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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】車両用の第2列優先着座
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/01 20060101AFI20221028BHJP
   B60N 2/20 20060101ALI20221028BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20221028BHJP
   B60N 2/874 20180101ALI20221028BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20221028BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20221028BHJP
【FI】
B60N2/01
B60N2/20
B60N2/06
B60N2/874
B60W60/00
B60W50/10
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021148984
(22)【出願日】2021-09-13
(62)【分割の表示】P 2020071998の分割
【原出願日】2017-05-15
(65)【公開番号】P2021193024
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】15/158,984
(32)【優先日】2016-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】アン,ユジョン
(72)【発明者】
【氏名】ルー,デイビッド ツェ-ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ミン リー
(72)【発明者】
【氏名】カリナン,ブライアン ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】フロスト,アダム リー
(72)【発明者】
【氏名】ホラント,フィリップ ロバート アゴスチノ
(72)【発明者】
【氏名】ミール,ハサン ラシッド
(72)【発明者】
【氏名】ビジャロン カロ,マルコス アニセト
(72)【発明者】
【氏名】ノゲーラス,イザーク ロペス
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0142273(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0338849(US,A1)
【文献】特開2008-279859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - 2/90
B60W 60/00
B60W 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの座席を含む車両用の第1の着座列であって、前記第1の着座列の前記2つの座席の各々は、乗客が前記第1の着座列の座席に座り、前記車両用のユーザ入力制御装置にアクセスすることを前記第1の着座列が可能にする第1の乗客使用構成と、第2の折り畳み構成とを有する、第1の着座列と、
乗客使用構成を有する前記車両用の第2の着座列であって、前記第1の着座列が前記第2の折り畳み構成にあるとき、前記第2の着座列は着座するために使用可能であり、車両は、特定された乗客数に従って、前記第1の乗客使用構成と前記第2の折り畳み構成との間で前記第1の着座列の前記2つの座席のうちの一方又は両方を自動的に移行させるように構成される、第2の着座列とを備える、システム。
【請求項2】
1つ又は複数プロセッサを含む少なくとも1つのコンピューティング装置をさらに備え、前記少なくともコンピューティング装置は、前記車両に移行を実行させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコンピューティング装置は、1つ又は複数のサーバコンピューティング装置から前記特定された乗客数を受信することに応答して、前記移行を引き起こすようにさらに構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の折り畳み構成にあるとき、前記第1の着座列を前記車両の前に向かって移動させることができる軌道の組をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の着座列が前記第2の折り畳み構成にあるときにのみ使用可能である前記第2の着座列のためのフットレストをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ユーザ入力制御装置を含むコンソールをさらに備え、前記コンソールは、第1の列が前記第2の折り畳み構成に移行されるとき、前記第1の着座列にいる乗客によってアクセスすることができる位置から、前記第2の着座列にいる乗客によるアクセスのための適切な位置に移動されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記移行は、前記車両用のユーザが特定された好ましい着座配置にさらに基づいている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記車両をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の着座列は、前記車両が3つの座席を含むように単一の座席のみを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の着座列の前記2つの座席のうちの1つ目が前記第2の折り畳み構成にあるとき、前記第1の着座列の前記2つの座席の2つ目と前記単一の座席との両方に隣接するエリアは物体の格納に利用可能である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の着座列の前記2つの座席のうちの前記1つ目は、前記エリアを開放するために前記車両のフロントエンドに向かってかつ前記車両のダッシュボード内の凹部内へと移動されるように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の着座列の前記2つの座席が前記乗客使用構成にあるとき、前記2つの座席のうちの一方を前記車両の後部に向かってかつ前記単一の座席と一直線になるように移動することができる、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の着座列の前記2つの座席が前記乗客使用構成にあるとき、前記第1の着座列の前記2つの座席のうちの一方を前記車両の後部に向かってかつ前記第1の着座列の前記2つの座席のうちの他方と前記単一の座席との間の空間と一直線になるように移動することができる、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
第1の着座列及び第2の着座列を有する車両において着座列を配置する方法であって、前記第1の着座列は2つの座席を有し、各座席は、乗客が前記第1の着座列の座席に座り、車両用のユーザ入力制御装置にアクセスすることを前記第1の着座列が可能にする乗客使用構成を有し、前記方法は、
前記車両用の乗客数に基づいて、前記第1の着座列の前記2つの座席の1つ又は複数を乗客使用構成から折り畳み構成に自動的に変化させることを含む、方法。
【請求項15】
軌道の組上で前記折り畳み構成にあるとき、前記第1の着座列を前記車両の前に向かって移動させることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の着座列が前記折り畳み構成にあるときにのみ前記第2の着座列のためのフットレストを提供することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
第1の列が前記折り畳み構成にあるとき、ユーザ入力制御装置を含むコンソールの位置を、前記第1の着座列にいる乗客によってアクセスすることができる位置から、前記第2の着座列にいる乗客によるアクセスのための適切な位置に調整することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の着座列を変化させることは、前記車両用のユーザが特定された好ましい着座配置にさらに基づいている、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の着座列は、前記車両が3つの座席を含むように単一の座席のみを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の着座列の前記2つの座席のうちの1つ目が前記折り畳み構成にあるとき、前記第1の着座列の前記2つの座席の2つ目と前記単一の座席との両方に隣接するエリアは物体の格納に利用可能である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の着座列の前記2つの座席が前記乗客使用構成にあるとき、前記2つの座席のうちの一方を前記車両の後部に向かってかつ前記単一の座席と一直線になるように移動することができる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の着座列の前記2つの座席の1つ又は複数を乗客使用構成から折り畳み構成に変化させることは、リモートサーバコンピューティング装置から前記乗客数を特定する情報を受信することに応答する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は2016年5月19日に出願された米国特許出願第15/158,984号の継続であり、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 人間の運転手を必要としない車両などの自律型車両は、ある場所から別の場所への乗客または物品の輸送を支援するために使用することができる。そのような車両は、完全自律モードで動作し得るが、この完全自律モードでは、乗客が迎え地または目的地などのいくつかの初期入力を提供し得、車両がそれ自体をその場所まで操縦する。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本開示の一態様は車両を提供する。車両は、第1の乗客使用構成を有する第1の着座列を含み、第1の乗客使用構成では、第1の列は、乗客が第1の着座列の座席に座り、車両用のユーザ入力制御装置にアクセスすることを可能にする。第1の着座列はまた、第2の折り畳み構成を有し、第2の折り畳み構成では、第1の列は折り畳まれた構成であり、もはや乗客が着座するために使用できない。車両はまた、第2の着座列を含む。第1の着座列が第2の折り畳み構成にあるとき、第2の着座列は座るために使用可能であり、第1の着座列が第1の乗客使用構成にあるときと比較して乗客のための追加のレッグルームを含む。
【0004】
[0004] 一例では、車両は、乗客からの連続的な入力なしで自律的に車両を制御するように構成されたコンピューティングシステムも含む。別の例では、車両はまた、座席がダッシュボードと一体になるように第1の着座列が第2の折り畳み構成にあるときに座席が折り畳まれてダッシュボードに入ることを可能にする凹部を含むダッシュボードを含む。別の例では、車両はまた、操舵、制動および加速のための手動制御装置を含む。この例では、車両はまた、第1の着座列が第2の折り畳み構成にあるときに乗客が手動制御装置に手が届くことを防止するように構成されたパーティションを含む。さらに、パーティションは、第1の着座列が第2の折り畳み構成にあるときに乗客が手動制御装置に手が届くことを防止するために、第2のベース部の周りを回動するように構成された第1の頂部を含む。加えて、第2のベース部は、第1の着座列に対してパーティションの位置を変更するために車両内で移動するように構成される。
【0005】
[0005] 別の例では、車両はハンドルを含まない。別の例では、第1の着座列は、乗客の背中を支持するように構成された座席の背もたれ部分にもかかわらずヒンジ線を含み、ヒンジ線は、座席の背もたれ部分をヒンジ線で折り畳むことを可能にする。この例では、第1の着座列が第2の折り畳み構成にあるとき、座席はヒンジ線で折り畳まれる。加えてまたはこれに代えて、乗客使用構成、ヒンジ線は背もたれが第2の着座列に向かって折り畳まれることを可能にするように構成されている。加えてまたはこれに代えて、座席はヘッドレストをさらに含み、第1の着座列が第1の乗客使用構成にあるとき、ヘッドレストは、第1の着座列を第2の折り畳み構成に移行するために第2の着座列から離れる方に折り畳まれるように構成される。
【0006】
[0006] 別の例では、車両はまた、第1の着座列が第2の折り畳み構成にあるときに座席の少なくとも一部がダッシュボードに嵌め込まれることを可能にする凹部を含むダッシュボードを含む。別の例では、座席の少なくとも一部は、座席のヘッドレストを含む。別の例では、車両は軌道の組も含み、第1の列は第1の乗客使用構成と第2の折り畳み構成との間で移行するために軌道の組に沿って移動するように構成される。別の例では、車両はまた、車両の床に凹部を含む。凹部は、第1の着座列が第2の折り畳み構成にあるとき、座席の後面が床と同一平面となるように折り畳まれた第1の着座列を受け入れるようなサイズである。別の例では、車両はまた、ポップアップフットレストを含む。ポップアップフットレストは、第1の着座列が第1の乗客使用構成から第2の折り畳み構成に移動されると、車両の床から離れ、乗客使用構成に移動するように構成される。別の例では、ポップアップフットレストは、第1の着座列が第2の折り畳み構成から第1の乗客使用構成に移動されると、車両の床に向かって折り畳まれた構成に移動するように構成される。別の例では、車両はまた、ユーザ入力ボタンを有するコンソールを含む。コンソールは、異なる位置に移動するように構成され、その結果、第1の位置は、第1の着座列が第1の乗客使用構成にあるときに、乗客が第2の着座列にいるとき、ユーザ入力ボタンに容易にアクセスすることを可能にする。別の例では、コンソールは、軌道の組に沿って異なる位置に移動するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0007]例示的な実施形態による例の車両の機能図である。
図2】[0008]例示的な実施形態による例のシステムの機能図である。
図3】[0009]本開示の態様による図2のシステムの絵図である。
図4A】[0010]本開示の態様による車両の例の外部図である。
図4B-4C】[0010]本開示の態様による車両の例の外部図である。
図4D】[0010]本開示の態様による車両の例の外部図である。
図5】[0011]本開示の態様による車両の例の内部図である。
図6】[0012]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図7】[0012]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図8】[0012]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図9】[0012]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図10A】[0012]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図10B-10E】[0013]本開示の態様による車両の座席およびヘッドレストの例である。
図10F】[0013]本開示の態様による車両の座席およびヘッドレストの例である。
図10G】[0013]本開示の態様による車両の座席およびヘッドレストの例である。
図11】[0014]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図12】[0014]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図13】[0014]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図14】[0014]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図15A-15D】[0015]本開示の態様による第1の乗客使用構成から第2の折り畳み構成へ座席を変化させる例である。
図16】[0016]本開示の態様による第1の乗客使用構成および第2の折り畳み構成の座席の例である。
図17A-17D】[0017]本開示の態様による折り畳みシート構成の例である。
図17E-17F】[0017]本開示の態様による折り畳みシート構成の例である。
図18A】[0018]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図18B】[0018]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図19】[0018]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図20A-20B】[0018]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図20C-20D】[0018]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図20E-20F】[0018]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図21】[0019]本開示の態様による車両のコンソールの例である。
図22A-22B】[0020]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図22C-22D】[0020]本開示の態様による車両の例のインタービュー図である。
図23A-23C】[0021]本開示の態様による座席およびパーティションの例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
概要
着座
[0022] 本技術は、人間の運転手からの絶え間ない入力を必要としない自律型車両などの車両用の着座構成に関する。例として、車両の内部は、自律型車両を現在使用している(または次に使用する)乗客のニーズに適合するように構成することができる。これらの車両は、1人または複数の乗客のための1列または複数列の座席を含むことができる。これらの列は、1人または複数の乗客が列に座って乗ることを可能にする第1の乗客使用構成、ならびに第2の折り畳み構成を有することができる。折り畳み構成では、列はもはや乗客に使用できないかもしれない(すなわち、乗客が車両内で安全に座って乗るための十分な空間がない。
【0009】
[0023] 第1の乗客使用構成から第2の構成に変更するために、座席を折り畳んで軌道の組に沿って摺動させることができる。後述するように、様々な折り畳み技術を使用することができる。さらに、車両のダッシュボードおよび/または床は、隣接する列の追加の脚の空間に乗客が入ることまたは荷物のための空間等を許容するために、折り畳みを容易にするように構成されてもよい。いくつかの例では、車両の床は、座席列が第2の折り畳み構成に移動されると現れ、座席列が第1の乗客使用構成に移動されると格納されるポップアップフットレストを含むことができる。
【0010】
[0024] あるいは、第2の折り畳み構成は、積み重ね構成であってもよい。例えば、第2の構成を達成するために第1の列を折り畳むのではなく、第1の列は、第1の列を第2の列の上に後退させることによって、第2の列に「積み重ねられる」。
【0011】
[0025] 上記のように、ユーザが車両に入力を提供するために、車両は、優先乗客による使用のために配置されたコンソールを含むことができる。乗客は自律型車両の態様を制御する責任を負い、したがってコンソールのユーザ入力に容易にアクセスできる必要がある乗客であり得る。上述のように、車両の列の構成は変更されてもよい。そうすることにより、コンソールにアクセスする必要があり得る優先乗客を含め、乗客の位置も変化する可能性がある。このため、着座構成が変更されると、コンソールも車両内で移動させることができる。例えば、コンソールはハウジング内に組み込むことができる。このハウジングは、乗用車の内部で移動可能であってもよい。例えば、優先列、というよりは優先乗客を有する列の位置が配置されることが予想されるのに応じて、ハウジングは車両の前端または後端に向かって移動させることができる。これに関して、いったん座席の列が構成されると、コンソールは、列の現在の構成および優先乗客の配置に対応して車両内で移動させることができる。
【0012】
[0026] 自律型車両はフルタイムの自律運転を完全に行うことが可能であり得るが、しばしば手動制御(操舵、制動、加速、信号伝達等)が自律型車両に存在することが法的に要求される。このような制御は、指定されたテスト乗客が緊急の状況時に車両の制御を引き継ぐことを可能にするために特に重要である。例として、テスト乗客は、車両が自律的に動作しているときに車両内に着席し車両の動作を観察することによって車両を調べる任務を負う人間のオペレータまたは「テストドライバー」であり得る。しかしながら、多くの状況において、指定されたテスト乗客が車両に含まれていない場合に手動制御装置を有することは、万一乗客が手動制御装置と干渉した場合に乗客と近くにいる人に安全上のリスクをもたらす可能性がある。これらのリスクに対処するために、パーティションを含めることが適切な場合がある。これは乗客が手動制御装置と干渉する可能性を低減し得る。
【0013】
システム例
[0027] 図1に示すように、本開示の一態様による車両100は、様々な構成要素を含む。本開示の特定の態様は、特定の種類の車両に関連して特に有用であるが、車両は、限定されないが、乗用車、トラック、オートバイ、バス、レクリエーション用車両等を含む任意のタイプの車両であってよい。車両は、1つまたは複数のプロセッサ120、メモリ130、および一般に汎用コンピューティング装置に存在する他の構成要素を含むコンピューティング装置110などの1つまたは複数のコンピューティング装置を有することができる。
【0014】
[0028] メモリ130は、プロセッサ120によって実行され得るかまたは別の方法で使用され得る命令132およびデータ134を含む、1つまたは複数のプロセッサ120によってアクセス可能な情報を格納する。メモリ130は、コンピューティング装置可読媒体、または、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、または他の光学ディスク、ならびに他の書き込み可能および読み出し専用メモリなどの電子装置の助けを借りて読み取られ得るデータを格納する他の媒体を含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を格納することができる任意のタイプのものであってよい。システムおよび方法は前述のものの異なる組み合わせを含むことができ、それにより命令およびデータの異なる部分が、異なるタイプの媒体に格納される。
【0015】
[0029] 命令132は、プロセッサによって直接的に実行される(機械コードなど)または間接的に実行される(スクリプトなど)命令の任意のセットであってもよい。例えば、命令は、コンピューティング装置可読媒体上にコンピューティング装置コードとして格納されてもよい。これに関して、「命令」および「プログラム」という用語は、本明細書では交換可能に使用することができる。命令は、プロセッサによって直接処理するためのオブジェクトコード形式で、または必要に応じて解釈されるか、または事前にコンパイルされた独立したソースコードモジュールのスクリプトまたはコレクションを含む任意の他のコンピューティング装置言語で格納されてもよい。命令の機能、方法およびルーチンについては、以下でより詳細に説明する。
【0016】
[0030] データ134は、命令132に従ってプロセッサ120によって回収、格納、または修正されてよい。例えば、特許請求される主題は、特定のデータ構造によって制限されないが、データは、複数の異なるフィールドおよびレコードを有するテーブル、XML文書またはフラットファイルとしてリレーショナルデータベースにおいて、コンピューティング装置レジスタ内に格納されてもよい。データはまた、コンピューティング装置可読フォーマットでフォーマットすることもできる。
【0017】
[0031] 1つまたは複数のプロセッサ120は、市販のCPUなどの任意の従来型プロセッサであってもよい。あるいは、1つまたは複数のプロセッサは、ASICまたは他のハードウェアベースのプロセッサなどの専用装置であってもよい。図1は、コンピューティング装置110のプロセッサ、メモリ、および他の要素を同じブロック内にあるものとして機能的に示しているが、当業者であれば、プロセッサ、コンピューティング装置、またはメモリは、実際には、同じ物理的ハウジング内に格納されていてもいなくてもよい複数のプロセッサ、コンピューティング装置、またはメモリを含んでもよいことを理解するだろう。例えば、メモリは、コンピューティング装置110のハウジングとは異なるハウジング内に配置されたハードドライブまたは他の記憶媒体であってもよい。したがって、プロセッサまたはコンピューティング装置への言及は、並行して動作しても動作しなくてもよいプロセッサまたはコンピューティング装置またはメモリのコレクションへの言及を含むことが理解される。
【0018】
[0032] コンピューティング装置110は、上述したプロセッサおよびメモリならびにユーザ入力150(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーンおよび/またはマイクロホン)および様々な電子ディスプレイ(例えば、情報を表示するように動作可能な画面または他の任意の電子装置を有するモニタ)などのコンピューティング装置と関連して一般に使用される全ての構成要素でもよい。この例では、車両は、情報または音響視覚体験を提供する内部電子ディスプレイ152と1つまたは複数のスピーカ154とを含む。これに関して、内部電子ディスプレイ152は、車両100の乗客室内に配置されてもよく、車両100内の乗客に情報を提供するためにコンピューティング装置110によって使用されてもよい。
【0019】
[0033] コンピューティング装置110は、以下に詳細に記載するクライアントコンピューティング装置およびサーバコンピューティング装置などの他のコンピューティング装置との通信を容易にするために1つまたは複数の無線ネットワーク接続154を含むこともできる。無線ネットワーク接続は、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥースローエナジー(LE)、セルラ接続などの近距離通信プロトコル、ならびに、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルネットワーク、1つまたは複数の企業の独占権下にある通信プロトコルを使用するプライベートネットワーク、イーサネット、WiFiおよびHTTPを含む様々な構成およびプロトコル、および前述のものの様々な組み合わせなどの狭域通信プロトコルを含んでもよい。
【0020】
[0034] 一例では、コンピューティング装置110は、車両100に組み込まれた自律運転コンピューティングシステムであってもよい。自律運転コンピューティングシステムは、車両の様々な構成要素と通信可能であり得る。例えば、図1に戻ると、コンピューティング装置110は、メモリ130の命令134に従って車両100の動き、速度等を制御するために、減速システム160、加速システム162、操舵システム164、信号システム166、ナビゲーションシステム168、測位システム170、および検出システム172などの車両100の様々なシステムと通信することができる。再び、これらのシステムはコンピューティング装置110の外部システムとして示されているが、実際には、これらのシステムは、再び車両100を制御するための自律運転コンピューティングシステムとして、コンピューティング装置110に組み込むこともできる。
【0021】
[0035] 例として、コンピューティング装置110は、車両の速度を制御するために、減速システム160および加速システム162と対話することができる。同様に、操舵システム164は、車両100の方向を制御するためにコンピュータ110によって使用されてもよい。例えば、車両100が乗用車またはトラックなど道路で使用するように構成されている場合、操舵システムは、車両の向きを変えるように車輪の角度を制御する構成要素を含んでもよい。信号システム166は、例えば、必要に応じて方向指示灯または制動灯を点灯することによって、車両の意図を他のドライバーまたは車両に知らせるために、コンピューティング装置110によって使用されてもよい。
【0022】
[0036] ナビゲーションシステム168は、ある場所への経路を決定し、それを辿るために、コンピューティング装置110によって使用されてもよい。これに関して、ナビゲーションシステム168および/またはデータ134は、詳細な地図情報、例えば道路の形状および高さ、車線、交差点、横断歩道、速度制限、交通信号、建物、標識、リアルタイム交通情報、植生、または他のそのような物体および情報を特定する非常に詳細な地図を格納することができる。
【0023】
[0037] 測位システム170は、地図上または地球上の車両の相対的または絶対的な位置を決定するために、コンピューティング装置110によって使用されてもよい。例えば、測位システム170は、装置の緯度、経度および/または標高位置を決定するGPS受信機を含むことができる。レーザベースの位置特定システム、慣性支援GPS、またはカメラベースの位置特定などの他の測位システムもまた、車両の位置を特定するために使用されてよい。車両の位置は、緯度、経度、および標高などの絶対的な地理的位置と、より少ないノイズとの絶対的な地理的位置でしばしば決定され得るごく近くの周りの他の車両に対する位置などの相対的位置情報とを含むことができる。
【0024】
[0038] 測位システム170はまた、加速度計、ジャイロスコープ、または他の方向/速度検出装置などのコンピューティング装置110と通信して車両の方向および速度またはその変化を決定する他の装置を含むことができる。単なる例として、加速度装置は、重力の方向またはそれに垂直な平面に対して、そのピッチ、ヨーまたはロール(またはそれの変化)を決定することができる。また装置は、速度の増加または減少、およびそのような変化の方向を追跡することができる。本明細書に記載されているような装置の位置および向きデータの提供は、コンピューティング装置110、他のコンピューティング装置および前述の組み合わせに自動的に提供されてもよい。
【0025】
[0039] また検出システム172は、他の車両、道路上の障害物、交通信号、標識、樹木等、車両の外部の物体を検出するための1つまたは複数の構成要素を含む。例えば、検出システム170は、レーザ、ソナー、レーダ、カメラ、および/またはコンピューティング装置110によって処理され得るデータを記録する任意の他の検出装置を含むことができる。車両が乗用車などの小型乗用車である場合、乗用車は屋根または他の便利な場所に取り付けられたレーザまたは他のセンサを含むことができる。
【0026】
[0040] コンピューティング装置110は、様々な構成要素を制御することによって、車両の方向および速度を制御することができる。例として、コンピューティング装置110は、詳細な地図情報およびナビゲーションシステム168からのデータを使用して完全に自律的に目的地に車両をナビゲートすることができる。コンピューティング装置110は、車両の位置を決定するために測位システム170を使用し、および目的地に安全に到達するために必要に応じて物体を検出しそれに応答するために検出システム172を使用することができる。そうするために、コンピューティング装置110は、車両が、(例えば、加速システム162によってエンジンに供給される燃料または他のエネルギーを増加させることによって)加速すること、(例えば、減速システム160によってエンジンに供給される燃料を減少させる、ギヤを変化させる、および/または制動を提供することによって)減速すること、(例えば、操舵システム164によって車両100の前輪または後輪の向きを変えることによって)方向転換すること、およびそのような変化を(例えば、信号システム166の方向指示を点灯させることによって)知らせることを引き起こすことができる。したがって、加速システム162および減速システム162は、車両のエンジンと車両の車輪との間に様々な構成要素を含む駆動伝達系の一部であってもよい。再び、これらのシステムを制御することによって、コンピューティング装置110は、自律的に車両を操縦するために車両の駆動伝達系を制御することもできる。
【0027】
[0041] 車両100のコンピューティング装置110は、他のコンピューティング装置から情報を受信するか、または他のコンピューティング装置へ情報を転送することもできる。図2および3は、ネットワーク260を介して接続された複数のコンピューティング装置210、220、230およびストレージシステム250を含む例示的なシステム200のそれぞれ図および機能図である。システム200はまた、車両100と、車両100と同様に構成されてもよい車両100Aとを含む。単純化のために、わずかな車両およびコンピューティング装置しか示されていないが、典型的なシステムは、より多くのものを含むことができる。
【0028】
[0042] 図3に示すように、コンピューティング装置210、220、230のそれぞれは、1つまたは複数のプロセッサ、メモリ、データ、および命令を含むことができる。そのようなプロセッサ、メモリ、データおよび命令は、コンピューティング装置110の1つまたは複数のプロセッサ120、メモリ130、データ132、および命令134と同様に構成することができる。
【0029】
[0043] ネットワーク260および介在ノードは、ブルートゥース、ブルートゥースLEなどの近距離通信プロトコル、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルネットワーク、1つまたは複数の企業の独占権下にある通信プロトコルを使用するプライベートネットワーク、イーサネット、WiFiおよびHTTPを含む様々な構成およびプロトコル、ならびに前述のものの様々な組み合わせを含むことができる。そのような通信は、モデムおよび無線インターフェースなどの他のコンピューティング装置との間でデータを送信することができる任意の装置によって促進され得る。
【0030】
[0044] 一例では、1つまたは複数のコンピューティング装置110は、データを他のコンピューティング装置から受信し、処理し、および他のコンピューティング装置へ送信する目的でネットワークの異なるノードと情報を交換する複数のコンピューティング装置を有するサーバ、例えば負荷分散されたサーバファームを含むことができる。例えば、1つまたは複数のコンピューティング装置210は、ネットワーク260を介して、車両100のコンピューティング装置110、または車両100Aの同様のコンピューティング装置、ならびにコンピューティング装置220、230と通信することができる1つまたは複数のサーバコンピューティング装置を含むことができる。例えば、車両100および100Aは、サーバコンピューティング装置によって様々な場所へ配車することができる車隊の一部であってもよい。これに関連して、車隊の車両は、車両のそれぞれの測位システムによって提供されるサーバコンピューティング装置の位置情報を周期的に送信することができ、1つまたは複数のサーバコンピューティング装置は、車両の位置を追跡することができる。
【0031】
[0045] さらに、サーバコンピューティング装置210は、ネットワーク260を使用して、コンピューティング装置220、230のディスプレイ224、234などのディスプレイ上でユーザ222、232などのユーザに情報を送信および提示することができる。これに関して、コンピューティング装置220、230は、クライアントコンピューティング装置と見なすことができる。
【0032】
[0046] 図3に示すように、各クライアントコンピューティング装置220、230は、ユーザ222、232による使用を意図したパーソナルコンピューティング装置であり得、1つまたは複数のプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))、データおよび命令を格納するメモリ(例えば、RAMおよび内蔵ハードドライブ)、ディスプレイ224、234などのディスプレイ(例えば、スクリーンを有するモニタ、タッチスクリーン、プロジェクタ、テレビ、または情報を表示するために動作可能な他の装置)、およびユーザ入力装置226、236(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーンまたはマイクロホン)を含む、パーソナルコンピューティング装置と接続して通常使用される構成要素の全てを有し得る。クライアントコンピューティング装置は、ビデオストリームを記録するためのカメラ、スピーカ、ネットワークインタフェース装置、およびこれらの要素を相互に接続するために使用される構成要素の全ても含み得る。
【0033】
[0047] 加えて、クライアントコンピューティング装置220は、クライアントコンピューティング装置の位置および向きを決定するための構成要素228も含み得る。例えば、これらの構成要素は、車両100の測位システム170に関連して上に記載したような装置の緯度、経度および/または標高を決定するためのGPS受信機ならびに加速度計、ジャイロスコープまたは別の方向/速度検出装置を含み得る。
【0034】
[0048] クライアントコンピューティング装置220、230はそれぞれフルサイズのパーソナルコンピューティング装置を含み得るが、それらは代替的に、インターネットなどのネットワークを介してサーバと無線でデータを交換可能なモバイルコンピューティング装置を含み得る。単なる例として、クライアントコンピューティング装置220は、インターネットもしくは他のネットワークを経由して情報を取得可能な携帯電話あるいは無線対応PDA、タブレットPC、ウェアラブルコンピューティング装置もしくはシステム、またはネットブックなどの装置であり得る。例として、ユーザは、小型キーボード、キーパッド、マイクロホンを使用して、カメラによる視覚信号、またはタッチスクリーンを使用して、情報を入力し得る。
【0035】
[0049] いくつかの例では、クライアントコンピューティング装置230は、コンシェルジュサービスをユーザ222などのユーザに提供するために管理者またはカスタマーサポート代表(コンシェルジュ)によって使用されるコンシェルジュワークステーションであり得る。例えば、コンシェルジュ232は、以下でさらに詳細に記載するように、車両100および100Aの安全なオペレーションならびにユーザの安全性を促進するために、それぞれのクライアントコンピューティング装置または車両100もしくは100Aを介して、ユーザと電話または音声接続を介して通信するためにコンシェルジュワークステーション230を使用し得る。単一のコンシェルジュワークステーション230だけを図2および図3に示しているが、任意の数のそのようなワークステーションが典型的なシステムに含まれ得る。
【0036】
[0050] ストレージシステム250は、以下でさらに詳細に記載するように、様々なタイプの情報を格納し得る。この情報は、本明細書に記載する特徴の一部またはすべてを実行するために、1つまたは複数のサーバコンピューティング装置210などのサーバコンピューティング装置によって回収されるか、または別の方法でアクセスされ得る。例えば、情報は、1つまたは複数のサーバコンピューティング装置に対してユーザを特定するために使用できる身分証明(例えば、従来型の単一要素認証の場合のようなユーザの名前およびパスワード、ならびにランダム識別子、生物測定学等などの多要素認証で典型的に使用される他のタイプの身分証明)などのユーザアカウント情報を含み得る。ユーザアカウント情報はまた、ユーザの名前、コンタクト情報、ユーザのクライアントコンピューティング装置(または多数の装置が同じユーザアカウントで使用される場合は複数の装置)の識別情報、ならびにユーザの1つまたは複数の固有の信号などの個人情報を含み得る。
【0037】
[0051] ストレージシステム250はまた、場所間の経路を生成および評価するための経路決定用データを格納し得る。例えば、経路決定用の情報は、第1の場所にいる車両が第2の場所に到達するのにどれくらいの時間がかかり得るかを推定するために使用され得る。これに関して、経路決定用の情報は、必ずしも上記の詳細な地図情報と同程度に特定的ではないが道路を含む地図情報、ならびに指示(一方通行、対面式等)、向き(北、南等)、制限速度などのそれら道路に関する情報、ならびに予想される交通状況を特定する交通情報等を含み得る。
【0038】
[0052] メモリ130と同様に、ストレージシステム250は、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、書込み可能および読取り専用メモリなどのサーバコンピューティング装置210によってアクセス可能な情報を格納できる任意のタイプのコンピュータ化されたストレージであることができる。加えて、ストレージシステム250は、同じかまたは異なる地理的位置に物理的に配置され得る複数の異なるストレージ装置にデータが格納される分散ストレージシステムを含み得る。ストレージシステム150は、図2に示すようにネットワーク260を経由してコンピューティング装置に接続され得、および/またはコンピューティング装置110、210、220、230等のいずれかに直接接続されるかまたは組み込まれ得る。
【0039】
[0053] 図4A~4Dは車両100の外観の例である。見ることができるように、車両100は、ヘッドライト402、フロントガラス403、テールランプ/方向指示灯404、リアウィンドウ405、ドア406、サイドビューミラー408、タイヤおよびホイール410、ならびに方向指示灯/駐車灯412などの典型的な車両の多くの特徴を含んでいる。ヘッドライト402、テールランプ/方向指示灯404、および方向指示灯/駐車灯412は、信号システム166に関連付けられてもよい。ライトバー407もまた、信号システム166に関連付けられてもよい。
【0040】
[0054] 車両100はまた、検出システム172のセンサも含む。例えば、ハウジング414は、360度またはより狭い視野を有する1つまたは複数のレーザ装置および1つまたは複数のカメラ装置を含むことができる。ハウジング416および418は、例えば、1つまたは複数のレーダおよび/またはソナー装置を含むことができる。検出システムの装置は、テールランプ404および/またはサイドビューミラー408などの典型的な車両構成要素に組み込むこともできる。これらのレーダ、カメラ、およびレーザ装置のそれぞれは、検出システム172の一部としてこれらの装置からのデータを処理してセンサデータをコンピューティング装置110に提供する処理構成要素に関連付けられてもよい。
【0041】
着座
[0055] 自律型車両の性質のために、というよりも自律型車両が人間の運転手からの絶え間ない入力を必要としないために、車両の内部は、自律型車両を現在使用している(または次に使用する)乗客のニーズに適応するように構成されてもよい。例えば、自律型車両は、緊急時に乗客が車両を停止させることを可能にするのに十分なユーザ入力のみを必要とし得る。いくつかの例では、乗客には、旅を開始するための、および車両を路肩に寄せる(即時緊急停止ではなく)ための入力も与えられ得る。これに関して、車両は、固定されたハンドルもブレーキおよび加速ペダルも他のそのような制御装置も要らない。したがって、自律型車両の態様を制御する責任を負う乗客(優先乗客)、しかし前述のユーザ入力は固定されたハンドルに直接隣接して位置付けられる必要はない。換言すると、優先乗客が座る優先列は常に車両内の第1列である必要はない。実際には、車両内の列の構成は、乗客の数およびその優先乗客の位置に基づいて変更されてもよい。
【0042】
[0056] 図5は、ドア406の開口部を介した車両の例示的な内部図である。この例では、乗客のための2つの座席502からなる列があり、座席の間にコンソール504がある。座席502の直前には、収納ビン領域508および内部電子ディスプレイ152を有するダッシュボード構成506がある。容易に理解できるように、車両は、ハンドルもガス(加速)ペダルもブレーキ(減速)ペダルも含まない。それらは、乗客が駆動伝達系を介して車両の操舵、加速および/または減速を直接制御し得る半自律または手動運転モードを可能にするであろう。むしろ、以下でさらに詳細に記載するように、ユーザ入力は、ユーザ入力150(図示せず)のマイクロホン、コンソール504の特徴部、および無線ネットワーク接続156に限定される。これに関して、内部電子ディスプレイ152は乗客に情報を提供するだけであり、ユーザ入力のためのタッチスクリーンも他のインターフェースも含む必要はない。他の実施形態では、内部電子ディスプレイ152は、目的地等などの乗客による情報を入力するためのタッチスクリーンまたは他のユーザ入力装置を含んでもよい。
【0043】
[0057] 図5は、1つの着座列を有する車両の例である。当然のことながら、より大きな車両は、様々な変更可能な構成を有する複数の着座列を有することができる。図6は、車両600の内部を示す図である。この例では、車両は、2つの着座列610、620を含む。第1の列610は、優先乗客を含む乗客が第1の列に座って乗ることを可能にする第1の乗客使用構成(図示せず)を有するベンチシートである。図6は、第2の折り畳み構成にある第1の列610を示す。この例では、第2の列620は、第1の列がもはや乗客のために使用できないという点で優先列になり、優先乗客は第2の列620に座ることができる。さらに、第1の列のバックサイド630は、乗客640、642(どちらが優先乗客であってもよい)のためのフットレストになる。第1の乗客使用構成から第2の構成に変化するために、第1の列610のベンチシートは折り畳まれ、車両600のフロントエンド662に向かって矢印660の方向に軌道650、652、654の組に沿って摺動される。当然のことながら、第1の列610の最終位置は、車両のHVACシステムが機能することを依然として可能にし得る。安全のために、第1の列は、図6に示すような第2の構成のときに所定位置に固定されてもよい。
【0044】
[0058] 図7は、車両の内部を示す別の図である。この例では、車両700は、2つの着座列710、720を含む。第1の列710は、優先乗客を含む乗客が第1の列に座って乗ることを可能にする第1の乗客使用構成(図示せず)を有する1対の座席712、714を含む。
【0045】
[0059] 図7は、第2の折り畳み構成にある第1の列710を示す。この例では、第2の列720は、第1の列がもはや乗客のために使用可能でないという点で優先列になり、優先乗客は第2の列720に座ることができる。さらに、第1の列のバックサイド732、734は、乗客740、742(どちらが優先乗客であってもよい)のためのフットレストになる。この例では、バックサイドは概して平坦である。
【0046】
[0060] 第1の乗客使用構成から第2の構成に変化するために、第1の列710の座席712、714は折り畳まれ、軌道750、752、754の組に沿って矢印760の方向に車両700のフロントエンド762に向かって摺動される。座席712のヘッドレスト772の少なくとも一部は、車両700のダッシュボード780の下に押し込まれている。座席714は、同様の構成を有していてもよい。
【0047】
[0061] さらに、または代わりに、ダッシュボード780の下に単に押し込まれるのではなく、ダッシュボードはヘッドレストおよび/または座席712、714のそれぞれの少なくとも一部を収容することができる凹部716、718を含むことができる。これに関して、座席が軌道に沿って移動されると、ヘッドレスト772、774の少なくとも一部は、ダッシュボード780内の対応する凹部716、718にそれぞれ配置されてもよい。当然のことながら、第1の列710の最終位置は車両のHVACシステムが機能することを依然として可能にし得る。安全のために、第1の列は、図7に示すような第2の構成のときに所定位置に固定されてもよい。
【0048】
[0062] 図8は、車両の内部を示す別の図である。この例では、車両800は、2つの着座列810、820を含む。第1の列810は、優先乗客を含む乗客が第1の列に座って乗ることを可能にする第1の乗客使用構成(図示せず)を有する1対の座席812、814を含む。
【0049】
[0063] 図8は、第2の折り畳み構成にある第1の列810を示す。この例では、第2の列820は、第1の列がもはや乗客のために使用可能でないという点で優先列になり、優先乗客は第2の列820に座ることができる。さらに、第1の列810のバックサイド832、834は、乗客840、842(どちらが優先乗客であってもよい)のためのフットレストになる。この例では、バックサイドは概して平坦である。
【0050】
[0064] 第1の乗客使用構成から第2の構成に変化するために、第1の列810の座席812、814は折り畳まれ、軌道850、852、854の組に沿って矢印860の方向に車両800のフロントエンド862に向かって摺動される。しかしながら、車両700の例と異なり、この例では、各座席は、座席812、824のシートバックの部分872、874が折り畳まれることを可能にするヒンジ874、878を含む。これは列810の座席が図7の例の車両700の座席710よりもさらに車両800のフロントエンド862に向かって移動されることを可能にする。当然のことながら、第1の列810の最終位置は、車両のHVACシステムが機能することを依然として可能にし得る。安全のために、第1の列は、図8に示すような第2の構成のときに所定位置に固定されてもよい。
【0051】
[0065] 図9は、車両の内部を示す別の図である。この例では、車両900は、2つの着座列910、920を含む。第1の列910は、優先乗客を含む乗客が第1の列に座って乗ることを可能にする第1の乗客使用構成(図示せず)を有する1対の座席912、914を含む。
【0052】
[0066] 図9は、第2の折り畳み構成にある第1の列910を示す。この例では、第2の列920は、第1の列がもはや乗客のために使用可能でないという点で優先列になり、優先乗客は第2の列920に座ることができる。さらに、第1の列910のバックサイド932、934は、乗客940、942(どちらが優先乗客であってもよい)のためのフットレストになる。この例では、バックサイドは概して平坦である。第1の乗客使用構成から第2の構成に変化するために、第1の列910の座席912、914は折り畳まれ、軌道950、952、954の組に沿って矢印960の方向に車両900のフロントエンド962に向かって摺動される。この例では、座席912はヘッドレスト972と、乗客の背中を収容する部分974と、ベース部976とを含む。
【0053】
[0067] 第2の折り畳み構成において、座席912のベース部976はつぶされ、座席912のバックサイドが車両800の座席812よりもさらに車両900の床990に近くなることを可能にする。座席912のヘッドレストは車両900のダッシュボード980の下に押し込まれる。座席914は座席912と同様の構成を有してもよい。ベース部がつぶれるこの折り畳み構成において、座席は床900内の凹部を必要とすることなく比較的平坦になる。当然のことながら、第1の列910の最終位置は、車両のHVACシステムが機能することを依然として可能にし得る。安全のために、第1の列は、図9に示すような第2の構成のときに所定位置に固定されてもよい。
【0054】
[0068] 図10Aは車両の内部を示す別の図である。この例では、車両1000は、2つの着座列1010、1020を含む。第1の列1010は、優先乗客を含む乗客が第1の列に座って乗ることを可能にする第1の乗客使用構成(図示せず)を有する一対の座席1012、1014を含む。
【0055】
[0069] 図10Aは、第2の折り畳み構成にある第1の列1010を示す。この例では、第2の列1020は、第1の列がもはや乗客のために使用可能でないという点で優先列になり、優先乗客は第2の列1020に座ることができる。さらに、第1の列1010のバックサイド1032、1034は、座席1012および1014が第2の折り畳み構成にあるときに乗客1040、1042(どちらが優先乗客であってもよい)のフットレストになる延長部1036、1038を含む。延長部は、座席1012、1014の残りの部分をごみのない状態に維持するのに一役買うことができる。この例では、車両600~900の例のように、座席を軌道上に配置する必要はない。安全のために、第1の列は、図10Aに示されているような第2の構成のときに所定位置に固定されてもよい。
【0056】
[0070] 図10Aに示すように、座席1012、1014のヘッドレストは、座席1012、1014が第2の折り畳み構成にあるとき、実質的に姿を消す。図10Aおよびは、ヘッドレストが実質的に姿を消すことを可能にする例示的なヘッドレスト構成を示す。例えば、図10Bにおいて、座席1012は、ヘッドレスト1072およびヘッドレスト支持体が完全に伸びた状態で描かれている。見て分かるように、ヘッドレスト1072の1つまたは複数の支持体1074の下の凹部1076の形状は、ヘッドレスト1072の形状に一致する。したがって、支持体が座席1012内に後退すると、ヘッドレスト1012は、図10Cに示されているように凹部1076に嵌め込まれる。図10Dおよび10Eは、完全に伸びた状態(10D)および完全に後退した状態(10D)のヘッドレスト1072を示す座席1012の例示的な側面図である。こうしてヘッドレスト1072は座席1012の一体部分になったように見える。したがって、図10Cに示すように、ヘッドレスト1072が完全に後退すると、図10Aの例に示すように、ヘッドレスト1012は事実上姿を消す。
【0057】
[0071] 図10Fは、完全に後退したときに事実上姿を消す、すなわち座席の一体部分になったように見える、後退可能ヘッドレストの代替例を示す。この例では、座席1012’は、完全に伸びた状態にあるヘッドレスト1072’および1つまたは複数の支持体1074’を備えて描かれている。凹部1076’の形状は、ヘッドレスト1072’の形状に一致し、その結果、ヘッドレスト1072’および1つまたは複数の支持体1074’が座席1012’内に完全に後退すると、座席1014’およびヘッドレスト1074’を参照することによって分かるように、ヘッドレスト1072’は姿を消し、座席1012’の一体部分になる。したがって、この例および多くの他の類似の構成もまた、図10Aの例の外観を達成するために使用され得る。
【0058】
[0072] 図10Gは、事実上姿を消す、すなわち座席の一体部分になったように見える、折り畳み式ヘッドレストウインチの別の例を示している。例えば、図10Gにおいて、座席1012’’は、2つの構成のヘッドレストを一度に示している。ヘッドレスト1072’’は、快適さのためにおよびまた衝突の際に乗客に頭と首の支持を提供するために、使用構成で示されている。ヘッドレスト1074’’(輪郭で示されている)は同じであり、ヘッドレスト1072’’を有するが、第2の折り畳み構成で示されている。見て分かるように、ヘッドレストは、構成間で変化するために、座席1012’’に向かってまたは座席1012’’から離れるように折れ曲がるまたは枢動する。ヘッドレストの背面の湾曲した形状は、ヘッドレスト1074’’の第2の折り畳み構成のときに、ヘッドレストが座席1012’’にぴったり密着することを可能にする。この状態において、ヘッドレスト1072’’は、座席1012の一体部分になったように見える。したがって、図10Cに示すように、ヘッドレスト1072’’が完全に後退すると、ヘッドレスト1072’’は事実上姿を消し、図10Aの例のように座席1012’’の一部となる。
【0059】
[0073] 図11は、車両の内部を示す別の図である。この例では、車両1100は、2つの着座列1110、1020を含む。第1の列1110は、優先乗客を含む乗客が第1の列に座って乗ることを可能にする第1の乗客使用構成(図示せず)を有する一対の座席1112、1114を含む。
【0060】
[0074] 図11は、第2の折り畳み構成にある第1の列1110を示す。この例では、第2の列1120は、第1の列がもはや乗客のために使用できないという点で優先列になり、優先乗客は第2の列1120に座ることができる。座席1112、1114の形状はダッシュボード1180の形状と組み合わせて、座席1112、1114が示されるように折れてダッシュボートに嵌め込まれることを可能にする。この嵌合は、第1の列1010のバックサイド1132、1134がダッシュボード1180と一体化されているように見えるようなものである。このように、第2の列の乗客は、第1の座席列がかつて車両に存在したことに気付かないことさえあるかもしれない。
【0061】
[0075] さらに、バックサイド1132、1134は、第2の列の乗客に物品のためのスペースを提供することができる。例えば、座席1112および1114が第2の折り畳み構成にあるとき、バックサイドはカップホルダまたはトレイを含むことができ、および/または上の例のように、乗客(図示しないが優先乗客も含む)のフットレストになることができる。この例では、座席は、車両600~900の例のように軌道上に配置する必要はなく、単に第1の乗客使用構成から折り畳むことができる。安全のために、第1の列は、図11に示すような第2の構成のときに所定位置に固定することができる。
【0062】
[0076] 図12は、車両の内部を示す別の図である。この例では、車両1200は、2つの着座列1210、1220を含む。第1の列1210は、優先乗客を含む乗客が第1の列に座って乗ることを可能にする第1の乗客使用構成(図示せず)を有する一対の座席1212、1214を含む。
【0063】
[0077] 図12は、第2の折り畳み構成にある第1の列1210を示す。この例では、第2の列1220は、第1の列がもはや乗客のために使用可能でないという点で優先列となり、優先乗客は第2の列1220に座ることができる。座席1212、1214の下の車両の床1290の凹部(図示せず)は、座席が折り畳まれ、図示のように床1290に嵌め込まれることを可能にする。この嵌合は、第1の列1210のバックサイド1232、1234が車両1200の床1290と同一平面上にある、すなわち一体化されるように見えるようなものである。この例では、上の図9(凹部を含まない)のように、座席のベースはスペースを節約するために(以下でさらに詳しく記載するように)圧潰可能であり得、図10A~Fの例のように、座席は、空間をさらに節約するために座席の凹部に後退する後退可能ヘッドレストを含むことができる。
【0064】
[0078] さらに、バックサイド1232、1234は、座席1212および1214が第2の折り畳み構成にあるときに乗客1240(優先乗客であってもよい)のフットレストになることができる。この例では、車両600~900の例のように、座席を軌道上に配置する必要はない。安全のために、第1の列は、図12に示すような第2の構成のときに所定位置に固定することができる。
【0065】
[0079] 図13は、車両の内部を示す別の図である。この例では、車両1300は、2つの着座列1310、1320を含む。第1の列1310は、優先乗客を含む乗客が第1の列に座って乗ることを可能にする第1の乗客使用構成(図示せず)を有する一対の座席またはベンチシートを含む。
【0066】
[0080] 図13は、車両600の第2の折り畳み構成と同様の第2の折畳み構成にある第1の列1310を示す。この例では、第2の列1320は、第1の列がもはや乗客のために使用できないという点で優先列となり、優先乗客、例えば乗客1340が第2の列1220に座ることができる。座席がフットレットになるのではなく、車両の床1390は、フットレスト1332(または前列の各座席のフットレスト)を有することができる。この例では、フットレスト1332は、前列1310が第2の折り畳み構成にあるときにのみ床から現れることができる。
【0067】
[0081] 第1の乗客使用構成から第2の構成に変化するために、第1の列1310は折り畳まれ、車両1300のフロントエンド1362に向かって矢印1360の方向に軌道1350の組に沿って摺動される。この例では、第2の折り畳み構成にあるとき、前列はダッシュボード1380にもたれかかる。当然のことながら、第1の列1310の最終位置は車両のHVACシステムが機能することを依然として可能にし得る。安全のために、第1の列は、図13に示すような第2の構成のときに所定位置に固定されてもよい。
【0068】
[0082] 図14は、車両の内部を示す別の図である。この例では、車両1400は、2つの着座列1410、1420を含む。第1の列1210は、優先乗客を含む乗客が第1の列に座って乗ることを可能にする第1の乗客使用構成(図示せず)を有する1対の座席またはベンチシートを含むことができる。図14は、車両600の第2の折り畳み構成と同様の第2の折り畳み構成にある第1の列1410を示す。この例では、第2の列1420は、第1の列がもはや乗客にとって使用可能ではないという点で優先列になり、優先乗客は第2の列に座ることができる。列1410の座席がフットレットになるのではなく、車両の床1490がフットレスト1432(または前列の各座席のフットレスト)を有することができる。この例では、フットレスト1432は、前列1410が第2の折り畳み構成にあるときにのみ床から現れることができる。
【0069】
[0083] 第1の乗客使用構成から第2の構成に変化するために、第1の列1410は折り畳まれ、車両1400のフロントエンド1462に向かって矢印1460の方向に軌道の組(図示せず)に沿って摺動される。この例では、第2の折り畳み構成において、ダッシュボードの下に押し込まれるのではなく、ダッシュボードは、前列1410(図7の例と同様であるが、ここでは、ポップアップフットレストを含む)のヘッドレスト1472のそれぞれのための凹部1474を含むことができる。これに関して、座席が軌道(図示せず)に沿って移動されるとき、ヘッドレストの少なくとも一部は、ダッシュボードの対応する凹部内に配置され得る。距離Xは、第1の列が軌道に沿って第2の折り畳み構成に動かされたときに、優先乗客であってもよい乗客1440に提供される余分なレッグルームの量を特定する。距離Zは、ヘッドレスト1472を凹部1474に摺動することによって提供されるXに追加される距離を特定する。当然のことながら、第1の列1410の最終位置は、車両のHVACシステムが機能することを依然として可能にし得る。安全のために、第1の列は、図14に示すような第2の構成のときに所定位置に固定されてもよい。
【0070】
[0084] 上述の第2の折り畳み構成を達成するために、座席自体が様々な構成を有することができる。図15A~Dは、座席を第1の乗客使用構成から第2の折り畳み構成に変更する例1500である。図15Aは、第1の列1510が、ヘッドレスト1522、1524と、乗客の背中を支持する部分1532、1534と、ベース1542、1544とを有する座席1512、1514を含むことを示す。座席1512、1514のそれぞれは、(座席とヘッドレストとの間とは対照的に、またはヘッドレストの所とは対照的に)前記部分を通るヒンジ線1570を含む。このヒンジ線は、図8の例のヒンジに対応し得る。
【0071】
[0085] 図15Bは、第1の乗客使用構成にある座席1510の正面図である。図15Cにおいて、座席1512の部分1532は、ベース1542の上に折り畳まれる。さらに、座席1512は、車両のフロントエンド1562に向かって矢印1560の方向に軌道1550、1552上で移動される(図15Dに示す)。この時点で、第2の列の乗客のためのフットレスト1572(図15Dに示す)が(例えば、ばね機構を使用して)現れ得るか、または車両の床から引き出され得る。図15Dにおいて、部分1532の折り目線は、(ヘッドレスト1522に取り付けられた)頂部1532aと底部1532bとにその部分を分離するために使用される。次に、頂部1532aおよびヘッドレストは、ヒンジ線1570で底部1532aのバックサイドに向かって折り返される。
【0072】
[0086] 図16は、座席を第1の乗客使用構成から第2の折り畳み構成に変更する例1600である。この例では、座席1610が2つの構成(aおよびb)で同時に示されている。座席1610a、bは、ヘッドレスト1622a、bと、乗客の背中を支持する部分1624a、bと、ベースクッション1626a、bと、ベース支持構造1628(第1の乗客使用構成のみに示されている)とを含む。ベース支持構造は、2つの側方支持構造1629(図16では1つだけが示されている)を含む。「a」の参照符号は、第1の乗客使用構成にある座席1610の特徴を示し、「b」の参照符号は、第2の折り畳み構成にある座席1610の特徴を示す。第1の構成から、ヘッドレスト1622aは、部分1624aに向かって下方へ折り畳まれる。そこから、部分1624aは、ベースクッション1622aに向かって折り畳まれる。次いで、ベース支持構造1626aは、例えば、ベース支持構造1628の支持体1630を下方へ折り畳むことによって、圧潰される。これにより、第2の列の乗客(図示されず、優先乗客であってもよい)のためのフットレスト1640が車両の床1690から現れることが可能になる。しかしながら、ベース支持構造1628の支持体1630が下方に折り畳まれるとき、2つの側方支持体1629は実際に直立して静止したままであり得る。これに関して、折り畳まれた座席1610は2つの側方支持構造1629の間に位置付けられる。加えて、座席1610が第2の折り畳み構成にあるとき、ヘッドレスト1622bは、部分1624bとベースクッション1626bとの間に押し込まれる。
【0073】
[0087] 図17A~7Fは、追加的な折り畳み座席構成の例1700である。図17Aは、車両の内部を示す別の図である。この例では、車両は、2つの着座列1710、1720を含む。第1の列1710は、優先乗客を含む乗客が第1の列に座って乗ることを可能にする第1の乗客使用構成(図示せず)を有する1対の座席またはベンチシートを含むことができる。
【0074】
[0088] 図17A~Bは、座席を第1の乗客使用構成から第2の折り畳み構成に変更することを示す。この例では、座席1710が2つの構成(aおよびb)で同時に示されている。座席1710a、bは、ヘッドレスト1722a、bと、乗客の背中を支持する部分1724と、ベースクッション1726と、ベース支持構造1727とを含む。この例では、座席1710は、部分を第1のセクション1742a、bおよび第2のセクション1744bに分割する前記部分を通るヒンジ線1770を含む。「a」の参照符号は、第1の乗客使用構成にある座席1710の特徴を表し、「b」の参照番号は、第2の折り畳み構成にある座席1710の特徴を表す。ヒンジ線の位置は、結果として得られる折り畳まれた座席のサイズおよび形状、ならびに座席を(乗客が車両に入るときなど)座席の側方の視点から見たときに審美的に心地よいであろう位置に基づいて選択することができる。
【0075】
[0089] 第1の構成から、ヘッドレスト1722aおよび第1のセクション1742aは、第1の部分1744aに向かってユニットとして折り畳まれる。そこから、第2の部分1744aは、ベースクッション1726に向かって折り畳まれる。ヘッドレスト1722bはまた、第1のセクション1742bとベースクッション1726との間のより密な密着を得るために、第1のセクション1742bに向かって折り返されてもよい。加えて、座席1710は、車両のフロントエンドに向かって軌道1750、1752に沿って摺動されてもよい(図17Cおよび17Dに示す)。これにより、第2の列の乗客1740のためのフットレスト1772が車両の床1790から現れることが可能になり得る。この例では、図17A~Bで見ることができるように、ヘッドレスト1722bの少なくとも一部が車両のダッシュボード1780の下に押し込まれている。
【0076】
[0090] 図17Cおよび17Dは、図16の圧潰可能なベースの例と組み合わされた図17A~17Bの折り畳まれた構成の例を示す。示されるように、ベース支持構造1727は、2つの側方支持体1728、1729を含む。この例では、ベース支持構造1727の支持体(図示されていないが、図16の支持体1630に相当する)が折り畳まれて、2つの支持構造1728、1729の間にベース構造が圧潰することを可能にする。こうすることによって、ベースクッション1726が図17Cに示すように2つの側方支持体の間の空間に押し込まれるための余地が存在する。図17Dの例では、ベース支持構造1727はさらに圧潰され、部分1724の少なくとも一部が2つの側方支持体の間の空間に押し込められることも可能にする。そうすることによって、座席1712は、図17Dに示すように、ダッシュボード1780の下にさらに押し込まれることができる。
【0077】
[0091] 図17E~Fは、座席を第2の折り畳み構成から第1の乗客使用構成に変更することを示している。図17Fでは、座席1710が2つの構成(aおよびb)で同時に示されている。第2の構成から、ヘッドレスト1722bと第1のセクション1742bは、ダッシュボード1780の下から引き上げられる。次いで第2のセクション1744aは展開され、車両1762のリヤエンドに向かって矢印1760の方向に移動される。そこから、ヘッドレスト1722bおよび第1のセクション1742bは、第1のセクション1724aの位置まで矢印1764の方向にヒンジ線1770の周りで第2の部分1744bから引き上げられ、引き離される。ヘッドレスト1722bは、その後、矢印1768の方向に前方に(車両のフロントエンド1766に向かって)傾けられる。さらに、フットレスト1750は、座席1710の下に矢印1761の方向に押し込まれ、座席1710は、車両のリヤエンド1762に向かって軌道(図示せず)に沿って矢印1763の方向に摺動され得る。
【0078】
[0092] 図18Aおよび18Bは、車両の内部を示す図である。この例では、車両1800は、2つの着座列1810、1820を含む。第1の列1810は、図18Aに示す第1の乗客使用構成を有する1対の座席またはベンチシートを含んでもよく、優先乗客1840であってもよい乗客1840を含む乗客が第1の列1810に座って乗ること、および乗客1842が第2の列1820に座って乗ることを可能にする。
【0079】
[0093] 図18Bは、乗客のための単一の列のみを有する第2の追加のレッグルーム構成における第1の列1810を示す。この例では、第2の構成を達成するために第1の列を折り畳むのではなく、第1の列を第2の列の上に後方移動させることによって、第1の列が第2の列に「積み重ねられる」。言い換えれば、第1の列1810は、車両1800のリヤエンド1864に向かって矢印1860の方向に軌道1850の組に沿って摺動される(1862は車両のフロントエンドの方向を示す)。積み重ねによるより良好な密着を提供するために、およびまた第2の列の快適性を高めるために、第1の列を第2の列の上に後方移動させる前に、第2の列を車両の床1890に向かって下方に移動させることができる。これは、例えば、図16の例の圧潰可能なベースを使用することによって達成され得る。第2の列のベースクッション1824の高さの差は、図18A図18Bを比較することによって容易に明らかになる。
【0080】
[0094] さらに、この例では、第1の列1810は優先列(優先乗客1840が依然として第1の列1810にいるので)のままであり、第2の列はもはや乗客にとって使用可能ではない。フットレスト1832は、前列1810が第2の追加のレッグルーム構成にあるときにのみ、床から現れることができる。安全のために、第1の列は、図18Aに示すように、第2の追加のレッグルーム構成にあるときに所定位置に固定することができる。
【0081】
[0095] この例では、第2の列が使用できない場合でも第1の列の優先順位を維持することによって、後部座席は第1の列と同じ法的に義務付けられた衝突試験基準を満たす必要はない。それに関連して、上記の例のそれぞれは第2の列を優先列になるように描写しているので、第2の列は、第1の列と同じ法的に義務付けられた衝突試験基準を同じく満たす必要があり得る。
【0082】
[0096] 図19は、車両の内部を示す別の図である。この例では、車両1900は、2つの着座列1910、1920を含む。第1の列1910は、優先乗客であってもよい乗客1840が第1の列に座って乗ること、ならびに別の乗客が第2の列1820に座って乗ることを可能にする第1の2列乗客使用構成(この構成の図については、図18Aの例を参照のこと)を有する一対の座席またはベンチシートを含むことができる。
【0083】
[0097] 図19は、乗客のための単一の列のみを有する第2の追加のレッグルーム構成における第1の列1910を示す。この例では、第2の構成を達成するために第1の列を折り畳むのではなく、第2の列は折り畳まれ、その後第1の列を折り畳まれた第2の列の上に後方移動することによって第1の列は第2の列の上に「積み重ねられる」。言い換えれば、第2の列1920のベースクッション1922(または第2の列1920に2つの別個の座席がある場合には複数のクッション)は、乗客の背中を支持するための第2の列1920の部分1922に向かって折り畳まれる。この例では、図18Bの例とは異なり、第2の列のベースクッション1924は床1990に向けて下げる必要はない。
【0084】
[0098] その後、第1の列1910は、車両1900のリヤエンド1964に向かって矢印1960の方向に軌道1950の組に沿って摺動される(1962は車両のフロントエンドの方向を示す)。この例では、第1の列1910は優先列のままであり(優先乗客1940は依然として第1の列1910にいるので)、第2の列はもはや乗客にとって使用可能ではない。フットレスト1932は、前列1910が第2の追加のレッグルーム構成にあるときにのみ床から現れることができる。安全のために、図19に示すように第2の追加のレッグルーム構成にあるとき、第1の列は所定位置に固定することができる。
【0085】
[0099] 図20A~Bは、車両の内部を示す図である。この例では、車両2000は、2つの着座列2010、2020を有する第1の側を含む。車両の第2の側は、1つだけの着座列2030を含む。この例では、各列は単一の乗客用座席を含み、そのうちのいずれかが後述するように列の構成に応じて優先乗客用であることができる。一緒に、これらの列(すなわち座席)は、車両内に「三角形」を形成する。
【0086】
[0100] この例では、列2030は、車両の内部構成を変更するために、例えば小包または荷物2040を収容するために、軌道2050に沿って移動させることができる。したがって、列2030は、列2010の座席と一直線にある位置、列2020の座席と一直線にある位置、または図20に示されるようなこれらの位置の間の様々な他の位置へ移動される。列2030の位置を列2010および2020に対して移動させることによって構成を変更することにより、乗客の異なる社会体験およびまたは相互作用のタイプを可能にすることができる。
【0087】
[0101] 図20A~Bの特徴は、上記の折り畳み概念のいずれかと組み合わせることができる。例えば、図20C~Dは、列2030が第1の乗客使用構成にあり(図20C)、列2030が第2の折り畳み構成にある(図20D)車両2000の図を示す。この例では、第1の構成から第2の構成に移動するために、図15~17Fの例のいずれかを使用することができる。次いで、列2030は、車両のフロントエンド2060に向かって、ダッシュボード2080の第1の凹部2082内に移動される。列2030がこの構成で「格納」されると、列2010および2020の両方に隣接する領域は、図20E~Fに示されるようにより大きな物品のために開放される。
【0088】
[0102] 図20Cおよび20Dに戻ると、見ることができるように、ダッシュボード2080は、第2の凹部2084も含み、第2の凹部2084は、列2030が図20Dに示されるように、第1の列2010も折り畳まれて格納されることを可能にする。したがって、列2020に1人の乗客のみが存在し、上述のように第1の列2010と列2030の両方が格納されている場合、その乗客は膨大な量のレッグルームと追加の荷物2042等のための余地とを有する。
【0089】
コンソール
[0103] 上述したように、ユーザが車両に入力を提供するために、車両は、優先乗客が使用するように構成されたコンソールを含むことができる。図21は、図5のコンソール504の上面図である。コンソール504は、車両の特徴を制御するための様々なボタンを含む。例えば、コンソール504は、ドア406のロックおよびロック解除のためのボタン2102、ドア406のウィンドウを上下させるためのボタン2104、車両の内部ライトを点灯させるためのボタン2106、座席502の加熱機能を制御するためのボタン2109、ならびにスピーカ154の音量を制御するためのボタン2110などの典型的な車両に見られ得るボタンを含む。示されないが、コンソール504はまた、車両の状態に関する情報を表示するための1つまたは複数の電子ディスプレイを含むことができる。
【0090】
[0104] さらに、コンソール504はまた、無線ネットワーク接続156の1つを介してコンシェルジュ242との通信を開始するためのボタン2111を含む。コンシェルジュワークステーションが車両に接続されると、コンシェルジュは、スピーカ154および/または内部電子ディスプレイ152を介して乗客と通信することができる。さらに、マイクロホンは、乗客がコンシェルジュに直接話すことを可能にする。場合によっては、車両100は、コンシェルジュが乗客の状態を見て、その安全性を確認することを可能にする内部スチルまたはビデオカメラを含むことができる。
【0091】
[0105] ボタン2112および2114はまた、ユーザ入力150の一部であってもよく、この点に関して、乗客が、例えば車両内の旅行を開始または終了するために、コンピューティング装置110と通信することを可能にする。この点において、ボタン2112は緊急停止ボタンとして機能することができ、押すと車両100が短時間で停止する。乗客はガスまたはブレーキペダルを介して車両100の加速または減速を直接的に制御しないので、ボタン2112は、乗客が安全を感じ、差し迫った緊急の場合に素早く行動することを可能にするのに絶対不可欠な緊急停止ボタンであり得る。さらに、緊急停止ボタン2112によって開始される停止の潜在的に急な性質のために、緊急停止ボタン2112は、ボタン2112を起動するために取り除くまたは跳ね上げる必要があり得るカバー(例えば透明なプラスチックカバー)を特徴としてもよい。
【0092】
[0106] ボタン2114は異なる状態を有する多機能ボタンであってもよい。第1の状態では、ボタン2114は、乗客が目的地への旅行を開始するために使用する「進め」ボタンであってもよい。車両100が移動すると、ボタン2114は、乗客が緊急でない停止を開始するために使用する「脇寄せ」ボタンに変化してもよい。これに関して、コンピューティング装置110は、緊急停止ボタン2112のようにより突然停止するのではなく、車両を道路脇に寄せるのに安全な場所を決定することによって応答してもよい。あるいは、一方が「進め」状態を有し他方が「脇寄せ」状態を有する2つのボタンが使用されてもよい。
【0093】
[0107] したがって、ナビゲーション目的のためのコンピューティング装置110との乗客の通信は、ボタン2114(または上記の例のような2つのボタン)、緊急停止ボタン2112、乗客のクライアントコンピューティング装置との無線ネットワーク接続156(ブルートゥースLEなど)に、および乗客のクライアントコンピューティング装置からサーバ210に情報を送信し、サーバ210がその情報を車両のコンピューティング装置に中継することによって、制限されてもよい。いくつかの例では、乗客は、上記のようにマイクロホンを介して音声コマンドを経由して車両のコンピューティング装置110に情報を提供することができる。さらに、しかしながら、乗客は、電話、乗客のクライアントコンピューティング装置上のアプリケーション、マイクロホン、および/またはコンシェルジュボタン2111を介してコンシェルジュと通信することができ、次にコンシェルジュはコンシェルジュワークステーションを介して車両の特定の態様を制御する命令を提供してもよい。
【0094】
[0108] 上述の例の多くでは、車両の列の構成を変更することができる。そうすることにより、コンソールにアクセスする必要がある優先乗客を含めて乗客の位置も変化することができる。このため、着座構成が変更されると、コンソールを車両内で移動させることもできる。例えば、コンソールはハウジング内に組み込むことができる。このハウジングは、乗用車の内部で移動可能であってもよい。例えば、優先列、というよりも優先乗客を有する列が位置付けられることが予想されるのに応じて、ハウジングを車両のフロントエンドまたはリヤエンドに向かって移動させることができる。これに関して、いったん座席の列が構成されると、コンソールは、列の現在の構成および優先乗客の配置に対応して車両内で移動されてもよい。
【0095】
[0109] 例として、図22A~22Bは、車両2200の内部を示す上面図である。図22Aは、第1の座席列2210の間の第1の位置2230にあるコンソール2204およびコンソールハウジング2206を示す。コンソール2204は、コンソール504と同じまたは同様に構成されてもよい。車両は第2の座席列2220も含む。この例では、第1の列2210が優先列であるので、コンソールハウジング2206は、列2210の座席の乗客がコンソールに手が届き、様々なユーザ入力を使用することができるように位置付けられる。
【0096】
[0110] 上述したように、コンソールハウジング2206は移動されてもよい。この移動は、例えば、上記の座席の例のように、コンソールハウジング2206を軌道2250の組に沿って摺動させることによって達成することができる。この軌道により、コンソールハウジング2206は、車両のフロントエンド2260または車両の後部2262に向かって、およびそれらから離れるように移動することが可能になる。
【0097】
[0111] 図22Bは、第1の位置2230(図22Aにも示される)、第2の位置2232(図22Dにも示される)、および第3の位置2234の3つの異なる位置にあるコンソールハウジング2206を同時に示す。第2の位置2230において、コンソールハウジング2206は、第1の位置から車両のフロントエンドに向かって移動されている。図22Dは、第2の位置2232にあるコンソールの側面図を示す。この図では、コンソールハウジングは、軌道が許す限り、ダッシュボード2280に向かって前方にある。このような位置は、腕が長い可能性がある第1の列2210の乗客にとって便利でより快適であり得る。さらに、図22Dに示すようにコンソール2204がヒンジ2208を用いてコンソールハウジング2206に取り付けられている場合、コンソール2204は上に傾けることができ、これにより列2220の乗客はコンソール2204に表示されたいかなる情報も見ることができる。
【0098】
[0112] 第3の位置2234において、コンソールハウジング2206は、第1の位置から車両の後部2262に向かって移動されている。この第3の位置では、コンソールハウジングは、軌道が許す限り、ダッシュボード2280から遠く離れている。このような位置は、第1の座席列が(例えば、上述の第2の折り畳み構成のいずれかにおいて)折り畳まれている状況において、より快適で便利で安全であり得る。これに関して、列2220が優先列になる場合、列2220の優先乗客は、上述のように車両を制御するためにコンソール2204の入力に依然としてアクセスすることができる。コンソールの移動は、(上の図18A~19の例のように)第1の列が第2の座席列の上に積み重ねられているが優先列のままである場合にも有用であり得る。このようにして、車両の座席の列が乗客の数に適した着座構成になると、コンソールハウジングを適切な位置に移動させることができる。
【0099】
[0113] 上述の第1、第2および第3の位置に加えて、軌道2250に沿った様々な中間位置も使用することができる。例えば、図22Cは、第1の位置と第2の位置との間のコンソールハウジング2206の第4の位置2238を示す。示されていないが、様々な他の位置が達成されてもよい。当然のことながら、安全のために、コンソールハウジングは、前述の位置のいずれかにあるときに固定されてもよい。
【0100】
パーティション
[0114] 車両101などの車両はフルタイムの自律運転を完全に行うことが可能であり得るが、手動制御(操舵、制動、加速、信号伝達等)が、車両101などの車両に存在することが法的にしばしば要求される。このような制御は、指定されたテスト乗客が緊急の状況時に車両の制御を引き継ぐことを可能にするために特に重要である。例として、テスト乗客は、車両が自律的に動作しているときに車両内に着席し車両の動作を観察することによって車両を調べる任務を負う人間のオペレータまたは「テストドライバー」であり得る。しかしながら、多くの状況において、指定されたテスト乗客が車両に含まれていない場合に手動制御装置を有することは、万一乗客が手動制御装置と干渉した場合に乗客と近くにいる人に安全上のリスクをもたらす可能性がある。これらのリスクに対処するために、パーティションを含めることが適切な場合がある。これは乗客が手動制御装置と干渉する可能性を低減し得る。
【0101】
[0115] パーティションは、車両内に固定されていてもよいし、移動可能であってもよい。例として、図23A~Cは、様々な構成のパーティション2302を備えた、車両100などの車両内の単一の座席2312、2314列を示す。座席2312、2314は、車両内に第1の座席列を形成することができる。各例において、パーティション2302のベース部2304が車両の床2390に取り付けられている。上述したように、パーティションは、車両内に完全に固定(非可動)されていてもよい。あるいは、車両ならびに座席2312、2314に対するベース部2304の位置は、例えば、前述の軌道の組のいずれかなどの軌道の組に沿ってパーティションを摺動させることによって調整することができる。
【0102】
[0116] パーティションを軌道の組に沿って移動させることに加えて、またはこれに代えて、図23A~Cに示すように、パーティションの頂部は回動してもよい。この部分の第2の頂部2308は、ヒンジ2306によってベース部2304に取り付けられている。ヒンジは、パーティションを図23A~23Cに示されるように様々な構成に配置するために頂部2308がベース部2304の周りを回動することを可能にする。
【0103】
[0117] 図23Aは、第1の、完全に直立したまたはアクティブな構成のパーティション2302を示す。この例では、パーティションは、第1の列の座席2312、2314の間に障壁を形成する。ここでは、座席2312、2314は可能な限り車両内の前方にあり得、頂部2308はパーティション2302のベース部2304と一直線になっている。示されていないが、座席は、上述の例のいずれかを使用して折り畳まれてもよい。頂部2308は、座席2312、2314の輪郭に概ね従う外縁部2320、2322を含むことができる。当然のことながら、パーティションは、座席の折り畳み構成に基づいて、より大きな形状および異なる外縁部を有することもできる。この点に関して、折り畳まれた構成の場合、パーティションの外縁部は概ね座席の輪郭に従うことができる。
【0104】
[0118] 図23Aに示される第1の構成は、テスト乗客の有無にかかわらず、車両内に乗客がいる場合に最も有用であり得る。例えば、図23Aは、パーティションが完全に固定される、部分的に可動である(例えばレール上で、しかし回動できない)、または可動(レール上で)かつ回動できる場合の構成を示す。この構成は、第1の列の後ろに位置する車両内の第2の座席列(図示せず)の乗客が手動制御装置(図示せず)に手が届くことを防止または低減し得る。テスト乗客がいない場合、または乗客のために第1の列が必要でない場合、第1の列のパーティションおよび座席は、できるだけダッシュボードの近くに移動して、乗客に最大量のレッグルームおよび快適さを与えることができる。
【0105】
[0119] 図23Bは、第2の移行構成、より厳密には図23Aおよび23Cの構成間の移行地点におけるパーティション2302を示す。この例では、図23Aから、頂部2308は、ベース部2304の周りを約90度および第1の列の座席2312、2314から離れるようにヒンジ2306で回動する。示されていないが、頂部2308の上縁2324は、第2の座席列に載っていてもよい。パーティション2302を第1の構成に戻すために、パーティションは、車両の第1の列またはフロントエンドに向かって約90度、ベース部2304の周りでヒンジ2306で回動されてもよい。
【0106】
[0120] 図23Cは、第3の完全に折り畳まれた構成のパーティション2304を示す。この構成は、23Bの構成と同様のものであるが、この例では、座席2310、2312は、例えば上述したように座席を軌道の組上で摺動させることによって、パーティションの方へ後方移動される。再び、第1の構成にあるときに座席の輪郭に概ね従う外縁部2320、2322の形状は、図23Bと23Cとの間に見ることができるように、座席がベース部2304の方へ移動されることを可能にする。この構成23Aは、車両内にテスト乗客がいるが、第2の列(図示せず)に他の乗客がいない場合に最も有用であり得る。
【0107】
[0121] パーティションは、車両がテストに使用されるかどうか、および第1の列が乗客によって占有されるかどうかに基づいて、手動でまたはコンピューティング装置110によって自動で第1または第3の構成にロックされてもよい。
【0108】
例としての方法
[0122] 上に記載され、図に示された動作に加えて、様々な動作をここで記載する。以下の動作は、以下に記載する正確な順序で実行される必要はないことを理解されたい。むしろ、様々なステップは異なる順序でまたは同時に扱うことができ、ステップは追加または省略されてもよい。
【0109】
[0123] 一態様では、ユーザは、車両を要請するためのアプリケーションをクライアントコンピューティング装置にダウンロードすることができる。例えば、ユーザ222および232は、電子メール内のリンクを介して、ウェブサイトから直接、またはアプリケーションストアを介して、クライアントコンピューティング装置220および230にアプリケーションをダウンロードすることができる。例えば、クライアントコンピューティング装置は、アプリケーションの要求をネットワークを介して、例えば、1つまたは複数のサーバコンピューティング装置210へ送信し、それに応答して、アプリケーションを受信してもよい。アプリケーションは、クライアントコンピューティング装置にローカルにインストールされてもよい。
【0110】
[0124] 次いで、ユーザは、自分のクライアントコンピューティング装置を使用してアプリケーションにアクセスし、旅行のための車両を要請することができる。例として、ユーザ132などのユーザは、クライアントコンピューティング装置330を使用して、1つまたは複数のサーバコンピューティング装置110に車両の要請を送信することができる。その一環として、ユーザは、車両が停止することができるサービスエリア内のどこでも、迎え地、目的地、および場合によっては1つまたは複数の中間停止位置を特定することができる。さらに、ユーザは、旅行の乗客の数を特定し、場合によっては、特定された乗客数に好ましい着座配置を特定することができる。
【0111】
[0125] ユーザが迎え地および/または目的地の1つまたは複数を選択し、旅行の乗客の数を特定すると、クライアントコンピューティング装置420は、この情報を集中型配車システムの1つまたは複数のサーバコンピューティング装置に送信することができる。これに応答して、サーバコンピューティング装置110などの1つまたは複数のサーバコンピューティング装置は、例えば特定された乗客数を与えられた車両の可用性、現在の着座構成、およびユーザへの近接性に基づいて車両を選択することができる。次いで、サーバコンピューティング装置は、ユーザに指定された迎え地および/または目的地を車両に提供することによって、ユーザを拾うために選択された車両を配車することができる。
【0112】
[0126] さらに、1つまたは複数のサーバコンピューティング装置は、車両のコンピューティング装置110に、特定された乗客数を送信することができる。それに応答して、車両は、特定された乗客数に最も適合するように車両内のいかなる着座列も自動的に再構成することができる。例えば、これは、座席または列を自動的に折り畳むことによって、座席または列を軌道上で移動することによって、座席または列を積み重ねることによって、および上述の例のいずれかを使用してコンソールを適切な位置に移動させることによって達成され得る。同様に、ユーザが特定された乗客数に好ましい着座配置を指定した場合、車両は、再び上に提供された例を用いて、好ましい着座配置に従って座席または列を再構成することができる。さらに、あるいは代わりに、必要に応じて、車両のコンピューティング装置110は、パーティションを異なる構成に移動させることができる。
【0113】
[0127] あるいは、ユーザは、車両に乗り込むと、着座構成を手動で、またはそれを実行するための車両内のオプション(ボタン)を選択することによって、変更することができる。
【0114】
[0128] 特に指定のない限り、前述の代替例は相互排他的ではなく、固有の利点を達成するために様々な組み合わせで実行されてもよい。これらおよび他の変形形態ならびに上述した特徴の組み合わせが、特許請求の範囲で定義される主題から逸脱することなく利用できるので、実施形態の前述の記載は、特許請求の範囲で定義される主題の制限としてではなく、例証として解釈されるべきである。加えて、本明細書に記載する例の提供、ならびに「など(such as)」、「~を含む(including)」および同様のものとして表現される句は、特許請求の範囲の主題を特定の例に限定するものと解釈されるべきではなく、むしろ、それらの例は、多くの可能な実施形態のうちの1つだけを例証することを意図する。さらに、異なる図面中の同じ参照番号は、同じまたは同様の要素を識別することができる。
【0115】
[0129] 本発明は、自律型車両の内部および着座構成を含むがそれらに限定されない幅広い産業上の利用可能性を享受する。
図1
図2
図3
図4A
図4B-4C】
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B-10E】
図10F
図10G
図11
図12
図13
図14
図15A-15D】
図16
図17A-17D】
図17E-17F】
図18A
図18B
図19
図20A-20B】
図20C-20D】
図20E-20F】
図21
図22A-22B】
図22C-22D】
図23A-23C】