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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】履物の底板構造
(51)【国際特許分類】
   A43B 7/1485 20220101AFI20221028BHJP
   A43B 3/12 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
A43B7/1485
A43B3/12 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022094602
(22)【出願日】2022-06-10
【審査請求日】2022-06-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517266506
【氏名又は名称】じぶんde株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000073
【氏名又は名称】特許業務法人プロテック
(74)【代理人】
【識別番号】100167070
【弁理士】
【氏名又は名称】狹武 哲詩
(74)【代理人】
【識別番号】100108051
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 生央
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哲也
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-121388(JP,A)
【文献】登録実用新案第3076557(JP,U)
【文献】特開2009-189804(JP,A)
【文献】特開2020-114345(JP,A)
【文献】特開2001-029106(JP,A)
【文献】特開2012-070955(JP,A)
【文献】特開2021-065671(JP,A)
【文献】登録実用新案第3093690(JP,U)
【文献】登録実用新案第3106354(JP,U)
【文献】国際公開第2002/003822(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 3/00,3/12,7/1485,13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部及び足の甲にかける横緒部からなる鼻緒と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台と、を備えた履物であって、
前記足台は、使用者の踵を載せる踵部と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記踵部に対してつま先側の部位を欠落させた欠落部を有し、
当該欠落部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向することを特徴とする履物。
【請求項2】
足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部及び足の甲にかける横緒部からなる鼻緒と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台と、を備えた履物であって、
前記足台は、使用者の踵を載せる踵部と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記踵部に対してつま先側の部位の厚さを薄くした薄肉部を有し、
当該薄肉部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向し、前記前緒部に対して親指側に対向しないことを特徴とする履物。
【請求項3】
請求項1に記載した履物であって、
前記足台は、踵の部分を欠落させた踵欠落部をさらに有することを特徴とする履物。
【請求項4】
請求項2に記載した履物であって、
前記足台は、上下の2層構造を有し、
当該2層構造のうちの一方である上の層は、欠落部を設けずに足の外周をかたどった形状であり、
当該2層構造のうちの他方である下の層は、使用者の踵を載せる踵部と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記踵部に対してつま先側の部位を欠落させた欠落部を有することを特徴とする履物。
【請求項5】
請求項2に記載した履物であって、
前記足台は、上下の2層構造を有し、
当該2層構造のうちの一方である下の層は、欠落部を設けずに足の外周をかたどった形状であり、
当該2層構造のうちの他方である上の層は、使用者の踵を載せる踵部と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記踵部に対してつま先側の部位を欠落させた欠落部を有することを特徴とする履物。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載した履物であって、
前記足台は、踵の部分を欠落させた踵欠落部をさらに有することを特徴とする履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草履やサンダルのような足首から下方が開放される履物の底板構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
草履やサンダルのような足首から下方が開放された開放式履物は、一般に、足裏の形をした平板状の足底に、ベルトや鼻緒を取り付けることによって構成されている。また、従来、足底に突起を設け、歩行しながら足裏のつぼを刺激したり、足底を横方向に傾斜させてO脚やX脚を補正したりするといった健康によい機能を有する草履やサンダルが普及している。
【0003】
従来、この種の技術としては、特許文献1に記載された技術がある。特許文献1には、人差し指を中心にして親指対中指・薬指・小指の3本が1対3になるように鼻緒の前坪を取り付ける位置を人差し指を挟むように2か所に設定し、更に人差し指が乗る天の部分を2~5mmほど高くした健康サンダルについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3232282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、ビーチサンダルのような安価な履物においても、健康によい機能を有することが望まれている。特に、海辺のように水着を着用しているときに、O脚が目立たないようにするため、O脚を補正する機能を有するビーチサンダルの出現が望まれる。
【0006】
本発明は、このような要望に応え、O脚を補正する機能を有する履物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備える。
【0008】
(1) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部21)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部22)からなる鼻緒(例えば、鼻緒20)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台10)と、を備えた履物(例えば、履物1)であって、
前記足台は、使用者の踵を載せる踵部と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記踵部に対してつま先側の部位を欠落させた欠落部(例えば、欠落部10c)を有し、
当該欠落部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向することを特徴とする履物。
【0009】
(2) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部21)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部22)からなる鼻緒(例えば、鼻緒20)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台10)と、を備えた履物(例えば、履物1)であって、
前記足台は、使用者の踵を載せる踵部と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記踵部に対してつま先側の部位の厚さを薄くした薄肉部(例えば、足台15における欠落部16aの部位)を有し、
当該薄肉部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向し、前記前緒部に対して親指側に対向しないことを特徴とする履物。
(3) (1)の履物であって、
前記足台は、踵の部分を欠落させた踵欠落部をさらに有することを特徴とする履物。
(4) (2)の履物であって、
前記足台は、上下の2層構造を有し、
当該2層構造のうちの一方である上の層は、欠落部を設けずに足の外周をかたどった形状であり、
当該2層構造のうちの他方である下の層は、使用者の踵を載せる踵部と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記踵部に対してつま先側の部位を欠落させた欠落部を有することを特徴とする履物。
(5) (2)の履物であって、
前記足台は、上下の2層構造を有し、
当該2層構造のうちの一方である下の層は、欠落部を設けずに足の外周をかたどった形状であり、
当該2層構造のうちの他方である上の層は、使用者の踵を載せる踵部と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記踵部に対してつま先側の部位を欠落させた欠落部を有することを特徴とする履物。
(6) (4)又は(5)の履物であって、
前記足台は、踵の部分を欠落させた踵欠落部をさらに有することを特徴とする履物。
【0010】
(1)~(6)によれば、使用者が本発明の履物を履いて歩行した場合、足裏におけるつま先側でかつ外側の部位が地面から離間するため、使用者の体重は、使用者の足裏の内側側部に集中する。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、O脚を補正する機能を有する履物を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態における履物1の外観を示す斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3】本発明の第1の実施形態の変形例における履物2の外観を示す斜視図である。
図4】本発明の第2の実施形態における履物3の外観を示す斜視図である。
図5図4の正面図である。
図6】本発明の第2の実施形態の変形例における履物3の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態における履物1の外観を示す斜視図である。図2は、図1の正面図である。履物1は、所謂、ビーチサンダルであり、足台10と、鼻緒20と、を備えている。なお、図1図2は、使用者の左足に履かせる履物1を示しており、右足に履かせる履物1は左足に履かせる履物1に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物1についての詳細な説明は省略する。また、
【0015】
足台10は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、足の外周をかたどってなる平板状の部材であり、使用者の踵が載せられる踵部10aと、使用者のつま先が載せられるつま先部10bと、を備えている。
【0016】
鼻緒20は、布や合成樹脂によって構成され、前緒部21と、横緒部22と、によって構成されている。前緒部21は、足台10の板面から上方に延びて、使用者の足の親指と人差し指とによって挟まれる部分であり、足台10のつま先部10bに配置されている。横緒部22は、布製や合成樹脂製の紐状或いは帯状の部材によって構成されており、前緒部21を基端として足台10における親指側の側部(以下、内側側部と称する)に向かって延びる内横緒部22aと小指側の側部(以下、外側側部と称する)に向かって延びる外横緒部22bとの2つに分かれている。内横緒部22a及び外横緒部22bの終端部は、足台10の足踏まずの領域の両側部にそれぞれ固定される。
【0017】
足台10は、前緒部21に対して小指側に欠落部10cを更に備えている。欠落部10cは、足台10におけるつま先側の端部から足台10の長手方向に沿って切れ目を入れ、前緒部21に対して若干小指寄りの部位を通り、外横緒部22bの終端部に対して若干つま先寄りの部位を通って、足台10における外側側部まで緩やかな弧状に切断することによって形成される。
【0018】
次に、使用者が履物1を履いた状態について説明する。
【0019】
このように構成された履物1は、使用者が鼻緒20に足を通し、使用者の足の親指と人差し指との間に前緒部21を挟めることによって履くことができる。このとき、内横緒部22aが使用者の親指の付け根を通り、外横緒部22bが使用者の足の甲を通ることで、履物1が使用者の足から外れ難くなる。
【0020】
使用者が履物1を履いた状態において、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分と、短小趾屈筋における土踏まずの側方の部分とに欠落部10cが対向する。つまり、足裏を土踏まず付近でつま先側と踵側とに2分割し、このうちつま先側を更に親指側(内側)と小指側(外側)とに分割した場合に、つま先側の外側半分の部位が、欠落部10cに概ね対向する。
【0021】
このため、使用者が履物1を履いて歩行した場合、足裏におけるつま先側の外側半分の部位が地面から離間するため、使用者の体重は、使用者の足裏の内側側部に集中する。また、使用者は、直立や歩行の際に、欠落部10cが対向している足裏の外側部分が地面に付かないように意識を持つようになる。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。
【0022】
このように構成された本実施形態によれば、使用者が履くことにより、使用者の体重が足裏の内側側部に集中するため、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。これにより、海辺で水着に着替えている場合に、使用者はO脚を余り気にせずに歩くことが可能になる。なお、本実施形態によれば、足裏の外側にできた魚の目にスピール膏を貼着した場合、履物1を履くことにより、スピール膏を貼着した部位を地面から離間させることができるため、歩行の際にスピール膏がずれたり剥がれたりすることを低減できる効果も期待できる。
【0023】
[第1の実施形態の変形例]
図3は、本発明の第1の実施形態の変形例における履物2の外観を示す斜視図である。第1の実施形態の変形例における履物2は、図1に示す第1の実施形態における履物1の足台10に、踵の部分を欠落させた欠落部10dを更に形成したものである。この欠落部10dは、踵欠落部と呼ぶことができる。
【0024】
このように構成された第1の実施形態の変形例によれば、履物2は欠落部10dを有することにより、使用者はつま先立ちで歩くような格好になり、履物2を履いて歩くことよって、自然にふくらはぎ、太腿の裏から尻にかけての筋肉を鍛錬することが可能になる。また、履物2は欠落部10cを有することにより、上述した、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。
【0025】
図4は、本発明の第2の実施形態における履物3の外観を示す斜視図である。図5は、図の正面図である。なお、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を伏すことで、詳細な説明は省略する。
【0026】
履物3は、足台15と、鼻緒20と、を備えている。履物3は、第1の実施形態における足台10が足台15である点で第1の実施形態における履物1と異なる。
【0027】
足台15は、第1層16と第2層17との2層構造である。第1層16は、欠落部16aを有する。また、第1層16は、第1の実施形態における履物1に係る足台10のつま先の角部に面取りを施した以外は同一もしくは厚さが異なる形状であり、欠落部16aは、履物1に係る足台10の欠落部10cと同じ部位に形成されている。
【0028】
第2層17は、第1層16において欠落部16aが形成されてない、足の外周をかたどった形状である。足台15は、第1層16の下面と第2層17の上面とを接着することによって構成され、欠落部16aの部位に段差が形成される。
【0029】
履物3は、足台15に、第1の実施形態における履物1と同様に鼻緒20を取り付けることによって完成する。
【0030】
使用者が履物3を履いたとき、使用者の足裏におけるつま先側の外側部分が欠落部16aによる段差分だけ離間して第2層17の上面に対向する。
【0031】
このため、第2の実施形態における履物3は、第1の実施形態における履物1と同様に、使用者が履物1を履いて直立した場合、使用者の体重が、使用者の足裏の内側側部に集中する。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。また、欠落部16aの下方が第2層17によって覆われているため、履物3を砂浜で使用する場合に、砂浜の砂に足裏が直接触れることがなくなる。
【0032】
[第2の実施形態の変形例]
第2の実施形態の履物3は、足台15の第1層16と第2層17との上下を入れ替えて、第2層17を上層とし、第1層16を下層としてもよい。
【0033】
このように構成された第2の実施形態の変形例でも、第2の実施形態の履物3と同様の作用効果を奏する。
【0034】
また、第2の実施形態の履物3においても、第1の実施形態の変形例の履物2と同様に、足台15における踵の部位を欠落させてもよい。これにより、使用者はつま先立ちで歩くような格好になり、自然にふくらはぎ、太腿の裏から尻にかけての筋肉を鍛錬することが可能になる。また、図3に示す例では踵の部位を円弧状に欠落させているが、図6に示すように、直線上に欠落させてもよい。
【0035】
また、図3図6に示すように踵の部位を円弧状に欠落させた履物の下面に、第2の実施形態の履物3における第2層17を接着して、2層に構成してもよい。これにより、砂浜の砂に踵が直接触れることがなくなる。
【0036】
なお、第2の実施形態及びその変形例においては、足台15が2層に形成されているが、足台における使用者の足裏の外側部分が対向する部位に、板厚を薄くした薄肉部を形成したものであれば、1層(単板)であってもよい。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限るものではない。例えば、上述した実施形態は、ビーチサンダルを例として説明したが、草履に適用することも可能である。また、足板は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成されているが、足板の材質はそれに限るものではない。例えば、木材で構成してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1~3 履物
10 足台
10a 踵部
10b つま先部
10c 欠落部
10d 欠落部
15 足台
16 第1層
16a 欠落部
17 第2層
20 鼻緒
21 前緒部
22 横緒部
22a 内横緒部
22b 外横緒部
【要約】
【課題】O脚を補正する機能を有する履物を提供すること。
【解決手段】足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部21及び足の甲にかける横緒部22からなる鼻緒20と、この鼻緒20が取り付けられ、足が載せられる足台10と、を備えた履物1であって、足台10は、前緒部21に対して外側でかつ使用者の踵が載せられる領域に対してつま先側の部位を欠落させた欠落部10cを有し、使用者が履物1を履いた状態において、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分と、短小趾屈筋における土踏まずの側方の部分と、に欠落部10cが対向する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6