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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20221028BHJP
   H05K 7/20 20060101ALN20221028BHJP
【FI】
H04M1/02 G
H05K7/20 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018214029
(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公開番号】P2020080525
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】西森 裕作
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽二朗
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-034991(JP,A)
【文献】特開平11-110084(JP,A)
【文献】特開平10-116137(JP,A)
【文献】特開2015-106736(JP,A)
【文献】特開2000-20171(JP,A)
【文献】特開2002-297266(JP,A)
【文献】特開2001-14067(JP,A)
【文献】特開2007-194872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02
H05K 7/00
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースに制御基板が内蔵されたインターホン機器であって、
前記本体ケースの前面に放熱用開口が開設されている一方、
前記本体ケース内に、前記制御基板の熱を前記制御基板から直接又は間接的に放熱する金属製の放熱板が設けられており、
さらに、前記放熱板の端部が前方へ折り曲げられ、当該端部の先端が、前記放熱用開口内に露出しているとともに、前記放熱用開口が、前記本体ケースの前面に貼着された絶縁シートにより覆われていることを特徴とするインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば玄関の壁面に設置されるインターホン子機等といったインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なインターホン機器には、他のインターホン機器との間での通話動作やカメラによる撮像動作等を制御するための制御基板が内蔵されている。したがって、インターホン機器には、制御基板から生じる熱を放熱するための放熱部材を設置した方が望ましく、たとえば特許文献1に記載されているようなインターホン機器が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-106736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターホン機器は、玄関や居室の壁面等に設置されることが多く、時には本体ケースが壁面内に埋設されることもある。したがって、本体ケースの背面や側面から熱を逃がしていたのでは、本体ケースの周囲で熱がこもってしまい、本体ケース内の温度上昇を期待通りに抑制できないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、本体ケース内の温度上昇を確実に抑制することができるインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、本体ケースに制御基板が内蔵されたインターホン機器であって、本体ケースの前面に放熱用開口が開設されている一方、本体ケース内に、制御基板の熱を制御基板から直接又は間接的に放熱する金属製の放熱板が設けられており、さらに、放熱板の端部が前方へ折り曲げられ、当該端部の先端が、放熱用開口内に露出しているとともに、放熱用開口が、本体ケースの前面に貼着された絶縁シートにより覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本体ケースの前面に放熱用開口を開設する一方、本体ケース内に、制御基板の熱を制御基板から直接又は間接的に放熱する金属製の放熱板を設け、さらに、放熱板の端部を前方へ折り曲げ、当該端部の先端を放熱用開口内に露出させている。そのため、制御基板から発生する熱を本体ケースの前方へ逃がすことができる。したがって、たとえ本体ケースが壁面内に埋設されるような場合であっても、本体ケースから逃がした熱が本体ケースの周囲でこもってしまうようなことがなく、本体ケース内の温度上昇を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】インターホン子機を前方から示した説明図である。
図2】インターホン子機を側方から示した説明図である。
図3】化粧パネルが取り外されたインターホン子機を前方から示した説明図である。
図4】分解状態にあるインターホン子機を前側から示した斜視説明図である。
図5】分解状態にあるインターホン子機を後側から示した斜視説明図である。
図6】呼出ボタン部分におけるインターホン子機の水平断面を下方から示した説明図である。
図7】放熱板部分におけるインターホン子機の水平断面を下方から示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン子機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、インターホン子機1を前方から示した説明図である。図2は、インターホン子機1を側方から示した説明図である。図3は、化粧パネル10が取り外されたインターホン子機1を前方から示した説明図である。図4は、分解状態にあるインターホン子機1を前側から示した斜視説明図である。図5は、分解状態にあるインターホン子機1を後側から示した斜視説明図である。図6は、呼出ボタン7部分におけるインターホン子機1の水平断面を下方から示した説明図である。図7は、放熱板41部分におけるインターホン子機1の水平断面を下方から示した説明図である。
【0011】
インターホン子機1は、前側に配置される前ケース2と、前ケース2の後面側に組み付けられる後ケース3とで構成される本体ケースを有している。この本体ケースの前面上部には、通話のためのマイク部6及びスピーカ部8が設けられている一方、前面右下部には、来訪者が居住者を呼び出す際に押し込み操作する呼出ボタン7が設けられている。そして、このようなインターホン子機1は、住戸の玄関の壁面等に設置されており、来訪者によって呼出ボタン7が押し込み操作されると、住戸内に設置されているインターホン親機(図示せず)を呼び出す。また、インターホン親機側で応答操作がされたことをもって、インターホン親機との間で通話可能となる。なお、10は、マイク部6やスピーカ部8、呼出ボタン7等を露出させつつ、本体ケースの前面を覆うように取り付けられる金属製の化粧パネルである。
【0012】
呼出ボタン7は、前面が操作面となる円板状の操作部11と、操作部11の中央から後方へ突設された操作突起12と、操作部11の外周縁から後方へ立設された周壁部13と、周壁部13の後端から径方向外側へ突設された鍔部14とを有する。一方、前ケース2の前面には、後方へ凹んだ凹部21が設けられており、当該凹部21内に、操作突起12を貫通させるための操作孔22が穿設されている。また、操作孔22の開口縁に沿って、前方へ突出する円筒部25が設けられている一方、円筒部25の周囲には、更に後方へ凹んだ収容部24が設けられており、該収容部24及び円筒部25を利用して、呼出ボタン7を初期位置側へ付勢しながら保持するコイルバネ23が取付可能となっている。加えて、操作部11及び周壁部13を挿通可能な挿通孔26を有する挟持板27が、凹部21を前方から覆うように前ケース2へ取付可能となっている。
【0013】
一方、前ケース2の後面には、後方へ突出するフランジ28が、操作孔22と同心円状で且つ操作孔22を囲むように周設されている。さらに、前ケース2の後面には、スイッチ29が搭載された基板30aやインターホン子機1の主たる動作(たとえばインターホン親機との間での通話動作等)を制御するメイン基板30b等の各種基板が前面に配置されてなる基板部材31が組み付け可能となっており、前ケース2への組み付け時に、スイッチ29が操作孔22の中心に露出するようになっている。そして、当該スイッチ29の箇所において、前ケース2と基板部材31との間に防水部材32を取り付けることになる。
【0014】
防水部材32は、ゴム(たとえばシリコンゴム)製の部材であって、内径がフランジ28位置での径と略同径とされた円筒状の本体33、本体33内に設けられる嵌入部34、及び本体33と嵌入部34とを連結する弾性部35を有する。嵌入部34は、前側から操作突起12が嵌入可能な有底円筒状(前側は開口され、後側は閉塞された円筒状)に成形され、本体33と同心円となるように、且つ、後端が本体33の後端よりも前方に位置するように配されている。弾性部35は、弾性変形自在な薄肉状とされており、本体33の内周面と嵌入部34の外周面との間を閉塞するように設けられている。
【0015】
上記防水部材32の取り付けに際しては、本体33内にフランジ28を位置させてフランジ28を外側から囲みつつ、前ケース2の内面(前ケース2の後面)に本体33の前端を当接させて、防水部材32を配置する。それから、前ケース2の後面側に基板部材31を組み付けることにより、前ケース2と基板部材31とにより前後から挟持される格好で、防水部材32を本体ケース内に取り付けることができる。そして、当該取付状態にあっては、本体33、嵌入部34、及び弾性部35によって、防水部材32よりも前側の空間と後側の空間とが完全に仕切られている。また、嵌入部34はスイッチ29の前方に位置しており、呼出ボタン7が押し込み操作されると、弾性部35が変形して嵌入部34が後側へ移動し、その後端でスイッチ29をON/OFF操作するようになっている。なお、呼出ボタン7に対する押し込み操作が解除されると、呼出ボタン7はコイルバネ23の弾性力によって押し込み操作前の初期位置へ復帰し、嵌入部34は弾性部35の弾性力によって押し込み操作前の位置へ復帰する。
【0016】
また、呼出ボタン7の取り付けについて説明すると、本体ケースを組み立てた後、前ケース2の前側から取り付けることができる。つまり、コイルバネ23を介在させつつ、操作孔22を介して嵌入部34内へ操作突起12を嵌入させる。その後、呼出ボタン7の前側から、挿通孔26内へ操作部11及び周壁部13を挿通させつつ挟持板27を前ケース2にネジ止めすれば、鍔部14が前ケース2の前面と挟持板27の後面とにより前後から挟持されて、呼出ボタン7の取り付けは完了となる。
【0017】
ここで、本発明の要部となるインターホン子機1における放熱構造について説明する。
前ケース2の後面には、マイク部6を構成するマイク15やスピーカ部8を構成するスピーカ16が取り付けられている。また、基板部材31の前ケース2への組み付けに伴い、メイン基板31bの表面は、前ケース2の前面と平行な姿勢となる。そして、マイク15及びスピーカ16と基板部材31との前後方向での隙間に、本体ケース内の熱を本体ケース外へ放熱するための放熱板41が取り付けられている。放熱板41は、左右方向へ長いアルミニウム製の金属板であって、左端部は前側へ折り曲げられている。そして、本体ケース内への取付状態において、その折り曲げ部の先端が、前ケース2の前面左端に開設されている放熱用開口42内に露出するようになっている。なお、放熱用開口42は、前ケース2の前面に貼着される絶縁シート(たとえばPET等)43により覆われる。また、44は、放熱板41と基板部材31(特にメイン基板30bの表面)との間に介在され、基板部材31で生じる熱を効率よく放熱板41に伝えるための伝熱シートである。
【0018】
以上のような構成を有するインターホン子機1によれば、前ケース2の前面に放熱用開口42を開設する一方、本体ケース内における基板部材31とスピーカ16との前後方向での隙間に、端部が前方へ折り曲げられてなるアルミニウム製の放熱板41を設けており、放熱板41の折り曲げられた端部の先端を、放熱用開口42内に露出させている。そのため、基板部材31から発生した熱を本体ケースの前面側に逃がすことができる。したがって、たとえ本体ケースが壁面内に埋設されるような場合であっても、本体ケースから逃がした熱が本体ケースの周囲でこもってしまうようなことがなく、本体ケース内の温度上昇を確実に抑制することができる。
【0019】
また、本体ケース内に、操作孔22を囲む円筒状の本体33と、本体33内に位置し、前側から操作突起12の先端が嵌入する有底筒状の嵌入部34と、弾性変形可能な薄肉状に成形され、本体33の内周面と嵌入部34の外周面との間を閉塞する弾性部35とを有するゴム製の防水部材32を、本体33の前端を前ケース2の内面に当接させた状態で設けている。そして、呼出ボタン7を押し込み操作すると嵌入部34が後方へ移動し、嵌入部34の後端によりスイッチ29が操作されるようにした。したがって、呼出ボタン7周りに関しては、本体33、嵌入部34、及び弾性部35によって、防水部材32よりも前側の空間と後側の空間とが完全に仕切られるため、従来よりも防水性に優れたインターホン子機1とすることができる。
【0020】
なお、本発明に係るインターホン機器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、インターホン機器の全体的な構成は勿論、防水部材に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0021】
たとえば上記実施形態では、防水部材の本体を円筒状としているが、角筒状に成形しても何ら問題はないし、1つの本体ケースに対して複数のボタン及び防水部材を設けてインターホン機器を構成することも当然可能である。
また、上記実施形態では、伝熱シートを介在させることで制御基板の熱を間接的に放熱板が放熱するような構成を採用しているが、制御基板に放熱板を当接させ、制御基板の熱を直接的に放熱板が放熱するような構成を採用することも可能である。
さらに、上記実施形態では前ケースと後ケースとを組み付けて本体ケースを構成しているが、3部材以上のケース部材を組み付けて本体ケースを構成しても何ら問題はない。
加えて、上記実施形態ではインターホン子機について説明しているが、たとえば居室内に設置されるインターホン親機等の他のインターホン機器であってもよい。
【符号の説明】
【0022】
1・・インターホン子機(インターホン機器)、2・・前ケース(本体ケース)、3・・後ケース(本体ケース)、7・・呼出ボタン、11・・操作部、12・・操作突起、22・・操作孔、29・・スイッチ、30b・・メイン基板(制御基板)、31・・基板部材、32・・防水部材、33・・本体、34・・嵌入部、35・・弾性部、41・・放熱板、42・・放熱用開口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7