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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 36/18 20060101AFI20221028BHJP
   C08F 2/38 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
C08F36/18
C08F2/38
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019532880
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2018028225
(87)【国際公開番号】W WO2019022227
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2017146591
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(72)【発明者】
【氏名】藤本 光佑
(72)【発明者】
【氏名】山岸 宇一郎
(72)【発明者】
【氏名】萩原 尚吾
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-245411(JP,A)
【文献】特開平10-130306(JP,A)
【文献】特開2016-198426(JP,A)
【文献】国際公開第2010/016523(WO,A1)
【文献】特開2013-237801(JP,A)
【文献】特開2016-210891(JP,A)
【文献】特開2007-039654(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103421149(CN,A)
【文献】特開2003-327620(JP,A)
【文献】Atsushi GOTO et al.,Phenols and Carbon Compounds as Efficient Organic Catalysts for Reversible Chain Transfer Catalyzed Living Radical Polymerization (RTCP),Macromolecules,2010年,Vol.43, No.19,Pages 7971-7978
【文献】基礎高分子科学,日本,株式会社東京化学同人,2006年07月01日,第340頁
【文献】アクリル製品総合カタログ,東亞合成株式会社,2016年11月,第3-4頁
【文献】イソシアネートモノマー(カレンズ(R)MOI類)について,昭和電工株式会社ウェブサイト
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00- 2/60
C08F 6/00-246/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性単量体100質量部に対して酸素ラジカル捕捉剤を0.005~0.5質量部用いてリビングラジカル重合を行う工程を含み、
前記ラジカル重合性単量体がジエン系単量体を含む、重合体の製造方法。
【請求項2】
前記酸素ラジカル捕捉剤がフェノール系化合物を含む、請求項1に記載の重合体の製造方法。
【請求項3】
前記フェノール系化合物がブチル化ヒドロキシトルエンを含む、請求項2に記載の重合体の製造方法。
【請求項4】
前記ジエン系単量体がクロロプレンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
【請求項5】
前記ジエン系単量体が、
クロロプレンと、
2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、イソプレン及びブタジエンからなる群から選択される少なくとも1種と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
【請求項6】
前記ラジカル重合性単量体が、クロロプレンと、アクリロニトリルと、を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
【請求項7】
前記リビングラジカル重合が、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)である、請求項1~のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
【請求項8】
下記化学式(I)又は(II)で表される連鎖移動剤(CTA)の存在下で重合を行う、請求項に記載の重合体の製造方法。
【化1】

【化2】

(化学式(I)中、Rは、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。化学式(I)及び(II)中、R~Rはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環、有機金属種、又は任意の重合体鎖を示す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体の製造方法に関する。より詳しくは、酸素ラジカル捕捉剤を用いてリビングラジカル重合を行う重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リビングラジカル重合はドーマント末端の開裂と伸長を繰り返し、重合体鎖が逐次的に伸長することを特徴とする重合法である。ラジカル捕捉剤存在下でリビングラジカル重合を行うと、一般的に、ラジカル捕捉剤が伸長ラジカルを捕捉するために重合制御性が低下し、得られる重合体の分子量分布がブロードになる。特許文献1には、ラジカル重合禁止剤の添加により空気雰囲気下の重合が抑制されることが記載されている。
【0003】
ラジカル捕捉剤に起因する重合制御性の低下を防止するため、リビングラジカル重合開始前にラジカル捕捉剤を除去する処置が取られる場合がある。特許文献2には、アルミナカラムを通して重合禁止剤(ラジカル捕捉剤)を除去した後にリビングラジカル重合を行う手順が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-330446号公報
【文献】特開2015-117356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では重合制御性の低下が十分に抑制されず、分子量分布が狭い重合体をリビングラジカル重合により得ることが困難な場合があった。
そこで、本発明は、リビングラジカル重合により分子量分布が狭い重合体を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の通り、ラジカル捕捉剤を添加してリビングラジカル重合を行うと重合制御性が低下して分子量分布の広い重合体が製造されることが知られている。しかしながら、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、全く意外にも酸素ラジカル捕捉剤を従来よりも高濃度で添加することにより分子量分布が狭い重合体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、ラジカル重合性単量体100質量部に対して酸素ラジカル捕捉剤を0.005~0.5質量部用いてリビングラジカル重合を行う工程を含む、重合体の製造方法を提供する。
前記酸素ラジカル捕捉剤は、フェノール系化合物を含んでもよい。
前記フェノール系化合物は、ブチル化ヒドロキシトルエンを含んでもよい。
前記ラジカル重合性単量体は、ジエン系単量体を含んでもよい。
前記ジエン系単量体は、クロロプレンを含んでもよい。
前記ジエン系単量体は、クロロプレンと、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、イソプレン及びブタジエンからなる群から選択される少なくとも1種と、を含んでもよい。
前記ラジカル重合性単量体は、クロロプレンと、アクリロニトリルと、を含んでもよい。
前記リビングラジカル重合は、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)であってもよい。
下記化学式(I)又は(II)で表される連鎖移動剤(CTA)の存在下で前記可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)を行ってもよい。
【化1】

【化2】

(化学式(I)中、Rは、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。化学式(I)及び(II)中、R~Rはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環、有機金属種、又は任意の重合体鎖を示す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明により、リビングラジカル重合を用いて分子量分布が狭い重合体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0010】
本実施形態に係る重合体の製造方法は、ラジカル重合性単量体を酸素ラジカル捕捉剤の存在下でリビングラジカル重合する工程を含み、ラジカル重合性単量体100質量部に対して酸素ラジカル捕捉剤を0.005~0.5質量部用いる。酸素ラジカル捕捉剤としては、公知のものが使用できるが、好ましくはフェノール系化合物を用いる。
【0011】
上記ラジカル重合性単量体は、ラジカル重合可能な単量体であれば特に限定されず、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。ラジカル重合性単量体としては、ジエン系単量体、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン、スチレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、これらの中でもジエン系単量体がより好ましい。ジエン系単量体としては、クロロプレン、イソプレン、ブタジエン、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン及び1-クロロ-1,3-ブタジエンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、これらの中でもクロロプレンがより好ましい。
【0012】
上記ジエン系単量体としてクロロプレンとクロロプレン以外の単量体とを用いる場合、上記ジエン系単量体は、クロロプレンと、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、イソプレン及びブタジエンからなる群から選択される少なくとも1種と、であることが好ましい。また、上記ラジカル重合性単量体としてクロロプレンとクロロプレン以外の単量体とを用いる場合、上記ラジカル重合性単量体は、クロロプレンとアクリロニトリルを含むことが好ましい。
【0013】
本実施形態の製造方法で用いられるフェノール系化合物は、リビングラジカル重合において伸長ラジカルを捕捉するフェノール系ラジカル捕捉剤であれば、任意の公知のものを用いることができる。フェノール系化合物は、ラジカル重合性単量体100質量部に対して0.005~0.5質量部の割合で用いられる。0.005質量部未満であると、得られる重合体の分子量分布が広くなる。0.5質量部超であると、8時間以上重合反応を行っても重合率が5%を超えず、重合反応が実質的に進行しない。
【0014】
上記フェノール系化合物は、特に限定されないが、下記化学式(III)又は(IV)で表される化合物であることが好ましい。
【化3】
【0015】
化学式(III)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素、水酸基、ハロゲン、炭素数1~25の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1~25の置換もしくは無置換のアルコキシ基、又は炭素数1~25の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基を示す。
【0016】
【化4】

【化5】
【0017】
化学式(IV)中、波線は化学式(V)で表される構造との結合位置を示し、Lは連結基を示し、nは1~3の整数である。化学式(V)中、Rx、Ry及びRzはそれぞれ独立に、水素、水酸基、ハロゲン、炭素数1~25の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1~25の置換もしくは無置換のアルコキシ基、又は炭素数1~25の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基を示す。Rx、Ry及びRzのうちいずれか1つは連結基Lで置換されており、連結基Lは硫黄、炭素数1~25の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1~25の置換もしくは無置換のアルコキシ基、又は炭素数1~25の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基を介して置換されてもよい。連結基Lは、硫黄、炭素数1~25の置換もしくは無置換のアルキル基、又は下記化学式(VI)~(X)で表される構造を示す。
【0018】
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】
【0019】
化学式(X)中、mは1以上の整数である。
【0020】
上記化学式(III)で表される化合物としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(別名:2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、BHT)、tert-ブチルカテコール、ヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4-メトキシフェノール、モノ(又はジ、又はトリ)(α-メチルベンジル)フェノール、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノンが好ましい。
【0021】
上記化学式(IV)で表される化合物としては、p-クレソールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、4,4'-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、イソシアヌル酸トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジイルビス-2-メチル-2,1-プロパンジイルビス{3-[4-ヒドロキシ-3-メチル-5-(2-メチル-2-プロパニル)フェニル]プロパネート}、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンが好ましい。
【0022】
これらの化合物の中でも、フェノール系化合物としてはブチル化ヒドロキシトルエンが好ましい。
【0023】
本実施形態の製造方法におけるリビングラジカル重合は、比較的分子量分布の狭い重合体を得る観点から可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)が好ましい。このため、本実施形態の製造方法では、連鎖移動剤(CTA)の存在下で重合を行う。連鎖移動剤(CTA)としては好ましくは公知のRAFT剤を用いる事ができる。さらに好ましくは下記化学式(I)又は(II)で表されるRAFT剤が連鎖移動剤(CTA)として用いられる。
【0024】
【化11】

【化12】
【0025】
化学式(I)中、Rは、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。Rの好ましい例としては、ピロール基、ピラゾール基、ピリジル基、p-メトキシフェニル基、p-N,N-ジメチルアミノフェニル基が挙げられる。化学式(I)及び(II)中、R~Rはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環、有機金属種、又は任意の重合体鎖を示す。R~Rの好ましい例は、それぞれ独立に、ベンジル基、ブチル基、ドデシル基、2-シアノ-2-プロピル基、シアノメチル基が挙げられる。
【0026】
上記化学式(I)で表されるRAFT剤は特に限定されるものではなく一般的な化合物を使用することができ、例えばジチオカルバメート類、ジチオエステル類が挙げられる。これらの中でも、重合制御性に優れることから、ベンジル1-ピロールカルボジチオエート(別名:ベンジル1-ピロールジチオカルバメート)、1-ベンジル-N,Nジメチル-4-アミノジチオベンゾエート、1-ベンジル-4-メトキシジチオベンゾエート、1-フェニルエチルイミダゾールジチオカルバメート(別名:1-フェニルエチルイミダゾールカルボジチオエート)、ベンジル-1-(2-ピロリジノン)ジチオカルバメート(別名:ベンジル-1-(2-ピロリジノン)カルボジチオエート)、ベンジルフタルイミジルジチオカルバメート(別名:ベンジルフタルイミジルカルボジチオエート)、2-シアノプロプ-2-イル-1-ピロールジチオカルバメート(別名:2-シアノプロプ-2-イル-1-ピロールカルボジチオエート)、2-シアノブト-2-イル-1-ピロールジチオカルバメート(別名:2-シアノブト-2-イル-1-ピロールカルボジチオエート)、ベンジル-1-イミダゾールジチオカルバメート(別名:ベンジル-1-イミダゾールカルボジチオエート)、2-シアノプロプ-2-イル-N,N-ジメチルジチオカルバメート、ベンジル-N,N-ジエチルジチオカルバメート、シアノメチル-1-(2-ピロリドン)ジチオカルバメート、2-(エトキシカルボニルベンジル)プロプ-2-イル-N,N-ジエチルジチオカルバメート、ベンジルジチオエート、1-フェニルエチルジチオベンゾエート、2-フェニルプロプ-2-イルジチオベンゾエート、1-酢酸-1-イル-エチルジチオベンゾエート、1-(4-メトキシフェニル)エチルジチオベンゾエート、ベンジルジチオアセテート、エトキシカルボニルメチルジチオアセタート、2-(エトキシカルボニル)プロプ-2-イルジチオベンゾエート、2-シアノプロプ-2-イルジチオベンゾエート、ジチオベンゾエート、tert-ブチルジチオベンゾエート、2,4,4-トリメチルペンタ-2-イルジチオベンゾエート、2-(4-クロロフェニル)-プロプ-2-イルジチオベンゾエート、3-ビニルベンジルジチオベンゾエート、4-ビニルベンジルジチオベンゾエート、ベンジルジエトキシホスフィニルジチオフォルマート、tert-ブチルトリチオペルベンゾエート、2-フェニルプロプ-2-イル-4-クロロジチオベンゾエート、ナフタレン-1-カルボン酸-1-メチル-1-フェニル-エチルエステル、4-シアノ-4-メチル-4-チオベンジルスルファニル酪酸、ジベンジルテトラチオテレフタラート、カルボキシメチルジチオベンゾエート、ジチオベンゾエート末端基を持つポリ(酸化エチレン)、4-シアノ-4-メチル-4-チオベンジルスルファニル酪酸末端基を持つポリ(酸化エチレン)、2-[(2-フェニルエタンチオイル)スルファニル]プロパン酸、2-[(2-フェニルエタンチオイル)スルファニル]コハク酸、3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-カルボジチオエートカリウム、シアノメチル-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-カルボジチオエート、シアノメチルメチル-(フェニル)ジチオカルバメート、ベンジル-4-クロロジチオベンゾエート、フェニルメチル-4-クロロジチオベンゾエート、4-ニトロベンジル-4-クロロジチオベンゾエート、フェニルプロプ-2-イル-4-クロロジチオベンゾエート、1-シアノ-1-メチルエチル-4-クロロジチオベンゾエート、3-クロロ-2-ブテニル-4-クロロジチオベンゾエート、2-クロロ-2-ブテニルジチオベンゾエート、ベンジルジチオアセテート、3-クロロ-2-ブテニル-1H-ピロール-1-ジチオカルボン酸、2-シアノブタン-2-イル4-クロロ-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-カルボジチオエート、シアノメチルメチル(フェニル)カルバモジチオエートが好ましい。これらの中でもベンジル1-ピロールカルボジチオエート、1-ベンジル-N,Nジメチル-4-アミノジチオベンゾエート及び1-ベンジル-4-メトキシジチオベンゾエートがより好ましい。
【0027】
上記化学式(II)で表されるRAFT剤としては、例えば、2-シアノ-2-プロピルドデシルトリチオカルボナート、ジベンジルトリチオカルボナート、ブチルベンジルトリチオカルボナート、2-[[(ブチルチオ)チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、2-[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、2-[[(ブチルチオ)チオキソメチル]チオ]コハク酸、2-[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]コハク酸、2-[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]-2-メチルプロピオン酸、2,2′-[カルボノチオイルビス(チオ)]ビス[2-メチルプロピオン酸]、2-アミノ-1-メチル-2-オキソエチルブチルトリチオカルボナート、ベンジル2-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-2-オキソエチルトリチオカルボナート、3-[[[(tert-ブチル)チオ]チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、シアノメチルドデシルトリチオカルボナート、ジエチルアミノベンジルトリチオカルボナート、ジブチルアミノベンジルトリチオカルボナートなどのトリチオカルボナート類が挙げられる。この中でも、重合制御性に優れることから、ブチルベンジルトリチオカルボナート及びジベンジルトリチオカルボナートが好ましく、ブチルベンジルトリチオカルボナートがより好ましい。
【0028】
連鎖移動剤の量は、分子量分布の狭い重合体を得る観点から、重合開始時におけるラジカル重合性単量体(M)と上記連鎖移動剤(CTA)との物質量の比(M/CTA)が5/1~500/1の範囲となるよう調整することが好ましい。M/CTAの値は、より好ましくは100/1~300/1である。
【0029】
RAFT重合において用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、4-メトキシ-アゾビスバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、上記連鎖移動剤(CTA)と上記ラジカル重合開始剤(I)との物質量の比(CTA/I)が1/5~1/0.001の範囲となるよう調整することが好ましい。
【0030】
リビングラジカル重合の重合様式としては、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合などが挙げられるが、これらの中でも乳化重合が好ましい。
【0031】
乳化重合で使用する乳化剤は、特に限定されるものではないが、乳化安定性の観点からアニオン又はノニオン系の乳化剤が好ましい。特に重合終了後の凍結凝固乾燥により得られるフィルム状のゴムに、適当な強度を持たせて過度の収縮及び破損を防ぐことができるという理由から、ロジン酸アルカリ金属塩を使用することが好ましい。ロジン酸は、樹脂酸、脂肪酸などの混合物である。樹脂酸には、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマル酸、イソピマル酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロイソピマル酸、セコデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸などが含まれ、脂肪酸には、オレイン酸、リノール酸などが含まれる。これらの成分組成は、ガムロジン、ウッドロジン、トールロジンに分類されるロジン採取方法の違い、松の産地及び樹種、蒸留精製、不均化(不均斉化)反応によって変化するものであり、特に限定はされない。乳化安定性や取り扱いやすさを考慮すると、乳化剤はロジン酸ナトリウム塩又はロジン酸カリウム塩であることが好ましい。
【0032】
乳化剤の量は、乳化状態の観点から、ラジカル重合性単量体100質量部に対して1.0~10.0質量部が好ましく、2.0~5.0質量部がより好ましい。
【0033】
上記乳化剤は、臨界ミセル濃度以上であることが好ましい。臨界ミセル濃度以上の乳化剤を用いてリビングラジカル重合を行うことで、重合系にミセルを形成し、単量体を水中に安定化分散させることが可能になり、また、重合終了後に攪拌を止めても合一することがなくなるからである。
【0034】
リビングラジカル重合における重合温度は、特に限定するものはないが、重合制御性を向上させて分子量分布の狭い重合体を得る観点から、5~55℃が好ましく、10~55℃がより好ましく、35~55℃がより好ましい。一般的に重合温度が高いほど重合体の分子量分布は広がる傾向にあるが、本実施形態の製造方法は重合制御性に優れているため、高い重合温度においても分子量分布の狭い重合体が得られうる。また、重合温度を5~55℃とする事で、常圧下で乳化重合を行うことが出来、生産性が向上する。一方、ラジカル重合性重合体の1種であるクロロプレンの沸点は、約59℃であることから、重合温度を55℃以下とすることで、連鎖移動剤の加水分解によるリビング性への影響や単量体の蒸発を考慮する必要がなくなるため好ましい。
【0035】
本実施形態の最も好ましい製造方法は、ラジカル重合性単量体(M)100質量部に対して、酸素ラジカル捕捉剤、好ましくはフェノール系化合物0.005~0.5質量部と、上記化学式(I)又は(II)で表される連鎖移動剤(CTA)と、を添加して、重合開始時における上記ラジカル重合性単量体と連鎖移動剤(CTA)の物質量比(M/CTA)を5/1~500/1とした溶液Aと、乳化剤0.1~10質量%の水溶液B500~5000質量部と、を混合し、乳化重合した後、ラジカル重合を行い、重合率が20~50%に達した時に、ラジカル重合性単量体100~5000質量部を追添加することが好ましい。M/CTA=5/1~500/1となるように調整することで、重合制御性を高めて分子量分布の狭い重合体を得ることができる。M/CTAの値は、より好ましくは100/1~300/1である。追添加するラジカル重合性単量体は、より好ましくは250~3000質量部である。
【0036】
本実施形態の製造方法において、酸素ラジカル捕捉剤は、初期に一括添加してもよく、追添加してもよい。
【0037】
リビングラジカル重合における最終重合率は、生産性を向上させつつ重合体がゲル化することを防止するため、40~95%が好ましく、50~80%がより好ましい。最終重合率の調整は、重合禁止剤を添加して重合反応を停止させることで行いうる。重合禁止剤としては、例えば、油溶性の重合禁止剤であるチオジフェニルアミン、4-ターシャリーブチルカテコール、2,2-メチレンビス-4-メチル-6-ターシャリーブチルフェノールや、水溶性の重合禁止剤であるジエチルヒドロキシルアミンなどがある。
【0038】
本実施形態の製造方法において、リビングラジカル重合後の未反応単量体の除去は、減圧加熱などの公知の方法により行えばよい。その後、pHを調整し、凍結凝固、水洗、熱風乾燥などの工程を経て、固形状の重合体を回収すればよい。
【実施例
【0039】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
<重合体の製造>
[実施例1]
(クロロプレン重合体ラテックスの作成)
500ml三口セパラブルフラスコ中で、水100gに水酸化ナトリウム50mg、ナフタリンスルホン酸・ホルマリン縮合物ソーダ1.0g、不均化トールロジンカリウム塩4.43gを溶解させ、窒素フローによる脱気をオイルバスで30℃に保ち10分間行なった。次に、減圧蒸留により安定剤を取り除いたクロロプレン単量体10g、ブチルベンジルトリチオカルボナート1.5g、ブチル化ヒドロキシトルエン0.01gを上記セパラブルフラスコに添加し、30℃のオイルバスで10分間乳化させた。得られた乳化液を35℃まで昇温し、過硫酸カリウムの2.0%水溶液を1.41g添加し、重合を開始して初期単量体の重合率が30%となった時点で、クロロプレン単量体90gを2時間かけて追添加し、最終重合率が60%に到達するまで重合を行った。N,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10.0重量%水溶液を添加することで重合反応を停止させ、減圧蒸留により残留クロロプレン単量体を除去した。以上の手順により、クロロプレン重合体ラテックスを得た。
【0041】
(重合率の計算)
重合開始からある時刻までの重合率は、クロロプレン重合体ラテックスを加熱風乾することで乾燥重量(固形分濃度)から算出した。具体的には、以下の式より計算した。式中、固形分濃度は、サンプリングした乳化重合液2gを130℃中で加熱して溶媒(水)、揮発性薬品、及び原料を除き、加熱前後の重量変化から揮発分を除いた固形分の濃度(質量%)である。総仕込み量及び蒸発残分は重合処方より計算した。総仕込み量とは、重合開始からある時刻までに仕込んだ原料、試薬、溶媒(水)の総量である。蒸発残分とは、重合開始からある時刻までに仕込んだ薬品及び原料のうち、130℃の条件下で揮発せずに重合体と共に固形分として残留する薬品の重量を表す。単量体仕込み量は、初期に仕込んだ単量体及び重合開始からある時刻までに分添した単量体の量の合計である。なお、クロロプレン単量体と他の単量体との共重合の場合は、単量体仕込み量はこれらの合計量である。
【0042】
重合率[%]={(総仕込み量[g]×固形分濃度[質量%]/100)-(蒸発残分[g])}/単量体仕込み量[g]×100
【0043】
(クロロプレン重合体のドライアップ)
得られたクロロプレン重合体ラテックスをpH7.0に調整し、-20℃に冷やした金属板上に凍結凝固させることで乳化破壊した。得られたシートを水洗し、130℃で15分間乾燥させることにより、実施例1の固形状のクロロプレン重合体を得た。
【0044】
[実施例2]
ブチル化ヒドロキシトルエンの添加量を0.5gに変更した以外は実施例1と同様の手順により実施例2のクロロプレン重合体を得た。
【0045】
[実施例3]
ブチル化ヒドロキシトルエンの添加量を0.05gに変更した以外は実施例1と同様の手順により実施例3のクロロプレン重合体を得た。
【0046】
[実施例4]
ブチル化ヒドロキシトルエンの添加量を0.005gに変更した以外は実施例1と同様の手順により実施例4のクロロプレン重合体を得た。
【0047】
[実施例5]
ブチルベンジルトリチオカルボナート1.5gをジベンジルトリチオカルボナート1.8gに変更した以外は実施例1と同様の手順により実施例5のクロロプレン重合体を得た。
【0048】
[実施例6]
ブチルベンジルトリチオカルボナート1.5gを1-ベンジル-N,Nジメチル-4-アミノジチオベンゾエート1.8gに変更した以外は実施例1と同様の手順により実施例6のクロロプレン重合体を得た。
【0049】
[実施例7]
ブチルベンジルトリチオカルボナート1.5gを1-ベンジル-4-メトキシジチオベンゾエート1.3gに変更した以外は実施例1と同様の手順により実施例7のクロロプレン重合体を得た。
【0050】
[実施例8]
ブチルベンジルトリチオカルボナート1.5gをベンジル1-ピロールカルボジチオエート1.5gに変更した以外は実施例1と同様の手順により実施例8のクロロプレン重合体を得た。
【0051】
[実施例9]
初期のクロロプレン単量体10gをクロロプレン単量体8g及び2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン単量体2gに変更し、追添加のクロロプレン単量体90gをクロロプレン単量体72g及び2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン単量体18gに変更し、重合温度を35℃から50℃に変更した以外は実施例1と同様の手順により実施例9のクロロプレン単量体と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン単量体の共重合体を得た。
【0052】
[実施例10]
初期のクロロプレン単量体10gをクロロプレン単量体9.5g及び1-クロロ-1,3-ブタジエン単量体0.5gに変更し、追添加のクロロプレン単量体90gをクロロプレン単量体85.5g及び1-クロロ-1,3-ブタジエン単量体4.5gに変更した以外は実施例1と同様の手順により実施例10のクロロプレン単量体と1-クロロ-1,3-ブタジエン単量体の共重合体を得た。
【0053】
[実施例11]
重合温度を35℃から10℃に変更した以外は実施例1と同様の手順により実施例11のクロロプレン重合体を得た。
【0054】
[比較例1]
ブチル化ヒドロキシトルエンの添加量を0gに変更した以外は実施例1と同様の手順により比較例1のクロロプレン重合体を得た。
【0055】
[比較例2]
ブチル化ヒドロキシトルエンの添加量を0.0001gに変更した以外は実施例1と同様の手順により比較例2のクロロプレン重合体を得た。
【0056】
[比較例3]
ブチル化ヒドロキシトルエンの添加量を0.003gに変更した以外は実施例1と同様の手順により比較例3のクロロプレン重合体を得た。
【0057】
[比較例4]
ブチル化ヒドロキシトルエンの添加量を1.0gに変更した以外は実施例1と同様の手順で重合を行った。しかしながら、重合の進行が遅く、8時間重合後の重合率は5%以下であり、クロロプレン重合体は殆ど得られなかった。
【0058】
[比較例5]
ブチル化ヒドロキシトルエンの添加量を2.0gに変更した以外は実施例1と同様の手順で重合を行った。しかしながら、重合の進行が遅く、8時間重合後の重合率は5%以下であり、クロロプレン重合体は殆ど得られなかった。
【0059】
[比較例6]
重合温度を35℃から10℃に変更し、ブチル化ヒドロキシトルエンの添加量を0gに変更した以外は実施例1と同様の手順により比較例6のクロロプレン重合体を得た。
【0060】
[比較例7]
初期のクロロプレン単量体10gをクロロプレン単量体8g及び2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン単量体2gに変更し、ブチル化ヒドロキシトルエンの添加量を0gに変更した。また、追添加のクロロプレン単量体90gをクロロプレン単量体72g及び2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン単量体を18gに変更し、重合温度を35℃から50℃に変更した。それ以外は実施例1と同様の手順により比較例7のクロロプレン単量体と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン単量体の共重合体を得た。
【0061】
<評価>
重合体の数平均分子量Mn、質量平均分子量Mw、及び分子量分布(Mw/Mn)は、THFでサンプル調整濃度0.1質量%とした後、TOSOH HLC-8320GPCにより測定した(標準ポリスチレン換算)。
その際、プレカラムとしてTSKガードカラムHHR-H、分析カラムとしてHSKgelGMHHR-H3本を使用し、サンプルポンプ圧8.0~9.5MPa、流量1ml/min、40℃で流出させ、示差屈折計で検出した。
流出時間と分子量は、以下にあげる分子量既知の標準ポリスチレンサンプル計9点を測定して作成した校正曲線を用いた。(Mw=8.42×10、1.09×10、7.06×10、4.27×10、1.90×10、9.64×10、3.79×10、1.74×10、2.63×10。)
【0062】
比較例4及び5は重合体が殆ど得られなかったため、数平均分子量及び重量平均分子量の測定を実施しなかった。
【0063】
実施例及び比較例の結果を下記表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
これらの結果から、本発明により分子量分布が狭い重合体が得られることが確認された。
【0066】
本発明は、以下のような形態もとることができる。
〔1〕ラジカル重合性単量体100質量部に対して酸素ラジカル捕捉剤を0.005~0.5質量部用いてリビングラジカル重合を行う工程を含む、重合体の製造方法。
〔2〕前記酸素ラジカル捕捉剤がフェノール系化合物を含む、〔1〕に記載の重合体の製造方法。
〔3〕前記フェノール系化合物がブチル化ヒドロキシトルエンを含む、〔2〕に記載の重合体の製造方法。
〔4〕前記ラジカル重合性単量体がジエン系単量体を含む、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の重合体の製造方法。
〔5〕前記ジエン系単量体がクロロプレンを含む、〔4〕に記載の重合体の製造方法。
〔6〕前記ジエン系単量体が、
クロロプレンと、
2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、イソプレン及びブタジエンからなる群から選択される少なくとも1種と、を含む、〔4〕に記載の重合体の製造方法。
〔7〕前記ラジカル重合性単量体が、クロロプレンと、アクリロニトリルと、を含む、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の重合体の製造方法。
〔8〕前記リビングラジカル重合が、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)である、〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載の重合体の製造方法。
〔9〕下記化学式(I)又は(II)で表される連鎖移動剤(CTA)の存在下で重合を行う、〔8〕に記載の重合体の製造方法。
【化13】

【化14】

(化学式(I)中、Rは、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。化学式(I)及び(II)中、R~Rはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環、有機金属種、又は任意の重合体鎖を示す。)