroxylase by tropolone and other chelating agents.Biochemical Pharmacology 1964;13(7):1103-6.
12.Stanley WC,Li B,Bonhaus DW,Johnson LG,Lee K,Porter S,et al.Catecholamine modulatory effects of nepicastat(RS-25560-197),a novel,potent and selective inhibitor of dopamine-beta-hydroxylase.British Journal of Pharmacology 1997;121(8):1803-9.
13.Beliaev A,Learmonth DA,and Soares-da-Silva P.Synthesis and biological evaluation of novel,peripherally selective chromanylimidazolethione-based inhibitors of dopamine beta-hydroxylase.J Med Chem.2006;49(3):1191-7.
14.Cvek B.and Dvorak Z.Targeting of Nuclear Factor-κB and Proteasome by Dithiocarbamate Complexes with Metals.Current Pharmaceutical Design 2007;13(30):3155-67.
15.Wickstroem M,Danielsson K,Rickardson L,Gullbo J,Nygren P,Isaksson A,et al.Pharmacological profiling of disulfiram using human tumor cell lines and human tumor cells from patients.Biochemical Pharmacology 2007;73(1):25-33.
16.Schweizer MT1,Lin J,Blackford A,Bardia A,King S,Armstrong AJ,et al.Pharmacodynamic study of disulfiram in men with non-metastatic recurrent prostate cancer.Prostate Cancer Prostatic Dis.2013;16(4):357-61.
17.Huang J,Campian JL,Gujar AD,Tran DD,Lockhart AC,et al.A phase I study to repurpose disulfiram in combination with temozolomide to treat newly diagnosed glioblastoma after chemoradiotherapy.J Neurooncol.2016;128(2):259-66.
18.Nechushtan H,Hamamreh Y,Nidal S,Gotfried M,Baron A,Shalev YI,et al.A phase IIb trial assessing the addition of disulfiram to chemotherapy for the treatment of metastatic non-small cell lung cancer.Oncologist.2015;20(4):366-7.
19.Verma S,Stewart DJ,Maroun JA,Nair RC.A randomized phase II study of cisplatin alone versus cisplatin plus disulfiram.Am J ClinOncol.1990;13(2):119-24.
20.Kontoghiorghes GJ,Piga A,and Hoffbrand AV.Cytotoxic and DNA-inhibitory effects of iron chelators on human leukaemic cell lines.Hematol.Oncol.1986;4(3):195-204.
21.Ononye SN,VanHeyst MD,Oblak EZ,Zhou W,Ammar M,Anderson AC,and Wright DL.Tropolones as lead-like natural products:the development of potent and selective histone deacetylase inhibitors.ACS Med Chem Lett.2013;4(8):757-61.
22.Cook EH,Fletcher KE,Wainwright M,Marks N,Yan SY,and Leventhal BL.Primary structure of the human platelet serotonin 5-HT2A receptor:identify with frontal cortex serotonin 5-HT2A receptor.Journal of Neurochemistry 1994;63(2):465-9.
23.Martin P,Waters N,Schmidt CJ,Carlsson A,and Carlsson ML.Rodent data and general hypothesis:antipsychotic action exerted through 5-HT2A receptor antagonism is dependent on increased serotonergic tone.Journal of Neural Transmission 1998;105(4-5):365-96.
24.Aghajanian GK,Marek GJ.Serotonin,via 5-HT2A receptors,increases EPSCs in layer V pyramidal cells of prefrontal cortex by an asynchronous mode of glutamate release.Brain Research 1999;825(1-2):161-71.
25.Marek GJ,Wright RA,Gewirtz JC,and Schoepp DD(2001).A major role for thalamocortical afferents in serotonergic hallucinogen receptor function in the rat neocortex.Neuroscience 2001;105(2):379-92.
26.Bortolozzi A,Diaz-Mataix L,Scorza MC,Celada P,and Artigas F.The activation of 5-HT receptors in prefrontal cortex enhances dopaminergic activity.Journal of Neurochemistry 2005;95(6):1597-607.
27.Amargos-Bosch M,Bortolozzi A,Puig MV,Serrats J,Adell A,Celada P,Toth M,Mengod G,Artigas F(March 2004).‘‘Co-expression and in vivo interaction of serotonin1A and serotonin2A receptors in pyramidal neurons of prefrontal cortex’’.Cerebral Cortex 14(3):281-99.doi:10.1093/cercor/bhg128.PMID 14754868.
28.Feng J,Cai X,Zhao J,and Yan Z.Serotonin receptors modulate GABA(A) receptor channels through activation of anchored protein kinase C in prefrontal cortical neurons.The Journal of Neuroscience 2001;21(17):6502-11.
29.Marek GJ.Activation of adenosine(1)(A(1)) receptors suppresses head shakes induced by a serotonergic hallucinogen in rats.Neuropharmacology 2009;56(8):1082-7.
30.Zhang C and Marek GJ.(January 2008).AMPA receptor involvement in 5-hydroxytryptamine 2A receptor-mediated pre-frontal cortical excitatory synaptic currents and DOI-induced head shakes.Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry 2008;32(1):62-71.
31.Gewirtz JC and Marek GJ.(November 2000).Behavioral evidence for interactions between a hallucinogenic drug and group II metabotropic glutamate receptors.Neuropsychopharmacology 2000;23(5):569-76.
32.Marek GJ and Zhang C.Activation of metabotropic glutamate 5(mGlu5) receptors induces spontaneous excitatory synaptic currents in layer V pyramidal cells of the rat prefrontal cortex.Neuroscience Letters 2008;442(3):239-43.
33.Lambe EK,Liu RJ,and Aghajanian GK.Schizophrenia,hypocretin(orexin),and the thalamocortical activating system.Schizophrenia Bulletin 2007;33(6):1284-90.
34.Liu RJ and Aghajanian GK.Stress blunts serotonin- and hypocretin-evoked EPSCs in prefrontal cortex:role of corticosterone-mediated apical dendritic atrophy.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2008;105(1):359-64.
35.Duerk T,Panther E,Mueller T,Sorichter S,Ferrari D,Pizzirani C,et al.5-Hydroxytryptamine modulates cytokine and chemokine production in LPS-primed human monocytes via stimulation of different 5-HTR subtypes.International Immunology 2005;17(5):599-606.
36.Urban JD,Clarke WP,von Zastrow M,Nichols DE,Kobilka B,Weinstein H,et al.Functional selectivity and classical concepts of quantitative pharmacology.The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 2007;320(1):1-13.
37.Harvey JA.Role of the serotonin 5-HT(2A) receptor in learning.Learning & Memory 2003;10(5):355-62.
38.Williams GV,Rao SG,and Goldman-Rakic PS.The physiological role of 5-HT2A receptors in working memory.The Journal of Neuroscience 2002;22(7):2843-54.
39.Yu B,Becnel J,Zerfaoui M,Rohatgi R,Boulares AH,and Nichols CD.Serotonin 5-hydroxytryptamine(2A) receptor activation suppresses tumor necrosis factor-alpha-induced inflammation with extraordinary potency.The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 2008;327(2):316-23.
40.Nau F,Yu B,Martin D,Nichols CD.Serotonin 5-HT2A receptor activation blocks TNF-α mediated inflammation in vivo.PloS One 2013;8(10):e75426.
41.Van de Kar LD,Javed A,Zhang Y,Serres F,Raap DK,and Gray TS.5-HT2A receptors stimulate ACTH,corticosterone,oxytocin,renin,and prolactin release and activate hypothalamic CRF and oxytocin-expressing cells.The Journal of Neuroscience 2001;21(10):3572-9.
42.Zhang Y,Damjanoska KJ,Carrasco GA,Dudas B,D’Souza DN,Tetzlaff J,et al.Evidence that 5-HT2A receptors in the hypothalamic paraventricular nucleus mediate neuroendocrine responses to(-)DOI.The Journal of Neuroscience 2002;22(21):9635-42.
43.Hegde SS and Friday KF.Dopamine-beta-hydroxylase inhibition:a novel sympatho-modulatory approach for the treatment of congestive heart failure.Current Pharmaceutical Design 1998;4(6):469-79.
44.De La Garza,R 2nd,Bubar MJ,Carbone CL,Moeller FG,Newton TF,et al.Evaluation of the dopamine β-hydroxylase(DβH) inhibitor nepicastat in participants who meet criteria for cocaine use disorder.Prog.Neuropsychopharmacol.Biol.Psychiatry.2015;59:40-8.
45.Nunes T,Rocha JF,Vaz-da-Silva M,Igreja B,Wright LC,et al.Safety,tolerability,and pharmacokinetics of etamicastat,a novel dopamine-β-hydroxylase inhibitor,in a rising multiple-dose study in young healthy subjects.Drugs in R & D 2010;10(4):225-242.
46.Almeida L,Nunes T,Costa R,Rocha JF,Vaz-da-Silva M,and Soares-da-Silva P.Etamicastat,a novel dopamine β-hydroxylase inhibitor:tolerability,pharmacokinetics,and pharmacodynamics in patients with hypertension.ClinTher.2013;35(12):1983-96.
47.Svartengren J andSimonsson P.Receptor binding properties of amperozide.Pharmacology and Toxicology.1990;66 Suppl 1:8-11.
48.Meltzer HY,Zhang Y,Stockmeier CA.Effect of amperozide on rat cortical 5-HT2 and striatal and limbic dopamine D2 receptor occupancy:implications for antipsychotic action.European Journal of Pharmacology.1992;216(1):67-71.
49.Eriksson E.Amperozide,a putative anti-psychotic drug:uptake inhibition and release of dopamine in vitro in the rat brain.Life Sciences.1990;47(23):2111-7.
50.Yamamoto BK and Meltzer HY.The effect of the atypical antipsychotic drug,amperozide,on carrier-mediated striatal dopamine release measured in vivo.Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics.1992;263(1):180-5.
51.Grenhoff J,Tung CS,Ugedo L,and Svensson TH.Effects of amperozide,a putative antipsychotic drug,on rat midbrain dopamine neurons recorded in vivo.Pharmacology and Toxicology.1990;66 Suppl 1:29-33.
52.Axelsson R,Nilsson A,Christensson E,and Bjoerk A.Effects of amperozide in schizophrenia.An open study of a potent 5-HT2 receptor antagonist.Psychopharmacology(Berlin).1991;104(3):287-92.
53.Kyriakis SC,Martinsson K,Olsson NG,and Bjork A.Thin sow syndrome(TSS):the effect of amperozide.British Veterinary Journal.1990;146(5):463-7.
54.Kyriakis SC,Olsson NG,Martinsson K,and Bjoerk AK.Observations on the action of amperozide:are there social influences on sow-litter productivity?Research in Veterinary Science.1991;51(2):169-73.
55.Papp I,Waller C,and Biro O.Practical experiences in the therapy of postweaning edema disease in piglets.Berliner und MunchenerTierarztlicheWochenschrift.(German) 1996;109(10):385-7.
56.Yan H,Zhang B,Li S,Zhao Q.A formal model for analyzing drug combination effects and its application in TNF-alpha-induced NFkappaB pathway.BMC Syst Biol.2010;4:50.
57.Axelsson R et al.Effects of amperozide in schizophrenia.An open study of a potent 5-HT2 receptor antagonist.Psychopharmacology,1991,104:287-292.
58.De La Garza II R et al.Evaluation of the dopamine β-hydroxylase(DβH) inhibitor nepicastat in participants who meet criteria for cocaine use disorder.Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry,2015,59:40-48.
59.Nunes T et al.Safety,Tolerability,and Pharmacokinetics of Etamicastat,a Novel Dopamine-b-Hydroxylase Inhibitor,in a Rising Multiple-Dose Study in Young Healthy Subjects.Drugs R D.2010,10(4):225-242.
図1
図2A-2B】
図3A-3B】
図4A-4B】
図5A-5B】