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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】雑草防除装置
(51)【国際特許分類】
   E01H 11/00 20060101AFI20221028BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221028BHJP
   A01M 21/04 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
E01H11/00 A
G06T7/00 300F
A01M21/04 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019572606
(86)(22)【出願日】2018-07-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018067784
(87)【国際公開番号】W WO2019007893
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】17186467.1
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17180030.3
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17181582.2
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17187259.1
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516245885
【氏名又は名称】バイエル、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン、キユルシュトラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー、ウートラム
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ、ハドロー
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/005625(WO,A1)
【文献】特開2008-194673(JP,A)
【文献】特開2002-159887(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002093(WO,A1)
【文献】特開平07-079681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0027040(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 11/00
G06T 7/00
A01M 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のための雑草防除装置(10)であって、
入力部(20)と、
処理部(30)と、
1つ以上の化学薬品散布ユニット(40)と、
少なくとも1つの高電圧電源(50)と、
を含み、
前記入力部は、前記処理部に環境の1枚以上の画像を提供するよう構成され、
前記処理部は、前記1つ以上の化学薬品散布ユニットを起動するために前記1枚以上の画像を分析するよう構成され、
前記処理部は、前記1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動のための1つ以上の場所を決定するために前記1枚以上の画像を分析するよう構成され、前記1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動のための1つ以上の場所を決定するための前記1枚以上の画像の分析は、前記環境における植生の1つ以上の場所の決定を含み、前記処理部は、前記環境における植生の1つ以上の場所に存在すると決定された種類の雑草に基づいて、前記環境における植生の1つ以上の場所で使われる前記1つ以上の化学薬品散布ユニットの1つ以上の動作モードを決定するよう構成され、植生の1つ以上の場所で使われる前記1つ以上の化学薬品散布ユニットの決定された前記1つ以上の動作モードは、異なる複数の化学薬品を散布すること、散布ユニットと散布対象の雑草との間の電界を変えるため異なる複数の高電圧で動作すること、または散布ユニットと散布対象の雑草との間の距離を変えること、という複数の異なる動作モードを含み、
前記1つ以上の化学薬品散布ユニットは、液状雑草防除化学薬品を霧化するよう構成され、
前記1つ以上の化学薬品散布ユニットは、0ボルト電位に対して高電圧に維持されるよう構成される少なくとも1つの部分(42)を含み、
前記少なくとも1つの高電圧電源および前記1つ以上の化学薬品散布ユニットは、前記霧化された液状雑草防除化学薬品が帯電するように、前記1つ以上の化学薬品散布ユニットの前記少なくとも1つの部分を0ボルト電位に対して少なくとも1つの高電圧に維持するよう構成される、
雑草防除装置。
【請求項2】
雑草防除システム(100)であって、
1つ以上のカメラ(110)と、
車両(120)に搭載される請求項1に記載の雑草防除装置(10)と、
1つ以上の液状雑草防除化学薬品を収容するよう構成され、前記車両に搭載される1つ以上の貯蔵容器(130)とを含み、
前記1つ以上のカメラは、前記1枚以上の画像を取得するよう構成され、
前記1つ以上の化学薬品散布ユニットおよび前記1つ以上の貯蔵容器は、互いに流体接続するよう構成され、
前記雑草防除装置は、前記1つ以上の液状雑草防除化学薬品を霧化、帯電させ、散布する、
雑草防除システム。
【請求項3】
車両のための雑草防除方法(200)であって、
(a)処理部に環境の1枚以上の画像を提供すること(210)と、
(c)1つ以上の化学薬品散布ユニットを起動するために、前記処理部により前記1枚以上の画像を分析することと、前記環境における植生の1つ以上の場所の決定を含む、前記処理部により前記1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動のための1つ以上の場所を決定するために1つ以上の画僧を分析することと、前記環境における植生の1つ以上の場所に存在すると決定された種類の雑草に基づいて、前記処理部により前記環境における植生の1つ以上の場所で使われる前記1つ以上の化学薬品散布ユニットの1つ以上の動作モードを決定することであって、植生の1つ以上の場所で使われる前記1つ以上の化学薬品散布ユニットの決定された前記1つ以上の動作モードは、異なる複数の化学薬品を散布すること、散布ユニットと散布対象の雑草との間の電界を変えるため異なる複数の高電圧で動作すること、または散布ユニットと散布対象の雑草との間の距離を変えること、という複数の異なる動作モードを含む、決定すること(220)と、
(f)前記1つ以上の化学薬品散布ユニットにより、液状雑草防除化学薬品を霧化して帯電させること(230)と、
を含み、
前記1つ以上の化学薬品散布ユニットは、0ボルト電位に対して高電圧に維持されるよう構成される少なくとも1つの部分を含み、前記少なくとも1つの高電圧電源および前記1つ以上の化学薬品散布ユニットは、前記霧化された液状雑草防除化学薬品が帯電するように、前記1つ以上の化学薬品散布ユニットの前記少なくとも1つの部分を0ボルト電位に対して少なくとも1つの高電圧に維持するよう構成される、
雑草防除方法。
【請求項4】
プロセッサにより実行された場合に請求項3に記載の方法を実行するように構成される、請求項1に記載の装置および/または請求項2に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラムエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は雑草防除装置、雑草防除システム、雑草防除方法、ならびにコンピュータプログラムエレメントおよびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の一般的背景は雑草防除である。特定の工業地域や鉄道線路周辺の地域は、植物を防除する必要がある。鉄道では、そのような防除によって運転手などの列車内の人々の視点からの視界が改善され、線路上で働く人々の視点からの視界が改善される。そのような防除によって安全性を改善することもできる。さらに、植物は線路ならびに関連する信号および通信回線を分断したり破損させることもある。植物の防除はこのようなことを軽減するのに必要である。植生管理は、雑草防除とも呼ばれるが、特に手作業で行われる場合には、多大な時間とリソースを要することがある。化学薬品タンクに収納された除草剤を積載する雑草噴霧列車は、植物を防除するために線路および周辺領域に噴射されうる。しかし、そのような雑草防除は高価となることがあり、一般市民はますます環境影響の削減を望むようになっている。
【発明の概要】
【0003】
雑草防除用の改善された装置を持っていると有利である。
【0004】
本発明の目的は独立請求項の主題で解決され、更なる実施形態が従属請求項で援用される。また、以下に説明される本発明の態様および実施例は、雑草防除装置、雑草防除システム、雑草防除方法、ならびにコンピュータプログラムエレメントおよびコンピュータ可読媒体にも適用されることに留意されたい。
【0005】
第1の態様によれば、
入力部と、
処理部と、
1つ以上の化学薬品散布ユニットと、
少なくとも1つの高電圧電源と、
を含む車両のための雑草防除装置が提供される。
【0006】
入力部は、処理部に環境の1枚以上の画像を提供するように構成される。処理部は、1つ以上の化学薬品散布ユニットを起動するために1枚以上の画像を分析するよう構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニットは、液状雑草防除化学薬品を霧化するよう構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニットは、0ボルト電位に対して高電圧に維持されるよう構成される少なくとも1つの部分を含む。少なくとも1つの高電圧電源および1つ以上の化学薬品散布ユニットは、霧化された液状雑草防除化学薬品が帯電するように、1つ以上の化学薬品散布ユニットの少なくとも1つの部分を0ボルト電位に対して少なくとも1つの高電圧に維持するよう構成される。
【0007】
すなわち、車両のための液状化学薬品雑草防除システムは、1つの散布ユニットまたは複数の散布ユニットを用い、0ボルトまたは接地電位に対しかなりの電荷を有する霧化された液状散布剤を生成する。したがって、車両が環境内を動き回ると、その環境の画像は、雑草を枯らすための単数または複数の散布ユニットを起動するために分析され、用いられる。地面に生えている雑草は接地電位にあり、実質的に0ボルトであって、霧化された液状雑草防除「散布剤」は雑草に引き寄せられる。これは、第1に、画像に基づいて散布ユニットを起動することにより、雑草があるエリアにのみ散布がなされる必要があることを意味し、化学薬品の節約につながる。更に、散布剤が雑草に引き寄せられるため、散布された液状化学薬品がより多く雑草に到達する。雑草は地面に生えており、地面自体よりもわずかながら散布ユニットのノズルに近いので、散布ユニットと雑草との間の電界強度(ボルト毎メートル)は、散布ユニットと地面(接地)自体との間の電界よりも強く、これにより液状散布剤は地面自体よりも雑草に優先的に付着する。更に、例えば、雑草の葉の表面を通り過ぎた液状散布剤が、「包み込み(wraparound)」効果によりその葉の裏面に引き寄せられて付着し得るので、雑草のより多くの部分が化学薬品で覆われ、散布の効率改善につながり、かつ/または化学薬品の使用量を減らし、もしくはより毒性の弱い化学薬品を使用することができ、関連する良い環境効果を上げることにつながる。したがって、帯電した液状雑草防除剤の水滴または霧化された液体の粒子は、上からのみ散布された場合でも、方向を変えて雑草の表、横、裏に付着させることができる。
【0008】
散布ユニットは車両上で動作し、散布は移動する基台から行われるため、雑草の上で過剰に電荷が蓄積することはないから、植生が非常に良い導電体であることを要件としなくても問題はない。これは、散布ユニットが動いているため、画像分析により散布ユニットを起動する必要が示された場合、それぞれの雑草が受ける散布剤は、散布ユニットが水平方向に移動し隣の雑草に散布できるようになるまでの間の一定量だけであるからである。したがって、雑草が過剰に帯電することはない。しかし、植生は水を含有しており、そのためある程度の導電性があり、静電散布法が雑草への散布において効果的なのは、上記の方法で実施した場合である。
【0009】
言い換えると、静電界ができることで、散布の対象となる雑草に、霧化された液状散布剤粒子が引きつけられ、雑草防除化学薬品の雑草への付着量が増加する。散布対象のエリアから散布剤が漂流するといった風の影響が緩和され、また、移動している車両に散布システムが搭載されていることによる、かなりの量の散布剤が雑草の方向から離れて飛ばされてしまうといった影響が緩和される。これらの影響は、霧化された液状散布剤が静電力によって雑草の方に引き寄せられることにより緩和される。更に、液状雑草防除化学薬品は小滴の形態にあるから、雑草が例えばワックス層に覆われた表面を有している場合には雑草に当たって跳ね返ることが考えられるが、ここでは水滴が雑草に静電的に引き寄せられるので、そのようなことが起こりにくい。
【0010】
このように、液状雑草防除化学薬品の雑草への移送効率が向上する。
【0011】
一例において、1つ以上の化学薬品散布ユニットは、霧化される液状雑草防除化学薬品が霧化された後に帯電するよう構成される。
【0012】
このようにすると、液状雑草防除化学薬品の貯蔵容器を単数または複数の散布ユニットの高電圧部分から絶縁することが可能になり、これを接地電位に保つことができるので、簡素で安全なシステムの形成につながる。更に、使用する液体は導電性である必要がなく、実際、非導電性の液状雑草防除化学薬品を、霧化した後に帯電させてもよい。
【0013】
一例において、少なくとも1つの部分は霧化された液状雑草防除化学薬品の中に位置するように構成される電極を含む、
【0014】
すなわち、コロナ帯電システム内でイオン化針が用いられ、先が尖っているかまたは鋭く曲がっている電極を高電位にし、この電極の強い電界によって周りの空気に絶縁破壊が生じてイオンが生成され、次にこのイオンが、霧化された液状雑草防除化学薬品に付着してこれを帯電させる。したがって、1つ以上の化学薬品散布ユニットは、霧化ノズルを備えた複数の散布銃を含んでいてもよく、各霧化ノズルの先端または近くに帯電用電極が配置される。少なくとも1つの部分(帯電用電極)と接地面(地面)に生える雑草との間にも電界が形成され、この雑草は0ボルトであり、霧化され静電的に帯電した液状雑草防除化学薬品が雑草に引き寄せられる。
【0015】
一例において、処理部は、1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動のための1つ以上の場所を決定するために1枚以上の画像を分析するよう構成される。
【0016】
一例において、少なくとも1つの1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動のための1つ以上の場所を決定するための1枚以上の画像の分析は、環境における植生の1つ以上の場所の決定を含む。
【0017】
すなわち、取得した画像中の植生のエリアを決定するために画像処理を用いることができ、化学薬品散布ユニットをこれらの位置で起動することができる。
【0018】
一例において、1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動のための1つ以上の場所を決定するための1枚以上の画像の分析は、1種類以上の雑草の決定を含む。
【0019】
すなわち、1つ以上の化学薬品散布ユニットは、管理対象である1つまたは複数の種類の雑草に応じた方法で起動することができる。したがって、例えば、ある種類の雑草を枯らすには液状雑草防除散布剤を短時間散布するだけでよいが、別の種類の雑草を枯らすには液状雑草防除散布剤をより長い時間散布する必要がある場合がある。また、化学薬品雑草防除ユニットは、雑草防除化学薬品の2つ以上の貯蔵容器と連結されていてもよく、例えば、非常に強い雑草防除化学薬品は1つのタンクに入れて管理の難しい雑草を枯らすために用い、より弱い化学薬品を第2のタンクに収容してもよい。したがって、強い化学薬品は、雑草防除が難しい雑草が見つかったことが検知されたことに関連して必要な場合にのみ、節約しながら使うことができる。そうして弱い方の化学薬品は、他の雑草を管理するため用いることができ、これにより、環境上、費用上の便益が得られる。また、相異なる化学薬品を散布する場合、液体の表面張力および/または粘度が異なり、そのため霧化された液滴のサイズが異なることがあるため、静電気による雑草への移送改善効果を最大化するためには、相異なる静電界が必要とされることがある。したがって、2つ以上の化学薬品を散布する場合、1つの散布銃(または散布ユニット)で第1の化学薬品を散布し、その後に第2の化学薬品を散布する場合があり、または、2つの異なる雑草に散布するために、2つの散布銃で同時に異なる化学薬品を散布する場合もあるが、それぞれの散布銃は、他方の散布銃(散布ユニット)とは異なる電源につなぎ、接地電位に対して異なる電圧で動作させてもよい。
【0020】
一例では、1枚以上の画像が1つ以上のカメラにより取得され、入力部は、1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供するように構成される。
【0021】
場所は、地面上の正確な場所に対する地理的位置であってもよく、または、1つ以上の化学薬品散布ユニットの位置を基準とする地面上の場所でもよい。つまり、地理上の絶対位置が利用されてもよく、または、絶対的に知られている必要はないが1つ以上の化学薬品散布ユニットの位置を基準とした地面上の場所が利用されてもよい。したがって、画像をその取得場所と関連付けることで、1つ以上の化学薬品散布ユニットをその場所で正確に起動することができる。
【0022】
一例において、装置は、0ボルト電位にまたは0ボルト電位の近くに維持されるよう構成される少なくとも1つの電極を含む。装置は、1つ以上の化学薬品散布ユニットから間隔の空いた接地平面に少なくとも1つの電極を配置することができ、1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動により、液状雑草防除化学薬品が少なくとも1つの電極の接地平面上の配置に対応する位置に散布されるよう構成される。
【0023】
すなわち、装置は、単数または複数の散布ユニットを有し、散布ユニットは高電圧を印加した部分を有し、液状雑草防除化学薬品を霧化し、帯電させ、液状雑草防除化学薬品は、接地(0ボルト)電位にある地面に生えている雑草に散布されて引き寄せられる。散布ユニットは、雑草への散布を行いながら移動する車両に搭載され、そのため、雑草は導電性でない場合があるが雑草上の電荷の蓄積は問題にならない程度である。そのような電荷の蓄積により、雑草が帯電し、帯電した液体粒子を雑草に引き寄せる静電効果の効率の低下につながることがあるしかし、装置は、この例においては、散布対象の雑草に近い地面に配置され得る接地電極を有している。例えば、装置は、車両に取り付けたときに、互いに水平方向に間隔を開けた複数の細長の金属細片または鎖を有していてもよく、この金属細片または鎖が地面に沿って引き摺られ、地面上に配置される一組の接地線を形成する。この「接地平面」は、明確な0ボルト接地平面があることを確実にし、雑草からこの接地平面への電荷の放出を改善することで、また、帯電した液体粒子が概して雑草の方向に引き寄せられ続けることを確実にすることで、電荷の蓄積の影響を緩和する。このように、いかにわずかであれ、雑草が帯電することによる空間帯電効果が緩和されるので、液状化学薬品の雑草への移送が更に改善される。
【0024】
第2の態様によれば、
1つ以上のカメラと、
車両に搭載される、第1の態様およびいずれかの記載された例による雑草防除装置と、
1つ以上の液状雑草防除化学薬品を収容するよう構成され、車両に搭載される1つ以上の貯蔵容器と、
を含む、雑草防除システムが提供される。
【0025】
1つ以上のカメラは、1枚以上の画像を取得するように構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニットおよび1つ以上の貯蔵容器は、互いに流体接続するよう構成される。雑草防除装置は、1つ以上の液状雑草防除化学薬品を霧化し、帯電させ、散布するよう構成される。
【0026】
このように、車両が環境中を移動して回り、散布を行うべき正確な場所を決定するためにその環境の画像を用い、これに基づいて移送効率を向上させた化学薬品散布剤を用いてその環境中の雑草を管理することができる。このように、画像は1つの基台、例えば環境上空を飛ぶ1つまたは複数のドローンにより取得してもよい。その情報は車両に搭載された装置に送られる。そして、装置は環境中の正しい位置で散布ユニットを起動する。
【0027】
一例において、1つ以上のカメラは車両に搭載される。
【0028】
このように、システムは、画像を取得し、いつどこで化学薬品散布ユニットを起動するかを決定するためにその画像を分析することで、リアルタイムまたは準リアルタイムに動作することができる。
【0029】
第3の態様によれば、
(a)処理部に環境の1枚以上の画像を提供することと、
(c)1つ以上の化学薬品散布ユニットを起動するために、処理部により1枚以上の画像を分析することと、
(f)1つ以上の化学薬品散布ユニットにより、液状雑草防除化学薬品を霧化して帯電させることと、
を含み、
1つ以上の化学薬品散布ユニットは、0ボルト電位に対して高電圧に維持されるよう構成される少なくとも1つの部分を含み、少なくとも1つの高電圧電源および1つ以上の化学薬品散布ユニットは、霧化された液状雑草防除化学薬品が帯電するように、1つ以上の化学薬品散布ユニットの少なくとも1つの部分を0ボルト電位に対して少なくとも1つの高電圧に維持するよう構成される、
車両のための雑草防除方法が提供される。
【0030】
一例において、ステップ(f)は、液状雑草防除化学薬品を帯電させる前に霧化することを含む。
【0031】
一例では、ステップ(a)において1枚以上の画像が1つ以上のカメラにより取得され、この方法は、1枚以上の画像が取得された際の1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供するステップ(b)を含む。
【0032】
一例において、方法は、少なくとも1つの電極を0ボルト電位にまたはその近くに維持するステップ(d)と、1つ以上の化学薬品散布ユニットから間隔の空いた接地平面に少なくとも1つの電極を配置するステップ(e)と、1つ以上の化学薬品散布ユニットにより少なくとも1つの電極の接地平面上の配置に対応する位置に液状雑草防除化学薬品を散布するステップ(g)とを更に含む。
【0033】
別の態様によれば、第1態様の装置に係る装置および/または第2態様に係るシステムを制御するためのコンピュータプログラムエレメントが提供され、このコンピュータプログラムエレメントはプロセッサにより実行された場合、第3態様の方法を実行するように構成される。
【0034】
有利なことに、上記の態様のいずれかにより提供される利益は他の態様のすべてに同様に当てはまり、逆もまた同様である。
【0035】
上記の態様および実施例はこの後に記述される実施形態から明らかになり、これらの実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
以下では、例示の実施形態を以下の図面を参照しながら説明する。
図1図1は、雑草防除装置の一例の概略構成を示す。
図2図2は、雑草防除システムの一例の概略構成を示す。
図3図3は、雑草防除方法を示す。
図4図4は、雑草防除システムの部分の一例の概略構成を示す。
図5図5は、雑草防除システムの部分の一例の概略構成を示す。
図6図6は、雑草防除システムの一例の概略構成を示す。
図7図7は、雑草防除システムの一例の概略構成を示す。
図8図8は、雑草防除システムの部分の一例の概略構成を示す。
図9図9は、鉄道軌道と周辺エリアの概略表示である。
図10図10は、雑草防除システムの部分の一例の概略構成を示す。
図11図11は、雑草防除システムの部分の一例の概略構成を示す。
図12図12は、雑草防除システムの部分の一例の概略構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、車両のための雑草防除装置10の一例を示す。装置10は、入力部20、処理部30、1つ以上の化学薬品散布ユニット40、および少なくとも1つの高電圧電源50を含む。入力部20は処理部30に環境の1枚以上の画像を提供するよう構成される。処理部30は、1つ以上の化学薬品散布ユニット40を起動するために1枚以上の画像を分析するよう構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニット40は、液状雑草防除化学薬品を霧化するよう構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニット40は、0ボルト電位に対して高電圧に維持されるよう構成される少なくとも1つの部分42を含む。少なくとも1つの高電圧電源50および1つ以上の化学薬品散布ユニット40は、霧化された液状雑草防除化学薬品が帯電するように、1つ以上の化学薬品散布ユニット40の少なくとも1つの部分42を0ボルト電位に対して少なくとも1つの高電圧に保つよう構成される。したがって、少なくとも1つの高電圧電源50および1つ以上の化学薬品散布ユニット40は、1つまたは複数の化学薬品散布ユニットを1つまたは複数の異なる高電圧に維持することができる。したがって、1つの化学薬品散布ユニットの電圧を変えてもよく、別々の化学薬品散布ユニットが、別々の電圧を同時に有していてもよく、個別の化学薬品散布ユニットのこれら個々の電圧のうち1つまたは複数の電圧を時間の経過とともに変化させてもよい。そのような変更はOFF状態からON状態への操作、およびON状態からOFF状態への動作を含む。このようにして、散布ユニットは、液状雑草防除化学薬品を霧化し帯電させ散布しているときには例えば0ボルトから-100kVになり、その後雑草への散布が完了した後に0ボルトに戻る。しかし、散布銃は継続的に高電圧に維持されてもよい。ただし、この電圧は上記のとおり時間とともに変わり得る。
【0038】
「高電圧」に関して、「高」は、通常の意味で用いられ、それが意味する大きさは接地電位(0ボルト)に対して正でも負でもあり得る。
【0039】
一例において、1つ以上の化学薬品散布ユニットの各ユニットは、0ボルト電位に対して高電圧に維持されるよう構成される少なくとも1つの部分を含む。
【0040】
一例において、化学薬品散布ユニットの各ユニットは、化学薬品散布銃またはノズルと化学薬品貯蔵容器に通じるよう構成される導管とを含む。一例において、1つ以上の化学薬品散布ユニットは、1つ以上の液状雑草防除化学薬品貯蔵容器を含む。
【0041】
したがって、「1つ以上の化学薬品散布ユニット」は、少なくとも1つの散布銃(またはノズル)を意味することがある。また、「1つ以上の化学薬品散布ユニット」は、関連する液体移送導管を伴う少なくとも1つの散布銃(またはノズル)を意味することがある。また、「1つ以上の化学薬品散布ユニット」は、関連する液体移送導管および少なくとも1つの化学薬品貯蔵容器を伴う少なくとも1つの散布銃(またはノズル)を意味することがある。
【0042】
一例において、高電圧は20kVの大きさである。一例において、高電圧は40kVの大きさである。一例において、高電圧は60kVの大きさである。一例において、高電圧は80kVの大きさである。一例において、高電圧は100kVの大きさである。一例において、高電圧は120kVの大きさである。一例において、高電圧は140kVの大きさである。一例において、高電圧は160kVの大きさである。一例において、高電圧は180kVの大きさである。一例において、高電圧は200kVの大きさである。高電圧は200kVを超える大きさであってもよい。高電圧は正でも負でよく、霧化された液状散布剤の小滴が正または負に帯電するが、通常は負の高電圧で動作する。
【0043】
一例において、1つ以上の化学薬品散布ユニットの少なくとも1つの部分は、0ボルト電位に対して負の高電圧に維持される。
【0044】
一例において、装置は、霧化された液状雑草防除化学薬品が負に帯電するように構成される。
【0045】
一例において、装置は処理部と通信する出力部を含み、出力部は1つ以上の化学薬品散布ユニットを起動するよう構成される。したがって、出力部は、処理部の制御により散布ユニットを起動するために必要なリレーおよび電気制御を有している。
【0046】
一例において、この装置はリアルタイムで動作していて、画像は取得されると即座に処理され、単数または複数の化学薬品散布ユニットが即座に用いられ、雑草防除のためのそれら散布ユニットが起動される。したがって、例えば、車両がその周囲の環境の画像を取得し、その画像を処理して、散布ユニットをリアルタイムで起動してもよい。
【0047】
一例において、装置はオフラインモードで動作し、(装置または別の適切なシステムによって)環境の画像が取得され、後に装置によって処理され、化学薬品散布ユニットが起動される。したがって、例えば、1つまたは複数のカメラを搭載した、乗用車、列車、貨物自動車、無人航空機(UAV)、またはドローンなどの第1の車両が環境中を移動し画像を取得してもよい。その後、この画像が、周囲を移動する装置によって処理され、化学薬品散布ユニットが起動されてもよい。
【0048】
一例において、1つ以上の化学薬品散布ユニットは、液状雑草防除化学薬品を霧化するよう構成される霧化器44を含む。一例において、霧化器は圧縮空気を用いて液状雑草防除化学薬品を霧化するよう構成される。一例において、霧化器は回転する金属ディスクを含む。このように、液状雑草防除化学薬品を霧化するために回転型ベルシステム(rotational bell system)を用いてもよく、電荷が金属ディスクから霧化された液体に与えられるように、この回転するディスクもまた高電圧に維持される部分であってもよい
【0049】
なお、「霧化された(atomized)」は個々の原子を意味せず、この用語の散布システムに関する標準的な用法に従って、様々なサイズの粒子からなる細かい霧を意味することに留意すべきである。
【0050】
一例において、1つ以上の化学薬品散布ユニットは、液状雑草防除化学薬品を霧化する前に帯電させるように構成される。一例において、高電位に維持される少なくとも1つの部分は、散布銃内で液体と接触し、この場合、各散布ユニットは散布銃を有し、各散布銃は、液状雑草防除化学薬品と接触する高電位に維持される部分を有している。一例において、高電位に維持される少なくとも1つの部分は、散布銃につながる導管内部で液体と接触し、この場合、各散布ユニットは散布銃を有し、各散布銃は導管を有し、この導管の内部が液状雑草防除化学薬品と接触する高電位に維持される部分である。一例において、高電位に維持される少なくとも1つの部分は、散布銃内で液体と接触し、この場合、各散布ユニットは散布銃を有し、各散布銃は液状雑草防除化学薬品を収容する貯蔵容器に接続され、これらが1つ以上の化学薬品散布ユニットを形成し、したがって、液状雑草防除化学薬品と接触する貯蔵容器の内部に、高電位に維持される部分が1つだけ必要である。
【0051】
すなわち、液状雑草防除化学薬品を霧化の前に直接帯電させる接触帯電システムが用いられる。
【0052】
一例において、1つ以上の化学薬品散布ユニットは、液状雑草防除化学薬品を霧化しながら帯電させるよう構成される。
【0053】
すなわち、液状雑草防除化学薬品を帯電させるために摩擦帯電(トライボ帯電)が用いられる。こうすると、ノズル自体の形状によって液体を霧化し帯電させる簡素な散布システムの構築が可能となり、これは摩擦帯電および高電位にある散布ユニットと接地電位にある雑草の間の電界を利用する散布システムとして知られている。このように、少なくとも1つの散布ユニットの高電圧に維持される部分は液状雑草防除化学薬品と接触する必要がなく、液状雑草防除化学薬品は接地電位にあって安全性を向上させることができる。
【0054】
一例において、処理部は、少なくとも環境の第1の部分において雑草防除のために使われる1つ以上の化学薬品散布ユニットの少なくとも1つの動作モードを決定するために1枚以上の画像を分析するよう構成される。
【0055】
すなわち、環境の1つまたは複数の画像が取得されている。単数または複数の化学薬品散布ユニットは、例えば、異なる化学薬品を散布したり、散布ユニットと散布対象の雑草との間の電界を変えるため異なる高電圧で動作したり、散布ユニットと散布対象の雑草との間の距離を変えたりするなど、複数の異なる動作モードで動作するものであってもよい。そうして装置は、環境の1つまたは複数の特定の場所における雑草防除のために、1つ以上の化学薬品散布ユニットの利用可能な動作モードの中からどの1つまたは複数の動作モードを用いるべきかを決定するために、1つまたは複数の画像を分析する。
【0056】
このように、環境内の相異なるエリアのために最適な散布ユニットの動作モードを用いてもよい。また、環境内の相異なるエリアで、それぞれの異なるエリアのためにそれぞれの動作モードが最適となるような、散布ユニットの相異なる動作モードを用いてもよい。
【0057】
一例によれば、1つ以上の化学薬品散布ユニットは、液状雑草防除化学薬品を霧化した後に、霧化された液状雑草防除化学薬品を帯電させるよう構成される。
【0058】
一例によれば、少なくとも1つの部分42は、霧化された液状雑草防除化学薬品の中に配置されるよう構成される電極42を含む。
【0059】
一例によれば、処理部は、1つ以上の化学薬品散布ユニットを起動するための1つ以上の場所を決定するために1枚以上の画像を分析するよう構成される。
【0060】
一例によれば、1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動のための1つ以上の場所を決定するための1枚以上の画像の分析は、環境中の植生の1つ以上の場所の決定を含む。
【0061】
一例において、処理部は、環境中の植生のその1つ以上の場所で用いられるべき、1つ以上の化学薬品散布ユニットの少なくとも1つの動作モードを決定するよう構成される。
【0062】
一例によれば、1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動のための1つ以上の場所を決定するための1枚以上の画像の分析は、1種類以上の雑草の決定を含む。
【0063】
一例において、1枚以上の画像の分析は、機械学習アルゴリズムの活用を含む。
【0064】
一例において、機械学習アルゴリズムは決定木アルゴリズムを含む。
【0065】
一例において、機械学習アルゴリズムは人工ニューラルネットワークを含む。
【0066】
一例において、機械学習アルゴリズムは、複数の画像に基づいて学習させてあってもよい。一例において、機械学習アルゴリズムは、1種類以上の雑草の画像を含む複数の画像に基づいて学習させてあってもよい。一例において、機械学習アルゴリズムは、複数の雑草の画像を含む複数の画像に基づいて学習させてあってもよい。
【0067】
一例において、処理部は、環境中のその1つ以上の場所に存在すると決定された種類の雑草に基づいて、1つ以上の化学薬品散布ユニットの用いられるべき少なくとも1つの動作モードを決定するよう構成される。
【0068】
すなわち、化学薬品散布ユニットの適切な動作モードは管理対象の1つまたは複数の種類の雑草に応じて選ばれてもよい。したがって、例えば、ある種類の雑草は、ある特定の化学薬品を短時間散布するだけで枯らすことができるが、別の種類の雑草を枯らすには同じ化学薬品をより長い時間散布する必要がある場合がある。または、異なる化学薬品を異なる雑草に散布する場合もあり、または異なる電圧が用いられる場合もあり、例えば、葉の片面だけに散布すれば枯らすことができる雑草もあれば、葉の両面に散布することで管理が劇的に改善される雑草があるという場合もあり、この種類の雑草が存在していると決定される画像処理に基づいて、装置は、雑草散布中の電圧を変化させ、包み込み効果を増大させて、静電力により霧化された液体が葉の裏側にも引き寄せられるようにしてもよい。
【0069】
一例によれば、1枚以上の画像は1つ以上のカメラにより取得された。入力部は、1枚以上の画像が取得されたときに1つ以上のカメラに関連付けられた1つ以上の場所を、処理部に提供するよう構成される
【0070】
一例において、場所は、地理上の絶対位置である。
【0071】
一例において、場所は1つ以上の化学薬品散布ユニットの位置を基準にして決定される場所である。すなわち、ある画像を、その正確な地理上の位置を知ることなく、地面上の特定の場所と関連付けられたものと決定してもよく、この決定は、その画像が取得された時点での1つ以上の化学薬品散布ユニットの、位置に対する配置を知ることによってなされ、そして、1つ以上の化学薬品散布ユニットは、後で、1つ以上の化学薬品散布ユニットをその場所に移動することにより、その場所で起動される。
【0072】
一例において、GPSユニットが、特定の画像が取得されたときの1つ以上のカメラの場所を決定するために、および/またはその決定において用いられる。
【0073】
一例において、特定の画像が取得されたときの1つ以上のカメラの場所を決定するために、慣性航法ユニットが単独でまたはGPSユニットと組み合わせて用いられる。したがって、例えば、例えば1つまたは複数のレーザージャイロスコープを含む慣性航法ユニットを、ある既知の位置で較正しまたはゼロに目盛り合わせし、このユニットが1つ以上のカメラとともに移動するにつれて、x、y、z座標で表される、その既知の位置からの移動量を決定し、これに基づいて、画像が取得されたときの1つ以上のカメラの場所を決定してもよい。
【0074】
一例において、特定の画像が取得されたときの1つ以上のカメラの場所を決定するために、取得された画像の画像処理が、単独で、またはGPSユニットと組み合わせて、またはGPSユニットおよび慣性航法ユニットと組み合わせて、用いられる。
【0075】
一例において、処理部は、1つ以上の化学薬品散布ユニットの少なくとも1つの部分を0ボルト電位に対して高圧に維持するための少なくとも1つの高電圧電源を起動するために、1枚以上の画像を分析するよう構成される。
【0076】
一例において、少なくとも1つの高電圧電源の少なくとも1つの起動時間は、1つ以上の化学薬品散布ユニットの少なくとも1つの起動時間を含む。すなわち、装置は、散布ユニットに電力を提供し、適切な部分を高電位に上げ、その高電位に維持し、次に散布ユニットが起動し液体を霧化し、霧化された液体を帯電させ、次に液体の散布は終了するが、高電圧は引き続き加えられており、霧化された液体が電界により雑草に引き寄せられる。このように、システムは必要なときにだけ高電圧の電力を提供し、節電と安全性向上がもたらされる。
【0077】
一例によれば、装置は、0ボルト電位にまたは0ボルト電位の近くに維持されるよう構成される少なくとも1つの電極60を含む。装置は、1つ以上の化学薬品散布ユニットから間隔の空いた接地平面に少なくとも1つの電極を配置することができ、1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動により、液状雑草防除化学薬品が少なくとも1つの電極の接地平面上の配置に対応する位置に散布されるよう構成される。
【0078】
一例において、接地電極を用いる代わりに、装置は1つ以上の導電性液体散布ユニット70を含む。処理部は1つ以上の導電性液体散布ユニットを起動するために1枚以上の画像を分析するよう構成される。1つ以上の導電性液体散布ユニットの起動時間は、1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動時間よりも先である。
【0079】
このように、雑草防除化学薬品の雑草への移送効率増加の潜在的な減少につながる雑草への電荷の蓄積を緩和するために、液状雑草防除化学薬品の散布の前に導電性散布剤を雑草に散布してもよい。このように、雑草に蓄積する潜在的な電荷が緩和され、いかにわずかであれ、雑草が帯電することによる空間帯電効果が緩和されるので、液状化学薬品の雑草への移送が更に向上する。
【0080】
一例において、導電性液体は塩水である。
【0081】
一例において、処理部は、1つ以上の導電性液体散布ユニットの起動のための1つ以上の場所を決定するために、1枚以上の画像を分析するよう構成される。
【0082】
一例において、1つ以上の導電性液体散布ユニットの起動のための1つ以上の場所を決定するための1枚以上の画像の分析は、環境中の植生の1つ以上の場所の決定を含む。
【0083】
すなわち、取得された画像中の植生のエリアを決定するために画像処理を用いてもよく、それらの位置に導電性散布剤が散布される。
【0084】
一例において、1つ以上の導電性液体散布ユニットの起動のための位置は、1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動のための位置と同じである。
【0085】
一例において、同じ散布ユニットが2つの貯蔵容器に接続され、導電性液体および液状雑草防除化学薬品の両方を散布するために用いられる。そうしてユニットは導電性化学薬品の貯蔵容器に接続され、この液体が効果的に雑草に移送されるよう、この場合もこの化学薬品を帯電させ霧化させて散布することができる。次に、ユニットは液状雑草防除化学薬品の貯蔵容器に接続され、再び起動する。移動する基台上にあっても雑草に同じユニットで2度散布できるように、このような貯蔵容器間の移動は極めて迅速に実施され得る。一例において、散布中に導電性化学薬品を帯電させる必要がないため別々の散布ユニットが用いられるが、必要であれば帯電させてもよい。
【0086】
図2は雑草防除システム100の一例を示す。システム100は、1つ以上のカメラ110、および図1およびいずれかの関連する例に関して説明した雑草防除装置10を含む。雑草防除装置10は車両120に搭載される。更にシステムは、1つ以上の液状雑草防除化学薬品を収容するよう構成される1つ以上の貯蔵容器130を含む。1つ以上の貯蔵容器は車両120に搭載される。1つ以上のカメラ110は1枚以上の画像を取得するよう構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニット40および1つ以上の貯蔵容器130は互いに流体接続するよう構成される。これにより単数または複数の液状雑草防除化学薬品が1つまたは複数の貯蔵容器から散布銃またはノズルに流れることが可能になる。雑草防除装置は、1つ以上の液状雑草防除化学薬品を霧化し、帯電させ、散布するよう構成される。
【0087】
一例において、システムは少なくとも化学薬品散布ユニットと地面との距離を決定するよう構成される1つ以上の距離センサを含み、1つ以上の距離センサは、処理部に距離を提供し、処理部は、1つ以上の貯蔵容器を地面から所定の距離に動かすようシステムに指示するよう構成される。一例において、所定の距離は10cmである。一例において、所定の距離は20cmである。一例において、所定の距離は30cmである。一例において、所定の距離は40cmである。一例において、所定の距離は50cmである。一例において、所定の距離は60cmである。一例において、所定の距離は70cmである。一例において、所定の距離は80cmである。一例において、所定の距離は90cmである。一例において、所定の距離は100cmである。一例において、所定の距離は120cmである。一例において、所定の距離は140cmである。このように、地面と散布ユニットとの間、例えば散布銃と地面との間に必要な間隔を、雑草防除化学薬品の雑草への移送の最適化のための散布特性の最適化および電界強度(ボルト毎メートル)の最適化が確実にできるように、維持できる。一例において、距離センサは、レーザー型またはLED型のタイム・オブ・フライト・センサである。一例において、距離センサはレーダーセンサである。一例において、距離センサ超音波センサである。
【0088】
一例によれば、1つ以上のカメラは車両に搭載される。
【0089】
一例において、車両は列車である。
【0090】
一例において、車両は、貨物自動車、トラック、またはウニモグである。
【0091】
一例において、入力部は、1枚以上の画像が取得されたときに1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供する。一例において、位置は地理上の位置である。
【0092】
一例において、装置は、1枚以上の画像が取得されたときに1つ以上のカメラと関連付けられた少なくとも1つの地理上の位置および1つ以上のカメラと1つ以上の化学薬品散布ユニットの空間的関係に基づき1つ以上の化学薬品散布ユニットを起動するよう構成される。このように、車両に搭載されたカメラによって画像が取得された場所、および車両上でのカメラに対する化学薬品散布ユニットの搭載位置を知ることによって、単に車両の前進速度を考慮することで、画像が撮影されたエリア内の、画像が取得されたのと同じ場所でその化学薬品散布ユニットを起動することができる。
【0093】
図3は、車両用の雑草防除方法200の基礎的ステップを示す。方法200は、
提供ステップ210(ステップ(a)とも呼ぶ)において処理部に環境の1枚以上の画像を提供することと、
分析ステップ220(ステップ(c)とも呼ぶ)において、1つ以上の化学薬品散布ユニットを起動するために、処理部により1枚以上の画像を分析すること、
霧化・帯電ステップ230(ステップ(f)とも呼ぶ)において、1つ以上の化学薬品散布ユニットにより、液状雑草防除化学薬品を霧化して帯電させることと
を含む。1つ以上の化学薬品散布ユニットは、0ボルト電位に対して高電圧に維持されるよう構成される少なくとも1つの部分を含む。少なくとも1つの高電圧電源および1つ以上の化学薬品散布ユニットは、霧化された液状雑草防除化学薬品が帯電するように、1つ以上の化学薬品散布ユニットの少なくとも1つの部分を0ボルト電位に対して少なくとも1つの高電圧に維持するよう構成される。
【0094】
一例によれば、ステップ(f)は、液状雑草防除化学薬品を帯電させる前に霧化することを含む。
【0095】
一例において、少なくとも1つの部分は、霧化された液状雑草防除化学薬品の中に配置されるよう構成される電極を含む。
【0096】
一例において、ステップ(c)は、1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動のための1つ以上の場所を決定するために処理部により1枚以上の画像を分析することを含む。
【0097】
一例において、ステップ(c)は、環境中の植生の1つ以上の場所の決定を含む。
【0098】
一例において、ステップ(c)は、1種類以上の雑草の決定を含む。
【0099】
一例によれば、ステップ(a)において、1枚以上の画像は1つ以上のカメラにより取得された。この場合、方法は、1枚以上の画像が取得されたときに1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理部に提供するステップ(b)240を含んでいてもよい。
【0100】
一例によれば、方法は、少なくとも1つの電極を0ボルト電位にまたは0ボルト電位の近くに維持するステップ(d)250と、1つ以上の化学薬品散布ユニットから間隔の空いた接地平面に少なくとも1つの電極を配置するステップ(e)260と、1つ以上の化学薬品散布ユニットにより少なくとも1つの電極の接地平面上の配置に対応する位置に液状雑草防除化学薬品を散布するステップ(g)270を含む。
【0101】
一例において、1つ以上の導電性液体散布ユニット80を含む請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。処理部は、1つ以上の導電性液体散布ユニットを起動するために1枚以上の画像を分析するよう構成される。1つ以上の導電性液体散布ユニットの起動時間は1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動時間より前である。
【0102】
これより、鉄道軌道の環境における雑草防除に関する図4~12を参照しつつ、雑草防除のための装置、システム、および方法を更に詳細に説明する。1つまたは複数の液状雑草防除化学薬品を霧化し、散布する能力を備えた、上記の装置が列車に搭載されている。
【0103】
図4は、雑草防除システムの一例の部分を示す。霧化器またはノズルとも称される散布銃を備えた複数の化学薬品散布ユニットが列車に搭載されている。図では1つの霧化器が動作している。霧化器は、高圧電線で高電圧電源に電気的に接続されている。これは(+/-)20~200kVの範囲で動作できる。図示する例では、霧化器はマイナス(-)100kVで動作している。霧化器は、液状雑草防除化学薬品を収容する貯蔵容器にも液体導管を介して接続されている。図4に示すように、霧化器から来ている接続の一部は高電圧/液体導管複合「ケーブル」であってもよい。しかし、完全に別々のケーブル/導管を用いてもよい。この例では、液体は、-100kVにまたはその近くに維持される必要がある。これは、霧化の対象の液体と接触している霧化器筐体に高電圧電源を接続することを通じて達成される。しかし、液体が導電性を有するため高電圧電源は貯蔵容器に直接接続してもよく、それでも霧化器は-100kVにまたはその近くに維持される。実際、貯蔵容器は高電位に維持され、図4に示すように電気絶縁体が必要となる。霧化器は、コンプレッサからの圧縮空気を用いて液状雑草防除化学薬品をペイントスプレーヤと同様の方法で霧化する。液体の小滴は負に帯電し、接地電位(0ボルト)にある雑草に引き寄せられる。しかし、液体の霧化の方法としては他の方法も可能であり、そのため図4には液体を霧化する手段は示していない。また、霧化器は正の高電圧で動作してもよく、小滴は正に帯電して、接地電位にある雑草に引き寄せられる。
【0104】
以下で更に詳細に説明するように、取得された画像に基づいて、雑草の場所と種類が決定される。雑草に散布するために使用されるべき特定の液状雑草防除化学薬品、およびその際の最適散布条件を処理部(図示せず)が決定する。雑草に対して散布をするために必要とされる特定の霧化器が決定される。次に、電圧および電界強度についての必要な散布条件に照らし、雑草の地面からの高さも考慮して、霧化器の高さが最適な高さに調整される。霧化器に電圧が印加され、霧化器が液体を霧化し、細かい散布剤が帯電して雑草に引き寄せられ、葉の表面、裏面を含め、然るべく雑草を覆う。霧化器は様々な電圧で動作する代わりに、単一の電圧で動作してもよく、オン・オフを切り替えずに常に1つでもよく、また様々な高さで動作する代わりに地面から一定の高さで動作してもよい。
【0105】
図4には複数の他の霧化器も示している。これらはすべて同じ高電圧電源に接続してもよい。しかし、別々の霧化器は、同時に別々の電圧で操作できるように、別々の電源に接続してもよい。すべての霧化器を同じ液状雑草防除化学薬品貯蔵容器に接続してもよいが、いくつかの霧化器を別々の貯蔵容器に接続して別々の化学薬品を散布できるようにもよい。図4に示す中央の霧化器について上述したのと同様に、これら他の霧化器もやはり地面からの距離を変えてもよく、印加する電圧を変えてもよい。しかしここでも、必要であれば、霧化器を同じ電圧、同じ高さで動作させてもよい。
【0106】
図5は、図4に関連して説明したものと同様ながら高電圧に維持する必要のある部分がより少ないという追加的利点を有する雑草防除システムの一例の部分を示す。ここでは、高電圧はイオン化針に印加される。ここでも霧化器が液状雑草防除化学薬品を霧化する。しかし、霧化器の本体はイオン化針から絶縁されているため、液体が高電位に維持されることがない。しかし、イオン化針は、霧化された液体の流れの中に位置している。空気がイオン化し、イオンが液体の小滴に引き寄せられ、小滴が帯電する。このように、貯蔵容器および霧化器本体が高電位である必要がない。このシステムにおいては、液状化学薬品を静電帯電させる効率は、図4に示す直接帯電メカニズムに比べて低い場合があるが、安全上の利点がある。動作電圧および高さなど他の特徴は図4での説明と同様である。
【0107】
図6は、雑草防除システム100の一例を示す。数機のドローンがカメラ110を有している。ドローンは鉄道軌道に沿って飛行する。カメラは軌道間の地面および軌道の両側の地面である鉄道軌道環境の画像を取得する。撮影されている環境は、雑草防除が必要な環境である。ドローンは数機必要な訳ではなく、1つのカメラ110を備える1機のドローンで必要な画像を取得してもよい。実際、画像の取得は、例えば、1つのカメラ110または複数のカメラ110を人が手に持って鉄道軌道環境を訪れて行ってもよく、飛行機、衛星、または鉄道軌道を走る列車により行ってもよい。カメラ110により取得された画像は、植生が植生として同定できる解像度のものであり、実際、ある種類の雑草を別の種類の雑草から区別できる解像度のものであってよい。取得される画像はカラー画像であってよいが、その必要はない。ドローンによって取得された画像は装置10に送信される。画像は、カメラ110により取得されると即座に装置10に送信されてもよく、または、取得された後の時間、例えばドローンが着陸したときに、送信されてもよい。ドローンは、全地球測位システム(GPS)を有していてもよく、これにより取得した画像の位置を決定することができる。例えば、画像が取得されたときのカメラ110の方向とドローンの位置を、地平面上における当該画像の地理上の撮影範囲を決定するために用いることができる。ドローンは、例えばレーザージャイロスコープに基づく慣性航法システムを有していてもよい。慣性航法システムは、ドローンの方向を決定し、またそれによりカメラの方向を決定し、画像が取得された地面上の場所の決定を容易にするために使われるのみならず、1つまたは複数の既知の位置からの移動量を決定することによりドローンの位置を決定するためにGPSシステムなしで単独で機能することができる。
【0108】
装置10の入力部20は、取得された画像を処理部30に送る。画像処理ソフトウェアが処理部30で動作する。画像処理ソフトウェアは、エッジ検出などの特徴抽出、および、例えば鉄道軌道、枕木、樹木、踏切、駅のプラットホームなどの構造物を同定できる物体検出分析を利用する。したがって、処理部は、例えば建物の位置などの、環境中の既知の物体の位置に基づき、また、枕木の間隔や鉄道軌道幅などの既知の構造情報に基づいて、取得した画像をつなぎ合わせ、事実上、環境の合成表示を生成することができ、この合成表示は環境の地理的地図の上に事実上重ね合わせることができる。したがって、各画像の地理上の位置を決定することができ、取得された画像に関連するGPSおよび/または慣性航法に基づく情報の必要はない。しかし、GPSおよび/または慣性航法情報が利用可能な場合には、画像のみに基づいて特定の画像を特定の地理上の位置に当てはめ得るこのような画像分析は不要である。しかしながら、GPSおよび/または慣性航法に基づく情報が利用可能な場合、このような画像分析は、画像と関連付けられる地理上の位置を補強するために用いることができる。したがって、例えば、GPSおよび/または慣性航法に基づく情報に基づいて、取得された画像の中心が、鉄道のある区間のある特定の枕木の側辺から22cm、端から67cmに位置すると考えられ、一方、実際の画像から上述の画像分析を利用して、画像の中心はその枕木の側辺から25cm、端から64cmに位置すると決定された場合、GPS/慣性航法に基づいて得られた位置を一方向に3cm、別の方向に3cmずらすことにより補強することができる。
【0109】
処理部30は、更なる画像処理ソフトウェアを作動させる。このソフトウェアは画像を分析し、植生が見つかるであろう画像内のエリアを決定する。植生は、取得された画像内にある特徴物の形に基づいて検知してもよく、その場合、物体の外縁およびその物体自体の外縁の中の特徴物の外縁を画定するために、例えばエッジ検出ソフトウェアが用いてられる。例えば、人工ニューラルネットワークまたは決定木分析などの、訓練を施した機械学習アルゴリズムを用いて画像内の特徴物が植生に関するものか否かを決定するための補助として、植生画像のデータベースを用いてもよい。カメラは、画像内の色に関する情報を有するマルチスペクトル画像を取得してもよく、植生の見つかるであろう画像内の場所を決定するために、これを単独で用いても特徴検出と組み合わせて用いてもよい。上述のとおり、画像の地理上の位置は、画像の地面上での大きさを知ることにより決定できるので、植生が見つかるであろう1つまたは複数の画像内の位置は、その植生の地面上の正確な場所に投影できる。
【0110】
次に処理部30は、更なる画像処理ソフトウェアを作動させてもよく、このソフトウェアは、特徴抽出を用いている場合には、特徴抽出に基づいて植生の位置を決定する画像処理の一部であってよい。このソフトウェアは機械学習アナライザを含む。具体的な雑草の画像が、用いられる雑草のサイズに関連する情報とともに取得される。その雑草の見つかるであろう場所の世界地理上の位置に関する情報、および、開花時期を含む、その雑草が見つかるであろう季節に関する情報が画像にタグ付けされてもよい。雑草の名前が雑草の画像にタグ付けされてもよい。機械学習アナライザは、人工ニューラルネットワークまたは決定木アナライザに基づくものであってよいが、このグランドトゥルース取得画像を用いて訓練される。このように、アナライザに新しい植生画像--そのような画像には季節などのタイムスタンプおよびドイツまたは南アフリカなどの地理上の位置がタグ付けされていてもよい--が提示されると、アナライザは、新しい画像に見いだされる雑草の画像を、訓練に用いた様々な雑草の画像と比較することによって、具体的な雑草の種類を決定するが、この際に雑草のサイズ、繁殖する場所と季節をも考慮してもよい。したがって、環境中の地面上の雑草の具体的な位置およびそのサイズが決定できる。
【0111】
処理部30は、様々な雑草の種類、使用に最適な化学薬品散布剤、および、その化学薬品でその種類の雑草を管理する際に用いられるべき電圧および電界強度に関する散布銃の動作モードを含む、実験で決定されたデータで構築されるデータベースにアクセスを有する。例えば、複数の利用可能な化学薬品の中から、雑草に散布すべき特定の種類の化学薬品、特定の種類の雑草に対する特定の場所での散布継続時間、霧化器に印加すべき高電圧、用いられるべき電界強度、霧化器が動作すべき高さに関する情報提供である。したがって、例えば化学薬品散布剤に用いられる特定の種類の化学薬品は特定の種類の雑草に最も最適かもしれない。処理部は環境中の特定の場所にある1本の雑草またはこの雑草のかたまりについて、この化学薬品を散布する化学薬品散布銃が、その特定の化学薬品を用いてその雑草を管理するためにその特定の場所で起動されるべきであると決定してもよい。しかし、その雑草は、違う種類の液状雑草防除化学薬品での対処が最適な、違う種類の雑草の大きなかたまりに囲まれているかもしれない。したがって、第1の雑草の周りの、より大きなかたまりには、違う化学薬品を散布することができる。例えば、枯らしづらい雑草がある特定の場所では毒性の強い化学薬品を散布し、管理がより容易な雑草には、より毒性の弱い化学薬品を散布することができる。したがって、霧化された散布剤が帯電することで、散布した化学薬品の雑草への付着が増加する上に、特定の種類の化学薬品を必要なときにのみ用いることができる。このことは、化学薬品の使用を減らし、使用電力を減らし、また化学薬品の環境影響を減らすことにつながる。処理部は、管理の必要なすべての雑草に対して、少なくとも化学薬品が少なくとも1つの散布銃により特定の方法で散布されるように確実に割り当てられるようにする。処理部は、次に、散布銃の、どの1つまたは複数の動作モードがどこで適用されるかを詳細に示す適切な雑草防除マップを生成する。
【0112】
このように、ドローンのカメラ110は環境の画像を取得し、画像は処理部30に送られ、処理部30はどの散布銃動作モードがどの具体的な地理上の位置で用いられるべきかを決定する。このように、化学薬品、電圧、電界強度、高さに関する散布銃の具体的な動作モードが環境中のどこで使われるべきかを示す、雑草マップまたは雑草散布マップを生成することができる。
【0113】
引き続き図6を参照すると、雑草防除列車120は、鉄道軌道上を前進していく。雑草防除列車は、複数の貨車を有し、各貨車は、雑草防除装置10の関連部分および液状雑草防除化学薬品の貯蔵容器130を収納している。しかし、入力部20、処理部30は1台の貨車にのみあればよく、例えば先頭または第1の貨車に収納されていてもよい。したがって、各貨車は、各貨車の下および両脇に位置する複数の散布銃または散布ユニット40から、異なる液状雑草防除化学薬品を散布することができる。各貨車は、個別の高電圧電源50を有し、各貨車の複数の散布ユニットは同じ電圧で動作させてもよく、または、2つ以上の電圧を同時に提供できる1つの電源を用いるか、もしくは各貨車に2つ以上の電源を用いることで、1台の貨車の複数の散布ユニットを様々な電圧で動作させてもよい。各散布ユニットは、上述のとおり、検出された雑草への散布を最適化するために、垂直に上下させることができる。雑草防除列車は、上述の雑草マップまたは雑草防除マップを利用するプロセッサ(図示せず)を有する。雑草防除列車は、その地理上の位置を決定する手段を有し、その手段は、GPS、慣性航法、画像分析のうちの1つまたは複数に基づくものであってよく、これは特定の瞬間における雑草防除列車の場所および各貨車の相異なる散布ユニットの具体的位置を特定するためである。このことは、雑草防除列車が環境中を通過するときに、雑草がある特定の場所で相異なる散布ユニットを起動することができることを意味し、散布する化学薬品、電圧レベル、散布ユニットの高さに関しての散布ユニットの特定の動作モードがその作業のために最適となるよう決定されている。
【0114】
上述のとおり、雑草防除列車はカメラを有し画像を取得できるものであってよい。取得された画像は、雑草防除列車上の処理部で、枕木および周囲の特徴物の位置を決定することにより列車自体の位置を決定するために処理される。また、雑草防除列車がGPSおよび/または慣性システムを有しているときは、特定の雑草の場所で、正しい化学薬品を用い所定の電圧で散布ユニットを起動できるように、GPSおよび/または慣性システムを用いて列車の場所を決定してもよい。しかし、列車が周囲の画像を取得するカメラを有しているときには、枕木等の位置などの情報につながる特徴抽出を用いて、GPSおよび/または慣性航法により決定された位置を補強してもよく、これは、例えばGPSシステムから得られた位置を考慮に入れつつ、単数または複数の散布ユニットを雑草のある正確な場所で起動できるように位置を修正するためである。したがって、鉄道の枕木などの特徴物の位置を画定する際の画像処理は比較的複雑でないから、枕木の位置を決定するために必要な画像処理は迅速な動作が可能であり、位置情報アップデートは迅速に行われる。処理部は、環境中の特定の場所で起動すべき散布ユニットを決定するために、特定の雑草を管理するための化学薬品の種類、電圧、電界強度のデータベースを用いる。列車は、画像技術、音響技術、またはレーダー技術の利用により、雑草の地面からの高さも決定し、この情報は、散布時に雑草から最適な高さになるよう特定の散布銃を上下させるために用いられる。
【0115】
図7は、雑草防除システム100の別の例を示す。図7のシステムは図6に示すものと同様である。しかし、図7においては、上述のとおり、雑草防除列車120はカメラ110および装置10を有している。先の例ではドローンによって画像を取得したが、ここでは雑草防除列車120上のカメラ110が画像を取得する。雑草防除列車120上の装置の処理部30は雑草の場所と種類を決定するため、取得された画像を処理する。雑草の正確な地理上の位置は決定する必要はない。むしろ、カメラ110と列車の貨車に収納された散布ユニットとの相対的間隔に基づいて、取得された画像を地面上の特定の場所に位置決めすることができ、雑草がその画像の中で位置決めされ、同定され、それに従って地面上に位置決めされ、そして必要な散布ユニットが、決定された雑草の場所で起動される。そして、雑草防除列車の前進運動(その速度)および画像が取得された時間を知ることにより、必要な散布ユニットを雑草の場所で起動するためにいつ起動すべきかを決定することができる。このように、雑草防除列車は、GPSおよび/または慣性航法システムまたは画像に基づいて地理上の絶対位置を決定する手段を有する必要がない。むしろ、画像内の雑草の種類および正確な場所ならびにその地面上での列車座標系による正確な場所を決定するために必要な処理を考慮すると、カメラ110は散布ユニット40から、少なくとも、処理時間に雑草防除中の雑草防除列車の最大速度を掛けたものに等しい距離だけ離れていなければならない。したがって、例えば、25m/sで走行している列車で処理に0.2秒、0.4秒、または0.8秒かかるとすると、図7を参照すると、この列車の速度でこれらの処理時間の場合、カメラ110は、カメラを搭載している貨車の後ろの第1の貨車の第1の散布ユニットから前方に5m、10m、または20m離れていなければならない。列車の速度が遅くなれば、間隔は小さくすることができる。また、画像を取得しているカメラ110は、露出中の列車の動きによる画像のぶれを最小にするために、露出時間を非常に短くすることができる。これは、露出時間の短いカメラの使用、または、例えばフィルターと組み合わせた例えばレーザーもしくはLEDによる短いパルス露光を含む様々な手段で行うことが可能である。しかし、装置は、雑草の正確な地理上の位置を決定するために、GPSシステムおよび/または慣性航法システムおよび/または画像分析を用いることができる。これは、どのような雑草が管理されたか、化学薬品および動作電圧/高さおよびその場所における散布継続時間に関する、散布ユニットの動作モードはどのようであったか、およびこれら雑草がどこで特定されたかについて運転記録を決定することができ、これにより監査情報が得られることを意味する。また、列車の各貨車が、GPSシステムおよび/または慣性航法システムおよび/または画像に基づくシステムなどの関連の位置決定手段を有している場合、雑草の正確な地理上の位置を生成することによって、特定の雑草の正確な場所で貨車内の散布ユニットを確実に起動させるためにこの情報を用いることができる。このように、列車の先頭車両は、雑草防除マップの作成を可能にする画像取得・分析ユニットを有していてもよい。そうして列車の最後尾のいくつかの貨車は、その中に、様々なモードで動作する散布ユニットを収納していてもよい。これら後部の貨車は、貨物を搭載する貨車によって先頭車両から数百とは言わないまでも数十メートル隔てられる。その場合、先頭車両から後部車両の絶対的間隔は列車が坂を上り下りすると変化するが、散布ユニットを搭載した貨車は自らの正確な場所が把握できているので、必要な化学薬品を必要な電圧/電界強度で散布する必要な散布ユニットを、決定された正確な雑草の地理上の位置で起動することができる。
【0116】
図6および7は、雑草防除列車120を示す2つの図であり、上が側面図、下が平面図である。図7は、軌道の間および軌道の両脇に広がる画像を取得するカメラ110を示す。雑草防除列車の個々の貨車は、列車の下および両脇に適用できる関連の散布ユニット40を有する。
【0117】
図8は、図6~7に示す雑草防除列車120の貨車を示すし、貨車は複数の化学薬品散布ユニット40を有する。図8は、列車の貨車の1台の背面図であり、鉄道軌道の進行方向後方から見た図である。この特定の貨車は1種類の化学薬品を散布しており、個々の散布ユニットは様々な高さで様々な電圧で動作させることができる。複数の個別の散布ノズル(散布銃)が、列車の下で水平方向に列車の両脇に向かって延在している。散布ノズルは前方に向かって延在していてもよい。散布ノズルは、オン・オフ、電圧、高さの指定以外に、それ自体が個別の制御機構を有していてもよく、左および右または下方に散布するよう方向を制御されてもよく、かつ/または例えば散布剤細流を単一の雑草に向けるため角度を変えるように制御されてもよい。散布角度を様々に変えることにより、散布対象の雑草への化学薬品の移送を最適化するために電圧と高さを変えて動作させることが必要になる場合がある。これらの散布ノズルのうちの1つが、その特定の化学薬品散布剤によって管理されるべき雑草であると特定された雑草の上を通過するとき、プロセッサ30は、その化学薬品散布剤によって管理される対象である雑草の特定の場所で化学薬品を散布する特定のノズルを起動する。図8では、そのような雑草の2つの特定の場所があり、1つは軌道の間にあって右に広がっており、1つは軌道の左にあり、このため、列車下部および右側で複数の散布ノズルが起動され、左側で1つの散布ノズルが起動される。なお、先行する貨車によって既に別の化学薬品を適用された雑草がこの貨車を通り過ぎる場合があり、また、例えば、ある雑草に、違う化学薬品を後続の貨車にある1つまたは複数の散布ユニットで散布することが決定された場合に、散布を受けていない雑草がこの貨車を通過する場合があることに留意すべきである。
【0118】
図9は、鉄道環境を表す図であり、鉄道軌道および軌道の両脇の地面を示す。複数の雑草エリアが示されており、ある種類の雑草の大きなかたまりの中に違う種類の雑草のかたまりがある。図9には、これら特定の雑草に対して起動されることが決定された散布ユニットの動作モードを示している。したがって、3種類の異なる化学薬品「A」、「B」、および「C」を散布することができ、各散布ユニットは、3つの異なる高さ「H1」、「H2」、および「H3」で動作することができ、3つの異なる電圧レベル「V1」、「V2」、「V3」で動作することができる。こうして、ある特定の種類の雑草が、化学薬品A、電圧レベルV1、高さH1で散布することが必要なサイズであると特定され、それが2つの位置に存在している。ある特定の種類の雑草が、化学薬品A、電圧レベルV2、高さH2で散布することが必要なサイズであると特定され、それが1つの位置に存在している。これは、前述と同じ種類の、やはり化学薬品Aを散布した雑草であるが、霧化された液状雑草防除化学薬品の雑草への移送を最適化するためにやや異なる高さと電圧を必要とするサイズの雑草であるという場合もあり、または、散布によって管理するためには違う設定が最適となるような違う種類の雑草である場合もある。同様に、化学薬品B、電圧V1、高さH2で散布される必要のある別の雑草が特定されている。化学薬品B、電圧V2、高さH3で散布する必要がある大きな雑草のかたまり(前述の雑草と同じ種類である場合もあり、または違う雑草である場合もある)がある。しかし、この雑草のかたまりの中には、特に強力な化学薬品C、高さH1、電圧V3で散布する必要のある違う種類の孤立した雑草が見いだされる。このように、雑草が最適な方法で管理され、化学薬品の雑草への移送を増やすことで使用を減らし、最も毒性の強い化学薬品は、絶対に必要なところにのみ適用することで使用が更に削減される。この化学薬品、電圧、および動作時の高さに関する相異なる散布ユニットの動作モードの決定は、図6に関して上述した雑草防除マップであると考えることができ、または、図7に関して上述した、適用すべき散布ユニットの操作モードに関するリアルタイムの決定であると考えることができる。
【0119】
図10は、列車の貨車の1つの平面図で、散布ユニット40に関するものである。図6および7に示すように、散布ユニットの複数の散布銃またはノズルが列車の貨車の下部と側部に搭載されている。3組の散布銃があり、1組は貨車の下に、1組は左に、1組は右にある。右にあるものだけを詳細に示している。この右の組には、この特定の例では、19列、12行の散布銃がある。散布銃の行数および列数は様々であってよく、1列のみでもよく、前述のとおり、散布銃は、散布ユニットであると考えてもよく、または、散布ユニットは化学薬品の貯蔵容器を含んでいる場合があるため、散布銃を散布ユニットの一部であると考えてもよい。ここでは、化学薬品Aが散布され、すべて散布銃は電圧V1で動作している。この例では、雑草防除列車は9台の貨車を有し、3台が化学薬品A、3台が化学薬品B、3台が化学薬品Cを搭載し、異なる貨車が電圧V1、V2、およびV3で動作する。しかし、上述のとおり、各散布銃には異なる電圧を印加してもよい。列×行による座標を用いると、列車の前進に伴って、散布銃が雑草の場所の上を通過すると、散布銃1×4、1×5、1×6、および1×7が起動する。更に列車が移動すると、一例においては、これらの散布銃が雑草の上を通過するまで、これらの散布銃だけが起動している。このようにして、化学薬品Aの適用継続時間が最小になる。しかし、このサブユニットの下で雑草が様々な位置で特定されるのに応じて散布銃を起動させ、そうして散布継続時間を変えることができる。したがって、最初にサブユニットの前端で雑草の場所が特定された場合、散布銃1×4~7、2×4~7、および3×4~7が起動する。列車が前進するにつれ、2×4~7、3×4~7、および4×4~7が起動し、次に3×4~7、4×4~7、および5×4~7が起動する。このように、雑草がサブユニットの下で移動して行き、すべての位置で適切な散布銃が起動し、17×4~7、18×4~7、および19×4~7が起動し、次に18×4~7および19×4~7が起動し、最後に19×4~7が起動する。このように、散布銃の波が、地面上の固定位置(雑草の場所)で起動し、波は列車の速さで、前方に移動する列車の正面に対して後方に移動する。様々な数の散布銃を起動することにより、化学薬品Aの散布継続時間を様々に変えることができる。したがって、列車の速さが固定されていても、様々な化学薬品を継続時間を様々に変えて散布することができ、枯らしづらい雑草への散布継続時間を長くし、これによりその雑草に散布される化学薬品の量を増やす一方、管理の容易な雑草への散布継続時間は最小にすることができる。これは、使用する化学薬品の量をやはり最小にすることができ、また、散布銃を一定の流量で動作させることができるので、使用する散布銃を簡素なものにできる。
【0120】
図11は、雑草防除システムの一部の例を示す。図を簡潔にするため、散布ユニットの散布銃(ノズル/霧化器)を1つだけ示している。上の図は平面図であり、下の図は側面図である。散布銃は、左から右に移動している列車の貨車の底部に取り付けられている。散布を受ける雑草は、散布箇所が新しいエリアに移動していくため散布継続時間はそれほど長くなく、また植生自体が一定量の水分を含みある程度の導電性があるので、通常は静電帯電しない。しかし、雑草の中には、その雑草の上を通過するときに複数の別々の散布銃が起動して、より長い時間散布を受けるものもあり、また他の雑草より導電性の低い雑草もある。移送効率の低下につながる雑草の帯電を緩和するため、複数の接地電極60(接地電位または0ボルトに維持される)が貨車の先頭部に取り付けられ、貨車の先端に間隔を空けて配置されて、地面に沿って引き摺られる。これらが植生に接触し、その植生が過度に帯電することを防ぐ助けとなる。また、確実な接地平面が形成され、帯電した霧化された液体雑草防除剤を下方に引き寄せるのに役立ち、化学薬品の漂流の効果を緩和する。
【0121】
図12は、雑草の帯電の影響を緩和できる別の例を示す。2つのノズル、即ち、液状雑草防除化学薬品を散布するノズルAおよび塩水(海水)などの導電性液体を散布するノズルB(散布ユニット70とも称する)が図示されている。上述のとおり、雑草の場所が決定される。列車の前進に伴い、ノズルBがまず雑草の上を通過する。塩水が雑草に散布される。散布される液体は環境に悪影響を与えるものでなく、また帯電させる必要もない。次に、液状雑草防除化学薬品を散布するノズルが雑草の上に移動し、液状雑草防除化学薬品が前述のように、霧化され、帯電して雑草の上に散布される。前もって塩水が散布されているので、雑草表面は今や地面に対して導電性が増しており、雑草は静電帯電することがない。海水(塩水)に代えて、当業者に既知の他の導電性化学薬品を散布してもよい。
【0122】
上記の詳細な例の説明は、鉄道と雑草防除列車に関して行った。しかし、雑草防除列車に代えて、トラックまたは貨物自動車またはウニモグが、上述の散布ユニットおよび単数または複数の化学薬品貯蔵容器を有していてもよく、前もって取得し処理した画像に基づいて、または自ら取得し処理する画像に基づいて、産業エリアまたは空港などのエリアを動き回り、特定の場所にある雑草を管理するために上述のように散布ユニットを起動する。
【0123】
別の例示の実施形態において、適当なシステム上で上記の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを実行するよう構成されることを特徴とするコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラムエレメントが提供される。
【0124】
したがって、コンピュータプログラムエレメントはコンピュータユニットに保存されてもよく、このコンピュータユニットも実施形態の一部であってよい。このコンピューティングユニットは、上述の方法のステップを実行するかまたはその実行を誘導するよう構成されてもよい。更に、上述の装置および/またはシステムの部品を動作させるよう構成されていてもよい。コンピューティングユニットは自動で動作し、かつ/または使用者の命令を実行するように構成されていてもよい。コンピュータプログラムは、データプロセッサのワーキングメモリにロードされてもよい。このようにデータプロセッサは、上記実施形態のうちの1つによる方法を実行することが可能になる。
【0125】
本発明のこの例示の実施形態は、最初から本発明を使用しているコンピュータプログラムおよびアップデートにより既存のプログラムが本発明を使用するプログラムへと変わるコンピュータプログラムの両方を対象にしている。
【0126】
さらに、コンピュータプログラムエレメントが上述した方法の例示の実施形態の手順を実現するのに必要なすべてのステップを提供することがある。
【0127】
本発明の更なる例示の実施形態によれば、CD-ROM、USBスティック、または同種のものなどの、前節で説明されたコンピュータプログラムエレメントが記憶されているコンピュータ可読媒体が提供される。
【0128】
コンピュータプログラムは他のハードウェアと共に、または他のハードウェアの一部として、光記憶媒体や半導体媒体などの適切な媒体に記憶される、および/またはそのような媒体で配布されることがあるが、インターネットまたは他の有線もしくは無線の電気通信システムを介するなどの他の形態で配布されることもある。
【0129】
しかし、コンピュータプログラムはワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提供されることもあり、そのようなネットワークからデータ処理部の作業メモリへダウンロードすることができる。本発明の更なる例示の実施形態によれば、本発明の前述の実施形態のうちの1つに係る方法を実行するように構成されているコンピュータプログラムエレメントをダウンロード可能とするための媒体が提供される。
【0130】
本発明の実施形態は異なる主題を参照して説明されていることに留意されたい。特に、一部の実施形態は方法クレームを参照して説明されているが、他の実施形態は装置クレームを参照して説明されている。しかし、当業者であれば、別途通告されない限りは、1種類の主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴の任意の組み合わせが本出願を以て開示されていると考えられると上記および以下の説明から推測するであろう。しかし、すべての特徴を組み合わせて、特徴の単純な足し合わせを超える相乗効果を提供することができる。
【0131】
本発明は図面および上述の説明で例証され、詳細に説明されたが、そのような図および説明は実例または例示であると考えられるべきであり、制限的であると考えられるべきではない。本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、特許請求される発明を実践する際に図面、本開示、および従属請求項を検討することで、当業者は理解、達成することができる。
【0132】
請求項において、「含む」(comprising)という単語は他の構成要素またはステップを排除せず、不定冠詞の「a」または「an」は複数を排除しない。単一のプロセッサまたは他の装置により、請求項に記載されるいくつかの項目の機能を実現することができる。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段を組み合わせて使って利益を得ることができないことを示しているわけではない。請求項における任意の参照符号は、範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
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