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特許7166527チップカード用電子モジュールの製造方法
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  • 特許-チップカード用電子モジュールの製造方法 図1
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  • 特許-チップカード用電子モジュールの製造方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】チップカード用電子モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
G06K19/077 196
G06K19/077 212
G06K19/077 244
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019546083
(86)(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 FR2017000206
(87)【国際公開番号】W WO2018083389
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-01-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】1601576
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517307773
【氏名又は名称】スマート パッケージング ソリューションズ
【氏名又は名称原語表記】SMART PACKAGING SOLUTIONS
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】レヴァ,カティア
(72)【発明者】
【氏名】リヴラティ,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】カルヴァ,ベルナール
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】須田 勝巳
【審判官】児玉 崇晶
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-509024(JP,A)
【文献】特開2003-289124(JP,A)
【文献】特開2006-253430(JP,A)
【文献】特開2000-207521(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2605188(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2608114(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップカード用電子モジュールの製造方法であって、前記モジュールが、少なくとも1つの面が金属層(7、8)を有する基板(11)を有し、前記基板(11)が凹部を備え、該凹部の中には、チップカードのアンテナへの接続または電気接点の端子板への接続用の出力端子を備えた超小型電子チップ(2)が固定され、前記接続が、基板の1つの面に対して盛り上がったループを形成する金属製の接続線(4、5、6)によって実現されるチップカード用電子モジュールの製造方法であって、該製造方法が、接続線(4、5、6)の配線の後に、盛り上がった線(4、5、6)のループを押さえて高さを減らして前記基板面の方に押しつける蓋(13)を使って、凹部を有するモジュール面をすっかり覆う工程を有し、前記蓋(13)が、蓋としてのその役割を果たすのに十分硬く、蓋(13)の厚み内に線(4、5、6)のある程度の嵌め込みを可能にするのに十分柔らかい可鍛性プラスチック材料で作製され、このことが線をあるべき場所に保持することに寄与していることを特徴とする、チップカード用電子モジュールの製造方法。
【請求項2】
電子モジュールが、基板(11)の両側に位置する上方金属層(7)および下方金属層(8)を有し、接続線(4、5、6)が、上方金属層(7)に対して盛り上がったループを形成する方法であって、蓋(13)が前記上方金属層(7)に線(4、5、6)を押しつけるようになることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電子モジュールが下方金属層(8)だけを有し、接続線(4、5、6)が基板(11)に対して盛り上がったループを形成する方法であって、蓋(13)が前記基板(11)に線(4、5、6)を押しつけるようになることを特徴とする、請求項1に記載の方法
【請求項4】
前記可鍛性プラスチック材料がポリウレタンであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1つに記載の方法によって得られることを特徴とする、電子モジュール。
【請求項6】
請求項に記載の電子モジュールを有することを特徴とする、接触・非接触式デュアル通信インターフェースチップカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触式電子モジュール、または、接触・非接触式デュアル通信インターフェース電子モジュールの製造方法、およびそのようなモジュールを内蔵したチップカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
接触動作式チップカード、非接触動作式チップカード、または接触・非接触動作式複合型チップカードのための多くの超小型電子モジュールが、現状技術において既に存在している。
【0003】
現状技術にかかるデュアル通信インターフェースカードの大多数は、以下から成る。
-超小型電子チップと、接触式チップカードリーダーに対応する端子との接触用の接触式接続用端子板と、アンテナへの接続を可能にする裏面に位置する2つの接点を有する、電子モジュール、
-アンテナを有する、プラスチック材料製カード、
-電子モジュールとアンテナとの間の接続を可能にする、導電性材料。
【0004】
そのようなモジュールを作製するために、基板上にチップを置くこと、ついで典型的には非常に細い接続線を使って、モジュールの通信インターフェースとチップとの、対応する端子間の電気的接続を実現することが必要である。
【0005】
次に、重合性コーティング樹脂の滴を用いて、チップの接点と接続線とを保護する必要がある。ついで、樹脂の滴を日に当てて重合させる。その際、樹脂がその固化を完了するためにおよそ1日待つ必要があり、ついで熱処理を行うが、それは数時間継続する。
【0006】
最後に、モジュールの1つの面に粘着剤を被着させ、カードの凹部の中にモジュールを接着する。
【0007】
コーティング樹脂の滴は硬化しても、相変わらず膨らんだ形をしている。その際モジュールは、所望の厚みに戻すために修正を施す必要がある。
【0008】
これらの作業全体が複雑で時間がかかり、計5日間に及ぶ場合もあることが確認されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の全体的な目的はしたがって、上述の不都合のない、接触式チップカード用または接触・非接触式デュアル通信インターフェースチップカード用の電子モジュールの製造方法を提案することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、通常得られる信頼性レベルを損なうことなく既知の方法を用いて、製造工程の数、ならびに直結する費用および時間を著しく削減することを可能にする、電子モジュールの製造方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の原理は、接続線を用いた端子の接続工程の後に、線によって作られた余分な厚みをなすループを、ある材料層を使って押さえることにあり、この材料層は、ループを低くして製品の厚みを減らすのに十分硬く、接続線が余分な厚みを発生させることなくそこに嵌め込まれるのに十分柔らかい。
【0012】
本発明は従って、チップカード用電子モジュールの製造方法を対象としており、前記モジュールは、少なくとも1つの面が金属層を有する基板を有し、前記基板は凹部を備え、該凹部の中には、チップカードのアンテナへの接続または電気接点の端子板への接続用の出力端子を備えた超小型電子チップが固定され、前記接続は、基板の1つの面に対して盛り上がったループを形成する金属製の接続線によって実現される、チップカード用電子モジュールの製造方法であり、該製造方法は、接続線の配線の後に、盛り上がった線のループを押さえて高さを減らして前記基板面の方に押しつける蓋を使って、凹部を有するモジュール面をすっかり覆う工程を有することを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる方法は、基板の両側に位置する2つの金属層を備えたモジュールの製造にも、または基板の1つの面だけに位置する1つだけの金属層を備えたモジュールの製造にも応用される。
【0014】
このように、電子モジュールが基板の両側に位置する上方金属層および下方金属層を有する場合、接続線は上方金属層に対して盛り上がったループを形成するので、該方法は、蓋が前記上方金属層に線を押しつけるようになることを想定する。
【0015】
しかし、電子モジュールが下方金属層だけを有する場合、接続線は基板に対して盛り上がったループを形成するので、該方法は、蓋が前記基板に線を直接押しつけるようになることを想定する。
【0016】
本発明の見地によると、前記蓋は、蓋としてのその役割を果たすのに十分硬く、蓋の厚み内に線のある程度の嵌め込みを可能にするのに十分柔らかい可鍛性プラスチック材料で作製され、このことは線をあるべき場所に保持することに寄与している。
【0017】
本発明はまた、上記の方法によって得られる電子モジュール、および改善され単純化されたこのような電子モジュールを含むチップカードも対象とする。
【0018】
本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および以下のような添付の図面を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】チップカード用電子モジュールを、平面図で示している。
図2図1の電子モジュールの断面図であり、既知の製造方法にしたがって修正された樹脂の滴を示している。
図3図1の電子モジュールの断面図であり、接続線を押さえる前である。
図4図2の電子モジュールの断面図であり、本発明の方法にしたがって接続線を押さえた後である。
図5A】モジュールの閉鎖層の中への接続線の嵌め込み形態の1つを拡大断面図で示している。
図5B】モジュールの閉鎖層の中への接続線の嵌め込み形態の1つを拡大断面図で示している。
図5C】モジュールの閉鎖層の中への接続線の嵌め込み形態の1つを拡大断面図で示している。
図6】本発明にかかる方法の、アンテナのない接触モジュールに相当するモジュールの、変形例への応用を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1で、非接触式チップカード用超小型電子モジュール1の、平面図を示した。このモジュール1は、従来通り、底部に超小型電子チップ2の受け部分がある凹部、アンテナ3のコイル、チップの通信インターフェース用端子とアンテナ3に対応する端子の間の接続線4、5、6を有する。
【0021】
図2の断面図は、図1の接続線4、5、6に沿って実現されている。該図は、モジュールの構造をより詳細に示しているが、このモジュールは従来の製造方法を用いて得られたものである。このようにチップ2はまた、アンテナ3のコイルを含む金属層8に接着される。
【0022】
図2から4に示される例において、モジュールは、絶縁基板11の両側に位置する2つの金属層7、8と、粘着剤10とを有する。チップ2の通信インターフェースの端子(表示されていない)は、線4、5、6によって、モジュールの金属接点および/またはアンテナ3の端子に接続される。接続線6は、上方金属層7の金属部分を、下方金属層8の接続部分につなぐ。このため、接続線は穴14の中を通る。
【0023】
2つの金属層7、8を有するこの構造は、接触・非接触式デュアル通信インターフェースチップカード用モジュールに特有である。
【0024】
観察されるように、接続線4、5、6は、上方金属層7に対して盛り上がったループを形成する。この余分な厚みは、現状技術においては、封止樹脂12によって吸収され、封止樹脂はその結果線4、5、6を保護する。図2で観察されるように、封止樹脂は平らな表面を示し、それは樹脂の滴の加工後の状態であり、モジュールはそのとき、チップカードのような完成品の適切な凹部の中、または、電子パスポートや他の公的書類のような非接触式製品用挿入物の中に移すことができる状態にある。
【0025】
観察されるように、図2の左側に層状に示された厚みは、モジュールの全厚みが280マイクロメートルであることを示している。本発明にかかる方法の目的の1つは、製造工程の単純化に加えて、この厚みをチップや他の構成要素の厚みを減らすことなく削減することを可能にすることである。
【0026】
図3は、図2の断面図に類似した断面図を示している。それは上方金属層7を支える基板の上部面に対して盛り上がったループを形成する金属線4、5、6が配線されたモジュールであるが、ただしチップのいかなるコーティング作業もまだ施されていない。
【0027】
製造方法のこの段階で、コーティング樹脂の滴の代わりに蓋13を使ってチップを保護することを本発明は想定しており、この蓋は、チップ、凹部、および上方金属板7をすっかり覆うように、凹部の側に位置するモジュールの上部面に直接押し当てられる。蓋13は、接続線4、5、6を押さえて、接続線を金属層7の上部表面の高さに戻すように基板に向かって押しつけるように押し当てられる。驚くべきことに、金属部分への線の接続の切断を引き起こすことなく、またモジュールの信頼性を損なうことなく、線がこのように押しつけられることができることが実際に確認された。
【0028】
観察されるように、モジュールの厚みは本発明により180マイクロメートルまで引き戻され、すなわち図2におけるものよりも3分の1薄くなる。
【0029】
有利には、蓋としてのその役割を果たすのに十分硬く、また蓋13の厚みの中へ線4、5、6のある程度の嵌め込みを可能にするのに十分に柔らかい、ポリウレタンのような熱可塑性材料が蓋13用に選択され、このことは、線をあるべき場所に保持することに寄与する。
【0030】
粘着剤はさらに、チップカードのような完成品の中へモジュールを移動することを容易にするために、モジュールの2つの側面に配置され得る。
【0031】
図5A図5Bおよび図5Cは、わずかに押しつぶされた線と、蓋13内への線の多少の差こそあれはっきりとした嵌め込みを示しており、その変形は誇張して示されている。
【0032】
図6において、先のように蓋13を備えたモジュールを断面図で示したが、ただしこれはいわゆる単一面のモジュールであり、接触式で規格7816-1と適合し得る。このモジュールは、蓋13を受ける基板の面と反対側にある、ただ1つの金属層8しか有しない。
【0033】
この場合、蓋13は、線4、5、6のループを基板11に直接押しつけることができる。
【0034】
唯一の金属層8は、そのような場合、接触動作式カードの場合には端子板の接点を、またはアンテナのトラックを実現するのに使用される。類似の構造が、デュアル通信インターフェースモジュールを用いて実現され得る。
【0035】
最終的に本発明は、チップカード用モジュールを獲得するために改善された新しい製造方法を提案して、定められた目的に応える。
【0036】
この方法により、樹脂を用いてチップを封止する必要はもはやなくなり、よって樹脂の加熱硬化や厚みの修正といった、封止処理に必要なあらゆる作業は不要となる。
【0037】
その結果、以前はおよそ5日であった製造サイクルタイムと比べておよそ2日間の時間の節約となる。
【0038】
蓋の取付けを伴うモジュールの製造に必要とされる作業の単純さはまた、製造コストの削減ももたらす。
【0039】
付随的に、この方法により、およそ180マイクロメートル(基板、チップ、および線の厚みに関する一定のパラメータ)というさらに減少した厚みのモジュールを獲得することが可能になり、これによりさらに、このようなモジュールおよびチップカードまたはこのようなモジュールを組み入れる文書の使用可能な事例を増やすことが可能になる。
【0040】
新しい方法は、チップカードがいかなるタイプ、つまり接触式、非接触式、デュアル式にかかわらず適用可能である。
【0041】
最後に、上方層の色の適切な選択により、完成品における最適な統合が可能になる。
【符号の説明】
【0042】
4 接続線
5 接続線
6 接続線
7 金属層
8 金属層
11 基板
13 蓋
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6