(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】防塵マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20221028BHJP
A62B 18/02 20060101ALN20221028BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 B
(21)【出願番号】P 2021160081
(22)【出願日】2021-08-27
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】320004087
【氏名又は名称】小板橋 文夫
(72)【発明者】
【氏名】小板橋 文夫
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許第1042398(CN,C)
【文献】中国実用新案第203886044(CN,U)
【文献】中国実用新案第204395257(CN,U)
【文献】実開昭54-165096(JP,U)
【文献】実開平01-122762(JP,U)
【文献】実開昭48-001997(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 18/02
A41D 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項6】
前記1対のネオジウム磁石は互いに磁気反発する向きで固定されている事を特徴とする請求項1,2,3,4,または5に記載した防塵マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁性金属粉塵捕集機能を備えた防塵マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
磁性金属研磨作業に付いては防塵マスクを着用する事が通常で有るが、磁性金属に特化した物は販売されて無く、代替品として、防毒マスク、N95マスク等、が必要であり、ランニングコストが、掛かり過ぎ、大抵の場合、零細の孫請け企業の分担であり、作業者は、鉄肺の危険に常にさらされて居る事が現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実全昭48-001997号公報
【文献】実開昭60-005411号公報
【文献】中国実用新案第203886044号明細書
【非特許文献】
【0004】
【0005】
特許文献1と2に関しては、永久磁石、磁石片をマスクに埋め込む形であり、当時は何れもフェライト磁石で有るが、磁力が弱すぎて完全な吸着は不可能で有る、また、製品化と販売がされて無い為、入手不可能で有る。
【0006】
特許文献3に付いては、筒を両方の鼻の穴に差込んで使う物で、毎日使用したら、鼻の粘膜が、炎症起こしてしまい、毎日8時間の使用に耐えられない、また磁性金属のみ捕らえるが、他の塵埃は全て吸込んでしまう。
【0007】
非特許文献1に付いて、フェライト磁石の磁界の間に空気を通過させる事により、電磁誘導により、ウイルスや雑菌に対し、流速と磁力の強さに比例して大きな電流が発生し、滅菌能力が有る事から、本発明も同様な効果が有る可能性が充分有るが、個人では検証不可能で有る為、ここでは、「ウイルスや雑菌を死滅の滅菌能力も期待出来る」と言う表現に留める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
磁性金属粉塵から保護するマスクを、安価で、提供する事で有る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明は、磁性金属粉塵を磁気吸着する吸着部を備えて、吸込む直前で、磁性金属粉塵を捕捉する機能を有した防塵マスク、において吸着部は所定形状の2個のネオジウム磁石が、所定間隔で左右に並んだ状態で支持板の表面に固定されており、布マスク本体内側面で鼻孔開口部の直下位置に所定の保持手段により、着脱自在に装着されており、並列した1対のネオジウム磁石が左右の鼻孔部に対し、おのおの対向する位置にて支持される、事を特徴とする物とした。
【0010】
この場合1対のネオジウム磁石は布をあてて装着する事を特徴とした物とする事で、ネオジウム磁石と磁性金属粉塵が直接肌に触れない事になる。
【0011】
またこの場合、布は布マスク本体内側面に設けられたポケットを構成する為の布であり、ポケットが保持手段を構成している事を特徴とする物とした事により、吸着部の付け外しが容易になり、マスクは複数持ち洗濯して使い回し、吸着部は外してエアーブローで清掃する事が容易になった。
【0012】
更に上述した防塵マスクにおいて1対のネオジウム磁石は、互いに同一形状同一サイズの平板状の物であり互いに所定間隔を空ける事を特徴とする。
【0013】
更に又上述した防塵マスクにおいて、支持板は、横長の鉄板が最適であり、長手方向中心部を上唇の湾曲に沿う様に屈曲している事を特徴とする。
【0014】
そして更に又上述した1対のネオジウム磁石は、互いに磁気反発する向きで固定されている事を特徴とした結果、磁束密度が上がり、つまり磁力の増幅に繋がり、磁性金属粉塵の吸着能力も一段と向上した。
【発明の効果】
【0015】
布製マスクの内側面にネオジウム磁石を対で設けた本発明により、磁性金属の粉塵から保護できるマスクを、安価で提供出来る様になった。
【0016】
被験者に、本願発明者発明のマスクを毎日装着し研磨作業を続けた所、SpO2=96%が、1年間の使用でSpO2は99%迄回復した、これは本願発明者発明のマスクが充分な効果が有る事を定量的に示す数値である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】マスクとネオジウム磁石と鼻の位置関係を示す縦断面図(イメージ)
【
図3】支持板5にネオジウム磁石4を固定し構成される吸着部の上面図
【
図4】支持板5にネオジウム磁石4を固定し構成される吸着部の正面図
【
図5】支持板にネオジウム磁石を取付けた吸着部の現物写真
【
図8】1日使用した時の吸着した磁性金属粉塵の状態を示す写真
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願発明者は、ある零細企業の鉄の研磨作業を手伝いに行った際、作業者が、相当磁性金属粉塵を吸っている事が判明した事から、本願発明に至った。
内容:浮遊する磁性金属粉塵に対し保護具は基本はPM2.5対応保護マスクとしていたが、1日作業すると、鼻の両脇と頬が微細な磁性金属粉塵だらけになっており一定量磁性金属粉塵の吸引が有る事が明らかだった。翌日、パルスオキシメーターを持参し、作業者全員、本願発明者を除き5名のSpO2を計測した所、5名とも、SpO2=96~97%で有った、鉄肺が進んでいる、早急に対策が必要と感じ、社長と相談した、製品研磨1個/1円の世界で、ベルトグラインダーで製品を1000個/h/1台×5台が常時稼動がやっとの零細企業で、局所排気も付ける予算も、市販のガスマスク型防塵マスクも、N95マスクも高価で、フィルターも頻繁に交換する為、費用が出せない、との事だった。結果以下の条件を満たす磁性金属粉塵を磁気吸着するマスクを発明する必要が生じた為、安価で製作出来る事、磁性金属粉塵の100%集塵を目標とし、発明に取掛った。
【0019】
パルスオキシメーターに付いて
入院患者で、酸素吸入から離脱した者の見舞いに貸した所、病院のパルスオキシメーターと同じ97%を示した。この事により、本願発明者のパルスオキシメーターは、トレーサビリティが取れている事が確認された。
【0020】
磁性金属粉塵集塵にあたり、ネオジウム磁石を、鼻の穴の直下に1個ずつ配置する事で、磁性金属粉塵の塵埃を吸い込む直前で100%捕捉出来ると考えた、しかし、ネオジウム磁石は磁力が強すぎて、同時に2個以上貼ると、磁石同士がくっ付いてしまい間隔を開けてマスクに貼る事が出来ない。上記案の実現方法:支持板を横長の鉄板とし、ネオジウム磁石をお互い磁気反発し合う様に貼り付け隙間を開け磁石の面が上唇に平らにあたる角度に支持板を屈曲し、(
図3、
図4参照)これを磁性金属粉塵を磁気吸着する吸着部とする布マスク本体に、ネオジウム磁石が鼻の直下に来る位置に収納出来る位置にポケットを縫い付け、それを保持手段とし、そこにネオジウム磁石を取付けた支持板を、ネオジウム磁石を顔側にして入れ、布マスク本体を装着する
図2ネオジウム磁石と顔の間には、必ず布をあてる事とし、理由は、▲1▼金属アレルギーの防止、▲2▼装着感の改善、で有る。
【0021】
ネオジウム磁石同士は5mmから8mmの左右の間隔、とし、その理由は
1.空気の通路を確保する為
2.ネオジウム磁石が、鼻の穴の直下に来る様にする
3.ネオジウム磁石の磁気反発によりネオジウム磁石同士の間は磁束密度が最大に高くなっており、磁束密度の圧縮を維持する為ネオジウム磁石同士の間隔は5mmから8mmを限度とする。
その為、ネオジウム磁石単体より何倍も磁力が高く磁石同士の間が磁束密度最大で、両端に向かい緩やかに通常のネオジウム磁石の磁束密度になっている。以上の、狙いがある。またこの発明に属する技術の分野における通常の知識を有する物が容易に発明出来たと思われがちで有るが、ネオジウム磁石の発明は1984年で、36年経過した今、本願発明者が初めて鼻の直下にネオジウム磁石配置した防塵マスクを特許申請している事は、通常の知識を有する物が36年間もの間、容易に発明出来なかった実績を示して居る。
【0022】
磁性金属粉塵吸着可能距離の調査
磁石単体と、支持板につけた状態の端面、裏面を、
図5の方法でテープの端面に#16番の鉄線を2mmにカットした材料に序々に磁石を近づけ吸着した位置を、
図6の様に計測し試験材料の質量が、磁性金属粉塵の1000倍以上有る事、テープ上に置いたとき、動き出す迄の摩擦抵抗が有る事から、以上の条件を、充分に安全係数を掛けた、吸着可能距離とし、測定した。
結果:磁石の表面と端面は15mm
磁石取付け時の支持板は、端面と背面で、12mm
以上が、3充分な安全係数を掛けた、磁性金属粉塵吸着可能範囲である。
【0023】
以下に本発明を実施する為の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
そこで本発明は磁性金属粉塵を磁気吸着する吸着部(
図3、
図4)を備えて、(
図2参照)吸込む直前で、磁性金属粉塵を捕捉する機能を有した防塵マスク、において吸着部6は所定形状の2個のネオジウム磁石4が、所定間隔で左右に並んだ状態で支持板5の表面に固定されており、布製のマスク本体2内側面鼻孔開口部の下位置に保持手段であるポケット1により、着脱自在に装着されており、並列した1対のネオジウム磁石4が左右の鼻孔部に対し、おのおの対向する位置にて支持される事を特徴としている。
【0025】
この場合吸着部6は布をあてて装着する事を特徴とした物とする(
図1の1ポケット参照)。
【0026】
この場合、布は布マスク本体2内側面に設けられたポケットを構成する為の布でありポケットが、保持手段を構成している事を特徴とする物とした事により、吸着部6の付け外しが容易になり、マスクは複数持ち洗濯して使い回し、吸着部6は外してエアーブローで清掃する事が容易になった(
図1参照)。
【0027】
上述した防塵マスクにおいて1対のネオジウム磁石4は、互いに同一形状同一サイズの平板状の物であり互いに所定間隔を空ける事を特徴とする(
図3、
図4参照)。ネオジウム磁石4の寸法は、例えば、直径φ15mm~φ17mm×厚みt3.5mm~t2.5mmの範囲内が、重さでマスクがズレない為、好ましいが、限定するものではない。
【0028】
更に上述した防塵マスクにおいて、支持板5は、横長の鉄板が最適であり、長手方向中心部を上唇の湾曲に沿う様に、
図3、
図4に示す様に、屈曲している事を特徴とする。
【0029】
更に又上述した1対のネオジウム磁石4は、互いに磁気反発する向きで固定されている事を特徴とした結果、磁束密度が上がり、つまり、磁力の増幅に繋がり、磁性金属粉塵の吸着能力も、一段と向上した(
図8参照)。
【0030】
図1ポケット付きマスク
このマスクは上端部が布を積層し縫ってない構造なのでポケット分手前1枚布を残して上端部を縫いコの字型に縫ってポケットを作り保持手段とした。
【0031】
また、段落0007に示す、ウイルスや雑菌の滅菌能力が期待出来るが、個人では検証出来ない為、その検証する事が、今後の課題で有る。
また、このマスクの滅菌能力が充分有る事が判明した場合、パンデミックは基より、滅菌マスクの世界標準と成りうる、可能性が有る。
マスクメーカー、大学、研究機関とタイアップして進めたい。
【符号の説明】
【0032】
1 ポケット
2 布マスク本体
3 充分な安全係数を掛けた磁性金属粉塵吸着可能範囲
4 ネオジウム磁石
5 支持板
6 吸着部
【要約】
【課題】磁性金属の研磨作業を、安全に保護する事が出来るマスクを、安価で、提供する事で有る。
【解決手段】横長の鉄板を上唇の湾曲に沿って屈曲しに互いに反発する様、同じサイズのネオジウム磁石を、反発で生まれた間隔を置いて貼り付け、それをマスクの内側で鼻の直下の位置にポケットを付けて配置した防塵マスクの発明。
【選択図】
図2