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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】ロールオン容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20221028BHJP
   B65D 47/42 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
B65D83/00 J
B65D47/42 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018204637
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020070049
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-105027(JP,A)
【文献】特開2009-154884(JP,A)
【文献】特開2018-104054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 47/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液の収容空間を区画する胴部および底部、並びに上部に開口を区画する口部を有する容器本体と、前記口部に装着され、塗布ボールおよび該塗布ボールを保持する保持部材を有するロールオン式の塗布具と、を備えるロールオン容器であって、
前記胴部は、スクイズ変形可能に構成されるものであり、前記内容液は、前記ロールオン容器を振ることにより泡状化されるものであり、
前記塗布具を覆う蓋体および、該蓋体を着脱可能に保持し前記容器本体の前記口部に装着される装着体を有するキャップをさらに備え、
前記装着体は、前記塗布ボールを取り囲み該塗布ボールと前記保持部材との間から吐出された泡状の内容液を堰止める堰止め壁を有することを特徴とするロールオン容器。
【請求項2】
前記保持部材は、前記収容空間と連通し前記塗布ボールと前記保持部材との間に内容液を吐出する吐出孔を有し、
前記吐出孔の上流側に設けられ、前記ロールオン容器を振ることで泡状化した内容液を細泡化する細泡化部材をさらに備える、請求項1に記載のロールオン容器。
【請求項3】
前記蓋体は、ヒンジを介して前記装着体に開閉可能に連結されている、請求項1または2に記載のロールオン容器。
【請求項4】
前記キャップの開封位置を保持する開封位置保持機構を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のロールオン容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容液の収容空間を区画する胴部および底部、並びに上部に開口を区画する口部を有する容器本体と、前記口部に装着され、塗布ボールおよび該塗布ボールを保持する保持部材を有するロールオン式の塗布具と、を備えるロールオン容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のロールオン容器として、例えば特許文献1には、塗布ボールと、該塗布ボールを転動自在に保持する保持部材とを備え、容器を逆さにした状態で塗布ボールを塗布面に押し当て転動させることによって、塗布ボールに付着した内容液を塗布面に転写させて塗布するようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5595971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のロールオン容器では、内容液を塗布ボールと保持部材との間にまで導くために容器を傾ける必要があり、ロールオン容器を正立させた状態では内容液を吐出できない。そのため、内容液を例えば脇の下など下を向いた塗布面に塗布したい場合には、塗布面を上に向ける不自然な体勢をとらない限り内容液を塗布できず、使い方に制限があった。
【0005】
それ故本発明の目的は、正立姿勢での使用が可能であり、使い方の自由度が高いロールオン容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のロールオン容器は、内容液の収容空間を区画する胴部および底部、並びに上部に開口を区画する口部を有する容器本体と、前記口部に装着され、塗布ボールおよび該塗布ボールを保持する保持部材を有するロールオン式の塗布具と、を備えるロールオン容器であって、前記胴部は、スクイズ変形可能に構成されるものであり、前記内容液は、前記ロールオン容器を振ることにより泡状化されるものであり、前記塗布具を覆う蓋体および、該蓋体を着脱可能に保持し前記容器本体の前記口部に装着される装着体を有するキャップをさらに備え、前記装着体は、前記塗布ボールを取り囲み該塗布ボールと前記保持部材との間から吐出された泡状の内容液を堰止める堰止め壁を有する
【0007】
本発明の有利な態様のロールオン容器は、前記保持部材が前記収容空間と連通し前記塗布ボールと前記保持部材との間に内容液を吐出する吐出孔を有し、前記吐出孔の上流側に設けられ、前記ロールオン容器を振ることで泡状化した内容液を細泡化する細泡化部材をさらに備える。
【0009】
本発明の有利な態様のロールオン容器は、前記蓋体がヒンジを介して前記装着体に開閉可能に連結されている。
【0010】
本発明の有利な態様のロールオン容器は、前記キャップの開封位置を保持する開封位置保持機構を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明のロールオン容器によれば、ロールオン容器を傾倒させて塗布を行う通常の使用態様に加えて、ロールオン容器を正立させた状態でも容器本体の胴部をスクイズにより変形させることによって、予め例えば容器を振ることで泡状とした内容液を加圧して吐出することができ、つまり、例えば脇の下のように塗布面が下向きであり、ロールオン容器を傾けた状態での塗布が困難な場合には、ロールオン容器を例えば複数回振って内容液を泡状化した後、ロールオン容器の正立姿勢で塗布ボールを塗布面に押し当てた状態で容器本体の胴部をスクイズすることで、泡状化された内容液を加圧、吐出させることができる。
【0012】
従って、本発明によれば、正立姿勢での使用が可能であり、使い方の自由度が高いロールオン容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態のロールオン容器を示す断面図である。
図2図1のロールオン容器の一使用態様(傾倒使用態様)を示す断面図である。
図3図1のロールオン容器の他の使用態様(正立使用態様)を説明する断面図である。
図4図3の状態からロールオン容器の胴部をスクイズして内容液を吐出させる様子を示した断面図である。
図5】キャップの開封保持機構を備えた、本発明の他の実施形態のロールオン容器の断面図である。
図6】キャップの開封保持機構を備えた、本発明のさらに他の実施形態のロールオン容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここで図1は、本発明の一実施形態のロールオン容器を示す断面図である。
【0015】
このロールオン容器10は主として、容器本体20、ロールオン式の塗布具30およびキャップ40を備える。一例では、容器本体20、塗布具30およびキャップ40は各々合成樹脂材料から形成されるが、後述の塗布ボール31を金属製にする等、各部材の材質は限定されない。
【0016】
容器本体20は、内容液の収容空間Mを区画する胴部21および底部22、並びに上部に開口を区画する口部23を有する。内容液としては、ロールオン容器10を振ることで泡状化する液体であれば特に限定なく、例えば香水や液状の制汗剤、化粧水などが挙げられる。
【0017】
胴部21は筒状をなすとともに、スクイズ変形可能であり、つまり可撓性および形状復元性を有して使用者がその高さ方向中間部に押圧力を加えると内側に撓み変形し、押圧力を解除すると元の形状に復元する。
【0018】
口部23は容器本体20の上部に開口を区画するとともに塗布具30が装着される部位であり、その外周面には、キャップ40と螺合する雄ねじ23aが形成されている。雄ねじ23aに代えてアンダーカット部を形成し、キャップ40を口部23に嵌合、保持するようにしてもよい。
【0019】
塗布具30は、球状の塗布ボール31と、塗布ボール31を転動自在に保持する保持部材32とを備える。保持部材32は、塗布ボール31に沿って延在して該塗布ボール31を転動自在に抱持する逆さドーム形状の抱持壁32aと、抱持壁32aの外周面から下方(容器本体20側)に延出して容器本体20の口部23に形成されたアンダーカット部23bに係止される係止突起32b1を有する係止筒32bと、該口部23の内側で抱持壁32aから垂下する補強筒32cと、抱持壁32aの中央に形成された吐出孔32dと、吐出孔32dの周囲から下方に延出した内筒32eと、内筒32eと補強筒32cとの間を径方向に沿って連結する補強リブ32fとを有する。
【0020】
抱持壁32aの上面(塗布ボール31と対向する面)には、塗布ボール31を下から支持する環状の座部32a1が形成されている。塗布ボール31と抱持壁32aとの間には所定の隙間が形成されている。該隙間の寸法は、ロールオン容器10の傾倒姿勢で塗布を行う通常の傾倒使用態様と、後述のようにロールオン容器10を振って泡状化した内容液をロールオン容器10の正立姿勢で胴部21のスクイズによって吐出させる正立使用態様との両使用態様において、内容液の塗布を適切に行い得る大きさとするのが好ましい。また両使用態様において、内容液の塗布を適切に行い得るよう抱持壁32aの上面に座部32a1から例えば放射状に延びる図示しない溝(液流通路)を形成してもよい。
【0021】
好適な態様では、吐出孔32dの上流側(流入側)には、ロールオン容器10を振ることで泡状化した内容液を通過時に細泡化する細泡化部材50が設けられている。細泡化部材50は、例えば、メッシュやスポンジなど多孔質体を有し、図示例では、内筒32e内に嵌入された2つの円筒体51と、その端面に設けられた2枚のメッシュ52で構成されている。
【0022】
キャップ40は、塗布具30を覆う蓋体41と、該蓋体41を着脱可能に保持し容器本体20の口部23に装着(螺着)される装着体42とを有する。装着体42は筒状であり、容器本体20の口部23に好ましくは着脱自在に固定される固定壁42aと、固定壁42aの上方に形成され抱持壁32aの外面と液密に接するシール壁42bと、シール壁42bの上方に形成された堰止め壁42cとを有する。固定壁42aはアンダーカット嵌合によって容器本体20の口部23に固定してもよい(図示省略)。シール壁42bにより、装着体42と抱持壁32aとの間に第1のシール部が形成される。これにより、堰止め壁42cと塗布ボール31との間に堰止めされた内容液が装着体42と抱持壁32aとの間から外部に漏れ出るのを防止することができる。
【0023】
シール壁42bの内周面は、抱持壁32aの外面と接するよう固定壁42aの内周面よりも径方向内側に位置している。好適な態様では、シール壁42bの内周面には、キャップ40を着脱する際の摩擦を低減するとともに抱持壁32aとのシール性を高めるため環状ビード42b1が形成されている。図示例では、環状ビード42b1は上下に2本形成されているが、環状ビード42b1は少なくとも1本あればよく、3本以上設けてもよい。もしくは、環状ビード42b1を設けず、シール壁42bを抱持壁32aの外周面に面接触させてもよい。あるいは、同様の環状ビードを抱持壁32aの外周面に形成してもよい(図示省略)。
【0024】
堰止め壁42cは、塗布ボール31を取り囲むとともに抱持壁32aを超えるが塗布ボール31の最上位置よりは低い高さを有し、塗布ボール31と抱持壁32aとの間から吐出された泡状の内容液を堰止めるものである。好適な態様では、堰止め壁42cは、内周面に環状凸部42c1を有し、該環状凸部42c1は下面が装着体42の最終固定位置(図示例では、装着体42を口部23に対して最終位置までねじ込んだ状態)にて抱持壁32aの上端面に当接し、上面が上方に向かうに連れて拡径している。環状凸部42c1の下面が抱持壁32aの上端面に当接することで、装着体42と抱持壁32aとの間に第2のシール部が形成される。これにより、上述した第1のシール部によるシール効果と相俟って、堰止め壁42cと塗布ボール31との間に堰止めされた内容液が装着体42と抱持壁32aとの間から外部に漏れ出るのをより確実に防止することができる。また、環状凸部42c1の上面を上方に向かうに連れて拡径させることで、塗布ボール31との間に十分な堰止め容積を確保することができる。
【0025】
蓋体41は、頂壁41aと側周壁41bとを有しており、頂壁41aの下面には、蓋体41を閉じたときに塗布ボール31の上部を押圧する押えリング41a1が形成されている。蓋体41は、ヒンジ43を介して装着体42に開閉可能に連結されているが、装着体42とは別体として形成してもよい。
【0026】
上記構成を有する本実施形態のロールオン容器10は、傾倒姿勢で塗布を行う通常の傾倒使用態様と、正立姿勢で塗布を行う正立使用態様の2通りの使い方ができるものである。傾倒使用態様では、図2に示すようにキャップ40全体を取り外し、あるいは蓋体41のみを開放し、ロールオン容器10を傾けることで、内容液が吐出孔32dを通って塗布ボール31と抱持壁32aとの間に流出する。
【0027】
この状態から塗布ボール31を塗布面Fに押し当てながら転動させることで、塗布ボール31に付着した内容液を塗布面Fに転写させることができる。この際、容器本体20の胴部21をスクイズすることにより内容液を加圧し、塗布量を増大させることもできる。
【0028】
一方、例えば脇の下のように塗布面Fが下向きであり、ロールオン容器10を傾けた状態での塗布が困難な場合には、図3に示すように、蓋体41を閉じた状態でロールオン容器10を例えば複数回振って内容液を泡状化した後、図4に示すように蓋体41を開け、ロールオン容器10の正立姿勢で塗布ボール31を塗布面Fに押し当てた状態もしくは押し当てる前に容器本体20の胴部21をスクイズする。これにより泡状化された内容液は加圧されて吐出孔32dを通り、塗布ボール31と抱持壁32aとの間から吐出される。この際、容器本体20の胴部21をスクイズしながらあるいはスクイズ後に塗布ボール31を転動させることで、吐出された内容液を塗り広げてもよい。
【0029】
このように、本実施形態のロールオン容器10によれば、ロールオン容器10を傾倒させて塗布を行う通常の使用態様に加えて、ロールオン容器10を正立させた状態でも容器本体20の胴部21のスクイズにより内容液を泡状で吐出して塗布することができるので、使い方の自由度を高めることができる。
【0030】
また、吐出孔32dの上流側(流入側)に、ロールオン容器10を振ることで泡状化した内容液を細泡化する細泡化部材50を設けた有利な態様のロールオン容器10によれば、ロールオン容器10を振ることで発生した容器本体20内の泡をより良質な泡にして吐出させることができる。
【0031】
さらに、キャップ40の装着体42に、塗布ボール31を取り囲み、該塗布ボール31と抱持壁32aとの間から吐出された泡状の内容液を堰止める堰止め壁42cを設けた有利な態様によれば、塗布ボール31と堰止め壁42cとの間の貯留部に、胴部21のスクイズによって吐出された泡を保持し、ロールオン容器10の正立姿勢で塗布面Fへの塗布を行うことができるので、スクイズにより吐出した内容液が周囲に飛び散ることがなく、また塗布ボール31と堰止め壁42cとの間の貯留部に溜まった泡を塗布ボール31を転動させることで塗布面に塗り広げることができるので、より均一な塗布が可能になる。
【0032】
さらに、蓋体41をヒンジ43を介して装着体42に開閉可能に連結した有利な態様によれば、蓋体41の開閉操作が容易であるとともに、取り外した蓋体41の置き場に困るあるいは蓋体41を紛失するといった事態を回避することができる。
【0033】
次いで、図5および図6を参照し本発明の他の実施形態について説明する。図5および図6はそれぞれ、本発明の他の実施形態のロールオン容器を示す断面図である。なお、これらの実施形態では、キャップの形態のみが図1図4に示した実施形態のものと異なるので相違点を中心に説明し、同様の構成に対しては同じ符号を付して重複する説明は適宜省略する。
【0034】
図5および図6に示す実施形態のロールオン容器10’,10’’は、キャップ40’,40’’の開封位置保持機構を有するものであり、本実施形態のロールオン容器10’,10’’によれば、キャップ40’,40’’を装着し蓋体41を開放した状態で塗布を行う場合に蓋体41が邪魔にならないという利点がある。図5に示すキャップ40’では、蓋体41を頂壁41aが装着体42の外周面と略平行となる位置まで曲げ返すことができるよう蓋体41と装着体42とを連結するヒンジ43’の長さ寸法が長く設定されるとともに、開封位置保持機構として装着体42の外面および頂壁41aの上面に互いに着脱自在に嵌合する凸部42a1および凹部41a2が形成されている。なお、装着体42の外面に凹部を形成するとともに頂壁41aの上面に該凹部に嵌合する凸部を形成してもよい(図示省略)。
【0035】
図6に示すキャップ40’’では、開封位置保持機構として、装着体42の外面の背面側(ヒンジ43が形成された側)に凸部42dが形成されるとともに、キャップ40’’の側周壁41bの背面側(ヒンジ43が形成された側)に該凸部42dを乗り越えることで蓋体41の開放位置を保持する乗り越えリブ41b1を有している。
【0036】
なお、キャップ40の開封位置保持機構としては図示例に限定されず、例えば開放した蓋体41を容器本体20に固定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、正立姿勢での使用が可能であり、使い方の自由度が高いロールオン容器を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
10,10’,10’’ ロールオン容器
20 容器本体
21 胴部
22 底部
23 口部
30 塗布具
31 塗布ボール
32 保持部材
32a 抱持壁
32b 係止筒
32c 補強筒
32d 吐出孔
32e 内筒
32f 補強リブ
40 キャップ
41 蓋体
42 装着体
42a 固定壁
42b シール壁
42c 堰止め壁
42c1 環状凸部
43,43’ ヒンジ
50 細泡化部材
51 円筒体
52 メッシュ
M 収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6