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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20221028BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
E02F9/00 J
E02F3/36 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020056454
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021155990
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久田 和歩
(72)【発明者】
【氏名】里内 弥
(72)【発明者】
【氏名】海崎 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】本圖 誠
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-105173(JP,A)
【文献】特開2009-138870(JP,A)
【文献】特開2014-58850(JP,A)
【文献】特開2000-38740(JP,A)
【文献】特開2013-237996(JP,A)
【文献】特開2004-100173(JP,A)
【文献】特開2011-137295(JP,A)
【文献】特開2014-214558(JP,A)
【文献】特開2013-7217(JP,A)
【文献】実開昭60-167341(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧油によって作動するアクチュエータを備えた車体と、前記アクチュエータに対して圧油を給排する油圧ホースを前記車体の固定面に固定するクランプ装置とを備え、
前記クランプ装置は、前記油圧ホースを保持するホース保持孔が厚さ方向に貫通しているゴムクランプと、前記ゴムクランプを前記固定面との間に挟んで固定するホースクランプとにより構成され、
前記ゴムクランプは、前記固定面に当接する底面と、前記底面の前記厚さ方向と交差する長さ方向の両端部から前記固定面と反対側に延びた一対の側面と、前記底面の反対側に位置して前記一対の側面の間に延びた天面と、前記一対の側面と前記天面の前記ホースクランプを前記厚さ方向で挟む両端縁に突出して形成された一対の鍔部とを有しており、
前記ホースクランプは、前記固定面に取付けられる取付板部と、前記取付板部から前記固定面と反対側に延び前記一対の鍔部の間で前記一対の側面に当接する一対の側板部と、前記一対の側板部を連結すると共に前記一対の鍔部の間で前記天面に当接する天板部とを有する構成としてなる建設機械において、
前記ゴムクランプの前記一対の側面は、前記固定面側で間隔が広く、前記固定面と反対側で間隔が狭くなるように形成され、
前記ホースクランプの前記一対の側板部は、前記固定面側で間隔が広く、前記固定面と反対側で間隔が狭くなるように形成されていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記ゴムクランプの前記一対の側面は、いずれか一方が傾斜側面となり、前記ホースクランプの前記一対の側板部は、前記傾斜側面に対面する一方が傾斜側板部となっていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記ゴムクランプの前記一対の側面は、両方が傾斜側面となり、前記ホースクランプの前記一対の側板部は、前記傾斜側面に対面する両方が傾斜側板部となっていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクチュエータによって駆動される作業装置を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とにより車体が構成され、上部旋回体の前部には、作業装置が俯仰の動作が可能に設けられている。
【0003】
作業装置は、上部旋回体の前部に取付けられたブームと、ブームの先端に回動可能に取付けられたアームと、アームの先端に回動可能に取付けられたバケットとを備えている。また、ブーム、アーム、バケットは、油圧アクチュエータからなるブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダによって動作される。これらのシリンダには、動力源となる圧油(作動油)を給排するために、油圧ホースが接続されている。
【0004】
油圧ショベルには、油圧ホースを車体の固定面に固定するクランプ装置が設けられている。このクランプ装置は、油圧ホースを保持するホース保持孔が厚さ方向に貫通しているゴムクランプと、ゴムクランプを固定面との間に挟んで固定するホースクランプとにより構成されている。
【0005】
ゴムクランプは、車体の固定面に当接する底面と、底面の長さ方向の両端部から固定面と反対側に延びた一対の側面と、底面の反対側に位置して一対の側面の間に延びた天面とを有した直方体として形成されている。また、ホースクランプは、底面の長さ方向の両側に位置して固定面に取付けられる一対の取付板部と、一対の取付板部から固定面と反対側に延びて側面に当接する一対の側板部と、一対の側板部を連結して天面に当接する天板部とを備えている。
【0006】
また、ゴムクランプには、ホースクランプの厚さ方向への位置ずれを防止する一対の鍔部が設けられている。この一対の鍔部は、一対の側面と天面が溝底になるように一対の側面と天面とに亘り厚さ方向の両端縁を突出させることで形成されている。一対の鍔部は、ホースクランプの一対の側板部と天板部を厚さ方向で挟むことにより、ゴムクランプをホースクランプに対して厚さ方向に固定している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-7217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1の発明では、ゴムクランプからホースクランプを抜き取るためには、ゴムクランプの各側面の長さ方向の全長と同じ寸法の抜き代が必要になる。このために、クランプ装置を着脱する際に広いスペースが必要になるから、クランプ装置を狭いスペースに設置することができないという問題がある。
【0009】
本発明の一実施形態の目的は、狭いスペースにクランプ装置を設置できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、圧油によって作動するアクチュエータを備えた車体と、前記アクチュエータに対して圧油を給排する油圧ホースを前記車体の固定面に固定するクランプ装置とを備え、前記クランプ装置は、前記油圧ホースを保持するホース保持孔が厚さ方向に貫通しているゴムクランプと、前記ゴムクランプを前記固定面との間に挟んで固定するホースクランプとにより構成され、前記ゴムクランプは、前記固定面に当接する底面と、前記底面の前記厚さ方向と交差する長さ方向の両端部から前記固定面と反対側に延びた一対の側面と、前記底面の反対側に位置して前記一対の側面の間に延びた天面と、前記一対の側面と前記天面の前記ホースクランプを前記厚さ方向で挟む両端縁に突出して形成された一対の鍔部とを有しており、前記ホースクランプは、前記固定面に取付けられる取付板部と、前記取付板部から前記固定面と反対側に延び前記一対の鍔部の間で前記一対の側面に当接する一対の側板部と、前記一対の側板部を連結すると共に前記一対の鍔部の間で前記天面に当接する天板部とを有する構成としてなる建設機械において、前記ゴムクランプの前記一対の側面は、前記固定面側で間隔が広く、前記固定面と反対側で間隔が狭くなるように形成され、前記ホースクランプの前記一対の側板部は、前記固定面側で間隔が広く、前記固定面と反対側で間隔が狭くなるように形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、狭いスペースでもクランプ装置を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態による油圧ショベルを示す左側面図である。
図2】キャブ等を省略した上部旋回体を示す平面図である。
図3】旋回フレームへのクランプ装置による油圧ホース等の固定状態を示す要部拡大の前面図である。
図4】旋回フレームへのクランプ装置による油圧ホース等の固定状態を示す要部拡大の斜視図である。
図5図3中のクランプ装置を拡大して示す斜視図である。
図6】ゴムクランプを単体で示す斜視図である。
図7】ホースクランプを単体で示す斜視図である。
図8】ホースクランプの抜き代を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る建設機械の実施形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図8を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1において、油圧ショベル1は、建設機械の代表例であり、その車体は、クローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。上部旋回体3の前側には、作業装置4が設けられている。
【0015】
作業装置4は、土砂の掘削作業等を行うために上部旋回体3の前側に設けられている。この作業装置4は、後述の旋回フレーム5を構成する左縦板5B、右縦板5Cの前側部位に俯仰の動作が可能に取付けられたブーム4Aと、ブーム4Aの先端部に回動可能に取付けられたアーム4Bと、アーム4Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット4Cと、これらを駆動するブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、バケットシリンダ4Fとにより構成されている。ブームシリンダ4Dには、後述する油圧ホース14が接続されている。また、アームシリンダ4Eとバケットシリンダ4Fにも、油圧ホース(いずれも図示せず)が接続されている。
【0016】
上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、キャブ6、カウンタウエイト7、エンジン8、作動油タンク11、燃料タンク12、制御弁群13、油圧ホース14、クランプ装置15を含んで構成されている。
【0017】
旋回フレーム5は、上部旋回体3のベースとして形成されている。図2に示すように、旋回フレーム5は、前後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、底板5A上に立設され、左右方向に所定の間隔をもって前後方向に延びた左縦板5B、右縦板5Cと、左縦板5Bの左側に間隔をもって配置され、前後方向に延びた左サイドフレーム5Dと、右縦板5Cの右側に間隔をもって配置され、前後方向に延びた右サイドフレーム5Eと、底板5Aから各サイドフレーム5D,5Eに向けて左右方向に張出した複数本の張出しビーム5Fとを含んで構成されている。
【0018】
ここで、旋回フレーム5の左縦板5Bは、ブーム4Aのフート部に対面する右側面を有している。この左縦板5Bの右側面のうち、前側の部分は、後述のクランプ装置15を固定するための固定面5Gとなっている。この固定面5Gには、クランプ装置15を固定するときにボルト18が螺着される2個のねじ穴5G1(図4参照)が設けられている。
【0019】
図1に示すように、キャブ6は、旋回フレーム5の左前側に設けられ、内部にはオペレータが着席する運転席、各種操作レバー(いずれも図示せず)が設けられている。カウンタウエイト7は、旋回フレーム5の後端部に取付けられている。カウンタウエイト7は、作業装置4との重量バランスをとるための重量物として形成されている。
【0020】
エンジン8は、カウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。エンジン8は、左右方向に延びる横置き状態で配置されている。エンジン8の右側には、各種の油圧アクチュエータに作動用の圧油を供給する油圧ポンプ9が取付けられている。一方、エンジン8の左側には、ラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ等の熱交換器を備えた熱交換装置10が設けられている。
【0021】
作動油タンク11は、作動油を貯えるもので、油圧ポンプ9の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。燃料タンク12は、エンジン8に供給する燃料を貯えており、作動油タンク11の右側に並んで配置されている。また、各タンク11,12の前側には、制御弁群13が設けられている。この制御弁群13は、複数個の制御弁によって構成されている。各制御弁のうちの1個の制御弁は、作業装置4のブームシリンダ4Dを制御するもので、油圧ホース14を介してブームシリンダ4Dに接続されている。
【0022】
図3に示すように、油圧ホース14は、制御弁とブームシリンダ4Dとの間で圧油を行き来させるもので、2本1組となっている。各油圧ホース14は、旋回フレーム5の左縦板5Bに沿って延びている。各油圧ホース14は、作業装置4が動作したときに、暴れないようにクランプ装置15によって左縦板5Bに固定されている。
【0023】
次に、本実施形態の特徴部分となるクランプ装置15の構成について詳細に説明する。
【0024】
クランプ装置15は、ブームシリンダ4Dに対して圧油を給排する油圧ホース14を旋回フレーム5の左縦板5Bに設けられた固定面5Gに固定する。クランプ装置15は、後述のゴムクランプ16とホースクランプ17とにより構成されている。ゴムクランプ16には、各油圧ホース14等が厚さ方向に貫通して設けられている。
【0025】
ゴムクランプ16は、油圧ホース14等を弾性的に保持するために、弾性を有するゴムブロック体として形成されている。図6図8に示すように、ゴムクランプ16は、固定面5Gに当接する底面16Aと、ゴムクランプ16の厚さ方向と交差する底面16Aの長さ方向の両端部から固定面5Gと反対側に延びた一対の側面16Bと、底面16Aの反対側に位置して一対の側面16Bの間に延びた天面16Cとを有している。
【0026】
ここで、一対の側面16Bは、固定面5G側となる底面16A側で間隔が広く、固定面5Gと反対側となる天面16C側で間隔が狭くなるように形成されている。即ち、ゴムクランプ16は、一対の側面16Bが底面16Aから天面16Cに向けて相対的に近付くように同角度で傾斜することで、等脚台形状に形成されている。即ち、一対の側面16Bは、両方が直線的に延びた傾斜側面となっている。各側面16Bには、後述するホースクランプ17の各側板部17Bが当接する。
【0027】
ゴムクランプ16には、一対の側面16B(傾斜側面)と天面16Cとに亘り一対の鍔部16Dが形成されている。具体的には、一対の鍔部16Dは、一対の側面16Bと天面16Cのうち、ホースクランプ17を厚さ方向で挟む両端縁を突出させることにより連続する凸条として形成されている。一対の鍔部16Dは、一対の側面16Bの鉛直方向および天面16Cの鉛直方向に突出することで、一対の側板部17Bと天板部17Cとを溝底としている。一対の鍔部16Dは、ホースクランプ17の一対の側板部17Bと天板部17Cとを幅方向(厚さ方向と同じ方向)で挟んでいる。換言すると、一対の鍔部16Dは、ゴムクランプ16がホースクランプ17に対して幅方向に移動しようとしても、一対の側板部17Bと天板部17Cの縁に当接する。これにより、ゴムクランプ16とホースクランプ17とは、一対の鍔部16Dによって凹凸嵌合された状態になるから、ホースクランプ17に対してゴムクランプ16が厚さ方向(油圧ホース14の挿通方向)にずれるのを防ぐことができる。
【0028】
さらに、ゴムクランプ16には、油圧ホース14が挿通される2個のホース挿通孔16Eと、他の油圧ホース(図示せず)が挿通される異形なホース挿通孔16Fと、ハーネス(図示せず)が挿通される小径なハーネス挿通孔16Gとが厚さ方向に貫通して設けられている。
【0029】
次に、ホースクランプ17は、ゴムクランプ16を旋回フレーム5の固定面5Gとの間に挟んで固定する。図7図8に示すように、ホースクランプ17は、底面16Aの長さ方向の両側に位置して固定面5Gに取付けられる一対の取付板部17Aと、一対の取付板部17Aの対向する端部から固定面5Gと反対側に延びた一対の側板部17Bと、一対の側板部17Bを連結して天面16Cに当接する天板部17Cとを有している。一対の取付板部17Aと天板部17Cとは、平行に配置されている。また、一対の取付板部17Aには、固定面5Gの各ねじ穴5G1に対応する位置にボルト挿通孔17A1が形成されている。
【0030】
ここで、一対の側板部17Bは、ゴムクランプ16の一対の側面16Bと同様に、取付板部17A側で一対の側板部17Bの間隔が広く、天板部17C側で一対の側板部17Bの間隔が狭くなるように形成されている。即ち、ホースクランプ17は、一対の側板部17Bが取付板部17Aから天板部17Cに向けて相対的に近付くように、それぞれが同角度で傾斜して形成されている。即ち、一対の側板部17Bは、傾斜側面となる側面16Bに対面する両方が直線的に延びた傾斜側板部となっている。しかも、一対の側板部17Bは、側面16Bと同じ傾斜角度に設定されているから、一対の側板部17Bと天板部17Cの全体を、一対の側面16Bと天面16Cにそれぞれ当接させることができる。
【0031】
一方で、ゴムクランプ16の一対の側面16Bとホースクランプ17の一対の側板部17Bとは、それぞれが同角度に傾斜している。従って、図8に示すように、ホースクランプ17は、ゴムクランプ16の鍔部16Dを越える位置まで僅かに離脱させただけで、ゴムクランプ16から取外すことができる。これにより、ホースクランプ17は、小さな抜き代Hで抜き取ることができる。即ち、ホースクランプ17は、小さなスペースでもゴムクランプ16に対して着脱することができる。
【0032】
このように構成されたクランプ装置15を用いて油圧ホース14等を旋回フレーム5に固定する場合の手順について、その一例を説明する。
【0033】
ゴムクランプ16の各ホース挿通孔16Eに油圧ホース14をそれぞれ挿通させ、異形なホース挿通孔16Fに他の油圧ホースを挿通させ、小径なハーネス挿通孔16Gにハーネスを挿通させる。次に、ホースクランプ17の一対の側板部17Bと天板部17Cを、ゴムクランプ16の一対の鍔部16Dの間に嵌合させて、ゴムクランプ16の一対の側面16Bと天面16Cに当接させる。この状態で、ホースクランプ17の一対のボルト挿通孔17A1にそれぞれボルト18を挿通させ、このボルト18を旋回フレーム5の左縦板5Bに設けられた固定面5Gのねじ穴5G1に螺着する。これにより、クランプ装置15は、ホースクランプ17を介してゴムクランプ16に保持した各油圧ホース14等を左縦板5Bに固定することができる。
【0034】
本実施形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0035】
まず、キャブ6に乗り込んだオペレータは、運転席に着座してエンジン8を始動させる。この状態で、オペレータは、走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2によって油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、オペレータは、作業用の操作レバーを操作することにより、作業装置4を動作させて土砂の掘削作業等を行うことができる。この土砂の掘削作業時には、クランプ装置15によって各油圧ホース14等が暴れるのを防止することができる。
【0036】
かくして、本実施形態によれば、クランプ装置15のゴムクランプ16は、固定面5Gに当接する底面16Aと、厚さ方向と交差する底面16Aの長さ方向の両端部から固定面5Gと反対側に延びた一対の側面16Bと、底面16Aの反対側に位置して各側面16Bの間に延びた天面16Cと、一対の側面16Bと天面16Cのホースクランプ17を厚さ方向で挟む両端縁に突出して形成された一対の鍔部16Dとを有している。また、ホースクランプ17は、固定面5Gに取付けられる一対の取付板部17Aと、一対の取付板部17Aから固定面5Gと反対側に延び一対の鍔部16Dの間で一対の側面16Bに当接する一対の側板部17Bと、一対の側板部17Bを連結すると共に一対の鍔部16Dの間で天面16Cに当接する天板部17Cとを有している。
【0037】
この上で、ゴムクランプ16の一対の側面16Bは、固定面5G側で間隔が広く、固定面5Gと反対側で間隔が狭くなるように形成され、ホースクランプ17の一対の側板部17Bは、固定面5G側で間隔が広く、固定面5Gと反対側で間隔が狭くなるように形成されている。
【0038】
従って、一対の側面16Bと一対の側板部17Bの傾斜を利用することで、小さな抜き代Hでゴムクランプ16とホースクランプ17とを分離させることができる。これにより、クランプ装置15を着脱するのに広いスペースは必要ないから、狭いスペースにクランプ装置15を設置することができる。
【0039】
また、ゴムクランプ16の一対の側面16Bを両方とも傾斜させ、ホースクランプ17の一対の側板部17Bを両方とも傾斜させる構成としている。これにより、ホースクランプ17は、小さな抜き代Hでゴムクランプ16から分離することができる。
【0040】
なお、実施形態では、ゴムクランプ16の一対の側面16Bは、両方を傾斜側面とし、ホースクランプ17の一対の側板部17Bは、傾斜側面16Bに対面する両方を傾斜側板部とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、ゴムクランプの一対の側面は、いずれか一方を傾斜側面とし、ホースクランプの一対の側板部は、傾斜側面に対面する一方を傾斜側板部とする構成としてもよい。
【0041】
また、実施形態では、ゴムクランプ16の傾斜側面16Bとホースクランプ17の側板部17Bとをそれぞれ直線的に形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、ゴムクランプの傾斜側面とホースクランプの側板部とを円弧状に湾曲させる構成としてもよい。
【0042】
実施形態では、作業装置4のブームシリンダ4Dに圧油を給排させる油圧ホース14等を、クランプ装置15を用いて旋回フレーム5の左縦板5Bに固定した場合を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、クランプ装置は、ブームシリンダ以外の油圧アクチュエータに圧油を給排する他の油圧ホースを固定するのに用いてもよい。この場合、クランプ装置15を左縦板以外に取付ける構成としてもよい。
【0043】
さらに、実施形態では、建設機械としてクローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、ホイール式の油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 油圧ショベル
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
5 旋回フレーム
5G 固定面
14 油圧ホース
15 クランプ装置
16 ゴムクランプ
16A 底面
16B 側面(傾斜側面)
16C 天面
16D 鍔部
17 ホースクランプ
17A 取付板部
17B 側板部(傾斜側板部)
17C 天板部
H 抜き代
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8