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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】タップ穴プラグガン
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/12 20060101AFI20221028BHJP
   F27D 3/14 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
C21B7/12 305
F27D3/14 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021551552
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2019056261
(87)【国際公開番号】W WO2020182303
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】508045549
【氏名又は名称】ティエムティ - タッピング メジャーリング テクノロジー エスエイアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モレラト フランク
【審査官】瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-050860(JP,U)
【文献】特開2011-001628(JP,A)
【文献】実開昭55-126200(JP,U)
【文献】特開昭51-091808(JP,A)
【文献】米国特許第04135705(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 7/12
F27D 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ材を受け入れる材料チャンバ(21)と、タップ穴に導入されるマウスピース(24)と、前記マウスピース(24)の方向に先細になり、ロック解除可能な接続装置(25)によって前記材料チャンバに接続されるノズル部(23)とを備えるタップ穴プラグガン(20)であって、
前記接続装置(25)を実現するために、前記材料チャンバ(21)と前記ノズル部(23)は、前記材料チャンバ(21)のチャンバ壁(27)と前記ノズル部(23)のノズル壁(29)との対向する2つの軸方向の接続縁部(26、54)に、相補関係の軸方向の接続突起(28、30)を、前記ノズル部(23)の上部(31)に形成された接続突起(30)が前記材料チャンバ(21)の下部(32)に形成された接続突起(28)に配置されるように有し、前記ノズル部(23)の接続突起(30)と前記材料チャンバ(21)の上部(34)との間、及び前記材料チャンバ(21)の接続突起(28)と前記ノズル部(23)の下部(36)との間で、径方向の嵌合接続係合が成立し、前記径方向の嵌合接続係合は、前記材料チャンバ(21)に対する前記ノズル部(23)の相対的な位置を固定するように径方向に作用する安全装置(37)により保護される
ことを特徴とするタップ穴プラグガン。
【請求項2】
請求項1に記載のタップ穴プラグガンにおいて、
前記嵌合接続係合を実現するために、前記ノズル壁(29)の径方向内側のノズル部(23)の接続突起(30)の接続縁部(44)に環状部分ウェブ(45)が形成され、該環状部分ウェブ(45)は、前記チャンバ壁(27)の径方向外側の材料チャンバ(21)の上部(34)の接続縁部(46)に形成された環状部分溝(47)に係合し、且つ前記ノズル壁(29)の径方向外側のノズル部(23)の下部(36)の接続縁部(48)に環状部分ウェブ(49)が形成され、該環状部分ウェブ(49)は、前記チャンバ壁(27)の径方向内側の材料チャンバ(21)の接続突起(28)の接続縁部(50)に形成された環状部分溝(51)に係合する
ことを特徴とするタップ穴プラグガン。
【請求項3】
請求項に記載のタップ穴プラグガンにおいて、
前記ノズル部(23)の各接続縁部(44,48)には該接続縁部(44,48)の全長に亘って延びる前記環状部分ウェブ(45,49)が設けられ、前記材料チャンバ(21)の各接続縁部(33,50)には該接続縁部(33,50)の全長に亘って延びる前記環状部分溝(47,51)が設けられている
ことを特徴とするタップ穴プラグガン。
【請求項4】
請求項2または3に記載のタップ穴プラグガンにおいて、
前記材料チャンバ(21)の接続突起(28)に形成された径方向内側の環状部分溝(51)は、前記環状部分溝(51)の向かい合う端部(52,53)が、前記ノズル部(23)の接続突起(30)に形成されて垂直方向に延びる環状部分ウェブ(45)の端部のための垂直ガイドを形成するように、180°を超える周方向角度に亘って延びている
ことを特徴とするタップ穴プラグガン。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1つに記載のタップ穴プラグガンにおいて、
前記安全装置(37)を実現するために、前記接続突起(28,30)は、対向する水平な接続縁部(38,39)で互いに着脱可能に接続されている
ことを特徴とするタップ穴プラグガン。
【請求項6】
請求項5に記載のタップ穴プラグガンにおいて、
前記安全装置(37)は、前記水平な接続縁部(38、39)の領域でタップ穴プラグガン(20)の周上に配置された2つのボルト接続部(40、41)を有する
ことを特徴とするタップ穴プラグガン。
【請求項7】
請求項6に記載のタップ穴プラグガンにおいて、
前記各ボルト接続部(40、41)は、前記ノズル部(23)の水平な接続縁部(38)と前記材料チャンバ(21)の水平な接続縁部(39)とにそれぞれ配置された接続タブ(42、43)を互いに接続するように構成されている
ことを特徴とするタップ穴プラグガン。
【請求項8】
請求項6または7に記載のタップ穴プラグガンにおいて、
前記各ボルト接続部(40、41)は、ボルトを有し、且つ前記ボルトを前記マウスピース(24)に面する側で外部からの影響に対して保護する保護装置(56)を備えている
ことを特徴とするタップ穴プラグガン。
【請求項9】
請求項8に記載のタップ穴プラグガンにおいて、
前記保護装置(56)を実現するために、前記各ボルト接続部(40、41)の少なくとも1つの接続タブ(42、43)には、前記ボルトと平行に延びる保護ウェブ(57、58)が設けられている
ことを特徴とするタップ穴プラグガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグ材を受け入れる材料チャンバと、タップ穴に導入されるマウスピースと、マウスピースの方向に先細になり、ロック解除可能な接続装置によって材料チャンバに接続されるノズル部とを備えるタップ穴プラグガンに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような種類のタップ穴プラグガンは、銑鉄を製造するための高炉や、非鉄金属や合金鉄などを製錬するための低炉のような還元炉や溶解炉のタップ開口を塞ぐために用いられる。タップ穴プラグガンのマウスピースから炉のタップ穴開口に注入されたプラグ材が硬化するまで、プラグ中に、タップ穴プラグガンは回動装置を用いて炉の前面に大きな力で押し付けられ、その接触圧力が維持される。
【0003】
タップ穴プラグガンを動作させるため、プラグ材が、一般的には円筒形の空間であるタップ穴プラグガンの材料チャンバに入れられ、プラグ用ピストンによって材料チャンバからタップ穴プラグガンのマウスピースを介してタップ穴開口に注入される。材料チャンバとマウスピースの間には、材料チャンバとマウスピースの間の移行領域でタップ穴プラグガンの直径が小さくなるように、接続装置によって材料チャンバに交換可能に接続された一般に円錐状のノズル部が配置されている。接続装置は、ノズル部からマウスピース部への部分の直径が大幅に小さくなるために射出時に大きな力が作用する。接続装置が満たすべき2つの本質的な要件は、ノズル部の交換のために接続装置を容易に取り外すことができ、かつ、取り外しの可能性を損なわずに、射出時に作用する力を確実に吸収できる程度に十分に安定していることである。
【0004】
特許文献1は、フランジ接続により材料チャンバに接続されるノズル部を有するタップ穴プラグガンを開示している。フランジ接続では、ノズル部が材料チャンバに射出方向と直角の接続面で接続され、材料チャンバとノズル部に配置された対向する2つのフランジが、タップ穴プラグガンの周方向の全域に配置され且つ射出方向と平行に延びる接続ボルトにより接続されることで、フランジ接続が実現される。接続ボルトは射出方向と平行に延びるため、その数とサイズを、接続面におけるタップ穴プラグガンのシール性を損なわずに射出力をボルトによって安全に伝えることができ、しかもボルト接続部の部品に不具合が生じるおそれのないようにする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2011/0889054号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フランジ接続を実現するためにタップ穴プラグガンの周方向の全域に配置されるボルト接続部が多いと、ノズル部を交換する際の取り付け作業量に対応し、この作業量は、タップ穴プラグガンが作業位置にあるときにランナーからタップ穴プラグガンに向かう熱放射からタップ穴プラグガンを遮蔽するために、一般にタップ穴プラグガンの下側に配置されるシールド装置を、ノズル部品を取り付ける前または取り外す前に、タップ穴プラグガンの下面の領域に配置されるボルト接続部にアクセスできるようにするために、タップ穴プラグガンから取り外さなければならないことにより、さらに増える可能性がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、材料チャンバとノズル部との機械的接続の信頼性を高めることが可能な接続装置を備えるとともに比較的少ない設置作業でノズル部を交換可能なタップ穴プラグガンを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係るタップ穴プラグガンは、請求項1の特徴を有する。
【0009】
接続装置を実現するために、材料チャンバとノズル部は、材料チャンバのチャンバ壁とノズル部のノズル壁の対向する2つの軸方向の接続縁部に、相補関係の軸方向の接続突起を、ノズル部の上部に形成された接続突起が材料チャンバの下部に形成された接続突起に配置されるという本発明の方式で有し、ノズル部の接続突起と材料チャンバの上部との間、及び材料チャンバの接続突起とノズル部の下部との間で、径方向の嵌合接続係合が成立し、前記径方向の嵌合接続係合は、径方向に作用する安全装置による圧入方式で保護される。
【0010】
本発明による接続装置を実現することにより、分離方式で接続装置に作用する放出力が、接続突起の間で成立した嵌合接続によって吸収され、このことは、径方向に作用する安全装置が、接続突起を互いの上の位置に固定するためにのみ必要で、放出力を吸収するためには安全装置を必要としないことを意味する。代わりに、安全装置は、放出方向に直角の平面で接続突起の位置を固定する役割を果たす。このことは、一方では安全装置の大きさには特別な制約がなく、他方ではタップ穴プラグガンの上部からのみアクセスできるように安全装置を配置し得ることを意味する。
【0011】
さらに、接続装置のこの構成により、ノズル部と材料チャンバとの間の接続を、タッププラグガンの上部から接続装置にアクセスすることによって成立させたり解除したりできるので、接続装置にアクセス可能にするためにタッププラグガンの下面に配置することができるシールド装置を取り外す必要はない。
【0012】
要するに、この接続装置では、材料チャンバとノズル部との間の信頼性の高い機械的接続と、ノズル部を交換する際の容易な取り付けの両方が可能になる。
【0013】
嵌合接続係合を実現するために、好適な実施形態では、ノズル壁の径方向内側のノズル部の接続突起の接続縁部に環状部分ウェブが形成され、該環状部分ウェブは、チャンバ壁の径方向外側の材料チャンバの上部の接続縁部に形成された環状部分溝に係合し、且つノズル壁の径方向外側のノズル部の下部の接続縁部に環状部分ウェブが形成され、該環状部分ウェブは、チャンバ壁の径方向内側の材料チャンバの接続突起の接続縁部に形成された環状部分溝に係合する。
【0014】
この好適な構成の嵌合接続係合は、タップ穴プラグガンの外郭に影響を与えずに嵌合接続係合を実現することができ、このことは、ノズル部と材料チャンバとの間の移行領域の表面が、特にタップ穴プラグガンの下面において基本的に同一面であることを意味し、これによって、タップ穴プラグガンの外形寸法を実質的に拡大せずに、下面に配置されるシールド装置を半径方向に隣接して配置でき、その結果、タップ穴プラグガンにシールド装置を配置することができるようになる。
【0015】
さらに、前述した嵌合接続係合の好適な構成により、環状部分ウェブと環状部分溝との係合によって、連結力を周方向の全体に均等に分散して伝達でき、それに対応して周方向の全体を均等にシールできる。
【0016】
ノズル部の各接続縁部に、該接続縁部の実質的に全長に亘って延びる環状部分ウェブが設けられている場合、及び材料チャンバの各接続縁部に、該接続縁部の実質的に全長に亘って延びる環状部分溝が設けられている場合、タップ穴プラグガン及び接続装置の全周に亘って接続力の継続的な配分が保証される。
【0017】
材料チャンバの接続突起に形成された径方向内側の環状部分溝は、環状部分溝の向かい合う端部が、ノズル部の接続突起に形成されて垂直方向に延びる環状部分ウェブの端部のための垂直ガイドを形成するように、180°を超える周方向角度に亘って延びていることが好ましく、このことは、嵌合接続係合の成立中の結合プロセスがガイドされることを意味する。
【0018】
安全装置を実現するために、接続突起が、対向する水平な接続縁部で互いに着脱可能に接続される場合、安全装置は、2つ以上の安全要素で実現できる。
【0019】
安全装置は、前記水平な接続縁部の領域でタップ穴プラグガンの周上に配置された2つのボルト接続部を有することが好ましい。
【0020】
ボルト接続部を、ノズル部の水平な接続縁部と材料チャンバの水平な接続縁部とにそれぞれ形成された接続タブを圧入方式で接続するように構成すると、ボルト接続を最も簡単に実現できる。
【0021】
各ボルト接続部は、好ましくはネジボルトとして実現されるボルトを有し、且つ外部からの影響に対してボルトを保護する保護装置を備えることが好ましく、このことは、ボルト接続部の機能及び取り扱いが、ボルト接続部に対応する堆積物が生じる可能性があるタップ経路からの金属またはスラグの飛散などの外部からの影響に左右されないことを意味する。
【0022】
保護装置を実現するために、各ボルト接続部の少なくとも1つの接続タブには、ボルトと平行に延びる保護ウェブが設けられることが特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、材料チャンバとマウスピースとの間に配置されたノズル部を有するタップ穴プラグガンの斜視図である。
図2図2は、マウスピースをノズル部から取り外した状態で図1のタップ穴プラグガンを示す図である。
図3図3は、図1に示すタップ穴プラグガンの部分側面図である。
図4図4は、図3に示すタップ穴プラグガンの縦断面図である。
図5図5は、材料チャンバの下部に軸方向の接続突起が形成された材料チャンバの斜視図図である。
図6図6は、ノズル部が接続突起の上の取り付け位置に配置された状態で図5の材料チャンバを示す図である。
図7図7は、マウスピースがヒンジ結合構造により接続された状態で図1のノズル部を示す図である。
図8図8は、図7のマウスピースを取り付け段階で示す図である。
図9図9は、図8に示すマウスピースの側面図である。
図10図10は、図7及び図8のヒンジ結合構造を、ヒンジ結合部を中心にしてマウスピースを回した状態で示す図である。
図11図11は、図4に示すタップ穴プラグガンの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照してより詳細に説明する。
【0025】
図1は、タップ穴プラグガン20をその本質的な構成要素により示す図であり、タップ穴プラグガン20は、特に図4に示すように、中空の円筒として構成された材料チャンバ21を備える。材料チャンバ21は、充填口(図示せず)により材料チャンバ21に充填されて材料チャンバ21内でガイドされるピストン22によって材料チャンバ21内で圧縮されるプラグ材を受け入れるよう機能し、プラグ材は、ノズル部23を介して材料チャンバ21に接続されたマウスピース24から炉設備(図示せず)のタップ穴に排出される。マウスピース24は、タップ穴プラグガン20のこの実施形態では、ノズル部23から独立している。
【0026】
ノズル部23により、材料チャンバ21からマウスピース24への移行領域に必要な、タップ穴プラグガン20の内径の縮小が可能されしており、この目的のために切頭錐体形状とされ、特にこの例示的な実施形態では先が斜めに切り取られたような切頭錐体形状とされている。特に図4から理解できるように、ピストン22によってプラグ材に加えられる圧縮力から生じる大きな軸力は、タップ穴プラグガン20が動作しているときに材料チャンバ21内でプラグ材が圧縮される間に、材料チャンバ21とノズル部23との間に形成された接続装置25に作用する。図6に示すように、接続装置25は、材料チャンバ21のチャンバ壁27の軸方向接続縁部26に設けられた軸方向接続突起28と、材料チャンバ21とノズル部23とを嵌合接続するためにノズル部23のノズル壁29の軸方向接続縁部54に設けられた接続突起30とを有する。
【0027】
特に図5及び図6を組み合わせると明らかなように、ノズル部23の接続突起30がノズル部23の上部31に形成されるとともに材料チャンバ21の接続突起28が材料チャンバ21の下部32に形成されていて、ノズル部23の接続突起30が材料チャンバ21に形成された接続突起28の上に載り、一方側ではノズル部23の接続突起30と材料チャンバ21の上部34の接続縁部33との間で、他方側では材料チャンバ21の接続突起28とノズル部23の下部36の接続縁部35との間で、径方向の嵌合接続による係合が成立する。
【0028】
図6図2を比較すると明らかなように、ノズル部23は、嵌合接続で係合する直前の相対的な位置(図6)と、嵌合接続で係合した直後の相対的な位置(図2)とが示され、ノズル部23は、嵌合接続で係合すると、重力の影響の下で材料チャンバ21に対して相対的な位置が固定される。また、圧縮力がノズル部23に作用しているときに、図2に示されている相対的な位置を固定するために、嵌合接続係合に加えて、径方向に作用する安全装置37が設けられている。前記安全装置37は、対向する水平接続縁部38,39(図6)にそれぞれのボルト接続部40,41(図1)を有し、前記ボルト接続部40,41は、ノズル部23の接続突起30の接続縁部38と材料チャンバ21の接続突起28の接続縁部39にそれぞれ形成された対向する2つの接続タブ42,43を、ネジボルト(図示せず)によって接続している。
【0029】
したがって、ボルト接続部40,41は、接続突起28,30をその径方向位置に固定し、接続突起28,30間で成立した環状接続係合がタップ穴プラグガン20に発生する圧縮力により解除されるのを抑制し、圧縮力の軸方向成分を吸収する作用をする。
【0030】
嵌合接続係合を実現するために、ノズル壁29の径方向内側のノズル部23の接続突起30の接続縁部44には環状部分ウェブ45(図4)が形成され、前記環状部分ウェブ45は、チャンバ壁27の径方向外側の材料チャンバ21の上部34の接続縁部46に形成された環状ウェブ溝47(図5)に係合している。
【0031】
また、図4に示すように、ノズル壁29の径方向外側のノズル部23の下部36の接続縁部48には環状部分ウェブ49が形成され、前記環状部分ウェブ49は、チャンバ壁27の径方向内側の材料チャンバ21の接続突起28の接続縁部50に形成された環状部分溝51に係合している。
【0032】
特に図5から分かるように、材料チャンバ21の接続突起28に形成された径方向内側の環状部分溝51は、係合を成立させる間に、環状部分溝51の向かい合う溝端52、53が、ノズル部23の接続突起30に形成されて垂直方向に延びる環状部分ウェブ45の端部のための垂直ガイドを形成するように、180°を超える周方向角度に亘って延びている。
【0033】
特に図3から分かるように、ボルト接続部40、41は、接続タブ42、43をボルト軸55に沿って圧入して接続し且つ好ましくはネジボルト75として構成されるボルトが、接続タブ42上で垂直に構成される保護ウェブ57、58で成される保護装置56によって、マウスピース24に面する側で外部の影響から保護され、同時に接続タブ42の曲げ剛性を可能にするように構成される。
【0034】
シールド装置76は、特にタップ穴プラグガン20の下方でタップ穴プラグガン20に対して放出される熱放射に対する保護のために、材料チャンバ21の下部32及びノズル部23の下部36に配置されている。
【0035】
特に図7から図10の一連の図から分かるように、マウスピース24は、この実施形態ではノズル部23から独立した構成要素として形成され、マウスピース24をノズル部23に接続するためにヒンジ結合構造59が設けられている。ヒンジ結合構造59は、それぞれが平行な2つの結合プレート62,63で構成された結合プレート構造64と、一枚の結合プレート65で形成されたノズル部23の結合プレート構造66とを有する対向する2つのヒンジ結合部60,61を有し、両結合プレート構造64,65は結合ボルト67により接続されている。
【0036】
図10に示すように、マウスピース24に配置された結合プレート65は、結合アイレット69の枠部68を有する。前記枠部68は、結合軸77の方向にくさび状に形成され、結合ボルト67のくさび部70(図9)と相補関係のくさび形状を有する。結合ボルト67がヒンジ結合部60,61に配置されたときには、図7に示すように、結合ボルト67が、ノズル部63の結合プレート構造64をマウスピース24の結合プレート65に接続し、くさび部70が結合プレート65の結合アイレット69に配置されて結合プレート65に対して回転しないようになっている。
【0037】
図7に示す構成では、対向する両ヒンジ結合部60,61には、結合軸77を形成するための結合ボルト67が設けられ、これによってマウスピース24は、ノズル部23に対して固定されて、必要に応じてタップ穴プラグガン20を前進動作させることによってタップ穴に導入できる。
【0038】
また、2本の結合ボルト67の一方がヒンジ結合部60または61の一方から取り外されると、マウスピース24は、例えばメンテナンスするために、ヒンジ結合部60または61に残っている結合ボルト67によって形成される結合軸77の周りで一側へ旋回させうる。したがって、図11に示されているように、マウスピース24は、結合軸77の周りで一方向または他方向へ選択的に旋回できる。
【0039】
図10から分かるように、ノズル部23とマウスピース24のそれぞれの対向する軸方向の接続縁部71、72の間には係合装置が形成される。前記係合装置は、一方側ではノズル部23の接続縁部71に形成された環状ウェブ73と、他方側ではマウスピース24の接続縁部72に形成された環状溝74から構成され、ヒンジ結合構造59によってノズル部23とマウスピース24との間で成立する接続部の径方向のシールを可能にしている。
【0040】
環状ウェブ73は、環状溝74の断面と相補関係の、切頭錐体形状の断面を有することが好ましい。結合プレート65の枠部68と結合ボルト67のくさび縁部70とにより可能となったくさび効果により、ノズル部23とマウスピース24との間の軸方向のシール力が、結合プレート65の結合アイレット69に結合ボルト67を挿入することによって発生可能になり、前記軸方向のシール力によって、マウスピース24とノズル部23の互いに対する効果的なシール位置を実現できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11