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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
A63F7/02 312C
A63F7/02 310C
A63F7/02 312A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018055721
(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2019165977
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】宮永 真
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英剛
【審査官】中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-107019(JP,A)
【文献】特開2014-068753(JP,A)
【文献】特開2013-226346(JP,A)
【文献】特開2017-144004(JP,A)
【文献】特開2016-202332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域を前面側に形成する遊技盤と、
発射装置から発射された遊技球を前記遊技領域に進入させる進入口と、
前記遊技領域における前記進入口の近傍に形成され、遊技球と衝突することでその遊技球の動きをランダムに変化させる手段として障害釘ではなく樹脂体を有する釘無し領域と、を有する遊技機において、
前記樹脂体として、第1樹脂体と、前記第1樹脂体より前記進入口に近い側に配置される第2樹脂体と、を備え、
前記第1樹脂体が前記第2樹脂体よりも縦長に形成され、
前記第1樹脂体のうち、前記第2樹脂体と対向する側に、前記第2樹脂体を中心とする円弧状の湾曲部を備え、他方側に直線部を備える遊技機。
【請求項2】
前記第1樹脂体の上部には、前記進入口側へ向かうにつれて下側へ向かうように湾曲する第1円弧面が設けられている、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第2樹脂体は、前記第1円弧面に対して下側に配置されている、請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第1樹脂体には、前記第2樹脂体に対向配置されて前記第2樹脂体を中心にした円弧状をなす第2円弧面が形成されている、請求項1乃至3のうち何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記第1樹脂体は、前記第1円弧面に前記第2円弧面が繋がったS字状曲面部を有する、請求項3に従属する請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記進入口には、前記遊技領域からの遊技球の逆戻りを抑制する逆流規制部材が取り付けられていて、
前記第2樹脂体は、前記逆流規制部材に対向配置されている、請求項1乃至5のうち何れか1の請求項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤の前面側に遊技球が流下可能な遊技領域を有する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示される遊技機のように、遊技領域の一部を、障害釘の代わりに樹脂体を備えた釘無し領域としたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-161467号(段落[0080]、図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の遊技機では、樹脂体の形状や大きさが似通っていて、興趣に欠けるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、障害釘の代わりとなる樹脂体の興趣の向上が図られる遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、遊技球が流下可能な遊技領域を前面側に形成する遊技盤と、発射装置から発射された遊技球を前記遊技領域に進入させる進入口と、前記遊技領域における前記進入口の近傍に形成され、遊技球と衝突することでその遊技球の動きをランダムに変化させる手段として障害釘ではなく樹脂体を有する釘無し領域と、を有する遊技機において、前記樹脂体として、第1樹脂体と、前記第1樹脂体より前記進入口に近い側に配置される第2樹脂体と、を備え、前記第1樹脂体が前記第2樹脂体よりも縦長に形成され、前記第1樹脂体のうち、前記第2樹脂体と対向する側に、前記第2樹脂体を中心とする円弧状の湾曲部を備え、他方側に直線部を備える遊技機である。
【発明の効果】
【0007】
上記発明によれば、障害釘の代わりとなる樹脂体の興趣の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る遊技機の正面図
図2】遊技盤の正面図
図3】前面枠を開放した遊技機の斜視図
図4】釘無し領域周辺の正面図
図5】進入口から進入する遊技球の動きを説明するための図
図6】上側流路から戻ってきた遊技球の動きを説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示されるように、本実施形態に係る遊技機10は、図2に示される遊技盤11を前面枠10Zで覆ってなり、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して、遊技盤11の前面に形成された略円形の遊技領域R1(図2参照)の全体が視認可能となっている。なお、以下の説明において、特記しない限り「右」及び「左」とは、遊技機10を前方から見た場合の「右」及び「左」を指すものとする。
【0010】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には、発射用ハンドル28が備えられている。そして、発射用ハンドル28が回動操作されると、上皿26に収容された遊技球が発射装置61(図3参照)によって1球ずつ遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0011】
図3に示されるように、遊技機10は、遊技盤11を保持した遊技機本体10Hの前面に、前面枠10Zを開閉可能に備えている。遊技機本体10Hの前面の右下隅部には、発射機構ユニット60が設けられていて、遊技盤11の前面には、発射機構ユニット60の発射装置61から発射された遊技球を遊技領域R1の左上部へと案内する球誘導路62が形成されている。発射機構ユニット60の左側方には、遊技領域R1まで到達せずに球誘導路62を逆戻りした遊技球や球誘導路62まで到達しなかった遊技球を回収して下皿27に排出する戻り球回収ダクト68が設けられている。
【0012】
図2に示されるように、遊技盤11の前面からは、遊技領域R1を包囲するガイドレール12が突出している。ガイドレール12は、円弧状に湾曲した第1レール部12A及び第2レール部12Bを備えている。第1レール部12Aは、遊技領域R1の周縁部のうち上側の略1/4円周分を除いた部分に沿わせて配置されている。第2レール部12Bは、その一端寄り部分(第2レール部12Bの上部)が遊技領域R1の周縁部における上側の略1/4円周分に沿って延在し、他端寄り部分(第2レール部12Bの左側部)が第1レール部12Aの左側部に外側から向かい合うように配置されている。そして、第1レール部12Aの左側部と第2レール部12Bとの間に、発射装置61から発射された遊技球を遊技領域R1へと誘導する球誘導路62が形成されている。
【0013】
第1レール部12Aの左側の上端部と第2レール部12Bの中間部との間には、遊技球1~2個分の隙間が設けられ、これにより、ガイドレール12の左上部に、球誘導路62の出口、即ち、遊技領域R1内に遊技球を進入させるための進入口12Kが形成されている。そして、第2レール部12Bのうち進入口12Kより上側に配される部分によって、進入口12Kから遊技領域R1内に進入した遊技球を右斜め上方に案内可能な円弧状案内部12Eが形成されている。
【0014】
図4に示されるように、本実施形態の遊技機10では、第1レール部12Aに、遊技領域R1に進入した遊技球が球誘導路62へと逆戻りすることを規制する球戻り規制部材50が取り付けられている。球戻り規制部材50は、第1レール部12Aの左側の上端部に取り付けられる支持ベース51と、支持ベース51に回動可能に支持されて進入口12Kを開閉する開閉部材53と、を備える。開閉部材53は、通常は、鉛直方向に沿って配置されて進入口12Kを閉塞し、開閉部材53が回動して横倒しに配置されると、進入口12Kを開放する。
【0015】
図2に示されるように、遊技盤11のうち遊技領域R1の中央には、表示開口11Hが貫通形成されていて、その表示開口11Hに遊技盤11の裏面側から表示装置13が対向している。表示装置13は、例えば、液晶モジュールで構成され、遊技に関する演出を行う表示画面13Gを前面に有する。表示画面13Gでは、遊技に関する種々の演出が行われる。
【0016】
遊技盤11の前面中央には、表示画面13Gを囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から表示開口11Hに嵌め込まれると共に、遊技盤11の前面より前側に突出している。これにより、遊技領域R1を流下する遊技球が、表示装飾枠23を乗り越えて表示装飾枠23の内側に進入することが規制されている。
【0017】
表示開口11Hの開口縁には、表示開口11Hの上端寄り部分を段付き状に幅狭にする段差部11Dが設けられ、段差部11Dより下側の幅広な領域(「下側幅広領域」という。)にて表示画面13Gを視認可能にする。段差部11Dより上側の幅狭な部分(「上側幅狭領域」という。)には、装飾部材70(具体的には、ロゴ役物)が収容される。段差部11Dは、表示開口11Hの開口縁の左側部に備えられ、下側幅広領域と上側幅狭領域の右端が揃えられている。
【0018】
表示装飾枠23は、表示開口11Hの下側幅広領域を縁取る下側装飾部23Aと、上側幅狭領域を縁取る上側装飾部23Bと、からなる。なお、装飾部材70は、上側幅狭領域を横切るように配置されて、上側装飾部23Bの両側部に固定されている。
【0019】
表示装飾枠23(詳細には、上側装飾部23B)の上端部には、ガイドレール12の上側部分(詳細には、第2レール12B)に沿って延びた上側流路構成壁25が設けられていて、この上側流路構成壁25とガイドレール12との間に、遊技球が1つずつ通過可能な上側流路25Rが形成されている。
【0020】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23より下側部分の横方向の中央部には、第1始動入賞口14AKが設けられている。第1始動入賞口14AKは、遊技球が1つずつ入球可能な大きさの開口を上部に有するポケット構造をなしている。
【0021】
第1始動入賞口14AKの下方には、第1大入賞装置15Aが設けられている。第1大入賞装置15Aは、右側に開放した第1大入賞口15AKと、第2大入賞口15AKの右側に配置された第1可変部材15ATと、を備えている。第1可変部材15ATは、左下り傾斜し、遊技盤11の前面から突出した第1突出位置と、該第1突出位置より突出が抑えられた第1退避位置と、の間をスライド可能に構成されている。そして、第1可変部材15ATが第1突出位置に配置されたときに、第1可変部材15ATを案内にして遊技球が第1大入賞口15AKに入球可能となり、第1可変部材15ATが第1退避位置に配置されたときに、遊技球が第1大入賞口15AKに入球困難となる。
【0022】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の右側には、始動ゲート18が設けられている。始動ゲート18は、遊技領域R1を流下する遊技球が潜って通過可能な門形状に形成されている。始動ゲート18を遊技球が通過すると、普通図柄当否判定が行われる。
【0023】
始動ゲート18の下方には、第2始動入賞装置14Bが設けられている。第2始動入賞装置14Bは、左側に開放した第2始動入賞口14BKと、第2始動入賞口14BKの左側で右下がりに傾斜した始動可変部材14BTと、を備えている。始動可変部材14BTは、遊技盤11の前面から突出した始動突出位置と該始動突出位置より突出が抑えられた始動退避位置との間をスライド可能に構成されていて、通常は、始動退避位置に配置され、上述した普通図柄当否判定の結果が当りになると、所定の期間だけ始動突出位置に配置される。そして、始動可変部材14BTが始動突出位置に配置されたときに、始動可変部材14BTを案内にして遊技球が第2始動入賞口14BKに入球可能となり、始動可変部材14BTが始動退避位置に配置されたときに、遊技球が始動入賞口14BKに入球困難となる。
【0024】
第2始動入賞装置14Bの下方には、第2大入賞装置15Bが設けられている。第2大入賞装置15Bは、上側に開放した第2大入賞口15BKと、第2大入賞口15BKを開閉する第2可変部材15BTと、を備えている。第2可変部材15BTは、遊技盤11の前面から突出した第2突出位置と、該第2突出位置より突出が抑えられた第2退避位置と、の間をスライド可能に構成されている。そして、第2可変部材15BTが第2突出位置に配置されたときに、第2大入賞口15BKが閉塞されて遊技球が第2大入賞口15BKに入球困難となり、第2可変部材15BTが第2退避位置に配置されたときに、第2大入賞口15BKが開放されて遊技球が第2大入賞口15BKに入球可能となる。
【0025】
第1始動入賞口14AK又は第2始動入賞口14BKに遊技球が入球すると、所定数の遊技球が賞球として上皿26(図1参照)に払い出されると共に、特別図柄当否判定が行われる。特別図柄当否判定の結果が当りになると、大当り遊技が実行され、第1大入賞口15AK又は第2大入賞口15BKに遊技球が入球可能となる。第1大入賞口15AK又は第2大入賞口15BKに遊技球が入球すると、所定数の遊技球が賞球として払い出される。
【0026】
遊技領域R1には、上述した入賞口14AK,14BK,15AK,15BKのほかに、上方又は側方に開放して遊技球が常時入球可能な一般入賞口20が複数設けられている。また、遊技領域R1の下端部、具体的には、第1可変部材15AKの下方には、何れの入賞口にも入球しなかった遊技球を遊技領域R1の外側に排出するためのアウト口16が設けられている。さらに、遊技領域R1には、遊技球の流下方向をランダムに変更するための障害釘17が多数植設されている。
【0027】
図4に示されるように、表示装飾枠23の左上部には、上側流路構成壁25の左端部から下方に延びる縦壁31と、縦壁31の下端から左側に延びた横壁32と、横壁32の左端部から下方に延びる誘導傾斜壁33と、が備えられている。縦壁31、横壁32及び誘導傾斜壁33は全て左下がりに傾斜し、縦壁31及び誘導傾斜壁33の下り勾配は横壁32の下り勾配より大きくなっている。なお、誘導傾斜壁33の下り勾配は、縦壁31の下り勾配より小さくなっている。
【0028】
また、表示装飾枠23の左上部には、縦壁31及び横壁32から外側に張り出す張出片35が設けられている。張出片35は、遊技盤11の前面に重ねられて遊技領域R1の一部を構成する。ここで、張出片35は樹脂で形成されていて、遊技領域R1のうち張出片35によって形成される領域は、障害釘17を有しない釘無し領域R2となっている。そして、張出片35には、障害釘17の代わりに遊技球と衝突して該遊技球の動きをランダムに変化させることが可能な樹脂体として第1樹脂突部41と第2樹脂突部42が一体形成されている。
【0029】
第1樹脂突部41は、縦壁31に沿って延在し、第2樹脂突部42は、第1樹脂突部41の左側に配置されて球戻り規制部材50と対向する。第2樹脂突部42は、前方視略正方形状に形成され、第1樹脂突部41は、第2樹脂突部42より縦長に形成されている。なお、詳細には、第1樹脂突部41の横幅は、遊技球1個分となっていて、第2樹脂突部42の縦幅と横幅は共に、遊技球1個分となっている。
【0030】
第1樹脂突部41の右側を向く面は、縦壁31と略平行に配置な第1右向き対向面41Rとなっている。第1右向き対向面41Rと縦壁31との間の間隔L1は遊技球1~1.5個分となっている。そして、第1樹脂突部41と縦壁31との間に、遊技球が1個ずつ流下可能な縦流路43が形成されている。また、第1樹脂突部41の下側を向く面は、横壁32と略平行に配置されて横壁32と対向する第1下向き対向面41Kとなっている。第1下向き対向面41Kと横壁32との間の間隔L2も遊技球1~1.5個分となっている。そして、第1樹脂突部41と横壁32との間に、遊技球が1個ずつ流下可能な第1横流路44が形成されている。
【0031】
第1樹脂突部41の上側を向く面は、左側(即ち、進入口12K側)へ近づくにつれて下側を向くように湾曲した第1円弧面41E1となっている。第1円弧面41E1は、第2樹脂突部42よりも上側に配置されている。また、第1樹脂突部41の外周面には、第2樹脂突部42を中心にした円弧状をなす第2円弧面41E2が設けられている。この第2円弧面41E2は、第1円弧面41Eの下端と第1下向き面41Kとの間を連絡する。そして、第1樹脂突部41の外周面には、第1円弧面41E1に第2円弧面41E2が繋がったS字状曲面部41Sが形成されている。
【0032】
第2樹脂突部42の右側を向く面は、第1樹脂突部41の第2円弧面41E2と対向する第2右向き対向面42Rとなっている。第2右向き対向面42Rと第2円弧面41E2との間の間隔L3は、遊技球2~3個分となっている。そして、第1樹脂突部41と第2樹脂突部42との間に、縦流路43及び第1横流路44よりも幅広な突部間流路45が形成されている。
【0033】
第2樹脂突部42の下側を向く面は、横壁32と略平行に配置されて横壁32と対向する第2下向き対向面42Kとなっている。ここで、第2樹脂突部42の下端は、第1樹脂突部41の下端よりも上側に配置されている。第2下向き対向面42Kと横壁32との間の間隔L4は、遊技球2~3個分となっている。そして、第2樹脂突部42と横壁32との間に、遊技球が1個ずつ流下可能な第2横流路46が形成されている。
【0034】
第2樹脂突部42の上側を向く面は、右下がりに傾斜した第2上向き傾斜面42Jとなっている。第2樹脂突部42の左側を向く面は、左下がりに傾斜した第2左向き傾斜面42Lとなっている。また、第2樹脂突部42には、第2上向き傾斜面42Jの左側(即ち、進入口12K側)の端部から上側に突出した上側突起42Tが設けられている。
【0035】
図5には、進入口12Kから遊技領域R1に進入した遊技球の動きが示されている。図5において灰色線で示されるように、遊技領域R1に進入する遊技球の勢いが強いと、遊技球は、ガイドレール12の円弧状案内部12Eに誘導されて上側流路25Rへと進入する。上側流路25Rを通り抜けた遊技球は、遊技領域R1において表示装飾枠23の右側の領域を流下する。遊技球の勢いが弱くて上側流路25Rを通り抜けることができない遊技球は、表示装飾枠23の上側流路構成壁25に沿って左側へ戻ってくる。
【0036】
図6に示されるように、上側流路25Rから左側へ戻ってきた遊技球は釘無し領域R2を流下する。同図の2点鎖線で示されるように、上側流路25から戻ってくる遊技球の勢いが強いと、その遊技球は、縦流路43と第1樹脂突部41の上を飛び越えて突部間流路45を流下する。遊技球が第1樹脂突部41を飛び越えずに縦流路43のみを飛び越える場合にも、その遊技球は、第1樹脂突部41の第1円弧面41E1に受け止められて第1円弧面41E1上を左側に転動し、突部間流路45を流下する。同図において1点鎖線で示されるように、上側流路25Rから戻ってくる遊技球の勢いが弱いと、その遊技球は、縦流路43を飛び越えずに縦流路43を流下する。
【0037】
遊技領域R1に進入する遊技球の勢いが弱いと、遊技球が上側流路25Rに到達せずに、釘無し領域R2を流下する。図5において2点鎖線で示されるように、遊技球が表示装飾枠23の縦壁31に衝突する場合には、その遊技球は、縦壁31に跳ね返されて縦流路43を流下する。縦流路43を流下してきた遊技球は、横壁32に受け止められた後、横壁32の上を左側へ転動しながら第1横流路44及び第2横流路46を流下する。
【0038】
図5において1点鎖線で示されるように、遊技球が第1樹脂突部41の上部に衝突する場合には、その遊技球は、第1樹脂突部41の第1円弧面41E1によって右斜め上側に跳ね返される。このように、第1樹脂突部41の第1円弧面41E1は、遊技球を進入口12Kから離れる側に跳ね返す。
【0039】
図5において破線で示されるように、遊技球が第1樹脂突部41の下端寄り部分に衝突する場合には、その遊技球は、第1樹脂突部41の第2円弧面41E2によって下側に跳ね返され、突部間流路45を流下する。突部間流路45を流下してきた遊技球は、横壁32に受け止められた後、横壁32の上を左側へ転動しながら第2横流路46を流下する。
【0040】
本実施形態の遊技機10では、以下の優れた効果を奏することが可能となる。即ち、遊技機10では、釘無し領域R2において障害釘17の代わりに遊技球の動きをランダムに変化させる樹脂体として第1樹脂突部41と第2樹脂突部42が備えられ、第1樹脂突部41が第2樹脂突部42よりも縦長に形成されている。これにより、第1樹脂突部41と第2樹脂突部42の間で、見た目の印象を異ならせることが可能となり、樹脂体の興趣の向上が図られる。しかも、第2樹脂突部42は、縦横比がほぼ1となる形状に形成されて第1樹脂突部41の側方に配置されるので、第1樹脂突部41と第2樹脂突部42の形状の相違を目立たせることが可能となる。
【0041】
また、本実施形態の遊技機10では、第1樹脂突部41が第2樹脂突部42よりも進入口12Kから離れて配置されるので、進入口12Kからの遊技球の進入が第1樹脂突部41によって妨げられることが抑制される。しかも、第2樹脂突部42は、球戻り規制部材50に対向配置されるので、第1樹脂突部41に跳ね返された遊技球が球戻り規制部材50に衝突することが抑制される。また、第1樹脂突部41の上部に第1円弧面41E1が備えられることで、遊技球を進入口12K側に跳ね返り難くすることが可能となる。さらに、第2樹脂突部42が第1円弧面41E1に対して下側に配置されるので、進入口12Kから進入した遊技球を第1樹脂突部41に衝突させ易くなり、その結果、遊技球が減勢され易くなる。
【0042】
また、本実施形態の遊技機10では、第1樹脂突部41のうち第2樹脂突部42と対向する部分に形成された第2円弧面41E2が第2樹脂突部42を中心にした円弧状となっているので、第1樹脂突部41と第2樹脂突部42の間の間隔(図4の間隔L3を参照)を広くして、突部間流路45を流下する遊技球の球詰まりが抑制される。しかも、第2円弧面41E2は第1円弧面41E1に繋がってS字状曲面部41Sを形成するので、第1円弧面41E1と第2円弧面41E2を一体的に見せて第1樹脂突部41の形状に新鮮味を付与することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態の遊技機10では、第1樹脂突部41は、第2樹脂突部42よりも表示装飾枠23の縦壁31の近くに配置されるので、第1樹脂突部41と表示装飾枠23との間の縦流路43に遊技球を流下させることが可能となる。ここで、縦流路43の幅は、遊技球1~1.5個分になっているので、縦流路43を流下する遊技球が縦壁31又は第1樹脂突部41との衝突によって減勢され易くなる。
【0044】
なお、本実施形態の遊技機10では、図2に示されるように、釘無し領域R2は、表示開口11Hのうち装飾部材70を収容する部分の左側に配置されている。そして、本実施形態では、釘無し領域R2に第1樹脂突部41と第2樹脂突部42のみを備え、第2樹脂突部42は前方視略正方形状であって、第1樹脂突部41が第2樹脂突部42より縦長になっている。従って、遊技機10では、釘無し領域R2が幅狭に形成されても、第1樹脂突部41と第2樹脂突部42によって遊技球の動きをランダムに変化させることが可能となる。その結果、装飾部材70の横幅を広くすることが可能となる。
【0045】
以下、本実施形態の遊技機10から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0046】
<特徴A群>
以下の特徴A群は、「遊技盤の前面側に遊技球が流下可能な遊技領域を有する」遊技機に関し、「従来、特許文献A(特開2008-161467号(段落[0080]、図9))に示される遊技機のように、遊技領域の一部を、障害釘の代わりに樹脂体を備えた釘無し領域としたものが知られている。」という背景技術について、「従来の遊技機では、樹脂体の形状や大きさが似通っていて、興趣に欠けるという問題があった。」という課題をもってなされたものである。
【0047】
[特徴A1]
遊技球が流下可能な遊技領域(遊技領域R1)を前面側に形成する遊技盤(遊技盤11)と、
発射装置(発射装置61)から発射された遊技球を前記遊技領域に進入させる進入口(進入口12K)と、
前記遊技領域における前記進入口の近傍に形成され、遊技球と衝突することでその遊技球の動きをランダムに変化させる手段として障害釘(障害釘17)ではなく複数の樹脂体を有する釘無し領域(釘無し領域R2)と、を有する遊技機(遊技機10)において、
前記樹脂体には、第1樹脂体(第1樹脂突部41)と、前記第1樹脂体より前記進入口に近い側に配置される第2樹脂体(第2樹脂突部42)と、が含まれ、
前記第1樹脂体が前記第2樹脂体よりも縦長に形成されている、遊技機。
【0048】
本特徴に示す構成では、樹脂体として第1樹脂体と第2樹脂体を備え、第1樹脂体が第2樹脂体よりも縦長に形成されているので、第1樹脂体と第2樹脂体の間で、見た目の印象を異ならせることが可能となり、樹脂体の興趣の向上が図られる。しかも、第1樹脂体の方が第2樹脂体よりも進入口から離れて配置されるので、進入口からの遊技球の進入が第1樹脂体によって妨げられることが抑制される。
【0049】
[特徴A2]
前記第1樹脂体の上部には、前記進入口側へ向かうにつれて下側へ向かうように湾曲する第1円弧面(第1円弧面41E1)が設けられている、特徴A1に記載の遊技機。
【0050】
本特徴に示す構成によれば、第1樹脂突部の上端寄り部分に衝突した遊技球を進入口側に跳ね返り難くすることが可能になる。
【0051】
[特徴A3]
前記第2樹脂体は、前記第1円弧面に対して下側に配置されている、特徴A2に記載の遊技機。
【0052】
本特徴に示す構成では、進入口から遊技領域に進入した遊技球を第1樹脂体に衝突させ易くなり、その結果、遊技球の勢いを低減し易くなる。
【0053】
[特徴A4]
前記第1樹脂体には、前記第2樹脂体に対向配置されて前記第2樹脂体を中心にした円弧状をなす第2円弧面(第2円弧面41E2)が形成されている、特徴A1乃至A3のうち何れか1に記載の遊技機。
【0054】
本特徴に示す構成によれば、第1樹脂体と第2樹脂体の間隔を広くして(具体的には、遊技球2個分以上にして)、第1樹脂体と第2樹脂体の間を流下する遊技球の球詰まりを抑制可能となる。
【0055】
[特徴A5]
前記第1樹脂体は、前記第1円弧面に前記第2円弧面が繋がったS字状曲面部(S字状曲面部41S)を有する、特徴A3に従属する特徴A4に記載の遊技機。
【0056】
本特徴に示す構成によれば、第1円弧面と第2円弧面を一体的に見せることが可能となる。
【0057】
[特徴A6]
前記進入口には、前記遊技領域からの遊技球の逆戻りを抑制する逆流規制部材(球戻り規制部材50)が取り付けられていて、
前記第2樹脂体は、前記逆流規制部材に対向するように配置されている、特徴A1乃至A5のうち何れか1に記載の遊技機。
【0058】
本特徴に示す構成によれば、第1樹脂体によって進入口側に跳ね返された遊技球が逆流規制部材に衝突することが第2樹脂体によって抑制される。なお、第2樹脂体の上面に突起が形成されれば、逆流規制部材への衝突が一層抑制される。
【0059】
[特徴A7]
遊技球が流下可能な遊技領域(遊技領域R1)を前面側に形成する遊技盤(遊技盤11)と、
前記遊技盤に形成された開口部(表示開口11H)に嵌め込まれて前記開口部の内側への遊技球の進入を規制する進入規制枠(表示装飾枠23)と、
前記遊技領域に形成され、遊技球と衝突することでその遊技球の動きをランダムに変化させる手段として障害釘(障害釘17)ではなく樹脂体を有する釘無し領域(釘無し領域R2)と、を有する遊技機(遊技機10)において、
前記樹脂体として、前記進入規制枠の特定部位(縦壁31)に沿って延在する第1樹脂体(第1樹脂突部41)と、前記第1樹脂体より前記進入規制枠の特定部位から離れて配置される第2樹脂体(第2樹脂突部42)と、を備え、
前記第1樹脂体は、前記進入規制枠の特定部位の延在方向で前記第2樹脂体より長くなっている、遊技機
【0060】
本特徴に示す構成では、樹脂体として第1樹脂体と第2樹脂体を備え、第1樹脂体が第2樹脂体よりも進入規制枠の特定部位の延在方向に長くなっているので、第1樹脂体と第2樹脂体の間で、見た目の印象を異ならせることが可能となり、樹脂体の興趣の向上が図られる。しかも、第1樹脂体の方が第2樹脂体よりも進入規制枠に近いので、第1樹脂体と進入規制枠との間で遊技球を進入規制枠に沿って流下させることが可能となる。
【0061】
[特徴A8]
前記第1樹脂体と前記進入規制枠との間に形成される第1流路(縦流路43)よりも前記第1樹脂体と前記第2樹脂体との間に形成される第2流路(突部間流路45)が幅広に形成されている、特徴A7に記載の遊技機。
【0062】
本特徴に示す構成では、第2流路を流下する遊技球の球詰まりが抑制される。なお、第1流路の幅は、遊技球1個分より大きく1.5個分以下であることが好ましく、第2流路の幅は、遊技球2個分以上であることが好ましい。
【0063】
[特徴A9]
遊技球が流下可能な遊技領域(遊技領域R1)を前面側に形成する遊技盤(遊技盤11)と、
前記遊技領域に形成され、遊技球と衝突することでその遊技球の動きをランダムに変化させる手段として障害釘(障害釘17)ではなく樹脂体を有する釘無し領域(釘無し領域R2)と、を有する遊技機(遊技機10)において、
前記樹脂体として、縦横比がほぼ1となる形状に形成された等方的樹脂体(第2樹脂突部42)と、前記等方的樹脂体の側方に位置して前記等方的樹脂体より縦長に形成された異方的樹脂体(第1樹脂突部41)と、を有する、遊技機。
【0064】
本特徴に示す構成では、樹脂体として、縦横比がほぼ1となる等方的樹脂体と、等方的樹脂体より縦長に形成された異方的樹脂体と、を備えるので、等方的樹脂体と異方的樹脂体の間で、見た目の印象を異ならせることが可能となり、樹脂体の興趣の向上が図られる。しかも、異方的樹脂体が等方的樹脂体の側方に位置するので、等方的樹脂体と異方的樹脂体の形状の相違を目立たせることが可能となる。
【0065】
なお、特徴A7又はA8に示す構成に、特徴A1~A6に示す構成が組み合わされてもよい。また、特徴A9に示す構成に、特徴A1~A8に示す構成が組み合わされてもよい。その際には、特徴A1~A8における「第1樹脂体」と「第2樹脂体」を「異方的樹脂体」と「等方的樹脂体」に置き換えればよい。
【0066】
[特徴A群に含まれる他の実施形態]
特徴A群には、上記実施形態の他に、例えば、以下に示される実施形態も含まれる。
【0067】
(1)釘無し領域R2には、第1樹脂突部41及び第2樹脂突部42以外に、遊技球と衝突する樹脂体が備えられてもよい。
【0068】
(2)第2樹脂突部42は、球戻り規制部材50に対向配置されなくてもよい。
【0069】
(3)上記実施形態では、第1樹脂突部41の横幅と第2樹脂突部42の横幅が異なっていてもよい。なお、上記実施形態のように、第1樹脂突部41の横幅と第2樹脂突部42の横幅が共に、遊技球1個分であると、第1横流路44及び第2横流路46を形成しつつ、釘無し領域R2の横幅を狭くすることが可能となる。
【0070】
(4)第1円弧面41E1と第2円弧面41E2は連続しなくてもよく、例えば、第1円弧面41E1と第2円弧面41E2の間に平坦面が介在してもよい。
【0071】
(5)第2樹脂突部42の正面視形状が大きくなる場合には、第1樹脂突部41のうち第2樹脂突部42側との対向面が、第2樹脂突部42の第1樹脂突部41側を向く面、即ち、第2右向き対向面42Rに沿って延在してもよい。従って、該対向面は、第2右向き対向面42Rが平坦に形成されれば、同様に、平坦に形成され、第2右向き対向面42RがV字状に形成されれば、同様に、V字状に形成される。
【0072】
(6)特徴A7~A9に含まれる形態では、第1樹脂突部41及び第2樹脂突部42が進入口12Kの近傍(即ち、遊技領域R1の左上部分)に配置されない構成であってもよい。
【0073】
(7)特徴A7に含まれる形態では、第1樹脂突部41は、表示装飾枠23の一部を構成する壁部に沿って延在すればよく、例えば、横壁32に沿って延在してもよい。
【0074】
(8)特徴A9に含まれる形態では、第1樹脂突部41と第2樹脂突部42の並び順が左右逆であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 遊技機
11 遊技盤
12K 進入口
17 障害釘
23 表示装飾枠
41 第1樹脂突部
42 第2樹脂突部
R1 遊技領域
R2 釘無し領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6