(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】広角レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20221028BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20221028BHJP
【FI】
G02B13/04 D
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2019561566
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2018046709
(87)【国際公開番号】W WO2019131368
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2017248893
(32)【優先日】2017-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】神崎 陽介
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0277088(US,A1)
【文献】特開2017-191160(JP,A)
【文献】特開2008-76716(JP,A)
【文献】特開2013-73156(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0062720(US,A1)
【文献】国際公開第2009/031324(WO,A1)
【文献】特開2007-249073(JP,A)
【文献】特開2009-92798(JP,A)
【文献】国際公開第2015/159592(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向けて、前群、絞り、および後群が順に配置され、
前記前群は、物体側から像側に向けて順に配置された前記第1レンズ、前記第2レンズ、および前記第3レンズからなり、
前記後群は、物体側から像側に向けて順に配置された第4レンズ、第5レンズ、および第6レンズからなり、
前記第1レンズは、像側のレンズ面が凹曲面である負メニスカスレンズであり、
前記第2レンズは、像側のレンズ面が凹曲面である負レンズであり、
前記第3レンズは、像側のレンズ面が凸曲面である正レンズであり、
前記第4レンズは、像側のレンズ面が凸曲面である正レンズであり、
前記第5レンズは、像側のレンズ面が凹曲面である負レンズであり、
前記第6レンズは、物体側のレンズ面および像側のレンズ面が凸曲面である両凸レンズであり、
前記第2レンズ、前記第3レンズ、前記第5レンズ、および前記第6レンズは、プラスチックレンズであり、
前記第4レンズは、ガラスレンズであり、
前記第5レンズと前記第6レンズは、前記第5レンズの像側のレンズ面と前記第6レンズの物体側のレンズ面が接合された接合レンズを構成し、
前記第3レンズの物体側のレンズ面のサグ量をSag31(mm)とし、前記第3レンズの物体側のレンズ面の直径をD31(mm)としたとき、サグ量Sag31および直径D31は、以下の条件式
0<|Sag31/(D31/2)|<0.125
を満たすことを特徴とする広角レンズ。
【請求項2】
前記第2レンズの像側のレンズ面のサグ量をSag22(mm)とし、前記第2レンズの像側のレンズ面の直径をD22(mm)としたとき、サグ量Sag22および直径D22は、以下の条件式
0.400<Sag22/(D22/2)<1.733
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の広角レンズ。
【請求項3】
前記第2レンズの物体側のレンズ面のサグ量をSag21(mm)とし、前記第2レン
ズの物体側のレンズ面の直径をD21(mm)としたとき、サグ量Sag21および直径D21は、以下の条件式
0<|Sag21/(D21/2)|<0.125
を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の広角レンズ。
【請求項4】
少なくとも前記第1レンズの像側のレンズ面には反射防止層が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の広角レンズ。
【請求項5】
前記第1レンズの像側のレンズ面には、前記反射防止層として、430nmから850nmまでの波長域における反射率を1.5%以下とする反射防止層が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の広角レンズ。
【請求項6】
前記第1レンズの像側のレンズ面のサグ量をSag12(mm)とし、前記第1レンズの像側のレンズ面の直径をD12(mm)としたとき、サグ量Sag12および直径D12は、以下の条件式
0.577<Sag12/(D12/2)<1.733
を満たすことを特徴とする請求項4に記載の広角レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種撮像系に用いられる広角レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
広角レンズにおいて、高解像度を得るために5群6枚のレンズ構成が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の広角レンズでは、物体側から像側に向けて、前群、絞り、および後群が順に配置され、前群では、最も物体側から像側に向けて、少なくとも、第1レンズ、第2レンズ、および第3レンズが順に配置されている。
【0003】
第1レンズは、像側のレンズ面が凹曲面である負メニスカスレンズであり、第2レンズは、像側のレンズ面が凹曲面である負メニスカスレンズであり、第3レンズは、物体側のレンズ面が凹曲面である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1等に記載の広角レンズでは、第2レンズと第3レンズとの間で、第2レンズの像側の凹状のレンズ面と第3レンズの物体側の凹状のレンズ面とが対向している。このため、第1レンズのレンズ面と第2レンズの物体側のレンズ面との間で多重反射が発生した際、かかる多重反射によって、スポット状のゴーストが発生しやすいという問題点がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、第2レンズの像側のレンズ面と第3レンズの物体側のレンズ面との間での多重反射に起因するゴーストの発生を抑制することのできる広角レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る広角レンズは、物体側から像側に向けて、前群、絞り、および後群が順に配置され、前記前群は、物体側から像側に向けて順に配置された前記第1レンズ、前記第2レンズ、および前記第3レンズからなり、前記後群は、物体側から像側に向けて順に配置された第4レンズ、第5レンズ、および第6レンズからなり、前記第1レンズは、像側のレンズ面が凹曲面である負メニスカスレンズであり、前記第2レンズは、像側のレンズ面が凹曲面である負レンズであり、
前記第3レンズは、像側のレンズ面が凸曲面である正レンズであり、前記第4レンズは、像側のレンズ面が凸曲面である正レンズであり、前記第5レンズは、像側のレンズ面が凹曲面である負レンズであり、前記第6レンズは、物体側のレンズ面および像側のレンズ面が凸曲面である両凸レンズであり、前記第2レンズ、前記第3レンズ、前記第5レンズ、および前記第6レンズは、プラスチックレンズであり、前記第4レンズは、ガラスレンズであり、前記第5レンズと前記第6レンズは、前記第5レンズの像側のレンズ面と前記第6レンズの物体側のレンズ面が接合された接合レンズを構成し、前記第3レンズの物体側のレンズ面のサグ量をSag31(mm)とし、前記第3レンズの物体側のレンズ面の直径をD31(mm)としたとき、サグ量Sag31および直径D31は、以下の条件式
0<|Sag31/(D31/2)|<0.125
を満たすことを特徴とする。
【0008】
本発明では、第3レンズの物体側のレンズ面のサグ量Sag31と第3レンズの物体側のレンズ面の半径(D31/2)との比(Sag31/(D31/2))の絶対値が下限
(0)を超えるため、第3レンズの物体側のレンズ面が平面にならない。従って、各種収差を適正に補正することができる。また、比(Sag31/(D31/2))の絶対値に上限(0.125)を設けたため、第2レンズと第3レンズとの間で、サグ量が大きな凹面同士が対向することを回避することができる。従って、第2レンズと第3レンズとの間で、サグ量が大きな凹面の間での多重反射を抑制することができるので、第2レンズの像側のレンズ面と第3レンズの物体側のレンズ面との間での多重反射に起因するスポット状のゴーストの発生を抑制することができる。また、かかる態様によれば、絞りに対して像側で、第5レンズの像側の凹面と第6レンズの物体側の凸面とが接合されているため、色収差を適切に補正することができる。また、第2レンズ、第3レンズ、第5レンズ、および第6レンズがプラスチックレンズであるため、低コスト化を図ることができる。この場合でも、第4レンズがガラスレンズであり、温度変化に伴う屈折率変化が小さい。従って、広角レンズの温度特性を向上することができる。それ故、広い温度範囲にわたって、さらなる高解像度化を実現することができる。
【0009】
本発明において、前記第2レンズの像側のレンズ面のサグ量をSag22(mm)とし、前記第2レンズの像側のレンズ面の直径をD22(mm)としたとき、サグ量Sag22および直径D22は、以下の条件式
0.400<Sag22/(D22/2)<1.733
を満たす態様を採用することができる。かかる態様では、第2レンズの像側のレンズ面のサグ量Sag22と第2レンズの像側のレンズ面の半径(D22/2)との比(Sag22/(D22/2))に下限(0.400)を設けたため、十分な負のパワーを確保することができる。従って、各種収差を適正に補正することができる。また、比(Sag22/(D22/2))に上限(1.733)を設けたため、第2レンズの像側のレンズ面の周辺部が接線となす角度が過度に小さくなることを抑制することができる。従って、第2レンズを製作しやすいので、コストの低減を図ることができる。
【0010】
本発明において、前記第2レンズの物体側のレンズ面のサグ量をSag21(mm)とし、前記第2レンズの物体側のレンズ面の直径をD21(mm)としたとき、サグ量Sag21および直径D21は、以下の条件式
0<|Sag21/(D21/2)|<0.125
を満たす態様を採用することができる。かかる態様によれば、第2レンズの物体側のレンズ面のサグ量Sag21と第2レンズの物体側のレンズ面の半径(D21/2)との比(Sag21/(D21/2))の絶対値が下限(0)を超えるため、第2レンズの物体側のレンズ面が平面にならない。従って、各種収差を適正に補正することができる。また、比(Sag21/(D21/2))の絶対値に上限(0.125)を設けたため、第1レンズと第2レンズとの間で、サグ量が大きな凹面とサグ量が大きな凸面とが対向することを回避することができる。従って、第1レンズの像側のレンズ面と第2レンズの物体側のレンズ面との間での多重反射を抑制することができる。それ故、第1レンズの像側のレンズ面と第2レンズの物体側のレンズ面との間での多重反射に起因するリング状のゴーストの発生を抑制することができる。
【0011】
本発明において、少なくとも前記第1レンズの像側のレンズ面には反射防止層が設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1レンズの像側のレンズ面と第2レンズの物体側のレンズ面との間での多重反射を抑制することができる。
【0012】
この場合、前記第1レンズの像側のレンズ面には、前記反射防止層として、430nmから850nmまでの波長域における反射率を1.5%以下とする反射防止層が設けられている態様を採用することができる。すなわち、第1レンズの像側のレンズ面には、通常の可視域に加えて、近赤外域までの広い波長域において反射率を1.5%以下とする反射防止層が設けている。このため、レンズ面の周辺部に対する接線が光軸となす角度が小さくなって、第1レンズの像側のレンズ面に反射防止層を設けた際に周辺部において、反射防止層を構成する膜の膜厚が適正な値より薄くなっても、長波長域の光に対して、反射防止層が適正な反射防止を行う。それ故、リング状の赤いゴーストの発生を抑制することができる。
【0013】
本発明において、前記第1レンズの像側のレンズ面のサグ量をSag12(mm)とし、前記第1レンズの像側のレンズ面の直径をD12(mm)としたとき、サグ量Sag12および直径D12は、以下の条件式
0.577<Sag12/(D12/2)<1.733
を満たす態様を採用することができる。かかる態様では、第1レンズの像側のレンズ面のサグ量Sag12と第1レンズの像側のレンズ面の半径(D12/2)との比(Sag12/(D12/2))に下限(0.577)を設けたため、十分な負のパワーを確保することができる。従って、広画角化に対応した場合でも、各種収差を適正に補正することができる。また、比(Sag12/(D12/2))に上限(1.733)を設けたため、第1レンズの像側のレンズ面の周辺部が接線となす角度が過度に小さくなることを抑制することができる。従って、第1レンズの像側のレンズ面に反射防止層を設けた際に周辺部において、反射防止層を構成する膜の膜厚が薄くなることを抑制することができる。また、第1レンズを製作しやすいので、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態1に係る広角レンズの説明図である。
【
図2】
図1に示す広角レンズの球面収差を示す説明図である。
【
図3】
図1に示す広角レンズの倍率色収差を示す説明図である。
【
図4】
図1に示す広角レンズの非点収差およびディストーションを示す説明図である。
【
図5】
図1に示す第1レンズの像側のレンズ面に設けた反射防止層の反射率特性を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施形態2に係る広角レンズの説明図である。
【
図7】
図6に示す広角レンズの球面収差を示す説明図である。
【
図8】
図6に示す広角レンズの倍率色収差を示す説明図である。
【
図9】
図6に示す広角レンズの非点収差およびディストーションを示す説明図である。
【
図10】本発明の実施形態3に係る広角レンズの説明図である。
【
図11】
図10に示す広角レンズの球面収差を示す説明図である。
【
図12】
図10に示す広角レンズの倍率色収差を示す説明図である。
【
図13】
図10に示す広角レンズの非点収差およびディストーションを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下に参照する図面において、光軸Lが延在する方向の物体側にはLaを付し、像側にはLbを付してある。本願発明において、「レンズ面の直径(Diameter)」とは、レンズ面における光学有効径のことである。有効径とは、結像に寄与する全光線とレンズ面との交わる点を考えたとき、径方向における最も外側の点(最も光軸から離れた点)からなる円の直径のことである。「サグ量(Sag)」とは、光軸と直交する仮想平面を仮想基準面としたとき、レンズ面の有効径の最外周における仮想基準面の光軸L上の点から、レンズ面の光軸L上の点までの距離である。また、サグ量が正の値である場合、仮想基準面における光軸Lの点がレンズ面の光軸L上の点よりも物体側に位置し、サグ量が負の値である場合、仮想基準面における光軸Lの点がレンズ面の光軸L上の点よりも像側に位置する。
【0017】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る広角レンズ100の説明図である。なお、
図1に面番号を表すにあたって、非球面には「*」を付してある。
図1に示すように、本形態の広角レンズ100は、物体側Laから像側Lbに向けて順に配置された前群110、絞り80、後群120、および赤外線カットフィルタ81を有している。前群110は、最も物体側Laから像側Lbに向けて配置された第1レンズ10、第2レンズ20、および第3レンズ30からなる。後群120は、物体側Laから像側Lbに向けて配置された第4レンズ40、第5レンズ50、および第6レンズ60からなる。第6レンズ60に対して像側Lbには、平板状の赤外線カットフィルタ81、透光性のカバー82、および撮像素子85が順に配置されている。
【0018】
第1レンズ10は、像側Lbのレンズ面102(第2面2)が凹曲面である負メニスカスレンズ(負のパワーを有するメニスカスレンズ)であり、物体側Laのレンズ面101(第1面1)が凸曲面である。第2レンズ20は、像側Lbのレンズ面22(第4面4)が凹曲面である負レンズ(負のパワーを有するレンズ)であり、物体側Laのレンズ面21(第3面4)が凹曲面である。第3レンズ30は、像側Lbのレンズ面32(第6面6)が凸曲面である正レンズ(正のパワーを有するレンズ)であり、本形態において、第3レンズ30の物体側Laのレンズ面31(第5面5)は凹曲面である。第4レンズ40は、像側Lbのレンズ面42(第9面9)が凸曲面である正レンズ(正のパワーを有するレンズ)であり、本形態において、第4レンズ40の物体側Laのレンズ面41(第8面8)は凸曲面である。第5レンズ50は、像側Lbのレンズ面52(第11面11)が凹曲面である負レンズ(負のパワーを有するレンズ)であり、本形態において、第5レンズ50の物体側Laのレンズ面51(第10面10)は凹曲面である。第6レンズ60は、物体側Laのレンズ面61、および像側Lbのレンズ面62(第12面12)が凸曲面である両凸レンズであり、正のパワーを有している。第5レンズ50と第6レンズ60は、第5レンズ50の像側Lbのレンズ面52と第6レンズ60の物体側Laのレンズ面61が接着剤(図示せず)によって接合された接合レンズ70を構成しており、第5レンズ50の像側Lbのレンズ面52、および第6レンズ60の物体側Laのレンズ面61が第11面11を構成している。かかる態様によれば、絞り80に対して像側Lbで、第5レンズ50と第6レンズ60とが接合レンズ70を構成しているため、色収差を適切に補正することができる。接着剤は、硬化後も弾性を有する材質であることが好ましい。
【0019】
絞り80は、第7面7を構成している。赤外線カットフィルタ81の物体側Laの面811は第13面13を構成し、像側Lbの面812は第14面14を構成している。カバー82の物体側Laの面821は第15面15を構成し、像側Lbの面822は第16面16を構成している。撮像素子85の撮像面は第17面17を構成している。
【0020】
第2レンズ20、第3レンズ30、第5レンズ50、および第6レンズ60は、アクリル樹脂系、ポリカーボネート系、ポリオレフィン系等からなるプラスチックレンズである。従って、低コスト化を図ることができる。この場合でも、第1レンズ10および第4レンズ40は、ガラスレンズである。絞り80に隣り合う第4レンズがガラスレンズであり、温度変化に伴う屈折率変化が小さい。従って、広角レンズ100の温度特性を向上することができる。それ故、広い温度範囲にわたって、さらなる高解像度化を実現することができる。また。最も物体側Laに配置される第1レンズ10がガラスレンズであるため、第1レンズ10に傷等がつきにくい。本形態において、第2レンズ20のレンズ面21、22、第3レンズ30のレンズ面31、32、第5レンズ50のレンズ面51、52、および第6レンズ60のレンズ面61、62は、非球面である。第1レンズ10のレンズ面101、102、および第4レンズ40のレンズ面41、42は球面である。
【0021】
(レンズ構成)
本形態の広角レンズ100の各レンズの構成等は、表1に示す通りであり、表1には、広角レンズ100の特性として以下の特性を示してある。
レンズ系全体の焦点距離f0(Effective Focal Length)
全長d0(Total Track)
レンズ系全体のF値(Image Space)
最大画角(Max. Field Angle)
【0022】
また、表1には、各面の以下の項目が示されている。曲率半径、厚さ、焦点距離の単位はmmである。ここで、レンズ面が物体側に向けて突出した凸面あるいは物体側に向けて凹んだ凹面である場合には、曲率半径を正の値とし、レンズ面が像側に向けて突出した凸面あるいは像側に向けて凹んだ凹面である場合、曲率半径を負の値としてある。
曲率半径(Radius)
厚さ(Thickness)
屈折率Nd
アッベ数νd
焦点距離f
【0023】
また、表1には、非球面の形状を下式(数1)で表した際の非球面係数A4、A6、A8、A10・・が示されている。下式においては、サグ量(光軸方向の軸)をz、光軸と垂直方向の高さ(光線高さ)をr、円錐係数をk、曲率半径の逆数をcとしてある。
【0024】
【0025】
【0026】
表1に示すように、本形態の広角レンズ100においては、レンズ系全体の焦点距離f0は0.914mmであり、第1レンズ10の物体側Laのレンズ面101から撮像素子85までの距離である全長は12.302mmであり、レンズ系全体のF値は2.0であり、最大画角は215degである。
【0027】
(広角レンズ100の収差特性)
図2は、
図1に示す広角レンズ100の球面収差を示す説明図である。
図3は、
図1に示す広角レンズ100の倍率色収差を示す説明図であり、最大画角(107.3998deg/半角)における倍率色収差を示してある。
図4は、
図1に示す広角レンズ100の非点収差およびディストーションを示す説明図である。
【0028】
なお、
図2、
図3、
図4には、波長が435nm、473nm、546nm、600nm、および668nmにおける各収差にV、B、G、O、およびRを付して示してある。また、
図4に示す非点収差に関しては、サジタル方向の特性にSを付し、タンジェンシャル方向の特性にTを付してある。また、
図4に示すディストーションとは、撮像中央部と周辺部における像の変化比率を示し、ディストーションをあらわす数値の絶対値が小さいほど、高精度なレンズといえる。
【0029】
図2~
図4に示すように、本形態の広角レンズ100においては、球面収差、倍率色収差、および非点収差(ディストーション)が適正なレベルまで補正されている。
【0030】
(ゴースト対策等に関する構成)
表2には、以下に説明する条件式に対応する各数値を示してあり、
図2には、後述する実施例1の変形例、および実施例2、3の数値も示してある。なお、表2に示す値は、四捨五入による端数処理を行ってある。
【0031】
【0032】
表1および表2に示すように、第1レンズ10のレンズ面102のサグ量をSag12(mm)とし、第1レンズ10のレンズ面102の直径をD12(mm)としたとき、サグ量Sag12および直径D12は、以下の条件式(1)
0.577<Sag12/(D12/2)<1.733 ・・条件式(1)
を満たしている。より具体的には、Sag12は1.547mmであり、D12は4.793mmである。従って、比(Sag12/(D12/2))は、0.646であり、条件式(1)を満たしている。
【0033】
比(Sag12/(D12/2))が下限(0.577)を超えているため、十分な負のパワーを確保することができる。また、広画角化に対応した場合でも、各種収差を適正に補正することができる。また、比(Sag12/(D12/2))に上限(1.733)を設けたため、第1レンズ10のレンズ面102の周辺部が接線となす角度が過度に小さくなることを抑制することができる。従って、第1レンズ10のレンズ面102に、後述する反射防止層を設けた際、周辺部において、反射防止層を構成する膜の膜厚が薄くなることを抑制することができる。また、第1レンズ10を製作しやすいので、コストの低減を図ることができる。
【0034】
第2レンズ20のレンズ面21のサグ量をSag21(mm)とし、第2レンズ20のレンズ面21の直径をD21(mm)としたとき、サグ量Sag21および直径D21は、以下の条件式(2)
0<|Sag21/(D21/2)|<0.125 ・・条件式(2)
を満たしている。より具体的には、Sag21は0.199mmであり、D21は4.793mmである。従って、比(Sag21/(D21/2))の絶対値は、0.083であり、条件式(2)を満たしている。
【0035】
比(Sag21/(D21/2))の絶対値が下限(0)を超えるため、第2レンズ20のレンズ面21が平面にならない。従って、各種収差を適正に補正することができる。また、比(Sag21/(D21/2))の絶対値に上限(0.125)を設けたため、第1レンズ10と第2レンズ20との間で、サグ量が大きな凹面とサグ量が大きな凸面とが対向することを回避することができる。従って、第1レンズ10のレンズ面102と第2レンズ20のレンズ面21との間での多重反射を抑制することができる。それ故、第1レンズ10のレンズ面102と第2レンズ20のレンズ面21との間での多重反射に起因するリング状のゴーストの発生を抑制することができる。また、第1レンズ10のレンズ面102と第2レンズ20のレンズ面21との間で、サグ量が大きな凹面同士が対向することを回避することもできる。従って、サグ量が大きな凹面の間での多重反射を原因とするスポット状のゴーストの発生も抑制することができる。
【0036】
第3レンズ30のレンズ面31のサグ量をSag31(mm)とし、第3レンズ30のレンズ面31の直径をD31(mm)としたとき、サグ量Sag31および直径D31は、以下の条件式(3)
0<|Sag31/(D31/2)|<0.125 ・・条件式(3)
を満たしている。より具体的には、サグ量Sag31は、-0.097mmであり、D21は2.354mmである。従って、比(Sag31/(D31/2))の絶対値は、0.082であり、条件式(3)を満たしている。
【0037】
比(Sag31/(D31/2))の絶対値が下限(0)を超えるため、第3レンズ30のレンズ面31が平面にならない。従って、各種収差を適正に補正することができる。また、比(Sag31/(D31/2))の絶対値に上限(0.125)を設けたため、第2レンズ20と第3レンズ30との間で、サグ量が大きな凹面同士が対向することを回避することができる。従って、第2レンズ20と第3レンズ30との間で、サグ量が大きな凹面の間での多重反射を抑制することができるので、第2レンズ20のレンズ面22と第3レンズ30のレンズ面31との間において、サグ量が大きな凹面の間での多重反射を原因とするスポット状のゴーストの発生を抑制することができる。
【0038】
第2レンズ20のレンズ面22のサグ量をSag22(mm)とし、第2レンズ20のレンズ面22の直径をD22(mm)としたとき、サグ量Sag22および直径D22は、以下の条件式(4)
0.400<Sag22/(D22/2)<1.733 ・・・条件式(4)
を満たしている。より具体的には、サグ量Sag22は0.837mmであり、直径D22は2.495mmである。従って、比(Sag22/(D22/2))は、0.671であり、条件式(4)を満たしている。
【0039】
比(Sag22/(D22/2))が下限(0.400)を超えているため、十分な負のパワーを確保することができる。従って、各種収差を適正に補正することができる。また、比(Sag22/(D22/2))に上限(1.733)を設けたため、第2レンズ20のレンズ面22の周辺部が接線となす角度が過度に小さくなることを抑制することができる。従って、第2レンズ20を製作しやすいので、コストの低減を図ることができる。
【0040】
第1レンズ10および第2レンズ20の合成焦点距離をf12(mm)とし、第3レンズ30、第4レンズ40、第5レンズ50、および第6レンズ60の合成焦点距離をf3456(mm)としたとき、合成焦点距離f12、f3456は、以下の条件式(5)
0.1<|f12/f3456|<1 ・・条件式(5)
を満たしている。より具体的には、合成焦点距離f12、f3456は各々、-1.283mm、および2.440mmである。従って、比f12/f3456の絶対値は0.526であり、条件(5)を満たしている。
【0041】
比(f12/f3456)の絶対値が上限(1)未満であるため、正のパワーが強くなりすぎることを抑制することができる。従って、コマ収差や非点収差を適正に補正することができる。また、比(f12/f3456)の絶対値が下限(0.1)を超えるため、負のパワーが強くなりすぎることを抑制することができる。従って、レンズ系全体の全長が長くなることを回避することができる。それ故、広角レンズ100の小型化を図ることができる。
【0042】
合成焦点距離f12、およびレンズ系全体の焦点距離f0は、以下の条件式(6)
0.5<|f12/f0|<2.5 ・・条件式(6)
を満たしている。より具体的には、合成焦点距離f12、およびレンズ系全体の焦点距離f0は各々、-1.283mm、および0.914mmである。従って、比f12/f0の絶対値は1.40であり、条件式(6)を満たしている。
【0043】
比(f12/f0)の絶対値が下限(0.5)を超えるため、像面湾曲を抑えることができる。また、比(f12/f0)の絶対値が上限(2.5)未満であるため、視野角を大きくすることができる。
【0044】
第4レンズ40、第5レンズ50、および第6レンズ60の合成焦点距離をf456(mm)としたとき、合成焦点距離f456、およびレンズ系全体の焦点距離f0は、以下の条件式(7)
2<f456/f0<4 ・・条件式(7)
を満たしている。より具体的には、合成焦点距離f456、およびレンズ系全体の焦点距離f0は各々、3.456mm、および0.914mmである。従って、比f456/f0は3.78であり、条件式(7)を満たしている。
【0045】
比(f456/f0)が下限(2)を超えるため、第4レンズ40、第5レンズ50、および第6レンズからなる後群120のパワーが強くなりすぎてしまうことを防ぐことができる。従って、各収差、特に色収差の補正をより良好に行うことができ、さらに高い光学性能を実現することができる。また、比(f456/f0)が上限(4)未満であるため、レンズ径が大きくなりすぎることを抑制することができるとともに、レンズ系全体の全長が長くなることを回避することができる。それ故、広角レンズの小型化を図ることができる。
【0046】
全長d0、レンズ系全体の焦点距離f0は、以下の条件式(8)
10<d0/f0<18 ・・条件式(8)
を満たしている。より具体的には、全長d0、およびレンズ系全体の焦点距離f0は各々、12.302mm、および0.914mmである。従って、d0/f0は13.46であり、条件式(8)を満たしている。
【0047】
比(d0/f0)が下限(10)を超えているので、球面収差や歪曲収差を適正に補正することができる。また、比(d0/f0)が上限(18)未満であるので、レンズ径が大きくなりすぎることを抑制することができるとともに、レンズ系全体の全長が長くなることを回避することができる。それ故、広角レンズの小型化を図ることができる。
【0048】
第1レンズ10の屈折率Ndをn1としたとき、第1レンズ10の屈折率n1は、以下の条件式(9)
1.7<n1 ・・条件式(9)
を満たしている。より具体的には、第1レンズ10の屈折率n1は、1.876である。従って、条件式(9)を満たしている。
【0049】
第1レンズ10の屈折率n1が1.7を超えているので、第1レンズ10の外径を小さくできる。それ故、広角レンズ100の小型化を図ることができる。また、第2レンズ20のレンズ面21のサグ量を小さく(浅く)することができ、第1レンズ10のレンズ面102と第2レンズ20のレンズ面21との間での多重反射を抑制することができる。従って、第1レンズ10のレンズ面102と第2レンズ20のレンズ面21との間での多重反射に起因するリング状のゴーストの発生を抑制することができる。
【0050】
(反射防止層の構成)
図5は、
図1に示す第1レンズ10の像側Lbのレンズ面102に設ける反射防止層の反射率特性を示す説明図である。本形態では、少なくとも、第1レンズ10の像側Lbのレンズ12面に反射防止層19が形成されており、反射防止層19は、
図5に点線L2で示す反射率特性を有している。このため、第1レンズ10のレンズ面102と第2レンズ20のレンズ面21との間での多重反射を抑制することができ、多重反射に起因するリング状のゴーストの発生を抑制することができる。
【0051】
ここで、第1レンズ10の像側Lbのレンズ12面には、反射防止層19に代えて、
図5に実線L1で示す反射率特性を有する反射防止層18を設けることが好ましい。反射防止層18は、430nmから850nmまでの波長域における反射率が1.5%以下である。反射防止層18は誘電体多層膜からなる。反射防止層19は、誘電体多層膜または単層のコーティング層からなる。
【0052】
図5から分かるように、反射防止層18は、通常の可視域に加えて、近赤外域までの広い波長域において反射率が1.5%以下である。このため、レンズ面102の周辺部に対する接線が光軸Lとなす角度が小さくなって、レンズ面102の周辺部において、反射防止層18を構成する膜の膜厚が適正な値より薄くなっても、長波長域の光に対して、反射防止層18が適正な反射防止を行う。それ故、第1レンズ10のレンズ面102と第2レンズ20のレンズ面21との多重反射を抑制することができるので、リング状の赤いゴーストの発生を抑制することができる。なお、反射防止層18、19を比較すると、反射防止層19は、一般的な反射防止層より誘電体層の積層数が多い。従って、第1レンズ10のレンズ面102のみに反射防止層18を形成し、第1レンズ10のレンズ面101等の他のレンズ面には、反射防止層19を形成した方がコストを低減することができる。
【0053】
[実施形態1の変形例]
実施形態1の変形例では、広角レンズ100の基本的な構成が、
図1に示す実施形態1と略同様である。このため、本例のレンズ構成については、実施形態1で参照した
図1に基づいて説明する。
【0054】
図1に示すように、本形態の広角レンズ100も、実施形態1と同様、物体側Laから像側Lbに向けて順に配置された前群110、絞り80、後群120、および赤外線カットフィルタ81を有している。前群110は、最も物体側Laから像側Lbに向けて配置された第1レンズ10、第2レンズ20、および第3レンズ30からなる。後群120は、物体側Laから像側Lbに向けて配置された第4レンズ40、第5レンズ50、および第6レンズ60からなる。第6レンズ60に対して像側Lbには、平板状の赤外線カットフィルタ81、透光性のカバー82、および撮像素子85が順に配置されている。
【0055】
本形態の広角レンズ100の各レンズの構成等は、表3に示す通りである。本形態の広角レンズ100においては、レンズ系全体の焦点距離f0は0.914mmであり、第1レンズ10のレンズ面101から撮像素子85までの距離である全長は12.301mmであり、レンズ系全体のF値は2.0であり、最大画角は215degである。本例の広角レンズ100においては、球面収差、倍率色収差、および非点収差(ディストーション)は、実施形態1において参照した
図2~
図4と同等であり、適正なレベルまで補正されている。
【0056】
【0057】
表2および表3に示すように、第1レンズ10のレンズ面102のサグ量Sag12、および直径D12は各々、1.555mm、および4.801mmである。従って、比(Sag12/(D12/2))は、0.648であり、条件式(1)を満たしている。
【0058】
第2レンズ20のレンズ面21のサグ量Sag21、および直径D21は各々、0.199mm、および4.801mmである。従って、比(Sag21/(D21/2))の絶対値は、0.083であり、条件式(2)を満たしている。
【0059】
第3レンズ30のレンズ面31のサグ量Sag31、および直径D31は各々、-0.098mm、および2.362mmである。従って、比(Sag31/(D31/2))の絶対値は、0.083であり、条件式(3)を満たしている。
【0060】
第2レンズ20のレンズ面22のサグ量Sag22、および直径D22は各々、0.842mm、および2.501mmである。従って、比(Sag22/(D22/2))は、0.674であり、条件式(4)を満たしている。
【0061】
合成焦点距離f12、f3456は各々、-1.283mm、および2.360mmである。従って、比f12/f3456の絶対値は0.544であり、条件(5)を満たしている。
【0062】
合成焦点距離f12、およびレンズ系全体の焦点距離f0は各々、-1.283mm、および0.914mmである。従って、比f12/f0の絶対値は1.405であり、条件式(6)を満たしている。
【0063】
合成焦点距離f456、およびレンズ系全体の焦点距離f0は各々、3.029mm、および0.914mmである。従って、比f456/f0は3.316であり、条件式(7)を満たしている。
【0064】
レンズ系全体の焦点距離f0、および全長d0は各々、0.914mm、および12.301mmである。従って、比d0/f0は13.463であり、条件式(8)を満たしている。
【0065】
第1レンズ10の屈折率Nd(n1)は、1.876であり、条件式(9)を満たしている。
【0066】
このように構成した広角レンズ100でも、実施形態1と同様、第1レンズ10のレンズ面102は、
図5に実線L1で示す反射率特性を示す反射防止層18が形成されている。
【0067】
[実施形態2]
図6は、本発明の実施形態2に係る広角レンズ100の説明図である。
図7は、
図6に示す広角レンズ100の球面収差を示す説明図である。
図8は、
図6に示す広角レンズ100の倍率色収差を示す説明図であり、最大画角(106.0000deg/半角)における倍率色収差を示してある。
図9は、
図6に示す広角レンズ100の非点収差およびディストーションを示す説明図である。
【0068】
図6に示すように、本形態の広角レンズ100も、実施形態1と同様、物体側Laから像側Lbに向けて順に配置された前群110、絞り80、後群120、および赤外線カットフィルタ81を有している。前群110は、最も物体側Laから像側Lbに向けて配置された第1レンズ10、第2レンズ20、および第3レンズ30からなる。後群120は、物体側Laから像側Lbに向けて配置された第4レンズ40、第5レンズ50、および第6レンズ60からなる。本形態において、第2レンズ20は、物体側Laのレンズ面21(第3面3)が凸曲面である。その他の基本的な構成は、実施形態1と同様である。
【0069】
本形態の広角レンズ100の各レンズの構成等は、表4に示す通りである。本形態の広角レンズ100においては、レンズ系全体の焦点距離f0は0.913mmであり、第1レンズ10のレンズ面101から撮像素子85までの距離である全長は12.450mmであり、レンズ系全体のF値は2.0であり、最大画角は212degである。
図7~
図9に示すように、本形態の広角レンズ100においては、球面収差、倍率色収差、および非点収差(ディストーション)が適正なレベルまで補正されている。
【0070】
【0071】
表2および表4に示すように、第1レンズ10のレンズ面102のサグ量Sag12、および直径D12は各々、1.738mm、および5.392mmである。従って、比(Sag12/(D12/2))は、0.645であり、条件式(1)を満たしている。
【0072】
第2レンズ20のレンズ面21のサグ量Sag21、および直径D21は各々、0.161mm、および5.392mmである。従って、比(Sag21/(D21/2))の絶対値は、0.060であり、条件式(2)を満たしている。
【0073】
第3レンズ30のレンズ面31のサグ量Sag31、および直径D31は各々、-0.120mm、および2.665mmである。従って、比(Sag31/(D31/2))の絶対値は、0.090であり、条件式(3)を満たしている。
【0074】
第2レンズ20のレンズ面22のサグ量Sag22、および直径D22は各々、1.001mm、および2.787mmである。従って、比(Sag22/(D22/2))は、0.718であり、条件式(4)を満たしている。
【0075】
合成焦点距離f12、f3456は各々、-1.393mm、2.461mmである。従って、比f12/f3456の絶対値は0.567であり、条件(5)を満たしている。
【0076】
合成焦点距離f12、およびレンズ系全体の焦点距離f0は各々、-1.393mm、および0.913mmである。従って、比f12/f0の絶対値は1.53であり、条件式(6)を満たしている。
【0077】
合成焦点距離f456、およびレンズ系全体の焦点距離f0は各々、2.889mm、および0.913mmである。従って、比f456/f0は3.16であり、条件式(7)を満たしている。
【0078】
レンズ系全体の焦点距離f0、および全長d0は各々、0.913mm、および12.450mmである。従って、比d0/f0は13.64であり、条件式(8)を満たしている。
【0079】
第1レンズ10の屈折率Nd(n1)は、1.876であり、条件式(9)を満たしている。
【0080】
このように構成した広角レンズ100でも、実施形態1と同様、第1レンズ10のレンズ面102は、
図5に実線L1で示す反射率特性を示す反射防止層18が形成されている。
【0081】
[実施形態3]
図10は、本発明の実施形態3に係る広角レンズ100の説明図である。
図11は、
図10に示す広角レンズ100の球面収差を示す説明図である。
図12は、
図10に示す広角レンズ100の倍率色収差を示す説明図であり、最大画角(106.5000deg/半角)における倍率色収差を示してある。
図13は、
図10に示す広角レンズ100の非点収差およびディストーションを示す説明図である。
【0082】
図10に示すように、本形態の広角レンズ100も、実施形態1と同様、物体側Laから像側Lbに向けて順に配置された前群110、絞り80、後群120、および赤外線カットフィルタ81を有している。前群110は、最も物体側Laから像側Lbに向けて配置された第1レンズ10、第2レンズ20、および第3レンズ30からなる。後群120は、物体側Laから像側Lbに向けて配置された第4レンズ40、第5レンズ50、および第6レンズ60からなる等、基本的な構成は、実施形態1と同様である。
【0083】
本形態の広角レンズ100の各レンズの構成等は、表5に示す通りである。本形態の広角レンズ100においては、レンズ系全体の焦点距離f0は0.945mmであり、第1レンズ10のレンズ面101から撮像素子85までの距離である全長は12.393mmであり、レンズ系全体のF値は2.04であり、最大画角は213degである。
図11~
図13に示すように、本形態の広角レンズ100においては、球面収差、倍率色収差、および非点収差(ディストーション)が適正なレベルまで補正されている。
【0084】
【0085】
表2および表5に示すように、第1レンズ10のレンズ面102のサグ量Sag12、および直径D12は各々、1.439mm、および4.837mmである。従って、比(Sag12/(D12/2))は、0.595であり、条件式(1)を満たしている。
【0086】
第2レンズ20のレンズ面21のサグ量Sag21、および直径D21は各々、-0.124mm、および4.837mmである。従って、比(Sag21/(D21/2))の絶対値は、0.051であり、条件式(2)を満たしている。
【0087】
第3レンズ30のレンズ面31のサグ量Sag31、および直径D31は各々、-0.110mm、および2.387mmである。従って、比(Sag31/(D31/2))の絶対値は、0.092であり、条件式(3)を満たしている。
【0088】
第2レンズ20のレンズ面22のサグ量Sag22、および直径D22は各々、0.600mm、および2.586mmである。従って、比(Sag22/(D22/2))は、0.464であり、条件式(4)を満たしている。
【0089】
合成焦点距離f12、f3456は各々、-1.319mm、2.374mmである。従って、比f12/f3456の絶対値は0.556であり、条件(5)を満たしている。
【0090】
合成焦点距離f12、およびレンズ系全体のf0は各々、-1.319mm、および0.945mmである。従って、比f12/f0の絶対値は1.40であり、条件式(6)を満たしている。
【0091】
合成焦点距離f456、およびレンズ系全体の焦点距離f0は各々、2.832mm、および0.945mmである。従って、比f456/f0は3.00であり、条件式(7)を満たしている。
【0092】
レンズ系全体の焦点距離f0、および全長d0は各々、0.945mm、および12.393mmである。従って、比d0/f0は13.12であり、条件式(8)を満たしている。
【0093】
第1レンズ10の屈折率Nd(n1)は、1.876であり、条件式(9)を満たしている。
【0094】
このように構成した広角レンズ100でも、実施形態1と同様、第1レンズ10のレンズ面102は、
図5に実線L1で示す反射率特性を示す反射防止層18が形成されている。
【0095】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、第1レンズ10がガラスレンズであったが、プラスチックレンズであってもよい。この場合、第1レンズ10の像側Lbのレンズ面102を非球面とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明では、第3レンズの物体側のレンズ面のサグ量Sag31と第3レンズの物体側のレンズ面の半径(D31/2)との比(Sag31/(D31/2))の絶対値が下限(0)を超えるため、第3レンズの物体側のレンズ面が平面にならない。従って、各種収差を適正に補正することができる。また、比(Sag31/(D31/2))の絶対値に上限(0.125)を設けたため、第2レンズと第3レンズとの間で、サグ量が大きな凹面同士が対向することを回避することができる。従って、第2レンズと第3レンズとの間で、サグ量が大きな凹面の間での多重反射を抑制することができるので、第2レンズの像側のレンズ面と第3レンズの物体側のレンズ面との間での多重反射に起因するスポット状のゴーストの発生を抑制することができる。