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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】設置環境推定装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/906 20190101AFI20221028BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20221028BHJP
【FI】
G06F16/906
G06Q10/00 300
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018162403
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020035254
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田崎 宣明
(72)【発明者】
【氏名】妻鹿 利宏
(72)【発明者】
【氏名】小松 一宏
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 仁
(72)【発明者】
【氏名】福岡 直也
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-173262(JP,A)
【文献】特開2018-028845(JP,A)
【文献】特開2016-167194(JP,A)
【文献】特開2014-167667(JP,A)
【文献】特開2004-132683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段と、
前記設備毎の属性情報を記憶する属性情報記憶手段と、
前記推定手段が推定した前記設備の設置環境と閾値との比較により当該設備の故障の予兆を診断する故障予兆診断手段と、
を有し、
前記故障予兆診断手段は、前記設備の設置環境との比較に用いる閾値を当該設備の属性情報の属性値に応じて補正することを特徴とする設置環境推定装置。
【請求項2】
携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段と、
前記推定手段が推定した前記設備の設置環境に基づいて前記機器によるデータ収集の方法を、機器を操作するユーザに推奨する推奨手段と、
有することを特徴とする設置環境推定装置。
【請求項3】
携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段と、
前記推定手段が推定した前記設備の設置環境を模式的に表示させるよう制御する表示制御手段と、
有することを特徴とする設置環境推定装置。
【請求項4】
携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段と、
を有し、
前記機器は、保守員が携行する携帯端末に搭載されているセンサ又はカメラであることを特徴とする設置環境推定装置。
【請求項5】
前記設備の設置環境を示す環境項目に、当該環境項目の推定に用いるデータを収集する機器と、当該機器が収集したデータの抽出すべき特徴量と、を対応付けした設置環境推定情報を記憶する設置環境推定情報記憶手段を有し、
前記抽出手段は、前記設置環境推定情報を参照して前記データの特徴量を抽出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の設置環境推定装置。
【請求項6】
前記設備毎の属性情報を記憶する属性情報記憶手段を有し、
前記抽出手段は、前記取得手段が取得したデータを解析することで抽出した当該データの特徴量を当該設備の属性情報の属性値に応じて補正することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の設置環境推定装置。
【請求項7】
前記推定手段が推定した前記設備の設置環境に基づいて当該設備の保守の方法を、当該設備の保守員に推奨する推奨手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の設置環境推定装置。
【請求項8】
前記推定手段が推定した前記設備の設置環境を修正させる修正手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の設置環境推定装置。
【請求項9】
コンピュータを、
携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段、
前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段、
前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段、
前記設備毎の属性情報を記憶する属性情報記憶手段、
前記推定手段が推定した前記設備の設置環境と閾値との比較により当該設備の故障の予兆を診断する故障予兆診断手段、
として機能させ
前記故障予兆診断手段は、前記設備の設置環境との比較に用いる閾値を当該設備の属性情報の属性値に応じて補正するプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段、
前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段、
前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段、
前記推定手段が推定した前記設備の設置環境に基づいて前記機器によるデータ収集の方法を、機器を操作するユーザに推奨する推奨手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータを、
携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段、
前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段、
前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段、
前記推定手段が推定した前記設備の設置環境を模式的に表示させるよう制御する表示制御手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段、
前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段、
前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段、
として機能させ、
前記機器は、保守員が携行する携帯端末に搭載されているセンサ又はカメラであるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置環境推定装置及びプログラム、特に設備が設置されている環境の推定に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の施設に設置されている電気設備や照明設備等の設備を監視するためには、現在の設備の状態を正確に把握する必要がある。そのために、設備のメーカ、型式、製造番号等の属性情報を設備の撮影画像から抽出して取得したりしている。
【0003】
また、設備が送出する情報や設備又は設備周辺に設置した種々のセンサからセンサデータや稼働状態を収集し、収集した情報及びその履歴情報等を解析するなどして設備の状態を把握するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-062252号公報
【文献】特開2004-362103号公報
【文献】特開2007-187552号公報
【文献】特開2009-251822号公報
【文献】特開2011-090593号公報
【文献】国際公開2017/017956号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、同じ機種の設備が同じように運用されていても、例えば、塵埃が相対的に多く発生する場所、風通しの悪い場所、あるいは直射日光が当たる場所等に設置された設備は、そうでない場所に設置されている設備より状態が悪化することが容易に推測できる。このように、設備の状態は、設備の設置場所の環境によって異なってくる場合がある。
【0006】
設備の設置環境は、例えば保守員が保守点検時に記録したり、巡回したりすれば把握することは可能かもしれない。しかしながら、人手により収集され記録される情報(設置環境の善し悪し等)は、主観的で個人差が生じうる。
【0007】
本発明は、機器により収集されるデータを利用して設備の設置環境をより客観的に推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る設置環境推定装置は、携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段と、前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段と、前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段と、前記設備毎の属性情報を記憶する属性情報記憶手段と、前記推定手段が推定した前記設備の設置環境と閾値との比較により当該設備の故障の予兆を診断する故障予兆診断手段と、を有し、前記故障予兆診断手段は、前記設備の設置環境との比較に用いる閾値を当該設備の属性情報の属性値に応じて補正するものである。
また、本発明に係る設置環境推定装置は、携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段と、前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段と、前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段と、前記推定手段が推定した前記設備の設置環境に基づいて前記機器によるデータ収集の方法を、機器を操作するユーザに推奨する推奨手段と、を有するものである。
また、本発明に係る設置環境推定装置は、携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段と、前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段と、前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段と、前記推定手段が推定した前記設備の設置環境を模式的に表示させるよう制御する表示制御手段と、を有するものである。
また、本発明に係る設置環境推定装置は、携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段と、前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段と、前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段と、を有し、前記機器は、保守員が携行する携帯端末に搭載されているセンサ又はカメラである。
【0009】
また、前記設備の設置環境を示す環境項目に、当該環境項目の推定に用いるデータを収集する機器と、当該機器が収集したデータの抽出すべき特徴量と、を対応付けした設置環境推定情報を記憶する設置環境推定情報記憶手段を有し、前記抽出手段は、前記設置環境推定情報を参照して前記データの特徴量を抽出するものである。
【0011】
また、前記設備毎の属性情報を記憶する属性情報記憶手段を有し、前記抽出手段は、前記取得手段が取得したデータを解析することで抽出した当該データの特徴量を当該設備の属性情報の属性値に応じて補正するものである。
【0013】
また、前記推定手段が推定した前記設備の設置環境に基づいて当該設備の保守の方法を、当該設備の保守員に推奨する推奨手段を有するものである。
【0014】
また、前記推定手段が推定した前記設備の設置環境を修正させる修正手段を有するものである。
【0017】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段、前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段、前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段、として機能させ、前記故障予兆診断手段は、前記設備の設置環境との比較に用いる閾値を当該設備の属性情報の属性値に応じて補正するものである。
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段、前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段、前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段、前記推定手段が推定した前記設備の設置環境に基づいて前記機器によるデータ収集の方法を、機器を操作するユーザに推奨する推奨手段、として機能させるためのものである。
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段、前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段、前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段、前記推定手段が推定した前記設備の設置環境を模式的に表示させるよう制御する表示制御手段として機能させるためのものである。
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、携帯される機器により収集されたデータであって監視対象の設備に関するデータを取得する取得手段、前記取得手段が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する抽出手段、前記抽出手段が抽出したデータの特徴量を、前記機器毎の特徴量の項目毎に予め設定されている分類モデルと照合することによって前記設備の設置環境を推定する推定手段、として機能させ、前記機器は、保守員が携行する携帯端末に搭載されているセンサ又はカメラである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、機器により収集されるデータを利用して設備の設置環境をより客観的に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1における設置環境推定装置を示すブロック構成図である。
図2】実施の形態1における設置環境推定装置のハードウェア構成図である。
図3】実施の形態1における設置環境推定処理を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1における分類モデルのデータ構成の一例を示す図である。
図5】実施の形態2における設置環境推定装置を示すブロック構成図である。
図6A】実施の形態2における設置環境推定情報記憶部に設定される設置環境推定情報のデータ構成の一例を示す図である。
図6B図6Aに続く設置環境推定情報のデータ構成の一例を示す図である。
図7】実施の形態2における設置環境推定方法の一例を示す概念図である。
図8】実施の形態2における設置環境推定方法の他の例を示す概念図である。
図9】実施の形態2における設置環境推定方法の他の例を示す概念図である。
図10】実施の形態2における設置環境推定方法の他の例を示す概念図である。
図11】実施の形態3における設置環境推定装置を示すブロック構成図である。
図12】実施の形態3における属性情報記憶部に設定される属性情報のデータ構成の一例を示す図である。
図13】実施の形態3における診断ルール記憶部に設定される診断ルールのデータ構成の一例を示す図である。
図14】実施の形態3における設置環境推定処理を示すフローチャートである。
図15】実施の形態4における設置環境推定装置を示すブロック構成図である。
図16】実施の形態4における属性情報記憶部に設定される属性情報のデータ構成の一例を示す図である。
図17】実施の形態4における設置環境推定処理を示すフローチャートである。
図18】実施の形態5における設置環境推定装置を示すブロック構成図である。
図19】実施の形態6における設置環境推定装置を示すブロック構成図である。
図20】実施の形態7における設置環境推定装置を示すブロック構成図である。
図21】実施の形態8における設置環境推定装置を示すブロック構成図である。
図22】実施の形態8において、設置環境情報を3次元CADデータにて表示したときの例を示す図である。
図23】実施の形態8において、設置環境情報を2次元CADデータにて表示したときの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0021】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る設置環境推定装置の一実施の形態を示したブロック構成図である。本実施の形態における設置環境推定装置10は、例えばビル等の施設に設置されている設備を監視する監視センタ等に設置されるコンピュータにより実現される。本実施の形態における設置環境推定装置10は、詳細は後述するように設備が設置されている現場において収集されたデータを解析することで設備が設置されている場所の環境、すなわち設備の設置環境を客観的に推定することを特徴としている。この解析の対象となるデータは、基本的には、保守員等が現場に持ち込んだ機器が取得するデータである。機器としては、各種センサやカメラ等の撮影手段を想定している。特に、本実施の形態では、保守員が携行する携帯端末、例えばスマートフォンやタブレット端末を想定し、その携帯端末に搭載されているセンサやカメラ、あるいはGPS(Global Positioning System)等の測位手段などの各種機器を有効利用する。ただ、これは、携帯端末以外の機器が取得したデータを排除するものではなく、設備に内蔵されているセンサや設備近傍に設置されているセンサ等の機器が取得したデータを利用してもよい。
【0022】
図2は、本実施の形態における設置環境推定装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態における設置環境推定装置10は、パーソナルコンピュータ(PC)等の従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、設置環境推定装置10は、図2に示すCPU91、ROM92、RAM93、ハードディスクドライブ(HDD)94、入力手段として設けられたマウス95とキーボード96、及び表示手段として設けられたディスプレイ97をそれぞれ接続する入出力コントローラ98、通信手段として設けられたネットワークインタフェース(IF)99を内部バス100に接続して構成される。
【0023】
図1に戻り、本実施の形態における設置環境推定装置10は、データ取得部11、特徴量抽出部12、設置環境推定部13、分類モデル記憶部14及び設置環境情報記憶部15を有している。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略している。データ取得部11は、前述した機器によって収集されたデータであって監視対象となる設備に関するデータを取得する。本実施の形態では、データ取得部11が取得したデータに基づき設備の設置環境を推定するので、データ取得部11が取得する「設備に関するデータ」というのは、解析されることで設備の設置環境を推定可能なデータである。特徴量抽出部12は、データ取得部11が取得したデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する。設置環境推定部13は、特徴量抽出部12が抽出したデータの特徴量を、分類モデル記憶部14に設定されている分類モデルと照合することによって設備の設置環境を推定し、その推定結果を設置環境情報として設置環境情報記憶部15に保存する。
【0024】
分類モデル記憶部14には、種々の分類モデルが設定登録される。各分類モデルは、機器毎特徴量の項目毎に予め設定されている。例えば、機器がカメラの場合、カメラは、データとして撮影画像を得るが、撮影画像を解析することで撮影範囲(設備の設置場所)の汚れ具合(汚れ領域)や撮影範囲を占める設備の設置領域(設備領域)などが特徴量として抽出できるが、この汚れ領域や設備領域が特徴量の項目に該当する。分類モデルの具体的な例は、処理の説明と合わせて説明する。
【0025】
設置環境推定装置10における各構成要素11~13は、設置環境推定装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU91で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部14,15は、設置環境推定装置10に搭載されたHDD94にて実現される。あるいは、RAM93又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0026】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPU91がプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0027】
次に、本実施の形態における設置環境推定装置10が実施する設置環境推定処理について図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0028】
設備の保守員は、施設に到着すると設置環境の推定対象とする設備の設置位置まで移動する。そして、携行している携帯端末の所定のアプリを起動し、内蔵するセンサやカメラを利用して設備の設置場所のデータを収集する。例えば、カメラを利用して設備を撮影すると、保守員は、その撮影画像を、メール等を利用して設置環境推定装置10へ送信する。なお、保守員は、撮影範囲に複数の設備を収める場合がある。
【0029】
設置環境推定装置10において、データ取得部11が携帯端末から送信されてくるデータを受信することで取得すると(ステップ101)、特徴量抽出部12は、そのデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する(ステップ102)。なお、本実施の形態では、データを収集した機器が特定されると、どの項目の特徴量を抽出するかは、事前に決められており、これに伴い、設置環境推定部13は、どの分類モデルを参照するのかも事前にわかっている。
【0030】
従って、特徴量抽出部12がデータの特徴量を抽出すると、設置環境推定部13は、該当する分類モデルを分類モデル記憶部14から読み出し、その読み出した分類モデルと照合することによって設備の設置環境を特定する(ステップ103)。設備の設置環境を特定する手法は、以下の通りである。
【0031】
図4は、分類モデルの一例であり、機器がカメラで特徴量が汚れ領域の場合の分類モデルである。図4に示す分類モデルにおいて推定しうる設置環境(推定環境)は、汚れ具合が低、中、高の3段階であり、それぞれに特徴量の取り得る範囲が設定されている。
【0032】
特徴量抽出部12は、撮影画像を解析することで撮影範囲に含まれる汚れの程度(汚れ具合)を特徴量として抽出する。撮影画像から汚れの程度を検出する手法は従前からある手法を用いればよいが、特徴量抽出部12は、例えば撮影画像が示す撮影範囲のうち汚れていると推定される範囲を検出する。そして、汚れ範囲が撮影範囲を占める割合を算出する。特徴量抽出部12は、この割合を特徴量として抽出する。この例の場合の特徴量の取り得る範囲は0から1の間である。そして、設置環境推定部13は、特徴量抽出部12が算出した特徴量の値を、分類モデルにおける各条件に対応する範囲と比較することで、該当する推定環境(設備の設置環境)を特定する。本実施の形態においては、データの特徴量に基づき分類モデルに設定されている推定環境を特定することによって設備の設置環境を推定する。
【0033】
設置環境推定部13は、以上説明したように特徴量の値に基づき分類モデルに設定されている推定環境を推定すると、その推定結果を設置環境情報として設置環境情報記憶部15に保存する(ステップ104)。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態によれば、データの特徴量と分類モデルとの比較により取得したデータに対応する設備の設置環境を推定することができる。
【0035】
実施の形態2.
図5は、本実施の形態における設置環境推定装置のブロック構成図である。本実施の形態における設置環境推定装置10は、実施の形態1に設置環境推定情報記憶部21を追加した構成を有している。なお、実施の形態1と同じ構成要素には、同じ符号を付け、説明を適宜省略する。以降に説明する実施の形態においても同様である。また、設置環境推定装置10のハードウェア構成も実施の形態1と同じでよい。以降に説明する実施の形態においても同様である。
【0036】
図6A及び図6Bは、本実施の形態における設置環境推定情報記憶部21に記憶される設置環境推定情報のデータ構成例を示す図である。設置環境推定情報は、推定対象とする設備の設置環境に、設置環境の推定に利用するデータを収集する機器、当該データから抽出する特徴量の項目、特徴量の算出の手法を示す演算種類及び分類モデルの識別情報としてのモデルIDを対応付けして生成される。設置環境推定情報記憶部21は、設置環境推定装置10に搭載されたHDD94にて実現される。あるいは、RAM93又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0037】
次に、本実施の形態における設置環境推定装置10が実施する設置環境推定処理について説明する。処理の基本的な流れは、実施の形態1において示したフローチャート(図3)と同じでよい。ただ、実施の形態1では、どの項目の特徴量を抽出するかを事前に決めていたが、本実施の形態では、どの項目の特徴量を抽出するかが定義されている設置環境推定情報を参照する。
【0038】
すなわち、データ取得部11がデータを取得すると、特徴量抽出部12は、データを収集した機器に対応する設備の設置環境及び特徴量の項目を、設置環境推定情報を参照することによって特定する。特徴量抽出部12は、当該機器に対し、設置環境推定情報に定義されている設置環境に対応する特徴量を全て抽出するようにしてもよいし、推定する設置環境を管理者等に選択させるようにしてもよい。例えば、取得したデータがカメラによる撮影画像の場合、図6Aに示す設置環境推定情報の設定例によると、設置環境としては、設備の密集の程度、周囲の汚れ具合及び周囲の陽当たりに関して設置環境を推定することが可能である。特徴量抽出部12は、この中から少なくとも1つの設置環境を自ら選択したり、管理者に選択させたりして当該設置環境の推定のために特徴量を抽出する。
【0039】
そして、特徴量抽出部12がデータの特徴量を抽出すると、設置環境推定部13は、抽出した特徴量に対応するモデルIDを抽出し、そのモデルIDに対応する分類モデルを分類モデル記憶部14から読み出し、データの特徴量とその読み出した分類モデルとを比較することによって推定環境(設備の設置環境)を特定する。例えば、取得したデータがカメラによる撮影画像であることから特徴量抽出部12がその撮影画像から汚れ領域の特徴量を抽出したとする。この場合、設置環境推定部13は、汚れ領域に対応するモデルID=5の分類モデル(図4)に基づいて周囲の汚れ具合に関する推定環境を特定することによって設備の設置環境を推定する。
【0040】
以下、図7図10に示す模式図を用いて、本実施の形態における設置環境推定処理を具体的に説明する。
【0041】
まず、データがカメラによる撮影画像の場合において、特徴量抽出部12は、設置環境推定情報を参照して、撮影画像から特徴量「設備の特定の面の数」として設備の上面の数を抽出する場合について説明する。データ取得部11が図7(a)に示す撮影画像を取得したとすると、特徴量抽出部12は、撮影画像を解析することで設備の上面の数である特徴量として6を抽出することになる。なお、設備の上面の数を画像から抽出する技術は既存技術を用いることにする。ここで、設置環境推定部13は、モデルID=1の図示しない分類モデルを参照することで、設備の設置環境を表す「設備の密集の程度」として“高”と推定する。すなわち、設備の密集度合いは高い、換言すると、設備は密集している場所に設置されていると推定する。
【0042】
図7(b)に示す撮影画像を取得した場合にも同様に処理することで、設置環境推定部13は、抽出された特徴量=4から「設備の密集の程度」として“中”と推定する。また、図7(c)に示す撮影画像を取得した場合、抽出された特徴量=2から「設備の密集の程度」として“低”と推定する。
【0043】
図7と同じく設備の設置環境として「設備の密集の程度」を推定する場合でも、図8では、設備の吸込温度に関するデータから推定する場合を示している。図6Aにおける「設備付帯センサ」というのは、設備に内蔵されているセンサを用いることを意味している。この場合、データ取得部11は、複数の設備(図8に示す例では5)にそれぞれ内蔵されている温度センサからデータを取得することになるが、特徴量抽出部12は、各設備の温度センサに基づき設備の設置場所が4つの設備と1つの設備にグループ分けする。そして、設置環境推定部13は、4つの設備が属するグループの方は密集して設置されており、他方のグループは密集して設置されていないと推定する。
【0044】
続いて、データがカメラによる撮影画像の場合において、特徴量抽出部12は、設置環境推定情報を参照して、撮影画像から特徴量「床/壁/台と設備の領域」として設備と台の関係を抽出する場合について説明する。データ取得部11が図9に示す撮影画像を取得したとすると、特徴量抽出部12は、撮影画像を解析することで撮影画像に含まれる物体を抽出し、各物体にラベルを付けた画像を生成する。また、撮影画像を解析することで撮影画像に含まれる物体の距離関係を抽出することで距離画像を生成する。そして、生成した画像を照合することによって設備と台の関係を示す特徴量として台があること及び設備が台の上に載っていることを抽出する。設置環境推定部13は、モデルID=17の図示しない分類モデルを参照することで、設備の設置環境として設備は台置きであるということを推定する。
【0045】
図10は、図9と同様に撮影画像から設備の設置環境として設備が床置き、壁置き(壁掛け)あるいは台置きであるかを推定する場合の例を示している。処理内容は、図9と同様なので詳細な図及び説明は省略するが、撮影画像に含まれる物体をラベル付けし(設備、床、台、壁を特定し)、設備と台との関係を特徴量として抽出して、設備の設置環境を推定する。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態では、設置環境推定情報を参照することによって抽出すべきデータの特徴量を決定し、そのデータの特徴量に基づき設備の設置環境を推定することができる。
【0047】
実施の形態3.
図11は、本実施の形態における設置環境推定装置のブロック構成図である。本実施の形態における設置環境推定装置10は、実施の形態1に故障予兆診断部31、属性情報記憶部32及び診断ルール記憶部33を追加した構成を有している。
【0048】
本実施の形態では、推定した設備の設置環境を参照して当該設備の故障の予兆を診断する。故障の予兆の診断は、閾値を予め設定しておき、設置環境情報(設備の設置環境が示す値)と閾値との比較によって設備の故障の予兆があるか(すなわち、異常)、予兆がないか(すなわち、正常)、を判定する。故障予兆診断部31は、この設備の故障の予兆(正常/異常)を診断する。
【0049】
図12は、本実施の形態における属性情報記憶部32に予め設定登録される属性情報のデータ構成例を示す図である。属性情報は、設備の種類を識別するための設備種別に、当該設備の名称及び設備特性が対応付けして設定される。設備特性は、設備の属性を示す。
【0050】
図13は、本実施の形態における診断ルール記憶部33に予め設定登録される診断ルールのデータ構成例を示す図である。前述したように、故障予兆診断部31は、閾値を利用して設備の故障の予兆を診断するが、診断ルールには、その閾値を変更するためのルールが設定されている。そのルールは、設備特性毎に設定される。
【0051】
故障予兆診断部31は、設置環境推定装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU91で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部32,33は、設置環境推定装置10に搭載されたHDD94にて実現される。あるいは、RAM93又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0052】
以下、本実施の形態における故障予兆診断処理について図14に示すフローチャートを用いて説明する。
【0053】
故障予兆診断部31は、設置環境情報記憶部15から診断対象とする設備の設置環境情報を取得する(ステップ301)。続いて、故障予兆診断部31は、属性情報記憶部32を参照して、診断対象とした設備の設備種別に対応する設備特性を取得する(ステップ302)。続いて、故障予兆診断部31は、診断ルール記憶部33を参照して、取得した設備特性に対応するルールを取得する(ステップ303)。
【0054】
続いて、故障予兆診断部31は、取得したルールに従って閾値を調整する(ステップ304)。なお、予め設定されている閾値は、全ての設備に共通する標準的平均的な値である。例えば、設備が室内機Yであることから機械室仕様(機械室に設置される室内機)の室内機であれば、室内機にとって相対的に過酷な設置環境であることから異常が標準の場合に比して段階で発生することが推測される。このため、閾値を上げるよう補正する。一方、設備が室内機Xであることから居室内仕様(居室に設置される室内機)の室内機であれば、室内機にとって相対的に優しい設置環境であることから、異常は標準の場合に比して発生しにくい。このため、閾値を下げるよう補正する。
【0055】
以上のように、閾値を調整した後、故障予兆診断部31は、設備の設置環境情報と閾値とを比較し、設備の設置環境情報が閾値以上の場合(ステップ305でY)、故障の予兆はない、すなわち正常と判定する(ステップ306)。一方、設備の設置環境情報が閾値に達してない場合(ステップ305でN)、故障の予兆はある、すなわち異常と判定する(ステップ307)。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態によれば、設備の故障の予兆の判定に用いる閾値を設備の属性に応じて適宜補正することができる。
【0057】
なお、閾値の上げ幅や下げ幅は、設備特性に応じて最適な値を適宜設定すればよい。また、上記故障予兆の診断は、設置環境情報が閾値と比較できる数値で表されている場合に適用可能である。
【0058】
実施の形態4.
図15は、本実施の形態における設置環境推定装置のブロック構成図である。本実施の形態における設置環境推定装置10は、実施の形態1に属性情報記憶部41を追加した構成を有している。
【0059】
図16は、本実施の形態における属性情報記憶部41に予め設定登録される属性情報のデータ構成例を示す図である。属性情報は、設備の種類を識別するための設備種別に、当該設備の名称、設備特性及び汚れ具合補正が対応付けして設定される。設備特性は、設備の属性を示す。汚れ具合補正は、データの特徴量を補正するための補正値である。属性情報記憶部41は、設置環境推定装置10に搭載されたHDD94にて実現される。あるいは、RAM93又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0060】
以下、本実施の形態における故障予兆診断処理について図17に示すフローチャートを用いて説明する。なお、実施の形態1と同じ処理には同じステップ番号を付け、説明を適宜省略する。
【0061】
データ取得部11が携帯端末から送信されてくるデータを取得すると(ステップ101)、特徴量抽出部12は、そのデータを解析することで当該データの特徴量を抽出する(ステップ102)。設置環境の推定対象となる設備は、データを解析することで、あるいは保守員により指定されることで特定できるので、特徴量抽出部12は、属性情報記憶部41を参照することで、抽出した特徴量を、当該設備に対応する補正値(汚れ具合補正)を乗算することで補正する(ステップ401)。これ以降の処理は、実施の形態1と同じなので説明を省略する。
【0062】
例えば、室外機A及び室内機Yは、補正値が1未満であるため、特徴量抽出部12が抽出した特徴量が小さい値になるよう補正される。一方、室内機Xは、補正値が1を越える値であるため、特徴量抽出部12が抽出した特徴量が大きい値になるよう補正される。室外機Bの場合は、特徴量抽出部12が抽出した特徴量のままとなる。
【0063】
実施の形態3では、故障の予兆診断のために設置環境情報(設備の設置環境を示す値)を補正せずに、設置環境情報との比較に用いる閾値を調整するようにした。本実施の形態では、設置環境の推定対象となる設備の属性情報が示す属性値に応じて特徴量抽出部12が抽出する特徴量を補正することによって補正するようにした。これにより、設備の設置環境に、この特徴量抽出部12における補正が反映されることになる。
【0064】
実施の形態5.
図18は、本実施の形態における設置環境推定装置のブロック構成図である。本実施の形態における設置環境推定装置10は、実施の形態1にセンシング推奨部51、表示制御部52及びセンシング情報記憶部53を追加した構成を有している。
【0065】
前述したように、設置環境推定部13は、機器により収集されたデータに基づいて設備の設置環境を推定し、その推定した設備の設置環境を設置環境情報として設置環境情報記憶部15に保存するが、センシング推奨部51は、設置環境情報記憶部15に保存されるのと同じ設置環境情報を設置環境推定部13から取得し、その設置環境情報(設備の設置環境)に基づいてデータを収集した機器によるデータ収集の方法を、機器を操作するユーザ、すなわち保守員に推奨する。センシング情報記憶部53には、データ収集の方法が記載されたガイド情報が蓄積されている。表示制御部52は、そのガイド情報の表示制御を行う。
【0066】
センシング推奨部51及び表示制御部52は、設置環境推定装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU91で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、センシング情報記憶部53は、設置環境推定装置10に搭載されたHDD94にて実現される。あるいは、RAM93又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0067】
ところで、設置環境情報が何らかの理由により想定外の値を示す場合がある。例えば、ある場所に設置されている設備の密集の程度を推定したいために撮影したのにもかかわらず、1つの設備しか撮影されていないために設置環境を正しく推定できていない場合などである。
【0068】
このように、設置環境情報が想定外の値であり、許容できる範囲でなかったり、あるいは設置環境情報自体が得られていなかったりした場合、センシング推奨部51は、その事象に応じたガイド情報をセンシング情報記憶部53から読み出す。ガイド情報には、例えば、設備に近すぎて撮影された可能性があるからもっと設備から離れて撮影すること、あるいは室内をもっと明るくして撮影すること、など保守員が機器にデータを収集させる際の注意事項等のメッセージが含まれている。
【0069】
表示制御部52は、センシング推奨部51が読み出したガイド情報を、携帯端末にメール送信するなどして保守員に通知する。保守員は、通知されてきたガイド情報を参照して、撮影をやり直したりする。
【0070】
本実施の形態によれば、ガイド情報を保守員に提供することによって設備の設置環境をより正確に推定できるように支援することができる。
【0071】
実施の形態6.
図19は、本実施の形態における設置環境推定装置のブロック構成図である。本実施の形態における設置環境推定装置10は、実施の形態1に保守作業推奨部61、表示制御部62及び保守作業情報記憶部63を追加した構成を有している。保守作業推奨部61は、設置環境推定部13が推定した設備の設置環境に基づいて当該設備の保守の方法を当該設備の保守員に推奨する。保守作業情報記憶部63には、改善を要する設備の設置環境に対応させて、当該設置環境の設備に対する保守の方法が記載されたガイド情報が蓄積されている。表示制御部52は、そのガイド情報の表示制御を行う。
【0072】
保守作業推奨部61及び表示制御部62は、設置環境推定装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU91で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、保守作業情報記憶部63は、設置環境推定装置10に搭載されたHDD94にて実現される。あるいは、RAM93又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0073】
前述したように、本実施の形態では、機器により収集されたデータに基づいて設備の設置環境が推定され、その推定された設備の設置環境は、設置環境情報として設置環境情報記憶部15に保存される。推定された設備の設置環境の中には、設備の設置環境が汚れているとか、設備は密集して設置されているとか、改善を示唆する情報の場合がある。
【0074】
そこで、保守作業推奨部61は、設置環境情報が改善を要する設置環境を示す場合、保守作業情報記憶部63から当該設置環境に応じたガイド情報を抽出する。そして、表示制御部52は、保守作業推奨部61が抽出したガイド情報を、保守員の携帯端末にメール送信するなどして保守員に通知する。保守員は、通知されてきたガイド情報を参照して、保守作業を行う。例えば、空気が汚れているような設置環境の場合、設備のフィルタのチェックを忘れないようにするなどのガイド情報を通知する。
【0075】
本実施の形態によれば、ガイド情報を保守員に提供することによって設備に対してより適切な保守作業を実施させることができる。
【0076】
実施の形態7.
図20は、本実施の形態における設置環境推定装置のブロック構成図である。本実施の形態における設置環境推定装置10は、実施の形態1に表示制御部71及び修正処理部72を追加した構成を有している。表示制御部71は、設置環境推定部13から受け取った設置環境情報の表示制御を行う。修正処理部72は、表示制御部71による制御のもと表示された設置環境情報の修正を行い、設置環境情報記憶部15に保存されている情報を更新する。表示制御部71及び修正処理部72は、設置環境推定装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU91で動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0077】
設置環境推定部13は、設備の設置環境を推定し、設置環境情報として設置環境情報記憶部15に保存する。ただ、特徴量抽出部12がデータから常に正しく特徴量を抽出できるとは限らず、また、分類モデルによって設置環境を正しく分類できるとは限らない。このため、推定した設備の設置環境に修正の余地が生じる可能性が生じうる。
【0078】
そこで、本実施の形態における表示制御部71は、設置環境推定部13から受け取った設置環境情報の表示制御を行う。例えば、表示制御部71は、設置環境情報をディスプレイ97に表示させる。あるいは、ネットワーク経由で管理者端末へ送信して表示させてもよい。そして、管理者が設置環境情報を修正した場合、修正処理部72は、その変更内容を受け取り、設置環境情報記憶部15に登録されている設置環境情報を修正する。
【0079】
本実施の形態によれば、以上のようにして設置環境情報記憶部15に保存されている設置環境情報を手動にて変更できるようにした。
【0080】
実施の形態8.
図21は、本実施の形態における設置環境推定装置のブロック構成図である。本実施の形態における設置環境推定装置10は、実施の形態1に表示制御部81及び描画情報記憶部82を追加した構成を有している。描画情報記憶部82には、施設であるビル及びビルに設置の設備のCADデータが格納されている。表示制御部81は、描画情報記憶部82に格納されているCADデータを利用して、設置環境推定部13から受け取った設置環境情報を模式的に表示させるよう表示制御を行う。表示制御部81は、設置環境推定装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU91で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、描画情報記憶部82は、設置環境推定装置10に搭載されたHDD94にて実現される。あるいは、RAM93又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0081】
上記実施の形態7における表示制御部71は、設置環境情報を、例えば数値等のテキストデータで表示するようにしていた。本実施の形態における表示制御部81は、設置環境情報を、CADデータを利用して設置環境情報(設備の設置環境を示す値)がイメージ的に把握しやすいように表示させるようにした。
【0082】
図22は、設置環境情報を3次元的に表示する場合の例を示す図である。図22には、設備の設置環境として、ビルの屋上に設置されている設備の密集の程度が示されている。この図22によると、ビルの屋上の図面左側には設備が密集して設定されており、右側には設備が密集していないことが視覚的に確認できる。
【0083】
図22は、3次元CADデータを利用しているのに対し、図23は、2次元CADデータを利用して設置環境情報を表示する場合の例を示す図である。図23には、設備の設置環境として、図22と同様にビルの屋上に設置されている設備の密集の程度が示されている。図23に例示したCADデータにより設置環境情報を表示することによって、ビルの屋上の図面左側には設備が密集して設定されており、右側には設備が密集していないことが視覚的に確認できる。
【0084】
なお、本実施の形態では、ビル及び設備のCADデータを格納する描画情報記憶部82を設けたが、例えばBIM(Building Information Modeling)などに存在する既存のデータを有効利用してもよい。
【0085】
上記各実施の形態においては、設備の設置環境の推定方法及び設備の設置環境(設置環境情報)を利用する処理について説明したが、各実施の形態は、可能な組合せであれば適宜組み合わせて実施してもよい。
【0086】
また、本実施の形態では、管理対象の設備としてビルに設置されている設備を例にして説明したが、ビルの設備に限ることなく他の場所に設置されている設備の設置環境を推定することに適用してもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 設置環境推定装置、11 データ取得部、12 特徴量抽出部、13 設置環境推定部、14 分類モデル記憶部、15 設置環境情報記憶部、21 設置環境推定情報記憶部、31 故障予兆診断部、32,41 属性情報記憶部、33 診断ルール記憶部、51 センシング推奨部、52,62,71,81 表示制御部、53 センシング情報記憶部、61 保守作業推奨部、63 保守作業情報記憶部、72 修正処理部、82 描画情報記憶部、91 CPU、92 ROM、93 RAM、94 ハードディスクドライブ(HDD)、95 マウス、96 キーボード、97 ディスプレイ、98 入出力コントローラ、100 内部バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23