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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】モンキーレンチヘッド部材
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/14 20060101AFI20221028BHJP
   B25B 23/142 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
B25B13/14 C
B25B23/142
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021079523
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】521115498
【氏名又は名称】瞬豐實業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Matatakitoyo Tool Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 28,Ln.67,Hecuo St.,Xitun Dist.,Taichung City 407,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼逸民
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05697166(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0139224(US,A1)
【文献】米国特許第07117765(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 13/14
B25B 23/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モンキーレンチヘッド部材であって、
1つの本体の前端には、1つの固定顎が立設され、
1つの可動顎は、前記本体の前記前端に配設されるとともに、前記本体に対して往復運動すると、前記可動顎から前記固定顎までの距離が変化し、
1組の螺着部材の寸法規格の大きさに基づき、前記本体の表面に色が互いに異なる1組の識別領域が設けられ、各前記識別領域は、単一の前記螺着部材の寸法規格に対応し、
前記識別領域は、第1の識別領域、第2の識別領域、第3の識別領域及び第4の識別領域を含み、
各前記識別領域は、色料が収容された凹部を有し、前記凹部は、1つの狭溝及び1つの広槽を含み、前記広槽の直径又は幅は、前記狭溝の幅より大きく、前記狭溝は、一端が前記本体の前記前端に接続され、他端が前記広槽に接続され、前記狭溝は、直線状又は湾曲状に形成され、前記広槽がその他の前記識別領域を避け、複数の前記識別領域の前記狭溝のうち、少なくとも1つ以上の狭溝は湾曲状に形成され、
前記可動顎の側面には、1つの指示部が設けられ、前記指示部は、任意の前記識別領域を指し示し、前記識別領域の色により対応した寸法規格の前記螺着部材を識別し得ることを特徴とする、モンキーレンチヘッド部材。
【請求項2】
前記識別領域、前記螺着部材の寸法規格及びトルク値の対応関係は、以下の表の通りであり、
表中では、対辺距離(mm)により前記螺着部材の寸法規格が表され、国際単位制(N・m)によりトルク値が表されることを特徴とする請求項に記載のモンキーレンチヘッド部材。
【請求項3】
前記指示部は、色料が収容された1つの角槽を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のモンキーレンチヘッド部材。
【請求項4】
前記角槽は、正三角形又は二等辺三角形であることを特徴とする請求項に記載のモンキーレンチヘッド部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具の識別分野に関し、特に、異なる色により1つの寸法規格の螺着部材又はワークピースを識別する、モンキーレンチヘッド部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、開口スパナ、モンキーレンチ、メガネレンチ、六角レンチ及びその付属部品(例えば、ソケット)などの従来の工具の一般的な標記方式に関しては、工具表面に、少なくとも1つの識別性のある文字又は符号が刻印されるか、工具の表面に大面積の識別標記が刻まれ、半永久的に標記して識別可能とすることが一般的であった。
【0003】
前述した方式は、長年工具に使用されてきたが、依然として問題点があった。例えば、正常な使用状況下では、油脂により標記の一部又は全部が覆われると、使用者は作業を中断し、油脂を拭き取って標記を読取り、工具がワークピースの寸法規格に適用することを確認しなければならないか、一部の開口スパナの背面に標記されていなかったため、レンチをひっくり返して正面を向けなければならず、横向きから縦向きに変えなければ、標記をはっきりと見ることができないこともあった。
【0004】
前述した方式の問題点を減らすか無くすために、特許文献1の工具識別方法は、少なくとも1つの凹溝が工具の表面に形成され、上述した凹溝は、ヤード・ポンド法及びメートル法を区分するために、所定の幅を有する。凹溝内には、カラーリングを形成する着色材料が収容される。上述した着色材料は、工具の表面下に陥入されるとともに、寸法数字を表示し、各種カラーにより10個の算用数字の数列を形成し、任意の数の凹溝及び色によりどんな規格も表示することができるため、非常に多くの寸法組み合わせが得られる。
【0005】
しかし、使用者は各色が表す数字を長期間、記憶する必要があったため、頻繁に使用しない場合、色が表す数字を忘れてしまい、工具と螺着部材又はワークピースとの対応関係が混乱して分からなくなり、探す時間が無駄に増え、組立て時間が長くなったり修理の効率が下がったりした。
【0006】
次に、各工具には、少なくとも1つの操作端が設けられ、単一の寸法規格の螺着部材又はワークピースにしか適用できなかった。1組の寸法が異なる工具を携帯しなければ、適合する工具を選択し、螺着部材又はワークピースを締付けるか緩めることはできなかった。しかし、このように多くの工具の体積は大きかったため、運搬するのに不便であった。また、間違った寸法の工具を選択し易かった。
【0007】
しかし、標記からはトルク値が分からなかったため、使用者は、個人の経験に基づいて工具のトルクを決定し、締付けるか緩める作業を行っていたが、過度に締付けた場合、螺着部材又はワークピースが破壊されて使用できなくなり、十分締付けられない場合、螺着部材又はワークピースが振動により緩んでしまうことがあった。
【0008】
特許文献2のモンキーレンチは、ハンドルに固定顎及び可動顎が設けられている。可動顎とハンドルとの並列箇所には、1組の目盛が設けられる。しかし10目盛当たり1つの算用数字しか設けられていなかったため、可動顎と固定顎との組み合わせにより螺着部材又はワークピースを挟持し、十進法に算用数字を組み合わせ、2組の目盛のデータを計算しなければ、螺着部材又はワークピースの寸法規格は得られなかった。さらには、ハンドルの中間部の換算表に基づき、メートル法及びヤード・ポンド法を換算するため、非常に面倒であった。
【0009】
上述した換算表には、寸法規格及びトルク値の対応関係が含まれ、暗算又は電子計算機による計算をしなければならなかったため、計算に時間がかかる上、目盛の間隔が小さいため、視差により誤差が生じ易く、測定結果に悪影響を与えることがあった。
【0010】
そのため、色識別及び目盛測定の欠点を改善することが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第4982627号明細書
【文献】中国実用新案公告第2118617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
こうした現状に鑑み、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、上述した従来技術の問題点を改善し、モンキーレンチヘッドが構成可能である上、着脱して交換可能なヘッド部材を採用し、度量衡の計算をしなくても、対応した寸法規格の螺着部材を色により識別し、色識別及び目盛測定の従来技術の問題点を改善する、モンキーレンチヘッド部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、モンキーレンチヘッド部材であって、1つの本体(11)の前端(14)には、1つの固定顎(12)が立設され、1つの可動顎(40)は、前記本体(11)の前記前端(14)に配設されるとともに、前記本体(11)に対して往復運動すると、前記可動顎(40)から前記固定顎(12)までの距離(D1~D4)が変化し、1組の螺着部材の寸法規格の大きさに基づき、前記本体(11)の表面に色が互いに異なる1組の識別領域が設けられ、各前記識別領域は、単一の前記螺着部材の寸法規格に対応し、前記可動顎(40)の側面(46又は461)には、1つの指示部(47)が設けられ、前記指示部(47)は、任意の前記識別領域を指し示し、前記識別領域の色により対応した寸法規格の前記螺着部材を識別し得ることを特徴とする、モンキーレンチヘッド部材が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のモンキーレンチヘッド部材は、目盛で測定せず、暗算又は電子計算機による計算を行う必要もなく、従来、カラー識別で長期間の記憶が必要である上、選択・運搬も不便であり、トルク値を知る機能も無かった従来技術の欠点を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のモンキーレンチヘッド部材の第1実施例を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るモンキーレンチヘッド部材を示す部分拡大図である。
図3】本発明の一実施形態に係るモンキーレンチヘッドの第1の表面における可動顎の連続動作状態を示す説明図である。
図4】本発明の一実施形態に係るモンキーレンチヘッドの第1の表面における可動顎の連続動作状態を示す説明図である。
図5】本発明の一実施形態に係るモンキーレンチヘッドの第1の表面における可動顎の連続動作状態を示す説明図である。
図6】本発明の一実施形態に係るモンキーレンチヘッドの第1の表面における可動顎の連続動作状態を示す説明図である。
図7】本発明のモンキーレンチヘッド部材を備えた第1実施例の開口スパナを示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る開口スパナのトルク指示ユニットを示す部分拡大図である。
図9】本発明の一実施形態に係る開口スパナにより締付けか緩めるときの状態を示す説明図である。
図10】本発明の一実施形態に係るモンキーレンチヘッド部材の第2実施例の第2の表面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の技術手段及びそれにより達成可能な効果を、より完全かつ明白に開示するために、開示した添付の図面及び符号と併せて本発明を以下に詳説する。
【0017】
図1を参照する。図1に示すように、ヘッド部材10の第1実施例は、1つの本体11と、1組の識別領域と、1つの操作部材と、1つの可動顎40と、1つの指示部47とを含むがこれだけに限定されるわけではない。
【0018】
本体11は、硬く、ベース18が一端に設けられる。ベース18の大きめの表面には、中央から外方に延びた1つの挿入部19が延設される。挿入部19の1つの球槽21には、1つの鋼球20及び1つの弾性部材22が取り付けられる。弾性部材22は、鋼球20を押動して挿入部19の側辺から鋼球20の一部が常時露出された状態である。鋼球20は、挿入部19から離れ難く、力を受けると球槽21に引き込まれ、弾性部材22を圧縮させて変形させる。
【0019】
本体11の他端は、前端14に形成される。1つの固定顎12は、立設されて前端14に固定される。固定顎12の一面の噛合面13には、前端14が隣接される。1つの開口溝15は、本体11の前端14に形成され、1つの竪穴151が前端14の平行方向に沿って本体11の両辺に貫通される。1つの開口152は、竪穴151及び本体11の前端14に接合される。
【0020】
図1に示すように、可動顎40は、硬い角塊である。角塊と1本の直杆43とは1つの扁平部42を介して接続される。直杆43の外側には、1列の谷部44が形成され、直杆43は、単辺に複数の歯部45が設けられる。直杆43が竪穴151に挿入されると、扁平部42が開口152を通過し、可動顎40を支えて前端14に沿って固定顎12に対して往復運動する。直杆43の直径(又は幅)が開口152の距離より大きいため、可動顎40が開口152を介して本体11から外れることを防ぐことができる。可動顎40は、固定顎12に対向した一面に形成された噛合面41を有する。
【0021】
また、本体11の頂部(即ち、図2の第1の表面23)から底部(即ち、図9の第2の表面231)にかけて1つの操作孔17が形成される。操作孔17と竪穴151とが連通し、直杆43の一部が操作孔17から露出され、谷部44及び歯部45が見える。竪穴151の軸心の平行方向で、1つの軸孔16が本体11内部に形成されるとともに、操作孔17の対辺に貫通される。上述した操作部材を操作孔17に設置し、1本の軸34が軸孔16を介して操作部材の1つの円柱体35に挿通される。操作部材の1つの螺旋盤36は、円柱体35の外部の円周面に取り囲むように設けられる。螺旋盤36の一部は、本体11の表面から突出され、直杆43の歯部45に噛接(又は噛合)され、可動顎40の変位に必要な動力が得られる。
【0022】
本実施形態において、当該組の識別領域は、第1の識別領域24、第2の識別領域25、第3の識別領域26及び第4の識別領域27を含むがこれだけに限定されるわけではない。当該組の識別領域の色はそれぞれ異なるとともに、1組の螺着部材の異なる寸法規格に基づき、本体11の第1の表面23に設けられる。そのため、各識別領域の色は、単一の螺着部材の寸法規格に対応する。
【0023】
指示部47は、可動顎40の側面46に設けられるため、度量衡を計算しなくても、可動顎40と固定顎12との組み合わせにより螺着部材(図示せず)を挟持したときに、指示部47が指し示す識別領域により、色に対応した寸法規格の螺着部材を識別することができる。
【0024】
以下の表1は、対辺距離(mm)により螺着部材の寸法規格を表し、国際単位制(N・m)によりトルク値を表し、当該組の識別領域、螺着部材の寸法規格及び1つのトルク値の対応関係を示す。
【0025】
【表1】
【0026】
実際に使用する際、螺旋盤36により円柱体35を同じ方向で回転させ、歯部45の噛接関係により、直杆43が扁平部42を一緒に移動させ、可動顎40と固定顎12との間隔距離を変化させる。例えば、図3の距離D4は、図4の距離D3及び図5の距離D2を経て、図6の距離D1まで縮まる。
【0027】
図3を参照する。図3に示すように、指示部47は、第4の識別領域27を指し示し、第4の識別領域27の色料33の色から、距離D4は、可動顎40と固定顎12との組み合わせにより挟持する螺着部材の寸法規格が29mmであることが上述した表1から分かる。図4に示すように、第3の識別領域26の色料33の色から、距離D3は、螺着部材の寸法規格が26mmであることが分かる。図5に示すように、第2の識別領域25の色料33の色から、距離D2は、螺着部材の寸法規格が22mmであることが分かる。勿論、図6に示すように、第1の識別領域24の色料33の色から、距離D1は、螺着部材の寸法規格が17mmであることが分かる。
【0028】
特に、本発明では寸法の記憶の有無は重要でなく、色料33の色が分かれば、当該組の識別領域と、螺着部材の寸法規格との対応関係を知ることができ、後続の使用に影響を与えることがない。
【0029】
図2を再び見ると分かるように、第4の識別領域27は、1つの広端及び1つの狭端を有し、広端は円形であり、その直径は狭端の幅より大きいが、他の実施形態では、広端が多角形であり、その幅は、狭端の幅より大きくてもよく、それらも本発明に含まれる。
【0030】
第4の識別領域27は、1つの色料33が収容された凹部30により構成される。凹部30は、本体11の第1の表面23に形成される。詳細には、凹部30は、1つの狭溝31及び1つの広槽32を含む。狭溝31は、一端が本体11の前端14に接続され、他端が広槽32に接続される。狭溝31は、折り曲げられ、第4の識別領域27の狭端として用いられ、広槽32がその他の識別領域を避けられるようにする。このように、広槽32は、第4の識別領域27の広端に相当する。
【0031】
他の識別領域は、第4の識別領域27と略同じであるが、第1の識別領域24及び第2の識別領域25の狭溝31が湾曲状であり、第3の識別領域26の狭溝31が直線状である点が異なる。
【0032】
また、指示部47は、色料48が収容された角槽49である。角槽49は、正三角形又は二等辺三角形であり、三角形の1つの角部は、本体11の第1の表面23に対向し、各識別領域の狭端に位置合わせされる。
【0033】
図7を参照する。図7に示すように、ヘッド部材10に1つのボディ部材51を組み合わせて1つの開口スパナ50を構成する。ヘッド部材10が可動顎を有するため、開口スパナ50は、可動式開口スパナとも称される。
【0034】
図7に示すように、ボディ部材51は、1本の杆52を有する。杆52は、一端に1つのコネクタ53が枢着され、他端に1つの結合スリーブ58が接続される。結合スリーブ58は、杆52に固定され、1つのハンドル55が取り付けられる。ハンドル55の結合スリーブ58に近い端部には、透明カバー56が設けられる。透明カバー56は、目盛リング561を遮蔽する。目盛リング561は、トルクを表す1組の目盛562を有する。
【0035】
コネクタ53に挿入部19が挿入されるとき、ベース18により挿入部19がコネクタ53に挿入される深さが深くなりすぎることを防ぐことができる。挿入部19の鋼球20がコネクタ53の1つのボタン54に当接されると、ボタン54がコネクタ53から突出される。ボタン54が鋼球20に押圧されると挿入部19に戻り、挿入部19をコネクタ53から外すことができる。同じ道理により、中空状のコネクタ53が他のヘッド部材10を受けると、トルク工具の組立作業が完了する。
【0036】
図8を参照する。図8に示すように、結合スリーブ58は、1つのトルクインジケーターユニット57を有する。トルクインジケーターユニット57の1つのハウジング571は、結合スリーブ58の外表面から突出され、ハウジング571が1つの透明蓋574に結合される。透明蓋574は、1つの第1のカラー領域575、1つの第2のカラー領域576、1つの第3のカラー領域577及び1つの第4のカラー領域578を遮蔽し、各カラー領域は1つのトルク値579をそれぞれ表す。ハウジング571の1つの先端572は、目盛リング561の目盛562を指し示し、トルクレベルを表示する。先端572から透明蓋574までの間には、トルク単位573が設けられる。トルク単位573には、ニュートンメートル(N・m)の国際単位系が用いられ、ハウジング571の表面に刻印されている。
【0037】
図2図7及び図8を参照する。図2図7及び図8に示すように、第1のカラー領域575の色は、第1の識別領域24と同じ色か似た色であり、18N・mのトルク値579により寸法規格が17mmの螺着部材を回転させることが好ましい。そのため、覚える必要がない上、暗算又は電子計算機による計算も必要ない。トルクインジケーターユニット57は、色により開口スパナ50の正確なトルク値を知らせることができる。
【0038】
同じ道理により、同じ色又は似た色の第2のカラー領域576及び第2の識別領域25のヘッド部材10は、トルク値579が42N・mで寸法規格が22mmである螺着部材を回すことが好ましい。同じ色又は似た色の第3のカラー領域577及び第3の識別領域26の場合、55N・mのトルクで寸法規格が26mmである螺着部材を回すことが好ましい。或いは、色が同じ(又は似た色)の第4のカラー領域578及び第4の識別領域27は、65N・mのトルクにより寸法規格が29mmである螺着部材を回すことが好ましい。
【0039】
図9を参照する。図9に示すように、1つの空調装置70の組立又はメンテナンス作業を行う際、1つの開口スパナ60の1つの柄61は、1つの頭部62を有する。頭部62には、2つの固定顎63が立設される。これら2つの固定顎63の同じ方向の一面には噛合面64が形成され、2つの噛合面64の間隔距離は変化しない。そのため開口スパナ60は、固定式であり、2つの固定顎63を1つのナット76に嵌合させることができる。ナット76は、1つの接合管77の端部に設けられるとともに、1つの管コネクタ72に近い。管コネクタ72は、空調装置70の1本の管71に設けられ、1本のねじ軸75が管コネクタ72及びナット76に螺着されることにより、管71が接合管77に結合される。
【0040】
仮に、開口スパナ50により管コネクタ72を回転させる場合、管コネクタ72は、6つの平面を有し、少なくとも1つの平面73には、カラー74が着色される。同じ色の組合関係に基づき、可動顎40がカラー74と同じ色(又は似た色)の識別領域に移動すると、噛合面41から固定顎12までの距離が変化する。同時に、開口スパナ50を識別領域と同じ色のカラー領域のトルクに変更することにより、管コネクタ72の回転に適合させ、管コネクタ72の構造を傷つけることを防ぐことができる。言い換えると、本実施形態の開口スパナ50は、固定式の開口スパナ60よりも容易に適切なトルクを見つけ出すことができる。
【0041】
上述したことから分かるように、本発明のモンキーレンチヘッド部材は、以下(1)~(3)の長所を有する。
(1)ヘッド部材とボディ部材との組み合わせにより構成されているため、ヘッド部材を取り外してボディ部材を他のヘッド部材に結合させることができる。
(2)可動顎と固定顎との組み合わせにより螺着部材を挟持することにより、度量衡を計算しなくても、可動顎の指示部が指し示す識別領域により、色識別に対応した寸法規格を知ることができるため、操作が簡単かつ容易である。
(3)暗記、記憶、暗算又は電子計算機による計算を行わなくても、色識別ヘッド部材により螺着部材のトルク値を知ることができる。
【0042】
図10を参照する。図10では、第2の表面231の平面角度が採用され、ヘッド部材10’の第2実施例を示す。ヘッド部材10’の構造は、第1実施例に略等しいが、本体11の第2の表面231にもう一組の識別領域が別途形成される点が異なる。
【0043】
可動顎40の側面461は指示部47を有する。指示部47の先端は、任意の識別領域の狭端を指し示す。広端及び/又は識別領域の色が可動顎40から固定顎12までの距離に対応し、螺着部材の寸法規格に適用し、ヘッド部材10’は螺着部材に適切なトルクを加えることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 ヘッド部材
10’ ヘッド部材
11 本体
12 固定顎
13 噛合面
14 前端
15 開口溝
16 軸孔
17 操作孔
18 ベース
19 挿入部
20 鋼球
21 球槽
22 弾性部材
23 第1の表面
24 第1の識別領域
25 第2の識別領域
26 第3の識別領域
27 第4の識別領域
30 凹部
31 狭溝
32 広槽
33 色料
34 軸
35 円柱体
36 螺旋盤
40 可動顎
41 噛合面
42 扁平部
43 直杆
44 谷部
45 歯部
46 側面
47 指示部
48 色料
49 角槽
50 開口スパナ
51 ボディ部材
52 杆
53 コネクタ
54 ボタン
55 ハンドル
56 透明カバー
57 トルクインジケーターユニット
58 結合スリーブ
60 開口スパナ
61 柄
62 頭部
63 固定顎
64 噛合面
70 空調装置
71 管
72 管コネクタ
73 平面
74 カラー
75 ねじ軸
76 ナット
77 接合管
151 竪穴
152 開口
231 第2の表面
461 側面
561 目盛リング
562 目盛
571 ハウジング
572 先端
573 トルク単位
574 透明蓋
575 第1のカラー領域
576 第2のカラー領域
577 第3のカラー領域
578 第4のカラー領域
579 トルク値
D1 距離
D2 距離
D3 距離
D4 距離
【要約】
【課題】異なる色により1つの寸法規格の螺着部材又はワークピースを識別するモンキーレンチヘッド部材を提供する。
【解決手段】1つの本体11の前端14には、1つの固定顎が立設される。1つの可動顎40は、前記本体11の前記前端14に配設されるとともに、前記本体11に対して往復運動すると、前記可動顎40から前記固定顎までの距離が変化する。1組の螺着部材の寸法規格の大きさに基づき、前記本体11の表面に色が互いに異なる1組の識別領域が設けられ、各前記識別領域は、単一の前記螺着部材の寸法規格に対応する。前記可動顎40の側面46には、1つの指示部47が設けられる。前記指示部47は、任意の前記識別領域を指し示し、前記識別領域の色により対応した寸法規格の前記螺着部材を識別し得る。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10