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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】地下累層内への有害物質の貯蔵
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/36 20060101AFI20221031BHJP
   G21F 9/34 20060101ALI20221031BHJP
   G21F 9/00 20060101ALI20221031BHJP
   E21B 7/06 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
G21F9/36 541D
G21F9/34 C
G21F9/00 Z
G21F9/36 541E
E21B7/06
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2019566919
(86)(22)【出願日】2018-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 US2018035974
(87)【国際公開番号】W WO2018226636
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】62/515,050
(32)【優先日】2017-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518222642
【氏名又は名称】ディープ アイソレーション, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, リチャード エー.
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, エリザベス エー.
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05863283(US,A)
【文献】特開2006-170690(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0234663(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/34-9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害物質貯蔵処分施設であって、
地球の中に延在するドリル孔であって、前記ドリル孔は、少なくとも地球表面の近位に入口を備え前記ドリル孔は、略垂直ドリル孔部分と、前記略垂直ドリル孔部分に結合されている遷移ドリル孔部分と、前記遷移ドリル孔部分に結合されている有害物質貯蔵ドリル孔部分とを備え、前記略垂直ドリル孔部分および前記遷移ドリル孔部分および前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、単一の連続的ドリル孔を形成し、前記遷移ドリル孔部分または前記有害物質貯蔵ドリル孔部分のうちの少なくとも1つは分離ドリル孔部分を備え、前記分離ドリル孔部分は、前記地球表面に向かって、前記略垂直ドリル孔部分と前記遷移ドリル孔部分との間の交差点から離れるように垂直に指向されているドリル孔と、
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分内に位置付けられている貯蔵キャニスタであって、前記貯蔵キャニスタは、前記ドリル孔入口から、前記略垂直ドリル孔部分を通して、前記遷移ドリル孔部分を通して、前記ドリル孔の前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に嵌合するように定寸されており、前記貯蔵キャニスタは、有害物質を封入するように定寸されている内側空洞を備える、貯蔵キャニスタと、
前記ドリル孔内に位置付けられているシールであって、前記シールは、前記ドリル孔の前記有害物質貯蔵ドリル孔部分を前記ドリル孔の前記入口から分離する、シールと
を備える、有害物質貯蔵処分施設。
【請求項2】
前記分離ドリル孔部分は垂直に傾斜したドリル孔部分を備え、前記垂直に傾斜したドリル孔部分は、第1の深さにおいて前記遷移ドリル孔部分に結合されている近位端と、前記第1の深さよりも浅い第2の深さにおいて前記近位端と対向する遠位端とを備える請求項1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【請求項3】
前記垂直に傾斜したドリル孔部分は、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分を備える、請求項2に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【請求項4】
前記垂直に傾斜したドリル孔部分の傾斜角は前記垂直に傾斜したドリル孔部分を囲繞する地質的累層の擾乱区域関連付けられている距離と、前記貯蔵キャニスタの最低部分および前記略垂直ドリル孔部分に接する距離の長さとに少なくとも部分的に基づいて判定される、請求項2に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【請求項5】
前記地質的累層の前記擾乱区域関連付けられている距離は、前記擾乱区域の外側円周と前記垂直に傾斜するドリル孔部分の半径方向中心線との間の距離を含む、請求項4に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【請求項6】
前記分離ドリル孔部分は、前記略垂直ドリル孔部分と前記有害物質貯蔵ドリル孔部分との間に結合されているJ区分ドリル孔部分を備え、前記J区分ドリル孔部分は、前記遷移ドリル孔部分を備える、請求項1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【請求項7】
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、略水平ドリル孔部分または垂直に傾斜したドリル孔部分のうちの少なくとも1つを備える、請求項6に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【請求項8】
前記分離ドリル孔部分は、前記遷移ドリル孔部分に結合されている垂直に波状のドリル孔部分を備え、前記遷移ドリル孔部分は、前記略垂直ドリル孔部分と前記垂直に波状のドリル孔部分との間に湾曲したドリル孔部分を備える、請求項1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【請求項9】
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、シェール累層または塩累層または他の不浸透性累層のうちの少なくとも1つを含む障壁層内もしくはその下方に位置し、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、前記障壁層によって、可動水を含む地下区域から垂直に分離されている、請求項1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【請求項10】
前記有害物質は、使用済み核燃料を含む、請求項1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【請求項11】
前記有害物質貯蔵処分施設は、少なくとも1つのケーシングアセンブリをさらに備え、前記少なくとも1つのケーシングアセンブリは、前記地球表面またはその近位から、前記ドリル孔を通して、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に延在する請求項1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【請求項12】
前記分離ドリル孔部分は、螺旋ドリル孔を備える、請求項1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【請求項13】
前記分離ドリル孔部分は岩石累層の応力状態から独立している特定の幾何学形状を備え、前記岩石累層の中には、前記分離ドリル孔部分が形成されてい請求項1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【請求項14】
有害物質を貯蔵するための方法であって、
地球表面の中に延在するドリル孔の入口を通して貯蔵キャニスタを移動させることであって、前記入口は、少なくとも前記地球表面の近位にあり、前記貯蔵キャニスタは、有害物質を封入するように定寸されている内側空洞を備える、ことと、
略垂直ドリル孔部分と、前記略垂直ドリル孔部分に結合されている遷移ドリル孔部分と、前記遷移ドリル孔部分に結合されている有害物質貯蔵ドリル孔部分とを備える前記ドリル孔を通して前記貯蔵キャニスタを移動させることであって、前記略垂直ドリル孔部分および前記遷移ドリル孔部分および前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、単一の連続的ドリル孔を形成し、前記遷移ドリル孔部分または前記有害物質貯蔵ドリル孔部分のうちの少なくとも1つは分離ドリル孔部分を備え、前記分離ドリル孔部分は、前記地球表面に向かって、前記略垂直ドリル孔部分と前記遷移ドリル孔部分との間の交差点から離れるように垂直に指向されていることと、
前記貯蔵キャニスタを前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に移動させることと、
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分を前記ドリル孔の前記入口から分離するシールを前記ドリル孔内に形成することと
を含む、方法。
【請求項15】
前記分離ドリル孔部分は垂直に傾斜したドリル孔部分を備え、前記垂直に傾斜したドリル孔部分は、第1の深さにおいて前記遷移ドリル孔部分に結合されている近位端と、前記第1の深さよりも浅い第2の深さにおいて前記近位端と対向する遠位端とを備える請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記垂直に傾斜したドリル孔部分は、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記垂直に傾斜したドリル孔部分の傾斜角は前記垂直に傾斜したドリル孔部分を囲繞する地質的累層の擾乱区域関連付けられている距離と、前記貯蔵キャニスタの最低部分および前記略垂直ドリル孔部分に接する距離の長さとに少なくとも部分的に基づいて判定される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記地質的累層の前記擾乱区域関連付けられている距離は、前記擾乱区域の外側円周と前記垂直に傾斜するドリル孔部分の半径方向中心線との間の距離を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記分離ドリル孔部分は、前記略垂直ドリル孔部分と前記有害物質貯蔵ドリル孔部分との間に結合されているJ区分ドリル孔部分を備え、前記J区分ドリル孔部分は、前記遷移ドリル孔部分を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、略水平ドリル孔部分または垂直に傾斜したドリル孔部分のうちの少なくとも1つを備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記分離ドリル孔部分は、前記遷移ドリル孔部分に結合されている垂直に波状のドリル孔部分を備え、前記遷移ドリル孔部分は、前記略垂直ドリル孔部分と前記垂直に波状のドリル孔部分との間に湾曲したドリル孔部分を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、シェール累層、塩累層、または他の不浸透性累層のうちの少なくとも1つを含む障壁層内もしくはその下方に位置し、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、前記障壁層によって、可動水を含む地下区域から垂直に分離されている、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記有害物質は、使用済み核燃料を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、少なくとも1つのケーシングアセンブリを提供することをさらに含み、前記少なくとも1つのケーシングアセンブリは、前記地球表面またはその近位から、前記ドリル孔を通して、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に延在する請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、
前記ドリル孔から前記シールを除去することと、
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分から前記地球表面に前記貯蔵キャニスタを回収することと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記方法は、
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の近位に位置付けられているセンサから、前記貯蔵キャニスタ関連付けられている少なくとも1つの変数を監視することと、
前記地球表面において前記監視される変数を記録することと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記監視される変数は、放射線レベル、温度、圧力、酸素の存在、水蒸気の存在、液体水の存在、酸性度、または地震活動のうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記方法は、
ある閾値を超える前記監視される変数に基づいて、
前記ドリル孔から前記シールを除去することと、
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分から前記地球表面に前記貯蔵キャニスタを回収することと
をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記分離ドリル孔部分は、螺旋ドリル孔を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
有害物質貯蔵処分施設であって、
地球の中に延在するドリル孔であって、前記ドリル孔は、少なくとも地球表面の近位に入口を備え前記ドリル孔は、略垂直ドリル孔部分と、前記略垂直ドリル孔部分に結合されている遷移ドリル孔部分と、前記遷移ドリル孔部分に結合されている有害物質貯蔵ドリル孔部分とを備え、前記略垂直ドリル孔部分および前記遷移ドリル孔部分および前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、単一の連続的ドリル孔を形成し、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、自己回復地質的累層の下方に位置し、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、前記自己回復地質的累層によって、可動水を含む地下区域から垂直に分離されており、前記遷移ドリル孔部分または前記有害物質貯蔵ドリル孔部分のうちの少なくとも1つは分離ドリル孔部分を備え、前記分離ドリル孔部分は、前記地球表面に向かって、前記略垂直ドリル孔部分と前記遷移ドリル孔部分との間の交差点から離れるように垂直に指向されているドリル孔と、
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分内に位置付けられている貯蔵キャニスタであって、前記貯蔵キャニスタは、前記ドリル孔入口から、前記略垂直ドリル孔部分を通して、前記遷移ドリル孔部分を通して、前記ドリル孔の有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に嵌合するように定寸されており、前記貯蔵キャニスタは、有害物質を封入するように定寸されている内側空洞を備える、貯蔵キャニスタと、
前記ドリル孔内に位置付けられているシールであって、前記シールは、前記ドリル孔の前記有害物質貯蔵ドリル孔部分を前記ドリル孔の前記入口から分離する、シールと
を備える、有害物質貯蔵処分施設。
【請求項31】
前記自己回復地質的累層は、シェール、塩、粘土、またはドロマイトのうちの少なくとも1つを備える、請求項30に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、その内容全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、2017年6月5日に出願され、「STORING HAZARDOUS MATERIAL IN A SUBTERRANEAN FORMATION」と題された、米国仮特許出願第62/515,050号に対して優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本開示は、地下累層内に有害物質を貯蔵することに関し、より具体的には、地下累層内に使用済み核燃料を貯蔵することに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
有害廃棄物は、多くの場合、貯蔵される廃棄物の近くに住む住民間の健康問題を防止するように、長期、恒久的、または半恒久的貯蔵状態に置かれる。そのような有害廃棄物貯蔵は、多くの場合、例えば、貯蔵場所識別および封じ込めの保証の観点から困難である。例えば、核廃棄物(例えば、商業的動力炉、試験炉、またはさらには高度軍事廃棄物からのものであるかどうかにかかわらず、使用済み核燃料)の安全な貯蔵は、エネルギー技術の顕著な課題のうちの1つと見なされている。長寿命放射性廃棄物の安全な貯蔵は、米国および世界中における原子力の採用への大きな障害である。従来の廃棄物貯蔵方法は、トンネルの使用を強調しており、Yucca Mountain貯蔵施設の設計によって例示される。他の技法は、結晶基盤岩の中に削孔される、垂直ボーリング孔を含むボーリング孔を含む。他の従来の技法は、人間のアクセスを可能にするために、浅い累層内のトンネルの壁から発するボーリング孔を伴うトンネルを形成することを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要約)
一般的実装では、有害物質貯蔵処分施設は、地球の中に延在し、少なくとも地球表面の近位に入口を含む、ドリル孔であって、略垂直ドリル孔部分と、略垂直ドリル孔部分に結合される、遷移ドリル孔部分と、遷移ドリル孔部分に結合される、有害物質貯蔵ドリル孔部分とを含み、遷移ドリル孔部分または有害物質貯蔵ドリル孔部分のうちの少なくとも1つは、地球表面に向かって、略垂直ドリル孔部分と遷移ドリル孔部分との間の交差点から離れるように垂直に指向される、分離ドリル孔部分を含む、ドリル孔と、有害物質貯蔵ドリル孔部分内に位置付けられる、貯蔵キャニスタであって、貯蔵キャニスタは、ドリル孔入口から、略垂直ドリル孔部分を通して、遷移ドリル孔部分を通して、ドリル孔の有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に嵌合するように定寸され、有害物質を封入するように定寸された内側空洞を含む、貯蔵キャニスタと、ドリル孔内に位置付けられる、シールであって、ドリル孔の有害物質貯蔵ドリル孔部分をドリル孔の入口から分離する、シールとを含む。
【0005】
一般的実装と組み合わせ可能なある側面では、分離ドリル孔部分は、第1の深さにおいて遷移ドリル孔部分に結合される近位端と、第1の深さよりも浅い第2の深さにおいて近位端と対向する遠位端とを含む、垂直に傾斜したドリル孔部分を含む。
【0006】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、垂直に傾斜したドリル孔部分は、有害物質貯蔵ドリル孔部分を含む。
【0007】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、垂直に傾斜したドリル孔部分の傾斜角は、少なくとも部分的に、垂直に傾斜したドリル孔部分を囲繞する地質的累層の擾乱区域と関連付けられる距離と、貯蔵キャニスタの最低部分および略垂直ドリル孔部分に接する距離の長さとに基づいて判定される。
【0008】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、地質的累層の擾乱区域と関連付けられる距離は、擾乱区域の外側円周と垂直に傾斜するドリル孔部分の半径方向中心線との間の距離を含む。
【0009】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、傾斜角は、約3度である。
【0010】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、分離ドリル孔部分は、略垂直ドリル孔部分と有害物質貯蔵ドリル孔部分との間に結合されるJ区分ドリル孔部分を含む。
【0011】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、J区分ドリル孔部分は、遷移ドリル孔部分を含む。
【0012】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、略水平ドリル孔部分または垂直に傾斜したドリル孔部分のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、分離ドリル孔部分は、遷移ドリル孔部分に結合される垂直に波状のドリル孔部分を含む。
【0014】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、遷移ドリル孔部分は、略垂直ドリル孔部分と垂直に波状のドリル孔部分との間に湾曲したドリル孔部分を含む。
【0015】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、シェール累層、塩累層、または他の不浸透性累層のうちの少なくとも1つを含む障壁層内もしくはその下方に位置する。
【0016】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、障壁層によって、可動水を含む地下区域から垂直に分離される。
【0017】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、障壁層の下方に形成され、障壁層によって可動水を含む地下区域から垂直に分離される。
【0018】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、障壁層内に形成され、障壁層の少なくとも一部によって可動水を含む地下区域から垂直に分離される。
【0019】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、約0.01ミリダルシ未満の浸透率を含む。
【0020】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、約10MPa未満の脆性を含み、脆性は、障壁層の圧縮応力と障壁層の引張強度との比率を含む。
【0021】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、少なくとも約100フィートの有害物質貯蔵ドリル孔部分の近位の厚さを含む。
【0022】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、有害物質の半減期に基づく時間の量にわたって障壁層を通して貯蔵キャニスタから逃散する有害物質の拡散を阻止する、有害物質貯蔵ドリル孔部分の近位の厚さを含む。
【0023】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、約20~30%重量/体積比の粘土または有機物質を含む。
【0024】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、不浸透性層を含む。
【0025】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、10,000年またはそれを上回る有害物質の漏出に関する時定数によって定義される漏出障壁を含む。
【0026】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、炭化水素または二酸化炭素産出累層を含む。
【0027】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、有害物質は、使用済み核燃料を含む。
【0028】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面はさらに、地球表面またはその近位から、ドリル孔を通して、有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に延在する、少なくとも1つのケーシングアセンブリを含む。
【0029】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、貯蔵キャニスタは、ダウンホールツールストリングまたは別の貯蔵キャニスタのうちの少なくとも1つに結合するように構成される、接続部分を含む。
【0030】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、分離ドリル孔部分は、螺旋ドリル孔を含む。
【0031】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、分離ドリル孔部分は、その中に分離ドリル孔部分が形成される岩石累層の応力状態から独立して規定される幾何学形状を有する。
【0032】
別の一般的実装では、有害物質を貯蔵するための方法は、地球表面の中に延在するドリル孔の入口を通して貯蔵キャニスタを移動させることであって、入口は、少なくとも地球表面の近位にあり、貯蔵キャニスタは、有害物質を封入するように定寸された内側空洞を含む、ことと、略垂直ドリル孔部分と、略垂直ドリル孔部分に結合される、遷移ドリル孔部分と、遷移ドリル孔部分に結合される、有害物質貯蔵ドリル孔部分とを含むドリル孔を通して貯蔵キャニスタを移動させることであって、遷移ドリル孔部分または有害物質貯蔵ドリル孔部分のうちの少なくとも1つは、地球表面に向かって、略垂直ドリル孔部分と遷移ドリル孔部分との間の交差点から離れるように垂直に指向される、分離ドリル孔部分を含む、ことと、貯蔵キャニスタを有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に移動させることと、ドリル孔の貯蔵部分をドリル孔の入口から分離するシールをドリル孔内に形成することとを含む。
【0033】
一般的実装と組み合わせ可能なある側面では、分離ドリル孔部分は、第1の深さにおいて遷移ドリル孔部分に結合される近位端と、第1の深さよりも浅い第2の深さにおいて近位端と対向する遠位端とを含む、垂直に傾斜したドリル孔部分を含む。
【0034】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、垂直に傾斜したドリル孔部分は、有害物質貯蔵ドリル孔部分を含む。
【0035】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、垂直に傾斜したドリル孔部分の傾斜角は、少なくとも部分的に、垂直に傾斜したドリル孔部分を囲繞する地質的累層の擾乱区域と関連付けられる距離と、貯蔵キャニスタの最低部分および略垂直ドリル孔部分に接する距離の長さとに基づいて判定される。
【0036】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、地質的累層の擾乱区域と関連付けられる距離は、擾乱区域の外側円周と垂直に傾斜するドリル孔部分の半径方向中心線との間の距離を含む。
【0037】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、傾斜角は、約3度である。
【0038】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、分離ドリル孔部分は、略垂直ドリル孔部分と有害物質貯蔵ドリル孔部分との間に結合されるJ区分ドリル孔部分を含む。
【0039】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、J区分ドリル孔部分は、遷移ドリル孔部分を含む。
【0040】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、略水平ドリル孔部分または垂直に傾斜したドリル孔部分のうちの少なくとも1つを含む。
【0041】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、分離ドリル孔部分は、遷移ドリル孔部分に結合される垂直に波状のドリル孔部分を含む。
【0042】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、遷移ドリル孔部分は、略垂直ドリル孔部分と垂直に波状のドリル孔部分との間に湾曲したドリル孔部分を含む。
【0043】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、シェール累層、塩累層、または他の不浸透性累層のうちの少なくとも1つを含む障壁層内もしくはその下方に位置する。
【0044】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、障壁層によって、可動水を含む地下区域から垂直に分離される。
【0045】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、障壁層の下方に形成され、障壁層によって可動水を含む地下区域から垂直に分離される。
【0046】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、障壁層内に形成され、障壁層の少なくとも一部によって可動水を含む地下区域から垂直に分離される。
【0047】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、約0.01ミリダルシ未満の浸透率を含む。
【0048】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、約10MPa未満の脆性を含み、脆性は、障壁層の圧縮応力と障壁層の引張強度との比率を含む。
【0049】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、少なくとも約100フィートの有害物質貯蔵ドリル孔部分の近位の厚さを含む。
【0050】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、有害物質の半減期に基づく時間の量にわたって障壁層を通して貯蔵キャニスタから逃散する有害物質の拡散を阻止する、有害物質貯蔵ドリル孔部分の近位の厚さを含む。
【0051】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、約20~30%重量/体積比の粘土または有機物質を含む。
【0052】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、不浸透性層を含む。
【0053】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、10,000年またはそれを上回る有害物質の漏出に関する時定数によって定義される漏出障壁を含む。
【0054】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、障壁層は、炭化水素または二酸化炭素産出累層を含む。
【0055】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、有害物質は、使用済み核燃料を含む。
【0056】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面はさらに、地球表面またはその近位から、ドリル孔を通して、有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に延在する、少なくとも1つのケーシングアセンブリを含む。
【0057】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、貯蔵キャニスタは、ダウンホールツールストリングまたは別の貯蔵キャニスタのうちの少なくとも1つに結合するように構成される、接続部分を含む。
【0058】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面はさらに、地球表面の中に延在するドリル孔の入口を通して貯蔵キャニスタを移動させることに先立って、ドリル孔を地球表面から地下累層まで形成することを含む。
【0059】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面はさらに、地球表面またはその近位から、ドリル孔を通して、有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に延在するケーシングをドリル孔内に配設することを含む。
【0060】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面はさらに、ケーシングをドリル孔に固結することを含む。
【0061】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面はさらに、ドリル孔を形成することに続けて、地下累層から、ドリル孔を通して、地球表面に炭化水素流体を生産することを含む。
【0062】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面はさらに、ドリル孔からシールを除去することと、有害物質貯蔵ドリル孔部分から地球表面に貯蔵キャニスタを回収することとを含む。
【0063】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面はさらに、有害物質貯蔵ドリル孔部分の近位に位置付けられるセンサから、貯蔵キャニスタと関連付けられる少なくとも1つの変数を監視することと、地球表面において監視される変数を記録することとを含む。
【0064】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面では、監視される変数は、放射線レベル、温度、圧力、酸素の存在、水蒸気の存在、液体水の存在、酸性度、または地震活動のうちの少なくとも1つを含む。
【0065】
先の側面のいずれかと組み合わせ可能な別の側面はさらに、ある閾値を超える監視される変数に基づいて、ドリル孔からシールを除去することと、有害物質貯蔵ドリル孔部分から地球表面に貯蔵キャニスタを回収することとを含む。
【0066】
別の一般的実装では、有害物質を貯蔵するための方法は、地球表面の中に延在するドリル孔の入口を通して貯蔵キャニスタを移動させることであって、入口は、少なくとも地球表面の近位にあり、貯蔵キャニスタは、有害物質を封入するように定寸された内側空洞を含む、ことと、略垂直ドリル孔部分と、略垂直ドリル孔部分に結合される、遷移ドリル孔部分と、遷移ドリル孔部分に結合される、有害物質貯蔵ドリル孔部分とを含むドリル孔を通して貯蔵キャニスタを移動させることであって、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、自己回復地質的累層の下方に位置し、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、自己回復地質的累層によって、可動水を含む地下区域から垂直に分離される、ことと、貯蔵キャニスタを有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に移動させることと、ドリル孔の貯蔵部分をドリル孔の入口から分離するシールをドリル孔内に形成することとを含む。
【0067】
一般的実装と組み合わせ可能なある側面では、自己回復地質的累層は、シェール、塩、粘土、またはドロマイトのうちの少なくとも1つを含む。
【0068】
別の一般的実装では、有害物質貯蔵処分施設は、地球の中に延在し、少なくとも地球表面の近位に入口を含む、ドリル孔であって、略垂直ドリル孔部分と、略垂直ドリル孔部分に結合される、遷移ドリル孔部分と、遷移ドリル孔部分に結合される、有害物質貯蔵ドリル孔部分とを含み、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、自己回復地質的累層の下方に位置し、有害物質貯蔵ドリル孔部分は、自己回復地質的累層によって、可動水を含む地下区域から垂直に分離される、ドリル孔と、有害物質貯蔵ドリル孔部分内に位置付けられる、貯蔵キャニスタであって、貯蔵キャニスタは、ドリル孔入口から、略垂直ドリル孔部分を通して、遷移ドリル孔部分を通して、ドリル孔の有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に嵌合するように定寸され、有害物質を封入するように定寸された内側空洞を含む、貯蔵キャニスタと、ドリル孔内に位置付けられる、シールであって、ドリル孔の有害物質貯蔵ドリル孔部分をドリル孔の入口から分離する、シールとを含む。
【0069】
一般的実装と組み合わせ可能なある側面では、自己回復地質的累層は、シェール、塩、粘土、またはドロマイトのうちの少なくとも1つを含む。
【0070】
本開示による有害物質貯蔵処分施設の実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。例えば、本開示による有害物質貯蔵処分施設は、いずれの近傍の可動水からも分離される、数千フィートの地下に位置する貯蔵処分施設内の有害物質の複数のレベルの封じ込めを可能にしてもよい。本開示による有害物質貯蔵処分施設はまた、数百万年にわたってその中に流体的にシールされた炭化水素を有することが証明された地下区域内に、有害物質のための貯蔵面積を作成または形成するために、証明された技法(例えば、削孔)を使用してもよい。別の実施例として、本開示による有害物質貯蔵処分施設は、とりわけ、低浸透性、厚さ、および延性を含む、そのような貯蔵のために好適な地質的性質を有するシェール累層内で、有害物質(例えば、放射性廃棄物)のための長期(例えば、数千年)貯蔵を提供してもよい。加えて、従来の貯蔵技法と比較して、多くの場合、長さが1マイルを超える長い水平ボーリング孔を促進する指向性削孔技法に部分的に起因して、より多くの体積の有害物質が、低費用で貯蔵されてもよい。加えて、そのような貯蔵のために好適な地質的性質を有する岩石累層が、有害物質が見出される、または生成され得る地点に近接近して見出され、それによって、そのような有害物質を輸送することと関連付けられる危険を低減させてもよい。
【0071】
本開示による有害物質貯蔵処分施設の実装はまた、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。大きい貯蔵容積は、順に、有害物質の貯蔵が、異なる形態またはキャニスタへの濃縮または移送等の複雑な事前処理の必要性なく設置されることを可能にする。さらなる実施例として、例えば、原子炉からの核廃棄物物質の場合では、廃棄物は、その元々のペレット内に保たれる、修正されないままである、またはその元々の燃料棒内に保たれる、もしくは数十の燃料棒を含有するその元々の燃料アセンブリ内に保たれることができる。別の側面では、有害物質は、元々のホルダ内に保たれてもよいが、セメントまたは他の材料が、ホルダの中に注入され、有害物質と構造との間の間隙を充填する。例えば、有害物質が、燃料棒内に貯蔵され、これが、順に、燃料アセンブリ内に貯蔵される場合、棒間の空間(典型的には、原子炉の内側にあるとき、水を用いて充填される)は、セメントまたは他の材料を用いて充填され、さらに付加的な外界からの分離層を提供し得る。またさらなる実施例として、有害物質の確実かつ低費用の貯蔵は、状況によって貯蔵された物質を回収することが有利であると見なされる場合、そのような物質の回収を依然として可能にしながら促進される。
【0072】
本開示に説明される主題の1つ以上の実装の詳細が、付随の図面および下記の説明に記載される。本主題の他の特徴、側面、および利点が、説明、図面、ならびに請求項から明白となるであろう。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
有害物質貯蔵処分施設であって、
地球の中に延在し、少なくとも地球表面の近位に入口を備える、ドリル孔であって、前記ドリル孔は、略垂直ドリル孔部分と、前記略垂直ドリル孔部分に結合された遷移ドリル孔部分と、前記遷移ドリル孔部分に結合された有害物質貯蔵ドリル孔部分とを備え、前記遷移ドリル孔部分または前記有害物質貯蔵ドリル孔部分のうちの少なくとも1つは、前記地球表面に向かって、前記略垂直ドリル孔部分と前記遷移ドリル孔部分との間の交差点から離れるように垂直に指向されている、分離ドリル孔部分を備える、ドリル孔と、
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分内に位置付けられた貯蔵キャニスタであって、前記貯蔵キャニスタは、前記ドリル孔入口から、前記略垂直ドリル孔部分を通して、前記遷移ドリル孔部分を通して、前記ドリル孔の前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に嵌合するように定寸され、前記貯蔵キャニスタは、有害物質を封入するように定寸された内側空洞を備える、貯蔵キャニスタと、
前記ドリル孔内に位置付けられたシールであって、前記シールは、前記ドリル孔の前記有害物質貯蔵ドリル孔部分を前記ドリル孔の前記入口から分離する、シールと
を備える、有害物質貯蔵処分施設。
(項目2)
前記分離ドリル孔部分は、第1の深さにおいて前記遷移ドリル孔部分に結合された近位端と、前記第1の深さよりも浅い第2の深さにおいて前記近位端と対向する遠位端とを備える、垂直に傾斜したドリル孔部分を備える、項目1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目3)
前記垂直に傾斜したドリル孔部分は、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分を備える、項目2に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目4)
前記垂直に傾斜したドリル孔部分の傾斜角は、少なくとも部分的に、前記垂直に傾斜したドリル孔部分を囲繞する地質的累層の擾乱区域と関連付けられる距離と、前記貯蔵キャニスタの最低部分および前記略垂直ドリル孔部分に接する距離の長さとに基づいて判定される、項目2に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目5)
前記地質的累層の前記擾乱区域と関連付けられる距離は、前記擾乱区域の外側円周と前記垂直に傾斜するドリル孔部分の半径方向中心線との間の距離を含む、項目4に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目6)
前記傾斜角は、約3度である、項目4に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目7)
前記分離ドリル孔部分は、前記略垂直ドリル孔部分と前記有害物質貯蔵ドリル孔部分との間に結合されたJ区分ドリル孔部分を備える、項目1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目8)
前記J区分ドリル孔部分は、前記遷移ドリル孔部分を備える、項目7に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目9)
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、略水平ドリル孔部分または垂直に傾斜したドリル孔部分のうちの少なくとも1つを備える、項目7に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目10)
前記分離ドリル孔部分は、前記遷移ドリル孔部分に結合された垂直に波状のドリル孔部分を備える、項目1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目11)
前記遷移ドリル孔部分は、前記略垂直ドリル孔部分と前記垂直に波状のドリル孔部分との間に湾曲したドリル孔部分を備える、項目10に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目12)
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、シェール累層、塩累層、または他の不浸透性累層のうちの少なくとも1つを含む障壁層内もしくはその下方に位置する、項目1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目13)
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、前記障壁層によって、可動水を含む地下区域から垂直に分離される、項目12に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目14)
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、前記障壁層の下方に形成され、前記障壁層によって可動水を含む前記地下区域から垂直に分離される、項目12に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目15)
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、前記障壁層内に形成され、前記障壁層の少なくとも一部によって可動水を含む前記地下区域から垂直に分離される、項目12に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目16)
前記障壁層は、約0.01ミリダルシ未満の浸透率を含む、項目12に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目17)
前記障壁層は、約10MPa未満の脆性を含み、脆性は、前記障壁層の圧縮応力と前記障壁層の引張強度との比率を含む、項目12に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目18)
前記障壁層は、少なくとも約100フィートの前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の近位の厚さを含む、項目12に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目19)
前記障壁層は、前記有害物質の半減期に基づく時間の量にわたって前記障壁層を通して前記貯蔵キャニスタから逃散する前記有害物質の拡散を阻止する、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の近位の厚さを含む、項目12に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目20)
前記障壁層は、約20~30%重量/体積比の粘土または有機物質を備える、項目12に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目21)
前記障壁層は、不浸透性層を備える、項目12に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目22)
前記障壁層は、10,000年またはそれを上回る前記有害物質の漏出に関する時定数によって定義される漏出障壁を備える、項目12に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目23)
前記障壁層は、炭化水素または二酸化炭素産出累層を備える、項目12に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目24)
前記有害物質は、使用済み核燃料を含む、項目1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目25)
前記地球表面またはその近位から、前記ドリル孔を通して、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に延在する、少なくとも1つのケーシングアセンブリをさらに備える、項目1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目26)
前記貯蔵キャニスタは、ダウンホールツールストリングまたは別の貯蔵キャニスタのうちの少なくとも1つに結合するように構成されている、接続部分を備える、項目1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目27)
前記分離ドリル孔部分は、螺旋ドリル孔を備える、項目1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目28)
前記分離ドリル孔部分は、その中に前記分離ドリル孔部分が形成される岩石累層の応力状態から独立して規定される幾何学形状を備える、項目1に記載の有害物質貯蔵処分施設。
(項目29)
有害物質を貯蔵するための方法であって、
地球表面の中に延在するドリル孔の入口を通して貯蔵キャニスタを移動させることであって、前記入口は、少なくとも前記地球表面の近位にあり、前記貯蔵キャニスタは、有害物質を封入するように定寸された内側空洞を備える、ことと、
略垂直ドリル孔部分と、前記略垂直ドリル孔部分に結合された遷移ドリル孔部分と、前記遷移ドリル孔部分に結合された有害物質貯蔵ドリル孔部分とを備える前記ドリル孔を通して前記貯蔵キャニスタを移動させることであって、前記遷移ドリル孔部分または前記有害物質貯蔵ドリル孔部分のうちの少なくとも1つは、前記地球表面に向かって、前記略垂直ドリル孔部分と前記遷移ドリル孔部分との間の交差点から離れるように垂直に指向されている、分離ドリル孔部分を備える、ことと、
前記貯蔵キャニスタを前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に移動させることと、
前記ドリル孔の貯蔵部分を前記ドリル孔の前記入口から分離するシールを前記ドリル孔内に形成することと
を含む、方法。
(項目30)
前記分離ドリル孔部分は、第1の深さにおいて前記遷移ドリル孔部分に結合された近位端と、前記第1の深さよりも浅い第2の深さにおいて前記近位端と対向する遠位端とを備える、垂直に傾斜したドリル孔部分を備える、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記垂直に傾斜したドリル孔部分は、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分を備える、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記垂直に傾斜したドリル孔部分の傾斜角は、少なくとも部分的に、前記垂直に傾斜したドリル孔部分を囲繞する地質的累層の擾乱区域と関連付けられる距離と、前記貯蔵キャニスタの最低部分および前記略垂直ドリル孔部分に接する距離の長さとに基づいて判定される、項目29に記載の方法。
(項目33)
前記地質的累層の前記擾乱区域と関連付けられる距離は、前記擾乱区域の外側円周と前記垂直に傾斜するドリル孔部分の半径方向中心線との間の距離を含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記傾斜角は、約3度である、項目32に記載の方法。
(項目35)
前記分離ドリル孔部分は、前記略垂直ドリル孔部分と前記有害物質貯蔵ドリル孔部分との間に結合されたJ区分ドリル孔部分を備える、項目29に記載の方法。
(項目36)
前記J区分ドリル孔部分は、前記遷移ドリル孔部分を備える、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、略水平ドリル孔部分または垂直に傾斜したドリル孔部分のうちの少なくとも1つを備える、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記分離ドリル孔部分は、前記遷移ドリル孔部分に結合された垂直に波状のドリル孔部分を備える、項目29に記載の方法。
(項目39)
前記遷移ドリル孔部分は、前記略垂直ドリル孔部分と前記垂直に波状のドリル孔部分との間に湾曲したドリル孔部分を備える、項目29に記載の方法。
(項目40)
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、シェール累層、塩累層、または他の不浸透性累層のうちの少なくとも1つを含む障壁層内もしくはその下方に位置する、項目29に記載の方法。
(項目41)
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、前記障壁層によって、可動水を含む地下区域から垂直に分離される、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、前記障壁層の下方に形成され、前記障壁層によって可動水を含む前記地下区域から垂直に分離される、項目40に記載の方法。
(項目43)
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、前記障壁層内に形成され、前記障壁層の少なくとも一部によって可動水を含む前記地下区域から垂直に分離される、項目40に記載の方法。
(項目44)
前記障壁層は、約0.01ミリダルシ未満の浸透率を含む、項目40に記載の方法。
(項目45)
前記障壁層は、約10MPa未満の脆性を含み、脆性は、前記障壁層の圧縮応力と前記障壁層の引張強度との比率を含む、項目40に記載の方法。
(項目46)
前記障壁層は、少なくとも約100フィートの前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の近位の厚さを含む、項目39に記載の方法。
(項目47)
前記障壁層は、前記有害物質の半減期に基づく時間の量にわたって前記障壁層を通して前記貯蔵キャニスタから逃散する前記有害物質の拡散を阻止する、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の近位の厚さを含む、項目40に記載の方法。
(項目48)
前記障壁層は、約20~30%重量/体積比の粘土または有機物質を備える、項目40に記載の方法。
(項目49)
前記障壁層は、不浸透性層を備える、項目40に記載の方法。
(項目50)
前記障壁層は、10,000年またはそれを上回る前記有害物質の漏出に関する時定数によって定義される漏出障壁を備える、項目40に記載の方法。
(項目51)
前記障壁層は、炭化水素または二酸化炭素産出累層を備える、項目40に記載の方法。
(項目52)
前記有害物質は、使用済み核燃料を含む、項目29に記載の方法。
(項目53)
前記地球表面またはその近位から、前記ドリル孔を通して、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に延在する、少なくとも1つのケーシングアセンブリをさらに備える、項目29に記載の方法。
(項目54)
前記貯蔵キャニスタは、ダウンホールツールストリングまたは別の貯蔵キャニスタのうちの少なくとも1つに結合するように構成されている、接続部分を備える、項目29に記載の方法。
(項目55)
前記地球表面の中に延在する前記ドリル孔の前記入口を通して前記貯蔵キャニスタを移動させることに先立って、前記ドリル孔を前記地球表面から地下累層まで形成することをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目56)
前記地球表面またはその近位から、前記ドリル孔を通して、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に延在するケーシングを前記ドリル孔内に配設することをさらに含む、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記ケーシングを前記ドリル孔に固結することをさらに含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記ドリル孔を形成することに続けて、前記地下累層から、前記ドリル孔を通して、前記地球表面に炭化水素流体を生産することをさらに含む、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記ドリル孔から前記シールを除去することと、
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分から前記地球表面に前記貯蔵キャニスタを回収することと
をさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目60)
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の近位に位置付けられるセンサから、前記貯蔵キャニスタと関連付けられる少なくとも1つの変数を監視することと、
前記地球表面において前記監視される変数を記録することと
をさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目61)
前記監視される変数は、放射線レベル、温度、圧力、酸素の存在、水蒸気の存在、液体水の存在、酸性度、または地震活動のうちの少なくとも1つを含む、項目60に記載の方法。
(項目62)
ある閾値を超える前記監視される変数に基づいて、
前記ドリル孔から前記シールを除去することと、
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分から前記地球表面に前記貯蔵キャニスタを回収することと
をさらに含む、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記分離ドリル孔部分は、螺旋ドリル孔を備える、項目29に記載の方法。
(項目64)
有害物質を貯蔵するための方法であって、
地球表面の中に延在するドリル孔の入口を通して貯蔵キャニスタを移動させることであって、前記入口は、少なくとも前記地球表面の近位にあり、前記貯蔵キャニスタは、有害物質を封入するように定寸された内側空洞を備える、ことと、
略垂直ドリル孔部分と、前記略垂直ドリル孔部分に結合された遷移ドリル孔部分と、前記遷移ドリル孔部分に結合された有害物質貯蔵ドリル孔部分とを備える前記ドリル孔を通して前記貯蔵キャニスタを移動させることであって、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、自己回復地質的累層の下方に位置し、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、前記自己回復地質的累層によって、可動水を含む地下区域から垂直に分離される、ことと、
前記貯蔵キャニスタを前記有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に移動させることと、
前記ドリル孔の貯蔵部分を前記ドリル孔の前記入口から分離するシールを前記ドリル孔内に形成することと
を含む、方法。
(項目65)
前記自己回復地質的累層は、シェール、塩、粘土、またはドロマイトのうちの少なくとも1つを備える、項目64に記載の方法。
(項目66)
有害物質貯蔵処分施設であって、
地球の中に延在し、少なくとも地球表面の近位に入口を備える、ドリル孔であって、前記ドリル孔は、略垂直ドリル孔部分と、前記略垂直ドリル孔部分に結合された遷移ドリル孔部分と、前記遷移ドリル孔部分に結合された有害物質貯蔵ドリル孔部分とを備え、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、自己回復地質的累層の下方に位置し、前記有害物質貯蔵ドリル孔部分は、前記自己回復地質的累層によって、可動水を含む地下区域から垂直に分離される、ドリル孔と、
前記有害物質貯蔵ドリル孔部分内に位置付けられた貯蔵キャニスタであって、前記貯蔵キャニスタは、前記ドリル孔入口から、前記略垂直ドリル孔部分を通して、前記遷移ドリル孔部分を通して、前記ドリル孔の有害物質貯蔵ドリル孔部分の中に嵌合するように定寸され、前記貯蔵キャニスタは、有害物質を封入するように定寸された内側空洞を備える、貯蔵キャニスタと、
前記ドリル孔内に位置付けられたシールであって、前記シールは、前記ドリル孔の前記有害物質貯蔵ドリル孔部分を前記ドリル孔の前記入口から分離する、シールと
を備える、有害物質貯蔵処分施設。
(項目67)
前記自己回復地質的累層は、シェール、塩、粘土、またはドロマイトのうちの少なくとも1つを備える、項目66に記載の有害物質貯蔵処分施設。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1A図1Aは、本開示による、堆積または回収動作の間の有害物質貯蔵処分施設システムの例示的実装の概略図示である。
【0074】
図1B図1Bは、有害物質貯蔵処分施設システムの傾斜部分の最小角度の例示的判定を示す、図1Aの有害物質貯蔵処分施設システムの例示的実装の一部の概略図示である。
【0075】
図2図2は、本開示による、堆積または回収動作の間の有害物質貯蔵処分施設システムの別の例示的実装の概略図示である。
【0076】
図3図3は、本開示による、堆積または回収動作の間の有害物質貯蔵処分施設システムの別の例示的実装の概略図示である。
【0077】
図4A図4A-4Cは、本開示による、有害物質貯蔵処分施設システムの他の例示的実装の概略図示である。
図4B図4A-4Cは、本開示による、有害物質貯蔵処分施設システムの他の例示的実装の概略図示である。
図4C図4A-4Cは、本開示による、有害物質貯蔵処分施設システムの他の例示的実装の概略図示である。
【0078】
図5図5Aは、有害物質貯蔵処分施設システムの別の例示的実装の概略図示の上面図であり、図5B-5Cは、その側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
(詳細な説明)
図1Aは、本開示による、堆積または回収動作の間の有害物質貯蔵処分施設システムの例示的実装の概略図示、例えば、有害物質貯蔵の長期(例えば、数十年、数百年、または数千年、もしくはそれを上回る)であるが、回収可能な安全かつ確実な貯蔵のための地下場所である。例えば、図1Aに目を向けると、本図は、堆積(または下記に説明されるような回収)プロセスの間、例えば、地下累層内での有害物質の1つ以上のキャニスタの展開の間の例示的有害物質貯蔵処分施設システム100を図示する。図示されるように、有害物質貯蔵処分施設システム100は、地球表面102から、複数の地下層112、114、116、および132を通して形成される(例えば、削孔される、またはその他)ドリル孔104を含む。地球表面102は、地面として図示されているが、地球表面102は、湖または海底もしくは水塊の下の他の表面等、海中または他の水中表面であってもよい。したがって、本開示は、ドリル孔104が水塊の下で、水塊に面する、またはその近位の削孔場所から形成され得ることを考慮する。
【0080】
図示されるドリル孔104は、有害物質貯蔵処分施設システム100の本実施例における指向性ドリル孔である。例えば、ドリル孔104は、アールが付けられた、すなわち、湾曲した部分108に結合される略垂直部分106を含み、アールが付けられた、すなわち、湾曲した部分108は、順に、傾斜部分110に結合される。本開示で使用されるように、ドリル孔配向の文脈における「略」は、厳密に垂直(例えば、地球表面102に厳密に垂直)または厳密に水平(例えば、地球表面102に厳密に平行)ではない、もしくは地球表面102に対して特定の傾斜角において厳密に傾斜しない場合があるドリル孔を指す。言い換えると、垂直ドリル孔は、多くの場合、真の垂直方向からずれて起伏し、それらは、真の垂直から逸脱する角度において削孔され得、傾斜ドリル孔は、多くの場合、真の傾斜角からずれて起伏する。さらに、いくつかの側面では、傾斜ドリル孔は、ドリル孔の長さにわたって厳密に均一な傾斜(例えば、度単位)を有さない、または呈さない場合がある。代わりに、ドリル孔の傾斜は、その長さにわたって(例えば、1~5度だけ)変動してもよい。本実施例に図示されるように、ドリル孔104の3つの部分、すなわち、垂直部分106、アールが付けられた部分108、および傾斜部分110は、地球の中に延在する連続的ドリル孔104を形成する。
【0081】
図示されるドリル孔104は、本実施例では、地球表面102から地球内の特定の深さまで、ドリル孔104の周囲に位置付けられ、固化される表面ケーシング120を有する。例えば、表面ケーシング120は、浅い累層内でドリル孔104の周囲に固化される(例えば、固結される)比較的に大直径の管状部材(または一続きの部材)であってもよい。本明細書で使用されるように、「管状」は、円形断面、楕円形断面、または他の形状の断面を有する部材を指し得る。例えば、有害物質貯蔵処分施設システム100の本実装では、表面ケーシング120は、地球表面から表面層112を通して延在する。表面層112は、本実施例では、1つ以上の層の岩石累層から成る地質的層である。いくつかの側面では、本実施例における表面層112は、淡水帯水層、塩水もしくは鹹水源、または可動水(例えば、地質的累層を通して移動する水)の他の源を含む場合とそうではない場合がある。いくつかの側面では、表面ケーシング120は、ドリル孔104をそのような可動水から分離してもよく、また、他のケーシングストリングがドリル孔104内に配設されるための懸下場所を提供してもよい。さらに、示されないが、コンダクタケーシングが、表面ケーシング120の上方(例えば、表面ケーシング120と表面102との間かつ表面層112内)に固化され、削孔流体が表面層112の中に逃散しないように防止してもよい。
【0082】
図示されるように、生産ケーシング122が、表面ケーシング120の下方の孔内のドリル孔104内に位置付けられ、固化される。「生産」ケーシングと称されるが、本実施例では、ケーシング122は、炭化水素生産動作を受けている場合とそうではない場合がある。したがって、ケーシング122は、表面ケーシング120の下方に向かう孔内でドリル孔104内に固化される(例えば、固結される)任意の形態の管状部材を指し、それを含む。有害物質貯蔵処分施設システム100のいくつかの実施例では、生産ケーシング122は、アールが付けられた部分108の端部において始まり、傾斜部分110全体を通して延在してもよい。ケーシング122はまた、アールが付けられた部分108および垂直部分106の中に延在し得る。
【0083】
示されるように、セメント130が、ケーシング120および122とドリル孔104との間の環において、ケーシング120および122の周囲に位置付けられる(例えば、圧送される)。セメント130は、例えば、地球表面102の下の地下層を通してケーシング120および122(ならびにドリル孔104の任意の他のケーシングまたはライナ)を固着させてもよい。いくつかの側面では、セメント130は、ケーシング(例えば、ケーシング120および122、ならびに任意の他のケーシング)の全長に沿って配設されてもよい、またはセメント130は、特定のドリル孔102に関して適正である場合、ケーシングのある部分に沿って使用され得る。セメント130はまた、キャニスタ126内の有害物質のための付加的な閉じ込め層を提供することができる。
【0084】
ドリル孔104ならびに関連付けられるケーシング120および122は、種々の例示的寸法を用いて、かつ種々の例示的深さ(例えば、真の垂直深さまたはTVD)において形成されてもよい。例えば、コンダクタケーシング(図示せず)が、約120フィートTVDまで下に延在し、約28インチ~60インチの直径を伴ってもよい。表面ケーシング120は、約2,500フィートTVDまで下に延在し、約22インチ~48インチの直径を伴ってもよい。表面ケーシング120と生産ケーシング122との間の中間ケーシング(図示せず)が、約8,000フィートTVDまで下に延在し、約16インチ~36インチの直径を伴ってもよい。生産ケーシング122は、傾斜して(例えば、傾斜部分110をケーシングするように)延在し、約11インチ~22インチの直径を伴ってもよい。前述の寸法は、単に、実施例として提供され、他の寸法(例えば、直径、TVD、長さ)も、本開示によって考慮される。例えば、直径およびTVDは、複数の地下層(112、114、116、および132)のうちの1つ以上の特定の地質的組成、特定の削孔技法、ならびに有害物質貯蔵処分施設システム100内に堆積される有害物質を含有する有害物質キャニスタ126のサイズ、形状、または設計に依存してもよい。いくつかの代替実施例では、生産ケーシング122(またはドリル孔104内の他のケーシング)は、断面において円形、断面において楕円形、またはある他の形状であり得る。
【0085】
図示されるように、ドリル孔104の垂直部分106は、地下層112、114、116、および132を通して延在し、本実施例では、地下層119内に着地する。上記に議論されるように、表面層112は、可動水を含む場合とそうではない場合がある。本実施例では、表面層112の下方にある地下層114は、可動水層114である。例えば、可動水層114は、淡水帯水層、塩水もしくは鹹水、または可動水の他の源等、可動水の1つ以上の源を含んでもよい。有害物質貯蔵処分施設システム100の本実施例では、可動水は、地下層の全てまたは一部を横断する圧力差に基づいて、地下層を通して移動する水であってもよい。例えば、可動水層114は、水が層114内を(例えば、圧力差またはその他に起因して)自由に移動する、浸透性地質的累層であってもよい。いくつかの側面では、可動水層114は、特定の地理的エリアにおける人間が消費可能な水の一次供給源であってもよい。可動水層114が成り得る岩石累層の実施例は、他の累層の中でもとりわけ、多孔性砂岩および石灰岩を含む。
【0086】
不浸透性層116および貯蔵層119等の他の図示される層は、不動水を含んでもよい。不動水は、いくつかの側面では、人間または動物の消費、もしくは両方に適していない水(例えば、淡水、塩水、鹹水)である。不動水は、いくつかの側面では、層116または119(もしくは両方)を通したその運動によって、10,000年またはそれを上回るもの(1,000,000年等)以内に可動水層114、地球表面102、または両方に到達することができない水であってもよい。
【0087】
有害物質貯蔵処分施設システム100の本例示的実装では、可動水層114の下方は、不浸透性層116である。本実施例では、不浸透性層116は、可動水が通過することを可能にし得ない。したがって、可動水層114と比較して、不浸透性層116は、低浸透率、例えば、約ナノダルシの浸透率を有し得る。加えて、本実施例では、不浸透性層116は、比較的に非延性(すなわち、脆性)地質的累層であってもよい。非延性の1つの測度は、脆性であり、これは、圧縮応力と引張強度との比率である。いくつかの実施例では、不浸透性層116の脆性は、約20MPa~40MPaであってもよい。
【0088】
本実施例に示されるように、不浸透性層116は、貯蔵層119よりも浅い(例えば、地球表面102により近接する)。本実施例では、不浸透性116が成り得る岩石累層は、例えば、上記に説明されるような浸透率および脆性性質を呈する、ある種類の砂岩、泥岩、粘土、ならびに粘板岩を含む。代替実施例では、不浸透性層116は、貯蔵層119よりも深くあり得る(例えば、地球表面102からより遠い)。そのような代替実施例では、不浸透性層116は、花崗岩等の火成岩から成ってもよい。
【0089】
不浸透性層116の下方は、貯蔵層119である。本実施例では、貯蔵層119は、いくつかの理由から、有害物質を貯蔵する傾斜部分110のための着地点として選定されてもよい。不浸透性116または他の層と比較して、貯蔵層119は、厚く、例えば、約100~200フィートの合計垂直厚さであってもよい。貯蔵層119の厚さは、より容易な着地および指向性削孔を可能にし、それによって、傾斜部分110が、構築(例えば、削孔)の間に貯蔵層119内に容易に設置されることを可能にしてもよい。貯蔵層119のおおよその水平中心を通して形成される場合、傾斜部分110は、貯蔵層119を含む約50~100フィートの地質的累層によって囲繞されてもよい。さらに、貯蔵層119はまた、例えば、層119の非常に低い浸透率(例えば、約ミリまたはナノダルシ)に起因して、不動水のみを有し得る。加えて、貯蔵層119は、十分な延性を有し得、したがって、層119を含む岩石累層の脆性は、約3MPa~10MPaである。貯蔵層119が成り得る岩石累層の実施例は、シェールおよび硬石膏を含む。さらに、いくつかの側面では、貯蔵層が、浸透性層を可動水層114から分離するために十分な地質的性質である場合、有害物質は、砂岩または石灰岩等の浸透性累層内であっても、貯蔵層の下方に貯蔵されてもよい。
【0090】
有害物質貯蔵処分施設システム100のいくつかの例示的実装では、貯蔵層119(および/または不浸透性層116)は、シェールから成る。いくつかの実施例では、シェールは、貯蔵層119に関して上記に説明されるものに該当する性質を有してもよい。例えば、シェール累層は、(例えば、有害物質キャニスタ126内での)有害物質の長期の閉じ込めならびに可動水層114(例えば、帯水層)および地球表面102からのそれらの分離のために好適であり得る。シェール累層は、地球内の比較的に深く、典型的には、3,000フィートまたはそれを上回って見出され、任意の淡水帯水層の下方に分離して置かれ得る。他の累層は、塩または他の不浸透性累層を含んでもよい。
【0091】
シェール累層(または塩もしくは他の不浸透性累層)は、例えば、物質の長期(例えば、数千年)分離を強化する地質的性質を含み得る。そのような性質は、例えば、炭化水素流体(例えば、ガス、液体、混合相流体)の相当な部分の囲繞層(例えば、可動水層114)の中への逃散を伴わない、そのような流体の長期貯蔵(例えば、数千万年)を通して例証されている。実際に、シェールは、数百万年またはそれを上回って天然ガスを保持することが示されており、有害物質の長期貯蔵に関する能力を保証している。例示的シェール累層(例えば、Marcellus、Eagle Ford、Barnett、およびその他)は、数百万年にわたって水、油、およびガスの移動を防止する際に効果的である多くの冗長シール層を含有し、可動水が欠如し、堆積後に数千年にわたって有害物質(例えば、流体または固体)をシールすることが(例えば、地質的考慮事項に基づいて)予期され得る層理を有する。
【0092】
いくつかの側面では、貯蔵層119および/または不浸透性層116の累層は、少なくとも部分的に、数百年、数千年、数万年、数十万年、またはさらには数百万年にわたって炭化水素または他の流体(例えば、二酸化炭素)に関する層の貯蔵能力の証拠によって判定され得る、漏出障壁または流体漏出に対する障壁層を形成してもよい。例えば、貯蔵層119および/または不浸透性層116の障壁層は、炭化水素または他の流体貯蔵のそのような証拠に基づいて、10,000年を上回る(約10,000年~1,000,000年等)有害物質の貯蔵に関する時定数によって定義されてもよい。
【0093】
シェール(または塩もしくは他の不浸透性層)累層はまた、好適な深さ、例えば、3,000~12,000フィートTVDにあり得る。そのような深さは、典型的には、地下水帯水層(例えば、表面層112および/または可動水層114)の下方である。さらに、塩を含むシェール内の可溶性要素の存在ならびに帯水層内のこれらの同一の要素の不在は、シェールと帯水層との間の流体分離を実証する。
【0094】
有利なこととして、有害物質貯蔵に役立ち得るシェールの別の特定の品質は、その粘土含有量であり、これは、いくつかの側面では、他の不浸透性岩石累層(例えば、不浸透性層116)に見出されるものを上回る一定の延性を提供する。例えば、シェールは、層状であり、粘土(例えば、体積比約20~30%の粘土)および他の鉱物の薄く交互する層から構成され得る。そのような組成は、不浸透性層内の岩石累層(例えば、ドロマイトまたはその他)と比較して、シェールの脆性をより低くし、したがって、シェールを(例えば、自然に、または別様に)より破砕しにくくし得る。例えば、不浸透性層116内の岩石累層は、有害物質の長期貯蔵のために好適な浸透率を有し得るが、過剰に脆性であり、一般的に破砕される。したがって、そのような累層は、有害物質の長期貯蔵のために(それらの地質的性質を通して証明されるような)十分なシール品質を有していない場合がある。
【0095】
本開示は、例証される地下層112、114、116、および119の間または中に多くの他の層が存在し得ることを考慮する。例えば、可動水層114、不浸透性層116、および貯蔵層119のうちの1つ以上の(例えば、垂直に)繰り返しパターンが存在し得る。さらに、いくつかの事例では、貯蔵層119は、可動水層114に(例えば、垂直に)直接隣接する、すなわち、介在する不浸透性層116を伴わない場合がある。いくつかの実施例では、アールが付けられたドリル孔108および傾斜ドリル孔110の全てまたは一部は、貯蔵層119(例えば、シェールまたは本明細書に説明されるような特性を伴う他の地質的累層)が傾斜ドリル孔110と可動水層114との間に垂直に位置付けられるように、貯蔵層119の下方に形成されてもよい。
【0096】
さらに、本例示的実装では、自己回復層132が、地球表面102の下方に、例えば、表面102と不浸透性層116および貯蔵層119のうちの一方または両方との間に見出され得る。いくつかの側面では、自己回復層132は、有害物質(液体、固体、またはガス状形態にあるかにかかわらず)のドリル孔104の貯蔵部分から地球表面102への、またはそれに向かう流動を停止させる、または妨げ得る地質的累層から成ってもよい。例えば、ドリル孔104の形成(例えば、削孔)の間、層112、114、116、および119の地質的累層の全てまたは一部は、(損傷区域140によって図示されるように)損傷を受け、それによって、それらの地質的特性(例えば、浸透率)に影響を及ぼす、またはそれを変化させ得る。実際には、損傷区域140は、簡易化のために層114および132の間に図示されるが、損傷区域140は、層112、114、116、119、132、およびその他の中への特定の距離だけ、ドリル孔104の全長(垂直、湾曲、および傾斜部分)を囲繞してもよい。
【0097】
ある側面では、ドリル孔104の場所は、自己回復層132を通して形成されるように選択されてもよい。例えば、示されるように、ドリル孔104は、ドリル孔104の垂直部分106の少なくとも一部が自己回復層132を通過するように形成されるように形成されてもよい。いくつかの側面では、自己回復層132は、それを通して削孔された後であっても、長い持続時間にわたって亀裂を持続しない地質的累層を備える。自己回復層132内の地質的累層の実施例は、粘土またはドロマイトを含む。そのような岩石累層における亀裂は、回復する傾向があり、すなわち、それらは、物質の相対的延性および自己回復層内の累層上の上側岩石の重量から地下で発生する膨大な圧力に起因して、時間とともに急速に消失する。ドリル孔104の形成(例えば、削孔またはその他)に起因して発生する亀裂に関する「回復機構」を提供することに加えて、自己回復層132はまた、そうでなければ有害物質漏出(例えば、流体または固体)の貯蔵領域(例えば、傾斜部分110内)から地球表面102、可動水層114、または両方への経路を提供し得る、自然の断層および他の亀裂に対する障壁を提供し得る。
【0098】
本実施例に示されるように、ドリル孔104の傾斜部分110は、その中に有害物質が長期貯蔵のために回収可能に設置され得る、貯蔵面積117を部分110の遠位部分内に含む。例えば、示されるように、作業ストリング124(例えば、管類、コイル状管類、ワイヤライン、またはその他)が、ケーシングされたドリル孔104の中に延在され、1つ以上の(3つが示されるが、より多いまたはより少ないものが存在し得る)有害物質キャニスタ126を、部分110における、長期であるが、いくつかの側面では、回収可能な貯蔵状態に置いてもよい。例えば、図1Aに示される実装では、作業ストリング124は、キャニスタ126に結合するダウンホールツール128を含んでもよく、ドリル孔104の中への各進行で、ダウンホールツール128は、傾斜部分110内に特定の有害物質キャニスタ126を堆積してもよい。
【0099】
ダウンホールツール128は、いくつかの側面では、ねじ山付き接続またはラッチ接続等の他のタイプの接続によってキャニスタ126に結合してもよい。代替側面では、ダウンホールツール128は、ダウンホールツール128の回転(または線形移動もしくは電気または油圧スイッチ)がキャニスタ126にラッチし得る(またはそれからラッチ解除する)ように、相互係止ラッチを用いてキャニスタ126に結合してもよい。代替側面では、ダウンホールツール124は、キャニスタ126に引き付けられるように結合する、1つ以上の磁石(例えば、希土類磁石、電磁石、それらの組み合わせ、またはその他)を含んでもよい。いくつかの実施例では、キャニスタ126はまた、ダウンホールツール124上の磁石と反対の極性の1つ以上の磁石(例えば、希土類磁石、電磁石、それらの組み合わせ、またはその他)を含んでもよい。いくつかの実施例では、キャニスタ126は、ダウンホールツール124の磁石に引き付け可能な鉄または他の材料から作製される、もしくはそれを含んでもよい。
【0100】
別の実施例として、各キャニスタ126は、ドリル孔104内に(例えば、ワイヤラインまたはその他の上の)ドリル孔トラクタによって位置付けられてもよく、これは、モータ式(例えば、電気)運動を通して傾斜部分110の中にキャニスタを押動または引動してもよい。また別の実施例として、各キャニスタ126は、ダウンホールツール124がケーシングされたドリル孔104の中にキャニスタ126を押動し得るように、ローラ(例えば、車輪)を含む、またはそれに搭載されてもよい。
【0101】
いくつかの例示的実装では、キャニスタ126、ドリル孔ケーシング120および122のうちの1つ以上、または両方は、堆積動作に先立って、摩擦低減コーティングを用いてコーティングされてもよい。例えば、コーティング(例えば、石油ベースの製品、樹脂、セラミック、またはその他)をキャニスタ126および/またはドリル孔ケーシングに適用することによって、キャニスタ126は、ケーシングされたドリル孔104を通して傾斜部分110の中により容易に移動されてもよい。いくつかの側面では、ドリル孔ケーシングの一部のみが、コーティングされてもよい。例えば、いくつかの側面では、略垂直部分106は、コーティングされない場合があるが、アールが付けられた部分108または傾斜部分110、もしくは両方は、キャニスタ126のより容易な堆積および回収を促進するためにコーティングされてもよい。
【0102】
図1Aはまた、ドリル孔104の傾斜部分110内の有害物質の回収動作の実施例を図示する。回収動作は、堆積動作の反対であり得、したがって、ダウンホールツール124(例えば、フィッシングツール)は、ドリル孔104の中に延設され、最後に堆積されたキャニスタ126に(例えば、螺合して、ラッチして、磁石によって、または別様に)結合され、キャニスタ126を地球表面102に引動してもよい。複数の回収進行が、ドリル孔104の傾斜部分110から複数のキャニスタを回収するために、ダウンホールツール124によって行われてもよい。
【0103】
各キャニスタ126は、有害物質を封入してもよい。そのような有害物質は、いくつかの実施例では、生物学的もしくは化学的廃棄物、または他の生物学的もしくは化学的有害物質であってもよい。いくつかの実施例では、有害物質は、原子炉(例えば、商業的動力炉または試験炉)または軍事核物質から回収された使用済み核燃料等の核物質を含んでもよい。例えば、ギガワットの原子力発電所は、毎年30トンの使用済み核燃料を生産し得る。その燃料の密度は、典型的には、10(10gm/cm=10kg/リットル)に近く、したがって、核廃棄物の1年間の体積は、約3mになる。核燃料ペレットの形態における使用済み核燃料が、原子炉から取り出され、修正されない場合がある。核燃料ペレットは、固体であるが、それらは、トリチウム(13年の半減期)、クリプトン-85(10.8年の半減期)、および二酸化炭素含有C-14(5,730年の半減期)を含む、種々の放射性ガスを含有および放出し得る。
【0104】
いくつかの側面では、貯蔵層119は、任意の放射性生産物(例えば、ガス)がキャニスタ126から逃散する場合であっても、層119内にそのような生産物を含有することが可能なはずである。例えば、貯蔵層119は、層119を通した放射性生産物の拡散時間に基づいて選択されてもよい。例えば、貯蔵層119から逃散する放射性生産物の最小拡散時間は、例えば、核燃料ペレットの任意の特定の成分に関する半減期の50倍に設定されてもよい。最小拡散時間としての50の半減期は、放射性生産物の量を1×10-15倍に低減させるであろう。別の実施例として、最小拡散時間を30の半減期に設定することは、放射性生産物の量を10億分の1に低減させるであろう。
【0105】
例えば、プルトニウム239は、多くの場合、24,100年のその長い半減期のため、使用済み核燃料における危険な廃棄生産物と見なされる。本同位体に関して、50の半減期は、120万年になるであろう。プルトニウム239は、水中で低い可溶性を有し、揮発性ではなく、固体として、その拡散時間は、例証される貯蔵層119(例えば、シェールまたは他の累層)を含む岩石累層の母岩を通して非常に短い(例えば、数百万年)。例えば、シェールから成る貯蔵層119は、数百万年にわたってガス状炭化水素(例えば、メタンおよびその他)を含有する地質的歴史によって示されるように、そのような分離時間(例えば、数百万年)を有する能力を提供し得る。対照的に、従来の核物質貯蔵方法では、一部のプルトニウムが、閉じ込め逃散に応じて、可動地下水から成る層内に溶解し得る危険が存在していた。
【0106】
図1Aにさらに示されるように、貯蔵キャニスタ126は、傾斜部分110内に長期貯蔵のために位置付けられてもよく、これは、示されるように、これがドリル孔104の垂直部分106から遠くに離れるにつれて、小さい角度(例えば、2~5度)において上向きに傾斜する。図示されるように、傾斜部分110は、地球表面102に向かって上向きに傾斜する。いくつかの側面では、例えば、キャニスタ126内に貯蔵される放射性有害物質が存在するとき、ドリル孔部分110の傾斜は、物質が、キャニスタ126から漏出している場合であっても、例えば、可動水層114、ドリル孔104の垂直部分106、地球表面102、またはそれらの組み合わせに到達しないように防止する、もしくは妨げるために、さらなる安全および封じ込め度を提供し得る。例えば、有害物質において懸念される放射性核種は、(ドリル孔を充填し得る鹹水または他の流体と比較して)比較的に浮力がある、または重い傾向がある。浮力のある放射性核種は、重い元素および分子が沈む傾向があり、地球表面102に向かって上向きに拡散しないであろうため、漏出に関する最大の懸念であり得る。クリプトンガス、特に、14CO14Cは、C-14とも呼ばれ、5,730年の半減期を伴う炭素の同位体である放射性炭素を指す)は、空気(殆どのガスのような)よりも重いが、水よりもはるかに軽い浮力のある放射性元素である。したがって、14COが水槽の中に導入される場合、そのようなガスは、地球表面102に向かって上向きに浮遊する傾向があるであろう。一方、ヨウ素は、水よりも密度が高く、水槽の中に導入される場合、下向きに拡散する傾向があるであろう。
【0107】
ドリル孔104の傾斜部分110を含むことによって、放射性物質のいずれのそのような拡散も(例えば、キャニスタ126から漏出している場合であっても、ドリル孔104またはその他の中の水または他の液体の存在下で)、傾斜部分110の遠位端121に向かって角度的に上向きに、ドリル孔104のアールが付けられた部分108(および垂直部分106)から離れるように指向されるであろう。したがって、漏出した有害物質は、拡散可能なガス形態においても、ドリル孔110の垂直部分106を通して地球表面102(または可動水層114)への経路を(例えば、直接)提供されないであろう。例えば、漏出した有害物質(特に、ガス状形態における)は、ドリル孔部分110の遠位端121に指向され、集められるであろう。
【0108】
傾斜ドリル孔部分110の中にキャニスタ126を堆積させる代替方法もまた、実装されてもよい。例えば、流体(例えば、液体またはガス)が、ドリル孔104を通して循環され、キャニスタ126を傾斜ドリル孔部分110の中に流体的に押動してもよい。いくつかの実施例では、各キャニスタ126は、別個に流体的に押動されてもよい。代替側面では、2つ以上のキャニスタ126が、傾斜部分110の中への堆積のために、ドリル孔104を通して同時に流体的に押動されてもよい。流体は、ある場合には、水であり得る。他の実施例は、削孔泥水または削孔フォームを含む。いくつかの実施例では、空気、アルゴン、または窒素等のガスが、キャニスタ126をドリル孔の中に押動するために使用されてもよい。
【0109】
いくつかの側面では、流体の選定は、少なくとも部分的に、流体の粘度に依存してもよい。例えば、流体は、略垂直部分106の中へのキャニスタ126の落下を妨げるために十分な粘度を伴うものが選定されてもよい。本抵抗またはインピーダンスは、キャニスタ126の突然の落下に対する安全係数を提供してもよい。流体はまた、キャニスタ126とケーシング120および122との間の摺動摩擦を低減させるために、潤滑を提供してもよい。キャニスタ126は、制御された粘度、密度、および潤滑品質の液体を用いて充填されるケーシング内で運搬されることができる。ケーシング120および122の内径と運搬されるキャニスタ126の外径との間の流体充填環は、任意の高速のキャニスタ運動を減衰するように設計される開口部を表し、運搬されるキャニスタ126の可能性が低い結合解除において自動的受動的保護を提供する。
【0110】
いくつかの側面では、他の技法も、傾斜部分110の中へのキャニスタ126の堆積を促進するために採用されてもよい。例えば、配設されたケーシング(例えば、ケーシング120および122)のうちの1つ以上は、ドリル孔102の中に貯蔵キャニスタ126を誘導する一方、ケーシングとキャニスタ126との間の摩擦を低減させるためのレールを有してもよい。貯蔵キャニスタ126およびケーシング(またはレール)は、相互に対して容易に摺動する材料から作製されてもよい。ケーシングは、貯蔵キャニスタ126の重量を受けるとき、容易に潤滑される表面または自己潤滑性であるものを有してもよい。
【0111】
流体はまた、キャニスタ126の回収のために使用されてもよい。例えば、例示的回収動作では、ケーシング120および122内の容積は、圧縮ガス(例えば、空気、窒素、アルゴン、またはその他)を用いて充填されてもよい。圧力が傾斜部分110の端部において増加するにつれて、キャニスタ126は、アールが付けられた部分108に向かって、続けて、略垂直部分106を通して、地球表面に押動されてもよい。
【0112】
いくつかの側面では、ドリル孔104は、有害物質の長期貯蔵を主要目的として形成されてもよい。代替側面では、ドリル孔104は、炭化水素生産(例えば、油、ガス)を主要目的として以前に形成されていた場合がある。例えば、貯蔵層119は、それから炭化水素がドリル孔104の中に、および地球表面102に生産された、炭化水素産出累層であってもよい。いくつかの側面では、貯蔵層119は、炭化水素生産に先立って、油圧式で破砕されていた場合がある。さらに、いくつかの側面では、生産ケーシング122は、油圧破砕に先立って、穿孔されていた場合がある。そのような側面では、生産ケーシング122は、有害物質の堆積動作に先立って、穿孔プロセスから作製された任意の孔を修復するために、塞がれてもよい(例えば、固結される)。加えて、ケーシングとドリル孔との間のセメントにおける任意の亀裂または開口部もまた、その時点で充填されることができる。
【0113】
例えば、有害物質としての使用済み核燃料の場合では、その場所もまたシェール累層等の適切な貯蔵層119を含むことを考慮して、ドリル孔は、新しいドリル孔として特定の場所に、例えば、原子力発電所の近傍に形成されてもよい。代替として、すでにシェールガスを生産している既存の坑井または「枯渇した」として放棄された(例えば、有機物が十分に少なく、定位置におけるガスが商業的開発のために少なすぎる)ものが、ドリル孔104として選択されてもよい。いくつかの側面では、ドリル孔104を通した貯蔵層119の事前油圧破砕は、ドリル孔104の有害物質貯蔵能力において殆ど差異をもたらし得ない。しかし、そのような事前活動はまた、数百万にわたってガスおよび他の流体を貯蔵する貯蔵層119の能力を確認し得る。したがって、有害物質または有害物質の生産物(例えば、放射性ガスまたはその他)が、キャニスタ126から逃散し、貯蔵層119の破砕された累層に進入した場合、そのような割れ目は、その物質が、サイズにおいて割れ目のものに匹敵する距離にわたって比較的に急速に拡散することを可能にし得る。いくつかの側面では、ドリル孔102は、炭化水素の生産のために削孔されたが、そのような炭化水素の生産が、例えば、貯蔵層119が、過剰に延性であり、生産のために破砕することが困難である岩石累層(例えば、シェールまたはその他)から成るため、失敗したが、有利なこととして、有害物質の長期貯蔵のための延性であったと考えられる。
【0114】
図1Bは、有害物質貯蔵処分施設システム100の傾斜部分110の最小角度の例示的判定を示す、有害物質貯蔵処分施設システム100の例示的実装の一部の概略図示である。例えば、システム100に示されるように、傾斜部分110は、(例えば、キャニスタ126のうちの1つ以上から)漏出する有害物質がドリル孔104を通して地球表面102に到達する任意の経路が、少なくとも1つの下向き構成要素を含むことを提供する。この場合、傾斜部分110は、下向き構成要素である。システム200および300等の後で説明される他の例示的実装では、他の部分(例えば、J区分部分または波状部分)が、少なくとも1つの下向き構成要素を含んでもよい。本実施例に示されるようなそのような経路は、ドリル孔104の垂直部分106に最も近接する(貯蔵面積117に位置付けられるとき)キャニスタ126を横切る水平逃散限界線175の下方に傾き、したがって、下向き構成要素を含まなければならない。
【0115】
いくつかの側面では、ドリル孔104の傾斜部分110の角度aは、ドリル孔104の損傷区域140の半径Rおよびドリル孔104の垂直部分106に最も近接するキャニスタ126からの距離Dに従って判定されてもよい(それによって、ドリル孔104の形成を誘導する)。図1Bの吹き出しに示されるように、距離RおよびDの知識(または少なくとも推定値)を用いて、角度aが、R/Dの逆正接に従って算出されることができる。例示的実装では、Rは、約1メートルであってもよい一方、Dは、約20メートルであってもよい。角度aは、したがって、R/Dの逆正接として、約3°である。これは、そのような下向き構成要素が水平逃散限界線175の下方に傾くことを確実にするためのドリル孔104の下向き構成要素(例えば、傾斜部分110)の角度aの判定の一実施例にすぎない。
【0116】
図2は、本開示による、堆積または回収動作の間の別の有害物質貯蔵処分施設システムの例示的実装の概略図示、例えば、有害物質の長期(例えば、数十年、数百年、または数千年、もしくはそれを上回るもの)であるが、回収可能な安全かつ確実な貯蔵のための地下場所である。例えば、図2に目を向けると、本図は、堆積(または下記に説明されるような回収)プロセスの間、例えば、地下累層内での有害物質の1つ以上のキャニスタの展開の間の例示的有害物質貯蔵処分施設システム200を図示する。図示されるように、有害物質貯蔵処分施設システム200は、地球表面202から、複数の地下層212、214、および216を通して形成される(例えば、削孔される、またはその他)ドリル孔204を含む。地球表面202は、地面として図示されているが、地球表面202は、湖または海底もしくは水塊の下の他の表面等、海中または他の水中表面であってもよい。したがって、本開示は、ドリル孔204が水塊の下で、水塊に面する、またはその近位の削孔場所から形成され得ることを考慮する。
【0117】
図示されるドリル孔204は、有害物質貯蔵処分施設システム200の本実施例における指向性ドリル孔である。例えば、ドリル孔204は、J区分部分208に結合される略垂直部分206を含み、J区分部分208は、順に、略水平部分210に結合される。示されるようなJ区分部分208は、文字「J」の底部部分に類似する形状を有し、ガスが屈曲部の一方の側から屈曲部の他方の側に移動しないように防止するために使用される配管システムにおいて使用されるpトラップデバイスと同様に成形されてもよい。本開示で使用されるように、ドリル孔配向の文脈における「略」は、厳密に垂直(例えば、地球表面202に厳密に垂直)または厳密に水平(例えば、地球表面202に厳密に平行)ではない、もしくは地球表面202に対して特定の傾斜角において厳密に傾斜しない場合があるドリル孔を指す。言い換えると、垂直ドリル孔は、多くの場合、真の垂直方向からずれて起伏し、それらは、真の垂直から逸脱する角度において削孔され得、水平ドリル孔は、多くの場合、厳密に水平からずれて起伏する。
【0118】
本実施例に図示されるように、ドリル孔204の3つの部分、すなわち、垂直部分206、J区分部分208、および略水平部分210は、地球の中に延在する連続的ドリル孔204を形成する。また、図2の破線で示されるように、J区分部分208は、ドリル孔204の略水平部分210ではなく(またはそれに加えて)、傾斜部分240に結合されてもよい。
【0119】
図示されるドリル孔204は、本実施例では、地球表面202から地球内の特定の深さまで、ドリル孔204の周囲に位置付けられ、固化される表面ケーシング220を有する。例えば、表面ケーシング220は、浅い累層内でドリル孔204の周囲に固化される(例えば、固結される)比較的に大直径の管状部材(または一続きの部材)であってもよい。本明細書で使用されるように、「管状」は、円形断面、楕円形断面、または他の形状の断面を有する部材を指し得る。例えば、有害物質貯蔵処分施設システム200の本実装では、表面ケーシング220は、地球表面から表面層212を通して延在する。表面層212は、本実施例では、1つ以上の層の岩石累層から成る地質的層である。いくつかの側面では、本実施例における表面層212は、淡水帯水層、塩水もしくは鹹水源、または可動水(例えば、地質的累層を通して移動する水)の他の源を含む場合とそうではない場合がある。いくつかの側面では、表面ケーシング220は、ドリル孔204をそのような可動水から分離してもよく、また、他のケーシングストリングがドリル孔204内に配設されるための懸下場所を提供してもよい。さらに、示されないが、コンダクタケーシングが、表面ケーシング220の上方(例えば、表面ケーシング220と表面202との間かつ表面層212内)に固化され、削孔流体が表面層212の中に逃散しないように防止してもよい。
【0120】
図示されるように、生産ケーシング222が、表面ケーシング220の下方の孔内のドリル孔204内に位置付けられ、固化される。「生産」ケーシングと称されるが、本実施例では、ケーシング222は、炭化水素生産動作を受けている場合とそうではない場合がある。したがって、ケーシング222は、表面ケーシング220の下方に向かう孔内でドリル孔204内に固化される(例えば、固結される)任意の形態の管状部材を指し、それを含む。有害物質貯蔵処分施設システム200のいくつかの実施例では、生産ケーシング222は、J区分部分208の端部において始まり、略水平部分210全体を通して延在してもよい。ケーシング222はまた、J区分部分208および垂直部分206の中に延在し得る。
【0121】
示されるように、セメント230が、ケーシング220および222とドリル孔204との間の環において、ケーシング220および222の周囲に位置付けられる(例えば、圧送される)。セメント230は、例えば、地球表面202の下の地下層を通してケーシング220および222(ならびにドリル孔204の任意の他のケーシングまたはライナ)を固着させてもよい。いくつかの側面では、セメント230は、ケーシング(例えば、ケーシング220および222、ならびに任意の他のケーシング)の全長に沿って配設されてもよい、またはセメント230は、特定のドリル孔202に関して適正である場合、ケーシングのある部分に沿って使用され得る。セメント230はまた、キャニスタ226内の有害物質のための付加的な閉じ込め層を提供することができる。
【0122】
ドリル孔204ならびに関連付けられるケーシング220および222は、種々の例示的寸法を用いて、かつ種々の例示的深さ(例えば、真の垂直深さまたはTVD)において形成されてもよい。例えば、コンダクタケーシング(図示せず)が、約120フィートTVDまで下に延在し、約28インチ~60インチの直径を伴ってもよい。表面ケーシング220は、約2,500フィートTVDまで下に延在し、約22インチ~48インチの直径を伴ってもよい。表面ケーシング220と生産ケーシング222との間の中間ケーシング(図示せず)が、約8,000フィートTVDまで下に延在し、約16インチ~36インチの直径を伴ってもよい。生産ケーシング222は、傾斜して(例えば、略水平部分210および/または傾斜部分240をケーシングするように)延在し、約11インチ~22インチの直径を伴ってもよい。前述の寸法は、単に、実施例として提供され、他の寸法(例えば、直径、TVD、長さ)も、本開示によって考慮される。例えば、直径およびTVDは、複数の地下層(212、214、および216)のうちの1つ以上の特定の地質的組成、特定の削孔技法、ならびに有害物質貯蔵処分施設システム200内に堆積される有害物質を含有する有害物質キャニスタ226のサイズ、形状、または設計に依存してもよい。いくつかの代替実施例では、生産ケーシング222(またはドリル孔204内の他のケーシング)は、断面において円形、断面において楕円形、またはある他の形状であり得る。
【0123】
図示されるように、ドリル孔204の垂直部分206は、地下層212、214、および216を通して延在し、本実施例では、地下層219内に着地する。上記に議論されるように、表面層212は、可動水を含む場合とそうではない場合がある。本実施例では、表面層212の下方にある地下層214は、可動水層214である。例えば、可動水層214は、淡水帯水層、塩水もしくは鹹水、または可動水の他の源等、可動水の1つ以上の源を含んでもよい。有害物質貯蔵処分施設システム200の本実施例では、可動水は、地下層の全てまたは一部を横断する圧力差に基づいて、地下層を通して移動する水であってもよい。例えば、可動水層214は、水が層214内を(例えば、圧力差またはその他に起因して)自由に移動する、浸透性地質的累層であってもよい。いくつかの側面では、可動水層214は、特定の地理的エリアにおける人間が消費可能な水の一次供給源であってもよい。可動水層214が成り得る岩石累層の実施例は、他の累層の中でもとりわけ、多孔性砂岩および石灰岩を含む。
【0124】
不浸透性層216および貯蔵層219等の他の図示される層は、不動水を含んでもよい。不動水は、いくつかの側面では、人間または動物の消費、もしくは両方に適していない水(例えば、淡水、塩水、鹹水)である。不動水は、いくつかの側面では、層216または219(もしくは両方)を通したその運動によって、10,000年またはそれを上回るもの(1,000,000年等)以内に可動水層214、地球表面202、または両方に到達することができない水であってもよい。
【0125】
有害物質貯蔵処分施設システム200の本例示的実装では、可動水層214の下方は、不浸透性層216である。本実施例では、不浸透性層216は、可動水が通過することを可能にし得ない。したがって、可動水層214と比較して、不浸透性層216は、低浸透率、例えば、約0.01ミリダルシの浸透率を有し得る。加えて、本実施例では、不浸透性層216は、比較的に非延性(すなわち、脆性)地質的累層であってもよい。非延性の1つの測度は、脆性であり、これは、圧縮応力と引張強度との比率である。いくつかの実施例では、不浸透性層216の脆性は、約20MPa~40MPaであってもよい。
【0126】
本実施例に示されるように、不浸透性層216は、貯蔵層219よりも浅い(例えば、地球表面202により近接する)。本実施例では、不浸透性216が成り得る岩石累層は、例えば、上記に説明されるような浸透率および脆性性質を呈する、ある種類の砂岩、泥岩、粘土、ならびに粘板岩を含む。代替実施例では、不浸透性層216は、貯蔵層219よりも深くあり得る(例えば、地球表面202からより遠い)。そのような代替実施例では、不浸透性層216は、花崗岩等の火成岩から成ってもよい。
【0127】
不浸透性層216の下方は、貯蔵層219である。本実施例では、貯蔵層219は、いくつかの理由から、有害物質を貯蔵する略水平部分210のための着地点として選定されてもよい。不浸透性216または他の層と比較して、貯蔵層219は、厚く、例えば、約100~200フィートの合計垂直厚さであってもよい。貯蔵層219の厚さは、より容易な着地および指向性削孔を可能にし、それによって、略水平部分210が、構築(例えば、削孔)の間に貯蔵層219内に容易に設置されることを可能にしてもよい。貯蔵層219のおおよその水平中心を通して形成される場合、略水平部分210は、貯蔵層219を含む約50~100フィートの地質的累層によって囲繞されてもよい。さらに、貯蔵層219はまた、例えば、層219の非常に低い浸透率(例えば、約ミリまたはナノダルシ)に起因して、不動水のみを有し得る。加えて、貯蔵層219は、十分な延性を有し得、したがって、層219を含む岩石累層の脆性は、約3MPa~10MPaである。貯蔵層219が成り得る岩石累層の実施例は、シェールおよび硬石膏を含む。さらに、いくつかの側面では、貯蔵層が、浸透性層を可動水層214から分離するために十分な地質的性質である場合、有害物質は、砂岩または石灰岩等の浸透性累層内であっても、貯蔵層の下方に貯蔵されてもよい。
【0128】
有害物質貯蔵処分施設システム200のいくつかの例示的実装では、貯蔵層219(および/または不浸透性層216)は、シェールから成る。いくつかの実施例では、シェールは、貯蔵層219に関して上記に説明されるものに該当する性質を有してもよい。例えば、シェール累層は、(例えば、有害物質キャニスタ226内での)有害物質の長期の閉じ込めならびに可動水層214(例えば、帯水層)および地球表面202からのそれらの分離のために好適であり得る。シェール累層は、地球内の比較的に深く、典型的には、3,000フィートまたはそれを上回って見出され、任意の淡水帯水層の下方に分離して置かれ得る。他の累層は、塩または他の不浸透性累層を含んでもよい。
【0129】
シェール累層(または塩もしくは他の不浸透性累層)は、例えば、物質の長期(例えば、数千年)分離を強化する地質的性質を含み得る。そのような性質は、例えば、炭化水素流体(例えば、ガス、液体、混合相流体)の囲繞層(例えば、可動水層214)の中への逃散を伴わない、そのような流体の長期貯蔵(例えば、数千万年)を通して例証されている。実際に、シェールは、数百万年またはそれを上回って天然ガスを保持することが示されており、有害物質の長期貯蔵に関する能力を保証している。例示的シェール累層(例えば、Marcellus、Eagle Ford、Barnett、およびその他)は、数百万年にわたって水、油、およびガスの移動を防止する際に効果的である多くの冗長シール層を含有し、可動水が欠如し、堆積後に数千年にわたって有害物質(例えば、流体または固体)をシールすることが(例えば、地質的考慮事項に基づいて)予期され得る層理を有する。
【0130】
いくつかの側面では、貯蔵層219および/または不浸透性層216の累層は、少なくとも部分的に、数百年、数千年、数万年、数十万年、またはさらには数百万年にわたって炭化水素または他の流体(例えば、二酸化炭素)に関する層の貯蔵能力の証拠によって判定され得る、漏出障壁または流体漏出に対する障壁層を形成してもよい。例えば、貯蔵層219および/または不浸透性層216の障壁層は、炭化水素または他の流体貯蔵のそのような証拠に基づいて、10,000年を上回る(10,000年~1,000,000年等)有害物質の貯蔵に関する時定数によって定義されてもよい。
【0131】
シェール(または塩もしくは他の不浸透性層)累層はまた、好適な深さ、例えば、3,000~12,000フィートTVDにあり得る。そのような深さは、典型的には、地下水帯水層(例えば、表面層212および/または可動水層214)の下方である。さらに、塩を含むシェール内の可溶性要素の存在ならびに帯水層内のこれらの同一の要素の不在は、シェールと帯水層との間の流体分離を実証する。
【0132】
有利なこととして、有害物質貯蔵に役立ち得るシェールの別の特定の品質は、その粘土含有量であり、これは、いくつかの側面では、他の不浸透性岩石累層(例えば、不浸透性層216)に見出されるものを上回る一定の延性を提供する。例えば、シェールは、層状であり、粘土(例えば、体積比約20~30%の粘土)および他の鉱物の薄く交互する層から構成され得る。そのような組成は、不浸透性層内の岩石累層(例えば、ドロマイトまたはその他)と比較して、シェールの脆性をより低くし、したがって、シェールを(例えば、自然に、または別様に)より破砕しにくくし得る。例えば、不浸透性層216内の岩石累層は、有害物質の長期貯蔵のために好適な浸透率を有し得るが、過剰に脆性であり、一般的に破砕される。したがって、そのような累層は、有害物質の長期貯蔵のために(それらの地質的性質を通して証明されるような)十分なシール品質を有していない場合がある。
【0133】
本開示は、例証される地下層212、214、216、および219の間または中に多くの他の層が存在し得ることを考慮する。例えば、可動水層214、不浸透性層216、および貯蔵層219のうちの1つ以上の(例えば、垂直に)繰り返しパターンが存在し得る。さらに、いくつかの事例では、貯蔵層219は、可動水層214に(例えば、垂直に)直接隣接する、すなわち、介在する不浸透性層216を伴わない場合がある。いくつかの実施例では、J区分ドリル孔208および略水平部分210(ならびに/もしくは傾斜部分240)の全てまたは一部は、貯蔵層219(例えば、シェールまたは本明細書に説明されるような特性を伴う他の地質的累層)が略水平部分210(および/または傾斜部分240)と可動水層214との間に垂直に位置付けられるように、貯蔵層219の下方に形成されてもよい。
【0134】
図2に示される本特定の実施例に図示されないが、自己回復層(例えば、自己回復層132等)が、地球表面202の下方に、例えば、表面202と不浸透性層216および貯蔵層219のうちの一方または両方との間に見出され得る。いくつかの側面では、自己回復層は、有害物質(液体、固体、またはガス状形態にあるかにかかわらず)のドリル孔204の貯蔵部分から地球表面202への、またはそれに向かう流動を停止させる、または妨げ得る地質的累層から成ってもよい。例えば、ドリル孔204の形成(例えば、削孔)の間、層212、214、216、および219の地質的累層の全てまたは一部は、損傷を受け、それによって、それらの地質的特性(例えば、浸透率)に影響を及ぼす、またはそれを変化させ得る。
【0135】
ある側面では、ドリル孔204の場所は、自己回復層を通して形成されるように選択されてもよい。例えば、示されるように、ドリル孔204は、ドリル孔204の垂直部分206の少なくとも一部が自己回復層を通過するように形成されるように形成されてもよい。いくつかの側面では、自己回復層は、それを通して削孔された後であっても、長い持続時間にわたって亀裂を持続しない地質的累層を備える。自己回復層内の地質的累層の実施例は、粘土またはドロマイトを含む。そのような岩石累層における亀裂は、回復する傾向があり、すなわち、それらは、物質の相対的延性および自己回復層内の累層上の上側岩石の重量から地下で発生する膨大な圧力に起因して、時間とともに急速に消失する。ドリル孔204の形成(例えば、削孔またはその他)に起因して発生する亀裂に関する「回復機構」を提供することに加えて、自己回復層はまた、そうでなければ有害物質漏出(例えば、流体または固体)の貯蔵領域(例えば、略水平部分210内)から地球表面202、可動水層214、または両方への経路を提供し得る、自然の断層および他の亀裂に対する障壁を提供し得る。
【0136】
本実施例に示されるように、ドリル孔204の略水平部分210は、その中に有害物質が長期貯蔵のために回収可能に設置され得る、貯蔵面積217を部分210の遠位部分内に含む。例えば、示されるように、作業ストリング224(例えば、管類、コイル状管類、ワイヤライン、またはその他)が、ケーシングされたドリル孔204の中に延在され、1つ以上の(3つが示されるが、より多いまたはより少ないものが存在し得る)有害物質キャニスタ226を、部分210における、長期であるが、いくつかの側面では、回収可能な貯蔵状態に置いてもよい。例えば、図2に示される実装では、作業ストリング224は、キャニスタ226に結合するダウンホールツール228を含んでもよく、ドリル孔204の中への各進行で、ダウンホールツール228は、略水平部分210内に特定の有害物質キャニスタ226を堆積してもよい。
【0137】
ダウンホールツール228は、いくつかの側面では、ねじ山付き接続またはラッチ接続等の他のタイプの接続によってキャニスタ226に結合してもよい。代替側面では、ダウンホールツール228は、ダウンホールツール228の回転(または線形移動もしくは電気または油圧スイッチ)がキャニスタ226にラッチし得る(またはそれからラッチ解除する)ように、相互係止ラッチを用いてキャニスタ226に結合してもよい。代替側面では、ダウンホールツール224は、キャニスタ226に引き付けられるように結合する、1つ以上の磁石(例えば、希土類磁石、電磁石、それらの組み合わせ、またはその他)を含んでもよい。いくつかの実施例では、キャニスタ226はまた、ダウンホールツール224上の磁石と反対の極性の1つ以上の磁石(例えば、希土類磁石、電磁石、それらの組み合わせ、またはその他)を含んでもよい。いくつかの実施例では、キャニスタ226は、ダウンホールツール224の磁石に引き付け可能な鉄または他の材料から作製される、もしくはそれを含んでもよい。
【0138】
別の実施例として、各キャニスタ226は、ドリル孔204内に(例えば、ワイヤラインまたはその他の上の)ドリル孔トラクタによって位置付けられてもよく、これは、モータ式(例えば、電気)運動を通して略水平部分210の中にキャニスタを押動または引動してもよい。また別の実施例として、各キャニスタ226は、ダウンホールツール224がケーシングされたドリル孔204の中にキャニスタ226を押動し得るように、ローラ(例えば、車輪)を含む、またはそれに搭載されてもよい。
【0139】
いくつかの例示的実装では、キャニスタ226、ドリル孔ケーシング220および222のうちの1つ以上、または両方は、堆積動作に先立って、摩擦低減コーティングを用いてコーティングされてもよい。例えば、コーティング(例えば、石油ベースの製品、樹脂、セラミック、またはその他)をキャニスタ226および/またはドリル孔ケーシングに適用することによって、キャニスタ226は、ケーシングされたドリル孔204を通して略水平部分210の中により容易に移動されてもよい。いくつかの側面では、ドリル孔ケーシングの一部のみが、コーティングされてもよい。例えば、いくつかの側面では、略垂直部分206は、コーティングされない場合があるが、J区分部分208または略水平部分210、もしくは両方は、キャニスタ226のより容易な堆積および回収を促進するためにコーティングされてもよい。
【0140】
図2はまた、ドリル孔204の略水平部分210内の有害物質の回収動作の実施例を図示する。回収動作は、堆積動作の反対であり得、したがって、ダウンホールツール224(例えば、フィッシングツール)は、ドリル孔204の中に延設され、最後に堆積されたキャニスタ226に(例えば、螺合して、ラッチして、磁石によって、または別様に)結合され、キャニスタ226を地球表面202に引動してもよい。複数の回収進行が、ドリル孔204の略水平部分210から複数のキャニスタを回収するために、ダウンホールツール224によって行われてもよい。
【0141】
各キャニスタ226は、有害物質を封入してもよい。そのような有害物質は、いくつかの実施例では、生物学的もしくは化学的廃棄物、または他の生物学的もしくは化学的有害物質であってもよい。いくつかの実施例では、有害物質は、原子炉(例えば、商業的動力炉または試験炉)または軍事核物質から回収された使用済み核燃料等の核物質を含んでもよい。例えば、ギガワットの原子力発電所は、毎年30トンの使用済み核燃料を生産し得る。その燃料の密度は、典型的には、10(10gm/cm=10kg/リットル)に近く、したがって、核廃棄物の1年間の体積は、約3mになる。核燃料ペレットの形態における使用済み核燃料が、原子炉から取り出され、修正されない場合がある。核燃料ペレットは、固体であるが、それらは、トリチウム(13年の半減期)、クリプトン-85(10.8年の半減期)、および二酸化炭素含有C-14(5,730年の半減期)を含む、種々の放射性ガスを含有および放出し得る。
【0142】
いくつかの側面では、貯蔵層219は、任意の放射性生産物(例えば、ガス)がキャニスタ226から逃散する場合であっても、層219内にそのような生産物を含有することが可能なはずである。例えば、貯蔵層219は、層219を通した放射性生産物の拡散時間に基づいて選択されてもよい。例えば、貯蔵層219から逃散する放射性生産物の最小拡散時間は、例えば、核燃料ペレットの任意の特定の成分に関する半減期の50倍に設定されてもよい。最小拡散時間としての50の半減期は、放射性生産物の量を1×10-15倍に低減させるであろう。別の実施例として、最小拡散時間を30の半減期に設定することは、放射性生産物の量を10億分の1に低減させるであろう。
【0143】
例えば、プルトニウム239は、多くの場合、24,100年のその長い半減期のため、使用済み核燃料における危険な廃棄生産物と見なされる。本同位体に関して、50の半減期は、120万年になるであろう。プルトニウム239は、水中で低い可溶性を有し、揮発性ではなく、固体として、例証される貯蔵層219(例えば、シェールまたは他の累層)を含む岩石累層の母岩を通した拡散が可能ではない。例えば、シェールから成る貯蔵層219は、数百万年にわたってガス状炭化水素(例えば、メタンおよびその他)を含有する地質的歴史によって示されるように、そのような分離時間(例えば、数百万年)を有する能力を提供し得る。対照的に、従来の核物質貯蔵方法では、一部のプルトニウムが、閉じ込め逃散に応じて、可動地下水から成る層内に溶解し得る危険が存在していた。
【0144】
図2にさらに示されるように、貯蔵キャニスタ226は、略水平部分210内に長期貯蔵のために位置付けられてもよく、これは、示されるように、J区分部分208を通してドリル孔104の垂直部分106に結合される。図示されるように、J区分部分208は、地球表面202に向かって角度を付けられる上向きに指向される部分を含む。いくつかの側面では、例えば、キャニスタ226内に貯蔵される放射性有害物質が存在するとき、J区分部分208の本傾斜(および形成される場合、傾斜部分240の傾斜)は、物質が、キャニスタ226から漏出している場合であっても、例えば、可動水層214、ドリル孔204の垂直部分206、地球表面202、またはそれらの組み合わせに到達しないように防止する、もしくは妨げるために、さらなる安全および封じ込め度を提供し得る。例えば、有害物質において懸念される放射性核種は、(物質の他の成分と比較して)比較的に浮力がある、または重い傾向がある。浮力のある放射性核種は、重い元素および分子が沈む傾向があり、地球表面202に向かって上向きに拡散しないであろうため、漏出に関する最大の懸念であり得る。クリプトンガス、特に、クリプトン-85は、空気(殆どのガスのような)よりも重いが、水よりもはるかに軽い浮力のある放射性元素である。したがって、クリプトン―85が水槽の中に導入される場合、そのようなガスは、地球表面202に向かって上向きに浮遊する傾向があるであろう。一方、ヨウ素は、水よりも密度が高く、水槽の中に導入される場合、下向きに拡散する傾向があるであろう。
【0145】
ドリル孔204のJ区分部分208を含むことによって、放射性物質のいずれのそのような拡散も(例えば、キャニスタ226から漏出している場合であっても、ドリル孔204またはその他の中の水または他の液体の存在下で)、略水平部分210に向かって、より具体的には、略水平部分210の遠位端221に向かって角度的に上向きに、ドリル孔204のJ区分部分208(および垂直部分206)から離れるように指向されるであろう。したがって、漏出した有害物質は、拡散可能なガス形態においても、ドリル孔210の垂直部分206を通して地球表面202(または可動水層214)への経路を(例えば、直接)提供されないであろう。例えば、漏出した有害物質(特に、ガス状形態における)は、ドリル孔部分210の遠位端221に、または概して、ドリル孔204の略水平部分210内に指向され、集められるであろう。
【0146】
傾斜ドリル孔部分210の中にキャニスタ226を堆積させる代替方法もまた、実装されてもよい。例えば、流体(例えば、液体またはガス)が、ドリル孔204を通して循環され、キャニスタ226を傾斜ドリル孔部分210の中に流体的に押動してもよい。いくつかの実施例では、各キャニスタ226は、別個に流体的に押動されてもよい。代替側面では、2つ以上のキャニスタ226が、略水平部分210の中への堆積のために、ドリル孔204を通して同時に流体的に押動されてもよい。流体は、ある場合には、水であり得る。他の実施例は、削孔泥水または削孔フォームを含む。いくつかの実施例では、空気、アルゴン、または窒素等のガスが、キャニスタ226をドリル孔の中に押動するために使用されてもよい。
【0147】
いくつかの側面では、流体の選定は、少なくとも部分的に、流体の粘度に依存してもよい。例えば、流体は、略垂直部分206の中へのキャニスタ226の落下を妨げるために十分な粘度を伴うものが選定されてもよい。本抵抗またはインピーダンスは、キャニスタ226の突然の落下に対する安全係数を提供してもよい。流体はまた、キャニスタ226とケーシング220および222との間の摺動摩擦を低減させるために、潤滑を提供してもよい。キャニスタ226は、制御された粘度、密度、および潤滑品質の液体を用いて充填されるケーシング内で運搬されることができる。ケーシング220および222の内径と運搬されるキャニスタ226の外径との間の流体充填環は、任意の高速のキャニスタ運動を減衰するように設計される開口部を表し、運搬されるキャニスタ226の可能性が低い結合解除において自動的受動的保護を提供する。
【0148】
いくつかの側面では、他の技法も、略水平部分210の中へのキャニスタ226の堆積を促進するために採用されてもよい。例えば、配設されたケーシング(例えば、ケーシング220および222)のうちの1つ以上は、ドリル孔202の中に貯蔵キャニスタ226を誘導する一方、ケーシングとキャニスタ226との間の摩擦を低減させるためのレールを有してもよい。貯蔵キャニスタ226およびケーシング(またはレール)は、相互に対して容易に摺動する材料から作製されてもよい。ケーシングは、貯蔵キャニスタ226の重量を受けるとき、容易に潤滑される表面または自己潤滑性であるものを有してもよい。
【0149】
流体はまた、キャニスタ226の回収のために使用されてもよい。例えば、例示的回収動作では、ケーシング220および222内の容積は、圧縮ガス(例えば、空気、窒素、アルゴン、またはその他)を用いて充填されてもよい。圧力が略水平部分210の端部において増加するにつれて、キャニスタ226は、J区分部分208に向かって、続けて、略垂直部分206を通して、地球表面に押動されてもよい。
【0150】
いくつかの側面では、ドリル孔204は、有害物質の長期貯蔵を主要目的として形成されてもよい。代替側面では、ドリル孔204は、炭化水素生産(例えば、油、ガス)を主要目的として以前に形成されていた場合がある。例えば、貯蔵層219は、それから炭化水素がドリル孔204の中に、および地球表面202に生産された、炭化水素産出累層であってもよい。いくつかの側面では、貯蔵層219は、炭化水素生産に先立って、油圧式で破砕されていた場合がある。さらに、いくつかの側面では、生産ケーシング222は、油圧破砕に先立って、穿孔されていた場合がある。そのような側面では、生産ケーシング222は、有害物質の堆積動作に先立って、穿孔プロセスから作製された任意の孔を修復するために、塞がれてもよい(例えば、固結される)。加えて、ケーシングとドリル孔との間のセメントにおける任意の亀裂または開口部もまた、その時点で充填されることができる。
【0151】
例えば、有害物質としての使用済み核燃料の場合では、その場所もまたシェール累層等の適切な貯蔵層219を含むことを考慮して、ドリル孔は、新しいドリル孔として特定の場所に、例えば、原子力発電所の近傍に形成されてもよい。代替として、すでにシェールガスを生産している既存の坑井または「枯渇した」として放棄された(例えば、有機物が十分に少なく、定位置におけるガスが商業的開発のために少なすぎる)ものが、ドリル孔204として選択されてもよい。いくつかの側面では、ドリル孔204を通した貯蔵層219の事前油圧破砕は、ドリル孔204の有害物質貯蔵能力において殆ど差異をもたらし得ない。しかし、そのような事前活動はまた、数百万にわたってガスおよび他の流体を貯蔵する貯蔵層219の能力を確認し得る。したがって、有害物質または有害物質の生産物(例えば、放射性ガスまたはその他)が、キャニスタ226から逃散し、貯蔵層219の破砕された累層に進入した場合、そのような割れ目は、その物質が、サイズにおいて割れ目のものに匹敵する距離にわたって比較的に急速に拡散することを可能にし得る。いくつかの側面では、ドリル孔202は、炭化水素の生産のために削孔されたが、そのような炭化水素の生産が、例えば、貯蔵層219が、過剰に延性であり、生産のために破砕することが困難である岩石累層(例えば、シェールまたはその他)から成るため、失敗したが、有利なこととして、有害物質の長期貯蔵のための延性であったと考えられる。
【0152】
図3は、本開示による、堆積または回収動作の間の別の有害物質貯蔵処分施設システムの例示的実装の概略図示、例えば、有害物質の長期(例えば、数十年、数百年、または数千年、もしくはそれを上回るもの)であるが、回収可能な安全かつ確実な貯蔵のための地下場所である。例えば、図3に目を向けると、本図は、堆積(または下記に説明されるような回収)プロセスの間、例えば、地下累層内での有害物質の1つ以上のキャニスタの展開の間の例示的有害物質貯蔵処分施設システム300を図示する。図示されるように、有害物質貯蔵処分施設システム300は、地球表面302から、複数の地下層312、314、および316を通して形成される(例えば、削孔される、またはその他)ドリル孔304を含む。地球表面302は、地面として図示されているが、地球表面302は、湖または海底もしくは水塊の下の他の表面等、海中または他の水中表面であってもよい。したがって、本開示は、ドリル孔304が水塊の下で、水塊に面する、またはその近位の削孔場所から形成され得ることを考慮する。
【0153】
図示されるドリル孔304は、有害物質貯蔵処分施設システム300の本実施例における指向性ドリル孔である。例えば、ドリル孔304は、湾曲部分308に結合される略垂直部分306を含み、湾曲部分308は、順に、垂直に波状の部分310に結合される。本開示で使用されるように、ドリル孔配向の文脈における「略」は、厳密に垂直(例えば、地球表面302に厳密に垂直)または厳密に水平(例えば、地球表面302に厳密に平行)ではない、もしくは地球表面302に対して特定の傾斜角において厳密に傾斜しない場合があるドリル孔を指す。言い換えると、垂直ドリル孔は、多くの場合、真の垂直方向からずれて起伏し、それらは、真の垂直から逸脱する角度において削孔され得、水平ドリル孔は、多くの場合、厳密に水平からずれて起伏する。さらに、いくつかの側面では、波状部分は、規則的に起伏しない、すなわち、均一に離間されるピークまたは均一に離間される谷を有していない場合がある。代わりに、波状ドリル孔は、不規則に、例えば、不均一に離間されるピークおよび/または不均一に離間される谷を伴って起伏してもよい。さらに、波状ドリル孔は、ドリル孔の長さに沿って変動するピーク-谷距離を有してもよい。本実施例に図示されるように、ドリル孔304の3つの部分、すなわち、垂直部分306、湾曲部分308、および垂直に波状の部分310は、地球の中に延在する連続的ドリル孔304を形成する。
【0154】
図示されるドリル孔304は、本実施例では、地球表面302から地球内の特定の深さまで、ドリル孔304の周囲に位置付けられ、固化される表面ケーシング320を有する。例えば、表面ケーシング320は、浅い累層内でドリル孔304の周囲に固化される(例えば、固結される)比較的に大直径の管状部材(または一続きの部材)であってもよい。本明細書で使用されるように、「管状」は、円形断面、楕円形断面、または他の形状の断面を有する部材を指し得る。例えば、有害物質貯蔵処分施設システム300の本実装では、表面ケーシング320は、地球表面から表面層312を通して延在する。表面層312は、本実施例では、1つ以上の層の岩石累層から成る地質的層である。いくつかの側面では、本実施例における表面層312は、淡水帯水層、塩水もしくは鹹水源、または可動水(例えば、地質的累層を通して移動する水)の他の源を含む場合とそうではない場合がある。いくつかの側面では、表面ケーシング320は、ドリル孔304をそのような可動水から分離してもよく、また、他のケーシングストリングがドリル孔304内に配設されるための懸下場所を提供してもよい。さらに、示されないが、コンダクタケーシングが、表面ケーシング320の上方(例えば、表面ケーシング320と表面302との間かつ表面層312内)に固化され、削孔流体が表面層312の中に逃散しないように防止してもよい。
【0155】
図示されるように、生産ケーシング322が、表面ケーシング320の下方の孔内のドリル孔304内に位置付けられ、固化される。「生産」ケーシングと称されるが、本実施例では、ケーシング322は、炭化水素生産動作を受けている場合とそうではない場合がある。したがって、ケーシング322は、表面ケーシング320の下方に向かう孔内でドリル孔304内に固化される(例えば、固結される)任意の形態の管状部材を指し、それを含む。有害物質貯蔵処分施設システム300のいくつかの実施例では、生産ケーシング322は、湾曲部分308の端部において始まり、垂直に波状の部分310全体を通して延在してもよい。ケーシング322はまた、湾曲部分308および垂直部分306の中に延在し得る。
【0156】
示されるように、セメント330が、ケーシング320および322とドリル孔304との間の環において、ケーシング320および322の周囲に位置付けられる(例えば、圧送される)。セメント330は、例えば、地球表面302の下の地下層を通してケーシング320および322(ならびにドリル孔304の任意の他のケーシングまたはライナ)を固着させてもよい。いくつかの側面では、セメント330は、ケーシング(例えば、ケーシング320および322、ならびに任意の他のケーシング)の全長に沿って配設されてもよい、またはセメント330は、特定のドリル孔302に関して適正である場合、ケーシングのある部分に沿って使用され得る。セメント330はまた、キャニスタ326内の有害物質のための付加的な閉じ込め層を提供することができる。
【0157】
ドリル孔304ならびに関連付けられるケーシング320および322は、種々の例示的寸法を用いて、かつ種々の例示的深さ(例えば、真の垂直深さまたはTVD)において形成されてもよい。例えば、コンダクタケーシング(図示せず)が、約120フィートTVDまで下に延在し、約28インチ~60インチの直径を伴ってもよい。表面ケーシング320は、約2,500フィートTVDまで下に延在し、約22インチ~48インチの直径を伴ってもよい。表面ケーシング320と生産ケーシング322との間の中間ケーシング(図示せず)が、約8,000フィートTVDまで下に延在し、約16インチ~36インチの直径を伴ってもよい。生産ケーシング322は、傾斜して(例えば、垂直に波状の部分310をケーシングするように)延在し、約11インチ~22インチの直径を伴ってもよい。前述の寸法は、単に、実施例として提供され、他の寸法(例えば、直径、TVD、長さ)も、本開示によって考慮される。例えば、直径およびTVDは、複数の地下層(312、314、および316)のうちの1つ以上の特定の地質的組成、特定の削孔技法、ならびに有害物質貯蔵処分施設システム300内に堆積される有害物質を含有する有害物質キャニスタ326のサイズ、形状、または設計に依存してもよい。いくつかの代替実施例では、生産ケーシング322(またはドリル孔304内の他のケーシング)は、断面において円形、断面において楕円形、またはある他の形状であり得る。
【0158】
図示されるように、ドリル孔304の垂直部分306は、地下層312、314、および316を通して延在し、本実施例では、地下層319内に着地する。上記に議論されるように、表面層312は、可動水を含む場合とそうではない場合がある。本実施例では、表面層312の下方にある地下層314は、可動水層314である。例えば、可動水層314は、淡水帯水層、塩水もしくは鹹水、または可動水の他の源等、可動水の1つ以上の源を含んでもよい。有害物質貯蔵処分施設システム300の本実施例では、可動水は、地下層の全てまたは一部を横断する圧力差に基づいて、地下層を通して移動する水であってもよい。例えば、可動水層314は、水が層314内を(例えば、圧力差またはその他に起因して)自由に移動する、浸透性地質的累層であってもよい。いくつかの側面では、可動水層314は、特定の地理的エリアにおける人間が消費可能な水の一次供給源であってもよい。可動水層314が成り得る岩石累層の実施例は、他の累層の中でもとりわけ、多孔性砂岩および石灰岩を含む。
【0159】
不浸透性層316および貯蔵層319等の他の図示される層は、不動水を含んでもよい。不動水は、いくつかの側面では、人間または動物の消費、もしくは両方に適していない水(例えば、淡水、塩水、鹹水)である。不動水は、いくつかの側面では、層316または319(もしくは両方)を通したその運動によって、10,000年またはそれを上回るもの(1,000,000年等)以内に可動水層314、地球表面302、または両方に到達することができない水であってもよい。
【0160】
有害物質貯蔵処分施設システム300の本例示的実装では、可動水層314の下方は、不浸透性層316である。本実施例では、不浸透性層316は、可動水が通過することを可能にし得ない。したがって、可動水層314と比較して、不浸透性層316は、低浸透率、例えば、約ナノダルシの浸透率を有し得る。加えて、本実施例では、不浸透性層316は、比較的に非延性(すなわち、脆性)地質的累層であってもよい。非延性の1つの測度は、脆性であり、これは、圧縮応力と引張強度との比率である。いくつかの実施例では、不浸透性層316の脆性は、約20MPa~40MPaであってもよい。
【0161】
本実施例に示されるように、不浸透性層316は、貯蔵層319よりも浅い(例えば、地球表面302により近接する)。本実施例では、不浸透性316が成り得る岩石累層は、例えば、上記に説明されるような浸透率および脆性性質を呈する、ある種類の砂岩、泥岩、粘土、ならびに粘板岩を含む。代替実施例では、不浸透性層316は、貯蔵層319よりも深くあり得る(例えば、地球表面302からより遠い)。そのような代替実施例では、不浸透性層316は、花崗岩等の火成岩から成ってもよい。
【0162】
不浸透性層316の下方は、貯蔵層319である。本実施例では、貯蔵層319は、いくつかの理由から、有害物質を貯蔵する垂直に波状の部分310のための着地点として選定されてもよい。不浸透性316または他の層と比較して、貯蔵層319は、厚く、例えば、約100~200フィートの合計垂直厚さであってもよい。貯蔵層319の厚さは、より容易な着地および指向性削孔を可能にし、それによって、垂直に波状の部分310が、構築(例えば、削孔)の間に貯蔵層319内に容易に設置されることを可能にしてもよい。貯蔵層319のおおよその水平中心を通して形成される場合、垂直に波状の部分310は、貯蔵層319を含む約50~100フィートの地質的累層によって囲繞されてもよい。さらに、貯蔵層319はまた、例えば、層319の非常に低い浸透率(例えば、約ミリまたはナノダルシ)に起因して、不動水のみを有し得る。加えて、貯蔵層319は、十分な延性を有し得、したがって、層319を含む岩石累層の脆性は、約3MPa~10MPaである。貯蔵層319が成り得る岩石累層の実施例は、シェールおよび硬石膏を含む。さらに、いくつかの側面では、貯蔵層が、浸透性層を可動水層314から分離するために十分な地質的性質である場合、有害物質は、砂岩または石灰岩等の浸透性累層内であっても、貯蔵層の下方に貯蔵されてもよい。
【0163】
有害物質貯蔵処分施設システム300のいくつかの例示的実装では、貯蔵層319(および/または不浸透性層316)は、シェールから成る。いくつかの実施例では、シェールは、貯蔵層319に関して上記に説明されるものに該当する性質を有してもよい。例えば、シェール累層は、(例えば、有害物質キャニスタ326内での)有害物質の長期の閉じ込めならびに可動水層314(例えば、帯水層)および地球表面302からのそれらの分離のために好適であり得る。シェール累層は、地球内の比較的に深く、典型的には、3,000フィートまたはそれを上回って見出され、任意の淡水帯水層の下方に分離して置かれ得る。他の累層は、塩または他の不浸透性累層を含んでもよい。
【0164】
シェール累層(または塩もしくは他の不浸透性累層)は、例えば、物質の長期(例えば、数千年)分離を強化する地質的性質を含み得る。そのような性質は、例えば、炭化水素流体(例えば、ガス、液体、混合相流体)の囲繞層(例えば、可動水層314)の中への逃散を伴わない、そのような流体の長期貯蔵(例えば、数千万年)を通して例証されている。実際に、シェールは、数百万年またはそれを上回って天然ガスを保持することが示されており、有害物質の長期貯蔵に関する能力を保証している。例示的シェール累層(例えば、Marcellus、Eagle Ford、Barnett、およびその他)は、数百万年にわたって水、油、およびガスの移動を防止する際に効果的である多くの冗長シール層を含有し、可動水が欠如し、堆積後に数千年にわたって有害物質(例えば、流体または固体)をシールすることが(例えば、地質的考慮事項に基づいて)予期され得る層理を有する。
【0165】
いくつかの側面では、貯蔵層319および/または不浸透性層316の累層は、少なくとも部分的に、数百年、数千年、数万年、数十万年、またはさらには数百万年にわたって炭化水素または他の流体(例えば、二酸化炭素)に関する層の貯蔵能力の証拠によって判定され得る、漏出障壁または流体漏出に対する障壁層を形成してもよい。例えば、貯蔵層319および/または不浸透性層316の障壁層は、炭化水素または他の流体貯蔵のそのような証拠に基づいて、10,000年を上回る(10,000年~1,000,000年等)有害物質の貯蔵に関する時定数によって定義されてもよい。
【0166】
シェール(または塩もしくは他の不浸透性層)累層はまた、好適な深さ、例えば、3,000~12,000フィートTVDにあり得る。そのような深さは、典型的には、地下水帯水層(例えば、表面層312および/または可動水層314)の下方である。さらに、塩を含むシェール内の可溶性要素の存在ならびに帯水層内のこれらの同一の要素の不在は、シェールと帯水層との間の流体分離を実証する。
【0167】
有利なこととして、有害物質貯蔵に役立ち得るシェールの別の特定の品質は、その粘土含有量であり、これは、いくつかの側面では、他の不浸透性岩石累層(例えば、不浸透性層316)に見出されるものを上回る一定の延性を提供する。例えば、シェールは、層状であり、粘土(例えば、体積比約20~30%の粘土)および他の鉱物の薄く交互する層から構成され得る。そのような組成は、不浸透性層内の岩石累層(例えば、ドロマイトまたはその他)と比較して、シェールの脆性をより低くし、したがって、シェールを(例えば、自然に、または別様に)より破砕しにくくし得る。例えば、不浸透性層316内の岩石累層は、有害物質の長期貯蔵のために好適な浸透率を有し得るが、過剰に脆性であり、一般的に破砕される。したがって、そのような累層は、有害物質の長期貯蔵のために(それらの地質的性質を通して証明されるような)十分なシール品質を有していない場合がある。
【0168】
本開示は、例証される地下層312、314、316、および319の間または中に多くの他の層が存在し得ることを考慮する。例えば、可動水層314、不浸透性層316、および貯蔵層319のうちの1つ以上の(例えば、垂直に)繰り返しパターンが存在し得る。さらに、いくつかの事例では、貯蔵層319は、可動水層314に(例えば、垂直に)直接隣接する、すなわち、介在する不浸透性層316を伴わない場合がある。いくつかの実施例では、湾曲部分308および垂直に波状の部分310の全てまたは一部は、貯蔵層319(例えば、シェールまたは本明細書に説明されるような特性を伴う他の地質的累層)が垂直に波状の部分310と可動水層314との間に垂直に位置付けられるように、貯蔵層319の下方に形成されてもよい。
【0169】
図3に示される本特定の実施例に図示されないが、自己回復層(例えば、自己回復層132等)が、地球表面302の下方に、例えば、表面302と不浸透性層316および貯蔵層319のうちの一方または両方との間に見出され得る。いくつかの側面では、自己回復層は、有害物質(液体、固体、またはガス状形態にあるかにかかわらず)のドリル孔304の貯蔵部分から地球表面302への、またはそれに向かう流動を停止させる、または妨げ得る地質的累層から成ってもよい。例えば、ドリル孔304の形成(例えば、削孔)の間、層312、314、316、および319の地質的累層の全てまたは一部は、損傷を受け、それによって、それらの地質的特性(例えば、浸透率)に影響を及ぼす、またはそれを変化させ得る。
【0170】
ある側面では、ドリル孔304の場所は、自己回復層を通して形成されるように選択されてもよい。例えば、示されるように、ドリル孔304は、ドリル孔304の垂直部分306の少なくとも一部が自己回復層を通過するように形成されるように形成されてもよい。いくつかの側面では、自己回復層は、それを通して削孔された後であっても、長い持続時間にわたって亀裂を持続しない地質的累層を備える。自己回復層内の地質的累層の実施例は、粘土またはドロマイトを含む。そのような岩石累層における亀裂は、回復する傾向があり、すなわち、それらは、物質の相対的延性および自己回復層内の累層上の上側岩石の重量から地下で発生する膨大な圧力に起因して、時間とともに急速に消失する。ドリル孔304の形成(例えば、削孔またはその他)に起因して発生する亀裂に関する「回復機構」を提供することに加えて、自己回復層はまた、そうでなければ有害物質漏出(例えば、流体または固体)の貯蔵領域(例えば、垂直に波状の部分310内)から地球表面302、可動水層314、または両方への経路を提供し得る、自然の断層および他の亀裂に対する障壁を提供し得る。
【0171】
本実施例に示されるように、ドリル孔304の垂直に波状の部分310は、その中に有害物質が長期貯蔵のために回収可能に設置され得る、貯蔵面積317を部分310の遠位部分内に含む。例えば、示されるように、作業ストリング324(例えば、管類、コイル状管類、ワイヤライン、またはその他)が、ケーシングされたドリル孔304の中に延在され、1つ以上の(3つが示されるが、より多いまたはより少ないものが存在し得る)有害物質キャニスタ326を、部分310における、長期であるが、いくつかの側面では、回収可能な貯蔵状態に置いてもよい。例えば、図3に示される実装では、作業ストリング324は、キャニスタ326に結合するダウンホールツール328を含んでもよく、ドリル孔304の中への各進行で、ダウンホールツール328は、垂直に波状の部分310内に特定の有害物質キャニスタ326を堆積してもよい。
【0172】
ダウンホールツール328は、いくつかの側面では、ねじ山付き接続またはラッチ接続等の他のタイプの接続によってキャニスタ326に結合してもよい。代替側面では、ダウンホールツール328は、ダウンホールツール328の回転(または線形移動もしくは電気または油圧スイッチ)がキャニスタ326にラッチし得る(またはそれからラッチ解除する)ように、相互係止ラッチを用いてキャニスタ326に結合してもよい。代替側面では、ダウンホールツール324は、キャニスタ326に引き付けられるように結合する、1つ以上の磁石(例えば、希土類磁石、電磁石、それらの組み合わせ、またはその他)を含んでもよい。いくつかの実施例では、キャニスタ326はまた、ダウンホールツール324上の磁石と反対の極性の1つ以上の磁石(例えば、希土類磁石、電磁石、それらの組み合わせ、またはその他)を含んでもよい。いくつかの実施例では、キャニスタ326は、ダウンホールツール324の磁石に引き付け可能な鉄または他の材料から作製される、もしくはそれを含んでもよい。
【0173】
別の実施例として、各キャニスタ326は、ドリル孔304内に(例えば、ワイヤラインまたはその他の上の)ドリル孔トラクタによって位置付けられてもよく、これは、モータ式(例えば、電気)運動を通して垂直に波状の部分310の中にキャニスタを押動または引動してもよい。また別の実施例として、各キャニスタ326は、ダウンホールツール324がケーシングされたドリル孔304の中にキャニスタ326を押動し得るように、ローラ(例えば、車輪)を含む、またはそれに搭載されてもよい。
【0174】
いくつかの例示的実装では、キャニスタ326、ドリル孔ケーシング320および322のうちの1つ以上、または両方は、堆積動作に先立って、摩擦低減コーティングを用いてコーティングされてもよい。例えば、コーティング(例えば、石油ベースの製品、樹脂、セラミック、またはその他)をキャニスタ326および/またはドリル孔ケーシングに適用することによって、キャニスタ326は、ケーシングされたドリル孔304を通して垂直に波状の部分310の中により容易に移動されてもよい。いくつかの側面では、ドリル孔ケーシングの一部のみが、コーティングされてもよい。例えば、いくつかの側面では、略垂直部分306は、コーティングされない場合があるが、湾曲部分308または垂直に波状の部分310、もしくは両方は、キャニスタ326のより容易な堆積および回収を促進するためにコーティングされてもよい。
【0175】
図3はまた、ドリル孔304の垂直に波状の部分310内の有害物質の回収動作の実施例を図示する。回収動作は、堆積動作の反対であり得、したがって、ダウンホールツール324(例えば、フィッシングツール)は、ドリル孔304の中に延設され、最後に堆積されたキャニスタ326に(例えば、螺合して、ラッチして、磁石によって、または別様に)結合され、キャニスタ326を地球表面302に引動してもよい。複数の回収進行が、ドリル孔304の垂直に波状の部分310から複数のキャニスタを回収するために、ダウンホールツール324によって行われてもよい。
【0176】
各キャニスタ326は、有害物質を封入してもよい。そのような有害物質は、いくつかの実施例では、生物学的もしくは化学的廃棄物、または他の生物学的もしくは化学的有害物質であってもよい。いくつかの実施例では、有害物質は、原子炉(例えば、商業的動力炉または試験炉)または軍事核物質から回収された使用済み核燃料等の核物質を含んでもよい。例えば、ギガワットの原子力発電所は、毎年30トンの使用済み核燃料を生産し得る。その燃料の密度は、典型的には、10(10gm/cm=10kg/リットル)に近く、したがって、核廃棄物の1年間の体積は、約3mになる。核燃料ペレットの形態における使用済み核燃料が、原子炉から取り出され、修正されない場合がある。核燃料ペレットは、固体であるが、それらは、トリチウム(13年の半減期)、クリプトン-85(10.8年の半減期)、および二酸化炭素含有C-14(5,730年の半減期)を含む、種々の放射性ガスを含有および放出し得る。
【0177】
いくつかの側面では、貯蔵層319は、任意の放射性生産物(例えば、ガス)がキャニスタ326から逃散する場合であっても、層319内にそのような生産物を含有することが可能なはずである。例えば、貯蔵層319は、層319を通した放射性生産物の拡散時間に基づいて選択されてもよい。例えば、貯蔵層319から逃散する放射性生産物の最小拡散時間は、例えば、核燃料ペレットの任意の特定の成分に関する半減期の50倍に設定されてもよい。最小拡散時間としての50の半減期は、放射性生産物の量を1×10-15倍に低減させるであろう。別の実施例として、最小拡散時間を30の半減期に設定することは、放射性生産物の量を10億分の1に低減させるであろう。
【0178】
例えば、プルトニウム239は、多くの場合、24,100年のその長い半減期のため、使用済み核燃料における危険な廃棄生産物と見なされる。本同位体に関して、50の半減期は、120万年になるであろう。プルトニウム239は、水中で低い可溶性を有し、揮発性ではなく、固体として、例証される貯蔵層319(例えば、シェールまたは他の累層)を含む岩石累層の母岩を通した拡散が可能ではない。例えば、シェールから成る貯蔵層319は、数百万年にわたってガス状炭化水素(例えば、メタンおよびその他)を含有する地質的歴史によって示されるように、そのような分離時間(例えば、数百万年)を有する能力を提供し得る。対照的に、従来の核物質貯蔵方法では、一部のプルトニウムが、閉じ込め逃散に応じて、可動地下水から成る層内に溶解し得る危険が存在していた。
【0179】
図3にさらに示されるように、貯蔵キャニスタ326は、垂直に波状の部分310内に長期貯蔵のために位置付けられてもよく、これは、示されるように、湾曲部分308を通してドリル孔104の垂直部分106に結合される。図示されるように、湾曲部分308は、地球表面302に向かって角度を付けられる上向きに指向される部分を含む。さらに、示されるように、ドリル孔304の波状部分310は、いくつかの上向きに、および下向きに(表面302に対して)傾斜する部分を含み、それによって、波状部分310においていくつかのピークおよび谷を形成する。いくつかの側面では、例えば、キャニスタ326内に貯蔵される放射性有害物質が存在するとき、湾曲部分308および波状部分310のこれらの傾斜は、物質が、キャニスタ326から漏出している場合であっても、例えば、可動水層314、ドリル孔304の垂直部分306、地球表面302、またはそれらの組み合わせに到達しないように防止する、もしくは妨げるために、さらなる安全および封じ込め度を提供し得る。例えば、有害物質において懸念される放射性核種は、(物質の他の成分と比較して)比較的に浮力がある、または重い傾向がある。浮力のある放射性核種は、重い元素および分子が沈む傾向があり、地球表面302に向かって上向きに拡散しないであろうため、漏出に関する最大の懸念であり得る。クリプトンガス、特に、クリプトン-85は、空気(殆どのガスのような)よりも重いが、水よりもはるかに軽い浮力のある放射性元素である。したがって、クリプトン―85が水槽の中に導入される場合、そのようなガスは、地球表面302に向かって上向きに浮遊する傾向があるであろう。一方、ヨウ素は、水よりも密度が高く、水槽の中に導入される場合、下向きに拡散する傾向があるであろう。
【0180】
ドリル孔304の湾曲部分308および波状部分310を含むことによって、放射性物質のいずれのそのような拡散も(例えば、キャニスタ326から漏出している場合であっても、ドリル孔304またはその他の中の水または他の液体の存在下で)、垂直に波状の部分310に向かって、より具体的には、垂直に波状の部分310の内のピークに、ドリル孔304の湾曲部分308(および垂直部分306)から離れるように指向されるであろう。したがって、漏出した有害物質は、拡散可能なガス形態においても、ドリル孔310の垂直部分306を通して地球表面302(または可動水層314)への経路を(例えば、直接)提供されないであろう。例えば、漏出した有害物質(特に、ガス状形態における)は、ドリル孔部分310のピークに、または概して、ドリル孔304の垂直に波状の部分310内に指向され、集められるであろう。
【0181】
傾斜ドリル孔部分310の中にキャニスタ326を堆積させる代替方法もまた、実装されてもよい。例えば、流体(例えば、液体またはガス)が、ドリル孔304を通して循環され、キャニスタ326を傾斜ドリル孔部分310の中に流体的に押動してもよい。いくつかの実施例では、各キャニスタ326は、別個に流体的に押動されてもよい。代替側面では、2つ以上のキャニスタ326が、垂直に波状の部分310の中への堆積のために、ドリル孔304を通して同時に流体的に押動されてもよい。流体は、ある場合には、水であり得る。他の実施例は、削孔泥水または削孔フォームを含む。いくつかの実施例では、空気、アルゴン、または窒素等のガスが、キャニスタ326をドリル孔の中に押動するために使用されてもよい。
【0182】
いくつかの側面では、流体の選定は、少なくとも部分的に、流体の粘度に依存してもよい。例えば、流体は、略垂直部分306の中へのキャニスタ326の落下を妨げるために十分な粘度を伴うものが選定されてもよい。本抵抗またはインピーダンスは、キャニスタ326の突然の落下に対する安全係数を提供してもよい。流体はまた、キャニスタ326とケーシング320および322との間の摺動摩擦を低減させるために、潤滑を提供してもよい。キャニスタ326は、制御された粘度、密度、および潤滑品質の液体を用いて充填されるケーシング内で運搬されることができる。ケーシング320および322の内径と運搬されるキャニスタ326の外径との間の流体充填環は、任意の高速のキャニスタ運動を減衰するように設計される開口部を表し、運搬されるキャニスタ326の可能性が低い結合解除において自動的受動的保護を提供する。
【0183】
いくつかの側面では、他の技法も、垂直に波状の部分310の中へのキャニスタ326の堆積を促進するために採用されてもよい。例えば、配設されたケーシング(例えば、ケーシング320および322)のうちの1つ以上は、ドリル孔302の中に貯蔵キャニスタ326を誘導する一方、ケーシングとキャニスタ326との間の摩擦を低減させるためのレールを有してもよい。貯蔵キャニスタ326およびケーシング(またはレール)は、相互に対して容易に摺動する材料から作製されてもよい。ケーシングは、貯蔵キャニスタ326の重量を受けるとき、容易に潤滑される表面または自己潤滑性であるものを有してもよい。
【0184】
流体はまた、キャニスタ326の回収のために使用されてもよい。例えば、例示的回収動作では、ケーシング320および322内の容積は、圧縮ガス(例えば、空気、窒素、アルゴン、またはその他)を用いて充填されてもよい。圧力が垂直に波状の部分310の端部において増加するにつれて、キャニスタ326は、湾曲部分308に向かって、続けて、略垂直部分306を通して、地球表面に押動されてもよい。
【0185】
いくつかの側面では、ドリル孔304は、有害物質の長期貯蔵を主要目的として形成されてもよい。代替側面では、ドリル孔304は、炭化水素生産(例えば、油、ガス)を主要目的として以前に形成されていた場合がある。例えば、貯蔵層319は、それから炭化水素がドリル孔304の中に、および地球表面302に生産された、炭化水素産出累層であってもよい。いくつかの側面では、貯蔵層319は、炭化水素生産に先立って、油圧式で破砕されていた場合がある。さらに、いくつかの側面では、生産ケーシング322は、油圧破砕に先立って、穿孔されていた場合がある。そのような側面では、生産ケーシング322は、有害物質の堆積動作に先立って、穿孔プロセスから作製された任意の孔を修復するために、塞がれてもよい(例えば、固結される)。加えて、ケーシングとドリル孔との間のセメントにおける任意の亀裂または開口部もまた、その時点で充填されることができる。
【0186】
例えば、有害物質としての使用済み核燃料の場合では、その場所もまたシェール累層等の適切な貯蔵層319を含むことを考慮して、ドリル孔は、新しいドリル孔として特定の場所に、例えば、原子力発電所の近傍に形成されてもよい。代替として、すでにシェールガスを生産している既存の坑井または「枯渇した」として放棄された(例えば、有機物が十分に少なく、定位置におけるガスが商業的開発のために少なすぎる)ものが、ドリル孔304として選択されてもよい。いくつかの側面では、ドリル孔304を通した貯蔵層319の事前油圧破砕は、ドリル孔304の有害物質貯蔵能力において殆ど差異をもたらし得ない。しかし、そのような事前活動はまた、数百万にわたってガスおよび他の流体を貯蔵する貯蔵層319の能力を確認し得る。したがって、有害物質または有害物質の生産物(例えば、放射性ガスまたはその他)が、キャニスタ326から逃散し、貯蔵層319の破砕された累層に進入した場合、そのような割れ目は、その物質が、サイズにおいて割れ目のものに匹敵する距離にわたって比較的に急速に拡散することを可能にし得る。いくつかの側面では、ドリル孔302は、炭化水素の生産のために削孔されたが、そのような炭化水素の生産が、例えば、貯蔵層319が、過剰に延性であり、生産のために破砕することが困難である岩石累層(例えば、シェールまたはその他)から成るため、失敗したが、有利なこととして、有害物質の長期貯蔵のための延性であったと考えられる。
【0187】
図4A-4Cは、本開示による、有害物質貯蔵処分施設システムの他の例示的実装の概略図示である。図4Aは、有害物質貯蔵処分施設システム400を示し、図4Bは、有害物質貯蔵処分施設システム450を示し、図4Cは、有害物質貯蔵処分施設システム480を示す。システム400、450、および480はそれぞれ、地球表面(それぞれ、402、452、および482)から削孔された略垂直ドリル孔(それぞれ、404、454、および484)を含む。各略垂直ドリル孔(404、454、484)は、湾曲した、またはアールが付けられたドリル孔である遷移ドリル孔(それぞれ、406、456、および486)に結合する(またはそれに続く)。各遷移ドリル孔(406、456、および486)は、次いで、その中に1つ以上の有害物質貯蔵キャニスタ(例えば、キャニスタ126)が長期貯蔵のために設置され、必要に応じて、本開示に従って回収され得る、有害物質貯蔵処分施設を含む、または備える分離ドリル孔(それぞれ、408、458、および488)に結合する(またはそれに続く)。
【0188】
図4Aに示されるように、分離ドリル孔408は、これが遷移ドリル孔406に接続する点において、水平に湾曲し始め、同時に、側に、すなわち、水平方向に湾曲し始める螺旋ドリル孔である。いったん螺旋ドリル孔がその最低点に到達すると、これは、両方向に湾曲し続け、わずかに上向きの螺旋をもたらす。その点において、曲線が垂直ドリル孔404と交差しないように、水平曲線が、少し大きくされてもよい。いったん螺旋ドリル孔が上昇し始めると、湾曲水平物質貯蔵処分施設区分が、始まってもよい。貯蔵区分は、(例えば、逃散した有害物質固体、液体、またはガスのための)終端トラップである、最高点(例えば、地球表面402に最も近接する点)まで継続してもよい。螺旋ドリル孔の上昇は、典型的には、3度であり得る。
【0189】
いくつかの側面では、螺旋ドリル孔408の経路は、螺旋の軸を辿る(すなわち、螺旋円の中心にある)、または変位されることができる。また、図4Aに示されるように、垂直ドリル孔404は、螺旋ドリル孔408内に形成される。言い換えると、螺旋ドリル孔408は、垂直ドリル孔404の周囲で対称に形成されてもよい。簡潔に図4Cに目を向けると、システム480は、螺旋ドリル孔408のものと類似する螺旋ドリル孔488を示す。しかしながら、螺旋ドリル孔488は、垂直ドリル孔484の側にずれて形成される。いくつかの側面では、螺旋ドリル孔488は、垂直ドリル孔484の任意の側にずれて形成されることができる。
【0190】
図4Bに目を向けると、システム450は、垂直ドリル孔454から方向転換する遷移ドリル孔456に結合される螺旋ドリル孔458を含む。ここでは、螺旋ドリル孔458は、垂直に配向される(例えば、垂直ドリル孔に平行な回転軸を伴う)のではなく、水平に配向される(例えば、垂直ドリル孔454に垂直な回転軸を伴う)。螺旋ドリル孔458の端部または中(もしくは両方)に、有害物質貯蔵区分がある。
【0191】
システム400、450、および480の実装では、遷移ドリル孔の曲率半径は、約1,000フィートであってもよい。螺旋ドリル孔における各螺旋の円周は、曲率半径の約2π倍または約6,000フィートであってもよい。したがって、螺旋ドリル孔における各螺旋は、1マイルをわずかに上回る有害物質キャニスタの貯蔵面積を含有してもよい。いくつかの代替側面では、曲率半径は、約500フィートであってもよい。次いで、螺旋ドリル孔の各螺旋は、約0.5マイルの有害物質キャニスタの貯蔵面積を含んでもよい。2マイルの貯蔵が所望される場合、本サイズの螺旋ドリル孔毎に4つの螺旋が存在してもよい。
【0192】
図4A-4Cに示されるように、システム400、450、および480はそれぞれ、有害物質貯蔵面積としての役割を果たし、地球表面に向かって、各システムの遷移ドリル孔と各区分の垂直ドリル孔との間の交差点から離れるように垂直に指向されるドリル孔部分を含む。したがって、いずれの漏出した有害物質(例えば、放射性廃棄物ガス等)も、そのような垂直に指向される貯蔵面積に、垂直ドリル孔から離れるように指向されてもよい。図4A-4Cに示されるドリル孔はそれぞれ、ケーシングされる、またはケーシングされない場合があり、ケーシングは、有害物質が可動水に到達しないように防止するための付加的保護層としての役割を果たしてもよい。ケーシングが省略される場合、任意のドリル孔に対する角度変化が、より急速になり得る、制約は、それを通した任意のキャニスタの移動の適応である。ケーシングが存在する場合、ドリル孔に関する方向の角度変化は、十分に緩慢に行われてもよく(それらが標準指向性削孔にあるため)、ケーシングは、ドリル孔の中に押動されることができる。さらに、いくつかの側面では、例証される分離ドリル孔(408、458、および488)のそれぞれの全てまたは一部は、(本開示に説明されるような)不浸透性層内またはその下に形成されてもよい。
【0193】
いくつかの側面では、螺旋ドリル孔の実装は、回転軸の周囲に一定の曲率を有してもよい。螺旋ドリル孔の代替実装は、漸進的に変化する曲率を有し、螺旋ドリル孔における螺旋をより緊密にするか、またはより密接させないかのいずれかにしてもよい。螺旋ドリル孔のなおも付加的実装は、半径が変化する螺旋を有する(これをより緊密にする、またはより緊密にしない)が、(例えば、その中に分離ドリル孔の有害物質貯蔵区分がある地質的層が垂直寸法においてあまり厚くない場合にこれが有用であり得る状況のために)垂直上昇を殆どまたは全く有していない場合がある。
【0194】
図5Aは、有害物質貯蔵処分施設システム500の別の例示的実装の概略図示の上面図であり、図5B-5Cは、その側面図である。示されるように、本システムは、地球表面502から形成される垂直ドリル孔504を含む。垂直ドリル孔504は、遷移ドリル孔506に結合される、またはそれに続く。遷移ドリル孔506は、分離ドリル孔508に結合される、またはそれに変わる。本実施例では、分離ドリル孔508は、起伏が実質的に左右である波状ドリル孔を含む、または備える。図5Bに示されるように、分離ドリル孔508は、これが左右に起伏するにつれて、地球表面502に向かって、遷移ドリル孔506から垂直に離れるように上昇する。図5Cに示されるように、代替として、分離ドリル孔508は、これが左右に起伏するにつれて、地球表面502に略平行な平面内に留まる。
【0195】
いくつかの側面では、螺旋または波状ドリル孔は、それらが形成される任意のガスまたは油産出層の応力パターンに関係なく配向されてもよい。これは、配向が、炭化水素生産の場合のようにドリル孔のいかなる破砕も考慮する必要がないためである。したがって、岩石応力パターンの方向に配向されない、よりコンパクトであるドリル孔幾何学形状が、利用されることができる。これらのドリル孔はまた、その下でドリル孔が形成される地球の土地の量を低減させる際に有意な価値を有し得る。これはまた、有害物質貯蔵処分施設システムが建造されることを可能にするために購入されなければならない土地および任意の鉱物権の費用を削減し得る。ドリル孔は、したがって、岩石の応力のパターンによってではなく、主として、利用可能な土地の効率的かつ実践的使用によって判定される。
【0196】
図5A-5Cに示されるドリル孔はそれぞれ、ケーシングされる、またはケーシングされない場合があり、ケーシングは、有害物質が可動水に到達しないように防止するための付加的保護層としての役割を果たしてもよい。ケーシングが省略される場合、任意のドリル孔に対する角度変化が、より急速になり得る、制約は、それを通した任意のキャニスタの移動の適応である。ケーシングが存在する場合、ドリル孔に関する方向の角度変化は、十分に緩慢に行われてもよく(それらが標準指向性削孔にあるため)、ケーシングは、ドリル孔の中に押動されることができる。さらに、いくつかの側面では、分離ドリル孔508の全てまたは一部は、(本開示に説明されるような)不浸透性層内またはその下に形成されてもよい。
【0197】
概して、図1A、2、3、4A-4C、および5A-5Cを参照すると、例示的有害物質貯蔵処分施設システム(例えば、100、200、300、400、450、480、および500)は、有害物質(例えば、生物学的、化学的、核)が適切な地下層内で密封貯蔵されることを確実にするために、複数の封じ込め層を提供してもよい。いくつかの例示的実装では、少なくとも12の封じ込め層が存在してもよい。代替実装では、より少ないまたはより多い数の封じ込め層が、採用されてもよい。
【0198】
第1に、例示的有害物質として使用済み核燃料を使用すると、燃料ペレットが、原子炉から取り出され、修正されない。それらは、焼結された二酸化ウラン(UO)、セラミックから作製され得、固体のままであり、トリチウム(13年の半減期)、クリプトン-85(10.8年の半減期)、および二酸化炭素含有C-14(5,730年の半減期)を含む、種々の放射性ガスを放出し得る。ペレットが極端に腐食条件または複数の封じ込め層を損傷させる他の効果に暴露されない限り、放射性同位体(C-14、トリチウム、またはクリプトン-85を含む)の大部分は、ペレット内に含有されるであろう。
【0199】
第2に、燃料ペレットは、ちょうど原子炉のように、燃料棒のジルカロイ管によって囲繞される。説明されるように、管は、元々の燃料アセンブリ内に搭載される、またはより緊密な包装のためにそれらのアセンブリから除去され得る。
【0200】
第3に、管は、有害物質キャニスタのシールされた筐体内に設置される。筐体は、統一構造またはマルチパネル構造であり、複数のパネル(例えば、側、上部、底部)が、機械的に締結されてもよい(例えば、ねじ、リベット、溶接、およびその他)。
【0201】
第4に、材料(例えば、固体または流体)が、有害物質キャニスタを充填し、物質とキャニスタの外部との間にさらなる緩衝物を提供してもよい。
【0202】
第5に、有害物質キャニスタは、いくつかの実施例では、ドリル孔全体(例えば、略垂直部分、アールが付けられた部分、および傾斜部分)を通して延在する、鋼または他のシールケーシングを用いて裏打ちされるドリル孔内に(上記に説明されるように)位置付けられる。ケーシングは、定位置に固結され、有害物質キャニスタがそれを通して移動されるための(例えば、ドリル孔壁と比較して)比較的に平滑な表面を提供し、それによって、堆積または回収の間の漏出もしくは破壊の可能性を低減させる。
【0203】
第6に、定位置にケーシングを保持する、または保持することに役立つセメントもまた、有害物質がキャニスタから逃散した場合にこれを含有するためのシール層を提供してもよい。
【0204】
第7に、有害物質キャニスタは、貯蔵層を含む岩石累層の厚い(例えば、100~200フィート)薄層内に位置付けられるドリル孔の一部(例えば、傾斜部分)内に貯蔵される。貯蔵層は、少なくとも部分的に、岩石累層の地質的性質(例えば、不動水のみ、低浸透率、厚い、適切な延性、または非脆性)に起因して選定されてもよい。例えば、貯蔵層の岩石累層としてのシェールの場合では、本タイプの岩石は、シェールが数百万年にわたって炭化水素ガスのためのシールであることが公知であるため、あるレベルの封じ込めを提供し得る。シェールは、鹹水を含有し得るが、その鹹水は、明白に不動であり、表面淡水と連通しない。
【0205】
第8に、いくつかの側面では、貯蔵層の岩石累層は、別のレベルの封じ込めを提供する他の一意の地質的性質を有してもよい。例えば、シェール岩石は、多くの場合、有害物質(例えば、使用済み核燃料およびその放射性生産物)が、そのような生産物の拡散速度をなおもさらに低減させるように、反応することなく貯蔵層を通して移動し得る可能性を低減させる、硫化鉄等の反応性成分を含有する。さらに、貯蔵層は、典型的には、極端に低い拡散率を有する、粘土および有機物等の成分を含んでもよい。例えば、シェールは、層状であり、粘土および他の鉱物の薄く交互する層から成ってもよい。シェール等、貯蔵層内の岩石累層のそのような層理は、本付加的封じ込め層を提供してもよい。
【0206】
第9に、貯蔵層は、貯蔵層を可動水層から(例えば、垂直に)分離する、不浸透性層よりも深く、かつその下に位置してもよい。
【0207】
第10に、貯蔵層は、地下層内のそのような層の深さ(例えば、3,000~12,000フィート)に基づいて選択されてもよい。そのような深さは、典型的には、可動水を含有するいずれかの層のはるか下方にあり、したがって、貯蔵層の深さだけによって、付加的封じ込め層を提供する。
【0208】
第11に、本開示の有害物質貯蔵処分施設システムの例示的実装が、貯蔵される有害物質の監視を促進する。例えば、監視されるデータが、有害物質の漏出もしくはその他(例えば、温度、放射能、またはその他の変化)またはさらにはキャニスタの不正開封もしくは侵入を示す場合、有害物質キャニスタは、修復または点検のために回収されてもよい。
【0209】
第12に、1つ以上の有害物質キャニスタは、必要に応じて(例えば、監視の有無を問わず)周期的点検、調整、または修理のために回収可能であってもよい。したがって、キャニスタに関する任意の問題が、衰えないキャニスタから、有害物質が漏出または逃散することを可能にすることなく対処されてもよい。
【0210】
第13に、有害物質がキャニスタから逃散し、いかなる不浸透性層も漏出した有害物質と地球表面との間に位置していない場合であっても、漏出した有害物質は、表面または帯水層(例えば、可動水層)もしくは人間に有害と見なされるであろう他の区域へのいかなる上向き経路も有していない場所においてドリル孔内に含有され得る。例えば、傾斜ドリル孔、J区分ドリル孔、または垂直に波状のドリル孔のピークの終端であり得る場所は、ドリル孔の垂直部分へのいかなる直接上向き(例えば、表面に向かう)経路も有し得ない。
【0211】
いくつかの実装が、説明されている。それにもかかわらず、種々の修正が、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、行われ得ることを理解されたい。例えば、本明細書に説明される例示的動作、方法、またはプロセスは、説明されるものよりも多いステップまたは少ないステップを含んでもよい。さらに、そのような例示的動作、方法、またはプロセスにおけるステップは、説明される、または図に図示されるものと異なる並びにおいて実施されてもよい。故に、他の実装も、以下の請求項の範囲内である。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C