(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】アッセイ試料カードおよびアダプタならびにそれらの使用法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20221028BHJP
【FI】
G01N1/00 101H
(21)【出願番号】P 2019531109
(86)(22)【出願日】2017-12-08
(86)【国際出願番号】 US2017065440
(87)【国際公開番号】W WO2018107105
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-27
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518048123
【氏名又は名称】エッセンリックス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ステファン ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】ディン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チー ジ
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-177815(JP,A)
【文献】特表平06-508215(JP,A)
【文献】特開2015-038609(JP,A)
【文献】特開2015-118313(JP,A)
【文献】米国特許第06083759(US,A)
【文献】特開昭57-190266(JP,A)
【文献】特開2014-002046(JP,A)
【文献】国際公開第2010/071430(WO,A1)
【文献】特表2013-503351(JP,A)
【文献】特表2005-500809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
G01N 35/00 -37/00
G02B 19/00 -21/36
B01L 1/00 -99/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプレートと、第2のプレートと、スペーサと、ヒンジと、を備える試料分析用デバイスであって、
(a)第1のプレートおよび第2のプレートは、ヒンジによって接続され、ヒンジの軸を中心に、開配置および閉配置を含む異なる配置へと互いに対して可動であり、
(b)ヒンジは、材料の層を含み、
(c)第1のプレートの一方の縁部が第2のプレートの一方の縁部からずれており、ヒンジがプレートの一方のずれた縁部の上に位置決めされて構成され、ヒンジの一部分が第1のプレート上にあり、ヒンジの他の部分が第2のプレート上にあり、
(d)各プレートは、分析用試料と接触するための試料接触領域を有する内面を備え、
(e)閉配置において、スペーサは、プレート間にあり、かつプレート間の間隔を制御し、スペーサの少なくとも1つは、試料接触領域にあり、
開配置は、2つのプレートが部分的または全体的に離れている配置であり、かつ、試料は、開配置において載置され、
閉配置は、開配置における試料載置の後に構成される配置であり、閉配置において、試料の少なくとも一部は、2つのプレートによって均一な厚さの層に圧縮され、層の均一な厚さは、プレートの試料接触面によって制限され、プレートとスペーサとによって制御される、
試料分析用デバイス。
【請求項2】
プレートの縁部または隅部から後退しているノッチをさらに備え、
(i)プレートの閉配置において、第2のプレートの一部は、第1のプレートの妨害なく第2のプレートを開配置に持ち上げることができるように、ノッチの上に配置され、
(ii)プレートは、閉配置において、第2のプレートの少なくとも2つの縁部が第1のプレートの縁部の内側に後退するように構成されている幾何学的形状を有する、
請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
プレートが、閉配置において、第2のプレートの4つの縁部が第1のプレートの縁部の内側に後退するように構成されている幾何学的形状を有する、請求項2記載のデバイス。
【請求項4】
ヒンジは、外部回転力が取り除かれた後に角度を実質的に保持する角度自己保持(ASM)ヒンジである、請求項1記載のデバイス。
【請求項5】
ヒンジは、1μm~75μmの範囲にある実質的に均一な厚さの、一片の材料である、請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
ヒンジは、30μm~40μmの厚さの範囲にある実質的に均一な厚さを有する一片のアルミニウムフィルムを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
ヒンジは、30μm~40μmの厚さの範囲にある実質的に均一な厚さを有する一片のアルミニウムフィルムと、ヒンジを第1のプレートおよび第2のプレートに取り付ける接着剤層とを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
ヒンジは、30μm~40μmの厚さの範囲にある実質的に均一な厚さを有する一片のアルミニウムフィルムと、ヒンジを第1のプレートおよび第2のプレートに取り付ける、30μm~40μmの範囲の厚さを有する接着剤層とを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
プレートの1つが可撓性であり、かつ200μm以下の厚さを有し、ヒンジは、30μm~40μmの厚さの範囲にある実質的に均一な厚さを有する一片のアルミニウムフィルムと、ヒンジを第1のプレートおよび第2のプレートに取り付ける接着剤層とを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
プレートの1つが可撓性であり、かつ200μm以下の厚さを有し、ヒンジは、1μm~75μmの範囲にある実質的に均一な厚さの、一片の金属材料である、請求項1記載のデバイス。
【請求項11】
ヒンジは、厚さ25ミクロンのアルミニウム箔の単一の薄膜と、厚さ3ミクロンの接着剤とを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
ヒンジは、角度自己保持ヒンジである、請求項1記載のデバイス。
【請求項13】
ヒンジは、アルミニウムの単一の薄膜と、ヒンジ回転部を含む、プレートに接続するアルミニウムヒンジの表面全体を覆う接着剤とを備える、請求項1記載のデバイス。
【請求項14】
スペーサは、周期的であるスペーサ間距離を有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項15】
試料接触領域において試薬をさらに含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項16】
ヒンジは、角度自己保持ヒンジであり、ヒンジの角度を変えるために外力が用いられ、外力が取り除かれたとき、ヒンジは、外力が取り除かれる直前の角度から15度以内の2つのプレート間の角度を保持する、請求項1記載のデバイス。
【請求項17】
外力が取り除かれた後、ヒンジは、外力が取り除かれる直前の角度から15度以内の2つのプレート間の角度を保持するように、ヒンジの材料が選択される、請求項1記載のデバイス。
【請求項18】
外力が取り除かれた後、ヒンジは、外力が取り除かれる直前の角度から30度以内の2つのプレート間の角度を保持するように、ヒンジの材料が選択される、請求項1記載のデバイス。
【請求項19】
プレートのうち1つにおいてノッチを備える、請求項1記載のデバイス。
【請求項20】
少なくとも1つのノッチの幅は、ノッチ形成縁部の幅の1/6~2/3の範囲内にある、請求項19記載のデバイス。
【請求項21】
少なくとも1つのノッチの幅は、1mm~50mmの範囲内にある、請求項19記載のデバイス。
【請求項22】
他のプレートの重なっている部分の面積は、ノッチの面積の1/10~全面積の範囲内にある、請求項19記載のデバイス。
【請求項23】
ヒンジは、実質的に均一な厚さの一片の材料で作られ、前記材料は、第1のプレートの内面の一部および第2のプレートの外面の一部に取り付けられ、この取り付けは、操作を使用して完全に分離されることはない、請求項1記載のデバイス。
【請求項24】
ヒンジは、実質的に均一な厚さの一片のヒンジ材料で作られ、ヒンジ材料は、第1のプレートおよび第2のプレートの外面の一部に取り付けられ、この取り付けは、操作を使用して完全に分離されることはない、請求項1記載のデバイス。
【請求項25】
ヒンジは、実質的に均一な厚さの一片のヒンジ材料であり、ヒンジ材料は、第1のプレートおよび第2のプレートの内面の一部に取り付けられ、この取り付けは、操作を使用して完全に分離されることはない、請求項1記載のデバイス。
【請求項26】
ヒンジ材料は、厚さ100μm以下の金属である、請求項1記載のデバイス。
【請求項27】
ヒンジ材料は、厚さ75μm以下の金属であり、前記金属は、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、錫、白金、ニッケル、コバルト、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項1記載のデバイス。
【請求項28】
ヒンジは金属材料を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項29】
ヒンジの長さは、連結部が整列するプレート縁部の長さの1/20~全長の範囲内にある、請求項1記載のデバイス。
【請求項30】
プレートの一方または両方は透明である、請求項1記載のデバイス。
【請求項31】
プレートの一方または両方は不透明である、請求項1記載のデバイス。
【請求項32】
プレートのうちの少なくとも1つは、200μm未満の厚さを有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項33】
プレートのうちの少なくとも1つは、100μm未満の厚さを有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項34】
プレートのうちの少なくとも1つは、5cm
2未満の面積を有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項35】
ヒンジはアルミニウムフィルムを含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項36】
プレートのうちの少なくとも1つは、可撓性ポリマーから作られる、請求項1記載のデバイス。
【請求項37】
スペーサの均一な高さは、0.5~100μmの範囲内にあり、スペーサの一定のスペーサ間距離は、5~200μmの範囲内にある、請求項1記載のデバイス。
【請求項38】
スペーサの均一な高さは、0.5~20μmの範囲内にあり、スペーサの一定のスペーサ間距離は、7~50μmの範囲内にある、請求項1記載のデバイス。
【請求項39】
スペーサは、ポリスチレン、PMMA、PS、PMMG、PC、COC、COP、または他のプラスチック、またはそれらの任意の組み合わせから作られる、請求項1記載のデバイス。
【請求項40】
スペーサは、柱形状および平坦な上面を有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項41】
スペーサは、少なくとも100個/mm
2の密度を有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項42】
第1のリーフ、第2のリーフ、および連結部は、可撓性である単一の材料で作られている、請求項1記載のデバイス。
【請求項43】
ヒンジは、第1のリーフ、第2のリーフ、および連結部を横切って広がる少なくとも第1の層および第2の層を備える、請求項1記載のデバイス。
【請求項44】
第2の層は、金属から作られ、第1の層は、ヒンジを第1のプレートおよび第2のプレートに取り付ける接着剤の層である、請求項1記載のデバイス。
【請求項45】
ヒンジは、外力が取り除かれた後に2つのプレートの相対角度を自己保持し、ヒンジは、金属材料、非金属材料、またはその組み合わせから作られ、金属材料は、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、錫、白金、ニッケル、コバルト、もしくは合金、または第1のプレートと第2のプレートとがなす角度を角度が外力によって変わった後に実質的に維持する機械的力を提供することができる任意の他の金属材料、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載のデバイス。
【請求項46】
ヒンジは、ヒンジをプレートに取り付けるための接着剤を含み、前記接着剤は、デキストリン、ゼラチン、アスファルト、瀝青、天然ゴム、樹脂、シェラック、セルロースおよびその誘導体、ビニル誘導体、アクリル、反応性アクリル系、ポリクロロプレン、スチレン-ブタジエン、スチレン-ジエン-スチレン、ポリイソブチレン、アクリロニトリル-ブタジエン、ポリウレタン、ポリスルフィド、シリコーン、アルデヒド縮合樹脂、エポキシ樹脂、アミン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィンポリマー、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される材料から作られる、
請求項
1記載のデバイス
。
【請求項47】
ヒンジは、2つのプレートの相対角度を自己保持することができる材料で作られている、請求項1記載のデバイス。
【請求項48】
ヒンジは、外力が取り除かれた後に2つのプレートの相対角度を自己保持し、ヒンジは、金属材料、非金属材料、またはその組み合わせから作られ、金属材料は、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、錫、白金、ニッケル、コバルト、もしくは合金、または第1のプレートと第2のプレートとがなす角度を角度が外力によって変わった後に実質的に維持する機械的力を提供することができる任意の他の金属材料、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載のデバイス。
【請求項49】
ヒンジは、ヒンジをプレートに取り付ける接着剤を含み、前記接着剤は、デキストリン、ゼラチン、アスファルト、瀝青、天然ゴム、樹脂、シェラック、セルロースおよびその誘導体、ビニル誘導体、アクリル、反応性アクリル系、ポリクロロプレン、スチレン-ブタジエン、スチレン-ジエン-スチレン、ポリイソブチレン、アクリロニトリル-ブタジエン、ポリウレタン、ポリスルフィド、シリコーン、アルデヒド縮合樹脂、エポキシ樹脂、アミン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィンポリマー、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される材料から作られる、請求項1記載のデバイス。
【請求項50】
ヒンジは角度自己保持ヒンジであり、前記ヒンジは、金属、ポリマー、またはその組み合わせの材料で作られ、金属材料は、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、錫、白金、ニッケル、コバルト、もしくは合金、またはプレートを開く外力が取り除かれた後にプレートを開配置に保つ機械的力を提供することができる任意の他の金属材料、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
ポリマー材料は、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、オレフィンポリマー、セルロースポリマー、非セルロースポリマー、ポリエステルポリマー、ナイロン、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMBB)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PBB)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(エチレンフタレート)(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBBT)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFBB)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ゴム、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載のデバイス。
【請求項51】
ヒンジは、角度自己保持ヒンジであり、かつ、2つの均一な層を有し、第1の層および第2の層は、10~100μmの範囲の厚さを有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項52】
角度自己保持ヒンジは、実質的に均一な厚さの一片のヒンジ材料で作られ、厚さは、200μm(ミクロン)以下である、請求項1記載のデバイス。
【請求項53】
閉配置での試料の厚さは、0.001μm(ミクロン)~50μmの範囲の厚さを有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項54】
閉配置での試料の厚さは、250μm以下の厚さを有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項55】
(a)請求項1~54のいずれか一項記載のデバイスと、
(b)カメラと、
(c)前記カメラに接続するように構成され、スロットを備えたアダプタと、を備えるシステムであって、
i.スロットは、閉配置においてデバイスを受け入れるように寸法決めされ、
ii.スロットは、デバイスがスロットの内外にスライドできるように、かつデバイスがスロット内でスライドするときにデバイスをある位置に固定するように構成され、
iii.アダプタは、デバイスがスロット内でスライドした後に、デバイスとカメラとの間の相対位置を固定するように構成される、システム。
【請求項56】
(a)請求項1記載のデバイスを入手することと、
(b)プレートが開配置にあるときに、プレートの一方または両方の内面に前記試料を載置することと、
(c)2つのプレートを押して閉配置にすることと、
(d)試料を分析することと、を含む、試料分析方法。
【請求項57】
試料を撮像する、または試料から測定可能な信号を検出することによって、試料を分析する、請求項56記載の方法。
【請求項58】
閉配置において、試料の少なくとも一部は、プレート間にあり、プレートの試料接触領域間の平均間隔は、0.01~200μmの範囲にある、請求項56記載の方法。
【請求項59】
カメラは、携帯移動通信デバイスの一部である、請求項55記載のシステム。
【請求項60】
デバイスがスロットに挿入され、アダプタがカメラに接続されているとき、カメラとデバイスとの間の距離は、10cm以下である、請求項55記載のシステム。
【請求項61】
ヒンジは、外部回転力が取り除かれた後に角度を実質的に保持する角度自己保持ヒンジである、請求項56記載の方法。
【請求項62】
ヒンジは、1μm~75μmの範囲にある実質的に均一な厚さの、一片の材料である、請求項56記載の方法。
【請求項63】
ヒンジは、30μm~40μmの厚さの範囲にある実質的に均一な厚さを有する一片のアルミニウムフィルムを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
ヒンジは、30μm~40μmの厚さの範囲にある実質的に均一な厚さを有する一片のアルミニウムフィルムと、ヒンジを第1のプレートおよび第2のプレートに取り付ける接着剤層とを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項65】
プレートの1つが可撓性であり、かつ200μm以下の厚さを有し、ヒンジは、1μm~75μmの範囲にある実質的に均一な厚さの、一片の金属材料である、請求項56記載の方法。
【請求項66】
プレートの1つが可撓性であり、かつ200μm以下の厚さを有し、ヒンジは、30μm~40μmの厚さの範囲にある実質的に均一な厚さを有する一片のアルミニウムフィルムと、ヒンジを第1のプレートおよび第2のプレートに取り付ける接着剤層とを含む、請求項56記載の方法。
【請求項67】
スペーサは、周期的であるスペーサ間距離を有する、請求項56記載の方法。
【請求項68】
スペーサの均一な高さは、0.5~20μmの範囲内にあり、スペーサの一定のスペーサ間距離は、7~50μmの範囲内にある、請求項56記載の方法。
【請求項69】
ヒンジは、ヒンジをプレートに取り付けるための接着剤を含み、前記接着剤は、デキストリン、ゼラチン、アスファルト、瀝青、天然ゴム、樹脂、シェラック、セルロースおよびその誘導体、ビニル誘導体、アクリル、反応性アクリル系、ポリクロロプレン、スチレン-ブタジエン、スチレン-ジエン-スチレン、ポリイソブチレン、アクリロニトリル-ブタジエン、ポリウレタン、ポリスルフィド、シリコーン、アルデヒド縮合樹脂、エポキシ樹脂、アミン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィンポリマー、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される材料から作られる、請求項56記載の方法。
【請求項70】
前記デバイスは、プレートの縁部または隅部から後退しているノッチをさらに備え、
(i)プレートの閉配置において、第2のプレートの一部は、第1のプレートの妨害なく第2のプレートを開配置に持ち上げることができるように、ノッチの上に配置され、
(ii)プレートは、閉配置において、第2のプレートの少なくとも2つの縁部が第1のプレートの縁部の内側に後退するように構成されている幾何学的形状を有する、
請求項56記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連参照
本出願はPCT出願であり、2016年12月8日に出願された米国仮特許出願第62/431,639号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,287号、および2017年8月1日に出願された米国仮特許出願の利益を主張し、これらすべては、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
とりわけ、本発明は、生物学的アッセイおよび化学的アッセイを容易にする試料ホルダのデバイスおよび方法、ならびにそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
生物学的および化学的アッセイ(診断検査)を容易にするために、操作が簡単で、サイズがコンパクトで、コストが低い試料ホルダを必要とする場合が多くある。
【0004】
分析用の試料が2つのプレートの間に挟まれているそれら2つのプレートを含む試料ホルダでは、場合によっては、試料が載置される前にそれら2つのプレートを一緒に積み重ね、試料を装填するときに分離する必要がある。ある場合、特に一方または両方のプレートが非常に薄い場合には、一緒に積み重ねられた2つのプレートを手で分離するのは困難である。ある場合には、プレート上に試料を載置する際に、一方の手で試料を載置し、他方の手で両プレートを保持する必要があり、これは非常に困難となり得る。したがって、これらの問題を軽減する必要がある。さらに、試料ホルダを簡単な構造にしかつ低コストにする必要がある。
【0005】
本発明の一目的は、積み重ねられたプレート間を分離するのが容易であり、試料を装填しながら片手で取り扱うのが容易であり、製造が容易であり、および/または低コストである試料ホルダを提供することである。
【発明の概要】
【0006】
以下の簡単な概要は、本発明のすべての特徴および態様を含むことを意図するものではなく、本発明がこの要約で論じられるすべての特徴および態様を含まなければならないことを意味するものでもない。
【0007】
とりわけ、本発明は、生物学的アッセイおよび化学的アッセイを容易にする試料ホルダのデバイスおよび方法、ならびにそれらの使用に関する。特に、本発明は、互いに対して可動であり、2つのプレートの間に試料を挟むことができるそれら2つのプレートを含むアッセイ試料ホールド(「カード」とも呼ばれる)に関する。いくつかの実施形態では、最終試料厚さを調整するためにプレート間にスペーサが配置され、いくつかの実施形態では、スペーサは使用されていない。
【0008】
本発明の一目的は、2つのプレートを積み重ねたときにそれらを分離するのが容易であり、試料を装填しながら片手で取り扱うのが容易であり、製造が容易であり、および/または低コストである試料ホルダを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、2つのプレートを、2つのプレートの間に挟まれた試料を分析するためのアダプタのスロットに挿入するときに、それら2つのプレートを確実に一緒にとどめることである。
【0010】
本発明は、試料の取り扱いを手で簡単に、容易に、素早くし、試料カードを低コストにするために、角度自己保持ヒンジ、カード縁部のノッチ、後退縁部、およびその他を提供する。
【0011】
本発明は、(a)1μm(ミクロン)までの非常に薄いプレートの厚さ(または両プレートの厚さが約25μm)、(b)手による取り扱いが容易でない小面積サイズ(例えば、プレートの幅が1~2cm、長さが数cm)、に対する特別な利点を提供する。
【0012】
本発明の一態様は、書籍と同様にプレートが開閉できるように、2つ以上のプレートを一緒に接続するヒンジを有することである。
【0013】
本発明の別の態様は、調節後にヒンジがプレート間の角度を自己保持できるようにヒンジの材料を構成することである。
【0014】
本発明の別の態様は、2つのプレートが偶発的に分離することなく、QMAXカード全体をカードスロット内におよびカードスロット外へとスライドさせることができるように、QMAXカードを閉配置に保持するヒンジの材料を構成することである。
【0015】
本発明の別の態様は、限定するわけではないが、手で分離することなどのプレートの位置決めを使用者が容易に操作できるように、限定するわけではないが、プレート縁部のノッチまたはプレートに取り付けられたストリップなどの開放機構を提供することである。
【0016】
本発明の別の態様は、3つ以上のプレートの回転を制御することができるヒンジを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
当業者は、以下に記載される図面が例示目的のみのためであることを理解するであろう。図面は、決して本教示の範囲を限定することを意図しない。図面は完全な縮尺ではない。実験データ点を提示する図において、データ点を結ぶ線は、データの閲覧のみを案内するためのものであり、他の手段を有していない。
【0018】
【
図1】開放機構としての役割を果たすノッチを有するQMAXカードの例示的実施形態の上面図および断面図を示す。パネル(A)は、閉配置におけるQMAXカードの上面図を示し、パネル(B)は、外力Fによってプレートが閉配置から開配置に切り替わる前の、閉配置におけるQMAXカードの断面図を示し、パネル(C)は、外力Fが除去された後に第1のプレートと第2のプレートとが角度θを形成する、開配置におけるQMAXカードの断面図を示す。
【
図2】QMAXカード、およびQMAXカードを収容し、QMAXカード内の試料を測定するように構成されたアダプタの例示的実施形態を示す。
【
図3】1つ以上のノッチ形成縁部上の1つ以上のノッチを備えるQMAXカードの4つの例示的実施形態の上面図を示す。
【
図4】QMAXカード(ヒンジ付きQMAXデバイス)の2つの例示的実施形態を示す。パネル(A)は、閉配置における1つのヒンジを備えるQMAXカードの上面図を示し、パネル(B)は、閉配置における2つのヒンジを備えるQMAXカードの上面図を示し、パネル(C)は、閉配置におけるQMAXカードの断面図を示し、パネル(D)は、開配置におけるQMAXカードの断面図を示す。
【
図5】QMAXカードの2つの例示的実施形態を示す。パネル(A)は、閉配置における1つのヒンジを備えるQMAXカードの上面図を示し、パネル(B)は、閉配置における2つのヒンジを備えるQMAXカードの上面図を示し、パネル(C)は、閉配置におけるQMAXカードの断面図を示し、パネル(D)は、開配置におけるQMAXカードの断面図を示す。
【
図6】QMAXカードのマルチプレート/フィルタの実施形態の斜視図および断面図を示す。パネル(A)は、3つ以上のプレート/フィルタを有するQMAXカードの斜視図を示し、それらは3つ以上のリーフを含むヒンジによって接続されており、パネル(B)は、QMAXカードの断面図を示し、ヒンジとプレート/フィルタとの間の接続を示す。
【
図7】第1のプレートと第2のプレートとを備えるQMAX(Q:quantification、M:magnifying、A:adding reagents、X:acceleration、圧縮調整オープンフロー(CROF:compressed regulated open flow)としても知られる)デバイスの実施形態を示す。パネル(A)は、プレートが分離されているときの開配置におけるプレートの斜視図を示し、パネル(B)は、開配置において第1のプレート上に試料を置いた斜視図および断面図を示し、パネル(C)は、閉配置におけるQMAXデバイスの斜視図および断面図を示す。
【
図8】第1のプレート、第2のプレート、および第3のプレートを備えるQMAXデバイスの実施形態を示す。パネル(A)は、プレートが分離されているときの開配置におけるプレートの斜視図を示し、パネル(B)は、開配置におけるプレートの断面図を示す。
【
図9】ヒンジの2つの例示的実施形態の断面図を示す。パネル(A)は、
図2に示すようなデザインを有するヒンジを示し、パネル(B)は、
図3に示すようなデザインを有するヒンジ103を示す。
【
図10】開放機構としてストリップを備えるQMAXカードの2つの例示的実施形態の上面図を示す。パネル(A)は、プレートの一方の側から突出する短いストリップを有する実施形態の上面図を示し、パネル(B)は、プレートの両側から突出する長いストリップを有する実施形態の上面図を示す。
【
図11】QMAXデバイスの2つの例示的実施形態を示し、QMAXデバイスは、プレートのうちの1つに溢れ防止溝および溢れ防止壁をそれぞれ備える。
【
図12】QMAXカードの例示的実施形態の斜視図および断面図を示し、QMAXカードにはプレートのうちの1つに溢れ防止溝がある。
【
図13】QMAXデバイスを保持する例示的な試料スライダの構造を概略的に示す(左:斜視図、中央:内部の詳細を伴う上面図、右:断面dd’の断面図)。
【
図14】いくつかの例示的実施形態に係る2つの所定の停止位置の間で切り替わる可動アームの概略図である。
【
図15】いくつかの例示的実施形態に係る試料スライダへのQMAXカードの正しい挿入方向を確実にするのを助ける特定の角の形状を概略的に示す。
【
図16A】QMAXカードの例示的実施形態の上面図および特定の寸法を示す。
【
図16B】QMAXカードの例示的実施形態の上面図および特定の寸法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例示的態様の詳細な説明
以下の詳細な説明は、限定としてではなく例として本発明のいくつかの実施形態を例示する。本明細書で使用されているセクションの見出しおよび任意の副題は、編成目的のためだけであり、決して記載されている主題を限定するものとして解釈されるべきではない。セクションの見出しおよび/または副題の下の内容は、セクションの見出しおよび/または副題に限定されず、本発明の説明全体に適用される。
【0020】
いかなる刊行物の引用も出願日前のその開示のためのものであり、本特許請求の範囲が先行発明のためにそのような刊行物に先行する権利がないことの承認として解釈されるべきではない。さらに、提供された公開日は実際の公開日とは異なる可能性があり、それは独立して確認する必要があり得る。
【0021】
定義
本明細書で使用するとき、用語「圧縮オープンフロー(COF:compressed open flow)」は、(i)他のプレートを試料の少なくとも一部の上に載置し、(ii)次いで、2つのプレートを互いに向かって押すことによって2つのプレート間で試料を圧縮することによって、プレート上に載置された流動性(または変形性)試料の形状を変える方法を指す。ここで、圧縮は、試料の少なくとも一部の厚さを減少させ、試料をプレート間の開放空間に流入させる。用語「圧縮調整オープンフロー(compressed regulated open flow)」または「CROF」(または「自己較正圧縮オープンフロー(self-calibrated compressed open flow)」または「SCOF」または「SCCOF」)(QMAXとしても知られる)は、特定の種類のCOFを指し、ここで、圧縮後の試料の一部または全部の最終厚さがスペーサによって「調整」され、スペーサは2つのプレートの間に配置される。ここでは、CROFデバイスは、QMAXカードと交換可能に使用される。
【0022】
用語「スペーサ」または「ストッパ」は、特に明記しない限り、2つのプレートの間に置かれたときに、2つのプレートを一緒に圧縮するときに達することができる2つのプレート間の最小間隔の限界を設定する機械的物体を指す。すなわち、圧縮時には、スペーサは、2つのプレートの相対的な動きを止めてプレート間隔が予め設定された(すなわち所定の)値より小さくなるのを防止する。
【0023】
用語「QMAXカード」は、本開示において使用するとき、試料を挟むための、試料厚さを制御する際にスペーサを使用するかまたは使用しない2つのプレートを指す。
【0024】
用語「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」、および「QMAXプレート」は、いくつかの実施形態においてCOFカードがスペーサを備えないことを除いて、交換可能であり、同用語は、異なる配置(開配置および閉配置を含む)へと互いに対して可動である第1のプレートおよび第2のプレートを備え、かつプレート間の間隔を調整するスペーサ(COFのいくつかの実施形態を除く)を備えるデバイスを指す。用語「Xプレート」は、スペーサがそのプレートに固定されている、CROFカード内の2つのプレートのうちの一方を指す。COFカード、CROFカード、およびXプレートのさらなる説明は、2017年2月7日に出願された仮出願第62/456065号に記載されており、これはあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
第1および第2のプレートの「直接接触」という用語は、第1および第2のプレートの内面が直接接触しており、プレート間の相対角度がゼロまたはほぼゼロであることを指す。
【0026】
第1および第2のプレートの「スペーサを介した接触」という用語は、第1および第2のプレートの内面が少なくともプレート間にあるスペーサに直接接触しており、プレート間の相対角度がゼロまたはほぼゼロであることを指す。ここで、スペーサは、プレート間にあり、プレート間の間隔を決定することができる材料である。
【0027】
第1および第2のプレートの「試料を介した接触」という用語は、第1および第2のプレートの内面がプレート間にあるサンプラーに直接接触しており、プレート間の相対角度がゼロまたはほぼゼロであることを指す。
【0028】
「スペーサが所定の高さを有する」および「スペーサが所定のスペーサ間距離を有する」という用語は、それぞれ、スペーサ高さおよびスペーサ間距離の値がQMAXプロセスの前に既知であることを意味する。スペーサ高さおよびスペーサ間距離の値がQMAXプロセスの前に既知でない場合、それは予め定められていない。例えば、ビーズがスペーサとしてプレート上にスプレーされ、ビーズがプレートのランダムな位置に着地する場合、スペーサ間距離は、予め定められていない。所定のスペーサ間距離の別の例は、スペーサがQMAXプロセス中に動くことである。
【0029】
QMAXプロセスにおける「スペーサがそのそれぞれのプレート上に固定される」という用語は、スペーサがプレートのある位置に取り付けられ、その位置への取り付けがQMAXプロセスの間維持される(すなわち、それぞれのプレート上のスペーサの位置が変わらない)ことを意味する。「スペーサがそのそれぞれのプレートに固定されている」の例は、スペーサがプレートの一片の材料から一体的に作られており、プレート表面に対するスペーサの位置がQMAXプロセスの間変わらないことである。「スペーサがそのそれぞれのプレートに固定されていない」の例は、スペーサは接着剤によってプレートに接着されているが、プレートの使用中、QMAXプロセスの間、接着剤はスペーサをその元の位置に保持することができず、スペーサがプレート表面上のその元の位置から離れるように動くことである。
【0030】
QMAXプロセスにおける2つのプレートの「開配置」という用語は、2つのプレートが部分的にまたは完全に離れており、プレート間の間隔がスペーサによって調整されない配置を意味する。
【0031】
スペーサによって調整されるQMAXカードプロセスにおける「閉配置」という用語は、プレートが互いに向き合い、スペーサおよび関連体積の試料がプレート間にあり、プレート間の関連する間隔、故に、関連体積の試料の厚さは、プレートおよびスペーサによって調整され、その関連体積は、試料の全体量の少なくとも一部である。スペーサで調整されていないQMAXカードプロセスは、2つのプレートが直接接触しているか、または試料を介して間接的に接触していることを意味する。
【0032】
QMAXプロセスにおける「試料厚さはプレートおよびスペーサによって調整される」という用語は、プレート、試料、スペーサ、およびプレート圧縮方法の所与の条件に対して、プレートの閉配置における試料の少なくとも1つのポートの厚さを、スペーサおよびプレートの特性から予め定めることができることを意味する。
【0033】
QMAXカードにおけるプレートの「内面」または「試料表面」という用語は、試料に接触するプレートの表面を指し、プレートの他方の表面(試料に接触しない)については、「外面」と称する。
【0034】
QMAXプロセスにおける物体の「高さ」または「厚さ」という用語は、特に明記しない限り、プレートの表面に対して垂直な方向にある物体の寸法を指す。例えば、スペーサ高さは、プレートの表面に対して垂直な方向におけるスペーサの寸法であり、スペーサ高さおよびスペーサ厚さは、同じことを意味する。
【0035】
QMAXプロセスにおける物体の「面積」という用語は、特に明記しない限り、プレートの表面に対して平行な物体の面積を指す。例えば、スペーサ面積は、プレートの表面に対して平行なスペーサの面積である。
【0036】
用語「角度を自己保持する」、「角度自己保持」、または「回転角度自己保持」は、最初の角度からその角度へとプレートを動かす外力がプレートから取り除かれた後、2つのプレート間の角度を実質的に保持するヒンジの特性を指す。
【0037】
1.QMAXアッセイ
生物学的および化学的アッセイ(すなわち検査)において、アッセイ操作を単純化するかまたはアッセイ速度を加速するデバイスおよび/または方法はしばしば非常に価値がある。
【0038】
QMAXカードは、2つのプレートを用いて試料の形状を(例えば圧縮によって)薄層へと操作する(
図8に示すように)。ある実施形態では、プレート操作は、人間の手または他の外力によって2つのプレートの相対位置(プレート配置と称する)を数回変える必要がある。手による操作を簡単かつ迅速にするためにQMAXカードを設計する必要がある。
【0039】
スペーサを使用するQMAXアッセイのいくつかの実施形態では、プレート配置のうちの1つは開配置であり、そこでは、2つのプレートは完全にまたは部分的に分離され(プレート間の間隔はスペーサによって制御されない)、試料を載置することができる。別の配置は閉配置であり、開配置において、載置された試料の少なくとも一部は、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層に圧縮され、層の均一な厚さは、プレートの内面によって制限され、プレートとスペーサによって調整される。QMAXカードのいくつかの実施形態では、スペーサは使用されない。
【0040】
QMAXアッセイ操作では、オペレータは、最初に2つのプレートを試料載置の準備が整った開配置になるようにし、次に片方または両方のプレートに試料を載置し、最後にプレートを閉位置に閉じる必要がある。ある実施形態では、QMAXカードの2つのプレートは、最初は互いの上にあり、試料載置のために開配置になるように分離される必要がある。プレートの一方が薄いプラスチックフィルム(175μm厚のPMA)であるとき、そのような分離は手で行うには困難となり得る。本発明は、QMAXカードアッセイなどのあるアッセイの操作を容易かつ迅速にするデバイスおよび方法を提供することを目的としている。
【0041】
2.QMAXカードの開放および操作を容易にするためのノッチ
QMAXカードを使用する際には、試料載置のために2つのプレートを最初に開く必要がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、パッケージからのQMAXカードは、2つのプレートが互いに接触しており(例えば、閉位置)、一方または両方のプレートは非常に重要であることから、それらを分離することは困難である。QMAXカードの開放を容易にするために、第1のプレートの縁部もしくは隅部または両方の場所に開口ノッチまたはノッチが形成され、プレートの閉位置で、第2のプレートの一部が開口ノッチの上に配置されて、それ故に、第1のプレートのノッチにおいて、第2のプレートを第1のプレートの妨害なく持ち上げて開くことができる。
【0042】
図1は、開放機構を有するQMAXカードの例示的実施形態を示す。特に、パネル(A)は、閉配置におけるQMAXカードの上面図を示し、QMAXカードは、第1のプレート1、第2のプレート2、および第1のプレート10を第2のプレート2に接続するヒンジ103を備える。第1のプレート10は、内面11および外面(図示せず)を備え、第2のプレート20は、内面(図示せず)および外面22を備える。第1のプレート内面11は、閉配置において、第2のプレート内面に面する。
【0043】
図1のパネル(A)に示すように、いくつかの実施形態では、第2のプレート20は、第1のプレート内面11に対して位置決めされた第2のプレートヒンジ縁部23を備える。ヒンジ103は、第1のプレート内面11および第2のプレート外面22に取り付けられて、2つのプレートを回転させて互いに対して旋回させ、開配置と閉配置との間で切り替える。ヒンジ103は、他のデザインに従って位置決めされることも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、ヒンジ103は、プレートを回転させるために、第2のプレートヒンジ縁部23と位置合わせされた第1のプレートヒンジ縁部(マークなし)の周りを包む。
【0044】
また
図1のパネル(A)に示すように、第1のプレート10は、第1のプレート1のノッチ形成縁部13に位置決めされたノッチ105を備える。第2のプレート20は、ノッチ105の上に部分的に並置された対応する開口縁部24を備える。このようなデザインにより、デバイスの使用者は、ノッチ105を越えて開口縁部24を押して2つのプレートを閉配置から開配置へと分離したり、2つのプレートが開配置にあるときに第1のプレート10と第2のプレート20との間の角度を変えたりすることができる。
【0045】
ノッチの利点の一例は、QMAXカードが手で操作される場合である。ノッチがなければ、閉配置において2つのプレートを分離することは困難となる。第1のプレートにノッチがあり、かつ第2のプレート縁部の一部がノッチの上にあると、ノッチで指の一部または全体が第1のプレートではなく第2のプレートだけに触れるので、使用者の形状を用いて非常に容易に第2のプレートを閉配置から持ち上げて開くことができる。
【0046】
図1のパネル(A)は、半円形のノッチ105を示す。しかしながら、第1のプレート10および第2のプレート2を容易に開くように開口が第2のプレート20の真下の第1のプレート10に設けられていれば、ノッチ105は任意の形状をとることに留意されたい。例えば、ノッチ105は、円の任意の部分の形状を有する。いくつかの実施形態では、ノッチ105は、正方形、長方形、三角形、六角形、多角形、台形、扇形、またはそれらの任意の組み合わせの一部または全部の形状を有する。
【0047】
ノッチ105のサイズは、プレートのサイズおよび使用者の特定の必要性に従って調節される。例えば、ノッチ105の長さは、ノッチ形成縁部13上の最も広い開口の長さとして定義され、1mm、2.5mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、40mm、50mm未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。いくつかの実施形態では、ノッチ105の長さは、ノッチ形成縁部の長さの1/10、1/9、1/7、1/6、1/5、1/4、1/3、2/5、1/2、3/5、2/3、3/4、4/5、5/6、もしくは9/10未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。いくつかの実施形態では、ノッチ105が円の一部の形状であるとき、そのような円は、1mm、2.5mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、40mm、50mm未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内の半径を有する。いくつかの実施形態では、ノッチは、1mm、2.5mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、40mm、50mm未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内の平均横方向寸法を有する。
【0048】
図1のパネル(A)に示すように、第2のプレート20の開口縁部24は、第1のプレート1のノッチ105上に部分的に並置されている。換言すれば、第2のプレート20は、ノッチ105全体を覆っていない。しかしながら、他の実施形態では、ノッチ105が第2のプレート2によって完全に覆われることも可能である。このようなデザインは、使用者が第2のプレート2を押すためのより大きな空間を提供し、それはまた、使用者がノッチの特定の位置を見つけることをより困難にする。
【0049】
図1のパネル(A)に示すように、第1のプレート10の全体のサイズは第2のプレート2のそれよりも大きいので、第2のプレート20は、ノッチ105の位置を除いて第2のプレート20を超えて延びることなく、閉配置において第1のプレート内面11に接する。特に、ノッチ形成縁部13を除いて、第1のプレート10の1つまたはすべての他の縁部は、閉配置において第2のプレート20の対応する縁部を越えて延びている。このようなデザインは、第1のプレート10および第2のプレート20の縁部がすべて位置合わせされるデザインと比較してさらなる利点を提供する。このようなデザインは、プレートを開く力が加えられたときに使用者がデバイスを容易に安定させることを可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、使用者は、(ヒンジ縁部およびノッチ形成縁部と比較して)側縁部で第1のプレート10を掴み、第2のプレート20を押してデバイスを開くことによってデバイスを安定させる。
【0050】
図1のパネル(B)に示すように、いくつかの実施形態では、一方のプレート、例えば第2のプレート20は、縁部上で、他方のプレート、例えば第1のプレート10の対応する縁部に対して後退している。ある実施形態では、一方のプレート上の隣接する平行な縁部と比較して、他方のプレートに1つ、2つ、3つ、または4つの後退縁部がある。
【0051】
後退部(例えば後退部154または後退部152)の幅は変えることができる。いくつかの実施形態では、後退部の幅は、後退プレートの幅の1/100、1/50、1/24、1/12、1/10、1/9、1/8、1/6、1/5、1/4、1/3、1/2、もしくは2/3未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。いくつかの実施形態では、後退部の幅は、1μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、7500μm、1mm、5mm、10mm、100mm、もしくは1000mm未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0052】
図1はまた、閉配置(パネル(B))および開配置(パネル(C))におけるQMAXカードの断面図を示す。
図1のパネル(B)および(C)に示すように、いくつかの実施形態では、QMAXは、第1のプレート1、第2のプレート2、およびヒンジ103を備える。ヒンジ103は、第1のリーフ31、第2のリーフ32、およびヒンジ連結部36を含み、これによって、2つのプレートが互いに旋回し、閉配置と開配置との間で切り替わることが可能になる。
図1に示す実施形態では、ヒンジ103の第1のリーフ31は、第1のプレート1のいずれの縁部とも接触することなく、第1のプレート内面11に対して完全に当接するように位置決めされている。このようなデザインは、ヒンジ103がより容易に取り付けられることでデバイスの製造工程を容易にする。しかしながら、限定はされないがノッチ105などの開放機構の存在は、すべての実施形態におけるヒンジの特定のデザインには関連しないことに留意されたい。
図2に示す実施形態では、開放機構を利用することが可能となる。
【0053】
図1のパネル(B)に示すように、ここでの断面は、
図1のパネル(A)においてインジケータ「a」および「a’」によってマークされた図を示し、点線は、ノッチ105上のその断面の位置付けを示す。パネル(A)は、aa’位置では、ノッチ105の存在により、第2のプレート20の開口縁部24が第1のプレート1のノッチ形成縁部13よりも第2のプレートヒンジ縁部23から遠くにあることを示す。このようなデザインは、使用者が、
図5のパネル(A)に示すように、ノッチ105の真上の開口縁部24および/または第2のプレート内面(マークなし)に外力を加えてデバイスを開くことができるようにする。本質的に、ノッチ105の存在は、プレートを閉配置から開配置に変えるために力を加えるという使用者の動作を容易にする。いくつかの実施形態では、力は人間の指によって加えられる。
【0054】
図1パネル(C)は、開配置におけるQMAXカードの実施形態を示す。本質的に、第1のプレート10と第2のプレート20は角度θを形成する。θが実質的に0度のとき、デバイスは閉配置にあり、θが実質的に0度ではないとき、デバイスは開配置にある。角度θは、ヒンジ103の位置付けおよび/または他の機構によって制限される。いくつかの実施形態では、θは、5、10、15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、165、もしくは180未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。例えば、
図1のパネル(C)に示されるような実施形態では、θは0~180度の範囲内にある。他の実施形態では、θは、0~360度の範囲内にある。
【0055】
図1に示すように、ノッチ105の存在は、使用者がプレートを閉配置から開配置に変えることをより容易にする。さらに、ノッチ105はまた、概して、使用者が、第2のプレート20の開口縁部24または開口縁部24に近い任意の領域を押すおよび/または引くことによって、第2のプレート20と第1のプレート10との間の角度を操作することをより容易にする。例えば、使用者は、開口縁部24を押してθを1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、もしくは180度未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内に変える。
【0056】
3.QMAXカードおよびアダプタ
図2は、QMAXカード100およびアダプタ500の例示的実施形態の斜視図を示す。
図2に示すように、いくつかの実施形態では、QMAXカード100は、閉配置にあるとき、アダプタ500のスロット510に挿入することができる。いくつかの実施形態では、アダプタ500は、カード内の試料の画像を撮ること、ならびに/または試料内の特定の分析物の測定および分析を行うことによってモバイル通信デバイスがQMAXカード100を読み取ることができるようにモバイル通信デバイスに取り付けることができる。
【0057】
図10に示すように、いくつかの実施形態では、QMAXカードの第2のプレート20の縁部は、第1のプレート10の内側に後退している。例えば、閉配置では、第2のプレート20の各縁部は、第1のプレート10の対応する平行縁部の後方に位置し(すなわちそこから後退し)、第1のプレート10の内面に当接する。他のある実施形態では、スロット510への挿入方向と平行な第2のプレート20の縁部のみが第1のプレート10の内側に後退している。スロット510は、QMAXカード100の本体を収容するように構成されている。第2のプレート20の縁部上に後退部があるので、第1のプレート10のサイズが、QMAXカード100のサイズを表す。いくつかの実施形態では、第2のプレート縁部が後退していることは、スロットの開口部511が第2のプレートに衝突してプレートを開くのを防止する。いくつかの実施形態では、後退部を有する第2のプレート20は、QMAXカードをより容易にスロット510に挿入することを可能にし、挿入前および挿入中にQMAXカード100が誤って開くことを防止する。いくつかの実施形態では、第1のプレートと第2のプレートのサイズ設定と後退部の位置付けは逆にすることができ、そのようなデザインはまた、容易な挿入を提供し、誤って開くことを減らすことができる。
【0058】
4.ヒンジとノッチと後退縁部を有するQMAXカードの例
図3は、第1のプレート1、第2のプレート20、およびヒンジ103を備えるQMAXカードの4つの他の例示的実施形態の上面図を示す。第1のプレート10は、その1つ以上のノッチ形成縁部に1つ以上のノッチ105を備える。ノッチ(複数可)105の存在は、第1のプレート10と第2のプレート2との間の角度を操作するための使用者の動作を容易にする。
【0059】
図1では、ノッチ105は、第2のプレート20のヒンジ縁部23とは反対側の縁部に位置決めされている。しかしながら、
図3に示すように、ノッチ105を他の縁部(複数可)に位置付けることが可能である。ノッチ105は、それがその重要な機能を効果的に果たす限り、任意の縁部に配置され、第1のプレート10と第2のプレート2との間の角度を操作する使用者の動作を容易にする。
【0060】
ノッチ(複数可)105の数もまた、使用者およびデバイスの特定の必要性に応じて変わる。例えば、
図1および
図3のパネル(A)および(C)に示す実施形態は、1つのノッチ105を含むが、
図3のパネル(B)および(D)の実施形態は、2つのノッチ105を含む。より多くのノッチ105を含むことも可能である。いくつかの実施形態では、2つ(またはそれ以上)のノッチ105の存在は、使用者に対してより多くの選択肢を提供し、あるいは使用者がプレートを開くために例えば2本の指を使用することを可能にする。
【0061】
図1において、ノッチ105は、第1のプレート1の単一の縁部に位置決めされている。しかしながら、
図3のパネル(C)および(D)に示すように、ノッチ105を2つの隣接するノッチ形成縁部13の交点に位置付けることが可能である。例えば、パネル(C)には、その交点に1つのノッチ105を共存させる2つの隣接するノッチ形成縁部13があり、パネル(D)には、3つのノッチ形成縁部13があり、任意の2つの隣接する縁部は、それらのそれぞれの交点で1つのノッチ105を共有し、このデバイスにおいて合計2つのノッチになる。他の実施形態では、隣接するノッチ形成縁部の交点に位置決めされる3つ以上のノッチがある。さらに他の実施形態では、QMAXカードは、それぞれが単一のノッチ形成縁部に位置決めされているいくつかの他のノッチとともに、隣接するノッチ形成縁部の交点に位置決めされているいくつかのノッチを備える。これに対応して、
図3のパネル(C)の第2のプレート20は、ノッチ105の上に部分的に並置された2つの開口縁部24を備え、一方、パネル(D)の第2のプレート20は、3つの開口縁部24を備える。いくつかの実施形態では、ノッチ105が、第1のプレート10と第2のプレート2との間の角度を操作する使用者の動作を容易にする限り、第2のプレート20は、第1のプレート10とは異なる横方向形状を有する、または第2のプレート20の対応する開口縁部の数は、第1のプレート1のノッチ形成縁部の数とは異なる。
【0062】
5.ヒンジを有するQMAXデバイス(QMAXカード)の例
図4は、ヒンジを有するQMAXカード(すなわち、QMAXカード)の2つの例示的実施形態を示す。
図4のパネル(A)は、閉配置における、第1のプレート10(図示せず)、第2のプレート2、および第1のプレート10と第2のプレート20とを接続するヒンジ103を備えるQMAXカードの上面図を示す。パネル(B)では、閉配置において、QMAXカードは、第1のプレート1、第2のプレート20(図示せず)、および2つのヒンジ103を備える。
図4のパネル(C)は、閉配置におけるQMAXカードの断面図を示しており、QMAXカードは、第1のプレート1、第2のプレート2、およびヒンジ103を備える。
図4のパネル(D)は、開配置におけるQMAXカードの断面図を示し、QMAXカードは、第1のプレート1、第2のプレート2、およびヒンジ103を備える。
【0063】
図4のパネル(A)および(B)を参照すると、上面図から、第2のプレート20は、第1のプレート10(図示せず)を覆っている。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2のプレート20は、第1のプレート1よりも大きいかまたは小さいことに留意されたい。
図4のパネル(C)および(D)を参照すると、第1のプレート10は、内面11および外面12を備え、第2のプレート20は、内面21および外面22を備え、第1のプレート内面11は、閉配置において、第2のプレート内面に面する。
図4のパネル(D)に示すように、第2のプレート20と第1のプレート10とは少なくとも部分的に離れている。
【0064】
図1に示すように、第1のプレート10および/または第2のプレート20は、プレートの一方または両方に固定されているスペーサを備える。いくつかの実施形態では、スペーサはまた固定されておらず、試料と混合されている。
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、スペーサ(図示せず)は、内面11および12の一方または両方に固定されている。開配置では、プレート間の間隔はスペーサによって調整されない。閉配置では、プレート間の間隔はスペーサによって調整される。いくつかの実施形態では、本発明のデバイスは、スペーサを含まず、閉配置における試料の厚さは、他の機構によって調整される。
【0065】
図4のパネル(C)および(D)に示すように、第1のプレート10は、第1のプレートヒンジ縁部13を備え、第2のプレート20は、第2のプレートヒンジ縁部23を備え、ヒンジ縁部は、互いに位置合わせされ、ヒンジ103は、ヒンジ縁部を包み込み、第1のプレート10と第2のプレート2とを接続する。ヒンジ103は、第1のリーフ31、第2のリーフ32、およびヒンジ連結部36を備える。ヒンジ連結部36は、第1のリーフ31および第2のリーフ32がヒンジ連結部36の周りを回転することを可能にする。パネル(C)および(D)に示すように、第1のリーフ31は、第1のプレート外面12に取り付けられ、第2のリーフ32は、第2のプレート外面22に取り付けられ、第1のプレート10および第2のプレート20がヒンジ連結部36の周りを回転することを可能にする。したがって、いくつかの実施形態では、2つのプレートは互いに対して旋回し、開配置と閉配置との間で切り替わる。
【0066】
図5は、ヒンジを有するQMAXカードの2つの例示的実施形態を示す。
図5のパネル(A)は、閉配置における、第1のプレート10、第2のプレート20、および第1のプレート10と第2のプレート20とを接続するヒンジ103を備えるQMAXカードの上面図を示す。パネル(A)に示すように、第1のプレート10は、内面11および外面(図示せず)を備え、第2のプレート20は、内面(図示せず)および外面22を備える。第1のプレート内面11は、閉配置において、第2のプレート内面に面する。
図5のパネル(B)は、第1のプレート10と第2のプレート2とを接続する2つのヒンジ103があることを除いて、パネル(A)と本質的に同じ要素を備えるQMAXカードの実施形態を示す。
【0067】
図5のパネル(C)は、閉配置におけるQMAXカードの断面図を示しており、QMAXカードは、第1のプレート10、第2のプレート20、およびこれらのプレートを接続するヒンジ103を備える。閉配置では、第1のプレート内面11と第2のプレート内面21とが対向し、第1のプレート10と第2のプレート20との間の間隔は、第1のプレート内面11または第2のプレート内面12に固定されたスペーサによって調整される。
図5のパネル(D)は、開配置におけるQMAXカードの断面図を示し、QMAXカードは、第1のプレート10、第2のプレート20、およびこれらのプレートを接続するヒンジ103を備える。開配置では、第1のプレート10と第2のプレート20の内面は互いに離間しており、第1のプレートと第2のプレートとの間の間隔は、スペーサによって調整されていない。
【0068】
図4および
図5を参照すると、ヒンジ103のサイズは様々であり、プレートのサイズおよびデバイスの用途の特定の必要性に応じて調整することができる。例えば、ヒンジ連結部36の長さは、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、40mm、50mm、100mm、200mm、もしくは500mm未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。いくつかの実施形態では、ヒンジ連結部36の長さの、ヒンジ連結部36が位置合わせされているプレート縁部の長さに対する比は、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。一実施形態では、ヒンジ連結部36の長さの、ヒンジ連結部36が位置合わせされているプレート縁部の長さに対する比は1であり、これは、ヒンジ連結部36がヒンジ縁部を完全に覆うことを示す。いくつかの実施形態では、ヒンジの全体面積は、1mm
2、5mm
2、10mm
2、20mm
2、30mm
2、40mm
2、50mm
2、100mm
2、200mm
2、500mm
2未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。ある実施形態では、ヒンジ103の全体のサイズの、プレートのうちの1つの全体のサイズに対する比は、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、0.01未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0069】
図5に示すように、いくつかの実施形態では、ヒンジ103は、第1のリーフ31が第1のプレート内面11に取り付けられ、第2のリーフ32が第2のプレート外面22に取り付けられ、ヒンジ連結部36がヒンジ縁部23に対して長手方向に平行に位置決めされるように、位置決めされ、これにより、2つのプレートが互いに対して旋回し、開配置と閉配置との間で切り替わることを可能にする。
図5に示すように、いくつかの実施形態では、ヒンジ103は、プレートの縁部のいずれかと位置合わせされているが、それを包み込んではいない。
【0070】
図5のパネル(D)に示すように、また
図4のパネル(D)を参照すると、第1のプレート10は、開配置においてヒンジ連結部36の周りを回転し、そこでは、第1のプレート10と第2のプレート20とは離間し、プレート間の間隔は、スペーサ4によって調整されない。さらに、角度θが第1のプレート10と第2のプレート2との間に形成されており、角度θが実質的に0度であるとき、デバイスは閉配置にあり、θが実質的に0度ではないとき、デバイスは開配置にある。用語「実質的に0度」は、0.01度、0.1度、0.5度、1度、2度、3度、4度、もしくは5度未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内を意味する。ヒンジ103は、第1のプレート10および第2のプレート20がヒンジ連結部36の周りを回転し、第1のプレート10と第2のプレート2との間の角度θを変えることを可能にする。角度θの調節とは、プレートが開始角度から目標角度へ、または第1の角度から第2の角度へ調節されることを称する。
【0071】
図5に示すように、いくつかの実施形態では、第1のリーフ31は、第1のプレート1のいずれの縁部とも接触することなく、専ら第1のプレート内面11に位置決めされている。換言すれば、取り付けられたとき、第1のリーフ31は専ら第1のプレート内面11の領域内にある。このようなデザインでは、閉配置において、第1のリーフ31と第2のリーフ32は互いに平行であり、ヒンジ連結部36は、第2のプレート2のヒンジ縁部23と長手方向に位置合わせされている。ヒンジ103のこのような位置付けは、QMAXカードの製造、特にヒンジを取り付けるための工程を容易にする。例えば、ヒンジ103の本体全体が閉配置において第1のプレート10および第2のプレート20と平行に位置合わせされているので、ヒンジ103は、単一の成形プロセスまたは接着プロセスによって第1のプレート10および第2のプレート20に取り付けられる。
【0072】
いくつかの実施形態では、
図5に示されるデザインはまた、互いに対するプレートの回転を制限するが、試料を第1のプレート10または第2のプレート2に載置することを容易にする。例えば、
図5に示すヒンジデザインを有するいくつかの実施形態では、第1のプレート10と第2のプレート20との間の角度θは180度以下に制限される。デバイスの使用者は、単に第1のプレート10と第2のプレート20を180度開き、試料(例えば、これに限定されないが、一滴の体液(例えば血液))をいずれかのプレート上に載置する。
図4のパネル(D)を参照すると、第1のプレート10および第2のプレート20の2つの縁部は互いに位置合わせされており、ヒンジはこれらの縁部の周りを包み込む。このようなデザインは、第1のプレート10および第2のプレート20がヒンジ連結部36の周りで広い角度に回転することを可能にする。いくつかの実施形態では、角度θは、15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、0~165、180、195、210、225、240、255、270、285、300、315、330、345、もしくは360度未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内で変動する。角度の範囲を制限するために他の機構も使用されることにも留意されたい。
【0073】
図4のパネル(B)および
図5のパネル(B)を参照すると、第1のプレート10および第2のプレート20が2つのヒンジ103によって接続されていることが示されている。特定の数のヒンジは、アッセイの特定の要件および製造パラメータによって決定される。第1のプレート10と第2のプレート20とを接続するために、異なる種類のヒンジが互いに並んで使用されることも可能である。
【0074】
6.複数のヒンジを有する複数のプレート
図6は、QMAXカードのマルチプレート実施形態の斜視図および断面図を示す。パネル(A)は、第1のプレート10、第2のプレート20、および第3のプレート30を備えるQMAXカードの斜視図を示し、プレートは、第1のリーフ31(パネル(A)には示されていない)、第2のリーフ32、および第3のリーフ33を備えるヒンジ103によって接続されている。パネル(B)は、QMAXカードの断面図を示し、ヒンジ103と第1のプレート10、第2のプレート20、および第3のプレート30との間の接続を示しており、特に、第1のリーフ31は、第1のプレート10に接続され、第2のリーフ32は、第2のプレート20に接続され、第3のリーフ33は、第3のプレート30に接続されており、これにより、すべてのプレートを異なる配置へと互いに対して旋回させることを可能にしている。スペーサは、プレートのいずれか1つ、2つ、またはすべてに存在する。
【0075】
7.スペーサを有するQMAXカード
図7は、ヒンジの有無にかかわらずスペーサを有する一般的なQMAXカードの一実施形態を示し、ここで、Q:quantification、M:magnifying、A:adding reagents、X:accelerationであり、圧縮調整オープンフロー(CROF:compressed regulated open flow)デバイスとしても知られる。QMAXカードは、第1のプレート10および第2のプレート2を備える。特に、パネル(A)は、第1のプレート10および第2のプレート20の斜視図を示し、第1のプレートはスペーサを有する。しかしながら、スペーサはまた、第2のプレート20(図示せず)上、または第1のプレート10と第2のプレート20(図示せず)の両方の上に固定されることに留意されたい。パネル(B)は、開配置において、第1のプレート10上に試料100を載置する斜視図および断面図を示す。しかしながら、試料100はまた、第2のプレート20(図示せず)上、または第1のプレート10と第2のプレート20(図示せず)の両方の上に載置されることに留意されたい。パネル(C)は、QMAXカードの閉配置において、(i)第1のプレート10および第2のプレート20を用いて試料100(プレートの内面間の試料の流れ)を広げて、試料厚さを薄くすること、および(ii)スペーサおよびプレートを用いて試料厚さを調整すること、を示す。各プレートの内面は、1つまたは複数の結合部位および/または格納部位(図示せず)を有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、スペーサ40は、所定の均一な高さおよび所定の均一なスペーサ間距離を有する。閉配置では、
図7のパネル(C)に示すように、プレート間の間隔、それ故に、試料100の厚さは、スペーサ4によって調整される。いくつかの実施形態では、試料100の均一な厚さは、スペーサ4の均一な高さと実質的に同じである。
図7は、一方のプレートに固定されるスペーサ40を示しているが、いくつかの実施形態では、スペーサは固定されないことに留意されたい。例えば、ある実施形態では、試料を薄層へと圧縮するときに、均一なサイズを有する硬質ビーズまたは粒子であるスペーサが試料層の厚さを調整するように、スペーサが試料と混合される。
【0077】
図7は、第1のプレート10と第2のプレート20とが接続されているか否かを示していないQMAXカードの例示的実施形態を示す。いくつかの実施形態では、プレートは接続されていない。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、第1のプレート10と第2のプレート20とは、例えば、ヒンジ、ストラップ、および締結具などであるがこれらに限定されないコネクタによって接続される。このようなコネクタは、第1のプレート10と第2のプレート20とを連結し、QMAXカードが開配置と閉配置との間で切り替わることを可能にする。
【0078】
図8は、スペーサ、複数のプレート、および複数のヒンジを有するQMAXカードの一実施形態を示す。QMAXカードは、第1のプレート10、第2のプレート20、第3のプレート30、およびスペーサ40を備える。パネル(A)は、開配置におけるプレートの斜視図を示し、プレートは、部分的にまたは全体的に離間しており、プレート間の間隔はスペーサ40によって調整されず、1つ以上のプレート、または1つのプレートの上面に配置される1つの構造体(例えばフィルタ)の上に試料を載置することができる。パネル(B)は、開配置におけるプレートの断面図を示す。
【0079】
図8のパネル(A)および(B)に示すように、いくつかの実施形態では、第2のプレート20および第3のプレート30は、両方とも第1のプレート10に接続されている。ある実施形態では、第2のプレート20は、ヒンジ103を用いて第1のプレート10に接続され、第3のプレート30は、別のヒンジ103を用いて第1のプレート10に接続されている。第2のプレート20と第3プレート30とは、互いに干渉することなく第1のプレート10に対して接離する方向に旋回可能に構成されている。いくつかの実施形態では、第2のプレート20および第3のプレート30に対向する第1のプレート10の表面は内面として定義され、第2のプレート20および第3プレート30の第1のプレート10と対向する表面も、それぞれのプレートの内面と定義される。いくつかの実施形態では、ヒンジ103は、第1のプレート10の内面の上に部分的に配置され、第2のプレート20および第3のプレート30を第1のプレート10に接続する。ある実施形態では、第2のプレート20の縁部および/または第3のプレート30の縁部は、第1のプレート10の縁部と密接に位置合わせされていない。ある実施形態では、ヒンジ103は、第1のプレート10のいずれの縁部の周りも包み込んでいない。しかしながら、第2のプレート20および第3のプレート30が第1のプレート10に接続される必要はないことにも留意されたい。ある実施形態では、第2のプレート20および/または第3のプレート30は、第1のプレート10から完全に分離されている。
【0080】
図8のパネル(A)および(B)はまた、第1のプレート10に固定されたスペーサ40を示す。しかしながら、スペーサ40は、第3のプレート30、第2のプレート20、または3つのプレートの任意の選択および組み合わせに固定することができることにも留意されたい。ある実施形態では、スペーサ40は、第1のプレート10および第3のプレート30の内面に固定される。ある実施形態では、スペーサ40は、第1のプレート10および第2のプレート20の内面に固定される。ある実施形態では、スペーサ40は、第2のプレート20および第3のプレート30の内面に固定される。ある実施形態では、スペーサ40は、第1のプレート10上にのみ固定される。ある実施形態では、スペーサ40は、第2のプレート20上にのみ固定される。ある実施形態では、スペーサ40は、第3のプレート30上にのみ固定される。ある実施形態では、スペーサ40は、3つのプレートすべてに固定される。スペーサ40が2つ以上のプレート上に固定される場合、異なるプレート上のスペーサ高さは同じでも異なってもよい。いくつかの実施形態では、スペーサ40は、どのプレートにも固定されていないが、試料中で混合される。
【0081】
8.ヒンジの構造および材料
図9は、ヒンジ103の2つの例示的実施形態の断面図を示す。
図9のパネル(A)は、
図9に示すようなデザインを有するヒンジ103を示す。
図9のパネル(B)は、
図5に示されるようなデザインを有するヒンジ103を示す。
図9のパネル(A)および(B)に示すように、横方向において、ヒンジ103は、第1のリーフ31、ヒンジ連結部36、および第2のリーフ32を備える。ここで、用語「横方向」は、ヒンジ103の平坦な本体を、異なる機械的、物理的または化学的特性を有する、かつ/または異なる機能を果たす、異なるセグメントに垂直に分割することを意味する。また
図9のパネル(A)および(B)に示すように、水平方向において、ヒンジ103は、2つ以上の層を備える。ここで、用語「水平」は、ヒンジ103の平坦な本体の全部または一部を、異なる機械的、物理的または化学的特性を有する、かつ/または異なる機能を果たす、異なる層に水平に分割することを意味する。例えば、パネル(A)およびBは、いくつかの実施形態において、ヒンジ103が第1の層301および第2の層302を備えることを示す。ヒンジ103が均一な単層を備えることも可能である。他の実施形態では、ヒンジ103もまた3つ以上の層を備える。
【0082】
ヒンジ103の異なる層は、同じまたは異なる厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒンジ103の任意の層は、0.1μm、1μm、2μm、3μm、5μm、10μm、20μm、30μm、50μm、100μm、200μm、300μm、500μm、1mm、2mmの厚さ、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内の厚さを有する。
【0083】
一実施形態では、ヒンジ103の層のいずれも25μm~50μmの範囲内の厚さを有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、
図9に示すように、異なる層はヒンジ103の平坦な本体全体にわたって広がる。しかしながら、異なる層はまたヒンジ103の一部にわたって広がるだけであることに留意されたい。いくつかの実施形態では、例えば、第1の層301は、第1のリーフ31、ヒンジ連結部36、または第2のリーフ32にわたるだけである。いくつかの実施形態では、第2の層302は、第1のリーフ31、ヒンジ連結部36、または第2のリーフ32にわたるだけである。各リーフは、1層、2層、3層またはそれ以上の層を備え、第1のリーフ31および第2のリーフ32は、それぞれ異なる数の層を備える。ヒンジ連結部36もまた、1層、2層、3層またはそれ以上の層を備え、連結部36の層数は、リーフが備える層の数と同じかまたは異なる。
【0085】
いくつかの実施形態では、ヒンジ103は、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、錫、白金、ニッケル、コバルト、合金、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属材料から作られる単層を備える。
【0086】
一実施形態では、ヒンジ103の金属材料はアルミニウムである。いくつかの実施形態では、ヒンジ103は、これに限定されないがプラスチックなどのポリマー材料から作られる単層を備える。
図4のパネル(A)および(B)を参照すると、ヒンジ103が2つ以上の層を含むとき、異なる層が異なる材料から作られる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の層301は、これに限定されないがプラスチックなどのポリマー材料から作られ、第2の層302は、金属材料から作られる。さらに、第1の層301を金属材料から作り、第2の層302をポリマー材料から作ることも可能である。
【0087】
ヒンジ用のポリマー材料は、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、オレフィンポリマー、セルロースポリマー、非セルロースポリマー、ポリエステルポリマー、ナイロン、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMB)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PB)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(エチレンフタレート)(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFB)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ゴム、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、ポリスチレン、PMMB、PC、COC、COP、または他のプラスチックから選択される。ヒンジ用の金属材料は、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、錫、白金、ニッケル、コバルト、または合金からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、金属材料はアルミニウムである。
【0088】
ヒンジ103は、適用可能な任意の手段でプレートに取り付けられる。例えば、ヒンジ103は、成形によってプレートに取り付けられる。いくつかの実施形態では、ヒンジ103は、接着剤によってプレートに取り付けられる。用語「接着剤」は、本明細書で使用するとき、物体または材料を互いに接着するために使用される任意の接着剤を意味する。いくつかの実施形態では、接着剤が作られる接着材料として、デンプン、デキストリン、ゼラチン、アスファルト、瀝青、ポリイソプレン天然ゴム、樹脂、シェラック、セルロースおよびその誘導体、ビニル誘導体、アクリル誘導体、反応性アクリル系、ポリクロロプレン、スチレン-ブタジエン、スチレン-ジエン-スチレン、ポリイソブチレン、アクリロニトリル-ブタジエン、ポリウレタン、ポリスルフィド、シリコーン、アルデヒド縮合樹脂、エポキシ樹脂、アミン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィンポリマー、可溶性ケイ酸塩、リン酸セメント、もしくは他の任意の接着材料、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、接着剤は、乾燥接着剤、感圧接着剤、接触接着剤、熱接着剤、または一液型もしくは多液型反応性接着剤、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、接着剤は、天然接着剤もしくは合成接着剤、または他の由来のもの、あるいはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、接着剤は、自然硬化、熱硬化、紫外線硬化、または他の任意の処理、あるいはそれらの任意の組み合わせによる、硬化するものである。
【0089】
9.ヒンジ取り付け位置の例
いくつかの実施形態では、ヒンジは、QMAXカードの片側に取り付けられ、QMAXカードを製造するプロセスを容易にする。例えば、
図5に示すように、第1のプレートの一方の縁部が第2のプレートの一方の縁部からずれているので、ヒンジがプレートの一方の縁部の上に位置決めされて構成され、ヒンジの第1のリーフがプレートの外面に取り付けられ、第2のリーフが他のプレートの内面に取り付けられ、ヒンジ連結部はヒンジが覆うプレートの縁部に沿ってかつその近くに位置決めされる。ヒンジがQMAXカードの片側に取り付けられると、多くの場合、QMAXの製造、特にヒンジの取り付けが簡単になり、より効率的になる。
【0090】
いくつかの実施形態では、ヒンジ103の本体全体が閉配置において第1のプレート10および第2のプレート20と平行に位置合わせされているので、ヒンジ103は、単一の成形プロセスまたは接着プロセスによって第1のプレート10および第2のプレート20に取り付けられる。製造工程が容易になる。
【0091】
いくつかの実施形態では、ヒンジは、QMAXカードの両側に取り付けられる。例えば、
図4に示す実施形態では、第1のリーフは、第1のプレートの外面に取り付けられ、第2のリーフは、第2のプレートの外面に取り付けられ、第1のプレートの一方の縁部は、第2のプレートの一方の縁部に位置合わせされ、プレートのこれらの端部は、ヒンジの連結部と位置合わせされ、第1のプレートおよび第2のプレートは、互いに旋回して異なる配置を形成することを可能にする。ヒンジのこのような位置付けにより、第2のプレートと第1のプレートとの間の角度は、いくつかの実施形態では、0~360度の広い範囲を有する。
【0092】
10.タブを有するQMAXカード
図10は、第1のプレート10、第2のプレート20、および第1のプレート10と第2のプレート20とを接続するヒンジ103を備えるQMAXカードの2つの例示的実施形態の上面図を示す。
図10に示すように、第2のプレート20はまた、第2のプレート外面22に取り付けられた1つ(パネル(A)および(B))またはそれ以上(図示せず)のタブ6を備える。いくつかの実施形態では、デバイスの使用者は、タブ106のハンドル部を引っ張って2つのプレートを閉配置から開配置に切り替える。使用者はまた、タブ106のハンドル部を掴むことによって、タブ106を使用して第1のプレート10と第2のプレート20との間の角度を操作する。実際、
図6~
図7に示すノッチ105および角度θの操作に関する上記の説明は、
図10に示すタブ106にも当てはまる。
【0093】
図10に示すように、タブ106は、第2のプレート外面22に取り付けられ、第2のプレート20の縁部から突出してハンドル部を形成するので、使用者がタブ106を掴みやすくなる。いくつかの実施形態では、縁部がヒンジ縁部ではない限り、タブ106を第2のプレート2の縁部に直接取り付けることも可能である。
【0094】
図7のパネル(A)および(B)に示すように、タブ106のサイズは、特定のデザインに応じて変わる。例えば、パネル(A)に示されている実施形態では、タブ106は、第2のプレート20の全幅にわたって広がっておらず、第2のプレート2の一方の縁部からのみ突出している。パネル(B)に示す実施形態では、タブ106は、第2のプレート20の全幅にわたって広がり、第2のプレート2の2つの縁部から突出している。パネル(B)のデザインは、使用者により多くの選択肢を提供するが、短いタブ(例えばパネル(A)に示されるような)の存在がその機能にとって十分であるならば、パネル(B)のデザインは不要である。
【0095】
図1~8を参照すると、図に示されているものとは異なるプレート上に開放機構(ノッチ105およびタブ106)を位置付けることが可能である。例えば、
図1は、ノッチ105が第1のプレート10に含まれることを示しているが、それを第1のプレート10ではなく第2のプレート20に位置付け、部分的にまたは全体的に覆うことも可能である。同様に、タブ106が第2のプレート20の代わりに第1のプレート10上に存在することも可能である。しかしながら、開放機構の位置付けの変更は、第1のプレート10および第2のプレート20の他の特徴の全体のサイズおよび/またはデザインの変更を必要とすることに留意されたい。
【0096】
11.角度自己保持ヒンジの例
いくつかの実施形態では、本発明のデバイスにおけるヒンジは、角度が調節された後に2つのプレート間の角度を自己保持する。用語「自己保持する」は、ヒンジ自体を超えて追加の補助または追加のデバイスがないことを意味する。
【0097】
図1、4および5に示すように、ヒンジの角度θは、(例えば、プレートおよびヒンジを動かすために外力を加えることによって)ある位置から別の位置へ調節される。一般に、外力が取り除かれた後、ヒンジの角度θは、重力(例えばプレートの重量)および/またはヒンジの内力により、そこに外力が加えられたときの角度から著しく変化する可能性がある。「角度自己保持ヒンジ」とは、プレート/ヒンジを初期角度から最終角度に動かす外力がプレート/ヒンジから取り除かれた後、ヒンジが実質的に最終角度(故に、プレートの最終角度)を保持することを意味する。ここで、「実質的に角度を保持する」とは、外力除去前の最終角度と外力除去後の角度との差である角度差(例えば、外力ありとなしの角度差)が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、もしくは45度未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にあることを意味する。
【0098】
角度自己保持ヒンジは、いくつかの実施形態では5度以下の、いくつかの他の実施形態では10度以内の、またはある実施形態では30度以内の角度差を有する角度で自己保持する。
【0099】
いくつかの実施形態では、ヒンジは、曲げた後にヒンジの形状を自己保持する材料の層を備え、材料層は、単一材料、材料の混合物もしくは化合物、または単一材料および/または混合物材料もしくは化合物材料の多層から作られる。いくつかの実施形態では、角度自己保持特性を有する材料は、金属薄膜(例えば、アルミニウムフィルム)である。
【0100】
いくつかの実施形態では、金属(例えば、アルミニウム)の単層が、角度自己保持特性を提供するのに十分となる。しかしながら、ある実施形態では、金属層は、ヒンジを破壊する引き裂き力の影響を受けやすい。ヒンジの引き裂きを防ぎかつ他の利点のために、いくつかの実施形態では、角度自己保持ヒンジは、金属(例えばアルミニウム)材料とともにプラスチック層を備える。ある実施形態では、ヒンジは、プラスチック層をアルミニウムと積層することによって構成される。いくつかの実施形態では、プラスチック層は、接着剤の薄層である。
【0101】
いくつかの実施形態では、接着剤は、プレートに接続するヒンジ103の部分だけでなく回転するヒンジの部分も覆うので、接着剤は、ヒンジの回転特性を修正する。例えば、ヒンジ103は、アルミニウムの単一の薄膜(厚さ25ミクロン、その厚さは以前はかなり均一である)と、ヒンジ回転部を含む、プレートに接続するアルミニウムヒンジの表面全体を覆う厚さ3ミクロンの接着剤とを備える。接着剤の層は、「アルミニウムの回転角保持特性」を維持しながら、ヒンジの回転部を強化することになる。
【0102】
いくつかの実施形態では、接着剤は、層を形成し、ヒンジ103の一部とみなされる。ある実施形態では、ヒンジ103は、金属材料で作られた第1の層301、プラスチックの層である第2の層302、および接着剤の層である第3の層を備える。
【0103】
異なる層は異なる機能を果たす。例えば、接着剤の層は、ヒンジ103を第1のプレート1、第2のプレート2、または両方のプレートに取り付ける。これらに限定されないがポリスチレン、PMMA、PC、COC、COPなどであるポリマー材料の層は、ヒンジ103に対する機構支持を提供する。第1の層301が、第1のプレート10および第2のプレート20に成形されているプラスチック材料の層であることも可能となる。
【0104】
金属の層は、機械的支持を提供し、かつ/または角度が外力によって変わった後に第1のプレートおよび第2のプレートによって形成される角度を保持する。例えば、使用者が外力を加えてQMAXカードを、ある配置から別の配置へと、例えば閉配置から開配置へと変えると、金属の層は、外力が取り除かれた後にデバイスが、ある配置(例えば閉配置)に戻るのを防ぐ。このようなデザインはまた、第1のプレート10と第2のプレート2との間の異なる角度にも適用される。例えば、使用者は、第1のプレート10と第2のプレート20との間の角度を第1のθから第2のθへと変えるために外力を加え、ヒンジ103における、限定するものではないが金属層などの1つ以上の層が、外力が取り除かれた後の第2のθに対する大きな調節を防ぐ。いくつかの実施形態では、金属層は、外力が除去された後の、±90、±45、±30、±25、±20、±15、±10、±8、±6、±5、±4、±3、±2、もしくは±1超の、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内の第2のθに対する調節を防ぐことによって、第2のθを実質的に保持する。
【0105】
いくつかの実施形態では、試料の載置後およびQMAXカードが閉配置に切り替えられた後、カードは、撮像および/または分析のためにカードスロットに挿入され、次いでカードは、カードスロットから取り出される。本発明の一態様は、ヒンジが、QMAXカードを閉配置に変えるための外力が取り除かれた後に、QMAXカードの閉配置を保持するように構成されていることである。このようにして、QMAXカードは、2つ(またはそれ以上、
図6を参照)のプレートを誤って分離することなく、カードスロット内外にスライドすることができる。
【0106】
12.ヒンジを有するQMAXカードの作成方法(QMAXカード)
QMAXカードの製造におけるいくつかの実施形態では、第1のプレート、第2のプレート、およびヒンジを最初に別々に製造し、次いで第1のプレートおよび第2のプレートを一緒に配置し、最後にヒンジを第1のプレートおよび第2のプレートに接続する。
【0107】
QMAXカードを製造する際のいくつかの実施形態では、ヒンジと一方のプレートとを組み立て、次いで他方のプレートをヒンジ上に置く。
【0108】
13.溢れ防止機構を有するQMAXカード
図11は、第1のプレート10、第2のプレート20、および溢れ防止機構(溢れ防止溝107または壁108)を備える、QMAXデバイスの2つの例示的実施形態を示す。上述のように、プレートは、異なる配置へと互いに対して可動であり、一方または両方のプレートは可撓性であり、各プレートは、そのそれぞれの内面11および21上に、液体試料と接触するための試料接触領域(図示せず)を有する。
【0109】
特に、パネル(A)および(B)では、溢れ防止溝107は第1のプレート10内に陥没しており、試料接触領域を取り囲んでいる(特定の実施形態では部分的または完全に)。上述のように、いくつかの実施形態では、プレートが開配置から閉配置に移行する間に、載置された試料は圧縮され、このような圧縮は試料の薄層への変形をもたらす。試料の厚さの減少は、その横方向寸法の拡大によって確実に達成されて実現される(試料が液体である場合には「オープンフロー」として知られるように)。したがって、ある実施形態では、望ましくないことに、試料が試料接触領域の外側に、またはプレートの外側にさえも流れる可能性がある。本明細書で提供されるような、溢れ防止溝107の機能は、液体試料のそのような溢れを防ぐことである。いくつかの実施形態では、溢れ防止溝は、第2のプレートまたは両方のプレートに陥没していることに留意されたい。いくつかの実施形態では、1つのプレート上に2つ以上の溢れ防止溝がある。
【0110】
パネル(C)および(D)は、QMAXデバイスが第1のプレート内面11に固定された溢れ防止壁108を有し、溢れ防止機構として試料接触領域の囲いを形成していることを示している。いくつかの実施形態では、溢れ防止壁は、第2のプレートまたは両方のプレートに固定されていることに留意されたい。いくつかの実施形態では、1つのプレート上に2つ以上の溢れ防止壁がある。
【0111】
いくつかの実施形態では、デバイスは、溢れ防止のために溢れ防止溝(複数可)と溢れ防止壁(複数可)の両方を有する。溢れ防止溝(複数可)および溢れ防止壁(複数可)の寸法および空間的関係は、試料の溢れの防止を最大にするように構成される。
【0112】
図中の溢れ防止溝107および溢れ防止壁108は、いずれも長方形の形状を有しており、導電的に閉じられている。しかしながら、他の実施形態では、溢れ防止溝または溢れ防止壁は、これらに限定されないが、円形、三角形、丸形、楕円形、多角形、またはこれらの形の重ね合わせ形状などの閉じた地帯とすることも可能である。溢れ防止溝または壁は、同様に、任意の可能な断面形状を有することができ、それは均一または不均一のいずれかである。また、いくつかの実施形態では、溢れ防止溝は、閉じているかわりに開いていてもよく、いくつかの実施形態では、溢れ防止壁は、囲いを形成しないことも可能である。これらの実施形態では、溢れ防止溝または壁は、直線、曲線、弧、枝分かれした樹状のもの、または開放端を有する他の任意の形状などの形状である。いくつかの特定の実施形態では、溢れ防止溝または溢れ防止壁は、試料が溢れやすい場所であるとわかっているか、または予測される試料接触領域の1つ以上の側面上のみにあるように設計される。
【0113】
図に示すように、溢れ防止溝107の容積は、その横方向寸法(閉じた溢れ防止溝の場合は長さまたは周囲長、および断面幅1062)と厚さ1063によって決まる。確かに、深さ1063は、溢れ防止溝がプレート上の貫通孔となるように第1のプレート153の厚さよりも小さい。溢れ防止溝の正確な寸法は、予想される溢れる試料の体積よりも大きい所定の容積を溢れ防止溝が有するように構成され、この予想される溢れる試料の体積は、2つのプレートの閉配置において試料接触領域の外側に流れる、予想される試料の体積である。
【0114】
溢れ防止溝と同様に、溢れ防止壁108の横方向寸法(閉じた溢れ防止溝の場合の長さまたは周囲長さ、および断面横方向幅1082)および高さ1083はまた、2つのプレートの閉配置において試料が試料接触領域の外側に流れるのを防ぐというその機能を果たすように構成される。
【0115】
図12は、第1のプレート10、第2のプレート20、および溢れ防止溝107を備えるQMAXデバイスの別の例示的実施形態を示す。プレートは、第1のリーフ31、第2のリーフ32、およびヒンジ連結部36を備えるヒンジ103を介して接続されている。上述のように、プレートは、異なる配置へと互いに対して可動であり、一方または両方のプレートは可撓性であり、各プレートは、そのそれぞれの内面11および21上に、液体試料と接触するための試料接触領域(図示せず)を有する。特に、溢れ防止溝107は、第1のプレート10内に陥没しており、上述のように試料の溢れ防止のために試料接触領域を取り囲んでいる(特定の実施形態では部分的にまたは完全に)。
【0116】
14.ヒンジなしのQMAXデバイス
QMAXデバイスのいくつかの実施形態では、
図11に示すように、第1のプレート10と第2のプレート20とを接続するヒンジがないことに留意されたい。2つのプレートは、開配置では完全に離間され、そして互いに閉配置へと移行する。
【0117】
15.スライドトラックおよびプレート対
いくつかの実施形態では、QMAXデバイスまたはカードは、試料分析のためにアダプタに挿入される。アダプタは、撮像のための閉じたQMAXデバイスを受け入れて位置決めするためのレセプタクルスロットを備える。いくつかの実施形態では、レセプタクルスロットは、QMAXデバイスを受け入れて撮像デバイスの視野および焦点範囲内でQMAXデバイス内に試料を位置決めするための、レセプタクルスロットの内側に取り付けられた試料スライダを備える。試料スライダは、スライドトラックを備え、スライドトラックは、閉じたQMAXデバイスと係合し、係合したQMAXデバイスがスライドトラックに沿って前後にスライドすることができるように構成されている。用語「スライド」は、本明細書で使用するとき、スライドトラックと連続的に接触し、その中で地質学的に閉じ込められながら動くQMAXデバイスの動作を指す。
【0118】
図13は、QMAXデバイスを保持する例示的な試料スライダの構造を概略的に示す(左:斜視図、中央:内部の詳細を伴う上面図、右:断面dd’の断面図)。試料スライダは、それに沿ってスライドするための、QMAXデバイス用のスライドトラックを有するトラックフレームと、QMAXデバイスと一緒に動いてガイドするためにスライドトラックの内側に予め設置された可動アームと、を備える。いくつかの実施形態では、可動アームは、QMAXデバイスを2つ以上の所定の停止位置で停止させるための停止機構を備える。いくつかの実施形態では、トラックスロットの幅および高さは、スライド方向に垂直な水平方向にQMAXデバイスが0.5mm未満に、QMAXデバイスの厚さ方向に沿って0.2mm未満に、シフトすることを確実にするように慎重に構成される。いくつかの実施形態では、いずれかの方向に沿ったシフトは、5mm、2mm、1mm、0.5mm、0.25mm、0.2mm、0.1mm、0.05mm、0.01mm、0.005mm、0.001mm未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内に維持される。
【0119】
図14は、いくつかの例示的実施形態に係る2つの所定の停止位置の間で切り替わる可動アームの概略図である。QMAXデバイスおよび可動アームを一緒にトラックスロットの端まで押してから放すことで、QMAXデバイスは、QMAXデバイスをスライダから簡単に取り出すために試料領域がスマートフォンのカメラの視野外となる位置1で、または、撮像するために試料領域がスマートフォンのカメラの視野の真下となる位置2で停止することができる。
【0120】
いくつかの実施形態では、操作を容易にするため、特に、閉じられたQMAXカードをアダプタ内外にスライドすることを容易にするために、デバイスにいくつかの望ましい機能を含めることが必要である。
【0121】
場合によっては、デバイスは、上述のようにプレートのうちの1つに後退縁部(複数可)を有するように設計されている。
図1、2、3、5、および10に示すように、いくつかの実施形態では、一方のプレート、例えば第2のプレート20は、他方のプレート、例えば第1のプレート10の対応する縁部の縁部に対して後退している。ある実施形態では、一方のプレート上の隣接する平行な縁部と比較して、他方のプレートに1つ、2つ、3つ、または4つの後退縁部がある。
【0122】
後退部(例えば後退部154または後退部152)の幅は変えることができる。いくつかの実施形態では、後退部の幅は、後退プレートの幅の1/100、1/50、1/24、1/12、1/10、1/9、1/8、1/6、1/5、1/4、1/3、1/2、もしくは2/3未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。いくつかの実施形態では、後退部の幅は、1μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、7500μm、1mm、5mm、10mm、100mm、もしくは1000mm未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0123】
場合によっては、特に、
図11に示すように2つのプレートがヒンジで接続されていない場合、第1のプレート10は、比較的大きな横方向寸法(この場合、251および252と比較してより長い辺長151および152)と、第2のプレート20(253)の厚さよりも比較的大きい厚さ153と、を有する。そして場合によっては、大きくて厚いプレートはまた他のプレートよりも比較的硬い。いくつかの実施形態では、2つのプレート間の平均横方向寸法差は、約0.5%以下、1%以下、2%以下、5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、80%以下、90%以下、95%以下、99%以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。いくつかの実施形態では、2つのプレート間の平均横方向寸法差は、1μm以下、10μm以下、20μm以下、30μm以下、40μm以下、50μm以下、100μm以下、200μm以下、300μm以下、400μm以下、500μm以下、7500μm以下、1mm以下、5mm以下、10mm以下、100mm以下、もしくは1000mm以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。いくつかの実施形態では、2つのプレート間の平均厚さの差は、2nm以下、10nm以下、100nm以下、200nm以下、500nm以下、1000nm以下、2μm(ミクロン)以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm(ミリメートル)以下、2mm以下、3mm以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0124】
いくつかの実施形態では、QMAXデバイスの前述の特徴は、とりわけ、以下の動作上の利点を確実にする。(1)使用者は、比較的小さくてより薄い/より柔らかいプレートを、大きくてより厚いプレート上にかつ後者の境界内に置いて、2つのプレートの相対位置を微調節する必要なく2つのプレートを押すことによって、プレートを押して閉配置に移行させるときに容易に2つのプレートを完全に重なり合わせることができる。閉じた2つのプレートの完全な重なりは、閉じたプレートの横方向寸法が、アダプタのスライドトラックがぴったり合うように設計されている2つのプレートの最大寸法に等しいことを意味する。したがって、2つのプレートの相対位置を固定するヒンジがない場合でも、使用者は、閉じたプレートを予め設計されたアダプタに容易に確実に合わせることができる。(2)閉じたプレートをアダプタに挿入する間、比較的より厚いおよび/またはより硬いプレートは、閉じたプレートを開かせるまたはそれを変形させることなく、スライドトラックへのプレートのドッキングのための、およびトラック内でのスライド動作のための、ガイドとして役立ち得る。
【0125】
他の場合では、
図13、14、および15に示すように、QMAXデバイスの1つの隅部の形状は、他の3つの直角の隅部とは異なるように構成されており、試料スライダの可動アームの形状は、QMAXデバイスがトラックスロット内の正しい位置に正しい方向のみにスライドできるように、特別な形状を有する隅部の形状と一致する。QMAXデバイスと試料スライダの両方のそのような組み合わせの特徴は、正しい挿入方向を確実にする。
図15に示すように、QMAXデバイスが裏返されるかまたは誤った側から挿入されるとき、QMAXデバイスが正しく挿入された場合よりもQMAXデバイスがスライダの外側に長い距離延びていることにオペレータが気付きやすい。
【0126】
16.QMAXカードの寸法
上述のように、QMAXカードの2つ(またはそれ以上)のプレートの厚さ、幅、および/または長さは、同じでも異なっていてもよい。
【0127】
カードの形状:
いくつかの実施形態では、2つのプレートの形状は、丸形、楕円形、長方形、三角形、多角形、リング形、またはこれらの形状の任意の重ね合わせである。
【0128】
いくつかの実施形態では、QMAXカードの2つ(またはそれ以上)のプレートは、同じサイズおよび/もしくは形状、または異なるサイズおよび/もしくは形状を有することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、QMAXカードの2つ(またはそれ以上)のプレートのうちの少なくとも1つは、使用者の安全上の懸念から、丸い隅部を有し、その丸い隅部は、100μm以下、200μm以下、500μm以下、1mm以下、2mm以下、5mm以下、10mm以下、50mm以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内の直径を有する。
【0130】
概して、プレートは、形状が試料の圧縮オープンフローおよび試料厚さの調整を可能にする限り、任意の形状を有することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、特定の形状が有利である。
【0131】
カードの厚さ:
QMAXカードの2つ(またはそれ以上)のプレートの厚さ、幅、および/または長さは、同じでも異なっていてもよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均厚さは、2nm以下、10nm以下、100nm以下、200nm以下、500nm以下、1000nm以下、2μm(ミクロン)以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm(ミリメートル)以下、2mm以下、3mm以下、5mm以下、10mm以下、20mm以下、50mm以下、100mm以下、500mm以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0133】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの厚さは、0.5~1.5mmの範囲内にある。
【0134】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの厚さは、約1mmである。
【0135】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの厚さは、0.15~0.2mmの範囲内にある。
【0136】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの厚さは、約0.175mmである。
【0137】
いくつかの実施形態では、プレートの厚さは、約0.175mであり、他のプレートは、0.05mm以下である。
【0138】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの厚さは、0.01~0.15mmの範囲内にある。
【0139】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの厚さは、約0.025mm以下である。
【0140】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの厚さは、約0.05mm以下である。
【0141】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの厚さは、約0.1mm以下である。
【0142】
いくつかの実施形態では、両方のプレートの厚さは、約0.1mm以下である。
【0143】
いくつかの実施形態では、両方のプレートの厚さは、約0.05mm以下である。
【0144】
いくつかの実施形態では、プレートのうちのいずれか1つの厚さは、プレート全体にわたって均一ではない。異なる場所で異なるプレート厚さを採用することは、プレートの曲げ、折り畳み、試料厚さの調整などを制御するために使用され得る。
【0145】
カードの面積、幅、長さ:
プレートのうちのいずれか1つの面積は、特定の用途に依存する。
【0146】
いくつかの実施形態では、プレートの少なくとも1つの面積は、1mm2(平方ミリメートル)以下、10mm2以下、25mm2以下、50mm2以下、75mm2以下、1cm2(平方センチメートル)以下、2cm2以下、3cm2以下、4cm2以下、5cm2以下、10cm2以下、100cm2以下、500cm2以下、1000cm2以下、5000cm2以下、10,000cm2以下、10,000cm2以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0147】
いくつかの実施形態では、QMAXカードの少なくとも1つのプレートの面積は、500~1000mm2の範囲内にある。
【0148】
いくつかの実施形態では、一方のプレートの面積は、約600mm2であり、他方のプレートの面積は、約750mm2である。
【0149】
いくつかの実施形態では、QMAXカードのプレートのうちの少なくとも1つの幅は、1mm以下、5mm以下、10mm以下、15mm以下、20mm以下、25mm以下、30mm以下、35mm以下、40mm以下、45mm以下、50mm以下、100mm以下、200mm以下、500mm以下、1000mm以下、5000mm以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0150】
いくつかの実施形態では、QMAXカードの少なくとも1つのプレートの幅は、20~30mmの範囲内にある。
【0151】
いくつかの実施形態では、一方のプレートの幅は、約22mmであり、他方のプレートの幅は、約24mmである。
【0152】
いくつかの実施形態では、QMAXカードのプレートのうちの少なくとも1つの長さは、1mm以下、5mm以下、10mm以下、15mm以下、20mm以下、25mm以下、30mm以下、35mm以下、40mm以下、45mm以下、50mm以下、100mm以下、200mm以下、500mm以下、1000mm以下、5000mm以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0153】
いくつかの実施形態では、QMAXカードの少なくとも1つのプレートの長さは、20~40mmの範囲内にある。
【0154】
いくつかの実施形態では、一方のプレートの長さは、約27mmであり、他方のプレートの長さは、約32mmである。
【0155】
ノッチ:
いくつかの実施形態では、他方のプレートを容易に剥離して2つのプレートを分離するために、プレートの一方の側にノッチまたはマルチノッチがある。
【0156】
いくつかの実施形態では、ノッチの形状は、丸形、楕円形、長方形、三角形、多角形、リング形、またはこれらの形状の任意の重ね合わせである。
【0157】
いくつかの実施形態では、ノッチのサイズは、1mm2(平方ミリメートル)以下、10mm2以下、25mm2以下、50mm2以下、75mm2以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0158】
いくつかの実施形態では、QMAXカード上の各ノッチの面積は、10~30mm2の範囲内にある。
【0159】
いくつかの実施形態では、ノッチは、直径3~6mmの半円形である。
【0160】
いくつかの実施形態では、ノッチは、3mmの幅および6mmの長さを有する。
【0161】
いくつかの実施形態では、ノッチは、より厚いプレートの短幅側に位置する。
【0162】
いくつかの実施形態では、2つのノッチは、より厚いプレートの2つの長幅側に位置する。
【0163】
ヒンジ:
いくつかの実施形態では、ヒンジのサイズは様々であり、プレートのサイズおよびデバイスの用途の特定の必要性に応じて調整することができる。
【0164】
いくつかの実施形態では、ヒンジの形状は、丸形、楕円形、長方形、三角形、多角形、リング形、またはこれらの形状の任意の重ね合わせである。
【0165】
いくつかの実施形態では、ヒンジ連結部の長さは、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、40mm、50mm、100mm、200mm、もしくは500mm未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0166】
いくつかの実施形態では、ヒンジ連結部の長さは、約20mmである。
【0167】
いくつかの実施形態では、ヒンジ連結部の幅は、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、40mm、50mm、100mm、200mm、もしくは500mm未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0168】
いくつかの実施形態では、ヒンジ連結部の幅は、約6mmである。
【0169】
いくつかの実施形態では、ヒンジ連結部の長さの、ヒンジ連結部36が位置合わせされているプレート縁部の長さに対する比は、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0170】
一実施形態では、ヒンジ連結部の長さの、ヒンジ連結部36が位置合わせされているプレート縁部の長さに対する比は1であり、これは、ヒンジ連結部がヒンジ縁部を完全に覆うことを示す。
【0171】
いくつかの実施形態では、ヒンジの全体面積は、1mm2、5mm2、10mm2、20mm2、30mm2、40mm2、50mm2、100mm2、200mm2、500mm2未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0172】
いくつかの実施形態では、ヒンジの全面積は、約120mm2である。
【0173】
いくつかの実施形態では、ヒンジの全体のサイズの、プレートのうちの1つの全体のサイズに対する比は、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、0.01未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0174】
いくつかの実施形態では、ヒンジの全体のサイズの、プレートのうちの1つの全体のサイズに対する比は、約0.16~0.20である。
【0175】
ヒンジの異なる層は、同じまたは異なる厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒンジの任意の層は、0.1μm、1μm、2μm、3μm、5μm、10μm、20μm、30μm、50μm、100μm、200μm、300μm、500μm、1mm、2mmの厚さ、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内の厚さを有する。
【0176】
一実施形態では、ヒンジの層のいずれも25μm~50μmの範囲内の厚さを有する。
【0177】
一実施形態では、ヒンジ層のいずれも50μm~75μmの範囲の厚さを有する。
【0178】
一実施形態では、ヒンジ層のいずれも約68μmの厚さを有する。
【0179】
レセプタクルスロット:
いくつかの実施形態では、レセプタクルスロットの受容領域、またはスライドトラックによって覆われる横方向領域は、QMAXデバイスの面積以上の面積を有する。
【0180】
いくつかの実施形態では、レセプタクルスロットの受容領域の形状は、丸形、楕円形、長方形、三角形、多角形、リング形、またはこれらの形状の任意の重ね合わせである。
【0181】
いくつかの実施形態では、スライドトラックの平均ギャップサイズは、デバイスの平均厚さよりも100nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μm、50μm、100μm、300μm、500μm、1mm、2mm、5mm、1cm、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内の値だけ大きい。
【0182】
いくつかの実施形態では、スロットの平均ギャップサイズは、デバイスの平均厚さよりも50μm~300μmだけ大きい。
【0183】
いくつかの実施形態では、レセプタクルスロットの受容面積は、デバイスの面積よりも1mm2(平方ミリメートル)以下、10mm2以下、25mm2以下、50mm2以下、75mm2以下、1cm2(平方センチメートル)以下、2cm2以下、3cm2以下、4cm2以下、5cm2以下、10cm2以下、100cm2以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内の値だけ大きい。
【0184】
いくつかの実施形態では、一方のプレートまたは両方のプレートの形状は、レセプタクルスロットの形状と同じである。
【0185】
一実施形態では、レセプタクルスロットは、長さ31mm、幅27mm、および高さ2.5mmの、1つの開口面を有する箱型の形状を有する。
【0186】
いくつかの実施形態では、QMAXデバイスは、それらが完全に係合しているとき、最大でも部分的にのみレセプタクルスロットの内側にあり、一方のプレートまたは両方のプレートの一部の形状は、レセプタクルスロットの形状と同じである。
【0187】
その他:
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つは、幅、厚さ、および長さを有するベルト(またはストリップ)の形態である。いくつかの実施形態では、幅は、最大0.1cm(センチメートル)、最大0.5cm、最大1cm、最大5cm、最大10cm、最大50cm、最大100cm、最大500cm、最大1000cm、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。長さは、必要とされる程度に長い。いくつかの実施形態では、ベルトはロールに巻かれる。
【0188】
17.使い捨てカード
いくつかの実施形態では、開示されたQMAXカードが安価な材料で作られて低コストで製造され、したがって使用者に対する経済的負担が比較的低いレベルにあることが本発明の重要な利点である。
【0189】
いくつかの実施形態では、QMAXカードは、一度使用した後に廃棄されるように構成される。
【0190】
いくつかの実施形態では、QMAXカードは、環境的に安全であるように構成され、したがってその廃棄は特別な処理を必要としない。一態様では、いくつかの実施形態において本明細書で提供されるような基本的なQMAXカード用の材料(プレートおよび/またはヒンジ)のいずれも、人間または環境に対して有毒または危険であるものとして知られているものではない。別の態様では、いくつかの実施形態においてプレート用に設計された丸い隅部は、使用者またはゴミ収集者を含む、それらにさらされる可能性がある他の人々のいずれかに対する意図しない刺し傷または切り傷を回避するために特に有用である。さらに、ある実施形態における溢れ防止機構は、プレート間に載置する生物学的および/または化学的に繊細な試料材料との意図しない接触またはそれらへの曝露を防止するのに有用である。
【0191】
18.アルミニウムおよび接着剤のヒンジを有するQMAXカードの例
図16Aおよび
図16Bは、QMAXカードの例示的実施形態の上面図を示す。QMAXカードは、Cプレート、Xプレート、およびヒンジを備える。例示的なQMAXカードのデザインは、操作を容易にするためのいくつかの特徴を含み、それには、(1)Cプレートのノッチ、丸い隅部、および凹んだ隅部、(2)Xプレートの凹んだ隅部および4つの後退縁部、ならびに(3)1層のアルミニウム箔と1層のアクリル系接着剤とで作られた角度自己保持ヒンジ、が含まれる。この特定の例では、Cプレートはまた、試薬が生物的/化学的アッセイのために印刷される試薬印刷領域を有する。
【0192】
図16Aは、デバイスの分解された個々の構成要素と、Cプレート、Xプレート、およびヒンジ、ならびにノッチの具体的な寸法および測定値とを示す。例えば、QMAXカードに適用した場合、ヒンジは、半径1.5mmの丸い縁部とともに6mm×20mmのサイズを有する。
【0193】
図16Bは、組み立てられた例示的なQMAXカードの上面図を示す。このQMAXカードの構成は、そのリーフの1つがCプレートの内面(図示せず)に取り付けられ、他のリーフがXプレートの外面(図示せず)に取り付けられ、ヒンジ連結部が2つのプレートのヒンジ縁部に対して長手方向に平行に位置決めされるようにヒンジが位置決めされるという点で
図5に示されるものと同様であり、2つのプレートが互いに旋回して開配置と閉配置との間で切り替わることを可能にする。ヒンジは、位置合わせされているが、プレート縁部のいずれの周りも包み込んでいない。さらに、2つのプレートは、Xプレートのすべての縁部がCプレートの境界内にあり(「後退している」)、Xプレートの開口縁部が部分的にノッチの上に並ぶように位置決めされている。
【0194】
ある実施形態では、アルミニウム箔の厚さ(
図16Aおよび16Bに例示すように)は、30~40μm(例えば、約35μm)であり、ある実施形態では、アクリル接着剤層の厚さは、30~40μm(例えば約33μm)である。ある一実施形態では、アルミニウム箔(3M(商標)金属箔テープ、製品番号3381)は、35μmの厚さであり、アクリル接着剤層は、33μmの厚さであり、これによりヒンジの総厚は68μmとなる。
【0195】
19.試料スライダおよびQMAXデバイスの例
試料スライダとQMAXデバイスとの組み合わせの例示的実施形態では、トラックフレーム、スライドトラック、およびQMAXデバイスを有する(このデバイスは、電子デバイスのスロットにスライドするメモリカードと同様である)。特に、スライドトラックのギャップは、1.25mmであり、QMAXデバイスの厚さは1.175mmであり、これはギャップより0.075mm短く、スライディングトラックの受け側の長さは、24.5mmである一方、QMAXデバイスの係合側(デバイスがスロットに挿入されている間にスロットに面するデバイスの側)の長さは24mmであり、これは受け側の長さより0.5mm短い。これらの小さな寸法差は、以下の好ましい機械的利点を提供する。一方では、QMAXデバイスは、スライドトラックの内側で滑らかに滑動することができ、他方では、レセプタクルスロット内でのQMAXデバイスの位置決めは、わずかな変動があっても依然として正確である。そのような変動がどの程度許容できるかは、QMAXデバイスおよび試料スライダを使用する最終目的に依存することに留意されたい。
【0196】
20.QMAXアッセイおよびデバイスの詳細
以下の説明は、
図1に示すようなプレートおよびスペーサに関するものである。これらの説明の要素はまた、
図2~
図8に示されて説明されているような特徴と組み合わされる。
【0197】
開配置いくつかの実施形態では、開配置において、2つのプレート(すなわち、第1のプレートと第2のプレート)は互いに分離されている。ある実施形態では、2つのプレートは、プレートのすべての操作(開閉配置を含む)の間、一緒に接続された1つの縁部を有し、2つのプレートは書籍と同様に開閉する。いくつかの実施形態では、2つのプレートは、長方形(または正方形)の形状を有し、プレートのすべての操作の間、長方形の2つの辺が(例えばヒンジまたは同様のコネクタで)互いに接続されている。
【0198】
いくつかの実施形態では、開配置は、プレートが互いに遠く離れている配置であり、それにより、他のプレートを妨げることなく試料が対のうちの一方のプレートに載置される。いくつかの実施形態では、プレートの2つの側面が接続されているとき、開配置は、プレートが広角(例えば、60~180、90~180、120~180、または150~180度の範囲)を形成する配置であり、それにより、他方のプレートを妨げることなく、試料が対のうちの一方のプレート上に載置される。
【0199】
いくつかの実施形態では、開配置は、プレートが遠方にある配置を含み、それにより、試料は、あたかも他のプレートが存在しないかのように、一方のプレート上に直接載置される。
【0200】
いくつかの実施形態では、開配置は、一対のプレートが少なくとも10nm、少なくとも100nm、少なくとも1000nm、少なくとも0.01cm、少なくとも0.1cm、少なくとも0.5cm、少なくとも1cm、少なくとも2cm、もしくは少なくとも5cm、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内の距離だけ離間している配置である。
【0201】
いくつかの実施形態では、開配置は、一対のプレートが異なる向きに配向されている配置である。いくつかの実施形態では、開配置は、試料の追加を可能にするように構成された一対のプレート間のアクセスギャップを画定する配置を含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、開配置は、各プレートが試料接触面を有し、プレートが開配置にあるときにプレートの少なくとも1つの接触面が露出する配置を含む。
【0203】
閉配置および試料厚さの調整
いくつかの実施形態では、2つのプレートの閉配置は、2つのプレートの内面間の間隔(すなわち距離)が、2つのプレート間のスペーサによって調整される配置である。いくつかの実施形態では、閉配置は、試料がプレートに追加されたかどうかに関連しない。いくつかの実施形態では、2つのプレートの内面間の間隔は、実質的に均一であり、スペーサの均一な高さに同等である。
【0204】
試料が追加された後のQMAXプロセスの圧縮工程の間、プレートの内面(「試料表面」とも称する)は試料と接触しているので、いくつかの実施形態では、閉配置において、試料厚さはスペーサによって調整される。
【0205】
プレートを開配置から閉配置にするプロセスの間、プレートは互いに向き合っており(プレートの少なくとも一部は互いに向き合っている)、2つのプレートを一緒にするために力が用いられる。試料が載置されている場合、2つのプレートが開配置から閉配置に移行すると、2つのプレートの内面がプレート(複数可)上に載置された試料を圧縮して試料厚さを減少させ(一方で、試料は、プレート間の横方向のオープンフローを有する)、試料の関連体積の厚さは、スペーサ、プレート、および使用される方法、ならびに試料の機械的/流体的性質によって決定される。閉配置での厚さは、所与の試料ならびに所与のスペーサ、プレート、およびプレートプレス方法に対して予め決められている。
【0206】
「スペーサによるプレートの内面間の間隔の調整」または「プレートおよびスペーサによる試料厚さの調整」、または「試料の厚さはスペーサおよびプレートにより調整される」という用語は、QMAXプロセスにおけるプレート間の間隔および/または試料厚さが、所与のプレート、スペーサ、試料、およびプレス方法によって決定されることを意味する。
【0207】
いくつかの実施形態では、閉配置における内面間の調整された間隔および/または調整された試料厚さは、スペーサの高さまたはスペーサの均一な高さと同じであり、この場合、閉配置では、スペーサは、両方のプレートと直接接触する(一方のプレートは、スペーサが固定されているプレートであり、他方のプレートは、スペーサと接触することになるプレートである)。
【0208】
ある実施形態では、閉配置における内面間の調整された間隔および/または調整された試料厚さは、スペーサの高さよりも大きく、この場合、閉配置では、スペーサは、その表面にスペーサが固定または取り付けられているプレートのみに直接接触し、他のプレートに間接的に接触する(すなわち、間接接触)。プレートとの「間接接触」という用語は、スペーサとプレートとが、「残留層」と称されかつその厚さが「残留物厚さ」と称される、薄い空気の層(試料が載置されていないとき)または薄い試料層(試料が載置されているとき)によって分離されることを意味する。所与のスペーサおよびプレート、所与のプレートプレス方法、および所与の試料について、残留物厚さは、予め決定され(閉配置に達する前の予め決定された手段)、閉配置での試料厚さの事前決定をもたらす。これは、残留物層厚さが、所与の条件(試料、スペーサ、プレート、および押圧力)に対して同じであり、事前に較正および/または計算されているためである。調整された間隔または調整された試料厚さは、スペーサの高さに残留物厚さを加えたものにほぼ等しい。
【0209】
多くの実施形態では、スペーサは、ピラー形状を有し、ピラーのサイズおよび形状は、それらの使用前に予め特徴付けられている(すなわち予め決定されている)。そして、予め決定されたパラメータは、試料体積(または関連体積)およびその他の決定などの、後のアッセイのために使用される。
【0210】
いくつかの実施形態では、内面間の間隔および/または試料厚さを調整することは、プレート間の間隔を保持するためにプレートに閉鎖(圧縮)力を加えることを含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、内面間の間隔および/または試料厚さの調整は、スペーサを有するプレート間の間隔、プレートに加えられる閉鎖力、および試料の物理的特性を確立することを含み、任意選択的に試料の物理的特性は、粘度および圧縮率のうちの少なくとも一方を含む。
【0212】
プレート
本発明では、概して、QMAXのプレートは、(i)スペーサと一緒に、プレート間の全間隔の一部および/または試料の一部もしくは全体積の厚さを調整するのに使用でき、(ii)試料、アッセイ、またはプレートが達成しようとしている目標に対して重大な悪影響を及ぼさない、任意の材料で作られる。しかしながら、ある実施形態では、特定の材料(故にそれらの特性)をプレートに使用してある目的を達成することができる。
【0213】
いくつかの実施形態では、2つのプレートは、以下のパラメータのそれぞれについて同じまたは異なるパラメータを有する:プレート材料、プレート厚さ、プレート形状、プレート面積、プレートの可撓性、プレートの表面特性、およびプレートの光透過性。
【0214】
プレート材料
いくつかの実施形態では、プレートは、単一材料、複合材料、複数材料、材料の多層、合金、またはそれらの組み合わせで作られる。プレートのための材料のそれぞれは、無機材料、有機材料、または混合物であり、材料の例は、Mat-1およびMat-2の実施形態において与えられる。
【0215】
Mat-1
プレートのいずれか1つの無機材料は、ガラス、石英、酸化物、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(AlO)、半導体:(ケイ素、GaAs、GaNなど)、金属(例えば、金、銀、銅、アルミニウム、Ti、Niなど)、セラミック、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0216】
Mat-2
プレートのいずれか1つの有機材料は、ポリマー(例えばプラスチック)または非晶質有機材料を含むが、これらに限定されない。プレート用のポリマー材料としては、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、オレフィンポリマー、セルロースポリマー、非セルロースポリマー、ポリエステルポリマー、ナイロン、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(エチレンフタレート)(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ゴム、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0217】
いくつかの実施形態では、プレートはそれぞれ独立して、ガラス、プラスチック、セラミック、および金属のうちの少なくとも1つで作られている。いくつかの実施形態では、各プレートは、ガラス、プラスチック、セラミック、および金属のうちの少なくとも1つを独立して含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、一方のプレートは、横方向領域、厚さ、形状、材料、または表面処理において他のプレートとは異なる。いくつかの実施形態では、一方のプレートは、横方向領域、厚さ、形状、材料、または表面処理において他のプレートと同じである。
【0219】
プレート用の材料は、剛性、可撓性、またはこれら2つの間の任意の可撓度を有する。剛性(すなわち、硬さ)または可撓性は、プレートを閉配置に移行させるのに使用される所与の押圧力に比例する。
【0220】
いくつかの実施形態では、剛性または可撓性のプレートの選択は、閉配置での試料厚さの均一性を制御するという要件から決定される。
【0221】
いくつかの実施形態では、2つのプレートのうちの少なくとも1つは(光に対して)透明である。いくつかの実施形態では、一方のプレートまたは両方のプレートの少なくとも一部またはいくつかの部分は透明である。いくつかの実施形態では、プレートは不透明である。
【0222】
プレート厚さ
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均厚さは、2nm以下、10nm以下、100nm以下、200nm以下、500nm以下、1000nm以下、2μm(ミクロン)以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm(ミリメートル)以下、2mm以下、3mm以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0223】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均厚さは、最大3mm(ミリメートル)、最大5mm、最大10mm、最大20mm、最大50mm、最大100mm、最大500mm、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0224】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均厚さは、1~1000μm、10~900μm、20~800μm、25~700μm、25~800μm、25~600μm、25~500μm、25~400μm、25~300μm、25~200μm、30~200μm、35~200μm、40~200μm、45~200μm、または50~200μmの範囲内にある。いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均厚さは、50~75μm、75~100μm、100~125μm、125~150μm、150~175μm、または175~200μmの範囲内にある。いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均厚さは、約50μm、約75μm、約100μm、約125μm、約150μm、約175μm、または約200μmである。
【0225】
いくつかの実施形態では、プレートの厚さは、プレート全体にわたって均一ではない。異なる場所で異なるプレート厚さを使用することは、プレートの曲げ、折り畳み、試料厚さの調整などを制御するために使用される。
【0226】
プレートの形状および面積
概して、プレートは、形状が試料の圧縮オープンフローおよび試料厚さの調整を可能にする限り、任意の形状を有することができる。しかしながら、ある実施形態では、特定の形状が有利である。プレートの形状は、丸形、楕円形、長方形、三角形、多角形、リング形、またはこれらの形状の任意の重ね合わせである。
【0227】
いくつかの実施形態では、2つのプレートは、同じサイズおよび/もしくは形状、または異なるサイズおよび/もしくは形状を有することができる。プレートの面積は、特定の用途に依存する。いくつかの実施形態では、プレートの面積は、最大1mm2(平方ミリメートル)、最大10mm2、最大100mm2、最大1cm2(センチメートル平方)、最大2cm2、最大5cm2、最大10cm2、最大100cm2、最大500cm2、最大1000cm2、最大5000cm2、最大10,000cm2、もしくは10,000cm2超、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0228】
ある実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つは、幅、厚さ、および長さを有するベルト(またはストリップ)の形態である。幅は、最大0.1cm(センチメートル)、最大0.5cm、最大1cm、最大5cm、最大10cm、最大50cm、最大100cm、最大500cm、最大1000cm、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。長さは、必要とされる程度に長い。ベルトはロールに巻かれる。
【0229】
プレート表面平坦度
多くの実施形態では、プレートの内面は平坦またはかなり平坦で平面状である。ある実施形態では、プレートの2つの内面は、閉配置では互いに平行である。平坦な内面は、閉配置において所定のスペーサ高さを単に使用することによって、試料厚さの定量化および/または制御を容易にする。プレートの平坦ではない内面の場合、使用者は、スペーサ高さだけでなく、閉配置において試料厚さを定量化および/または制御するために内面の正確なトポロジーをも知る必要がある。表面トポロジーを知るためには追加の測定および/または補正が必要であり、それは複雑で時間がかかり、そして費用がかかる可能性がある。
【0230】
プレート表面平坦度は、最終試料厚さに比例し(最終厚さは閉配置での厚さである)、しばしば最終試料厚さに対するプレート表面平坦度のばらつきの比である「相対表面平坦度」という用語によって特徴付けられる。
【0231】
いくつかの実施形態では、相対表面平坦度は、0.01%未満、0.1%未満、0.5%未満、1%未満、2%未満、5%未満、10%未満、20%未満、30%未満、50%未満、70%未満、80%未満、100%未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0232】
プレート表面平行度
いくつかの実施形態では、プレートの2つの表面は、閉配置において互いに実質的に平行である。ここで「実質的に平行」とは、2つのプレートの延長で形成される角度が、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、10、または15度未満であることを意味する。特定の実施形態では、プレートの2つの表面は、互いに平行ではない。
【0233】
プレート可撓性
いくつかの実施形態では、プレートは、QMAXプロセスの圧縮下において可撓性を有する。いくつかの実施形態では、両方のプレートは、QMAXプロセスの圧縮下において可撓性を有する。いくつかの実施形態では、QMAXプロセスの圧縮下において、プレートは剛性を有し、別のプレートは可撓性を有する。いくつかの実施形態では、両方のプレートは剛性を有する。いくつかの実施形態では、両方のプレートは可撓性を有するが、異なる可撓度を有する。
【0234】
プレート光透過性
いくつかの実施形態では、プレートは光学的に透明である。いくつかの実施形態では、両方のプレートは光学的に透明である。いくつかの実施形態では、プレートは光学的に透明であり、別のプレートは不透明である。いくつかの実施形態では、両方のプレートは不透明である。いくつかの実施形態では、両方のプレートは光学的に透明であるが異なる透明度を有する。プレートの光透過性は、プレートの一部または全体の領域を指す。
【0235】
プレート表面濡れ性
いくつかの実施形態では、プレートは、試料、移動液、またはその両方を濡らす(すなわち、接触角が90度未満である)内面を有する。いくつかの実施形態では、両方のプレートは、同じかまたは異なる濡れ性で、試料、移動液、またはその両方を濡らす内面を有する。いくつかの実施形態では、プレートは、試料、移動液、またはその両方を濡らす内面を有し、別のプレートは、そうではない(すなわち、接触角が90度以上である)内面を有する。プレート内面の濡れとは、プレートの一部または全部の領域を指す。
【0236】
いくつかの実施形態では、プレートの内面は、QMAX中に試料の横方向の流れを制御するための他のナノまたはマイクロ構造を有する。ナノまたはマイクロ構造は、チャネル、ポンプなどを含むが、これらに限定されない。ナノおよびマイクロ構造はまた、内面の濡れ性を制御するためにも使用される。
【0237】
スペーサの機能
本発明において、スペーサは、以下の機能および特性のうちの1つまたは任意の組み合わせを有するように構成される。スペーサは、(1)プレートとともに、プレート間の間隔および/もしくは試料厚さを試料の関連体積に対して制御するように構成され(好ましくは、厚さ制御は、関連する領域にわたって正確であるか、または均一であるか、またはその両方である)、(2)試料がプレート表面に圧縮されて調整されたオープンフロー(CROF)を有することができるように構成され、(3)所与の試料面積(体積)において顕著な表面積(体積)をとらないように構成され、(4)試料中の粒子もしくは分析物の沈降の影響を減少もしくは増大させるように構成され、(5)プレートの内面の濡れ性を変更および/もしくは制御するように構成され、(6)プレートの位置、サイズのスケール、および/もしくはプレートに関する情報を識別するように構成され、ならびに/または(7)上記の任意の組み合わせを行うように構成される。
【0238】
スペーサの構造および形状
所望の試料厚さの減少および制御を達成するために、ある実施形態において、スペーサはそのそれぞれのプレート上に固定される。概して、スペーサは、QMAXプロセス中にプレート間の間隔および試料厚さを調整することができる限り、任意の形状を有するが、より良い均一性、圧縮時のより少ないオーバーシュートなどの特定の機能を達成するために特定の形状が好ましい。
【0239】
スペーサ(複数可)は単一のスペーサまたは複数のスペーサである。(例えば、アレイ)。複数のスペーサのいくつかの実施形態は、スペーサ(例えば、ピラー)のアレイであり、ここでスペーサ間距離は、プレートの特定の領域において周期的または非周期的であるか、またはプレートの異なる領域において異なる距離を有する。
【0240】
スペーサには、開放スペーサと密閉スペーサの2種類がある。開放スペーサは、試料がスペーサを通って流れることを可能にするスペーサであり(すなわち、試料はスペーサの周りを流れそしてスペーサを通過する。例えば、スペーサとしての支柱)、密閉スペーサは、試料の流れを止めるスペーサである(すなわち、試料はスペーサを超えて流れることはできない。例えば、リング形のスペーサであり、試料はリングの内側にある)。スペーサは両方のタイプとも、閉配置において、それらの高さを使用して、プレート間の間隔および/または最終試料厚さを調整する。
【0241】
いくつかの実施形態では、スペーサは開放スペーサのみである。いくつかの実施形態では、スペーサは密閉スペーサのみである。いくつかの実施形態では、スペーサは、開放スペーサと密閉スペーサの組み合わせである。
【0242】
用語「ピラースペーサ」は、スペーサがピラー形状を有し、そのピラー形状が、圧縮オープンフロー中に試料がその周囲を流れることを可能にする高さおよび横方向形状を有する物体を指すことを意味する。
【0243】
いくつかの実施形態では、ピラースペーサの横方向形状は、(i)丸形、楕円形、長方形、三角形、多角形、リング形、星形、文字形(例えば、L字形、C字形、A~Zの文字)、数字形(例えば、0、1、2、3、4、…9まで)、(ii)少なくとも1つの丸い隅部を有する群(i)の形状、(iii)ジグザグまたは粗い縁部を有する群(i)からの形状、ならびに(iv)(i)、(ii)、および(iii)の任意の重ね合わせ、の群から選択される形状である。複数のスペーサの場合、異なるスペーサは、異なる横方向形状およびサイズ、ならびに隣接するスペーサからの異なる距離を有し得る。
【0244】
いくつかの実施形態では、スペーサは、支柱、円柱、ビーズ、球、および/または他の適切な幾何学形状であり、かつ/またはそれらを含む。スペーサの横方向形状および寸法(すなわち、それぞれのプレート表面を横切る方向の)は、いくつかの実施形態において、以下の制限を除いて、任意のものであり得る:(i)スペーサの幾何学形状は、試料厚さおよび体積を測定する際に著しい誤差を生じさせない、(ii)スペーサの幾何学的形状は、プレート間の試料の流出を妨げない(すなわち、密閉された形態ではない)。しかしながら、いくつかの実施形態では、それらは、試料の流れを制限するためにいくつかのスペーサが閉じたスペーサであることを必要とする。
【0245】
いくつかの実施形態では、スペーサの形状は丸い隅部を有する。例えば、長方形のスペーサは、1つ、いくつか、またはすべての隅部が丸くなっている(90度の角度ではなく円のように)。丸い隅部は、しばしばスペーサの製造をより容易にし、ある場合には生物学的材料への損傷をより少なくする。
【0246】
ピラーの側壁は、直線状、曲線状、傾斜状、または側壁の異なる部分において異なる形状とすることができる。いくつかの実施形態では、スペーサは、様々な横方向形状、側壁、およびピラー高さ対ピラー横方向面積の比のピラーである。
【0247】
好ましい実施形態では、スペーサは、オープンフローを可能にするためのピラーの形状を有する。
【0248】
一実施形態では、スペーサは、QMAXで使用されるプレートと同じ材料で作られる。
【0249】
スペーサの機械的強度および可撓性
いくつかの実施形態では、スペーサの機械的強度は十分に強く、それにより、プレートの圧縮中および閉配置において、スペーサの高さは、プレートが開配置にあるときのものと同じかまたは実質同じである。いくつかの実施形態では、開配置と閉配置との間のスペーサの違いは、特徴付けられ、予め決定され得る。
【0250】
スペーサの材料は、剛性、可撓性、またはこれら2つの間の任意の可撓度を有する。剛性は、プレートを閉配置に移行させるのに使用される所定の押圧力に比例する。空間がその押圧力の下でその高さにおいて1%を超えて変形しない場合、スペーサ材料は剛性、そうでなければ可撓性とみなされる。スペーサが可撓性の材料で作られている場合、閉配置における最終試料厚さは、依然として、押圧力およびスペーサの機械的特性から予め決定することができる。
【0251】
試料内部のスペーサ
所望の試料厚さの減少および制御を達成するために、特に良好な試料厚さの均一性を達成するために、ある実施形態において、スペーサは試料または試料の関連体積の内側に配置される。いくつかの実施形態では、適切なスペーサ間距離を有する、試料または試料の関連体積の内側に1つ以上のスペーサがある。ある実施形態では、スペーサのうちの少なくとも1つが、試料の内側にあり、スペーサのうちの少なくとも2つが、試料の内側にあるか試料の関連体積の内側にあり、または少なくとも「n」個のスペーサが、試料または試料の関連体積の内側にある。ここで、「n」は、QMAX中の試料厚さの均一性または必要な試料流れ特性によって決定される。
【0252】
スペーサ高さ
いくつかの実施形態では、すべてのスペーサは、同じ所定の高さを有する。いくつかの実施形態では、スペーサは、異なる所定の高さを有する。いくつかの実施形態では、スペーサは、グループまたは領域に分けることができ、各グループまたは領域はそれ自体のスペーサ高さを有する。そしてある実施形態では、スペーサの所定の高さは、スペーサの平均の高さである。いくつかの実施形態では、スペーサは、ほぼ同じ高さを有する。いくつかの実施形態では、ある割合の数のスペーサは同じ高さを有する。
【0253】
スペーサの高さは、プレート間の所望の調整された間隔および/または調整された最終試料厚さおよび残留物試料厚さによって選択される。スペーサ高さ(所定のスペーサの高さ)、プレート間の間隔、および/または試料厚さは、3nm以下、10nm以下、50nm以下、100nm以下、200nm以下、500nm以下、800nm以下、1000nm以下、1μm以下、2μm以下、3μm以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、30μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm以下、2mm以下、4mm以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0254】
スペーサ高さ、プレート間の間隔、および/または試料厚さは、好ましい一実施形態では1nm~100nmであり、別の好ましい実施形態では100nm~500nmであり、さらに別の好ましい実施形態では500nm~1000nm、別の好ましい実施形態では1μm(すなわち1000nm)~2μmであり、さらに別の好ましい実施形態では2μm~3μmであり、別の好ましい実施形態では3μm~5μmであり、さらに別の好ましい実施形態では5μm~10μmであり、別の好ましい実施形態では10μm~50μmであり、さらに別の好ましい実施形態では50μm~100μmである。
【0255】
いくつかの実施形態では、スペーサ高さは正確に制御される。スペーサの相対精度(すなわち、所望のスペーサ高さに対する偏差の比)は、0.001%以下、0.01%以下、0.1%以下、0.5%以下、1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、15%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、80%以下、90%以下、99.9%以下、またはそれら値のうちの任意の間の範囲にある。
【0256】
いくつかの実施形態では、スペーサ高さ、プレート間の間隔、および/または試料厚さは、(i)分析物の最小寸法と同じかわずかに大きい、または(ii)分析物の最大寸法と同じかわずかに大きい。「わずかに大きい」とは、それが約1%~5%大きく、これら2つの値の間の任意の数であることを意味する。
【0257】
いくつかの実施形態では、スペーサ高さ、プレート間の間隔、および/または試料厚さは、分析物の最小寸法よりも大きいが(例えば、分析物は異方性形状を有する)、分析物の最大寸法よりも小さい。
【0258】
例えば、赤血球は、最小寸法が2μm(円盤厚)、最大寸法が11μm(円盤直径)の円盤形状を有する。本発明の一実施形態では、スペーサは、関連する領域におけるプレートの内面間隔が、一実施形態では2μm(最小寸法に等しい)、別の実施形態では2.2μm、または他の実施形態では3(最小寸法よりも50%大きい)ではあるが、赤血球の最大寸法よりも小さくなるように選択される。このような実施形態は、血球計数においてある利点を有する。一実施形態では、赤血球計数のために、内面の間隔を2または3μm、およびこれら2つの値の間の任意の数にすることによって、未希釈の全血試料を間隔内に閉じ込め、平均して、各赤血球(RBC)は他の赤血球と重ならず、これにより赤血球を視覚的に正確に数えることができる。(RBC間の重なりが多すぎると、計数に重大な誤差が生じる可能性がある)。
【0259】
いくつかの実施形態では、スペーサ高さ、プレート間の間隔、および/または試料厚さは、(i)分析物の最小寸法以下、または(ii)分析物の最大寸法と同じかわずかに小さい。「わずかに小さい」とは、約1%~5%小さく、これら2つの値の間の任意の数であることを意味する。
【0260】
いくつかの実施形態では、スペーサ高さ、プレート間の間隔、および/または試料厚さは、分析物の最小寸法よりも大きいが(例えば、分析物は異方性形状を有する)、分析物の最大寸法よりも小さい。
【0261】
本発明では、いくつかの実施形態において、プレートおよびスペーサは、試料厚さだけでなく、プレートが閉配置にあるときの試料中の分析物/実体の配向および/または表面密度も調整するために使用される。プレートが閉配置にあるとき、試料のより薄い厚さは、表面積当たりのより少ない分析物/実体(すなわちより少ない表面濃度)をもたらす。
【0262】
スペーサの横方向寸法
開放スペーサの場合、横方向寸法は、xおよびyの2つの直交方向におけるその横方向寸法(場合によっては幅と称する)によって特徴付けることができる。各方向におけるスペーサの横方向寸法は同じでも異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、各方向(xまたはy)の横方向寸法は、1nm以下、3nm以下、5nm以下、7nm以下、10nm以下、20nm以下、30nm以下、40nm以下、50nm以下、100nm以下、200nm以下、500nm以下、800nm以下、1000nm以下、1μm以下、2μm以下、3μm以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、30μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、もしくは500μm以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0263】
いくつかの実施形態では、y方向に対するx方向の横方向寸法の比は、1、1.5、2、5、10、100、500、1000、10,000、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。いくつかの実施形態では、試料の流れ方向を調整するために異なる比が使用され、その比が大きいほど、流れは一方向(サイズの大きい方)に沿って流れる。
【0264】
いくつかの実施形態では、(a)スペーサをスケールマーカとして使用してプレートの向きを示すものとして、(b)スペーサを使用して好ましい方向により多くの試料の流れを生成するものとして、またはその両方のものとして、x方向およびy方向のスペーサの異なる横方向寸法を使用する。
【0265】
好ましい実施形態では、スペーサの周期、幅、および高さは、実質的に同じである。いくつかの実施形態では、すべてのスペーサは、同じ形状および寸法を有する。いくつかの実施形態では、スペーサは、異なる横方向寸法を有する。
【0266】
密閉スペーサの場合、いくつかの実施形態では、内側横方向形状およびサイズは、密閉スペーサによって囲まれる試料の全体積に基づいて選択され、ここで、体積サイズは、本開示に記載されており、ある実施形態では、外側横方向形状およびサイズは、スペーサに対する液体の圧力およびプレートを押す圧縮圧力を支持するのに必要な強度に基づいて選択される。
【0267】
ある実施形態では、ピラースペーサの平均横方向寸法に対する高さのアスペクト比は、100,000、10,000、1,000、100、10、1、0.1、0.01、0.001、0.0001、0、00001、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0268】
スペーサ間距離
スペーサは、プレート上または試料の関連する領域内の単一のスペーサまたは複数のスペーサであり得る。いくつかの実施形態では、プレート上のスペーサは、アレイ形態で構成および/または配置され、アレイは、周期的である、非周期的アレイである、またはプレートのいくつかの位置では周期的であり、他の位置では非周期的である。
【0269】
いくつかの実施形態では、スペーサの周期的アレイは、正方形、長方形、三角形、六角形、多角形、またはそれらの任意の組み合わせの格子として配置され、組み合わせは、プレートの異なる位置が異なるスペーサ格子を有することを意味する。
【0270】
いくつかの実施形態では、スペーサアレイのスペーサ間距離は、アレイの少なくとも一方向において周期的(すなわち、均一なスペーサ間距離)である。いくつかの実施形態では、スペーサ間距離は、閉配置でのプレート間隔の間の均一性を改善するように構成される。
【0271】
いくつかの実施形態では、隣接するスペーサ間の距離(すなわちスペーサ間距離)は、1μm以下、5μm以下、7μm以下、10μm以下、20μm以下、30μm以下、40μm以下、50μm以下、60μm以下、70μm以下、80μm以下、90μm以下、100μm以下、200μm以下、300μm以下、400μm以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0272】
ある実施形態では、スペーサ間距離は、400μm以下、500μm以下、1mm以下、2mm以下、3mm以下、5mm以下、7mm以下、10mm以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。ある実施形態では、スペーサ間距離は、10mm以下、20mm以下、30mm以下、50mm以下、70mm以下、100mm以下、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0273】
隣接するスペーサ間の距離(すなわち、スペーサ間距離)は、プレートおよび試料の所与の特性に対して、プレートの閉配置において、2つの隣接するスペーサ間の試料厚さのばらつきが、いくつかの実施形態において、最大0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、50%、80%、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にあり、またはある実施形態において、最大80%、100%、200%、400%、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にあるように選択される。
【0274】
明らかに、2つの隣接するスペーサ間の所与の試料厚さのばらつきを維持するために、より柔軟なプレートが使用されるとき、より狭いスペーサ間距離が必要とされる。
【0275】
好ましい実施形態では、スペーサは、周期的な正方形アレイであり、スペーサは、2~4μmの高さ、1~20μmの平均横方向寸法、および1μm~100μmのスペーサ間間隔を有するピラーである。
【0276】
好ましい実施形態では、スペーサは、周期的な正方形アレイであり、スペーサは、2~4μmの高さ、1~20μmの平均横方向寸法、および100μm~250μmのスペーサ間間隔を有するピラーである。
【0277】
好ましい実施形態では、スペーサは、周期的な正方形アレイであり、スペーサは、4~50μmの高さ、1~20μmの平均横方向寸法、および1μm~100μmのスペーサ間間隔を有するピラーである。
【0278】
好ましい実施形態では、スペーサは、周期的な正方形アレイであり、スペーサは、4~50μmの高さ、1~20μmの平均横方向寸法、および100μm~250μmのスペーサ間間隔を有するピラーである。
【0279】
スペーサアレイの周期は、好ましい一実施形態では1nm~100nmであり、別の好ましい実施形態では100nm~500nmであり、さらに別の好ましい実施形態では500nm~1000nm、別の好ましい実施形態では1μm(すなわち1000nm)~2μmであり、さらに別の好ましい実施形態では2μm~3μmであり、別の好ましい実施形態では3μm~5μmであり、さらに別の好ましい実施形態では5μm~10μmであり、別の好ましい実施形態では10μm~50μmであり、さらに別の好ましい実施形態では50μm~100μmであり、別の好ましい実施形態では100μm~175μmであり、さらに別の好ましい実施形態では175μm~300μmである。
【0280】
スペーサ密度
スペーサは、1μm2あたり1より大きい、10μm2当たり1より大きい、100μm2当たり1より大きい、500μm2当たり1より大きい、1000μm2当たり1より大きい、5000μm2当たり1より大きい、0.01mm2当たり1より大きい、0.1mm2当たり1より大きい、1mm2当たり1より大きい、5mm2当たり1より大きい、10mm2当たり1より大きい、100mm2当たり1より大きい、1000mm2当たり1より大きい、10000mm2当たり1より大きい、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内の表面密度でそれぞれのプレート上に配置される。いくつかの実施形態において、スペーサは、少なくとも1/mm2、少なくとも10/mm2、少なくとも50/mm2、少なくとも100/mm2、少なくとも1,000/mm2、または少なくとも10,000/mm2の密度を有する。いくつかの実施形態では、スペーサは周期的である。
【0281】
スペーサ面積充填率は、全面積に対するスペーサ面積の比、または幅に対するスペーサ周期の比として定義される。いくつかの実施形態では、充填率は少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。ある実施形態では、充填率は少なくとも2.3%である。
【0282】
試料体積に対するスペーサ体積の比
多くの実施形態では、試料体積(すなわち、試料の体積)に対するスペーサ体積(すなわちスペーサの体積)の比、および/または試料の関連体積に対する、試料の関連体積の内側にあるスペーサの体積の比は、ある利点を達成するために制御される。利点には、試料厚さ制御の均一性、分析物の均一性、試料流動特性(すなわち、流速、流動方向など)が含まれるが、これらに限定されない。
【0283】
いくつかの実施形態では、スペーサは、所与の試料面積(体積)中に顕著な表面積(体積)をとらないように構成される。
【0284】
ある実施形態では、試料体積に対するスペーサ体積r)の比、および/または試料の関連体積に対する、試料の関連体積の内側にあるスペーサの体積の比は、100%未満、最大99%、最大90%、最大70%、最大50%、最大30%、最大10%、最大5%、最大3%、最大1%、最大0.1%、最大0.01%、最大0.001%、またはこれらのうちの任意の値の間の範囲内にある。
【0285】
プレートに固定されたスペーサ
本発明において重要な役割を果たすスペーサ間距離およびスペーサの配向は、好ましくは、プレートを開配置から閉配置に移行させるプロセス中に維持され、ならびに/または好ましくは、開配置から閉配置へのプロセスの前に予め決定される。
【0286】
本発明のいくつかの実施形態では、プレートを閉配置に移行させる前に、スペーサをプレートのうちの1つに固定する。「スペーサがそのそれぞれのプレートに固定される」という用語は、スペーサがプレートに取り付けられており、その取り付けがプレートの使用中に維持されることを意味する。「スペーサがそのそれぞれのプレートに固定される」の例は、スペーサがプレートの一片の材料から一体的に作られており、プレート表面に対するスペーサの位置が変わらないことである。「スペーサがそれぞれのプレートに固定されていない」の例は、スペーサが接着剤によってプレートに接着されるが、プレートの使用中に、接着剤がスペーサをプレート表面上のその元の位置に保持することができないことである(すなわち、スペーサは、プレート表面上のその元の位置から離れるように動く)。
【0287】
いくつかの実施形態では、スペーサのうちの少なくとも1つは、そのそれぞれのプレートに固定される。ある実施形態では、2つのスペーサがそのそれぞれのプレートに固定される。ある実施形態では、大部分のスペーサがそれらのそれぞれのプレートで固定される。ある実施形態では、すべてのスペーサがそれらのそれぞれのプレートで固定される。
【0288】
いくつかの実施形態では、スペーサはプレートに一体的に固定される。
【0289】
いくつかの実施形態では、スペーサは、以下の方法および/または構成のうちの1つまたは任意の組み合わせによって取り付けられ、結合され、融合され、インプリントされ、エッチングされる。
【0290】
「インプリントされた」という用語は、スペーサとプレートが、一片の材料をインプリント(すなわちエンボス加工)してプレート表面にスペーサを形成することによって一体的に固定されることを意味する。材料は、材料の単層または材料の多層であり得る。
【0291】
「エッチングされた」という用語は、一片の材料をエッチングしてプレート表面上にスペーサを形成することによってスペーサとプレートとが一体的に固定されることを意味する。材料は、材料の単層または材料の多層であり得る。
【0292】
「融着する」という用語は、スペーサとプレートを一緒に取り付けることによってスペーサとプレートを一体的に固定し、スペーサとプレートの元の材料を互いに融着させ、融着後の2つの材料の間にはっきりとした材料境界があることを意味する。
【0293】
「~に結合される」という用語は、スペーサとプレートを接着によって結合することによってスペーサとプレートが一体的に固定されることを意味する。
【0294】
「~に取り付けられる」という用語は、スペーサとプレートが一緒に接続されることを意味する。
【0295】
いくつかの実施形態では、スペーサとプレートは同じ材料で作られる。他の実施形態では、スペーサとプレートは異なる材料から作られる。他の実施形態では、スペーサとプレートは一体に形成されている。他の実施形態では、スペーサは、そのそれぞれのプレートに固定された一方の端部を有する一方で、その端部は2つのプレートの異なる配置に合わせるために固定されていない。
【0296】
他の実施形態では、スペーサのそれぞれは、独立して、それぞれのプレートに取り付けられ、結合され、融合され、インプリントされ、エッチングされたもののうち少なくとも1つである。「独立して」という用語は、1つのスペーサが、それぞれのプレートに取り付けられ、結合され、融合され、インプリントされ、エッチングされる方法から選択される同じまたは異なる方法によってそれぞれのプレートに固定されることを意味する。
【0297】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つのスペーサ間の距離は、予め決定されている(「スペーサ間距離」とは、使用者がプレートを使用するときにその距離が既知であることを意味する)。
【0298】
本明細書に記載のすべての方法およびデバイスのいくつかの実施形態では、固定されたスペーサの他に追加のスペーサがある。
【0299】
試料
QMAXプロセスを使用する方法およびデバイスの本発明において、試料は、いくつかの方法のうちの1つまたはそれらの方法の組み合わせによって載置される。載置の一実施形態では、試料は、1つのプレート上にのみ載置される。ある実施形態では、試料は、両方のプレート(すなわち、第1および第2のプレート)上に載置される。
【0300】
プレートが開配置にあるときに試料が載置される。いくつかの実施形態では、試料の載置は、一滴または複数滴であり得る。複数滴は、一方のプレートまたは両方のプレートのある位置または複数の位置にあり得る。液滴は、互いに十分に分離されているか、つながっているか、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0301】
いくつかの実施形態では、試料は、複数の材料を含み、それらの材料は一緒にまたは別々に載置される。材料は、並行してまたは順番に別々に載置される。
【0302】
プレート(すなわち、第1のプレートおよび第2のプレート)への試料の載置は、機器を使用して、または検査対象から直接プレートへと行われ得る。いくつかの実施形態では、試料は機器を用いて載置される。機器には、ピペット、針、スティック、綿棒、チューブ、ジェット、液体ディスペンサ、チップ、スティック、インクジェット、プリンタ、スプレーデバイスなどが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、試料は、試料供給源での試料とQMAXプレートとの間にいかなる機器も使用せずに直接の接触によって載置される(すなわち、試料とプレートとを一緒にして2つの間を接触させる)。これは「直接試料載置」と称する。
【0303】
プレートへの試料の直接試料載置の例は、(a)刺された指(または他の身体部分)とプレートとの間の直接接触、(b)プレート上に唾液を吐き出すこと、(c)人間の眼の涙を、涙とプレートとの間の直接接触によって取ること、(d)汗とプレート(複数可)との間の直接接触、および(e)プレート(複数可)に直接息を吹きかけて呼気を載置することなどである。このような直接載置方法は、人間と動物の両方に使用することができる。
【0304】
いくつかの実施形態では、直接的および間接的な(機器を介した)試料載置の両方が使用される。
【0305】
本発明において、1つまたは複数のプレート上に載置される試料の体積(「試料体積」)は、最大0.001pL(ピコリットル)、最大0.01pL、最大0.1pL、最大1pL、最大10pL、最大100pL、最大1nL(ナノリットル)、最大10nL、最大100nL、最大1uL(マイクロリットル)、最大10uL、最大100uL、最大1mL(ミリリットル)、最大10mL、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0306】
いくつかの実施形態では、試料の載置は、(a)プレートの一方または両方に試料を置く工程、および(b)QMAXプロセスにおける第2のプレート圧縮以外の手段を使用して試料を広げる工程を含む。試料を広げる手段は、別の機器(例えばスティック、ブレード)、エアーブロー、または他のものを使用することを含む。
【0307】
試料変形
QMAXプロセス中、いくつかの実施形態では、試料は、非圧縮性液体(形状変形下で一定の体積を維持する液体を指す)のように振る舞い、したがって、試料厚さの変化は試料面積の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、試料は、圧縮性液体のように振る舞うが、それでも、それらの横方向面積は、QMAXプロセス中にそれらの厚さが減少したときに依然として拡大する。ある実施形態では、試料は、QMAXプロセス中に、それらの厚さが減少したときにそれらの横方向面積が拡大する限り、液体、ゲル、または軟質固体である。
【0308】
開示された本発明のそれにおいて、「第1のプレートおよび第2のプレートに面する」は、試料が第1のプレートの内面と第2のプレートの内面との間にあるように、第1のプレートまたは第2のプレートまたはそれらの両方の位置および向きを操作するプロセスである。いくつかの実施形態では、「第1のプレートおよび第2のプレートに面する」の動作は、人間の手、特定の機器を持った人間の手、または人間の手によらない自動的な機器によって行われる。
【0309】
いくつかの実施形態では、厚さは、最大1mm、最大100μm、最大20μm、最大10μm、または最大2μmである。いくつかの実施形態では、厚さは少なくとも0.1μmである。いくつかの実施形態では、厚さを測定することをさらに含む。
【0310】
いくつかの実施形態では、試料の関連体積の厚さのばらつきは、関連する領域の有効径の最大300%、最大100%、最大30%、最大10%、最大3%、最大1%、最大0.3%、または最大0.1%である。
【0311】
いくつかの実施形態では、厚さは、少なくとも部分的に所定の高さによって決まる。
【0312】
QMAXは手で押される。
【0313】
最終試料厚さ
プレートの閉配置での最終試料厚さは、飽和インキュベーション時間を短縮する上で重要な要素である。試料厚さの減少/変形後の最終試料厚さは、プレートの調整された間隔に関して説明したように、実体および試料の性質ならびに用途に依存する。
【0314】
いくつかの実施形態では、最終試料厚さは、約0.5μm(マイクロメートル)未満、約1μm未満、約1.5μm未満、約2μm未満、約4μm未満、約6μm未満、約8μm未満、約10μm未満、約12μm未満、約14μm未満、約16μm未満、約18μm未満、約20μm未満、約25μm未満、約30μm未満、約35μm未満、約40μm未満、約45μm未満、約50μm未満、約55μm未満、約60μm未満、約70μm未満、約80μm未満、約90μm未満、約100μm未満、約110μm未満、約120μm未満、約140μm未満、約160μm未満、約180μm未満、約200μm未満、約250μm未満、約300μm未満、約350μm未満、約400μm未満、約450μm未満、約500μm未満、約550μm未満、約600μm未満、約650μm未満、約700μm未満、約800μm未満、約900μm未満、約1000μm(1mm)未満、約1.5mm未満、約2mm未満、約2.5mm未満、約3mm未満、約3.5mm未満、約4mm未満、約5mm未満、約6mm未満、約7mm未満、約8mm未満、約9mm未満、約10mm未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0315】
ある実施形態では、閉配置での最終試料厚さは、スペーサの均一な高さと実質的に同じであり、0.5μm(ミクロン)未満、1μm未満、5μm未満、10μm未満、10μm未満、20μm未満、30μm未満、50μm未満、100μm未満、200μm未満、300μm未満、500μm未満、800μm未満、200μm未満、1mm(ミリメートル)未満、2mm(ミリメートル)未満、4mm(ミリメートル)未満、8mm(ミリメートル)未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内にある。
【0316】
本発明では、より大きなプレート保持力(すなわち、2つのプレートを一緒に保持する力)は、より小さなプレート間隔(所与の試料領域に対して)、またはより大きな試料領域(所与のプレート間隔に対して)、またはその両方を使用することによって実現することができる。
【0317】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つは、関連する領域を包含する領域において透明であり、各プレートは、閉配置において試料と接触するように構成された内面を有し、プレートの内面は、閉配置において互いに実質的に平行であり、プレートの内面は、スペーサを有する位置を除いて実質的に平坦であり、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0318】
最終試料厚さおよび均一性
いくつかの実施形態では、閉配置における試料は、かなり平坦であり、これは最終試料厚さに対して決定され、実施形態および用途に応じて、0.1%未満、0.5%未満、1%未満、2%未満、5%未満、もしくは10%未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲内の、試料厚さに対する比を有する。
【0319】
いくつかの実施形態では、試料厚さに対する平坦度は、0.1%未満、0.5%未満、1%未満、2%未満、5%未満、10%未満、20%未満、50%未満、もしくは100%未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲にある。
【0320】
いくつかの実施形態では、かなり平坦とは、表面の平坦度のばらつきそれ自体(平均厚さから測定)が、0.1%未満、0.5%未満、1%未満、2%未満、5%未満、もしくは10%未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲にあることを意味する。概して、プレート厚さに対する平坦度は、0.1%未満、0.5%未満、1%未満、2%未満、5%未満、10%未満、20%未満、50%未満、もしくは100%未満、またはこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲にある。
【0321】
21.例の第2のグループ
1.スペーサ、後退縁部、ヒンジ、およびノッチの例
1.
第1のプレートと、第2のプレートと、スペーサと、ヒンジと、を備える試料分析用デバイスであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートは、ヒンジによって接続され、ヒンジの軸を中心に、開配置および閉配置を含む異なる配置へと互いに対して可動であり、
ii.各プレートは、分析用試料と接触するための試料接触領域を有する内面を備え、
iii.第1のプレートは、プレートの縁部または隅部上にノッチを有し、
iv.プレートの閉配置において、第2のプレートの一部は、第1のプレートの妨害なく第2のプレートを開配置に持ち上げることができるように、ノッチの上に配置され、
v.プレートは、閉配置において、ノッチの上にある第2のプレートの縁部の一部分を除いて、第2のプレートの少なくとも2つの縁部が第1のプレートの縁部の内側に後退するように構成されている幾何学的形状を有し、
開配置は、2つのプレートが部分的または全体的に離れている配置であり、
試料は、開配置において載置され、
閉配置は、2つのプレートの内面が直接接触しているか、スペーサを介して接触しているか、または試料を介して接触しているかのいずれかにある配置である、試料分析用デバイス。
【0322】
2.
第1のプレートと、第2のプレートと、スペーサと、ヒンジと、を備える試料分析用デバイスであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートは、ヒンジによって接続され、ヒンジの軸を中心に、開配置および閉配置を含む異なる配置へと互いに対して可動であり、
ii.各プレートは、分析用試料と接触するための試料接触領域を有する内面を備え、
iii.第1のプレートは、プレートの縁部または隅部上にノッチを有し、
iv.プレートの閉配置において、第2のプレートの一部は、第1のプレートの妨害なく第2のプレートを開配置に持ち上げることができるように、ノッチの上に配置され、
v.プレートは、閉配置において、ノッチの上にある第2のプレートの縁部の一部分を除いて、およびヒンジを有する縁部(すなわちヒンジ縁部)を除いて、第2のプレートのすべての縁部が第1のプレートの縁部の内側に後退するように構成されている幾何学形状を有し、ヒンジ縁部は、第1のプレートの対応する縁部から後退しているかまたは後退していないかのいずれかであり、
開配置は、2つのプレートが部分的または全体的に離れている配置であり、
試料は、開配置において載置され、
閉配置は、2つのプレートの内面が直接接触しているか、スペーサを介して接触しているか、または試料を介して接触しているかのいずれかにある配置である、試料分析用デバイス。
【0323】
2.エッセイ開口のノッチ後退の例
3.
第1のプレートと第2のプラットとを備える試料分析用デバイスであって、
a.第1のプレートおよび第2のプレートは、開配置と閉配置を含む異なる配置へと互いに対して可動であり、各プレートは、分析用試料と接触するための試料接触領域を有する内面を備え、プレートのうちの少なくとも1つは、4mm以下の厚さを有し、
b.第1のプレートは、プレートの縁部または隅部から後退しているノッチを有し、
c.プレートの閉配置において、第2のプレートの一部は、第1のプレートの妨害なく第2のプレートを開配置に持ち上げることができるように、ノッチの上に配置され、
開配置は、2つのプレートが部分的または全体的に離れて、試料が載置される配置であり、
閉配置は、2つのプレートの内面が直接接触しているか、スペーサを介して接触しているか、または試料を介して接触しているかのいずれかにある配置である、試料分析用デバイス。
【0324】
3.角度自己保持ヒンジの例
4.
第1のプレートと、第2のプレートと、ヒンジと、を備える試料分析用デバイスであって、
a.第1のプレートおよび第2のプレートは、異なる配置へと互いに対して可動であり、各プレートはそれぞれ、分析用試料と接触するための試料接触領域を有する内面を備え、プレートのうちの少なくとも1つは、4mm以下の厚さを有し、
b.ヒンジは、第1のプレートと第2のプレートとを接続し、(a)ヒンジは、外部回転力がプレートに加えられたときに、2つのプレートがヒンジを中心に、異なる配置に互いに対して回転できるように構成され、(ii)各配置において、2つのプレートは、互いに対して角度を有し、(iii)ヒンジは、外部回転力が取り除かれた後に角度を実質的に保持する角度自己保持(ASM:angle self-maintaining)ヒンジであり、
配置のうちの1つは、2つのプレートが部分的または全体的に離れて、試料が載置される開配置であり、
別の配置は、2つのプレートの内面が直接接触しているか、スペーサを介して接触しているか、または試料を介して接触しているかのいずれかにある閉配置である、試料分析用デバイス。
【0325】
4.後退縁部、ノッチ、および後退縁部の例
5.
第1のプレートと、第2のプレートと、ヒンジと、を備える試料分析用デバイスであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートは、ヒンジによって接続され、ヒンジの軸を中心に、開配置および閉配置を含む異なる配置へと互いに対して可動であり、
ii.プレートの各々は、分析用試料と接触するための試料接触領域を有する内面を備え、
iii.第2のプレートは、プレートの縁部または隅部上にノッチを有し、
iv.プレートは、閉配置において、第2のプレートの縁部に対して後退している第1のプレートの少なくとも2つの縁部を有するように構成された幾何学的形状を有し、
v.プレートの閉配置において、第2のプレートの一部は、第1のプレートの妨害なく第2のプレートを開配置に持ち上げることができるように、ノッチの上に配置され、
開配置は、2つのプレートが部分的または全体的に離れている配置であり、
試料は、開配置において載置され、
閉配置は、2つのプレートの内面が直接接触しているか、スペーサを介して接触しているか、または試料を介して接触しているかのいずれかにある配置である、試料分析用デバイス。
【0326】
5.後退縁部およびヒンジの例
6.
第1のプレートと、第2のプレートと、ヒンジと、を備える試料分析用デバイスであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートは、ヒンジによって接続され、ヒンジの軸を中心に、開配置および閉配置を含む異なる配置へと互いに対して可動であり、
ii.各プレートは、分析用試料と接触するための試料接触領域を有する内面を備え、
iii.プレートは、閉配置において、第2のプレートの縁部に対して後退している第1のプレートの少なくとも2つの縁部を有するように構成された幾何学的形状を有し、
開配置は、2つのプレートが部分的または全体的に離れている配置であり、
試料は、開配置において載置され、
閉配置は、2つのプレートの内面が直接接触しているか、スペーサを介して接触しているか、または試料を介して接触しているかのいずれかにある配置である、試料分析用デバイス。
【0327】
6.二重ヒンジの例
7.
第1のプレートと、第2のプレートと、第3のプレートと、第1のヒンジと、第2のヒンジと、を備える試料分析用デバイスであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートは、第1のヒンジによって接続され、ヒンジの軸を中心に、開配置および閉配置へと互いに対して可動であり、第1のヒンジは、第1のプレートの一縁部の近くに位置し、
ii.第1のプレートおよび第3のプレートは、第2のヒンジによって接続され、ヒンジの軸を中心に、開配置および閉配置へと互いに対して可動であり、第2のヒンジは、第1のヒンジが位置する縁部とは異なる第1のプレートの縁部の近くに位置し、
iii.プレートの各々は、試料と接触するための試料接触領域を有する内面を備え、
2つのプレートの間の開配置は、2つのプレートが部分的または全体的に離れている配置であり、
試料は、開配置において載置され、
閉配置は、2つのプレートの表面が直接接触しているか、スペーサを介して接触しているか、または試料を介して接触しているかのいずれかにある配置である、試料分析用デバイス。
【0328】
8.
第1のプレートと、第2のプレートと、第3のプレートと、第1のヒンジと、第2のヒンジと、を備える試料分析用デバイスであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートは、第1のヒンジによって接続され、ヒンジの軸を中心に、開配置および閉配置へと互いに対して可動であり、第1のヒンジは、第1のプレートの一縁部の近くに位置し、
ii.第1のプレートおよび第3のプレートは、第2のヒンジによって接続され、ヒンジの軸を中心に、開配置と閉配置とに互いに対して可動であり、第2のヒンジは、第1のヒンジが位置する縁部とは異なる第1のプレートの縁部の近くに位置し、
iii.プレートの各々は、試料と接触するための試料接触領域を有する内面を備え、
iv.プレートのうちの少なくとも1つは、プレートの縁部または隅部上にノッチを有し、プレートの閉配置において、ノッチを有するプレートの妨害なく別のプレートを開配置に持ち上げることができるように別のプレートの一部がノッチの上に配置され、
2つのプレートの間の開配置は、2つのプレートが部分的または全体的に離れている配置であり、
2つのプレートの間の閉配置は、2つのプレートの表面が直接接触しているか、スペーサを介して接触しているか、または試料を介して接触しているかのいずれかにある配置である、試料分析用デバイス。
【0329】
アダプタおよび簡単なスライドの例
9.
(a)先に記載のいずれかの実施形態のデバイスと、
(b)カメラに接続するように構成され、スロットを備えたアダプタと、を備えるシステムであって、
i.スロットは、閉配置においてデバイスを受け入れるように寸法決めされ、
ii.スロットは、デバイスがスロットの内外にスライドできるように、かつデバイスがスロット内でスライドするときにデバイスをある位置に固定するように構成され、
iii.アダプタは、デバイスがスロット内でスライドした後に、デバイスとカメラとの間の相対位置を固定するように構成される、システム。
【0330】
7.方法の例-AAのキットを使用する
10.
(a)先に記載のいずれかの実施形態のキットを入手することと、
(b)プレートが開配置にあるときに、プレートの一方または両方の内面に前記試料を載置することと、
(c)ヒンジの軸を中心にプレートを閉配置に回転させることと、
(d)所定時間インキュベートすることと、
(e)ヒンジの軸を中心にプレートを開配置に回転させることによってプレートを開くことと、
(f)試料を処理または分析することと、を含む、試料分析方法。
【0331】
8.ドレインおよびヒンジの例
11.
第1のプレートと、第2のプレートと、ヒンジと、を備える試料分析用デバイスであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートは、ヒンジによって接続され、ヒンジの軸を中心に、開配置および閉配置を含む異なる配置へと互いに対して可動であり、
ii.各プレートは、分析用試料と接触するための試料接触領域を有する内面を備え、
iii.プレートの一方または両方はそれぞれ、内面に、試料接触領域を囲む排出溢れ防止溝を有し、
開配置は、2つのプレートが部分的または全体的に離れている配置であり、
試料は、開配置において載置され、
閉配置は、2つのプレートの内面が直接接触しているか、スペーサを介して接触しているか、または試料を介して接触しているかのいずれかにある配置であり、
排出溢れ防止溝は、プレートが開配置にあるときに試料接触領域に載置された試料が、プレートが閉配置にあるときに排出溢れ防止溝の外側に流れるのを防止または低減するように構成される、試料分析用デバイス。
【0332】
9.方法の例
12.
薄層の試料を作製するための方法であって、
(a)プレートが開配置に構成されているときに、先に記載のいずれかの実施形態のデバイスの試料接触領域の一方または両方に試料を載置することと、
(b)(a)の後に、ヒンジを中心に2つのプレートを閉配置に動かすことと、を含み、閉配置において、試料の少なくとも一部がプレート間で薄層に圧縮される、方法。
【0333】
13.
薄層の試料を作製するための方法であって、
(a)プレートが開配置に構成されているときに、先に記載のいずれかの実施形態のデバイスの試料接触領域の一方または両方に試料を載置することと、
(b)(a)の後に、ヒンジを中心に2つのプレートを閉配置に動かすことと、を含み、閉配置において、試料の少なくとも一部は、プレート間にあり、プレートの試料接触領域間の平均間隔は、0.01~200μmの範囲にある、方法。
【0334】
14.
ヒンジは、角度自己保持ヒンジである、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0335】
15.
試料を撮像するか、または試料から測定可能な信号を検出することによって、試料を分析すること、をさらに含む、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0336】
16.
カメラは、携帯移動通信デバイスの一部である、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0337】
17.
デバイスがスロットに挿入され、アダプタがカメラに接続されているとき、カメラとデバイスとの間の距離は、10cm以下である、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0338】
18.
力が取り除かれた後、ヒンジは、外力が取り除かれる直前の角度から5度以内の2つのプレート間の角度を保持する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0339】
19.
外力が取り除かれた後、ヒンジは、外力が取り除かれる直前の角度から10度以内の2つのプレート間の角度を保持する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0340】
20.
外力が取り除かれた後、ヒンジは、外力が取り除かれる直前の角度から20度以内の2つのプレート間の角度を保持する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0341】
21.
外力が取り除かれた後、ヒンジは、外力が取り除かれる直前の角度から30度以内の2つのプレート間の角度を保持する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0342】
22.
少なくとも1つのノッチの幅は、ノッチ形成縁部の幅の1/6~2/3の範囲内にある、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0343】
23.
少なくとも1つのノッチの幅は、1mm~50mmの範囲内にある、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0344】
24.
他のプレートの重なっている部分の面積は、ノッチの面積の1/10~全面積の範囲内にある、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0345】
25.
他のプレートの重なっている部分の面積は、1mm2~500mm2の範囲内にある、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0346】
26.
ノッチのないプレートの開口縁部は、ノッチの上の部分を除いてノッチ形成縁部の内側にある、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0347】
27.
ヒンジは、
第1のリーフと、
第2のリーフと、
リーフを接続する連結部であって、リーフが連結部を中心にして回転するように構成された、連結部と
を備える、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0348】
28.
第1のリーフは第1のプレートに取り付けられ、第2のリーフは第2のプレートに取り付けられる、実施形態C1のデバイス。
【0349】
29.
第1のリーフ、第2のリーフ、および連結部は、最初は均一の厚さを有する材料で作られている、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0350】
30.
ヒンジは、実質的に均一な厚さの一片のヒンジ材料で作られ、ヒンジ材料は、第1のプレートの内面の一部および第2のプレートの外面の一部に取り付けられ、この取り付けは、操作を使用して完全に分離されることはない、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
31.
角度自己保持ヒンジは、実質的に均一な厚さの材料の層を備え、層の少なくとも1つがアルミニウムである、前記のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0351】
32.
ヒンジは、実質的に均一な厚さの一片のヒンジ材料で作られ、ヒンジ材料は、第1のプレートおよび第2のプレートの外面の一部に取り付けられ、この取り付けは、操作を使用して完全に分離されることはない、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0352】
33.
ヒンジは、実質的に均一な厚さの一片のヒンジ材料であり、ヒンジ材料は、第1のプレートおよび第2のプレートの内面の一部に取り付けられ、この取り付けは、操作を使用して完全に分離されることはない、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0353】
34.
ヒンジ材料は金属である、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0354】
35.
ヒンジ材料は、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、錫、白金、ニッケル、コバルト、およびそれらの合金からなる群から選択される金属である、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0355】
36.
金属材料はアルミニウムである、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0356】
37.
ヒンジの長さは、連結部が整列するプレート縁部の長さの1/20~全長の範囲内にある、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0357】
38.
プレートの一方または両方は透明である、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0358】
39.
プレートの一方または両方は不透明である、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0359】
40.
プレートのうちの少なくとも1つは、200μm未満の厚さを有する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0360】
41.
プレートのうちの少なくとも1つは、100μm未満の厚さを有する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0361】
42.
プレートのうちの少なくとも1つは、5cm2未満の面積を有する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0362】
43.
プレートのうちの少なくとも1つは、2cm2未満の面積を有する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0363】
44.
プレートのうちの少なくとも1つは、可撓性ポリマーから作られる、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0364】
45.
スペーサの均一な高さは、0.5~100μmの範囲内にあり、スペーサの一定のスペーサ間距離は、5~200μmの範囲内にある、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0365】
46.
スペーサの均一な高さは、0.5~20μmの範囲内にあり、スペーサの一定のスペーサ間距離は、7~50μmの範囲内にある、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0366】
47.
スペーサは、ポリスチレン、PMMA、PS、PMMG、PC、COC、COP、または他のプラスチック、またはそれらの任意の組み合わせから作られる、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0367】
48.
スペーサは、柱形状および平坦な上面を有する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0368】
49.
スペーサは、少なくとも100個/mm2の密度を有する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス。
【0369】
50.
スペーサは、少なくとも1000個/mm2の密度を有する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス。
【0370】
51.
第1のリーフおよび第2のリーフは、成形または接着によってプレートに取り付けられている、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0371】
52.
第1のリーフ、第2のリーフ、および連結部は、可撓性である単一の材料で作られている、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0372】
53.
ヒンジは、第1のリーフ、第2のリーフ、および連結部を横切って広がる少なくとも第1の層および第2の層を備える、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0373】
54.
第2の層は、金属から作られ、第1の層は、ヒンジを第1のプレートおよび第2のプレートに取り付ける接着剤の層である、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0374】
55.
ヒンジは、2つのプレートの相対角度を自己保持することができる材料で作られている、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0375】
56.
ヒンジは、外力が取り除かれた後に2つのプレートの相対角度を自己保持し、ヒンジは、金属材料、非金属材料、またはその組み合わせから作られ、金属材料は、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、錫、白金、ニッケル、コバルト、もしくは合金、または第1のプレートと第2のプレートとがなす角度を角度が外力によって変わった後に実質的に維持する機械的力を提供することができる任意の他の金属材料、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0376】
54.
ヒンジをプレートに取り付けるための接着剤は、デキストリン、ゼラチン、アスファルト、瀝青、天然ゴム、樹脂、シェラック、セルロースおよびその誘導体、ビニル誘導体、アクリル、反応性アクリル系、ポリクロロプレン、スチレン-ブタジエン、スチレン-ジエン-スチレン、ポリイソブチレン、アクリロニトリル-ブタジエン、ポリウレタン、ポリスルフィド、シリコーン、アルデヒド縮合樹脂、エポキシ樹脂、アミン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィンポリマー、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される材料から作られる、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0377】
55.
ASM(角度自己保持)ヒンジは、金属、ポリマー、またはその組み合わせの材料で作られ、金属材料は、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、錫、白金、ニッケル、コバルト、もしくは合金、またはプレートを開く外力が取り除かれた後にプレートを開配置に保つ機械的力を提供することができる任意の他の金属材料、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
ポリマー材料は、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、オレフィンポリマー、セルロースポリマー、非セルロースポリマー、ポリエステルポリマー、ナイロン、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMBB)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PBB)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(エチレンフタレート)(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBBT)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFBB)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ゴム、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0378】
56.
ASM(角度自己保持)ヒンジは、角度自己保持を可能にするように作られた複合材料である、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0379】
57.
ASM(角度自己保持)ヒンジは、2つの均一な層を有し、第1の層および第2の層は、10~100μmの範囲の厚さを有し、または、連結部によって相互接続された第1のリーフおよび第2のリーフを含み、第1のリーフおよび第2のリーフは、成形によってプレートに取り付けられる、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0380】
58.
ASM(角度自己保持)の角度は、外力が取り除かれた後に5度未満の変化で、または外力が取り除かれた後に10度未満の変化で保持される、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0381】
59.
角度自己保持ヒンジは、実質的に均一な厚さの一片のヒンジ材料で作られ、厚さは、1μm(ミクロン)、10μm、20μm、50μm、75μm、またはそのうちの任意の2つの値の間の範囲である、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0382】
60.
角度自己保持ヒンジは、実質的に均一な厚さの一片のヒンジ材料で作られ、厚さは、75μm(ミクロン)、100μm、250μm、またはそのうちの任意の2つの値の間の範囲である、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0383】
61.
角度自己保持ヒンジは、実質的に均一な厚さの一片のヒンジ材料で作られ、厚さは、200μm(ミクロン)、500μm、2500μm、またはそのうちの任意の2つの値の間の範囲である、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0384】
62.
2つのプレートの閉配置での試料の厚さは、0.001μm(ミクロン)、0.01μm、0.1μm、1μm、10μm、20μm、50μm、またはそのうちの任意の2つの値の間の範囲の厚さを有する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0385】
63.
2つのプレートの閉配置での試料の厚さは、75μm(ミクロン)、100μm、250μm、またはそのうちの任意の2つの値の間の範囲の厚さを有する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0386】
64.
2つのプレートの閉配置での試料の厚さは、200μm(ミクロン)、500μm、2500μm、またはそのうちの任意の2つの値の間の範囲の厚さを有する、先に記載のいずれかの実施形態のデバイス、キット、システム、または方法。
【0387】
22.関連文書
いくつかの実施形態では、本発明のQMAXカードは、2015年8月10日に出願された米国仮特許出願第62/202,989号、2015年9月14日に出願された米国仮特許出願第62/218,455号、2016年2月9日に出願された米国仮特許出願第62/293,188号、2016年3月8日に出願された米国仮特許出願第62/305,123号、2016年7月31日に出願された米国仮出願第62/369,181号、2016年9月15日に出願された米国仮特許出願第62/394,753号、2016年8月10日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号、2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/051775号、2016年9月15日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/051794号、および2016年9月27日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/054025号に記載の実施形態(これらの開示のすべては、それらの全体およびあらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れられる)を含むが、これらに限定されない。
【0388】
本明細書に開示されるデバイスおよび方法は、2016年8月10日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号、および2016年9月14日に出願された同第PCT/US2016/51794号に記載されたもの(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)を含むが、これらに限定されない、種々の生物学的/化学的サンプリング、センシング、アッセイ、および用途を有する。
【0389】
本明細書に開示されるデバイスおよび方法は、診断用試料、臨床用試料、環境用試料、および食品用試料などの試料に使用されるが、これらに限定されない。試料の種類には、2016年8月10日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に列挙され、記載され、要約された試料を含むが、これらに限定されない。
【0390】
本明細書に開示されるデバイスおよび方法は、これらに限定されないがバイオマーカーなどの分析物の検出、精製および/または定量化に使用される。バイオマーカーの例としては、2016年8月10日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に列挙され、記載され、要約されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0391】
本明細書で開示されるデバイスおよび方法は、移動通信デバイスおよびシステムの円滑化および強化とともに使用され、2016年8月10日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に列挙され、記載され、要約されたデバイスおよびシステムを含む。
【0392】
本発明は、様々な実施形態を含み、様々な構成要素が互いに矛盾しない限り、それらを複数の方法で組み合わせることができる。実施形態は、単一の発明の出願とみなされるべきである:各出願は、参照として他の出願を有し、また全体としておよびあらゆる目的のために、個別の独立物としてではなく参照される。これらの実施形態は、現在の出願における開示だけでなく、本明細書において参照され、組み込まれ、または優先権が主張される文書も含む。
【0393】
(1)定義
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法を説明するのに使用される用語は、現在の出願、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号(これらすべての出願はあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる)において定義される。
【0394】
用語「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」、および「QMAXプレート」は、いくつかの実施形態においてCOFカードがスペーサを備えないことを除いて、交換可能であり、同用語は、異なる配置(開配置および閉配置を含む)へと互いに対して可動である第1のプレートおよび第2のプレートを備え、かつプレート間の間隔を調整するスペーサ(COFカードのいくつかの実施形態を除く)を備えるデバイスを指す。用語「Xプレート」は、スペーサがそのプレートに固定されている、CROFカード内の2つのプレートのうちの一方を指す。COFカード、CROFカード、およびXプレートのさらなる説明は、2017年2月7日に出願された仮出願第62/456065号に与えられており、これはあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0395】
(2)Qカード、スペーサ、および均一な試料厚さ
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のために、Qカード、スペーサ、および均一な試料厚さの実施形態を含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、試料の少なくとも一部を高い均一性の層にするのを助けるスペーサを含む。スペーサの構造、材料、機能、変形、および寸法、ならびにスペーサおよび試料層の均一性は、本明細書に開示され、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号(これらすべての出願はあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる)において列挙され、記載され、および要約される。
【0396】
(3)ヒンジ、開口ノッチ、後退縁部、およびスライダ
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のために、Qカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、Qカードの操作および試料の測定を容易にするのに役立つヒンジ、ノッチ、後退部、およびスライダを備える。ヒンジ、ノッチ、後退部、およびスライダの構造、材料、機能、変形、および寸法は、本明細書に開示され、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号(これらすべての出願はあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる)において列挙され、記載され、および要約される。
【0397】
(4)Qカード、スライダ、およびスマートフォン検出システム
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のために、Qカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、カードがスマートフォン検出システムによって読み取られることを可能にするスライダと一緒に使用される。Qカード、スライダ、およびスマートフォン検出システムの構造、材料、機能、変形、寸法、および接続は、本明細書に開示され、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号(これらすべての出願はあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる)において列挙され、記載され、および要約される。
【0398】
(5)検出方法
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々な種類の検出方法を含むか、またはそれらに使用することができる。検出方法は、本明細書に開示され、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号(これらすべての出願はあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる)において列挙され、記載され、および要約される。
【0399】
(6)ラベル
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、分析物検出に使用される様々な種類のラベルを使用することができる。ラベルは、本明細書に開示され、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号(これらすべての出願はあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる)において列挙され、記載され、および要約される。
【0400】
(7)分析物
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々な種類の分析物(バイオマーカーを含む)の操作および検出に適用することができる。分析物およびは、本明細書に開示され、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号(これらすべての出願はあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる)において列挙され、記載され、および要約される。
【0401】
(8)用途(分野および試料)
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々な用途(分野および試料)に使用することができる。これらの用途は、本明細書に開示され、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号(これらすべての出願はあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる)において列挙され、記載され、および要約される。
【0402】
(9)クラウド
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、データ転送、記憶、および/または分析のためにクラウド技術を採用することができる。関連するクラウド技術は、本明細書に開示され、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号(これらすべての出願はあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる)において列挙され、記載され、および要約される。
【0403】
その他の注意事項
本開示による本発明の主題のさらなる例を、以下の列挙された実施形態で説明する。
【0404】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈においてそうでないと明示しない限り、例えば「単一」という用語が使用される場合、複数を参照することを含む。例えば、「分析物」への参照は、単一の分析物および複数の分析物を含み、「捕捉剤」への参照は、単一の捕捉剤および複数の捕捉剤を含み、「検出剤」への参照は、単一の検出剤および複数の検出剤を含み、「薬剤」への参照は、単一の薬剤および複数の薬剤を含む。
【0405】
本明細書で使用するとき、「適合された」および「構成された」という用語は、要素、構成要素、または他の主題が所与の機能を実行するようにデザインおよび/または意図されることを意味する。したがって、「適合された」および「構成された」という用語の使用は、所与の要素、構成要素、または他の主題が単に所与の機能を実行することができることを意味すると解釈されるべきではない。同様に、特定の機能を実行するように構成されているとして列挙されている主題は、その機能を実行するように動作可能であるとして追加的にまたは代替的に説明され得る。
【0406】
本明細書で使用するとき、本開示による1以上の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法を参照して使用するときのフレーズ「例えば」、フレーズ「例として」、および/または単に用語「例」および「例示的」は、説明された構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法は、本開示による構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法の例示的、非排他的例であることを伝えることを意図する。したがって、説明された構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法は、限定的、必須、または排他的/網羅的であることを意図しておらず、構造的および/または機能的に類似および/または同等の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法を含む他の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法もまた本開示の範囲内である。
【0407】
本明細書で使用するとき、フレーズ「少なくとも1つの」および「1つ以上の」は、複数の実体のリストに関して、実体のリスト内の任意の1つ以上の実体を意味し、実体のリスト内に具体的に列挙されているそれぞれのまたはすべての実体の少なくとも1つに限定されない。例えば、「AおよびBのうち少なくとも1つ」(または同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、Aのみ、Bのみ、またはAとBとの組み合わせを参照し得る。
【0408】
本明細書で使用するとき、第1の実体と第2の実体との間に配置される用語「および/または」は、(1)第1の実体、(2)第2の実体、および(3)第1の実体かつ第2の実体、のうちの1つを意味する。「および/または」を用いて列挙された複数の実体は、同じように解釈されるべきであり、すなわち、そのように結合された実体の「1つ以上」である。具体的に識別された実体に関連しているかどうかにかかわらず、「および/または」の節によって具体的に識別された実体以外の他の実体が任意選択で存在し得る。
【0409】
本明細書で数値範囲に言及するとき、本発明は、終点が含まれる実施形態、両方の終点が除外される実施形態、および一方の終点が含まれ他方が除外される実施形態を含む。特に明記しない限り、両方の終点が含まれていると想定すべきである。さらに、他に指示がない限り、または文脈および当業者の理解から明らかでない限りは。
【0410】
任意の特許、特許出願、または他の参考文献が参照により本明細書に組み入れられ、かつ本開示で組み込まれていない部分または他の組み込まれた任意の参考文献と(1)矛盾する方法で用語を定義し、および/または(2)それ以外に矛盾し、本開示の組み込まれていない部分が支配するものとし、その用語またはその中の組み込まれた開示は、その用語が定義されている参照および/または組み込まれた開示がもともと存在していた参考文献に関してのみ支配するものとする。