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特許7166592超伝導単一光子検出システムおよび超伝導単一光子検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】超伝導単一光子検出システムおよび超伝導単一光子検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 11/00 20060101AFI20221031BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20221031BHJP
   G01J 1/44 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 39/04 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 39/22 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
G01J11/00
G01J1/02 R ZNM
G01J1/44 L ZAA
H01L39/04
H01L39/22 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018112586
(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2019215253
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物名:電子情報通信学会技術研究報告 vol.118 no.11 pp.17-22 発行日 :平成30年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三木 茂人
(72)【発明者】
【氏名】寺井 弘高
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 茂之
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-156238(JP,A)
【文献】特開2013-019777(JP,A)
【文献】特開2009-232311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 11/00
G01J 1/00- 1/02
G01J 1/42- 1/46
G01N 21/00- 21/01
G01N 21/17- 21/74
H01L 27/14- 27/148
H01L 31/10
H01L 39/00- 39/24
H04N 5/30- 5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の超伝導単一光子検出器と、
前記複数の超伝導単一光子検出器からそれぞれ出力される検出信号が入力され、入力された検出信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路と、を備え、
前記信号処理回路は、
前記複数の超伝導単一光子検出器のうちの一の超伝導単一光子検出器における検出信号に対応する信号が入力された場合、前記信号入力後、その他の超伝導単一光子検出器における検出信号に対応する信号が入力されるまで前記一の超伝導単一光子検出器からの検出信号に対応する信号の入力を無効にする第1処理を行う第1処理回路と、
前記第1処理後の前記複数の超伝導単一光子検出器に対応する複数の有効信号を多重化する第2処理を行う第2処理回路と、を含む、超伝導単一光子検出システム。
【請求項2】
前記信号処理回路は、対応する検出信号を単一磁束量子信号に変換する複数の変換器を備え、
前記単一磁束量子信号が前記第1処理回路に入力されるよう構成される、請求項1に記載の超伝導単一光子検出システム。
【請求項3】
前記第1処理回路は、前記複数の超伝導単一光子検出器のそれぞれに対応する複数の遅延回路を備え、
各遅延回路は、対応する前記一の超伝導単一光子検出器における検出信号に対応する信号が入力されると、信号入力状態を保持し、前記その他の超伝導単一光子検出器における検出信号に対応する信号が入力されると、前記信号入力状態を出力するよう構成される、請求項1または2に記載の超伝導単一光子検出システム。
【請求項4】
前記信号処理回路から出力された信号の自己相関を行う自己相関器を備えた、請求項1から3の何れかに記載の超伝導単一光子検出システム。
【請求項5】
複数の超伝導単一光子検出器により、単一光子を検出し、検出された単一光子を前記超伝導単一光子検出器ごとに検出信号として出力する検出ステップと、
前記複数の超伝導単一光子検出器からそれぞれ出力される検出信号に基づいて信号処理を行う信号処理ステップと、を含み、
前記信号処理ステップは、
前記複数の超伝導単一光子検出器のうちの一の超伝導単一光子検出器における検出信号に対応する信号が入力された場合、前記信号入力後、その他の超伝導単一光子検出器における検出信号に対応する信号が入力されるまで前記一の超伝導単一光子検出器からの検出信号に対応する信号の入力を無効にする第1処理を行う第1処理ステップと、
前記第1処理後の前記複数の超伝導単一光子検出器に対応する複数の有効信号を多重化する第2処理を行う第2処理ステップと、を含む、超伝導単一光子検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導単一光子検出器を用いた超伝導単一光子検出システムおよび超伝導単一光子検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生きている細胞内でのタンパク質の相互作用の研究等のために、細胞内での観測対象(
蛍光物質)の分子運動を測定する方法として、蛍光相関分光法(Fluorescence Correlation Spectroscopy、以下FCS法と略する)が知られている。FCS法は、光子検出器で検出された光子の蛍光強度から自己相関関数を得ることにより、生きている細胞内の微小な領域に存在する観測対象(蛍光物質)の蛍光強度の時間的変化を計測するものである。このような計測により、観測対象の大きさ、分子数、分子量または分子間相互作用等の情報を得ることができる。細胞内の分子の高速な運動は、蛍光強度計測から得られる自己相関関数の短い時間領域において観測される。したがって、細胞内の分子の高速な運動を調べるためには、応答速度の速い光子検出器が必要となる。
【0003】
FCS法において今まで用いられてきた光子検出器は、主にアバランシェフォトダイオード(以下、APDと略する)である。一方、より応答速度の速い光子検出器として、超伝導単一光子検出器(Superconducting Single Photon Detector、以下SSPDと略する場合がある)が存在する。SSPDは、高感度、低雑音かつ高速動作可能な単一光子検出器として量子情報通信、量子光学など様々な分野への利用が期待されている。特に、閉サイクルの冷凍機内にSSPDを実装した超伝導単一光子検出システムは、安定的に極低温(3K程度)を実現でき、しかも連続動作が可能となるため、実用上有効なシステムであることが確認されている。
【0004】
ここで、図6はAPDを用いた光子検出器およびSSPDを用いて測定した細胞の自己相関関数観測結果を示すグラフである。図6に示すように、APDを用いた光子検出器の場合、短い時間領域(速い応答速度が要求される領域)では、細胞由来によるものではないピークPaが得られている。このピークPaは、検出器のアフターパルスと呼ばれる現象に由来するものであると考えられる。すなわち、図6からはAPDを用いた光子検出器では、検出器由来のピークPaが生じてしまう短い時間領域における細胞の観測はできないと言える。
【0005】
一方、SSPDの場合、短い時間領域においても検出器由来のピーク(アフターパルス)は生じておらず、細胞由来のピークPcが表れている。しかし、さらに短い時間領域Tmにおいて検出器の限界応答速度の影響による観測不能な時間領域が存在する。
【0006】
このような問題を解決する手段として、2つの光子検出器を用いた蛍光相関相互分光法(Fluorescence Cross-Correlation Spectroscopy、以下、FCCS法と略する)が存在する。このFCCS法によれば、一の光子検出器の限界応答速度の影響を受けない。しかし、この方法では、2色の蛍光色素が必要となるため、システムが煩雑になること、および、2色の蛍光色素をそれぞれ検出するために全体の光量を2つに分ける必要性から各色の蛍光色素を検出するための光量が全体の光量の半分になるため、観測感度が格段に低下することという問題が生じる。
【0007】
これに代えて、一の検出器の限界応答速度の影響を抑制するために、複数のSSPDを用いて光子入射確率を分散することにより応答速度の高速化を図ることが考えられる(下記非特許文献1,2参照)。この場合、自己相関関数を得るために、複数のSSPDの検出信号を多重化(各検出信号を時間軸を合わせて結合)することが考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】T. Yamashita et al., "Fluorescence correlation spectroscopy with visible-wavelength superconducting nanowire single-photon detector," Opt Express, vol. 22, no. 23, pp. 28783-9, Nov 17 2014.
【文献】J. Yamamoto et al., "Rotational diffusion measurements using polarization-dependent fluorescence correlation spectroscopy based on superconducting nanowire single-photon detector," Opt Express, vol. 23, no. 25, pp. 32633-42, Dec 14 2015.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、複数のSSPDの検出信号を単純に多重化すると以下のような問題が生じる。
【0010】
図7は複数のSSPDからの検出信号を多重化して得られた自己相関関数曲線である。図7に示すように、期間Teにおける自己相関関数の値がそれ以降に比べて一段低くなっている(自己相関曲線の非直線性が生じている)。図7は、自己相関の無い連続光源を用いて測定しているため、理想的には、自己相関関数の値が期間Teにおいても期間Teより長い時間領域と同じ直線上になっていることが好ましい。しかしながら、複数のSSPDの検出信号を多重化して得られた自己相関関数には、期間Te(短い時間領域)において、自己相関曲線の非直線性が生じるため、期間Teの時間領域の自己相関関数曲線に特徴が現れるような観測対象の場合、先に説明したSSPDに由来する非直線性と観測対象に由来する関数曲線とのとの区別を行うことが困難となる。
【0011】
本発明は、以上のような課題を解決すべくなされたものであり、入射光量の低減を抑制しつつ、より短い時間領域において観測容易な自己相関関数を得ることができる超伝導単一光子検出システムおよび超伝導単一光子検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある形態に係る超伝導単一光子検出システムは、複数の超伝導単一光子検出器と、前記複数の超伝導単一光子検出器からそれぞれ出力される検出信号が入力され、入力された検出信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路と、を備え、前記信号処理回路は、前記複数の超伝導単一光子検出器のうちの一の超伝導単一光子検出器における検出信号に対応する信号が入力された場合、前記信号入力後、その他の超伝導単一光子検出器における検出信号に対応する信号が入力されるまで前記一の超伝導単一光子検出器からの検出信号に対応する信号の入力を無効にする第1処理を行う第1処理回路と、前記第1処理後の前記複数の超伝導単一光子検出器に対応する複数の有効信号を多重化する第2処理を行う第2処理回路と、を含んでいる。
【0013】
本発明の発明者らは、鋭意研究の末、複数のSSPDの検出信号を単純に多重化した場合に、短い時間領域において自己相関曲線の非直線性が生じるのは、SSPDが光子を検出した後に不感時間が発生することにより、システム全体の検出効率が時間的に変化することが原因であるとの知見を得た。例えば、n個のSSPDのうちの一のSSPDが光子を検出してパルスを出力すると、その後、当該SSPDが初期状態まで回復するまでの間は、当該SSPDにおいて光子を検出できない不感時間となる。この状態で当該SSPDに光子が入射されてもパルスの出力が得られず、システム全体として検出効率がSSPD1つ分減少する((n-1)/nとなる)。この不感時間を過ぎるとすべてのSSPDは光子を検出できるようになり、システムの検出効率は元通りになる(n/nになる)。このように、複数のSSPDの検出信号を単純に多重化する従来の構成においては、システム全体の検出効率に時間的変化が生じ、これが不連続な自己相関曲線となる原因と考えられる。
【0014】
このような知見から、発明者らは、自己相関曲線の非直線性を排除するためには、システム全体の検出効率の時間的変化を抑制することが必要であると考えた。上記構成によれば、複数の超伝導単一光子検出器(SSPD)からの検出信号を多重化する第2処理を実行する前に、第1処理が行われる。すなわち、第1処理において一のSSPDにおける検出信号に対応する信号が入力された場合、当該信号入力後、その他のSSPDからの検出信号に対応する信号が入力されるまで、当該一のSSPDにおける光子の検出が無効化される。
【0015】
これにより、一のSSPDにおいて光子が検出された後は、検出効率がSSPD1つ分減少した状態(n個のSSPDにおいて検出効率が(n-1)/nとなる状態)が継続される。このため、検出効率の時間的変化がなくなり、その後の信号を多重化して得られた自己相関関数には、短い時間領域において、検出効率の不連続性が生じることが抑制される。したがって、複数のSSPDを用いて検出効率の低減を抑制しつつ、第1処理を行うことにより、より短い時間領域において観測容易な自己相関関数を得ることができる。
【0016】
前記信号処理回路は、対応する検出信号を単一磁束量子信号に変換する複数の変換器を備え、前記単一磁束量子信号が前記第1処理回路に入力されるよう構成されてもよい。これにより、高速演算および低消費電力を実現することができる。また、SSPDとともに冷凍機内に配置することができ、システムの省スペース化を図ることができる。
【0017】
前記第1処理回路は、前記複数の超伝導単一光子検出器のそれぞれに対応する複数の遅延回路を備え、各遅延回路は、対応する前記一の超伝導単一光子検出器における検出信号に対応する信号が入力されると、信号入力状態を保持し、前記その他の超伝導単一光子検出器における検出信号に対応する信号が入力されると、前記信号入力状態を出力するよう構成されてもよい。これにより、簡単な構成および既存の回路素子を用いて、第1処理を実行する回路を容易に実現することができる。
【0018】
前記信号処理回路から出力された信号の自己相関を行う自己相関器を備えてもよい。これによれば、応答速度が速く検出効率の不連続性がないSSPDシステムに自己相関器が設けられることにより、自己相関器により得られる自己相関関数の短い時間領域において観測対象の適切な観測を行うことができる。
【0019】
本発明の他の形態に係る超伝導単一光子検出方法は、複数の超伝導単一光子検出器により、単一光子を検出し、検出された単一光子を前記超伝導単一光子検出器ごとに検出信号として出力する検出ステップと、前記複数の超伝導単一光子検出器からそれぞれ出力される検出信号に基づいて信号処理を行う信号処理ステップと、を含み、前記信号処理ステップは、前記複数の超伝導単一光子検出器のうちの一の超伝導単一光子検出器における検出信号に対応する信号が入力された場合、前記信号入力後、その他の超伝導単一光子検出器における検出信号に対応する信号が入力されるまで前記一の超伝導単一光子検出器からの検出信号に対応する信号の入力を無効にする第1処理を行う第1処理ステップと、前記第1処理後の前記複数の超伝導単一光子検出器に対応する複数の有効信号を多重化する第2処理を行う第2処理ステップと、を含んでいる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は以上に説明したように構成され、入射光量の低減を抑制しつつ、より短い時間領域において観測容易な自己相関関数を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は本発明の一実施の形態に係る超伝導単一光子検出システムの概略構成例を示す模式図である。
図2図2図1に示す超伝導単一光子検出システムにおける信号多重化回路の概略構成を示す回路図である。
図3図3は本実施の形態における光子の検出態様と出力信号OUTおよび検出効率との関係を模式的に示す図である。
図4図4は本実施の形態の実施例において得られた自己相関関数を比較例とともに示すグラフである。
図5図5は複数のSSPDの検出信号を単純に多重化した比較例における光子の検出態様と出力信号OUTおよび検出効率との関係を模式的に示す図である。
図6図6はAPDを用いた光子検出器およびSSPDを用いて測定した細胞の自己相関関数観測結果を示すグラフである。
図7図7は複数のSSPDからの検出信号を多重化して得られた自己相関関数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0023】
まず、本発明の一実施の形態に係る超伝導単一光子検出システムについて説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る超伝導単一光子検出システムの概略構成例を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態における超伝導単一光子検出システム1は、バイアス電流によって動作する複数(4つ)の超伝導単一光子検出器(以下、SSPD)21~24で構成される超伝導単一光子検出器アレイ(SSPDアレイ)20と、超伝導単一光子検出器21~24から出力される検出信号が入力され、入力された検出信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路30とを備えている。
【0024】
信号処理回路30は、各検出信号を単一磁束量子信号に変換する複数の変換器31~34と、当該単一磁束量子信号を多重化するための第1処理および第2処理を行う信号多重化回路38とを備えた、超伝導単一磁束量子回路(以下、超伝導SFQ回路)として構成されている。
【0025】
各SSPD21~24と信号処理回路30の各変換器31~34との間はSSPDに対応する数の信号伝送経路(交流の高周波信号伝送経路)によって接続されている。具体的には、各SSPD21~24には、SSPDチップ2に設けられた同軸線路(SSPD同軸線路)241~244が接続されている。また、信号処理回路30の各変換器31~34には、SFQチップ3に設けられた同軸線路(SFQ同軸線路)341~344が接続されている。同軸線路241~244,341~344は、各チップ2,3上に形成されたマイクロストリップラインである。そして、SSPD同軸線路241~244とSFQ同軸線路341~344との間には、同軸ケーブル41~44が接続されている。すなわち、信号伝送経路は、チップ2,3に設けられた同軸線路241~244,341~344および同軸ケーブル41~44を含む概念である。
【0026】
なお、本実施の形態においては、SSPDチップ2とSFQチップ3とを別のチップとし、両者を同軸ケーブル41~44で繋ぐこととしているが、SSPDチップ2とSFQチップ3とを1つのチップとして構成し、SSPD21~24と信号処理回路30の変換器31~34との間をマイクロストリップラインのみで接続することとしてもよい。
【0027】
各SSPD21~24には、バイアス電流経路(直流経路)51~54が接続されている。バイアス電流経路51~54には、抵抗素子81~84を介してバイアス電流源71~74が接続されている。具体的には、バイアス電流源71~74から抵抗素子81~84に印加される電圧によって定められるバイアス電流が各SSPD21~24に供給される。なお、バイアス電流経路51~54の態様はこれに限られず、例えばバイアス電流経路51~54が、同軸線路241~244または341~344に接続される態様等、各SSPD21~24にバイアス電流を供給可能な種々の態様が適用可能である。
【0028】
SSPDチップ2およびSFQチップ3は、冷凍機5内に実装されている。すなわち、SSPDアレイ20、超伝導SFQ回路である信号処理回路30、および、同軸ケーブル41~44は、冷凍機5内に実装されている。冷凍機5は、例えば小型のGM(Gifford-McMahon)冷凍機などが好適に用いられる。
【0029】
SSPD21~24は、それぞれ、単一光子を検出する超伝導ナノワイヤ検出素子(図示せず)を備えている。超伝導ナノワイヤ検出素子は、シリコン(Si)基板など様々な基板の表面に窒化ニオブ、窒化ニオブチタン、タングステンシリコン、モリブデンシリコンなど様々な材料による超伝導薄膜がナノワイヤ形状に形成されている。例えば、数十~数百ナノメートルの線幅に形成され、冷凍機5を用いて冷却され、超伝導状態で使用される。超伝導ナノワイヤ検出素子を含む受光面の受光面積は、SSPD21~24の使用目的やSSPDアレイ20を構成するSSPDの数によって適宜定められる。
【0030】
本実施の形態において、SSPDアレイ20は、SSPDチップ2上に、複数(4つ)のSSPD21~24が設けられている。超伝導単一光子検出システム1は、SSPDアレイ20に向けて所定の光(フォトン)を入射可能な光入力ポート4を備えている。光入力ポート4から入射された光は、直接的または間接的(例えば光ファイバを通じて)にSSPDアレイ20に入射される。したがって、光入力ポート4からの入射光を複数のSSPD21~24に等確率で入射することができる。なお、これに代えて、複数のSSPD21~24が異なるチップ上に形成され、各SSPD21~24のチップに対応する複数の光入力ポート4が設けられ、超伝導単一光子検出システム1に入射される入射光を各複数の入力ポート4に分岐させることにより、各SSPD21~24に入射光を等確率で入射する構成としてもよい。
【0031】
超伝導SFQ回路である信号処理回路30は、SFQチップ3上に設けられている。具体的には、信号処理回路30は、各SSPD21~24に対応して設けられ、SSPD21~24から出力される検出信号をSFQパルス信号(単一磁束量子信号)にそれぞれ変換する変換器(MC-DC/FSQコンバータ:Mutual Coupling-DC/FSQ Converter)31~34と、変換器31~34で変換されたSFQパルス信号を多重化する信号多重化回路38と、微弱なSFQパルス信号を観測可能なパルス信号に変換する出力変換回路35と、出力変換回路35から出力される電圧パルスのパルス幅を長くして出力信号を生成するSQUIDドライバ36とを備えている。各変換器31~34、出力変換回路35およびSQUIDドライバ36には、個別の電流源6から電流が供給され、各回路はこれらの電流によって駆動する。
【0032】
変換器31~34は、SSPD21~24から出力された検出信号を単一磁束量子に変換して出力するよう構成されている。具体的には、信号伝送経路および負荷抵抗素子(図示せず)に直列接続された一次コイルと、当該一次コイルと相互誘導可能に配置された二次コイルとを備えている(図示せず)。二次コイルには一対のジョセフソン接合が接続されており、一対のジョセフソン接合が超伝導量子干渉素子(SQUID:Superconducting Quantum Interference Device)を構成している。
【0033】
SSPD21~24から出力された検出信号は、一次コイルから二次コイルへと相互誘導し、単一磁束に変換される。SQUIDは、検出信号が伝達されることによりSQUIDに磁束が生じると、SFQが回路内を伝搬し、所定のパルス幅および電圧強度を有するSFQパルス信号S1~S4を出力する。変換器31~34から出力されたSFQパルス信号S1~S4は、信号多重化回路38に入力される。
【0034】
このように、信号処理回路30として超伝導SFQ回路を備えることにより、高速演算および低消費電力を実現することができる。また、信号処理回路30をSSPD21~24とともに冷凍機5内に配置することができ、システムの省スペース化を図ることができる。
【0035】
信号多重化回路38は、後述するように、変換器31~34の4出力から入力されたSFQパルス信号S1~S4を多重化するための第1処理および第2処理を実行し、出力ポート(本実施形態においては1つの出力ポート)から多重化されたSFQパルス信号(後述する出力信号OUT)を出力する論理回路となっている。信号多重化回路38から出力されたSFQパルス信号は、非常に微弱である(短いパルス幅および小さい電圧レベルを有している)ため、後段の構成で利用可能な信号として出力するために、出力変換回路35およびSQUIDドライバ36により、整形(パルス幅および電圧レベルの増幅)される。例えばパルス幅4~5psおよび電圧レベル0.4~0.5mV程度(ピーク値)のSFQパルス信号S1~S4を1ns程度のパルス幅および2mV程度の電圧レベル(ピーク値)に増幅する。SQUIDドライバ36から出力された出力信号は、同軸ケーブル37を介して冷凍機5外に出力される。
【0036】
信号処理回路30は、同軸ケーブル37を介して自己相関器10に接続されており、出力信号を自己相関器10に入力する。自己相関器10は、信号処理回路30から出力された信号の自己相関を行う。
【0037】
図2図1に示す超伝導単一光子検出システムにおける信号多重化回路の概略構成を示す回路図である。本実施の形態において、信号処理回路30の信号多重化回路38は、第1処理回路11および第2処理回路12を含んでいる。
【0038】
第1処理回路11は、複数のSSPD21~24のうちの一のSSPD2x(x=1~4)における検出信号に対応する信号(SFQパルス信号Sx)が入力された場合、この信号入力後、その他のSSPD2y(y≠x)における検出信号に対応する信号(SFQパルス信号Sy)が入力されるまで、一のSSPDからのSFQパルス信号の入力を無効にする第1処理を行うように構成されている。
【0039】
本実施の形態において、第1処理回路11は、複数のSSPD21~24のそれぞれに対応する複数(4つ)の遅延回路111~114を備えている。各遅延回路11xは、対応するSFQパルス信号Sxが入力されると、信号入力状態を保持し、その他のSFQパルス信号Syが入力されると、信号入力状態を出力するよう構成されている。
【0040】
例えば、図2に示すように、各遅延回路111~114は、Dフリップフロップ(D-FF)により構成される。遅延回路111の入力端子dinには、SSPD21の検出信号に対応するSFQパルス信号S1が入力され、遅延回路112の入力端子dinには、SSPD22の検出信号に対応するSFQパルス信号S2が入力され、遅延回路113の入力端子dinには、SSPD23の検出信号に対応するSFQパルス信号S3が入力され、遅延回路114の入力端子dinには、SSPD24の検出信号に対応するSFQパルス信号S4が入力されるように構成されている。
【0041】
さらに、遅延回路111のクロック入力端子clkには、SFQパルス信号S1以外のSFQパルス信号S2~S4が入力され、遅延回路112のクロック入力端子clkには、SFQパルス信号S2以外のSFQパルス信号S1,S3,S4が入力され、遅延回路113のクロック入力端子clkには、SFQパルス信号S3以外のSFQパルス信号S1,S2,S4が入力され、遅延回路114のクロック入力端子clkには、SFQパルス信号S4以外のSFQパルス信号S1~S3が入力されるように構成されている。
【0042】
第2処理回路12は、第1処理後の複数のSSPD21~24に対応する複数の有効信号を多重化する第2処理を行うように構成されている。より詳しくは、第2処理回路12は、各遅延回路111~114の出力端子doutから出力される複数の有効信号が入力され、これらの有効信号を多重化して出力信号OUTを出力するように構成されている。
【0043】
図3は本実施の形態における光子の検出態様と出力信号OUTおよび検出効率との関係を模式的に示す図である。
【0044】
例えば、SSPD21において光子が検出された場合、SFQパルス信号S1が遅延回路111の入力端子dinに入力される。この場合、遅延回路111は、信号入力状態が保持される。例えば、遅延回路111の内部値を0から1に変えてその値を保持する。このとき、他の遅延回路112~114のクロック入力端子clkにSFQパルス信号S1が入力されるが、当該遅延回路112~114の内部値が0であれば、遅延回路112~114の出力端子doutから出力される値は0のままである。また、遅延回路111の出力端子doutからは値が出力されない。
【0045】
その後、別のSSPD23において光子が検出された場合、SFQパルス信号S3が対応する遅延回路113の入力端子dinに入力されるとともに、その他の遅延回路111,112,114のクロック入力端子clkに入力される。このとき、遅延回路111の内部値が1であるため、遅延回路111の出力端子doutから内部値1が出力される。また、遅延回路113の出力端子doutからは値が出力されないが、その内部値は0から1に変化し、その値が保持される。
【0046】
このようにして、一の遅延回路11x(x=1~4)に、対応するSFQパルス信号Sxが入力端子dinに入力された後、その他の何れかの遅延回路11y(y≠x)に対応するSFQパルス信号Syがクロック入力端子clkに入力された場合に、遅延回路11xに入力されたSFQパルス信号Sxに対応する値が出力端子doutから出力される。
【0047】
したがって、内部値が1である遅延回路11xの入力端子dinに、再度対応するSFQパルス信号Sxが入力されても、内部値は変化せず、また、出力端子doutからの信号が出力されない状態が維持される。例えば、図3においてSSPD22が光子を検出し、対応するSFQパルス信号S2が遅延回路112に入力されたことにより、SFQパルス信号S2の入力が無効となる無効期間Ti(後述)に移行している。このため、SFQパルス信号S2が連続で入力された場合(同じSSPD22が連続で光子を検出した場合)であっても、最初のSFQパルス信号S2のみが有効な信号として扱われている。
【0048】
これにより、一の遅延回路11xの入力端子dinに一のSFQパルス信号Sxが入力されてから、当該遅延回路11xのクロック入力端子clkに他のSFQパルス信号Syが入力されるまでの期間において、その遅延回路11xの入力端子dinへのSFQパルス信号Sxの入力が無効となる。図3において、SFQパルス信号Sxの入力が無効となる無効期間をTi、入力が有効となる有効期間をTvとして示している。
【0049】
各遅延回路111~114の出力端子doutから出力される有効信号は、第2処理回路12により多重化される。第2処理回路12は、多重化した有効信号を出力信号OUTとして出力する。なお、図3において示す出力信号OUTは、便宜上、各SSPD21~24への光子の入射タイミングと時間軸を合せて表示している。しかし、上述の通り、遅延回路111~114による第1処理により、出力信号OUTにおけるパルスの出力タイミングは、実際には、対応する遅延回路11xの無効期間Tiの終了時点(他のSFQパルス信号Syが入力された時点)となる。
【0050】
上記構成により、複数のSSPD21~24の何れか(SSPD2x)において光子を検出した後(一の遅延回路11xの内部値が1となった後)において、検出動作したSSPD2xを除く3つのSSPDで光子の検出が有効となる。すなわち、検出効率(全てのSSPD21~24の全面積に対して光子の検出が有効となる面積)が3/4で一定となる。これを一般化すると、n個のSSPDを備えたシステムにおいて、検出効率が(n-1)/nで一定となる。
【0051】
これに対し、従来のように複数のSSPDの検出信号を単純に多重化した場合には、検出効率が一定とはならない。図5は複数のSSPDの検出信号を単純に多重化した比較例における光子の検出態様と出力信号OUTおよび検出効率との関係を模式的に示す図である。図5に示す比較例においてもSSPDの数(4つ)は本実施の形態と同じである。一方、比較例においては本実施の形態の信号多重化回路38における第1処理回路11が存在しない。すなわち、SFQパルス信号S1~S4が信号多重化回路に入力されると、それがそのまま多重化される(本実施の形態における第2処理のみを行う)。
【0052】
このような比較例においては、SSPD21~24で光子の検出可否に関して信号多重化回路による制約はない。ただし、SSPD21~24が光子を検出してパルスを出力した場合、その後、当該SSPDが初期状態まで回復するまでの間は、当該SSPDにおいて光子を検出できない不感時間Tdとなる。不感時間TdにおけるSSPDに光子が入射されても出力信号が得られず、システム全体として検出効率がSSPD1つ分減少する。このため、当該不感時間TdにおいてはSSPD21~24に起因する光子の検出の無効期間が物理的に生じる。
【0053】
この結果、一のSSPD2xが光子を検出した後、当該SSPD2xの不感時間Tdが終了するまでの間は、本実施の形態と同様、検出効率が3/4となる。ところが、不感時間Tdの終了後、SSPD21~24の何れかが光子を検出するまでの間は、すべてのSSPDは光子を検出できるようになり、システムの検出効率は元通りになる。すなわち、検出効率が4/4に変化する。これを一般化すると、n個のSSPDを備えたシステムにおいて検出効率が(n-1)/nになる期間とn/nになる期間とが存在する。このように、比較例においては、システム全体の検出効率が時間的に変化する。
【0054】
本発明の発明者らは、鋭意研究の末、複数のSSPD21~24の検出信号を単純に多重化した場合に、図7に示すような、短い時間領域において自己相関曲線の非直線性が生じるのは、SSPD21~24が光子を検出した後に不感時間Tdが発生することにより、システム全体の検出効率が時間的に変化することが原因であるとの知見を得た。
【0055】
このような知見から、発明者らは、自己相関曲線の非直線性を除去するためには、システム全体の検出効率の時間的変化を抑制することが必要であると考えた。ここで、SSPD21~24において光子を検出した後の不感時間Td自体はなくすことができない(図3に示すように、本実施の形態においても不感時間Tdは存在する)。したがって、不感時間Tdの存在によってシステム全体の検出効率の時間的変化が生じるのを抑制するために、複数のSSPD21~24からの検出信号を多重化する第2処理を実行する前に、第1処理が行われる。すなわち、一のSSPD2xにおける検出信号に対応する信号(SFQパルス信号)Sxが入力された場合、当該信号Sxの入力後、不感時間Tdの経過後であっても、その他のSSPD2yからの検出信号に対応する信号Syが入力されるまで、当該一のSSPD2xにおける光子の検出が無効化される。
【0056】
これにより、一のSSPD2xにおいて光子が検出された後は、検出効率がSSPD1つ分減少した状態(n個のSSPDにおいて検出効率が(n-1)/nとなる状態)が継続される。このため、検出効率の時間的変化がなくなり、その後の信号を多重化して得られた自己相関関数には、短い時間領域において、自己相関曲線の非直線性が生じることが防止される。したがって、複数のSSPD21~24を用いて光子を検出することにより、入射光量の低減を抑制しつつ、第1処理を行うことにより、より短い時間領域において観測容易な自己相関関数を得ることができる。
【0057】
図4は本実施の形態の実施例において得られた自己相関関数を比較例とともに示すグラフである。比較例のグラフは、図7と同じグラフである。なお、実施例においては図1に示す構成とほぼ同様の構成を用いて実際にSSPDに光を照射することにより測定を行った。なお、図1の実施例においては3つのSSPD(n=3)を用いて測定した。また、比較例においては2つのSSPD(n=2)を用いて測定した。本実施例および比較例の測定においては、自己相関性のない連続光源を用いて行った。すなわち、これにより得られた自己相関関数曲線は、検出器および自己相関器の特性に起因するもののみを観測することができる。
【0058】
上述したように、比較例においては約0.3μsより短い時間領域において、自己相関関数が急激に減少しており、自己相関関数曲線の非直線性が見られる。一方、実施例においては、比較例においてみられた非直線性は0.3μs付近に見られず、より短い時間領域においてまで直線性の良い自己相関関数曲線が得られた。これにより、本システムを用いて観測対象を観測した際に、より短い時間領域において観測対象を観測可能になる。
【0059】
また、本実施の形態によれば、FCCS法のように2色の蛍光色素を準備する必要がなくなる。なお、本実施の形態によれば複数のSSPD21~24を最大限生かして検出することができない(検出効率が(n-1)/n<1となる)が、SSPDの数を増やすことにより、検出効率の低減を抑えることができる。例えばn=4であれば、検出効率は3/4=75%であるが、n=10であれば、検出効率は9/10=90%となり、SSPDの数が増えるほど検出効率の低減を抑制できる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、上記のような検出効率の時間的変化を防止するための第1処理を実現する回路構成がSSPD21~24に対応する数の遅延回路111~114を用いて実現される。これにより、簡単な構成および既存の回路素子を用いて、第1処理を実行する回路を容易に実現することができる。
【0061】
以上のような応答速度が速く検出効率の不連続性がないSSPDシステム1において生成される出力信号OUTが自己相関器10に入力されることにより、自己相関器10により得られる自己相関関数の短い時間領域においてFCS法等による適切な観測を行うことができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0063】
例えば、上記実施形態においては、4つのSSPD21~24が1つのチップに形成されたSSPDアレイ20に基づいて説明したが、SSPDが2つ以上設けられる構成である限り、本発明はこれに限られない。
【0064】
また、SSPDアレイ20を構成する複数のSSPDは、1つの受光面をどのように区画したものであってもよい。例えば、上記実施形態のように、正方形状のSSPDを縦および横に(マトリクス状に)配置してもよいし、長方形状のSSPDを縦または横方向にのみ配置してもよいし、その他の形状(三角形など)を有するSSPDを幾何学的に配置することとしてもよい。
【0065】
また、SSPDアレイ20を構成する複数のSSPDは、複数のチップ上に形成されてもよい。信号処理回路30の構成は、上記実施形態において説明した構成に限定されず、図3に示されるような信号処理が実現できる回路であればよく、本発明の超伝導単一光子検出システムが適用される装置またはシステム等に応じて種々の改良、変更、修正が行われた構成が適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、入射光量の低減を抑制しつつ、より短い時間領域において観測容易な自己相関関数を得るために有用である。特に、FCS法を用いた細胞の観測または深宇宙通信技術への適用等の高速動作が求められるアプリケーションのために有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 超伝導単一光子検出システム
10 自己相関器
11 第1処理回路
12 第2処理回路
21~24 SSPD(超伝導単一光子検出器)
30 信号処理回路(超伝導SFQ回路)
31~34 変換器
111~114 遅延回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7