(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】無線端末
(51)【国際特許分類】
H04W 40/02 20090101AFI20221028BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20221028BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20221028BHJP
H04W 84/22 20090101ALI20221028BHJP
【FI】
H04W40/02 110
H04M11/00 301
H04W4/38
H04W84/22
(21)【出願番号】P 2018203137
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】猪子 照恵
(72)【発明者】
【氏名】山下 真純
(72)【発明者】
【氏名】横山 睦人
(72)【発明者】
【氏名】土屋 創太
(72)【発明者】
【氏名】安元 啓人
(72)【発明者】
【氏名】田村 至
(72)【発明者】
【氏名】安井 昌広
(72)【発明者】
【氏名】坂野 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】福島 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚利
(72)【発明者】
【氏名】小野 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】田井 貴久
(72)【発明者】
【氏名】畠内 孝明
(72)【発明者】
【氏名】星野 充紀
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-139395(JP,A)
【文献】特開2009-159523(JP,A)
【文献】特開2013-232963(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203488(WO,A1)
【文献】特開2014-239403(JP,A)
【文献】特開2005-244533(JP,A)
【文献】特表2019-523620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
H04M 11/00-11/10
H03J 9/00- 9/06
H04Q 9/00- 9/16
H04L 12/28
H04L 12/44-12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークへ参入開始の起動操作を受け付ける操作部と、
前記起動操作に応じて、無線通信可能な無線端末である他端末から情報を受信し、当該他端末との通信状況を示す情報を検出し、前記他端末から受信した情報である受信情報及び検出した前記他端末との通信状況を示す情報である検出情報を前記他端末の端末情報として取得するスキャン部と、
前記他端末が属している前記ネットワークが参入可能な前記ネットワークであるか前記端末情報に基づいて判定する判定処理を行う判定部と、を備え、
前記受信情報は、前記他端末が属している前記ネットワークにおける端末識別情報の発行機能付き前記無線端末までのホップ数のうち、最小のホップ数を示すランクを含み、
前記検出情報は、前記他端末との間の電界強度測定値であって通信安定性を示すRSSIを含み、
前記スキャン部は、前記ランクが小さい方から順であって、且つ、同じ前記ランクの前記端末情報が複数、ある場合には前記RSSIが大きい順に所定数の前記端末情報を取得し、
前記他端末から、前記ネットワークに属している前記無線端末の台数を前記端末情報として取得する取得部をさらに備え、
前記判定部は、
前記判定処理が初回である場合、前記無線端末の台数が第1閾値以下の前記ネットワークを参入可能な前記ネットワークと判定し、
前記判定処理が初回でなく、且つ、前回の前記判定処理において前記無線端末の台数が前記第1閾値以下の前記ネットワークがないと判定された場合、前記無線端末の台数が前記第1閾値よりも大きい第2閾値以下の前記ネットワークを参入可能な前記ネットワークと判定する
、無線端末。
【請求項2】
前記取得部は、
前記無線端末の台数要求と共に、前記ネットワークを利用する事業者の識別情報を前記他端末に送信し、
前記事業者の識別情報と一致する事業者の識別情報を有する前記他端末から、前記ネットワークに属している前記無線端末の台数を前記端末情報として取得する、請求項
1に記載の無線端末。
【請求項3】
参入可能な前記ネットワークのうち、前記ランクが小さい前記無線端末が属する前記ネットワークを優先し、且つ、前記ランクが同じ場合、前記RSSIが大きい前記無線端末が属する前記ネットワークを優先する順位に従って決定した前記ネットワークに対し、前記端末識別情報の発行を要求する登録部をさらに備えている、請求項
1又は2に記載の無線端末。
【請求項4】
ネットワークへ参入開始の起動操作を受け付ける操作部と、
前記起動操作に応じて、無線通信可能な無線端末である他端末から情報を受信し、当該他端末との通信状況を示す情報を検出し、前記他端末から受信した情報である受信情報及び検出した前記他端末との通信状況を示す情報である検出情報を前記他端末の端末情報として取得するスキャン部と、
前記他端末が属している前記ネットワークが参入可能な前記ネットワークであるか前記端末情報に基づいて判定する判定処理を行う判定部と、を備え、
前記受信情報は、前記他端末が属している前記ネットワークにおける端末識別情報の発行機能付き前記無線端末までのホップ数のうち、最小のホップ数を示すランクを含み、
前記検出情報は、前記他端末との間の電界強度測定値であって通信安定性を示すRSSIを含み、
前記スキャン部は、前記ランクが小さい方から順であって、且つ、同じ前記ランクの前記端末情報が複数、ある場合には前記RSSIが大きい順に所定数の前記端末情報を取得し、
参入可能な前記ネットワークのうち、前記ランクが小さい前記無線端末が属する前記ネットワークを優先し、且つ、前記ランクが同じ場合、前記RSSIが大きい前記無線端末が属する前記ネットワークを優先する順位に従って決定した前記ネットワークに対し、前記端末識別情報の発行を要求する登録部をさらに備えている
、無線端末。
【請求項5】
全ての参入可能な前記ネットワークについて前記端末識別情報が前記登録部により取得できない場合、前記スキャン部は、前記他端末の端末情報の取得を周期的に繰り返す、請求項
3又は4に記載の無線端末。
【請求項6】
前記登録部は、発行された前記端末識別情報を取得すると共に、前記ネットワークにおいて認証に用いられる鍵情報を取得する、請求項
3~5のいずれか一項に記載の無線端末。
【請求項7】
前記ネットワークへの自動参入方法と手動参入方法とを切り替える切替部をさらに備え、
前記登録部は、前記切替部により自動参入方法が設定されている場合、前記自動参入方法により参入済みの前記他端末又は前記手動参入方法により参入済みの前記他端末に前記端末識別情報の発行を要求する、請求項
3~
6のいずれか一項に記載の無線端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線端末として、特許文献1に示す自動検針無線機が知られており、自動検針無線機は無線親機及び無線子機を有している。この無線子機は、ガス等の使用量データをメータから取得して無線親機に無線送信している。無線親機は、登録されている無線子機から使用料データを受信し、事業者の隔測検針装置にT-NCUを介して送信している。
【0003】
無線親機は、無線子機を登録する際、作業者からの入力によって操作設定を受け付けた後に無線子機からの応答があると、その子機情報が自身に記憶されているか否かを判定する。そして、無線親機は、判定の結果及び受け付けた操作設定に応じて、無線子機の情報を新規登録又は上書き登録している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の自動検針無線機では、作業者は、無線親機を操作設定する作業と、無線子機を起動して無線親機に応答させる作業とをタイミングを計って行わなければならない。このため、無線親機から離れたメータの近傍で無線子機の登録を行うと、二人の作業者が無線親機及び無線子機をそれぞれ作業する必要がある。
【0006】
一方、一人の作業者により作業する場合には、作業者は、無線子機をメータから離れた無線親機の近傍に配置して両機を操作して無線親機に無線子機の登録をしてから、無線子機をメータの近傍に移動させる。このメータの近傍の通信環境によっては無線子機が無線親機と無線通信をできないことがあり、この場合、他の無線親機に無線子機を登録し直す必要が生じる。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、ネットワークへの参入作業性の向上を図ることができる無線端末を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様に係る無線端末は、ネットワークへ参入開始の起動操作を受け付ける操作部と、前記起動操作に応じて、無線通信可能な無線端末である他端末から情報を受信し、当該他端末との通信状況を示す情報を検出し、前記受信情報及び前記検出情報を前記他端末の端末情報として取得するスキャン部と、前記他端末が属している前記ネットワークが参入可能な前記ネットワークであるか前記端末情報に基づいて判定する判定処理を行う判定部と、を備えている。
【0009】
この構成によれば、作業者が無線端末を起動操作することにより、無線通信可能な他端末の端末情報に基づいて無線端末の参入可能なネットワークが自動的に判定される。このため、一人の作業者により、参入可能はネットワークを判定する作業を行うことができる。また、このネットワークに属する他端末と無線端末とは既に無線通信可能であるため、通信ができないとの理由により無線端末を登録し直す事態を避けることができる。よって、ネットワークへの参入作業性の向上を図ることができる。
【0010】
無線端末では、前記受信情報は、前記他端末が属している前記ネットワークにおける端末識別情報の発行機能付き前記無線端末までのホップ数のうち、最小のホップ数を示すランクを含み、前記検出情報は、前記他端末との間の電界強度測定値であって通信安定性を示すRSSIを含み、前記スキャン部は、前記ランクが小さい方から順であって、且つ、同じ前記ランクの前記端末情報が複数、ある場合には前記RSSIが大きい順に所定数の前記端末情報を取得してもよい。この構成によれば、参入させたい無線端末のみ起動させれば、ランク及びRSSIに基づいて、通信状態が良く且つ通信が効率的に行える参入可能なネットワークを容易に判定することができる。
【0011】
無線端末は、前記他端末から、前記ネットワークに属している前記無線端末の台数を前記端末情報として取得する取得部をさらに備え、前記判定部は、前記判定処理が初回である場合、前記無線端末の台数が第1閾値以下の前記ネットワークを参入可能な前記ネットワークと判定し、前記判定処理が初回でなく、且つ、前回の前記判定処理において前記無線端末の台数が前記第1閾値以下の前記ネットワークがないと判定された場合、前記無線端末の台数が前記第1閾値よりも大きい第2閾値以下の前記ネットワークを参入可能な前記ネットワークと判定してもよい。
【0012】
この構成によれば、無線端末の台数が少ないネットワークを参入可能なネットワークとして判定している。これにより、ネットワークにおける無線端末の台数を均等にすることができる。
【0013】
無線端末では、前記取得部は、前記無線端末の台数要求と共に、前記ネットワークを利用する事業者の識別情報を前記他端末に送信し、前記事業者の識別情報と一致する事業者の識別情報を有する前記他端末から、前記ネットワークに属している前記無線端末の台数を前記端末情報として取得してもよい。
【0014】
この構成によれば、無線端末では、事業者の識別情報に基づいて参入可能なネットワークを判定している。これにより、無線端末が、所望の事業者のネットワークに参入することができる。
【0015】
無線端末は、参入可能な前記ネットワークのうち、前記ランクが小さい前記無線端末が属する前記ネットワークを優先し、且つ、前記ランクが同じ場合、前記RSSIが大きい前記無線端末が属する前記ネットワークを優先する順位に従って決定した前記ネットワークに対し、前記端末識別情報の発行を要求する登録部をさらに備えていてもよい。
【0016】
この構成によれば、無線端末では、よりランクが小さく、よりRSSIが大きなネットワークを参入可能なネットワークとして判定している。これにより、通信がより安定し且つ通信が効率的に行えるネットワークに参入することができる。
【0017】
無線端末は、全ての参入可能な前記ネットワークについて前記端末識別情報が前記登録部により取得できない場合、前記他端末の端末情報の取得を周期的に繰り返してもよい。
【0018】
この構成によれば、無線端末は、ネットワークに参入できなくても、スキャン部は周期的に端末情報の取得を繰り返すことにより、この端末情報に基づいて参入可能なネットワークの判定が自動的に行われる。そして、近くに参入可能なネットワークが新たに構築されると、そのネットワークに無線端末は自動的に参入できる。
【0019】
無線端末では、前記登録部は、発行された前記端末識別情報を取得すると共に、前記ネットワークにおいて認証に用いられる鍵情報を取得してもよい。この構成によれば、端末識別情報の取得と同時に鍵情報の取得もでき、取得した鍵情報によってネットワークにおける情報の送受信を一層安全に行うことができる。
【0020】
無線端末は、前記ネットワークへの自動参入方法と手動参入方法とを切り替える切替部をさらに備え、前記登録部は、前記切替部により自動参入方法が設定されている場合、前記自動参入方法により参入済みの前記他端末又は前記手動参入方法により参入済みの前記他端末に前記端末識別情報の発行を要求してもよい。この構成によれば、無線端末は、他端末の参入方法によらず、他端末に対して端末識別情報の発行を要求することができる。よって、無線端末は、例えば、自動参入方法及び手動参入方法の両方により参入した無線端末が混在したネットワークへも確実に無線端末をネットワークに算入させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上に説明した構成を有し、ネットワークへの参入作業性の向上を図ることができる無線端末を提供することができるという効果を奏する。
【0022】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る無線端末を備える自動検針システムを概略的に示す図である。
【
図2】
図1の無線端末の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図3】
図2の無線端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施の形態2に係る無線端末の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態1)
<自動検針システムの構成>
図1に示すように、実施の形態1に係る無線端末20は、例えば、自動検針システム10に用いられる。自動検針システム10は、例えばガス、水道及び電気の使用量等の検針データ等の情報を遠隔地のセンタ11に送信するシステムである。
【0025】
自動検針システム10は、複数のネットワーク14を備えている。ネットワーク14は、情報を収集する1台以上の収集用の無線端末20と、収集された情報をセンタ11に送信する1台の送信用の無線端末12とを有している。送信用無線端末12は、センタ11と無線端末20のネットワーク14との間を無線通信するゲートウェイの機能を有し、使用量を計測するメータ13に設けられている。
【0026】
収集用の無線端末20は、メータ13に有線によって接続されており、メータ13において計測された使用料の検針データ等の情報を取得する。また、収集用の無線端末20のうち、送信用無線端末12と有線により接続された1つの無線端末20は親機20aであり、送信用無線端末12と接続されていない他の無線端末20は子機20bである。
【0027】
親機20a及び子機20bは互いに無線通信により相互接続して、互いに情報を送信、受信及び中継して、ネットワーク14を構築している。このようなマルチホップネットワーク14において、子機20bが取得した検針データ等の情報は、多段中継されて、親機20aに送られる。そして、検針データ等の情報は、親機20aから送信用無線端末12を介してセンタ11に無線通信により送信される。
【0028】
<収集用の無線端末の構成>
図1に示す通り、親機20aはネットワーク14における端末識別情報の発行機能付き無線端末として、子機20bにその端末識別情報を発行する。一方、子機20bは、ネットワーク参入時、親機20aから端末識別情報を取得する。このネットワークへの参入では、ネットワーク未参入の状態からネットワークへ参入する場合も、ネットワークに参入済みの状態から別のネットワークに参入し直す場合も含んでいる。
【0029】
また、
図2に示すように、親機20aは、送受信部21、操作部22、記憶部27、制御部28、アンテナ29及び発行部30を備えている。子機20bは、送受信部21、操作部22、スキャン部23、取得部24、判定部25、登録部26、記憶部27、制御部28及びアンテナ29を備えている。この親機20a及び子機20bにおいて送受信部21がアンテナ29を介して情報を送信及び受信することにより、無線通信が行われる。
【0030】
操作部22には、例えば、リードスイッチ等の開閉器、及び、保守等に使用される設定器等の通信装置から送信される有線電文(起動制御)を受信するインターフェースが用いられる。記憶部27にはメモリが用いられ、アンテナ29には電波を送受信する装置が用いられる。これ以外の構成部(送受信部21、スキャン部23、取得部24、判定部25、登録部26、制御部28、発行部30)には、例えば、プロセッサが用いられている。例えば、メモリ及びプロセッサは、マイクロコンピュータ等により構成されている。
【0031】
無線端末20がネットワーク14に属していない状態では、その記憶部27は、無線端末20自身が予め有している所定情報を記憶している。所定情報は、予め設定されている初期情報であって、所定機器情報、所定NT情報、所定鍵情報、所定事業者情報及びランクを有している。なお、ランクについては後述する。
【0032】
所定機器情報は、自己の無線端末20(自己端末)を他の無線端末20と区別するアドレス等の端末識別情報である。所定NT情報は、自己端末のネットワーク14(自己ネットワーク14)を他のネットワーク14と区別する識別情報である。所定鍵情報は、自己ネットワーク14の通信において認証に用いられる情報であって、セッション鍵等の暗号鍵である。所定事業者情報は、自己端末が用いられる自動検針システム10の事業者を特定する識別情報である。
【0033】
無線端末20がネットワーク14に属している状態では、その記憶部27は、所定情報に加えて、ネットワーク14の親機20aから付与される所属情報、ホップ数テーブル及びランクを記憶している。所属情報は、所属するネットワーク14における通信に関する情報であって、所属機器情報、所属NT情報及び所属鍵情報を有している。なお、ホップ数テーブルについては後述する。
【0034】
所属機器情報は、所属ネットワーク14における他の無線端末20から自己端末を区別するアドレス等の端末識別情報である。所属NT情報は、所属ネットワーク14を他のネットワークから区別する識別情報である。所属鍵情報は、所属ネットワーク14の通信において認証に用いられる情報であって、セッション鍵等の暗号鍵である。
【0035】
例えば、所属情報は、親機20aの発行部30から子機20bの登録部26に付与(発行)される。また、親機20aでは、自己の所定情報の所定NT情報及び所定鍵情報が、所属情報の所属NT情報及び所属鍵情報としてそれぞれ用いられる。
【0036】
また、無線端末20がネットワーク14に属していない状態では、制御部28は、所定機器情報及び所定NT情報を格納したビーコン(RIT Data Request)を周期的に送受信部21を介して送信する。一方、無線端末20がネットワーク14に属している状態では、制御部28は、所属機器情報と所属NT情報とランクを格納したビーコンを周期的に送受信部21を介して送信する。そして、いずれの状態でも、送受信部21は、ビーコンを送信してから、第1所定時間、情報を受信可能とする。このように、無線端末20が間欠動作することにより、消費電力の低減化が図られる。
【0037】
<ランク>
ランクは、ネットワーク14における自己端末から親機20aまでのホップ数のうち最小のものであって、例えば0h~Ehがランクとして設定される。ランクは、ホップ数テーブル交換毎に更新される。
【0038】
無線端末20がネットワーク14に属していない状態では、ランクは、初期値であって、例えば、Fhと設定される。無線端末20がネットワーク14に参入しても、例えば、親機20aの故障等によりネットワーク14において親機20aを認識できない場合、ランクはFhに維持される。
【0039】
無線端末20がネットワーク14に属しており、且つ、親機20aである場合、ランクは0hと設定される。例えば、親機20aと1ホップで隣接する無線端末20のランクは、1hが設定される。無線端末20がネットワーク14に属しており、且つ、子機20bである場合、親機20aまでの通信ルートが複数ある場合、各通信ルートにおけるホップ数のうちの最も小さいものをランクとして設定する。
【0040】
<ホップ数テーブル>
ホップ数テーブルは、ネットワーク14に属している無線端末20の所属機器情報と、その無線端末20のホップ数と、を対応付けた情報である。ホップ数テーブルは、自己端末の情報だけでなく、ネットワーク14に参入済みで隣接した他の無線端末20の情報も保持している。ホップ数は、ネットワーク14の親機20aに到達するまでに経由する無線端末20(子機20b)の数となる。自己端末と親機20aとの間において経由する無線端末20がn個である場合、ホップ数がn+1hとなる。
【0041】
例えば、ホップ数テーブルは、無線端末20がネットワーク14に参入した際、及び、第2所定時間毎に、無線通信可能な他の無線端末20(他端末)との間において無線通信により交換される。無線端末20は、他端末から受信したホップ数テーブルに応じて自己端末のホップ数テーブルを更新する。例えば、無線端末20は、無線通信可能な他端末のホップ数に1hを足して、自己端末のホップ数とする。このため、ネットワーク14における無線端末20の参入及び離脱に応じて、その無線端末20と無線通信する他端末から順にホップ数テーブルが更新される。なお、無線端末20は、ネットワーク14に参入する前に自己端末のホップ数テーブルを初期化した後、他端末からホップ数テーブルを受信する。
【0042】
<無線端末の動作>
無線端末20がネットワーク14に参入する場合について、
図3のフローチャートを参照して説明する。なお、説明の便宜上、ネットワーク14へ参入する無線端末20(参入端末20j)及びその各構成の参照番号にはjを付し、参入端末20jと無線通信可能な無線端末20(他端末20i)及びその各構成の参照番号にはiを付して説明する。
【0043】
まず、参入端末20jは、操作部22jが作業者等のユーザにより外部から操作されると、ネットワーク14へ参入開始の起動操作を受け付ける(ステップS1)。これにより、参入端末20jは、所定情報の所定機器情報及び所定NT情報を無線通信用の設定とし、自動参入処理を開始する。
【0044】
この自動参入処理では、スキャン部23jは、操作部22jの起動操作を受けて、周囲に存在するネットワーク14に参入済みの無線端末20を確認する通信(RITスキャン処理)を実行する(ステップS2)。
【0045】
このRITスキャン処理では、スキャン部23jは、第3所定時間、他端末20iが発するビーコンを送受信部21jにより受信する。このビーコン(受信情報)には、所属機器情報、所属NT情報及びランクが含まれている。ここで、参入端末20jは、同じ所属NT情報を有する複数の他端末20iから情報を受信した場合、最小のランクを有している他端末20iの情報を受信情報とする。これにより、この受信情報は、その属するネットワーク14において最小ランクの他端末20iの所属機器情報となる。
【0046】
そして、スキャンを開始してからの経過時間が第3所定時間を経過するまで、参入端末20jは他端末20iからビーコンを受信し続ける。例えば、他端末20iがビーコンを5秒毎に発している場合、これに応じて、複数回(例えば、2回)のビーコンを受信するように、第3所定時間(例えば、10秒間)は設定されている。これにより、参入端末20jは、他端末20iからビーコンを一層確実に取得することができる。
【0047】
なお、第3所定時間内に参入端末20jがビーコンを受信することができない場合、ビーコンを受信する時間を長く延長してもよい。この延長は、送受信部21jにより指示された延長要求に応じて行われてもよい。また、延長回数は所定回数に制限される。
【0048】
そして、送受信部21jは、ビーコンを受信すると、他端末20iとの通信状況を示す情報も検出し、この検出情報をスキャン部23jに出力する。この通信状況を示す情報は、他端末20iとの間の通信安定性を示す情報であって、他端末20iとの間の電解強度測定値であり、例えば、他端末20iからビーコンを受信した際の信号の強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))が用いられる。そして、スキャン部23jは、受信情報及び検出したRSSI情報を他端末20iの端末情報として収集する(ステップS3)。この際、スキャン部23jは、最小ランクの端末情報が複数ある場合、RSSIの大きい端末情報を残してもよい。
【0049】
そして、スキャン部23jは、取得した端末情報を、ランクが小さい方から順に並べる。ここで、スキャン部23jは、複数の端末情報のランクが同じ場合、RSSIの大きい順に端末情報を並べる。そして、ランクが小さい方から順であって、且つ、同じランクの端末情報においてはRSSIが大きい順に、所定数(例えば、3台)の他端末20iの端末情報を選択する。そして、スキャン部23jは、選択した端末情報を記憶部27に記憶する(ステップS4)。
【0050】
なお、他端末20iがネットワーク14に属していない、又は、ネットワーク14の親機20aを認識できない場合、ランクはFhに設定されている。このようなランクの端末情報はランクが小さい端末情報に含まれず、この端末情報はスキャン部23jにより選択されない。
【0051】
このようにして、所定の事業者の自動検針システム10におけるネットワーク14に参入済みであって、通信状況が安定し、且つ、親機20aからできる限り近い他端末20iの端末情報を選択することができる。また、最大数が所定数の他端末20iの端末情報に絞って記憶することにより、記憶部27の容量及び通信量を抑制することができる。さらに、RSSI及びランクに基づいて端末情報を選択することにより、参入可能なネットワーク14の判定要素となる他端末20iの端末情報を容易に自動的に選択することができる。
【0052】
続いて、取得部24jは台数取得処理を実行する。この台数取得処理では、取得部24jは、スキャン部23jにより選択された他端末20iの端末情報における所属機器情報を送信先として、台数要求及び所定事業者情報を送受信部21jにより送信する。これにより、参入端末20jは、その他端末20iが属するネットワーク14における無線端末20の台数を他端末20iに問い合わせる(ステップS5)。なお、台数要求の送信先は、スキャン部23jにより選択された無線端末20(他端末20i)だけでなく、この他端末20iと同じ所属NT情報を有している無線端末20を送信先として送信してもよい。
【0053】
他端末20iの制御部28iは、台数要求と共に受信した所定事業者情報が、自己の記憶部27iに記憶されている所定事業者情報と一致しているか否かを判定する。これらが一致している場合、制御部28iは、記憶部27iに記憶しているホップ数テーブルにおける、ネットワーク14に参入済みの所属機器情報の一覧に基づいて、ネットワーク14に属する無線端末20の台数を抽出し送信する。
【0054】
これにより、参入端末20jの取得部24jは、自己の所定事業者情報と一致する所定事業者情報を有する他端末20iから、台数を受信する(ステップS6)。そして、取得部24jは、この台数を、保持している他端末20iの端末情報に含めて記憶する。
【0055】
なお、台数要求の送信タイミングは、他端末20iが発するビーコンの周期に基づいて定められる。つまり、無線端末20は、電池の消耗を抑制するために受信可能な状態が、ビーコン発信直後の短時間に制限されている。このため、参入端末20jが任意のタイミングで台数要求を送信しても、他端末20iがこれを受信できない可能性が高い。よって、他端末20iが周期的にビーコンを発した直後の受信可能な状態の間に、参入端末20jが台数要求を送信することにより、電池の消耗を極力抑えつつ、他端末20iとの通信を可能にすることができる。
【0056】
また、無線端末20が周期的に発するビーコンに台数及び所定事業者情報を含めれば、台数の問い合わせ及び所定事業者情報の一致判定が台数取得時に不要となる。しかしながら、ビーコンの情報量が増え、電池の消耗量が増加する。このため、ビーコンとは別に、台数を求めることにより、電池の消耗を抑制することができる。
【0057】
続いて、判定部25jは、判定処理を実行する。この判定処理では、判定部25jは、他端末20iが属しているネットワーク14が参入可能なネットワーク14(ネットワーク14候補)であるか端末情報に基づいて判定する。
【0058】
具体的には、まず、判定部25jは、判定処理が初回であるか否かを判定する(ステップS7)。ここで、起動操作されてから、初めての判定処理の実行であれば、初回の判定処理であると判定される。なお、この起動操作には、再起動及び、起動制御による電文起動を含む。再起動は、参入端末20jが、一旦参入した後に、ネットワーク14から離脱した状態になり、この状態で起動操作された場合であって、所属情報等を記憶していない。
【0059】
初回の判定処理である場合(ステップS7:YES)、判定部25jは、台数が第1閾値(例えば、30台)以下のネットワーク14があるか否かを判定する(ステップS8)。ここで、ステップS8の判定処理の実行を記憶してもよい。この場合、ステップS7の判定に際し、ステップS8の処理の実行が記憶されていない場合、判定部25jは、判定処理が初回であると判定してもよい。
【0060】
ステップS8の判定処理において台数が第1閾値以下であれば、判定部25jはそのネットワーク14をネットワーク14候補と判定する。一方、台数が第1閾値より大きければ、判定部25jはそのネットワーク14を参入不可能であると判定し、ネットワーク14候補から除外する。この判定を、台数を取得した全てのネットワーク14に対して行う。この結果、ネットワーク14候補がなければ(ステップS8:NO)、例えば、参入端末20jはビーコンを周期的に送信し、第4所定時間の経過後にステップS2の処理に戻り、これ以降の処理を実行する。
【0061】
一方、初回の判定処理でない場合(ステップS7:NO)、判定部25jは、台数が、第2閾値以下のネットワーク14があるか否かを判定する(ステップS9)。第2閾値は、第1閾値より大きな値であり、例えば、記憶部27jに記憶可能な無線端末20の最大台数等、記憶部27jの記憶容量に基づいて設定され、例えば、50台である。
【0062】
台数が第2閾値以下であれば、判定部25jはそのネットワーク14をネットワーク14候補と判定する。一方、台数が第2閾値より大きければ、判定部25jはそのネットワーク14には参入不可能であると判定し、ネットワーク14候補から除外する。この判定を、台数を取得した全てのネットワーク14に対して行う。この結果、ネットワーク14候補がなければ(ステップS9:NO)、例えば、参入端末20jはビーコンを周期的に送信し、第4所定時間の経過後にステップS2の処理に戻る。
【0063】
このように、第2閾値よりも小さな第1閾値に基づいて台数を初回に判定することにより、複数のネットワーク14のそれぞれに属する無線端末20の台数を均等化することができる。これにより、複数のネットワーク14のうちのいずれか一部のネットワーク14内の端末台数が過剰に増加し、このネットワーク14においてホップ数テーブル等の情報量及び通信料が増え、このネットワーク14に属する無線端末20の電池が消耗することを抑制することができる。
【0064】
このような判定処理の結果、ネットワーク14候補があれば(ステップS8:YES、ステップS9:YES)、判定部25jは、ネットワーク14候補の情報を端末情報として記憶部27jに記憶する。この端末情報には、スキャン部23jにより記憶された情報(所属NT情報、最小のランクを有している他端末20iの所属機器情報、その最小のランク、その他端末20iとのRSSI)と、取得部24により取得された情報(ネットワーク14の無線端末20の台数)とを含み、これらが対応付けられている。この情報は判定部25jから登録部26jに出力される。
【0065】
続いて、登録部26jは、所属機器情報の発行要求処理を実行する。この発行要求処理では、登録部26jは、判定されたネットワーク14候補に参入を求める(ステップS10)。
【0066】
なお、この発行要求処理は、他の処理における通信チャネルと同じチャンネルによって通信を行ってもよいし、異なるチャネルによって通信を行ってもよい。発行要求処理に通信チャンネルと同じチャネルを使用することにより、ネットワーク14参入中の無線端末20が通信チャネル以外のチャネルの信号監視をする必要がなくなり、ビーコンの発信直後に複数チャネルの監視が不要となり、電池消費を抑える効果がある。
【0067】
まず、ネットワーク14候補の中から、ネットワーク14に属する他端末20iのランクが小さいほど高くなる優先順位を設定する。ここで、複数のネットワーク14候補に属する他端末20iのランクが等しい場合、その他端末20iのRSSIが高いほど、優先順位を高くする。そして、登録部26jは、この優先順位に従って決定したネットワーク14候補に対し発行要求処理を実行する。
【0068】
なお、ネットワーク14候補が1つの場合、そのネットワーク14に属する他端末20iのランクが最も小さくなるため、そのネットワーク14候補の優先順位が最も高くなる。登録部26jは、このネットワーク14候補のみに発行要求処理を実行する。
【0069】
発行要求処理では、登録部26jは、ネットワーク14候補の他端末20iに、そのネットワーク14において参入済み無線端末20と区別する参入端末20jの端末識別情報(所属機器情報)の付与(発行)を要求する発行要求を送信する。この際、発行要求には、参入端末20jの所定端末情報及び所定NT情報が含められている。
【0070】
この他端末20iが親機20aである場合、他端末20iの発行部30iは、発行要求に応じて所属機器情報を発行すると共に、これを参入端末20jの所定機器情報と対応付けて記憶して、参入端末20jを子機20bとして登録する。そして、発行部30iは、所属機器情報に、所属NT情報及び所属鍵情報を含めた応答情報を、所定端末情報に基づいて参入端末20jに送信する。これに応じて、参入端末20jは、所属機器情報、所属NT情報及び所属鍵情報を取得して(ステップS11:YES)、これらを記憶すると共に、無線通信用の設定とする(ステップS12)。これにより、参入端末20jはネットワーク14に算入でき、ビーコンを周期的に発する。また、所属鍵情報によってネットワーク14における情報の送受信を一層安全に行うことができる。
【0071】
一方、他端末20iが子機20bである場合、他端末20iの登録部26iは、参入端末20jの所定機器情報及び所定NT情報を保持するとともに、参入端末20jの所属機器情報の発行なしを示す情報、及び、他端末20iの所属機器情報を参入端末20jに送信する。これに対し、参入端末20jは、これらの情報を受信すると、これを送信した他端末20iの所属機器情報を記憶しておく。そして、参入端末20jは、所属機器情報が未設定な状態として、所定情報を通信設定とし、受信の間欠動作しながら応答情報を待つ。
【0072】
また、他端末20iの登録部26iは、参入端末20jの発行要求をネットワーク14経由で親機20aに送信(仲介)する。親機20aの発行部30iは、発行要求に応じて参入端末20jの所属機器情報を発行すると共に、これを参入端末20jの所定機器情報と対応付けて登録する。そして、発行部30iは、この所属機器情報に所属NT情報及び所属鍵情報を含めて発行応答として、発行要求を送信した他端末20iに送信する。他端末20iの登録部26iは、発行応答を受けて、所属機器情報、所属NT情報及び所属鍵情報を設定する応答情報を参入端末20jに送信(仲介)する。
【0073】
参入端末20jは、応答情報の送信元である他端末20iの所属機器情報と、発行要求の送信先である他端末20iの所属機器情報とを比較する。これらが異なっている場合、参入端末20jは応答情報を破棄し、応答情報の待ち状態を継続する。一方、これらが一致する場合、参入端末20jは、応答情報に応じて、これに含まれ各種情報を記憶して通信設定とすることにより、ネットワーク14に算入することができる(ステップS11:YES、S12)。これにより、ネットワーク14に算入する作業(設置登録作業)を複数の無線端末20により同時に行うことが可能になる。
【0074】
これに対し、ステップS11の処理において、参入端末20jの登録部26jが、ネットワーク14候補の他端末20iから所属機器情報を取得することができない場合(ステップS13:NO)、次の優先順位のネットワーク14候補の他端末20iに対して発行要求を送信する(ステップS10)。
【0075】
そして、参入端末20jは、全てのネットワーク14候補から所属機器情報を受信できない場合(ステップS11:NO、S13:YES)、全てのネットワーク14候補の他端末20iへの発行要求が所定回数(例えば、2回)に達していなければ(ステップS14:NO)、優先順位の高いネットワーク14候補から順に、発行要求を再度、送信する(ステップS10)。
【0076】
この発行要求の再送信を全ネットワーク14候補に対して所定回数、行っても(ステップS14:YES)、参入端末20jが所属機器情報を受信できない場合(ステップS11:NO)、参入可能なネットワーク14がないとする。そして、参入端末20jは、発行要求から経過時間が第5所定時間(例えば、10時間)に達するまで(ステップS15:NO)、自身に設定されている所定機器情報及び所定NT情報を通信設定とし、ビーコンを周期的に送信する。
【0077】
そして、発行要求から第5所定時間が経過すると(ステップS15:YES)、参入端末20jはステップS2の処理に戻り、これ以降の処理を実行する。これにより、ネットワーク14への自動参入処理が自動的に周期的に繰り返されることにより、ユーザがネットワーク14への参入するための作業を繰り返す必要がなく、作業性に優れている。また、近くに参入可能なネットワーク14が新たに構築されると、そのネットワーク14に参入端末20jは自動的に参入できる。
【0078】
また、参入端末20jが、ネットワーク14に参入できない状態であっても、メータ13からの検針情報を取得し、これを無線通信することができる。よって、参入端末20jは、検針情報を収集するためのハンディーターミナル用無線端末として利用することもできる。また、参入端末20jが、一旦参入した後で、ネットワーク14から離脱した状態になった時は、未参入状態になったことを識別可能にするため、所属情報を所定情報に戻してもよい。
【0079】
なお、上記構成では、判定部25jは、スキャン部23jにより選択された他端末20iのネットワーク14から、取得部24jにより取得された台数に基づいてネットワーク14候補を絞り込んだが、判定部25jは、スキャン部23jにより選択された他端末20iのネットワーク14をネットワーク14候補と判定してもよい。この場合、
図3のフローチャートにおいて、ステップS5~S9の処理を行わず、ステップS4の処理の後にステップS10の処理を行ってもよい。
【0080】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る無線端末20は、
図4に示すように、切替部31をさらに備えている。切替部31は、送受信部21により受信した切替要求、又は、操作部22の切替操作により入力された切替要求に応じて、ネットワーク14への参入方法(自動参入方法、手動参入方法)を切り替える。
【0081】
自動参入方法によりネットワーク14に参入した他端末20iでは、切替部31iは自動参入処理が有効に設定されている。一方、手動参入方法によりネットワーク14に参入した他端末20iでは、切替部31iは自動参入方法が無効に設定されている。このような自動参入方法が有効な他端末20i及び自動参入方法が無効な他端末20iの一方、又は、両方がネットワーク14に存在している場合がある。
【0082】
このネットワーク14において、子機20b(他端末20i)は、その切替部31iにより自動参入方法及び手動参入方法の何れに切り替えられている場合においても参入端末20jと親機20aとの間で情報の送受信を仲介する。また、親機20a(他端末20i)は、その切替部31iにより自動参入方法及び手動参入方法の何れに切り替えられている場合においても参入端末20jの発行要求に応じて、参入端末20jの所属機器情報を発行すると共に、これを含めた応答情報を参入端末20jに送信する。
【0083】
よって、参入端末20jの切替部31jにより自動参入方法が有効に設定されている場合、他端末20iにおいて自動参入方法が有効及び無効の何れであっても、子機20bが情報を仲介し、親機20aが所属機器情報を発行することができる。このため、
図3のフローチャートに示される参入端末20jの自動参入処理が実行され、ここで、参入端末20jの登録部26jは、自動参入方法により参入済みの他端末20i、又は、手動参入方法により参入済みの他端末20iに端末識別情報の発行を要求することができる。
【0084】
このように、他端末20iのネットワーク14への参入方法によらず、他端末20iは参入端末20jの自動参入処理に必要な情報を送受信することができる。よって、このような他端末20iとの送受信した情報に基づいて、参入端末20jはネットワーク14に自動的に参入することができる。
【0085】
一方、参入端末20jの切替部31jにより自動参入方法が無効に設定されている場合、ネットワーク14への参入処理がユーザによる手動で行われる。ユーザは、参入端末20jにおいて参入操作を操作部22jにより行うと同時に、参入させたいネットワーク14の他端末20iの操作部22iも操作する。これにより、操作部22iが操作された他端末20iが手動参入受付状態になり、手動参入による発行要求が参入端末20jの所定機器情報と共に送受信部21jを介して他端末20iに送信される。
【0086】
この他端末20iが親機20aである場合、参入端末20jは他端末20iと直接、参入処理を行う。他端末20iは、発行要求に応じて、自身のネットワーク14における所属機器情報を発行して、参入端末20jの所定機器情報を所属機器情報と対応付けて登録する。また、他端末20iは、所属機器情報とともに、その所属NT情報及び所属鍵情報を参入端末20jに送信する。
【0087】
そして、参入端末20jは他端末20iから情報を受信し、受信した所属機器情報、所属NT情報及び所属鍵情報を所属情報として記憶するとともに、これを通信設定として無線通信を行う。これにより、参入端末20jは親機20aのネットワーク14に参入することができる。
【0088】
また、他端末20iが子機20bである場合、参入端末20jは親機20aと間接的に参入処理を行う。他端末20iが参入端末20jからの発行要求を受信すると、自己の所属機器情報を参入端末20jに送信するとともに、発行要求を親機20aに送信する。
【0089】
親機20aは、他端末20iから発行要求を受信すると、所属機器情報を発行し、これを参入端末20jの所定機器情報と対応付けて登録する。また、親機20aは、所属機器情報とともに、所属NT情報及び所属鍵情報を送信する。他端末20iは、これを受けて参入端末20jに送信する。参入端末20jは他端末20iからの情報を記憶することにより、親機20aのネットワーク14に参入することができる。
【0090】
なお、ネットワーク14における無線端末20の台数が最大台数に達している等では、親機20aが所属機器情報を発行できない。この場合、その旨を示す発行不可情報を親機20aは参入端末20jに送信する。
【0091】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の無線端末は、ネットワークへの参入作業性の向上を図ることができる無線端末等として有用である。
【符号の説明】
【0093】
14 :ネットワーク
20 :無線端末
20a :親機(端末識別情報の発行機能付き無線端末)
20i :他端末
20j :参入端末
21 :送受信部
22 :操作部
23 :スキャン部
24 :取得部
25 :判定部
26 :登録部
30 :発行部
31 :切替部