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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】雑草防除装置
(51)【国際特許分類】
   E01H 11/00 20060101AFI20221028BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221028BHJP
   A01M 21/00 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
E01H11/00 A
G06T7/00 300F
A01M21/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019572594
(86)(22)【出願日】2018-07-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018067780
(87)【国際公開番号】W WO2019007890
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】17181582.2
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17180030.3
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17186467.1
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17187259.1
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516245885
【氏名又は名称】バイエル、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】パスカル、ダイ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、アリアンズ
(72)【発明者】
【氏名】ビルジニー、ジロー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ、ハドロー
(72)【発明者】
【氏名】ヒンネルク、バスフェルト
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/002093(WO,A1)
【文献】特開平07-079681(JP,A)
【文献】特開平09-000137(JP,A)
【文献】特開2015-053941(JP,A)
【文献】特開2013-059296(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0027040(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 11/00
G06T 7/00
A01M 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のカメラ(110)と、
入力部(20)と、
植生管理技術(120)と、
処理部(30)と、
出力部(40)と、
を含み、
前記1つ以上のカメラは、環境の1枚以上の画像を取得するように構成され、
前記入力部は、前記処理部に前記1枚以上の画像を提供するように構成され、
前記植生管理技術は、複数の動作モードで動作するように構成され、
記処理部は、前記1枚以上の画像を分析して、前記植生管理技術の前記複数の動作モードから前記環境の少なくとも第1部分での雑草防除に使用される、前記植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定するように構成され、
前記1枚以上の画像を分析して前記植生管理技術の前記1つ以上の動作モードを決定することは、前記環境の前記少なくとも第1部分において第1種類の雑草を判定すること、および、前記環境の少なくとも第2部分において第2種類の雑草を判定することを含み、
前記処理部は、前記1枚以上の画像を分析して前記環境の前記少なくとも第1部分において前記第1種類の雑草の雑草防除に使用される前記植生管理技術の第1動作モードを決定するように構成され、前記処理部は、前記1枚以上の画像を分析して前記環境の前記少なくとも第2部分において前記第2種類の雑草の雑草防除に使用される前記植生管理技術の第2動作モードを決定するように構成され、
記出力部は、前記植生管理技術を前記1つ以上の動作モードで作動させるのに使うことができる情報を出力するように構成される、雑草防除装置(10)。
【請求項2】
(a)処理部に、1つ以上のカメラにより取得された、環境の1枚以上の画像を提供すること(210)と、
(c)前記処理部により前記1枚以上の画像を分析して、植生管理技術の複数の動作モードから、前記環境の少なくとも第1部分での雑草防除に使用される前記植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定(220)、前記環境の前記少なくとも第1部分において第1種類の雑草を判定し(290)、前記環境の少なくとも第2部分において第2種類の雑草を判定し(300)、前記環境の前記少なくとも第1部分において前記第1種類の雑草の雑草防除に使用される前記植生管理技術の第1動作モードを決定し(310)、前記環境の前記少なくとも第2部分において前記第2種類の雑草の雑草防除に使用される前記植生管理技術の第2動作モードを決定する(320)ことと、
(e)出力部により前記植生管理技術を前記1つ以上の動作モードで作動させるのに使うことができる情報を出力すること(230)と、
を含む雑草防除方法(200)。
【請求項3】
プロセッサにより実行された場合に請求項に記載の方法を実行するように構成される、請求項1に記載の装置制御するためのコンピュータプログラムエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草防除装置、雑草防除システム、雑草防除方法、ならびに、コンピュータプログラムエレメントおよびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の一般的背景は雑草防除である。特定の工業地域や鉄道線路周辺の地域は、植物を防除する必要がある。鉄道では、そのような防除によって運転手などの列車内の人々の視点からの視界が改善され、線路上で働く人々の視点からの視界が改善される。そのような防除によって安全性を改善することもできる。さらに、植物は線路ならびに関連する信号および通信回線を分断したり破損させることもある。植物の防除はこのようなことを軽減するのに必要である。植生管理は、雑草防除とも呼ばれるが、特に手作業で行われる場合には、多大な時間とリソースを要することがある。化学薬品タンクに収納された除草剤を積載する雑草噴霧列車は、植物を防除するために線路および周辺領域に噴射されうる。しかし、そのような雑草防除は高価となることがあり、一般市民はますます環境影響の削減を望むようになっている。
【発明の概要】
【0003】
雑草防除用の改善された装置を持っていると有利である。
【0004】
本発明の目的は独立請求項の主題で解決され、更なる実施形態が従属請求項で援用される。また、以下に説明される本発明の態様および実施例は、雑草防除装置、雑草防除システム、雑草防除方法、ならびにコンピュータプログラムエレメントおよびコンピュータ可読媒体にも適用されることに留意されたい。
【0005】
第1態様によれば、
入力部と、
処理部と、
出力部と、
を含む雑草防除装置が提供される。
【0006】
入力部は、処理部に環境の1枚以上の画像を提供するように構成される。処理部は、1枚以上の画像を分析して、植生管理技術の複数の動作モードから環境の少なくとも第1部分での雑草防除に使用される植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定するように構成される。出力部は、植生管理技術を1つ以上の動作モードで作動させるのに使うことができる情報を出力するように構成される。
【0007】
つまり、環境の1枚または複数枚の画像が取得されている。雑草防除に使用することができる植生管理技術がある。植生管理技術は様々な動作モードで動作することができる。そして、装置は1枚または複数枚の画像を分析して、環境の特定の1つまたは複数の場所で雑草を防除するのに、植生管理技術の利用可能な動作モードのうち1つまたは複数のいずれの動作モードが使用されるかを判断する。
【0008】
このように、植生管理技術の最も適切な動作モードを環境内の別の領域に対して使用することができる。また、植生管理技術の各動作モードが別の領域のそれぞれに対して最も適切である場合に、環境内の別の領域において植生管理技術の異なる動作モードを使用することもできる。
【0009】
このように、植生管理技術の動作モードは、湿っている、ぬかるんでいる、乾燥している、砂だらけである、などの環境を考慮することができて、最も適切な動作モードが選択される。
【0010】
また、1つまたは複数の化学薬品、薬品スプレー、液体薬品、固形薬品、高圧水、高温水、高圧高温水、蒸気、電力、電気誘導、電流の流れ、高圧電力、電磁放射、X線放射、紫外線放射、可視光放射、マイクロ波放射、パルスレーザー放射、火炎システム、などの利用可能な多数の異なる雑草防除技術がありうる。これらのうちのいずれの1つも、例えば2つ以上の化学薬品を使用する、または2つ以上の電力レベルで動作可能な、もしくは2つ以上の時間にわたって作動される、多数の異なるモードで動作可能である。そして、特定の雑草防除技術に対しては、動作モードが画像分析に基づいて決定される。
【0011】
これらの雑草防除技術のうちの1つを有する装置、例えば、雑草を駆除するために植物および地面に電流が流されている高電圧ベースのシステムに対して、異なる動作モードは、異なる植物を駆除するのに印加することができる異なる動作電力レベル、および/または、異なる電力印加時間を含みうる。したがって、環境内の別の場所において、高電圧システムの異なるレベルの電力を必要に応じて印加することができる。また、異なる動作モードは、高電圧レベルの特定のレベルを異なる時間印加することも含みうる。したがって、環境内の別の場所において、高電圧システムを必要に応じて異なる時間適用することができる。例えば、マイクロ波電力の異なる電力レベルおよび異なる時間、ならびにレーザー放射の電力、時間および波長の変化により、特定の雑草防除技術の異なる動作モードを構成することができる。
【0012】
例えば、雑草防除技術が薬品スプレーベースの雑草防除技術である場合は、異なる動作モードは、特定の除草剤を複数の異なる強さで噴霧すること、および/または、異なる強さを持つ複数の異なる種類の除草剤を噴霧することを含みうる。したがって、環境内の別の場所において、複数の異なる強さの化学薬品を必要に応じて散布することができる。また、異なる動作モードは、化学薬品の噴霧を異なる時間適用することも含みうる。したがって、環境内の別の場所において、特定の化学薬品の噴霧を必要に応じて異なる時間適用することができる。このように、散布する必要のある除草剤のみが使用する必要のある時間だけ散布されるため、除草剤の環境影響を減少させることができる。
【0013】
一例では、1枚以上の画像を分析して植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定することは、環境の少なくとも第1部分において1つ以上の植生場所を判定することを含む。そして、処理部は、1つ以上の場所で使用される植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定するように構成される。
【0014】
つまり、取得された画像における植生領域を判定するために画像処理を使用することが可能であり、画像処理から、この植生領域での雑草防除に使用される植生管理技術の最も適切な動作モードを選択することができる。また、植生管理技術の最も適切な動作モードがそれぞれの植生場所に対して使用可能である場合、植生管理技術はこの植生場所だけに対して適用することができる。
【0015】
このように、例えば小さい植生領域が大きな植生領域とは異なる動作モードで防除可能である場合に、植生管理技術の最も適切な動作モードを別の植生領域に対して選択することができる。
【0016】
一例では、1枚以上の画像が1つ以上のカメラにより取得された。そして、入力部は、1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供するように構成される。
【0017】
場所は、地面上の正確な場所に対する地理的位置であってもよく、または、植生管理技術の位置を基準とした地面上の場所であってもよい。つまり、絶対的な地理的位置が利用されてもよく、または、絶対的に知られている必要はないが雑草防除技術の場所を基準とした地面上の場所が利用されてもよい。したがって、画像をその取得場所と関連付けることで、植生管理技術をその場所へ正確に適用することができる。
【0018】
一例では、1枚以上の画像を分析して植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定することは、1種類以上の雑草を判定することを含む。
【0019】
つまり、植生管理技術の適切な動作モードを選択して、防除される1種類または複数種類の雑草を駆除することができる。したがって、例えば1種類の雑草は、その雑草を駆除するために雑草防除技術を短い時間だけ適用することが必要となりうるが、異なる種類の雑草では、その雑草を駆除するのに同じ雑草防除技術をより長い時間適用する必要となりうる。
【0020】
一例では、処理部は1種類以上の雑草の1つ以上の場所を判定するように構成される。つまり、雑草の種類とその場所を判定するのに画像処理を使用することができる。場所は画像内の場所でありうる。場所は実際の地理的位置でありうる。場所は画像内にありえて、植生管理技術の位置を基準とすることができる。このように、特定の種類の雑草の場所を判定することで植生管理技術の最適な動作モードをその特定の場所へ適用することができて、またこれは、植生管理技術の異なる動作モードの適用を必要とする別の場所の異なる雑草にも当てはまる。
【0021】
一例では、1枚以上の画像を分析して植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定することは、環境の少なくとも第1部分において第1種類の雑草を判定すること、および、環境の少なくとも第2部分において第2種類の雑草を判定することを含む。したがって、植生管理技術の最も適切な動作モードは、環境内の異なる複数の雑草種類に基づいて決定することができる。
【0022】
一例では、処理部は1枚以上の画像を分析して、環境の少なくとも第1部分において第1種類の雑草の雑草防除に使用される植生管理技術の第1動作モードを決定するように構成される。また、処理部は1枚以上の画像を分析して、環境の少なくとも第2部分において第2種類の雑草の雑草防除に使用される植生管理技術の第2動作モードを決定するように構成される。
【0023】
つまり、植生管理技術の最も適切な動作モードは環境内の複数の部分で見つかる雑草種類のうちの特定の種類に応じて選択することができて、これにより、植生管理技術の特定の動作モードをその特定の雑草が見つかる場所だけに適用することができる。
【0024】
一例では、処理部は1枚以上の画像を分析して、環境の少なくとも第1部分での雑草防除に使用される植生管理技術の第1動作モードを決定するように構成される。また、処理部は1枚以上の画像を分析して、環境の少なくとも第2部分での雑草防除に使用される植生管理技術の第2動作モードを決定するように構成される。
【0025】
つまり、雑草防除技術の第1動作モードは環境の第1場所での雑草防除に対する画像分析に基づいて選択することができて、植生管理技術の異なる動作モードは画像分析に基づいて別の場所での雑草防除に対して選択することができる。このように、植生管理技術の最も適切な動作モードは環境の特定の部分に対して選択することができて、例えば雑草防除技術の一動作モードがある雑草に対して使用され、植生管理技術の異なる動作モードが異なる雑草に対して使用される、および/または、植生管理技術の一動作モードを環境の第1部分において特定の種類の雑草に対して使用することができて、植生管理技術の異なる動作モードを環境内の異なる部分において同じ雑草に対して使用することができる。例えば、選択された植生管理技術は、例えば地形が乾燥している、砂だらけである、ぬかるんでいる、湿っている、または環境上特別に重要な地域(保護地域)であるかどうかを考慮して、地上地形を説明することができて、植生管理技術の最も適切な動作モードをこうした地形種類に対して選択して同じ種類(または異なる種類)の雑草を駆除ことができる。さらに、このことは、雑草防除技術が例えば薬品スプレーベースである場合に、最も化学的に攻撃的なスプレーを絶対的に必要とされる場合に限って使用することができるため、化学的に攻撃的な雑草防除手段を最小限に抑えることができることを意味する。化学的に攻撃的な程度が低い化学薬品により防除可能な雑草は、薬品スプレー技術に基づいた雑草駆除システムでは化学薬品の環境影響を絶対的最小限度に抑えることができることを意味する。
【0026】
第2態様によれば、
1つ以上のカメラと、
第1態様に係る雑草防除装置と、
植生管理技術と、
を含む雑草防除システムが提供される。
【0027】
1つ以上のカメラは、環境の1枚以上の画像を取得するように構成される。植生管理技術は、車両に搭載される。植生管理技術は、複数の動作モードで動作するように構成される。雑草防除装置は、植生管理技術を環境の少なくとも第1部分に対して1つ以上の動作モードで作動させるように構成される。このように、植生管理技術の特定のモードが環境の画像に基づいて決定される場合に、車両は環境を動き回って、植生管理技術の異なる複数のモードを使ってその環境内の雑草を防除することができる。このようにして、1つのプラットフォーム、例えば環境の上空を飛行する1つまたは複数のドローンにより画像を取得することができる。この情報がオフィスに存在しうる装置へ送られる。装置は植生管理技術のいずれのモードがこの環境のどこで使用されるかを判断する。この情報はこの環境を動き回る車両へ提供される雑草防除マップ内で提供することができて、この環境の特定の部分において、植生管理技術の要求されるモードを作動させる。
【0028】
一例では、雑草防除装置は車両に搭載され、1つ以上のカメラが車両に設置される。このようにして、システムは画像を取得し、画像を分析して植生管理技術のいずれのモードがどこで使用されるかを判断した後、必要とされる特定の場所において要求されるモードで植生管理技術を作動させることで、リアルタイムまたは準リアルタイムに動作することができる。
【0029】
一例では、植生管理技術は複数のユニットを含み、複数のユニットは複数の動作モードで動作するように構成される。第3態様によれば、
(a)処理部に環境の1枚以上の画像を提供することと、
(c)処理部により1枚以上の画像を分析して、植生管理技術の複数の動作モードから、環境の少なくとも第1部分での雑草防除に使用される植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定することと、
(e)出力部により植生管理技術を1つ以上の動作モードで作動させるのに使うことができる情報を出力することと、
を含む雑草防除方法が提供される。
【0030】
一例では、ステップc)は、環境の少なくとも第1部分における1つ以上の植生場所を判定するステップを含み、この方法は、処理部によりこの1つ以上の場所で使用される植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定するステップd)を含む。
【0031】
一例では、ステップa)では1枚以上の画像が1つ以上のカメラにより取得され、この方法は、1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供するステップb)を含む。別の態様によれば、第1態様の装置に係る装置および/または第2態様に係るシステムを制御するためのコンピュータプログラムエレメントが提供され、このコンピュータプログラムエレメントはプロセッサにより実行された場合、第3態様の方法を実行するように構成される。有利なことに、上記の態様のいずれかにより提供される利益は他の態様のすべてに同様に当てはまり、逆もまた同様である。
【0032】
上記の態様および実施例はこの後に記述される実施形態から明らかになり、これらの実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
例示の実施形態は以下の図面を参照して以下に説明される。
図1】雑草防除装置の例の概略配置を示す。
図2】雑草防除システムの例の概略配置を示す。
図3】雑草防除方法を示す。
図4】雑草防除システムの例の概略配置を示す。
図5】雑草防除システムの例の概略配置を示す。
図6】雑草防除システムの一部の例の概略配置を示す。
図7】雑草防除システムの一部の例の概略配置を示す。
図8】雑草防除システムの一部の例の概略配置を示す。
図9図7に示される雑草防除システムの一部の一部分の更なる詳細の概略配置を示す。
図10】鉄道線路および周辺領域の略図を示す。
図11】雑草防除システムの一部の例の概略配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は雑草防除装置10の例を示す。装置10は入力部20、処理部30、および出力部40を含む。入力部20は、処理部30に環境の1枚以上の画像を提供するように構成される。これは有線通信または無線通信を介して行うことができる。処理部30は1枚以上の画像を分析して、植生管理技術の複数の動作モードから、環境の少なくとも第1部分での雑草防除に使用される植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定するように構成される。出力部40は、植生管理技術を1つ以上の動作モードで作動させるのに使うことができる情報を出力するように構成される。
【0035】
一例では、この装置はリアルタイムで動作していて、複数の画像が取得され、即座に処理されて、植生管理技術の決定された動作モードが雑草の防除にすぐに使用される。したがって、例えば、車両はその環境の画像を取得し、この画像を処理して、車両によって運搬される植生管理技術のいずれの動作モードが環境の特定の部分に対して使用されるかを判断することができる。
【0036】
一例では、この装置は準リアルタイムで動作していて、環境の複数の画像が取得され、即座に処理されて、植生管理技術のいずれの動作モードが環境の特定の領域において雑草の防除に使用されるかを判断する。この情報は、環境内を移動して植生管理技術の適切な動作モードを環境の特定の部分へ適用する適切なシステムにより後で使用することができる。したがって、例えば、乗用車、列車、大型トラック、または無人航空機(UAV)もしくは1つまたは複数のカメラを備えたドローンなどの第1車両が環境内を移動して画像を取得することができる。この画像は即座に処理されて環境内のどこで植生管理技術の特定の動作モードが使用されるかを詳しく示す「雑草マップ」を決定することができる。その後、多数の異なる動作モードで動作可能な植生管理技術を備えた車両が環境内を移動して、雑草防除技術の決定された特定の動作モードを環境内の異なる特定の領域へ適用することができる。別の例では、単一の動作モードで動作するが車両間では異なる動作モードで動作する植生管理技術をそれぞれ備えた多数の車両が環境内を移動して、植生管理技術のその動作モードが使用されると判断された場合に、その植生管理技術のそれぞれの特定の動作モードを環境のそれぞれの特定の領域だけに使用する。
【0037】
一例では、装置はオフラインモードで動作している。したがって、以前取得された画像は後で装置へ提供される。そして、装置は領域内のどこで植生管理技術の特定の動作モードが使用されるかを判断し、事実上、雑草マップを作成する。そして、雑草マップは、領域内を移動して植生管理技術の特定の動作モードを環境の特定の部分に適用する1つまたは複数の車両により後で使用される。
【0038】
一例では、出力部は植生管理技術の動作モードを作動させるのに直接使用可能な信号を出力する。一例によれば、1枚以上の画像を分析して植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定することは、環境の少なくとも第1部分における1つ以上の植生場所を判定することを含み、処理部はその1つ以上の場所で使用される植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定するように構成される。一例によれば、1枚以上の画像が1つ以上のカメラにより取得され、入力部は1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供されるように構成される。
【0039】
一例では、場所は絶対的な地理的位置である。
【0040】
一例では、場所は植生管理技術の位置を参照して判定される場所である。つまり、画像が地面上の特定の場所と関連付けられていることをその場所の正確な地理的位置を知ることなく判定することができるが、画像が取得された時点の場所に関して植生管理技術の位置を知ることにより、植生管理技術をその場所へ動かすことで、要求される植生管理技術の動作モードをその場所へ後で適用することができる。
【0041】
一例では、GPS装置は、特定の画像が取得された際の1つ以上のカメラの場所を判定するのに使用される、および/または、判定する際に使用される。一例では、特定の画像が取得された際の1つ以上のカメラの場所を判定するのに慣性走行装置が単独で、またはGPS装置と組み合わせて使用される。したがって、例えば、1つまたは複数のレーザージャイロスコープを例えば含む慣性走行装置が校正される、または既知の場所でゼロ設定されて、この慣性走行装置が1つ以上のカメラと共に動くと、この既知の場所から離れる動きをx軸、y軸、z軸で特定することができて、これより画像が取得された際の1つ以上のカメラの場所を判定することができる。
【0042】
一例では、特定の画像が取得された際の1つ以上のカメラの場所を判定するために、取得された画像の画像処理が単独で、またはGPS装置と組み合わせて、もしくはGPS装置および慣性走行装置と組み合わせて使用される。したがって、カメラの場所を判定するために、視覚的マーカーを単独で、またはGPS由来の情報および/または慣性走行由来の情報と組み合わせて使用することができる。一例によれば、1枚以上の画像を分析して植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定することは、1種類以上の雑草を判定することを含む。一例によれば、処理部は1種類以上の雑草の1つ以上の場所を判定するように構成される。
【0043】
一例によれば、1枚以上の画像を分析して植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定することは、環境の少なくとも第1部分において第1種類の雑草を判定すること、および、環境の少なくとも第2部分において第2種類の雑草を判定することを含む。一例によれば、処理部は1枚以上の画像を分析して、環境の少なくとも第1部分において第1種類の雑草の雑草防除に使用される植生管理技術の第1動作モードを決定するように構成される。また、処理部は1枚以上の画像を分析して、環境の少なくとも第2部分において第2種類の雑草の雑草防除に使用される植生管理技術の第2動作モードを決定するように構成される。
【0044】
一例によれば、処理部は1枚以上の画像を分析して、環境の少なくとも第1部分での雑草防除に使用される植生管理技術の第1動作モードを決定するように構成される。また、処理部は1枚以上の画像を分析して、環境の少なくとも第2部分での雑草防除に使用される植生管理技術の第2動作モードを決定するように構成される。一例では、環境の少なくとも第2部分は、環境の少なくとも第1部分とは異なる。
【0045】
したがって、環境内の異なる部分において異なる雑草を判定して、それらの領域に対して植生管理技術の最も適切な動作モードが決定されるようにすることができる。一例では、環境の少なくとも第2部分は、環境の少なくとも第1部分により部分的に囲まれている。つまり、環境の一領域は、環境の別の領域内で見つかる。そして、植生管理技術の一動作モードは大きな領域に対して使用可能であり、また植生管理技術の異なる動作モードが使用できる領域内で見つかる、より小さな領域に対して使用可能である。一例では、環境の少なくとも第2部分は、環境の少なくとも第1部分の少なくとも1つの部分集合である。
【0046】
したがって、例えば特定の種類の雑草のより小さな領域を、雑草のより大きな領域内で見つけることができる。例えば、1つまたは複数のタンポポが草の領域内に位置することがある。そして、植生管理技術の第1モードを、タンポポが位置する可能性がある場所も含めた草地全体にわたって使用することができる。草を防除するのに適切なモードとして植生管理技術のこのモードを選択することが可能であり、利用可能な最も攻撃的な植生管理技術である必要はない。例えば、比較的低電力で高電圧の手法をこの領域へ適用することも可能であり、または、比較的弱い薬品スプレーを領域全体にわたって散布することも可能である。しかし、タンポポのような駆除がより難しい雑草が見つかる草地の部分集合に対して、植生管理技術のより攻撃的なモードを使用することが可能であり、特定の場所において高電圧手法のより高電力のモードなどを適用する、またはより攻撃的な化学薬品を噴霧することが可能である。このようにして、必要な電力量を最小化することができて、環境影響を最小化することができて、植生管理技術が薬品スプレーベースの技術である場合に攻撃的な化学薬品の使用量を最小化することができる。
【0047】
一例では、1枚以上の画像の分析は、機械学習アルゴリズムの利用を含む。
【0048】
一例では、機械学習アルゴリズムは決定木アルゴリズムを含む。
【0049】
一例では、機械学習アルゴリズムは人工神経ネットワークを含む。
【0050】
一例では、機械学習アルゴリズムは複数枚の画像に基づいて教育されている。一例では、機械学習アルゴリズムは1種類以上の雑草の画像を含む複数枚の画像に基づいて教育されている。一例では、機械学習アルゴリズムは複数の雑草の画像を含む複数枚の画像に基づいて教育されている。
【0051】
一例では、利用可能な植生管理技術は、1つまたは複数の化学薬品、薬品スプレー、液体薬品、固形薬品、高圧水、高温水、高圧高温水、蒸気、電力、電気誘導、電流の流れ、高圧電力、電磁放射、X線放射、紫外線放射、可視光放射、マイクロ波放射、パルスレーザー放射、火炎システムを含む。つまり、植生管理技術の動作モードは、分析された環境の画像に基づいてこれらの植生管理技術のうちの一つの動作モードを決定することに関連する。
【0052】
図2は雑草防除システム100の例を示す。システム100は、1つ以上のカメラ110、および、図1と関連付けられた例のいずれかに対して上述された雑草防御装置10を含む。また、システム100は植生管理技術120も含む。1つ以上のカメラ110は、環境の1枚以上の画像を取得するように構成される。植生管理技術120は車両130に搭載される。植生管理技術120は複数の動作モードで動作するように構成される。雑草防除装置10は、植生管理技術120を環境の少なくとも第1部分に対して1つ以上の動作モードで作動させるように構成される。
【0053】
一例では、装置10は車両130に搭載される。一例では、1つ以上のカメラ110は車両130に設置される。
【0054】
一例では、車両は列車または貨物列車である。
【0055】
一例では、車両は大型トラックもしくはトラック、またはUnimog(多目的作業車)である。
【0056】
一例では、入力部は1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供されるように構成される。一例では、場所は地理的位置である。
【0057】
一例では、装置は、1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の地理的位置および1つ以上のカメラと植生管理技術の間の空間的関係に基づいて、植生管理技術を1つ以上の動作モードで作動させるように構成される。このように、画像が車両に設置されたカメラによってどこで取得されたのかを知ること、および、カメラに関して植生管理技術が車両のどこに設置されているかを知ることで、画像が取得されたのと同じ場所で、かつ実際に撮影された領域内で植生管理技術を作動させるために車両の前進速度を考慮するのが簡単になる。
【0058】
一例では、装置は植生管理技術の第2モードを作動させるよりも前に植生管理技術の第1モードを作動させるように構成される、または、植生管理技術の第2モードを作動させた後に植生管理技術の第1モードを作動させるように構成される。一例によれば、植生管理技術は複数のユニットを含み、複数のユニットは複数の動作モードで動作するように構成される。
【0059】
一例では、各ユニットは植生管理技術の異なる動作モードで動作するように構成される。一例では、複数のユニットが搭載され、1つのユニットが車両の進行方向で他のユニットの前方に設置される。このようにして、ユニットの植生管理技術の特定の動作モードが、可変長の時間にわたって動作する1つのユニットを使って可変時間動作することができる。しかし、1つのユニットによる最大散布時間は、作動可能なサブユニットを持ちうる塗布器の大きさおよび車両の速度に依存する。しかし、1つのユニットは、地面の特定の場所において、その大きさおよび車両の速度に依存する最大時間にわたって動作することができる。この特定の場所における散布時間は、やはりその場所で植生管理技術を適用するユニットの後方に置かれたユニットを使って、このユニットが車両と共に前方へ動くのに伴って増加させることができる。したがって、植生管理技術の複数の動作モードは、その植生管理技術を異なる時間適用しうる植生管理技術に関連することがあり、処理部はある場所で植生管理技術を適用すべき時間を決定する。この時間はユニット自体において多様とすることができて、特定の場所の上を移動してその場所で植生管理技術を適用する多数のユニットによりさらに増加させることができる。また、互いの前方に設置される複数のユニットを有することで、各ユニットは異なる動作モードで動作することが可能であり、例えば、高電圧雑草防除技術を異なる電力レベルで適用することができる。そして、複数のユニットが車両と共に前方へ動くのに伴い、必要な高圧電力を特定の場所で印加することができる。ユニット自体は可変高圧電力の能力を持つことが可能であり、これによりスペースを節約できるが、ユニット内により複雑な雑草防除技術が必要とされる。
【0060】
一例では、植生管理技術の第1モードで動作するように構成されているユニットが、車両の進行方向で植生管理技術の第2モードで動作するように構成されているユニットの前に設置される、または、植生管理技術の第1動作モードで動作するように構成されているユニットが、車両の進行方向で植生管理技術の第2動作モードで動作するように構成されているユニットの後ろに設置される。
【0061】
図3は雑草防除方法200を基本的ステップで示す。方法200は、ステップ(a)とも呼ばれる提供するステップ210において処理部30に環境の1枚以上の画像を提供することと、ステップ(c)とも呼ばれる分析するステップ220において処理部により1枚以上の画像を分析して植生管理技術の複数の動作モードから環境の少なくとも第1部分での雑草防除に使用される植生管理技術の1つ以上の動作モードを決定することと、ステップ(e)とも呼ばれる出力するステップ230において出力部40により植生管理技術を1つ以上の動作モードで作動させるのに使うことができる情報を出力すること、とを含む。
【0062】
一例では、環境の1枚以上の画像は入力部20から処理部へ提供される。一例によれば、ステップc)は、環境の少なくとも第1部分における1つ以上の植生場所を判定するステップ240を含む。そして、方法はステップd)、すなわち、処理部により1つ以上の場所で使用される植生管理技術の1つ以上のモードを決定するステップ250を含む。
【0063】
一例によれば、ステップa)では1枚以上の画像が1つ以上のカメラにより取得され、この方法はステップb)、すなわち、1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供するステップ260を含む。
【0064】
一例では、ステップc)は1種類以上の雑草を判定すること270を含む。
【0065】
一例では、ステップc)は1種類以上の雑草の1つ以上の場所を判定すること280を含む。
【0066】
一例では、ステップc)は、環境の少なくとも第1部分において第1種類の雑草を判定すること290、および環境の少なくとも第2部分において第2種類の雑草を判定すること300を含む。
【0067】
一例では、ステップc)は、環境の少なくとも第1部分において第1種類の雑草の雑草防除に使用される植生管理技術の第1モードを決定すること310、および環境の少なくとも第2部分において第2種類の雑草の雑草防除に使用される植生管理技術の第2モードを決定すること320を含む。一例では、ステップc)は、環境の少なくとも第1部分での雑草防除に使用される植生管理技術の第1モードを決定すること330、および環境の少なくとも第2部分での雑草防除に使用される植生管理技術の第2動作モードを決定すること340を含む。
【0068】
一例では、環境の少なくとも第2部分は、環境の少なくとも第1部分とは異なる。一例では、環境の少なくとも第2部分は、環境の少なくとも第1部分により部分的に囲まれている。一例では、環境の少なくとも第2部分は、環境の少なくとも第1部分の少なくとも1つの部分集合である。一例では、ステップc)は機械学習アルゴリズムを利用すること350を含む。一例では、方法は車両を使うことを含み、方法は、1つ以上のカメラにより環境の1枚以上の画像を取得すること、および車両に搭載される植生管理技術を環境の少なくとも第1部分に対して1つ以上の動作モードで作動させることを含む。
【0069】
一例では、方法は処理部、出力部、および1つ以上のカメラを車両に設置することを含む。
【0070】
一例では、方法は植生管理技術の第2モードを作動させる前に植生管理技術の第1モードを作動させること、または、植生管理技術の第2モードを作動させた後に植生管理技術の第1モードを作動させることを含む。
【0071】
雑草防除用の装置、システム、および方法が鉄道線路の環境における雑草防除に関連する図4~11と共にこれからより詳細に説明され、植生管理技術(雑草防除技術とも呼ばれる)は列車の一部に搭載されている。上述したように、雑草防除技術は2つ以上の動作モードで動作可能な任意の数の異なる雑草防除技術のうちの1つとすることができる。
【0072】
図4は雑草防除システム100の例を示す。数台のドローンがカメラ110を有する。ドローンは鉄道線路に沿って飛行する。カメラは鉄道線路の環境、すなわち、線路の間の地面および線路の両側の地面の画像を取得する。撮影される環境は、雑草を防除することが必要な環境である。数台のドローンは必要ではなく、1つのカメラ110を有する1台のドローンで必要な画像を取得することができる。実際、画像は、例えば鉄道線路環境を訪れた職員により手持ち撮影される1つまたは複数のカメラ110により、または飛行機、人工衛星、もしくは鉄道線路に沿って走行した列車によって取得することもできた。カメラ110により取得される画像は植物を植物として識別することを可能とする解像度であり、実際には1種類の雑草を別の種類の雑草から区別することを可能とする解像度とすることができる。取得される画像はカラー画像とすることができるが、そうである必要はない。ドローンにより取得される画像は装置10へ送信される。画像はカメラ110によって取得されたらすぐに装置10へ送信されてもよく、または、取得された時より後、例えばドローンが着陸した際に送信されてもよい。ドローンは全地球測位システム(GPS)を有することができて、これにより取得された画像の場所を判定することができる。例えば、画像が取得された際のカメラ110の向きおよびドローンの位置を使って、地面平面における画像の地理的占有面積を判定することができる。また、ドローンは、例えばレーザージャイロスコープに基づいた慣性航行システムを有することができる。ドローンの向き、したがってカメラの向きを判定するために使用されること、および地面上でいつ画像が取得されたのかを判定するのを容易にすることに加え、慣性航行システムはGPSシステムなしで単独で機能して、1つまたは多数の既知の場所から離れる動きを特定することでドローンの位置を判定することができる。
【0073】
装置10の入力部20は取得された画像を処理部30へ渡す。画像分析ソフトウェアはプロセッサ30上で動作する。画像分析ソフトウェアはエッジ検出などの特徴抽出、および、例えば鉄道線路、枕木、木、踏切、駅のプラットフォームなどの構造物を識別することができる物体検出分析を使用することができる。したがって、環境内の建物の場所などの、物体の既知の場所に基づいて、また枕木の間の距離や鉄道線路の間の距離などの既知の構造情報に基づいて、処理部は取得された画像を継ぎ合わせて、環境の地理的地図上に事実上重ね合わせることができる環境の合成表現を事実上作成することができる。したがって、各画像の地理的位置を判定することが可能であり、取得された画像と関連付けられた、関連するGPSベースの情報および/または慣性航行ベースの情報は必要ない。しかし、利用可能なGPS情報および/または慣性航行情報があれば、画像のみに基づいて特定の画像を特定の地理的位置に配置することができるそのような画像分析は必要ではない。しかし、GPSベースの情報および/または慣性航行ベースの情報が利用可能であれば、そのよう画像分析を使って、画像と関連付けられた地理的位置を増強することができる。したがって、例えば、GPSベースの情報および/または慣性航行ベースの情報に基づいて、取得された画像の中心が、鉄道の一区間の特定の鉄道枕木の側端部から22cmで終端部から67cmに位置すると判断され、一方で実際の取得画像から上記の画像分析を使用して、画像の中心が枕木の側端部から25cm、終端部から64cmに位置すると判定された場合、GPS/慣性航行ベースで導かれた場所を、必要に応じて場所を一方向に3cm、別の方向に3cm移動させることで増強することができる。
【0074】
プロセッサ30は更なる画像処理ソフトウェアを実行する。このソフトウェアは、画像を分析して画像内で植物が見つかる領域を判定する。植物は取得された画像内の特徴の形状に基づいて検出することが可能であり、例えば、物体の外周および物体自体の外周の中の特徴の外周を描くのにエッジ検出ソフトウェアが使用される。植物画像のデータベースを使用して、例えば人工神経ネットワークや決定木分析などの訓練された機械学習アルゴリズムを使って画像内の特徴が植物に関連するかどうかを判定するのを助けることができる。カメラは画像内の色に関する情報を有する画像であるマルチスペクトル画像を取得することができて、この画像を単独で、または特徴検出と組み合わせて使って、画像内で植物が見つかる場所を判定することができる。上述したように、画像の地理的位置を地面上での画像の大きさの知識から判定することができるため、画像内で見つかる1つまたは複数の植生場所を地面上の植物の正確な位置へマップすることができる。
【0075】
その後プロセッサ30は、使用された場合には特徴抽出に基づいて植生場所を判定する画像処理の一部となりうる、更なる画像処理ソフトウェアを実行する。このソフトウェアは機械学習分析器を含む。特定の雑草の画像が、使用されている雑草の大きさにも関連する情報とともに取得される。世界においてそのような雑草が見つかる地理的位置に関連する情報、および、花が満開となっている時期などを含む、この雑草が見つかる時季に関連する情報を、この画像にタグ付けすることができる。また、雑草の名前も雑草の画像にタグ付けすることができる。そして、人工神経ネットワークまたは決定木分析器をベースにすることもできる機械学習分析器は、地上検証された取得画像で訓練される。このように、植物の新しい画像が分析器へ渡され、そのような画像に時季などの関連するタイムスタンプ、および、ドイツや南アフリカなどの地理的位置がタグ付けされている場合、分析器は新しい画像内で見つかる雑草の画像と訓練で使われた異なる雑草の画像との比較から画像内にある特定の種類の雑草を判定し、その雑草の大きさ、およびその雑草がどこでいつ生長するかも考慮されうる。それゆえ、環境内でのその雑草種類の地面上の特定の場所およびその大きさを判定することができる。
【0076】
プロセッサ30は、異なる雑草種類および、実験的に求めたデータからまとめられた、その雑草種類を防除するのに使用すべき雑草防除技術の最適なモードを含むデータベースへアクセスすることができる。例えば、多数の利用可能な化学薬品の中から雑草に噴霧されるべき特定の種類の化学薬品、特定の場所で特定の種類の雑草に対して印加されるべき高電圧(または、レーザー放射もしくはマイクロ波放射、もしくは、水噴射もしくは水蒸気噴射もしくは火炎噴射)の時間、および/または高電圧(またはレーザー放射もしくはマイクロ波放射など)の電力レベル。また、地面上での雑草または雑草の塊の大きさも、雑草防除技術(植生管理技術とも呼ばれる)のいずれのモードが使用されるかを判断する際に考慮されることがある。例えば、薬品スプレーで使用される特定の種類の化学薬品は、特定の種類の雑草に対して最適な雑草防除技術でありうる。そして、プロセッサは、環境内の特定の場所にある単一の雑草またはその小さな塊に対して、その雑草を特定の化学薬品で防除するのに薬品スプレー雑草防除技術がその特定の場所で作動されるべきであると判断することができる。しかし、環境内に存在していて特定された特定の種類の雑草の大きな塊がある場合、プロセッサは、環境に対する化学薬品の影響を軽減するために、雑草防除技術の異なるモード、例えばその領域でのより弱い化学薬品の噴霧が使用されるべきであると判断することができる。同じことが火炎ベースの雑草防除、高電圧ベースの雑草防除、蒸気もしくは高圧水ベースの雑草防除技術、またはマイクロ波ベースの雑草防除技術の異なるモードに対しても、これらの特定の雑草防除技術の動作モードが例えば異なる種類の雑草または異なる土壌種類が見られる特定の場所に適合可能である場合に当てはまる。プロセッサにより、防除する必要があるすべての雑草に対して使用される雑草防除技術の1つ以上のモードが確実に割り当てられる。特定の種類の雑草を最もうまく防除するためには、雑草防除技術の2つの異なるモード、例えば、より長い時間のマイクロ波放射を電力レベルを高めたマイクロ波放射と組み合わせる場合がありうる。同じことが高電圧、レーザー放射などに当てはまる。そして、プロセッサは雑草防除技術の1つまたは複数のいずれのモードがどこに適用されるべきかを詳しく示す適切な雑草防除マップを作成する。
【0077】
したがって、ドローンのカメラ110が環境の画像を取得し、この画像がプロセッサ30へ渡されて、プロセッサ30が環境のどの特定の地理的位置で雑草防除技術のいずれのモードが適用されるべきかを判断する。したがって、環境内のどこで雑草防除技術の特定のモードが使用されるかを示す雑草マップまたは雑草防除技術モードマップを事実上作成することができる。
【0078】
引き続き図4を参照すると、雑草防除列車130は鉄道線路に沿って進む。雑草防除列車は多数の貨物車を有し、各貨物車は異なるモードで動作可能な雑草防除技術を収納している。具体的な例では、第1貨物車は化学薬品「a」を噴霧する薬品スプレーベースの雑草防除技術120aを有する。第2貨物車は化学薬品「b」を噴霧する薬品スプレーベースの雑草防除技術120bを有し、貨物車120c、120d、および120eはそれぞれ化学薬品「c」、「d」、「e」を噴霧する。異なる複数の貨物車が連結された異なる列車または同じ列車は、高電圧ベースの雑草防除技術、レーザーベースの雑草防除技術、マイクロ波ベースの雑草防除技術、蒸気ベースの雑草防除技術などの異なる雑草防除技術を収納可能であり、火炎ベースの雑草防除技術、固形(泡状)薬品堆積、およびさらに機械ベースの雑草防除技術などの他の雑草防除技術が利用可能である。高電圧ベースの雑草防除技術を例にとると、貨物車のそれぞれが異なる電力レベルで動作する高電圧システムを有することが可能であり、数台の貨物車は同じ電力レベルで動作することができる。したがって、ユニット120a、120b、120cを有する貨物車は、「AA」の高圧電力レベルで動作することができる。ユニット120dを有する貨物車は「10×AA」の高圧電力レベルで動作することができて、ユニット120eを有する貨物車は「100×AA」の高圧電力レベルで動作することができる。電力レベル「10AA」で動作する貨物車が2台以上存在することがあり、電力レベル「100AA」で動作する貨物車が2台以上存在することがある。雑草防除列車は、上記の雑草マップまたは雑草防除マップを使用するプロセッサ(図示せず)を有する。雑草防除列車は自身の地理的位置を判定する手段を有し、この手段は雑草防除列車の位置および雑草防除技術ユニットの具体的な場所を特定するためにGPS、慣性航行、または画像分析の1つまたは複数をベースとすることができる。これは、雑草防除列車が環境を通過する場合に、雑草のこの場所で作動される雑草防除技術の特定のモードがこの作業に最適であると判断されている場合に異なる雑草防除技術ユニットを雑草の特定の場所で作動させることができることを意味する。上述したように、雑草防除列車はカメラを持つことができて、画像を取得することができる。取得された画像を雑草防除列車のプロセッサで処理し、枕木の場所および周囲の特徴を判定することで、列車自体の場所を判定することができる。また、雑草防除列車がGPSシステムおよび/または慣性システムを有する場合、雑草防除技術の正しいモードを特定の雑草の場所で作動させることができるように、GPSシステムおよび/または慣性航行システムを使って列車の場所を判定することができる。しかし、列車が周囲の画像を取得するカメラも有している場合、雑草防除技術が雑草の正確な場所で作動できるように、枕木の位置などの特徴抽出を使ってGPSおよび/または慣性航行により判定された位置を増強し、例えばGPSシステムから得た位置を考慮して位置の補正を行うことができる。したがって、枕木の位置を判定するのに必要な画像処理は、鉄道枕木などの特徴を特定する際の画像処理のコンプレクシティは比較的大きくないため、場所の更新が迅速に行われている状態で迅速に動作することができる。高電圧雑草防除技術を例にとると、高電圧が印加される時間およびどれだけの電力レベルで雑草が駆除されるかのデータベースがプロセッサにより使用されて、環境内の特定の場所で適用されるべき高電圧システムの特定のモードが決定される。類似のデータベースが噴霧可能な化学薬品に対して、また特定の雑草を駆除するのに必要なマイクロ波電力レベルや時間などに対して使用される。
【0079】
図5は雑草防除システム100の別の例を示す。図5の雑草防除システムは、図4のものに類似している。しかし、図5では雑草防除列車130は前述のようなカメラ110および装置10を有する。ここでは、雑草防除列車130上のカメラ110は以前はドローンにより取得された画像を取得する。雑草防除列車130上の装置のプロセッサ30は取得された画像を処理して、雑草の場所および種類を判定する。そのため、雑草の正確な地理的位置は判定する必要がない。むしろ、カメラ110と、異なる動作モードで動作可能な雑草防除技術120a~eを有する列車の貨物車に収納されているユニットの間の相対的間隔に基づいて、取得された画像を地面上の特定の地点に位置づけることができて、雑草を画像内で見つけて特定し、地面上で見つけることができて、要求される雑草防除技術120a~eのモードを判定された雑草の場所で作動させることができる。そして、雑草防除列車の前進速度(その速度)および画像が取得された時刻の知識から、要求される雑草防除技術のモードが雑草の位置で作動するように、いつ作動されるべきかを判断することができる。このように、雑草防除列車はGPSシステムおよび/もしくは慣性航行システム、または画像ベースの絶対的地理的位置判定手段を有する必要はない。むしろ、画像内の雑草の種類およびその正確な場所、ならびに列車座標系での雑草の地面上の正確な場所を判定するのに必要な処理を説明するために、カメラ110は、処理時間に雑草防除中の雑草防除列車の最大速度を乗じたものに少なくとも等しい距離の分だけ雑草防除技術120から離間している必要がある。したがって、例えば、列車が25m/sで進むのに対して処理に0.2s、0.4s、または0.8sかかる場合、図5を参照して、カメラ110は雑草防除技術120eの前方にこの列車速度に対して5m、10m、または20mだけ離間している必要がある。列車の速度を減少させることで、距離間隔を削減することができる。加えて、画像を取得しているカメラ110は、露光時間中の列車の移動による画像スミアが最小化されるように、非常に短い露光時間を持つことができる。これは、例えばフィルタと組み合わせて例えばレーザーまたはLEDを用いて短い露光時間または短パルスの照明とともにカメラを使用することを含む、様々な手段により実現できる。しかし、装置はGPSシステムおよび/もしくは慣性航行システムならびに/または画像分析を使って、雑草の正確な地理的位置を判定することができる。これは、どの雑草が雑草防除技術のいずれのモードにより防除されたか、およびどの雑草防除技術が使用されたか、ならびに、それらの雑草がどこに位置していたかのログを判定することができることを意味する。
【0080】
また、雑草の正確な地理的位置を生成することで、雑草防除技術120a~120eのモードは、特定の雑草防除技術の正確な位置を提供するのに使用できるGPSシステムおよび/もしくは慣性航行システムならびに/または画像ベースのシステムなどの関連する場所判定手段を有することができる。したがって、列車の先頭客車は、雑草防除マップの作成を可能とする画像取得分析装置を有することができる。そして、列車の最後の数台の貨物車は、その内部に異なる動作モードで動作可能な複数の雑草防除技術を収納することもできる。これらの後方の貨物車は、貨物を運搬する貨物車により、先頭客車から数百メートルまでではないとしても数十メートルは離間されうる。そして、先頭客車から後部客車までの絶対的な距離間隔は、列車が坂を上り下りするのに伴って変化しうるが、雑草防除技術を有する貨物車は自身の正確な場所を知っているため、これらの貨物車が雑草の位置または特定の種類の雑草の領域まで前進した際に、雑草防除技術の適切なモードを正確な地理的位置で作動させることができる。
【0081】
図5は雑草防除列車130の2つの図を示し、上の図は側面図であり、下の図は平面図である。この図は、線路の間および線路の側面へと広がる画像を取得するカメラ110を示している。雑草防除列車の個々の貨物車は、列車の下方、および列車の側面へ適用することができる雑草防除技術の関連するモードを有する。
【0082】
図6は、図4~5に示されるものと類似した、薬品スプレーベースの雑草防除技術120a~eを有する雑草防除列車130の貨物車を示す。図6は列車の1台の貨物車の背面図を示し、鉄道線路に沿った図である。スプレーベースの雑草防除技術120a、120b、120c、120d、および120eの異なるモードはすべて、噴霧可能な異なる化学薬品に関連する。したがって、異なる強さの特定の化学薬品を使用することが可能であり、または、特定の種類の植生種類を対象にした異なる化学薬品を使用することが可能である。雑草防除技術120aの多数の別々の噴射ノズルが列車の下方で横方向に、および列車の両側へと延びている。また、噴射ノズルは前進方向へ延びることもできる。噴射ノズルは、それ自身でオン/オフの他に特定の制御が可能であり、左方および/もしくは右方へ、または下方へ噴霧するように方向的に制御可能であり、および/または、例えば細いスプレー噴流を単一の雑草へ向けられるようスプレーの角度範囲を変化させるように制御可能である。これらの噴射ノズルのうちの1つが特定の薬品スプレーによって防除されるべきものとして識別された雑草の上を通る場合、プロセッサ30は、その薬品スプレーによって防除の必要がある雑草の特定の場所で化学薬品を噴霧する特定のノズルを作動させる。図6ではそのような雑草が2つの特定の場所に存在し、1つは線路の間に、1つは線路の左に見つけられて、そのため、2つの噴射ノズルが作動された。スプレーベースの雑草防除技術120b~eが適用されることで既に他の化学薬品のうちの1つが散布された雑草がこの貨物車の下を通りうることに留意されたい。
【0083】
図7図4~5に示される雑草防除列車130の貨物車を示し、この貨物車は高電圧ベースの雑草防除技術120a~eを有する。図7は列車のこの貨物車の背面図を示し、鉄道線路に沿った図である。高電圧ベースの雑草防除技術120a、120b、120c、120d、および120eの異なるモードは印加可能な高電圧の異なる電力に関連する、および/または、例えば120a~bの数台のユニットは、電力が延長した時間にわたって印加できるように同じ電力で動作することができる。異なる雑草に対して簡単な実験を行って、異なる雑草種類を駆除するために必要な、異なる電圧および電力レベルならびに適用時間を決定することが可能であり、これによりデータベースが作成できて、このデータベースから高電圧技術の動作モードを選択することができる。類似のデータベースを異なる雑草防除技術に対して作成することが可能であり、このデータベースから特定の雑草で要求される動作モードを決定することができる。したがって、高電圧を異なる電力で、および/または高電圧を異なる時間で、特定の種類の植生種類を対象に使用することができて、以前の実験成果から高電圧の電力/時間のいずれの動作モードが異なる種類の雑草に対して最適であるかが判断される。雑草防除技術の多数の別々の電極対が列車の下方で横方向に、および列車の両側へと延びており、図9にこれがより詳細に示されている。また、電極は前進方向へ延びることもできる。これらの電極対のうちの1つがこの高電圧ベースの雑草防除によって防除されるべきものとして識別された雑草の上を通る場合、プロセッサ30は、その高圧電力によって防除の必要がある雑草の特定の場所で1つまたは複数の特定の電極対を作動させる。図7ではそのような雑草が2つの特定の場所に存在し、線路の右側にも延びている大きな塊が線路の間に見つけられ、小さな塊が線路の左に見つけられて、そのため、左側で一対の電極対が作動され、列車の下方で右側へ延びている多数が作動された。示されている特定のユニットが120bである場合は既に高電圧雑草防除技術120c~eの他のモードのうちの1つが適用されている可能性がある雑草がこの貨物車の下を通りうること、および、ユニット120aの雑草防除技術の高電圧モードによって対処されるべきと判断された場合には雑草が未処理の状態でこの貨物車の下を通りうることに留意されたい。
【0084】
図8図4~5に示される雑草防除列車130の貨物車を示し、この貨物車はレーザーベースの雑草防除技術120a~eを有する。図8は列車のこの貨物車の背面図を示し、鉄道線路に沿った図である。レーザーベースの雑草防除技術120a、120b、120c、120d、および120eの異なるモードは印加可能なレーザー放射の異なる電力に関連する、および/または、例えば120a~bの数台のユニットは、電力が延長した時間にわたって印加できるように同じ電力で動作することができる。したがって、レーザー放射を異なる電力で、および/またはレーザー放射を異なる時間で、特定の種類の植生種類を対象に使用することができて、以前の実験成果から高電圧の電力/時間のいずれの動作モードが異なる種類の雑草に対して最適であるかが判断される。また、異なるユニットがレーザー放射の異なる波長で動作可能であり、特定の波長が特定の種類の雑草に対する雑草防除で最適であると実験に基づいて判断されている。
【0085】
雑草防除技術120cの多数の別々のレーザーシステムが列車の下方で横方向に、および列車の両側へと延びており、前進方向へも延びることができる。各レーザーシステムは単純にオン/オフ状態で動作してレーザーシステムの下の領域を照らすことができる、または、雑草の特定の場所だけが照らされるように、必要に応じて方向的に操作することができる。これらのレーザーシステムのうちの1つが特定のレーザー放射ベースの雑草防除によって防除されるべきものとして識別された雑草の上を通る場合、プロセッサ30は、レーザー放射によって防除の必要がある雑草の特定の場所で特定のレーザーシステムを作動させる。図8では、そのような雑草がたった1つの、左側線路の近くの線路の間のみに位置する特定の場所に存在し、そのため、列車の下方で1つのレーザーシステムが作動され、レーザー放射が雑草の特定の場所へ向けられる。レーザーシステムは、雑草防除に適切であることが示された半導体レーザーベース、Nd:YAGベース、エキシマベース、または任意の他のレーザーシステムとすることができる。図示されている特定の貨物車は、レーザー放射の特定のモードで動作するユニット120cを有する。既にレーザーベースの雑草防除技術120d~eの他のモードのうちの1つが適用された雑草がこの貨物車の下を通りうること、および、ユニット120a~bの1つまたは複数に収納されているレーザーベースの雑草防除のモードによって対処されるべきと判断された場合には雑草が未処理の状態でこの貨物車の下を通りうることに留意されたい。
【0086】
図9は高電圧ベースの雑草防除技術のより詳細を示す。作動された場合には電流を一方の電極から他方の電極へ、雑草および雑草の根を含む地面を介して流す複数の電極対が提供される。示されている1つのサブユニットは1つの電極対を持つことができる、または実際にはそのような高電圧ベースの雑草防除をより高い分解能でより小さな空間的範囲で適用するために多数の電極対を持つことができる。高電圧は、ある期間はDCモードで、ある期間はACモードで印加することができる。
【0087】
図10は鉄道環境を表しており、鉄道線路および線路の脇の地面を示している。多数の雑草領域が示されており、1種類の雑草の大きな塊がその中に異なる種類の雑草の塊を含んでいる。図10には、これら特定の雑草に対して作動させることが決定された雑草防除技術の特定のモードが示されている。上述したように、ユニット120a、120b、および120cは電力レベル「AA」で動作し、ユニット120dは電力レベル「10×AA」で動作し、ユニット120eは電力レベル「100×AA」で動作する。これらの動作モードは単に代表的な例に過ぎず、異なる動作モードも可能である。したがって、特定の種類の雑草の1つの雑草塊には延長した時間にわたって電力レベルAAを印加すべきであると判断され、その結果、ユニット120a、120b、および120cが雑草塊の場所で作動することになる。異なる種類の雑草を有する別の雑草塊は同じ電力レベルで防除することができるが、延長した時間にわたって印加される必要はなく、その結果、ユニット120aおよび120bのみが雑草の場所で作動することになる。容易に防除される雑草の大きな塊は、電力レベルAAを一度だけ印加することで防除することができるが、画像処理によって駆除の難しい雑草がその塊の中にあると判定されたので、駆除の難しい雑草の場所では100AAの電力レベルが必要となる。そのため、駆除の難しい雑草を含むか含まないかわからない塊全体に対してユニット120aが作動して、駆除の難しい雑草の特定の場所でユニット120eが作動する。この、雑草防除技術のいずれの動作モードが適用されるべきかの判断は、それが時間および/もしくは電力、または化学薬品もしくは波長などであっても、図4に関して説明された雑草防除マップであるとみなすことができる、または、図5に関して説明されたように雑草防除技術のいずれのモードが適用されるべきかをリアルタイムで判断することであるとみなすことができる。
【0088】
図11は高電圧雑草防除技術用ユニット120aのより詳細を示す。列車の貨物車に搭載される別々のサブユニットが示されており、中央のユニットは貨物列車の下に、線路の外の雑草を防除可能な他のサブユニットは貨物車の側面に設置される。この具体例では、19行の電極対と12列の電極対がある。様々な列数の電極対および様々な行数が可能であり、1行しかないこともある。ユニット120aは電力レベルAAで動作する。電極対をセルと呼ぶと、行×列の座標系において、列車が前進するのに伴ってセル1×4、1×5、1×6、および1×7は雑草の場所の上を通過するので、これらのセルが作動する。さらに移動すると、一例では、これらのセルが雑草の上を通過するまで、これらのセルのみが動作している。このようにして、電力AAを最小時間印加することができる。しかし、雑草はサブユニットの下方の異なる位置にあるので、複数のセルが作動することができる。したがって、まず雑草がサブユニットの前端の下にある場合、1×4~7、2×4~7、および3×4~7のセルが作動される。列車が前進するのに伴い、2×4~7、3×4~7、および4×4~7が作動され、その後、3×4~7、4×4~7、および5×4~7が作動される。このようにして、雑草はサブユニットの下を進み、17×4~7、18×4~7、および19×4~7が作動されるまですべての位置において適切な電極対が作動されて、その後18×4~7および19×4~7が作動されて、最後に19×4~7が作動される。このようにして、作動される電極対の波が列車の速度で移動して、固定位置で作動する。異なる数の電極対を作動させることで電力AAを異なる時間印加することが可能であり、この電力レベルがより長い時間必要な場合、続くサブユニットは、このユニットが雑草の上を通る際に電極を電力AAで作動させることができる。電力10AA、100AAで動作する他のユニットは同様に動作することができる。しかし、電極がたった1行である極端な場合、これらの電極は、このユニットが雑草の上を通る際に必要な位置、例えば1×4~7で作動する。薬品スプレーなどの他の雑草防除技術は、例えばユニットの下で噴射ノズルを作動させる行および列を同様に有することができる。同じことがマイクロ波ベースのシステム、火炎ベースのシステムなどに当てはまる。
【0089】
上記の詳細な例は、雑草防除技術(植生管理技術)の異なるモードが列車の異なる貨物車に収納されている鉄道に関して説明された。これらのモードは単一の貨物車に収納することが可能であり、防除技術の雑草モードがたった2つ、または3つもしくは4つであることもありえて、例えば、たった2つの異なる薬品スプレー、または異なる高圧電力で動作する2つのユニット、もしくはただ1つの電力レベルで動作するが特定の前進速度で2つ以上の時間で動作可能な高電圧ユニットであることもありうる。さらに、雑草防除列車よりもむしろ、トラックもしくは大型トラック、またはUnimogの方がその上/内部に2つ以上のモードで動作可能な雑草防除技術を搭載することが可能であり、以前取得されて処理された画像に基づいて、または自身が取得して自身で処理する画像に基づいて、上述したように、工業地域の周辺またはさらに空港などの地域を走り回って、雑草防除技術の特定のモードを特定の雑草種類に適用することができる。
【0090】
別の例示の実施形態では、前述の実施形態のうちの1つに係る方法の方法ステップを適切なシステム上で実行するように構成されていることを特徴とするコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラムエレメントが提供される。それゆえ、コンピュータプログラムエレメントは、それ自体も一実施形態の一部でありうるコンピュータ装置に記憶されることもありうる。このコンピュータ装置は、上述の方法のステップを実行する、または実行させるように構成されてもよい。さらに、このコンピュータ装置は上記の装置および/またはシステムの構成要素を操作するように構成されてもよい。コンピュータ装置は、自動的に動作するように、および/またはユーザの命令を実行するように構成することができる。コンピュータプログラムはデータ処理部の作業メモリへロードされることがある。データ処理部はこのように前述の実施形態のうちの1つに係る方法を実行する能力を備えていることがある。
【0091】
本発明のこの例示の実施形態は、最初から本発明を使用しているコンピュータプログラムおよびアップデートにより既存のプログラムが本発明を使用するプログラムへと変わるコンピュータプログラムの両方を対象にしている。
【0092】
さらに、コンピュータプログラムエレメントが上述した方法の例示の実施形態の手順を実現するのに必要なすべてのステップを提供することがある。本発明の更なる例示の実施形態によれば、CD-ROM、USBスティック、または同種のものなどの、前節で説明されたコンピュータプログラムエレメントが記憶されているコンピュータ可読媒体が提供される。
【0093】
コンピュータプログラムは他のハードウェアと共に、または他のハードウェアの一部として、光記憶媒体や半導体媒体などの適切な媒体に記憶される、および/またはそのような媒体で配布されることがあるが、インターネットまたは他の有線もしくは無線の電気通信システムを介するなどの他の形態で配布されることもある。
【0094】
しかし、コンピュータプログラムはワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提供されることもあり、そのようなネットワークからデータ処理部の作業メモリへダウンロードすることができる。本発明の更なる例示の実施形態によれば、本発明の前述の実施形態のうちの1つに係る方法を実行するように構成されているコンピュータプログラムエレメントをダウンロード可能とするための媒体が提供される。
【0095】
本発明の実施形態は異なる主題を参照して説明されていることに留意されたい。特に、一部の実施形態は方法クレームを参照して説明されているが、他の実施形態は装置クレームを参照して説明されている。しかし、当業者であれば、別途通告されない限りは、1種類の主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴の任意の組み合わせが本出願を以て開示されていると考えられると上記および以下の説明から推測するであろう。しかし、すべての特徴を組み合わせて、特徴の単純な足し合わせを超える相乗効果を提供することができる。
【0096】
本発明は図面および上述の説明で例証され、詳細に説明されたが、そのような図および説明は実例または例示であると考えられるべきであり、制限的であると考えられるべきではない。本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、特許請求される発明を実践する際に図面、本開示、および従属請求項を検討することで、当業者は理解、達成することができる。
【0097】
請求項において、「含む」(comprising)という単語は他の構成要素またはステップを排除せず、不定冠詞の「a」または「an」は複数を排除しない。単一のプロセッサまたは他の装置により、請求項に記載されるいくつかの項目の機能を実現することができる。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段を組み合わせて使って利益を得ることができないことを示しているわけではない。請求項における任意の参照符号は、範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11