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特許7166400レーザレーダ用台座、レーザレーダ装置及び自動運転車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】レーザレーダ用台座、レーザレーダ装置及び自動運転車両
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20221028BHJP
   B05B 1/04 20060101ALI20221028BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
B05B1/04
B05B1/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021113978
(22)【出願日】2021-07-09
(65)【公開番号】P2021177185
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】202011393891.3
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514322098
【氏名又は名称】ベイジン バイドゥ ネットコム サイエンス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing Baidu Netcom Science Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】2/F Baidu Campus, No.10, Shangdi 10th Street, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】レン ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ゾンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ボーレイ
(72)【発明者】
【氏名】フー ジンション
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジアリー
(72)【発明者】
【氏名】ユエン ユーチュエン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン イエンフー
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-196177(JP,A)
【文献】特開2018-115943(JP,A)
【文献】国際公開第2020/031504(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
17/00-17/95
G01C 3/00-3/32
G01B 11/00-11/30
B05B 1/04
B05B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザレーダモジュールを取り付けるための座体と、
前記座体に配置される蓋板と、を備え、
前記蓋板と前記座体との間には、流れ誘導ギャップが形成され、前記流れ誘導ギャップの排気口が前記レーザレーダモジュールに向けて配置され、
前記座体には、気体流路が設けられ、前記気体流路の排気端が前記流れ誘導ギャップに連通され、
前記座体の外壁には、凹溝が設けられ、前記蓋板と前記凹溝とが前記流れ誘導ギャップを形成し、前記気体流路の排気端が前記凹溝の底壁まで延在し、
前記凹溝の上縁には、第1傾斜面が設けられ、前記蓋板の内側面が、前記流れ誘導ギャップの排気口を形成するように、前記第1傾斜面から間隔をおいて配置され、
前記座体の外壁は、前記第1傾斜面の上縁を円弧状に沿って上向きに延在して形成された円弧面を有し、前記円弧面は内側に凹んで設けられている、
レーザレーダ用台座。
【請求項2】
前記座体は、前記レーザレーダモジュールを取り付けるための中心孔を形成するようにリング状に構成され、
前記流れ誘導ギャップの延在方向は、前記座体の中心軸に向かって上向きに傾斜して設けられている、
請求項1に記載のレーザレーダ用台座。
【請求項3】
前記蓋板の外側面には、第2傾斜面が設けられ、
前記第2傾斜面は、前記座体の中心軸に向かう方向に沿って上向きに傾斜して前記蓋板の上縁まで延在する、
請求項1に記載のレーザレーダ用台座。
【請求項4】
前記蓋板と前記座体との間には、ガスケットが配置され、
前記ガスケットには、前記凹溝を避けるように設置された切欠きが設けられている、
請求項1に記載のレーザレーダ用台座。
【請求項5】
前記流れ誘導ギャップは、複数であり、前記座体の周方向に沿って間隔をおいて設けられる、
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレーザレーダ用台座。
【請求項6】
前記蓋板は、リング状に構成され、
前記蓋板と前記座体とは、複数の前記流れ誘導ギャップを形成する、
請求項5に記載のレーザレーダ用台座。
【請求項7】
前記蓋板は、複数であり、前記座体の周方向に沿って間隔をおいて設けられ、
前記蓋板の各々は、前記座体と前記流れ誘導ギャップをそれぞれ形成する、
請求項5に記載のレーザレーダ用台座。
【請求項8】
筐体を含むレーザレーダモジュールと、
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のレーザレーダ用台座と、を備え、
前記筐体は、前記座体に取り付けられる、
レーザレーダ装置。
【請求項9】
請求項8に記載のレーザレーダ装置を備える、自動運転車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動運転技術分野、特にレーザレーダ装置分野に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術における洗浄機能を有するレーザレーダ装置は、通常、水流により洗掘することでレーザレーダ装置の外表面を洗浄する。洗浄後、レーザレーダ装置の外表面に残留する水滴はレーザ信号に対して遮蔽、屈折、散乱などの影響を与えやすく、それによって点群データの歪みや不連続の状況を引き起こし、レーザレーダ装置の動作性能に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、レーザレーダ用台座、レーザレーダ装置及び自動運転車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1態様において、レーザレーダ用台座を提供し、該台座は、レーザレーダモジュールを取り付けるための座体と、座体に配置される蓋板と、を備え、蓋板と座体との間には、流れ誘導ギャップが形成され、流れ誘導ギャップの排気口は、レーザレーダモジュールに向けて配置される。
【0005】
本開示の第2態様において、レーザレーダ装置を提供し、該装置は、筐体を含むレーザレーダモジュールと、上述の態様のレーザレーダ用台座と、を備え、筐体は、座体に取り付けられる。
【0006】
本開示の第3態様において、自動運転車両をさらに提供し、該車両は、上述の態様のレーザレーダ装置を備える。
【0007】
本開示の技術方案を採用することで、本開示の実施形態のレーザレーダ用台座は、レーザレーダモジュールの洗浄に噴射水流を用いたことによりレーザレーダ装置の異常動作につながりやすいという関連技術の技術的課題を解決している。本開示の実施形態のレーザレーダ用台座は、レーダモジュールの洗浄効果がより優れているだけでなく、レーダモジュールの動作安定性を確保することができ、また、構造が簡単で低コストであるという利点もある。
【0008】
ここに記載された内容は、本開示の実施形態のキーポイントまたは重要な特徴を記述することを意図せず、また、本開示の範囲を制限することにも用いられないことを理解すべきである。本開示の他の特徴については、下記の明細書を通して説明を促す。
【0009】
以下、図面を参照してより詳細に説明し、本開示の各実施形態の上述または他の特徴や態様および利点はより明らかになる。図面において、同一または類似の符号は、同一又は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の1つの実施形態によるレーザレーダ用台座の構成の概略図である。
図2】本開示の1つの実施形態によるレーザレーダ装置の構成の概略図である。
図3】本開示の1つの実施形態によるレーザレーダ装置の正面図である。
図4図3におけるA部分を拡大して示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、本開示の例示的な実施形態を、理解を容易にするために本開示の実施形態の様々な詳細を含む添付の図面に関連して説明するが、これらは単に例示的なものであると考えるべきである。したがって、当業者は、本開示の範囲および精神を逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に様々な変更および修正を加えることができることを認識すべきである。同様に、以下の説明では、周知の機能および構成については、明確化および簡略化のために説明を省略する。
【0012】
以下、図1図4を参照して本開示の一態様の実施形態によるレーザレーダ用台座100を説明する。
【0013】
図1に示すように、レーザレーダ用台座100は、座体10と蓋板20とを備える。
【0014】
具体的に、座体10は、レーザレーダモジュール200を取り付けるためのものである。蓋板20は座体10に配置され、蓋板20と座体10との間には流れ誘導ギャップ20aが形成されている。ここで、流れ誘導ギャップ20aの排気口20bは、レーザレーダモジュール200に向けて設けられている。
【0015】
本実施形態によるレーザレーダ用台座100は、レーザレーダ装置1に適用することができ、具体的に、レーザレーダ装置1のレーザレーダモジュール200を支持固定するために用いることができる。
【0016】
例示的に、流れ誘導ギャップ20aは、吸気端も備える。流れ誘導ギャップ20aの吸気端とエアポンプの出力端とは連通して、流れ誘導ギャップ20a内に高圧気体流を導入し、高圧気体流が流れ誘導ギャップ20aにて二次圧縮して誘導され後、座体10に取り付けられたレーザレーダモジュール200を経って流れ誘導ギャップ20aの排気口20bから流出されるようにしてもよい。
【0017】
好ましくは、蓋板20の内側面と座体10の上表面10aとの間のギャップは、2mm未満であってもよい。これにより、流れ誘導ギャップ20aの高さが狭くなり、流れ誘導ギャップ20a内の高圧気体流の流通面積を小さくすることができるので、高圧気体流が二次圧縮され、流れ誘導ギャップ20a内の高圧気体流の空気圧を大きくすることができ、さらに、排気口20bから流出する高圧気体流の流速が向上する。
【0018】
一例では、流れ誘導ギャップ20aを1つとし、流れ誘導ギャップ20aの排気口20bがレーザレーダモジュール200を取り囲むように、流れ誘導ギャップ20aの排気口20bを座体10の周方向に沿って延設することで、レーザレーダモジュール200の周方向に死角のない洗浄を実現することができる。
【0019】
別の例では、流れ誘導ギャップ20aは、座体10の周方向に沿って間隔をおいて複数設けられていてもよい。このうち、複数の流れ誘導ギャップ20aの排気口20bは、座体10の周方向に沿って順に接続して延在するので、レーザレーダモジュール200の周方向においても死角のない洗浄を実現することができる。
【0020】
本開示の実施形態に係るレーザレーダ用台座100は、座体10の上に蓋板20を設けて流れ誘導ギャップ20aを形成することにより、流れ誘導間隙20aに入った高圧気体流は、二次圧縮された後、より高い流速でレーザレーダモジュール200に向かって流がされ、レーザレーダモジュール200に対して強い衝撃力を形成し、レーザレーダモジュール200の外側面の液体、ほこり、汚れなどの付着物を洗浄する。本実施形態のレーザレーダ用台座100は、水流を噴射してレーザレーダモジュールを洗浄する従来技術と比較して、水流による洗掘後に残された水滴がレーザ信号に干渉してレーザレーダ装置1が正常に動作しなくなる事態を回避することができる。したがって、本開示の実施形態によるレーザレーダ用台座100は、レーザレーダモジュール200に対して良好な洗浄効果を有するだけでなく、レーザレーダモジュール200の動作安定性を保証することができ、構造が簡単で低コストであるなどの利点を有する。
【0021】
1つの実施形態では、座体10は、図1及び図2に示すように、レーザレーダモジュール200を取り付けるための中心孔10bを形成するようにリング状に構成される。ここで、流れ誘導ギャップ20aの延在方向は、座体10の中心軸に向かって上向きに傾斜して設けられている。
【0022】
例示的に、レーザレーダモジュール200の筐体201は、中央孔10b内に嵌め込まれてもよく、座体10は、レーザレーダモジュール200の下端に隣接して配置されてもよい。
【0023】
流れ誘導ギャップ20aの延在方向は、高圧気体流が流れ誘導ギャップ20a内において排気口20bに向かって流れる方向であることができる。流れ誘導ギャップ20aの延在方向を座体10の中心軸に向かって上向きに傾斜するように設けることで、排気口20bの開口方向は、座体10の中心軸に向かって上向きに傾斜して設けられ、これにより、高圧気体流は、排気口20bから流出した後、中心孔10bに取り付けられたレーザレーダモジュール200の方向に流れることができ、また、高圧気体流の流れ方向がレーザレーダモジュール200の外側面に対して上向きの傾斜角を有しているので、高圧気体流をレーザレーダモジュール200の外側面に沿って下から上向きに流すことができ、レーザレーダモジュール200に対する洗浄効果を向上させることができる。
【0024】
1つの実施形態では、座体10は、図1図3及び図4に示すように、排気端が流れ誘導ギャップ20aに連通する気体流路11を備えている。
【0025】
本開示の実施形態では、気体流路11は、高圧気体流を流れ誘導ギャップ20aに導流するためのものである。
【0026】
例示的に、蓋板20は、座体10の上表面10aに被せて配置され、蓋板20の座体10側の面である内側面と座体10の上表面10aとの間にギャップが形成されて流れ誘導ギャップ20aが形成される。そして、蓋板20は、気体流路11の位置に対応して設けられ、流れ誘導ギャップ20aと気体流路11の排気端とを連通させる。
【0027】
気体流路11は、座体10の上表面10aと下面とを連通するように、座体10の高さ方向(図示の上下方向)にて貫通している。ここで、気体流路11の吸気端は、気体流路11の下端、すなわち、気体流路11が座体10の下表面まで延在する一端であってもよい。気体流路11の排気端は、気体流路11の上端、即ち、気体流路11が座体10の上表面10aまで延在する一端とすることができる。
【0028】
気体流路11は、座体10の上表面10aと下表面との連通を満たすものであれば、座体10の中心軸と平行な方向に沿って延在してもよく、座体10の中心軸に対して一定の角度をなす方向に沿って延在してもよい。
【0029】
例示的に、レーザレーダ装置1は、出力端が気体流路11の吸気端に接続されるエアポンプ(図示せず)を備えている。エアポンプにより発生した高圧気体流は、気体流路11の吸気端から気体流路11内に入り、高圧気体流は気体流路11に沿って流れ、気体流路11の排気端から流出する。高圧気体流は、流れ誘導ギャップ20aに進入した後、蓋板20の内側面に衝突し、流れ誘導ギャップ20aに沿って流れ、最終的に流れ誘導ギャップ20aの排気口20bから流出する。
【0030】
一実施形態では、座体10の上表面10aは、図3及び図4に示すように、座体10の中心軸に向かう方向に沿って上向きに傾斜して設けられている。
【0031】
例示的に、座体10の上表面10aは、下から上に向かうのにしたがって断面積が徐々に減少するテーパ面として構成することができる。蓋板20の内側面を同様に、座体10の中心軸に向かう方向に沿って上向きに傾斜して設けられることも可能であり、蓋板20の内側面と座体10の上表面10aとの間に形成された流れ誘導ギャップ20aの端部においてギャップを形成して、該流れ誘導ギャップ20aの排気口20bを形成する。これにより、流れ誘導ギャップ20aの排気口20bの方向を座体10の中心軸に向けて上向きに傾斜して配置することができ、高圧気体流は、流れ誘導ギャップ20aの排気口20bから流出した後、レーザレーダモジュール200の外側面に対して上向きの角度をなしているので、高圧気体流をレーザレーダモジュール200の外側面に沿って上向きに流すことができ、以てレーザレーダモジュール200の外側面に対する洗浄効果を向上することができる。
【0032】
一実施形態では、図1に示すように、座体10の外壁に凹溝12が設けられ、蓋板20と凹溝12との間に流れ誘導ギャップ20aを形成し、気体流路11の排気端は凹溝12の底壁まで延在している。
【0033】
例示的に、座体10の上表面10aに凹溝12を設けてもよい。蓋板20の内側面と座体10の上表面10aとを貼り合わせて配置し、凹溝12内に流れ誘導ギャップ20aを形成するように蓋板20の内側面を凹溝12に被せる。凹溝12の形状を略三角形状に構成することができ、凹溝12の幅を座体10の中心孔10bに向かう方向に徐々に大きくすることで、流れ誘導ギャップ20aの排気口20bの流通面積を大きくすることができ、排気口20bから流出する高圧気体流の流量を高めることができる。また、座体10の外壁に凹溝12を設け、蓋板20と凹溝12との間に流れ誘導ギャップ20bを形成することにより、流れ誘導ギャップ20bの加工難度を低減し、加工効率を向上させることができる。
【0034】
選択的に、図1及び図4に示すように、凹溝12の上縁に第1傾斜面12aを設け、蓋板20の内側面を第1傾斜面12aから間隔をおいて配置することで、流れ誘導ギャップ20aの排気口20bを形成する。
【0035】
例示的に、凹溝12の上縁を凹溝12の頂部側壁であってもよく、第1傾斜面12aを形成するように、凹溝12の頂部側壁を凹溝12の底壁から座体10の上表面10aに対して傾斜して延在させてもよい。蓋板20と第1傾斜面12aとの間のギャップは、流れ誘導ギャップ20aの排気口20bを形成する。これにより、第1傾斜面12aと蓋板20の内側面との間の距離が高圧気体流の流れ方向に従って徐々に小さくなり、高圧気体流が排気口20bに沿って外方に流れる過程において、高圧気体流の通過面積を小さくすることができ、高圧気体流の流速をより早くすることができる。
【0036】
選択的に、座体10の外壁は、図1図2及び図4に示すように、第1傾斜面12aの上縁を円弧状に沿って上向きに延在して形成された円弧面10cをさらに有し、円弧面10cは内側に凹んで設けられている。ここで、円弧面10cが内側に凹んで設けられているとは、円弧面10cの湾曲方向が座体10の内側に向かうように設けられていることを指す。
【0037】
例示的に、円弧面10cの上端の接線方向を座体10の中心軸と平行に設定することができる。これにより、高圧気体流が流れ誘導ギャップ20aの空気排気口20bから流出した後、高圧気体流は円弧面10cに沿って上向きに流れ、最終的には円弧面10cに案内されて座体10の中心軸と平行な方向に上向きに流れるので、高圧気体流はレーザレーダモジュール200の外側面に沿って上向きに流れ、レーザレーダモジュール200の外側面との衝突による風力損失を低減することができる。
【0038】
これにより、座体10の上表面10aの上端近傍部分を円弧面10cとして構成することで、高圧気体流の流れ誘導として機能させることができ、流れ誘導された高圧気体流をレーザレーダモジュール200の外側面に沿って流すことができ、レーザレーダモジュール200に対する洗浄効果を向上させることができる。
【0039】
一実施形態では、図1及び図4に示すように、蓋板20の座体10から離れる側の面である蓋板20の外側面には第2傾斜面20cが設けられ、第2傾斜面20cは座体10の中心軸に向かう方向に上向きに傾斜して蓋板20の上縁までに延在している。
【0040】
図4に示すように、蓋板20の外側面は、第2傾斜面20cと、第2傾斜面20cに接している第3傾斜面20dとを含み、第2傾斜面20cは第3傾斜面20dの上方に位置し、第2傾斜面20cの下縁が第3傾斜面20dの上縁に接している。第2傾斜面20c及び第3傾斜面20dは、いずれもテーパ面として構成されており、第2傾斜面20c及び第3傾斜面20dは、座体10の中心軸に向かう方向に上向きに傾斜して設けられている。ここで、第2傾斜面20cの水平面とのなす角度は、第3傾斜面20dの水平面とのなす角度よりも小さい。
【0041】
流れ誘導ギャップ20aの排気口20bから高圧気体流が高速で流出すると、流れ誘導ギャップ20aの排気口20bで負圧が形成され、外部の気流が第2傾斜面20cに沿って流れ誘導ギャップ20aの排気口20bに向かって流れることが分かる。これにより、蓋板20の外側面に、傾斜した第2傾斜面20cを設けることで、高圧気体流が流れ誘導ギャップ20aの排気口20bから流出する過程において外部の気流を案内する役割を果たすことができ、レーザレーダモジュール200の外側面に沿って流れる気体流量を増大させ、レーザレーダモジュール200に対する洗浄効果をより向上させることができる。
【0042】
1つの実施形態では、図1及び図4に示すように、蓋板20と座体10との間には、ガスケット30が配置されており、ガスケット30には、凹溝12を避けるように設置された切欠き30aが設けられている。
【0043】
例示的に、ガスケット30は非金属材料を使用することができ、例えば、ゴム、シリカゲル等の他の材料を使用することができる。ガスケット30の切欠き30aの縁部は、凹溝12の縁部に位置揃えして配置され、凹溝12に対する逃げを形成している。これにより、蓋板20と座体10の上表面10aとの間の気密性を向上させることができる。蓋板20と座体10の上表面10aとのギャップからの高圧気体流の漏れを回避し、ガスケット20の流れ誘導ギャップ20aの空気排気口20bからのみ高圧気体流を流出させることを確保でき、ガスケット30に凹溝12を避けるための切欠き30aを設けることにより、ガスケット30が高圧気体流に対して干渉作用を生じることを回避することができる。
【0044】
1つの実施形態では、流れ誘導ギャップ20aは、複数であり、座体10の周方向に沿って間隔をおいて設けられている。気体流路11は複数であり、複数の流れ誘導ギャップ20aに1対1に対応して設けられている。
【0045】
例示的に、座体10の上表面10aに複数の凹溝12を設けてもよく、複数の凹溝12は、座体10の周方向に沿って間隔をおいて分布されており、蓋板20は、座体10の上表面10aに被せて、座体10の周方向に沿って間隔をおいて分布される複数の流れ誘導間隙20aを形成する。複数の気体流路11は、複数の凹溝12に1対1に対応して設けられ、各気体流路11の排気端は、対応する凹溝12の底壁まで延在して、流れ誘導ギャップ20aに連通している。
【0046】
座体10の周方向に複数の流れ誘導ギャップ20aを設けることにより、レーザレーダモジュール200の周囲に複数の流れ誘導ギャップ20aを設けることができ、レーザレーダモジュール200の周方向に高圧気体流をレーザレーダモジュール200に噴射することができ、レーザレーダモジュール200を死角なく360度洗浄することができ、洗浄効果を向上させることができる。
【0047】
一例では、複数の気体流路11の吸気端を、エアポンプの吐出端と複数の導流管を介して接続してもよい。ここで、各流れ誘導管に、高圧気体流を通過・遮断するエアバルブを設けてもよく、エアバルブの開閉を制御することにより、各流れ誘導ギャップ20aへの気流の流入を個別に制御することができ、流れ誘導モジュールの特定領域を洗浄する機能を実現することができる。
【0048】
本開示の他の実施例では、座体10の下方に密閉キャビティを設け、複数の気体流路11の吸気端を密閉キャビティに連通させ、密閉キャビティ内に高圧気体流を発生させるためにエアポンプを密閉キャビティ内に配置してもよい。
【0049】
一実施形態では、蓋板20はリング状に構成され、蓋板20は、座体10との間に複数の流れ誘導間隙20aを形成する。
【0050】
一例として、蓋板20は一体で形成されてもよく、蓋板20の内側面は、座体10の上表面10aの複数の凹溝12と共同で、複数の流れ誘導間隙20aを形成する。これにより、蓋板20の構造が比較的簡単であり、加工が比較的容易であり、蓋板20と座体10との組み付けも比較的容易であり、レーザレーダ用台座100の製造コストをさらに低減することができ、レーザレーダ用台座100の組み付け効率を向上させることができる。
【0051】
別の実施形態では、蓋板20は、図1図3に示すように、座体10の周方向に沿って間隔をおいて配置された複数のものであり、各蓋板20は、それぞれ座体10との間に流れ誘導ギャップ20aを形成する。
【0052】
例示的に、蓋板20は、個別に設けられた複数であり、複数の蓋板20は、座体10上の複数の凹溝12に1対1に対応して設けられ、各蓋板20は、対応する凹溝12との間に個別に流れ誘導ギャップ20aを形成する。ここで、隣り合う2枚の蓋板20の側縁を互いに接合することにより、座体10の周方向に複数枚の蓋板20が互いに接合されてリング状を形成している。
【0053】
複数の蓋板20を設けることにより、いずれかの流れ誘導ギャップ20aに詰まりが発生した場合に、対応する蓋板20を個別に取り外すことができ、蓋板20を全て取り外す必要がなく、個々の流れ誘導ギャップ20aの洗浄やメンテナンスが容易になる。
【0054】
1つの実施形態では、図1及び図2に示すように、蓋板20と座体10の上表面10aとが締結具22により固定連結されている。
【0055】
例示的に、蓋板20には、2つの取付孔21が互いに間隔をおいて設けられ、座体10の上表面10aには、2つの取付孔21の位置と対応する位置にねじ孔が設けられ、取付孔21を介してねじ孔に締結具22を接続することにより、蓋板20が座体10の上表面10aに固定される。ここで、締結具22はねじであってもよい。
【0056】
また、本開示の他の実施形態においては、蓋板20と座体10の上表面10aとは、スナップや接着等の他の着脱可能な手段により接続されていてもよい。
【0057】
以下、図2図4を参照して、本開示の他の実施形態に係るレーザレーダ装置1について説明する。
【0058】
図2図4に示すように、レーザレーダ装置1は、レーザレーダモジュール200と、本開示の上述の実施形態によるレーザレーダ用台座100とを含む。具体的に、レーザレーダモジュール200は、座体10に取り付けられる筐体201を備える。筐体201は、例えば、座体10の中心孔10b内に嵌め込まれていてもよい。
【0059】
例示的に、レーザレーダモジュール200は、筐体201内に設けられ、レーザ信号を送信する送信部と、送信されたレーザ信号を受信する受信部とをさらに含む。座体10は、筐体201の外側に設置され、筐体201の下端に隣接して配置され、流れ誘導ギャップ20aの排気口20bの方向が筐体201の外側面に向かって配置され、排気口20bの方向が筐体201の外側面と角度θをなす。
【0060】
さらに、レーザレーダ装置1は、高圧気体流を発生させるエアポンプを備え、エアポンプの出力端が気体流路11の吸気端に連通し、気体流路11を介して流れ誘導ギャップ20a内に高圧気体流を導入する。
【0061】
本実施形態のレーザレーダ装置1によれば、上述した実施形態のレーザレーダ用台座100を採用することにより、レーザレーダモジュール200の筐体201に対して良好な自己洗浄効果を実現することができるだけでなく、洗浄と同時にレーザレーダモジュール200の動作安定性を確保することができ、構造が簡単で低コストである等の利点がある。
【0062】
本開示のさらに別の態様の実施形態によれば、本開示の上述の実施形態によるレーザレーダ装置1を含む自動運転車両も提供する。
【0063】
さらに、上述した実施形態の自動運転車両の他の構成は、当業者が現在及び将来知ることができる様々な技術的解決手段を採用することができ、ここでは詳細には説明しない。
【0064】
上述の実施形態を採用することにより、本開示の実施形態によるレーザレーダ用台座100は、レーザレーダモジュール200の外側表面対して洗浄の機能を実現するだけでなく、洗浄と同時にレーザレーダモジュール200の動作安定性を保証することができ、構造が簡単で低コストであるなどの利点を有する。
【0065】
本開示の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚み」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」「反時計回り」「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本開示を便利又は簡単に説明するために使用されるものであり、指定された装置又は部品が特定の方位や、特定の方位において構造され操作されると指示又は暗示するものではないため、本開示を限定するものと理解してはならない。
【0066】
また、「第1」、「第2」の用語は説明に用いられるものであり、比較的重要であることを指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはならない。「第1」、「第2」が限定されている特徴は1つ又はより多くの前記特徴を含むことを明示又は暗示するものである。本開示の説明において、明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」とは、例えば、2つ、3つなど、2つ以上を意味する。
【0067】
ここで、本開示の説明において、明確な規定と限定がない限り、「取り付け」、「互いに接続」、「接続」、「固定」の用語の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続、あるいは一体化が可能である。機械的接続や、電気的接続や、通信も可能である。直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続すること、2つの部品の内部が連通することや、2つの素子の相互作用の関係も可能である。当業者にとって、具体的な場合に応じて上記用語の本開示の具体的な意味を理解することができる。
【0068】
本開示では、特に明確な規定と限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」または「下」に直接接触するか、第1特徴と第2特徴が中間メディアを介して間接的に接触するかのいずれかである。また、第1特徴は第2特徴の「上」、「上方」および「上面」にあるとは、第1特徴が第2特徴の真上または斜め上にあること、或いは第1特徴の水平高さが第2特徴よりも高いことを示す。第1特徴は、第2特徴の「下」、「下方」および「下面」にあるのは、第1特徴が第2特徴の直下または斜め下にあること、或いは第1特徴の水平高さが第2特徴よりも小さいことを示す。
【0069】
上記の開示は、本開示の異なる構造を実現するための多くの異なる実施形態または例を提供する。本開示の開示を簡略化するために、特定の例の構成要素および設置を上記にて説明している。当然ながら、これらは一例にすぎず、本開示を制限することを目的としていない。さらに、本開示は、異なる例において数字及び/又はアルファベットを繰り返し参照することができ、このような繰り返しは、簡略化と明瞭化の目的を実現するためであり、その自体が検討する各種の実施形態及び/又は設置の間の関係を示していない。
【0070】
上記の具体的な実施形態は、本開示の保護範囲に対する制限にならない。当業者が、設計要件と他の要因に基づいて、改修、組合、サブ組合、代替を行うことができることは明らかである。本開示の思想と原理における変更、均等な置換及び改善等は、いずれも本開示の保護の範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0071】
1 レーザレーダ装置
100 レーザレーダ用台座
10 座体
10a 上表面
10b 中心孔
10c 円弧面
11 気体流路
12 凹溝
12a 第1傾斜面
20 蓋板
20a 流れ誘導ギャップ
20b 排気口
20c 第2傾斜面
20d 第3傾斜面
21 取付孔
22 締結具
30 ガスケット
30a 切欠き
200 レーザレーダモジュール
201 筐体
図1
図2
図3
図4