(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】保護シート
(51)【国際特許分類】
E04G 21/30 20060101AFI20221028BHJP
【FI】
E04G21/30 Z
(21)【出願番号】P 2018228064
(22)【出願日】2018-12-05
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鴨木 理祥
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 真一
(72)【発明者】
【氏名】中尾 光輝
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-086081(JP,U)
【文献】実開昭52-062281(JP,U)
【文献】実開昭49-144634(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/24-21/32
B65D 65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板を加工して形成された製品の端部を覆う保護シートであって、
可撓性を有する矩形のシートと、
磁力を有する磁力シートと、を備え、
前記磁力シートは、
前記シートの一方の端部に固定され
、
前記シートは、
前記一方の端部に対向する他方の端部から、前記一方の端部に向かって切り込みが形成されている、保護シート。
【請求項2】
前記シートは、
前記切り込みを複数備える、請求項
1に記載の保護シート。
【請求項3】
前記切り込みは、
前記シートの幅の中央部に形成されている、請求項
1又は
2に記載の保護シート。
【請求項4】
前記シートは、
前記一方の端部から前記他方の端部に向かう方向が長手方向となる長方形状である、請求項1~
3の何れか1項に記載の保護シート。
【請求項5】
前記磁力シートは、
可撓性を有する、請求項1~
4の何れか1項に記載の保護シート。
【請求項6】
前記シートは、
透明の材料で構成されている、請求項1~
5の何れか1項に記載の保護シート。
【請求項7】
前記製品は、
帯状の鋼板を塑性加工して成形された床材である、請求項1~
6の何れか1項に記載の保護シート。
【請求項8】
前記シートは、
前記一方の端部に対向する他方の端部に錘が固定されている、請求項1~
7の何れか1項に記載の保護シート。
【請求項9】
前記錘は、
磁力を有する、請求項
8に記載の保護シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料を加工した製品の端部を覆う保護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属材料を加工した製品は、加工した工場の製品保管場等に載置される。製品は、出荷されるまで製品保管場に積み上げられ、順次搬出され、トラック等の運搬手段により建築現場等に出荷される。
【0003】
工場等の製品を加工する現場においては、同種の製品をまとめて製品保管場に安置されている。一方で、加工された製品が製品保管場に新たに搬入されたり、製品の出荷のため搬出されたり、頻繁に搬入及び搬出作業が行われる。
【0004】
金属材料を加工した製品は、例えば板金を塑性加工して折り曲げて成形されており、建築物の床材として用いられるデッキプレート等がある。このような製品は、例えば工場内に設置されたクレーンにより移動され、搬入及び搬出が行われる。その際に、作業者が製品保管場内を動き周り、多数配置されている製品の間を移動し、クレーンにより搬入された製品を降ろしたり、搬出のために玉掛け作業を行っている。
【0005】
デッキプレート金属材料を加工した製品は、平面視において、概ね矩形であり、角部に他の製品、工具が衝突すると、製品が変形してしまう場合がある。また、作業者が製品の角部に衝突した場合、負傷することも考えられる。特に、板状の金属材料を加工してできた製品の場合、製品の角部以外の切断面が鋭利になっている場合があり、人体が直接触れると切傷により出血する可能性もある。そのため、製品を安置している領域を作業者に容易に判別し易くするため、床に線を表示する等の手段により作業者に注意を促していた。
【0006】
または、特許文献1に開示されている保護安全シートによれば、建築部材に磁気力により保護安全シートを取り付けることにより、着脱が容易で必要な部分を覆い、建築部材の保護を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のように、床に線を表示する等の手段を講じた場合であっても、作業者は、搬入搬出作業をする必要があるため、製品を安置している領域に進入する必要がある。そのため、作業者が製品の角部に接触する機会を無くすのは不可能であるという課題があった。
【0009】
また、特許文献1に開示されている保護安全シートを用いた場合であっても、製品保管場に安置されている製品の量は常に変動する。そのため、複数積み上げられた製品の角部を常時保護するには、積み上げられた製品の高さに応じて複数種の保護安全シートを使い分ける必要があるという課題があった。
【0010】
本発明は上記課題を解決するものであって、製品の積み上げ高さが変動しても、製品の保護と作業者の保護とを図れる保護シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る保護シートは、鋼板を加工して形成された製品の端部を覆う保護シートであって、可撓性を有する矩形のシートと、磁力を有する磁力シートと、を備え、前記磁力シートは、前記シートの一方の端部に固定され、前記シートは、前記一方の端部に対向する他方の端部から、前記一方の端部に向かって切り込みが形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る保護シートによれば、可撓性を有するシートを磁力シートにより鋼製の製品に貼り付けられるため、保護シートを容易に製品の端部に取り付けることができる。また、保護シートは、磁力シートの磁力により製品に固定されるため、固定位置の移動も容易であり、さらにシートが可撓性を有するため、製品の積み上げ高さが変動しても、固定位置の移動が容易である。従って、保護シートは、着脱が容易で製品の必要な部分を覆うことができるため、製品の積み上げ高さが変動しても、製品及び作業者を保護することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る保護シート100の平面図及び側面図である。
【
図2】実施の形態1に係る保護シート100の使用例を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る保護シート100を取り付けた床材50を端面51側から見た図である。
【
図4】実施の形態1に係る保護シート100を取り付けた床材50を側方から見た図である。
【
図5】実施の形態1に係る保護シート100を取り付けた床材50の平面図である。
【
図6】実施の形態2に係る保護シート200を取り付けた床材50を端面51側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。各図は模式的に示すものであって、各部材の相対的な大きさや板厚等は図示する寸法に限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図において各部分に付された符号について、添え字(a、b等)を付していない場合は、添え字が付された符号を総称しているものとする。
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る保護シート100の平面図及び側面図である。
図1(a)は、保護シート100の平面図であり、
図1(b)は、保護シート100の側面図である。保護シート100は、工場、資材置き場、又は搬送トラックの荷台等に置かれる製品を保護するためのものである。
【0016】
例えば、製品は、鋼板を塑性加工により成形したものであり、帯状に連続した鋼帯をロール成形等の手段により成形され、所定の長さで切断されたものである。このような製品の端面は、切断面となっており、板面と切断面との間のエッジが鋭く、バリ、カエリ等が生じている場合がある。よって、製品の端面に人体が触れると切創の原因となったり、衣服等が触れた場合は、引っ掛かって破れることもある。
【0017】
製品は平面視において概ね矩形である場合が多いが、平面視において製品の角部に人が衝突すると負傷する場合がある。また、物が衝突した場合には物が破損する場合もあり、又は製品の角部が曲がる場合もある。保護シート100は、製品の端部を保護シート100により覆うことにより、人体が意図せずに保管している製品の端面及び角部に直接触れないようにし、かつ周囲の物が製品の端部に直接衝突するのを抑制するためのものである。
【0018】
図1に示される様に、保護シート100は、矩形のシート10と、シート10の一方の端部の表面に固定された磁力シート20と、を備える。シート10は、可撓性を有する透明の樹脂製のシートである。シート10は、例えば厚さが0.5mm~2mm程度のポリ塩化ビニルにより構成されている。しかし、シート10の厚さ及び材料はこれだけに限定されるものではなく、保護シート100に必要な強度、変形のし易さに応じ、適宜変更しても良い。
【0019】
シート10の一方の端部には磁力シート20が固定されている。磁力シート20は、矩形のシート10を平面視したときの表面に固定されている。磁力シート20とシート10とは、例えば両面粘着テープ、接着剤、ホチキスなどの固定手段により固定されている。
【0020】
磁力シート20は、可撓性を有するシート状であり、磁力を有する材質で形成されている。例えば、磁力シート20は、磁性を有する金属粉末を含む樹脂材料から構成されている。磁力シート20の磁力は、製品への吸着力及びシート10の重量に応じて適宜設定することができる。磁力は、保護シート100を製品に取り付けたときに、保護シート100が容易にずれないように設定すれば良い。
【0021】
シート10は、磁力シート20が固定されている一方の端部に対向する反対側の端部(以下、他方の端部と称する。)から切り込み13が形成されている。切り込み13は、シート10の幅方向の中央部にシート10の長手方向に沿って設けられており、磁力シート20が固定されている領域に達しない程度に設けられている。
【0022】
実施の形態1において、切り込み13は、シート10の幅方向の中央部に1箇所だけ設けられているが、複数設けられていても良い。
【0023】
(製品保管場における保護シート100の作用)
図2は、実施の形態1に係る保護シート100の使用例を示す斜視図である。
図2は、工場の製品保管場に置かれた製品である床材50の端部に保護シート100を取り付けた状態を示している。床材50は、例えば厚さ0.6mm~2.3mmの亜鉛めっき鋼板をロール成形により加工したものであり、所定の長さに切断されている。床材50の長手方向の寸法は、製品仕様に応じ適宜設定されている。また、床材50の端面51は、切断面になっており、板面と切断面との間のエッジが鋭く、バリ、カエリ等が生じている場合がある。また、床材50は平面視において矩形であり、平面視において製品の角部52に人が衝突すると負傷する場合がある。また、角部52又は端面51に衝突した物が破損する場合もある。さらには、重量が重く硬い物が衝突した場合には、製品の角部52が曲がる場合もある。
【0024】
図3は、実施の形態1に係る保護シート100を取り付けた床材50を端面51側から見た図である。
図4は、実施の形態1に係る保護シート100を取り付けた床材50を側方から見た図である。
図5は、実施の形態1に係る保護シート100を取り付けた床材50の平面図である。床材50は、積み重ねて保管されている。また、床材50を複数積み重ねて床材束5a~5dが形成されており、床材束5a~5dは、積み重ねて製品保管場等に保管されている。1番下にある床材束5dは、製品保管場の床面9の上に置かれた枕木4の上に載置されている。床材束5a~5dの間にもそれぞれ枕木4が配置されている。床材束5a~5dのそれぞれは、例えば同じ仕様又は同工区及び同施工場所(施工スラブ)毎に床材50がまとめられた束であり、通常、製品保管場から出荷されるにあたりまとめて搬出される。搬出は、製品保管場に設けられたクレーンにより行われる。そのため、搬出の際に、床材束5a~5dのそれぞれは、下側にワイヤーロープを通して玉掛け作業が行われる。枕木4は、玉掛け作業の際に床材束5a~5dの下側にワイヤーロープを通すための空間を確保するために置かれている。
【0025】
製品保管場において、床材束5a~5dに玉掛け作業を行うため、製品保管場を作業者70が通行する。製品保管場には、床材束5a~5dと同様に多くの製品が並べて保管されている。そのため、作業者70は、多数の製品が配置されている間を通り、搬出する製品のところまで歩行する。このとき、保護シート100が床材束5a~5dの端部に取り付けられていないと、作業者70は、床材束5a~5dの端面51に触れたり、場合によっては衝突する場合があり、最悪の場合、端面51の鋭利な部分により負傷する。
【0026】
図3及び
図5に示される様に、床材束5a~5dの端部に取り付けられている保護シート100の幅は、製品である床材50の幅よりも大きい。実施の形態1においては、床材50の幅は600mmになっており、これに対し、保護シート100の幅は、750mmに設定されている。そのため、床材50の端面51側から見たとき、又は平面視したときに、保護シート100は、床材50の角部52を覆い、作業者70が意図せずに角部52に触れることがない。また、保護シート100のシート10の右側部分11と左側部分12とは、床材50の端面51を全域に亘って覆っている。そのため、作業者70が端面51のエッジに意図せずに触れることがない。保護シート100が端部に掛けられていることにより、エッジに直接触れることがないため、作業者70の安全が図られる。なお、保護シート100の幅は、取り付けられる製品の幅に応じて適宜設定することができる。
【0027】
また、
図3及び
図5に示される様に、床材束5a~5dは、それぞれの1番上に配置されている床材50に伝票3が貼り付けられている。伝票3は、例えば出荷先、製品仕様が記載されている。そのため、作業者70は、製品保管場の通路を歩行し、製品保管場に置かれている製品を確認、出荷先の確認等を行う。伝票3は、作業者70が確認し易い位置に貼り付けられているのが望ましい。特に、床材50のように長手方向に長い製品を製品保管場に保管する場合は、通路側に床材50の端面51を向けて配置される。そのため、伝票3は、床材50の端部に貼り付けられている方が通路から視認しやすく、多くの床材50を管理するのに都合が良い。
図4に示される様に、作業者70は、床材50の端部が面している通路から伝票3を確認する。
【0028】
保護シート100は、床材50の端部を覆う様に床材50に取り付けられているが、シート10が透明な材質で形成されていることにより、床材50に貼り付けられている伝票3を視認しやすい。また、保護シート100のシート10は、中央部に切り込み13が形成されており、シート10の右側部分11と左側部分12とに分割されているため、シート10をめくって伝票3を確認するのも容易である。すなわち、作業者70は、保護シート100をめくり上げる際にシート10全体をめくり上げる必要はなく、実施の形態1においては、シート10の右側部分11だけを持ち上げてめくり上げれば良い。また、作業者70は、伝票3を剥がす場合等の伝票3に触れる必要があるときにおいても、シート10の切り込み13から手を差し入れて伝票3に触れることができる。以上のように、保護シート100は、作業者70の安全を図ると共に、伝票3を確認する、貼り付ける、又は剥がす等の作業を阻害することがない。
【0029】
また、
図3及び
図4に示される様に、保護シート100は、積み上げられた床材束5a~5dの上面に磁力シート20を貼り付け、シート10の下端が最も下にある床材束5dよりも下側に位置する様に固定される。このように保護シート100を製品に固定することにより、作業者70の安全が図られると共に床材50の端面51及び角部52の保護も図られる。また、磁力シート20は、貼り付け作業及び剥がす作業が容易である。従って、保護シート100のシート10の下端が適正な位置に来るように調整するのも容易である。また、床材束5aが搬出されたり、更に他の床材束が搬入されて、製品の積み上げ高さが変動した場合であっても、保護シート100は、磁力シート20の取り付け位置を調整して、シート10が確実に床材50の端面51及び角部52を覆う様に位置を調整することができる。即ち、保護シート100は、製品保管場のように常に製品の積み上げ高さが一定でないような状況であっても、確実に製品の端部を覆い、製品の保護と作業者70の保護とを図れる。
【0030】
実施の形態1においては、具体的には、製品の積み上げ高さが1200mm程度であるのに対し、保護シート100の長手方向の長さは、1400mmに設定されている。また、磁力シート20は、保護シート100の長手方向に沿った長さが200mmに設定されている。ただし、この保護シート100の各部の寸法は一例であり、この寸法に限定されるものではない。保護シート100の長手方向の長さは、製品の積み上げ高さ及び作業性に応じて適宜設定することができる。
【0031】
なお、以上においては、例えば工場等の製品保管場における保護シート100の使用について説明したが、保護シート100が使用される場所は、工場等の製品保管場だけに限定されるものではない。例えば、建築現場において製品を一時的に置いておく場合や、トラックなどの荷台に載置された状態においても使用することができ、保護シート100は、製品の保護及び作業者70の保護を図ることができる。
【0032】
(実施の形態1の効果)
実施の形態1に係る保護シート100は、鋼板を加工して形成された製品の端部を覆う保護シート100であって、可撓性を有する矩形のシート10と、磁力を有する磁力シート20と、を備える。磁力シート20は、シート10の表面に固定され、シート10の一方の端部に固定されている。
この構成を備えることにより、保護シート100は、シート10が製品の端部の形状に追従して覆い、磁力シート20を製品に貼り付けて固定できるため、着脱容易であり、置いてある製品の端部を容易な作業で覆うことができる。また、製品に磁力シート20を貼り付ける位置を固定することにより、保護シート100の位置を調整することができるため、製品の積み上げ高さが変動しても適正な位置に保護シート100を配置することができる。従って、製品を保管する際において、確実に作業者70の保護と製品の端部の保護とを図ることができる。
【0033】
また、シート10は、他方の端部から一方の端部に向かって切り込み13が形成されている。さらには、切り込み13は、シート10の長手方向に沿って形成され、シート10の幅の中央部に形成されている。
この構成を備えることにより、保護シート100は、シート10が分割されているため、シート10を製品の端部の形状に沿わせ易い。仮にシート10が分割されていない場合、シート10は矩形の1枚のシートであるため、単純な形状(例えば、立方体等)の端部を覆うことができる。しかし、例えば実施の形態1の床材50の様に凹凸形状を有する複雑な形状の製品の端部を覆う場合、部分的にシート10が浮き上がり、床材50の角部52が上下の全域に亘って覆えないことが考えられる。シート10が分割されている場合、例えば実施の形態1に係る保護シート100においては、切り込み13で右側部分11と左側部分12との距離が可変であるため、右側部分11と左側部分12とが製品の形状に追従しやすい。特に、床材50の様に複数の凸部53を備えるような製品の場合、磁力シート20がその形状に沿って貼り付けられるため、シート10も歪みが生じる。しかし、切り込み13により右側部分11と左側部分12とが左右に開き、床材50の2つの角部52に追従して覆うことができる。従って、作業者70の保護と製品の端部の保護とを図ることができる。
また、シート10が切り込み13により右側部分11と左側部分12とに分割され別々にめくり上げることができるため、作業者70がシート10をめくり上げる作業も容易で、製品に貼り付けられている伝票3に触れるのも容易になり、作業性が向上する。
【0034】
また、シート10は、切り込み13を複数備えても良い。
この構成を備えることにより、例えば、幅の広い製品又は上面の凹凸が床材50よりも更に多く複雑な形状を備える製品等においても、複数の切り込み13により、分割されたシート10の各部分は、配置の自由度が高く、製品の端部の形状に追従し易い。
【0035】
また、シート10は、一方の端部から他方の端部に向かう方向が長手方向となる長方形状である。
この構成を備えることにより、保護シート100は、特に製品が保管されている状態において平面視で一方に長く、長手方向に対して幅方向寸法が小さい製品の端部を覆うのに適している。即ち、製品の積み上げ高さが変動した場合において、保護シート100は、製品の長手方向に沿って保護シート100を貼り付ける位置を移動させて磁力シート20を製品に固定することができる。貼り付け位置を移動することにより、保護シート100は、シート10を適正な長さで製品の端部から吊り下げ、製品の端部を確実に覆うことができる。
【0036】
また、磁力シート20は、可撓性を有する。
この構成を備えることにより、保護シート100は、製品の上面が複雑な形状を有していても磁力シート20が追従し、製品に確実に貼り付けることができる。
【0037】
また、シート10は、透明の材料で構成されている。この構成を備えることにより、保護シート100が覆った製品の端部を外部から視認し易くなり、製品の管理等において有利である。なお、シート10は、透明で内部の視認性が高い方が望ましいが、半透明、または光が透過しない材料を使用しても良い。
【0038】
製品は、帯状の鋼板を塑性加工して成形された床材50である。保護シート100は、建築物に適用される床材50等の一方に長く幅寸法が小さい形状の製品の端部を保護する場合に都合が良い。床材50は、例えば製品保管場において長手方向を揃えて置かれる。床材50は、多くの製品を適用される建築物に応じて長さが変わるため、製品保管場において多くの製品の搬入搬出管理をする際に、製品の出荷先や仕様を表示する伝票3が付されて置かれている。床材50は、長手方向の端部を通路側に向けて、端部を通路に沿って並べて配置されている。その端部に伝票3に付することにより、多数の床材50の伝票3を確認する効率が向上する。保護シート100は、その通路に沿って並べられた床材50の端部を覆い保護するため、作業者70の保護と製品の端部の保護とを図ると共に伝票3の確認作業を阻害することがないという利点がある。
【0039】
実施の形態2.
実施の形態2に係る保護シート200は、実施の形態1の保護シート100のシート10の端部に錘8を追加したものである。なお、以下の実施の形態においては、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。
【0040】
図6は、実施の形態2に係る保護シート200を取り付けた床材50を端面51側から見た図である。保護シート200は、シート10の磁力シート20が固定されている側の端部とは反対側の端部に錘8が取り付けられている。錘8は、シート10の右側部分11及び左側部分12のそれぞれに設けられている。そして、錘8は、シート10の角部に固定されている。ただし、錘8を設置する位置はこれだけに限定されるものではない。例えば、シート10の右側部分11及び左側部分12の下端部において、幅方向の全域に設けたり、幅方向に複数設けても良い。
【0041】
(実施の形態2の効果)
保護シート200は、錘8を備えることにより、保護シート200が床材50に取り付けられている状態において、シート10の端部が床面9側により確実に位置するようになる。つまり、例えば製品保管場において風が生じた場合においても、シート10の端部が浮き上がるのを抑えることができるため、保護シート200は、製品の端部をより確実に覆うことができる。また、作業者70がシート10に触れたときに容易にシート10が移動しにくいため、作業者70が意図せずにシート10を移動させて床材50の端面51又は角部52に接触するのを抑制することができる。
【0042】
なお、錘8は、磁力を有していても良い。このように構成されることにより、錘8を床材束5a~5dのうち最も床面9側に位置する床材束5dの下面に貼り付けることもできる。即ち、保護シート200は、長手方向の両端において磁力により固定される。そのため、保護シート200により製品の端部を覆った状態を維持したい場合に都合が良い。また、錘8の形状、設ける位置、大きさ、及び数量は、適宜変更しても良い。
【0043】
以上に本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態の構成のみに限定されるものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。また、いわゆる当業者が必要に応じてなす種々なる変更、応用、利用の範囲をも本発明の要旨(技術的範囲)に含むことを念のため申し添える。
【符号の説明】
【0044】
3 伝票、4 枕木、5a 床材束、5b 床材束、5c 床材束、5d 床材束、8 錘、9 床面、10 シート、11 右側部分、12 左側部分、13 切り込み、20 磁力シート、50 床材、51 端面、52 角部、53 凸部、70 作業者、100 保護シート、200 保護シート。