(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】アレイコイル及び磁気共鳴撮像装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20221028BHJP
【FI】
A61B5/055 355
(21)【出願番号】P 2018115502
(22)【出願日】2018-06-18
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】特許業務法人 山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 浩二郎
(72)【発明者】
【氏名】大竹 陽介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和之
(72)【発明者】
【氏名】越智 久晃
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/098255(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0204021(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0153955(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0093425(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々が可撓性を有する所定長の導体を湾曲させたループコイル部を有し、被検体からの磁気共鳴信号を受信するように調整された複数のサブコイルが所定の間隔で配置されたコイルユニットと、
少なくとも一方向に伸縮するシート状の材料からなり前記コイルユニットを収容するコイル筐体と、を備え、
各前記サブコイルの少なくとも一か所が前記コイル筐体に夫々固定され、各前記サブコイルの中心間距離が前記コイル筐体の伸縮に伴って変化するアレイコイル
であって、
前記コイル筐体が、
互いに略平行に配置される第1の筐体面及び第2の筐体面と、
前記第1の筐体面と前記第2の筐体面との間に、前記第1の筐体面及び前記第2の筐体面に略平行に配置される衝突防止面と、を備え、
前記コイルユニットの前記サブコイルが、前記コイル筐体の伸縮方向に対して、前記第1筐体面と前記衝突防止面との間に形成される第1空間と、前記第1空間と前記衝突防止面との間に形成される第2空間とに交互に配置されることを特徴とするアレイコイル。
【請求項2】
夫々が可撓性を有する所定長の導体を湾曲させたループコイル部を有し、被検体からの磁気共鳴信号を受信するように調整された複数のサブコイルが所定の間隔で配置されたコイルユニットと、
少なくとも一方向に伸縮するシート状の材料からなり前記コイルユニットを収容するコイル筐体と、を備え、
各前記サブコイルの少なくとも一か所が前記コイル筐体に夫々固定され、各前記サブコイルの中心間距離が前記コイル筐体の伸縮に伴って変化するアレイコイルであって、
前記コイル筐体が予め定めた一の方向に伸縮することを特徴とするアレイコイル。
【請求項3】
夫々が可撓性を有する所定長の導体を湾曲させたループコイル部を有し、被検体からの磁気共鳴信号を受信するように調整された複数のサブコイルが所定の間隔で配置されたコイルユニットと、
少なくとも一方向に伸縮するシート状の材料からなり前記コイルユニットを収容するコイル筐体と、を備え、
各前記サブコイルの少なくとも一か所が前記コイル筐体に夫々固定され、各前記サブコイルの中心間距離が前記コイル筐体の伸縮に伴って変化するアレイコイルであって、
前記コイル筐体が、一方向に伸縮する少なくとも2つの部分筐体を、互いに伸縮方向を異ならせて接続させて構成され、
前記コイル筐体全体として少なくとも2つの方向に伸縮することを特徴とするアレイコイル。
【請求項4】
前記サブコイルが低インピーダンス
信号処理回路及び磁気結合調整部をさらに備え、
前記ループコイル部が
、当該ループコイルを構成するループのインダクタ成分に直列に挿入され前記ループコイル部を並列共振回路として機能させる並列キャパシタを有し、
前記並列キャパシタの一方の端子が前記低インピーダンス
信号処理回路の一方の端子と直接接続され、前記並列キャパシタの他方の端子が前記低インピーダンス
信号処理回路の他方の端子と前記磁気結合調整部を介して接続され、
前記並列キャパシタの容量を、前記筐体が被検体の生体構造に沿って配置される場合において、前記並列共振回路の共振周波数におけるインピーダンスが、前記低インピーダンス信号処理回路からの出力信号が伝送される伝送ケーブルの特性インピーダンスと同等又はそれ以下の容量となるように定める、請求項1乃至請求項
3の何れか1項記載のアレイコイル。
【請求項5】
前記サブコイルが、前記コイル筐体面に接触すると共に前記ループコイル部の一部を支持する柱部を備え、
前記サブコイルのループコイル部は、その一部が前記コイル筐体面に直接固定されると共に他の一部が前記柱部を介して前記コイル筐体面に支持されることにより、前記ループコイル部の一部が前記コイル筐体面に対して傾斜した部分を有するように配置される請求項1乃至請求項
4の何れか1項記載のアレイコイル。
【請求項6】
前記サブコイルが、前記ループコイル部と中心位置を一致させて前記コイル筐体面に固定されループコイル部よりも小さい半径の柱部を有し、
前記コイル筐体が収縮した際に、隣接する前記サブコイルのループコイル部が前記柱部に接触して該柱部の形状に沿って前記ループコイル部が変形する請求項1乃至請求項
5の何れか1項記載のアレイコイル。
【請求項7】
前記コイルユニットは、
隣接する前記サブコイル同士が同一面内において重なり合う領域を有するように配置され、
重なり合う領域内に、前記サブコイルの中心間距離を所定範囲内に制限する重複保持柱が配置されている請求項1乃至請求項6の何れか1項記載のアレイコイル。
【請求項8】
静磁場を形成する静磁場形成部と、
傾斜磁場を形成する傾斜磁場形成部と、
前記静磁場に配置された検査対象にRF磁場を照射する送信RFコイルと、
前記検査対象からの核磁気共鳴信号を検出する受信RFコイルと、
前記受信RFコイルが検出した核磁気共鳴信号を処理する信号処理部と、を備え、
前記受信RFコイルが、請求項1乃至請求項
7の何れか1項記載のアレイコイルである磁気共鳴撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波磁場(RF磁場:Radio Frequency磁場)を照射して核磁気共鳴信号を検出するRFコイル及びRFコイルによって検出した核磁気共鳴信号に基づいて断面画像を取得する磁気共鳴撮像(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、空間的に均一な磁場(静磁場)中に置かれた検査対象としての被検体に高周波磁場を照射して、被検体を横切る任意の断面内の核スピンに磁気共鳴を起こさせ、発生する核磁気共鳴信号からその断面内における断層像を得る医用画像診断装置である。静磁場方向によって、水平磁場型、垂直磁場型のMRI装置などと呼ばれている。
MRI撮像では、静磁場中におかれた被検体に傾斜磁場を印加しながら高周波コイルにより高周波磁場を照射する。高周波磁場の照射により被検体内の核スピン、例えば、水素原子の核スピンが励起され、励起された核スピンが平衡状態に戻るときに核磁気共鳴信号として円偏波磁場が発生する。この信号を高周波コイルで検出し、信号処理を施して生体内の水素原子核分布を画像化する。
【0003】
高周波コイルは、その形状によってボリュームコイルと表面コイルの2つに大きく大別される。一般的に、高周波磁場を照射する高周波コイル(送信コイル)には広い範囲を均一に照射できるボリュームコイルが使われる。一方、信号を検出する高周波コイル(受信コイル)には被検体の近傍に配置できる表面コイルが使われる。これは、高周波コイルと被検体との距離が小さいほど信号取得効率が高く、MRI画像の高画質化が可能となるからである。
【0004】
一般に、受信コイルは、耐久性を重視し、予め撮像対象部位の形状に合わせて形成されたリジッドなコイル筐体を有している。これに対し、近年、被検体の近傍に被検体の生体構造に沿って配置することができるフレキシブルな受信コイルが提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2参照)。特許文献1や非特許文献1には、受信コイルとして屈曲可能なフレキシブルコイルな複数のコイル素子を組み合わせた受信コイルを適用することで被検体の生体構造に沿って受信コイルを配置することが開示されている。非特許文献2には、受信コイルに伸縮可能な導体を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】S.S.Vasanawala他著、「超軽量でフレキシブルなエアーテクノロジーアレイの開発と臨床適用(Development and Clinical Implementation of Very Light Weight and Highly Flexible AIR Technology Arrays)」、プロシーディングス オブ ザ トゥウェンティーフィフス アニュアル ミーティング オブ インターナショナル ソサイエティ フォー マグネティック レゾナンス イン メディシン(Proceedings of the 25th Annual Meeting of International Society for Magnetic Resonance in Medicine)、p.755(2017)
【文献】J.A.Nordmeyer-Massner他著、「伸縮コイルアレイ:膝の屈曲角度に対するイメージングへの適用(Stretchable Coil Arrays: Application to Knee Imaging Under Varying Flexion Angles)」、マグネティック レゾナンス イン メディシン(Magnetic Resonance in Medicine)、Vol.67、pp.872-879(2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や非特許文献1における受信コイルは、受信コイルの両端部間の距離(コイル長)が固定であることから、被検体サイズがコイルサイズに対して最適でない場合には画質低下を招いてしまう。被検体サイズに対するコイルサイズの例として、
図16に、異なる被検体サイズの腹部に対して、コイル長が固定であるフレキシブルコイルを配置した場合の配置例に係る被検体の体軸方向に垂直な断面図を示す。
【0008】
図16(a)は被検体サイズがコイル長に対して小さい場合の断面図(左側)及び一部のサブコイル1410の位置関係を示し、
図16(b)は被検体サイズがコイル長に対して最適な場合の断面図(左側)及び一部のサブコイル1410の位置関係を示し、
図16(c)は被検体サイズがコイル長に対して大きい場合の面図(左側)及び一部のサブコイル1410の位置関係を示している。
【0009】
サブコイル1410は、被検体サイズによらず隣り合うサブコイルと重なり合う面積を保持したままである様子を図示している。図16(A)~(C)において、被検体は仰向けに寝ている状態であり、y軸負方向が腹部側、y軸正方向が背中側である。被検体の腹部側にフレキシブルコイル1400が配置されており、背中側には寝台に内蔵されている脊椎用受信コイル190が配置されている。
【0010】
図16(B)に示すように、被検体サイズがコイル長に対して最適な場合、フレキシブルコイル1400と脊椎用受信コイル190によって検査対象103Bの腹部断面の周囲をちょうど覆うことができる。一方、図16(A)に示すように、被検体サイズが小さい場合は、フレキシブルコイル1400と脊椎用受信コイル190の重なり部分1500が生じてしまう。この重なり部分1500により、フレキシブルコイル1400と脊椎用受信コイル190は磁気結合によるコイル性能の劣化を生じ、MRI画像の画質が低下する。また、被検体サイズが大きい場合は、フレキシブルコイル1400と脊椎用受信コイル190との間に間隙1600が生じてしまう。間隙1600付近では、信号欠損が生じ、MRI画像の画質が低下する。
【0011】
また、特許文献1や非特許文献1におけるコイル長が固定された受信コイルでは、3次元的な曲面を覆う場合にコイル筐体の折り返しが必要となり、被検体の生体構造に対して完全に密着配置することができない。
非特許文献2における伸縮可能な導体からなる受信コイルは、導体の伸縮に伴って共振周波数のシフトや導体の劣化が生じ、これによって画質低下を招いてしまう。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みて成されたものであり、被検体のサイズにかかわらず高画質なMRI画像を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、夫々が可撓性を有する所定長の導体を湾曲させたループコイル部を有し、被検体からの磁気共鳴信号を受信するように調整された複数のサブコイルが所定の間隔で配置されたコイルユニットと、少なくとも一方向に伸縮する材料からなり前記コイルユニットを収容するコイル筐体と、を備え、各前記サブコイルの少なくとも一か所が前記コイル筐体に夫々固定され、各前記サブコイルの中心間距離が前記コイル筐体の伸縮に伴って変化するアレイコイルを提供する。
【0014】
また、本発明の他の態様は、静磁場を形成する静磁場形成部と、傾斜磁場を形成する傾斜磁場形成部と、前記静磁場に配置された検査対象にRF磁場を照射する送信RFコイルと、前記検査対象からの核磁気共鳴信号を検出する受信RFコイルと、前記受信RFコイルが検出した核磁気共鳴信号を処理する信号処理部と、を備え、前記受信RFコイルが上述のアレイコイルである磁気共鳴撮像装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被検体のサイズにかかわらず高画質なMRI画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明第1の実施形態に係るMRI装置の外観図であり、それぞれ(a)は水平磁場方式のMRI装置、(b)は、オープン型の垂直磁場方式のMRI装置の外観図である。
【
図2】MRI装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るMRI装置における送信RFコイルと受信RFコイルの接続を説明するための説明図である。
【
図4】(a)は、送信RFコイルとして用いる鳥かご型RFコイルの構成を示す図であり、(b)は、送信RFコイルの送受間磁気結合防止回路の一例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るアレイコイルに適用されるサブコイルを示す図であり、(a)はサブコイル全体の回路図、(b)はサブコイルのうち送受間磁気結合防止回路及び磁気結合防止回路駆動装置の回路図であり、(c)は送受信間磁気結合防止回路の変形例を示す回路図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係るアレイコイルにおいて、(a)はサブコイルの配置例を示す正面図であり、(b)は(a)のA-A断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係るアレイコイルを使用した場合の被検体に対する配置例を示す説明図であり、被検体サイズがコイル長に対して小さい場合において(a)は体軸方向に垂直な断面図を示し、(b)はサブコイル間の中心間距離の例を示す説明図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係るアレイコイルを使用した場合の被検体に対する配置例を示す説明図であり、被検体サイズがコイル長に対して適切な場合において(a)は体軸方向に垂直な断面図を示し、(b)はサブコイル間の中心間距離の例を示す説明図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係るアレイコイルを使用した場合の被検体に対する配置例を示す説明図であり、被検体サイズがコイル長に対して大きい場合において(a)は体軸方向に垂直な断面図を示し、(b)はサブコイル間の中心間距離の例を示す説明図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係るアレイコイルに含まれるサブコイルの構成を示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係るアレイコイルに含まれるサブコイルの配置例を示す説明図であり、(a)はコイル筐体が収縮した場合のサブコイルの配置例を示す説明図であり、(b)はコイル筐体が伸張した場合のサブコイルの配置例を示す説明図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態の変形例に係るアレイコイルに含まれるサブコイルの配置例を示す説明図であり、(a)~(d)に従って、コイル筐体が収縮していく変化の様子を示す。
【
図13】本発明の第2の実施形態の変形例に係るアレイコイルにおいて、サブコイルの配置例を示す側面図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態の変形例に係るアレイコイルにおいてコイル筐体が収縮した場合のサブコイルの配置例を示す説明図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態の変形例に係るアレイコイルにおいてコイル筐体が伸張した場合のサブコイルの配置例を示す。
【
図16】従来のMRI装置において、異なる被検体サイズの腹部に対して、コイル長が固定であるフレキシブルコイルを配置した場合の配置例に係る被検体の体軸方向に垂直な断面図であり、(a)は被検体サイズがコイル長に対して小さい場合の断面図(左側)と一部のサブコイルの位置関係を示し、(b)は被検体サイズがコイル長に対して最適な場合の断面図(左側)と一部のサブコイルの位置関係を示し、(c)は被検体サイズがコイル長に対して大きい場合の断面図(左側)と一部のサブコイルの位置関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るRFコイル(アレイコイル)を適用するMRI装置について図面を参照して説明する。以下、各実施形態乃至実施例に係る図面おいて、同一の構成には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
<MRI装置の全体構成>
まず、本実施形態に係るRFコイルを適用可能なMRI装置について説明する。
図1は、MRI装置の一例に係る外観を示している。特に、
図1(a)は、ソレノイドコイルによって静磁場を生成するトンネル型磁石110を用いた水平磁場方式のMRI装置100である。
図1(b)は、開放感を高めるために磁石111を上下に分離したオープン型の垂直磁場方式のMRI装置101である。
【0019】
これらのMRI装置100、101は、検査対象(被写体)103を載置するテーブル102を備える。被写体103はテーブルに載置された状態で、磁石110、111によって均一な磁場(静磁場)が発生している検査空間に配置される。なお磁石110、111は、静磁場を形成する静磁場形成部を構成する。
このようなMRI装置には、複数のコイルユニットを有する所謂多チャンネルRFコイルを適用することができ、本実施形態に係るRFコイルも上記した水平磁場方式のMRI装置100、垂直磁場方式のMRI装置101のいずれも適用可能である。
【0020】
図1に示すMRI装置は一例であり、本発明は装置の形態やタイプを問わず、公知の各種のMRI装置を用いることができる。以下の説明において、水平磁場方式及び垂直磁場方式に共通する座標系として、静磁場方向をz方向、それに垂直な2方向を、それぞれx方向及びy方向とする座標系090を用いる。
【0021】
以下、本実施形態では水平磁場方式のMRI装置を適用した場合を例に、MRI装置100の概略構成を説明する。
図2に示すように、MRI装置100は、水平磁場方式のマグネット(静磁場磁石)110、傾斜磁場コイル131、送信RFコイル151、受信RFコイル161、傾斜磁場電源132、シムコイル121、シム電源122、RF(高周波)磁場発生器152、受信器162、磁気結合防止回路駆動装置180、計算機(PC)170、シーケンサ140、及び表示装置171を備える。なお、102は、検査対象(被写体)103を載置するテーブルである。
【0022】
傾斜磁場コイル131は、傾斜磁場電源132に接続され、傾斜磁場を発生させる。傾斜磁場コイル131及び傾斜磁場電源132は、傾斜磁場を形成する傾斜磁場形成部を構成する。シムコイル121は、シム電源122に接続され、磁場の均一度を調整する。送信RFコイル151は、RF磁場発生器152に接続され、被写体103にRF磁場を照射(送信)する。
【0023】
受信RFコイル161は、受信器162に接続され、被写体103からの核磁気共鳴信号を受信する。ここで、本実施形態に係る受信RFコイル161として、複数のサブコイルを備えたコイルユニットからなる多チャンネルRFコイル(以下、アレイコイルという)を適用している。以下の説明において、アレイコイルを構成するサブコイルの数とチャンネル数は一致するとして取り扱う。受信RFコイル161としてのアレイコイルの詳細は、後述する。
【0024】
磁気結合防止回路駆動装置180は、磁気結合防止回路(後述)に接続される。なお、磁気結合防止回路は、送信RFコイル151及び受信RFコイル161にそれぞれ接続される、送信RFコイル151と受信RFコイル161との間の磁気結合を防止する回路である。
【0025】
シーケンサ140は、傾斜磁場電源132、RF磁場発生器152、磁気結合防止回路駆動装置180に命令を送り、それぞれ動作させる。命令は、計算機(PC)170からの指示に従って送出する。また、計算機(PC)170からの指示に従って、受信器162で検波の基準とする磁気共鳴周波数をセットする。例えば、シーケンサ140からの命令に従って、RF磁場が、送信RFコイル151を通じて被写体103に照射される。RF磁場を照射することにより被写体103から発生する核磁気共鳴信号は、受信RFコイル161によって検出され、受信器162で検波が行われる。
【0026】
計算機(PC)170は、MRI装置100全体の動作の制御、各種の信号処理を行う。例えば、受信器162で検波された信号をA/D変換回路を介して受信し、画像再構成などの信号処理(画像再構成部の機能)を行う。その結果は、表示装置171に表示される。検波された信号や測定条件は、必要に応じて、記憶媒体に保存される。また、予めプログラムされたタイミング、強度で各装置が動作するようシーケンサ140に命令を送出させる。さらに、静磁場均一度を調整する必要があるときは、シーケンサ140により、シム電源122に命令を送り、シムコイル121に磁場均一度を調整させる。
【0027】
<送信RFコイル及び受信RFコイルの概要>
上述したようにMRI装置には、送信RFコイル151と受信RFコイル161の2種類のRFコイルが用いられる。送信RFコイル151と受信RFコイル161は、一つのRFコイルが両方を兼ねることもできるし、それぞれ別個のRFコイルを用いることもできる。
【0028】
以下、送信RFコイル151と受信RFコイル161とが別個のRFコイルであり、送信RFコイル151が鳥かご型形状を有するRFコイル(鳥かご型RFコイル)、受信RFコイル161が複数のRFコイルからなるマルチチャネルアレイコイルである場合を例に、RFコイルの詳細を説明する。
【0029】
送信RFコイル151の共振周波数は、励起対象元素の共鳴周波数に調整される。本実施形態では、水素原子核の励起が可能な、水素原子核の磁気共鳴周波数に調整される。受信RFコイル161は、送信RFコイル151が励起可能な元素の核磁気共鳴信号を検出可能に調整される。
【0030】
まず、送信RFコイル151として用いる鳥かご型RFコイル300及び受信RFコイル161として用いるアレイコイル400の配置と、鳥かご型RFコイル300、アレイコイル400、RF磁場発生器152、受信器162、及び、磁気結合防止回路駆動装置180の接続態様とを、
図3を用いて説明する。
【0031】
図3に示すように、鳥かご型RFコイル300は、外観が略円柱状(楕円柱や多角形柱を含む)の形状を有し、略円柱の軸が、マグネット110の中心軸(Z方向の軸)と同軸となるよう配置される。被写体103は、鳥かご型RFコイル300の内側に配置される。アレイコイル400は、鳥かご型RFコイル300内に、被写体103に近接して配置される。また、上述のように、鳥かご型RFコイル300は、RF磁場発生器152に接続される。アレイコイル400は、受信器162に接続される。
【0032】
鳥かご型RFコイル300は、アレイコイル400との磁気結合を防止する磁気結合防止回路210を備える。この磁気結合防止回路210は、送信RFコイル151(鳥かご型RFコイル300)と、受信RFコイル161(アレイコイル400)との間の磁気結合を防止する回路であり、送受間磁気結合防止回路210と呼ぶ。この送受間磁気結合防止回路210は、鳥かご型RFコイル300の直線導体301(詳細は後述)に直列に挿入される。
【0033】
アレイコイル400は、鳥かご型RFコイル300との磁気結合を防止する磁気結合防止回路220を備える。磁気結合防止回路220も、送信RFコイル151(鳥かご型RFコイル300)と、受信RFコイル161(アレイコイル400)との間の磁気結合を防止する送受間磁気結合防止回路である。この送受間磁気結合防止回路220は、アレイコイル400を構成する各表面コイルに直列に挿入される。
【0034】
磁気結合防止回路駆動装置180は、これらの送受間磁気結合防止回路210,220にそれぞれ接続される。これら送受間磁気結合防止回路210,220により、
図3に示すような送信RFコイル151と受信RFコイル161との配置において、互いに磁気結合することなく、RF磁場の送信と核磁気共鳴信号の受信とが可能となる。
【0035】
[送信RFコイル]
次に、本実施形態の送信RFコイル151として用いる鳥かご型RFコイル300について
図4を用いて説明する。
本実施形態にかかる鳥かご型RFコイル300は、励起対象元素の共鳴周波数(磁気共鳴周波数)が共振周波数となるよう調整され、当該磁気共鳴周波数のRF磁場を照射する。本実施形態では、上述のように水素原子核の励起が可能な、水素原子核の磁気共鳴周波数f0に調整される。以後、照射するRF磁場の磁気共鳴周波数をf0とする。
【0036】
図4(a)は、本実施形態の鳥かご型RFコイル300の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態の鳥かご型RFコイル300は、複数の直線導体301と、各直線導体301の端部を接続する端部導体302と、端部導体302に挿入されるキャパシタ303と、を備える。
【0037】
また、鳥かご型RFコイル300は、二つの入力ポート311、312を備える。第一の入力ポート311と第二の入力ポート312とには、位相が90度異なった送信信号が入力され、効率よく被写体103にRF磁場が加えられるよう構成される。さらに、上述のように、受信RFコイル161(アレイコイル400)との間の磁気結合を防止する送受間磁気結合防止回路210が、鳥かご型RFコイル300の直線導体301に直列に挿入されている。
【0038】
送受間磁気結合防止回路210は、例えば、
図4(b)に示すように、送受間磁気結合防止回路210は、PINダイオード211と制御用信号線212とを備える。PINダイオード211は、直線導体301に直列に挿入され、制御用信号線212はPINダイオード211の両端に接続される。制御用信号線212は磁気結合防止回路駆動装置180に接続される。制御用信号線212には、高周波の混入を避けるためチョークコイルが挿入される。制御用信号線212は磁気結合防止回路駆動装置180に接続される。制御用信号線212には、高周波の混入を避けるためチョークコイル(不図示)が挿入されることが望ましい。
【0039】
PINダイオード211は、通常は高抵抗(オフ)を示し、PINダイオード211の順方向に流れる直流電流の値が一定値以上となると概ね導通状態(オン)となる特性を持つ。本実施形態ではこの特性を利用し、磁気結合防止回路駆動装置180から出力される直流電流によりPINダイオード211のオン/オフを制御する。すなわち、高周波信号送信時には、制御用信号線212を介して、PINダイオード211を導通状態とする制御電流を流し、鳥かご型RFコイル300を送信RFコイル151として機能させる。また、核磁気共鳴信号受信時には、制御電流を停止し、鳥かご型RFコイル300を高インピーダンス化し、開放状態とする。
【0040】
このように、本実施形態では、磁気結合防止回路駆動装置180からの直流電流(制御電流)を制御することにより、高周波信号送信時には鳥かご型RFコイル300を送信RFコイル151として機能させ、核磁気共鳴信号受信時には、開放状態として受信RFコイル161であるアレイコイル400との磁気結合を除去する。
【0041】
[受信RFコイル]
次に、本実施形態の受信RFコイル161について、
図5及び
図6を用いて説明する。
図5は、受信RFコイル161としてのアレイコイル400を構成する一つのサブコイル410を示す。サブコイル410は、ループを有する表面コイルであり、核磁気共鳴信号を受信するループコイル部420と、給電基板部450とを備えている。
【0042】
ループコイル部420は、可撓性を有する所定長の導体を湾曲させたループ421と、直列キャパシタ422、送受間磁気結合防止回路220、及び並列キャパシタ424を備える。なお、ループ421は
図5に示すように、外部からの負荷がない場合にはほぼ円形を成しているが、負荷の方向に応じて変形可能となっている。直列キャパシタ422は、ループ421のインダクタ成分に対して直列に挿入され共振周波数を調整する。なお、
図5では直列キャパシタ422を2つ備える場合を例示するが、直列キャパシタ422の数は1以上であればよい。並列キャパシタ424は、ループ421のインダクタ成分に対して直列に挿入され、インダクタ成分と並列キャパシタ424とで並列共振回路を構成する。
【0043】
給電基板部450は、低(入力)インピーダンス信号処理回路430と、調整用の回路素子としての磁気結合調整部441とを備えている。磁気結合調整部441は、キャパシタもしくはインダクタの少なくとも一方から構成され、ループコイル部420と低インピーダンス信号処理回路430とを接続する。
【0044】
このように、本実施形態のサブコイル410は、調整用の回路素子としての磁気結合調整部441と、ループ421のインダクタ成分に対して直列に挿入される直列キャパシタ422と、インダクタ成分に対して直列に挿入され、ループコイル部420を並列共振回路とする並列キャパシタ424と、を備えている。
【0045】
低インピーダンス信号処理回路430のループコイル部420側の一方の端子は、磁気結合調整部441を介してループコイル部420の並列キャパシタ424の一方の端に接続される。低インピーダンス信号処理回路430のループコイル部420側の他方の端子は、直接ループコイル部420の並列キャパシタ424の他方の端に接続される。低インピーダンス信号処理回路430のループコイル部420側でない他方の端子は、伝送ケーブルを介して受信器162に接続される。
送受間磁気結合防止回路220は、送信RFコイル151である鳥かご型RFコイル300との間の磁気結合を除去する。
【0046】
送受間磁気結合防止回路220による送信RFコイル151(鳥かご型RFコイル300)と受信RFコイル161(アレイコイル400)との間の磁気結合除去について説明する。
図5(b)は、ループ421に挿入される送受間磁気結合防止回路220の構成と、送受間磁気結合防止回路220と磁気結合防止回路駆動装置180との接続関係を説明するための回路図である。
【0047】
送受間磁気結合防止回路220は、PINダイオード221とインダクタ222と制御用信号線223とを備えている。PINダイオード221とインダクタ222とは直列に接続され、キャパシタ423に並列に接続される。なお、キャパシタ423は、ループ421に挿入されるキャパシタである。PINダイオード221の両端には制御用信号線223が接続され、制御用信号線223は磁気結合防止回路駆動装置180に接続される。制御用信号線223には高周波の混入を避けるためチョークコイルが挿入されている(不図示)。インダクタ222とキャパシタ423とは、受信する核磁気共鳴信号の周波数で並列共振するように調整される。
【0048】
並列共振回路は、一般に共振周波数で高インピーダンス(高抵抗)となる特性を持つ。よって、PINダイオード221に電流が流れると、PINダイオード221はオンになり、ループ421のキャパシタ423は、受信する核磁気共鳴信号の周波数でインダクタ222と共に並列共振して高インピーダンス状態となる。従って、受信する核磁気共鳴信号の周波数で、ループコイル部420は、その一部が高インピーダンスとなり、開放状態となり、そのループコイル部420を有するサブコイル410も開放状態となる。
【0049】
このように、PINダイオード221に電流が流れてオンとなることによって、各サブコイル410と鳥かご型RFコイル300との磁気結合が除去される。従って、各サブコイル410をコイル素子とするアレイコイル400と鳥かご型RFコイル300との磁気結合も除去される。
【0050】
なお、サブコイル410に挿入される送受間磁気結合防止回路220の数はこれに限定されない。各ループ421に、二つ以上挿入されても良い。複数挿入することで磁気結合を十分に低下させることができる。
【0051】
また、送受間磁気結合防止回路220の構成は、上記構成に限定されない。例えば、
図5(c)に示す送受信間磁気結合防止回路220mの変形例のように、PINダイオード221の代わりに、クロスダイオード221mを用いてもよい。これにより、ループ421を構成する導体に大きな信号が流れた場合、クロスダイオード221mはオンになり、ループ421のキャパシタ423は、受信する核磁気共鳴信号の周波数でインダクタ222と共に並列共振して高インピーダンス状態となる。この場合、磁気結合防止回路駆動装置180は備えなくてもよい。
【0052】
[コイル筐体とサブコイルの配置]
図6に示すように、本実施形態にかかるRF受信コイルは、上述したサブコイル410を複数備えたコイルユニットがコイル筐体460に収容されたアレイコイルである。
以下、
図6を用いて本実施形態にかかるRF受信コイルとしてのアレイコイルについて説明する。アレイコイルは、複数のサブコイル410を含むコイルユニットと、コイルユニットを収容するコイル筐体460とを備えている。なお、
図6では、説明の便宜上、コイルユニットに含まれる4つのサブコイル410を図示している。
【0053】
各サブコイル410はループコイル部420(以下、ループコイル部420A,420B,420C,420Dとして4つのループコイル部を識別する)と給電基板部450から構成される。ループコイル部420のループ421は可撓性を有する一定の長さの導体をほぼ円形に湾曲させたものであり、状況に応じて形状が変化する。ループコイル部420としては、例えば、直径1mmの被覆銅線を適用することができる。
【0054】
コイル筐体460は、例えば、少なくとも一方向に伸縮可能な布やゴムや高分子ポリマー膜などのシート状の材料を袋状に構成したものである。本実施形態において、コイル筐体460は、一枚に切断されたシート状の材料の端部を縫製又は接着するなどして袋状に形成され、コイルユニットを閉じるように収容している。
【0055】
コイル筐体460に、コイルユニットが収容された状態、すなわち、コイル筐体460の内部構成について
図6(b)を用いて説明する。
図6(b)に、
図6(a)のループコイル部420Aとループコイル部420Bを横切るA-A断面図を示す。
【0056】
コイル筐体460は略平行な第一のコイル筐体面461と第二のコイル筐体面465から構成される。第一のコイル筐体面461と第二のコイル筐体面465の間には、第一のコイル筐体面461と略平行に衝突防止面463が配置される。第一のコイル筐体面461と衝突防止面463の間に第一の配置空間462が形成され、衝突防止面463と第二のコイル筐体面465の間に第二の配置空間464が形成される。
【0057】
第一のコイル筐体面461と第二のコイル筐体面465と衝突防止面463は何れも伸縮性を有する材料を適用する。ここでは、
図6のx方向及びz方向に伸縮可能な素材を適用した例を示す。
【0058】
コイルユニットのサブコイル410は、コイル筐体460が伸縮する方向に対して、第一の配置空間462と第二の配置空間464に交互に配置される。
図6(a)において、ループコイル部420Aとループコイル部420Dは第一の配置空間462に配置され、ループコイル部420Bとループコイル部420Cは第二の配置空間464に配置される。各ループコイル部420は給電基板部450に接続される。第一の配置空間462に配置される給電基板部450は第一のコイル筐体面461に接着され、第二の配置空間464に配置される給電基板部450は第二のコイル筐体面465に接着される。各サブコイル410は、給電基板部450を介してコイル筐体460に固定される。
【0059】
アレイコイルは、コイルユニットを伸縮性を有するコイル筐体460に収容した構成であるため、例えば、検査対象部位が腹部である場合において、異なる被検体サイズに対して、柔軟に対応することができる。
図7~
図9に、本実施形態にかかるアレイコイル400の配置例を示す。
【0060】
図7に被検体サイズがコイル長に対して小さい場合、
図8に被検体サイズがコイル長に対して適切な場合、
図9に被検体サイズがコイル長に対して大きい場合の例を示す。
図7(a)、
図8(a)、
図9(a)はそれぞれ体軸方向に垂直な断面図を示し、被検体は仰向けに寝ている状態であり、y軸負方向が腹部側、y軸正方向が背中側である。腹部側にアレイコイル400が配置され、背中側には寝台に内蔵された脊椎用受信コイル190が配置されている。
【0061】
アレイコイル400は、コイル筐体460を伸縮させることでアレイコイル400のコイル長を適宜変更させることができるため、異なるサイズの被検体であっても被検体の近傍に、かつ、被検体の生体構造にアレイコイル400を沿わせて配置することができる。具体的には、
図7(a)の被検体103Aのようにサイズが小さい場合でも、アレイコイル400と脊椎用受信コイル190が重なることなく腹部断面の周囲をちょうど覆うことができ、コイル性能の劣化による画質低下を防止することができる。
【0062】
また、
図9(a)のように被検体103Cのようにサイズが大きい場合でも、アレイコイル400と脊椎用受信コイル190の間に間隙を生じることなく腹部断面の周囲を隙間なく覆うことができ、間隙に起因した信号欠損を抑制し、画質低下を防止することができる。
【0063】
サブコイル410は、コイル筐体460の伸縮に伴って、コイル筐体460に沿った各サブコイルのループコイル部同士の中心間距離が変化する。
図7(b)に示すように、被検体サイズが小さい場合には、各サブコイル410が密集し、サブコイル410同士の中心間距離が短くなる。被検体サイズが大きくなるにしたがって、
図8(b)、
図9(b)に示すように、各サブコイル410の間隔が疎となり、サブコイル410同士の中心間距離が長くなる。
【0064】
このように、各サブコイル410が給電基板部450を介してコイル筐体460に固定され、コイル筐体460が均一に伸縮することから、コイル長の変化に対してサブコイル410が配置される密度を均一に変化させることができる。すなわち、各サブコイル410の間に極端に配置密度が薄くなった間隙が生じることなく、腹部断面の周囲を均一に隙間なく覆うことができる。このため、間隙に起因した信号欠損を生じることがなく、画質低下を防止することができる。
【0065】
また、各サブコイルのループ421は、可撓性を有し形状が変化する導体から構成されるため、被検体103の検査部位に沿った形状に変化し、密着配置を可能とする。これにより、信号取得効率を向上させて、画質を向上させることができる。さらに、各ループ421は、長さが一定の導体であり、長さ方向に変形することがないため、アレイコイルが変形しても電気的特性に変化を生じさせず、共振周波数シフトや導体の劣化を防止でき、画質低下を防止することができる。
【0066】
また、本実施形態に係るアレイコイル400は、コイル筐体460が伸縮可能であることから、コイル筐体を折り返すことなく被検体103に対して密着あるいは近接させて配置することができる。これにより、サブコイル間の磁気結合を防止することができるので、画質低下を防止することができる。
【0067】
[並列キャパシタの容量]
ここで、コイルユニット490を構成する各サブコイル410の並列キャパシタ424の容量について説明する。
並列キャパシタ424の容量は、コイル筐体460が被検体の身体部分に密着するように配置する場合において、低インピーダンス信号処理回路430から見たループコイル部420の並列共振回路の共振周波数におけるインピーダンスが、低インピーダンス信号処理回路430が接続される伝送ケーブルの特性インピーダンス(例えば50Ω)と同等となるように調整する。
【0068】
このように調整することで、並列キャパシタ424の両端のインピーダンス、すなわち、ブロックインピーダンスを向上させることができる。ここで、低インピーダンス信号処理回路430が接続される伝送ケーブルとは、
図2及び
図3における受信RFコイル161と受信器162とを接続する伝送ケーブルであり、受信RFコイル161の低インピーダンス
信号処理回路430からの出力信号を受信器162に伝送するものである。
【0069】
並列キャパシタ424はインピーダンス変換を行う機能を果たす。ループコイル部420と検査対象103との距離が小さいほど、生体負荷が大きくなり、共振回路のインピーダンスを調整するために並列キャパシタ424の容量は小さくなる。
【0070】
磁気結合調整部441と並列キャパシタ424からなる共振回路は低インピーダンス信号処理回路430から見たときに、受信する核磁気共鳴信号の周波数で直列共振するように調整される。並列キャパシタ424の両端からこの共振回路をみたときには並列共振回路となっており、並列キャパシタ424の両端のインピーダンスをブロックインピーダンスと呼ぶ。
ブロックインピーダンスは、以下の式(1)で表すことができる。
【0071】
【0072】
但し、ωは核磁気共鳴周波数に対する角周波数、Cmは並列キャパシタ424の容量、Zinは低インピーダンス信号処理回路430の入力インピーダンスである。
【0073】
ループコイル部420と被検体103の距離が小さいほどCmは小さくなるため、密着配置を実現できる構成によってブロックインピーダンスを向上することができる。これにより、サブコイル間の磁気結合防止機能を向上し、画質低下を防止することができる。
【0074】
低インピーダンス信号処理回路430の入力インピーダンスが低いため、共振周波数におけるブロックインピーダンスが大きくなる。よって、他のサブコイル410から見たとき、当該サブコイル410のループコイル部420の一部が高インピーダンスとなりサブコイル間の磁気結合を防止する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態にかかる受信RFコイルとしてのアレイコイルによれば、コイル筐体460を伸縮させることで、異なる被検体サイズに対して、柔軟に対応することができる。すなわち、本実施形態に係るアレイコイルは、被検体サイズにかかわらず、アレイコイルを被検体に近接させかつ被検体の生体構造に沿わせて配置させることができるため、被検体サイズによらず高画質なMRI画像を提供することができる。
【0076】
また、アレイコイルにおける隣り合うサブコイル同士は、コイル筐体460の伸縮方向に対して異なる配置空間に配置されているため、ループ421同士の物理的な衝突を防止してスムーズに位置関係を変化できる。スムーズな変化によって受信コイルを被検体に設置する時間を短縮し、設置者の負担を軽減できる。
【0077】
また、アレイコイル400は、伸縮性を有することから、様々な形状に対して密着配置することができ、一つのアレイコイル400を様々な身体部位に対して適用することができる。これにより、検査対象部位に応じて複数のアレイコイルを必要とせず、各部位専用の受信コイルの数を削減してコストを低減することができる。
【0078】
なお、本実施形態において、第一のコイル筐体面461と第二のコイル筐体面465と衝突防止面463は伸縮性を有する素材である例を示したが、その構成はこれに限らない。例えば、剛体の組み合わせによって伸縮可能な構造を有していてもよい。これにより、耐久性を向上することができる。
【0079】
また、本実施形態において、第一の配置空間462に配置される給電基板部450は第一のコイル筐体面461に接着され、第二の配置空間464に配置される給電基板部450は第二のコイル筐体面465に接着される例を示したが、その構成はこれに限らない。例えば、第一の配置空間462に配置される給電基板部450は衝突防止面463に接着され、第二の配置空間464に配置される給電基板部450は衝突防止面463に接着されてもよい。これにより配置の自由度が向上する。
【0080】
さらに、本実施形態において、並列キャパシタ424の容量の調整は上述した値に限られない。上述の例では、コイル筐体460が検査対象の身体部分に密着する配置において、低インピーダンス信号処理回路430から見たループコイル部420の並列共振回路の共振周波数におけるインピーダンスが、低インピーダンス信号処理回路430が接続される伝送ケーブルの特性インピーダンスと同等となるように調整することとした。しかしながら、並列キャパシタ424の容量はそれより小さくてもよく、これにより、ブロックインピーダンスを向上させることができる。
【0081】
なお、本実施形態において、アレイコイル400は被検体103の腹部に対して配置される例について説明したが対象部位は、例えば、頭部や四肢であってもよく、同様の効果が得られる。
【0082】
(変形例)
上述した第1の実施形態では、アレイコイル400のコイル筐体460が
図7~
図9におけるx軸方向及びz軸方向の2方向へ伸縮可能な場合を例にあげて説明したが、コイル筐体460の伸縮方向は、伸縮方向はx軸方向の一方向のみであってもよい。
伸縮方向に対しては、サブコイル410を
図6(b)における第一の配置空間462と第二の配置空間464に交互に配置することにより第1の実施形態と同様にスムーズにコイル長を変化させることができる。
【0083】
さらに、コイル筐体460が伸縮しない方向に対しては、サブコイル410を第一の配置空間462と第二の配置空間464のいずれに配置してもよいため、配置の自由度を向上させることができる。
図6(a)、
図7(b)、
図8(b)及び
図9(b)に示すように、第1の実施形態では、任意のサブコイルを中心として、当該サブコイルに隣接するサブコイルの中心同士が夫々90度の間隔をあけて配置されたコイルユニットについて説明した。サブコイルの配置はこれに限られず、例えば、任意のサブコイルを中心として、当該サブコイルに隣接するサブコイルの中心同士を夫々60度の間隔をあけて配置してもよい。これにより、サブコイルの配置密度を向上させることで、MRI画像の画質を向上させることができる。
【0084】
この他、コイル筐体を、シート状の一枚の材料から形成するのでなく、複数枚の材料を接続して袋状に形成することもできる。このとき、伸縮する方向が一方向の複数の素材を部分筐体として用い、複数の部分筐体を、互いの伸縮方向が一致しないように接続することで、コイル筐体全体として複数方向に伸縮させることができる。例えば、部分筐体を伸縮方向が互いに垂直となるように接続してコイル筐体を成形する場合、コイル筐体全体として2軸方向に伸縮させることができる。
【0085】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態にかかるMRI装置の全体構成は、上述した第1の実施形態と同様の構成を有するため、その説明を省略する。本実施形態も上述した第1の実施形態と同様に、水平磁場方式のマグネット110が発生する静磁場の向きを座標系090のZ軸方向とする。
【0086】
本実施形態に係るアレイコイルのコイルユニットは、上述した第1の実施形態におけるコイルユニットよりもサブコイル同士が密に配置され、かつ、コイル筐体に衝突防止面がなく一つの配置空間に各サブコイルがコイル筐体に対して傾斜面を持つように配置されている。
【0087】
以下、本実施形態に係るコイルユニットについて
図10、
図11を用いて説明する。
本実施形態に係るコイルユニットを構成するサブコイルは、
図10(a)に示すように、ループコイル部720、給電基板部750、給電基板支持部751及びループ支持部752を備えている。
ループコイル部720は、可撓性を有する一定の長さの導体をほぼ円形に湾曲させたものであり、状況に応じて形状を変化させることができるようになっている。本実施形態においては、厚さ30μm、幅5mmの銅を導体としたフレキシブルプリント基板を湾曲して構成している。
【0088】
図10(a)及び
図10(b)に示すように、ループコイル部720は、ループ接着部753を介してコイル筐体760に接着されている。また、ループコイル部720は、ループコイル部720の少なくとも一か所(本実施形態においては、ループ接着部753と対峙する部分)がループ支持部752に固定され、ループ支持部752を介して給電基板部750と接続されている。給電基板部750は、ループコイル部720の略中心に位置するようにループ支持部752に接続される。
【0089】
給電基板部750には、給電基板支持部751の一端が接続され、給電基板支持部751の他端がコイル筐体760に接触することで、給電基板部750及びループコイル部720がコイル筐体760に支持される。なお、給電基板支持部751とコイル筐体760は接触しているが、接着はされていない。
【0090】
ループコイル部720がループ接着部753を介してコイル筐体760に接着され、ループコイル部720のループ接着部753と対峙する一部がループ支持部752を介して給電基板部750に接続されることで、ループコイル部720は、コイル筐体760から離れる方向に徐々に傾斜する部分を有することとなる。ここでは、ループコイル部720の半分がコイル筐体760から離れるように構成されている。
【0091】
このように、各サブコイル710は、給電基板支持部751と給電基板部750とループ支持部752とループコイル部720が一体となっており、この一体の構成がコイル筐体760に対してループ接着部753のみで接着された状態となっている。
【0092】
図11に、一例として、コイルユニットに含まれる7つのサブコイル710の配置関係を例示する。
図11中、中心に位置するサブコイルの周りに6つのサブコイルが夫々、中心のサブコイルからみて夫々60度の間隔をあけて配置されている。コイル筐体760はx軸方向にもz軸方向にも伸縮可能とする。
【0093】
このように構成されたアレイコイルにおいて、コイル筐体760が伸縮した場合の形状の変化について説明する。
各サブコイル710は、給電基板支持部751がコイル筐体760に対して接着されていないため、コイル筐体760の伸縮時にコイル筐体760に対してスライドする。
図11(a)は、コイル筐体760が縮んだ状態を示し、
図11(b)は、コイル筐体760が伸びた状態を示す。
図11(a)及び
図11(b)は、何れもコイル筐体に沿ったループの中心間距離が変化する様子を示している。
【0094】
ループコイル部720の導体は厚さが薄く、ループコイル部720が部分的にコイル筐体760から離れるように構成されているため、コイル筐体760が伸びてサブコイル710間の重なりがなくなった
図11(b)の状態からコイル筐体760が縮んで
図11(a)の状態となっても、サブコイル同士が干渉したり、物理的に衝突したりすることがない。
【0095】
このように構成されたアレイコイルによれば、コイル筐体760を伸縮させることでアレイコイルのコイル長を適宜変更させることができるため、異なるサイズの被検体であっても被検体の近傍に、かつ、被検体の生体構造にアレイコイルを沿わせて配置することができ、被検体サイズによらず高画質なMRI画像を提供することができる。
【0096】
第一の実施形態に比して、コイル筐体に衝突防止面を設ける必要がないため、部品点数及び製造工程を削減することができコスト削減に寄与する。アレイコイルを構成する全てのサブコイルをコイル筐体の同一空間内に配置することができるため、全てのサブコイルを被検体近傍に配置することができ、信号取得効率を向上させることができる。
【0097】
(変形例)
上述した第2の実施形態におけるアレイコイルでは、ループコイル部720がフレキシブルプリント基板から構成される例について説明したが、他の可撓性を有する導電材料であればよく、例えば、形状記憶素材で被覆された銅線を適用することができる。この場合のコイルユニットの例について
図12乃至
図15を用いて説明する。
【0098】
図12及び
図13では、説明の便宜上、コイルユニットに含まれる2つのサブコイル810を示している。各サブコイルのループコイル部820は、形状記憶素材で被覆された銅線を湾曲させてほぼ円形を成している。ループコイル部820は、形状記憶素材を用いていることから、外部から物理的な力が加わると変形するが、その力がなくなるとまた元の円形形状に戻る。
【0099】
ループコイル部820は、ループコイル部820の中心に配置された近接抑制部870から放射状に設けられたループ支持部852によって支持されている。ループ支持部852は、近接抑制部を中心として60度の間隔をあけて放射状に6本設けられており、一部のループ支持部852はコイル筐体860からやや離れた位置に支持されている(
図13)。このため、ループコイル部
820はコイル筐体860に対して傾斜した部分を有することとなる。
【0100】
近接抑制部870はループコイル部820の中心に対して一定の半径を持つ柱であり、例えば硬質プラスチックなどから構成される。ここでは、近接抑制部870は給電基板支持部を兼ねている例を示す。近接抑制部870には給電基板部が支持される(不図示)。ここでは、近接抑制部870がコイル筐体860と接着されており、ループコイル部820はコイル筐体860に接着されていない。
【0101】
また、互いに隣接するサブコイル810の重なり部分に、隣接する2つのループコイル部の内部に入るように重複保持部871が設けられている。より具体的には、重複保持部871は、互いに隣接するサブコイル810の各ループコイル部820の中間位置でコイル筐体860に接着された柱状の部材であり、例えば、直径1mmの硬質プラスチックから構成される。
【0102】
このように構成されたアレイコイルにおけるループコイル部820は、コイル筐体860の近接抑制部870に物理的に接触すると近接抑制部870の形状に沿って変形する。
図12(a)~(d)に、コイル筐体860が徐々に縮んで、隣接するループコイル部820が互いに近づいていく際の形状変化の様子を示す。このように、隣接するループコイル部820の中心間距離が小さくなっていくと、ループコイル部820が近接抑制部870に接触して変形するため、
ループコイル部820同士の重なり面積が大きくなりすぎず、サブコイル間の磁気結合を抑制することができる。ゆえに、サブコイルのコイル性能の劣化を防止して、MRI画像の画質の低下を防止することができる。
【0103】
また、
図12(a)に示すように、重複保持部871を設けたことにより、コイル筐体860が伸張した場合であっても、ループコイル部820の中心間距離が大きくなるのを防止する。よって、隣接するサブコイルのループコイル部同士は常に重なり合う領域を有するように配置され、コイル筐体の伸縮可動域においては、ループコイル部の中心間距離が大きくなっても常に重なり合う領域が存在することとなる。これにより、サブコイル間の磁気結合を抑制することができ、サブコイルのコイル性能劣化を防止し、画質低下を防止することができる。
【0104】
また、
図13に示すように、ループコイル部
820の一部はコイル筐体860に対して傾斜してコイル筐体860から離れて配置され、かつ、隣接するループコイル部820同士がy軸方向からみて重なるように配置されているため、コイル筐体860が縮む際にもループコイル
部820同士が互いに接触することがなく、スムーズなコイル長変化が可能となる。
【0105】
このように本変形例によれば、コイル筐体が伸縮することにより、コイル筐体860を伸縮させることでアレイコイルのコイル長を適宜変更させることができるため、異なるサイズの被検体であっても被検体の近傍に、かつ、被検体の生体構造にアレイコイルを沿わせて配置することができ、被検体サイズによらず高画質なMRI画像を提供することができる。
【0106】
さらに、ループコイル部820の内部に設けた近接抑制部870及び重複保持部871により、隣接するループコイル部820同士の重なり面積を一定範囲内に維持することができるため、サブコイル間の磁気結合によるコイル性能劣化の許容範囲に制御することができる。特に、磁場強度が比較的低く、並列キャパシタの容量を小さくできない場合において有効となる。
【0107】
なお、本変形例において、近接抑制部870は給電基板支持部を兼ねた柱の例を示したが、その構造はこれに限らない。例えば、中空の柱であって給電基板支持部は別であってもよい。また、ひとつの柱でなく複数の板が間をあけてループコイル部820の中心から一定の距離に配置されていてもよい。これにより、硬質プラスチックの量が減らすことができ、軽量化ができる。
【0108】
本変形例において、重複保持部871を設ける例について説明したが、重複保持部871を必ずしも設けなくてもよい。例えば、重複保持部871を設けずに、コイル筐体860の伸張限界をループコイル部が隣接する状態に設定してもよい。このようにすることで、重複保持部871が存在する場合と同様に、サブコイルのループコイル部は常に一部重なり合う領域を有するように配置され、つまり、コイル筐体の伸縮可動域は重なり合う領域が存在する範囲内に限られる。よって、コイル筐体860が縮むときに物理的接触によってループコイル部同士がひっかかってしまうことはなく、スムーズなコイル長変化が可能となる。
【0109】
なお、上述の通り、説明の便宜上アレイコイルに含まれるサブコイルを
図12及び
図13では2つ図示して説明したが、サブコイルの数は適宜定めることができる。例えば、7個や32個であってもよい。サブコイルの数が多く各サブコイルの大きさが等しい場合、より広い範囲に感度を持つことができる。もしくは、サブコイルの数が多くコイルユニットの大きさが等しい場合、各サブコイルのループサイズが小さくなり、表面感度を向上させることができる。
【0110】
図14及び
図15にアレイコイルに含まれるサブコイルのうち7つのサブコイルの配置例を示す。
図14は、コイル筐体860が縮んだ状態を示し、ループ支持部852は、隣り合う近接抑制部870が配置されている角度を避けて配置されており、六角形に近い形状に変形している。これにより、同様にループコイル部
820の中心間距離が小さくなっても、重なり面積が大きくなりすぎず、サブコイル間の磁気結合を抑制することができ、サブコイルのコイル性能劣化を防止し、画質低下を防止することができる。
【0111】
図15は、アレイコイルにおいてコイル筐体860が伸張した状態を示す。重複保持部871により、ループコイル部の中心間距離が大きくなっても、重なり領域がなくならず、サブコイル間の磁気結合を抑制することができる。このため、サブコイルのコイル性能劣化を防止し、画質低下を防止することができる。また、コイル筐体860が縮むときにループコイル部同士が接触することがなく、スムーズなコイル長変化が可能となる。
【符号の説明】
【0112】
090・・・座標系、100・・・MRI装置、101・・・MRI装置、102・・・テーブル、103・・・検査対象、110・・・磁石、111・・・磁石、121・・・シムコイル、122・・・シム電源、131・・・傾斜磁場コイル、132・・・傾斜磁場電源、140・・・シーケンサ、151・・・送信RFコイル、152・・・RF磁場発生器、161・・・受信RFコイル、162・・・受信器、170・・・計算機、171・・・表示装置、180・・・磁気結合防止回路駆動装置、210・・・送受間磁気結合防止回路、211・・・PINダイオード、212・・・制御用信号線、220・・・送受間磁気結合防止回路、221・・・PINダイオード、221・・・クロスダイオード、222・・・インダクタ、223・・・制御用信号線、300・・・鳥かご型RFコイル、301・・・直線導体、302・・・端部導体、303・・・キャパシタ、311・・・入力ポート、312・・・入力ポート、410・・・サブコイル、420,720,820・・・ループコイル部、421・・・ループ、422・・・直列キャパシタ、424・・・並列キャパシタ、450,750・・・給電基板部、460,760,860・・・コイル筐体、751・・・給電基板支持部、752,852・・・ループ支持部、753・・・ループ接着部、870・・・近接抑制部、871・・・重複保持部