(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】穀類選別スクリーンドラム装置
(51)【国際特許分類】
B07B 1/22 20060101AFI20221031BHJP
B07B 1/46 20060101ALI20221031BHJP
B07B 1/52 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
B07B1/22 D
B07B1/46 K
B07B1/46 D
B07B1/46 Z
B07B1/52 A
(21)【出願番号】P 2021170363
(22)【出願日】2021-10-18
【審査請求日】2021-10-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000242460
【氏名又は名称】北斗工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145078
【氏名又は名称】内藤 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】安永 友晴
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-030864(JP,A)
【文献】実開昭57-012273(JP,U)
【文献】実開昭57-177582(JP,U)
【文献】特開2021-107065(JP,A)
【文献】特開昭53-137471(JP,A)
【文献】特開平10-043691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
A01F 12/30-12/395,12/42-12/44,12/48,12/54
B02B 1/00-7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と、軸方向両端が開口した筒体からなり、後下がりに傾斜した状態で該架台に搭載し、駆動源により回転可能な選別ドラムと、該選別ドラムの下方に位置して前記架台に設けた穀類排出ダクト及び夾雑物放出ダクトとからなり、前記選別ドラムは、金属製の筒状枠からなるスクリーン枠と、該スクリーン枠内に配設した回転軸と、軸方向に離間して該回転軸に周方向に配設し、外周端は該スクリーン枠に固着した複数枚の穀類送り羽根と、前記スクリーン枠の外側に
張り替え可能に巻装した軟質合成樹脂材からなる多孔スクリーンとから構成し、該選別ドラム
は一端側と他端側及び側面をカバーで覆ってある穀類選別スクリーンドラム装置。
【請求項2】
前記多孔スクリーンは、ウレタン製である請求項1記載の穀類選別スクリーンドラム装置。
【請求項3】
前記カバーには、前記選別ドラムの周面に接するスクレーパが設けてあることを特徴とする請求項1記載の穀類選別スクリーンドラム装置。
【請求項4】
前記カバーには、目視用窓を設けてあることを特徴とする請求項1記載の穀類選別スクリーンドラム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採取した原料は乾燥する前に、豆類、籾、小麦、蕎麦等の穀類と大きな鞘、藁等の夾雑物を効率的に選別除去し、また穀類のサイズの大小に対応した選別が可能な穀類選別スクリーンドラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
収穫した原料から夾雑物を選別する選別機或いは粗選機は知られており、選別の手段に多孔板製ドラムや金網製ドラムを回転させて、大きさの異なる原料を穀類と夾雑物とに選別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のドラム式選別機は、金属製の多孔板や金網でドラムを形成しているため、原料が痛む、選別中に跳ねるために選別に時間を要し、選別効率が良くない、選別孔に引っ掛かった原料を除去するにの時間と労力を要する、ドラムが損傷した場合にはドラム全体を交換する必要があり、ドラムの費用及び交換作業の費用が嵩むといった問題がある。
【0005】
本発明は従来技術の問題点に鑑みなされたもので、選別ドラムを構成する多孔スクリーンの交換が容易で、かつ速やかに出来るから、採取した原料を穀類と夾雑物とに効率良く選別し、サイズの異なる穀類の選別作業にも速やかに対応することができ、かつクッション性があるので原料の損傷を低減し、目詰まりも抑制できるので選別効率を維持することができ、かつ選別作業も静粛である穀類選別スクリーンドラム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上述した課題を解決するために構成した本発明の手段は、架台と、軸方向両端が開口した筒体からなり、後下がりに傾斜した状態で該架台に搭載し、駆動源により回転可能な選別ドラムと、該選別ドラムの下方に位置して前記架台に設けた穀類排出ダクト及び夾雑物放出ダクトからなり、前記選別ドラムは、金属製の筒状枠からなるスクリーン枠と、該スクリーン枠内に配設した回転軸と、軸方向に離間して該回転軸に周方向に配設し、外周端は該スクリーン枠に固着した複数枚の穀類送り羽根と、前記スクリーン枠の外側に巻装した軟質合成樹脂材からなる多孔スクリーンとから構成し、該選別ドラムは前記一端側と他端側及び側面をカバーで覆った構成からなる。
(2)そして、前記多孔スクリーンは、ウレタン製であるとよい。
(3)また、前記多孔スクリーンは、前記スクリーン枠に同種又は異種の多孔スクリーンと張り替え可能に巻装するとよい。
(4)そして、前記カバーには、前記選別ドラムの周面に接するスクレーパを設けるとよい。
(5)更に、前記カバーには、目視用窓を設けるとよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上述の如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)選別ドラムは軟質合成製の多孔スクリーンを巻装する構成にしたから、選別時に穀類が損傷するのを低減できるし、原料が跳ねることにより選別効率が低下するのを抑制できる。
(2)選別ドラムは、スクリーン枠に多孔スクリーンを交換可能に巻装して構成したから、摩耗や損傷した多孔スクリーンの交換が容易であるし、サイズの異なる穀類を選別する場合、選別ドラム自体を交換することなく、多孔スクリーンのみを交換すればよいから、維持費を節減できる。
(3)選別ドラム内に送り羽根を配設したから原料から選別した夾雑物を速やかに排出することができ、夾雑物の滞留による選別の阻害を生じ難くすることによる効果として選別時間を最適化できる。
(4)選別ドラムの外周面にスクレーパが摺接する構成にしたから、多孔スクリーンの目詰まりを防止して選別効率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る穀類選別スクリーンドラム装置の正面図である。
【
図2】穀類選別スクリーンドラム装置の背面図である。
【
図3】穀類選別スクリーンドラム装置の右側面図である。
【
図4】穀類選別スクリーンドラム装置の分解斜視図である。
【
図7】選別ドラムを構成するスクリーン枠の斜視図である。
【
図9】パドル軸と送り羽根の配置関係を示す説明図である。
【
図10】選別ドラム装置の内部を他端側から見た構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。図において、1は金属製の架台で、該架台1は四角形の枠体1Aと、該枠体1Aに下方に突出して設けた一側脚体1Bと、枠体1Aに下方に突出して設けた他側脚体1Cとから構成し、該他側脚体1Cは一側脚体1Bより若干短い寸法に設定することで枠体1Aは後下がりに約4~5度傾斜させてある。そして、枠体1Aには下方に突出した状態で穀類排出ダクト1Dが設けてあり、他側脚体1Cには選別した夾雑物を放出するための夾雑物放出ダクト1Eが設けてある。
【0010】
2は前記架台1に回転可能に横設した選別ドラムを示す。3は該選別ドラム2を構成する金属製の筒状枠からなるスクリーン枠を示す。該スクリーン枠3は一側環状枠部3Aと、軸方向に離間する他側環状枠部3Bと、該一対の環状枠部3A、3Bを連結する緩やかな螺旋状の外周枠部3Cとから構成してあり、
図7に示すように全体はスケルトン状の構成のものである。
【0011】
4はスクリーン枠3と共に選別ドラム2を構成し、原料を穀類と夾雑物に選別するためにスクリーン枠3に巻装する多孔スクリーンを示す。該多孔スクリーン4は軟質合成樹脂材、例えばウレタンからなり、スクリーン枠3の軸方向に沿う線状縦材4Aと、スクリーン枠3の周方向に沿う線状横材4Bを夫々所定の間隔で格子状に配列して四角形のシート状に成形したもので、全面に一例として、内寸法が12×9mm~18×12mmの大きさの四角形の選別孔4C、4C、・・・が多数形成されている。
そして、多孔スクリーン4は、巻装方向両端に連続する凹凸からなる鋸歯状の締着部4D、4Dが設けてあり、該締着部4D、4Dを咬合させた状態でスクリーン枠3に螺子止めすることで、多孔スクリーン4はスクリーン枠3に着脱可能に巻装してある。
【0012】
5はスクリーン枠3の略中心に位置して軸方向に挿設した回転軸で、該回転軸5は両端側5A、5Bが後述する一側及び他側カバー板10、12に回転可能に支持されている。
【0013】
6は前記スクリーン枠3内に配設した原料の送り羽根機構を示す。7は該送り羽根機構6を構成し、後述する送り羽根8を設けるためのパドル軸で、該パドル軸7は回転軸5の外周に設けてある。8、8、・・はパドル軸7の軸方向に離間し、かつ周方向に90度変位させてパドル軸7の外周に配設した複数枚の送り羽根を示す。該各送り羽根8は略扇型の形状からなり、内周縁8Aを凹湾曲状に形成してパドル軸7の周面に固着し、外周縁8Bを凸湾曲状に形成してスクリーン枠3の外周枠部3Cの内面に固着してある。
ここで、選別ドラム2の他側、即ち排出口側で、多孔スクリーン4の締着部4D、4Dに対して半径方向に位置する送り羽根8は2枚重ねに構成して重くすることで重心の調整を図り、後述する減速モータ16の負荷を軽減している。
【0014】
かくして、選別ドラム2はスクリーン枠3と、該スクリーン枠3に着脱可能に巻装した多孔スクリーン4と、スクリーン枠3内に挿設した回転軸5と、該回転軸5の外周に設けたパドル軸7と、該パドル軸7とスクリーン枠3に固着して配設した複数の送り羽根8、8、・・とから構成してある。
【0015】
9は選別ドラム2を覆う金属製のカバーを示す。10は該カバー9を構成する一側カバー板で、該一側カバー板10には略中心に位置して軸穴10A、該軸穴10Aの側方に位置し原料投入口10Bが開口形成してあり、原料投入口10Bには原料を投入し易いようにホッパー11が突設してある。
12は一側カバー板10と略同形の外形からなる他側カバー板で、該他側カバー板12は略中心に位置して軸穴12Aが設けてある。
13は側面カバー板で、該側面カバー板13は左右一対の側板部13Aと、選別ドラム2を覆うように該一対の側板部13A、13Aに架設した外形が側面視で無落雪屋根型の上板部13Bとから構成してあり、各側板部13Aには目視用窓13A1、13A1が設けてある。
【0016】
14は前記上板部14Bの内面に下向きに設けたスクレーパで、該スクレーパ14は本体14Aと、該本体14Aを側面カバー板13の上板部13Bに取り付けるための取着板14Bとから構成してある。そして、スクレーパ14は選別ドラム2の外周面、具体的には多孔スクリーン4に摺接することで、多孔スクリーン4の選別孔4Cに穀類や夾雑物が詰まって目詰まりするのを防止し、選別効率を維持している。
【0017】
15は選別ドラム2を回転駆動するための減速モータで、該減速モータ15はケーシング15Aに格納した状態で他側カバー板12に設置し、回転軸5の軸端5Bと連結してある。
【0018】
本実施の形態に係る穀類選別スクリーンドラム装置は上述の構成からなるもので、次にその作用について説明する。採取した原料は選別のためにベルトコンベア等の移送手段によって選別ドラム2にシューター11を介して原料投入口10Bから投入する。減速モータ15により回転駆動される選別ドラム2内で、原料は送り羽根8、8、・・によって一側から他側に送られ、この間多孔スクリーン4の選別孔4Cを抜ける穀類は穀類排出ダクト1Eに落下して回収する。
【0019】
他方、選別孔4Cより大きい夾雑物は落下することなく送り羽根8によって他側に送られ、夾雑物放出ダクト1Eから排出される。そして、これらの選別処理において、選別ドラム2の多孔スクリーン4はウレタン等の軟質合成樹脂で成形してありスクリーンが揺動することで、原料が選別孔4Cに引っ掛かり難く、目詰まりを抑制できる。
【符号の説明】
【0020】
1 架台
2 選別ドラム
3 スクリーン枠
4 多孔スクリーン
5 回転軸
8 送り羽根
9 カバー
13A1 目視用窓
14 スクレーパ
15 減速モータ
【要約】
【課題】選別ドラムの多孔スクリーンの交換は容易で、速やかに可能であり、採取した原料を穀類と夾雑物に効率良く選別し、サイズの異なる穀類の選別にも速やかに対応でき、かつクッション性により原料の損傷を低減し、目詰まりも抑制して選別効率を維持できる穀類選別スクリーンドラム装置を提供する。
【解決手段】選別ドラム2は後下がりに傾斜して架台1に搭載し、減速モータ15により回転駆動される。架台1には選別ドラム2の下方に位置して穀類排出ダクト1Dが設けてある。選別ドラム2はスクリーン枠と、スクリーン枠内に配設した回転軸5と、回転軸5に外嵌したパドル軸7と、軸方向に離間してパドル軸7に周方向に配設し、外周端はスクリーン枠に固着した複数枚の送り羽根と、スクリーン枠の外側に巻装した軟質合成樹脂材からなる多孔スクリーン4とから構成し、選別ドラム2は全体をカバー9で覆ってある。
【選択図】
図4