(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】ステント及びそれを含む医療機器
(51)【国際特許分類】
A61F 2/90 20130101AFI20221028BHJP
【FI】
A61F2/90
(21)【出願番号】P 2019550496
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(86)【国際出願番号】 JP2018040825
(87)【国際公開番号】W WO2019088251
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2017214041
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017238831
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】513001606
【氏名又は名称】EAファーマ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390018153
【氏名又は名称】日本毛織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】上杉 昭二
(72)【発明者】
【氏名】早乙女 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 純
(72)【発明者】
【氏名】澄川 通人
(72)【発明者】
【氏名】飯島 典子
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-527321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0264186(US,A1)
【文献】特表2004-528115(JP,A)
【文献】特開2009-160079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/90
A61F 2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性ポリマーを含む複数本のフィラメント糸を円筒状の組紐にしたステントであって、
前記組紐を構成するフィラメント糸端部における結合点が、前記組紐の長さ方向に2列以上並べて配置されており、
前記組紐は長さ方向にさらに複数本の弾性糸が経糸として組み込まれ、前記弾性糸の両端は前記組紐に固定されていることを特徴とするステント。
【請求項2】
前記結合点の結合方法は、熱融着、超音波融着、接着剤または金属製及び樹脂製の管による接合から選ばれる少なくとも一つの結合である請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記組紐を構成する各フィラメント糸はモノフィラメント糸である請求項1又は2に記載のステント。
【請求項4】
前記組紐は、フィラメント糸16本以上で構成されている請求項1~3のいずれかに記載のステント。
【請求項5】
前記ステントの少なくとも一部の外側でかつ各端部付近を含む長さ方向の少なくとも一部に前記弾性糸の少なくとも1本が配置され、前記弾性糸の一方の端は前記ステント端部付近に固定されており、他方の端は前記ステントのいずれかの部分で固定されている請求項1~4のいずれかに記載のステント。
【請求項6】
前記ステントを縮径した状態において、弾性糸には張力がかかっている請求項1~
5のいずれかに記載のステント。
【請求項7】
前記弾性糸は、生体適合性のあるポリウレタン、ゴム及び熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも一つの糸である請求項1~6のいずれかに記載のステント。
【請求項8】
前記弾性糸は、前記ステントの端部より中央側で組紐構成糸に固定させて固定点とするか又は交差させて接点としている請求項1~7のいずれかに記載のステント。
【請求項9】
前記弾性糸と前記ステント構成糸の固定点又は接点は、ステント端部からステント長の1/8~1/2の位置にある請求項8に記載のステント。
【請求項10】
前記弾性糸にかかる張力は、ステントを縮径した状態で0.1~5.0N/本である請求項1~9のいずれかに記載のステント。
【請求項11】
前記弾性糸は、前記ステントの断面から見て円周方向に等間隔で3~6本配置されている請求項1~10のいずれかに記載のステント。
【請求項12】
前記弾性糸とステントとの固定が、熱融着、超音波融着、接着剤、金属製固定具及び樹脂製固定具から選ばれる少なくとも一つによる接合である請求項1~11のいずれかに記載のステント。
【請求項13】
前記ステントは消化管用ステントである請求項1~12のいずれかに記載のステント。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載のステントを含む医療機器。
【請求項15】
前記医療機器はデリバリーシステムを含み、請求項1~
13のいずれかに記載のステントが、あらかじめ前記デリバリーシステムに搭載されている
請求項14に記載の医療機器。
【請求項16】
前記デリバリーシステムからステントを出したときの前記ステントの直径方向の拡張倍率は5倍を超える請求項15に記載の医療機器。
【請求項17】
前記医療機器が、消化管狭窄治療用である請求項14~16のいずれかに記載の医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消化管、胆管、膵管、血管、尿管、気管等の生体の管部に挿入するための生分解性ステント及びそれを含む医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
体内の管腔は様々な原因により狭窄を起こし、その処置としてステント留置がしばしば行われている。通常、ステントはデリバリーシステムに収束された状態で搭載されて狭窄部位に運ばれ、そこで拡張されて留置される。ステントを拡張させる際に、ステント自体に自己拡張力がないか又は不十分な場合は、ステントの内側にバルーンを入れて拡張させる必要がある。このバルーンによる拡張は、管腔を傷つけないために術者の技量が必要であることや、長い狭窄や屈曲部位の狭窄に適用することは困難である。一方、自己拡張性を有するステントは、狭窄部位で収束状態を解放するのみで拡張でき、簡便に留置することが可能である。従来、自己拡張性を有するステントの材料としては、ニッケル-チタン合金(ナイチノール)などの形状記憶合金を用いた金属ステントが主流であり、すでに食道、十二指腸、大腸などの消化管用や胆管用などに適用されている。金属ステントは、食道用など留置後に取り出すことが比較的容易なもの以外は、永久留置されることがほとんどである。これはステントを抜去する際に管腔の損傷など重篤な合併症を引き起こす可能性があるためである。そのため消化管用の金属ステントは、主に悪性腫瘍による狭窄に使用されている。しかし、クローン病や潰瘍性大腸炎の患者に頻発する腸管狭窄や、食道がんの内視鏡的粘膜下層剥離術後の狭窄などの良性消化管狭窄では、長期間にわたり異物である金属ステントを体内に留置しておくことは、ステントの移動などによる穿孔などのリスクが高い。また血管用ステントでは、金属ステント処置後に再狭窄を起こすことによるステント内再狭窄が発生した場合に処置方法が限られてしまう。これらのことから最近では、実用可能な生分解性ステントに対する要望は高まってきている。
【0003】
従来から、ステントに使用される生分解性の素材としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、またはこれらの共重合体などのポリマーが提案されている。しかし、これらの生分解性のポリマーは、通常、ニッケル-チタン合金(ナイチノール)製金属ステントと比較して拡張力は弱い。また用いられるポリマーの種類や繊維の直径、使用される本数、筒体の組み方により大きく影響を受けるため、ステントの使用目的に応じた適切な拡張力に調整することには大きな課題があった。拡張力を高める手段の一つとして、用いる糸の直径を太くし、曲げ弾性率を高めることが挙げられる。このため、デリバリーシステム内のステント搭載部の断面積を考慮し、搭載できる上限の面積まで、ステントを構成する糸の直径を太くすることが望ましい。ステントをデリバリーシステムに搭載するためには、ステント端部において、糸同士が結合していることが好ましいが、糸同士を結合すると、その結合部は、ステントを構成する糸よりも、大きくなるため、ステントに用いる糸を十分に太くすることが困難であった。特許文献1には生分解性の自己膨張性ステントが提案されており、使用される2組のフィラメントの交差角度とフィラメントの引っ張り強度等により自己膨張性が付与されている。またステントは、必要時には直ちに使用できることや、清浄であることを求められるため、通常、デリバリーシステムに搭載され、この状態で滅菌し保管される。しかし、ポリマー製のステントの場合、収束された状態で長期間保管されると変形してしまい、拡張力が低下し、十分な性能が得られなくなる恐れがある。非特許文献1には生分解性のステントを用いて小腸及び大腸の良性狭窄を処置した症例が示されている。ここで使用されている生分解性ステントは、ポリジオキサノン製の食道用ステントであるが、変形を起こすため予めデリバリーシステムに搭載されていない。特許文献2には軸方向に沿って伸びる補強桟を筒体の周方向に複数に分配して配置することにより、筒軸方向への伸びを抑制し、変形後の復元性並びに耐変形性を改善した生体管路ステントが示されているが、このステントは自己拡張性が期待できず、デリバリーシステムに収束して搭載することも困難である。特許文献3~6は、ステント端部における糸の交点を結合し、糸のほつれを防ぎ、周方向に一直線状に結合されている。この結合により、糸単体よりも容積が大きくなり、デリバリーシステムに搭載する際、ステント端部において空間的余裕がなってしまう問題がある。特許文献7には1本の弾性糸を環状編み物体に配置することが提案されているが、弾性糸による張力が不均一となり、デリバリーシステムから解放されたときステントが湾曲ないしは歪みが生ずる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-57018号公報
【文献】特開2009-160079号公報
【文献】特開2002-200176号公報
【文献】特表2004-528115号公報
【文献】特表2015-155005号公報
【文献】特開2016-146869号公報
【文献】WO2016-035757号明細書
【非特許文献】
【0005】
【文献】「Biodegradable stents for the treatment of benign stenoses of the small and large intestines」Endoscopy 2012; 36: 833-839
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の自己拡張型の生分解性ステントの多くは、端部処理がなされておらず、デリバリーシステムに搭載しにくかった。また端部処理がされているものでも、デリバリーシステムからの解放時に抵抗が大きい、解放後のステント端部が広がりにくいなどの課題があった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決しようとするものであり、ステントを構成するフィラメント糸端部における結合点をずらすことにより、デリバリーシステムに搭載しやすく、解放操作もしやすいステント及びそれを含む医療機器を提供する。さらに、ステントの拡張力を増強し、ステント端部を確実に拡張できる生分解性ステント及びこれを含む医療機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のステントは、生分解性ポリマーを含む複数本のフィラメント糸を円筒状の組紐にしたステントであって、前記組紐を構成するフィラメント糸端部における結合点が、前記組紐の長さ方向に2列以上並べて配置されており、前記組紐は長さ方向にさらに複数本の弾性糸が経糸として組み込まれ、前記弾性糸の両端は前記組紐に固定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の医療機器は、前記のステントを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のステントは、生分解性ポリマーを含む複数本のフィラメント糸を円筒状の組紐にし、前記組紐を構成するフィラメント糸端部における結合点が、前記組紐の長さ方向に2列以上並べて配置されていることにより、デリバリーシステムに搭載しやすく、拡張操作もしやすいステントとなる。また、前記ステントを収束したとき、ステント最端部の結合点の数を減少させることができ、空間的な余裕ができることで端部の径を細くでき、これがデリバリーシステムに搭載しやすく、解放操作に必要な力(展開力)も軽減できる効果を発揮する。また、ステント解放後のステント端部が広がりやすくなる。
また本発明のステントは、長さ方向に複数本の弾性糸を経糸として組み込むことにより、ステントの長さ方向及び径方向への拡張力を増強することができる。また、デリバリーから解放されたとき、変形回復性が高いものとなる。
さらに本発明のステントは、弾性糸をステントの外側に配置することにより、ステントの端部付近を弾性糸の収縮力でステントを外側方向に広げる力が働くため、ステント端部を確実に拡張することが可能となる。しかも弾性糸はステントに固定しているので、特別な部材を用いる必要がなく、極めて簡便な方法で拡張を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1Aは本発明の実施形態1におけるステントの模式的部分展開図である。
【
図1B】
図1Bは同ステントの拡張状態における側面写真である。
【
図1C】
図1Cは同ステントのデリバリーシステムからの解放時の側面写真である。
【
図1D】
図1Dは同ステントのデリバリーシステムからの解放時の解放端側から見た正面写真である。
【
図2A】
図2Aは本発明の実施形態2におけるステントの模式的部分展開図である。
【
図2B】
図2Bは同ステントの拡張状態における側面写真である。
【
図2C】
図2Cは同ステントのデリバリーシステムからの解放時の側面写真である。
【
図2D】
図2Dは同ステントのデリバリーシステムからの解放時の解放端側から見た正面写真である。
【
図3A】
図3Aは本発明の実施形態3におけるステントの模式的部分展開図である。
【
図3B】
図3Bは同ステントの拡張状態における側面写真である。
【
図3C】
図3Cは同ステントのデリバリーシステムからの解放時の側面写真である。
【
図3D】
図3Dは同ステントのデリバリーシステムからの解放時の解放端側から見た正面写真である。
【
図4】
図4は本発明の別の実施形態におけるステントの模式的側面図である。
【
図5B】
図5Bは同ステントの拡張状態における側面写真である。
【
図6】
図6は同、組紐製造装置を示す模式的説明図である。
【
図7】
図7Aは同、組紐製造装置の経糸(弾性糸)を挿入する模式的部分説明図、
図7Bは同ボビンの動きを示す動作図である。
【
図8】
図8は同、ステントを搭載するデリバリーシステムの模式的側面図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態におけるステントの模式的側面図である。
【
図10】
図10は、本発明の別の実施形態における弾性糸とステント構成糸との接点を、ステント端部からステント長の1/2の位置としたステントの模式的側面図である。
【
図11】
図11は、本発明のさらに別の実施形態における弾性糸とステント構成糸との接点を、ステント端部からステント長の1/3の位置とし、弾性糸を接点間でステント内側に配置したステントの模式的側面図である。
【
図12】
図12は、本発明のさらに別の実施形態における弾性糸をステントの各端部付近の外側に配置したステントの模式的側面図である。
【
図13】
図13Aは実施例2のステントのデリバリーシステム搭載前のステントの側面写真、
図13Bはデリバリーシステムから解放直後の側面写真、
図13Cはデリバリーシステムから解放後3分の側面写真である。
【
図14】
図14Aは実施例3のステントのデリバリーシステム搭載前のステントの側面写真、
図14Bはデリバリーシステムから解放直後の側面写真、
図14Cはデリバリーシステムから解放後3分の側面写真である。
【
図15】
図15は、本発明の実施例4の留置前のステントの外観写真である。
【
図16】
図16は、本発明の実施例4の動物実験において、ステントをミニブタ小腸留置後11分後の外観写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を用いて説明する。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。
図1Aは本発明の実施形態1におけるステント40の模式的部分展開図、
図1Bは同ステントの拡張状態における側面写真、
図1Cは同ステントのデリバリーシステムからの解放時の側面写真、
図1Dは同ステントのデリバリーシステムからの解放時の解放端側から見た正面写真である。組紐を構成する2つの糸の結合点42、43を、組紐の端部から2列、長さ方向に配置する。このようにすると、ステント40の収束時、結合点42、43の位置は2列に分散される。これによりステント最端部の結合点の数を半分に減少できる。残りの半分の結合点は最端部より1列内側に配置される。この結果、最端部に空間的な余裕がつくられ、デリバリーシステム搭載時に細くなり、デリバリーシステムに搭載しやすく、拡張操作もしやすくなる。また、構成糸を太くすることもでき、ステントの拡張力や強度を高められる。結合点の結合方法は熱融着、超音波融着、シリコーン製等の接着剤または金属製若しくは樹脂製の管による接合などにより形成できる。
図1Cから、ステント解放後のステント端部が十分に広がっている様子がわかる。
【0013】
図2Aは本発明の実施形態2におけるステント40の模式的部分展開図、
図2Bは同ステントの拡張状態における側面写真、
図2Cは同ステントのデリバリーシステムからの解放時の側面写真、
図2Dは同ステントのデリバリーシステムからの解放時の解放端側から見た正面写真である。組紐を構成する2つの糸の交点を、間隔をあけて長さ方向に4列に配列するように溶融固着する。これにより、結合点44~47が間隔をあけて長さ方向に4列に配列した状態にする。このようにすると、ステント40の収束時、1列の結合点の数は1/4に減少され、この部分はデリバリーシステム搭載時に細くなり、デリバリーシステムに搭載しやすく、拡張操作もしやすくなる。また、構成糸を太くすることもでき、ステントの拡張力や強度を高められる。
図2Cから、ステント解放後のステント端部が十分に広がっている様子がわかる。
【0014】
図3Aは本発明の実施形態3におけるステント40の模式的部分展開図、
図3Bは同ステントの拡張状態における側面写真、
図3Cは同ステントのデリバリーシステムからの解放時の側面写真、
図3Dは同ステントのデリバリーシステムからの解放時の解放端側から見た正面写真である。組紐を構成する2つの糸の交点を、間隔をあけて長さ方向に8列に配列するように溶融固着する。これにより、結合点48が間隔をあけて長さ方向に8列に配列した状態にする。このようにすると、ステント40の収束時、1列結合点の数は1/8に減少され、この部分はデリバリーシステム搭載時に細くなり、デリバリーシステムに搭載しやすく、解放操作もしやすくなる。また、構成糸を太くすることもでき、ステントの拡張力や強度を高められる。
図3Cから、ステント解放後のステント端部が十分に広がっている様子がわかる。
【0015】
以上の実施形態1~3のように、結合点はステントの長さ方向に2列以上並べて配置されるが、長さ方向に並べることができる結合点の数はステントを構成するフィラメント糸の数に依存し、最大でフィラメント糸の数を4で割った数となる。デリバリーシステムへの搭載のしやすさ及び拡張操作のしやすさの改善度合い、並びにステントが拡張した際の端部拡張の均一性の点より、並べる結合点は2~4列が好ましい。このことから、実施形態1~3の中では、実施形態1~2のステントがより好ましい。
【0016】
図5Aは従来の組紐で構成されるステント40の模式的部分展開図、
図5Bは同ステントの拡張状態における側面写真である。直径方向のすべての糸の交点を熱融着などにより結合することにより、結合点41が円周上に横一列に配列した状態になる。ステント40の収束時、結合点41の位置はすべて同一円周上に重なり、デリバリーシステム搭載時に膨れてしまい障害となりやすい。
【0017】
本発明のステントは、生分解性を有する複数本のフィラメント糸を円筒状の組紐にしたものである。
前記組紐を構成する各フィラメント糸はモノフィラメント糸であってもマルチフィラメント糸であっても良いが、好ましくはモノフィラメント糸である。モノフィラメント糸は剛性が高く、生体の管部を拡張するのに都合が良い。
【0018】
前記フィラメント糸の直径は0.15~1.0mmが好ましく、さらに好ましくは0.15~0.8mmであり、より好ましくは0.2~0.4mmである。前記の範囲であれば、十分な拡張力を保持できる。
【0019】
前記フィラメント糸は16本以上で組紐を構成するのが好ましく、さらに好ましくは24本以上、より好ましくは32本以上である。上限は64本以下である。前記の範囲であれば、各フィラメント糸がスパイラル状になって組紐を構成するため、自己拡張性と変形回復性がさらに高いステントとなる。同様な理由から、組紐を構成する各フィラメント糸(組糸)の組角度は30~80°が好ましい。好ましい角度は35~75°であり、さらに好ましくは45~65°である。組糸の角度が前記の範囲であれば歪みがなく、円筒形状に整った組紐ができる。ここで組角度とは、組紐全体の長さ方向と組糸方向との鋭角をいう。また、組目の数は3/インチ以上であり、好ましくは4~18/インチである。これにより、糸密度と組目密度が高く強度も高く、弾力性も高い。組み紐には丸打ちと角打ちがあるが、丸打ちで組み上げた組紐は中空状となりステントに好適である。
【0020】
製紐機は打ち数(使用するフィラメント糸の本数)により、主として組紐の太さを変えることができる。製紐工程で組み上げる際の紐は製紐機の中心部において、下から先端部分が紐の内径に略相当する丸みのある円形または多角形の金属製または木製の棒を垂直方向に上下運動させながら(突き上げ)組み上げることにより、円筒形の組紐を得ることができる。また、突き上げから引き取りまでの段階でヒーターを設置し、非接触の熱処理を行うことで形状を安定化することもできる。
【0021】
前記生分解性を有するフィラメント糸を構成するポリマーは、ポリグリコール酸、ポリL乳酸、ポリD乳酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリエチレングリコールやこれらの共重合体である生分解性合成高分子、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸及びシルクフィブロイン、クモ糸フィブロイン等の生分解性天然高分子から選ばれる少なくとも一つであるのが好ましい。
【0022】
生体内における分解期間は、生分解性合成高分子においては、ポリグリコールは約2週間、ポリ乳酸糸は約6月、ポリカプロラクトンは1~2年と言われているが、共重合体比率や、ポリマーブレンド、分子量、結晶化度で調整可能である。また生分解性天然高分子については、分子量や、構造制御、架橋構造の付与などにより生体内における分解期間は調整できる。本発明のステントは組紐の主要部分が生分解性を有するフィラメント糸で形成されているため、所定期間でポリマーは生分解する。消化管用途に用いる場合には、生分解性を有さない物質が含まれていても、便とともに排泄されてしまうので問題とはならない。
【0023】
前記ステントを構成するいずれかの糸にはX線検知能を有する物質が含まれているのが好ましい。例えば、硫酸バリウム粒子を、組紐を構成するフィラメント糸に練り込んでおく。このようにすると、生体外からのX線照射によりステントの位置を正確に検知でき、生分解の有無も検知できる。あるいは、白金や、白金/パラジウム、白金/イリジウム、白金/タングステンなどのX線造影性のある金属チューブやコイルに、組紐を構成するフィラメント糸を通すことで、検知してもよい。
【0024】
図4は本発明の別の実施形態におけるステントの模式的側面図である。ステント1は組糸2,3で組み上げられている。両端部4a,4bは融着などにより結合されている。実施形態1と同様に、組紐を構成する2つの糸の結合点を、長さ方向に2列並べて配置するように結合している。また、ステント1には長さ方向に4本の弾性糸からなる経糸5a-5dが経糸挿入により組み込まれており、ステント1を拡張し無荷重状態で静置したとき、経糸5a-5dは収縮した状態である。経糸の端部も融着により固定されている。このステント1の組糸同士の組み目は粗く、隙間がある。組糸2,3は組角度30~80°の範囲の所定の角度に整えられている。
【0025】
弾性糸の両端は組紐に固定するのが好ましい。これにより、ステントの長さ方向及び径方向への拡張力を増強することができる。また、デリバリーシステムから解放されたとき、変形回復性が高いものとなる。複数本の弾性糸はステントの断面から見て円周上で等間隔に、2~6本配置されることが好ましく、さらに好ましくは断面から見てステント円周上に等間隔に3~5本配置する。複数本の弾性糸はステントの断面方向から見て概ね均等角となる位置に配置するのが好ましい。複数本の弾性糸を断面方向から見て、均一に配置すると、ステントを自己拡張させるために、必要な弾性糸の張力が均一にかかり、デリバリーシステムから解放後に、ステントが湾曲しない。またステントのデリバリーシステム搭載性も良好となる。
【0026】
弾性糸は、生体適合性のゴムや、ポリウレタン糸や熱可塑性エラストマー糸を好ましく使用できる。生体適合のポリウレタン糸としては、例えば米国のLubrizol社製、商品名"Pellethane"があり、これは米国class VI適合品である。ポリウレタン糸は直径50~500μmのフィラメント糸が好ましく、さらに好ましくは直径60~300μmのフィラメント糸である。弾性糸は組紐製造時に経糸挿入により組み込んでもよく、また作製後の組紐の外部に取り付けてもよい。
【0027】
弾性糸にかかる張力は、ステントを縮径した状態で0.1~5.0N/本が好ましく、さらに好ましくは0.3~3.0N/本であり、とくに好ましくは0.5~2.5N/本である。ここでNはニュートンである。これによりさらにステントの端部は確実に拡張する。
【0028】
図6は丸打ちの組紐の製造装置を示す模式的説明図である。この製造装置10は、架台11、およびボビン(キャリア)12と、マンドレル14と、図示しない駆動装置を含んで構成されている。ボビン12が架台11上の軌道19の実線上を回転移動することによりボビン12に巻き付けられた糸13が突き上げ動作をするマンドレル14上で編組され、組紐17が作製される。弾性糸からなる経糸20は、架台11の下に配置された糸巻体22,22から供給される。突き上げ部16はボビン12の回転移動と連動して上下に運動する半球状ヘッドとその中心部にある円筒形(または多角形)の円筒部15で構成される。円筒部15の外径は組紐17の内径に略等しい。組紐17は必要な場合は加熱ヒーターに送られ、ヒートセットされる。組紐17は、取出しガイド(プーリー)18を通過して収納容器に振り落としされる。前記において、マンドレル14ストローク長、ストローク回数は適宜設定する。組紐に対しては、ヒートセットを加えることもできる。経糸20及びその糸巻体22とパイプ21は
図7A-Bで説明する。
【0029】
図7Aは同製造装置の経糸(弾性糸)を挿入する模式的部分説明図、
図7Bは同ボビンの動きを示す動作図である。
図7Aにおいて、弾性糸からなる経糸20は、架台11の下に配置された糸巻体22から供給され、組糸のボビンが通る軌道(レール)19の内側のパイプ21から組紐に挿入される。パイプ21は組糸のボビン(キャリア)12より高い位置に配置されており、このパイプ21を通過して組紐に挿入される。軌道(レール)19とパイプの関係は
図7Bに示すようになっており、パイプ21a~21dは各軌道(レール)19の中央に均等に配置されている。なお、前記のような組み紐製造装置を使わなくても、手で経糸を挿入することもできる。
【0030】
本発明の別の実施形態のステントは、ステントの少なくとも一部の外側には長さ方向に弾性糸が配置されている。この弾性糸は、ステントの各端部付近を含む長さ方向の少なくとも一部に配置されている。この弾性糸の一方の端はステント端部付近に固定されており、他方の端は前記ステントのいずれかの部分で固定されている。そして、ステントを縮径した状態において、弾性糸には張力がかかっている。これにより、縮径した状態から拡張するとステントの各端部付近を弾性糸の収縮力でステントを外側方向に広げる力が働くため、ステント端部を確実に拡張することが可能である。弾性糸はステントに固定しているので、特別な部材を用いる必要がなく、極めて簡便な方法で拡張を達成することができる。
【0031】
弾性糸は、ステントの端部より中央側で組紐構成糸に固定させて固定点とするか又は交差させて(くぐらせて)接点としてするのが好ましい。これにより、ステントが曲がった状態で生体内に挿入されても、ステントの端部は確実に拡張する。前記固定点又は接点は、ステント端部からステント長の1/8~1/2の位置にあるのが好ましい。これによりステントの端部はさらに確実に拡張する。
【0032】
弾性糸とステントとの固定は、熱融着、超音波融着、接着剤、金属製固定具及び樹脂製固定具から選ばれる少なくとも一つによる接合が好ましい。熱融着、超音波融着は比較的固定操作が容易である。弾性糸の一方の端はステント端部付近に固定する。この固定はステントの最端部に固定することも可能であるが、ステント端部付近のフィラメント糸の交差部である組目に固定することで、ステント端部の拡張をより効果的に行うことができる。この固定する組目も最端部に限定されず、最端部より3組目程度までに行うことができる。また前記弾性糸の他方の端の固定点は、用いる弾性糸の長さによって変えることができるが、拡張後のステントと同程度の長さとし他方の端部付近に固定すれば、1本の弾性糸でステント両端部の拡張を行うことができる。前記固定具は、一例として金属製若しくは樹脂製の管がある。金属製若しくは樹脂製の管を使用する場合は、例えばC型又はO型のものを用いてカシメにより接合する。
【0033】
固定の別の方法は、弾性糸をステント構成フィラメント糸に結びつけることで行うことができる。この方法によれば、固定のために特別な部材を用いる必要がなく簡便に行うことができる。
【0034】
本発明の最も単純な実施形態は、弾性糸をステント外側に配して、弾性糸の両端をステントの両端部付近のみと固定したものである。この場合、弾性糸の収縮力はステント両端部間のみで働くため、ステントが湾曲してしまうことがある。これを改善する方法として、弾性糸とステントの接点を、ステント端部からステント長の1/8~1/2の位置にすることが好ましい。
【0035】
弾性糸とステントの接点の作製は、上述の固定の方法により行うこともできるが、ステントを構成するフィラメント糸と交差させても良い。接点は1か所でも良いが、2か所以上となっても良い。接点を2か所以上とする場合には、弾性糸を接点間でステント外側に配しても内側に配してもよく、またステントに編み込んでも良い。
【0036】
図9は、本発明の一実施形態における生分解性ステント51aの模式的側面図である。ステント51aは、ステントを構成する組紐のフィラメント糸52と、ステントの外側に配置される弾性糸54a-54dで構成されている。この例においては、弾性糸54a-54dの一方の端はステント端部付近に固定されており、他方の端はステントの他端部で固定されており、55a,55bは弾性糸の固定点である。この固定は融着によって形成されている。このステントは、縮径した状態において、弾性糸54a-54dには張力がかかっている。なお、ステントの両端部においては、組紐のフィラメント糸52の先端は融着などにより固定されている。53aはフィラメント糸52の末端の固定点である。ステントの一端部57aにおいては、フィラメント糸端部の結合点53a,53bが長さ方向に2列並べて配置され、ステントの他端部57bにおいても、フィラメント糸端部の結合点53c,53dが長さ方向に2列並べて配置されている。
【0037】
図10は、本発明の別の実施形態における弾性糸とステント構成糸との接点を、ステント端部からステント長の1/2の位置としたステント51bの模式的側面図である。
図9と相違する点は、ステントの中央部のフィラメント糸に弾性糸54aを交差させ(くぐらせ)、接点56aを形成していることである。接点56aは固定点としてもよい。これにより、ステントが曲がった状態で生体内に挿入されても、ステントの端部は正確に拡張する。
【0038】
図11は、本発明のさらに別の実施形態における弾性糸とステント構成糸との接点を、ステント端部からステント長の1/3の位置とし、弾性糸を接点56a,56b間でステント内側に配置したステント51cの模式的側面図である。接点56a,56bは固定点としてもよい。これにより、
図10と同様にステントが曲がった状態で生体内に挿入されても、ステントの端部は正確に拡張する。
【0039】
図12は、本発明のさらに別の実施形態における弾性糸をステントの各端部付近の外側に配置したステント51dの模式的側面図である。弾性糸54aはステントを構成するフィラメント糸と固定点55a,55bで固定され、弾性糸54bはステントを構成するフィラメント糸と固定点55c,55dで固定されている。これにより、少なくとも両端部は外側に向けて拡張する。
【0040】
本発明のステントは、縮径した状態から拡張した状態にしたとき、元の平均直径に対する変化率が、長さ方向において-15~+30%の範囲が好ましく、さらに好ましくは-10~+25%の範囲である。これにより均一な自己拡張ができ、とくに元の状態の近くまで自己拡張できる。
【0041】
本発明のステントは、デリバリーシステムに搭載した状態から解放した状態(無荷重状態)までの直径方向の拡張倍率は5倍を超えることが好ましく、さらに好ましくは6倍以上である。前記の範囲であると、生体の管部に挿入するのに都合が良い。
【0042】
本発明のステントを拡張し無荷重状態で静置したとき、ステントの外径は1~40mm、長さは5~200mmが好ましい。腸管に適用するステントの場合、外径は2~40mmが好ましく、さらに好ましくは5~30mmであり、より好ましくは10~25mmである。前記の範囲であれば、生体の腸管を十分に拡張できる。また、デリバリーシステム搭載時の直径を2.3mm以下にし、拡張した際のステント直径を18mm以上になるようにしてもよい。このようにすると、市場に流通している内視鏡等を用いて、生体内への挿入、留置がしやすい。
【0043】
図8は本発明の一実施形態のステント1を搭載するデリバリーシステム30の模式的側面図である。このシステムは、ハブ31、プッシャー32、Yコネクター33、内側にインナーカテーテルを有するアウターシース34を含み、インナーカテーテルのステント搭載部35にステント1が搭載される。この状態で生体内に挿入する。
【実施例】
【0044】
以下実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
生分解性のあるポリマーとして、インヘレント粘度1.51dL/g(0.1g/dL HFIP, 25℃)のポリグリコール酸を使用し、温度190~245℃で溶融紡糸し、延伸倍率4~5倍に延伸し、温度100~120℃でヒートセットした。得られたモノフィラメント糸の直径は0.265mmであった。このモノフィラメントを使用し、
図6~7に示す組紐製造装置(但し、32本打ち組紐製造装置)を使用し、
図4に示すステントを作製した。このステントの両端部の糸は超音波融着で融着し、固化させて結合点を長さ方向に2列並べて配置するように結合した。
このステントは拡張した状態で外径直径が20mmであり、ポリウレタン弾性糸:米国のLubrizol社製、商品名"Pellethane"(直径70μm)を3本に束ね、これを円周上の等間隔に4箇所経糸挿入した。また、
図5に示す組紐を構成する各モノフィラメント糸の組角度Θは55°とした。このステントを内径直径2.5mmのアウターシースを有する
図8に示すデリバリーシステムに搭載したところ、治具を必要とせず、手で容易に搭載できた。またデリバリーシステムから押し出した際には自己拡張し、外径直径が20mmとなり、7.1倍に拡張した。
【0046】
(比較例1)
ステントの両端部の糸は超音波融着で融着し、固化させて結合点を1列に形成した以外は、実施例1と同様とした。
得られたステント
図8に示すデリバリーシステムに搭載したところ、治具を必要とし、搭載が難しかった。
【0047】
(実施例2)
ポリグリコール酸からなるモノフィラメント糸(直径0.23mm)を32本使用し、組紐製造装置により組紐ステントを作製した(直径22mm、長さ80mm)。この組紐ステントにポリウレタン弾性糸(米国Lubrizol社製、商品名"Pellethane"(直径200μm))を、
図9に示すようにステントの外側に配置してステント両端部で固定した。但し、ステントの両末端は長さ方向に2列配列した。ポリウレタン弾性糸はステントの円周上に等間隔に4本配置した。この組糸ステントを、
図8に示す内径3mmのデリバリーシステムに搭載したのち、デリバリーシステムから押し出したところ、ステントは自己拡張し、ステント中心部が、元の直径22mmまで拡張し、かつ両端部は元の直径より大きい22-27mmまで拡張した。
図13Aにデリバリーシステム搭載前のステントの側面写真、
図13Bにデリバリーシステムから解放直後の側面写真、
図13Cにデリバリーシステムから解放後3分の側面写真を示す。本実施例のステントは短時間で均一に自己拡張することが確認できた。
【0048】
(実施例3)
ポリウレタン弾性糸を
図10に示すようにステント中央で組紐を構成するモノフィラメント糸と交差させた以外は実施例2と同様に組紐ステントを作製した。この組糸ステントを内径3mmのデリバリーシステムに搭載したのち、デリバリーシステムから押し出したところ、ステントは自己拡張し、ステント中心部が、元の直径22mmまで拡張し、かつ両端部は、元の直径より、大きい22-27mmまで拡張していた。
図14Aにデリバリーシステム搭載前のステントの側面写真、
図14Bにデリバリーシステムから解放直後の側面写真、
図14Cにデリバリーシステムから解放後3分の側面写真を示す。本実施例のステントは短時間で均一に自己拡張することが確認できた。
【0049】
(実施例4)
ポリグリコール酸からなるモノフィラメント糸(直径0.32mm)を32本使用し、組紐製造装置により組紐ステントを作製した(直径20mm、長さ65mm)。この組紐ステントにポリウレタン弾性糸(米国Lubrizol社製、商品名"Pellethane"(直径200μm))を、
図11に示すように、弾性糸とステント構成糸との接点を、ステント両端部からステント長の1/3の位置まで外側を通して、弾性糸とステントを構成する組紐に接点を配置し、接点と接点間では、ステントを構成する組紐の中に弾性糸を通した。このステントを内径9mmのデリバリーシステムを用いて、ミニブタの小腸内に外科的に留置した。
図15は本実施例の留置前のステントの外観であり、
図16はミニブタ小腸留置後11分後の外観である。中心部の直径が18mm、胃側端部の直径が20mm、肛門側端部の直径が16mmであり、端部まで良好に拡張していた。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の組紐ステントは、人体、ペット、家畜などの生体の管部に挿入するのに好適である。とくに消化管用ステントに好適である。
【符号の説明】
【0051】
1,40,51a-51d ステント
2,3 組糸
4a,4b 端部
5a-5d 経糸
6 組紐全体の長さ方向
θ 組み上げ角度
10 組紐製造装置
11 架台
12 ボビン
13 糸
14 マンドレル
15 円筒部
16 突き上げ部
17 組紐
18 ガイド(プーリー)
19 軌道
20 経糸
21,21a~21d パイプ
22 弾性糸の糸巻体
30 デリバリーシステム
31 ハブ
32 プッシャー
33 Yコネクター
34 アウターシース
35 ステント搭載部
41-48 結合点
52 組紐を構成するフィラメント糸
53a-53d フィラメント糸の末端固定点
54a-54g 弾性糸
55a-55d 弾性糸とフィラメント糸の固定点
56a-56b 弾性糸とフィラメント糸の接点又は固定点
57a,57b ステント端部