(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】雑草防除装置
(51)【国際特許分類】
E01H 11/00 20060101AFI20221028BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20221028BHJP
A01M 7/00 20060101ALI20221028BHJP
A01M 21/00 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
E01H11/00 A
G06T7/00 300F
A01M7/00 A
A01M7/00 L
A01M21/00 Z
(21)【出願番号】P 2019572595
(86)(22)【出願日】2018-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2018067782
(87)【国際公開番号】W WO2019007892
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-03
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516245885
【氏名又は名称】バイエル、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト、コッホ
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー、ウートラム
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/002093(WO,A1)
【文献】実開昭52-001729(JP,U)
【文献】特開平07-079681(JP,A)
【文献】特開2004-166627(JP,A)
【文献】国際公開第2004/005625(WO,A1)
【文献】特開2007-185111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 11/00
G06T 7/00
A01M 7/00
A01M 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部(20)と、
処理部(30)と、
出力部(40)と、
を含み、
前記入力部は、前記処理部に環境の1枚以上の画像を提供するように構成され、
前記処理部は、前記1枚以上の画像を分析して、雑草防除のために1つ以上のマルチを1つ以上の場所へ散布するように構成される1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させる前記環境内の前記1つ以上の場所を判断するように構成され、
前記出力部は、前記1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させるのに使うことができる情報を出力するように構成される、雑草防除装置(10)。
【請求項2】
1つ以上のカメラ(110)と、
請求項
1に記載の雑草防除装置(10)と、
1つ以上のマルチ散布ユニット(120)と、
を含み、
前記1つ以上のカメラは、前記環境の前記1枚以上の画像を取得するように構成され、
前記1つ以上のマルチ散布ユニットは、車両(130)に搭載され、
前記装置は、前記1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させて前記1つ以上のマルチを雑草防除のために前記1つ以上の場所へ散布するように構成される、
雑草防除システム(100)。
【請求項3】
a)処理部に環境の1枚以上の画像を提供すること(210)と、
b)前記処理部により前記1枚以上の画像を分析して、雑草防除のために1つ以上のマルチを1つ以上の場所へ散布するように構成される1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させる前記環境内の前記1つ以上の場所を判断すること(220)と、
d)出力部により前記1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させるのに使うことができる情報を出力することと、
を含む雑草防除方法(200)。
【請求項4】
プロセッサにより実行された場合に請求項
3に記載の方法を実行するように構成される、請求項
1に記載の装置および/または請求項
2に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラムエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草防除装置、雑草防除システム、雑草防除方法、ならびに、コンピュータプログラムエレメントおよびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の一般的背景は雑草防除である。特定の工業地域や鉄道線路周辺の地域は、植物を防除する必要がある。鉄道では、そのような防除によって運転手などの列車内の人々の視点からの視界が改善され、線路上で働く人々の視点からの視界が改善される。そのような防除によって安全性を改善することもできる。さらに、植物は線路ならびに関連する信号および通信回線を分断したり破損させることもある。植物の防除はこのようなことを軽減するのに必要である。植生管理は、雑草防除とも呼ばれるが、特に手作業で行われる場合には、多大な時間とリソースを要することがある。化学薬品タンクに収納された除草剤を積載する雑草噴霧列車は、植物を防除するために線路および周辺領域に噴射されうる。しかし、そのような雑草防除は高価となることがあり、一般市民はますます環境影響の低減を望むようになっている。
【発明の概要】
【0003】
雑草防除用の改善された装置を持っていると有利である。
【0004】
本発明の目的は独立請求項の主題で解決され、更なる実施形態が従属請求項で援用される。また、以下に説明される本発明の態様および実施例は、雑草防除装置、雑草防除システム、雑草防除方法、ならびにコンピュータプログラムエレメントおよびコンピュータ可読媒体にも適用されることに留意されたい。
【0005】
第1態様によれば、
入力部と、
処理部と、
出力部と、
を含む雑草防除装置が提供される。
【0006】
入力部は、処理部に環境の1枚以上の画像を提供するように構成される。処理部は、1枚以上の画像を分析して、1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させる、環境内の1つ以上の場所を判断するように構成される。1つ以上のマルチ散布ユニットは、雑草防除のために1つ以上のマルチを1つ以上の場所へ散布するように構成される。出力部は、1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させるのに使うことができる情報を出力するように構成される。
【0007】
つまり、環境の1枚または複数枚の画像が取得されている。これらの画像の画像分析で判定された1つまたは複数の場所の地面の上にマルチを散布することができる1つまたは多数のマルチ散布ユニットがある。例えば庭園環境においてマルチが使用されるのと同様の方法で、マルチは雑草の成長を抑制し、雑草の駆除を含む雑草の防除を行う。
【0008】
このように環境内の雑草を画像分析に基づいて領域内で防除することができて、マルチを必要な場所だけに散布することができる。例えば、コンクリート区域や舗装区域などの環境の領域において、金属および/または木でできた鉄道線路の枕木の場所で、金属製の鉄道線路の場所では、これらの領域では雑草は生長できない、または概して生長しないため、マルチを堆積させるべきではないと判断されることがある。このようにして、より少量のマルチが使われて、マルチの環境影響が低減される。また、どこにマルチを堆積させるべきではないかの判断、例えば雑草の1つまたは複数の場所およびその場所に堆積されるマルチを判断することに加えて、またはその判断とは対照的に、マルチが散布されるべき場所を画像分析に基づいて判断することができる。この場合も、こうすることでマルチを必要な場所だけに散布することができて、コスト、時間および環境影響の利益が生まれる。
【0009】
したがって、物理的障壁として作用することができて概して雑草の駆除に使用することができるマルチを、環境内での雑草防除のためにマルチを必要とする場所に散布することができる。
【0010】
また、画像分析に基づいて、異なるマルチを異なる領域に散布することができる。例えば、特定の種類の雑草がある場合に特定の種類のマルチを散布することができる。散布されるマルチの種類は、画像処理に基づいて判定された異なる種類の雑草に対して異なることがある。また、雑草は存在しないかもしれないがマルチの散布が必要と判定された領域、例えば雑草が生長しやすいと判定された領域には、例えば雑草の上に散布されるマルチとは異なる特定のマルチを散布することができる。したがって、雑草の近くの領域、または、画像分析から雑草が生長すると思われる場所にあるなどの、そうでなければ雑草が生長しやすいと判定された、乾燥していない不毛な地面の領域には、物理的障壁の役割を果たすマルチを散布することができる。こうすることで、その後降ってくる種子がマルチの下の地面に近づけないため、種子が発芽、生長するのを防ぐことができて、生長していたであろうマルチの下の種子は、マルチが物理的障壁として作用するために生長を妨げられ、駆除される。
【0011】
一例では、1枚以上の画像が1つ以上のカメラにより取得された。入力部は、1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供するように構成される。
【0012】
場所は地面上の正確な場所に対する地理的位置であってもよく、または、複数のマルチ散布ユニットの1つまたは複数の位置を基準とした地面上の場所であってもよい。つまり、絶対的な地理的位置が利用されてもよく、または、絶対的に知られている必要はないがマルチ散布ユニットの場所を基準とした地面上の場所が利用されてもよい。したがって、画像をその取得場所と関連付けることで、マルチをその場所へ正確に散布することができる。
【0013】
一例では、1つ以上のマルチのうちの1つ以上は1つ以上の除草剤を含む。
【0014】
したがって、マルチの形態で物理的障壁を提供することに加え、1つまたは多数のマルチは物理的障壁を提供するとともに雑草防除のために除草剤を必要とする場所へ除草剤を提供することもできる。したがって、除草剤を含むマルチを例えば雑草があると判定された一つの場所に散布することができて、この雑草に対して散布される除草剤に加えて物理的障壁としてのマルチを組み合わせることで、この雑草を防除することができる。また、他の場所では、除草剤は含まず雑草防除用の物理的障壁を提供するのみのマルチを、例えばまだ雑草が存在しないかもしれない領域への散布に使用することができる。したがって、最も効果的で適切なマルチをそれぞれの場所へ散布することができて、コストおよび時間を抑えて除草剤の環境影響を最小化することができる。
【0015】
一例では、1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチのうちの第1マルチは1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチのうちの第2マルチとは異なる除草剤を含む。
【0016】
つまり、いかなる除草剤も含まずに物理的障壁による雑草防除を提供するのみのマルチを有することに加えて、他のマルチによって物理的障壁による雑草防除および(例えば1つまたは複数の特定の雑草向けである)特定の除草剤によりもたらされる特定の雑草の防除を提供することができる。そして他のマルチは物理的障壁による雑草防除を提供することに加えて、(例えば1つまたは複数の異なる特定の雑草向けである)異なる特定の除草剤によりもたらされる異なる特定の雑草の防除をもたらすことができる。
【0017】
一例では、1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチは生分解性ポリマーを含む。生分解性ポリマーは1種類以上の細菌により分解されうる。
【0018】
このようにして、1つまたは複数の除草剤を必要な場合のみ供給することができる。したがって、除草剤は生分解性ポリマーに封入されている。そのため、細菌がポリマーを分解して除草剤が放出される。細菌は雑草が生長する場合に限り成長するので、雑草が生長しない場合、例えば天候が寒冷で乾燥している場合は、細菌がポリマーを分解して除草剤が放出されることはない。しかし、天候が温暖で多湿、または雑草の成長を促進する他の状態へ変化した場合、細菌も成長してポリマーを分解し、除草剤が放出される。このようにして、地面の一部にマルチを散布することができる。まだ雑草は生長していない。マルチは雑草の生長を防ぐ物理的障壁を提供するが、特に強い種類の雑草はそれでも生長を始めることができる。しかし、細菌の活動によって生分解性ポリマーが分解し始めて、植物を駆除する除草剤を放出する。さらに、寒候期の間は植物をマルチによって覆うことができて、物理的障壁効果により植物の防除が始まり、細菌の活動によってマルチも分解されて必要な場合に除草剤が放出される。画像処理に基づいてマルチを散布することで、必要とされる場所に必要とされるときに雑草防除がもたらされる。また、マルチは例えば日光を介して分解する形態として、中に封入されている除草剤を放出することもできる。
【0019】
しかし、除草剤はマルチの中に封入してマルチの分解により放出できるようにする必要はない。除草剤は、マルチを雑草の上に散布することで雑草を防除するのにすぐに使用できるという点で、マルチの一部をなすことができる。また、マルチは除草剤を含む場合は生分解性ポリマーである必要もなく、雑草の上に散布された際に活性成分(除草剤)が雑草の防除にすぐに使用できるようにする、除草剤を保持するのに適切な任意の媒体とすることができる。
【0020】
一例では、1枚以上の画像を分析して1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させる、1つ以上の場所を判断することは、1つ以上の植生場所を判定することを含む。
【0021】
つまり、取得された画像における植生領域を判定するために画像処理を使用することが可能であり、画像処理から、この植生領域での雑草防除をこの場所でマルチを散布することにより行うのに最も適切なマルチを判断することができる。また、最も適切なマルチがそれぞれの植生場所に対して使用可能である場合、マルチはこの植生場所だけに対して散布することができる。マルチは植生場所を中心にして提供することができるが、その場所を超えて広げることで、種子/走茎などに関して一層の保護を提供することができる。したがって、マルチは特定の植物を防除することができるが、植生場所を中心とした領域を覆うことで、取得された画像ではまだ見られない植物をもたらす苗木もしくは発芽した種子または走茎をマルチにより覆うことができて、雑草防除がもたらされる。
【0022】
このようにして、マルチを植生領域およびその周辺のみに散布することができるだけでなく、例えば異なるマルチを散布することで異なる種類の植物を防除することができる異なる植生領域に対して、最も適切なマルチを選択することができる。
【0023】
一例では、処理部は、分析された1枚以上の画像に基づいて1つ以上の場所において雑草防除薬品を噴霧するための1つ以上の薬品スプレーユニットの動作モードを決定するように構成される。雑草防除薬品を噴霧する時刻は、1つ以上のマルチを散布する時刻よりも前である。出力部は、1つ以上の薬品スプレーユニットを作動させるのに使うことができる情報を出力するように構成される。散布モードは、例えば噴射の時間および流量を変化させることで、噴霧される雑草防除薬品の種類および噴霧される雑草防除薬品の量を意味することがある。
【0024】
このようにして、マルチを例えば雑草の上に散布するより前に、雑草防除薬品が雑草の上に噴霧される。また、マルチは、雑草を駆除するのを助ける物理的障壁を提供するのに加え、雑草防除薬品を分解から守ることで雑草防除薬品の有効性を向上させて、より少ない雑草防除薬品が噴霧されることを可能とする。また、マルチはその場所で雑草が生長するのを抑制し、また雑草防除薬品を含むことで、まず最初に噴霧の必要がある雑草防除薬品を少なくすることに加えて、環境影響を最小化するのに役立つ。したがって、雑草防除を向上する、液状化学薬品をサンドイッチ状にした形態が提供される。
【0025】
一例では、動作モードの決定は、複数の雑草防除薬品から噴霧される雑草防除薬品を決定することを含む。
【0026】
一例では、動作モードの決定は、噴霧される雑草防除薬品を噴霧する時間を決定することを含む。
【0027】
このように、マルチの散布より前に雑草の上に噴霧される雑草防除薬品は、ある場所に存在すると判定された雑草へ向けることができる。したがって、最も効果的な雑草防除薬品を使用することができて、最も攻撃的な化学薬品は必要に応じて必要な場合に最適化された量で使用されることで、コストおよび環境的な利点がもたらされる。
【0028】
第2態様によれば、
1つ以上のカメラと、
第1態様および任意の関連する実施例に係る雑草防除装置と、
1つ以上のマルチ散布ユニットと、
を含む雑草防除システムが提供される。
【0029】
1つ以上のカメラは、環境の1枚以上の画像を取得するように構成される。1つ以上のマルチ散布ユニットは、車両に搭載される。装置は、1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させて1つ以上のマルチを雑草防除のために1つ以上の場所へ散布するように構成される。
【0030】
このように、車両は環境を動き回って、環境の画像に基づいて判定された場所で1つまたは複数のマルチを使って、その環境内の雑草を防除することができる。このようにして、1つのプラットフォーム、例えば環境の上空を飛行する1つまたは複数のドローンにより画像を取得することができる。この情報がオフィスに存在しうる装置へ送られる。装置はどのマルチが環境内のどこで散布されるべきかを判断する。この情報は、この環境を動き回る車両へ提供される特徴マップおよび/または雑草防除マップ内で提供することができて、この環境の特定の部分において、1つまたは複数のマルチが散布される。
【0031】
一例では、システムは、分析された1枚以上の画像に基づいて1つ以上の場所において雑草防除薬品を噴霧するための1つ以上の薬品スプレーユニットを含む。雑草防除薬品を噴霧する時刻は1つ以上のマルチを散布する時刻よりも前である。
【0032】
一例では、装置は車両に搭載される。一例では、1つ以上のカメラは車両に搭載される。
【0033】
このようにして、システムは画像を取得し、画像を分析してどのマルチをどこで使用すべきかを判断した後、必要とされる特定の場所において適切なマルチ起動ユニットを作動させることで、リアルタイムまたは準リアルタイムに動作することができる。
【0034】
第3態様によれば、
a)処理部に環境の1枚以上の画像を提供することと、
b)処理部により1枚以上の画像を分析して、雑草防除のために1つ以上のマルチを1つ以上の場所へ散布するように構成される1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させる、環境内の1つ以上の場所を判断することと、
d)出力部により1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させるのに使うことができる情報を出力することと、
を含む雑草防除方法が提供される。
【0035】
一例では、1枚以上の画像が1つ以上のカメラにより取得され、ステップa)では、1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供されることを含む。
【0036】
一例では、方法は、処理部により1枚以上の画像を分析し、分析された1枚以上の画像に基づいて1つ以上の場所において雑草防除薬品を噴霧するための1つ以上の薬品スプレーユニットの動作モードを決定するステップc)を含む。雑草防除薬品を噴霧する時刻は、1つ以上のマルチを散布する時刻より前であり、ステップd)は、1つ以上の薬品スプレーユニットを作動させるのに使うことができる情報を出力することを含む。
【0037】
別の態様によれば、第1態様の装置に係る装置および/または第2態様に係るシステムを制御するためのコンピュータプログラムエレメントが提供され、このコンピュータプログラムエレメントはプロセッサにより実行された場合、第3態様の方法を実行するように構成される。
【0038】
有利なことに、上記の態様のいずれかにより提供される利益は他の態様のすべてに同様に当てはまり、逆もまた同様である。
【0039】
上記の態様および実施例はこの後に記述される実施形態から明らかになり、これらの実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
例示の実施形態は以下の図面を参照して以下に説明される。
【
図6】雑草防除システムの一部の例の概略配置を示す。
【
図7】雑草防除システムの一部の例の概略配置を示す。
【
図9】雑草防除システムの一部の例の概略配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は雑草防除装置10の例を示す。装置10は入力部20、処理部30、および出力部40を含む。入力部20は、処理部30に環境の1枚以上の画像を提供されるように構成される。これは有線通信または無線通信を介して行われる。処理部30は1枚以上の画像を分析して、1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させる、環境内の1つ以上の場所を判断するように構成される。1つ以上のマルチ散布ユニットは、雑草防除のために1つ以上のマルチを1つ以上の場所へ散布するように構成される。出力部40は、1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させるのに使うことができる情報を出力するように構成される。
【0042】
一例では、この装置はリアルタイムで動作していて、複数の画像が取得され、即座に処理されて、1つ以上のマルチ散布ユニットが作動されて雑草の防除を行う。したがって、例えば車両はその環境の画像を取得し、その画像を処理して、その環境内のどこでマルチが散布されるべきかを判断することができる。
【0043】
一例では、装置は準リアルタイムで動作していて、環境の複数の画像が取得され、即座に処理されて、どこでマルチが散布されるべきかが判断される。この情報は、環境内を移動してマルチを環境の特定の部分へ散布する適切なシステムにより後で使用することができる。したがって、例えば、乗用車、列車、大型トラック、または無人航空機(UAV)もしくは1つまたは複数のカメラを備えたドローンなどの第1車両が環境内を移動して画像を取得することができる。この画像は即座に処理されて、環境内のどの特定の場所でマルチが散布されるべきか、または散布されるべきではないかを詳しく示す「特徴マップ」および/または「雑草マップ」を決定することができて、ここで特徴はマルチが散布されるべきではない特徴の場所、例えばコンクリートの上または上述した他の領域でありえて、雑草マップはマルチが散布されるべき雑草の場所を示す。後で、マルチ散布ユニットを備えた車両は環境内を移動して、環境内の異なる特定の領域へマルチを散布することができる。
【0044】
一例では、装置はオフラインモードで動作している。したがって、以前取得された画像は後で装置へ提供される。そして、装置は領域内のどこでマルチが散布されるべきかを判定し、事実上、雑草マップおよび/または特徴マップを作成する。そして、雑草マップおよび/または特徴マップは、領域内を移動してマルチを環境の特定の部分に散布する1つまたは複数の車両により後で使用される。
【0045】
一例では、出力部はマルチ散布ユニットを作動させるのに直接使用可能な信号を出力する。
【0046】
一例では、1つ以上のマルチは液体状態で散布され、1つ以上のマルチ散布ユニットは1つ以上のスプレーガンまたは噴射ノズルを含む。
【0047】
一例では、1つ以上のマルチは固形で散布される。そのような固形マルチを例えば、粉末形状で、不織繊維材料として、またはデンプン製新聞の形態で貼るのに適切なマルチ貼付器が使用される。
【0048】
一例によれば、1枚以上の画像が1つ以上のカメラにより取得された。入力部は、1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供されるように構成される。
【0049】
一例では、場所は絶対的な地理的位置である。
【0050】
一例では、場所は複数のマルチ散布ユニットの1つまたは複数の位置を参照して判定される場所である。つまり、画像が地面上の特定の場所と関連付けられていることをその場所の正確な地理的位置を知ることなく判定することができるが、画像が取得された時点の場所に関してマルチ散布ユニットの位置を知ることにより、適切なマルチ散布ユニットをその場所へ動かすことで、必要なマルチを後でその場所へ散布することができる。
【0051】
一例では、GPS装置は、特定の画像が取得された際の1つ以上のカメラの場所を判定するのに使用される、および/または、判定する際に使用される。
【0052】
一例では、特定の画像が取得された際の1つ以上のカメラの場所を判定するために、慣性航行装置が単独で、またはGPS装置と組み合わせて使用される。したがって、例えば、1つまたは複数のレーザージャイロスコープを例えば含む慣性航行装置が校正される、または既知の場所でゼロ設定されて、この慣性航行装置が1つ以上のカメラと共に動くと、この既知の場所から離れる動きをx軸、y軸、z軸で特定することができて、これより画像が取得された際の1つ以上のカメラの場所を判定することができる。
【0053】
一例では、特定の画像が取得された際の1つ以上のカメラの場所を判定するために、取得された画像の画像処理が単独で、またはGPS装置と組み合わせて、もしくはGPS装置および慣性航行装置と組み合わせて使用される。したがって、視覚的マーカーを単独で、またはGPS由来の情報と組み合わせて使用することができる。
【0054】
一例によれば、1つ以上のマルチのうちの1つ以上は1つ以上の除草剤を含む。
【0055】
一例によれば、1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチのうちの第1マルチは、1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチのうちの第2マルチとは異なる除草剤を含む。
【0056】
一例では、1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチのうちの第3マルチは、1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチのうちの第1マルチおよび第2マルチのいずれとも異なる除草剤を含む。一例では、1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチのうちの第4マルチは、1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチのうちの第1マルチ、第2マルチおよび第3マルチのすべてと異なる除草剤を含む。
【0057】
一例によれば、1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチはポリマーを含む。一例では、ポリマーは生分解性ポリマーである。一例では、生分解性ポリマーは1種類以上の細菌により分解されるように構成される。
【0058】
一例では、生分解性ポリマーは1種類以上の細菌により分解されるように構成される徐放性製剤である。
【0059】
一例では、生分解性ポリマーはポリエステルを含む。このようにして、例えば土壌に存在して植物が生長する場合(温暖で多湿の場合)に成長する細菌は、例えばエステル基を攻撃することで生分解性ポリマーを分解し、生分解性ポリマーに封入されている除草剤を放出することができる。
【0060】
一例では、生分解性ポリマーはインプラニルDLNである。一例では、生分解性ポリマーはポリ乳酸である。一例では、生分解性ポリマーはポリカプロラクトンである。
【0061】
一例では、生分解性ポリマーは噴霧可能な顆粒の形態であり、除草剤の活性成分が顆粒内に封入されている。
【0062】
一例では、散布前の生分解性ポリマーは、除草剤を含んだ、水溶液中に分散した形態である。このように、噴霧技術を用いて水溶液を供給することができて、雑草へ噴霧されると水が蒸発して生分解性ポリマー内に封入されている除草剤が残される。
【0063】
一例では、生分解性ポリマーは、固形物質供給システムを介して供給されるため噴霧はされない大きな顆粒の形態である。
【0064】
一例によれば、1枚以上の画像を分析して1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させる、1つ以上の場所を判断することは、1つ以上の植生場所を判定することを含む。
【0065】
一例では、1枚以上の画像を分析して1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させる、1つ以上の場所を判断することは、1種類以上の雑草を判定することを含む。
【0066】
つまり、適切なマルチを選択して、防除される1種類または複数種類の雑草を駆除することができる。したがって、例えば、1種類の雑草ではその雑草を駆除するのに物理的障壁を提供されるのみでいかなる追加の除草剤も必要としないマルチが必要となることがあるが、異なる種類の雑草では物理的障壁効果および特定の種類の除草剤の両方が必要となることがあり、一方で異なる種類の雑草ではその雑草を駆除するのに物理的障壁効果および異なる除草剤の両方が必要となる。
【0067】
つまり、雑草の種類とその場所を判定するのに画像処理を使用することができる。場所は画像内の場所でありうる。場所は実際の地理的位置でありうる。場所は画像内にありえて、植生管理技術の位置を基準とすることができる。このようにして特定の種類の雑草の場所を判定することで、最適なマルチをその特定の場所へ散布することができて、またこれは、異なるマルチの散布を必要とする別の場所の異なる雑草にも当てはまる。
【0068】
一例では、1枚以上の画像の分析は、機械学習アルゴリズムの利用を含む。
【0069】
一例では、機械学習アルゴリズムは決定木アルゴリズムを含む。
【0070】
一例では、機械学習アルゴリズムは人工神経ネットワークを含む。
【0071】
一例では、機械学習アルゴリズムは複数枚の画像に基づいて教育されている。一例では、機械学習アルゴリズムは1種類以上の雑草の画像を含む複数枚の画像に基づいて教育されている。一例では、機械学習アルゴリズムは複数の雑草の画像を含む複数枚の画像に基づいて教育されている。
【0072】
一例によれば、処理部は、分析された1枚以上の画像に基づいて1つ以上の場所において雑草防除薬品を噴霧するための1つ以上の薬品スプレーユニットの動作モードを決定するように構成される。雑草防除薬品を噴霧する時刻は1つ以上のマルチを散布する時刻よりも前である。出力部は、1つ以上の薬品スプレーユニットを作動させるのに使うことができる情報を出力するように構成される。
【0073】
一例によれば、動作モードの決定は、複数の雑草防除薬品から噴霧される雑草防除薬品を決定することを含む。
【0074】
図2は雑草防除システム100の例を示す。システム100は、1つ以上のカメラ110、
図1および関連する例のいずれかに関して説明された雑草防御装置10、および、1つ以上のマルチ散布ユニット120を含む。1つ以上のカメラ110は、環境の1枚以上の画像を取得するように構成される。1つ以上のマルチ散布ユニット120は車両130に搭載される。装置10は、1つ以上のマルチ散布ユニット120を作動させて1つ以上のマルチを雑草防除のために1つ以上の場所へ散布するように構成される。
【0075】
一例によれば、システムは、分析された1枚以上の画像に基づいて1つ以上の場所において雑草防除薬品を噴霧するための1つ以上の薬品スプレーユニット140を含む。雑草防除薬品を噴霧する時刻は1つ以上のマルチを散布する時刻よりも前である。
【0076】
一例によれば、装置は車両に搭載され、一例では1つ以上のカメラが車両に設置される。
【0077】
一例では、車両は列車である。一例では、車両は大型トラックもしくはトラック、またはUnimog(多目的作業車)である。
【0078】
一例では、入力部は1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供されるように構成される。一例では、場所は地理的位置である。
【0079】
一例では、装置は、1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の地理的位置および1つ以上のカメラと植生管理技術の間の空間的関係に基づいて、植生管理技術を1つ以上の動作モードで作動させるように構成される。このように、画像が車両に設置されたカメラによってどこで取得されたのかを知ること、および、カメラに関して植生管理技術が車両のどこに設置されているかを知ることで、画像が取得されたのと同じ場所で、かつ実際に撮影された領域内で植生管理技術を作動させるために車両の前進速度を考慮するのが簡単になる。
【0080】
一例では、装置は植生管理技術の第2モードを作動させるよりも前に植生管理技術の第1モードを作動させるように構成される、または、植生管理技術の第2モードを作動させた後に植生管理技術の第1モードを作動させるように構成される。
【0081】
図3は雑草防除方法200を基本的ステップで示す。方法200は、
ステップa)とも呼ばれる提供するステップ210において処理部に環境の1枚以上の画像を提供することと、
ステップb)とも呼ばれる分析するステップ220において処理部により1枚以上の画像を分析して、雑草防除のために1つ以上のマルチを1つ以上の場所へ散布するように構成される1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させる、環境内の1つ以上の場所を判断することと、
ステップd)とも呼ばれる出力するステップ230において出力部により1つ以上のマルチ散布ユニットを作動させるのに使うことができる情報を出力することと、
を含む。
【0082】
一例によれば、1枚以上の画像が1つ以上のカメラにより取得され、ステップa)は1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供することを含みうる。
【0083】
一例では、1つ以上のマルチのうちの1つ以上は1つ以上の除草剤を含む。
【0084】
一例では、1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチのうちの第1マルチは、1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチのうちの第2マルチとは異なる除草剤を含む。
【0085】
一例では、1つ以上の除草剤を含む1つ以上のマルチはポリマーを含む。一例では、ポリマーは生分解性ポリマーである。一例では、生分解性ポリマーは1種類以上の細菌により分解されるように構成される。
【0086】
一例では、ステップb)は1つ以上の植生場所の判定を含む。
【0087】
一例では、ステップb)は1種類以上の雑草の判定を含む。
【0088】
一例によれば、方法は、ステップc)、すなわち、処理部により1枚以上の画像を分析して、分析された1枚以上の画像に基づいて1つ以上の場所において雑草防除薬品を噴霧するための1つ以上の薬品スプレーユニットの動作モードを決定するステップ240を含む。雑草防除薬品を噴霧する時刻は1つ以上のマルチを散布する時刻よりも前である。そしてステップd)は、1つ以上の薬品スプレーユニットを作動させるのに使うことができる情報を出力することを含む。
【0089】
一例では、ステップc)は複数の雑草防除薬品から噴霧される雑草防除薬品を決定することを含む。
【0090】
雑草防除用の装置、システム、および方法の詳細な例が鉄道線路の環境における雑草防除に関連する
図4~9と共にこれからより詳細に説明される。多数のマルチ散布ユニット120および薬品スプレーユニット140が列車130の一部に搭載されている。
【0091】
図4は雑草防除システム100の例を示し、多数のマルチ散布ユニット120および薬品スプレーユニット140が列車130に搭載されている。システム100では、数台のドローンがカメラ110を有する。ドローンは鉄道線路に沿って飛行する。カメラは鉄道線路の環境、すなわち、線路の間の地面および線路の両側の地面の画像を取得する。撮影される環境は、雑草を防除することが必要な環境である。数台のドローンは必要ではなく、1つのカメラ110を有する1台のドローンで必要な画像を取得することができる。実際、画像は、例えば鉄道線路環境を訪れた職員により手持ち撮影される1つまたは複数のカメラ110により、または飛行機、人工衛星、もしくは鉄道線路に沿って走行した列車によって取得することもできた。カメラ110により取得される画像は植物を植物として識別することを可能とする解像度であり、実際には1種類の雑草を別の種類の雑草から区別することを可能とする解像度とすることができる。取得される画像はカラー画像とすることができるが、そうである必要はない。ドローンにより取得される画像は装置10へ送信される。画像はカメラ110によって取得されたらすぐに装置10へ送信されてもよく、または、取得された時より後、例えばドローンが着陸した際に送信されてもよい。ドローンは全地球測位システム(GPS)を有することができて、これにより取得された画像の場所を判定することができる。例えば、画像が取得された際のカメラ110の向きおよびドローンの位置を使って、地面平面における画像の地理的占有面積を判定することができる。また、ドローンは、例えばレーザージャイロスコープに基づいた慣性航行システムを有することができる。ドローンの向き、したがってカメラの向きを判定するために使用されること、および地面上のどこで画像が取得されたのかを判定するのを容易にすることに加え、慣性航行システムはGPSシステムなしで単独で機能して、1つまたは多数の既知の場所から離れる動きを特定することでドローンの位置を判定することができる。
【0092】
装置10の入力部20は取得された画像を処理部30へ渡す。画像分析ソフトウェアは処理部30上で動作する。画像分析ソフトウェアはエッジ検出などの特徴抽出、および、例えば鉄道線路、枕木、木、踏切、駅のプラットフォームなどの構造物を識別することができる物体検出分析を使用することができる。したがって、環境内の建物、鉄道枕木、転轍機、および踏切の場所などの、物体の既知の場所に基づいて、また枕木の間の距離や鉄道線路の間の距離などの既知の構造情報に基づいて、処理部は取得された画像を継ぎ合わせて、環境の地理的地図上に事実上重ね合わせることができる環境の合成表現を事実上作成することができる。したがって、各画像の地理的位置を判定することが可能であり、取得された画像と関連付けられた、関連するGPSベースの情報および/または慣性航行ベースの情報は必要ない。しかし、利用可能なGPS情報および/または慣性航行情報があれば、画像のみに基づいて特定の画像を特定の地理的位置に配置することができるそのような画像分析は必要ではない。しかし、GPSベースの情報および/または慣性航行ベースの情報が利用可能であれば、そのような画像分析を使って、画像と関連付けられた地理的位置を増強することができる。したがって、例えば、GPSベースの情報および/または慣性航行ベースの情報に基づいて、取得された画像の中心が、鉄道の一区間の特定の鉄道枕木の側端部から22cmで終端部から67cmに位置すると判断され、一方で実際の取得画像から上記の画像分析を使用して、画像の中心が枕木の側端部から25cm、終端部から64cmに位置すると判定された場合、GPS/慣性航行ベースで導かれた場所を、必要に応じて場所を一方向に3cm、別の方向に3cm移動させることで増強することができる。
【0093】
処理部30は更なる画像処理ソフトウェアを実行する。このソフトウェアは画像を分析して画像内で植物が見つかる領域を判定し、また画像を分析して植物が見つからない場所(例えば鉄道枕木の場所およびコンクリート区域)を判定する。この後者の情報を使って、マルチを噴霧する必要のない場所を判定することができる。また画像分析から、ある場所においてどのような種類の土地または土壌種類、例えば植物の生長に伝導性のあるもの、が見つかるかについて判定することができる。例えば、砂利がきれいで乾燥しており、別々の砂利の間に有機物がない、と判定することができる。したがって、そこに植物がないと判定された場合、この領域は植物の生長を促進しないため、この領域はマルチを散布する必要がないと判定されることがある。しかし、画像分析から砂利がきれいではない、および/または乾燥していない、および/または砂利の間に有機物があると判定された場合は、いまは植物が見つからないにしても、この領域が植物の生長を促進する領域であると判定されたため、処理部はこの場所にマルチを散布して雑草を防除するべきであると判断することができる。植物は取得された画像内の特徴の形状に基づいて検出することが可能であり、例えば、物体の外周および物体自体の外周の中の特徴の外周を描くのにエッジ検出ソフトウェアが使用され、砂利の間の有機物質は類似の方法で検出することができる。植物画像のデータベースを使用して、例えば人工神経ネットワークや決定木分析などの訓練された機械学習アルゴリズムを使って画像内の特徴が植物に関連するかどうかを判定するのを助けることができる。カメラは画像内の色に関する情報を有する画像であるマルチスペクトル画像を取得することができて、この画像を単独で、または特徴検出と組み合わせて使って、画像内で植物(および/または有機物)が見つかる場所を判定することができる。上述したように、画像の地理的位置を地面上での画像の大きさの知識から判定することができるため、1つまたは複数の植生場所および/またはマルチが散布されるべき他の領域を画像内で見つけて、地面上の植物(植生領域)の正確な位置へマップすることができる。
【0094】
その後処理部30は、使用された場合には特徴抽出に基づいて植生場所を判定する画像処理の一部となりうる、更なる画像処理ソフトウェアを実行する。このソフトウェアは機械学習分析器を含む。特定の雑草の画像が、使用されている雑草の大きさにも関連する情報とともに取得される。世界においてそのような雑草が見つかる地理的位置に関連する情報、および、花が満開となっている時期などを含む、この雑草が見つかる時季に関連する情報を、この画像にタグ付けすることができる。また、雑草の名前も雑草の画像にタグ付けすることができる。そして、人工神経ネットワークまたは決定木分析器をベースにすることもできる機械学習分析器は、地上検証された取得画像で訓練される。このように、植物の新しい画像が分析器へ渡され、そのような画像に時季などの関連するタイムスタンプ、および、ドイツや南アフリカなどの地理的位置がタグ付けされている場合、分析器は新しい画像内で見つかる雑草の画像と訓練で使われた異なる雑草の画像との比較から画像内にある特定の種類の雑草を判定し、その雑草の大きさ、およびその雑草がどこでいつ生長するかも考慮されうる。それゆえ、環境内でのその雑草種類の地面上の特定の場所およびその大きさを判定することができる。
【0095】
処理部30は、異なる雑草種類、その雑草種類を防除するのに使用すべき、除草剤を含む/含まないに関わらず最適なマルチ、ならびにマルチの散布前に雑草へ雑草防除薬品を噴霧すべきかどうか、およびどの種類の化学薬品が散布されるべきかを含むデータベースへアクセスすることができる。このデータベースは実験的に求めたデータからまとめられている。またこのデータベースは、雑草の場所の中にありうる、または雑草から離れていることがある異なる地上領域に関する詳細を含み、またこのデータベースはその領域で雑草が生長するのを抑制するために特定の種類のマルチが地面に散布されるべきかどうかも含む。
【0096】
画像分析から雑草または植生領域が存在すると判定された状況へ戻ると、どのマルチが散布されるべきか、およびマルチが除草剤を含むべきかどうか、ならびにマルチを雑草の場所へ散布する前に雑草防除薬品が散布または噴霧されるべきかどうかを判断する際に、雑草または雑草の塊の地面上での大きさも考慮されうる。例えば、特定の種類のマルチが特定の種類の雑草に対して最適であることがある。そして、処理部30は、環境内の特定の場所の単一の雑草またはこの雑草の小さな塊に対して多数のマルチ散布ユニット120をその特定の場所で作動させて、例えばマルチ散布ユニット120aで散布される、単に物理的障壁であって除草剤を含まないものでありうるマルチで雑草を防除するべきかどうかを判断することができる。しかし、別の種類の雑草がある場合は、処理部は1つまたは複数の除草剤を含み、適切な時期に除草剤を放出するために細菌によって分解可能であるマルチがその場所で散布されるべきであると判断することができる。異なる除草剤を有する2種類の異なるマルチをマルチ散布ユニット120bおよび120cを用いて堆積させることができる。さらに、周辺領域において特に防除が難しい、および/または苗木の生長をもたらす場所で特定の種類の雑草が特定された可能性があり、処理部は特定の雑草防除薬品を雑草の場所で噴霧した後に除草剤も含みうるマルチを散布するべきであると判断することができて、このマルチは、苗木を防除するために苗木が生長し始めた場合に雑草よりも大きな領域の上に散布される可能性がある。2種類の異なる雑草防除薬品を薬品スプレーユニット140aおよび140bを用いて噴霧することができる。しかし、単に雑草防除薬品が噴霧されたのと同じ領域にマルチが散布されることもありえて、その中に除草剤を含んでいなかったこともあり得る。むしろ、除草剤を含まないマルチはそれ自体で雑草の防除を助ける物理的障壁として作用することができて、また雑草防除薬品の上にあることで噴霧された雑草防除薬品があまりに早く分解されないようにする、および/もしくは雨で流されないようにするのを助ける、またはそうでなければ悪影響を受けないようにするのを助けることで、マルチは雑草防除薬品の有効性も向上させる。したがって、この例では、薬品スプレーユニット140aまたは140bのうちの1つが、列車の適切な貨物車が雑草の上を通る際に、およびマルチ散布ユニット120aを有する最後尾の貨物車が雑草の上を通る際に作動し、これらのユニットが作動して既に雑草防除薬品が噴霧された雑草の上にマルチを散布する。しかし、マルチはまだ雑草防除薬品が噴霧されていない場所に散布することもできる。
【0097】
処理部は、防除の必要があるすべての雑草に対して、マルチ散布ユニットの1回以上の作動と必要であれば薬品スプレーユニットの作動が確実に割当てられるようにし、除草剤を含まない単なるマルチであろうと除草剤を含むマルチであろうと、雑草防除薬品に続いて除草剤を含まないマルチの噴霧、または雑草防除薬品に続いて除草剤を含むマルチの噴霧が必要となる。噴霧されるマルチおよび雑草防除薬品に関して、処理部はどの特定の除草剤がマルチの中に含まれるべきか、およびどの特定の種類の雑草防除薬品が噴霧されるべきかを判断することができる。
【0098】
したがって、ドローンのカメラ110が環境の画像を取得し、この画像が処理部30へ渡されて、プロセッサ30が環境のどの特定の地理的位置で雑草防除技術のいずれのモードが適用されるべきかを判断する。したがって、環境内のどこでマルチが、その中に除草剤を含む/含まないに関わらず、散布されるべきか、および、マルチの散布より先に雑草防除薬品が雑草へ噴霧されるべきかを示す特徴マップおよび/または雑草マップを事実上作成することがでる。
【0099】
引き続き
図4を参照すると、雑草防除列車130は鉄道線路に沿って進む。上述したように、雑草防除列車は多数の貨物車を有する。一具体例では、第1貨物車は第1雑草防除薬品を噴霧する多数の薬品スプレーユニット140bを含む薬品スプレーベースの雑草防除技術を有する。第2貨物車は第2雑草防除薬品を噴霧する多数の薬品スプレーユニット140aを含む薬品スプレーベースの雑草防除技術を有する。そして、1台の貨物車は第1除草剤を含むマルチを散布する多数のマルチ散布ユニット120cを有し、別の貨物車は第2除草剤を含むマルチを散布する多数のマルチ散布ユニット120bを有し、最後の貨物車は除草剤を含まず関連する除草/雑草防除効果のない物理的障壁をなすマルチを散布する多数のマルチ散布ユニット120aを有している。異なる貨物車が連結された異なる列車または同じ列車は、異なる種類の、除草剤を含むマルチおよび含まないマルチを散布する異なる数のマルチ散布ユニットを収納することが可能であり、薬品スプレーユニットを有する貨物車を持つ必要はなく、この場合マルチのみが環境において、例えば雑草の上に散布される。しかし、薬品スプレーユニットが存在する場合は、適切な化学薬品容器に連結された多数の異なる雑草防除薬品を噴霧できる多数の異なる種類のユニットが貨物車内に存在しうる。しかし、薬品スプレーユニットを有する貨物車は、存在する場合は、雑草に雑草防除薬品を噴霧した後にその領域の上にマルチを散布することができるように、常に列車の前進方向でマルチ散布ユニットを有する貨物車の「上流側」にある。
【0100】
雑草防除列車は、上記の特徴マップ、雑草マップ、または雑草防除マップを使用する処理部(図示せず)を有する。雑草防除列車は自身の地理的位置を判定する手段を有し、この手段は雑草防除列車の位置、マルチ散布ユニット120a、120b、120cの具体的な場所、および薬品スプレーユニット140a、140bの具体的な場所を特定するためにGPS、慣性航行、および画像分析の1つまたは複数をベースとすることができる。これは、雑草防除列車が環境を通過する際に、異なるユニット(マルチ散布ユニットおよび必要であれば薬品スプレーユニット)を雑草の特定の場所で作動させることが可能であることを意味し、この特定の場所では、この場所で作動されて必要であれば特定の雑草防除薬品が噴霧された領域を覆う特定のマルチを散布する異なるユニットがこの作業に最適であると判断されている。
【0101】
上述したように、雑草防除列車はカメラを持つことができて、画像を取得することができる。取得された画像を雑草防除列車上の処理部で処理し、枕木の場所および周囲の特徴を判定することで、列車自体の場所を判定することができる。また、雑草防除列車がGPSシステムおよび/または慣性システムを有する場合、正しいマルチ散布ユニット(および必要であれば薬品スプレーユニット)を特定の雑草の場所で作動させることができるように、GPSシステムおよび/または慣性航行システムを使って列車の場所を判定することができる。しかし、列車が周囲の画像を取得するカメラも有している場合、マルチ散布ユニット(および必要であれば薬品スプレーユニット)を必要とされる正確な場所で、例えば雑草が生長しない領域の上ではなく例えば異なる種類の雑草の特定の場所で作動させることができるように、枕木の位置などの特徴抽出を使ってGPSおよび/または慣性航行により判定された位置を増強し、例えばGPSシステムから得た位置を考慮して位置の補正を行うことができる。したがって、枕木の位置を判定するのに必要な画像処理は、鉄道枕木などの特徴を特定する際の画像処理のコンプレクシティは比較的大きくないため、場所の更新が迅速に行われている状態で迅速に動作することができる。
【0102】
異なる除草剤を含むマルチおよび雑草防除薬品、ならびに、特定の種類の雑草を防除するのにどのマルチを使用すべきか、およびマルチとその前に使われる他の特定の雑草の防除用の特定の雑草防除薬品の組み合わせにも関する情報のデータベースが処理部により使用されて、環境内の特定の場所でどのユニット(マルチ散布ユニットおよび必要であれば薬品スプレーユニット)が作動されるべきかが判断される。また列車は雨センサを有し、雨が降っていて雑草の上に通常は雑草防除薬品が噴霧されている場合に、処理部はマルチ散布ユニット120aから除草剤を含まないマルチが雑草防除薬品の噴霧後に雑草の上に散布されて、噴霧された雑草の上に物理的障壁を提供することで降雨により雑草防除薬品が流されるのを軽減するべきであると判断することができる。
【0103】
図5は雑草防除システム100の別の例を示す。
図5の雑草防除システムは、
図4のものに類似している。しかし、
図5では雑草防除列車130は前述のようなカメラ110および装置10を有する。ここでは、雑草防除列車130上のカメラ110は以前はドローンにより取得された画像を取得する。雑草防除列車130上の装置の処理部30は取得された画像を処理して、雑草の場所および種類を判定する。そのため、雑草の正確な地理的位置は判定する必要がない。むしろ、カメラ110と列車の貨物車に収納されているマルチ散布ユニット120a、120b、120cおよび薬品スプレーユニット140a、140bとの間の相対的間隔に基づいて、取得された画像を地面上の特定の地点に位置づけることができて、雑草を画像内で見つけて特定し、地面上で見つけることができる。そして、必要なマルチ散布ユニット(および必要であれば薬品スプレーユニットも)を判定された雑草の場所および/または、雑草の生長を促進すると判定された領域に関連する、雑草を防除する必要がある場所で作動させることができる。そして、雑草防除列車の前進速度(その速度)および画像が取得された時刻の知識から、雑草の位置(または他の領域)で作動してマルチがその場所で、必要であれば薬品スプレーの後に、散布される、および/または雑草防除薬品がその場所に既に噴霧されている必要のない環境内の他の必要な領域の上にマルチが散布されるように、必要なユニットがいつ作動されるべきかを判断することができる。このように、雑草防除列車はGPSシステムおよび/もしくは慣性航行システム、または画像ベースの絶対的地理的位置判定手段を有する必要はない。むしろ、画像内の雑草の種類およびその正確な場所、ならびに/または、生長している雑草はないがそれでもマルチを散布する必要があると判定されたマルチが散布されるべき場所、および列車座標系での雑草の地面上の正確な場所を判定するのに必要な処理を説明するために、判定することができる。カメラ110は、マルチ散布ユニットまたは存在する場合は薬品スプレーユニットを収納する第1貨物車、これは例えば
図5に示される例では薬品スプレーユニット140bを収納する貨物車であり、その重要な位置は、処理時間に雑草防除中の雑草防除列車の最大速度を乗じたものに少なくとも等しい距離の分だけ薬品スプレーユニット140b自体の位置である貨物車から離間している必要がある。したがって、例えば、列車が25m/sで進むのに対して処理に0.2s、0.4s、または0.8sかかる場合、
図5を参照して、カメラ110は薬品スプレーユニット140bの前方にこの列車速度に対して5m、10m、または20mだけ離間している必要がある。列車の速度を減少させること、および/または処理速度を削減することで、距離間隔を削減することができる。加えて、画像を取得しているカメラ110は、露光時間中の列車の移動による画像スミアが最小化されるように、非常に短い露光時間を持つことができる。これは、例えばフィルタと組み合わせて例えばレーザーまたはLEDを用いて短い露光時間または短パルスの照明とともにカメラを使用することを含む、様々な手段により実現できる。
【0104】
しかし、装置はGPSシステムおよび/もしくは慣性航行システムならびに/または画像分析を使って、雑草の正確な地理的位置および/または、例えば枕木の間で鉄道線路の間にあるが枕木の上でも線路の上でもない領域、および/または雑草の生長を促進すると判定された領域でありうるマルチが散布されるべき領域の正確な地理的位置を判定することができる。これは、どの雑草が防除されたか、それらの雑草がどのように防除されたか、および、それらの雑草がどこに位置していたかのログを提供することができて、生長している雑草の上ではない場所も含む、マルチが散布された場所のログを提供することができることを意味する。したがって、監査情報が事実上提供されて、雑草防除技術適用の有効性を再検討することが可能となる。また、雑草および/または環境内の他の関連領域の正確な地理的位置を生成することで、マルチ散布ユニットおよび薬品スプレーユニットは、それらのユニットの正確な位置を提供するのに使用できるGPSシステムおよび/もしくは慣性航行システムならびに/または画像ベースのシステムなどの関連する場所判定手段を有することができる。したがって、列車の先頭客車は、雑草防除マップの作成を可能とする画像取得分析装置を有することができる。そして、列車の最後の数台の貨物車は、マルチ散布ユニット(および必要であれば薬品スプレーユニット)を有することもできる。これらの後方の貨物車は、貨物を運搬する貨物車により、先頭客車から数百メートルまでではないとしても数十メートルは離間されうる。そして、先頭客車から後部客車までの絶対的な距離間隔は、列車が坂を上り下りするのに伴って変化しうるが、マルチ散布ユニットおよび薬品スプレーユニットを有する貨物車は自身の正確な場所およびそれぞれの各ユニットの正確な場所を知っているため、これらの貨物車が雑草の位置もしくは特定の種類の雑草の領域、または例えばマルチが散布されるべき他の領域まで前進した際に、適切な1つまたは複数のユニットを正確な地理的位置で作動させることができる。これはマルチ散布ユニットおよび薬品スプレーユニットの正確な地理的位置が既知であるためで、これらのユニットが雑草の正確な地理的位置または雑草防除が適用されるべき他の領域の上を通る際にこれらのユニットを作動させることができる。
【0105】
図5は雑草防除列車130の2つの図を示し、上の図は側面図であり、下の図は平面図である。この図は、線路の間および線路の側面へと広がる画像を取得するカメラ110を示している。雑草防除列車の個々の貨物車は、
図4に関して説明されたように、列車の下方の位置で、および列車の側面へ作動させることができる、関連する異なるマルチ散布ユニット120a、120b、120cおよび薬品スプレーユニット140a、140bを有する。
【0106】
図6は
図4~5に示されるような雑草防除列車130の貨物車を示し、この貨物車は多数の薬品スプレーユニット140を有する。
図6の貨物車は、薬品スプレーユニット140aまたは薬品スプレーユニット140bを有する
図4~5の貨物車のいずれかでありうる。別の例では、
図6に示される貨物車は
図4~5に関して説明されたものとは異なる雑草防除薬品を噴霧することができる。
図6は列車の貨物車の背面図を示し、鉄道線路に沿った図である。薬品スプレーユニット140の多数の別々の噴射ノズルが列車の下方で横方向に、および列車の両側へと延びている。また、噴射ノズルは前進方向へ延びることもできる。噴射ノズルは、それ自身でオン/オフの他に特定の制御が可能であり、左方および右方へ、または下方へ噴霧するように方向的に制御可能であり、および/または、例えば細いスプレー噴流を単一の小さな雑草へ向けられるようスプレーの角度範囲を変化させるように制御可能である。これらの噴射ノズルのうちの1つが特定の薬品スプレーによって防除されるべきものとして識別された雑草の上を通る場合、処理部30は、その薬品スプレーによって防除の必要がある雑草の特定の場所で化学薬品を噴霧する特定のノズルを作動させる。雑草防除薬品はその場所で、またはその場所の上で続いて行われるマルチの散布よりも前に噴霧され、これは
図7に対してより詳細に説明される。
図6ではそのような雑草が2つの特定の場所に存在し、1つは線路の間に、1つは線路の左に見つけられて、そのため、2つの噴射ノズルが作動された。異なる貨物車に収納されている薬品スプレーユニット140により既に他の化学薬品のうちの1つが散布された雑草、またはマルチをその上に散布する前に雑草防除薬品をその上に噴霧する必要はないと判定された雑草がこの貨物車の下を通りうることに留意されたい。
【0107】
図7は
図4~5に示されるような雑草防除列車130の貨物車を示し、この貨物車は多数のマルチ散布ユニット120を有する。
図7の貨物車は、マルチ散布ユニット120a、120b、または120cを有する
図4~5に示される貨物車のいずれであってもよい。
図7は列車のこの貨物車の背面図を示し、鉄道線路に沿った図である。処理部30は、例えば特定の雑草は第1除草剤を含むマルチをその上に散布する必要があると判断する。したがってこの例では、マルチ散布ユニット140bを有する
図4~5に示される貨物車への参照がなされる。その中に除草剤を含んだ液体生分解性ポリマーを噴霧するように構成される多数の別々のマルチ噴射ノズルが示されている。この具体例におけるポリマーはポリエステルであり、除草剤とともに水溶液中に分散している。散布後に水が蒸発してポリマー内に封入されている除草剤が残される。ポリマーは、環境内に存在して雑草が生長する場合に成長する細菌がポリマーを分解して除草剤の放出を引き起こすように設計されている。細菌がポリマー内のエステル基を攻撃し、ポリマーが分解されて除草剤が放出される。したがって、雑草を防除する物理的障壁を提供することに加え、雑草防除用除草剤の制御された散布により、雑草を標的にした更なる雑草防除の仕組みが提供される。雑草が生長していない場合、例えば寒冷で乾燥した状態では、細菌も成長せず、ポリマーを分解しない。しかし、雑草が生長し始めればすぐに細菌も成長して、ポリマーが分解され、除草剤が放出される。マルチ散布ユニット140bの多数の別々の噴射ノズルが列車の下方で横方向に、および列車の両側へと延びている。また、噴射ノズルは前進方向へ延びることもできる。噴射ノズルは、それ自身でオン/オフの他に特定の制御が可能であり、左方および右方へ、または下方へ噴霧するように方向的に制御可能であり、および/または、例えば細いスプレー噴流を単一の雑草へ向けられるようスプレーの角度範囲を変化させるように制御可能である。しかし、マルチの散布範囲は、概して薬品噴射ノズル140により雑草の上へ前もって噴霧された雑草防除薬品の散布範囲よりも大きい。しかし、マルチおよび雑草防除薬品の噴霧範囲を同じとすることもできる。
【0108】
図7では、その上にマルチの散布が必要であると判定された雑草が2つの特定の場所に存在する。これらの場所は、既にその上に雑草防除薬品が噴霧された、
図6に示される場所と同じである。したがって、まず雑草の上に雑草防除薬品が噴霧されて、その後に除草剤を含むマルチがこの雑草の上に噴霧される。しかし、別の例では、まず雑草防除薬品が雑草の上に噴霧されて、続いて除草剤を含まないマルチが散布される。このようなマルチは物理的障壁効果を提供して雑草を防除し、液体ポリマーとすることができて、また長期的な環境影響を低減するために生分解性とすることもできるが、その必要はない。そのようなマルチは液体状態である必要はなく、粒状または粉末形状とすることができて、また除草剤を含む生分解性マルチも、液体状態よりもむしろ粒状または粉末形状とすることができる。
【0109】
除草剤を含む液体ポリマーマルチを使用するよりも、マルチは必要であれば封入された除草剤を含みうる、噴霧することも可能な顆粒の形態とすることができて、それにより散布を容易にすることができる。顆粒は、封入されている除草剤を放出するため、上述したように生分解性とすることができる。また、マルチは噴霧できない形態とすることもできて、この場合も除草剤を有することができて、必要な場所に物理的に貼付することができる、例えばより大きな顆粒、不織繊維材料、またはデンプン製新聞である。
【0110】
図8は鉄道環境を表しており、鉄道線路および線路の脇の地面を示している。多数の雑草領域が示されており、1種類の雑草の大きな塊がその中に異なる種類の雑草の塊を含んでいる。
図8では、異なるマルチ散布ユニットおよび必要であれば異なる薬品スプレーユニットが作動されてそれぞれマルチおよび雑草防除薬品を散布する場所が表されている。1つの場所では、処理部は画像処理に基づき、雑草に対して物理的障壁として作用するマルチのみをその上に散布する必要があると判定しており、必要な場所でマルチ散布ユニット120aのみが作動される。もう一つの場所では、第2種類の雑草防除薬品が異なる種類の雑草のより大きな塊の中の小さな雑草の塊の上に噴霧され、この場合も除草剤を含まないマルチが小さな塊の上に散布される。より大きな塊そのものは、除草剤を含まないマルチのみを散布することで防除することができる。2つの異なる雑草の塊は、画像処理に基づいて、雑草防除薬品の事前噴霧は不要で除草剤を含むマルチが必要であると判定される。しかし、特に防除が難しい更なる雑草では、薬品スプレーユニット140aから雑草防除薬品がその上に噴霧されて、その後に除草剤を含むマルチがマルチ散布ユニット120cを用いて散布される。この、どこでどのマルチ散布ユニットを作動させてマルチを散布するべきか、また必要であれば、雑草の場所でマルチの散布よりも前にどの薬品噴射ノズルを作動させるべきかの判断は、
図4に関して説明された雑草防除マップおよび/または特徴であるとみなすことができる、または、
図5に関して説明されたように雑草防除技術のいずれのモードが適用されるべきかをリアルタイムで判断することであるとみなすことができる。
【0111】
図9は
図4~5に示される列車の最も左の貨物車の中のマルチ散布ユニット120aをより詳細を示し、以下の説明は他のマルチ散布ユニット120b、120cおよび薬品スプレーユニット140a、140bにも関連する。マルチ散布ユニット(および薬品スプレーユニット)の配置および制御により、列車を減速させる必要なしに特定の場所で異なる量のマルチ(および雑草防除薬品)を散布(噴霧)することができる、またはマルチ(雑草防除薬品)を異なる速度で散布することができて、システムサブユニットが簡素化される。引き続き
図9に示される具体例で、列車の貨物車に設置される別々のサブユニットが示されており、中央のユニットは貨物列車の下に、線路の外の雑草を防除可能な他のサブユニットは貨物車の側面に設置される。この具体例では、(同じシステムは除草剤を含む液体ポリマーマルチ、除草剤を含む顆粒マルチまたは除草剤を含まない顆粒マルチ、および雑草防除薬品を散布するのに使用することができるが)液体状態で除草剤を含まないマルチをポリマーとして散布するように構成される19行のノズルと12列のノズルがある。様々な列数のノズルおよび様々な行数が可能であり、1行しかないこともある。座標系を行×列で定義すると、列車が前進するのに伴ってノズル1×4、1×5、1×6、および1×7は雑草の場所の上を通過するので、これらのノズルが作動してマルチの層を堆積させる。さらに移動すると、一例では、これらのノズルが雑草の上を通過するまで、これらのノズルのみが動作している。このようにして、最小の量のマルチを散布することができる。しかし、雑草はサブユニットの下方の異なる位置にあるので、複数のノズルが作動することがある。したがって、まず雑草がサブユニットの前端の下にある場合、1×4~7、2×4~7、および3×4~7のノズルが作動される。列車が前進するのに伴い、2×4~7、3×4~7、および4×4~7が作動され、その後、3×4~7、4×4~7、および5×4~7が作動される。このように、雑草はサブユニットの下を進み、17×4~7、18×4~7、および19×4~7が作動されるまですべての位置において適切なノズルが作動されて、その後18×4~7および19×4~7が作動されて、最後に19×4~7が作動される。このようにして、作動されるノズルの波が列車の速度で移動して、地面上の固定位置で作動する。したがって、異なる時間のマルチの散布、それゆえ異なる厚さのマルチを異なる場所で散布することができて、処理部が特定の場所の特定の雑草に対してどれだけの厚さのマルチが堆積されるべきかを判断する。これは、除草剤を含むマルチの散布にも当てはまり、マルチの散布より前に雑草の上に噴霧される雑草防除薬品の量に対しても、処理部により雑草防除薬品で事前処理が必要であると判定された場合には当てはまる。
【0112】
上記の詳細な例は、異なるマルチ散布ユニットおよび薬品スプレーユニットが列車の異なる貨物車に収納されている鉄道に関して説明された。これらのユニットは単一の貨物車に収納することが可能であり、マルチ散布ユニットが画像処理に基づいて関連する除草剤を含むまたは含まないマルチを特定の場所で散布する、たった1組のユニットがあることもありえる。さらに、雑草防除列車よりもむしろ、トラックもしくは大型トラック、またはUnimogの方がその内部にマルチ散布ユニットおよび、必要であれば薬品スプレーユニットを搭載することが可能であり、以前取得されて処理された画像に基づいて、または自身が取得して自身で処理する画像に基づいて、上述したように、工業地域の周辺またはさらに空港などの地域を走り回って、必要であれば雑草防除薬品による前処理を適用して、対象を絞ってマルチを散布することで雑草を防除する。
【0113】
別の例示の実施形態では、前述の実施形態のうちの1つに係る方法の方法ステップを適切なシステム上で実行するように構成されていることを特徴とするコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラムエレメントが提供される。
【0114】
それゆえ、コンピュータプログラムエレメントは、それ自体も一実施形態の一部でありうるコンピュータ装置に記憶されることもありうる。このコンピュータ装置は、上述の方法のステップを実行する、または実行させるように構成されてもよい。さらに、このコンピュータ装置は上記の装置および/またはシステムの構成要素を操作するように構成されてもよい。コンピュータ装置は、自動的に動作するように、および/またはユーザの命令を実行するように構成することができる。コンピュータプログラムはデータ処理部の作業メモリへロードされることがある。データ処理部はこのように前述の実施形態のうちの1つに係る方法を実行する能力を備えていることがある。
【0115】
本発明のこの例示の実施形態は、最初から本発明を使用しているコンピュータプログラムおよびアップデートにより既存のプログラムが本発明を使用するプログラムへと変わるコンピュータプログラムの両方を対象にしている。
【0116】
さらに、コンピュータプログラムエレメントが上述した方法の例示の実施形態の手順を実現するのに必要なすべてのステップを提供されることがある。
【0117】
本発明の更なる例示の実施形態によれば、CD-ROM、USBスティック、または同種のものなどの、前節で説明されたコンピュータプログラムエレメントが記憶されているコンピュータ可読媒体が提供される。
【0118】
コンピュータプログラムは他のハードウェアと共に、または他のハードウェアの一部として、光記憶媒体や半導体媒体などの適切な媒体に記憶される、および/またはそのような媒体で配布されることがあるが、インターネットまたは他の有線もしくは無線の電気通信システムを介するなどの他の形態で配布されることもある。
【0119】
しかし、コンピュータプログラムはワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提供されることもあり、そのようなネットワークからデータ処理部の作業メモリへダウンロードすることができる。本発明の更なる例示の実施形態によれば、本発明の前述の実施形態のうちの1つに係る方法を実行するように構成されているコンピュータプログラムエレメントをダウンロード可能とするための媒体が提供される。
【0120】
本発明の実施形態は異なる主題を参照して説明されていることに留意されたい。特に、一部の実施形態は方法クレームを参照して説明されているが、他の実施形態は装置クレームを参照して説明されている。しかし、当業者であれば、別途通告されない限りは、1種類の主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴の任意の組み合わせが本出願を以て開示されていると考えられると上記および以下の説明から推測するであろう。しかし、すべての特徴を組み合わせて、特徴の単純な足し合わせを超える相乗効果を提供することができる。
【0121】
本発明は図面および上述の説明で例証され、詳細に説明されたが、そのような図および説明は実例または例示であると考えられるべきであり、制限的であると考えられるべきではない。本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、特許請求される発明を実践する際に図面、本開示、および従属請求項を検討することで、当業者は理解、達成することができる。
【0122】
請求項において、「含む」(comprising)という単語は他の構成要素またはステップを排除せず、不定冠詞の「a」または「an」は複数を排除しない。単一のプロセッサまたは他の装置により、請求項に記載されるいくつかの項目の機能を実現することができる。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段を組み合わせて使って利益を得ることができないことを示しているわけではない。請求項における任意の参照符号は、範囲を制限するものと解釈されるべきではない。