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特許7166420ピペット装置、ピペットチップカプラ、およびピペットチップ、装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】ピペット装置、ピペットチップカプラ、およびピペットチップ、装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20221028BHJP
【FI】
G01N35/10 G
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021182938
(22)【出願日】2021-11-10
(62)【分割の表示】P 2018565881の分割
【原出願日】2016-11-10
(65)【公開番号】P2022010189
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】62/350,302
(32)【優先日】2016-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/350,291
(32)【優先日】2016-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513061943
【氏名又は名称】ハミルトン カンパニー
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON COMPANY
【住所又は居所原語表記】4970 Energy Way Reno, Nevada 89502 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グズマン,ジョセ エデュアード
(72)【発明者】
【氏名】バーレシィ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ベルトン,ドナ エー.
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-542017(JP,A)
【文献】特表2009-538725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペットチップであって、
内面を含み前記ピペットチップの開口上側端と開口下側端との間で前記ピペットチップの中央長手軸に沿って延びる開口内側通路を備えた囲繞側壁、
前記囲繞側壁の前記内面に形成され前記開口上側端より下側の第1セクションであって、第1の直径を有する筒状上側第1部分と、前記第1の直径を有する筒状下側第1部分と、前記筒状上側第1部分と前記筒状下側第1部分との間に置かれた環状溝とを有してなり、第1の長さを有する第1セクション、
筒状の面を有し前記囲繞側壁の前記内面に形成され前記第1セクションより下側の第2セクションであって、前記第1の直径より小さい第2の直径を有し、第2の長さを有し、前記第2の長さが前記第1の長さよりも小さい第2セクション、
前記第1セクションと前記第2セクションとの接合部で前記囲繞側壁の前記内面に形成された停止肩面であって、前記停止肩面が、環状で、前記ピペットチップの前記中央長手軸に垂直な平らな面である停止肩面
筒状の面を有し前記囲繞側壁の前記内面に形成され前記第2セクションより下側の第3セクションであって、前記第2の直径より小さい第3の直径を有し、第3の長さを有し、前記第3の長さが前記第1の長さよりも大きい第3セクション、
前記囲繞側壁の前記内面に形成され前記第2セクションと前記第3セクションとの間に置かれた密封座部であって、前記第2セクションとの接合部に上側環状密封座面端と、前記第3セクションとの接合部に下側環状密封座面端と、前記上側環状密封座面端と前記下側環状密封座面端との間に置かれた密封座面とを有してなり、前記上側環状密封座面端が前記下側環状密封座面端よりも直径が大きい密封座部、
前記囲繞側壁の前記内面に形成され、前記開口上側端から半径方向内方に延び、前記第1セクションの上側端で終端する、環状の面取りされた内面、
前記囲繞側壁の前記内面に形成され前記第3セクションより下側の第4の円錐台形セクション、および
前記囲繞側壁の前記内面に形成され前記第4の円錐台形セクションより下側で前記開口下側端の上側にある第5の円錐台形セクションを有してなり
前記第5の円錐台形セクションが前記第4の円錐台形セクションより大きなテーパを有する、ピペットチップ。
【請求項2】
前記密封座面の一部が環状で、前記ピペットチップの前記中央長手軸に垂直な平らな面である、請求項1記載のピペットチップ。
【請求項3】
前記密封座面が、円周状で上向きの歯端面をさらに有してなる、請求項2記載のピペットチップ。
【請求項4】
前記密封座面が円錐台形の環状面である、請求項1記載のピペットチップ。
【請求項5】
前記密封座面が環状で凹状の面である、請求項1記載のピペットチップ。
【請求項6】
前記密封座面が環状で凸状の面である、請求項1記載のピペットチップ。
【請求項7】
前記環状溝が、第1の環状で傾斜した溝面、前記第1の環状で傾斜した溝面に隣接した環状で凹状の溝面、および前記環状で凹状の溝面に隣接した第2の環状で傾斜した溝面をさらに有してなる、請求項1記載のピペットチップ。
【請求項8】
前記環状溝が、環状で傾斜した溝面、および前記環状で傾斜した溝面に隣接した環状で凹状の溝面をさらに有してなる、請求項1記載のピペットチップ。
【請求項9】
前記環状溝が、第1の環状で凹状の溝面、前記第1の環状で凹状の溝面に隣接した環状の溝面、および前記環状の溝面に隣接した第2の環状で凹状の溝面をさらに有してなる、請求項1記載のピペットチップ。
【請求項10】
前記環状溝が凹状である、請求項1記載のピペットチップ。
【請求項11】
前記環状溝がV形状の溝である、請求項1記載のピペットチップ。
【請求項12】
前記環状溝が複数の隣接する環状の溝面をさらに有してなる、請求項1記載のピペットチップ。
【請求項13】
前記複数の隣接する環状の溝面の少なくとも1つが傾斜面である、請求項12記載のピペットチップ。
【請求項14】
前記複数の隣接する環状の溝面の少なくとも1つが傾斜面であり、前記複数の隣接する環状の溝面の少なくとも1つが凹状の面である、請求項12記載のピペットチップ。
【請求項15】
前記複数の隣接する環状の溝面の少なくとも1つが前記中央長手軸に平行である、請求項12記載のピペットチップ。
【請求項16】
前記複数の隣接する環状の溝面の少なくとも1つが前記中央長手軸に垂直である、請求項12記載のピペットチップ。
【請求項17】
前記囲繞側壁が導電性材料から作られる、請求項1記載のピペットチップ。
【請求項18】
前記筒状上側第1部分と前記環状溝との間の第1の接合部が面取りされており、および前記筒状下側第1部分と前記環状溝との間の第2の接合部が面取りされている、請求項1記載のピペットチップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、同時係属中の2016年6月15日出願の米国仮特許出願第62/350,302号に対する35USC第119条(e)の優先権を主張するものであり、当該出願の全ての開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。本出願はまた、同時係属中の2016年6月15日出願の米国仮特許出願第62/350,291号に対する35USC第119条(e)の優先権を主張するものであり、当該出願の全ての開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、概略的にはピペット装置(ピペッティング装置、分注装置)に関し、より詳しくは、ピペットチップカプラ(ピペットチップ連結装置)、使い捨てピペットチップ、ピペットチップとカプラのコンビネーション(組合せ)、およびピペット装置により動作可能に支持された少なくとも1つのピペットチップカプラに対して少なくとも1つの使い捨てピペットチップを結合する方法および分離する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ピペット装置は、実験的な分析を行うための液体の移送用として多くの産業分野で使用されている。その際、実施される実験内でのコントロール(操作手順)により、使い捨てピペットチップは使い切りで使用される。使い捨てピペットチップは、手動ピペット装置と、多数の容器から同時に試料を吸引しそれらを他の場所に分注するために列またはマトリックス状で配置された多数のピペットユニットを有する自動ピペット装置との両方で使用される。
【0004】
使い捨てピペットチップは、歴史的に、円錐形または段付きの結合スタッドに接合ないし連結するように構成される。円錐形の結合スタッドが使用される場合には、使い捨てピペットチップは、気密シールを提供するために結合スタッドにプリストレス(予応力)を加える態様で構成される。2つの接合ないし連結する部品の公差のために、液体に接触するピペットチップの端までの距離をうまくコントロールできない。さらに、ピペットチップにプリストレスを加えて気密シールを形成するためには高圧力が必要である。その結果、ピペットチップに微細亀裂が形成されることがあり、これが漏れの原因となる。また、ピペットチップを配置する際に高圧を加えることで、ピペットチップを外すためにそれに対応した高圧を加える必要があるという欠点がある。
【0005】
本出願の譲受人であるHAMILTON Companyは、2006年4月25日に発行された米国特許第7,033、543号、「Oリングと組み合わせた段付き結合スタッド」において、気密シールを形成するのに必要な高い押圧力を低減するための解決策を提供し、また液体と接触するピペットチップの端の明確ないし正確な軸方向の位置決めを提供する技術を教示する。このOリングは、圧縮される際に、気密シールを提供すると共に結合スタッド上の軸方向結合機構をピペットチップ上の対の軸方向結合機構に係合するための、軸方向の力を提供する。
【0006】
それにもかかわらず、段付き結合スタッドと単独のOリングの構成を利用する現在のシステムは、Oリングが損傷したときに問題があり、気密シール、およびピペット装置の性能が損なわれる結果となる。
【0007】
また、Oリングの圧縮によりOリングが変形する結果、軸方向に向かう力およびピペットチップの作用面に対する気密シールが提供される。この動作とは逆に、Oリングの圧縮が解除された場合、ピペットチップを処分のために結合スタッドやピペット装置から取り外すためにはOリングがピペットチップの作用面から離れなければならない。Oリングが十分に圧縮解除されない場合、残留力が残ってしまい、このためピペットチップが結合スタッドに係合したままになり、処分のためにピペットチップを取り外すために外部から軸方向の反力を自動的に加えることが必要となる。
【0008】
さらに、液体が移出および/または移入される孔のサイズが減少するにつれて、ターゲティング(目標決定)を成功させるためには全てのピペットチップを制御して正確に位置決めする必要性が高まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって、上述した重大な欠点の1つ以上を改善ないし克服する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、1つの観点において、本発明の実施形態は、ピペットチップカプラ(ピペットチップ結合装置)と使い捨てピペットチップのコンビネーションを提供することで、公知従来技術の1以上の欠点を改善ないし克服する。この実施形態は、結果的に生じるプレストレス力(予応力)を提供するために、ピペットチップの近位を向いた(近位側に面した)軸方向停止面の上方の領域においてピペットチップの側壁の内側囲繞面に形成された第1の作用面を画定する円周状ないし環状の内側作用面に係合する、複数の周方向ないし円周状に配置された要素またはセグメントを有してなり、この力がピペットチップに軸方向上向きにプレストレスを加え、これによりカプラの遠位ないし遠位側のエラストマー要素(弾性体要素)にピペットチップの第2の内側作用面からプレストレスが加えられて密封構造ないしシール構造が形成され、これが公知の先行技術におけるシール劣化や不全を排除する。
【0011】
さらに、1つの観点において、遠位のエラストマー要素は、第2の内側作用面に対して圧縮されると、複数の要素またはセグメントに対して軸方向の対向力を提供する。この軸方向の対向力の少なくとも1つの利点は、追加の力が複数の個別ないし個々の要素またはセグメントによって第1の作用面に加えられ、複数の個々の要素またはセグメントが半径方向および軸方向に接合ないし連結した状態のときに、より強い遠位のシールを提供することである。
【0012】
上記の軸方向の対向力の別の利点は、複数の個別ないし個々の要素またはセグメントが結合解除されて半径方向に後退ないし引っ込んだ状態では、遠位エラストマー要素の軸方向の対向力が軸方向逆向きの係合解除力を画定し、この力がピペットチップカプラからピペットチップを廃棄のために取り外す際の助けとなることである。
【0013】
他の観点において、本発明の実施形態は、ピペットチップカプラと使い捨てピペットチップとのコンビネーションを提供する。このカプラは、複数の周方向ないし円周状に配置された要素またはセグメントと、これに限定されないがOリングの形態の遠位のエラストマー要素とを有してなり、またピペットチップは、ペットチップ内に二重の相補的ないし補足的な内側作用面を有してなり、複数の要素またはセグメントと遠位エラストマー要素を二重の補足的な作用面に係合させることで軸方向の合力を提供し、使い捨てピペットチップに軸方向の結合位置までプレストレスを与えるようにする。この結合位置は、ピペットチップカプラの遠位を向いた軸方向停止面と、使い捨てピペットチップの近位を向いた相補的な逆側の軸方向停止面とによって提供され、この結果、ピペットチップカプラと使い捨てピペットチップのコンビネーションを支持するピペット装置のチャネルの長手方向軸に対する垂直なデータム(基準点、基準線(面))が確立され、ピペットチップの真直度と制御された同心性ないし同心度が提供される。
【0014】
従って、上記の軸方向の力(合力)による結合位置が公知の従来技術に勝る1つの利点はこの垂直なデータムの確立であり、これによりピペットチップの真直度および制御された同心性が提供される。同心性は、横軸と横軸に垂直な縦軸との間の「φ」として本明細書で定義される角度が大きくなるにつれて悪化する。よって、同心性を制御することは、マルチチャネルシステムや複数のウェルを標的とする場合に特に重要となる。したがって、このピペットチップカプラと使い捨てピペットチップのコンビネーションによれば、より厳密な同心性を提供し、すべてのピペットチップのより厳格な精度を制御することが可能になり、これにより、液体が移出および移入される複数のウェルおよび/またはより小さい孔のターゲティング(目標決定)を首尾よく行うことができる。
【0015】
別の観点において、本発明の実施形態は、ピペットチップカプラと使い捨てピペットチップとのコンビネーションを提供する。このカプラは、複数の周方向(円周状)に配置された要素またはセグメントと、これに限定されないがOリングの形態の遠位エラストマー要素とを有してなり、またピペットチップは、ピペットチップ内に二重の相補的ないし補足的な作用面を有してなり、ピペットチップカプラと使い捨てピペットチップとが結合された構成において、ピペットチップカプラの遠位を向いた軸方向停止面から液体に接触するピペットチップの端部までの軸方向距離として定義される軸方向の結合位置の正確な制御を提供する。これは、ピペットチップ真直度と組み合わされて、ピペットチップカプラと使い捨てピペットチップのコンビネーションを支持するピペット装置が、より小さな穴をターゲットにすることを可能にする。さらに、使い捨てピペットチップの上記距離が既知で固定されていることから、液体が移送されまたは液体がそこから移送される作用面に対してピペットチップ/液体を制御して接触させることが可能になるので、より少量の液体の移送が可能となる。
【0016】
さらに他の観点において、本発明の実施形態は、ピペットチップの第1の作用面に接触する複数の個々の要素の動きを案内ないし導く傾斜したスクイズ機構(押込み機構)を有してなる、ピペットチップカプラと使い捨てピペットチップのコンビネーションを提供する。これにより、ピペットチップを軸方向の結合位置にプリストレスするためのより大きな軸方向の力(軸力)が得られる。
【0017】
本発明の実施形態のさらなる態様は、添付の図面および特許請求の範囲と併せて以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、本開示の好ましい実施形態の詳細な説明にしたがって、以下に述べる特許請求の範囲及びその公正な意味から逸脱することなく、多数の変更及び適合が可能であることが理解されるべきである。
【0018】
上記の概要、および本発明の以下の詳細な説明は、以下の図面を参照することでより完全に理解されるものであり、これらの図面は例示の目的だけのもので、本発明の範囲を限定するものではない。また、図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の1または複数の概念をより明確に示すために、いくつかの構成要素が現実の実施のサイズに対して拡大され、または比例していない態様で示されていることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】自動リキッドハンドリングシステムの空気置換式ピペット装置アセンブリの例示的な実施形態の斜視図。
図2】ピペット装置アセンブリの例示的な実施形態の縦断面の側面図。
図3】使い捨てピペットチップの例示的な実施形態に動作可能に結合された拡張式マンドレルコレット結合装置またはピペットチップカプラの例示的な実施形態に動作可能に結合されたピペット装置を備えた、ピペット装置アセンブリの例示的な実施形態の部分的な縦断面の側面図。
図4】ピペット装置アセンブリの例示的な実施形態の側面図。
図5】拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の部品が詳細に示された、ピペット装置アセンブリの一部を分解した部品の斜視図。
図6】使い捨てピペットチップとピペット装置との間に挿入された拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の詳細を示した断片的、部分的な分解部品の斜視図。
図7】拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の側面図。
図8】拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の中央カプラ本体の上部および側部の斜視図。
図9】拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の下側または遠位のエラストマー 要素つまりOリングの例示的な実施形態の上面および側面の斜視図。
図10】中央カプラ本体の遠位ステム部を囲む遠位エラストマー要素、および遠位エラストマー要素の軸方向上方で中央本体を囲み且つこれに取り付けられた円筒状スペーサの上面および側面の斜視図。
図11】拡張式マンドレルコレット結合装置の拡張式マンドレルコレットの例示的な実施形態の上面および側面の斜視図。
図12】拡張式マンドレルコレット結合装置の拡張式マンドレルコレットの例示的な実施形態の縦断面の側面の斜視図。
図13】拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の環状ウェッジの例示的な実施形態の上面および側面の斜視図。
図14】一部が図示されたピストンスリーブまたはスクイズスリーブからの力が加えられることで拡張された構成の、拡張式マンドレルコレットの例示的な実施形態の側面図。
図15】ピペット装置に動作可能に連結ないし結合された拡張式マンドレルコレット結合装置の拡張式マンドレルコレットの例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図16】拡張マンドレル式コレット結合装置の実施形態によってピペット装置に動作可能に結合された使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の部分的な、一部断面の側面図。
図17】支持された状態で例示された使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の側面図。
図18】内部を詳しく示した使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図19】上部カップリング内部を詳述した使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の上側結合部分の部分的な、縦断面の側面図。
図20】自動分注ワークステーションまたはシステムの例示的な実施形態の図式的なブロック図。
図21】使い捨てピペットチップの上方に拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態を支持したピペット装置の例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図22】遠位エラストマー要素が最初にピペットチップの密封座面に接触し、複数の別個の結合要素またはセグメントが非スクイズ状態または半径方向外方に伸長してない状態であり、密封座面がピペットチップの中央長手軸に対して鋭角の密封座面角度を有する、使い捨てピペットチップの上方および中に配置されて結合段階が画定された、拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図23】ピストンスリーブが環状ウェッジを押し下げた結果ピペットチップが持ち上げられ、複数の拡張式マンドレルコレットセグメントの丸い部分がピペットチップに形成された溝の上側角部で半径方向に延ばされた結果ピペットチップを持ち上げ引っ張る軸方向力(軸力)が発生して、ピペットチップを着座させ且つ遠位エラストマー要素をピペットチップの密封座面に押し付けるプロセスが開始される、拡張式マンドレルコレット結合装置とピペットチップの例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面断面図である。
図24】分割されたカプラの拡張式マンドレルコレットの複数の拡張式マンドレルコレットセグメントのアームの1つの丸い面が図23に示したようにピペットチップの溝の角と接触するために延長された詳細を示した部分的な、縦断面の側面図。
図25】遠位エラストマー要素が、図23に示したようにピペットチップの密封座面に最初に圧縮された状態を示した部分的な、縦断面の側面の詳しい説明図。
図26】ピペットチップが持ち上げられている間に、ピストンスリーブが環状ウェッジをさらに押し下げて、複数の拡張式マンドレルコレットセグメントの丸い面をピペットチップの溝内に半径方向に延在させ続けてピペットチップをさらに引き上げ、および遠位エラストマー要素がピペットチップの密封座面にさらに圧縮されている状態を示した、ピペットチップのさらに内部に配置された拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図27】複数の拡張式マンドレルコレットセグメントの1つの丸い面が、図26に示されたように、ピペットチップの溝内にさらに延びた状態を示した部分的な、縦断面の側面の詳細な説明図。
図28】遠位エラストマー要素が、図26に示したように、ピペットチップの密封座面に最初の圧縮状態からさらに圧縮された状態を示した部分的な、縦断面の側面の詳細な説明図。
図29】環状ウェッジがその最終位置に移動されることによってピペットチップが最終着座状態に持ち上げられ、それによって最終結合状態が画定され、遠位エラストマー要素がピペットチップの密封座面に最終的に圧縮され着座した状態を示した、使い捨てピペットチップ内に配置された拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図30】複数の拡張式マンドレルコレットセグメントの1つの丸い面が、図29に示されたように溝を画定する面に当接するように延びたる状態を示した部分的な、縦断面の側面の、詳細な説明図。
図31図29に示したように、ピペットチップの密封座面に最終的に圧縮されて着座密封状態にある遠位エラストマー要素の部分的な、縦断面の側面の詳細な説明図。
図32】拡張式マンドレルコレット結合装置と使い捨てピペットチップの例示的な各実施形態の間の結合の開始を示し、関連する力が示された部分的な、縦断面の側面の詳細な説明図。
図33】複数の拡張式マンドレルコレットセグメントの1つの、複数の円弧状セグメントまたは丸みを帯びたセグメント面のうちの1つの結合の開始が示され、使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の溝、関連する力が示された部分的な、縦断面の側面図。
図34】拡張式マンドレルコレット結合装置と使い捨てピペットチップの例示的な各実施形態の間の完成した結合状態を示し、関連する力が示された部分的な、縦断面の側面図。
図35】位置ずれ(不整列)パラメータを定義するための、拡張式マンドレルコレット結合装置と使い捨てピペットチップの例示的な実施形態との間の位置ずれの結合を例示した部分的な、縦断面の側面図。
図36】位置ずれパラメータを定義するために、拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態と使い捨てピペットチップとが位置ずれで結合したものに動作可能に結合されたピペット装置の実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図37】ピペットチップの端部と作用面との間に位置された小さな液体容積を有する使い捨てピペットチップに結合された拡張式マンドレルコレット結合装置に結合された空気置換式ピペット装置の例示的な実施形態の寸法線が例示され特定された、部分的で切断された、縦断面の側面図。
図38】使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の内部の詳細を示した、寸法線が例示され特定された、部分的な、縦断面の側面図。
図39】拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態に動作可能に結合されるピペット装置の例示的な実施形態の、図38の寸法線に対応した寸法線が例示され特定された、部分的な縦断面の側面図。
図40】液体レベル検出(LLD)回路接点からの信号を処理する回路基板を示すピペット装置アセンブリの縦方向の側面図であり、LLD回路接点は、回路基板と、環状ウェッジを介してピペットチップと結合する複数のセグメントまたは要素と接触するスクイズスリーブとの間に接続されており、ピペットチップの遠位端は液体と接触して図示されている。
図41】ピペットチップの中央長手軸に対して実質的に90度の別の密封座面角を含む使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の上に配置される拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図42】ピペットチップが最終的な着座状態に持ち上げられ、環状ウェッジが最終的な結合状態を画定するためにその最終位置に移動し、遠位エラストマー要素が実質的に90度の別の密封着座面角に圧縮され着座した最終的な密封状態を示した、実質的に90度の別の密封座面角を有する使い捨てピペットチップ内に配置される拡張マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図43図42に示したように実質的に90度である別の密封着座面角に対して最終的な圧縮状態である遠位エラストマー要素の部分的な、縦断面の側面の詳細な説明図。
図44】円周状ないし環状で半径方向に凹んだ形態の別の代替えの密封座面を含む使い捨てピペットチップの上側内部の詳細を示す、使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図45図44に例示された円周状ないし環状で半径方向に凹んだ密閉座面の詳細を示した使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の部分的な縦断面の側面の詳細な説明図。
図46】別の円周状ないし環状で半径方向に凹んだ密封座面の詳細を示す使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図47図46に示された、円周状ないし環状で半径方向に突起した(凸状の)密封座面の詳細を示す使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面の詳細な説明図。
図48】円周状ないし環状で上向き歯縁の密封座面の形態であるさらに別の密封座面を示した、使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図49図48に示された円周状ないし環状で上向き歯縁の密封座面の詳細を示した、使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面の詳細な説明図。
図50】例示されたように縦軸に向かって開口し且つV形状の断面を有する使い捨てピペットチップのV形状の内周面により画定される別のV形状の溝を備えた、使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の上に配置された拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図51】ピペットチップがその最終状態まで持ち上げられ、複数の拡張式マンドレルコレットセグメントの丸い面はV形状の溝の中に延びてV形状の円周の内面に当接し、遠位エラストマー要素は最終的に圧縮された状態でピペットチップの密封座面にシールされた状態(密封状態)で着座された状態の、使い捨てピペットチップ内に配置された、別のV形状の溝を有する拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図52図51に示したようにV形状の溝の中に延びV形状の溝を画定するV形状の内周面に当接する、複数の拡張式マンドレルコレットセグメントのうちの1つの丸い面の側面の詳細な説明図。
図53】使い捨てピペットチップの第2の実施形態の上方に位置する拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図54】使い捨てピペットチップの第2の実施形態の内部を詳細に示した、断片的な、縦断面の側面の詳細な説明図。
図55】結合装置の停止ディスク肩面が使い捨てピペットチップの第2の実施形態の軸方向停止面に当接し、複数の拡張式マンドレルコレットセグメントの丸面が使い捨てピペットチップの第2の実施形態の囲繞側壁の内面に向かって延在してこの内面を変形させ、および遠位エラストマー要素が使い捨てピペットチップの第2の例示的な実施形態の密封座面に最終的に圧縮され着座した、密封状態(シール状態)の使い捨てピペットチップの第2の例示的な実施形態内に配置された拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
図56図55に示されたように使い捨てピペットチップの第2の実施形態の囲繞側壁の内面に対して延びて変形する、拡張式マンドレルコレット結合装置の複数の拡張式マンドレルコレットセグメントのうちの1つの丸い面の、断片的な、縦断面の側面の詳細な説明図。
図57】少なくとも図19に示された円周環状のチップ溝に対して代替えの溝形状の実施形態を備えた使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図58】少なくとも図19に示された円周環状のチップ溝に対して代替えの溝形状の実施形態を備えた使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図59】少なくとも図19に示された円周環状のチップ溝に対して代替えの溝形状の実施形態を備えた使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図60】少なくとも図19に示された円周環状のチップ溝に対して代替えの溝形状の実施形態を備えた使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図61】少なくとも図19に示された円周環状のチップ溝に対して代替えの溝形状の実施形態を備えた使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図62】少なくとも図19に示された円周環状のチップ溝に対して代替えの溝形状の実施形態を備えた使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図63】少なくとも図19に示された円周環状のチップ溝に対して代替えの溝形状の実施形態を備えた使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図64】少なくとも図19に示された円周環状のチップ溝に対して代替えの溝形状の実施形態を備えた使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図65】少なくとも図19に示された円周環状のチップ溝に対して代替えの溝形状の実施形態を備えた使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図66】少なくとも図19に示された円周環状のチップ溝に対して代替えの溝形状の実施形態を備えた使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図67】少なくとも図19に示された円周環状のチップ溝に対して代替えの溝形状の実施形態を備えた使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の断片的な、縦断面の側面図。
図68】拡張式マンドレルコレット結合装置の拡張式マンドレルコレットの第2ないし代替の例示的な実施形態の上面および側面の斜視図。
図69】拡張式マンドレルコレット結合装置の拡張式マンドレルコレットの第2ないし代替の例示的な実施形態の縦断面の側面の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を説明する目的で、現在好ましい実施形態が図面に示されている。これらの例示的な実施形態は、添付の図面を参照してより完全に説明される。図面のいくつかの図の説明において同様の参照番号が同様の部品または部分を示すために使用される。
【0021】
拡張式(拡径式)マンドレルコレット結合装置とチップを備えたピペットアセンブリ
【0022】
図1および図2は、ピペット装置20の例示的な実施形態、拡張式マンドレルコレット結合装置(拡張マンドレルコレット結合装置)100つまりピペットチップカプラの例示的な実施形態、および拡張式マンドレルコレット結合装置100を介してピペット装置20に取外し自在に結合される使い捨てピペットチップ220の例示的な実施形態を備えた、ピペット装置アセンブリ(ピペット装置組立体)10の例示的な実施形態を示す。
【0023】
ピペット装置20
【0024】
図2を参照して、ピペット装置20は、モータ28に動作可能に結合ないし接続され且つこれにより駆動されるプランジャ26を備えた吸引および分注(分配)用の装置24を支持する、本体22を有する。プランジャ26は、ピペット装置20の本体22の遠位(遠位側)つまり下側の端32から延びるプランジャシリンダ30内に存在する。
【0025】
ピペット装置20は吸引および分注(分配)用のシリンダ34をさらに備えている、このシリンダは、プランジャ26と軸方向に整列し且つプランジャ26の遠位の下側の位置において少なくとも一部がプランジャシリンダ30内に配置されている。吸引および分注用のシリンダ34は、拡張式マンドレルコレット結合装置100に取り付けるために遠位の取付けフランジ36内に遠位から移行し、この結合装置は次いで使い捨てピペットチップ200に取り外し自在に結合される。
【0026】
図1図3および図15を参照して、吸引および分注用のシリンダ34は内側の囲繞側壁38をさらに備え、この側壁はそれを通って延びる端部が開口した(開口端)ピペットチャネル40を画定する。端部が開口したピペットチャネル40は、吸引および分注用のシリンダ34の開口上端部42と開口下端部44との間でピペット装置アセンブリ10の長手方向チャネル軸80に沿って長手方向に延びて、プランジャ26と遠位の取付フランジ36に隣接する外部領域との間の開放連通を提供し、遠位の取付フランジ36は拡張式マンドレルコレット結合装置100の中央本体部材102に動作可能に接続されており、また拡張式マンドレルコレット結合装置100を介してチップ220と吸引および分注用のシリンダ34との間の開放連通を提供するために中央本体部材102は中央本体部材102を通って延びる端部が開口した(開口端)中央チャネル136を備える。
【0027】
ピストンまたはスクイズスリーブ46
【0028】
図3および図4を参照して、ピペット装置20は、近位(近位側)または上側の端48および遠位(遠位側)または下側の端50を有する中空ピストンつまりスクイズスリーブ46をさらに備える。スクイズスリーブ46は、プランジャシリンダ30と吸引および分注用のシリンダ34の両方を囲み、またスクイズモータ52に動作可能に結合されている。
【0029】
図4に示したように、ピペット装置アセンブリ10のスクイズモータ52は、装置20の本体22上に支持されると共に、リードスクリュー54に動作可能に結合ないし接続されてこれを駆動する。このスクリューは次いで軸方向に並進(並進移動)するリードナット56に結合され、このナットはスクイズリンケージ58に動作可能に結合される。スクイズリンケージ58は、スクイズリンケージアーム60を介してスクイズスリーブ46の近位または上側の端48に動作可能に結合されており、これにより、スクイズモータ52を第1の方向に回転させると、長手方向チャネル軸80(図3)に沿って遠位または垂直下方向にスクイズスリーブ46が直線的に軸方向に並進し、また続いてスクイズモータ52を第2の方向または反対方向へ回転させると、長手方向チャネル軸80(図3)に沿って下方向とは反対の近位または垂直上方向にスクイズスリーブ46が直線的な逆の軸方向並進をする。
【0030】
排出スリーブ62
【0031】
図4を参照して、ピペット装置20は、使い捨てピペットチップ220をピペット装置20から排出するために使用される排出スリーブ62をさらに備えている。排出スリーブ62は、吸引および分注用のシリンダ34(図2)に対して軸方向に移動可能であり、近位または上側の端64、遠位または下側の端66、および排出スリーブアーム68を備えている。排出スリーブアーム68は、第1の端部が上側の端64に隣接して排出スリーブ62に取り付けられ、また反対側の第2の端部がプランジャ装置70の第1の端部に取り付けられる。
【0032】
図5に示したように、プランジャ装置70は、排出スリーブばね74の一端に当接する対向端面72を有し、このばねの反対側の端は装置20の本体22の上面部76に当接する。排出スリーブばね74は面72と面76の間に捕捉されてばね付勢(ばね負荷)され、プランジャ装置70および取り付けられたスリーブ62を正常ピペットチップ排出状態(正常にピペットチップが排出された状態)にバイアスする。
【0033】
正常ピペットチップ排出状態では、例えばピペットチップ220への結合に際して、排出スリーブ62を図2に示した後退状態(引っ込んだ状態)まで軸方向に押すために、排出スリーブのばねの力に打ち勝つための力を必要とする。図2にはさらに、ばね74の形状を保持し且つばね74の座屈を防するために、ばね74が中央ばねガイド部材78を囲んでいることが示されている。
【0034】
さらに、ばね74は、その弛緩の過程でスリーブ62によってピペットチップ220に及ぼされる力が、拡張式マンドレルコレット結合装置100からチップ220を排出するのを補助することができる寸法(大きさ)に構成される。
【0035】
拡張式マンドレルコレット結合装置100および使い捨てピペットチップ220は、ピペット装置の他の実施形態で実施することができ、ピペット装置20の実施形態は、単なる一例であってこれに限定されない。
【0036】
拡張式マンドレルコレット結合装置100
【0037】
図5から図7を参照して、拡張式マンドレルコレット結合装置100は、細長い中央本体部材102、細長い中央本体部材102の遠位または下側の端部に支持された遠位または下側のエラストマー要素(ゴム状弾性体要素)140、細長い中央本体部材102を囲むように構成されると共に分割カラー(分割(セグメント化)されたカラー)200を有する拡張式コレット170、および環状ウェッジ(環状楔体)またはワッシャ210を備える。
【0038】
環状ウェッジ210は、それを通る細長い中央本体部材102の上側部分を受容ないし支持するように構成されており、分割カラー200に隣接する拡張式マンドレルコレット170の内側上部に軸方向に移動自在な状態で置かれており、また分割カラー200は第1の外周(周径)を有する非拡張状態から第2の外周より大きい第2の外周(周径)を有する拡張状態まで環状ウェッジ210の中央本体部材102に対する軸方向の位置に応じて半径方向外向きに拡張し、図21に示した分離(非係合)状態から図29に示したようにピペットチップ220の内側に係合する。
【0039】
細長い中央本体部材102
【0040】
より具体的には、図7図8を参照して、拡張式マンドレルコレット結合装置100は、長手方向中心軸90に沿って近位または上側の環状端面104と遠位または下側の環状端面130との間に延びる、細長い中央本体部材102を備える。
【0041】
図8に示したように、中央本体部材102の上側の環状端面104は外側の面取りされた外縁106を備え、この外縁は細長い管状の上側シャンク部材108に移行し、このシャンク部材は遠位側で環状のテーパ部分110内に移行する。一つの実施形態において、シャンク部材108は、対応するネジ山を有する遠位の取付フランジ36にねじ込まれて組立られる。環状のテーパ部分110は、シャンク部材108から直径が減少し、また遠位側で筒状ネック部112に移行する。筒状ネック部112は遠位側で、筒状ネック部112の直径よりも大きな直径を有する筒状カラー(筒状環)114内に移行する。
【0042】
筒状カラー114には、筒状ネック部112の直径よりも大きな直径を有する下側の筒状の本体部材120が続いている。本体部材120は、筒状カラー114から、下側の筒状の本体部材120の直径よりも大きい直径を有する遠位の筒状ステム部面(筒状脚部面)124の上側環状肩部端または停止面122まで、遠位側に延びている。
【0043】
同じく図8に示したように、筒状ステム部面124は遠位側で上側環状肩部端122から丸い端板126内に移行し、この端板は、上側面128と、遠位または下側の環状端面130によって画定される下側面とを有する。図示のように、端板126はステム部面124の直径よりも大きい直径を有し、遠位のステム部面124は拡張式マンドレルコレット結合装置100の遠位または下側の溝部132を画定する。
【0044】
図8および図15を参照して、細長い中央本体部材102は、上側環状端面104と下側環状端面130との間で長手方向中心軸90に沿って中央本体部材102を通って延びる端部が開口した(開口端)筒状の中央チャネルまたは通路136を画定する、内側筒状チャネル面134を備え、これにより、細長い中央本体部材102を通って、ピペット装置アセンブリ10の長手方向チャネル軸80に沿って長手方向に延びる端部が開口した(開口端)ピペットチャネル40までの、開放通路連通(開放通路による連通)が提供される。
【0045】
遠位のエラストマー要素140
【0046】
図7にさらに示したように、拡張式マンドレルコレット結合装置100は、細長い中央本体部材102の遠位の端部において同軸状に支持された、遠位または下側のエラストマー要素140をさらに備えている。
【0047】
一つの実施形態において、図9を参照して、遠位のエラストマー要素140は環状本体142を有してなる。環状本体142は、中央開口146を画定する内面144、上面148、周辺外面150、および底面152を備える。中央開口146は、拡張式マンドレルコレット結合装置100の遠位の筒状ステム部面124を密接または緊密に囲む寸法(大きさ)であり、また図7に示されたように溝132内に存在すると共に円周状ないし環状で半径方向外方に端板126を越えて延びる形状に作られる。弛緩状態または非スクイズ(押し込まれていない、圧力が掛けられていない)状態では、遠位のエラストマー要素140は、図15に示したように、周方向に連続した略円形の断面積(断面領域)154を備える。
【0048】
スペーサ160
図10を参照して、拡張式マンドレルコレット結合装置100は、細長い中央本体部材102を囲むように構成または一体的に形成された、スペーサ160をさらに備える。図示のように、スペーサ160は、上端164と下端165との間に延びる筒状本体162を備える。筒状本体162は、本体162を通って延びる端部が開口した(開口端)通路168を画定する内側囲繞面166(図15)を備え、通路168は、細長い中央本体部材102の下側の筒状本体部材120に密接または緊密に囲む寸法(大きさ)に作られる。
【0049】
図7図10および図15を参照して、スペーサ160はさらに拡張式マンドレルコレット170に囲まれるように構成されており、スペーサ160の上端164が取付フランジ36の遠位端に当接すると共に下端165が拡張式マンドレルコレット170の環状基部172の内側の環状肩部停止面177に当接し、環状基部172は細長い中央本体部材102の遠位の筒状ステム部124(図8)の遠位の環状肩部停止面122上に置かれる遠位側または下側の環状端部176をさらに備え、拡張式マンドレルコレット170を長手方向中心軸90に沿って中央本体部材102と同軸状に取付けないし固定する。
【0050】
図15および図16を参照し、および上記したように、拡張式マンドレルコレット結合装置100のシャンク部材108は吸引および分注用のシリンダ34の遠位の取付フランジ36内に嵌合するように構成され、拡張式マンドレルコレット結合装置100をピペット装置20に動作可能に結合すると共に拡張式マンドレルコレット結合装置100を介して使い捨てピペットチップ220をピペット装置20に取外し自在に結合し、長手方向のチャネル軸80と中央軸90は一致または共通する長手方向のチャネル軸を形成する。
【0051】
拡張式マンドレルコレット170
【0052】
図7および図11を参照して、拡張式マンドレルコレット170は複数の周方向(円周状)に離間し上方に延びるコレットアーム180を備えており、これらアームは、下側の環状基部172に取付けられた端部184から、下側の環状基部172の軸方向上方に配置された分割カラー(分割(セグメント化)されたカラー)を画定する分割(セグメント化)された自由端200まで上方に移行する。複数の周方向に離間し上方に延びるコレットアーム180は、複数の周方向に離間し上方に延びる溝182の1つによって互いに分離されている。
【0053】
図11および図12に示したように、複数の上方に延びるコレットアーム180はそれぞれ、各上側アーム部190に移行する各下側アーム部186を備える。一つの実施形態において、複数の周方向に離間した下側アーム部186は略筒状に形成された囲繞下側本体部181を形成し、また複数の周方向に離間した上側アーム部190は、下側本体部181から半径方向外方および上方に移行し円錐台状に形成された囲繞上側本体部183を形成する。下側本体部181は、遠位または下側の環状基部172に対して僅かに上方にテーパ状または周径が増すように構成しても良い。
【0054】
基部172
【0055】
図11および図12を参照して、遠位または下側の環状基部172は、遠位または下側を向いたベース面171と、近位または上側を向いたベース面173とを備える。遠位を向いたベース面171は、下側の環状ベース部172の遠位または下側の環状基部端176で終端する、縮められた遠位または下側の端部環状ステム面(端部環状脚面)174内に下向きに移行する。ベース面171と基部172は、図14に示されたように縮められた遠位の端部環状溝178を画定する。
【0056】
図12および図15を参照して、下側の環状基部172は、図15に示したようにスペーサ160が取付けられた内側環状肩部停止面177内に上向きに移行する内側筒状面175をさらに備えている。さらに、内側筒状面175は中央本体部材102の環状肩部停止面122の真上の位置において中央本体部材102の下側の筒状本体部材120に密接に囲む内径を有する寸法(大きさ)であり、環状肩部停止面122は拡張式マンドレルコレット170の下側環状基部端176のための軸方向停止部を画定し、これにより、拡張式マンドレルコレット170は細長い中央本体部材102を中心としてその上および周りに取付けられる。
【0057】
下側アーム部186
【0058】
図11に示したように、下側アーム部186は、周方向に離間し且つ下側環状基部172に取付けられた、遠位または下側の端部184を備える。図12に示したように、下側アーム部186はさらに、内側の環状で凹状の分割(セグメント化)された面または溝191と外側の半径方向外方に延びる環状に分割(セグメント化)された停止ディスク部194とを有する中間アーム部を画定する、上側の端部を備える。
【0059】
図11および図12を参照して、分割された停止ディスク部194は、環状の分割された停止ディスク部を画定する複数の周方向に離間した上方に延びるコレットアーム180の中間アーム部の外側を囲み且つこの外側から半径方向に延びている。
【0060】
図12に示したように、分割された停止ディスク部194の各々は、近位または上方を向いた停止ディスク面198、および遠位または下側を向いた停止ディスク面196を備える。さらに、複数の下側アーム部186は、内側の筒状または内側の分割された面188を備え、この面は細長い中央本体部材102を囲むスペーサ160を密接に囲む内径を備えた寸法(大きさ)である。
【0061】
内側の分割された面188の遠位または下側の端は、上記で詳述したようにスペーサ160のための停止面を提供する内側環状肩部停止面177内に半径方向内向きに移行する。内側の分割された面188の近位または上側の端は、内側の環状凹状の分割された面または溝191内に移行する。
【0062】
上側アーム部190
【0063】
図11および12を参照して、周方向に離間して配置された複数の上側アーム部190は各下側アーム部186から上方および半径方向外方に移行すると共に下側アーム部186から上方および半径方向外方に配置された複数の自由端199内に終端し、複数の自由端199は分割カラー200を画定する半径方向外方に突出するセグメントを有しており、各セグメントは外側の外方を向いた面202を備え、この面は一つの実施形態においてピペットチップの例示的な実施形態の円弧状(弓状)の溝に対応する外向きに丸みを帯びた形状または円弧状(弓状)の形状である。
【0064】
従って、上側アーム部190は分割された停止ディスク194から分割カラー200を画定する複数の半径方向外方に突出したセグメントまで上方および半径方向外方に移行し、分割カラー200は図7に示されたように拡張式マンドレルコレット結合装置100の長手方向中心軸90を囲むように構成される。
【0065】
さらに、複数の周方向に離間し半径方向外方および上方に延びる上側アーム部190は、環状ウェッジ210(図7)の近位に傾斜した環状の側面216と相補的である傾斜し分割された内面を形成する内面192をそれぞれ備えるセグメントを含んでおり、これらはそれぞれZ軸に対して遠位に減少する周径(円周)を備え、また上側アーム部190の内面192は細長い中央本体部材102に対して半径方向外方および上方に延びる円錐形状の隙間204を形成する(図15)。
【0066】
より詳しくは、図15に示したように、複数の周方向に離間した上側アーム部190の上方および半径方向外方に傾斜した内面192は、上側アーム部190の内面192と、取付けフランジ36の下側部分およびスペーサ160の上側部分の組合わせ部との間に、遠位に先細り(テーパ状)の円錐状の隙間204を画定する。テーパ状で円錐状の隙間204は環状ウェッジ210の下側部分を受容するように構成されており、これにより、環状ウェッジ210の環状楔形状または傾斜した外側面216が、分割カラー200を画定する突出したセグメントを支持する複数の自由端199の内面192に当接する。
【0067】
環状ウェッジ210
【0068】
図7図13、および図15を参照して、環状ウェッジ210は、周方向に連続した、略くさび形の断面211を有する弾力的な(弾性のある)くさび形の環状本体を備える。環状ウェッジ210は、本体102を移動可能に囲むように構成された環状ウェッジ210を通って延びる中央環状開口213を画定する、中央内側環状面212を備える。
【0069】
また、環状ウェッジ210は、LLD回路364のLLD回路リング端366との電気接点スイッチを形成するように構成され、および中央内側環状面212から囲繞外側端面215まで半径方向外方に延びる、頂部平坦円形面214を備えている。
【0070】
さらに、環状ウェッジ210は半径方向外方に近位に傾斜した側面216を備える。この側面は底部環状端218から、半径方向外方に延び且つ囲繞外縁面215で終端する環状周縁リップ219の下側まで、半径方向に上方および外方に延びる、したがって、半径方向外方に近位に傾斜した側面216は遠位にテーパ状のくさび形の面216を画定する。
【0071】
図15に例示したように、環状ウェッジ210の中央環状開口213は遠位の取付けフランジ36および細長い管状の上側シャンク部材108の通過を許容する寸法(大きさ)に作られており、これにより、環状ウエッジ210の半径方向外方に近位に傾斜した面216が、複数の半径方向外方に突出したセグメント200の内面192に当接して着座することが可能になり、この結果、環状ウエッジ210が遠位側に軸方向に並進することで、拡張式マンドレルコレット170の半径方向外方に突出するセグメント200の半径方向の突出、および続く環状ウェッジ210の近位側への並進が生じ、拡張式マンドレルコレット170の半径方向外方に突出したセグメント200の半径方向の後退(収縮)が起きる。
【0072】
図15にさらに示したように、拡張式マンドレルコレット結合装置100のシャンク部材108は吸引および分注用のシリンダ34の遠位の取付フランジ36内に嵌合するように構成され、拡張式マンドレルコレット結合装置100をピペット装置アセンブリ10のピペット装置20に動作可能に結合して、長手方向チャネル軸80および長手方向中央軸90は一致または共通の軸線を形成する。
【0073】
拡張式マンドレルコレット170はさらに、スクイズスリーブ46により提供される力の下で環状ウェッジ210が軸方向下方に移動するときに、分割カラー200を、図7に概略的に示した第1の周径(円周)を有する非拡張状態から、図14に概略的に示した第1の周径(円周)よりも大きい第2の周径(円周)を有する拡張状態まで、半径方向外方に拡張するように構成される。
【0074】
スクイズモータの動作
【0075】
図15を参照して、拡張式マンドレルコレット結合装置100は遠位の装着フランジ36内に嵌合するように構成され、環状ウェッジ210の頂部平坦円形面214がスクイズスリーブ46の遠位側の端50に隣接して配置される。
従って、図4および図15を参照して、スクイズモータ52を第1の方向に動作(作動)させることでスクイズスリーブ46の遠位または垂直方向下向きの直線的な軸方向並進が生じ、環状ウェッジ210の頂面214に軸方向に力が加えられ、この結果、遠位にテーパ状のくさび面216が円錐状の隙間204内にさらに軸方向に滑り落ちる(押し込まれる)ようになり、遠位にテーパ状のくさび面216が複数の半径方向外方に突出したセグメント200の内面192に押し付けられ、上方に延びるコレットアーム180のばね張力に抗してセグメント200の外側の半径方向外向きの面202(図11)を半径方向外方に押出し、以下に説明する図29に示されたように使い捨てピペットチップ220の溝246を画定する面244の形態のピペットチップの第1の作用面と接触させる。
【0076】
次に、スクイズモータ52を、第1の方向とは反対の第2の方向に動作(作動)させることで、スクイズスリーブ46の遠位側の端50が図15に示すホーム位置まで戻り、このため環状ウェッジ部材210が軸方向に上に摺動し、その結果、上方に延びるコレットアーム180に蓄積されたポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)が開放ないし放出され、これにより、複数の半径方向外方に突出するセグメント200の外側の半径方向外方に向いた面202が使い捨てピペットチップ220の溝246から後退ないし引っ込む。
【0077】
ピペットチップ220
【0078】
図2および図16に示したように、および上記したように、拡張式マンドレルコレット結合装置100は、使い捨てピペットチップ220とピペット装置アセンブリ10のピペット装置20との間の開放連通状態の結合を提供する。
【0079】
図16から図18を参照して、および一つの実施形態において、使い捨てピペットチップ220は、中央長手軸224を有する細長い管状ピペットチップ本体222を備える。ピペットチップ本体222は、近位または上側の環状端面228と、遠位または下側の環状端面230との間で、中央長手軸224に沿って長手方向に延びる、細長い囲繞側壁226を備え、環状端面228および環状端面230は、囲繞する(周囲を取り囲む)開口した近位の環状端232および遠位の環状端234をそれぞれ画定する。細長い囲繞側壁226は、開口した上側の環状端232と開口した下側の環状端234との間でピペットチップ本体222の中央長手軸224に沿って長手方向に延びるピペットチップ通路開口238を画定する、内面236を備える。
【0080】
したがって、結合装置100がピペット装置20とピペットチップ220との間に結合されているときに、ピペットチップ通路開口238は、開口した遠位の環状端234の外側の領域から(図18)ピペットチップ220を通ってピペット装置チャネル40(図15)まで、拡張式マンドレルコレット結合装置100の中央チャネル136を介して(図16)、開放連通を提供する。この継手構成において、ピペットチップ本体222の中央長手方向軸224は、ピペット装置20の長手方向チャネル軸80と同じの広がりを持つ(同一の領域を占める)。
【0081】
第1内面セクション
【0082】
図18を参照して、および一つの例示的な実施形態において、細長い囲繞側壁226の内面236は最上部の環状の面取りされた内面(環状面取り内面)240を備え、この内面は、ピペットチップ220の近位の環状端面228から遠位側に半径方向内方に延び且つ第1の直径を有する第1の実質的に筒状の内面セクション242内に移行することで終結する。
【0083】
溝を画定する軸方向に円弧状(弓状)の円周面
【0084】
図18に示したように、および1つの例示的な実施形態において、第1の実質的に筒状の内面セクション242は、円周環状溝246を画定する細長い囲繞側壁226内に形成された軸方向に円弧状(弓形)の円周内面(内周面)244を備える。環状溝246は、第1の実質的に筒状の内面セクション242を、上側の第1の実質的に筒状の内面部分と、実質的に等しい直径である下側の第1の実質的に筒状の内面部分とに分割する。従って、環状溝246は、長手方向断面が円弧状面である、第1の実質的に筒状の内面セクション242の円周状ないし環状で半径方向外方に延びる凹んだ形状の内面中断部を提供する。円弧状の内周内面244も、以下に説明するように、別の断面で構成される。また、一つの実施形態において、第1の実質的に筒状の内面セクション242は、円周環状溝246を画定する円弧状の円周内面(内周面)244を欠いている。
【0085】
図18および19を参照して、環状溝246を画定する軸方向に円弧状の円周内面(内周面)244は、軸方向に円弧状の円周内面(内周面)244の上側の軸方向に円弧状の円周面セクタ部250内に遠位側に移行する、上側の環状移行端248を備えている。上側の軸方向に円弧状の円周面セクタ部250は、続いて、軸方向に円弧状の円周面244の下側の軸方向に円弧状の円周面セクタ部252内に遠位側に移行する。次に、下側の軸方向に円弧状の円周面セクタ部252は下側の環状移行端254で終端する。
【0086】
上側の軸方向に円弧状の円周面セクタ部または上側部250は、ピペットチップ220の中央長手軸224(図17)に対する半径として、上側の環状移行端248から環状溝246の最大半径まで増加する半径を、環状溝246に提供し、中央長手軸224は環状溝246の周方向環状中心を画定する。下側の軸方向に円弧状の円周面セクタ部または下側部252は、ピペットチップ220の中央長手軸224に対する半径として、環状溝246の周方向環状中心を画定する最大半径から下側の環状移行端254まで減少する半径を、環状溝246に提供する。
【0087】
第2の内面セクションおよび環状肩停止面
【0088】
図18に例示したように、第1および第2の実質的に筒状の内面セクション242、262の間に置かれた、近位に面した半径方向内方に延びる環状肩部座面または軸方向停止面260を形成するために、第1の実質的に筒状の内面セクション242の軸方向に遠位側には、第1の実質的に筒状の内面セクション242の第1の直径より小さい第2の直径を有する第2の実質的に筒状の内面セクション262がある。
【0089】
1つの例示的な実施形態において、近位に面する軸方向停止面260は、実質的に平坦ないし平面であり、また図17に示したようにピペットチップ本体222の中央長手軸224に対してほぼ垂直である。
【0090】
第3の内面セクションおよび密封座部(シーリングシート)
【0091】
図18および19に同様に示したように、第2の実質的に筒状の内面セクション262の軸方向に遠位側には、セクション262の第2の直径より小さい第3の直径を有する第3の実質的に筒状の内面セクション272がある。
【0092】
第2のセクション262と第3のセクション272との間には、円周状ないし環状で半径方向内方に傾斜し且つ遠位に延びる遠位の作用面270を画定する円錐台形で環状の密封座面(シール用座面)または停止面270が介在する。円錐台形で環状の密封座面270は、第2の実質的に筒状の内面セクション262と円錐台形で環状の密封座面270との間の環状境界を画定する上側の環状密封座端266を備える。さらに、円錐台形環状密封座面270は、円錐台形で環状の密封座面270と第3の内面セクション272との間の環状境界を画定する下側の環状密封座部端268を備え、上側の環状密封座端266の直径は、下側の環状密封座端268の直径よりも大きい。
【0093】
したがって、円錐台形で環状の密封座面270は、第2の実質的に筒状の内面セクション262と第3の実質的に筒状の内面セクション272との間に介在された、円周状ないし環状で半径方向内方に傾斜し且つ遠位に延びる第2の作用面または密封座面270を画定する。
【0094】
例示したように、密封座面270は中央長手軸224に対して鋭角に配置され、この鋭角は中央長手軸224に対する鋭角な密封座面の角度を画定する(図17)。一つの実施形態において、中央長手軸224に対する好適な鋭角な密封座面の角度は約15度から約35度であり、好ましい角度は約25度である。図41に示したように、中央長手軸224に対する別の密封座面2270の鋭角の密封座面の角度は約90度である。
【0095】
下側内面部
【0096】
図18にはさらに、第3の実質的に筒状の内面セクション272に続いて第4の内面セクション274があり、これには第5の内面セクション275が遠位側に続いていることが示されている。
【0097】
一つの例示的な実施形態において、第4の内面セクション274は、第3の実質的に筒状の内面セクション272の遠位の環状端276から第5の内面セクション275の近位の環状端278まで、直径が遠位側にテーパ状(先細り)または減少する。一方、第5の内面セクション275は、第5の内面セクション275の近位の環状端278から、液浸の対象となるピペットチップ220の開口した遠位の環状端234まで、直径が遠位側にテーパ状または減少する。さらに、一つの例示的な実施形態例では、第5の内面セクション275は、第4の内面セクション274より大きなテーパ状を有する(先細りの程度が大きい)。
【0098】
外側長手方向リブ
【0099】
図17を参照して、ピペットチップ220の一つの例示的な実施形態は複数の周方向ないし円周状に離間され長手方向に延びる外側リブ280を備えており、これらリブは、近位の環状端面228の周囲に隣接する管状のピペットチップ本体222上に配置されると共に、そこから、図18に示したように第3の実質的に筒状の内面セクション272に隣接する囲繞側壁226の外部領域まで、長手方向に外側に延びる。
【0100】
一つの例示的な実施形態において、
複数の周方向に離間し長手方向に延びる外側リブ280は、ピペット本体222が例えば支持面隙間開口284を介して通過する支持面282の上または内側において、ピペット本体222を支持するために利用することができる。支持面282の一つの例示的な実施形態は、これに限定されないが、当該技術分野において公知のチップラック(ピペットチップ用ラック)の形状のラボウェアの形態でもよく、本実施形態でもこれが用いられる。
【0101】
自動分注ワークステーションまたはシステム
【0102】
図5および図20を参照して、および1つの使用および動作例において、1つ以上のピペット装置アセンブリ10は、自動分注(自動ピペッティング)ワークステーションまたはシステム300に採用される。このシステムは、これに限定されないが、一般的には、容器間での液体のプログラムされた移送(所定の手順での移送)を提供するものであり、例えば、容器間での液体のプログラムされた移送を実行するための、ピペット装置20によって動作可能に支持される拡張式マンドレルコレット結合装置100に1つ以上の使い捨てピペットチップ220を取付けおよび排出するプロセスを有してなる。
【0103】
一つの例示的な実施形態において、自動分注ワークステーション300は、一般的に、水平に配置されたワークステーションデッキ304の垂直上方に少なくとも1つのピペット装置アセンブリ10を保持する、ロボットガントリー(直交ロボット)302を備える。ピペット装置アセンブリ10は、単チャネルのピペットヘッド(分注ヘッド)またはマルチチャネルのピペットヘッドを備えることができる。
【0104】
また、ロボットガントリー302は典型的には2つまたは3つの自由度を提供し、3つの自由度は、X軸を規定する軸に沿った縦(経度)方向の並進、Y軸を規定する軸に沿った横(緯度)方向の並進、およびZ軸を規定する軸に沿った垂直(上下)方向の並進からなり、これによりピペット装置アセンブリ10は上記デッキの長さ(X軸)及び幅(Y軸)に沿って、およびこれらに対して上下(Z軸)に移動することができる。2つの自由度を持つことで、ロボットガントリーは、典型的には、ピペット装置アセンブリ10を上下方向、および縦方向と横方向のいずれかに並進する機能を備える。
【0105】
一つの例示的な実施形態では、自動分注ワークステーション300は、主制御装置(メインコントローラ)306、ピペット軸制御装置308、および主制御装置306とピペット軸制御装置308とピペット装置アセンブリ10とに電力を供給する電源310をさらに備える。
【0106】
さらに、および1つの例示的な実施形態において、以下に詳述する使い捨てピペットチップ220の取付けおよび排出(結合および分離)プロセスのようなピペット装置アセンブリ10の関連プロセスプロトコルを含むロボットガントリー302およびピペット装置アセンブリ10の制御のために、コンピュータ/コントローラ320をワークステーション300と共に使用し、またメインコントローラ306やピペット軸コントローラ308と通信させることもできる。
【0107】
一つの例示的な実施形態において、コンピュータ/コントローラ320は、典型的には、プロセッサデバイスまたは中央処理装置(CPU)322、ハードウェア読み出し専用メモリデバイス(ROM)324、ハードウェアメインメモリデバイス(RAM)326、オペレーティングシステム332やピペット装置アセンブリ10用として保存されたユーザ定義プロセス336のようなソフトウェア334を有する非一時的コンピュータ可読媒体またはメモリ330を有してなるハードウェア記憶装置328、ユーザディスプレイ338、ユーザ入力装置340、入力インタフェース342、出力インタフェース344、通信インタフェース装置346、およびコンピュータ/コントローラ320のデバイス間の通信を可能にする1つ以上の導体または通信経路を備えるシステムバス348を備えている。コンピュータ/コントローラ320は、LANおよび/またはサーバ350に動作可能に接続しても良い。電源352は、コンピュータ/コントローラ320に電力を供給する。
【0108】
ソフトウェアを含む上記で記述した自動分注ワークステーション300の例は、現在、アメリカ合衆国、ネバダ州 89502、Reno、Energy Way 4970にある本特許出願の譲受人であるHamilton Companyによって製造され、販売されている。
【0109】
拡張式マンドレルコレット結合装置へのピペットチップのピックアッププロセス
【0110】
図21から31は、ピペットチップのピックアッププロセスの連続的な段階の例示的な実施形態の詳細を示しており、特に、ピペット装置20によって動作可能に支持された拡張式マンドレルコレット結合装置100へのピペットチップ220の固定取付けを行う方法を示したものである。上述したように、および1つの例示的な実施形態例において、ピペットチップ220は支持面282によって支持されてもよい。
【0111】
図21に示したように、拡張式マンドレルコレット結合装置100はピペット装置20に接続されており、コマンド(命令、指令)に応じて、結合装置100は、ピペットチップ220の開口した近位の端232の上方に配置され、それらの中央長手軸はそれぞれZ軸に沿って整列される。排出スリーブ62はイジェクト位置(排出位置)にあり、スクイズスリーブ46は非スクイズ位置にあり、拡張式マンドレルコレット170は弛緩状態にあり、および遠位のOリング140は非スクイズ状態にある。
【0112】
次に、図22は拡大マンドレルコレット結合装置100がZ軸に沿ってピペットチップ220内に下降する状態を示しており、結合装置100の遠位のエラストマー支持部を下げ、ピペットチップ220の内側の筒状の近位の端部内を通過させ、遠位のOリング140をチップ220の環状シーリング座部または停止面270と接触させる一方、ピペットチップ220の上向きの環状の肩座部または停止面260と停止ディスク194の下向きの軸方向の停止ディスク面196とが係合ないし接合する前は遠位のOリング140は非スクイズ状態ないし非圧縮状態に維持される。
【0113】
次に、図23は、結合装置100がさらにZ軸に沿って下方に移動した様子を示す。そして、図23から図25を参照して、スクイズスリーブ46はZ軸に沿って下方に移動してLLD回路リング端366を押し、このリング端(リング状端部)は拡張式マンドレルコレット170の上に載った環状ウェッジ210の頂面214に接触してこれを押し、一方、ピペットチップ220の停止面260と停止ディスク194の軸方向の停止肩面196とが嵌合ないし接合する前では、複数の半径方向外方に突出したセグメント200が図24に詳細に示したように非拡張状態に維持され、図25に詳細に示したように遠位のOリング140が非圧縮状態に維持され、これにより、図23に詳細に示したようにピペットチップ220の停止面260と、膨張式マンドレルコレット170の停止ディスク194の軸方向停止肩面196との間に隙間298が維持される。
【0114】
次に、図26はスクイズスリーブ46がZ軸に沿ってさらに下方に移動した状態を示したものであり、環状ウェッジ210を複数の半径方向外方に突出したセグメント200の内面192に対して押し、これらセグメントを半径方向外方に押し出し、図27に詳しく示したように複数の半径方向外方に突出したセグメント200の外側の半径方向外向きの丸い面202を使い捨てピペットチップ220の溝246の上側の軸方向に円弧状の円周面セクタ部250に当接させて、複数の半径方向外方に突出したセグメント200を溝246内に押し込みまたは押しつけるプロセスを開始し、および最初は溝246を画定する軸方向に円弧状の円周内面(内周面)244の上側の軸方向に円弧状の円周面セクタ部250に当接させる。図26に示したように、また図27に詳しく示したように、複数の半径方向外側に突出したセグメント200が溝246内に延びるまたは突出する動きによって軸方向上向きの力が発生し、これがピペットチップ220を引き上げるプロセスを開始させ、ピペットチップ220の環状肩部座面260を停止ディスク194の軸方向の停止肩面196に着座させ隙間298(図23)を閉じるプロセスが開始されて、図28に詳しく示したようにチップ220の密封座部または停止面270で遠位のOリング140が圧縮される。
【0115】
図29は、スクイズスリーブ46が、それが所定の位置にロック(固定ないし係止)されるまでZ軸に沿って設定された所定の長さだけ下方に移動することで、環状ウェッジ210がスクイズスリーブ46によって停止され所定位置にロックされたことを示す。
【0116】
この結果、複数の半径方向外方に突出したセグメント200は図30に例示されるように半径方向に所望の距離または値まで拡張され、拡張式マンドレルコレット結合装置100の軸方向停止肩面196がピペットチップ220の環状肩部座面260に完全に着座し、2つの面196、260の着座はZ軸に実質的に垂直なX軸に沿っており、これら2つの軸の間に垂直なデータムが形成される。
【0117】
同時に、遠位のOリング140をチップ220の環状シーリング座面270に着座させるために、遠位のOリング140は図31に例示されるように所望の距離または値まで圧縮されてその断面が最終的に圧縮された非円形の形態になり、これにより、ピペット装置20によって動作可能に支持された拡張式マンドレルコレット結合装置100へのピペットチップ220の固定取付けによる結合が完了する。
【0118】
上記で詳述した固定取付けプロセスの完了後、複数の半径方向外方に突出したセグメント200と遠位のエラストマー要素140とが組み合わされて機能する、流体密封(流体密封シール)を提供するセグメントおよび密封結合が生成され、複数の半径方向外方に突出したセグメント200は少なくとも一部が周方向の溝246内に収容されると共に少なくとも一部が周方向の溝246を画定する円周状で円弧状の内面244(図18)上に着座し、および遠位のエラストマー要素140はピペットチップ220の面270を密封ないしシールし、一つの実施形態において面270は半径方向内方に傾斜し且つ遠位側または下方に延びる面を提供する。
【0119】
したがって、複数の半径方向外方に突出したセグメント200は、半径方向外方に移動して周方向の溝246(図18)と係合しチップ220と結合すると共に、環状ウェッジ210の移動に応じてチップ220を離脱(取り外し)ないし解放するために半径方向内方に移動する。環状ウェッジ210を軸方向下方に動かすための力を加えることで複数の半径方向外方に突出したセグメント200が半径方向外方の位置に押され(付勢され)、また環状ウェッジ210上の力を解放することで複数の半径方向外方に突出したセグメント200を支持する片持ちアーム180(図11)からのエネルギーの放出がなされ、この結果、セグメントが半径方向外方の位置から半径方向内方の位置まで跳ね返る。
【0120】
使い捨てピペットチップ排出プロセス
【0121】
図21から図31は、逆に、ピペット装置20によって動作可能に支持された拡張式マンドレルコレット結合装置100からピペットチップ220を排出する例示的な方法またはプロセスの連続的な段階を詳細に示したものである。このチップ排出プロセスシーケンスは、逆である以外は、取り付けまたはチップのピックアップ固定プロセスシーケンスに類似しており、また図34は、排出プロセスの間にチップ220を取り外すのを助ける力を提供する圧縮された遠位のOリング140における遠位のOリング軸方向力成分を示したものである。
【0122】
一つの例示的な実施形態において、排出プロセスは次のステップを有してなる。
(1) チップを、廃棄物容器(コンテナ)のような、それが処分される(捨てられる)場所に位置決めする。
(2) スクイズスリーブ46を上方に移動する。すると、環状ウェッジ210からの力が解放され、この結果、この力が複数の半径方向外方に突出したセグメント200からも同様に解放されてチップ220内の溝246からの後退が可能となり、遠位のOリング140は貯蔵された弾性ポテンシャルエネルギーまたはばねエネルギーをチップ220に対する力として放出し始め、およびばね付勢された排出スリーブ62がチップ220を同様に押してそれを押し出し、この結果、チップは複数の半径方向外方に突出したセグメント200から離脱ないし解放され始める。
(3) スクイズスリーブ46の上方への移動を継続する。すると、複数の半径方向外方に突出したセグメント200はチップ220内の溝246からの後退を続け、および遠位のOリング140およびばね付勢された排出スリーブ62がチップ220を押してそれを押し出し、チップ220は半径方向外方に突出した複数のセグメント200から離脱ないし解放され続ける。および
(4) スクイズスリーブ46をその最上部位置へ移動させることをさらに続ける。すると、複数の半径方向外方に突出したセグメント200は、それらの元の引込んだ自由状態に戻り、チップ220内の溝246から完全に外れ、遠位のOリング140は元の形状に戻り、ばね付勢された排出スリーブ62がチップ220を押す。これは、ばね付勢された排出スリーブ62によってチップがカプラ100から押し出され、ばね付勢された排出スリーブ62が完全に広がる(拡張する)まで続けられる。
【0123】
上記を参照して、このようなチップ取り付けおよび排出プロセスは、広範囲な機械的および/または自動的に駆動されるピペット形式およびデザインのものに適用可能であることは当業者であれば理解できる。
【0124】
結合力および排出力
【0125】
図32は、拡張式マンドレルコレット結合装置100の複数の半径方向外方に突出したセグメント200の図式的なベクトル図を例示したものであり、これらセグメントは当初は(初期状態では)溝246内に延びて(広がって)おり、複数の半径方向外方に突出したセグメント200の半径方向に丸い面202は、セグメントの半径の中心より上方のチップ溝の上側角に接触し、これによりピペットチップ220を上方に引っ張る軸方向上向きの力が生じる。図32に示したように、複数の半径方向外方に突出したセグメント200の各々に対するセグメント力(Fsegment_resultant)は、軸方向力(Fsegment_axial)成分と半径方向力(Fsegment_radial)成分の2つの成分からなる。
【0126】
複数の半径方向外方に突出したセグメント200がセグメント半径(図33の寸法Z)の中心の上方にあるチップ溝の上側角に接触している限り、Fsegment_axialは、セグメント半径の中心と溝の角との間の距離が増加するにつれて増大する。従って、チップのピックアッププロセスの開始時にはセグメントの軸方向力(Fsegment_axial)は、図32に例示し、および図33に詳しく示したように、小さく始まり、また図34に示したようにチッププロセスの終わりにはその最大値まで増大する。
【0127】
図33を参照して、Z/Rの比はSIN(ω)と等しく、またSIN(ω)は(Fsegment_axial)/(Fsegment_resultant)に等しい。この結果、(Fsegment_axial)は(Fsegment_resultant)にZ/Rの比を掛けたものに等しい。これから、結果として、(Fsegment_axial)はZが増加するにつれて増大する。
【0128】
図34を参照して、セグメントの軸方向力(Fsegment_axial)は停止ディスク194をチップ220のシート(座部)260に着座させると共にOリングの軸方向力(Fdistal_ring_axial)に打ち勝ち且つ遠位のOリング140を圧縮するのに必要な力を提供する。Oリング140は圧縮された結果生じるOリング力(Fdistal_ring_resultant)を有し、このOリング力は、軸方向成分(Fdistal_ring_axial)と半径方向成分(Fdistal_ring_radial)の2つの成分を有する。また、セグメントの半径方向力(Fsegment_radial)はセグメントをチップ溝246(図18)内にロックするために必要な半径方向の力を提供し、また遠位のOリングの半径方向の力成分(Fdistal_ring_radial)は、チップに対して密封(シール)を維持するために必要な半径方向の力を提供する。さらに、セグメントが溝に入るときにFsegment_axialを増加させる(寸法Zを増加させる)チップ溝に対するセグメントの形状は、Oリングの軸方向力(Fdistal_ring_axial)に打ち勝つのに役立ち、この結果、遠位のOリング140を所望の程度まで完全に圧縮できる。さらに、遠位のOリングの軸方向の力成分(Fdistal_ring_axial)は、排出プロセス中にチップ220を取り外すのを助ける力を提供する。
【0129】
位置合わせ、整列(アライメント)/位置ずれ(ミスアライメント)
【0130】
カプラ100の軸方向の肩面196およびチップ220の軸方向の肩部座面260は、正しいチップ位置合わせのために重要である。したがって、カプラ100およびチップ220は、複数の半径方向外方に突出したセグメント200が軸方向の肩面196と軸方向の肩部座面260を一緒に押して、位置ずれを排除ないし防止するように構成される。これら肩部と肩面が適切に嵌合ないし噛み合わない場合、特にそれらが傾いている場合には、位置ずれ誤差(E)が大きくなる可能性があるからである。
【0131】
例えば、図35および図36に示したように、位置ずれ角(θ)、チップの軸方向距離(D)、および位置誤差(E)の間の関係は、E=D×TAN(θ)である。例えば、位置ずれ角(θ)が2度でチップの軸方向距離が90ミリメートルの場合、位置誤差(E)は3.14ミリメートルとなる。これは、典型的な位置誤差の公差が典型的にはプラスまたはマイナス0.5ミリメートルであることを考慮すると、非常に大きいと考えられる。
【0132】
図37は軸方向の肩面196と軸方向の肩座部260とが同一平面(同じ高さ)で互いに接触した正しいチップ位置合わせがされた状態を示しており、正しい位置合わせが提供されると共に、チップの座部260から遠位の端230までのチップの軸方向距離Dが一定に維持され、垂直方向または軸方向の軸Zおよび縦方向の軸Xに沿ったピペットチップの端230の既知で制御された距離が確立される。これは、ピペット装置が小穴や少量の液体を対象とすることを可能にするために重要である。さらに、ピペットチップの距離が既知で固定であるのでより少量の液体を移送することができ、液体292をそこに移送しまたはそこから液体を移送する作用面290にピペットチップ/液体を制御して接触させることができる。
【0133】
寸法および関連性
【0134】
したがって、適切な使用および操作のために、カプラ100とチップ220との間の寸法は結果的に関連する。
【0135】
図15図38、および図39を参照して、チップの溝の直径Aは、セグメント200がチップ220を引き上げ、およびチップ220を正しい場所に適切に固定するのに十分な大きさでなければならない。逆に、これが大きすぎる場合、セグメント200を適正にロックするために十分に押し込めない場合がある。さらに、内径BおよびCはそれぞれ、停止ディスク194の外径Kおよび環状基部172の外径Lよりも大きくなければならない。しかしながら、これらは大きすぎてもいけない。密着性が低下しおよび/または位置ずれが生じる可能性があるためである。
【0136】
図38および図39を参照して、チップの座部から溝までの寸法Sは、停止ディスク座面196からセグメント200までの中央寸法Mと一致しなければならない。この関係は、チップ220と停止ディスク194との間の結合にとって重要である。
【0137】
図19図38、および図39を参照して、図19においてチップの座面260のOリングのシールランド(密封座面)266までの寸法、つまり図38における寸法Fは、停止ディスク面196の遠位を向いた垂直リップ面171までの、図39における寸法Nと一致する必要がある。これらの寸法は、遠位のOリング140が圧縮される量を制御し、したがってそれがいかに良好にシールするか(Oリングによる密封の度合)を制御する。チップの面260と停止ディスク着座/結合面196とは、適切な整列を提供し且つチップの軸方向距離Dを維持するために、完全に嵌合ないし接合されなければならない。
【0138】
図37から図39を参照して、結合する座部同士の嵌合ないし接合に加えて、チップの座部260から遠位の端230までの間の寸法D(つまり軸方向距離)によって、ピペットチップ端の距離が既知で制御されたものとなる。これは、ピペット装置が小穴や少量液体を対象にすることを可能にするために重要である。さらに、ピペットチップの固定距離が既知であるので、より少量の液体を移送することができ、液体がそこに移送されまたは液体がそこから移送される作用面にピペットチップ/液体を制御して接触させることができる。
【0139】
図15図38、および図39を参照して、遠位のOリング140が密閉するための座部またはランドを形成するために、チップの内部直径Gは、基部172の直径Lよりも小さくなければならない。直径Gが大きすぎる場合、遠位のOリングが良好に密閉できないことがある。直径が小さすぎる場合、遠位のOリング140が完全に(十分に)圧縮されず、停止ディスク194が着座するのが妨げられる可能性があり、あるいは遠位のOリング140を傷つける場合がある。さらに、傾斜部の長さHは、直径Gと共に、Oリング140と接合する座部またはランドを制御する。これらの寸法は、良好なOリングによる密封を提供する上で重要である。傾斜部の長さHが長すぎると、Oリングがうまく密封できないことがある。Hが短すぎると、Oリングが完全に圧縮されず、停止ディスク194が着座するのを妨げられるか、またはOリング140が傷つけられる可能性がある。
【0140】
液体レベル検出(LLD)回路接点
【0141】
図40を参照して、および一つの例示的な実施形態において、ピペット装置アセンブリ10は液体レベル検知回路アセンブリをさらに有してなる。液体レベル検知回路アセンブリはLLD(液体レベル検知)回路基板360を備えており、この回路基板は、電気的に非導体の材料で作られてアセンブリの他部材から絶縁されたスクイズスリーブ46に動作可能に結合されたLLD回路接点364に電気的に接続された処理回路362を有してなり、接点364はスクイズスリーブ46の底部領域に嵌め込まれた(設けられた)回路接点リング端366に終端しており、スクイズスリーブ46は図22に示す非接触状態と図29に示す接触状態との間で回路接点リング端366を環状ウェッジ210に選択的に接触させるように構成され、このためチップ220の内側の第1の作用面と結合される複数の導電性セグメントまたは要素と接触する。
【0142】
図29に例示したように、LLD回路接点364は、スクイズスリーブ46と環状ウェッジ210との間に捕捉されたリング端366を備え、LLD回路基板360の処理回路362(図40)と導電性材料で作られた環状ウェッジ210との間で電気的閉鎖または接触が行われる。環状ウェッジ210は、導電性で非柔軟な材料で作られた複数の半径方向外方に突出したセグメント200を押して電気的に接触させる。
【0143】
従って、チップが取付けられ且つ複数の半径方向外方に突出したセグメント200がチップ220の溝246内にスクイズまたは押されてロックされた状態では、複数の半径方向外方に突出したセグメント200は、同様に導電性材料で作られたチップ220と電気的に接触する。この結果、および図40を参照して、LLD回路基板360の処理回路362とチップ220との間の回路が完成する。
【0144】
また、停止ディスク取り付けポストまたは遠位の取り付けフランジ36は非導電性材料で作られる。このため、本体部材102および複数の半径方向外方に突出したセグメント200は、アセンブリの他の部材から絶縁される。
【0145】
さらに、LLD回路基板360の処理回路362は、チップ220が液体に接触するときの信号変化を検出し、それによって、液体が移送される面つまり液体がその上を移送されるかまたはそこから液体が移送される面を検出する能力を有する。つまり、結合装置100がチップ220に取付けられ、および複数の半径方向外方に突出したセグメント200が半径方向に円周状に押し込まれチップ220のチップ溝内にロックされる際に、作動する。
【0146】
別例(代替例)の実施形態
【0147】
図41は、使い捨てピペットチップ220の例示的な実施形態の上方に配置される拡張式マンドレルコレット結合装置100の例示的な実施形態を示したもので、ピペットチップ220の中央長手方向Z軸に対して実質的に90度の角度を有する別例(代替例)の密閉座面(シール座面)2270を備えている。
【0148】
図42は、別例(代替例)の密封座面2270を含む使い捨てピペットチップ内に位置する拡張式マンドレルコレット結合装置100の例示的な実施形態を示したもので、チップ220は最終着座状態までに持ち上げられ、および環状ウェッジ210がその最終位置まで移動しており、遠位のエラストマー要素140が最終的に圧縮され別例(代替例)の密封座面2270に対して密封されて着座した状態である最終的な結合状態が画定される。
【0149】
図43は、別例(代替例)の密封座面2270に対する遠位のエラストマー要素140の最終的な圧縮状態を詳述したものである。
【0150】
図44は、円周状ないし環状で半径方向に凹状ないし凹んだ密封座面3270の形態の他の別例(代替例)の密封座面を含む、使い捨てピペットチップ220の上部内側を示したものである。図45は、図44に示された円周状ないし環状で半径方向に凹状ないし凹んだ密封座面3270を詳述したものである。
【0151】
図46は、使い捨てピペットチップ220の例示的な実施形態を示し、円周状ないし環状で半径方向に凸状ないし突出した密封座面4270の形態の別の密封座面の詳細を示す。図47は、図46に示された円周状ないし環状で半径方向に凸状ないし突出した密封座面420を詳述したものである。
【0152】
図48は、使い捨てピペットチップ220の例示的な実施形態を示しており、円周状ないし環状で上向き歯端状の密封座面5270の形態である、さらに別の密封座面を示す。図49は、図48に示されている円周状ないし環状で上向き歯端の形態の密封座面を詳述する。
【0153】
図50は、例示したように、長手方向のZ軸に向かって開口し且つV形状の断面を有する使い捨てピペットチップ220の、V形状の円周内面(内周面)2244によって画定される別例(代替例)のV形状の溝2246を備えた使い捨てピペットチップ220の例示的な実施形態の上方に配置される、拡張式マンドレルコレット結合装置100の例示的な実施形態の部分的な縦断面の側面図である。
【0154】
図51は、別例(代替例)のV形状溝2246(図50)を備えた使い捨てピペットチップ220内に位置する拡張式マンドレルコレット結合装置100を示したものであり、チップ220が最終状態まで持ち上げられ、複数の拡張式マンドレルコレットセグメント200の丸い面202がV形状の溝2246内に延在し且つV形状の円周内面(内周面)に当接し、遠位のエラストマー要素140が最終的に圧縮されてチップの密封座面270に着座した状態にある。
【0155】
図52は、複数の拡張式マンドレルコレットセグメント200のうちの1つの丸い面202が、V字形の溝2246内に延在し且つV字形の溝2246を画定するV字形の円周内面(内周面)2244に当接した状態を示す。
【0156】
図53は、円周環状溝246を画定する円弧状の円周内面(内周面)244を有していない使い捨てピペットチップ1220の第2の例示的な実施形態の上方に配置される、拡張式マンドレルコレット結合装置の例示的な実施形態を示したものである。
【0157】
図54は、第2の例示的な実施形態の使い捨てピペットチップ1220の内部を詳細に示したものであり、図18に示す第1の実質的に筒状の内面セクション242の中断された内面セクション242が中断(切れ目)のないものである点を除いて全ての部分において類似しており、これにより使い捨てピペットチップ1220の中断(切れ目)がない内面部分1242が画定され、内面セクション1242が第1の作用面を画定する。
【0158】
図55は、第2の例示的な実施形態の使い捨てピペットチップ1220内に位置する拡張式マンドレルコレット結合装置100の例示的な実施形態を示したものであり、結合装置100の停止ディスク肩面196が使い捨てピペットチップ1220の第2の例示的な実施形態の軸方向停止面260に当接し且つ複数の拡張式マンドレルコレットセグメント200の丸い面202が使い捨てピペットチップ1220の第2の例示的な実施形態の囲繞側壁の内面1242まで延びて当たり、これにより内面1242の変形1244が生じ、使い捨てピペットチップ1220の第2の例示的な実施形態の密封座面270に対して遠位のエラストマー要素140が最終的に圧縮され着座し密封した状態となる。
【0159】
図56は、拡張式マンドレルコレット結合装置100の複数の拡張式マンドレルコレットセグメント200のうちの1つの丸い表面202が図55に示した使い捨てピペットチップの第2の例示的な実施形態の囲繞側壁の内面1242まで延びて当たり変形1244を生じさせた状態を詳述する。
【0160】
図57から図67は、少なくとも図19に示したセグメント200の円周状で環状のチップ溝、および少なくとも図50に示したV字状の溝のセグメント200に対する別例(代替例)の溝形状の実施形態を備えた、使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の部分的な縦断面の側面図である。
【0161】
特に、図57から図67は、セグメント200を受容するための個々の別例(代替例)の溝形状2251から2261を示す。
【0162】
別例(代替例)の例示的な実施形態のコレット2170
【0163】
図68は、拡張式マンドレルコレット2170の第2または別例(代替)の例示的な実施形態を示しており、これは拡張式マンドレルコレット結合装置100(図5)の拡張式マンドレルコレット170(図5)に対する直接の代替物として構成されたものである。拡張式マンドレルコレット2170は、コレット170と機能は類似しているが、性能および寿命を改善する構成となっている。
【0164】
図68および図69を参照して、膨張マンドレルコレット2170は、複数の周方向に離間した上方に延びるコレットアーム2180を備えており、これは下側の環状基部2172から半径方向外方に延びると共に上方に円弧状に移行し、自由な分割された 端2200で終端して下側の環状基部2172の軸方向上方に配置された分割カラーを画定する。複数の周方向に離間した上方に延びるコレットアーム2180は、複数の周方向に離間した上方に延びるカーフまたは溝2182の1つにより互いに分離される。
【0165】
図68および図69を参照して、複数の上方に延びる複数のコレットアーム2180のそれぞれは、それぞれの上側アーム部2190内に移行するそれぞれの下側アーム部2186を備える。一つの実施形態では、複数の周方向に離間した下側アーム部2186は囲繞する(周囲を取り囲む)下側の本体部分2181を形成し、複数の周方向に離間した上側アーム部2190は下側の本体部2181から半径方向外方および上方向に移行する円錐台形状の囲繞する上側の本体部分2183を形成する。
【0166】
図68および図69を参照して、遠位または下側の環状基部2172は、遠位または下側を向いた基部面2171を備える。遠位を向いた基部面2171は、下側の環状基部2172の遠位または下側の環状基部端2176で終端する短縮された遠位または下側の端部環状ステム面(端部環状脚面)2174内に下方に移行する。基部面2171および下側の端部環状ステム面2174は短縮された遠位側端の環状溝を画定する。
【0167】
図69に示すように、下側の環状基部2172は、内側の環状肩停止面2177内に上方に(上向きに)移行する内側円筒面2175をさらに備える。
【0168】
図69にさらに示したように、下側のアーム部2186は下側の環状基部2172に取付けられ、周方向に離間した下側の端部2184を備える。下側のアーム部2186はさらに、内側の環状で凹状の分割面または溝2191および外側の半径方向外方に延在する環状に分割された停止ディスク部2194を有する中間アーム部を画定する上側端部を備える。分割された停止ディスク2194は、複数の周方向に離間した上方に延びるコレットアーム2180の中間アーム部分の外側を囲み且つそこから半径方向に延び、環状の分割された停止ディスクを画定する。分割された停止ディスク2194の各々は、近位または上方を向いた停止ディスク面2198および遠位または下方を向いた停止ディスク面2196を備える。さらに、複数の下側のアーム部2186は、細長い中央本体部材102(図10)を囲むスペーサ160(図10)に密接に囲む内径を有する大きさ、内側筒状または内側分割面2188を備える。
【0169】
図68および69を参照して、複数の周方向に離間した上側アーム部2190はそれぞれの下側アーム部2186から上方向および半径方向外方に移行すると共に、下側アーム部2186の上方でそこから半径方向外方に配置された複数の自由端2199内に終端し、複数の自由端2199は分割カラー2200を画定する半径方向外方に突出するセグメントを備え、各セグメントは外側の外向きの面2202を備え、これは一つの実施形態において外向きに丸いまたは円弧状のものである。
従って、上側アーム部2190は、分割された停止ディスク2194から、複数の半径方向外方に突出したセグメントまで、上方及び半径方向外方に移行し、分割カラー2200を画定する。また、複数の周方向に離間し半径方向外方および上方に延びる上側アーム部2190は、それぞれ内面2192を備えたセグメントを含んでおり、環状ウェッジ210(図13)の近位側に傾斜した環状側面216(図13)と相補的である、傾斜した分割された内面を形成する。
【0170】
図12図69を対比して、拡張式マンドレルコレット2170は、拡張式マンドレルコレット170に対して、各アーム2180のそれぞれの各端部2184の基部を広げ、およびアーム2180の端2184を半径方向に外方に広げて、アーム2180の各々の半径を拡張式マンドレルコレット170に対して増大させている。下端部を外側に押し出し、直径を大きくすることで、延びたアーム2180のそれぞれの底端2184におけるコードセグメントないし幅を大きくでき、延びたアーム2180のそれぞれの幅が増大することで、伸張したアーム2180のそれぞれの強度が高まる。さらに、アーム2180の下側端2184における半径方向の延長部が増大するので強度が増大する。結合機能は変わらない。
【0171】
エンジニアリング(工学技術)の観点から、伸長アーム2180は曲がった片持ちビームとしてモデル化できる。カプラが係合したり離脱する際に生じるような、ビームが曲げられたときの材料応力を評価するため、古典的な材料強度の技術が利用できる。さらに、曲げが繰り返しまたは周期的に行われるとき、適切な製品寿命を求めるために、材料応力が疲労強度に関して分析される。ビームの底部の幅を広げ、また関連する半径を増大することは、応力ないし圧力を軽減し、強度を向上させるために使用される形状変更である。
【0172】
装置の特徴
【0173】
一つの観点において、本願のピペットチップ結合装置または拡張式マンドレルコレット結合装置100によれば、寿命が改善される。
【0174】
別の観点において、拡張式マンドレルコレット170の半径方向外方に突出したセグメント200はより堅固な結合を提供し、ピペットチップ220とカプラ100との間のより剛性の高い接合を提供する。
【0175】
別の観点において、拡張式マンドレルコレット170の半径方向外方に突出したセグメント200は、チップ220を引き上げ、これを効率的に着座させる。
【0176】
別の観点において、拡張式マンドレルコレット170の材料は、液体レベル検出や上記で詳述した他の用途のため、チップに電気回路を提供するために導電性材料から容易に作製できる。
【0177】
別の観点において、チップを自由空気(大気)中で排出ないし放出することによる影響(悪影響)をカプラ100は受けない。Oリングの結合寿命は、チップが自由空気中で排出されると悪影響を受ける。ばね付勢された排出スリーブによってチップが押し離される際にOリングがチップ内の溝によって擦られて摩耗するからである。半径方向外方に突出したセグメント200の硬さはこのような刻みや摩耗の有害な動作に耐えることができる。
【0178】
別の観点において、拡張式マンドレルコレット170の材料は、上記で詳述した液体レベル検出や他の用途のために、チップに電気回路を提供するために、導電性材料から容易に作製できる。
【0179】
別の観点において、拡張式マンドレルコレット170の半径方向外方に突出したセグメント200は、寿命を改善するため、これに限定されないが、金属または硬質プラスチックなどの、硬質で耐久性のある材料から形成される。また、個別ないし個々の要素またはセグメントをプラスチック製のチップよりもずっと硬くすることで、Oリングのような軟質のエラストマー材料よりもより有効にチップの溝の中に入る。
【0180】
別の観点において、半径方向外方に突出したセグメント200は、機械的に効率的な設計であるため、小さい(低い)スクイズ/軸方向の力で作動させることができる。スクイズ/軸方向における必要な力が小さい程、軸方向の力を提供する関連部品の寿命が向上する。このようにスクイズ/軸方向における必要な力がより小さくてよい結果、エラストマー材料がそれ程圧縮されず、この半径方向外方に突出したセグメント200により、下側または遠位の密封部材140の寿命が改善される。
【0181】
別の観点によれば、この結合装置100では、交換が必要な場合に下側または遠位の密封部材140に容易にアクセスすることができる。また、下側または遠位の密封部材140は、LLD回路用に導電性である必要がなく、より多様な材料から作製できる。
【0182】
別の態様では、寿命が改善され且つ上記の下側または遠位の密封部材へのアクセスが容易であるので、メンテナンス費用がより低い。
【0183】
さらに別の態様では着座が改善されるため、ピペット装置20に対するチップの位置合わせないし整列性が改善される。
【0184】
方法の実施形態
【0185】
上記に照らして、そして別の観点において、ピペット装置によって支持ないし保持される拡張式マンドレルコレット結合装置の形態の少なくとも1つのピペットチップカプラへの、少なくとも1つのピペットチップの固定取り付けを行うための方法の例示的な実施形態が提供される。この方法は、以下の構成を備える。
(1) 分注(ピペッティング)される媒体内に浸漬するための開口した遠位端と、開口した遠位端と軸方向に反対側の開口した近位端との間に延び、通路開口を画定する内側囲繞面を有する側壁を備えたピペットチップを提供するステップ、
(2) ピペットチップカプラの囲繞面の軸方向に段付き(段状)のカプラ肩部によって形成された遠位を向いた軸方向停止肩面を含むピペットチップカプラを提供することであって、遠位を向いた軸方向停止肩面は、ピペットチップの側壁の内側囲繞面の軸方向に段付きの肩面によって形成された近位側を向いた軸方向停止面と相補的であるステップ、
(3) 前記ピペットチップカプラ本体の前記上側着座面上に、離間して且つ周方向に配置された(周方向に離間して配置された)複数の個別ないし個々の結合要素またはセグメントを提供するステップ、
(4) ピペットチップカプラによって支持ないし保持された遠位のエラストマー要素を軸方向に段付きのカプラ肩部の下側の位置に設けるステップ、
(5) ピペットチップの開口した近位端の上方において、ピペットチップカプラの遠位端を、ピペットチップカプラの中央長手軸とピペットチップの中央長手軸との間で軸方向に位置合わせ(整列)させて配置するステップ、
(6) ピペットチップカプラの遠位端をピペットチップの開口した近位端を通って並進させるステップであって、上記の並進を、遠位のエラストマー要素がピペットチップの側壁の内側囲繞面の軸方向に段付けされた肩部から遠位にあるピペットチップの側壁の内側囲繞面の円周状ないし環状で半径方向内方に傾斜し且つ遠位側に延びる内側作用面に接触するまで行うステップ、
(7) 複数の個別ないし個々の結合要素またはセグメントを、軸方向に円弧状の円周内面(内周面)の上側の軸方向に円弧状の周面セクタ部分と半径方向に延長ないし伸長して当接した状態になるように軸方向にスクイズ(押し込み)または押圧し、ピペットチップの軸方向停止面より上方の位置で、ピペットチップの側壁の内側囲繞面内に形成された溝を画定するステップであって、ピペットチップに近位側に向けられた半径方向および軸方向の合成的な予応力を提供し、遠位のエラストマー要素の外周部分がピペットチップの側壁の内側囲繞面の円周状ないし環状で半径方向内方に傾斜し且つ遠位側に延びる内側作用面に、軸方向および半径方向に密封当接するようになる圧縮状態に遠位側エラストマー要素を付勢し、ピペットチップの近位側を向いた軸方向停止面を前記ピペットチップカプラ本体の遠位側を向いた軸方向停止面に当接させて、ピペットチップ結合装置上でピペットチップの軸方向の結合位置を画定するステップ。
【0186】
上述したような本発明の開示に照らして、上述した本発明の開示の実施形態の範囲および適正な趣旨から逸脱することなく、さらなる構造的な修正および改造が可能である。例えば、図57から図67は、少なくとも図19に示される円周状で環状のチップ溝246、および少なくとも図50に示されたV形状溝セグメント200の、異なる代替えの例示的な実施形態を詳しく示した、部分的な縦断面の側面立面図である。特に、図57から図67は、セグメント200の受容のための、それぞれの代替えの溝形状(構造)2251から2261を示したものである。さらに、カプラのセグメントは、それぞれ異なる代替の例示的な実施形態である溝形状2251から2261とそれぞれ相補的な半径方向外向きの面を備えてもよい。したがって、第1の作用面は、これに限定されないが、図53から図56に示されたそれぞれの溝形状または中断(切れ目)のない構造の形態であり、第1の実質的に筒状の内面セクション242は中断(切れ目)がないものであり、これにより使い捨てピペットチップ1220の中断(途切れの内面セクション1242が画定される。さらに、チップの遠位のOリングの密封座面270は、これに限定されないが、平らな円錐形、凹状のアール(半径)、凸状のアール(半径)、段差付きなどの形態の異なる幾何学的形状ないし構造を有したものでも良い。さらに、遠位のOリングは、Oリングとは異なる形状を有してもよく、これに限定されないが、チップの遠位のOリングの密封座面270と相補的な形状でもよい。
【0187】
産業上の利用可能性
【0188】
上記のシステム、アセンブリ、装置、および使用および動作を含む方法の記載は、本発明の実施形態の産業上の利用可能性を例証したものである。
【0189】
したがって、上述した本開示の実施形態の範囲および正当な意味から逸脱することなく、かつ特許請求の範囲に記載されているように、さらに多くの構造的修正および改造が可能であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の技術思想および範囲は、本発明の実施形態の上記の説明に限定されるものではない。また、添付の特許請求の範囲において、単数形の要素への言及は、明示的に記載されない限り、「1つのみ」を意味するものではなく、むしろ「1つ以上」を意味するものである。さらに、装置または方法が、本発明によって解決される各問題および全問題に対処する必要はなく、これら各請求項によって包含される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
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図20
図21
図22
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図24
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