(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】航空機の位置を決定する方法及びその方法を実行するための配置
(51)【国際特許分類】
G01S 5/10 20060101AFI20221028BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20221028BHJP
B64F 1/36 20170101ALI20221028BHJP
B64D 47/00 20060101ALI20221028BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20221028BHJP
G01C 21/28 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
G01S5/10
H04W64/00 140
B64F1/36
B64D47/00
G08G5/00 A
G01C21/28
(21)【出願番号】P 2021527131
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 IB2018060432
(87)【国際公開番号】W WO2020099919
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-07-09
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(73)【特許権者】
【識別番号】521211398
【氏名又は名称】ハンガロコントロール ジーアールティー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ブラジョフスキー,ジェルジュ
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-300449(JP,A)
【文献】特表2017-538203(JP,A)
【文献】特開平07-104801(JP,A)
【文献】国際公開第2018/029663(WO,A1)
【文献】特開2016-164505(JP,A)
【文献】特表2018-522226(JP,A)
【文献】特表2012-520605(JP,A)
【文献】国際公開第2018/141613(WO,A1)
【文献】“flightradar24”,INTERNETARCHIVE [online],2018年02月03日,<URL: http://web.archiveorg/web/20180203092441/https://www/flightradar24.com/data >
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - G01S 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の測位のための方法であって、エアスペースユーザが航空交通管制者によって提供されるサービスの使用を開始し、前記航空交通管制者に識別データを送信する間、前記航空交通管制者が前記航空機の識別子を登録し、スタンドアロンの測位を実行し
、識別子として、スイッチオンボード装置(2)に接続され、前記航空機(1)に配置されたコードカード(3)
のIMSI(International Mobile Subscriber Identity)番号を使用し、前記エアスペースユーザが前記航空交通管制者によって契約されたセルラーネットワーク(13)にログインし、少なくとも3つの、最適には4つから6つのセルラー基地局によって発行されたタイムスタンプが記録さ
れ、次にセルラー基地局(12)か
らの観測到着時間差データ(8)が計算され、観測到着時間差データ(8)が前記セルラーネットワーク(13)によって位置ベースサーバ(7)に、前記位置ベースサーバを介して航空交通管制システム(10)に送信され、次に、観測到着時間差データ(8)
から生成された位置データが少なくとも2つの更なる測位データにリアルタイムで連結され、比較され、
使用され、全ての異常値及び/又は破損データが識別され、
前記位置ベースサーバ(7)及び/又は前記航空交通管制システム(10)
が前記航空機(1)
の有効な位置を決定し、有効な位置ベクトルデータ(14)が作成され、
次に
異常値又は破損データが識別された場合、前記異常値又は破損データが消去された前記有効な位置ベクトルデータ(14)が、前記航空機に前記航空機のリアルタイムの位置を通知するために、前
記航空機(1)に送信され
、データベー
スに転送され、前記更なる
測位データは、衛星測位データ、
前記航空機(1)の正確な位置をリアルタイムで監視した監視データ、及び飛行計画の内の少なくとも
二つであることを特徴とする方法。
【請求項2】
飛行計画データ及び/又は衛星測位データ(9)は、前記セルラーネットワーク(13)によって前記位置ベースサーバ(7)、及び前記位置ベースサーバ(7)を介して前記航空交通管制システム(10)に送信されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記航空機(1)に送信された前記位置ベクトルデータ(14)は、オンボード装置(2)に記憶され、最適に表示されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記位置ベクトルデータ(14)は
、データベー
スに記憶されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
導出された観測到着時間差データ(8)、並び
に飛行計画データ及び/又は衛星測位データ(9)は、位置ベースサーバ(7)及び/又は前記航空交通管制システム(10)によって比較され、不一致の場合、不正確なデータは、前記航空機(1)に示されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法を実行するための配置であって、前記配置は、少なくとも一つの航空機(1)及び少なくとも3つのセルラー基地局(12)を含み、前記航空機(1)は、送信/受信アンテナ(4)を備えた識別子装置を運び、前記識別子装置は、前記エアスペースユーザを識別すること、且つ観測到着時間差データ(8)による前記セルラー基地局からの前記航空機(1)の前記距離を
、リアルタイム
の到着時間差データの形式で転送することを可能にするオンボード装置(2)から構成され、前記オンボード装置(2)は、セルラーネットワーク(13)によって位置ベースサーバ(7)に接続され、コードカード(3)及びモデム(5)を備え
、
前記位置ベースサーバ(7)は、航空交通管制システム(10)を介して、複数のエアスペースユーザがアクセス可能なデータベース(15)に接続され、前記位置ベースサーバ(7)及び/又は前記航空交通管制システム(10)が観測到着時間差データ(8)及び
/又は少なくとも二つの更なる測位データから得られ
た位置データを収集し、比較するように構成され、前記更なる測位データが衛星測位データ、他の監視データ、及び飛行計画の
うちの二つであり、
前記位置ベースサーバ(7)及び/又は前記航空交通管制システム(10)が有効な位置ベクトルデータ(14)を決定するように構成され、且つ前記有効な位置ベクトルデータ(14)は前記航空機(1)に送信されるように構成されていることを特徴とする配置。
【請求項7】
前記オンボード装置(2)は、位置ベクトルデータ(14)を表示するためのディスプレイを備えることを特徴とする請求項6に記載の配置。
【請求項8】
前記コードカード(3)は、一般的にセルラー通信において使用されるROM(Read Only Memory)及び/又はRAM(Random Access Memory)を含み、前記ROM及び/又はRAMは、前記エアスペースユーザに割り当てられた個々の識別子を有することを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載の配置。
【請求項9】
前記セルラーネットワーク(13)は、LTE(long-term evolution)ネットワークであり、前記コードカード(3)は、前記モデム(5)にインストールされたSIM(Subscriber Identity Module)カードであり、前記SIMカードとしてUSIM(Universal Subscriber Identity Module)カードが使用されることを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載の配置。
【請求項10】
前記オンボード装置(2)は、GNSS(Global Navigation Satelite System)(6)を備え、GNSS(6)は、無線接続を介して衛星システム(11)に接続されていることを特徴とする請求項6~9のいずれかに記載の配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、航空機の位置を決定するために作成された方法である。本発明の主題は、この方法を実行するための配置も含む。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている航空機の搭載ナビゲーション、通信及び監視装置は、かなりのエネルギー供給とスペースを必要とし、重くて高価である。したがって、この装置の使用は、一般的な航空の分野で制限される。通常、スペースの不足、エネルギー供給の制約、及び一般航空機搭載のインフラストラクチャ不足などがある。その結果、かさばる通信、ナビゲーション、及び監視(CNS)装置は、無人航空機(UAV)、グライダー、ハンググライダー、ウルトラライト航空機、熱風バルーン、及びウルトラライト飛行機といった広範囲の一般航空機では、使用することができない。このため、これらの航空機のほとんどは、いかなる種類のCNS装置も使用していない。例外は、ある場合には衛星ナビゲーション(GPS)及びコミュニケーションのための無線送信機/受信機である。航空交通管制システム内では、全ての関連するルール及び規則を満たす、適切に認証され、認可された装置のみを使用することができる。更なる制約は、航空交通管制に使用される特定の監視システムは、金属物体しか検出できないという事実である。このようにして、プラスチックUAV、ハンググライダー、木製又は複合材料製のグライダーは、検出できない。GNSS(Global Navigation Satellite System)は、容易に妨害される可能性があり、それ自体の完全性に関する情報を含まないため、それ自体では信頼できるシステムとは見なされ得ない。このように、それの信頼性は、そのシステムのみを使用することによって確立することはできない。同様に、エアスペースユーザは、GNSSシステムによって示される場所に航空機が位置することを確信することもできないが、その理由は、これが妨害又はなりすましによる誤解を招くデータを提供する可能性があるからである。従来技術は、以下の解決策を含む:
中国特許第CN104168585号は、GSM/TD-SCDMA/TD-LTE移動通信システムを記載している。本発明によれば、ルーズカップリングモジュール化構造モードが使用され、マルチスレッディングスケジューリング及び動的チェーンライブラリー技術を使用することによって、機器及びテスト方法が実現される。駆動テスト装置の主な機能は、データを収集し、統計解析を実行し、セルラーネットワークを検査することである。これは、いくつかのエアインタフェースシグナリングプロトコルを監視し、分析することを可能にする限りにおいてのみ、本発明と同様である。
【0003】
米国特許第US2015139061号A1は、DL-OTDOA(Observed Time Difference of Arrival:観測到着時間差)原理及びLTEネットワーク(「Long-Term Evolution」-第4世代無線通信規格という表現から来る用語)を使用して測位するための方法および配置を記載している。本発明の主な目的は、測位精度を改善することである。第3世代セルラーシステム内の測位の主な問題は、未だ保留中であり、次のように要約できる:A-GPS(Assisted-GPS)測位は、非常に高精度のデータを提供できる。しかしながら、それは、屋内の測位を提供し、これは不利である。OTDOA-IPDL(OTDOA-改良型データリンク)及びUTDOA(Uplink-Time Difference of Arrival:上りリンク-到着時間差)測位に固有の技術の解決方法は、A-GPSよりも屋内カバー率が良く、精度も良い。しかしながら、現在利用可能なセンサ感度は、十分な精度を提供するには十分ではない。A-GPS(メートル単位の精度)とCell-ID(受信機が設置されているセルデータショーであり、これはおおよそ2-30kmの精度をもたらす)との間の範囲の精度は、期待できる。この解決策は、非移動物体の緊急測位に適用可能であり、交通監視又は分離を提供するために適用可能ではなく、統合システムでもない。
【0004】
中国特許第CN106781478号に記載された発明は、LTE(long term evolution)シグナリングデータベースの軌跡追跡方法に関する。本発明の基本は、LTEシグナリングデータを使用してトラックを作成し、監視することである。この方法は、LTEシグナリングデータのOTDOA(Observed Time Difference of Arrival:観測到着時間差)値のみを用い、道路マッチングを行い、目標位置を決定し、移動軌跡を認識する。この技術によって提供されるアルゴリズムは、ユーザが容易かつ迅速に地図データを生成し、データベース内の道路料金データを収集し、車両情報をリアルタイムでデータベースにインポートし、移動軌跡をターゲットにするなどのために使用することができる。したがって、この発明は、LTE信号処理及びその追跡機構をカバーする。これは、地図上の車両追跡及び視覚化を含む。
【0005】
韓国特許第KR20030056266号は、無線ネットワーク内の適応測位システムを論じている。システムは、ネットワーク内の端末のリソースを考慮し、リソースを変動可能に割り当てる目的に役立つ。そのシステムは、要求されたQoS(Quality of Service)及び精度に沿って実際の測位サービスを提供する。この解決方法は、LBS(Location Based Server)に関する。
【0006】
国際特許第WO2018125333号A2は、ナビゲーションに使用することができる実際のロングタームエボリューション(LTE)信号を使用するソフトウェア定義済み受信機を記載している。提示された配置は、LTEダウンリンク構造を適用し、信号処理及び追跡を提供する。このユニットは、当時のOTDOA対応LTE装置、例えば携帯電話に見られる。さらに、上述したソフトウェアは、GPSと同様のナビゲーション解決方法を可能にする。それは統合されたシステムではない。
【0007】
韓国特許第KR20160139719号は、バスが使用するLTE及びGPSに依存する測位解決方法を記載している。GPS測位データは、LTEデータサービスを用いて転送され、したがって、LTEネットワークは、データ送信のためにのみ使用される。本発明との更なる違いは、Wi-Fiも適用されるという事実である。
【0008】
中国特許第CN108226975号は、船舶の測位を記載している。先の発明と同様に、LTE技術は、データ送信にのみ使用され、ここでもGPSデータが送信される。
【0009】
しかしながら、GNSSを使用することは、いくつかの欠点がある。その信号は、容易に及び安価に調達可能な装置によって妨害される可能性がある。ブダペスト技術経済大学付近で実行した調査に基づき、20日間の期間で約1000回の妨害事象を観察した。さらなる欠点は、衛星が発するタイムスタンプが制御不能であるという事実である。上記に列挙した解決方法のいずれも、有効な信頼性のある測位を提供することができず、又は決定された測位データを航空機に送信すること、及び/又は公共の統一されたデータベースに記録することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、既に存在する解決方法の問題を回避し、無線通信システム内の測位精度を高めるための効率的で安全な配置及び方法を作成することを目的とする。本目的は、個々に識別可能な、移動可能な、符号化された、低エネルギー取り込みのオンボード装置を使用することにより、航空交通管制(ATM)システムに航空機の安全で統合的な測位を提供することである。更なる目的は、決定され、検証された測位データを航空機及び/又はエアスペースユーザに送信し、更に、それを統一され、検証されたデータベース、場合によっては公共のデータベースに供給することによって、安全性を向上させることである。
【0011】
進歩性は、独立請求項に基づく方法を実現することが、以前に存在していたものよりも有益な発明を生成するという認識に基づいている。移動ネットワークを使用することにより、小型で、スイッチされ、低消費電力のオンボード装置を搭載した飛行機の位置を、50~100mの精度、更には5mの精度で知ることができ、これは、衛星ナビゲーションの手段を使用しなくても実現可能である。この新しい発明は、この方法内で、航空機がSIMカードで使用されるIMSIコードといった、セルラー電気通信産業内で一般に適用されるコードによって識別されることができるという認識によっても裏付けられる。IMSIコードは、国際的に認知され、受け入れられている携帯電話利用者の識別子である。進歩性はまた、決定された位置ベクトルがデータベースに送られるだけではなく、航空機及び/又はエアスペースユーザにも送信され、従って、その航空機のリアルタイム位置及び送信されるデータの正確性をユーザに知らせる。という事実によってさらに強化される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的によれば、本発明による解決方法の最も一般的な実施形態は、独立請求項1に記載されている。方法の最も一般的な形態は、独立請求項6に記載されている。個々の実施形態は従属請求項に記載されている。
【0013】
一般に、本解決方法は、航空機を測位するための配置であり、この配置において、エアスペースユーザが航空交通管制者のサービスの使用を開始し、識別子データを航空交通管制者に送信し、航空交通管制者は航空機の識別子を登録し、スタンドアロンの測位を提供する。本発明は、航空機に搭載されたスイッチオンボード装置に接続されたコードカードのIMSI番号が識別子として使用され、ユーザが航空交通管制によって契約されたセルラーネットワークに接続する開始する間、少なくとも3つの、しかし最適には4つから6つの基地局からのタイムスタンプ信号が記録され、次に、セルラー基地局からの距離に比例するこれらの信号の観測到着時間差(OTDOA)データが計算され、次に、OTDOAがセルラーネットワークを介して位置ベースサーバに送信され、位置ベースサーバを介して航空交通管制(ATM)システムに送られ、位置ベースサーバ及び/又はATMシステムがOTDOAデータ及び独立して取得された監視データをリアルタイムで連結することにより、所与の航空機の位置を決定し、したがって、位置ベクトルデータが作成され、次に、この位置ベクトルデータが航空機に送信され、複数のエアスペースユーザにアクセス可能な少なくとも一つのデータベースに転送されることを特徴とする。
【0014】
飛行計画データ及び/又は衛星測位データを位置ベースサーバに送信し、位置ベースサーバを介して航空交通管制システムに送信するために、セルラーネットワークが使用されることは、別の特徴であり得る。
【0015】
航空機に送信された位置ベクトルデータが記憶され、最終的にオンボード装置によって表示されることは、別の特徴であり得る。
【0016】
別の実施形態は、位置ベクトルデータが航空機に連結されたデータベースに記憶される場合であってもよい。
【0017】
別の特徴は、到着データの時間差、並びに飛行計画及び/又は衛星測位データは、位置ベースサーバ及び/又はATMシステムによって互いに比較され、不一致の場合、不正確なデータは、航空機に示されるときであり得る。
【0018】
一般に、本解決方法は、航空機を測位するための配置であり、この配置は少なくとも一つの航空機及び少なくとも3つのセルラー基地局を含み、航空機は、送信/受信アンテナを有する識別子装置を配置する。本発明の特徴は、識別子装置がエアスペースユーザを識別し、リアルタイムの到着時間差データの形式でセルラー基地局からの航空機の距離を転送することができるオンボード装置であり、位置ベースサーバと所与のオンボード装置との間に無線接続があり、更に、オンボード装置がコードカード及びモデムを備え、位置ベースサーバが、ATMシステムを介して複数のエアスペースユーザと共有されるデータベースに接続されることである。
【0019】
また、オンボード装置は、位置ベクトルデータを表示するためのディスプレイを備えることを特徴としてもよい。
【0020】
コードカードが一般的にセルラー通信において使用されるROM及び/又はRAMを含み、ROM及び/又はRAMがエアスペースユーザに割り当てられた個々の識別子を有することは、別の特徴であり得る。
【0021】
別の実施形態は、セルラーネットワークがLTE規格の下で動作し、コードカードがモデムにインストールされたSIMカードであり、USIMカードがSIMカードとして使用されるものであってもよい。
【0022】
オンボード装置にGNSSが設けられ、GNSSが衛星システムに接続されていることは、別の特徴である場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明は、図面を用いて、実施例によってより詳細に提示される。以下の図面において、
図1は、本発明の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の配置は、
図1に示されている。本配置は、航空機1の位置を決定することができる。測位の前に、エアスペースユーザは、明確に識別される必要がある。エアスペース内を移動する全ての物体は、無人航空機、グライダー、ウルトラライト、ハンググライダー、熱風バルーン及びウルトラライト飛行機を含むが、これらに限定されない航空機1とみなされる。エアスペースユーザは、無人航空機を制御する者もエアスペースユーザとみなされるため、より広範囲の主体を含むと考えられる。この配置は、これまではいかなる種類のオンボード装置も搭載していなかった小型及び/又は無人の航空機の位置を決定するものと、特に解釈される。測位を助けるために構想された低エネルギーのオンボード装置2は、航空機1のオンボードに配置される。この配置を使用することにより、オペレータは、多数のエアスペースユーザを識別することができ、航空機1の位置を決定することができる。従来技術では、これらの航空機が一般に、GNSSデータを使用することによってのみ測位することをできるが、本発明は、識別装置がモデム5だけでなく、コードカード3、送信機/受信機アンテナ4、及び器具を有する識別子を配置するオンボード装置2である。任意で、GNSS6装置を含むこともできる。この実施例において、コードカード3は、SIMカード(SIMは、Subscriber Identity Moduleの表現に由来する良く知られている頭文字)、または合理的には、より新しい安全なUSIM(Universal Subscriber Identity Module)である。コードカード3は、セルラー電気通信内で使用され、現在エアスペースユーザに割り当てられている個々の識別子コードを含むROM(読み取り専用メモリ)及び/又はRAM(ランダムアクセスメモリ)を有する。ここで、ROMはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)の略である。USIMは、メモリ容量が大きいこと、シークレットコードが長いこと、およびネットワーク経由で到着する可能性のあるデータフィッシングの試行に対してオンボード装置の保護を強化することができることなどという点で、SIMとは異なる。そのタスクは、セルラーネットワーク13上のオンボード装置2に識別、認証を提供することである。コードカード3は、オンボード装置2、より具体的にはその中のモデム5にインストールされる。コードカード3は、ユーザを識別するために使用されるIMSI(国際移動加入者識別)識別子を安全に記憶することができる集積回路を含む。IMSIは、全てのコードカード3に統合された国際的に知られ、受け入れられている識別子であり、これにより航空機1の識別が可能になる。モデム5は、3GPP Release9の規格(3GPP=3rd Generation Partnership Project)又はそれ以降の規格に準拠するものとする。オンボード装置2もGNSS6に準拠している場合は、衛星測位データ9を送信することもできる。それにもかかわらず、これらがなくても測位は、可能である。位置ベースサーバ7(LBS)は、配置の必須部分である。観測到着時間差(OTDOA)データ8に依存し、場合によっては、衛星測位データ9に依存し、位置ベースサーバ7は、位置、二つのオンボード装置の座標を計算し、これらを所望の座標フォーマット、例えば必要に応じてWGS-84に変換する。したがって、位置ベースサーバ7は、航空機1の位置を決定するために必ずしも衛星測位データ9を必要としない。位置ベースサーバ7はまた、航空機1から受信した飛行計画に依存するデータ、又は最終的な監視データからデータを計算することができ、OTDOAデータ8を検証することもできる。位置ベースサーバ7は個別に、又はエアーナビゲーションサービスプロバイダ(ANSP)の監督下で、又は更に、航空交通管制システム10の一部として作成することができる。本装置の配置に関して、航空交通管制システム及びANSPは、相互に置換可能な概念と見なすことができ、それは得られた位置データが収集されて記憶される位置と見なすことができる。本実施形態において、位置ベースサーバ7と航空交通管制システム10とは、接続されている。位置ベースサーバ7のタスクは、OTDOAデータ8から生成された位置データを、最終的には衛星測位データ9も、航空交通管制システム10に転送することである。OTDOAデータ8は、測位において重要な役割を果たす。
【0025】
したがって、航空交通管制システム10は、OTDOAデータ8、位置ベースサーバ7によってOTDOAデータ8から計算された測位データ、特定の場合において、衛星測位データ9、飛行計画、および他の監視データを受信し、次にそれらは、処理され、ATMシステム10によって比較され、異常値及び/又は他の破損データが消去され、信頼できる位置ベクトルデータ14は、決定される。別の実施形態において、これは、必要に応じて、位置ベースサーバ7によって行うこともできる。このようにして、位置ベクトルデータ14は、信頼性があり、有効なデータである。完全性を提供するために、少なくとも3つのソースを計算に組み込む必要がある。これらの位置ベクトルデータ14は、次いで、位置ベースサーバ7に送られ、位置ベースサーバ7を介して、航空機1にも送信される。同時に、OTDOAデータ8及び/又はそれらによって送信された衛星測位データ9のいずれかが最終的に不正確であり、信頼性がないならば、位置ベースサーバ7及び/又は航空機1に示す。任意選択で、位置ベクトルデータ14は、ディスプレイを使用することによって航空機1内に表示することもできる。上に列挙したステップは当然、何度も繰り返すことができ、アクティブなオンボード装置2、位置ベースサーバ7、及びATMシステム10は、互いに連続的に相互接続され、自動測位がリアルタイムで行われる。衛星測位データ9は、衛星システム11が配置の一部である場合、配置内で利用可能である。この場合において、衛星測位データ9も送信できる。前述したように、衛星システム11の使用や衛星測位データ9の使用可能性は任意であり、それらがなくても確実な測位が可能な配置となる。また、衛星測位データ9としてA-GPS(assisted GPS)データを用いてもよい。この配置は、2D測位データが決定されることを可能にするために、少なくとも3つのセルラー基地局12を含む。3D座標も確立されるべきである場合、異なる高さに位置する少なくとも4つのセルラー基地局12が必要とされる。測位ベクトルデータ14は、ATMシステム10から潜在的に公共のデータベース15に送信することもできる。位置ベクトルデータ14が位置ベースサーバ7からデータベース15に送信されるような実施形態も可能である。通信が行われ、データはセルラーネットワーク13を介して送信及び受信される。セルラーネットワーク13は、OTDOA機能が利用可能で動作可能である限り、2G、3G、又はLTE規格に準拠して動作することができ、3GPPリリース9規格又はそれ以降の規格を満たす。
【0026】
本発明を使用して、所望の結果に従って、エアスペースユーザは、まず彼の/彼女のIMSI識別子を航空ナビゲーションサービスプロバイダに送信し、航空ナビゲーションサービスプロバイダは、その識別子を登録する。利用可能な航空計画がある場合、エアスペースユーザは、これも航空ナビゲーションサービスプロバイダに送信する。この場合において、位置ベースサーバ7及び/又はATMシステム10は、データを計算及び比較するための更なるソースを有する。その後、航空機上でオンボード装置2のスイッチを入れる必要がある。オンボード装置2のスイッチがオンになっている限り、リアルタイムの測位は、連続している。オンボード装置2は、航空ナビゲーションサービスプロバイダが契約している電気通信サービスプロバイダにログインする。エアスペースユーザ、又は航空機1は、航空ナビゲーションサービスプロバイダ又は航空交通管制システム10によってその測位データを収集するように要求する。このステップは、電話をかけること、ボタンをクリックすること、又はフライトプランがこの情報を含めることによって実行することができる。このステップにより、測位が起動され、以後、位置ベースサーバ7に基づいて、航空ナビゲーションサービスプロバイダ又は航空交通管制システム10は、配置内の登録された航空機1の位置を継続的に認識する。オンボード装置2は、信号の開始時に生成され、少なくとも3つ、最適には4~6つのセルラー基地局によって送信されたタイムスタンプを記録し、次いで、これらに基づいて、OTDOAデータ8を計算し、セルラーネットワーク13を介して、このOTDOAデータ8を位置ベースサーバ7に転送する。オンボード装置2は、GNSS6も含み、衛星システム11に接続されている場合、衛星測位データ9を位置ベースサーバ7に送信することもできる。位置ベースサーバ7は、OTDOAデータ8から生成された位置データ、任意選択で、更なる測位データ(衛星測位データ、他の監視データ、及び飛行計画)から収集し、処理し、航空交通管制システム10にこれを転送し、航空交通管制システム10は、これらに基づいて、これらのデータを収集し、比較し、使用し、信頼できる位置ベクトルデータ14を作成し、次いで、これらのデータは、位置ベースサーバ14、及びデータベース15に送信され、データベース15は、最適には公開され、それらのうちのいくつかとすることができる。別の場合において、位置ベースサーバ7は、位置ベクトルデータ14をデータベース15に送信することもできる。他の監視データは例えば、既知のレーダ信号データであってもよい。ATMシステム10又は位置ベースサーバ7は、信頼性のある位置ベクトルデータ14を航空機1に、また、理想的には、例えばWGS84座標として、航空機1のオンボード装置2と互換性のある形式で、必要に応じて送信することができ、それにより、確実に信頼性のあるデータから計算されるように、その位置を継続的に認識することができ、最終的に、この位置をオンボード装置2によって表示することもできる。データ通信負荷を低減するために、位置ベクトルデータ14を航空機に送信することは必ずしも必要ではなく、データのうちの一つ又はいくつかが不正確であり、したがって、それらの完全性が損なわれたときに、それらを義務的に送信する。
【0027】
本発明は、多くの利点を有する。これらの内の一つは、データをチェックした後に、真の有効な位置データをオンボード装置に送信することができ、したがって、エアスペースユーザは、その正確な位置および最終的に間違ったデータのソースを知ることによって、継続的に気付くことができるという事実である。例えば、妨害がある場合、GNSSは、オンボード装置に不正確なデータを送信すると、エアスペースユーザは、位置ベースサーバからリアルタイムで有効で正確なデータを受信し、位置ベースサーバがどのデータが破損しているかを正確に識別した場合にのみ、これを知ることができる。これは、航空機が真だとされているが、実際には不正確なデータを航空交通管制がこれを信頼できるデータとして組み込むときに生じる事故及びインシデントを防止するのに役立つ。本発明の更なる利点は、オンボード装置が小型、低重量、安全、一体型、移動可能であり、且つ低エネルギー消費であるという事実である。測位の解決方法の精度は、(WGS-84システムにおいて)100mであるが、5mの精度さえ達成できる。このような精度で位置を知ることは、航空機間の安全な分離を提供するのに十分である。エアーナビゲーションサービスプロバイダが位置ベースサーバから受信したデータを現在の航空交通管制及び将来の無人航空機交通管制(UTM)システムに容易に統合することができることは有益である。更なる利点は、オンボード装置がGNSS無しでも動作するという事実である。オンボード装置は、軽量、低エネルギーの取り込み、又は論理的には、バッテリが不要である。それは持ち運び可能であり、小さな場所で、たとえポケット内であっても、運ぶことができる。その放出電力は低く、これは非常に低重量のバッテリの使用を可能にする。低重量は、とりわけ、無人航空機において有利である。また、非自律航空機のオンボードシステムに組み込む必要がないことも有利である。それは、定期的な校正を必要としない。オンボード装置は、個々の識別子を有し、したがって、各フライトの前にトランスポンダコードを設定する必要はない。また、オンボード装置と地上インフラストラクチャの両方が妨害されにくいという利点もある。そのため、多数の航空機及び(ノイズの多い無線周波数スペクトラムの)都市環境内での測位も可能である。USIMカードを使用する場合、通信は、暗号化されて安全に行われる。それは、目視見通し外(BVLOS)無人飛行機運用及び自律飛行を可能にする道を切り開く。また、国境又はFIR(flight information region)境界でトランスポンダコードを変更する必要がないため、開始のFIR以降のフライトを支援することができる。これは、容易に利用可能であり、ユーザにとって経済的に実現可能な技術である。これは、無人航空機のオペレータが飛行場又は他の制限された区域のように、現在まで飛行することが許可されていない区域で自分の装置を安全に操作する機会を提供することができる。これまで検出されなかった航空機は、観測可能な状態になり、正確な位置をリアルタイムで監視し、安全な分離を航空交通管制の範囲内で行うことができるようになった。これは、事故及び材料損傷の危険性を著しく減少させることができる。最後に、決定され、信頼性のある位置ベクトルデータが公共のデータベースに送信され、その結果、現在のエアスペースユーザを規制された、リアルタイムの、均一なカタログに記録することができることは、重要な利点である。所与の航空機のデータ及びそのリアルタイム位置は、結合された方法で記憶することもでき、この場合において、任意の特定の航空機の実際の位置をデータベースから決定することができる。
【0028】
本発明の適用分野は、航空交通管制、航空機の測位及び航空輸送の安全性の向上である。
【0029】
上記の例に加えて、本発明は、他の形態における他の方法、及び保護の範囲内で実施することができる。