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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】角度検出器の励磁信号異常検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
G01D5/20 110Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018150175
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020026961
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(74)【代理人】
【識別番号】100195006
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勇蔵
(72)【発明者】
【氏名】櫛原 弘
(72)【発明者】
【氏名】丸山 裕史
(72)【発明者】
【氏名】牛草 遼平
(72)【発明者】
【氏名】新井 真一
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-214523(JP,A)
【文献】特開2008-164560(JP,A)
【文献】特開2008-30897(JP,A)
【文献】特開2015-141031(JP,A)
【文献】特開2009-272007(JP,A)
【文献】特開昭63-179259(JP,A)
【文献】特開昭61-182579(JP,A)
【文献】特開平5-81678(JP,A)
【文献】特開2008-259321(JP,A)
【文献】特開2016-105047(JP,A)
【文献】特開平7-219480(JP,A)
【文献】特開2006-228317(JP,A)
【文献】特開2001-274848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12-5/252
G01B 7/00-7/34
H02K 24/00、
11/00-11/40、
29/00-29/14
H02P 6/00-6/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2相励磁2相出力方式の角度検出器において、励磁信号の異常を検出する装置であって、
第1相の励磁信号の位相を検出する第1相コンパレータと、
第2相の励磁信号の位相を検出する第2相コンパレータと、
前記第1相コンパレータの出力の反転時刻と、前記第2相コンパレータの出力の反転時刻との差分を計測する位相差カウンタと、
前記差分が所定の位相差範囲外である 場合に異常検出信号を出力す信号出力器と
を備える、装置。
【請求項2】
前記位相差範囲は可変に設定可能である、請求項に記載の装置。
【請求項3】
各相の励磁信号と、所定の上側閾値とを比較する上側コンパレータと、
各相の励磁信号と、所定の下側閾値とを比較する下側コンパレータと、
前記上側コンパレータの出力信号の反転間隔を計測する上側カウンタと、
前記下側コンパレータの出力信号の反転間隔を計測する下側カウンタと、
をさらに備え、
前記信号出力器は、前記上側カウンタまたは前記下側カウンタの値が所定のカウント閾値に達した場合に異常検出信号を出力する、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記上側閾値または前記下側閾値は可変に設定可能である、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記上側カウンタまたは前記下側カウンタのカウント閾値は可変に設定可能である、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記上側コンパレータの出力信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する、上側両エッジ検出器と、
前記下側コンパレータの出力信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する、下側両エッジ検出器と、
をさらに備える、請求項~5のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2相励磁2相出力方式の角度検出器において、励磁信号の異常を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
角度検出器の異常を検出するための技術を記載した文献として、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-310727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置では、励磁信号の異常を検出することができないという問題があった。
【0005】
たとえば特許文献1の構成では、位置検出装置の異常を検出することはできるが、励磁信号の異常については検出することができない。
【0006】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたものであり、2相励磁2相出力方式の角度検出器において、励磁信号の異常を検出できるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る装置は、2相励磁2相出力方式の角度検出器において、励磁信号の異常を検出する装置であって、
各相の励磁信号と、所定の上側閾値とを比較する上側コンパレータと、
各相の励磁信号と、所定の下側閾値とを比較する下側コンパレータと、
前記上側コンパレータの出力信号の反転間隔を計測する上側カウンタと、
前記下側コンパレータの出力信号の反転間隔を計測する下側カウンタと、
前記上側カウンタまたは前記下側カウンタの値が所定のカウント閾値に達した場合に異常検出信号を出力する、信号出力器と
を備える。
特定の態様によれば、
第1相の励磁信号の位相を検出する第1相コンパレータと、
第2相の励磁信号の位相を検出する第2相コンパレータと、
前記第1相コンパレータの出力の反転時刻と、前記第2相コンパレータの出力の反転時刻との差分を計測する位相差カウンタと、
前記差分が所定の位相差範囲外である場合に異常検出信号を出力する、信号出力器と
をさらに備える。
特定の態様によれば、前記位相差範囲は可変に設定可能である。
特定の態様によれば、前記上側閾値または前記下側閾値は可変に設定可能である。
特定の態様によれば、前記上側カウンタまたは前記下側カウンタのカウント閾値は可変に設定可能である。
特定の態様によれば、
前記上側コンパレータの出力信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する、上側両エッジ検出器と、
前記下側コンパレータの出力信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する、下側両エッジ検出器と、
をさらに備える。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る装置は、コンパレータおよびカウンタを用いることにより、励磁信号の異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態1に係る異常検出装置を含む構成の例を示す図である。
図2図1の異常検出装置に含まれる回路の構成の例を示す図である。
図3】正常な励磁信号の例を示す図である。
図4】異常な励磁信号の例を示す図である。
図5】異常な励磁信号の別の例を示す図である。
図6】励磁信号の正常な位相差の例を示す図である。
図7】励磁信号の異常な位相差の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、この発明の実施の形態1に係る異常検出装置100を含む構成の例を示す。異常検出装置100は、2相励磁2相出力方式の角度検出器において、励磁信号の異常を検出する装置である。角度検出器10は、2相励磁2相出力方式の角度検出器の例である。励磁信号発生部20は角度検出器10を励磁する2相の励磁信号を発生する。励磁信号の角速度をωとし、時間をtとすると、2相の励磁信号の一方R1-R3がcosωtに対応し、他方R2-R4がsinωtに対応する。
【0011】
角度検出器10は、回転角度θに応じて2相の出力信号を出力する。図1では、角度検出器10の2相の出力信号のうち、一方をcos(ωt-θ)とし、他方をsin(ωt-θ)とする。cos(ωt-θ)は、2つの信号S1およびS3によって表され、たとえばS1-S3に対応する。同様に、sin(ωt-θ)は、2つの信号S2およびS4によって表され、たとえばS2-S4に対応する。
【0012】
図2に、異常検出装置100に含まれる回路の構成の例を示す。異常検出装置100は、上側閾値出力器101と、下側閾値出力器102と、上側コンパレータ103と、下側コンパレータ104と、上側両エッジ検出器105と、下側両エッジ検出器106と、上側カウンタ107と、下側カウンタ108と、ORゲート109と、ANDゲート110と、第1相コンパレータ113と、第2相コンパレータ114と、第1相フィルタ115と、第2相フィルタ116と、位相差カウンタ117と、上側閾値比較器118と、下側閾値比較器119とを備える。
【0013】
励磁信号R1およびR3は、第1相の励磁信号(たとえばcosωt)を表す。励磁信号R2およびR4は、第2相の励磁信号(たとえばsinωt)を表す。
【0014】
出力信号RC_ERRは、第1相の励磁信号における異常の有無を表す。出力信号RS_ERRは、第2相の励磁信号における異常の有無を表す。出力信号R_ERRは、第1相の励磁信号、第2相の励磁信号、または2相の励磁信号間の位相差における異常の有無を表す。すなわち、R_ERRがオンであり、RC_ERRおよびRS_ERRが共にオフである場合には、2相の励磁信号間の位相差における異常の存在が示されることになる。
【0015】
上側コンパレータ103、下側コンパレータ104、上側両エッジ検出器105、下側両エッジ検出器106、上側カウンタ107および下側カウンタ108からなる組は、励磁信号R1~R4それぞれについて設けられる。以下、励磁信号R1を例として説明するが、この説明は他の励磁信号R2~R4のそれぞれについても同様に当てはまる。
【0016】
上側コンパレータ103は、励磁信号R1と、所定の上側閾値VHとを比較する。下側コンパレータ104は、励磁信号R1と、所定の下側閾値VLとを比較する。
【0017】
上側両エッジ検出器105は、上側コンパレータ103の出力信号のエッジを検出し、とくに、立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの双方を検出する。下側両エッジ検出器106は、下側コンパレータ104の出力信号のエッジを検出し、とくに、立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの双方を検出する。
【0018】
上側カウンタ107は、上側両エッジ検出器105によって検出されたエッジ間の時間を計測する。たとえば、上側カウンタ107は周期的にカウントアップする値を保持し、上側両エッジ検出器105から入力されるエッジ検出信号に応じて値をリセットする。このようにして、上側カウンタ107は、上側コンパレータ103の出力信号の反転間隔を計測する。また、上側カウンタ107は、保持する値が所定のカウント閾値に達した場合(すなわち、反転間隔が所定の時間閾値に達した場合)に、異常検出信号を出力する。
【0019】
下側カウンタ108は、下側両エッジ検出器106によって検出されたエッジ間の時間を計測する。たとえば、下側カウンタ108は周期的にカウントアップする値を保持し、下側両エッジ検出器106から入力されるエッジ検出信号に応じて値をリセットする。このようにして、下側カウンタ108は、下側コンパレータ104の出力信号の反転間隔を計測する。また、下側カウンタ108は、保持する値がカウント閾値に達した場合(すなわち、反転間隔が所定の時間閾値に達した場合)に、異常検出信号を出力する。
【0020】
上側閾値出力器101における閾値(上側閾値VH)は、可変に設定可能であってもよい。たとえば図示のように検出閾値選択信号に応じて上側閾値VHを変更する上側閾値出力器を備えてもよい。同様に、下側閾値出力器102における閾値(下側閾値VL)は、可変に設定可能であってもよい。たとえば図示のように検出閾値選択信号に応じて下側閾値VLを変更する下側閾値出力器を備えてもよい。
【0021】
上側カウンタ107のカウント閾値は、可変に設定可能であってもよい。たとえば図示のように検出時間選択信号に応じてカウント閾値を変更するものであってもよい。同様に、下側カウンタ108のカウント閾値は、可変に設定可能であってもよい。たとえば図示のように検出時間選択信号に応じてカウント閾値を変更するものであってもよい。
【0022】
第1相コンパレータ113は、第1相の励磁信号の位相を検出する。たとえば、励磁信号R1およびR3の値の大小関係に応じて位相を決定し出力する。第2相コンパレータ114は、第2相の励磁信号の位相を検出する。たとえば、励磁信号R2およびR4の値の大小関係に応じて位相を決定し出力する。
【0023】
第1相フィルタ115は、第1相コンパレータ113の出力信号をフィルタリングし、ノイズを除去する。第2相フィルタ116は、第2相コンパレータ114の出力信号をフィルタリングし、ノイズを除去する。
【0024】
位相差カウンタ117は、第1相コンパレータ113の出力の反転時刻と、第2相コンパレータ114の出力の反転時刻との差分を計測する。たとえば、位相差カウンタ117は周期的にカウントアップする値を保持し、第1相コンパレータ113の出力信号に現れるエッジおよび第2相コンパレータ114の出力信号に現れるエッジのいずれかを検出することに応じて値をリセットする。
【0025】
角度検出器10が正常に動作している場合には、2相の反転時刻間の差分は一定となる。2相の位相は90度ずれているので、励磁信号の周期がTである場合には、反転時刻間の差分はT/4となる。
【0026】
上側閾値比較器118は、この反転時刻間の差分と、所定の上側閾値PHとを比較し、反転時刻間の差分が上側閾値PH以上である場合に、異常検出信号を出力する。下側閾値比較器119は、反転時刻間の差分と、所定の下側閾値PLとを比較し、反転時刻間の差分が下側閾値PL以下である場合に、異常検出信号を出力する。このようにして、上側閾値比較器118および下側閾値比較器119は、反転時刻間の差分が所定の位相差範囲外である場合に異常検出信号を出力する、信号出力器を構成する。
【0027】
第1相フィルタ115および第2相フィルタ116の特性は、可変に設定可能であってもよい。たとえば図示しないフィルタ設定信号に応じて特性を変更するものであってもよい。なお、フィルタリングの必要がない場合等には、第1相フィルタ115および第2相フィルタ116は省略してもよい。
【0028】
上側閾値比較器118における閾値(上側閾値PH)は、可変に設定可能であってもよい。たとえば図示しない位相差閾値設定信号に応じて上側閾値PHが変更されてもよい。同様に、下側閾値比較器119における閾値(下側閾値PL)は、可変に設定可能であってもよい。たとえば図示しない位相差閾値設定信号に応じて下側閾値PLが変更されてもよい。
【0029】
ORゲート109およびANDゲート110からなる回路部分は、異常検出装置100の信号出力部として機能し、励磁信号R1の上側カウンタ107、下側カウンタ108のいずれかからの異常検出信号と、励磁信号R3の上側カウンタ107、下側カウンタ108のいずれかからの異常検出信号との双方が出力された場合に、第1相の励磁信号に異常が存在することを表す異常検出信号(出力信号RC_ERR)を出力する。また、このORゲート109およびANDゲート110からなる回路部分は、励磁信号R2の上側カウンタ107、下側カウンタ108のいずれかからの異常検出信号と、励磁信号R4の上側カウンタ107、下側カウンタ108のいずれかからの異常検出信号との双方が出力された場合に、第2相の励磁信号に異常が存在することを表す異常検出信号(出力信号RS_ERR)を出力する。また、このORゲート109およびANDゲート110からなる回路部分は、上側閾値比較器118から異常検出信号が出力された場合、下側閾値比較器119から異常検出信号が出力された場合、出力信号RC_ERRが出力された場合、および、出力信号RS_ERRが出力された場合にはいずれも、これに応じて異常検出信号を出力する。
【0030】
図3に、角度検出器10の正常な励磁信号の例を示す。この例では、励磁信号R1は、所定値Vcomを中心として振動し、上限は上側閾値VHを超え、下限は下側閾値VLを下回る。振幅は角度検出器10の検出角度によらず一定である。たとえばVcc=5[V]である場合には、Vcom=Vcc/2=2.5[V]、VH=Vcc×0.55=2.75[V]、VL=Vcc×0.45=2.25[V]とすることができる。
【0031】
この場合には、励磁信号R1が上側閾値VHおよび下側閾値VLと交差するたびに上側コンパレータ103および下側コンパレータ104の出力が変化し、上側両エッジ検出器105および下側両エッジ検出器106がこれを検出して上側カウンタ107および下側カウンタ108をリセットする。
【0032】
検出時間(カウント閾値)を適切に設定しておけば、上側カウンタ107および下側カウンタ108の値はカウント閾値に達する前にリセットされるので、上側カウンタ107および下側カウンタ108は異常検出信号を出力しない。
【0033】
図4に、角度検出器10の異常な励磁信号の例を示す。この例では、励磁信号R1の振幅が異常に減少し、上限は上側閾値VHを超えず、下限は下側閾値VLを下回らない。このような状態は、角度検出器10の周辺回路の異常または励磁信号発生部20の異常、等の場合に発生し得る。
【0034】
この場合には、上側コンパレータ103および下側コンパレータ104の出力が変化しないので、上側両エッジ検出器105および下側両エッジ検出器106はエッジを検出せず、上側カウンタ107および下側カウンタ108がリセットされない。このため、時間が経過すると上側カウンタ107または下側カウンタ108の保持する値がカウント閾値に達し、異常検出信号が出力される。
【0035】
図5に、角度検出器10の異常な励磁信号の別の例を示す。この例では、時刻t1において励磁信号R1の値が固定されている。このような状態は、天絡、地絡または励磁信号発生部20の異常、等の場合に発生し得る。この場合にも、時刻t1以降は上側コンパレータ103および下側コンパレータ104の出力が変化しないので、時間が経過すると異常検出信号が出力される。
【0036】
なお、図4および図5の例では励磁信号R1の振幅が減少または消失しているが、励磁信号R1の振幅が正常であっても、オフセットが発生した場合には、上側閾値VHまたは下側閾値VLとの交差頻度が減少またはゼロとなる場合があり、そのような場合には上側カウンタ107または下側カウンタ108から異常検出信号が出力される。
【0037】
図6に、角度検出器10の励磁信号の正常な位相差の例を示す。この例では、第1相の励磁信号(R1-R3)と第2相の励磁信号(R2-R4)との位相差が90度である。この場合には、位相差カウンタ117はT/4ごとにリセットされる。上側閾値PHがT/4より大きく、下側閾値PLがT/4より小さくなるよう適切に設定しておけば、上側閾値比較器118および下側閾値比較器119は異常検出信号を出力しない。
【0038】
図7に、角度検出器10の励磁信号の異常な位相差の例を示す。この例では、第2相の励磁信号(R2-R4)の位相に遅れが生じている。この場合には、位相差カウンタ117がT/4未満の短い時間でリセットされる場合と、T/4を超える長い時間リセットされない場合とが繰り返される。この短い時間が下側閾値PL以下となった場合には下側閾値比較器119から異常検出信号が出力され、この長い時間が上側閾値PH以上となった場合には上側閾値比較器118から異常検出信号が出力される。
【0039】
以上説明するように、本発明の実施の形態1に係る異常検出装置100によれば、コンパレータおよびカウンタを用いることにより、2相励磁2相出力方式の角度検出器において、励磁信号の異常を検出することができる。
【0040】
とくに、2相それぞれについて励磁信号の異常を検出するので、2相の励磁信号のどちらに異常が発生しているかを特定できる。
【0041】
なお、1相励磁2相出力の振幅変調方式の角度検出器では、励磁振幅が減少した場合に出力コイルの2相の出力電圧振幅が共に減少するため容易に検出可能であるが、本実施形態に係る角度検出器10のような2相励磁2相出力の場合には、片側1相の励磁振幅が減少した場合に角度検出器の角度により2相の出力電圧振幅の振幅減少具合がそれぞれの出力電圧相で異なるため検出は容易ではない。
【0042】
実施の形態1において、例えばR3は接地して振幅を持たず、R1のみ励磁信号に振幅を持つ場合も異常検出が可能である。R3側のORゲート109出力は常にONだが、R1およびR3に対応するANDゲート110の出力はR1側のORゲート109出力がONとなることでONとなり、異常検出信号を出力する。
【0043】
実施の形態1では、各相それぞれ2つの励磁信号について異常検出を行っているが、異常検出の対象となる信号は、各相それぞれ少なくとも1つあればよい。たとえば、R3を接地し、R1のみについて検出を行ってもよい。この場合には、R3に対する上側閾値出力器101、下側閾値出力器102、上側コンパレータ103、下側コンパレータ104、上側両エッジ検出器105、下側両エッジ検出器106、上側カウンタ107、および下側カウンタ108は省略可能である。
【0044】
実施の形態1では、上側両エッジ検出器105および下側両エッジ検出器106を用いたが、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのいずれかのみを計測しても同等の機能は実現可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 角度検出器、100 異常検出装置(異常を検出する装置)、103 上側コンパレータ、104 下側コンパレータ、105 上側両エッジ検出器、106 下側両エッジ検出器、107 上側カウンタ(信号出力器)、108 下側カウンタ(信号出力器)、109 ORゲート(信号出力器)、110 ANDゲート(信号出力器)、113 第1相コンパレータ、114 第2相コンパレータ、117 位相差カウンタ、118 上側閾値比較器(信号出力器)、119 下側閾値比較器(信号出力器)、R1~R4 励磁信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7