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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20221028BHJP
   E02F 9/12 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
E02F9/00 B
E02F9/12 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020058403
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021156049
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 大介
(72)【発明者】
【氏名】中谷 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 浩司
(72)【発明者】
【氏名】椿本 彰史
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-228989(JP,A)
【文献】特開平09-144060(JP,A)
【文献】特開2019-044370(JP,A)
【文献】特開平08-218417(JP,A)
【文献】特開平06-081373(JP,A)
【文献】特開2020-012255(JP,A)
【文献】特開昭51-148202(JP,A)
【文献】特開平07-268909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックフレームを備えた自走可能な下部走行体と、
前記トラックフレーム上に旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、
前記上部旋回体の旋回中心に配置され、前記下部走行体と前記上部旋回体との間で通電状態を保持するスリップリングを有しているセンタジョイントと、
基端側が前記トラックフレームに上下方向に回動可能に取付けられ、先端側にブレードが設けられた排土装置と、
前記ブレードに設けられ、前記ブレードの姿勢を検出する姿勢検出センサと、
前記上部旋回体に設けられ、前記姿勢検出センサが検出した前記ブレードの姿勢に基づいて前記排土装置の動作を制御するコントローラと、
前記コントローラに前記姿勢検出センサを接続するハーネス装置と、を備えてなる建設機械において、
前記ハーネス装置は、前記センタジョイントの前記スリップリングを介して前記姿勢検出センサと前記コントローラとを接続しており、
前記ハーネス装置は、
前記コントローラと前記センタジョイントの前記スリップリングとの間を接続して設けられたコントローラ側ハーネスと、
前記センタジョイントの前記スリップリングと前記姿勢検出センサとの間を接続して設けられたセンサ側ハーネスとを備え、
前記センサ側ハーネスは、前記トラックフレームの内部に配策され、一端が前記スリップリングに接続された内部ハーネスと、前記トラックフレームの外部に配策され、一端が前記姿勢検出センサに接続された外部ハーネスと、前記内部ハーネスの他端と前記外部ハーネスの他端とを着脱可能に接続するコネクタとにより構成されていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記トラックフレームは、前記旋回装置の旋回輪を支持している上面板と、前記上面板の下側に間隔をもって配置され前記上面板との間に前記センタジョイントが収まる収容空間を形成している下面板と、前記上面板と前記下面板との間に前記収容空間を取囲んで設けられ前記排土装置側に前記センサ側ハーネスが挿通される開口部を有している周壁板とを含んで構成され、
前記コネクタは、前記周壁板の前記開口部の位置で前記トラックフレームに取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、姿勢の制御が可能な排土装置を備えた油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、トラックフレームを備えた自走可能な下部走行体と、トラックフレーム上に旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体とを備えている。上部旋回体の前部には、掘削作業等を行うための作業装置が設けられている。また、上部旋回体の旋回中心には、上部旋回体が旋回動作を行った場合でも、上部旋回体と下部走行体との間で作動油を流通させるセンタジョイントが設けられている。さらに、下部走行体には、整地作業を行うための排土装置が設けられている。この排土装置は、基端側がトラックフレームに上下方向に回動可能に取付けられ、先端側にブレードを有している。
【0003】
排土装置を備えた油圧ショベルによる整地作業では、整地計画に基づく地面の3次元データに従ってブレードの姿勢を制御する整地作業システムが用いられる。この整地作業システムに用いられる油圧ショベルは、ブレードに取付けられた姿勢検出センサと、上部旋回体に搭載されたコントローラと、コントローラに姿勢検出センサを接続するハーネス装置とを備えている。
【0004】
そして、整地作業では、姿勢検出センサにより連続的にブレードの姿勢を計測し、ハーネス装置を介して計測結果(ブレードの姿勢情報)をコントローラに送信する。これにより、コントローラは、ブレードの姿勢情報と整地計画に基づく地面の3次元データとを対比してブレードの姿勢を制御し、整地計画に沿った整地作業を行う。
【0005】
ここで、油圧ショベルは、排土装置(姿勢検出センサ)が設けられた下部走行体に対し、コントローラが設けられた上部旋回体が旋回動作する。このために、ハーネス装置は、センタジョイントに設けられたスリップリングを利用することにより、上部旋回体の旋回動作時でも、下部走行体側の姿勢検出センサと上部旋回体側のコントローラとの間を通電状態に保持している。
【0006】
従って、ハーネス装置は、コントローラとセンタジョイントのスリップリングとの間を接続して設けられたコントローラ側ハーネスと、センタジョイントのスリップリングと姿勢検出センサとの間を接続して設けられたセンサ側ハーネスとを備えている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平4-366233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、油圧ショベルは、土砂の掘削作業や整地作業を行うから、外部に露出したセンサ側ハーネスは、外的要因、例えば岩石、土砂等の衝突によって損傷することがある。そして、センサ側ハーネスが損傷した場合には、センサ側ハーネスの交換作業が行われる。しかし、センサ側ハーネスの交換作業は、センタジョイントの下側を覆っているトラックフレームのメンテナンスカバーを取外す必要が有り、交換作業に手間と時間を要してしまうという問題がある。
【0009】
本発明の一実施形態の目的は、損傷したハーネスの交換作業を容易に行うことができるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、トラックフレームを備えた自走可能な下部走行体と、前記トラックフレーム上に旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体の旋回中心に配置され、前記下部走行体と前記上部旋回体との間で通電状態を保持するスリップリングを有しているセンタジョイントと、基端側が前記トラックフレームに上下方向に回動可能に取付けられ、先端側にブレードが設けられた排土装置と、前記ブレードに設けられ、前記ブレードの姿勢を検出する姿勢検出センサと、前記上部旋回体に設けられ、前記姿勢検出センサが検出した前記ブレードの姿勢に基づいて前記排土装置の動作を制御するコントローラと、前記コントローラに前記姿勢検出センサを接続するハーネス装置と、を備えてなる建設機械において、前記ハーネス装置は、前記センタジョイントの前記スリップリングを介して前記姿勢検出センサと前記コントローラとを接続しており、前記ハーネス装置は、前記コントローラと前記センタジョイントの前記スリップリングとの間を接続して設けられたコントローラ側ハーネスと、前記センタジョイントの前記スリップリングと前記姿勢検出センサとの間を接続して設けられたセンサ側ハーネスとを備え、前記センサ側ハーネスは、前記トラックフレームの内部に配策され、一端が前記スリップリングに接続された内部ハーネスと、前記トラックフレームの外部に配策され、一端が前記姿勢検出センサに接続された外部ハーネスと、前記内部ハーネスの他端と前記外部ハーネスの他端とを着脱可能に接続するコネクタとにより構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、損傷したハーネスの交換作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態による油圧ショベルを示す斜視図である。
図2】旋回装置およびセンタジョイントの周辺部を拡大して示す断面図である。
図3】油圧ショベルの前部を拡大して示す斜視図である。
図4】トラックフレームを形成する周壁板の開口部に油圧ホースとセンサ側ハーネスを挿通させた状態を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る建設機械の実施形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図4に従って詳細に説明する。
【0014】
図1において、油圧ショベル1は、建設機械の代表例であり、クローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前部に設けられた作業装置5とにより構成されている。
【0015】
下部走行体2は、トラックフレーム6と後述の走行装置9とを備えている。トラックフレーム6は、センタフレーム7と、センタフレーム7の左右両側に位置して前後方向に延びた一対のサイドフレーム8とを含んで構成されている。
【0016】
図2に示すように、センタフレーム7は、旋回装置3の旋回輪10を支持している上面板7Aと、上面板7Aの下側に間隔をもって配置され、上面板7Aとの間に後述のセンタジョイント18が収まる収容空間7Bを形成している下面板7Cと、上面板7Aと下面板7Cとの間に収容空間7Bを取囲んで設けられた周壁板7Dとを含んで構成されている。上面板7Aと下面板7Cは、旋回中心に対応する位置が開口しており、この開口内の旋回中心にセンタジョイント18が配置されている。
【0017】
また、周壁板7Dのうち、排土装置19側となる前面位置には、開口部7Eが形成されている。この開口部7Eには、後述する各油圧ホース20やハーネス装置24のセンサ側ハーネス26が挿通される。さらに、センタフレーム7の下面板7Cには、センタジョイント18を下側から覆うようにメンテナンスカバー7Fが着脱可能に設けられている。
【0018】
走行装置9は、サイドフレーム8の一方の端部に設けられた遊動輪(図示せず)と、サイドフレーム8の他方の端部に設けられた駆動輪9Aと、遊動輪と駆動輪9Aとに亘って巻回された履帯9Bとにより構成されている。これにより、下部走行体2は、走行装置9によって自走可能となっている。
【0019】
旋回装置3は、旋回輪10と旋回モータ11とにより構成されている。旋回輪10は、トラックフレーム6を構成するセンタフレーム7の上面板7A上に旋回中心と同軸に取付けられた内輪10Aと、内輪10Aの外周側に複数個の鋼球(図示せず)を介して回転可能に設けられ、旋回フレーム12の底板12Aに取付けられた外輪10Bとを有している。内輪10Aの内側は、内歯車10Cとなり、この内歯車10Cには、旋回モータ11のピニオン11Aが噛合している。
【0020】
図1に示すように、上部旋回体4は、旋回フレーム12と、旋回フレーム12の後側に設けられた原動機、油圧ポンプ等の機器(図示せず)と、これらの機器を覆うように設けられた運転席台座13と、運転席台座13の右側に位置して作動油タンク等(図示せず)を覆った外装カバー14と、運転席台座13上に設けられた運転席15と、運転席15の左右両側に設けられた作業用の操作レバー装置16と、運転席15の前方に設けられた走行用の操作レバー装置17とを含んで構成されている。
【0021】
旋回フレーム12は、上部旋回体4のベースをなし、旋回装置3を介してトラックフレーム6上に取付けられている。旋回フレーム12は、前後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板12Aと、底板12A上に立設され、左右方向に所定の間隔をもって前後方向に延びた左縦板12B、右縦板12Cとを備えている。左縦板12Bと右縦板12Cの前側は、互いに接近して前方に突出し、作業装置5を支持する支持ブラケット12Dとなっている。
【0022】
センタジョイント18は、旋回装置3の旋回中心に配置され、トラックフレーム6のセンタフレーム7を形成する下面板7Cに設けられている。センタジョイント18は、下部走行体2と上部旋回体4との間で作動油や電気を流通させるための装置である。センタジョイント18は、トラックフレーム6に取付けられた筒形ボディ18Aと、筒形ボディ18A内に回転可能に設けられ、旋回フレーム12と一緒に回転するスピンドル18Bと、スピンドル18Bの上部に設けられたスリップリング18Cとを備えている。
【0023】
スピンドル18Bとスリップリング18Cは、筒形ボディ18Aに対し、旋回装置3の旋回中心に位置して相対回転が可能に連結されている。筒形ボディ18Aには、下部走行体2側の油圧管路(図示せず)が接続され、スピンドル18Bには、上部旋回体4側の油圧管路(図示せず)が接続されている。さらに、スリップリング18Cは、下部走行体2と上部旋回体4との間で通電状態を保持している。スリップリング18Cには、後述するハーネス装置24を含む各種ハーネスが接続されている。
【0024】
具体的には、スリップリング18Cには、コントローラ側ハーネス25とセンサ側ハーネス26とが接続されている。この場合、センサ側ハーネス26は、内部ハーネス27の第1端27Aが筒形ボディ18Aの底部から上側に延びる管路内を通ってスリップリング18Cに接続されている。
【0025】
図1図3に示すように、排土装置19は、下部走行体2を構成するトラックフレーム6のセンタフレーム7に設けられている。排土装置19は、基端側がトラックフレーム6のセンタフレーム7に上下方向に回動可能に取付けられたV字状の昇降アーム19Aと、左右方向に延びる長方形の板状体からなり、後面側の中央部が昇降アーム19Aの先端側に回動自在に取付けられたブレード19Bと、昇降シリンダ19C、アングルシリンダ19D、チルトシリンダ19Eとにより構成されている。
【0026】
昇降シリンダ19Cは、昇降アーム19Aを介してブレード19Bを上下方向に回動させる。アングルシリンダ19Dは、昇降アーム19Aへの取付位置を中心にしてブレード19Bの長さ方向の両端を前後方向に回動させる。チルトシリンダ19Eは、昇降アーム19Aへの取付位置を中心にしてブレード19Bの長さ方向の両端を上下方向に回動させる。これら昇降シリンダ19C、アングルシリンダ19D、チルトシリンダ19Eは、それぞれが油圧ホース20を介してセンタジョイント18の筒形ボディ18Aに接続されている。
【0027】
また、排土装置19のブレード19Bには、左右方向(長さ方向)の中央寄りに位置してセンサ取付台19Fが設けられている。さらに、ブレード19Bの左右方向の両端部には、それぞれプリズム取付台19Gが設けられている。センサ取付台19Fには、後述の姿勢検出センサ21が取付けられている。各プリズム取付台19Gには、後述のプリズム22が作業現場に応じて選択的に取付けられる。
【0028】
姿勢検出センサ21は、排土装置19のブレード19Bに設けられたセンサ取付台19F上に取付けられている。姿勢検出センサ21は、ブレード19Bの姿勢を検出する。この場合のブレード19Bの姿勢とは、排土装置19を用いた整地作業時におけるブレード19Bのチルト角度、即ち、ブレード19Bの両端の上下方向への傾き角度である。そして、姿勢検出センサ21は、ブレード19Bの傾き角度(チルト角度)を検出し、この角度を後述のコントローラ23に出力する。姿勢検出センサ21には、後述するセンサ側ハーネス26を構成する外部ハーネス28の第1端28Aが接続されている。これにより、姿勢検出センサ21は、ハーネス装置24を介してコントローラ23に電気的に接続されている。
【0029】
プリズム22は、例えば、排土装置19のブレード19Bに設けられた左側のプリズム取付台19Gに取付けられている。プリズム22は、排土装置19を用いた整地作業時に自動追尾式のトータルステーション(図示せず)によって追尾される対象物(ターゲット)である。トータルステーションは、プリズム22を追尾することによりブレード19Bの位置と高さとを連続的に計測し、この計測結果をブレード19Bの位置情報として、無線によりコントローラ23に出力する。
【0030】
整地作業用のコントローラ23は、例えば、上部旋回体4を構成する外装カバー14の上側に設けられている。コントローラ23は、ブラケット等を用いて外装カバー14に取付けられている。コントローラ23は、前述したトータルステーションおよび姿勢検出センサ21が検出したブレード19Bの姿勢に基づいて、排土装置19(ブレード19B)を制御する。これにより、コントローラ23は、排土装置19を用いて整地作業を行うときに、ブレード19Bの姿勢情報と整地計画に基づく地面の3次元データとを対比してブレード19Bの姿勢を制御することができる。
【0031】
次に、本実施形態の特徴部分となるハーネス装置24の構成および機能について詳しく述べる。
【0032】
ハーネス装置24は、コントローラ23に姿勢検出センサ21を接続している。ハーネス装置24は、センタジョイント18のスリップリング18Cを介して姿勢検出センサ21とコントローラ23とを接続している。ハーネス装置24は、コントローラ23とセンタジョイント18のスリップリング18Cとの間を接続して設けられたコントローラ側ハーネス25と、センタジョイント18のスリップリング18Cと姿勢検出センサ21との間を接続して設けられたセンサ側ハーネス26とを備えている。
【0033】
ここで、センサ側ハーネス26は、センタジョイント18寄りの部分がトラックフレーム6を構成するセンタフレーム7の収容空間7Bに配置されている。一方、姿勢検出センサ21寄りの部分がセンタフレーム7の外部に露出している。この上で、センサ側ハーネス26は、内部ハーネス27、外部ハーネス28およびコネクタ29により構成されている。
【0034】
内部ハーネス27は、トラックフレーム6の内部、即ち、センタフレーム7の収容空間7Bに配策されている。内部ハーネス27の長さ方向の一端となる第1端27Aは、センタジョイント18の筒形ボディ18Aの底部から上側に延びてスリップリング18Cに接続されている。一方、内部ハーネス27の長さ方向の他端となる第2端27Bは、センタフレーム7の周壁板7Dに形成された開口部7Eを通って外部に突出し、コネクタ29に接続されている。
【0035】
これにより、内部ハーネス27は、殆どがセンタフレーム7の収容空間7Bに配置されている。しかも、センタフレーム7の外部に位置する第2端27Bは、センタフレーム7の上面板7Aの下側に配置されている。従って、内部ハーネス27には、外的要因、例えば岩石や土砂が衝突することがないから、衝突による損傷によって交換する可能性は極めて低い。
【0036】
外部ハーネス28は、トラックフレーム6と姿勢検出センサ21との間に配策されている。図3に示すように、外部ハーネス28は、昇降アーム19Aに沿って前側に延び、その長さ方向の一端となる第1端28Aは、姿勢検出センサ21に接続されている。一方、外部ハーネス28の長さ方向の他端となる第2端28Bは、コネクタ29に接続されている。そして、外部ハーネス28は、下部走行体2の側方や排土装置19の前方から手を伸ばすことにより、コネクタ29に対する接続部分と姿勢検出センサ21に対する接続部分の両方に手が届くから、簡単な作業で取外したり、取付けたりすることができる。
【0037】
コネクタ29は、内部ハーネス27の第2端27Bと外部ハーネス28の第2端28Bとを着脱可能(接続、分割可能)に接続する中継点(分割点)となっている。コネクタ29は、センタフレーム7の周壁板7Dに形成された開口部7Eの近くに、コネクタブラケット29Aを介して固定されている。この開口部7Eの近くの位置は、センタフレーム7の上面板7Aの下側に位置しており、岩石や土砂の衝突から保護された場所となっている。
【0038】
このように構成されたハーネス装置24は、コントローラ側ハーネス25を用いることで、コントローラ23とセンタジョイント18のスリップリング18Cとの間を電気的に接続することができる。また、ハーネス装置24は、センサ側ハーネス26を用いることで、センタジョイント18のスリップリング18Cと姿勢検出センサ21との間を電気的に接続することができる。
【0039】
この上で、センサ側ハーネス26は、センタフレーム7内の収容空間7Bに配置された内部ハーネス27とセンタフレーム7の外部に配置された外部ハーネス28とをコネクタ29によって着脱可能に接続している。この構成では、外部に配置された外部ハーネス28は、容易に手が届くために、簡単に交換することができる。
【0040】
次に、油圧ショベル1の排土装置19を用いて整地作業を行う場合の動作について説明する。
【0041】
まず、オペレータは、上部旋回体4の運転席15に座り、排土装置19の操作レバー(図示せず)を操作し、ブレード19Bの下端を地面に接触させる。この状態で、走行用の操作レバー装置17によって油圧ショベル1を走行させることにより、地面の整地作業を行うことができる。このときに、トータルステーション(図示せず)は、ブレード19Bに取付けられたプリズム22を追尾することによりブレード19Bの位置と高さとを連続的に計測し、この計測結果をブレード19Bの位置情報としてコントローラ23に出力する。一方、姿勢検出センサ21は、ブレード19Bのチルト角度を検出し、ハーネス装置24を介してチルト角度をコントローラ23に出力する。
【0042】
コントローラ23は、トータルステーションおよび姿勢検出センサ21からの出力に基づいて、ブレード19B用のコントロールバルブ(図示せず)を制御する。従って、排土装置19(昇降シリンダ19C、チルトシリンダ19E)は、コントローラ23によって整地計画に基づく地面の3次元データに沿うように制御される。これにより、整地作業では、整地計画の地面の3次元データに従ってブレード19Bの姿勢(高さ位置、チルト角度等)を変化させて、整地計画(設計データ)に適合するように整地することができる。
【0043】
ここで、油圧ショベル1による整地作業または掘削作業では、外部に露出したセンサ側ハーネス26に岩石、土砂等が衝突し、センサ側ハーネス26が損傷することがある。この場合には、センサ側ハーネス26を交換しなくてはならない。
【0044】
然るに、本実施形態によれば、ハーネス装置24は、センタジョイント18のスリップリング18Cを介して姿勢検出センサ21とコントローラ23とを接続している。また、ハーネス装置24は、コントローラ23とセンタジョイント18のスリップリング18Cとの間を接続して設けられたコントローラ側ハーネス25と、センタジョイント18のスリップリング18Cと姿勢検出センサ21との間を接続して設けられたセンサ側ハーネス26とを備えている。センサ側ハーネス26は、トラックフレーム6の内部となるセンタフレーム7の収容空間7Bに配策され、第1端27Aがスリップリング18Cに接続された内部ハーネス27と、トラックフレーム6の外部に配策され、第1端28Aが姿勢検出センサ21に接続された外部ハーネス28と、内部ハーネス27の第2端27Bと外部ハーネス28の第2端28Bとを着脱可能に接続するコネクタ29とにより構成されている。
【0045】
従って、センサ側ハーネス26のうち、損傷するのは外部に露出した外部ハーネス28に限定することができる。しかも、外部に露出した外部ハーネス28は、センタフレーム7のメンテナンスカバー7Fを取外す必要がない上に、容易に手が届くから、コネクタ29から切り離すだけで簡単に取外すことができ、また簡単に取付けることができる。この結果、損傷した外部ハーネス28の交換作業を容易に行うことができる。
【0046】
また、コネクタ29は、トラックフレーム6を構成するセンタフレーム7の周壁板7Dに設けられた開口部7Eの位置で、コネクタブラケット29Aを介してトラックフレーム6に取付けられている。これにより、コネクタブラケット29Aは、コネクタ29を固定できるから、作業者は、外部ハーネス28の着脱作業を片手で行うことができ、作業性を向上することができる。また、コネクタブラケット29Aは、周囲の構造物へのコネクタ29の衝突を防ぐことができ、コネクタ29の耐久性を向上することができる。
【0047】
なお、実施形態では、建設機械としてクローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、ホイール式の油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
3 旋回装置
4 上部旋回体
6 トラックフレーム
7 センタフレーム
7A 上面板
7B 収容空間
7C 下面板
7D 周壁板
7E 開口部
10 旋回輪
18 センタジョイント
18C スリップリング
19 排土装置
19B ブレード
21 姿勢検出センサ
23 コントローラ
24 ハーネス装置
25 コントローラ側ハーネス
26 センサ側ハーネス
27 内部ハーネス
27A,28A 第1端(一端)
27B,28B 第2端(他端)
28 外部ハーネス
29 コネクタ
図1
図2
図3
図4