(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20221028BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20221028BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
G01R31/28 V
H01L27/04 T
H01L27/04 H
H01L27/04 V
(21)【出願番号】P 2019044712
(22)【出願日】2019-03-12
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100200104
【氏名又は名称】渡邊 実
(72)【発明者】
【氏名】林 庸行
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-003751(JP,A)
【文献】特開平11-101837(JP,A)
【文献】特開2004-212306(JP,A)
【文献】特開平11-064456(JP,A)
【文献】特開昭63-085941(JP,A)
【文献】特開2020-051779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/28-31/3193、
31/00-31/01、
31/24-31/25、
H01L 27/04、
G05B 23/00-23/02、
G06F 11/00-11/07、
11/28-11/36、
G11B 20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常を検出してそれぞれ異なる検出信号を出力する複数の異常検出器と、
電源電位が印加される電源端子と接地電位が印加される接地端子との間に直列に接続さ
れた複数の抵抗と、一端及び他端を有し、少なくとも一端が前記複数の抵抗の両端のノー
ド
のうちのいずれかと電気的に接続され、前記複数の異常検出器のそれぞれに対応付けら
れて電気的に接続され、前記複数の異常検出器のそれぞれの前記検出信号によって制御さ
れる複数の第1スイッチとを有し、前記第1スイッチの導通状態に応じて、異常を検出し
た前記異常検出器ごとに異なる値の参照電圧を出力する参照電圧出力回路と、
前記参照電圧をエラー信号として外部に出力する1つの出力端子と、
前記複数の異常検出器と電気的に接続され、前記検出信号に異常が検出されなかった場
合に、異常なしの検出信号を出力するノーエラー検出回路と、
前記ノーエラー検出回路に電気的に接続され、前記異常なしの検出信号によって制御さ
れる第2スイッチと、を備え
、
前記第2スイッチの動作によって、前記検出信号に異常が検出されていないときには、
異常が検出された時とは異なる参照電圧を前記出力端子に出力する半導体集積回路。
【請求項2】
前記複数の第1スイッチのそれぞれの他端は、前記出力端子に電気的に接続される、請
求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記複数の第1スイッチは、それぞれ対応する前記抵抗の両端のノード間に、当該抵抗
と並列に接続され、
前記出力端子は、直列に接続された前記複数の抵抗のうちの隣り合う2つの抵抗の間の
ノードに電気的に接続される、請求項1に記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
システムに組み込まれた半導体集積回路(IC:Integrated Circuit)には、システムの異常を検出し、異常を検出したことを知らせる外部エラー信号を出力する機能を有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-93756号公報
【文献】特開平10-275428号公報
【文献】特開2011-102798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
システムに生じた異常の内容を判別することができる半導体集積回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による半導体集積回路は、異常を検出してそれぞれ異なる検出信号を出力す
る複数の異常検出器と、電源電位が印加される電源端子と接地電位が印加される接地端子
との間に直列に接続された複数の抵抗と、一端及び他端を有し、少なくとも一端が前記複
数の抵抗の両端のノードのうちのいずれかと電気的に接続され、前記複数の異常検出器の
それぞれに対応付けられて電気的に接続され、前記複数の異常検出器のそれぞれの前記検
出信号によって制御される複数の第1スイッチとを有し、前記第1スイッチの導通状態に
応じて、異常を検出した前記異常検出器ごとに異なる値の参照電圧を出力する参照電圧出
力回路と、前記参照電圧をエラー信号として外部に出力する1つの出力端子と、前記複数
の異常検出器と電気的に接続され、前記検出信号に異常が検出されなかった場合に、異常
なしの検出信号を出力するノーエラー検出回路と、前記ノーエラー検出回路に電気的に接
続され、前記異常なしの検出信号によって制御される第2スイッチと、を備え、前記第2
スイッチの動作によって、前記検出信号に異常が検出されていないときには、異常が検出
された時とは異なる参照電圧を前記出力端子に出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態の半導体集積回路の構成を模式的に示す回路図
【
図2】第1の実施形態の半導体集積回路において、異常を検出したときのエラー出力信号ERRの電圧レベルを示す図
【
図3】第2の実施形態の半導体集積回路の構成を模式的に示す回路図
【
図4】第2の実施形態の半導体集積回路において、異常を検出したときのエラー出力信号ERRの電圧レベルを示す図
【
図5】第3の実施形態の半導体集積回路の構成を模式的に示す回路図
【
図6】第3の実施形態の半導体集積回路において、異常を検出したときのエラー出力信号I_ERRの電流レベルを示す図
【
図7】第3の実施形態の変形例の半導体集積回路の構成を模式的に示す回路図
【
図8】第4の実施形態の半導体集積回路の構成を模式的に示す回路図
【
図9】第4の実施形態の半導体集積回路において、異常を検出したときのエラー出力信号ERRを示す図
【
図10】第5の実施形態の半導体集積回路の構成を模式的に示す回路図
【
図11】第5の実施形態の半導体集積回路において、異常を検出したときのエラー出力信号ERRを示す図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態にかかる半導体集積回路を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。例えば、異常検出器の数や、異常検出器に対応して設けられる抵抗やスイッチの数は、本明細書で説明した数に限らず、自由に変更可能である。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の半導体集積回路100の構成を模式的に示す回路図である。第1の実施形態の半導体集積回路100は、制御装置、情報処理装置、測定装置、検査装置、製造装置など各種システムに組み込まれ、そのシステムの異常を検出し、検出した異常の種類ごとに異なる電位の外部エラー信号ERRを出力する回路である。
【0009】
半導体集積回路100は、複数の異常検出器10と、ノーエラー検出器20と、参照電圧出力回路31、及び、共通出力端子40、を有する。
【0010】
異常検出器10は、ここでは、3つの異常検出器10a、10b、10cを設ける例について説明する。但し、その数は、2個または4個以上の異常検出器10を設けるなど、必要に応じて適宜設定することができる。
【0011】
異常検出器10aは、システム内の異常検出の有無に応じた内部エラー信号err_aを出力する。異常検出器10bは、システム内の異常検出の有無に応じた内部エラー信号err_bを出力する。異常検出器10cは、システム内の異常検出の有無に応じた内部エラー信号err_cを出力する。
【0012】
これらの異常検出器10(10a~10c)が検出する異常の種類や検出方法に制限はなく、例えば、定格以上の電流を検出する過電流検出器、定格以上の電圧を検出する過電圧検出器、温度測定が可能で定格以上の温度を検出する過熱検出器、加速度や圧力を測定可能で力学的負荷を検出する振動検出器や圧力検出器、デジタル信号の符号化/復号化の異常を検出する符号化エラー検出器などであってよい。このように異常検出器10は、各種システムに適用可能であり、検出すべき異常に対応した検出器を、適宜選択可能である。
【0013】
また、各異常検出器10a、10b、10cからの内部エラー信号err_a、err_b、err_cは、例えば、高電位(H)と低電位(L)の2値の電位として出力される。ここでは、異常を検出していないときには低電位(L)を出力し、異常を検出したときに高電位(H)を出力する例で説明するが、出力する電位は逆の設定としても構わない。
【0014】
ノーエラー検出器20は、システム内にいずれの異常も生じていない場合(すなわち、異常検出器10a~10cのいずれも異常有を示すエラー信号err_a(H)、err_b(H)、err_c(H)を出力しない場合)、高電位(H)のノーエラー信号no_err(H)を出力する。逆に、システムのいずれかに異常を生じた場合(すなわち、異常検出器10a~10cのいずれかが内部エラー信号err_a(H)~err_c(H)を出力した場合)、低電位(L)のノーエラー信号no_err(L)を出力する。
【0015】
図1に示すように、ノーエラー検出器20は、例えば、否定論理和(NOR)回路を用いることができる。否定論理和回路は、論理ゲートの1種であり、全ての入力の論理和(OR)を反転(NOT)して出力する。ノーエラー検出器20には、各異常検出器10a~10cに対応した3つの入力端子が設けられ、各異常検出器10a、10b、10cから出力される内部エラー信号err_a、err_b、err_cが入力される。ノーエラー検出器20は、入力された内部エラー信号err_a~err_cを受け、これらの否定論理和の信号である、ノーエラー信号no_err(HまたはL)を出力端子から出力する。
【0016】
前述したように、ノーエラー検出器20に入力された内部エラー信号err_a~err_cが、すべて低電位(L)の場合、異常がないものとしてノーエラー信号no_errの出力は高電位(H)となる。高電位(H)がひとつでもある場合、異常があるものとしてノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)になる。以上説明したが、ノーエラー検出器20から出力する電位は上記と逆の設定としても構わない。
【0017】
次に、参照電圧出力回路31は、3つの抵抗53a、53b、53cと4つのスイッチ54a、54b、54c、54dを有する。参照電圧出力回路31は、3つの抵抗53a~53cの抵抗分圧によって4つの参照電圧Vref_a、Vref_b、Vref_c、Vref_dを出力する。
【0018】
すなわち、3つの抵抗53a~53cは、電源電位VDDが印加される電源端子51と接地電位GNDが印加される接地端子52の間に、電源端子51側から順に直列に電気的に接続される。各抵抗53a~53cは、例えば、同じ抵抗値を有する。電源端子51と抵抗53aの間のノードNa、抵抗53aと抵抗53bの間のノードNb、抵抗53bと抵抗53cの間のノードNc、抵抗53cと接地端子52の間のノードNdに生じる電位を参照電圧Vref_a、Vref_b、Vref_c、Vref_dとする。なお、本明細書において、参照電圧とは各ノードに現れる電位のことであるが、説明の便宜上、接地電位GNDを基準とした各ノードの電位を表現するために電圧と表現する。
【0019】
4つのスイッチ54a~54dは、
図1に示すように、それぞれに入力される内部エラー信号err_a~err_c、及びノーエラー信号no_err等の電気信号によってオン/オフが切り替わる任意のスイッチを用いる。スイッチ54a~54dは、例えば、電気信号が高電位(H)のときにオンとなりスイッチ両端に接続されるノード間を導通させ、低電位(L)のときにオフとなりスイッチ両端に接続されるノード間の導通を切るトランジスタ、例えば、nチャネル型MOSトランジスタを用いることができる。
【0020】
スイッチ54a~54cの各ゲートは、対応する異常検出器10a~10cにそれぞれ接続される。異常検出器10a~10cからの内部エラー信号err_a~err_cがゲート制御信号として用いられて、スイッチ54a~54cの両端の導通状態、すなわちオン/オフ状態が制御される。スイッチ54a、54b、54cの一端は、それぞれノードNa、Nb、Ncに電気的に接続される。スイッチ54a~54cの他端は、共通出力端子40に電気的に接続される。
【0021】
スイッチ54dのゲートは、ノーエラー検出器20に接続される。スイッチ54dの一端は、ノードNdに電気的に接続される。スイッチ54dの他端は、共通出力端子40に電気的に接続される。ノーエラー信号no_errがゲート制御信号として用いられて、スイッチ54d両端の導通状態、すなわちオン/オフ状態が制御される。
【0022】
スイッチ54aがオンの場合、共通出力端子40はノードNaと短絡する。このとき、共通出力端子40には、ノードNaと同じ電圧(参照電圧Vref_a)が与えられる。スイッチ54bがオンの場合、共通出力端子40はノードNbと短絡する。このとき、共通出力端子40には、電源電位VDDが抵抗53aによって電圧降下したノードNbと同じ電圧(参照電圧Vref_b)が与えられる。スイッチ54cがオンの場合、共通出力端子40はノードNcと短絡する。このとき、共通出力端子40には、電源電位VDDが抵抗53a、53bによって電圧降下したノードNcと同じ電圧(参照電圧Vref_c)が与えられる。スイッチ54dがオンの場合、共通出力端子40はノードNdと短絡する。このとき、共通出力端子40には、電源電位VDDが抵抗53a~53cによって電圧降下したノードNdと同じ電圧(参照電圧Vref_d)が与えられる。
【0023】
このように、参照電圧出力回路31は、異常検出器10a~10cからの異常信号err_a~err_c、及びノーエラー検出器20からのノーエラー信号no_err、のそれぞれに応じて、参照電圧Vref_a~Vref_dのいずれかの電圧を共通出力端子40に参照電圧として与える。これがエラー出力信号ERRとして半導体集積回路100の外部に出力される。
【0024】
図2は、第1の実施形態の半導体集積回路100において、各異常検出器10が異常を検出したときのエラー出力信号ERRの電圧レベルを説明するための図である。
図2の縦軸は、エラー出力信号ERRの電圧レベルを示す。
【0025】
(a)異常検出器10aが異常を検出した場合、内部エラー信号err_aの出力は高電位(H)になる。このとき、内部エラー信号err_b、err_cの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。これにより、スイッチ54b、54c、54dはオフし、スイッチ54aはオンとなり、参照電圧Vref_aが、共通出力端子40にエラー出力信号ERRとして出力される。
【0026】
(b)異常検出器10bが異常を検出した場合、内部エラー信号err_bの出力は高電位(H)になる。このとき、内部エラー信号err_a及びerr_cの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。これにより、スイッチ54a、54c、54dはオフし、スイッチ54bはオンとなり、参照電圧Vref_bが、共通出力端子40にエラー出力信号ERRとして出力される。
【0027】
(c)異常検出器10cが異常を検出した場合、内部エラー信号err_cの出力は高電位(H)になる。このとき、内部エラー信号err_a及びerr_bの出力はLである。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。これにより、スイッチ54a、54b、54dはオフし、スイッチ54cはオンとなり、参照電圧Vref_cが、共通出力端子40にエラー出力信号ERRとして出力される。
【0028】
(d)全ての異常検出器10a~10cが異常を検出しなかった場合、内部エラー信号err_a~err_cの出力は全て低電位(L)であり、その否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は高電位(H)となる。これにより、スイッチ54a~54cはオフし、スイッチ54dはオンとなり、参照電圧Vref_dが、共通出力端子40にエラー出力信号ERRとして出力される。
【0029】
このように、共通出力端子40を介してエラー出力信号ERRの出力状態(参照電圧レベル)をモニターすることで、システムのどこに異常が生じたかを検出できる。モニターの方法には、エラー出力信号ERRの電圧を判定できる任意の方法を用いることができる。エラー出力信号ERRのモニターには、例えば、アナログデジタルコンバータを用いることができる。
【0030】
なお、各抵抗53a~53cは同じ抵抗値である必要はなく、各参照電圧Vref_a~Vref_dが異なる値となるように設定すればよい。例えば、抵抗53cをR(Rは所定値)としたとき、抵抗53bを2R、抵抗53aを4Rと抵抗値が一定の比で増えるようにしてもよい。
【0031】
以上述べたように、第1の実施形態の半導体集積回路によれば、いずれかの異常検出器10a~10cが異常を検出した場合は、異常を検出した異常検出器10が内部エラー信号err_a(H)~err_c(H)のいずれかを出力する。その内部エラー信号が入力されたスイッチ54a~54cが動作し、異常検出器10ごとに異なる値に設定された参照電圧がエラー出力信号ERRとして、1つの共通出力端子40から出力される。また、異常を検出しなかった場合は、ノーエラー検出器20がノーエラー信号no_err(H)を出力する。そのノーエラー信号が入力されたスイッチ54dが動作し、エラーがないことを示すエラー出力信号ERR(ここでは参照電圧Vref_d)が前記共通出力端子から出力される。
【0032】
このように、共通出力端子40から出力されるエラー出力信号ERRの電圧レベルをモニターすることで、システムに異常が生じたかどうかだけでなく、異常があった場合は、その異常がシステムのどこに生じたかを判別することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体集積回路200は、第1の実施形態の半導体集積回路100と同様の構成を備えるが、参照電圧出力回路32の構成が参照電圧出力回路31と異なる。尚、以下の説明において、第1の実施形態の半導体集積回路と同様の機能や構成については説明を省略する。
【0034】
図3は、第2の実施形態の半導体集積回路200の構成を模式的に示す回路図である。半導体集積回路200は、複数の異常検出器10a、10b、10c、ノーエラー検出器20、参照電圧出力回路32、及び共通出力端子40を有する。参照電圧出力回路32は、4つの抵抗53a、53b、53c、53dと、4つのスイッチ55a、55b、55c、55dと、を有する。
【0035】
4つの抵抗53a~53dはそれぞれ抵抗値が異なり、任意に選択した複数の抵抗53の抵抗値の和は、他の組み合わせの抵抗値の和または他の抵抗53の抵抗値と異なる値となるように予め設定される。例えば、抵抗53aは8R(Rは所定値)、抵抗53bは4R、抵抗53cは2R、抵抗53dはRと、抵抗値が1:2の比で順次減るようにしてもよい。
【0036】
スイッチ55a~55cのゲートは、それぞれ異常検出器10a~10cに電気的に接続される。スイッチ55a~55cは、内部エラー信号err_a~err_cをゲート制御信号として用いて、オン/オフ状態が制御される。スイッチ55dは、ノーエラー検出器20に電気的に接続される。スイッチ55dは、ノーエラー信号no_errをゲート制御信号として用いて、オン/オフ状態が制御される。
【0037】
スイッチ55a~55dは、内部エラー信号erra~err_c及びノーエラー信号no_errが入力されたとき、前述した第1実施形態のスイッチ54a~55dと逆の動作をする。つまり、スイッチ55a~55dは、対応する内部エラー信号erra~err_c及びノーエラー信号no_errの出力が高電位(H)のときにオンとなり、スイッチ両端に接続されるノード間を導通させ、低電位(L)のときにオフとなりスイッチ両端に接続されるノード間の導通を切る。スイッチ55a~55dには、例えば、ノーマリオンのトランジスタ、またはPチャネルMOSトランジスタを用いることができる。
【0038】
電源端子51と接地端子52の間に、抵抗53a、抵抗53b、抵抗53c、スイッチ55d、及び、抵抗53dが、直列に電気的に接続される。
【0039】
スイッチ55a~55cは、それぞれ抵抗53a~53cの両端において、抵抗53a~53cと並列に電気的に接続される。スイッチ55a~55cがオフであるときは、対応する抵抗53a~53cに電圧が印加されるが、スイッチ55a~55cがオンであるときは、対応する抵抗53a~53cの両端が同電位になり、対応する抵抗53a~53cに電圧が印加されない。
【0040】
共通出力端子40は、スイッチ55dと抵抗53dの間のノードに電気的に接続されて設けられる。各スイッチ55a~55dのどれがオフするかによって、共通出力端子40に印加される電圧レベルが変化する。
【0041】
図4は、第2の実施形態の半導体集積回路200において、異常を検出した異常検出器10a~10bの組み合わせに応じたエラー出力信号ERRの電圧レベルを示す図である。
図4の縦軸は、エラー出力信号ERRの電圧レベルを示す。
【0042】
共通出力端子40には、エラー出力信号ERRとして、異常を検出した異常検出器10a~10cの組み合わせに対応した値の電圧が印加される。ERRの電圧は、VDD×{抵抗53dの抵抗値/(異常を検出した異常検出器に対応した抵抗の抵抗値の和+抵抗53dの抵抗値)}の式であらわされる。
【0043】
(e)異常検出器10cのみが異常を検出した場合、内部エラー信号err_cの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号err_a及びerr_bの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ55a、55b、55dはオンし、スイッチ55cはオフする。このとき、共通出力端子40にはVDD×{1R/(2R+1R)}=1/3VDDの電圧が印加され、エラー出力信号ERRとして出力される。
【0044】
(f)異常検出器10bのみが異常を検出した場合、内部エラー信号err_bの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号err_a及びerr_cの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ55a、55c、55dはオンし、スイッチ55bはオフする。このとき、共通出力端子40にはVDD×{1R/(4R+1R)}=1/5VDDの電圧が印加され、エラー出力信号ERRとして出力される。
【0045】
(g)2つの異常検出器10b、10cの異常を検出した場合、内部エラー信号err_b及びerr_cの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号err_aの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ55a、55dはオンし、スイッチ55b、55cはオフする。このとき、共通出力端子40にはVDD×{1R/(4R+2R+1R)}=1/7VDDの電圧が印加され、エラー出力信号ERRとして出力される。
【0046】
(h)異常検出器10aのみが異常を検出した場合、内部エラー信号err_aの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号err_b及びerr_cの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ55b、55c、55dはオンし、スイッチ55aはオフする。このとき、共通出力端子40にはVDD×{1R/(8R+1R)}=1/9VDDの電圧が印加され、エラー出力信号ERRとして出力される。
【0047】
(i)2つの異常検出器10a、10cの異常を検出した場合、内部エラー信号err_a及びerr_cの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号err_bの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ55b、55dはオンし、スイッチ55a、55cはオフする。このとき、共通出力端子40にはVDD×{1R/(8R+2R+1R)}=1/11VDDの電圧が印加され、エラー出力信号ERRとして出力される。
【0048】
(j)2つの異常検出器10a、10bの異常を検出した場合、内部エラー信号err_a及びerr_bの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号err_cの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ55c、55dはオンし、スイッチ55a、55bはオフする。このとき、共通出力端子40にはVDD×{1R/(8R+4R+1R)}=1/13VDDの電圧が印加され、エラー出力信号ERRとして出力される。
【0049】
(k)異常検出器10a~10cのすべてが異常を検出した場合、内部エラー信号err_a、err_b、及びerr_cの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ55dはオンし、スイッチ55a、55b、55cはオフする。このとき、共通出力端子40にはVDD×{1R/(8R+4R+2R+1R)}=1/15VDDの電圧が印加され、エラー出力信号ERRとして出力される。
【0050】
(l)異常検出器10a~10cのすべてが異常を検出しなかった場合、内部エラー信号err_a~err_cの出力は全て低電位(L)であり、その否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は高電位(H)となる。スイッチ55a~55cはオンし、スイッチ55dはオフする。このとき、接地電位GNDが、共通出力端子40に印加され、エラー出力信号ERRとして出力される。
【0051】
以上述べたように、第2の実施形態の半導体集積回路によれば、いずれかの異常検出器10a~cが異常を検出すると、異常を検出した異常検出器10a~cの内部エラー信号err_a~err_cが高電位(H)となり、その内部エラー信号が入力されたスイッチ55a~55dがオフ状態となる。異常を検出した異常検出器10a~cの組み合わせごとに異なる値となる参照電圧が、エラー出力信号ERRとして共通出力端子40に出力される。共通出力端子40から出力されるエラー出力信号ERRの電圧レベルをモニターすることで、システムに1つ以上の異常が生じたかどうか、及び各異常がシステムのどこに生じたかを判別することができる。
【0052】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体集積回路は、第1の実施形態の半導体集積回路とほぼ同様の構成を備えるが、参照電圧出力回路31ではなく引き込み電流生成部33が設けられる点が異なる。なお、以下の説明において、第1の実施形態の半導体集積回路と同様の機能や構成については説明を省略する。
【0053】
図5は、第3の実施形態の半導体集積回路300の構成を模式的に示す回路図である。半導体集積回路300は、異常検出器10a、10b、10c、ノーエラー検出器20、引き込み電流生成部33、及び共通出力端子40を有する。
【0054】
引き込み電流生成部は、3つのスイッチ54a、54b、54c、54d、及び4つのnチャネルMOSFET56a、56b、56c、56dを有する。
【0055】
スイッチ54a~54cのゲートは、それぞれ異常検出器10a~10cに接続される。スイッチ54a~54cは内部エラー信号err_a~err_cが高電位(H)のときはオンし、内部エラー信号err_a~err_cが低電位(L)のときオフする。スイッチ54dのゲートは、ノーエラー検出器20に接続される。スイッチ54dは、ノーエラー信号no_errcが高電位(H)のときはオン、内部エラー信号err_a~err_cが低電位(L)のときオフになる。
【0056】
nチャネルMOSFET56a、56b、56cのソースとドレインは、電源端子51と接地端子52の間に、並列に電気的に接続される。スイッチ54dは、並列に接続されたnチャネルMOSFET56a~56cと、電源端子51との間に電気的に接続される。スイッチ54aは、スイッチ54dとnチャネルMOSFET56aとの間に電気的に接続される。スイッチ54bは、スイッチ54dとnチャネルMOSFET56bとの間に直列に電気的に接続される。スイッチ54cは、スイッチ54dとnチャネルMOSFET56cとの間に直列に電気的に接続される。共通出力端子40が、スイッチ54dとスイッチ54aとの間のノードに電気的に接続される。
【0057】
nチャネルMOSFET56dは、電流源58と接地端子52との間に接続される。電流源58は、nチャネルMOSFET56a~56dのゲートと電気的に接続される。電流源58は、ソース-ドレイン間電流IをnチャネルMOSFET56dに流す。
【0058】
nチャネルMOSFET56a~56dは、カレントミラー回路と同等の回路配置であるが、nチャネルMOSFET56a~56cは、同じゲート-ソース間電圧が印加されたときのソース-ドレイン間電流の値が互いに異なる。このとき、任意に選択した複数nチャネルMOSFET56a~56cのソース-ドレイン間電流値の和は、他の組み合わせのソース-ドレイン間電流値の和、及びほかのソース-ドレイン間電流値と同じ値にならないように設定される。例えば、nチャネルMOSFET56dにIのソース-ドレイン間電流が流れる時、互いの電流値が1:2の比で異なるようなnチャネルMOSFET56a、56b、56cを選択できる。この場合、たとえば、nチャネルMOSFET56aにI、nチャネルMOSFET56bに2I、nチャネルMOSFET56cに4Iのソース-ドレイン間電流が流れる。
【0059】
このように、第3の実施形態の半導体集積回路300は、どの異常検出器10a~10cが異常を検出するかによって、共通出力端子40から出力される引き込み電流の値が異なる。
【0060】
図6は第3の実施形態の半導体集積回路300において、異常を検出した異常検出器10a~10cの組み合わせに応じたエラー出力信号I_ERRの電流レベルを示す図である。
図6の縦軸は、エラー出力信号I_ERRの電流レベルを示す。
【0061】
(m)異常検出器10a~10cのすべてが異常を検出した場合、内部エラー信号err_a、err_b、及びerr_cの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ54dはオフし、スイッチ54a、54b、54cはオンする。このとき、共通出力端子40には(4I+2I+I)=7Iの引き込み電流が流れ、エラー出力信号I_ERRとして出力される。
【0062】
(n)2つの異常検出器10b、10cが異常を検出した場合、内部エラー信号err_b及びerr_cの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号err_aの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ54a、54dはオフし、スイッチ54b、54cはオンする。このとき、共通出力端子40には(4I+2I)=6Iの引き込み電流が流れ、エラー出力信号I_ERRとして出力される。
【0063】
(o)2つの異常検出器10a、10cが異常を検出した場合、内部エラー信号err_a及びerr_cの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号err_bの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ54b、54dはオフし、スイッチ54a、54cはオンする。このとき、共通出力端子40には(4I+I)=5Iの引き込み電流が流れ、エラー出力信号I_ERRとして出力される。
【0064】
(p)異常検出器10cのみが異常を検出した場合、内部エラー信号err_cの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号err_a及びerr_bの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ54a、54b、54dはオフし、スイッチ54cはオンする。このとき、共通出力端子40には4Iの引き込み電流が流れ、エラー出力信号I_ERRとして出力される。
【0065】
(q)2つの異常検出器10a、10bが異常を検出した場合、内部エラー信号err_a及びerr_bの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号err_cの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ54c、54dはオフし、スイッチ54a、54bはオンする。このとき、共通出力端子40には(2I+I)=3Iの引き込み電流が流れ、エラー出力信号I_ERRとして出力される。
【0066】
(r)異常検出器10bのみが異常を検出した場合、内部エラー信号err_bの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号err_a及びerr_cの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ54a、54c、54dはオフし、スイッチ54bはオンする。このとき、共通出力端子40には2Iの引き込み電流が流れ、エラー出力信号I_ERRとして出力される。
【0067】
(s)異常検出器10aのみが異常を検出した場合、内部エラー信号err_aの出力は高電位(H)になる。内部エラー信号err_b及びerr_cの出力は低電位(L)である。内部エラー信号に高電位(H)の出力があるため、これらの信号の否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は低電位(L)となる。スイッチ54b、54c、54dはオフし、スイッチ54aはオンする。このとき、共通出力端子40にはIの引き込み電流が流れ、エラー出力信号I_ERRとして出力される。
【0068】
(t)全ての異常検出器10a~10cが異常を検出しなかった場合、内部エラー信号err_a~err_cの出力は全て低電位(L)であり、その否定論理和であるノーエラー信号no_errの出力は高電位(H)となる。スイッチ54a~54cはオフし、スイッチ54dはオンする。このとき、スイッチ54dは、共通出力端子40に入力される信号をプルアップし、電源電位VDDが共通出力端子40に印加される。このとき、エラー出力信号I_ERRが0として出力される例を
図6に示すが、ノーエラー信号no_errの出力が高電位(H)のときのエラー出力信号I_ERRは、異常検出時のエラー出力信号I_ERRと異なる任意の値に設定できる。
【0069】
共通出力端子40を介してエラー出力信号I_ERR(引き込み電流レベル)の出力状態をモニターすることで、システムのどこに異常が生じたかを検出できる。また、複数の異常が同時に生じていても、エラー出力信号I_ERRの電流がいずれの異常の組み合わせで生じるものなのかを判別することで、システムのどこに何の異常が生じたか検出することができる。
【0070】
なお、
図5にはエラー出力信号I_ERRは引き込み電流である例を示したが、エラー信号I_ERRは吐き出し電流であってもよい。このような実施形態は、例えば、
図7に示す半導体集積回路301によって実現できる。
図7は、第3の実施形態の変形例の半導体集積回路301の構成を模式的に示す回路図である。第3の実施形態の変形例の半導体集積回路301では、引き込み電流生成部33の代わりに吐き出し電流生成部34が設けられる。引き込み電流生成部33と吐き出し電流生成部34とでは、MOSFETのチャネル型や、共通出力端子40を設ける位置などが異なる。
【0071】
以上述べたように、第3の実施形態の半導体集積回路によれば、いずれかの異常検出器10a~10cが異常を検出すると、異常を検出した異常検出器10a~10cの内部エラー信号err_a~err_cは高電位となる。その内部エラー信号が入力されたnチャネルMOSFET56a~56cが動作する。異常を検出した異常検出器10a~10cの組み合わせごとに異なる値に設定された電流を、エラー出力信号I_ERRとして共通出力端子40に出力する。共通出力端子40から出力されるエラー出力信号I_ERRの電流レベルをモニターすることで、システムに1つ以上の異常が生じたこと、及び各異常がシステムのどこに生じたかを判別することができる。
【0072】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体集積回路は、第1の実施形態の半導体集積回路とほぼ同様の構成を備えるが、参照電圧出力回路32ではなくオシレータ35が設けられる点が異なる。なお、以下の説明において、第1の実施形態の半導体集積回路と同様の機能や構成については説明を省略する。
【0073】
図8は、第4の実施形態の半導体集積回路400の構成を模式的に示す回路図である。半導体集積回路400は、異常検出器10a、10b、10c、オシレータ35、及び共通出力端子40を有する。
【0074】
オシレータ35は、交流信号を発生させる発振回路であり、入力された内部エラー信号ごとに異なる発振周波数(周期)で発振する。オシレータ35は、内部エラー信号err_a~err_cの入力によって発振周波数を可変とすることができる任意の発振回路を有することができる。オシレータ35は、例えば、
図8に示すような、複数の論理ゲートがリング状に接続されて構成された、リングオシレータによって実現できる。
【0075】
オシレータ35は、インバータ59a、59b、60を有するリングオシレータであり、共通出力端子40は、インバータ59bとインバータ59aの間のノードに電気的に接続される。オシレータ35は、高電位(H)と低電位(L)の2値を交互に共通出力端子40に出力する。
【0076】
インバータ60の遅延時間は、内部エラー信号err_a~err_cによって制御される。インバータ60は、入力される内部エラー信号err_a~err_cごとに、異なる遅延時間をとる。例えば、インバータ60の電源電圧の調整によって遅延時間を調整することができる。インバータ60の電源電圧を調整するために、半導体集積回路400に参照電圧出力回路31を設けてもよい。
【0077】
インバータ59a、59b、60は固有の遅延時間を有する。このため、インバータ59a、59b、60の遅延時間を1周期として、論理否定の出力が繰り返されることで、オシレータ35は発振する。また、オシレータ35は、インバータ60の遅延時間が内部エラー信号err_a~err_cによって調整されるため、発振する交流信号の周波数(周期)を調整することができる。
【0078】
図9は、第4の実施形態の半導体集積回路400において、各異常検出器10が異常を検出したときのエラー出力信号ERRを示す図である。
図9の縦軸は、エラー出力信号ERRの電位を示し、横軸は、時間を示す。
【0079】
(u)異常検出器10aが異常を検出した場合、内部エラー信号err_a(H)によってインバータ60の遅延時間が制御され、オシレータ35は周期aで発振する交流信号を共通出力端子40に印加する。周期aで発振する交流信号は、エラー出力信号ERRとして出力される。
【0080】
(v)異常検出器10bが異常を検出した場合、内部エラー信号err_b(H)によってインバータ60の遅延時間が制御され、オシレータ35は周期bで発振する交流信号を共通出力端子40に印加する。周期bで発振する交流信号は、エラー出力信号ERRとして出力される。
【0081】
(w)異常検出器10cが異常を検出した場合、内部エラー信号err_c(H)によってインバータ60の遅延時間が制御され、オシレータ35は周期cで発振する交流信号を共通出力端子40に印加する。周期cで発振する交流信号は、エラー出力信号ERRとして出力される。
【0082】
(x)異常検出器10a~10cがいずれも異常を検出しなかった場合、インバータ60の電源電圧が0となり、オシレータ35は発振しない。例えば、エラー出力信号ERRは低電位(L)を出力し続ける。
【0083】
第4の実施形態の半導体集積回路400は、オシレータ35の発振を制御するため、ノーエラー検出器20をさらに備えてもよい。ノーエラー検出器20の出力は、例えば、いずれかのインバータに電源電圧を印加する電源回路に設けられたイネーブル端子に接続できる。異常検出器10a~10cがいずれも異常を検出せず、イネーブル端子に入力されたノーエラー信号no_errの値が高電位(H)の場合、電源回路は当該インバータに電源電圧を印加しない。これにより、当該インバータは動作せず、オシレータ35は発振しない。当該インバータの電源回路は、異常検出器10a~10cのいずれかが異常を検出し、イネーブル端子に入力されたノーエラー信号no_errの値が低電位(L)の場合は、電源電圧を印加する。これにより、当該インバータは動作し、オシレータ35が発振する。
【0084】
図9には、周期a、周期b、周期cが、1:2の比で変化する例を示したが、各周期は互いに異なる任意の値に設定できる。
【0085】
共通出力端子40を介してエラー出力信号ERRの出力状態(周波数)をモニターすることで、システムのどこに異常が生じたかを検出できる。モニターの方法には、例えば、エラー出力信号ERRによってLEDを発光させ、発光する間隔を視覚的に確認することでエラーの種類を判別する方法をとることができる。
【0086】
第4の実施形態のオシレータ35としてリングオシレータを使用する場合、オシレータ35を構成するインバータはインバータ59a、59b、60の3個で構成されなくてもよい。回路を構成するインバータが奇数段であれば発振することができるため、インバータの段数を増やすことができる。また、オシレータ35に設けられる遅延時間が可変であるインバータの個数は1つに限られず、オシレータ35には遅延時間が可変であるインバータを2つ以上設けることができる。
【0087】
以上述べたように、第4の実施形態の半導体集積回路によれば、いずれかの異常検出器10a~10cが異常を検出すると、異常を検出した異常検出器10a~10cの内部エラー信号err_a~err_cが高電位(H)となる。その内部エラー信号が入力されたオシレータ35は、異常を検出した異常検出器10a~10cごとに異なる周波数に設定された交流信号を、エラー出力信号ERRとして共通出力端子40に出力する。共通出力端子40から出力されるエラー出力信号ERRの周波数をモニターすることで、システムに異常が生じたこと、及びシステムのどこに異常が生じたかを判別することができる。
【0088】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の半導体集積回路は、第4の実施形態の半導体集積回路とほぼ同様の構成を備えるが、オシレータ36の構成が異なる。なお、以下の説明において、第4の実施形態の半導体集積回路と同様の機能や構成については説明を省略する。
【0089】
図10は、第5の実施形態の半導体集積回路500の構成を模式的に示す回路図である。半導体集積回路500は、異常検出器10a、10b、10c、オシレータ36、及び共通出力端子40を有する。
【0090】
オシレータ36は、交流信号を発生させる発振回路であり、検出した異常の種類ごとに異なるデューティ比で発振する。デューティ比は、交流信号のパルス幅をその周期で除して求められる比率である。オシレータ36は、内部エラー信号errの入力によってデューティ比を可変とすることができる任意の発振回路を有することができる。オシレータ36は、例えば、
図10に示すリングオシレータを利用した構成によって実現でき、高電位(H)と低電位(L)の2値の電位を交互に出力する。
【0091】
オシレータ36は、インバータ59c、59d、59e、59fと、可変抵抗61と、コンデンサ62と、論理和回路63と、を有する。
【0092】
インバータ59c~59eは、リングオシレータを構成する。インバータ59eとインバータ59cの間のノードは、インバータ59fの入力、及び論理和回路63の入力端子64aに電気的に接続される。インバータ59fの出力は、可変抵抗61の一端に電気的に接続され、可変抵抗61の他端は、論理和回路63の入力端子64bに電気的に接続される。コンデンサ62の一端は接地され、他端は可変抵抗61と論理和回路63との間に電気的に接続される。論理和回路63の出力は、共通出力端子40に電気的に接続される。
【0093】
可変抵抗61の抵抗値は、入力された内部エラー信号err_a~err_cごとに異なる値に設定される。
【0094】
インバータ59c~59eはリングオシレータを構成し、それぞれの遅延時間によって決定される所定の周波数で発振する交流信号を論理和回路63の入力端子64aとインバータ59fに出力する。
【0095】
インバータ59fには、リングオシレータの交流信号が入力される。インバータ59fは、信号の入力から所定の時間が経過した後、入力された信号を反転して可変抵抗61に出力する。可変抵抗61は、抵抗値を調整することで、コンデンサ62の充電及び放電に掛かる時間を制御することができる。
【0096】
図11は、第5の実施形態の半導体集積回路50において、各異常検出器10が異常を検出したときのエラー出力信号ERRを示す図である。
図11の縦軸は、エラー出力信号ERRの電圧を示す、横軸は、時間を示す。
【0097】
入力端子64aを介して論理和回路63に入力される信号、及び入力端子64bを介して論理和回路63に入力される信号は、同じ周波数で発振する。また、入力端子64aを介して論理和回路63に入力される信号と、入力端子64bを介して論理和回路63に入力される信号とでは、コンデンサ62の充放電に掛かる時間とインバータ59fの遅延時間によって、信号の立ち上がりと立ち下りのタイミングが異なっている。論理和回路63がこれら2つの信号の論理和をとることによって、オシレータ36が内部に有するリングオシレータと同じ周波数(周期)だが、これら2つの信号とパルス幅が異なる交流信号がエラー出力信号ERRとして共通出力端子40に出力される。論理和回路63から出力される交流信号のパルス幅が変わることによって、エラー出力信号ERRのデューティ比は調整される。
【0098】
このように、内部エラー信号errによって可変抵抗61の抵抗値とコンデンサ62の充放電に掛かる時間とが制御される。コンデンサ62の充放電に応じて信号の立ち上がりタイミング及び立ち下りタイミングが異なる2つの信号の論理和を取ることによって、オシレータ36出力信号のデューティ比は調整される。
【0099】
(a´)異常検出器10aが異常検出した時、内部エラー信号err_aによって可変抵抗61の抵抗値が制御され、オシレータ36はデューティ比(パルス幅a/周期d)で発振する交流信号を共通出力端子40に印加し、エラー出力信号ERRとして出力する。
【0100】
(b´)異常検出器10bが異常検出した時、内部エラー信号err_bによって可変抵抗61の抵抗値が制御され、オシレータ36はデューティ比(パルス幅b/周期d)で発振する交流信号を共通出力端子40に印加し、エラー出力信号ERRとして出力する。
【0101】
(c´)異常検出器10cが異常検出した時、内部エラー信号err_cによって可変抵抗61の抵抗値が制御され、オシレータ36はデューティ比(パルス幅c/周期d)で発振する交流信号を共通出力端子40に印加し、エラー出力信号ERRとして出力する。
【0102】
(d´)異常検出器10a~10cがいずれも異常を検出しなかった時、インバータ60の電源電圧が0となり、オシレータ36は発振しない。エラー出力信号ERRは、例えば低電位(L)出力し続ける。
【0103】
第5の実施形態の半導体集積回路500は、オシレータ36の発振を制御するため、ノーエラー検出器20をさらに備えてもよい。ノーエラー検出器20の出力は、例えば、インバータ59c~59eのいずれかに電源電圧を印加する電源回路に設けられたイネーブル端子に接続できる。異常検出器10a~10cがいずれも異常を検出せず、イネーブル端子に入力されたノーエラー信号no_errの値が高電位(H)の場合、電源回路は当該インバータに電源電圧を印加しない。これにより、当該インバータは動作せず、オシレータ36は発振しない。当該インバータの電源回路は、異常検出器10a~10cのいずれかが異常を検出し、イネーブル端子に入力されたノーエラー信号no_errの値が低電圧(L)の場合は、当該インバータに電源電圧を印加する。これにより、当該インバータは動作し、オシレータ36が発振する。オシレータ35の発振を制御方法は、インバータ59c~59eのいずれかの電源電圧の制御に限られず、例えば論理和回路36の出力を制御することで実現することができる。
【0104】
図11には、パルス幅a、パルス幅b、パルス幅cが、1:2の比で変化する例を示したが、各パルス幅は互いに異なる任意の値に設定できる。
【0105】
共通出力端子40を介してエラー出力信号ERRの出力状態(デューティ比)をモニターすることで、システムのどこに異常が生じたかを検出できる。
【0106】
以上述べたように、第5の実施形態によれば、いずれかの異常検出器10a~10cが異常を検出すると、異常を検出した異常検出器10a~10cの対応する内部エラー信号err_a~err_cが高電位(H)となる。その内部エラー信号が入力されたオシレータ36が異常検出器ごとに異なるデューティ比に設定された交流信号を、エラー出力信号ERRをとして共通出力端子40に出力する。共通出力端子40から出力されるエラー出力信号ERRのデューティ比をモニターすることで、システムに異常が生じたこと、及びシステムのどこに異常が生じたかを判別することができる。
【0107】
各実施形態の半導体集積回路が組み込まれる対象となるシステムに特に制限はなく、スマートフォン、モバイルPC(パーソナルコンピュータ)等のモバイル端末、IoT等で接続されるような各種機器、車両その他のインフラ関係のモータ制御機器等、複数の異常検出器を備え、検出された異常状況を知りたい機器に対して適用可能である。実施形態の半導体集積回路によって、異常が検出された時点で、システムを停止させることで、異常を原因とした事故が生じることを防ぐことができる。また、生じた異常の判別ができるため、異常に対し素早く対処することができる。本実施形態は、特に、例えば、モバイル端末等の機器に搭載した場合、異常検出のための出力端子が1つであるため機器の小型化にも有効である。
【0108】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、1つの共通出力端子40の出力状態を変化させることによって、システムに生じた異常の内容を判別することができる半導体集積回路を提供できる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
10…異常検出器
20…ノーエラー検出器
31、32…参照電圧出力回路
33…引き込み電流生成部
34…吐き出し電流生成部
35、36…オシレータ
40…共通出力端子
51…電源端子
52…接地端子
53a、53b、53c、53d…抵抗
54a、54b、54c、54d…スイッチ
55a、55b、55c、55d…スイッチ
56a、56b、56c、56d…nチャネルMOSFET
57a、57b、57c、57d…pチャネルMOSFET
58…電流源
59a、59b、59c、59d、59e、59f、60…インバータ
61…可変抵抗
62…コンデンサ
63…論理和回路
64a、64b…入力端子
100、200、300、301、400、500…半導体集積回路