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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20221028BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
B25J19/06
H01L21/68 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018239061
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2019209473
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2018108015
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】王 玉竹
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 隆之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏治
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-241484(JP,A)
【文献】国際公開第2017/081792(WO,A1)
【文献】特開昭63-034092(JP,A)
【文献】特開2017-024096(JP,A)
【文献】中国実用新案第206445827(CN,U)
【文献】特開平02-224988(JP,A)
【文献】特開2012-228753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
H01L 21/67 - 21/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、
前記搬送対象物が搭載されるハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるとともに前記ハンドが一定方向を向いた状態で略直線的に移動するように水平方向へ伸縮可能なアームと、前記アームの基端側が回動可能に連結されるアーム支持部と、上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように前記アーム支持部を支持する基台と、前記アームを伸縮させるアーム駆動用モータと、前記基台に対して前記アーム支持部を回動させる回動用モータと、前記回動用モータの回転量を検知するためのエンコーダとを備えるとともに、
前記搬送対象物が収容される収容部に向かって前記ハンドが略直線的に移動するように前記アームが伸縮するときの、前記基台に対する前記アーム支持部の回動方向における前記アーム支持部の位置をアーム伸縮許容位置とすると、
前記アーム伸縮許容位置に前記アーム支持部があることを検知するための検知機構を備え、
前記検知機構は、前記アーム支持部および前記基台のいずれか一方に取り付けられるセンサと、前記アーム支持部および前記基台のいずれか他方に取り付けられるとともに前記センサによって検知される検知部材とを備えることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記検知機構は、前記基台に対する前記アーム支持部の回動方向に配列される複数の前記センサと、1個の前記検知部材とを備えることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記検知機構は、前記基台に対する前記アーム支持部の回動中心に対して90°ピッチで配置される4個の前記センサまたは4個の前記検知部材を備えることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記アーム駆動用モータおよび前記回動用モータを制御する制御部を備え、
前記制御部には、前記エンコーダおよび前記センサが電気的に接続され、
前記制御部は、前記アーム伸縮許容位置に向かって回動する前記アーム支持部の、前記エンコーダの検知結果に基づいて特定される位置が、前記エンコーダの検知結果に基づいて特定される前記アーム伸縮許容位置に到達する前に、前記アーム駆動用モータを起動して前記アームの伸縮動作を開始し、その後、前記アーム伸縮許容位置に向かって回動する前記アーム支持部の、前記エンコーダの検知結果に基づいて特定される位置が、前記エンコーダの検知結果に基づいて特定される前記アーム伸縮許容位置に到達したにもかかわらず、前記検知機構によって前記アーム伸縮許容位置に前記アーム支持部があることが検知されない場合に、前記アーム駆動用モータを停止させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の産業用ロボット。
【請求項5】
前記センサは、前記アーム支持部が前記アーム伸縮許容位置に到達すると、オフからオンに切り替わって検知信号を出力することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の産業用ロボット。
【請求項6】
前記センサは、発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサであり、
前記検知部材は、前記発光素子と前記受光素子との間を遮るための遮光部を備え、
前記センサは、前記遮光部が前記発光素子と前記受光素子との間を遮っているときに、前記アーム支持部が前記アーム伸縮許容位置にあることを検知して、前記検知信号を出力することを特徴とする請求項5記載の産業用ロボット。
【請求項7】
前記センサは、発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサであり、
前記検知部材は、前記発光素子と前記受光素子との間を遮るための遮光部を備え、
前記遮光部は、前記アーム支持部が前記アーム伸縮許容位置に到達すると、前記発光素子と前記受光素子との間を遮り、
上下方向から見たときに、前記基台に対する前記アーム支持部の回動方向における前記遮光部の端面の延長線である仮想延長線は、前記基台に対する前記アーム支持部の回動中心を通過していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の搬送対象物を搬送する産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ用のガラス基板を搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、ガラス基板が搭載されるハンドと、ハンドが先端側に連結されるアームと、アームを支持する本体部と、本体部を水平方向に移動可能に支持するベース部材とを備えている。アームは、第1アーム部と第2アーム部との2個のアーム部によって構成されており、ハンドが一定方向を向いた状態で略直線的に移動するように水平方向へ伸縮可能となっている。
【0003】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、本体部は、アームの基端側を支持するアーム支持部材と、アーム支持部材が固定されるとともに昇降可能な昇降部材と、昇降部材を上下方向に移動可能に支持する柱状部材と、本体部の下端部分を構成するとともにベース部材に対して水平移動可能な基台と、柱状部材の下端が固定されるとともに基台に対して回動可能な旋回部材とを備えている。
【0004】
また、特許文献1に記載の産業用ロボットは、アームを伸縮させるアーム駆動用モータと、柱状部材に対して昇降部材を昇降させる昇降用モータと、上下方向を回動の軸方向として基台に対して旋回部材を回動させる回動用モータと、ベース部材に対して基台を水平移動させるための水平移動用モータとを備えている。特許文献1に記載の産業用ロボットは、アームの伸縮動作と、アーム等の昇降動作、回動動作および水平移動動作との組合せによって、ハンドに搭載されたガラス基板を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-188940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
産業用ロボットによって搬送されるガラス基板は年々大型化しており、ガラス基板の大型化に伴って産業用ロボットも大型化している。特許文献1に記載の産業用ロボットが大型化する場合、たとえば、基台に対して旋回部材が所定の位置まで回動していない状態でアームが伸縮して、産業用ロボットの周辺の構造物等にハンドが衝突すると、従来よりも大きな被害が生じるおそれが高くなる。一方で、特許文献1に記載の産業用ロボットでは、回動用モータの回転量を検知するためのエンコーダの検知結果に基づいて、回転用モータが制御されているため、通常、基台に対して旋回部材が所定の位置まで回動していない状態でアームが伸縮することはない。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の産業用ロボットにおいて、エンコーダに何らかの不具合が生じたり、回動用モータから旋回部材までの動力の伝達経路に何らかの不具合が生じたりすると、基台に対して旋回部材が所定の位置まで回動していない状態でアームが伸縮して、ハンドが周辺の構造物等に衝突するおそれがある。そのため、特許文献1に記載の産業用ロボットが大型化すると、従来よりも大きな被害が生じるおそれはある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、所定の搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、アームが伸縮する際にハンドが周辺の構造物等に衝突するおそれを低減することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、所定の搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるとともにハンドが一定方向を向いた状態で略直線的に移動するように水平方向へ伸縮可能なアームと、アームの基端側が回動可能に連結されるアーム支持部と、上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となるようにアーム支持部を支持する基台と、アームを伸縮させるアーム駆動用モータと、基台に対してアーム支持部を回動させる回動用モータと、回動用モータの回転量を検知するためのエンコーダとを備えるとともに、搬送対象物が収容される収容部に向かってハンドが略直線的に移動するようにアームが伸縮するときの、基台に対するアーム支持部の回動方向におけるアーム支持部の位置をアーム伸縮許容位置とすると、アーム伸縮許容位置にアーム支持部があることを検知するための検知機構を備え、検知機構は、アーム支持部および基台のいずれか一方に取り付けられるセンサと、アーム支持部および基台のいずれか他方に取り付けられるとともにセンサによって検知される検知部材とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が収容される収容部に向かってハンドが略直線的に移動するようにアームが伸縮するときの、基台に対するアーム支持部の回動方向におけるアーム支持部の位置であるアーム伸縮許容位置にアーム支持部があることを検知するための検知機構を備えている。また、本発明では、検知機構は、アーム支持部および基台のいずれか一方に取り付けられるセンサと、アーム支持部および基台のいずれか他方に取り付けられるとともにセンサによって検知される検知部材とを備えており、実際に動作を行うアーム支持部にセンサまたは検知部材が取り付けられている。
【0011】
そのため、本発明では、検知機構の検知結果に基づいて、アーム伸縮許容位置にアーム支持部が配置されているのか否かを直接的に検知することが可能になる。したがって、本発明では、エンコーダに何らかの不具合が生じたり、回動用モータからアーム支持部までの動力の伝達経路に何らかの不具合が生じたりしても、検知機構によってアーム伸縮許容位置にアーム支持部があることが検知されていない場合にアームの伸縮動作を止めることで、ハンドが周辺の構造物等に衝突するのを防止することが可能になる。その結果、本発明では、アームが伸縮する際にハンドが周辺の構造物等に衝突するおそれを低減することが可能になる。
【0012】
本発明において、検知機構は、基台に対するアーム支持部の回動方向に配列される複数のセンサと、1個の検知部材とを備えることが好ましい。検知機構が、基台に対するアーム支持部の回動方向に配列される複数の検知部材と1個のセンサとを備えている場合には、エンコーダの検知結果を参酌しないと、基台に対するアーム支持部の回動方向におけるアーム支持部の位置を検知機構で検知することはできないが、このように構成すると、エンコーダの検知結果を参酌しなくても、基台に対するアーム支持部の回動方向におけるアーム支持部の概略位置を検知機構で検知することが可能になる。
【0013】
本発明において、検知機構は、たとえば、基台に対するアーム支持部の回動中心に対して90°ピッチで配置される4個のセンサまたは4個の検知部材を備えている。
【0014】
本発明において、産業用ロボットは、アーム駆動用モータおよび回動用モータを制御する制御部を備え、制御部には、エンコーダおよびセンサが電気的に接続され、制御部は、アーム伸縮許容位置に向かって回動するアーム支持部の、エンコーダの検知結果に基づいて特定される位置が、エンコーダの検知結果に基づいて特定されるアーム伸縮許容位置に到達する前に、アーム駆動用モータを起動してアームの伸縮動作を開始し、その後、アーム伸縮許容位置に向かって回動するアーム支持部の、エンコーダの検知結果に基づいて特定される位置が、エンコーダの検知結果に基づいて特定されるアーム伸縮許容位置に到達したにもかかわらず、検知機構によってアーム伸縮許容位置にアーム支持部があることが検知されない場合に、アーム駆動用モータを停止させることが好ましい。
【0015】
このように構成すると、制御部は、アーム伸縮許容位置に向かって回動するアーム支持部の、エンコーダの検知結果に基づいて特定される位置が、エンコーダの検知結果に基づいて特定されるアーム伸縮許容位置に到達する前に、アーム駆動用モータを起動してアームの伸縮動作を開始しているため、産業用ロボットのサイクルタイムを短縮することが可能になる。また、このように構成すると、制御部は、アーム駆動用モータを起動してアームの伸縮動作を開始した後、アーム伸縮許容位置に向かって回動するアーム支持部の、エンコーダの検知結果に基づいて特定される位置が、エンコーダの検知結果に基づいて特定されるアーム伸縮許容位置に到達したにもかかわらず、検知機構によってアーム伸縮許容位置にアーム支持部があることが検知されない場合に、アーム駆動用モータを停止させているため、アーム伸縮許容位置にアーム支持部が配置されていない状態でアームが伸縮してハンドが周辺の構造物等に衝突するのを防止することが可能になる。すなわち、このように構成すると、産業用ロボットのサイクルタイムを短縮しつつ、アームが伸縮する際にハンドが周辺の構造物等に衝突するおそれを低減することが可能になる。
【0016】
本発明において、センサは、アーム支持部がアーム伸縮許容位置に到達すると、オフからオンに切り替わって検知信号を出力することが好ましい。この場合には、たとえば、センサは、発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサであり、検知部材は、発光素子と受光素子との間を遮るための遮光部を備え、センサは、遮光部が発光素子と受光素子との間を遮っているときに、アーム支持部がアーム伸縮許容位置にあることを検知して、検知信号を出力する。
【0017】
このように構成すると、たとえば、センサに不具合が生じてセンサが検知信号を出力しなくなったとしても、アームの伸縮動作に伴ってハンドが周辺の構造物等に衝突するのを防止することが可能になる。すなわち、アーム支持部がアーム伸縮許容位置に到達したときに、センサがオンからオフに切り替わって検知信号の出力を停止する場合(すなわち、センサは、アーム支持部がアーム伸縮許容位置から外れた位置にあるときには検知信号を出力するが、アーム支持部がアーム伸縮許容位置にあるときには検知信号を出力しない場合)には、センサに不具合が生じてセンサが検知信号を出力しなくなると、アーム支持部がアーム伸縮許容位置から外れた位置にあるにもかかわらず、アーム支持部がアーム伸縮許容位置にあると判断されるおそれがある。そのため、この場合には、アーム支持部がアーム伸縮許容位置から外れた位置にあるにもかかわらず、アームが伸縮して、ハンドが周辺の構造物等に衝突するおそれがある。
【0018】
これに対して、アーム支持部がアーム伸縮許容位置に到達したときにセンサがオフからオンに切り替わって検知信号を出力する場合(すなわち、センサは、アーム支持部がアーム伸縮許容位置にあるときには検知信号を出力するが、アーム支持部がアーム伸縮許容位置から外れた位置にあるときには検知信号を出力しない場合)には、センサに不具合が生じてセンサが検知信号を出力しなくなっても、アーム支持部がアーム伸縮許容位置から外れた位置にあるときに、アーム支持部がアーム伸縮許容位置にあると判断されることはない。したがって、たとえば、センサに不具合が生じてセンサが検知信号を出力しなくなったとしても、アームの伸縮動作に伴ってハンドが周辺の構造物等に衝突するのを防止することが可能になる。
【0019】
本発明において、センサは、発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサであり、検知部材は、発光素子と受光素子との間を遮るための遮光部を備え、遮光部は、アーム支持部がアーム伸縮許容位置に到達すると、発光素子と受光素子との間を遮り、上下方向から見たときに、基台に対するアーム支持部の回動方向における遮光部の端面の延長線である仮想延長線は、基台に対するアーム支持部の回動中心を通過していることが好ましい。
【0020】
このように構成すると、アーム支持部がアーム伸縮許容位置に到達して発光素子と受光素子との間を遮光部が遮り始める瞬間に、基台に対するアーム支持部の回動方向において発光素子および受光素子の光軸が配置された位置に、基台に対するアーム支持部の回動方向における遮光部の端面の全体が到達する。したがって、アーム支持部がアーム伸縮許容位置に到達する際に、遮光部による発光素子と受光素子との間の遮光状態のばらつきを抑制することが可能になる。その結果、アーム支持部がアーム伸縮許容位置にあるのか否かを精度良く検知することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の産業用ロボットでは、アームが伸縮する際にハンドが周辺の構造物等に衝突するおそれを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
図2図1に示す産業用ロボットの側面図である。
図3図1に示す産業用ロボットが組み込まれるガラス基板の製造システムの概略平面図である。
図4図2に示す基台とアーム支持部との連結部の構成を説明するための断面図である。
図5図1に示す産業用ロボットの制御部に接続されるアーム駆動用モータおよび回動用モータ等を示すブロック図である。
図6】(A)は、図4のE-E方向から基台の構成を説明するための平面図であり、(B)は、図4のF-F方向から旋回フレームの構成を説明するための底面図である。
図7図4のG部の拡大図である。
図8】(A)は、図6に示す検知部材の構成を説明するための平面図であり、(B)は、アーム支持部がアーム伸縮許容位置に到達して検知部材の遮光部が発光素子と受光素子との間を遮る瞬間の状態を説明するための平面図である。
図9図1に示す産業用ロボットの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
(産業用ロボットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。図2は、図1に示す産業用ロボット1の側面図である。図3は、図1に示す産業用ロボット1が組み込まれるガラス基板の製造システム12の概略平面図である。図4は、図2に示す基台9とアーム支持部24との連結部の構成を説明するための断面図である。図5は、図1に示す産業用ロボット1の制御部30に接続されるモータ19、22、25、28等を示すブロック図である。
【0025】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である液晶ディスプレイのガラス基板2(以下、「基板2」とする。)を搬送する水平多関節型ロボットである。ロボット1は、基板2が搭載される2個のハンド3と、2個のハンド3のそれぞれが先端側に連結される2本のアーム4と、2本のアーム4を支持する本体部5と、本体部5を水平方向に移動可能に支持するベース部材6とを備えている。本体部5は、アーム4の基端側を支持するとともに昇降可能なアームサポート7と、アームサポート7を昇降可能に支持する支持フレーム8と、本体部5の下端部分を構成するとともにベース部材6に対して水平移動可能な基台9と、支持フレーム8の下端が固定されるとともに基台9に対して回動可能な旋回フレーム10とを備えている
【0026】
図3に示すように、ロボット1は、たとえば、ガラス基板の製造システム12に組み込まれて使用される。製造システム12は、たとえば、基板2に対して所定の処理を行う4個の基板処理装置13と、処理前または処理後の基板2が収容される2個の基板収容装置14とを備えている。ロボット1は、基板処理装置13への基板2の搬入および基板処理装置13からの基板2の搬出を行うとともに、基板収容装置14への基板2の搬入および基板収容装置14からの基板2の搬出の少なくともいずれか一方を行う。本形態の基板処理装置13および基板収容装置14は、搬送対象物である基板2が収容される収容部である。
【0027】
2個の基板収容装置14は、ベース部材6に対する本体部5の移動方向であるX方向(図3参照)において、ロボット1を挟むように配置されている。4個の基板処理装置13のうちの2個の基板処理装置13は、X方向と上下方向とに直交するY方向(図3参照)において、ロボット1の一方側に配置され、残りの2個の基板処理装置13は、Y方向において、ロボット1の他方側に配置されている。Y方向においてロボット1の一方側に配置される2個の基板処理装置13は、X方向で隣接配置され、Y方向においてロボット1の他方側に配置される2個の基板処理装置13は、X方向で隣接配置されている。
【0028】
アーム4は、第1アーム部17と第2アーム部18との2個のアーム部によって構成されている。第1アーム部17の基端側は、アームサポート7に回動可能に連結されている。第1アーム部17の先端側には、第2アーム部18の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部18の先端側には、ハンド3が回動可能に連結されている。アーム4は、ハンド3が一定方向を向いた状態で略直線的に移動するように水平方向へ伸縮可能となっている。
【0029】
具体的には、アーム4は、ハンド3が一定方向を向いた状態で、かつ、ハンド3とアーム4との連結部分が略直線的に移動するように水平方向へ伸縮可能となっている。また、アーム4は、基板処理装置13に対する基板2の搬送を行うときには、ハンド3が一定方向を向いた状態でY方向に略直線的に移動するように伸縮し、基板収容装置14に対する基板2の搬送を行うときには、ハンド3が一定方向を向いた状態でX方向に略直線的に移動するように伸縮する。すなわち、上下方向から見たときに、基板処理装置13に対する基板2の搬送を行うときのハンド3の移動方向と、基板収容装置14に対する基板2の搬送を行うときのハンド3の移動方向とが直交している。
【0030】
ロボット1は、アーム4を駆動するアーム駆動機構を備えている。具体的には、ロボット1は、2本のアーム4を個別に駆動する2個のアーム駆動機構を備えている。アーム駆動機構は、アーム4を伸縮させるアーム駆動用モータとしてのモータ19と、モータ19の動力を減速して伝達する減速機と、モータ19の回転量を検知するためのエンコーダとを備えている。モータ19は、サーボモータである。モータ19は、エンコーダの検知結果に基づいて制御される。
【0031】
支持フレーム8は、アームサポート7を介してハンド3およびアーム4を昇降可能に保持している。支持フレーム8は、アームサポート7を昇降可能に保持する柱状の第1支持フレーム20と、第1支持フレーム20を昇降可能に保持する柱状の第2支持フレーム21とを備えている。ロボット1は、第1支持フレーム20に対してアームサポート7を昇降させるとともに第2支持フレーム21に対して第1支持フレーム20を昇降させる昇降機構と、第1支持フレーム20を上下方向に案内するガイド機構と、アームサポート7を上下方向へ案内するガイド機構とを備えている。
【0032】
昇降機構は、アームサポート7を昇降させるとともに第1支持フレーム20を昇降させるモータ22と、モータ22の動力を減速して伝達する減速機と、モータ22の回転量を検知するためのエンコーダとを備えている。モータ22は、サーボモータである。モータ22は、エンコーダの検知結果に基づいて制御される。なお、ロボット1は、第1支持フレーム20に対してアームサポート7を昇降させる昇降機構と、第2支持フレーム21に対して第1支持フレーム20を昇降させる昇降機構とを個別に備えていても良い。
【0033】
旋回フレーム10は、上下方向の厚さが薄い扁平な略直方体状に形成されている。また、旋回フレーム10は、細長い略直方体状に形成されている。旋回フレーム10の先端側の上面には、第2支持フレーム21の下端部が固定されている。旋回フレーム10の基端側は、上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように基台9に支持されている。旋回フレーム10は、基台9よりも上側に配置されている。本形態では、アームサポート7と支持フレーム8と旋回フレーム10とによって、アーム4の基端側が回動可能に連結されるアーム支持部24が構成されており、基台9は、上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となるようにアーム支持部24を支持している。
【0034】
ロボット1は、旋回フレーム10を回動させる回動機構を備えている。すなわち、ロボット1は、アーム支持部24を回動させる回動機構を備えている。回動機構は、基台9に対してアーム支持部24を回動させる回動用モータとしてのモータ25と、モータ25の動力を減速して伝達する減速機26と、モータ25の回転量を検知するためのエンコーダ27とを備えている。モータ25は、サーボモータである。モータ25は、エンコーダ27の検知結果に基づいて制御される。
【0035】
モータ25は、中空状に形成される旋回フレーム10の内部の基端側に配置されている。減速機26は、基台9と旋回フレーム10とを連結する関節部を構成している。減速機26は、中心に貫通穴が形成された中空減速機である。減速機26のケース体は、旋回フレーム10の基端部に固定されている。減速機26の出力軸は、基台9に固定されている。減速機26の入力軸には、モータ25の動力が伝達される。
【0036】
また、ロボット1は、ベース部材6に対して基台9を水平移動させる水平移動機構と、基台9を水平方向へ案内するガイド機構とを備えている。水平移動機構は、基台9を水平移動させるモータ28と、モータ28の動力を減速して伝達する減速機と、モータ28の回転量を検知するためのエンコーダとを備えている。モータ28は、サーボモータである。モータ28は、エンコーダの検知結果に基づいて制御される。
【0037】
図5に示すように、ロボット1の制御部30には、モータ19、22、25、28が電気的に接続されている。また、制御部30には、エンコーダ27が電気的に接続されている。また、制御部30には、モータ19、22、28の回転量を検知するためのエンコーダが電気的に接続されている。制御部30は、モータ19、22、25、28の駆動回路を備えている。また、制御部30は、ROMやRAM等の記憶回路およびCPU等の演算回路等を備えており、モータ19、22、25、28を制御する。ロボット1は、アーム4の伸縮動作と、アーム4等の昇降動作、回動動作および水平移動動作との組合せによって、基板処理装置13または基板収容装置14に対する基板2の搬送を行う。
【0038】
(検知機構の構成)
図6(A)は、図4のE-E方向から基台9の構成を説明するための平面図であり、図6(B)は、図4のF-F方向から旋回フレーム10の構成を説明するための底面図である。図7は、図4のG部の拡大図である。図8(A)は、図6に示す検知部材35の構成を説明するための平面図であり、図8(B)は、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置に到達して検知部材35の遮光部35aが発光素子40と受光素子41との間を遮る瞬間の状態を説明するための平面図である。
【0039】
基板処理装置13または基板収容装置14に向かってハンド3が略直線的に移動するようにアーム4が伸縮するときの、基台9に対するアーム支持部24の回動方向(すなわち、基台9に対する旋回フレーム10の回動方向)におけるアーム支持部24の位置をアーム伸縮許容位置とすると、ロボット1は、アーム伸縮許容位置にアーム支持部24があることを検知するための検知機構33を備えている。すなわち、ロボット1は、製造システム12において、アーム4の伸縮を許容するアーム伸縮許容位置にアーム支持部24があることを検知するための検知機構33を備えている。
【0040】
上述のように、上下方向から見たときに、基板処理装置13に対する基板2の搬送を行うときのハンド3の移動方向と、基板収容装置14に対する基板2の搬送を行うときのハンド3の移動方向とが直交しており、かつ、ロボット1のX方向の両側に基板収容装置14が配置されるとともに、ロボット1のY方向の両側に基板処理装置13が配置されているため、本形態では、基台9に対するアーム支持部24の回動方向において等間隔で4箇所にアーム伸縮許容位置がある。
【0041】
検知機構33は、基台9に取り付けられるセンサ34と、アーム支持部24に取り付けられるとともにセンサ34によって検知される検知部材35とを備えている。本形態の検知機構33は、4個のセンサ34と1個の検知部材35とを備えている。4個のセンサ34は、制御部30に電気的に接続されている。センサ34は、所定の固定部材36を介して基台9の中心部の上面に固定されている。検知部材35は、旋回フレーム10の基端部の下面に固定されている。
【0042】
センサ34は、発光素子40と受光素子41とを有する透過型の光学式センサである。上下方向から見たときに、発光素子40の光軸Lと受光素子41の光軸Lとは一致している。センサ34は、発光素子40から受光素子41に向かう光が遮られると、オフからオンに切り替わって検知信号を出力する。すなわち、センサ34は、いわゆるA接点センサである。4個のセンサ34は、基台9に対するアーム支持部24の回動方向に配列されている。
【0043】
上述のように、基台9に対するアーム支持部24の回動方向において等間隔で4箇所にアーム伸縮許容位置があるため、4個のセンサ34は、図6(A)に示すように、基台9に対するアーム支持部24の回動中心C1に対して90°ピッチで配置されている。すなわち、4個のセンサ34は、減速機26の軸心に対して90°ピッチで配置されている。また、光軸Lは、基台9に対するアーム支持部24の回動方向におけるセンサ34の中心部に配置されている(図8参照)。
【0044】
検知部材35は、薄鋼板を所定形状に折り曲げることで形成されている。たとえば、検知部材35は、薄いステンレス鋼板を所定形状に折り曲げることで形成されている。検知部材35は、センサ34の発光素子40と受光素子41との間を遮るための遮光部35aを備えている。遮光部35aは、基台9に対するアーム支持部24の回動方向において所定の幅を有する略四角形の平板状に形成されている。
【0045】
遮光部35aは、基台9に対するアーム支持部24の回動方向における遮光部35aの幅が回動中心C1に向かうにしたがって次第に狭くなる略台形状に形成されている。本形態では、図6(B)および図8(A)に示すように、上下方向から見たときに、基台9に対するアーム支持部24の回動方向における遮光部35aの一方の端面35bの延長線である仮想延長線VL1と、基台9に対するアーム支持部24の回動方向における遮光部35aの他方の端面35cの延長線である仮想延長線VL2とは、回動中心C1で交わっている。すなわち、上下方向から見たときに、仮想延長線VL1、VL2は、回動中心C1を通過している。上下方向から見たときに、回動中心C1に対して端面35bと端面35cとがなす角度θ(すなわち、仮想延長線VL1と仮想延長線VL2とがなす角度θ)は、たとえば、6°となっている。
【0046】
4個のセンサ34のうちの1個のセンサ34の発光素子40と受光素子41との間が遮光部35aによって遮られると、4箇所のアーム伸縮許容位置のうちの1箇所のアーム伸縮許容位置にアーム支持部24があることが検知される。すなわち、遮光部35aは、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置に到達すると、発光素子40と受光素子41との間を遮り、センサ34は、遮光部35aが発光素子40と受光素子41との間を遮っているときに、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置にあることを検知する。
【0047】
また、センサ34は、遮光部35aが発光素子40と受光素子41との間を遮っているときに検知信号を出力する。すなわち、センサ34は、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置に到達して、遮光部35aが発光素子40と受光素子41との間を遮ると、オフからオンに切り替わって検知信号を出力する。すなわち、センサ34は、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置にあるとき(遮光部35aが発光素子40と受光素子41との間を遮っているとき)には検知信号を出力するが、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置から外れた位置にあるとき(遮光部35aが発光素子40と受光素子41との間から外れているとき)には検知信号を出力しない。
【0048】
アーム支持部24がアーム伸縮許容位置に配置されている状態で(すなわち、遮光部35aが発光素子40と受光素子41との間を遮っている状態で)、アーム4が伸縮すると、基板処理装置13または基板収容装置14に向かってハンド3が略直線的に移動する。なお、ロボット1は、基台9に対するアーム支持部24の回動方向におけるアーム支持部24の原点位置(すなわち、旋回フレーム10の原点位置)を検知するための原点センサ38を備えている(図4参照)。原点センサ38は、旋回フレーム10の基端部の下面側に固定されている。原点センサ38は、たとえば、近接センサである。基台9の上面側には、原点センサ38によって検知される検知部材(図示省略)が固定されている。なお、図6(B)では、原点センサ38の図示を省略している。
【0049】
(産業用ロボットの動作)
図9は、図1に示す産業用ロボット1の動作を説明するための図である。
【0050】
上述のように、ロボット1は、アーム4の伸縮動作と、アーム4等の昇降動作、回動動作および水平移動動作との組合せによって、基板処理装置13または基板収容装置14に対する基板2の搬送を行う。また、上述のように、ロボット1は、モータ25の回転量を検知するためのエンコーダ27を備えており、エンコーダ27の検知結果に基づいて、基台9に対するアーム支持部24の回動方向におけるアーム支持部24の位置を特定することが可能になっている。
【0051】
本形態では、基板処理装置13または基板収容装置14に対して基板2の搬送を行うときに、制御部30は、アーム伸縮許容位置に向かって回動するアーム支持部24の、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定される位置が、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定されるアーム伸縮許容位置に到達する前に、モータ19を起動してアーム4の伸縮動作を開始する(図9の回動用モータの速度曲線およびアーム駆動用モータの速度曲線参照)。すなわち、本形態では、アーム伸縮許容位置にアーム支持部24が配置されていることが検知機構33によって検知される前(センサ34がオフからオンに切り替わる前(すなわち、センサ34の発光素子40と受光素子41との間が遮光部35aに遮られる前))に、制御部30は、モータ19を起動してアーム4の伸縮動作を開始する。
【0052】
また、アーム4の伸縮動作を開始した後、アーム伸縮許容位置に向かって回動するアーム支持部24の、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定される位置が、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定されるアーム伸縮許容位置に到達したときに、検知機構33によってアーム伸縮許容位置にアーム支持部24があることが検知されると(センサ34がオフからオンに切り替わると)、制御部30は、モータ19を継続して駆動し、アーム4の伸縮動作を継続する(図9の実線で示すアーム駆動用モータの速度曲線参照)。
【0053】
一方、アーム4の伸縮動作を開始した後、アーム伸縮許容位置に向かって回動するアーム支持部24の、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定される位置が、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定されるアーム伸縮許容位置に到達したにもかかわらず、検知機構33によってアーム伸縮許容位置にアーム支持部24があることが検知されない場合には(図9の二点鎖線で示すように、センサ34がオフからオンに切り替わらない場合には)、制御部30は、モータ19を停止させる(図9の二点鎖線で示すアーム駆動用モータの速度曲線参照)。また、制御部30は、モータ19を停止させた後、たとえば、モータ19を逆方向に回転させてハンド3を所定の位置まで戻す。
【0054】
なお、本形態では、上述のように、回動中心C1に対して端面35bと端面35cとがなす角度θが、たとえば、6°となっているため、アーム4の伸縮動作を開始した後、アーム伸縮許容位置に向かって回動するアーム支持部24の、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定される位置が、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定される設計上のアーム伸縮許容位置に対して、±3°の範囲内にあるときに、検知機構33によってアーム伸縮許容位置にアーム支持部24があることが検知されないと、制御部30は、モータ19を停止させる。
【0055】
すなわち、アーム4の伸縮動作を開始した後、アーム伸縮許容位置に向かって回動するアーム支持部24の、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定される位置が、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定される設計上のアーム伸縮許容位置に対して±3°の範囲内にあるときに、検知機構33によってアーム伸縮許容位置にアーム支持部24があることが検知されると、制御部30は、モータ19を継続して駆動する。
【0056】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ロボット1は、基板処理装置13または基板収容装置14に向かってハンド3が略直線的に移動するようにアーム4が伸縮するときの、基台9に対するアーム支持部24の回動方向におけるアーム支持部24の位置であるアーム伸縮許容位置にアーム支持部24があることを検知するための検知機構33を備えている。また、本形態では、検知機構33は、基台9に取り付けられるセンサ34と、アーム支持部24に取り付けられる検知部材35とを備えており、実際に動作を行うアーム支持部24に検知部材35が取り付けられている。
【0057】
そのため、本形態では、検知機構33の検知結果に基づいて、アーム伸縮許容位置にアーム支持部24が配置されているのか否かを直接的に検知することが可能になる。また、本形態では、アーム4の伸縮動作を開始した後、アーム伸縮許容位置に向かって回動するアーム支持部24の、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定される位置が、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定されるアーム伸縮許容位置に到達したにもかかわらず、検知機構33によってアーム伸縮許容位置にアーム支持部24があることが検知されない場合に、制御部30は、モータ19を停止させている。
【0058】
したがって、本形態では、エンコーダ27に何らかの不具合が生じたり、モータ25からアーム支持部24までの動力の伝達経路に配置される減速機26等に何らかの不具合が生じたりしても、アーム4が伸縮する際にハンド3が周辺の構造物等に衝突するのを防止することが可能になる。その結果、本形態では、アーム4が伸縮する際にハンド3が周辺の構造物等に衝突するおそれを低減することが可能になる。
【0059】
また、本形態では、基板処理装置13または基板収容装置14に対して基板2の搬送を行うときに、制御部30は、アーム伸縮許容位置に向かって回動するアーム支持部24の、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定される位置が、エンコーダ27の検知結果に基づいて特定されるアーム伸縮許容位置に到達する前に、モータ19を起動してアーム4の伸縮動作を開始している。そのため、本形態では、ロボット1のサイクルタイムを短縮することが可能になる。したがって、本形態では、ロボット1のサイクルタイムを短縮しつつ、アーム4が伸縮する際にハンド3が周辺の構造物等に衝突するおそれを低減することが可能になる。
【0060】
本形態では、検知機構33は、基台9に対するアーム支持部24の回動方向に配列される4個のセンサ34を備えている。そのため、本形態では、エンコーダ27の検知結果を参酌しなくても、基台9に対するアーム支持部24の回動方向におけるアーム支持部24の概略位置を検知機構33で検知することが可能になる。なお、検知機構33が、基台9に対するアーム支持部24の回動方向に配列される4個の検知部材35と1個のセンサ34とを備えている場合には、エンコーダ27の検知結果を参酌しないと、基台9に対するアーム支持部24の回動方向におけるアーム支持部24の位置を検知機構33で検知することはできない。
【0061】
本形態では、センサ34は、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置に到達すると、オフからオンに切り替わって検知信号を出力している。そのため、本形態では、たとえば、センサ34に不具合が生じてセンサ34が検知信号を出力しなくなったとしても、アーム4の伸縮動作に伴ってハンド3が周辺の構造物等に衝突するのを防止することが可能になる。
【0062】
すなわち、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置に到達したときに、センサ34がオンからオフに切り替わって検知信号の出力を停止する場合(すなわち、センサ34は、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置から外れた位置にあるときには検知信号を出力するが、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置にあるときには検知信号を出力しない場合)には、センサ34に不具合が生じてセンサ34が検知信号を出力しなくなると、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置から外れた位置にあるにもかかわらず、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置にあると判断されるおそれがある。そのため、この場合には、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置から外れた位置にあるにもかかわらず、アーム4が伸縮して、ハンド3が周辺の構造物等に衝突するおそれがある。
【0063】
これに対して、本形態のように、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置に到達したときにセンサ34がオフからオンに切り替わって検知信号を出力する場合(すなわち、センサ34は、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置にあるときには検知信号を出力するが、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置から外れた位置にあるときには検知信号を出力しない場合)には、センサ34に不具合が生じてセンサ34が検知信号を出力しなくなっても、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置から外れた位置にあるときに、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置にあると判断されることはない。したがって、本形態では、たとえば、センサ34に不具合が生じてセンサ34が検知信号を出力しなくなったとしても、アーム4の伸縮動作に伴ってハンド3が周辺の構造物等に衝突するのを防止することが可能になる。
【0064】
本形態では、上下方向から見たときに、遮光部35aの端面35b、35cの仮想延長線VL1、VL2は、回動中心C1を通過している。そのため、本形態では、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置に到達して発光素子40と受光素子41との間を遮光部35aが遮り始める瞬間に、基台9に対するアーム支持部24の回動方向において、発光素子40および受光素子41の光軸Lが配置された位置に、遮光部35aの端面35b、35cの全体が到達する。
【0065】
たとえば、図8(B)に示すように、発光素子40と受光素子41との間を遮光部35aが遮り始める瞬間に、基台9に対するアーム支持部24の回動方向において、発光素子40および受光素子41の光軸Lが配置された位置に、遮光部35aの端面35cの全体が到達する。したがって、本形態では、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置に到達する際に、遮光部35aによる発光素子40と受光素子41との間の遮光状態のばらつきを抑制することが可能になる。その結果、本形態では、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置にあるのか否かを精度良く検知することが可能になる。
【0066】
なお、たとえば、上下方向から見たときに、端面35cの仮想延長線が回動中心C1を通過しないように端面35cが形成されている場合(図8(B)の二点鎖線参照)には、発光素子40と受光素子41との間を遮光部35aが遮り始める前に、基台9に対するアーム支持部24の回動方向において、発光素子40および受光素子41の光軸Lが配置された位置に、遮光部35aの端面35cの一部が到達する。そのため、この場合には、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置に到達する際に、遮光部35aによる発光素子40と受光素子41との間の遮光状態がばらつきやすくなる。
【0067】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0068】
上述した形態において、4個のセンサ34がアーム支持部24に取り付けられ、1個の検知部材35が基台9に取り付けられていても良い。また、上述した形態において、1個のセンサ34が基台9に取り付けられ、4個の検知部材35がアーム支持部24に取り付けられても良いし、4個の検知部材35が基台9に取り付けられ、1個のセンサ34がアーム支持部24に取り付けられても良い。この場合には、4個の検知部材35は、基台9に対するアーム支持部24の回動方向に配列されるとともに、基台9に対するアーム支持部24の回動中心C1に対して90°ピッチで配置される。
【0069】
上述した形態において、ロボット1のX方向の一方側のみに基板収容装置14が配置され、かつ、ロボット1のY方向の一方側のみに基板処理装置13が配置されているのであれば、検知機構33が有するセンサ34の数は2個であっても良い。この場合には、上下方向から見たときに、2個のセンサ34のうちの一方のセンサ34と基台9に対するアーム支持部24の回動中心C1とを結ぶ線と、他方のセンサ34と基台9に対するアーム支持部24の回動中心C1とを結ぶ線とがなす角度は90°となっている。
【0070】
また、上述した形態において、ロボット1のX方向の一方側のみに基板収容装置14が配置されているのであれば、あるいは、ロボット1のY方向の一方側のみに基板処理装置13が配置されているのであれば、検知機構33が有するセンサ34の数は3個であっても良い。また、基板処理装置13および基板収容装置14の配置や、基板処理装置13の数に応じて、検知機構33は、5個以上のセンサ34を備えていても良い。また、基板処理装置13および基板収容装置14の配置や、基板処理装置13の数に応じて、90°方向以外の任意の角度に複数のセンサ34が配置されていても良い。たとえば、検知機構33が有するセンサ34の数が4個である場合に、アーム支持部24の回動中心C1に対して4個のセンサ34がなす角度が90°以外の角度となっていても良い。
【0071】
上述した形態において、センサ34は、発光素子40から射出された光を受光素子41が受光すると、オフからオンに切り替わって検知信号を出力しても良い。すなわち、センサ34は、発光素子40から受光素子41に向かう光が遮られると、オンからオフに切り替わって検知信号の出力を停止しても良い。この場合には、たとえば、検知部材35の遮光部35aは、円環状に形成されるとともに、遮光部35aには、回動中心C1を曲率中心とする円弧状の貫通穴が形成されており、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置にあるときに、発光素子40から受光素子41に向かう光は、遮光部35aに形成された貫通穴を通過する。この場合には、上述した形態と同様に、センサ34は、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置に到達したときに、オフからオンに切り替わって検知信号を出力する。
【0072】
また、発光素子40から射出された光を受光素子41が受光すると、センサ34がオフからオンに切り替わって検知信号を出力する場合には、センサ34は、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置から外れた位置に到達したときに、オフからオンに切り替わって検知信号を出力しても良い。すなわち、上述した形態において、センサ34は、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置から外れた位置にあるときには検知信号を出力するが、アーム支持部24がアーム伸縮許容位置にあるときには検知信号を出力しなくても良い。
【0073】
上述した形態において、上下方向から見たときに、遮光部35aの端面35b、35cの仮想延長線VL1、VL2が回動中心C1を通過しないように端面35b、35cが形成されていても良い。また、上述した形態において、制御部30は、アーム伸縮許容位置にアーム支持部24が配置されていることを検知機構33が検知した後に、モータ19を起動してアーム4の伸縮動作を開始しても良い。また、上述した形態において、センサ34は、反射型の光学式センサであっても良いし、光学式以外のセンサであっても良い。たとえば、センサ34は、近接センサであっても良い。
【0074】
上述した形態では、本体部5は、水平方向へ移動可能となっているが、本体部5は、固定されていても良い。また、上述した形態では、アーム4は、第1アーム部17と第2アーム部18との2個のアーム部によって構成されているが、アーム4は、3個以上のアーム部によって構成されても良い。また、上述した形態において、ロボット1は、基板2以外の搬送対象物を搬送するロボットであっても良い。
【符号の説明】
【0075】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 基板(ガラス基板、搬送対象物)
3 ハンド
4 アーム
9 基台
13 基板処理装置(収容部)
14 基板収容装置(収容部)
19 モータ(アーム駆動用モータ)
24 アーム支持部
25 モータ(回動用モータ)
27 エンコーダ
30 制御部
33 検知機構
34 センサ
35 検知部材
35a 遮光部
35b、35c 端面
40 発光素子
41 受光素子
C1 基台に対するアーム支持部の回動中心
VL1、VL2 仮想延長線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9