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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】ロボットの診断方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20221028BHJP
   B25J 9/10 20060101ALI20221028BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/10 A
B25J9/22 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019533985
(86)(22)【出願日】2018-07-02
(86)【国際出願番号】 JP2018025039
(87)【国際公開番号】W WO2019026508
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】15/669,665
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517340611
【氏名又は名称】カワサキロボティクス(ユーエスエー),インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ゼン, ミン
(72)【発明者】
【氏名】中原 一
(72)【発明者】
【氏名】ロザノ, アントニオ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】在田 智一
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-110004(JP,A)
【文献】特開2013-162029(JP,A)
【文献】特開2007-281249(JP,A)
【文献】特開2017-092246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 9/10
B25J 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロストモーションに起因したずれ量を検出するためのロボットの診断方法であって、
少なくとも1つの関節部を有するロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられるエンドエフェクタと、前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを制御するロボット制御部と、を備えるロボットと、
前記ロボットにより搬送されるワークと、
前記ワークが載置されるターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるための駆動部と、前記駆動部により回転している状態の前記ワークの外縁部分を検出するセンサと、前記センサにより検出した前記外縁部分に基づいて前記ワークの中心位置を検出する処理部と、を備えるプリアライナと、
を準備する第1ステップと、
前記エンドエフェクタにより前記ターンテーブルに前記ワークを載置し、且つ前記プリアライナにより前記ワークの中心位置を検出する第2ステップと
なくとも前記第1及び前記第2ステップを行った後で、前記ロボット制御部からの指令値に基づいて前記少なくとも1つの関節部のうちの1つの関節部を所定の角度だけ第1方向に回転させる第4ステップと、
前記第1、前記第2及び前記第4ステップを行った後で、前記エンドエフェクタにより前記ターンテーブルに載置されたワークを保持する第3ステップと、
前記第1乃至前記第4ステップを行った後で、かつ、前記エンドエフェクタを前記第2ステップで前記ターンテーブルに前記ワークを載置したときと同じ位置に戻した後で、前記エンドエフェクタにより前記ターンテーブルに前記ワークを載置し、且つ前記プリアライナにより前記ワークの中心位置を再び検出する第5ステップと、
前記第1乃至前記第5ステップを行った後で、前記第2ステップにおいて検出される前記ワークの中心位置、及び前記第4ステップにおける前記ロボット制御部からの指令値に基づいたワークの中心位置と、前記第5ステップにおいて検出されるワークの中心位置と、に基づいて前記1つの関節部におけるロストモーションに起因したずれ量を検出する第6ステップと、
を備えることを特徴とする、ロボットの診断方法。
【請求項2】
ロストモーションに起因したずれ量を検出するためのロボットの診断方法であって、
少なくとも1つの関節部を有するロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられるエンドエフェクタと、前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを制御するロボット制御部と、を備えるロボットと、
前記ロボットにより搬送されるワークと、
前記ワークが載置されるターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるための駆動部と、前記駆動部により回転している状態の前記ワークの外縁部分を検出するセンサと、前記センサにより検出した前記外縁部分に基づいて前記ワークの中心位置を検出する処理部と、を備えるプリアライナと、
前記ワークを収容するための収容部と、
を準備する第1ステップと、
所定の第1動作を行わせることで前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを前記収容部に収容されたワークを保持可能な姿勢とし、且つそこで前記エンドエフェクタに前記ワークを保持させてから所定の第2動作を行わせることで前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを前記ターンテーブルに前記ワークを載置可能な姿勢とした後で、前記エンドエフェクタにより前記ターンテーブルに前記ワークを載置し、且つ前記プリアライナにより前記ワークの中心位置を検出する第2ステップと、
記第1及び前記第2ステップを行った後で、前記エンドエフェクタにより前記ターンテーブルに載置されたワークを保持する第3ステップと、
前記第1乃至前記第3ステップを行った後で、前記所定の第1動作を再び行わせることで前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを前記収容部に前記ワークを収容可能な姿勢とし、且つそこで前記収容部に前記ワークを収容した後で、前記ロボット制御部からの指令値に基づいて前記少なくとも1つの関節部のうちの1つの関節部を所定の角度だけ第1方向に回転させる第4ステップと、
前記第1乃至前記第4ステップを行った後で、かつ、前記収容部に収容されているワークを前記エンドエフェクタにより保持させてから前記所定の第2動作を再び行わせることで前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを前記ターンテーブルに前記ワークを載置可能な姿勢とした後で、前記エンドエフェクタにより前記ターンテーブルに前記ワークを載置し、且つ前記プリアライナにより前記ワークの中心位置を再び検出する第5ステップと、
前記第1乃至前記第5ステップを行った後で、前記第2ステップにおいて検出される前記ワークの中心位置、及び前記第4ステップにおける前記ロボット制御部からの指令値に基づいたワークの中心位置と、前記第5ステップにおいて検出されるワークの中心位置と、に基づいて前記収容部にワークを収容可能な姿勢での前記1つの関節部におけるロストモーションに起因したずれ量を検出する第6ステップと、
を備えることを特徴とする、ロボットの診断方法。
【請求項3】
前記第4ステップにおいて前記1つの関節部を回転させる第1方向は、前記第2ステップにおいて前記ターンテーブルに前記ワークを載置する直前に前記1つの関節部が回転していた方向と反対である、請求項1又は2に記載のロボットの診断方法。
【請求項4】
前記第1ステップにおいて、前記ワーク、前記ロボット、及び前記プリアライナは半導体製造現場であるクリーンルーム内に準備される、請求項1乃至3のいずれかに記載のロボットの診断方法。
【請求項5】
前記第1ステップにおいて、前記収容部は半導体製造現場であるクリーンルーム内に準備される、請求項2に記載のロボットの診断方法。
【請求項6】
前記ワークは半導体ウェハである、請求項1乃至5のいずれかに記載のロボットの診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの診断方法に関し、特に、ロストモーションに起因したずれ量を検出するためのロボットの診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロストモーションに起因したずれ量を検出するためのロボットの診断方法が知られている。このような診断方法が、例えば、特許文献1に記載されたウェハ搬送装置で行われている。
【0003】
特許文献1のウェハ搬送装置は、教示指令位置から任意の位置にオフセットさせた目標位置でのウェハ検出動作を繰り返し、ウェハエッジ位置検出センサの検出範囲外になるまでこれを繰り返す。そして、生成した目標位置と搬送アームが実際に移動した位置を記憶する。教示指令位置からのX方向、Y方向の全てのこれらの情報を収集後、オフセット動作の目標位置と、ウェハ中心位置結果で判断される搬送アームが実際に移動した位置と、の差である位置誤差からアーム駆動制御部が補正テーブルを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-49251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ロストモーションに起因したずれ量を検出するために上記のような複雑な手順を行う必要があった。これにより、上記ずれ量の検出に手間や時間が掛かってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、ロストモーションに起因したずれ量を簡単な手順で検出することが可能な、ロボットの診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係るロボットの診断方法は、ロストモーションに起因したずれ量を検出するためのロボットの診断方法であって、少なくとも1つの関節部を有するロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられるエンドエフェクタと、前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを制御するロボット制御部と、を備えるロボットと、前記ロボットにより搬送されるワークと、前記ワークが載置されるターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるための駆動部と、前記駆動部により回転している状態の前記ワークの外縁部分を検出するセンサと、前記センサにより検出した前記外縁部分に基づいて前記ワークの中心位置を検出する処理部と、を備えるプリアライナと、を準備する第1ステップと、前記エンドエフェクタにより前記ターンテーブルに前記ワークを載置し、且つ前記プリアライナにより前記ワークの中心位置を検出する第2ステップと、少なくとも前記第1及び前記第2ステップを行った後で、前記エンドエフェクタにより前記ターンテーブルに載置されたワークを保持する第3ステップと、少なくとも前記第1及び前記第2ステップを行った後で、前記ロボット制御部からの指令値に基づいて前記少なくとも1つの関節部のうちの1つの関節部を所定の角度だけ第1方向に回転させる第4ステップと、前記第1乃至前記第4ステップを行った後で、前記エンドエフェクタにより前記ターンテーブルに前記ワークを載置し、且つ前記プリアライナにより前記ワークの中心位置を再び検出する第5ステップと、前記第1乃至前記第5ステップを行った後で、前記第2ステップにおいて検出される前記ワークの中心位置、及び前記第4ステップにおける前記ロボット制御部からの指令値に基づいたワークの中心位置と、前記第5ステップにおいて検出されるワークの中心位置と、に基づいて前記1つの関節部におけるロストモーションに起因したずれ量を検出する第6ステップと、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、第2ステップにおいて検出されるワークの中心位置、及び第4ステップにおけるロボット制御部からの指令値に基づいたワークの中心位置と、第5ステップにおいて検出されるワークの中心位置と、に基づいて1つの関節部におけるロストモーションに起因したずれ量を検出することができる。その結果、ロストモーションに起因したずれ量を簡単な手順で検出することが可能となる。
【0009】
前記第4ステップは前記第1乃至前記第3ステップを行った後で行われてもよい。これにより、上記本発明が奏する効果を顕著にすることができる。
【0010】
例えば、前記第3ステップは前記第1、前記第2及び前記第4ステップを行った後で行われ、前記第5ステップにおいて、前記エンドエフェクタを前記第2ステップで前記ターンテーブルに前記ワークを載置したときと同じ位置に戻した後で、前記ターンテーブルに前記ワークを載置してもよい。
【0011】
前記第1ステップにおいて、前記ワークを収容するための収容部をさらに準備し、前記第2ステップにおいて、所定の第1動作を行わせることで前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを前記収容部に収容されたワークを保持可能な姿勢とし、且つそこで前記エンドエフェクタに前記ワークを保持させてから所定の第2動作を行わせることで前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを前記ターンテーブルに前記ワークを載置可能な姿勢とした後で、前記ターンテーブルに前記ワークを載置し、且つ前記プリアライナにより前記ワークの中心位置を検出し、前記第1乃至前記第3ステップを行った後の前記第4ステップにおいて、前記所定の第1動作を再び行わせることで前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを前記収容部に前記ワークを収容可能な姿勢とし、且つそこで前記収容部に前記ワークを収容した後で、前記ロボット制御部からの指令値に基づいて前記少なくとも1つの関節部のうちの1つの関節部を所定の角度だけ第1方向に回転させ、前記第4ステップを行った後の前記第5ステップにおいて、前記収容部に収容されているワークを前記エンドエフェクタにより保持させてから前記所定の第2動作を再び行わせることで前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを前記ターンテーブルに前記ワークを載置可能な姿勢とした後で、前記ターンテーブルに前記ワークを載置し、且つ前記プリアライナにより前記ワークの中心位置を再び検出し、前記第1乃至前記第5ステップを行った後の第6ステップにおいて、前記第2ステップにおいて検出される前記ワークの中心位置、及び前記第4ステップにおける前記ロボット制御部からの指令値に基づいたワークの中心位置と、前記第5ステップにおいて検出されるワークの中心位置と、に基づいて前記収容部にワークを収容可能な姿勢での前記1つの関節部におけるロストモーションに起因したずれ量を検出してもよい。
【0012】
上記構成によれば、収容部にワークを収容可能な姿勢でのロストモーションに起因したずれ量を検出することができる。
【0013】
前記第4ステップにおいて前記1つの関節部を回転させる第1方向は、前記第2ステップにおいて前記ターンテーブルに前記ワークを載置する直前に前記1つの関節部が回転していた方向と反対であってもよい。
【0014】
上記構成によれば、ロストモーションに起因したずれ量を正確に検出することが可能となる。
【0015】
前記第1ステップにおいて、前記ワーク、前記ロボット、及び前記プリアライナは半導体製造現場であるクリーンルーム内に準備されてもよい。
【0016】
上記構成によれば、半導体製造現場であるクリーンルームから外部に出すことなく、当該クリーンルーム内でロストモーションに起因したずれ量を検出することが可能となる。したがって、半導体製造現場であるクリーンルーム内において、上記本発明が奏する効果を顕著にすることができる。
【0017】
前記第1ステップにおいて、前記収容部は半導体製造現場であるクリーンルーム内に準備されてもよい。
【0018】
上記構成によれば、半導体製造現場であるクリーンルームから外部に出すことなく、当該クリーンルーム内で収容部にワークを収容可能な姿勢でのロストモーションに起因したずれ量を検出することが可能となる。
【0019】
例えば、前記ワークは半導体ウェハであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ロストモーションに起因したずれ量を簡単な手順で検出することが可能な、ロボットの診断方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るロボットの診断方法における第1ステップを説明するための概略図であり、(A)が平面図であり、(B)がロボット側からワーク及びエンドエフェクタを見たときの側面図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係るロボットの診断方法における第2ステップを説明するための概略図であり、(A)が平面図であり、(B)がロボット側からワーク及びエンドエフェクタを見たときの側面図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係るロボットの診断方法における第3及び第4ステップを説明するための概略図であり、(A)が平面図であり、(B)がロボット側からワーク及びエンドエフェクタを見たときの側面図である。
図4図4は、本発明の第1実施形態に係るロボットの診断方法における第5及び第6ステップを説明するための概略図であり、(A)が平面図であり、(B)がロボット側からワーク及びエンドエフェクタを見たときの側面図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態に係るロボットの診断方法における第4乃至第6ステップを説明するための概略図であり、(A)が部分的な平面図であり、(B)が第4ステップにおける中心位置関係を示す図であり、(C)が第5及び第6ステップにおける中心位置関係を示す図である。
図6図6は、本発明の第2実施形態に係るロボットの診断方法における第2ステップを説明するための概略図であり、(A)が平面図であり、(B)がロボット側からワーク及びエンドエフェクタを見たときの側面図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係るロボットの診断方法における第4ステップを説明するための概略図であり、(A)が平面図であり、(B)がロボット側からワーク及びエンドエフェクタを見たときの側面図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態に係るロボットの診断方法における第5ステップのホーム姿勢に戻した状態を説明するための概略図であり、(A)が平面図であり、(B)がロボット側からワーク及びエンドエフェクタを見たときの側面図である。
図9図9は、本発明の第2実施形態に係るロボットの診断方法における第5及び第6ステップを説明するための概略図であり、(A)が平面図であり、(B)がロボット側からワーク及びエンドエフェクタを見たときの側面図である。
図10図10は、本発明の第2実施形態に係るロボットの診断方法における第4乃至第6ステップを説明するための第4ステップにおける概略図であり、(A)が部分的な平面図であり、(B)が中心位置関係を示す図である。
図11図11は、本発明の第2実施形態に係るロボットの診断方法における第4乃至第6ステップを説明するための第5及び第6ステップにおける概略図であり、(A)が部分的な平面図であり、(B)が中心位置関係を示す図である。
図12図12は、本発明の第3実施形態に係るロボットの診断方法を説明するための概略図であり、ロボットアーム及びエンドエフェクタを収容部にワークを収容可能な姿勢としたときの平面図である。
図13図13は、本発明の第3実施形態に係るロボットの診断方法を説明するための概略図であり、ロボットアーム及びエンドエフェクタをターンテーブルにワークを載置可能な姿勢としたときの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.第1実施形態
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。図1乃至図5に基づいて、本発明の第1実施形態に係るロボットの診断方法について説明する。本発明の第1実施形態に係るロボットの診断方法は、半導体製造現場であるクリーンルーム内で作業を行うロボットについて、ロストモーションに起因したずれ量を検出するためのものである。なお、ここでいう「ロストモーションに起因したずれ量」とは、ロボットの理想的な動作からのずれ量を広く意味する。「ロストモーション」には、例えば、ロボットアームの各軸におけるバックラッシュや捻れ等を原因に生じるものが含まれるが、これに限定されない。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係るロボットの診断方法における第1ステップを説明するための概略図であり、(A)が平面図であり、(B)がロボット側からワーク及びエンドエフェクタを見たときの側面図である。図2は、同第2ステップを説明するための概略図である。図3は、同第3及び第4ステップを説明するための概略図である。図4は、同第5及び第6ステップを説明するための概略図である。図5は、同第4乃至第6ステップを説明するための概略図であり、(A)が部分的な平面図であり、(B)が第4ステップにおける中心位置関係を示す図であり、(C)が第5及び第6ステップにおける中心位置関係を示す図である。
【0024】
(第1ステップ)
まず、図1に示すように、半導体製造現場であるクリーンルーム内において、ロボット10と、ロボット10により搬送される半導体ウェハWと、半導体ウェハWの中心位置を検出するためのプリアライナ60と、を準備する第1ステップを行う。
【0025】
ロボット10は、少なくとも1つの関節部AXを有するロボットアーム20と、ロボットアーム20に取り付けられるエンドエフェクタ30と、ロボットアーム20及びエンドエフェクタ30を制御するロボット制御部40と、を備える。本実施形態に係るロボット10は、いわゆる水平多関節型の3軸ロボットであり、3つの関節部(第1関節部AX1、第2関節部AX2及び第3関節部AX3)を備える。ロボット10は、基台12と、基台12の上面に設けられる上下方向に伸縮可能な昇降軸(図示せず)と、をさらに備える。当該昇降軸は、図示しないエアシリンダ等で伸縮可能に構成されており、当該昇降軸の上端部にロボットアーム20が取り付けられている。
【0026】
ロボットアーム20は、水平方向に延びる長尺状の部材で構成されている第1アーム20a及び第2アーム20bを含む。
【0027】
第1アーム20aは、その長手方向の一端部が昇降軸に鉛直な軸線L1回りに回動可能に取り付けられている。これにより第1関節部AX1が構成されている。第1アーム20aは、図示しない電気モータにより回動駆動できるように構成されている。第1アーム20aの長手方向の他端部には、第2アーム20bが取り付けられている。第2アーム20bは、その長手方向の一端部が第1アーム20aに鉛直な軸線L2回りに回動可能に取り付けられている。これにより第2関節部AX2が構成されている。第2アーム20bは、図示しない電気モータにより回動駆動できるように構成されている。
【0028】
エンドエフェクタ30は、第2アーム20bの長手方向の他端部において鉛直な軸線L3回りに回動可能に取り付けられている。これにより第3関節部AX3が構成されている。エンドエフェクタ30は、図示しない電気モータにより回動駆動できるように構成されている。エンドエフェクタ30は、第2アーム20aの上面に回動可能に取り付けられている取付け板32と、取付け板32に取り付けられているエンドエフェクタ本体34と、を有する。エンドエフェクタ本体34は、先端側が2股に分かれており、平面視においてY字状に構成されている。エンドエフェクタ本体34の基端部は、取付け板52に固定されている。
【0029】
昇降軸の昇降、並びに第1アーム20a、第2アーム20b及びエンドエフェクタ30の回動は、ロボット制御部40により制御されている。
【0030】
プリアライナ60は、半導体ウェハWが載置されるターンテーブル62と、ターンテーブル62を回転させるための駆動部(図示せず)と、当該駆動部により回転している状態の半導体ウェハWの外縁部分を検出するセンサ64と、センサ64により検出した当該外縁部分に基づいて半導体ウェハWの中心位置を検出する処理部(図示せず)と、を備える。
【0031】
プリアライナ60のセンサ64は、例えば、図中紙面手前側から奥側に向けて光線を投光する投光器と、当該投光器から照射された光線を受光する受光器とを含む光学センサであり、受光器により受光される光線が遮光されることで半導体ウェハWの外縁部分を検出する。
【0032】
半導体ウェハWは、半導体プロセスにおいて用いられる薄い板であり、半導体デバイスの基板の材料であると定義される。半導体ウェハWの形状は任意であるが、ここでは図示するように、円板状である場合を例に説明する。
【0033】
(第2ステップ)
次に、図2(A)及び(B)に示すように、第2関節部AX2(1つの関節部)を後述する第1方向と反対の方向に回転(すなわち、図1及び図2(A)に示す平面視において左回転(反時計回り))させた後で、エンドエフェクタ30によりターンテーブル62に半導体ウェハWを載置し、且つプリアライナ60により半導体ウェハWの中心位置を検出する第2ステップを行う。
【0034】
なお、第2関節部AX2を第1方向と反対の方向に回転させる際、必要に応じて第1関節部AX1及び第3関節部AX3を回転させることで、ロボットアーム20及びエンドエフェクタ30をターンテーブル62に半導体ウェハWを載置可能な姿勢としてもよい。また、ここでは説明が煩雑になることを避けるため、当該第2ステップで検出される半導体ウェハWの中心位置及びエンドエフェクタ30の中心位置が、それぞれ、ターンテーブル62の中心位置と一致している場合について説明するが、これに限定されない。すなわち、当該半導体ウェハWの中心位置及び当該エンドエフェクタ30の中心位置は、ターンテーブル62の中心位置と一致していなくてもよい。
【0035】
(第3及び第4ステップ)
さらに、エンドエフェクタ30によりターンテーブル62に載置された半導体ウェハWを保持する第3ステップを行う。なお、ここでいう「保持する」とは、エンドエフェクタ30の上面に載せて半導体ウェハWを持ち上げることをいう。これにより、例えば半導体ウェハWを外縁部分からチャックして保持するような場合と異なり、半導体ウェハWを保持する際の動作で当該半導体ウェハWの中心位置が動かない。その結果、ロストモーションに起因したずれ量を正確に検出することが可能となる。
【0036】
本実施形態では、上記第1乃至第3ステップを行った後で、ロボット制御部40からの指令値に基づいて第2関節部AX2を所定の角度だけ第1方向に回転(すなわち、図2(A)及び図3(A)に示す平面視において右回転(時計回り))させる第4ステップを行う。このときの状態を図3(A)及び(B)に示す。
【0037】
(第5ステップ)
そして、図4(A)及び(B)に示すように、第1乃至第4ステップを行った後で、エンドエフェクタ30によりターンテーブル62に半導体ウェハWを載置し、且つプリアライナ60により半導体ウェハWの中心位置を再び検出する第5ステップを行う。
【0038】
(第6ステップ)
最後に、ロストモーションに起因したずれ量を検出するための第6ステップを行う。当該第6ステップについて、図5に基づいて詳細に説明する。
【0039】
図5(A)乃至(C)において、ターンテーブル62の中心を「□」で示す。当該ターンテーブルの中心「□」は、図5(B)及び(C)に示す位置P0で常に固定されている。
【0040】
第4ステップにおけるロボット制御部40からの指令値に基づく理想的な移動量を図5(B)において破線矢印(AR1)で示す。第2ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心(ここではターンテーブルの中心「□」と一致)、及び第4ステップにおけるロボット制御部40からの指令値(AR1)に基づいた半導体ウェハWの中心を「(・)」で示し、このときのエンドエフェクタ30の中心を「(×)」で示す。なお、図5(A)において、中心位置を「(・)」とする半導体ウェハW、及び中心位置を「(×)」とするエンドエフェクタ30をそれぞれ破線で示してある。
【0041】
図5(C)において、第5ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心を「・」で示し、このときのエンドエフェクタ30の中心を「×」で示す。なお、図5(A)において、中心位置を「・」とする半導体ウェハW、及び中心位置を「×」とするエンドエフェクタ30をそれぞれ実線で示してある。
【0042】
第2ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心(ここでは、上記した通りターンテーブルの中心「□」と一致)から第5ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心「・」までの実際の移動量を実線矢印AR1で示す。さらに、上記半導体ウェハWの中心「(×)」及び「×」に基づいて検出されるロストモーションに起因したずれ量を図5(C)において白抜き矢印ARLで示す。
【0043】
本実施形態において、半導体ウェハWの中心「(・)」とエンドエフェクタ30の中心「(×)」とは、同じ位置(P1)であるため、互いに重ねて記載してある。同様に、半導体ウェハWの中心「・」とエンドエフェクタ30の中心「×」とは、同じ位置P1であるため、互いに重ねて記載してある。
【0044】
第2ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心位置は、上記したようにターンテーブル62の中心「□」と同じ位置P0である。そして、半導体ウェハWの中心位置は、理想的には移動量(AR1)の分だけ移動して「(・)」で示すように位置(P1)に到達し得る。しかしながら、第2関節AX2におけるロストモーションに起因したずれ量により、半導体ウェハWの中心位置は、当該位置(P1)ではなく、実際には位置P1に存在する。
【0045】
図5(C)に示すように、第1乃至第5ステップを行った後で、第2ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心位置P0(本実施形態では、常に固定されているターンテーブル62の中心「□」と同じ位置)、及び第4ステップにおけるロボット制御部40からの指令値「(AR1)」に基づいた半導体ウェハWの中心位置(P1)(すなわち、「(・)」が存在する位置)と、第5ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心位置P1(すなわち、「・」が存在する位置)と、に基づいて第2関節部AX2におけるロストモーションに起因したずれ量ARLを検出することができる。ここでは、例えば、図5(B)に示す破線矢印(AR1)の長さと図5(C)に示す実線矢印AR1の長さとの差を求めることにより、ロストモーションに起因したずれ量ARLを検出することができる。
【0046】
(効果)
本実施形態に係るロボットの診断方法では、第2ステップにおいて検出される半導体ウェハW(ワーク)の中心位置P0、及び第4ステップにおけるロボット制御部40からの指令値(AR1)に基づいた半導体ウェハWの中心位置(P1)と、第5ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心位置P1と、に基づいて第2関節部AX2(1つの関節部)におけるロストモーションに起因したずれ量ARLを検出することができる。その結果、本実施形態に係るロボットの診断方法は、ロストモーションに起因したずれ量を簡単な手順で検出することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態に係るロボットの診断方法では、ロボット制御部40からの指令値(AR1)に基づいて第2関節部AX2を所定の角度だけ第1方向に回転させる第4ステップが、第1乃至第3ステップを行った後で行われる。これにより、例えば、後述する第2実施形態のようにロボットアーム20及びエンドエフェクタ30を所定のホーム姿勢に戻す必要がなくなるため、上記本発明が奏する効果を顕著にすることができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、第4ステップにおいて第2関節部AX2(1つの関節部)を回転させる第1方向は、第2ステップにおいてターンテーブル62に半導体ウェハWを載置する直前に第2関節部AX2が回転していた方向と反対である。これにより、例えば、第2関節部AX2におけるバックラッシュに起因した最大のずれ量を正確に検出することが可能となる。
【0049】
そして、本実施形態に係るロボットの診断方法では、第1ステップにおいて、半導体ウェハW、ロボット10、及びプリアライナ60が半導体製造現場であるクリーンルーム内に準備される。これにより、半導体製造現場であるクリーンルームから外部に出すことなく、当該クリーンルーム内でロストモーションに起因したずれ量を検出することが可能となる。したがって、上記本発明が奏する効果を顕著にすることができる。
【0050】
2.第2実施形態
図6乃至図10に基づいて、本発明の第2実施形態に係るロボットの診断方法について説明する。本実施形態に係るロボットの診断方法は、上記第1実施形態の場合と同様に、半導体製造現場であるクリーンルーム内で半導体ウェハに対して作業を行うロボットについて、ロストモーションに起因したずれ量を検出するためのものである。本実施形態では、第1ステップにおいて準備される装置等が上記第1実施形態の場合と同じであるため、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。また、第1実施形態と同様の手順で行うステップについても適宜繰り返すことなく説明する。
【0051】
図6は、本発明の第2実施形態に係るロボットの診断方法における第2ステップを説明するための概略図であり、(A)が平面図であり、(B)がロボット側からワーク及びエンドエフェクタを見たときの側面図である。図7は、同第4ステップを説明するための概略図である。図8は、同第5ステップのホーム姿勢に戻した状態を説明するための概略図である。図9は、同第5及び第6ステップを説明するための概略図である。図10は、同第4乃至第6ステップを説明するための第4ステップにおける概略図であり、(A)が部分的な平面図であり、(B)が中心位置関係を示す図である。図11は、同第4乃至第6ステップを説明するための第5及び第6ステップにおける概略図であり、(A)が部分的な平面図であり、(B)が中心位置関係を示す図である。
【0052】
(第1ステップ)
まず、第1実施形態の場合と同様に、半導体製造現場であるクリーンルーム内において、ロボット10と、ロボット10により搬送される半導体ウェハWと、半導体ウェハWの中心位置を検出するためのプリアライナ60と、を準備する第1ステップを行う。なお、ロボット10、半導体ウェハW及びプリアライナ60それぞれの詳細な構造等は、上記第1実施形態と同様であるため、ここではその説明を繰り返さない。
【0053】
(第2ステップ)
次に、上記第1実施形態と同様に、第2関節部AX2(1つの関節部)を第1方向と反対の方向に回転させた後で、ロボットアーム20及びエンドエフェクタ30によりターンテーブル62に半導体ウェハWを載置し、且つプリアライナ60により半導体ウェハWの中心位置を検出する第2ステップを行う。当該第2ステップを行った後の状態を図6(A)及び(B)に示す。なお、上記第1実施形態の場合と同様に、本実施形態においても説明が煩雑になることを避けるため、当該第2ステップで検出される半導体ウェハWの中心位置及びエンドエフェクタ30の中心位置が、それぞれ、ターンテーブル62の中心位置と一致している場合について説明するが、これに限定されない。
【0054】
(第3及び第4ステップ)
本実施形態では、上記第1実施形態の場合と異なり、第3ステップは第1、第2及び第4ステップを行った後で行われる。すなわち、第1及び第2ステップを行った後で、まず、ロボット制御部40からの指令値に基づいて第2関節部AX2を所定の角度だけ第1方向に回転(すなわち、図6(A)及び図7(A)において右回転(時計回り))させる第4ステップを行う。このように第3ステップを行う前に第4ステップを行った後の状態を図7(A)及び(B)に示す。そして、当該第4ステップを行った後で、エンドエフェクタ30によりターンテーブル62に載置された半導体ウェハWを保持する第3ステップを行う。
【0055】
(第5ステップ)
本実施形態では、第1ステップ、第2ステップ、第4ステップ及び第3ステップの順で行った後の第5ステップにおいて、エンドエフェクタ30を第2ステップでターンテーブル62に半導体ウェハWを載置したときと同じ位置に戻す。これを実現するには、例えば、図8(A)に示すように、ロボットアーム20及びエンドエフェクタ30を所定のホーム姿勢に戻す。ここでいう「ホーム姿勢」とは、当該ホーム姿勢に戻してからロボット制御部40の指令値に基づいてロボットアーム20及びエンドエフェクタ30の姿勢を変更することで、前記指令値に基づく理想的な動作をずれ量なく行うことができる姿勢のことをいう。これにより、図8(A)に示すようにホーム姿勢に戻すことで、図9(A)及び(B)に示すように、エンドエフェクタ30の中心位置とターンテーブル62の中心位置とを第2ステップの状態と同様に再びずれ量なく一致させることができる。このとき、図9(B)に示すように、半導体ウェハWの中心位置は、ターンテーブル62及びエンドエフェクタ30の中心位置から左側にずれた状態となる。そして、第5ステップにおいて、上記したようにロボットアーム20及びエンドエフェクタ30を所定のホーム姿勢に戻した後で、ターンテーブル62に半導体ウェハWを載置し、且つプリアライナ62により半導体ウェハWの中心位置を再び検出する。
【0056】
(第6ステップ)
最後に、ロストモーションに起因したずれ量を検出するための第6ステップを行う。当該第6ステップについて、図10及び図11に基づいて詳細に説明する。
【0057】
図10(A)及び(B)は、上記第4ステップを行った後の中心関係を示す図である。同図において、ターンテーブル62の中心を「□」で示す。当該ターンテーブルの中心「□」は、上記第1実施形態の場合と同様に、図10(B)に示す位置P0で常に固定されている。
【0058】
第4ステップにおけるロボット制御部40からの指令値に基づく理想的な移動量を図10(B)において破線矢印(AR2)で示す。第2ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心(ここではターンテーブルの中心「□」と一致)、及び第4ステップにおけるロボット制御部40からの指令値(AR2)に基づいた第4ステップを行った後のエンドエフェクタ30の中心を図10(B)において「(×)」で示す。なお、本実施形態では、エンドエフェクタ30により半導体ウェハWを保持させる第3ステップを行う前に、ロボット制御部40からの指令値に基づいてロボットアーム20の第2関節部AX2を回転させてエンドエフェクタ30を移動させるため、第4ステップを行った後の状態において半導体ウェハWは搬送されない。なお、図10(A)において、中心位置を「・」とする半導体ウェハW、及び中心位置を「×」とするエンドエフェクタ30をそれぞれ実線で示してある。また、中心位置を「(×)」とするエンドエフェクタ30を破線で示してある。
【0059】
図11(A)及び(B)は、上記第5ステップを行った後の中心関係を示す図である。同図においてもターンテーブルの中心「□」は、上記図12(A)及び(B)の場合と同様に、図11(B)に示す位置P0で常に固定されている。
【0060】
図11(A)及び(B)において、第5ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心を「・」で示し、このときのエンドエフェクタ30の中心を「×」で示す。エンドエフェクタ30の中心「×」は、ロボットアーム20及びエンドエフェクタ30をホーム姿勢に戻してからターンテーブル62の中心「□」を目標位置として移動したため、ずれ量なく当該ターンテーブル62の中心「□」と一致している。なお、図11(A)において、中心位置を「・」とする半導体ウェハW、及び中心位置を「×」とするエンドエフェクタ30をそれぞれ実線で示してある。また、中心位置を「(・)」とする半導体ウェハWを破線で示してある。
【0061】
第2ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心(ここでは、上記した通りターンテーブルの中心「□」と一致)から第5ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心「・」までの実際の移動量を実線矢印AR3で示す。さらに、上記半導体ウェハWの中心位置「(×)」及び「×」に基づいて検出されるロストモーションに起因したずれ量を図11(B)において白抜き矢印ARLで示す。
【0062】
図10(B)及び図11(B)に示すように、第1乃至第5ステップを行った後で、第2ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心位置P0(本実施形態では、常に固定されているターンテーブル62の中心「□」と同じ位置)、及び第4ステップにおけるロボット制御部40からの指令値「(AR1)」に基づいた半導体ウェハWの中心位置(P3)(すなわち、図11(B)において「(・)」が存在する位置)と、第5ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心位置P3(すなわち、図11(B)において「・」が存在する位置)と、に基づいて第2関節部AX2におけるロストモーションに起因したずれ量ARLを検出することができる。ここでは、例えば、図10(B)に示す破線矢印(AR2)の長さと図11(B)に示す実線矢印AR3の長さとの差を求めることにより、ロストモーションに起因したずれ量ARLを検出することができる。
【0063】
(効果)
本実施形態に係るロボットの診断方法が奏する効果は、第1実施形態の場合と同様であるため、ここではその説明を繰り返さない。
【0064】
3.第3実施形態
図12及び図13に基づいて、本発明の第3実施形態に係るロボットの診断方法について説明する。本実施形態に係るロボットの診断方法は、上記第1及び第2実施形態の場合と同様に、半導体製造現場であるクリーンルーム内で半導体ウェハに対して作業を行うロボットについて、ロストモーションに起因したずれ量を検出するためのものである。本実施形態において、上記第1及び第2実施形態と同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。また、第1及び第2実施形態と同様の手順についても適宜繰り返すことなく説明する。
【0065】
図12は、本発明の第3実施形態に係るロボットの診断方法を説明するための概略図であり、ロボットアーム及びエンドエフェクタを収容部にワークを収容可能な姿勢としたときの平面図である。図13は、同ロボットアーム及びエンドエフェクタをターンテーブルにワークを載置可能な姿勢としたときの平面図である。
【0066】
(第1ステップ)
本実施形態では、第1ステップにおいて、上記第1及び第2実施形態で準備したロボット10、半導体ウェハW及びプリアライナ60に加えて、半導体ウェハWを収容するための収容部80をさらに準備する。収容部80は、互いに隣接して配置された第1収容部80a、第2収容部80b、第3収容部80c及び第4収容部80dから構成され、第1収容部80a、第2収容部80b、第3収容部80c及び第4収容部80dそれぞれに予め半導体ウェハWが収容されてある。
【0067】
(第2ステップ)
本実施形態に係る第2ステップでは、所定の第1動作を行わせることでロボットアーム20及びエンドエフェクタ30を第1収容部80aに収容された半導体ウェハWを保持可能な姿勢とし、且つそこでエンドエフェクタ30に半導体ウェハWを保持させる。このときの状態を図12に示す。さらに、この状態から所定の第2動作を行わせることでロボットアーム20及びエンドエフェクタ30をターンテーブル62に半導体ウェハWを載置可能な姿勢とした後で、ターンテーブル62に半導体ウェハWを載置し、且つプリアライナ60により半導体ウェハWの中心位置を検出する。このときの状態を図13に示す。
【0068】
本実施形態では、第1乃至第3ステップを行った後の第4ステップにおいて、ターンテーブル62に載置されている半導体ウェハWをエンドエフェクタ30により保持させてから所定の第1動作を再び行わせることでロボットアーム20及びエンドエフェクタ30を第1収容部80aに半導体ウェハWを収容可能な姿勢とし、且つそこで第1収容部80aに半導体ウェハWを収容した後で、ロボット制御部40からの指令値に基づいて第2関節部AX2を所定の角度だけ第1方向に回転させる。
【0069】
(第5ステップ)
本実施形態では、第4ステップを行った後の第5ステップにおいて、第1収容部80aに収容されている半導体ウェハWをエンドエフェクタ30により保持させてから所定の第2動作を再び行わせることでロボットアーム20及びエンドエフェクタ30をターンテーブル62に半導体ウェハWを載置可能な姿勢とした後で、ターンテーブル62に半導体ウェハWを載置し、且つプリアライナ60により半導体ウェハWの中心位置を再び検出する。
【0070】
(第6ステップ)
本実施形態では、第1乃至第5ステップを行った後の第6ステップにおいて、第2ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心位置、及び第4ステップにおけるロボット制御部40からの指令値に基づいた半導体ウェハWの中心位置と、第5ステップにおいて検出される半導体ウェハWの中心位置と、に基づいて半導体ウェハWを第1収容部80aに収容可能な姿勢での第2関節部AX2におけるロストモーションに起因したずれ量を検出する。なお、ここでのロストモーションは、第1実施形態の場合と同様に求めることができるため、その説明を繰り返さない。
【0071】
(効果)
本実施形態に係るロボットの診断方法では、上記のような手順を行うことで、第1収容部80aに半導体ウェハWを収容可能な姿勢でのロストモーションに起因したずれ量を検出することができる。ここで、図12及び図13に示すように、複数の収容部(第1収容部80a、第2収容部80b、第3収容部80c及び第4収容部80c)それぞれに半導体ウェハWが収容されるような場合、それぞれの収容部に半導体ウェハWを収容可能な姿勢でのロストモーションに起因したずれ量はそれぞれ異なる。したがって、上記した本実施形態に係る効果が有効である。なお、上記第3実施形態では、第1収容部80aに半導体ウェハWを収容可能な姿勢でのロストモーションに起因したずれ量を検出したが、この場合に限定されず、第2収容部80b、第3収容部80c及び第4収容部80cに半導体ウェハWを収容可能な姿勢でのロストモーションに起因したずれ量も同様に検出することができる。
【0072】
4.変形例
上記実施形態では、半導体製造現場であるクリーンルーム内にロボット20、半導体ウェハW、プリアライナ60及び収容部80が準備される場合について説明したが、これに限定されない。すなわち、ロボット20、半導体ウェハW、プリアライナ60及び収容部80は、他の場所において準備されてもよい。このような場合、半導体ウェハW以外のワークであってもよい。
【0073】
上記実施形態では、第1関節部AX1におけるロストモーションに起因したずれ量を検出する場合について説明したが、第2関節部AX2及び第3関節部AX3におけるロストモーションに起因したずれ量についても同様の手順で検出することができる。また、1軸型、2軸型及び4軸以上の型のロボットにおいても同様に本発明を用いることが可能である。
【0074】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【符号の説明】
【0075】
10 ロボット
20 ロボットアーム
30 エンドエフェクタ
40 ロボット制御部
60 プリアライナ
62 ターンテーブル
64 センサ
80 収容部
AX 関節部
AR 矢印
L 軸線
P 中心位置
W 半導体ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13