(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】中間体化合物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07D 209/54 20060101AFI20221028BHJP
【FI】
C07D209/54 CSP
(21)【出願番号】P 2020505217
(86)(22)【出願日】2018-07-30
(86)【国際出願番号】 US2018044279
(87)【国際公開番号】W WO2019027860
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-25
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】バイヤー,プーヴィエン
(72)【発明者】
【氏名】ブラジロ,ジェイソン・エー
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,マグナス
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツ,ジョン・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ヌミー,ローレンス・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ソニア
(72)【発明者】
【氏名】サヴォワ,ジョレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】シドゥ,カンワー・パル・シン
(72)【発明者】
【氏名】シーバー,ジョシュア・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】タンポーネ,トーマス・ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】タン,ズーリン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジューン
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,リ
【審査官】小路 杏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0019985(US,A1)
【文献】国際公開第2016/115356(WO,A1)
【文献】特表2016-510779(JP,A)
【文献】特表2016-513675(JP,A)
【文献】特表2017-504634(JP,A)
【文献】特表2015-524480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II):
【化1】
[式中、R3は、水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、-CN、ハロC1-4アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルキルアリール又はシクロアルキルから選択され;そして、R4は、水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、アルキルアリールである]
で示される化合物;又はその許容しうる塩若しくは水和物。
【請求項2】
式(II):
【化2】
で示される化合物を製造する方法であって:
(i)式(F)で示される化合物を式(F1)で示される化合物に変換する工程:
【化3】
(ii)式(F1)で示される化合物を
式(F2)で示される化合物:
【化4】
とカップリング
させて、そして追加の工程を介して式(F7):
【化5】
で示される化合物を得る工程:
そして
(iii)式(F7)で示される化合物を式(II):
【化6】
[式中、R3は、水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、-CN、ハロC1-4アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルキルアリール又はシクロアルキルから選択され;そして、R4は、水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、アルキルアリールである]
で示される化合物;又はその許容しうる塩若しくは水和物に変換する工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な中間体及びそれらを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下に示される一般構造を持つ置換ヒドラジン中間体は、ピラゾール及びピリダジンのような複素環化合物、更には農薬及び医薬の製造に有用な汎用性のある中間体及び求核剤である(例えば、非特許文献1、2、3を参照のこと)。
【0003】
【0004】
特に、アルキル、シクロアルキル及びスピロ環で置換されたヒドラジンは、免疫学的及び腫瘍学的疾患の処置に対する新規な医薬用途において、最近用途が見出されている(例えば、特許文献1、2)。その結果、薬理学的に関連する化合物の合成に役立ちうるヒドラジンの更なる誘導体がなお必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/115356号
【文献】米国特許第9,156,847号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】Kulkami et al. Chem Biol. Drug Des 2014 (84),270-281
【文献】Aggarwal et al. Indian J. Chem. 2006, 45B, 1426-1430
【文献】Liu et al. Tetrahedron 2015, 7658-7662
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新規な中間体化合物及びそれらを調製するための方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明は、式(II):
【0009】
【化2】
[式中、R3は、水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、-CN、ハロC1-4アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルキルアリール又はシクロアルキルから選択され;そして、R4は、水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、アルキルアリールである]
で示される中間体化合物;又はその許容しうる塩若しくは水和物に関する。
【0010】
第2の態様において、本発明は、式(II)で示される化合物を調製するためのプロセスであって:
(i)式(F)で示される化合物を式(F1)で示される化合物に変換する工程:
【0011】
【化3】
(ii)式(F1)で示される化合物を化合物(F2)とカップリングさせる工程、及び追加の工程を介して式(F3)で示される化合物に変換する工程:
【0012】
【化4】
(iii)化合物(F3)を追加の工程を介して式(F4)で示される化合物に変換する工程:
【0013】
【化5】
(iv)化合物(F4)を式(F5)で示される化合物に変換する工程:
【0014】
【化6】
(v)化合物(F5)を追加の工程を介して式(F6)で示される化合物に変換する工程:
【0015】
【0016】
【化8】
[式中、R3は、水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、-CN、ハロC1-4アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルキルアリール又はシクロアルキルから選択され;そして、R4は、水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、アルキルアリールである]
で示される化合物;又はその許容しうる塩若しくは水和物に変換する工程
を含む、プロセスに関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
置換ヒドラジン中間体は、ピラゾール及びピリダジンのような複素環化合物、更には農薬及び医薬の製造に有用な汎用性のある中間体及び求核剤である。しかし、本発明者らは、本発明の化合物、及びピラゾール又はピリダジンの大規模商業生産のためのこれらの使用を教示する刊行物を一切知らない。
【0018】
本明細書中に使用される全ての用語は、特に断りのない限り、当技術分野で知られている通常の意味で理解されるものとする。他のより具体的な定義は次のとおりである:
K2CO3=炭酸カリウム
MeCN=アセトニトリル
NaOH=水酸化ナトリウム
iPr2EtN=エチルジイソプロピルアミン
POCl3=オキシ塩化リン
NaOMe=ナトリウムメトキシド
MeOH=メタノール
NHBoc=tert-ブトキシカルボニル保護基
BocN=tert-ブトキシカルボニル保護基
BuOH=1-ブタノール
Ms=メタンスルホニル;メシラート
IBCF=クロロギ酸イソブチル
NMM=4-メチルモルホリン(N-メチルモルホリン)
EtOH=エタノール
保護基=tert-ブトキシカルボニル(Boc)、フェノキシカルボニル(Cbz)
【0019】
「(C1-C4)アルキル」という用語は、1~4個の炭素原子を有する分岐及び非分岐アルキル基のことを指す。(C1-C4)アルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルを含む。(C1-C4)アルキル基の任意の化学的に実現可能な炭素原子は、別の基又は部分への結合点になりうることが理解されよう。
【0020】
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードのことを指す。
【0021】
全てのアルキル基又は炭素鎖において、1個以上の炭素原子をヘテロ原子:O、S又はNにより場合により置き換えることができるが、Nが置換されていない場合、それはNHであると理解され、またヘテロ原子は、分岐又は非分岐炭素鎖内の末端炭素原子又は内部炭素原子のいずれにも置き換わりうることが理解されるものとする。そのような基は、オキソなどの基によって本明細書中に上記するように置換されていてもよく、これらに限定されるものではないが、アルコキシカルボニル、アシル、アミド及びチオキソのような定義をもたらしうる。
【0022】
本発明のプロセスに使用される特定の化合物は、無機酸及び有機酸から形成される塩として存在しうる。このような酸は、特定の中間体の調製及び/又は単離に使用されうる。便宜上、このような酸は、本明細書中で「塩形成酸」と呼ばれ、このような塩形成酸から形成される塩は、本明細書中で「塩付加物」と呼ばれる。有用な塩形成酸の非限定的な例は、シュウ酸である。
【0023】
上記のとおり、本発明は、1つの実施態様において、式(II)で示される化合物を製造する方法に関する。本発明の式(II)で示される化合物を製造する方法が後述されるが、ここでR基は、上記で定義されたとおりである。
【実施例】
【0024】
本発明の式(II)で示される化合物を製造するための非限定的な方法は、以下のスキーム2に示されている。
【0025】
【0026】
1.1.1.式(F1)で示される化合物を合成するための一般手順
メカニカルスターラー、還流冷却器、アルゴン注入口及びTジャケット=22℃の熱電対を備えた1L ケミグラス(Chemglass)反応器に、化合物(F)(1.0当量)、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.03当量)、メタノール(HPLC Plus 99.9%)(5体積)及びオルトギ酸トリメチル(1.25体積)を加えた。得られた溶液を、Tジャケット=65℃で1~2時間、加熱還流(Tバッチ=52~53℃)した。1H-NMR(1.5mL d6-DMSOで希釈した0.075mL 反応試料)で分析した1時間還流後の試料は、変換の完了を示した。溶媒が出なくなるまで、50℃/<200torrでオルトギ酸トリメチル及びメタノールを蒸留した。メチルtert-ブチルエーテル(5体積)で希釈し、有機層を5% Na2CO3(2.5体積)で2回、及び3% NaCl水溶液(2.5体積)で1回洗浄した。有機層を50℃/<200torrで濃縮して、化合物(F1)を黄色の油として90~95%の収率で得た。
【0027】
3,3-ジメトキシシクロブタン-1-カルボン酸メチル
【0028】
【化10】
1H-NMR (DMSO-d
6); δ 3.61 (s, 3H), 3.06 (s, 3H), 3.03 (s, 3H), 2.80-2.90 (m, 1H), 2.33-2.42 (m, 2H), 2.17-2.25 (m, 2H).
13C-NMR (DMSO-d
6); 174.6, 99.3, 51.6, 48.1, 47.7, 34.9, 27.8.
【0029】
1.2.1.式(F3)で示される化合物を合成するための一般手順
【0030】
【化11】
メカニカルスターラー、熱電対、還流冷却器及びアルゴン注入口を備えた1L 反応器に、ジイソプロピルアミン(1.1当量)及び無水テトラヒドロフラン(化合物(F1)に基づいて5体積)を加えた。溶液をアルゴン下で撹拌し、T
ジャケット=-30℃で<-20℃まで冷却した。T
バッチ<-10℃を維持しながら、BuLi 2.5M ヘキサン(1.1当量)をゆっくり加えた。LDAの淡黄色溶液を10分間撹拌し、次にT
バッチ<-20℃を維持しながら、化合物(F1)(1.0当量)を45~50分間かけて滴加した。得られた橙色の溶液をT
ジャケット=-30℃で約10分間撹拌した。[(2-ヨードエトキシ)メチル]ベンゼン(F2)(1.0当量)を約10分間かけて滴加すると、帯赤橙色の溶液になる。この添加はわずかに発熱性であり、内部温度は添加終了までに約-17℃に上昇した。T
ジャケット=-20℃に設定し、撹拌した。発熱は約10分間続いて約-6.4℃となり、そこで内部温度が下がり始めた。T
ジャケット=-20℃で撹拌すると、約60分以内に黄色の懸濁液が形成された。2時間撹拌後、半飽和NH
4Cl(5体積)で反応をクエンチした。反応を室温まで温め、層を分離した。有機層を水(3.5体積)で洗浄し、40℃/100mbarの減圧下で黄色の油状物になるまで濃縮した。この油をメタノール(化合物(F1)に基づいて2.5体積)及びテトラヒドロフラン(化合物(F1)に基づいて2.5体積)で希釈した。溶液をアルゴン下で撹拌し、水酸化リチウム水和物(化合物(F1)に基づいて1.0当量)の水(化合物(F1)に基づいて3体積)中溶液を一度に加えた。混合物をT
ジャケット=75℃で2~3時間撹拌した後、HPLC分析によりエステルの完全な加水分解が示された。バッチを冷却し、40℃/100mbarの減圧下で濃縮して、MeOH及びTHFを除去し、体積を元の約40%に減らした。残留油をメチルtert-ブチルエーテル(化合物(F1)に基づいて2体積)で希釈し、セライトパッドに通して濾過した。フィルターパッドをメチルtert-ブチルエーテルで濯ぎ、続いて水(化合物(F1)に基づいて2体積)で濯いだ。混合物を沈降させるにまかせ、最上部有機層を廃棄した。水層をメチルtert-ブチルエーテル(化合物(F1)に基づいて2体積)で洗浄し、最上部有機層を廃棄した。n-ヘプタン(化合物(F1)に基づいて3.5体積)を添加し、混合物を撹拌した。2M 塩酸水溶液(~0.4当量)を反応器に加え、次に種晶を加えた。温度をT
ジャケット=5~7℃に設定して、バッチ温度を<20℃に維持しながらpHが~4になるまで2M 塩酸水溶液(~0.3当量)を約20分間かけてゆっくりと添加した。懸濁液を~10℃まで冷却し、約30分間撹拌した。スラリーを中位のブフナーフリットで濾過し、濾滓をn-ヘプタン(0.5体積)で洗浄し、続いて水(1.0体積)で洗浄した。濾滓をフリット上でハウスバキューム(house-vacuum)にて乾燥させて、オフホワイト色の砂糖様結晶として60~62%の収率の化合物(F3)を得た。
【0031】
1-(2-(ベンジルオキシ)エチル)-3,3-ジメトキシシクロブタン-1-カルボン酸
【0032】
【化12】
1H-NMR (DMSO-d
6); δ 12.3 (br s, 1H), 7.23-7.37 (m, 5H), 4.41 (s, 2H), 3.39 (t, J = 6.7Hz, 2H), 3.03 (s, 3H), 3.00 (s, 3H), 2.44 (d, J = 13Hz, 2H), 2.08 (d, J = 13Hz, 2H), 2.01 (t, J = 6.7Hz, 2H).
13C-NMR (DMSO-d
6); 177.0, 138.5, 128.2, 127.3, 98.5, 72.0, 66.7, 47.8, 47.7, 40.1, 37.3, 36.4.
【0033】
1.3.1.式(F4)で示される化合物を合成するための一般手順
【0034】
【化13】
メカニカルスターラー、熱電対、還流冷却器及びアルゴン注入口を備えた1L 反応器に、CDI(66.11g、407.7mmol)及びTHF(200mL)を加えた。化合物(F3)(100g、339.7mmol)のTHF(300mL)中溶液を約20分間かけて加えた。得られた溶液を室温で約30分間撹拌した。別の反応器に、水素化ホウ素ナトリウム(12.85g、339.7mmol)を入れ、続いて冷(~5℃)水(400mL)を添加した。溶液を2~3℃まで冷却した。次に、内部温度を35℃未満に維持しながら、THF溶液を15~30分間かけて添加し、得られた混合物を20~35℃で約20分間撹拌した。内部温度を45℃未満に維持しながら、反応混合物を真空蒸留により濃縮して元の体積の半分にした。MTBE(400mL)を添加し、混合物を濾過して固体を除去した。濾滓をMTBE(50mL)及び水(50mL)で濯いだ。合わせた濾液を約10分間撹拌し、層を分離した。底部の水層を排出した。1M HCl水溶液(300mL)を有機層に加え、混合物を10分間撹拌し、層を分離した。底部の水層を排出した。1M HCl水溶液(300mL)を加え、混合物を18~22℃で2時間撹拌した。層を分離し、底部の水層を排出した。有機層を5% Na
2CO
3水溶液(200mL)、続いて3% NaCl(200mL)で洗浄した。内部温度を40℃未満に維持しながら、元の体積の約15%が残るまで、反応混合物を真空蒸留により濃縮した。元の体積の半分まで。酢酸エチル(300mL)を添加し、元の体積の約25%が残るまで、蒸留を続けた。酢酸エチル(300mL)を添加し、カールフィッシャー法を使用して水分量を測定し、量が<0.1%であることを確認した。必要に応じて蒸留を繰り返す。別の反応器に、Boc-ヒドラジン(H
2NNHBoc)(49.39g、373.7mmol)及びヘプタン(900mL)を入れ、撹拌した。酢酸エチル溶液を添加し、続いて酢酸(10.20g、169.9mmol)及び化合物(F4)の種晶(0.002g)を添加した。得られた懸濁液を約30分間撹拌した。混合物を~5℃まで冷却し、30分間撹拌した。スラリーを濾過し、濾滓を5:1 ヘプタン/EtOAc(180mL)で洗浄して、2時間乾燥させ、次に<40℃の真空オーブンで乾燥させて、化合物(F4)を85~90%の収率で得た。
【0035】
2-(3-(2-(ベンジルオキシ)エチル)-3-(ヒドロキシメチル)シクロブチリデン)ヒドラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【0036】
【化14】
1H-NMR (CDCl
3); δ 7.48 (br s, 1H), 7.27-7.37 (m, 5H), 4.50 (s, 2H), 3.40-3.62 (m, 5H), 2.75 (d, J = 16Hz, 1H), 2.60-2.68 (m, 2H), 2.45 (d, J = 16Hz, 1H), 1.92 (t, J = 5.3Hz, 2H), 1.50 (s, 9H).
13C-NMR (CDCl
3); 150.7, 137.4, 128.6, 128.0, 127.8, 81.1, 73.4, 68.1, 67.1, 41.9, 39.2, 37.1, 37.0, 28.3.
【0037】
1.4.式(F5)で示される化合物を合成するための一般手順
【0038】
【化15】
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メカニカルスターラー、熱電対、還流冷却器及びアルゴン注入口を備えた1L 反応器に、化合物(F4)(66.0g、1.0当量)及びTHF(6.0V、396mL)を加えた。混合物を撹拌し、0~5℃まで冷却した。バッチ温度を<30℃に維持しながら、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red-Al又はVitride)(127.3ml、132.3g、2.4当量)を約20分間かけてゆっくり加えた。注:ガスの発生が観察された。約1/3~1/2のRed-Alが加えられると、混合物は非常に粘性になり、Red-Alの滴加ごとにガスの発生が続いた。混合物はかなり濃厚になった。残りの添加中に、ガスの発生が減少し、色が黄色に変わるにつれて、混合物の粘度が徐々に低下した。最後に、黄色の希薄で容易に撹拌可能な溶液が形成された。全体の添加には約15~20分間かかった。混合物をアルゴン下で20~25℃で少なくとも2~3時間撹拌し、HPLCで確認した。バッチ温度を<30℃に維持しながら、バッチをロッシェル塩の10重量%水溶液(7.0V、560mL)でクエンチした。濁った混合物を約15分間撹拌し、次に15分間分離させるにまかせた。下部の水層を排出し、有機層をバッチ温度40~45℃及び真空で濃縮してTHFを除去した。酢酸イソプロピル(6.0V、480mL)及びロッシェル塩の10重量%水溶液(7.0V、560mL)を加え、混合物を45~50℃で約15分間撹拌し、次に15分間分離させた。下部の水層を排出した。水(7.0V、560mL)を加え、混合物を45~50℃で15~30分間撹拌し、次に15分間分離させるにまかせた。下部の水層を排出し、約3Vが残るまで、酢酸イソプロピルをバッチ温度40~45℃及び真空で蒸留した。ヘプタン(6.0V、480mL)を加え、混合物をバッチ温度70~75℃まで温めて完全に溶解させた。この溶液をバッチ温度約60℃までゆっくり冷却し、種晶を加えた。少なくとも6時間かけて20~25℃までゆっくり冷却すると、白色のスラリーを得、これを中位のブフナーフリットで濾過した。濾滓をn-ヘプタン(160.00ml;1092.11mmol;2.00V)で濯いで、フリット上にてハウスバキューム(house-vac)で1~2時間、そして35~40℃の真空オーブンで最低6時間乾燥させて、化合物(F5)50g(74%)を白色固体として得た。
【0039】
2-(3-(2-(ベンジルオキシ)エチル)-3-(ヒドロキシメチル)シクロブチル)ヒドラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【0040】
【化16】
1H-NMR (CDCl
3); δ 7.25-7.39 (m, 5H), 6.03 (br s, 1H), 4.50 (s, 2H), 3.99 (br s, 1H), 3.45-3.58 (m, 5H), 3.30 (br t, J = 6Hz, 1H), 2.04-2.13 (m, 2H), 1.84 (t, J = 6Hz, 2H), 1.52-1.60 (m, 2H), 1.45 (s, 9H).
13C-NMR (CDCl
3); 157.2, 137.7, 128.7, 128.1, 128.0, 80.7, 73.5, 69.2, 67.0, 51.0, 40.3, 36.8, 35.5, 28.5.
【0041】
1.5.式(F6)で示される化合物を合成するための一般手順
【0042】
【化17】
メカニカルスターラー、熱電対、還流冷却器及びアルゴン注入口を備えた反応器に、化合物(F5)(50.0g、142.67mmol、1.0当量)、Boc
2O(32.1g、145.53mmol、1.02当量)及びEtOAc(200mL、4vol)を加えた。混合物を撹拌し、40~45℃まで加熱し、5時間撹拌した後、LC分析により反応の完了が示された。反応物を20~25℃まで冷却した。圧力反応器にパラジウム担持炭素(3.0g、1.43mmol)、続いてboc保護ヒドラジン誘導体の酢酸エチル溶液を加えた。温度を25℃に設定し、反応器を窒素及び水素でパージした。反応器を50psiの水素で加圧し、内容物を25℃で5時間撹拌した(水素の取り込みは約90分間続いた)。変換の完了を確認するために、試料をUPLCMS分析により分析した。酢酸エチル溶液をセライトに通して濾過し、濾滓を追加の酢酸エチル(約2×50mL、2×1vol)で洗浄した。45℃、真空(約120mbar)下で酢酸エチルを蒸留する。EtOAc(400mL、8vol)を添加し、それぞれt-ブタノール及び水分含量のためのGC及びKF分析の試料を採取する(注:GCによるt-BuOH含量が0.2%を超えるか、又はKFが0.1%を超える場合は、蒸留を繰り返す。この場合、t-BuOH含量は0.77%であった;蒸留を繰り返すと、0.14% t-BuOH及びKF 0.01%を含む溶液 431gを得た)。メカニカルスターラー、熱電対、還流冷却器及びアルゴン注入口を備えた反応器に、蒸留後のジオールの酢酸エチル溶液を加えた。反応器にMsCl(23.40mL、301.39mmol、2.2当量)を一度に加えた。溶液を5分間撹拌し、T
ジャケット=0~5℃でT
バッチ~15℃まで冷却した。バッチ温度を<25℃に維持しながら、トリエチルアミン(48mL、342.49mmol、2.5当量)を、滴下ロートを介して~15~20分間滴加すると、白色の懸濁液が形成された(注:添加は発熱反応である。この場合、T
ジャケット=5℃で~25℃まで内部温度が上昇した。添加時間が長くなると不純物の形成が観察されている)。温度をT
ジャケット=20℃に調整し、懸濁液を約15分間撹拌し、UPLCMSにより分析した。3%重炭酸ナトリウム水溶液(250ml、5vol)の添加により、反応をクエンチした。混合物を20~25℃で約15分間撹拌し、次に約15分間分離させるにまかせた。下部の水層を排出した(注:水層の推奨pHは8~9である)。水(250mL、5vol)を加えた。混合物を20~25℃で約15分間撹拌し、次に約15分間分離させるにまかせた。下部の水層を排出した(注:水層の推奨pHは7~8である)。約(~250mL、5vol)が残るまで、酢酸エチルをバッチ温度40~45℃及び真空で蒸留した。バッチ温度を40~45℃に維持しながら、ヘプタン(約250mL、5vol)をゆっくり加えた。(~250mL、5vol)が残るまで、40~45℃で蒸留を続けた。温度を40~45℃に維持しながら、追加のn-ヘプタン(100mL、2vol)をゆっくり加えた。スラリーを20~25℃まで冷却して、少なくとも1時間撹拌し、濾過した。濾滓をn-ヘプタン(50ml、1vol)で洗浄し、一晩、ゆっくり窒素を流しながら完全真空を使用して35~40℃で乾燥させて、化合物(F6)を90~95%の収率で得た。
【0043】
1-(3-(2-((メチルスルホニル)オキシ)エチル)-3-(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)シクロブチル)ヒドラジン-1,2-ジカルボン酸ジ-tert-ブチル
【0044】
【化18】
1H-NMR (CDCl
3); δ 6.05 (br s, 1H), 4.68 (br s, 1H), 4.29 (t, J = 6.4Hz, 2H), 4.24 (br s, 2H), 3.05 (s, 3H), 3.01 (s, 3H), 2.23 (br t, J = 10Hz, 2H), 2.12 (br t, J = 10Hz, 2H), 2.04 (t, J = 6.4Hz, 2H), 1.49 (s, 9H), 1.45 (s, 9H).
13C-NMR (CDCl
3); 156.3, 154.7, 81.7, 73.1, 66.3, 47.4, 46.2, 37.6, 37.5, 36.8, 34.6, 34.1, 28.4, 28.3.
【0045】
1.6.式(II)で示される化合物を合成するための一般手順
【0046】
【化19】
メカニカルスターラー、熱電対、還流冷却器及びアルゴン注入口を備えた不活性雰囲気下の反応器に、ベンジルアミン(125mL、1145.4mmol、5当量)を加えた。溶液を撹拌して、T
ジャケット=100℃で90~95℃まで加熱した。化合物(F6)(120g、229.08mmol、1.0当量)のTHF(360mL、3vol)中溶液を3等分して加えたが、温度が90~95℃に達するように各部からTHFを蒸留した後に、次の部を加えた(注:添加は1時間以内に行う必要がある。3回目の添加後の内部バッチ温度は100~105℃でありうる)。混合物を90~95℃で少なくとも30分間撹拌し、次にHPLCにより分析した。イソプロパノール(240mL、2vol)を約10分間かけて加えた(注:添加中バッチ温度を70~75℃に調節するために、添加速度を調整した)。次に、水(240mL、2vol)を約10分間かけて添加した(注:添加中、バッチ温度を70~75℃に調節するために、添加速度を調整した)。バッチを60~65℃まで冷却し、化合物(II)の種晶(水 20mL中に5g)を加えた。バッチを50~55℃まで冷却した(注:バッチが濃厚になる。適切な撹拌を維持するために、必要に応じて撹拌速度を調整する。撹拌が困難になる場合は、次の操作から水を加える)。温度を50~55℃に維持しながら、水(480mL、4vol)を約30分間かけてゆっくり加えた。バッチを約3時間かけて20~25℃まで冷却し、約2時間撹拌し、濾過した。反応器及び濾滓を10% イソプロパノール/水(120mL)で濯ぎ、続いて水(120mL)で濯いだ。固体を、少なくとも12時間ゆっくり窒素を流しながら完全真空を使用して50~55℃で乾燥させて、化合物(II)をオフホワイト色の固体として収率約90%で得た。
【0047】
1-(6-ベンジル-6-アザスピロ[3.4]オクタン-2-イル)ヒドラジン-1,2-ジカルボン酸ジ-tert-ブチル
【0048】
【化20】
1H-NMR (CDCl
3); δ 7.23-7.32 (m, 5H), 6.10 (br s, 1H), 4.52 (br s, 1H), 3.60 (s, 2H), 2.55 (br s, 4H), 2.18 (br s, 2H), 2.07 (br s, 2H), 1.84 (t, J = 7.5Hz, 2H), 1.47 (s, 9H), 1.44 (s, 9H).
13C-NMR (CDCl
3); 156.0,154.9, 139.3, 128.9, 128.4, 127.0, 81.2, 81.1, 66.3, 60.7, 53.8, 47.8, 47.4, 40.3, 39.2, 38.0, 28.4, 28.3.