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特許7166516防犯カメラ装置操作プログラムおよび防犯カメラシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】防犯カメラ装置操作プログラムおよび防犯カメラシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20221031BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20221031BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221031BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20221031BHJP
   H04M 1/72 20210101ALI20221031BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 U
H04N5/232 030
H04N5/232 300
H04N5/225 600
G08B25/00 510M
H04M1/72
H04M1/00 U
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021567390
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2020047385
(87)【国際公開番号】W WO2021132066
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2019235109
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392001232
【氏名又は名称】アマノコーポレーション株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515134793
【氏名又は名称】TJC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】天野 憲一
(72)【発明者】
【氏名】程 鵬旭
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-195093(JP,A)
【文献】特開2012-073839(JP,A)
【文献】特開2005-080089(JP,A)
【文献】特表2017-526280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0155970(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0099941(US,A1)
【文献】特開2017-033109(JP,A)
【文献】特開2016-025426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/232
H04N 5/225
G08B 25/00
H04M 1/72
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯通信端末によって実行され携帯通信端末を防犯カメラ装置操作装置として機能させる防犯カメラ装置操作プログラムであり、
第1通信回線および第2通信回線により携帯通信端末を他の機器と通信させる機能を有し、
無線回線を介してサーバと通信し、操作対象の防犯カメラ装置と接続するための第2通信回線用通信確認コードを要求し、サーバから第2通信回線用通信確認コードを取得するステップと、
取得した第2通信回線用通信確認コードと取得時情報を携帯通信端末の記憶装置に保存するステップと、
取得した第2通信回線用通信確認コードにより第2通信回線を介して防犯カメラ装置と接続し、第1通信回線による接続を防犯カメラ装置に要求するステップと、
第1通信回線を介して防犯カメラ装置を制御するステップを実行する防犯カメラ装置操作プログラム。
【請求項2】
防犯カメラ装置の記憶装置に保存されている暗号化された画像情報を第1通信回線を介して取得するステップと、
取得した画像情報を携帯通信端末の記憶装置に保存するステップと、
暗号化された画像情報を復号し携帯通信端末の表示装置に画像を表示するステップを有する請求項1に記載の防犯カメラ装置操作プログラム。
【請求項3】
防犯カメラ装置の撮影範囲における非表示領域の設定を第1通信回線を介して指示するステップを有する請求項1または請求項2に記載の防犯カメラ装置操作プログラム。
【請求項4】
携帯通信端末の記憶装置に保存されている防犯カメラ装置のファームウェアの更新プログラムを第1通信回線を介して防犯カメラ装置に送信する更新プログラム送信ステップを有する請求項1から請求項3のいずれかに記載の防犯カメラ装置操作プログラム。
【請求項5】
複数の防犯カメラ装置と、少なくとも一つの携帯通信端末と、少なくとも一つのサーバを備え、
防犯カメラ装置は照明部材と撮影部材と演算装置と第1通信装置と記憶装置と第2通信装置を有し、撮影部材により取得された画像情報を暗号化して記憶装置に保存するようになっており、
携帯通信端末は演算装置と第1通信装置と記憶装置と第2通信装置を有し、さらに請求項1から請求項4のいずれかに記載の防犯カメラ装置操作プログラムを有し、
携帯通信端末とサーバは無線回線を介して通信可能になっていて、
それぞれの防犯カメラ装置には個別の特定情報と第2通信回線用通信確認コードが割り当てられており、サーバにはその個別の特定情報と第2通信回線用通信確認コードが対応付けられて保存されていて、
ユーザが防犯カメラ装置の特定情報を携帯通信端末に入力した時に、携帯通信端末からその特定情報が無線回線を介してサーバに送信され、
サーバは受信した特定情報に対応した第2通信回線用通信確認コードを無線回線を介して携帯通信端末に送信し、
携帯通信端末は取得した取得した第2通信回線用通信確認コードと取得時情報を携帯通信端末の記憶装置に保存し、
ユーザが防犯カメラ装置との通信開始の指示を携帯通信端末に入力した時に、携帯通信端末は第2通信回線用通信確認コードが保存されていることと所得時間からの経過時間が予め設定された使用可能期間の範囲内であることを確認した場合に限って第2通信回線用通信確認コードに基いて第2通信回線により防犯カメラ装置に通信開始の指示を送信し、
防犯カメラ装置は通信開始の指示を受信すると第1通信装置を通信可能状態に切り替え、
ユーザが画像情報取得の指示を携帯通信端末に入力すると、携帯通信端末は第1通信回線または第2通信回線を介して画像情報送信の指示を防犯カメラ装置に送信し、
画像情報送信の指示を受信した防犯カメラ装置は記憶装置に保存された暗号化された画像情報を携帯通信端末に送信し、
画像情報を受信した携帯通信端末は画像情報を携帯通信端末の記憶装置に保存するとともに、暗号化された画像情報を復号して携帯通信端末の表示装置に画像を表示するようになした防犯カメラシステム。
【請求項6】
防犯カメラ装置は撮影装置の撮影範囲において非表示領域を設定できるようになっており、第1通信回線を介して携帯通信端末により非表示領域を指示するようになした請求項に記載の防犯カメラシステム。
【請求項7】
照明部材の前面に設けられた青色フィルターと、撮影部材により取得された画像情報から青色フィルターによる効果を相殺するカラーシフト処理を行う青色補正ステップを有する請求項5または請求項6に記載の防犯カメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋外に設置される防犯カメラのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置され、撮影装置によってその場所の映像を常時撮影する防犯カメラは、すでに普及している。撮影された画像情報は、その防犯カメラの中の記憶装置に保存されるか、あるいは基地となる場所に設置されたサーバなどに転送されてそこで保存される。何等かの事件や犯罪などが発生した時には、関連する場所の防犯カメラにより撮影された映像を解析することによって、発生した現象を詳細に把握でき、事件の解決につながる情報を得ることもできる。
【0003】
このような防犯システムがあることは、悪意ある者に対して圧力になり、犯罪行為を思いとどまらせる効果もある。また、その地域における人たちに安心感を与える。
【0004】
一方で、公共の場を常時撮影することにより、撮影された映像にはプライバシーに係る情報も含まれる。これらの映像が流出すれば、悪用される危険も発生するし、プライバシーは尊重されるべきでもある。特に、事件や犯罪の防止や解決に必要がない場合には、それらのシステムの管理者も閲覧を控えるべきである。
【0005】
特許文献1には、照明装置に搭載可能な画像記録モジュールにおいて、撮像部により撮像された画像に基づいて生成された画像データを記録する記録手段と、第1の無線通信回線を介して画像データを送信することが可能な通信手段であって、第1の無線通信回線とは異なる第2の無線通信回線を介して受信した制御信号に従って動作する通信手段とを具備することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-25426号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の防犯カメラでは、撮影された画像情報の管理が難しく、プライバシーの保護に問題があった。特許文献1の画像記録モジュールでは、画像を送信できる第1の無線通信回線とは異なる第2の無線通信回線を設け、第2の無線通信回線によって第1の無線通信回線の操作を制御する。しかし、その第2の無線通信回線による制御に使用される遠隔操作装置はIRリモコンキーである。
【0008】
画像記録モジュールのそれぞれに対応したIRリモコンキーを有する者だけが、その画像記録モジュールの画像を取得できるという点においては、画像の不正流出を防止するために有利である。しかし、多数の画像記録モジュールを設置し、それを管理するとなると、それに応じた数のIRリモコンキーが必要になり取り扱いが難しくなる。一方、一つのIRリモコンキーに複数の画像記録モジュールを対応させれば、そのIRリモコンキーを有する者に多数の画像を取得する権限を与えることになり、その管理者が悪意を有すると、流出するおそれがある情報量も増大する。また、他者がIRリモコンキーを入手すれば、画像情報を自由に取得できることになる。
【0009】
さらに、多数の防犯カメラを設置しようとすれば、設置および保全の負担も大きくなる。そこで、設置および保全における作業が軽減されることも望まれる。この発明は、設置や保全が容易で、画像の取得も行いやすく、しかもプライバシーの保護において優れた安全性の高い防犯カメラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明の防犯カメラ装置操作プログラムは、
携帯通信端末によって実行され携帯通信端末を防犯カメラ装置操作装置として機能させる防犯カメラ装置操作プログラムであり、
第1通信回線および第2通信回線携帯により携帯通信端末を他の機器と通信させる機能を有し、
無線回線を介してサーバと通信し、操作対象の防犯カメラ装置と接続するための第2通信回線用通信確認コードを要求し、サーバから第2通信回線用通信確認コードを取得するステップと、
取得した第2通信回線用通信確認コードと取得時情報を携帯通信端末の記憶装置に保存するステップと、
取得した第2通信回線用通信確認コードにより第2通信回線を介して防犯カメラ装置と接続し、第1通信回線による接続を防犯カメラ装置に要求するステップと、
第1通信回線を介して防犯カメラ装置を制御するステップと、を実行する。
また、防犯カメラ装置の記憶装置に保存されている暗号化された画像情報を第1通信回線を介して取得するステップと、
取得した画像情報を携帯通信端末の記憶装置に保存するステップと、
暗号化された画像情報を復号し携帯通信端末の表示装置に画像を表示するステップを備えることが好ましい。
さらに、防犯カメラ装置の撮影範囲における非表示領域の設定を第1通信回線を介しての指示するステップを備えてもよい。
【0011】
また、この発明の防犯カメラシステムは、複数の防犯カメラ装置と、少なくとも一つの携帯通信端末と、少なくとも一つのサーバを備え、
防犯カメラ装置は照明部材と撮影部材と演算装置と第1通信装置と記憶装置と第2通信装置を有し、撮影部材により取得された画像情報を暗号化して記憶装置に保存するようになっており、
携帯通信端末は演算装置と第1通信装置と記憶装置と第2通信装置を有し、さらに請求項1から請求項3のいずれかに記載の防犯カメラ装置操作プログラムを有し、
携帯通信端末とサーバは無線回線を介して通信可能になっていて、
それぞれの防犯カメラ装置には個別の識別情報と第2通信回線用通信確認コードが割り当てられており、サーバにはその個別の識別情報と第2通信回線用通信確認コードが対応付けられて保存されていて、
ユーザが防犯カメラ装置の識別番号を携帯通信端末に入力した時に、携帯通信端末からその識別番号が無線回線を介してサーバに送信され、
サーバは受信した識別番号に対応した第2通信回線用通信確認コードを無線回線を介して携帯通信端末に送信し、
携帯通信端末は取得した第2通信回線用通信確認コードと取得時情報を携帯通信端末の記憶装置に保存し、
ユーザが防犯カメラ装置との通信開始の指示を携帯通信端末に入力した時に、携帯通信端末は第2通信回線用通信確認コードが保存されていることと所得時間からの経過時間が予め設定された使用可能期間の範囲内であることを確認した場合に限って第2通信回線用通信確認コードに基いて第2通信回線により防犯カメラ装置に通信開始の指示を送信し、
防犯カメラ装置は通信開始の指示を受信すると第1通信装置を通信可能状態に切り替え、
ユーザが画像情報取得の指示を携帯通信端末に入力すると、携帯通信端末は第1通信回線または第2通信回線を介して画像情報送信の指示を防犯カメラ装置に送信し、
画像情報送信の指示を受信した防犯カメラ装置は記憶装置に保存された暗号化された画像情報を携帯通信端末に送信し、
画像情報を受信した携帯通信端末は画像情報を携帯通信端末の記憶装置に保存するとともに、暗号化された画像情報を復号して携帯通信端末の表示装置に画像を表示するようになしたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明の防犯カメラシステムは、防犯カメラ装置操作プログラムをインストールした携帯通信端末により防犯カメラ装置の設定や画像情報の取得などが容易に行える。第1通信回線により画像情報を防犯カメラ装置から携帯通信端末に送信できる一方で、携帯通信端末との交信時以外の時には防犯カメラ装置の第1通信回線は通信ができなくなっており、悪意ある他者による画像情報の取得が防止される。さらに、防犯カメラ装置の第1通信回線の通信を可能にするために第2通信回線による指示が行われるが、その第2通信回線の接続を可能にするための第2通信回線用通信確認コードは、権限のある作業者であるユーザの所持する携帯通信端末のみがサーバから受け取ることができるようになっているため、他者による悪用が防止され、個人情報の保護が行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】防犯カメラシステムの概要を示す構成図である。
図2】防犯カメラ装置の構成を示すブロック図である。
図3】携帯通信端末の構成を示すブロック図である。
図4】防犯カメラ装置操作プログラムの概要を示すブロック図である。
図5】サーバの構成を示すブロック図である。
図6】防犯カメラシステムの作用の例の概要を示すフローチャートである。
図7】防犯カメラ装置の別の例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1は防犯カメラシステムの概要を示す構成図である。防犯カメラシステム1は、防犯カメラ装置2と携帯通信端末3とサーバ4を備える。防犯カメラ装置2は撮影装置5と、撮影された映像情報を保存する記憶装置6を備える。さらに、照明部材7も備えており、防犯灯としても機能するものである。防犯カメラシステム1には複数の防犯カメラ装置2a,2b,・・・,2nが含まれている。
【0015】
防犯カメラ装置について説明する。防犯カメラ装置2は屋外に設置されるものであり、全体として防犯灯に類似した外形を有する。これまで防犯灯が設けられていた場所に設置することもできる。したがって、通行する人の手の届かないような場所に設置される。安全対策が必要な場所にできるだけ多数設置されることが好ましい。
【0016】
防犯カメラ装置2は撮影装置5と、撮影された映像情報を保存する記憶装置6と、演算装置8と、第1通信装置9と、第2通信装置10を備える。さらに、照明部材7が備えられている。防犯カメラ装置2が収められた筐体は電柱などの高い位置に取り付けられ、外部より電力が供給される。照明部材7は寿命が長くて長期間に渡って交換が不要なLED光源が好ましく、消費電力も小さくできる。
【0017】
それぞれの防犯カメラ装置2には、その個体を特定するための識別情報としてカメラ特定情報が付されており、例えば通信における機器の個体識別番号であるMACナンバーなどが決められている。防犯カメラ装置2が設置されるときには、撮影装置5が適切な方向に設定される。そして、防犯カメラ装置2には、撮影範囲における非表示領域を定める非表示領域設定部11が備えられている。また、撮影装置5により取得される画像情報を暗号化する暗号部12も設けられている。防犯カメラ装置2によって連続的に撮影された画像は暗号部12によって暗号化され、所定の単位時間(たとえば5分)に区切られて順次、記憶装置6に記録される。所定の期間分(たとえば11日あるいは14日)の画像情報が保存される。その期間を過ぎた情報は廃棄され、新たな画像情報が上書きされていく。
【0018】
防犯カメラ装置2と携帯通信端末3とは、第1通信回線13および第2通信回線14により通信が行われる。第1通信回線13は無線LANであり、比較的遠距離まで通信でき、大量のデータを高速で送受信できる。IEEE 802.11に準拠した通信などが適しており、本例ではWi-Fi(登録商標)が使用されている。
一方、第2通信回線14は近距離無線通信であり、第1通信回線13のような大量のデータの送受信には向いていない。本例では、Bluetooth(登録商標)が使用されている。防犯カメラ装置2には、第1通信回線13による通信を行う第1通信装置9と、第2通信回線14による通信を行う第2通信装置10が設けられている。
【0019】
携帯通信端末について説明する。携帯通信端末3は演算装置を備えた多機能の通信端末であり、汎用の高機能携帯電話端末やタブレット端末でもよい。本例では、スマートフォン端末を使用している。これらの端末では、すでに画面表示およびタッチ操作による入力ができる画面や処理能力の高い演算装置、大容量の記憶装置、Wi-Fi(登録商標)の通信装置、Bluetooth(登録商標)の通信装置、携帯電話通信回線での通信装置などが備えられているので、これらのハードウェア資源をそのまま使用できる。この携帯通信端末3の記憶装置には、防犯カメラ装置操作プログラム22がアプリケーションとしてインストールされ、これによって携帯通信端末3を防犯カメラ装置操作装置として機能させる。
【0020】
図3は、携帯通信端末の構成を示すブロック図である。携帯通信端末3は、演算装置15、記憶装置16、表示装置17を備えるほかに、第1通信回線13による通信を行う第1通信装置18と、第2通信回線14による通信を行う第2通信装置19が設けられている。さらに携帯電話通信回線などの第3通信回線21による通信を行う第3通信装置20も備えられている。
【0021】
防犯カメラ装置操作プログラムについて説明する。図4は防犯カメラ装置操作プログラムの概要を示すブロック図である。
【0022】
確認コード取得部31は、無線回線21を介してサーバと通信し、操作対象の防犯カメラ装置2と接続するための第2通信回線用通信確認コードを要求し、サーバから第2通信回線用通信確認コードを取得するステップおよび取得した第2通信回線用通信確認コードと取得時情報を携帯通信端末の記憶装置に保存するステップを含むプログラムである。第2通信回線14により防犯カメラ装置2と通信するためには、その防犯カメラ装置2の個体ごとに定められた第2通信回線用通信確認コード、たとえばPINコードが必要となる。しかし、携帯通信端末3は第2通信回線用通信確認コードが常時使用できる状態では保存されていない。この確認コード取得部31を実行することによって、必要な時に対象となる防犯カメラ装置2に対応した第2通信回線用通信確認コードを取得し、その取得時情報とともに記憶装置16に保存する。
【0023】
第2通信部32は第2通信回線14により防犯カメラ装置2と通信を行うステップを含むプログラムである。確認コード取得部31により取得した第2通信回線用通信確認コードと取得時情報に基づいて実行され、正しい第2通信回線用通信確認コードを使用することによって第2通信部回線14で防犯カメラ装置2の第2通信装置10に接続する。そして、防犯カメラ装置2の第1通信装置9を作動させ、第1通信回線13による通信を開始する。
【0024】
画像部33は、第1通信回線13により防犯カメラ装置2から画像情報を受信するステップを含むプログラムである。画像情報取得部34では、防犯カメラ装置2の記憶装置5に保存されている画像情報で必要なものを選択し、送信を指示し、その画像情報を取得して記憶装置に保存する。ここで、受信する画像情報は暗号化されており、復号することによって表示可能な画像情報となる。画像部では、この画像を表示装置に表示させることもできる。
また、ライブ画像部35では、撮影装置5が撮影している画像情報をライブで取得する。この画像情報も復号されて表示装置17に表示される。
【0025】
設定部36は、第1通信回線13により防犯カメラ装置2と交信し、防犯カメラ装置2の各種設定を行うステップを含むプログラムである。設置時の初期設定なども行われる。非表示領域設定部37は、防犯カメラ装置2の非表示領域の指定を行う。防犯カメラ装置2の撮影装置5で撮影される画像に対しては、特定の領域を非表示にすることができるが、その領域の設定を行う。ライブ画像部35を実行させることにより、防犯カメラ装置2のライブ画像を表示装置17に表示させるとともに、この格子により分割された画像の区画から非表示にすべき区画を選択し、その区画を非表示領域とすることを防犯カメラ装置2に指示する。
【0026】
サーバ4について説明する。図5はサーバの構成を示すブロック図である。サーバ4は、携帯通信端末2とは別の装置である。基地となる場所に設置されている。サーバ用の専用コンピュータでもよいが、汎用のパーソナルコンピュータでもよい。サーバ4は、演算装置38、記憶装置39、入力装置40、および携帯通信端末2と通信するための通信装置41を備えている。また、記憶装置にはサーバ側プログラム42がインストールされている。
【0027】
サーバ側プログラムについて説明する。認証部43は携帯通信端末2との通信において、携帯通信端末2の使用者の権限を照合し、通信の許可・不許可を判定するプログラムである。記憶装置にはユーザ情報が記憶されている。携帯通信端末2から送信されるユーザ情報と照合し権限の有無を判定し、権限のあることを確認できた場合に、それ以降の通信を許可する。
【0028】
コード送信部44は権限のあるユーザの携帯通信端末2に対して、第2通信回線用通信確認コードを送信するプログラムである。記憶装置にはこの防犯カメラシステム1に含まれている防犯カメラ装置2のそれぞれを特定するカメラ個別番号が記憶されており、さらにそれぞれの第2通信回線用通信確認コードも個別番号に対応付けて記録されている。携帯通信端末3からの要求によりコード送信部42が実行されると、そのユーザが処置する防犯カメラ装置2のための第2通信回線用通信確認コードを携帯通信端末3に送信する。
【0029】
以上、防犯カメラシステム1の概要について、機材とプログラムとともに説明した。さらに、この防犯カメラシステム1の作用の例に基づいて詳細に説明する。図6は防犯カメラシステムの作用の例の概要を示すフローチャートである。ここでは、携帯通信端末3である防犯カメラ装置2の画像情報を取得する処理を含めて説明する。
【0030】
サーバ4では、事前に防犯カメラ情報登録PS1およびユーザ情報登録PS2を行う。防犯カメラ情報登録PS1では、管理すべき防犯カメラ装置2のカメラ個別情報と第2通信回線用通信確認コードを対応付けて、記憶装置39に保存しておく。新しい防犯カメラ装置を設置した時も、追加登録していく。
【0031】
ユーザ情報登録PS2では、使用権限を有するユーザを特定するユーザ特定情報およびそれに対応したパスワードを登録する。新たな操作員となるユーザの登録は、サーバ4においてのみによって行えるようになっている。なお、本例では、サーバ4の記憶装置39には防犯カメラ装置操作プログラムの構築に必要なデータが保存されていて、操作員としてユーザ登録を完了したユーザの携帯通信端末3に対してそのデータの送信を行い、携帯通信端末3に防犯カメラ装置操作プログラムのインストールを支援するようにしている。
【0032】
こうしてサーバ2に登録され防犯カメラ装置操作プログラムをインストールした携帯通信端末3を持つユーザは、防犯カメラ装置2の設定や画像情報取得が行えるようになる。ユーザは対象となる防犯カメラ装置2の近くに着いたら、携帯通信端末3で防犯カメラ装置操作プログラムを実行させる。
【0033】
防犯カメラ装置2では確認コード取得部31が実行される。まず、サーバ呼出PH1が実行される。表示画面のタッチ操作などによるユーザ特定情報とパスワードの入力を受けて、そのユーザ特定情報とパスワードが第3通信回線21によってサーバ4に送信される。
【0034】
呼出を受けたサーバ4は、ユーザ特定情報とパスワードを受信し、保存されているユーザ特定情報とパスワードと照合する。保存されたユーザ特定情報とパスワードと一致することが判定されたら、その後の処理を継続する。
【0035】
次いで、携帯通信端末3では確認コード要求PH2が実行される。防犯カメラ装置2を特定するカメラ個別情報がサーバ4に送信される。
【0036】
カメラ個別情報を受信したサーバ4では、確認コード送信PS4が実行される。受信したカメラ個別情報を保存されているカメラ個別情報と照合し、対応する第2通信回線用通信確認コードを携帯通信端末3に送信する。
【0037】
携帯通信端末3では確認コード受信PH3が実行される。受信した第2通信回線用通信確認コードおよびその時刻を携帯通信端末3の記憶装置に保存する。ここで、表示画面には第2通信回線用通信確認コードが取得されたことが表示されるが、第2通信回線用通信確認コードは表示されない。したがって、操作しているユーザは第2通信回線用通信確認コードを知ることができない。
【0038】
なお、第2通信回線用通信確認コードには一定の使用可能期間が設けられる。その期間を過ぎると第2通信回線用通信確認コードは携帯通信端末3の記憶装置から消去される。携帯通信端末3は第2通信回線用通信確認コードの存在と共に、取得時情報についても照合し、使用可能期間を経過していないことが確認されたときのみ、防犯カメラ装置2との接続を許可する。使用可能期間が経過している場合には、第2通信回線用通信確認コードは携帯通信端末3の記憶装置から消去するので、ユーザは確認コード取得を行わなければならない。この期間は作業の遂行に必要な程度にすることが好ましい。これによって、第2通信回線用通信確認コードを保存した携帯通信端末3を他者が取得しても、悪用することができない。
【0039】
第2通信回線通信PH4について説明する。第2通信回線通信PH4が実行されると、その防犯カメラ装置2に対応した第2通信回線用通信確認コードが保存されていることを確認し、確認できた場合にその第2通信回線用通信確認コードを使用して防犯カメラ装置2と第2通信回線により接続する。したがって、上述の確認コード取得部31の実行によりサーバ2から第2通信回線用通信確認コードを取得した正当なユーザだけが防犯カメラ装置2との通信を許される。そして、第2通信回線を介して防犯カメラ装置2に対して、第1通信回線による通信を要求する。これによって、防犯カメラ装置2の第1通信装置が稼働し、第1通信回線による通信が可能となる。
【0040】
第2通信回線は近距離に限られた通信範囲であり、その場に行かなければ通信できない。また、通信範囲は狭いため他者によって傍受される危険性も低い。
【0041】
第1通信回線18による通信が確立したら、防犯カメラ装置2の設定や画像情報の取得が行えるようになる。まず、画像取得について説明する。
【0042】
保存された画像情報を取得する場合、ユーザは表示画面17のタッチ操作などによって、撮影された日時を指定することによって、取得すべき画像情報のデータを選択する。この画像選択情報が防犯カメラ装置2に送信されると、防犯カメラ装置2は選択された画像情報を第1通信回線を介して携帯通信端末3に送信する。第1通信回線は大量のデータを高速で送受信できるので、画像情報の送信も短時間で行える。
【0043】
携帯通信端末3に送信される画像情報はすべて暗号化されたものである。防犯カメラ装置2は暗号部を備えていて、撮影装置5により撮影される画像情報は直ちに暗号化される。また、防犯カメラ装置2には復号部は設けられていない。したがって、この防犯カメラ装置2が画像情報を保存した状態で盗難されたとしても、その画像情報を画像として再生することはできない。また、送信中に他者が画像情報を傍受しても、やはり、その画像情報から画像を表示することはできない。
【0044】
携帯通信端末3は画像情報を受信すると、復号が実行され、画像情報は表示可能なデータに変換される。この画像情報は携帯通信端末3の記憶装置に保存される。表示を実行すれば、保存された画像情報の画像を表示装置に表示することができる。
【0045】
ライブ画像PH5が実行されると、携帯通信端末3は撮影装置5がそのときに撮影しつつある画像情報の送信を防犯カメラ装置2に要求する。これによって、撮影装置5が撮影しつつある画像情報が暗号化されて携帯通信端末3に送信される。携帯通信端末3は画像情報を受信しながら復号し、画像を表示装置17に表示させる。こうして、ユーザは撮影装置5が撮影しつつある映像をリアルタイムに観察でき、防犯カメラ装置2の稼働状態を正確に把握できる。
【0046】
次に、非表示領域設定PH7について説明する。携帯通信端末3において非表示領域設定PH7が実行されると、携帯通信端末3は撮影装置5がそのときに撮影しつつある画像情報の送信を防犯カメラ装置2に要求し、受信した画像情報を復号して表示装置17に表示させる。これは上述のライブ画像部PH6と同様である。また、表示される画像に重ねて格子も表示し、ユーザに対して非表示にすべき箇所の選択を促す。ユーザにタッチ操作などによって格子で分割された領域のうちで、画像情報の不要な箇所の選択を促して、選択された領域を非表示領域に指定する。この指定情報を防犯カメラ装置2に送信する。防犯カメラ装置2は受信した指定情報を記憶装置5に保存する。こうして、非表示領域が設定される。これ以降は、撮影された画像情報には非表示領域の部分の画像データが塗りつぶしやモザイク化などによって不可視化され、プライバシーが保護される。
【0047】
設定部では、照明装置の点灯・消灯の切り替えなどの機能を実行させることもできる。
【0048】
防犯カメラ装置2に対する必要な作業が終了すると携帯通信端末3の防犯カメラ装置操作プログラムは停止する。携帯通信端末3は第1通信回線による通信を終了する。これに対応して、防犯カメラ装置2も第1通信装置を停止させる。また、携帯通信端末3との通信が行われなくなって一定の時間が経過した時も、防犯カメラ装置2の第1通信装置は停止する。
【0049】
以上、作業員は携帯通信端末3で防犯カメラ装置操作プログラムを実行させて、防犯カメラ装置2に対する作業を容易に行うことができる。作業は効率的であり、多数の防犯カメラ装置2に対する作業を短時間で行うことができる。専用の機材を使用しなくても、携帯通信端末3に防犯カメラ装置操作プログラムをインストールすることによって必要時に必要数の防犯カメラ装置操作装置を取得でき、しかも、セキュリティに優れており、個人情報の保護に寄与する。
【0050】
なお、携帯通信端末3には、防犯カメラ装置2の内部にインストールされているファームウェアの更新プログラムを保存するようにすることもできる。そして、この更新プログラムを、第1通信回線を介して防犯カメラ装置2に送信する更新プログラム送信ステップを実行できるプログラムをインストールしておく。この更新プログラムは、防犯カメラ装置操作プログラムの一部として構成してもよく、独立したアプリケーションソフトウェアとし、特別な権限を有する作業員が使用する携帯通信端末3のみにインストールするようにしてもよい。
他方、防犯カメラ装置2には携帯通信端末3から送信される更新プログラムを受信し、ファームウェアを更新するファームウェア更新ステップを実行できるようにする。作業員は、防犯カメラ装置2の点検や画像の取得のために防犯カメラ装置2を訪れた際に、併せてファームウェアの更新を行ことができる。
電子機器のファームウェアを携帯電話通信回線などの一般通信回線を介して更新することは既に行われている。しかし、本例では各防犯カメラ装置2に一般通信回線による通信機能を持たせることなく、ファームウェアの更新ができる。したがって、高価な一般通信回線用通信装置を内蔵する必要がなく、また、高価な通信回線の使用料を払う必要もない。さらに、一般通信回線を使用しないので、関係者以外の者によって無断でファームウェアを書き変えられるリスクがない。
【0051】
防犯カメラ装置および防犯カメラシステムの別の例について説明する。図7は防犯カメラ装置の別の例の構成を示すブロック図である。本例でも上述の例と同じ構成を含み、それらについての説明は省略する。
【0052】
本例の防犯カメラ装置2では、青色の光が照射されるようになっている。図7に示す例では、照明部材7の前面に青色フィルター50が設けられている。この青色フィルター50として、青色のプラスチックのキャビネットが照明部材7の照射方向を覆うように取り付けられている。
【0053】
ここでは、照明部材7として白色LEDを使用している。たとえば、青色LEDとその補色である黄色蛍光体の組合せたものや、光の三原色のLEDを組合せたものを使用できる。照明部材7より放射された光は、青色フィルター50を通過することにより、青色成分の多い光となり、人の目にも青い光として見える。こうしての青色光に照らされることによって、そこを通行する人が安心感を覚えるという心理的効果がある。また、青色光の照射により、これは一般的な照明である街路灯とは異なって防犯灯であるということを示すことができる。防犯灯があることを知らしめることによって、一般の通行者には守られているという安心感をもたらし、他方で、悪意ある者に対しては犯罪行為を思いとどまらせる抑止効果がある。
【0054】
照明部材からの光の反射光は、撮影部材に到達し、CMOSセンサーなどの受光素子によって画像情報に変換される。本例においては白い光を照射して得られる画像よりも青みが勝った画像になっている。この画像情報に基いた画像は、目視などによる解析には適していない。本例の防犯カメラシステムは、撮影部材5により取得された画像情報から青色フィルターによる効果を相殺するカラーシフト処理を行う青色補正ステップを有する。色相関図上、青色の補色になる色の成分に重みを付ける処理を行うことによって、青みがかった画像を補正し、白色光の照射での撮影に近い画像が再現される。この画像は鮮明であり、犯罪等の確認なども迅速に行うことができる。
【0055】
青色補正ステップは、防犯カメラシステムにおいていずれの段階で行ってもよい。防犯カメラ装置でも、携帯通信端末でも、あるいはサーバであってもよい。ここでは、防犯カメラ装置内にある制御プログラムの一部として青色補正部51が設けられている。撮影部材により画像情報がされた後に、演算装置8により青色補正部51の青色補正ステップが実行される。
【符号の説明】
【0056】
1.防犯カメラシステム
2.防犯カメラ装置
3.携帯通信端末
4.サーバ
5.撮影装置
6.記憶装置
7.照明部材
8.演算装置
9.第1通信装置
10.第2通信装置
11.非表示領域設定部
12.暗号部
13.第1通信回線
14.第2通信回線
15.演算装置
16.記憶装置
17.表示装置
18.第1通信装置
19.第2通信装置
20.第3通信装置
21.第3通信回線
31.確認コード取得部
32.第2通信部
33.画像部
34.画像情報取得部
35.ライブ画像部
36.設定部
37.非表示領域設定部
38.演算装置
39.記憶装置
40.入力装置
41.通信装置
42.サーバ側プログラム
43.認証部
44.コード送信部
50.青色フィルタ
51.青色補正ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7