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特許7166073乗り心地モバイル端末デバイスアプリケーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】乗り心地モバイル端末デバイスアプリケーション
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20221028BHJP
   B66B 31/00 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B31/00 D
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018091032
(22)【出願日】2018-05-10
(65)【公開番号】P2018193245
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-04-27
(31)【優先権主張番号】15/593,707
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
【住所又は居所原語表記】One Carrier Place,Farmington,Connecticut,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ スコット コープランド
(72)【発明者】
【氏名】ジンホ ソン
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/137960(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0284214(US,A1)
【文献】特開2015-168560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00- 5/28
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの診断アルゴリズムを記憶するクラウドコンピューティングネットワークと、
前記クラウドコンピューティングネットワークとデータを交換するように通信を行うモバイル端末デバイスであって、前記モバイル端末デバイスが、乗客コンベアシステムの乗り心地データを判断し、前記乗り心地データを前記クラウドコンピューティングネットワークに送信するように構成される、前記モバイル端末デバイスと、を備え、
前記モバイル端末デバイスが、診断動作に関連する第1のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を生成し、診断動作の選択に応答して動作指示を表示する第1のモードと、前記第1のGUIから選択された診断動作に対応する前記少なくとも1つの診断アルゴリズムによって提供される診断結果を表示するように構成されるGUIを生成する第2のモードと、において動作し、
診断される異なるコンポーネントが、前記選択された診断動作に従って自動的に決定され、前記第2のモードのGUIは、前記選択された診断動作の実行に応答して決定された前記コンポーネントの各々の前記診断結果を表示する、乗客コンベア診断システム。
【請求項2】
前記乗客コンベアシステムが、エレベータシステムである、請求項1に記載の乗客コンベア診断システム。
【請求項3】
前記乗り心地データが、機械ノイズ、エレベータドアノイズ、エレベータかごノイズ、及びエレベータかご振動のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の乗客コンベア診断システム。
【請求項4】
前記乗客コンベアシステムが、エスカレータシステムである、請求項1に記載の乗客コンベア診断システム。
【請求項5】
前記乗り心地データが、機械ノイズ、踏段振動、踏段ノイズ、駆動チェーンノイズ、手すりノイズ、手すり振動、踏段速度、及び制動速度のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の乗客コンベア診断システム。
【請求項6】
前記モバイル端末デバイスが、複数の利用可能な診断動作の中から診断動作を選択するように構成される第1のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を生成する第1のモードと、前記第1のGUIから選択された前記診断動作に対応する前記少なくとも1つの診断アルゴリズムによって提供される診断結果を表示するように構成されるGUIを生成する第2のモードと、において動作する、請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項7】
前記モバイル端末デバイスが、スマートフォン、コンピュータタブレット、またはスマートウォッチのうちの1つである、請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項8】
乗客コンベアシステムを診断するように構成されるモバイル端末デバイスであって、
乗り心地アプリケーションを記憶するメモリユニットと、
前記乗客コンベアシステムの乗り心地データを判断するように構成される少なくとも1つのセンサと、
クラウドコンピューティングネットワークと通信を確立するネットワークインタフェースデバイスと、
前記ネットワークインタフェースデバイスを介して前記クラウドコンピューティングネットワークとデータを交換し、前記乗り心地データを前記クラウドコンピューティングネットワークに送信するように構成されるとともに、前記モバイル端末デバイスの画面上に表示される少なくとも1つのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を生成する電子ハードウェアコントローラであって、前記GUIが、前記乗客コンベアシステムの少なくとも1つの診断結果を表示する、前記電子ハードウェアコントローラと、を備え
前記コントローラが、診断動作に関連する第1のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を生成し、診断動作の選択に応答して動作指示を表示する第1のモードと、前記第1のGUIから選択された前記診断動作に対応する少なくとも1つの診断アルゴリズムによって提供される診断結果を表示するように構成されるGUIを生成する第2のモードと、を呼び出し、
診断される異なるコンポーネントが、前記選択された診断動作に従って自動的に決定され、前記第2のモードのGUIは、前記選択された診断動作の実行に応答して決定された前記コンポーネントの各々の前記診断結果を表示する、前記モバイル端末デバイス。
【請求項9】
前記乗り心地データが、エレベータ機械ノイズ、エレベータドアノイズ、エレベータかごノイズ、エレベータかご振動、エスカレータ機械ノイズ、エスカレータ踏段振動、エスカレータ踏段ノイズ、エスカレータ踏段速度、エスカレータ手すりノイズ、エスカレータ手すり振動、及びエスカレータ制動速度のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のモバイル端末デバイス。
【請求項10】
前記コントローラが、複数の利用可能な診断動作の中から診断動作を選択するように構成される第1のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を生成する第1のモードと、前記第1のGUIから選択された前記診断動作に対応する前記少なくとも1つの診断アルゴリズムによって提供される診断結果を表示するように構成されるGUIを生成する第2のモードと、を呼び出す、請求項9に記載のモバイル端末デバイス。
【請求項11】
前記第1のGUIが、前記診断動作を選択することに応答して動作指示を表示する、請求項10に記載のモバイル端末デバイス。
【請求項12】
前記第2のGUIが、選択された前記診断動作を実行することに応答して、前記乗客コンベアシステムのコンポーネントに対応する少なくとも1つの診断結果を表示する、請求項11に記載のモバイル端末デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの診断結果が、前記コンポーネントに対応する記録されたノイズ、前記コンポーネントの画像、前記コンポーネントに対応する概略図、前記コンポーネントに対応するメンテナンス指示のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のモバイル端末デバイス。
【請求項14】
前記モバイル端末デバイスが、スマートフォン、コンピュータタブレット、またはスマートウォッチのうちの1つである、請求項8に記載のモバイル端末デバイス。
【請求項15】
乗客コンベアシステムを診断する方法であって、
少なくとも1つの診断アルゴリズムをクラウドコンピューティングネットワークに記憶することと、
前記クラウドコンピューティングネットワークと通信を行うモバイル端末デバイスを介して、前記乗客コンベアシステムの乗り心地データを判断することと、
前記クラウドコンピューティングネットワーク前記乗り心地データを送信することと、
前記クラウドコンピューティングネットワークから受信された診断結果を受信することに応答して少なくとも1つの診断結果を表示することであって、前記診断結果が、前記少なくとも1つの診断アルゴリズムを前記乗り心地データに適用することに応答して生成される、前記表示することと、を備え、
前記少なくとも1つの診断結果を表示することが、
診断動作に関連する第1のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を生成する第1のモードで前記モバイル端末を動作させ、
前記第1のGUIから選択された前記診断動作に対応する前記少なくとも1つの診断アルゴリズムによって提供される診断結果を表示するように構成されるGUIを生成する第2のモードで前記モバイル端末を動作させる、
ことをさらに備え、
診断される異なるコンポーネントが、前記選択された診断動作に従って自動的に決定され、前記第2のモードのGUIは、前記選択された診断動作の実行に応答して決定された前記コンポーネントの各々の前記診断結果を表示する、方法。
【請求項16】
前記乗り心地データが、エレベータ機械ノイズ、エレベータドアノイズ、エレベータかごノイズ、エレベータかご振動、エスカレータ機械ノイズ、エスカレータ踏段振動、エスカレータ踏段ノイズ、エスカレータ踏段速度、エスカレータ手すりノイズ、エスカレータ手すり振動、及びエスカレータ制動速度のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
複数の利用可能な診断動作の中から診断動作を選択するように構成される第1のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を生成する第1のモードと、前記第1のGUIから選択された前記診断動作に対応する前記少なくとも1つの診断アルゴリズムによって提供される診断結果を表示するように構成されるGUIを生成する第2のモードと、において前記モバイル端末を動作させることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記乗り心地データが、エレベータ機械ノイズ、エレベータドアノイズ、エレベータかごノイズ、エレベータかご振動、エスカレータ機械ノイズ、エスカレータ踏段振動、エスカレータ踏段ノイズ、エスカレータ踏段速度、エスカレータ手すりノイズ、エスカレータ手すり振動、及びエスカレータ制動速度のうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの診断結果が、色付きグラフィックのうちの少なくとも1つを含む可視化インジケータ、前記結果の説明を提供するテキストメッセージ、前記コンポーネントに対応する記録されたノイズ、前記コンポーネントの画像、前記コンポーネントに対応する概略図、及び前記コンポーネントに対応するメンテナンス指示のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記モバイル端末デバイスが、スマートフォン、コンピュータタブレット、またはスマートウォッチのうちの1つである、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、乗客コンベアシステムに関し、より詳細には、乗客コンベアのメンテナンス及び動作診断に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシステム、エスカレータシステムなどの乗客コンベアシステムのサービスプロバイダは、例えば、修理が必要な既存の故障または欠陥を注意するユーザの苦情に一部依存している。コンポーネントまたはシステムがいつ故障するか分からないために、システムが、予定外の時間にオフラインにされなければならないだけでなく、一旦問題が識別されると、正確な診断のための乗り心地データを取得するために、1回または複数回のフォローアップ訪問が必要とされることがよくある。さらに、コンポーネントの欠陥が識別される前後の乗客コンベアシステムの診断及びモニタリングが、回路、制御ボックス、駆動システム、または様々なパネルの後ろに隠れているか、または正常動作中には見えないところにある可能性がある、コンポーネントへのアクセスを必要とする場合がある。回路、制御ボックス、駆動システム、または他のコンポーネントにアクセスすることは、必要なコンポーネントへのアクセスを技術者に提供するためにシステムが稼働停止されることを要し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
乗客コンベア診断システムは、クラウドコンピューティングネットワークと信号通信を行うモバイル端末を含む。クラウドコンピューティングネットワークは、少なくとも1つの診断アルゴリズムを記憶する。モバイル端末デバイスは、乗客コンベアシステムの乗り心地データを判断し、クラウドコンピューティングネットワークと乗り心地データを交換するように構成される。モバイル端末デバイスは、さらに、クラウドコンピューティングネットワークから受信される1つまたは複数の診断結果を表示する。診断結果は、少なくとも1つの診断アルゴリズムを乗り心地データに適用することに応答して、クラウドコンピューティングネットワークによって生成される。
【0004】
別の非限定的な実施形態は、乗客コンベアシステムを診断するように構成されるモバイル端末デバイスを提供する。モバイル端末デバイスは、乗り心地アプリケーションを記憶するメモリユニットと、乗客コンベアシステムの乗り心地データを判断するように構成される少なくとも1つのセンサと、を備える。モバイル端末デバイスは、クラウドコンピューティングネットワークと通信を確立するネットワークインタフェースデバイスと、ネットワークインタフェースデバイスを介してクラウドコンピューティングネットワークと乗り心地データを交換する電子ハードウェアコントローラと、をさらに含む。ハードウェアコントローラは、さらに、モバイル端末デバイスの画面上に表示される少なくとも1つのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を生成する。GUIは、乗客コンベアシステムの少なくとも1つの診断結果を表示する。
【0005】
別の非限定的な実施形態は、乗客コンベアシステムを診断する方法を提供する。方法は、少なくとも1つの診断アルゴリズムをクラウドコンピューティングネットワークに記憶することと、クラウドコンピューティングネットワークと信号通信を行うモバイル端末デバイスを介して、乗客コンベアシステムの乗り心地データを判断することと、を含む。方法は、クラウドコンピューティングネットワークと乗り心地データを交換することと、クラウドコンピューティングネットワークから受信された診断結果を受信することに応答して少なくとも1つの診断結果を表示することと、をさらに含む。診断結果は、少なくとも1つの診断アルゴリズムを乗り心地データに適用することに応答して生成される。
【0006】
以下の説明は、いかなるやり方でも限定と考えられるべきではない。添付図面に関して、類似の要素には同様に番号が付される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】非限定的な実施形態による、コンピューティングシステムのブロック図である。
図2】非限定的な実施形態による、クラウドコンピューティングネットワークを示す。
図3】非限定的な実施形態によるエレベータシステムの周辺で動作する乗り心地ソフトウェアアプリケーションがインストールされたモバイル端末デバイスを示す。
図4】非限定的な実施形態によるエスカレータシステムの周辺で動作する乗り心地ソフトウェアアプリケーションがインストールされたモバイル端末デバイスを示す。
図5A】非限定的な実施形態による、乗り心地ソフトウェアアプリケーションによって提供されるホームインタフェースを表示するモバイル端末デバイスを示す。
図5B】非限定的な実施形態による、乗り心地ソフトウェアアプリケーションによって提供される診断結果インタフェースを表示するモバイル端末デバイスを示す。
図6】非限定的な実施形態による、モバイル端末デバイス上にインストールされた乗り心地ソフトウェアアプリケーションを使用して乗客コンベアシステムを診断する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
開示される装置及び方法の1つまたは複数の実施形態の詳細な説明は、限定ではなく例示として図面を参照して本明細書中に提示される。
【0009】
「約」という用語は、本願出願時点に入手可能な機器に基づく特定の数量の測定値に関連する誤差の程度を含むように意図される。例えば、「約」は、所与の値の±8%、または5%、または2%の範囲を含み得る。
【0010】
ここで図1を参照すると、本発明の1つまたは複数の実施形態を実行することが可能なコンピューティングシステム100が示される。コンピューティングシステム100は、メモリ102及び電子ハードウェアプロセッサ106を含む。メモリ102は、プロセッサ106によって実行可能な多様な命令アルゴリズムを記憶する。実行可能な命令は、1つまたは複数のプロセス、ルーチン、手続き、方法、関数などと関連して、いずれかの方式で、及びいずれかのレベルの抽象概念で記憶され、または編成され得る。実施例として、命令の少なくとも一部が、第1のプログラム104a及び第2のプログラム104bに関連するものとして図1に示される。
【0011】
プロセッサ106は、メモリ102及び1つまたは複数の入力/出力(I/O)デバイス108と電気的に通信することができる。いくつかの実施形態では、I/Oデバイス(複数可)108は、キーボードもしくはキーパッド、タッチスクリーンもしくはタッチパネル、ディスプレイ画面、マイクロフォン、スピーカ、マウス、ボタン、リモートコントロール、ジョイスティック、プリンタ、電話、またはモバイルデバイス(例えば、スマートフォン)などのうちの1つまたは複数を含み得る。I/Oデバイス(複数可)108は、ユーザがシステム100と対話することを可能にするインタフェースを提供するように構成され得る。
【0012】
コンピューティングシステム100は、クラウドコンピューティングネットワーク200と電気的に通信可能なネットワークインタフェース110をさらに含む。ネットワークインタフェース110は、クラウドコンピューティングネットワーク200と有線及び/または無線通信を確立する、ネットワークプロトコル(例えば、Wi-Fi、イーサネット、衛星、ケーブル通信など)に従って動作する任意の通信デバイス(例えば、モデム、無線ネットワークアダプタなど)を含む。
【0013】
コンピューティングシステム100が、実施例として示される。いくつかの実施形態では、エンティティのうちの1つまたは複数が、任意選択であってもよい。いくつかの実施形態では、図示されない追加的なエンティティが含まれ得る。例えば、いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム100は、1つまたは複数のコンピュータまたは電話ネットワークなどの、1つまたは複数のネットワークに関連し得る。いくつかの実施形態では、エンティティが、図1に示されるものとは異なる方式で配置され、または編成され得る。
【0014】
ここで図2を参照すると、本発明の1つまたは複数の実施形態を実行することが可能なクラウドコンピューティングネットワーク200が、非限定的な実施形態に従って示される。クラウドコンピューティングネットワーク200は、クラウドサーバ202、1つまたは複数のモバイル端末デバイス204、及び1つまたは複数のバックエンドコンピュータ206を含む。
【0015】
クラウドサーバ202は、計算動作を容易にするための多様なデータを記憶することができ、その中で計算動作を実行して、結果をモバイル端末デバイス204、及び/またはバックエンドコンピュータ206に出力することができる。例えば、クラウドサーバ202は、選択機能のためのセットアップパラメータを記憶することができる。いくつかの実施形態では、セットアップパラメータは、コントローラに記憶され得る。いくつかの実施形態では、コントローラとクラウドサーバ202との間に接続損失がある場合、コントローラに位置される簡略化されたフェールオーバ機能が存在し得る。クラウドサーバ202は、メトリックレポート、及びダウンロードされたソフトウェア(SW)アプリケーションを記憶することもできる。クラウドサーバ202は、多様な診断テスト動作を実行し、及び/または診断テストから生じるデータもしくはレポートを記憶することもできる。クラウドサーバ202は、デバイスのグループの動作及び機能性を制御することもできる。
【0016】
いくつかの実施形態では、動作メトリックは、クラウドサーバ202において、複数ユニット、サイト、またはグループのポートフォリオにわたって収集され得る。メトリックは、例えば、バックエンドコンピュータ206によって、ポートフォリオの全体像を提供するために分析され得る。例えば、分析は、傾向を示し、ニーズ(例えば、製品ニーズまたは機能性ニーズ)に応じて使用され得る。分析は、診断またはトラブルシューティングのケイパビリティを容易にするためにも使用され得る。メトリックは、販売促進の正確性をもたらすため、または強化するために使用され得る。メトリックは、予防メンテナンス活動などのメンテナンス活動を提供し、または予定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、新規デバイスで動作するように構成されるインタフェースプロトコルが、例えば、クラウドサーバ202に記憶され、ローカルコントローラによって使用され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、診断、予知、及び遠隔修理/救助機能のための機能的なアップグレードは、それらがクラウドサーバ202にリリースされ、展開されるときに、顧客に展開され得る。機能性は、バックエンドコンピュータ206において開発され(モバイル端末デバイス204から離れて位置するサーバ位置207にインストールされ)、クラウドサーバ202に展開され得る。機能性が動作上または安全上の要件を満たすことを保証するために、1つまたは複数のテストが実行され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、クラウドサポート型コントローラ(図示せず)の現代化が、もたらされ得る。コントローラは、クラウドサーバ202を利用して、新規な特徴を可能にするかまたは新規なデバイス/機器をサポートすることができる。現代化の前、または現代化の間、コントローラは、クラウドサーバ202を介してアップデートを受信して、新規な機器へのインタフェースプロトコルをサポートし、及び/または新規な機能/ケイパビリティを追加し得る。例えば、新規なインタフェースを必要とする新規な設備が追加される場合、一旦新規な設備が、コントローラ上のソフトウェアのアップグレードを必要とすることなくクラウドネットワーク200に統合されると、コントローラは、クラウドサーバ202からの新規な機能性を有効にし得る。さらに別の実施例として、新規なディスパッチアルゴリズムが、プロジェクトの現代化フェーズの間にトラフィックを最適化するために、クラウドから実装されてもよい。
【0019】
モバイル端末デバイス204は、ネットワークインタフェースによって容易にされる1つまたは複数の接続、チャネル、またはリンクを介してクラウドサーバ202と通信することが可能である。この方式では、モバイル端末デバイス204及びクラウドサーバ202は、互いの間でデータを交換することができる。クラウドサーバ202は、モバイルデバイス204及びバックエンドコンピュータ206の間でデータ交換を容易にすることもできる。
【0020】
モバイル端末デバイス204は、例えば、乗客コンベア位置205において、またはその付近に位置し得るスマートフォン204を含み、接続208を介してクラウドサーバ202と電気的に通信可能である。接続208は、1つまたは複数の通信プロトコル、規格などに従い得る。例えば、接続208は、電話、セルラ、Wi-Fi、イーサネット、衛星、またはケーブル通信に従い得る。いくつかの実施形態では、接続208は、一定または永続的であってもよい。モバイル端末デバイス204は、以下ではスマートフォン204と呼ばれるが、モバイル端末デバイス204は、1つまたは複数の記憶されたソフトウェアアプリケーション(即ち、アプリ)及びクラウドサーバ202との対話を容易にすることが可能な任意のモバイルデバイスを含むことができる。例えば、モバイル端末デバイス204は、コンピュータタブレット、ラップトップコンピュータ、スマートウォッチなどを含むこともできる。
【0021】
スマートフォン204は、ディスプレイ220、及び1つまたは複数のセンサを含む。センサは、1つまたは複数のカメラ222、スピーカ224、マイクロフォン226、及び加速度計228を含むが、これらに限定されない。カメラ222は、スマートフォン204がディスプレイ220上で再生可能な静止画及び/または動画を取り込むことが可能である。スピーカ224は、スマートフォン204から外部環境へと音声を出力する。マイクロフォン226は、スマートフォン204の周辺に存在する音声及びノイズを取り込む。取り込まれたノイズは、メモリに記録され、スピーカ224を介して再生され得る。加速度計228は、単一軸及び/または複数軸の加速度計として構成されてもよく、スマートフォンの正確な加速度の大きさ及び方向をベクトル量として検出することが可能である。加速度計228は、スマートフォン204の向き、座標加速度、振動、衝撃、及び移動を感知することができる。
【0022】
上述のように、機能性は、クラウドサーバ(例えば、クラウドサーバ202)に(再)配置され得る。エレベータシステムに関して、例えば、このような機能性は、1つまたは複数の乗客コンベアデバイス、モバイル端末、動作モード決定、診断機能、特別契約の特徴などのためのディスパッチ機能を含んでもよい。ディスパッチ機能に関して、いくつかの実施形態では、例えば、建物の特定フロアに位置するホールボックスにおいて受けるサービスのためのユーザ要求が、クラウドサーバに通信されてもよく、クラウドサーバは、サービス要求を遂行するために、指定されたエレベータかごをその特定フロアに再配置するように指示するコマンドを送信してもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、ローカルコントローラ(図示せず)は、いくつかの機能性を保持し、したがって、そのような機能性をサポートするためのハードウェア及び計算リソースを含んでもよい。コントローラは、クラウドサーバ202と通信するためのハードウェア及び/またはソフトウェアを含むことができる。例えば、コントローラは、クラウドサーバ202とデータ及びコマンドを交換して制御機能を実行することができる。
【0024】
ここで図3を参照すると、エレベータシステム300の周辺で動作する乗り心地ソフトウェアアプリケーションがインストールされたモバイル端末デバイス204が、非限定的な実施形態に従って示される。エレベータシステム300は、図3を参照して説明されるが、スマートフォン204は、本発明の範囲から逸脱することなく、垂直エスカレータシステム、水平エスカレータシステム(即ち、自動動く歩道システム)などを含むがこれらに限定されない、他の種類の乗客コンベアシステムとともに動作することができると理解されるべきである。
【0025】
エレベータシステム300は、垂直昇降路(図示せず)内に配置されるエレベータかご302を駆動する機械301を含む。1つまたは複数のエレベータかごのレール304及びガイド306は、昇降路壁に取り付けられている。エレベータシステム300は、エレベータかご302を釣合い重り(図示せず)に連結する1つまたは複数の長尺部材308をさらに含む。少なくとも1つの実施形態では、長尺部材は、エレベータかご302を昇降路内の所望の方向(例えば、上方または下方)に推進するために、エレベータかご302及び釣合い重りの重量を支持するように構成される丸鋼ロープ308として形成される。単一のロープ308が示されているが、追加のロープが装備され得ると理解されるべきである。
【0026】
エレベータ機械301は、エレベータかご302から離れて位置する機械室303に設置される。エレベータ機械301は、回転して、ロープ308の動きがエレベータかご302を選択された方向に駆動するトラクションシーブ305を制御する。エレベータシステム300は、多様なトラクションロープ308の動きを案内することを支援するための1つまたは複数のそらせシーブまたはアイドラシーブ310をさらに含む。この方式では、エレベータかご302は、互いに対して垂直に配置された1つまたは複数の乗り場またはフロアに駆動され得る。したがって、エレベータかご302は、要求されたフロアへと駆動され、そこでは、乗客がエレベータドア312を経てかご302へ入るか、または出ることができる。
【0027】
さらに図3を参照すると、メンテナンス技術者または整備士250は、エレベータシステム300を診断する間、モバイル端末デバイス204を使用してエレベータかご302を操作し得る。モバイル端末デバイス204は、スマートフォンとして説明されるが、コンピュータタブレット、ラップトップコンピュータ、スマートウォッチなどを含むがこれらに限定されない、他の種類のモバイル端末またはユーザ機器(UE)デバイスが、採用されてもよい。
【0028】
メンテナンス技術者250は、スマートフォン204を操作して、エレベータシステム300のリアルタイム乗り心地データを取得することができる。例えば、スマートフォン204は、マイクロフォンを介してノイズ(例えば、軋み)を、及び/またはカメラを介してドア動作の画像を取り込むために、ドア312の付近に位置し得る。別の実施例では、かご302が、エレベータ走行中1つまたは複数のフロア間を進むときに、スマートフォン204は、加速度計によって振動を検出することができる。
【0029】
スマートフォン204は、乗り心地ソフトウェアアプリケーションがインストールされ、ネットワークインタフェースデバイスを介してクラウドコンピューティングネットワーク200と電気的に通信するように構成される。上述のように、ネットワークインタフェースデバイスは、クラウドコンピューティングネットワーク200と有線及び/または無線通信を確立するネットワークプロトコル(例えば、Wi-Fi、イーサネット、衛星、ケーブル通信など)に従って動作する、任意の通信デバイス(例えば、モデム、無線ネットワークアダプタなど)を含む。
【0030】
乗り心地ソフトウェアアプリケーションは、乗り心地の定量測定及び分析を提供することが可能である。例えば、乗り心地ソフトウェアアプリケーションは、エレベータシステム300のリアルタイム性能を想定される性能と比較することができる。乗り心地ソフトウェアアプリケーションによって生成される分析データは、スマートフォン204上にローカルに記憶されてもよく、及び/またはクラウドサーバ202に記憶されてもよい。分析データは、機械ノイズ、機械振動、エレベータかご振動、ロープノイズ、過渡/進行ノイズ、アイドラ/そらせノイズ、レール及びガイド振動、ならびにエレベータドアノイズを含むが、これらに限定されない。分析データは、クラウドサーバ202に記憶され、さらに、識別された問題が、最近の修理の取り組み後に解決されたかどうか、または問題が残っているかもしくは悪化したかを判断するために、経時的にアーカイブされ追跡され得る。
【0031】
図4を参照すると、エスカレータシステム400の周辺で動作する乗り心地ソフトウェアアプリケーションがインストールされたスマートフォン204が、非限定的な実施形態に従って示される。エスカレータシステム400は、下部乗り場404と上部乗り場406との間に延びるトラス402を含む。複数の連続的に接続された踏板または踏段408が、駆動チェーン(図示せず)に接続され、トラス402内の閉ループ経路を通じて進む。一対の手すり410は、トラス402に連結され、踏段408の反対側に位置する。手すり410は、踏段408と連動して移動して、乗客サポートを提供する。機械412は、踏段408及び手すり410を駆動する。機械412は、典型的には、例えば、下部乗り場404内に含まれる、乗り場のうちの1つの下の機械空間414に位置する。
【0032】
さらに図4を参照すると、メンテナンス技術者または整備士250は、例えば、スマートフォン204などの、乗り心地ソフトウェアアプリケーションがインストールされているモバイル端末デバイス204を使用してエスカレータシステム400の動作を診断することができる。上述のように、コンピュータタブレット、ラップトップコンピュータ、スマートウォッチなどを含むがこれらに限定されない、他の種類のモバイル端末UEデバイスが採用されてもよい。
【0033】
メンテナンス技術者または整備士250は、スマートフォン204を操作して、エスカレータシステム400のリアルタイム乗り心地データを取得することができる。例えば、スマートフォン204は、マイクロフォンを介してノイズ(例えば、軋み)を取り込むために手すり410の付近に位置されてもよく、及び/または加速度計によって振動を検出するために手すり410に当てて置かれてもよい。別の実施例では、スマートフォン204は、機械412の音声を記録するために、機械空間414内、または付近に位置され得る。さらに別の実施例では、スマートフォンのカメラは、動く踏段408及び/または手すり410の画像を取り込むことができる。
【0034】
スマートフォン204は、ネットワークインタフェースデバイスを介してクラウドコンピューティングネットワーク200と電気的に通信するように構成される。上述のように、ネットワークインタフェースデバイスは、クラウドコンピューティングネットワーク200と有線及び/または無線通信を確立するネットワークプロトコル(例えば、Wi-Fi、イーサネット、衛星、ケーブル通信など)に従って動作する、任意の通信デバイス(例えば、モデム、無線ネットワークアダプタなど)を含む。
【0035】
乗り心地ソフトウェアアプリケーションは、スマートフォン204によって取得される乗り心地の定量測定及び分析を提供することが可能である。例えば、乗り心地ソフトウェアアプリケーションは、エスカレータシステム400の実際の性能とその想定される性能とのリアルタイム比較を実行することが可能である。乗り心地ソフトウェアアプリケーションによって生成される分析データは、スマートフォン204上にローカルに記憶されてもよく、及び/またはクラウドサーバ202に記憶されてもよい。分析データは、機械ノイズ、機械振動、トラス振動、踏段振動、踏段ノイズ、手すり振動、手すりノイズ、及び駆動チェーンノイズを含むが、これらに限定されない。クラウドサーバ202に記憶された分析データは、さらに、識別された問題が、最近の修理の取り組み後に解決されたかどうか、または問題が残っているかもしくは悪化したかを判断するために、経時的にアーカイブされ追跡され得る。
【0036】
図5A及び5Bを参照すると、多様なモードで動作するスマートフォン204が示されている。各モードは、非限定的な実施形態に従って、対応するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示する。図5Aを参照すると、スマートフォンユーザ(例えば、メンテナンス技術者)にホームGUI500を提示する、診断選択モードで動作しているスマートフォン204が示されている。ユーザは、画面220上に表示されるタッチスクリーンアクチュエータ501にタッチすること、及び/またはスマートフォン204上にインストールされている他の入力アクチュエータ(図示せず)を使用することによって、ホームGUI500を操作することができる。
【0037】
ホームGUI500は、診断選択フィールド502、及びユーザ指示フィールド504を含む。診断選択フィールド502は、ユーザが、乗客コンベアシステムの様々なメンテナンス課題を診断可能な複数の様々な診断動作の中から、所望の診断動作を選択することを可能にする。エレベータシステムの環境に関して、例えば、多様な診断動作は、「ドアサイクル」診断動作、及び「フロアツーフロア」診断動作を含むが、これらに限定されない。「ドアサイクル」診断テストは、エレベータドアの動作を診断するためのテストルーチンを実行する。「フロアツーフロア」診断動作は、エレベータが建物内を進む際のエレベータの任意の異常な、または準最適の動作を診断するためのテストルーチンを実行する。
【0038】
エスカレータシステム環境に関して、診断選択フィールド502は、ユーザが、機械診断、上昇踏段走行診断、下降踏段走行診断、手すり診断、制動診断を含むが、これらに限定されない多様な診断動作から選択することを可能にする。上述のエレベータ診断テストの場合のように、異常な、または準最適のノイズ及び振動が、特定の製品部品またはコンポーネントを関連付けるように分析され得る。症状及び診断は、画面上に表示され得る。
【0039】
機械診断動作は、機械空間内から発生するノイズを取り込むことを可能にし、測定されたノイズをその機器についてのノイズの想定範囲と比較する。
【0040】
上昇踏段走行及び下降踏段走行診断動作は、ユーザが動く踏段と共に乗る際のエスカレータシステムのリアルタイム動作を監視する。この動作中の診断は、踏段及び手すりのノイズ、駆動チェーンのノイズ、踏段の振動、及び踏段進行速度の音声検出を含む。
【0041】
手すり診断は、より詳細には、手すりに関する課題を診断することを目的とし得る。手すり診断中に実行される診断は、手すりによって生じるノイズ、及び/または手すりの振動を分析することを含む。
【0042】
制動診断は、エスカレータの踏段が、エスカレータ制動イベントに続いて想定される時間の間停止されるかどうかを診断し得る。踏段の減速度は、エスカレータの制動機能が想定通り実行されるかどうかを判断するための閾値と比較され得る。制動診断は、踏段の減速度を診断することもできる。例えば、踏段の減速における何らかの脈動は、制動メカニズムの特定の部品またはコンポーネントに関連付けることができる。
【0043】
ユーザ指示フィールド504は、選択された診断動作を適切に実行する方法をユーザに指示する、診断動作指示を表示する。指示は、最適化された結果をユーザに提供し、例えば、スマートフォンをユーザの身体に対してどこに位置させるかを、乗客コンベアシステムに対する位置と共にユーザに指示することを含む。例えば、「ドアサイクル」診断が選択されたとき、ユーザ指示フィールド504は、「フォンを胸の高さに持って、乗り場ドアと向かい合い、開始を押す」ようにユーザに指示し得る。ユーザ指示フィールド504に提示される指示は、診断選択フィールド502から選択された診断動作に基づいて変化し得る。例えば、ドアサイクル診断を実行するとき、指示は、スマートフォン204をエレベータドア付近、またはドアに関連する特定のコンポーネント付近に位置させるようにユーザに指示してもよく、一方、機械診断指示に対応する指示は、フォンをエスカレータの機械空間内に位置させるようにユーザに指示するであろう。例えば、エスカレータシステムなどの別の種類の乗客コンベアシステムに関連する診断動作実行時に、同様の命令がユーザに提供され得る。
【0044】
図5Bを参照すると、対応する診断動作の完了後にスマートフォンユーザに診断結果GUI510を提示する診断結果モードで動作しているスマートフォン204が示されている。診断結果GUI510は、コンポーネントフィールド512、及び状態インジケータフィールド514を含む。コンポーネントフィールド512は、選択された診断動作(即ち、ホームGUI500から選択された診断動作)に従って診断された、1つまたは複数のコンポーネントをリストにする。表示されたコンポーネントのうちの1つまたは複数が、選択された診断動作に依存して変化し得る。例えば、「ロープ」及び「レール」は、フロアツーフロア診断動作の実行後に表示され得るが、「敷居」及び「ハンガー」は、ドアサイクル診断動作の実行後に表示され得る。同様に、例えば、「踏段チェーン」及び「手すり駆動チェーン」などのエスカレータコンポーネントは、1つまたは複数のエスカレータシステム診断動作実行後に表示され得る。
【0045】
状態インジケータフィールド514は、コンポーネントフィールド512に表示される各コンポーネント名に対応する状態インジケータ516a、516b、及び516cを表示する。状態インジケータ516a-516cは、診断動作の後でコンポーネントの診断された状態を示す、固有の識別物(例えば、色、形状など)で表示され得る。例えば、第1の状態インジケータ516a(例えば、緑色のグラフィカルインジケータ)は、対応するコンポーネントが、診断動作後、正常または想定通りに動作していることを示し得る。第2の状態インジケータ516b(例えば、黄色のグラフィカルインジケータ)は、なおも適切な結果を提供しているが、対応するコンポーネントが、1つまたは複数の不規則性を伴って動作していると検出されたことを示し得る。例えば、エレベータかごが、概してほとんどの乗客に許容可能なノイズレベルで、1つまたは複数のフロア間を進行しているが、ノイズは、ローラベアリングが摩耗していて交換されるべきであることを示唆する特徴を含み得る。したがって、メンテナンス技術者は、次の数回のサービス訪問についてこのユニットを注意深く監視し得る。第3の状態インジケータ516c(例えば、赤色のグラフィカルインジケータ)は、ユニットが、顧客の想定を一貫して満たすことを保証するためには、サービスが実行されるべきであることを示し得る。これらの結果は、例えば、乗客の快適性に対する閾値レベルを超える振動またはノイズを含み得る。サービス員が、最初の訪問時にサービスを成功させるために適切に準備されるように、診断情報は、特定の部品またはコンポーネントを関連付け得る。
【0046】
診断結果GUI510は、画面220上に表示される所与のコンポーネント名をハイライト及び選択するようにユーザによって操作され得る、コンポーネントセレクタ518をさらに含む。ハイライトされたコンポーネント名を選択することに応答して、選択されたコンポーネントに関する追加情報が、ユーザに提供され得る。これは、例えば、想定されないノイズが発生した進行距離、または特徴的な周波数、及び持続性ノイズの原因となりそうなものを含み得る。ノイズ測定は、スマートフォン204のスピーカを通じて再生されることができ、見過ごされていた可能性があるノイズをユーザが聞くことを可能にする。別の実施例では、選択されたコンポーネント(例えば、ドア)の実際の動作のビデオが、ドアの想定される動作を見せる事前録画されたビデオと並んで、ディスプレイ画面220上に再生され得る。さらに、電子メンテナンスマニュアル、及び/またはコンポーネントもしくは関連コンポーネントシステムの概略図が、選択されたコンポーネントの診断においてユーザをさらに支援するために、画面220上に表示され得る。それによって、サービス技術者は、1つまたは複数の問題のコンポーネントを即座に識別し、乗客の入力なしに異常の解決を試みることができる。
【0047】
ここで図6を参照すると、フロー図は、非限定的な実施形態による、電子モバイル端末デバイス上にインストールされた乗り心地ソフトウェアアプリケーションを使用して乗客コンベアシステムを診断する方法を示している。方法は、動作600において開始し、動作602において、診断が、1つまたは複数の利用可能な診断動作の中から選択される。動作604において、選択された診断に対応する診断動作指示が、モバイル端末デバイスの画面上に表示される。動作606において、選択された診断動作が開始され、1つまたは複数の診断アルゴリズムが実行される。動作608において、乗客コンベアシステムのリアルタイム乗り心地データが、取得される。乗り心地データは、乗客コンベアシステムのリアルタイム動作中に取り込まれたノイズ、音声、振動、及び画像を含む。動作610において、リアルタイムデータが、多様なアルゴリズム及び処理アプリケーションを使用して分析される。例えば、リアルタイムで取り込まれた音声は、事前録音された想定済み音声と比較されて、想定しない音声が存在するかどうか、または想定済み音声が、所定の音声閾値を超えるかどうかを判断し得る。動作612において、診断が完了しているかどうかについての判断が行われる。診断が完了していないとき、方法は、動作610に戻り、リアルタイムデータの分析を継続する。
【0048】
一方、動作612において診断が完了しているとき、方法は、動作614に進み、1つまたは複数の診断結果をモバイル端末デバイスの画面上に表示する。少なくとも1つの実施形態では、モバイル端末デバイスは、診断結果GUIを生成し、診断結果GUIは、選択された診断動作に従って診断された各コンポーネントに対応する診断状態インジケータを表示する。ユーザが、診断結果GUIから特定のコンポーネント名を選択すると、GUIは、動作616において、選択されたコンポーネントに関する追加の診断情報(例えば、リアルタイムで取り込まれたノイズ、画像、電子概略図など)を表示し、方法は、動作618において終了する。
【0049】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためであり、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、複数形も同様に含むことを意図するものである。「備える」、及び/または「備えている」という用語は、本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/またはコンポーネントの存在を明示するものであって、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/またはそれらの集合の存在または追加を排除するものではないと、さらに理解されるであろう。
【0050】
本開示は、例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、多様な変更が行われてもよく、均等物が、その要素の代わりに用いられてもよいと、当業者によって理解されるであろう。さらに、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく特定の状況または物質を本開示の教示に適合させるために、多くの修正が行われてもよい。したがって、本開示は、本開示を実行するために考えられた最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示は、特許請求の範囲に含まれる全ての実施形態を含むものとすることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6