IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東光東芝メーターシステムズ株式会社の特許一覧 ▶ 東京瓦斯株式会社の特許一覧 ▶ 大阪瓦斯株式会社の特許一覧 ▶ 東邦瓦斯株式会社の特許一覧 ▶ パナソニック株式会社の特許一覧 ▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-無線ネットワークシステム 図1
  • 特許-無線ネットワークシステム 図2
  • 特許-無線ネットワークシステム 図3
  • 特許-無線ネットワークシステム 図4
  • 特許-無線ネットワークシステム 図5
  • 特許-無線ネットワークシステム 図6
  • 特許-無線ネットワークシステム 図7
  • 特許-無線ネットワークシステム 図8
  • 特許-無線ネットワークシステム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】無線ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/26 20090101AFI20221028BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20221028BHJP
   H04W 84/22 20090101ALI20221028BHJP
【FI】
H04W8/26 110
H04W84/18 110
H04W84/22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019027469
(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公開番号】P2020136887
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚利
(72)【発明者】
【氏名】小野 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】田井 貴久
(72)【発明者】
【氏名】横山 睦人
(72)【発明者】
【氏名】土屋 創太
(72)【発明者】
【氏名】安元 啓人
(72)【発明者】
【氏名】田村 至
(72)【発明者】
【氏名】安井 昌広
(72)【発明者】
【氏名】坂野 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】福島 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】猪子 照恵
(72)【発明者】
【氏名】山下 真純
(72)【発明者】
【氏名】畠内 孝明
(72)【発明者】
【氏名】星野 充紀
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-092540(JP,A)
【文献】特開2005-064848(JP,A)
【文献】特表2008-522507(JP,A)
【文献】特開2004-274750(JP,A)
【文献】特開2017-92643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線子機間を電波で中継して前記各無線子機からのデータを無線親機に集約するマルチホップ方式のネットワークを備え、該ネットワーク内の前記各無線子機を無線機番号により前記無線親機で識別して管理し且つ該無線親機により新規の無線子機への無線機番号の割り付けを行うようにした無線ネットワークシステムにおいて、前記各無線子機が無線機番号の重複を検知する判定手段を実装し、無線機番号の重複を検知した際に当該無線子機自身が再起動して新たな無線機番号を取得し直すように構成されていることを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項2】
各無線子機は、ネットワークへの新規参入時に行う初回のホップ数テーブルの交換で自身の情報を含む通常のホップ数テーブルを周囲の無線子機に送信し、それに対する応答に自身の無線機番号が含まれている場合に判定手段により無線機番号の重複を検知するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項3】
各無線子機は、ネットワークへの新規参入時に行う初回のホップ数テーブルの交換前に自身の情報を含まない空のホップ数テーブルを周囲の無線子機に送信し、それに対する応答に自身の無線機番号が含まれている場合に判定手段により無線機番号の重複を検知するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項4】
各無線子機は、ネットワークへの新規参入時に行う初回のホップ数テーブルの交換後に無線親機からの自らに宛てた広域端末更新通知が所定時間内に受信できない場合に判定手段により無線機番号の重複を検知するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス等の使用量のデータはメータにより記録され、検針員が地域を巡回してメータからデータを回収するようにしていたが、近年においては、メータに記録されたデータを通信回線を介しセンタに回収するようにした自動検針システムが普及してきている。
【0003】
斯かる自動検針システムを実現するにあたり、各使用先のメータを有線で個別に通信回線と接続したのでは費用面での負担が大きいため、各メータに無線子機を接続して該各無線子機間を電波で中継し、バケツリレーのようにデータを伝送するマルチホップ方式のネットワークが用いられており、このマルチホップ方式のネットワークにより広い通信範囲をカバーしつつ無線親機にデータを集約し、該無線親機に有線接続された広域端末からPHS(Personal Handy-phone System)やLTE(Long Term Evolution)等の広域通信回線を介しセンタのホストコンピュータへデータを伝送するようにしている。
【0004】
このようなマルチホップ方式のネットワークでは、該ネットワーク内の各無線子機が無線機番号により無線親機で識別されて管理されるようになっており、元々は集合住宅向けの自動検針システムとして考えられていたため、集合住宅の新規建築時にまとめて各無線子機に手動操作で無線機番号を割り付けるようにしていた。
【0005】
このような利便性の高い自動検針システムは、一般の戸建て住居にも広がりをみせているが、特定のエリア内の戸建て住戸に対し自動検針システムを一斉に導入するのは困難で、各住居毎にネットワークへの参入時期が異なってしまうため、無線親機に新規の無線子機に対し無線機番号を自動的に割り付ける番号発行機能を持たせ、前記無線親機により前記各無線子機への無線機番号の割り付けを行うようにしている。
【0006】
尚、この種の自動検針システムに関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-218569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、自動検針システムの冗長化(システム内部に相似したサブシステムを常に並列稼動させておくことで一方に障害が生じても他方が稼動してシステムダウンを回避する対策)や、無線親機の寿命による交換を行う場合等において、同一ネットワーク内に無線親機が複数台存在していると、異なる無線子機について同じ無線機番号が発行されてしまう可能性があり、このような無線機番号の重複が生じた場合に通信が正常に行えなくなる懸念がある。
【0009】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、無線機番号の重複により通信が正常に行えなくなる事態を回避し得る無線ネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数の無線子機間を電波で中継して前記各無線子機からのデータを無線親機に集約するマルチホップ方式のネットワークを備え、該ネットワーク内の前記各無線子機を無線機番号により前記無線親機で識別して管理し且つ該無線親機により新規の無線子機への無線機番号の割り付けを行うようにした無線ネットワークシステムにおいて、前記各無線子機が無線機番号の重複を検知する判定手段を実装し、無線機番号の重複を検知した際に当該無線子機自身が再起動して新たな無線機番号を取得し直すように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
而して、このようにすれば、同一ネットワーク内に複数台の無線親機が存在している場合に、異なる無線子機について同じ無線機番号が発行されてしまったとしても、各無線子機に実装された判定手段により自身の無線機番号の重複が検知され、無線機番号の重複を検知した無線子機自身が再起動して新たな無線機番号を取得し直すようにしているので、無線機番号の重複により通信が正常に行えなくなる事態が回避される。
【0012】
更に、本発明を具体的に実施するにあたり、各無線子機は、ネットワークへの新規参入時に行う初回のホップ数テーブルの交換で自身の情報を含む通常のホップ数テーブルを周囲の無線子機に送信し、それに対する応答に自身の無線機番号が含まれている場合に判定手段により無線機番号の重複を検知するように構成されていると良い。
【0013】
また、各無線子機は、ネットワークへの新規参入時に行う初回のホップ数テーブルの交換前に自身の情報を含まない空のホップ数テーブルを周囲の無線子機に送信し、それに対する応答に自身の無線機番号が含まれている場合に判定手段により無線機番号の重複を検知するように構成されていても良い。
【0014】
更に、各無線子機は、ネットワークへの新規参入時に行う初回のホップ数テーブルの交換後に無線親機からの自らに宛てた広域端末更新通知が所定時間内に受信できない場合に判定手段により無線機番号の重複を検知するように構成されていても良い。
【発明の効果】
【0015】
上記した本発明の無線ネットワークシステムによれば、各無線子機が無線機番号の重複を検知する判定手段を実装し、該判定手段により無線機番号の重複を検知した際に当該無線子機自身が再起動して新たな無線機番号を取得し直すようにしているので、無線機番号の重複により通信が正常に行えなくなる事態を回避することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一実施例を自動検針システムに適用した全体構成図である。
図2図1の無線親機の構造を示す概略図である。
図3図1の無線子機の構造を示す概略図である。
図4】新たな無線子機が参入する前の状態を示すブロック図である。
図5】新たな無線子機が参入した後の状態を示すブロック図である。
図6】重複した無線機番号の無線子機が参入した状態を示すブロック図である。
図7】第一実施例で無線機番号の重複を検知する手順のフローチャートである。
図8】第二実施例で無線機番号の重複を検知する手順のフローチャートである。
図9】第三実施例で無線機番号の重複を検知する手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は本発明の第一実施例を示すもので、ガスの使用量に関する自動検針システムに適用した無線ネットワークシステムの場合で例示しており、この無線ネットワークシステムでは、ガスの使用量のデータを記録するメータ1,2(図1中では二台のみを図示)に接続された複数の無線子機20間を電波で中継して前記各無線子機20からのデータを無線親機10(番号発行ゲートウェイ接続無線機)に集約するマルチホップ方式のネットワーク3を備え、各無線子機20からのデータが前記無線親機10に集約された後に、該無線親機10に接続された広域端末4からPHS(Personal Handy-phone System)やLTE(Long Term Evolution)等の広域通信回線5を介しセンタ6のホストコンピュータ7に送られるようになっている。
【0019】
斯かる無線ネットワークシステムにあっては、前記ネットワーク3内の前記各無線子機20を無線機番号により前記無線親機10で識別して管理し且つ該無線親機10により新規の無線子機20への無線機番号の割り付けを行うようにしており、例えば、図1に示す五台の無線子機20には、固有の無線機番号00~04が前記無線親機10により割り付けられ、前記各無線子機20は、定期的に自身の無線機番号を含む短いフレームを送信し、その後、自らに宛てた送信要求の有無を確認する受信待ち状態を経て元の状態に戻るという間欠送信を繰り返すようになっている。尚、図1中における無線親機10自身の無線機番号はFDとなっている。
【0020】
無線親機10の構成は図2に示す通りであり、各無線子機20との無線通信によるデータの送受信を行う通信部11と、各無線子機20を無線機番号により識別して管理する制御部12と、無線親機10の初期設定を手動操作するための操作部13と、後で詳述するホップ数テーブル交換を周囲の無線子機20と行う交換部14と、各無線子機20に必要な情報を通知する通知部15と、ネットワーク3内に新たに参入した無線子機20の無線機番号を発行する発行部16と、各無線子機20からの応答に基づき得られた情報を記憶する記憶部17とを備えている。
【0021】
また、無線子機20の構成は図3に示す通りであり、各無線子機20又は無線親機10との無線通信によるデータの送受信を行う通信部21と、受信した無線通信が自分宛かどうかを判断して無線親機10宛の場合に中継転送を行う制御部22と、受信した無線通信に対する応答を指示する応答部23と、無線子機20の初期設定を手動操作するための操作部24と、起動時に無線機番号を取得するために周囲の無線子機20又は無線親機10との番号発行要求通信を行う取得部25と、後で詳述するホップ数テーブル交換を周囲の無線子機20又は無線親機10と行う交換部26と、後で詳述する無線機番号の重複の有無を判定する判定部27と、各無線子機20からの応答に基づき得られた情報を記憶する記憶部28とを備えている。
【0022】
そして、前記各無線子機20は、ネットワーク3への新規参入時に前記無線親機10から無線機番号を割り付けられるようになっており、より具体的には、休止状態の無線子機20が操作部24からの起動指示により起動された際に、取得部25の指示により無線機番号を取得するための番号発行要求通信が周囲の無線子機20又は無線親機10に対し行われるようになっている。
【0023】
更に、番号発行要求通信を無線子機20(発信元でない無線子機20)の中継転送や発信元の無線子機20からの直接通信により受信した無線親機10は、発行部16の指示により新たな無線機番号を発行して番号発行応答通信を行うようになっており、この番号発行応答通信を受信した発行元の無線子機20は、発行された無線機番号を自身の無線機番号として設定し、周囲の無線子機20又は無線親機10とネットワーク3内の通信経路を決定するため、交換部26の指示によりホップ数テーブル交換と呼ばれる通信を実施するようにしている。
【0024】
ホップ数テーブル交換とは、自身から他の無線子機20へ最短何台(ホップ数)の無線子機20を経由して到達できるかを無線機番号と紐付けて保存したホップ数テーブルを周囲の無線子機20へ送信する一方、その応答として周囲の無線子機20から返ってきたホップ数テーブルを受信するという相互通信のことを指し、ネットワーク3内の無線子機20が増減したり、直接通信可能な経路が変化した際に、ホップ数テーブルの内容を編集して相互に交換し合うことでネットワーク3の変化に対応するものであり、このホップ数テーブルの交換は、一定周期毎に繰り返し実施され且つ交換されたホップ数テーブルは各無線子機20の記憶部28に記憶されるようになっている。
【0025】
尚、無線子機20及び該無線子機20に有線接続されているメータ1,2には固有のIDが割り振られており、それらのIDについても無線機番号と紐付けて無線親機10により管理されるようになっているが、初回のホップ数テーブル交換によりネットワーク3内への新たな無線子機20の参入を検知した無線親機10は、自身に有線接続された広域端末4のIDを新たな無線子機20に向けて周知し且つ該無線子機20やそのメータ1,2のIDを取得するための広域端末更新通知を行うようになっている。
【0026】
ここで、ネットワーク3内の無線子機20のうち無線親機10と直接通信できない無線子機20(無線機番号04)が新たに参入する場合を一例として説明すると、図4に新たな無線子機20が参入する前の状態を示す通り、図4中に矢印で結んだもの同士が直接通信可能である場合、図4のネットワーク3における無線機番号00~03の各無線子機20のホップ数テーブルは下記の表1に示す如きものとなる。
【表1】
【0027】
図5に示す如く、このネットワーク3に新たな無線子機20(無線機番号04)が参入する場合、この新規参入の無線子機20(無線機番号04)は、直接通信可能な位置にある二台の無線子機20(無線機番号01)及び無線子機20(無線機番号02)とホップ数テーブル交換を行うことになるが、先ず無線子機20(無線機番号04)と無線子機20(無線機番号01)とがホップ数テーブル交換を行うとすると、初期状態の無線子機20(無線機番号04)のホップ数テーブルの内容は下記の表2の上段に示す如きものとなっており、未だ他の無線子機20とホップ数テーブルの交換を行っていないために自身の無線機番号04とホップ数(自身のホップ数は0)のみがホップ数テーブルに登録されているのに対し、無線子機20(無線機番号01)のホップ数テーブルの内容は下記の表2の下段に示す如きものとなっている。
【表2】
【0028】
そして、無線子機20(無線機番号04)と無線子機20(無線機番号01)とがホップ数テーブルを交換すると、下記の表3の上下段に夫々示す如く、無線子機20(無線機番号04)のホップ数テーブルに無線子機20(無線機番号01)がホップ数1で登録されると共に、この無線子機20(無線機番号01)のホップ数テーブルに登録されていた他の無線子機20の無線機番号00,02,03及び無線親機10の無線機番号FDがホップ数+1で登録され、前記無線子機20(無線機番号01)のホップ数テーブルには無線子機20(無線機番号04)がホップ数1で登録されることになる。
【表3】
【0029】
次に、無線子機20(無線機番号04)と無線子機20(無線機番号02)とがホップ数テーブル交換を行う場合、無線子機20(無線機番号04)と無線子機20(無線機番号02)のホップ数テーブルの内容は下記の表4の上下段に夫々示す如きものとなっているが、無線子機20(無線機番号04)と無線子機20(無線機番号02)とがホップ数テーブルを交換すると、下記の表5の上下段に夫々示す如く、無線子機20(無線機番号04)のホップ数テーブルに無線子機20(無線機番号02)のホップ数が1に更新されて登録されると共に、他の無線子機20(無線機番号00,01,03)及び無線親機10(無線機番号FD)のホップ数が、無線子機20(無線機番号02)のホップ数テーブルに登録されているホップ数+1と比較して小さい方の値に更新されて登録され(この例の場合は更新が発生しない)、前記無線子機20(無線機番号02)のホップ数テーブルには無線子機20(無線機番号04)がホップ数1として登録されることになる。
【表4】

【表5】
【0030】
その後、自身のホップ数テーブルが更新された無線子機20(無線機番号01)、(無線機番号02)は、ホップ数テーブルが更新されたことを周囲の無線子機20及び無線親機10に通知するため、ホップ数テーブル交換を行い、前述と同様の処理を繰り返すことで最終的にネットワーク3内の全ての無線子機20及び無線親機10のホップ数テーブルが下記の表6に示すように更新される。
【表6】
【0031】
この際、図5の例では、ネットワーク3内に無線親機10が一台だけしか存在していないが、自動検針システムの冗長化や、無線親機10の寿命による交換を行う場合等において、同一ネットワーク3内に無線親機10が複数台存在している場合に、異なる無線子機20について同じ無線機番号が発行されてしまう可能性があることは先にも述べた通りである。
【0032】
そこで、本実施例にあっては、前記各無線子機20に無線機番号の重複を検知する判定手段を判定部27として実装し、無線機番号の重複を検知した際に当該無線子機20自身が再起動して新たな無線機番号を取得し直すように構成しており、より具体的には、ネットワーク3への新規参入時に行う初回のホップ数テーブルの交換で自身の情報を含む通常のホップ数テーブルを周囲の無線子機20に送信し、それに対する応答に自身の無線機番号が含まれている場合に、前記判定部27(図3参照)により無線機番号の重複を検知するようにしている。
【0033】
例えば、図6に示す如く、ネットワーク3に新たに参入する無線子機20(図6中に無線機番号03で示すもの)に別の無線子機20と同じ無線機番号03が割り付けられていた場合、先ず通信可能な位置にある無線子機20(無線機番号03)と無線子機20(無線機番号01)とが初回のホップ数テーブル交換を行うとすると、初期状態の無線子機20(無線機番号03)のホップ数テーブルの内容は下記の表7の上段に示す如きものとなっていて、無線子機20(無線機番号01)のホップ数テーブルの内容は下記の表7の下段に示す如きものとなっている。
【表7】
【0034】
無線子機20(無線機番号03)と無線子機20(無線機番号01)とが初回のホップ数テーブル交換を行うと、そのホップ数テーブルの中に自身の無線機番号が含まれているかどうかが無線子機20(無線機番号03)の判定部27(図3参照)で検索され、無線子機20(無線機番号01)からのホップ数テーブルの中に自身の無線機番号03が含まれていることが確認されたら無線機番号の重複が生じていると判断されるので、無線子機20(無線機番号03)自身が再起動して新たな無線機番号を取得し直し、新しく重複していない無線機番号04が発行された後、改めてホップ数テーブル交換を行うことで無線機番号の重複が解消されることになる。
【0035】
図7はネットワーク3に新たに参入する無線子機20が初回のホップ数テーブル交換で自身の無線機番号が重複しているか否かを確認する一連の流れをフローチャートで示したもので、先ずステップS1で無線機番号を取得するための番号発行要求通信が行われた後、ステップS2で無線機番号が取得されたか否かが確認され、無線機番号が取得されないうちはステップS1の番号発行要求通信が繰り返される一方、無線機番号の取得が確認されたらステップS3へ進んで初回フラグがオンとなる。
【0036】
次いで、ステップS4でホップ数テーブルの交換が行われ、次のステップS5で初回フラグがオンであるか否かが確認され、初回フラグのオンが確認されたらステップS6へ進んで初回フラグをオフにしてからステップS7へ進み、受信した交換相手のホップ数テーブルに自身の無線機番号が含まれているか否かが確認される。
【0037】
そして、先のステップS7において、受信した交換相手のホップ数テーブルに自身の無線機番号が含まれていれば、無線機番号の重複が生じていると判断されるので、ステップS1へ戻されて新たな無線機番号を取得し直すための番号発行要求通信が再び実施されることになるが、受信した交換相手のホップ数テーブルに自身の無線機番号が含まれていなければ、無線機番号の重複が生じていないと判断されるので、ステップS8へ進んでホップ数テーブルが編集された後、ステップS9でホップ数テーブルの更新があったかどうかが確認される。
【0038】
ここで、無線機番号の取得直後に行われる初回のホップ数テーブル交換では、自身の新規参入に伴うホップ数テーブルの更新があるので、ステップS10でホップ数テーブルの更新ありの判定が成され、その更新を周囲の無線子機20又は無線親機10に通知するべくステップS4へ戻されてホップ数テーブル交換が再び行われることになるが、二回目以降のホップ数テーブル交換からの流れでは、初回フラグが既にオフとなっているので、ステップS5からステップS6及びステップS7を迂回してステップS8のホップ数テーブルの編集に進み、自身のホップ数テーブルの更新がないことがステップS9で確認された後にステップS10の各種の更新通知の受信処理が成されてから終了となる。
【0039】
また、第二実施例として、ネットワークへの新規参入時に行う初回のホップ数テーブルの交換前に自身の情報を含まない空のホップ数テーブルを周囲の無線子機20に送信し、それに対する応答に自身の無線機番号が含まれている場合に、判定部27(図3参照)により無線機番号の重複を検知するように各無線子機20が構成されていても良い。
【0040】
例えば、先の説明で用いた図6に示す如く、ネットワーク3に新たに参入する無線子機20(図6中に無線機番号03で示すもの)に別の無線子機20と同じ無線機番号03が割り付けられていた場合、この第二実施例において、初回のホップ数テーブルの交換前に自身の情報を含まない空のホップ数テーブルを通信可能な位置にある無線子機20(無線機番号02)に向け送信すると、無線子機20(無線機番号02)からは下記の表8に示す如きホップ数テーブルが応答され、そのホップ数テーブルの中に自身の無線機番号03が含まれているかどうかが無線子機20(無線機番号03)の判定部27(図3参照)で検索される。
【表8】
【0041】
この結果、無線子機20(無線機番号02)からのホップ数テーブルの中に自身の無線機番号03が含まれていることが確認されたら無線機番号の重複が生じていると前記判定部27(図3参照)で判断されるので、無線子機20(無線機番号03)自身が再起動して新たな無線機番号を取得し直し、新しく重複していない無線機番号04が発行された後、改めて初回のホップ数テーブル交換を行うことで無線機番号の重複が解消されることになる。
【0042】
図8はネットワーク3に新たに参入する無線子機20が初回のホップ数テーブル交換前に自身の無線機番号が重複しているか否かを確認する一連の流れをフローチャートで示したもので、先ずステップS11で無線機番号を取得するための番号発行要求通信が行われた後、ステップS12で無線機番号が取得されたか否かが確認され、無線機番号が取得されないうちはステップS11の番号発行要求通信が繰り返される一方、無線機番号の取得が確認されたらステップS13へ進み、自身の情報を含まない空のホップ数テーブルが、通信可能な位置の無線子機20に向け送信される。
【0043】
そして、次のステップS14では、空のホップ数テーブルの送信に対し応答されたホップ数テーブルの中に自身の無線機番号が含まれているかどうかが確認され、自身の無線機番号が含まれていれば、無線機番号の重複が生じていると判断されるので、ステップS11へ戻されて新たな無線機番号を取得し直すための番号発行要求通信が再び実施されることになる。
【0044】
この際、先のステップS14で自身の無線機番号が含まれていなければ、無線機番号の重複が生じていないと判断されるので、次のステップS15へ進んで初回のホップ数テーブルの交換が行われた後、ステップS16でホップ数テーブルが編集され、次いで、ステップS17でホップ数テーブルの更新があったかどうかが確認される。
【0045】
ここで、無線機番号の取得直後に行われる初回のホップ数テーブル交換では、自身の新規参入に伴うホップ数テーブルの更新があるので、ステップS18でホップ数テーブルの更新ありの判定が成され、その更新を周囲の無線子機20又は無線親機10に通知するべくステップS15へ戻されてホップ数テーブル交換が再び行われることになるが、二回目以降のホップ数テーブル交換によりステップS18で自身のホップ数テーブルの更新がなくなったらステップS18へ進み、各種の更新通知の受信処理が成された上で終了となる。
【0046】
また、第三実施例として、ネットワークへの新規参入時に行う初回のホップ数テーブルの交換後に無線親機10からの自らに宛てた広域端末更新通知が所定時間内に受信できない場合に、判定部27(図3参照)により無線機番号の重複を検知するように各無線子機20が構成されていても良い。
【0047】
即ち、初回のホップ数テーブル交換によりネットワーク3内への新たな無線子機20の参入を検知した無線親機10は、自身に有線接続された広域端末4(図1参照)のIDを新たな無線子機20に向けて周知し且つ該無線子機20やそのメータ1,2(図1参照)のIDを取得するための広域端末更新通知を行うようになっている。
【0048】
この際、初回のホップ数テーブルの交換後に無線親機10からの自らに宛てた広域端末更新通知が所定時間内に受信できなければ、自身と無線機番号が重複した別の無線子機20に広域端末更新通知が通知されているものと推定されるので、この第三実施例においては、初回のホップ数テーブルの交換後に無線親機10からの自らに宛てた広域端末更新通知が所定時間内に受信できない場合に、自身の無線機番号の重複が生じているものと前記判定部27(図3参照)で判断し、無線子機20(無線機番号03)自身が再起動して新たな無線機番号を取得し直し、新しく重複していない無線機番号04が発行された後、改めて初回のホップ数テーブル交換を行うことで無線機番号の重複が解消されることになる。
【0049】
図9はネットワーク3に新たに参入する無線子機20が初回のホップ数テーブル交換後に自身の無線機番号が重複しているか否かを確認する一連の流れをフローチャートで示したもので、先ずステップS21で無線機番号を取得するための番号発行要求通信が行われた後、ステップS22で無線機番号が取得されたか否かが確認され、無線機番号が取得されないうちはステップS21の番号発行要求通信が繰り返される。
【0050】
然る後、無線機番号の取得が確認されたらステップS23へ進んで初回のホップ数テーブル交換が行われ、次のステップS24でホップ数テーブルが編集された後、ステップS25でホップ数テーブルの更新があったかどうかが確認される。
【0051】
ここで、無線機番号の取得直後に行われる初回のホップ数テーブル交換では、自身の新規参入に伴うホップ数テーブルの更新があるので、ステップS25でホップ数テーブルの更新ありの判定が成され、その更新を周囲の無線子機20又は無線親機10に通知するべくステップS23へ戻されてホップ数テーブル交換が再び行われることになる。
【0052】
そして、二回目以降のホップ数テーブル交換によりステップS25で自身のホップ数テーブルの更新がなくなったら次のステップS26でタイマ(ハードウェアに組み込んでも良いしソフトウェアで実装しても良い)による計時が開始され、次のステップS27で各種の更新通知の受信処理が前記計時の裏で並行して行われる一方、ステップS28で広域端末更新通知が受信されたか否かが確認される。
【0053】
この際、先のステップS28で広域端末更新通知の受信が確認されたら無線機番号の重複が生じていないと判断されるので、次のステップS29でタイマの計時が停止された上で終了となるが、先のステップS28で広域端末更新通知の受信が確認されなければ、ステップS30へ進んで初回のホップ数テーブル交換後に無線親機10から広域端末更新通知が届くであろう所定時間が経過したか否か(タイムアウトしたかどうか)が確認され、この所定時間が経過しないうちはステップS27に戻されて更新通知の受信を待機する状態となり、更新通知の受信があれば随時処理されていくこととなる。
【0054】
ただし、先のステップS30で前記所定時間が経過したことが確認されたら無線機番号の重複が生じていて別の無線子機20に広域端末更新通知が通知されてしまっているものと判断されるので、ステップS21へ戻されて新たな無線機番号を取得し直すための番号発行要求通信が再び実施されることになる。
【0055】
尚、本発明の無線ネットワークシステムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、ガスの使用量に関する自動検針システムへの適用に限定されないこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
3 ネットワーク
10 無線親機
20 無線子機
27 判定部(判定手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9