(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】自動車両用の光学センサの透明な前部要素を洗浄するための洗浄装置、アセンブリ、ならびに方法
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20221028BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
B60S1/62 110A
B08B3/02 F
B60S1/62 120D
B60S1/62 120B
B60S1/62 120C
(21)【出願番号】P 2020539037
(86)(22)【出願日】2019-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2019050898
(87)【国際公開番号】W WO2019141665
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】102018100805.8
(32)【優先日】2018-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514189527
【氏名又は名称】コノート、エレクトロニクス、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CONNAUGHT ELECTRONICS LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】エンダ、ピーター、ワード
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-275390(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0311405(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0001121(US,A1)
【文献】特開2016-222181(JP,A)
【文献】特開2017-128181(JP,A)
【文献】特開2017-024712(JP,A)
【文献】特開2011-244417(JP,A)
【文献】特開2016-088192(JP,A)
【文献】特開2010-014494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0252452(US,A1)
【文献】国際公開第2014/007294(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00-1/68
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な前部要素(11)を含み、
前記前部要素(11)を外側から光ビーム(14)で照明するための光源(13)を含み、
前記前部要素(11)を透過した前記光ビームを受光するための検出デバイス(18)を含み、
前記検出デバイス(18)が受光した前記光ビームを評価して前記前部要素(11)の汚れの程度を決定するように形成された評価デバイス(19)を含む、
自動車両(1)用の光学センサ(4)の透明な前部要素(11)を洗浄するための洗浄装置(9)において、
前記洗浄装置(9)の洗浄デバイス(10)に対する制御信号(22)が前記評価に応じて生成可能であり、これにより、前記前部要素(11)は前記洗浄デバイス(10)によって洗浄可能であり、
前記光源(13)は、少なくとも2つの発光ダイオード(16、17)を含み、
第1波長を有する光ビーム(14)が第1発光ダイオード(16)により発光され得るとともに、前記第1波長とは異なる第2波長を有する光ビーム(14)が少なくとも1つの第2発光ダイオード(17)により発光され得る、
洗浄装置(9)。
【請求項2】
少なくとも前記洗浄デバイス(10)は、前記前部要素(11)に対して変位可能に装着される、および/または、前記光源(13)および前記洗浄装置(9)は、共通のハウジング(15)に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置(9)。
【請求項3】
前記洗浄装置(9)は、超音波を生成するように形成され、
前記前部要素(11)は、前記超音波によって洗浄可能である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置(9)。
【請求項4】
前記洗浄装置(9)は、洗浄タンク(28)に貯蔵された液体の洗浄媒体を含み、
前記液体の洗浄媒体は、前記洗浄デバイス(10)の洗浄ノズル(29)を介して前記前部要素(11)に噴射可能であり、これにより前記前部要素(11)は、前記洗浄媒体によって洗浄可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の洗浄装置(9)。
【請求項5】
前記洗浄装置(9)は、前記前部要素(11)に噴射され得る空気ジェットを生成可能な空気圧ノズル(30)を含み、これにより、前記前部要素(11)は洗浄可能である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の洗浄装置(9)。
【請求項6】
前記受光した光ビーム(14)の少なくとも1つの波長に応じて、前記評価デバイス(19)によって、汚れの程度を決定可能であり、および/または、汚れ物質および/または汚れ強度を前記汚れの程度として決定可能であり、
少なくとも前記汚れ物質および/または前記汚れ強度に応じて、前記制御信号(22)が生成可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の洗浄装置(9)。
【請求項7】
少なくとも前記前部要素(11)の周囲環境についての情報(23)が、前記受光した光ビームの評価において考慮され得る、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の洗浄装置(9)。
【請求項8】
前記洗浄装置(9)は、前記光学センサ(4)の画像センサによる光ビームの受光に関する情報を受信するように形成され、
前記評価デバイス(19)は、当該情報を、前記前部要素(11)の汚れの程度の決定のための評価において考慮するように形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の洗浄装置(9)。
【請求項9】
前記洗浄装置(9)は、前記洗浄装置(9)の外部に配置された少なくとも1つの情報デバイス(27)との情報の双方向通信(25、26)のための通信装置(24)を含み、
前記情報デバイス(27)から受信した情報(25)は、前記評価デバイス(19)による評価において考慮され得る、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の洗浄装置(9)。
【請求項10】
前記洗浄
デバイス(10)に対する複数の制御信号(22)が、前記評価デバイス(19)により生成可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の洗浄装置(9)。
【請求項11】
カメラ(4)と、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の洗浄装置(9)と、
を備えたアセンブリ(32)。
【請求項12】
少なくとも前記カメラ(4)の画像センサの情報が、前記洗浄装置(9)により受信可能であり、
受信した前記画像センサの前記情報は、汚れの程度を決定するための前記評価デバイス(19)による評価において考慮され得る、
ことを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ(32)。
【請求項13】
自動車両(1)用の光学センサ(4)の透明な前部要素(11)を洗浄するための方法において、
前記透明な前部要素(11)は、光源(13)の光ビーム(14)で外部から照明され、
前記前部要素(11)を透過した前記光ビームは、検出デバイス(18)により受光され、
汚れの程度が、評価デバイス(19)によって、前記検出デバイス(18)が受光した前記光ビームの評価により決定され、
洗浄装置(9)の洗浄デバイス(10)に対する制御信号(22)が、前記評価に応じて生成され、これにより、前記前部要素(11)が前記洗浄デバイス(10)によって洗浄され、
前記光源(13)は、少なくとも2つの発光ダイオード(16、17)を含み、
第1波長を有する光ビーム(14)が第1発光ダイオード(16)により発光され得るとともに、前記第1波長とは異なる第2波長を有する光ビーム(14)が少なくとも1つの第2発光ダイオード(17)により発光され得る、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両用の光学センサの透明な前部要素を洗浄するための洗浄装置に関する。さらに、本発明は、アセンブリならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、自動車両用の光ビームを受光するための検出デバイスが既に知られている。検出デバイスは、透明な前部要素を含んでいる。特に、自動車両での使用において、透明な前部要素に汚れが発生することがある。汚れにより、検出デバイスが受信した情報が損なわれ得る。検出デバイスの機能を回復可能とするためには、透明な前部要素の洗浄が必要である。現在、このような汚れは、例えば、液体および/または空気清浄システムを手動で作動させることにより実施されることが知られている。
【0003】
波長分析により汚れの程度を認識可能なシステムが、先行技術から知られている。例えば、米国特許第8,406,859B2号は、画像分光学的データを収集または捕捉する画像分光法を開示している。
【0004】
さらに、WO2012/065952A1号は、少なくとも1つの化学基材で汚染された表面の洗浄プロセスを検証または確認するための方法を開示している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、透明な前部要素の汚れを確実に除去することができる洗浄装置、アセンブリ、ならびに方法を提供することである。
【0006】
この目的は、独立請求項に記載の洗浄装置、アセンブリ、ならびに方法により達成される。
【0007】
本発明の一態様は、自動車両用の光学センサの透明な前部要素を洗浄するための洗浄装置に関する。前記洗浄装置は、前記透明な前部要素と、前記前部要素を外側から光ビームで照明するための光源と、を含む。さらに、前記洗浄装置は、前記前部要素を透過した前記光ビームを受光するための検出デバイスを含む。さらにまた、前記洗浄装置は、前記検出デバイスが受光した前記光ビームを評価して前記前部要素の汚れの程度を決定するように形成された評価デバイスを含む。前記評価に応じて、前記洗浄装置の洗浄デバイスに対する制御信号が生成可能であり、これにより、前記前部要素は前記洗浄デバイスによって洗浄可能である。
【0008】
これにより、汚れの程度が正確に捉えられ得る。そして、透明な前部要素を洗浄するための制御信号が、各汚れの程度に応じて対応して実施され得る。したがって、光センサ用の光ビームが、光学センサに、例えば光学センサの画像センサに良好に到達し得るため、光学センサの良好な動作が可能とされる。これにより、透明な前部要素が良好に洗浄されるため、特に光学センサで障害が発生しない。
【0009】
さらに、これにより、透明な前部要素を意図的に洗浄することができる。換言すれば、透明な前部要素に汚れが存在していない場合、洗浄デバイスに対する洗浄信号は生成されない。したがって、例えば洗浄媒体が節約できる。しかしながら、透明な前部要素が汚れている場合、透明な前部要素はこれに対応して意図的に洗浄され得る。このため、洗浄装置のエネルギー消費量、および例えば洗浄装置の洗浄媒体の消費量の両方が、低減され得る。
【0010】
特に、透明な前部要素を洗浄した後、前部要素を外部からさらに照明して前部要素の洗浄をチェックすることができる。そして、例えば汚れがさらに認識された場合、選択的に洗浄プロセスを再度実施することができる。
【0011】
構成の有利な形態によれば、少なくとも前記洗浄デバイスは、前記前部要素に対して変位可能に装着され得る、特に伸縮アームに装着され得る、および/または、前記光源および前記洗浄デバイスは、共通のハウジングに配置され得る。洗浄デバイスを伸縮アームに装着することにより、特に自動車両の空気力学性を向上させることができる。なぜならば、特に洗浄デバイスは、例えば作動されなければ自動車両のトリム部から突出しないからである。特に、洗浄デバイスの作動時に、ここで作動とは特に制御信号の生成を意味する作動時に、伸縮アームは洗浄デバイスとともに例えばトリム部から延び出し得るとともに、前部要素の洗浄を実施し得る。これにより、特に、伸縮アームが洗浄デバイスとともに延び出た後に、前部要素の角度位置によって前部要素は良好に洗浄され得るため、ほとんど空気力学的な悪影響を及ぼさずに前部要素を確実に洗浄することができる。
【0012】
代替的または追加的に、光源および洗浄デバイスが共通のハウジングに配置される場合、有利である。特に、光源および洗浄デバイスは、材料およびスペースを節約する態様において1つのハウジング内に配置され得る。これにより、光源と洗浄デバイスとを共通部品として形成することができる。したがって、前部要素の確実かつ効率的な洗浄を実施することができる。
【0013】
代替的または追加的に、検出デバイスを、光源および/または洗浄デバイスと共通のハウジングに配置することが可能である。これにより、前部要素のひどい汚れにより光ビームが透明な前部要素を透過しないような場合であっても、汚れの程度の決定を捕捉することが可能となる。
【0014】
前記洗浄装置は超音波を生成するように形成され、前記前部要素は前記超音波によって洗浄可能である場合、有利であることがさらに判明している。特に、汚れの程度に応じて超音波を汚れに対して相応な時間長作用させることにより、汚れが有利に除去され得る。さらに、前部要素のより有利な洗浄を実施できるように、超音波を異なる波長で発することができる。
【0015】
また、前記洗浄装置は、洗浄タンクに貯蔵された液体の洗浄媒体を含み、前記液体の洗浄媒体は、前記洗浄デバイスの洗浄ノズルを介して前記前部要素に噴射可能であり、これにより前記前部要素は、前記洗浄媒体によって洗浄可能である場合、有利である。洗浄タンクは、例えば洗浄装置の洗浄タンクであり得る。しかしながら、例えば、自動車両に既存のタンクを使用することも可能であり、フロントガラスワイパー装置の洗浄媒体が例えば使用され、したがって、フロントガラスワイパー装置の洗浄タンクを使用することができる。これにより、特に前部要素の確実な洗浄が可能とされる。さらに、自動車両に既存のシステムを使用することができるため、例えば追加のタンクを設けることなく洗浄を実施することができる。
【0016】
前記洗浄装置は、前記前部要素に噴射され得る空気ジェットを生成可能な空気圧ノズルを含み、これにより、前記前部要素が洗浄可能である場合、有利であることがさらに判明している。したがって、前部要素の洗浄を空気によって実施することができる。このため、良好な前部要素の洗浄が実施され得る。
【0017】
構成のさらに有利な形態によれば、前記評価デバイスによって、前記受光した光ビームの少なくとも1つの波長に応じて汚れの程度が決定可能であり、および/または、汚れ物質および/または汚れ強度が前記汚れの程度として決定可能であり、前記汚れ物質および/または前記汚れ強度に少なくとも応じて、前記制御信号が生成可能である。特に、異なる汚れ物質や異なる汚れ強度は、光ビームの光源により発光された波長および受光された波長に対してそれぞれ異なる影響を及ぼすため、特に汚れ物質としての、および/または汚れ強度としての汚れの程度を、本方法によって確実に決定することができる。したがって、汚れの程度を詳細に決定することができるとともに、これに対応して制御信号を生成することができる。これにより、前部要素の有利な洗浄が実施され得る。
【0018】
好適には、光ビームは、検出ユニットによって受光され、基準光ビームを使用して比較されることができる。これにより、汚れの程度が確実に決定され得る。
【0019】
前記光源は、少なくとも2つの発光ダイオードを含み、第1波長を有する光ビームが第1発光ダイオードにより発光され得るとともに、前記第1波長とは異なる第2波長を有する光ビームが少なくとも1つの第2発光ダイオードにより発光され得る場合、さらに有利である。特に、少なくとも2つの発光ダイオードの波長は、人間の目に見えない範囲であることが想定され得る。例えば、波長は、紫外線または赤外線であり得る。
【0020】
さらに、可視光線を発光することも可能である。また、赤外線よりも高い波長の光ビームを発光することも可能である。また、異なる光ビームを組み合わせて発光することも可能である。これにより、マルチスペクトルおよびハイパースペクトル分析が特に可能とされ、汚れの程度を正確に特徴付けることができる。また、検出ユニットおよび透明な前部要素は、特に対応する波長の透過および検出を可能にし得る。例えば、このことは、対応する波長に対するフィルタを有する、または画像センサに配置された受信ユニット用の対応する組み合わせを有する標準シリコン画像センサにより可能とされる。さらに、信頼性のある評価が実施され得るように、それぞれ異なる波長の光ビームを発光する複数の発光ダイオードを光源が含むことが可能である。
【0021】
構成のさらに有利な形態によれば、少なくとも前記前部要素の周囲環境についての情報が、前記受光した光ビームの評価において考慮され得る。これにより、検出ユニットの良好な較正が実施され得る。これは、周囲環境の光ビームが既知であり、例えば比較対象である基準光ビームから対応して差し引かれ得るため、光源により発光された光ビームのみが汚れの程度の評価において考慮されるからである。
【0022】
また、前記洗浄装置は、前記光学センサの画像センサによる光ビームの受光に関する情報を受信するように形成され、前記評価デバイスは、当該情報を、前記前部要素の汚れの程度の決定のための評価において考慮するように形成される場合、有利である。換言すれば、カメラは、例えば光学センサとして機能し得る。そして、カメラの画像センサが捕捉した情報は、評価において考慮され得る。特に、光学センサの画像センサのみが、洗浄装置の評価デバイスによる評価のために使用され得る。したがって、洗浄装置は、特に数少ない部品でも汚れの程度を確実に決定することができ、透明な前部要素の確実な洗浄を実施することができる。
【0023】
さらに、前記洗浄装置は、前記洗浄装置の外部に配置された少なくとも1つの情報デバイスとの情報の双方向通信のための通信装置を含み、前記情報デバイスから受信した情報は、前記評価デバイスによる評価において考慮され得ることが想定され得る。
【0024】
例えば、車両対インフラについての情報が、評価において考慮され得る。また、評価において、車両対車両構造についての情報を考慮に入れることも可能である。例えば、車両対インフラ情報および車両対車両情報のそれぞれを、例えば入力時間に関して重み付けし、そして評価に組み込んでもよい。車両対インフラ情報は、例えばクラウドベースの情報である。
【0025】
好適には、例えば他の車両も評価デバイスの情報を入手し、例えばこの更なる自動車両の光学センサの洗浄プロセスにおいてこの情報が考慮されることが想定され得る。これは、例えば、この更なる車両が本発明による洗浄装置を含む必要がなく、洗浄を実施可能な対応する洗浄装置のみを含めばよいという利点を有する。洗浄プロセスについての対応する情報は、本発明による洗浄装置を有する自動車両によって提供され得る。
【0026】
前記洗浄装置に対して複数の制御信号、特に異なる制御信号が、前記評価デバイスにより生成可能である場合、有利であることがさらに判明している。洗浄デバイスが例えば空気圧ノズルおよび洗浄ノズルを含んでいる場合、洗浄サイクルを、汚れの程度に応じて、特に汚れ強度および汚れ物質に応じて、特に実施することができる。例えば、最初に空気圧ノズルを使用し、次いで洗浄ノズルを使用して洗浄を実施することができる。提案される洗浄方法の、換言すれば、超音波による、洗浄媒体による、および空気圧ノズルによる洗浄方法の可能な組み合わせも採用され得る。対応する洗浄プロセスを複数回実施し得ることも考えられる。
【0027】
好適には、例えば良好な洗浄プロセスについての情報を、将来に利用できるように自動車両の記憶装置に格納することができる。この格納された情報を、洗車機に提供してもよい。これにより、例えば、自動車両が洗車機への入庫時に洗車機に当該情報を提供することにより、例えば洗車機は汚れの程度、したがって汚れ強度および汚れ物質についての情報を受ける。これにより、洗車機において特に好適なプログラムが自動的に選択され得る。自動車両は透明な前部要素と少なくとも同程度の汚れを有しているため、自動車両の良好な洗浄を実施することができる。
【0028】
好適には、洗浄装置は、例えば、車両の窓ガラスまたはフロントガラスを洗浄するためのスクリーンワイパーシステムにも形成され得る。
【0029】
さらなる可能性は、洗浄装置がドローンに収容され、ドローンが例えば自動車両へ飛んでいって汚れの程度を決定することである。例えば、ドローンは、光学センサから光学センサに飛んで、光学センサによって洗浄をチェックすることができる。
【0030】
さらなる態様は、カメラと、上記の態様のいずれか1つによる洗浄装置と、を有するアセンブリに関する。
【0031】
アセンブリの構成の有利な形態において、前記カメラの画像センサの情報が、洗浄装置により受信可能であり得る。受信した前記画像センサの前記情報は、汚れの程度を決定するための前記評価デバイスによる評価において考慮され得る。換言すれば、カメラの画像センサは、検出デバイスとして追加的または代替的に使用される。したがって、カメラの画像センサは本方法を実施することができ、特に部品を節約することができる。これにより、光ビームを簡単に捕捉することができ、捕捉された光ビームの評価を信頼性高く実施することができる。
【0032】
本発明のさらなる態様は、自動車両用の光学センサの透明な前部要素を洗浄するための方法に関する。前記透明な前部要素は、光源の光ビームで外部から照明される。前記前部要素を透過した前記光ビームは、検出デバイスにより受光される。汚れの程度が、評価デバイスによる、前記検出デバイスが受光した前記光ビームの評価により決定される。前記評価に応じて、前記洗浄装置の洗浄デバイスに対する制御信号が生成され、これにより、前記前部要素が前記洗浄デバイスによって洗浄される。
【0033】
また本発明のさらなる態様は、洗浄装置、またはアセンブリを含む自動車両に関する。特に、自動車両は乗用車として形成される。
【0034】
洗浄装置の構成の有利な形態は、それぞれ、アセンブリ、自動車両、および方法の構成の有利な形態とみなされるべきである。また、洗浄装置、アセンブリ、ならびに自動車両は、本方法またはその構成の有利な形態を実施可能とする具体的な特徴を含んでいる。
【0035】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲、図面、および図面の説明から明らかである。上述の特徴および特徴同士の組み合わせ、ならびに後述の図面の説明および/または図面に示す特徴および特徴同士の組み合わせは、それぞれ特定された組み合わせのみならず、本発明の範囲を逸脱せずに他の組み合わせまたは単独で利用可能である。したがって、図面に明示されたり説明されたりしていないが、説明された実施態様から生じる実施形態、並びに、説明された実施態様からの別個の特徴の組み合わせから生成され得る実施態様もまた、本発明により包含され、かつ開示されているとみなされるべきである。実施態様および特徴の組み合わせは開示されたものとみなされるべきであり、これらは最初に作成された独立請求項の全ての特徴を有しているわけではない。さらに、実施態様および特徴の組み合わせは、特に請求項に関して記載された特徴の組み合わせを超える、または逸脱する上述の実施態様により開示されたものとみなされるべきである。
【0036】
本発明を、好適な実施形態に基づいて添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】アセンブリを有する自動車両の一実施形態の概略上面図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面において、機能的に同一の要素には同じ参照符号が付される。
【0039】
図1は、本発明の実施形態による自動車両1を上面図で示している。本例において、自動車両1は乗用車として形成されている。自動車両1は、カメラシステム2を含んでいる。カメラシステム2は、例えば自動車両1の電子コントローラにより構成され得る画像処理装置3を含んでいる。さらに、カメラシステム2は、少なくとも1つのカメラ4を含んでいる。本実施形態において、カメラシステム2は、自動車両1に分散配置された例えば4つのカメラ4を含んでいる。しかしながら、例えば2つのみのカメラ4、または3つのカメラ4、またあるいは4つより多いカメラ4も想定され得る。ここで、カメラ4のうちの1つは後方領域5に配置され、カメラ4のうちの1つは自動車両1の前方領域7に配置され、残りの2つのカメラ4は、特に各側方領域6、特にサイドミラーの領域に配置されている。ここで、カメラシステム2のカメラ4の個数および配置は、純粋に例示として理解されたい。
【0040】
自動車両1の周囲環境8にある物体OBが、カメラ4によって捕捉され得る。好適には、4つのカメラ4は、構造において同一に形成される。特に、一連の画像が、周囲環境8を映すカメラ4によって提供され得る。これらの画像は、カメラ4から画像処理装置3に送信され得る。したがって、カメラシステム2は、自動車両1を運転する際、自動車両1のドライバーを支援する役割を果たす。カメラシステム2は、例えばいわゆる電子バックミラー(この場合、カメラシステム2は、好適には側方領域6に2つのカメラ4を含む)、またはACCシステム(適応クルーズコントロールシステム)、または駐車支援システム、または他のシステムであり得る。また、カメラシステム2は、人、特に車両のドライバーを捕捉するように、自動車両の車室に形成され得る。
【0041】
自動車両1は、洗浄装置9を含んでいる。あるいは、自動車両1は、光学センサとしての少なくとも1つのカメラ4と少なくとも1つの洗浄装置9とを含むアセンブリ32を含み得る。
【0042】
図2は、洗浄装置9の実施形態の概略図を示す。以下の実施形態において、洗浄装置9は、洗浄デバイス10と、透明な前部要素11と、を含んでいる。洗浄デバイス10および透明な前部要素11は、本実施形態において、自動車両1のトリム部12に配置されている。ここで、透明な前部要素11は、例えばカメラ4のレンズである。
【0043】
本実施形態において、洗浄デバイス10は、前部要素11を外側から照明するための光ビーム14を発光する光源13を含んでいる。特に、光源13および洗浄デバイス10は、共通のハウジング15に形成されている。
【0044】
特に、洗浄デバイス10の小型化を可能とするように、光源13のレンズおよび光源13の発光ダイオード16、17(
図4)が、マルチアレイLEDとして形成されることが想定され得る。発光ダイオード16、17は、フレキシブル回路基板、標準回路基板、または別の射出成形方法によって配線されるか、製造されていることが想定され得る。
【0045】
洗浄装置9の検出デバイス18は、前部要素11を通過する光ビーム14を受光するように形成されている。検出デバイス18は、カメラ4の画像センサとして形成されることが想定され得る。検出デバイス18は、特に、前部要素11の汚れの程度を決定することができる評価デバイス19に連結されている。
【0046】
特に、例えばカメラ4の画像センサとして形成され得る検出デバイス18は、カメラ4のための画像処理および洗浄装置9のための検出の両方を実施することができる。例えば、検出デバイス18によって、紫外線範囲、人の目に対する可視範囲、赤外線範囲、またはさらに高い波長範囲にある光ビーム14を検出することができる。
【0047】
通過した光ビームに基づいて、特に光ビームの波長に基づいて、汚れの程度が特に評価デバイス19によって決定され得る。特に、汚れ物質および/または汚れ強度が、汚れの程度として決定可能であり、制御デバイス21用の制御信号20が、汚れの程度に応じて生成され得る。これにより、洗浄デバイス10用の制御信号22が確実に生成され得る。
【0048】
受光した光ビーム14の評価において、少なくとも前部要素11の周囲環境に関する情報23が、特に考慮され得る。この情報23は、分析において考慮可能であるように、特に例えば周囲環境光ビームであり得る。
【0049】
さらに、洗浄装置9は、通信装置24を含み得る。通信装置24は、洗浄装置9の外部に配置された少なくとも1つの情報デバイス27との情報の双方向通信25、26のために形成される。情報デバイス27から受信した情報25は、評価デバイス19による評価において考慮され得る。
【0050】
情報デバイス27は、例えば、それぞれ車両対インフラおよび車両対車両の情報デバイスの一部として形成され得る。したがって、データが例えばクラウドベースの態様で交換され、洗浄装置9は受信した情報25をこのクラウドから入手することができる。さらに、情報デバイス27は、別の自動車両の一部として形成され得る。評価デバイス19は、例えば、周囲環境についての、特に汚れの程度についての処理情報を情報デバイス27に送信することができる。これにより、例えば、特に本発明による洗浄装置9を含んでいない別の自動車両が情報を獲得することで、対応する検出を実施せずに対応する洗浄がこの別の自動車両においても実施され得る。
【0051】
洗浄装置9、特に洗浄デバイス10は、特に超音波を発生するように形成される。前部要素11は、超音波によって洗浄可能である。さらに、洗浄デバイス10は、洗浄タンク28に貯蔵された液体洗浄媒体を含み得る。液体洗浄媒体は、洗浄デバイス10の洗浄ノズル29を介して前部要素11に噴射可能であり、これにより前部要素11は洗浄可能である。洗浄タンク28は、例えば洗浄装置9の洗浄タンクであり得るか、または自動車両1のワイパーシステムの洗浄タンクであり得る。
【0052】
さらに、洗浄装置9は、前部要素11に噴射され得る空気ジェットを生成可能な空気圧ノズル30を含むことが想定され得る。これにより、前部要素11は洗浄可能である。
【0053】
さらに、少なくとも洗浄デバイス10、本例において洗浄デバイス10および光源13が、少なくとも前部要素11に対して変位可能であるように伸縮アーム31に装着されることが想定され得る。
【0054】
さらに、異なるものによって、例えば、空気ジェットによって、および/または洗浄媒体によって、および/または超音波によって、前部要素11が洗浄可能であるように、複数の制御信号22、特に異なる制御信号22が、制御デバイス21により洗浄デバイス10に対して生成され得ることが想定され得る。特に、例えば異なる洗浄をするものによって洗浄サイクルが連続的に実施されるように、洗浄サイクルを実施することができる。これにより、前部要素11の有利な洗浄が実施され得る。
【0055】
図3は、洗浄装置9の実施形態の概略斜視図を示す。洗浄装置9は、特に光源13および洗浄デバイス10を含む伸縮アーム31を含んでいる。本実施形態において、カメラ4の画像センサは、特に検出デバイス18として形成されている。特に、画像センサは、洗浄検出状態に設定可能である。伸縮アーム31は、特に、光源13とともに延び得るとともに、前部要素11を光ビーム14で照明し得る。光ビーム14は、前部要素11の汚れの程度に対応して前部要素11を透過し、画像センサに受光される。画像センサは、特に、受光した光ビームを、基準光ビームを用いて比較することができ、このようにして汚れの程度の汚れ分析を実行できる。特に、周囲環境8の背景照明が、評価において考慮され得る。評価に応じて、対応する洗浄モードが決定され得る。例えば、液体媒体の量、空気の混合、作動時間、またはサイクル数が、評価に応じて設定または決定され得る。
【0056】
洗浄後、前部要素11は、汚れについて再度チェックされ得る。そして、例えば汚れが再び検出された場合、洗浄サイクルが再び実施され得る。
【0057】
別の自動車両が評価デバイス19の情報の提供を受けて、この別の自動車両も洗浄に関するこの情報を利用できるようにすることができる。また、この情報を洗浄装置9の記憶媒体に対応して記憶することができるとともに、汚れの程度に応じた適切な洗浄動作も記憶することもできる。また、自動車両1は前部要素11と同様の程度の汚れを有すると推測されるため、記憶した情報を例えば洗車機に渡すことも可能である。したがって、この情報が確実に洗車機に渡され得るとともに、汚れが自動車両1から確実に落とされ得る。
【0058】
例えば、洗浄装置9は、フロントガラスまたは別の光学センサにおいても採用され得る。また、検出デバイス18’が洗浄デバイス10に共に配置されることも可能である。これにより、前部要素11の汚れがひどい場合に、更なる検出デバイス18’によって汚れが検出され得る。
【0059】
図4は、洗浄デバイス10の概略図を示す。以下の実施形態において、洗浄デバイス10は、洗浄ノズル29と、空気圧ノズル30と、を含んでいる。さらに、洗浄デバイス10は、本例においてマルチアレイLEDとして形成された2つの発光ダイオード16、17を含んでいる。特に、第1発光ダイオード16は、第1波長を有する光ビーム14を発光し、第2発光ダイオード17は、第1波長とは異なる第2波長を有する光ビーム14を発光する。特に、これにより、この少なくとも2つの異なる波長に応じて、汚れの程度が決定できる。したがって、特に汚れ物質および/または汚れ強度について、汚れの程度を確実に決定することができる。特に、異なる汚れ物質は、スペクトル分析において、透過した光ビームに対して異なる影響をもたらすため、汚れの程度を確実に決定することができ、対応する洗浄信号をより良好に生成することができる。こうして、前部要素11は、より良好に洗浄され得る。このため、例えばカメラ4等の光学センサのより良好な動作が、特に実現され得る。