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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】巻尺
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/1005 20200101AFI20221028BHJP
【FI】
G01B3/1005
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018154977
(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公開番号】P2020030078
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】391033986
【氏名又は名称】ムラテックKDS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 幸彦
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-065503(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0120074(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0088875(US,A1)
【文献】特開平07-055401(JP,A)
【文献】特開平06-265301(JP,A)
【文献】実開昭55-032473(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/10- 3/1094
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に自動で巻き取られる測定テープと、
前記測定テープが前記ケースから引き出された状態で、前記測定テープをロック可能なストッパーとを備え、
前記ケースは、外面と、内面と、前記外面と前記内面とを貫通するスリットと、前記内面に設けられたロック状態保持部とを含み、
前記ストッパーは、前記スリットに挿入された接続部と、前記ケース外で前記接続部に接続された操作部と、前記ケース内で前記接続部に接続された板状弾性部とを含み、
前記板状弾性部が前記測定テープを押圧しつつ前記ロック状態保持部に係合することにより前記ストッパーが前記測定テープをロックした状態で、前記操作部は前記ケースの前記外面との間に隙間を隔てて配置されており、
前記操作部が前記隙間を小さくするように前記ケースの前記外面に向けて移動することにより前記板状弾性部と前記ロック状態保持部との係合が浅くなり、
前記板状弾性部は、前記ロック状態保持部に係合可能な係合部を含み、
前記係合部は、前記操作部が前記隙間を小さくするように前記ケースの前記外面に向けて移動する方向に沿って延びる係合面を含み、
前記ロック状態保持部が前記係合面に沿って移動することにより前記板状弾性部と前記ロック状態保持部との係合が浅くなり、
前記ケースは、前記内面に設けられたロック解除保持部を含み、
前記ストッパーが前記測定テープをロックした状態が解除されているときに、前記板状弾性部は前記ロック解除保持部に係合可能に構成されており、
前記板状弾性部は、全体として湾曲するように構成されており、
前記板状弾性部は、一方端部と、他方端部と、突出部とを含み、
前記板状弾性部は、前記一方端部を自由端として前記接続部に片持ち支持されており、前記他方端部を自由端として前記接続部に片持ち支持されており、
前記一方端部の先端に前記係合部が設けられており、
前記一方端部の基端部に前記突出部が設けられており、
前記突出部は、前記ケースの前記内面に向けて突出するように構成されており、前記ロック解除保持部に係合可能に構成されており、
前記ストッパーが前記測定テープをロックした状態が解除されているときに、前記突出部の前記他方端部側の部分が前記ロック解除保持部に係合されており、
前記板状弾性部の前記一方端部の前記先端において前記係合面と前記一方端部の前面とのなす角度は、前記一方端部の前記基端部において前記突出部と前記一方端部の前記前面とのなす角度よりも小さい、巻尺。
【請求項2】
前記ケースは、滑り止め部を含み、
前記ストッパーが前記測定テープをロックした状態で、前記滑り止め部は、前記板状弾性部とで前記測定テープを挟み込むように構成されている、請求項に記載の巻尺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は巻尺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、測定テープをケースから引き出された状態でロックするためのストッパーを備えた巻尺がある。たとえば、実開平2-63402号公報(特許文献1)には、このストッパーを備えた巻尺が記載されている。この公報に記載された巻尺では、ストッパーの弧状係止片の上端に形成された突起がケースのネジ用のボスに係合されることで測定テープがケースから引き出された状態でロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平2-63402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載された巻尺では、測定テープのロックが解除されるときに、ストッパーとボスとの係合が解除され難いため、測定テープのロックを解除し難いという問題がある。
【0005】
本発明は上記解題に鑑みてなされたものであり、その目的は、測定テープのロックを解除し易くすることができる巻尺を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の巻尺は、ケースと、ケース内に自動で巻き取られる測定テープと、測定テープがケースから引き出された状態で、測定テープをロック可能なストッパーとを備えている。ケースは、外面と、内面と、外面と内面とを貫通するスリットと、内面に設けられたロック状態保持部とを含んでいる。ストッパーは、スリットに挿入された接続部と、ケース外で接続部に接続された操作部と、ケース内で接続部に接続された板状弾性部とを含んでいる。板状弾性部が測定テープを押圧しつつロック状態保持部に係合することによりストッパーが測定テープをロックした状態で、操作部はケースの外面との間に隙間を隔てて配置されている。操作部が隙間を小さくするようにケースの外面に向けて移動することにより板状弾性部とロック状態保持部との係合が浅くなる。
【0007】
本発明の巻尺によれば、操作部が隙間を小さくするようにケースの外面に向けて移動することにより板状弾性部とロック状態保持部との係合が浅くなる。このため、操作部が隙間を小さくするようにケースの外面に向けて移動することにより板状弾性部とロック状態保持部との係合が解除され易くなる。これにより、測定テープのロックを解除し易くすることができる。
【0008】
上記の巻尺では、好ましくは、板状弾性部は、ロック状態保持部に係合可能な係合部を含んでいる。係合部は、操作部が隙間を小さくするようにケースの外面に向けて移動する方向に沿って延びる係合面を含んでいる。ロック状態保持部が係合面に沿って移動することにより板状弾性部とロック状態保持部との係合が浅くなる。このため、操作部が隙間を小さくするようにケースの外面に向けて移動することにより、係合面に沿って板状弾性部とロック状態保持部との係合が浅くなることで、板状弾性部とロック状態保持部との係合が解除され易くなる。
【0009】
上記の巻尺では、好ましくは、ケースは、内面に設けられたロック解除保持部を含んでいる。ストッパーが測定テープをロックした状態が解除されているときに、板状弾性部はロック解除保持部に係合可能に構成されている。このため、板状弾性部がロック解除保持部に係合することにより測定テープのロックが解除された状態を維持することができる。
【0010】
上記の巻尺では、好ましくは、ケースは、滑り止め部を含んでいる。ストッパーが測定テープをロックした状態で、滑り止め部は、板状弾性部とで測定テープを挟み込むように構成されている。このため、滑り止め部によりストッパーが測定テープをロックした状態を維持することが容易となる。したがって、測定時にはストッパーが測定テープをロックした状態を維持することを容易にするとともにロック解除時には測定テープのロックを解除し易くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明の巻尺によれば、測定テープのロックを解除し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態の巻尺の構成を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態の巻尺の構成を概略的に示す側面図である。
図3図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4図3のIV部を拡大して示す拡大図である。
図5図1のV-V線に沿う断面図である。
図6】本発明の一実施の形態の巻尺のストッパーを板状弾性部側から示す斜視図である。
図7】本発明の一実施の形態の巻尺のストッパーを操作部側から示す斜視図である。
図8】本発明の一実施の形態の巻尺における測定テープがロックされた状態を示す断面図である。
図9図8のIX部を拡大して示す拡大図である。
図10図8に示す操作部が移動した状態を示す断面図である。
図11図8のXI-XI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明は、特に必要がなければ繰り返さない。
【0014】
図1および図2を参照して、本実施の形態の巻尺1は、ケース10と、測定テープ20と、ストッパー30と、カバー40と、プレート50と、クリップ60とを主に有している。巻尺1は、測定テープ20で測定対象物の長さ等を測定するためのものである。巻尺1は、測定テープ20をケース10に出し入れ可能に構成されている。
【0015】
ケース10は、測定テープ20を出し入れ可能に収容するように構成されている。ケース10は測定テープ20を出し入れする出入口EPを有している。ケース10は、出入口EPを通して図1中矢印A1方向に測定テープ20を出し入れ可能に構成されている。ケース10の材料は、たとえば樹脂である。
【0016】
測定テープ20は、ケース10内に自動で巻き取られるように構成されている。測定テープ20は、幅方向に湾曲していてもよい。測定テープ20は、鋼鉄製であってもよい。測定テープ20の先端部に爪部21が取り付けられている。爪部21は、測定テープ20がケース10に収容された状態で、ケース10の出入口EPに係止されるように構成されている。爪部21は、測定テープ20がケース10に収容された状態で、ケース10の出入口EPから露出している。
【0017】
ストッパー30はケース10に支持されている。ストッパー30は、測定テープ20がケース10から引き出された状態で、測定テープ20をロック可能に構成されている。ストッパー30は、測定テープ20がケース10から引き出された状態を維持可能に構成されている。
【0018】
カバー40は、ケース10を覆うように構成されている。カバー40は、巻尺1自体を保護するためのものである。また、カバー40は、巻尺1に接触する物を保護するためのものである。また、カバー40は滑り止めのためのものである。カバー40の材料は、たとえばゴムである。カバー40は、正面40aと、側面40bと、背面40cとを有している。側面40bは、正面40aと背面40cとの間に配置されている。側面40bに開口部OPが設けられている。ストッパー30は、カバー40の開口部OPから露出している。
【0019】
プレート50は、カバー40の正面40aに配置されている。プレート50は、巻尺の製造会社および商品名などが表示されるように構成されている。プレート50は、銘板として機能するものである。プレート50の材料は、たとえば樹脂である。
【0020】
クリップ60は、カバー40の背面40cに配置されている。クリップ60は、巻尺1の使用者のベルトなどに巻尺1を取り付け可能に構成されている。クリップ60は、ねじによってカバー40を介してケース10に取り付けられている。クリップ60の材料は、たとえば金属である。
【0021】
図3を参照して、巻尺1は、巻取軸70と、ボビン80と、ゼンマイバネ90とをさらに有している。巻取軸70はケース10に取り付けられている。ボビン80は、巻取軸70周りに回転するように構成されている。ボビン80の外周側に測定テープ20が巻き回されている。ボビン80の内周側にゼンマイバネ90が収容されている。ゼンマイバネ90の基端部は巻取軸70に取り付けられている。ゼンマイバネ90の先端部は測定テープ20の基端部に取り付けられている。
【0022】
測定テープ20は、ゼンマイバネ90によって巻取軸70周りに巻き取られるように付勢されている。このため、測定テープ20がケース10の出入口EPから引き出される際には、ゼンマイバネ90の付勢力に抗して測定テープ20は引き出される。したがって、測定テープ20がケース10の出入口EPから引き出された状態で、測定テープ20を引き出す力が解除されると、ゼンマイバネ90の付勢力によって測定テープ20はケース10内に引き戻される。また、測定テープ20がストッパー30によってロックされた場合には、測定テープ20はストッパー30によってケース10から引き出された状態で維持される。
【0023】
図3および図4を参照して、ケース10は、外面10aと、内面10bと、スリット10cと、ロック解除保持部11と、ロック状態保持部12とを含んでいる。スリット10cは、ケース10の外面10aと内面10bとを貫通するように構成されている。スリット10cは、ケース10の側壁に沿って上下に延在するように構成されている。
【0024】
図4および図5を参照して、ロック解除保持部11は、ケース10の内面10bに設けられている。本実施の形態では、ロック解除保持部11は、ケース10の内面10bからケース10内に突出している。ロック状態保持部12は、ケース10の内面10bに設けられている。本実施の形態では、ロック状態保持部12は、ケース10の内面10bからケース10内に突出している。ロック解除保持部11とロック状態保持部12とは互いに間隔を空けて配置されている。ロック解除保持部11は、ケース10の出入口EPからロック状態保持部12よりも離れて配置されている。
【0025】
なお、上記では、ロック解除保持部11およびロック状態保持部12は、ケース10の内面10bからケース10内に突出している。しかしながら、ロック解除保持部11およびロック状態保持部12は、ケース10の内面10bが外面10aに向けて凹むように構成されていてもよい。
【0026】
図3および図5を参照して、ストッパー30は、接続部31と、操作部32と、板状弾性部33とを含んでいる。なお、図5では、見やすくするために、測定テープ20などは図示されていない。接続部31は、操作部32と板状弾性部33とを接続するように構成されている。接続部31は、スリット10cに挿入されている。操作部32は、ケース10外で接続部31に接続されている。操作部32は、使用者がストッパー30を操作するためのものである。板状弾性部33は、ケース10内で接続部31に接続されている。板状弾性部33は、全体として板状に構成されている。板状弾性部33は、全体として湾曲するように構成されている。板状弾性部33は、弾性を有している。ストッパー30が測定テープ20をロックした状態が解除されているときに、板状弾性部33はロック解除保持部11に係合可能に構成されている。
【0027】
図6および図7を参照して、板状弾性部33は、一方端部33aと、他方端部33bと、係合部LPと、突出部PPと、当接部CPとを含んでいる。板状弾性部33は、一方端部33aを自由端として接続部31に片持ち支持されており、他方端部33bを自由端として接続部31に片持ち支持されている。
【0028】
板状弾性部33の一方端部33aは、操作部32と間隔を空けて向かい合うように配置されている。一方端部33aは、一方端部33aと操作部32とが間隔を空けて向かい合う方向と交差する方向に板状弾性部33の中央部から張り出すように構成されている。板状弾性部33の他方端部33bは、一方端部33aと操作部32とが間隔を空けて向かい合う方向と交差する方向に板状弾性部33の中央部から張り出すように構成されている。
【0029】
他方端部33bは、板状弾性部33の中央部に対して一方端部33aが湾曲する方向と反対方向に湾曲している。他方端部33bは、先端に向けて当該交差する方向の両端に分岐するように構成されている。つまり、他方端部33bは、先端に向けて二股に分かれるように構成されている。他方端部33bの先端に当接部CPが設けられている。当接部CPは測定テープ20に当接して測定テープ20をロック可能に構成されている。
【0030】
図3および図7を参照して、板状弾性部33の一方端部33aは、ケース10の出入口EPから他方端部33bよりも離れて配置されている。一方端部33aの基端部に突出部PPが設けられている。突出部PPは、ケース10の内面10bに向けて突出するように構成されている。突出部PPは、ロック解除保持部11に係合可能に構成されている。突出部PPは一方端部33aの幅方向に延在するように構成されている。
【0031】
一方端部33aの先端に係合部LPが設けられている。係合部LPは、ロック状態保持部12に係合可能に構成されている。係合部LPは、係合面ESを含んでいる。係合面ESは、操作部32が隙間GPを小さくするようにケース10の外面10aに向けて移動する方向に沿って延びるように構成されている。係合面ESは平面状に構成されている。ロック状態保持部12は、係合面ESに沿って延びるように構成されている。
【0032】
図3および図5を参照して、本実施の形態では、ケース10は、滑り止め部100を含んでいる。滑り止め部100は、ケース10内に配置されている。滑り止め部100は、本体部101と、2つの突起部102とを含んでいる。本体部101は、板状に構成されている。2つの突起部102はそれぞれ本体部101から測定テープ20に向けて突き出している。2つの突起部102は互いに間隔を空けて配置されている。
【0033】
滑り止め部100は摩擦係数が高い材料で構成されていることが好ましい。また、滑り止め部100はクッション性を有する材料で構成されていることが好ましい。滑り止め部100の材料は、たとえばゴムである。ストッパー30が測定テープ20をロックした状態で、滑り止め部100は、板状弾性部33とで測定テープ20を挟み込むように構成されている。
【0034】
図4および図7を参照して、板状弾性部33の一方端部33aの先端において係合面ESと一方端部33aの前面とのなす角度AAは、一方端部33aの基端部において突出部PPと一方端部33aの前面とのなす角度ABよりも小さい。
【0035】
図8および図9を参照して、操作部32が操作されることで測定テープ20がストッパー30によってロックされる。具体的には、操作部32がケース10の外面10aに沿って下方に移動することで測定テープ20がストッパー30によってロックされる。
【0036】
板状弾性部33が測定テープ20を押圧しつつロック状態保持部12に係合することによりストッパー30が測定テープ20をロックする。具体的には、板状弾性部33の係合部LPがロック状態保持部12に係合されている。この状態で、操作部32はケース10の外面10aとの間に隙間GPを隔てて配置されている。図9中矢印A2で示されるように、板状弾性部33が測定テープ20を押圧することによって測定テープ20からの反力が作用する。この反力は、板状弾性部33の一方端部33aをケース10の内面10bに向けて移動させるように作用する。
【0037】
図10を参照して、測定テープ20のロックが解除されるときには、図10中矢印A3で示されるように、操作部32が隙間GPを小さくするようにケース10の外面10aに向けて移動する。操作部32が隙間GPを小さくするようにケース10の外面10aに向けて移動することにより板状弾性部33とロック状態保持部12との係合が浅くなる。本実施の形態では、ロック状態保持部12が係合面ESに沿って移動することにより板状弾性部33とロック状態保持部12との係合が浅くなる。板状弾性部33とロック状態保持部12との係合が浅くなった状態で、図10中矢印A4で示されるように、操作部32が斜め上方に移動することで測定テープ20のロックが解除される。
【0038】
図11を参照して、測定テープ20がストッパー30によってロックされるときには、板状弾性部33の他方端部33bに設けられた当接部CPが測定テープ20の上面に当接する。また、滑り止め部100が測定テープ20の下面に当接する。滑り止め部100の突起部102が主に測定テープ20の下面に当接する。このようにして当接部CPと滑り止め部100との間に測定テープ20が挟み込まれることにより測定テープ20がストッパー30によってロックされる。
【0039】
次に本実施の形態の巻尺1の作用効果について説明する。
本実施の形態の巻尺1によれば、操作部32が隙間を小さくするようにケース10の外面10aに向けて移動することにより板状弾性部33とロック状態保持部12との係合が浅くなる。このため、操作部32が隙間GPを小さくするようにケース10の外面10aに向けて移動することにより板状弾性部33とロック状態保持部12との係合が解除され易くなる。これにより、測定テープ20のロックを解除し易くすることができる。
【0040】
測定時に、測定テープ20のロックが解除されることがある。たとえば、使用者が測定テープ20の先端に設けられた爪部21を被測定物に引掛けて測定するときなどに、測定テープ20とストッパー30との係合が解除されることで測定テープ20のロックが解除される。測定時に、測定テープ20のロックが解除され難くするために、板状弾性部33の突起を大きくすることにより、板状弾性部33とロック状態保持部12との間で測定テープ20のロック状態の固定力を強くすることができる。本実施の形態の巻尺1では、使用者が測定テープ20をケースに収容するときに、測定テープ20のロックを解除し易くすることができる。このため、測定テープ20のロック状態の固定力を強くしつつ測定テープ20のロックを解除し易くすることができる。
【0041】
測定テープ20の表面がコーティングされている場合には、コーティング素材の摩擦係数によっては測定時に測定テープ20のロックが解除されることがある。コーティング素材は、たとえば、ナイロン、塩化ビニル、アクリルである。本実施の形態の巻尺1では、測定テープ20のロック状態の固定力を強くしつつ測定テープ20のロックを解除し易くすることができる。このため、コーティング素材の摩擦係数が低い場合には測定テープ20のロック状態の固定力を強く設定しつつ測定テープ20のロックを解除し易くすることができる。したがって、コーティング素材の摩擦係数に関わらず、不意にロックが解除され難い。
【0042】
本実施の形態の巻尺1では、好ましくは、係合部LPは、操作部32が隙間GPを小さくするようにケース10の外面10aに向けて移動する方向に沿って延びる係合面ESを含んでいる。ロック状態保持部12が係合面ESに沿って移動することにより板状弾性部33とロック状態保持部12との係合が浅くなる。このため、操作部32が隙間GPを小さくするようにケース10の外面10aに向けて移動することにより、係合面ESに沿って板状弾性部33とロック状態保持部12との係合が浅くなることで、板状弾性部33とロック状態保持部12との係合が解除され易くなる。
【0043】
本実施の形態の巻尺1では、好ましくは、ストッパー30が測定テープ20をロックした状態が解除されているときに、板状弾性部33はロック解除保持部11に係合可能に構成されている。このため、板状弾性部33がロック解除保持部11に係合することにより測定テープ20のロックが解除された状態を維持することができる。
【0044】
本実施の形態の巻尺1では、好ましくは、ストッパー30が測定テープ20をロックした状態で、滑り止め部100は、板状弾性部33とで測定テープ20を挟み込むように構成されている。このため、滑り止め部100によりストッパー30が測定テープ20をロックした状態を維持することが容易となる。したがって、測定時にはストッパー30が測定テープ20をロックした状態を維持することを容易にするとともにロック解除時には測定テープ20のロックを解除し易くすることができる。
【0045】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0046】
1 巻尺、10 ケース、10a 外面、10b 内面、10c スリット、11 ロック解除保持部、12 ロック状態保持部、20 測定テープ、21 爪部、30 ストッパー、31 接続部、32 操作部、33 板状弾性部、33a 一方端部、33b 他方端部、40 カバー、50 プレート、60 クリップ、70 軸、80 ボビン、90 ゼンマイバネ、100 滑り止め部、CP 当接部、EP 出入口、ES 係合面、GP 隙間、LP 係合部、OP 開口部、PP 突出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11