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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/24 20060101AFI20221028BHJP
   F23N 5/20 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
F23N5/24 107Z
F23N5/20 101Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018194283
(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公開番号】P2020063855
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】長濱 智弘
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-213565(JP,A)
【文献】特開2015-117865(JP,A)
【文献】特開平09-243071(JP,A)
【文献】特開平05-026440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 1/00-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスをバーナで燃焼させ、該バーナからの燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を計測可能なCOセンサを有する燃焼装置において、
前記バーナに向けて燃焼用空気を送る燃焼ファンと、
前記バーナへの前記燃料ガスの供給量を変更することによって該バーナでの燃焼を制御し、前記COセンサの計測値が所定の基準値を超えたことに基づき、前記バーナでの燃焼を停止させるエラー停止処理を実行する燃焼制御部と、
前記COセンサのゼロ点校正を実行可能なセンサ制御部と
を備え、
前記センサ制御部は、前記エラー停止処理が行われると、前記燃焼ファンの送風で所定の掃気時間にわたって前記燃焼排ガスを排出させる掃気処理の後に、前記COセンサのゼロ点校正を実行し、
前記燃焼制御部は、前記エラー停止処理を実行した後、前記COセンサのゼロ点校正が完了すると、前記バーナでの燃焼を自動的に再開させる
ことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置において、
前記センサ制御部は、前記エラー停止処理が行われた際に前記バーナで所定時間以上連続して燃焼中であった場合に、前記掃気処理の後に前記COセンサのゼロ点校正を実行する
ことを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の燃焼装置において、
前記基準値として、第1基準値と、該第1基準値よりも高い第2基準値とが設定されており、
前記燃焼制御部は、前記COセンサの計測値が前記第1基準値を超えて第1判定時間以上継続するか、前記COセンサの計測値が前記第2基準値を超えて前記第1判定時間よりも短い第2判定時間以上継続すると、前記エラー停止処理を実行し、
前記センサ制御部は、前記COセンサの計測値が前記第1基準値を超えたことに基づき前記エラー停止処理が行われた場合には、前記掃気処理の後に前記COセンサのゼロ点校正を実行するのに対し、前記COセンサの計測値が前記第2基準値を超えたことに基づき前記エラー停止処理が行われた場合には、前記COセンサのゼロ点校正を実行しない
ことを特徴とする燃焼装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の燃焼装置において、
前記センサ制御部は、前回の前記COセンサのゼロ点校正から一定時間以内であれば、前記エラー停止処理が行われても、前記COセンサのゼロ点校正を実行しない
ことを特徴とする燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナからの燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を計測可能なCOセンサを有する燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器や暖房機などに搭載され、燃料ガスをバーナで燃焼させる燃焼装置が知られている。燃焼装置では、ガス通路を通じて燃料ガスがバーナに供給されると共に、燃焼ファンによってバーナに向けて燃焼用空気が送られ、熱交換器でバーナからの燃焼排ガスと熱交換して水などの対象流体を加熱する。そして、熱交換器を通過した燃焼排ガスは、排気通路を通って外部に排出される。
【0003】
こうした燃焼装置では、バーナで不完全燃焼が起こると、燃焼排ガス中の一酸化炭素の濃度(以下、CO濃度)が高くなる。そこで、CO濃度を計測可能なCOセンサを排気通路などに設置しておくことが提案されている(例えば、特許文献1)。COセンサとしては、白金製のコイルに酸化アルミなどの触媒を担持した検知片と触媒を担持しない補償片とを対比する構成の接触燃焼式が一般的であり、燃焼排ガス中の一酸化炭素が触媒と反応すると、反応熱で検知片の抵抗値が上昇するため電位差が生じる。この電位差とCO濃度との間には比例関係があり、電位差に基づいてCO濃度を計測することが可能である。バーナで燃焼中はCOセンサでCO濃度を監視し、COセンサの計測値が所定の基準値を超えたことに基づきバーナの不完全燃焼を検知すると、バーナでの燃焼を強制的に停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-26440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のようなCOセンサを備えた燃焼装置では、バーナでの燃焼中にCOセンサのゼロ点がずれていき、実際のCO濃度よりもCOセンサの計測値が高くなるドリフト現象が起こることがあり、実際のCO濃度は基準値に達していないのに、ドリフト現象の影響でCOセンサの計測値が基準値を超えたことに基づきバーナでの燃焼が強制的に停止されてしまうという問題があった。
【0006】
この発明は従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、COセンサのドリフト現象に起因するバーナの停止状態を抑制することが可能な燃焼装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の燃焼装置は次の構成を採用した。すなわち、
燃料ガスをバーナで燃焼させ、該バーナからの燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を計測可能なCOセンサを有する燃焼装置において、
前記バーナに向けて燃焼用空気を送る燃焼ファンと、
前記バーナへの前記燃料ガスの供給量を変更することによって該バーナでの燃焼を制御し、前記COセンサの計測値が所定の基準値を超えたことに基づき、前記バーナでの燃焼を停止させるエラー停止処理を実行する燃焼制御部と、
前記COセンサのゼロ点校正を実行可能なセンサ制御部と
を備え、
前記センサ制御部は、前記エラー停止処理が行われると、前記燃焼ファンの送風で所定の掃気時間にわたって前記燃焼排ガスを排出させる掃気処理の後に、前記COセンサのゼロ点校正を実行し、
前記燃焼制御部は、前記エラー停止処理を実行した後、前記COセンサのゼロ点校正が完了すると、前記バーナでの燃焼を自動的に再開させる
ことを特徴とする。
【0008】
このような本発明の燃焼装置では、COセンサの計測値が基準値を超えたことに基づきエラー停止処理を実行したら、掃気処理の後にCOセンサのゼロ点校正を行うことにより、COセンサのドリフト現象の影響を排除することができる。そのため、ドリフト現象に起因してCOセンサの計測値が基準値を超えたのであれば(実際のCO濃度が基準値に達していなければ)、ゼロ点校正の完了後は、バーナでの燃焼を再開しても、問題なく燃焼を継続することが可能である。一方、ドリフト現象の影響ではなく、実際のCO濃度が基準値を超えていれば、COセンサのゼロ点校正の完了後にバーナでの燃焼を再開すると、再びCOセンサの計測値が基準値を超えることになるので、バーナの不完全燃焼を検知することができる。
【0010】
そして、COセンサのゼロ点校正の完了後にバーナでの燃焼を自動的に再開させることにより、使用者が手動でバーナでの燃焼を再開する手間を省けるので、利便性を高めることができる。
【0011】
上述した本発明の燃焼装置では、エラー停止処理が行われた際にバーナで所定時間以上連続して燃焼中であった場合に、掃気処理の後にCOセンサのゼロ点校正を実行するようにしてもよい。
【0012】
前述したようにCOセンサではバーナでの燃焼中にゼロ点がずれていくことでドリフト現象が起こることがあり、COセンサの計測値が基準値を超えたことに基づきエラー停止処理が行われた際に、ドリフト現象の影響が疑われる所定条件が成立していた場合は、一旦COセンサのゼロ点校正を行うこととして、バーナでの燃焼再開後の様子を見ることによって、COセンサのドリフト現象に起因してバーナが停止状態のままになることを抑制することができる。
【0014】
そして、バーナでの連続燃焼時間が長くなって所定時間以上であれば、バーナでの燃焼状態自体に問題(空燃比が適切ではないなど)があることは少なく、むしろCOセンサのゼロ点校正を行う機会がないことからドリフト現象の影響である疑いが強い。そのため、バーナで所定時間以上連続して燃焼中にエラー停止処理が行われたら、一旦COセンサのゼロ点校正を行うこととして、バーナでの燃焼再開後の様子を見ることによって、COセンサのドリフト現象に起因してバーナが停止状態のままになることを抑制することができる。
【0015】
こうした本発明の燃焼装置では、次のようにしてもよい。まず、基準値として、第1基準値と、第1基準値よりも高い第2基準値とを設定しておくこととして、COセンサの計測値が第1基準値を超えて第1判定時間以上継続するか、COセンサの計測値が第2基準値を超えて第1判定時間よりも短い第2判定時間以上継続すると、エラー停止処理を実行する。そして、COセンサの計測値が第1基準値を超えたことに基づきエラー停止処理が行われた場合には、掃気処理の後にCOセンサのゼロ点校正を実行するのに対し、COセンサの計測値が第2基準値を超えたことに基づきエラー停止処理が行われた場合には、COセンサのゼロ点校正を実行しない。
【0016】
このような本発明の燃焼装置では、COセンサの計測値が第1基準値よりも高い第2基準値を超えた場合は、COセンサのドリフト現象の影響よりも、実際にバーナで不完全燃焼が起きている疑いが強く、緊急性も高いので、COセンサのゼロ点校正を行わずバーナを停止状態のままにすることで、安全性の確保を優先することができる。
【0017】
また、こうした本発明の燃焼装置では、前回のCOセンサのゼロ点校正から一定時間以内であれば、エラー停止処理が行われても、COセンサのゼロ点校正を実行しないようにしてもよい。
【0018】
このような本発明の燃焼装置では、COセンサのドリフト現象の影響ではなく、実際にバーナで不完全燃焼が起きている場合は、COセンサのゼロ点校正を実行しても、その後一定時間以内に再びCOセンサの計測値が基準値を超えてエラー停止処理を実行することになるものの、ゼロ点校正を繰り返すことはなく、バーナを停止状態のままにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施例の燃焼装置としての給湯器10を複数搭載した給湯システム1の全体構成を示した説明図である。
図2】本実施例の給湯器10の構成を示した説明図である。
図3】本実施例のCO濃度監視処理の一部を示すフローチャートである。
図4】本実施例のCO濃度監視処理の残りの部分を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本実施例の燃焼装置としての給湯器10を複数搭載した給湯システム1の全体構成を示した説明図である。図示した給湯システム1は、主にホテルなどに設置される業務用であり、2台の給湯器10a,10bを搭載していると共に、上水を給湯器10a,10bに供給する給水通路2と、給湯器10a,10bで生成された湯を導く出湯通路3と、燃料ガスを給湯器10a,10bに供給するガス通路4と、給湯器10a,10bで生じた燃焼排ガスを屋外に排出する排気通路5などを備えている。
【0021】
2台の給湯器10a,10bは、互いに並列に連結されている。すなわち、上水を供給する給水通路2は、2つに分岐して給湯器10a,10bの各々に接続されており、給湯器10a,10bの各々に接続された2つの出湯通路3は、1つに合流して湯を導く。また、燃料ガスを供給するガス通路4は、2つに分岐して給湯器10a,10bの各々に接続されており、給湯器10a,10bの各々から延設された2つの排気通路5は、1つにまとめられて燃焼排ガスを屋外に排出する。
【0022】
さらに、給湯システム1は、システム全体を制御するコントローラ7を備えており、2台の給湯器10と電気的に接続されている。コントローラ7は、必要とされる給湯能力に応じて給湯器10a,10bにおける燃焼を制御すると共に、後述するように不完全燃焼を防止するために燃焼排ガス中の一酸化炭素の濃度(以下、CO濃度)を監視している。尚、2台の給湯器10a,10bは、基本的には同じ仕様であり、同様に動作するため、以下では、特に区別する必要がなければ、単に給湯器10と表記することがある。
【0023】
図2は、本実施例の給湯器10の構成を示した説明図である。図示されるように給湯器10は、缶体11内に収容されて燃料ガスを燃焼させる複数(本実施例では16本)のバーナ12を備えている。燃料ガスを供給するガス通路4には、ガス通路4を開閉する元弁13や、元弁13の下流側でガス通路4を通過する燃料ガスの流量を調節する比例弁14が設けられている。また、本実施例の給湯器10では、複数(16本)のバーナ12が3つのバーナ群に分けられていることと対応して、比例弁14の下流側でガス通路4が3つに分岐しており、3本のバーナ12で構成される第1バーナ群に対応する分岐路を開閉する第1切換弁15aと、5本のバーナ12で構成される第2バーナ群に対応する分岐路を開閉する第2切換弁15bと、8本のバーナ12で構成される第3バーナ群に対応する分岐路を開閉する第3切換弁15cとを備えている。尚、元弁13、比例弁14、切換弁15a~15cはコントローラ7と電気的に接続されている。尚、本実施例のコントローラ7は、本発明の「燃焼制御部」に相当している。
【0024】
本実施例の給湯器10では、3つの切換弁15a~15cの開閉を制御して燃料ガスを供給するバーナ群を選択すると共に、比例弁14の開度を制御することによって、生成熱量(給湯能力)を変更することが可能である。例えば、必要とされる熱量が最小の場合は、第1切換弁15aのみを開弁する。一方、必要とされる熱量が最大の場合は、3つの切換弁15a~15cの全てを開弁する。そして、その間の熱量が必要な場合は、3つの切換弁15a~15cの中から適宜に1つまたは2つを選択して開弁する。
【0025】
また、給湯器10には、バーナ12に向けて下方から燃焼用空気を送る燃焼ファン20や、高電圧の放電によってバーナ12に火花を飛ばす点火プラグ21や、バーナ12の火炎(着火)を検知するフレームロッド22が設けられており、コントローラ7と電気的に接続されている。燃焼ファン20の回転数を比例弁14の開度(燃料ガスの供給量)に応じて制御することで、所定の空燃比に調節することが可能である。
【0026】
バーナ12の上方には、第1熱交換器23が設けられており、第1熱交換器23の上方には、第2熱交換器24が設けられている。バーナ12で生じた燃焼排ガスは、燃焼ファン20の送風によって上方に送られ、第1熱交換器23および第2熱交換器24を通過する。このとき、第1熱交換器23では、燃焼排ガスから顕熱を回収し、第2熱交換器24では、燃焼排ガスから潜熱を回収する。
【0027】
そして、第1熱交換器23および第2熱交換器24を通過した燃焼排ガスは、缶体11の上部に接続された排気通路5を通って屋外に排出される。排気通路5の接続部分には、COセンサ25が設置されて、燃焼排ガス中のCO濃度を計測可能になっており、このCOセンサ25は、コントローラ7と電気的に接続されている。本実施例のCOセンサ25には、一般的な接触燃焼式センサを採用しており、白金製のコイルに酸化アルミなどの触媒を担持した検知片と触媒を担持しない補償片とを対比してブリッジ回路を構成している。CO濃度の低い正常な雰囲気でブリッジ回路が平衡状態となるように可変抵抗を調節しておけば、燃焼排ガス中の一酸化炭素が触媒と反応すると、その反応熱で検知片の抵抗値が上昇することによってブリッジ回路の平衡が崩れて電位差が生じる。この電位差とCO濃度との間には比例関係があるため、電位差に基づいてCO濃度を計測することが可能である。
【0028】
また、第2熱交換器24で燃焼排ガスから潜熱を回収するのに伴い、燃焼排ガスに含まれる蒸気が凝縮してドレンが生じるため、第2熱交換器24の下方には、ドレンを受けるドレン受け26が設けられている。このドレン受け26に溜まった酸性のドレンは、排液管27を通じて中和器28に送られ、中和された後、外部に排出される。
【0029】
上水を供給する給水通路2は、第2熱交換器24の上流側に接続されており、この給水通路2には、給湯器10に流入する上水の流量を計測する水量センサ30や、上水の温度を計測する給水温度センサ31が設けられている。第2熱交換器24の下流側は、第1熱交換器23の上流側と接続されており、第1熱交換器23の下流側には出湯通路3が接続されている。給水通路2を通じて第2熱交換器24に供給される上水は、第2熱交換器24で予備加熱された後に第1熱交換器23で加熱されて湯となり、出湯通路3に流出する。出湯通路3には、第1熱交換器23から流出した直後の湯の温度を計測する缶体温度センサ32が設けられている。
【0030】
また、本実施例の給湯器10では、給水通路2と出湯通路3とがバイパス通路33で接続されており、給湯器10に流入した上水は、一部が第2熱交換器24に供給されることなくバイパス通路33を通り、残りが第2熱交換器24に供給される。そして、第2熱交換器24および第1熱交換器23で加熱された湯は、バイパス通路33を通った上水と混合されて給湯器10から流出する。第1熱交換器23で加熱された湯と、バイパス通路33を通った上水との混合比は、バイパスサーボ34によって変更することが可能である。
【0031】
バイパス通路33の接続位置よりも出湯通路3の下流側には、給湯器10から流出する湯の温度を計測する出湯温度センサ35や、給湯器10から流出する湯の流量を調節する湯量サーボ36が設けられている。上述したようにバイパス通路33を有することから、出湯温度センサ35の計測温度は、缶体温度センサ32の計測温度よりも低くなり、バイパスサーボ34で混合比を調節することによって、給湯器10から流出する湯の温度変動を抑制することができる。尚、本実施例の給湯器10に設置された各種温度センサ31,32,35には、温度の変化に応じて電気抵抗が変化するサーミスタを用いている。また、各種温度センサ31,32,35、水量センサ30、バイパスサーボ34、湯量サーボ36は、コントローラ7と電気的に接続されている。
【0032】
このような燃焼装置としての給湯器10では、バーナ12で不完全燃焼が起こると、燃焼排ガス中のCO濃度が高くなる。不完全燃焼の原因としては、排気通路5の急激な閉塞や、火炎がバーナ12の内部に潜り込む逆火や、空燃比が適切でなく燃料ガスが過多であるガスリッチなどが考えられる。そこで、不完全燃焼を検知するために、COセンサ25を設置して燃焼排ガス中のCO濃度を監視するようになっており、コントローラ7が以下のようなCO濃度監視処理を実行している。
【0033】
図3および図4は、本実施例のコントローラ7が実行するCO濃度監視処理のフローチャートである。このCO濃度監視処理は、給湯システム1の電源をONにすると実行される。CO濃度監視処理を開始すると、まず、COセンサ25のヒートアップ処理を行う(STEP1)。COセンサ25が有機物の付着などで汚れていると、CO濃度を正確に計測できないため、ヒートアップ処理では、COセンサ25を加熱することで付着物を除去する。COセンサ25には通常2Vの電圧を印加しているが、一時的に2.74Vに印加電圧を上げることでCOセンサ25を加熱する。
【0034】
ヒートアップ処理に続いて、COセンサ25のゼロ点校正を行う(STEP2)。このゼロ点校正は、バーナ12で燃焼を開始する前のCO濃度が低い正常な雰囲気(大気)に対して行われる。ゼロ点校正が終了すると、バーナ12で燃焼を開始したか否かを判断し(STEP3)、燃焼を開始していない場合は(STEP3:no)、燃焼を開始するまで待機状態となる。尚、COセンサ25のゼロ点校正を実行可能な本実施例のコントローラ7は、本発明の「センサ制御部」に相当している。
【0035】
その後、バーナ12で燃焼を開始した場合は(STEP3:yes)、COセンサ25の計測値に基づいて不完全燃焼を判定する条件(エラー判定条件)が成立したか否かを判断する(STEP4)。本実施例では、エラー判定条件として、CO濃度の基準値や継続時間が異なる以下の4つが設定されており、STEP4では、何れかのエラー判定条件が成立したか否かを判断する。
(1)CO濃度が2000ppm以上となって、5秒以上継続。
(2)CO濃度が1300ppm以上となって、20秒以上継続。
(3)CO濃度が800ppm以上となって、40秒以上継続。
(4)CO濃度が600ppm以上となって、225秒以上継続。
【0036】
上記のエラー判定条件1~4の何れも成立していない場合は(STEP4:no)、使用者の操作によってバーナ12での燃焼を停止したか否かを判断する(STEP5)。燃焼を停止していない場合は(STEP5:no)、STEP4へと戻り、エラー判定条件1~4の何れかが成立したか否かの判断(STEP4)、および燃焼を停止したか否かの判断(STEP5)を繰り返す。
【0037】
そして、エラー判定条件1~4の何れも成立することのないまま、バーナ12での燃焼を停止した場合は(STEP5:yes)、続いて、使用者の操作によってバーナ12での燃焼を再開したか否かを判断し(STEP6)、燃焼を再開していない場合は(STEP6:no)、バーナ12の消火から所定の清浄時間(本実施例では30分)が経過したか否かを判断する(STEP7)。未だ消火から30分が経過していない場合は(STEP7:no)、次に、給湯システム1の電源がOFFにされたか否かを判断し(STEP9)、電源がOFFにされた場合は(STEP9:yes)、図3および図4のCO濃度監視処理を終了する。
【0038】
これに対して、給湯システム1の電源がOFFにされていない場合は(STEP9:no)、STEP6に戻って、バーナ12で燃焼を再開したか否かを判断し、燃焼を再開した場合は(STEP6:yes)、STEP4へと戻り、エラー判定条件1~4の何れかが成立したか否かを再び判断する。
【0039】
一方、バーナ12で燃焼を再開することなく(STEP6:no)、バーナ12の消火から30分(清浄時間)が経過した場合は(SEP7:yes)、COセンサ25のゼロ点校正を行う(STEP8)。COセンサ25は、バーナ12での燃焼中にゼロ点がずれていき、実際のCO濃度よりもCOセンサ25の計測値が高くなるドリフト現象が起こることがある。また、バーナ12の消火から30分が経過していれば、COセンサ25の周囲では、燃焼排ガスが排出されてバーナ12で燃焼を開始する前と同等の雰囲気(大気)に戻り、温度も室温に戻っている。そこで、COセンサ25のゼロ点校正を行うことで、実際のCO濃度とCOセンサ25の計測値との乖離をなくし、ドリフト現象の影響を排除することができる。
【0040】
こうしてCOセンサ25のゼロ点校正を行った後、給湯システム1の電源がOFFにされることなく(STEP9:no)、バーナ12で燃焼を再開すると(STEP6:yes)、エラー判定条件1~4の何れかが成立したか否かを再び判断することになる(STEP4)。
【0041】
そして、処理を繰り返すうちに、エラー判定条件1~4の何れかが成立した場合は(STEP4:yes)、エラー停止処理を行う(STEP10)。本実施例のエラー停止処理では、エラー判定条件が成立した給湯器10の元弁13を閉弁(燃料ガスの供給を遮断)してバーナ12での燃焼を強制的に停止すると共に、湯量サーボ36を閉じて給湯器10からの湯の流出を停止する。
【0042】
エラー停止処理を行うと、エラー判定条件1~4のうち、CO濃度の基準値が最も低いエラー判定条件4が成立したか否かを判断する(STEP11)。そして、エラー判定条件4ではなく、エラー判定条件1~3の何れかが成立した場合は(STEP11:no)、バーナ12で不完全燃焼が起きている旨のエラー報知を行い(STEP12)、図3および図4のCO濃度監視処理を終了する。本実施例の給湯システム1では、エラー報知を、図示しないリモコンの液晶画面に表示することで行うようになっているが、これに限らず、音声で報知するようにしてもよい。
【0043】
これに対して、エラー判定条件4が成立した場合は(STEP11:yes)、CO濃度の基準値が最も低いエラー判定条件であるため、前述したドリフト現象の影響によって、実際のCO濃度は基準値(600ppm)に達していないのに、COセンサ25の計測値が基準値以上となっていることが疑われる。そこで、一定時間(本実施例では30分)以内にCOセンサ25のゼロ点校正を実行したか否かを判断する(図4のSTEP13)。そして、30分以内にゼロ点校正を実行していた場合は(STEP13:yes)、COセンサ25のゼロ点のずれはそれほど大きくなっておらずドリフト現象の影響は小さいと考えられる。そのため、実際のCO濃度が基準値に達していると判断して、バーナ12で不完全燃焼が起きている旨のエラー報知を行った後(STEP14)、図3および図4のCO濃度監視処理を終了する。
【0044】
一方、30分以内にCOセンサ25のゼロ点校正を実行していなかった場合は(STEP13:no)、エラー判定条件4の成立時にバーナ12で長時間(本実施例では3時間以上)連続して燃焼中であったか否かを判断する(STEP15)。COセンサ25は、バーナ12での燃焼中にゼロ点がずれていき、特に長時間燃焼を継続していると、実際のCO濃度は基準値に達していなくても、COセンサ25の計測値が基準値以上になってしまうことがある。本実施例では、バーナ12での連続燃焼時間が3時間未満であった場合は(STEP15:no)、ドリフト現象の影響は小さく実際のCO濃度が基準値に達していると判断して、バーナ12で不完全燃焼が起きている旨のエラー報知を行った後(STEP14)、図3および図4のCO濃度監視処理を終了する。尚、本実施例では、バーナ12での連続燃焼時間をコントローラ7で計時することが可能になっている。また、コントローラ7は、バーナ12での燃焼を停止しても、計時した連続燃焼時間を直ぐにはリセットしないようにしてもよい。すなわち、バーナ12での燃焼を一旦停止しても、直ぐに(例えば、バーナ12の温度が所定温度以下に冷める前に)燃焼を再開した場合には、燃焼の停止前と一連の連続燃焼時間として計時することとしてもよい。
【0045】
これに対して、バーナ12での連続燃焼時間が3時間以上であった場合は(STEP15:yes)、給湯システム1に搭載された2台の給湯器10a,10bの両方のCOセンサ25でエラー判定条件4が成立したか否かを判断する(STEP16)。両方のCOセンサ25でエラー判定条件4が成立した場合は(STEP16:yes)、給湯システム1の給湯を停止した状態で(STEP18)、給湯が可能となるまでの時間のカウントダウン表示を行う(STEP19)。このカウントダウン表示は、図示しないリモコンの液晶画面上で行うようになっている。尚、こうしたカウントダウン表示は必須ではないものの、カウントダウン表示を行うことによって、給湯が停止したことに対する使用者の不安を軽減することができる。
【0046】
また、2台の給湯器10a,10bのうち一方のCOセンサ25でエラー判定条件4が成立した場合は(STEP16:no)、エラー判定条件4が成立していない片方の給湯器10で要求湯量を賄えるか否かを判断する(STEP17)。そして、片方の給湯器10だけでは要求湯量を賄えない場合は(STEP17:no)、エラー判定条件4が成立していない片方の給湯器10についても給湯を停止した後(STEP18)、給湯が可能となるまでの時間のカウントダウン表示を行う(STEP19)。
【0047】
尚、片方の給湯器10だけでは要求湯量を賄えない場合でも、エラー判定条件4が成立していない片方の給湯器10については給湯を可能として、給湯を絶やさないようにしてもよい。その場合は、生成熱量(給湯能力)が不足しているので、設定温度よりも低い温度で給湯するか、あるいは湯量を制限することになる。
【0048】
一方、片方の給湯器10で要求湯量を賄える場合は(STEP17:yes)、エラー判定条件4が成立していない片方の給湯器10で給湯を継続可能であり、STEP18,19を省略すると、エラー判定条件4が成立した給湯器10で掃気処理を行う(STEP20)。この掃気処理では、燃焼ファン20の送風で所定の掃気時間(本実施例では5分)にわたって燃焼排ガスを排出させる。
【0049】
こうして掃気処理を終了したら、COセンサ25の周囲では、燃焼排ガスが排出されてCO濃度の低い正常な雰囲気(大気)に戻るので、COセンサ25のゼロ点校正を行う(STEP21)。これにより、前述したドリフト現象の影響を排除することができ、その状態でバーナ12での燃焼を再開する(STEP22)。また、STEP22では、停止していた給湯も許可するようになっており、前述したSTEP19のカウントダウン表示では、掃気処理(掃気時間5分)の後に、COセンサ25のゼロ点校正を行ってバーナ12での燃焼を再開するまでの時間(STEP20~22に要する時間)を表示するようになっている。
【0050】
STEP22にてバーナ12での燃焼を再開すると、図3のSTEP4へと戻り、エラー判定条件1~4の何れかが成立したか否かを再び判断する。このとき、前回のエラー判定条件4の成立がドリフト現象に起因するものであった場合は、COセンサ25のゼロ点校正によってドリフト現象の影響が除去されているので、続けてエラー判定条件4が成立することはなく(STEP4:no)、バーナ12での燃焼の停止を確認しながら(STEP5)、エラー判定条件1~4の何れかが成立したか否かの判断を繰り返す(STEP4)。
【0051】
一方、前回のエラー判定条件4の成立が実際にバーナ12での不完全燃焼に起因するものであった場合は、COセンサ25のゼロ点校正を行っても改善しないので、続けてエラー判定条件4が成立すると共に(STEP4:yes,STEP11:yes)、一定時間(30分)以内にCOセンサ25のゼロ点校正を実行していることになり(STEP13:yes)、ゼロ点校正を何度も繰り返すことなく、バーナ12での燃焼を強制的に停止した状態のままとなる。
【0052】
尚、前述したように本実施例のSTEP7では、バーナ12の消火から30分(清浄時間)が経過するのを待ってCOセンサ25のゼロ点校正を行うようになっている。もちろん、STEP20と同様に燃焼ファン20の送風による掃気処理を行うようにすれば、30分も待つ必要はない。ただし、エラー判定条件1~4が成立しないまま正常にバーナ12での燃焼を停止すると、直ぐにバーナ12での燃焼を再開することがあり、その場合には、掃気処理によってバーナ12や第1熱交換器23および第2熱交換器24が冷却されることから、熱効率が大きく低下してしまうことになる。そこで、バーナ12での燃焼の再開に備えて、掃気処理は行わず、燃焼が再開されることなく30分が経過してからCOセンサ25のゼロ点校正を行うこととしている。
【0053】
以上に説明したように本実施例の燃焼装置としての給湯器10では、COセンサ25の計測値に基づきエラー判定条件4(CO濃度が600ppm以上となって、225秒以上継続)が成立してバーナ12での燃焼を停止させると、COセンサ25のドリフト現象の影響が疑われるため、燃焼ファン20の送風による掃気処理の後にCOセンサ25のゼロ点校正を行うようになっている。これにより、ドリフト現象の影響を排除することができるので、エラー判定条件4の成立がドリフト現象に起因するものであれば(実際のCO濃度が600ppmに達していなければ)、バーナ12での燃焼を再開すると、その後は問題なく燃焼を継続することが可能である。一方、ドリフト現象の影響ではなく、実際のCO濃度が600ppm以上であれば、COセンサ25のゼロ点校正の後にバーナ12での燃焼を再開しても、再びエラー判定条件4が成立することになるので、バーナ12の不完全燃焼を検知することができる。
【0054】
また、エラー判定条件4が成立したら、バーナ12での連続燃焼時間にかかわらず掃気処理の後にCOセンサ25のゼロ点校正を行うようにしてもよいが、本実施例の給湯器10(燃焼装置)では、特にバーナ12で3時間以上の長時間連続して燃焼中であった場合に、掃気処理の後にCOセンサ25のゼロ点校正を行うようになっている。バーナ12で長時間連続して燃焼していたのであれば、バーナ12での燃焼状態自体に問題(適切な空燃比ではないなど)があることは少なく、むしろ図3のSTEP8でCOセンサ25のゼロ点校正を行う機会がないことから、ドリフト現象の影響である疑いが強い。そのため、バーナ12で長時間連続燃焼中にエラー判定条件4が成立したら、一旦COセンサ25のゼロ点校正を行うこととし、バーナ12での燃焼を再開して様子を見ることによって、COセンサ25のドリフト現象に起因してバーナ12が停止状態のままになることを抑制することができる。
【0055】
そして、本実施例の給湯器10(燃焼装置)では、エラー判定条件4が成立してバーナ12での燃焼を停止させた際に一定時間(30分)以内にCOセンサ25のゼロ点校正を実行していた場合は、重ねてゼロ点校正を実行しないようになっている。このため、ドリフト現象の影響ではなく、実際にバーナ12で不完全燃焼が起きている場合は、COセンサ25のゼロ点校正を行っても一定時間以内に再びエラー判定条件が成立することによって、ゼロ点校正を繰り返すことなく、バーナ12を停止状態のままにすることができる。
【0056】
また、バーナ12で長時間連続して燃焼している場合に、定期的にCOセンサ25のゼロ点校正を実行することが考えられるが、その都度バーナ12での燃焼を一旦停止させる必要があるところ、必ずしもドリフト現象が影響するとは限らない。そのため、本実施例のようにドリフト現象の影響が疑われるエラー判定条件4が成立したタイミングでCOセンサ25のゼロ点校正を行うことにより、不要なゼロ点校正に伴うバーナ12の停止状態を抑制することができる。
【0057】
さらに、本実施例の給湯器10(燃焼装置)では、CO濃度の基準値や継続時間が異なるエラー判定条件1~4が設定されており、CO濃度の基準値が最も低いエラー判定条件4が成立してバーナ12での燃焼を停止させると、掃気処理の後にCOセンサ25のゼロ点校正を実行するのに対し、エラー判定条件1~3の何れかが成立してバーナ12での燃焼を停止させても、COセンサ25のゼロ点校正を実行しないようになっている。エラー判定条件4に比べてCO濃度の基準値が高く設定されたエラー判定条件1~3の何れかが成立した場合は、COセンサ25のドリフト現象の影響よりも、実際にバーナ12で不完全燃焼が起きている疑いが強く、緊急性も高いので、COセンサ25のゼロ点校正を行わずバーナ12を停止状態のままにすることで、安全性の確保を優先することができる。
【0058】
以上、本実施例の給湯システム1について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0059】
例えば、前述した実施例では、エラー停止処理に続いて、掃気処理の後にCOセンサ25のゼロ点校正を行い、ゼロ点校正が完了すると、バーナ12での燃焼を自動で再開する制御となっていた。しかし、COセンサ25のゼロ点校正を実行するまでの制御とし、ゼロ点校正の完了後に、使用者が手動でバーナ12での燃焼を再開するようにしてもよい。ただし、前述した実施例のように、バーナ12での燃焼を自動で再開する制御としておけば、使用者が手動でバーナ12での燃焼を再開する手間を省けるので、利便性を高めることができる。
【0060】
また、前述した実施例では、エラー判定条件4が成立してエラー停止処理を行うと、バーナ12での連続燃焼時間が所定時間(3時間)を超えていた場合に、掃気処理の後にCOセンサ25のゼロ点校正を行うようになっていた。しかし、エラー停止処理に続いて、掃気処理の後にCOセンサ25のゼロ点校正を行う所定条件としては、これに限られず、ドリフト現象の影響が疑われるような条件であればよい。前述したようにドリフト現象は、バーナ12での燃焼中にCOセンサ25のゼロ点がずれていくことで起こり、例えば、バーナ12での燃焼と停止とを繰り返して累積燃焼時間が所定時間を越えていた場合や、前回のゼロ点校正から所定時間以上経過していた場合や、バーナ12からの燃焼排ガスで加熱されるCOセンサ25の温度が所定温度以上である状態が所定時間以上継続していた場合などにもドリフト現象の影響が疑われることから、エラー停止処理に続いて、掃気処理の後にCOセンサ25のゼロ点校正を実行するようにしてもよい。
【0061】
また、前述した実施例では、バーナ12で3時間以上連続して燃焼中にエラー判定条件4が成立してバーナ12での燃焼を停止させた場合に、掃気処理の後にCOセンサ25のゼロ点校正を行うようになっていた。しかし、バーナ12で3時間以上連続して燃焼してもエラー判定条件1~4の何れも成立することなく、使用者の操作によってバーナ12での燃焼を停止させた場合に、清浄時間(30分)の経過を待つことなく、掃気処理の後にCOセンサ25のゼロ点校正を行うようにしてもよい。また、バーナ12での連続燃焼時間が3時間に達する直前(例えば、2時間50分)であっても、使用者の操作によってバーナ12での燃焼を停止させたタイミングで、掃気処理の後にCOセンサ25のゼロ点校正を行うようにしてもよい。
【0062】
エラー判定条件4が成立していなくても、バーナ12での連続燃焼時間が3時間を越えている場合や、その直前である場合は、バーナ12での燃焼を再開した直後にエラー判定条件4が成立する蓋然性が高い。そのため、使用者の操作によってバーナ12での燃焼を停止させたタイミングで、掃気処理の後にCOセンサ25のゼロ点校正を予め実行しておけば、COセンサ25のドリフト現象に起因するバーナ12の燃焼停止を抑制することができる。尚、バーナ12での燃焼を停止後、30分(清浄時間)が経過すればCOセンサ25のゼロ点校正が行われるものの(図3のSTEP7:yes)、30分が経過する前にバーナ12での燃焼が再開されると、ゼロ点校正の機会を逸してしまうため、掃気処理によってゼロ点校正の実行を早めればよい。
【0063】
また、前述した実施例では、2台の給湯器10を並列に連結した給湯システム1について説明したが、給湯器10の単体にも本発明を好適に適用することができる。また、3台以上の給湯器10を連結してもよい。複数台の給湯器10を搭載した業務用の給湯システム1では、バーナ12での連続燃焼時間が長くなる傾向にあり、COセンサ25のゼロ点校正を行う機会を確保し難いため、ドリフト現象が影響することが多く、本発明を好適に適用することができる。
【0064】
また、前述した実施例では、燃焼装置として給湯器10を例に説明したが、本発明の燃焼装置の適用は給湯器10に限られず、加熱した熱媒を循環させて暖房に用いる暖房機などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…給湯システム、 2…給水通路、 3…出湯通路、
4…ガス通路、 5…排気通路、 7…コントローラ、
10…給湯器、 11…缶体、 12…バーナ、
13…元弁、 14…比例弁、 15a…第1切換弁、
15b…第2切換弁、 15c…第3切換弁、 20…燃焼ファン、
21…点火プラグ、 22…フレームロッド、 23…第1熱交換器、
24…第2熱交換器、 25…COセンサ、 26…ドレン受け、
27…排液管、 28…中和器、 30…水量センサ、
31…給水温度センサ、 32…缶体温度センサ、 33…バイパス通路、
34…バイパスサーボ、 35…出湯温度センサ、 36…湯量サーボ。
図1
図2
図3
図4