(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】船舶用LED照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20221031BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20221031BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20221031BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20221031BHJP
F21V 29/508 20150101ALI20221031BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20221031BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20221031BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20221031BHJP
B63B 45/04 20060101ALI20221031BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20221031BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20221031BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221031BHJP
F21W 107/20 20180101ALN20221031BHJP
【FI】
F21S2/00 600
F21V17/00 152
F21V23/00 150
F21V29/503
F21V29/508 100
F21V29/70
F21V3/00 320
F21V3/02 200
B63B45/04
H05K1/14 E
H05K1/02 F
F21Y115:10
F21W107:20
(21)【出願番号】P 2022078437
(22)【出願日】2022-05-11
【審査請求日】2022-05-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517414440
【氏名又は名称】大阪電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【氏名又は名称】前田 厚司
(74)【代理人】
【識別番号】100121924
【氏名又は名称】後藤 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】中谷 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】竹中 利数
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-170696(JP,A)
【文献】特開2011-228184(JP,A)
【文献】特開2011-228100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 17/00
F21V 23/00
F21V 29/503
F21V 29/508
F21V 29/70
F21V 3/00
F21V 3/02
B63B 45/04
H05K 1/14
H05K 1/02
F21Y 115/10
F21W 107/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体とグローブとで囲まれた内部空間に配置されたLED部品から発光する光を前記グローブを透過させて外部に拡散する船舶用LED照明装置において、
前記本体の取付ベースに第1空間を隔てて配置され、半導体部品が実装された電源基板と、
前記電源基板に第2空間を隔てて配置され、
前記LED部品が実装されたLED基板とを備え、
前記電源基板と前記LED基板の各外周縁と前記グローブの内面との間に、隙間が形成され、
前記第1空間に配置され、一端が前記本体の前記取付ベースに取り付けられ、他端が前記電源基板に実装された前記半導体部品に接触している放熱連結部材が設けられていることを特徴とする船舶用LED照明装置。
【請求項2】
前記本体の前記取付ベースに、前記第1空間に面する放熱基板が設けられ、前記放熱基板は前記放熱連結部材と接触していることを特徴とする請求項1に記載の船舶用LED照明装置。
【請求項3】
前記LED基板に、前記第2空間に面する放熱板が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶用LED照明装置。
【請求項4】
前記取付ベースと前記電源基板の間に、前記第1空間の間隔を規制する第1スペーサが設けられ、
前記電源基板と前記LED基板の間に、前記第2空間の間隔を規制する第2スペーサが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の船舶用LED照明装置。
【請求項5】
前記放熱連結部材と前記半導体部品は、放熱シートを介して接触していることを特徴とする請求項1に記載の船舶用LED照明装置。
【請求項6】
前記半導体部品に接続される電源ケーブルの裸線部、前記電源基板の実装面、及び前記LED基板の実装面がコーティングされていることを特徴とする請求項1に記載の船舶用LED照明装置。
【請求項7】
前記グローブは、前記本体に着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の船舶用LED照明装置。
【請求項8】
前記本体の前記取付ベースを貫通する電源ケーブルのアース線が前記放熱基板に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の船舶用LED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は船舶用LED照明装置、特にその放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置として高輝度のLEDが使用されているが、特に船舶用の照明装置では航海中に故障しない耐久性が必要である。特に、LED部品や半導体部品等の発熱部品を有する照明装置では、発熱により動作が不安定になり、寿命が低下し、塩分や水分により部品の腐食や劣化が生じ、絶縁性が低下し、さびが発生する。このため、船舶用LED照明装置では、放熱性と防水性が要求される。発熱部品には外気に接触する部品として一般に放熱性に優れた金属製放熱フィンが設けられるが、塩水に晒される船舶用の発熱部品には適していない。従来の照明装置は、グローブの内部で結露すると故障の原因となるため、グローブが一体に設けられている。
【0003】
特許文献1には、筐体の開口部にレンズ枠が取り付けられ、レンズ枠の円形孔に金属製リング状の放熱部材が取り付けられ、この放熱部材の内周の前部にレンズが設けられ、後部にLED基板が設けられたLED照明灯が記載されている。このLED照明灯によれば、LEDから発生する熱は、レンズの周囲から放熱部材を介して外部に放出される。しかし、LED基板の裏面に逃げた熱は、筐体内に収容されたLEDドライバ(電源基板)から発生する熱とともに筐体内部に籠り、十分に放熱されないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、LED基板及び電源基板から発生する熱を外気に接触する部品に金属製のものを用いずに、十分に放熱することができる船舶用LED照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段は、
本体とグローブとで囲まれた内部空間に配置されたLED部品から発光する光を前記グローブを透過させて外部に拡散する船舶用LED照明装置において、
前記本体の取付ベースに第1空間を隔てて配置され、半導体部品が実装された電源基板と、
前記電源基板に第2空間を隔てて配置され、前記LED部品が実装されたLED基板とを備え、
前記電源基板と前記LED基板の各外周縁と前記グローブの内面との間に、隙間が形成され、
前記第1空間に配置され、一端が前記本体の前記取付ベースに取り付けられ、他端が前記電源基板に実装された前記半導体部品に接触している放熱連結部材が設けられていることを特徴とする。
この手段では、電源基板の半導体部品で発生する熱は、放熱連結部材に熱伝導し、放熱連結部材の表面を介して第1空間に放熱するとともに、放熱連結部材を通って本体の取付ベースに熱伝導し、本体の外面を介して外部に放熱される。また、LED基板のLED部品で発生する熱は、グローブの内部空間と第2空間に放熱される。
【0007】
前記本体の前記取付ベースに、前記第1空間に面する放熱基板が設けられ、前記放熱基板は前記放熱連結部材と接触していることが好ましい。
この手段では、電源基板の半導体部品で発生する熱は、放熱連結部材を通って放熱基板に熱伝導し、放熱基板の全面から第1空間に放熱する。
【0008】
前記LED基板に、前記第2空間に面する放熱板が設けられていることが好ましい。
この手段では、LED基板のLED部品で発生する熱は、放熱板の全面から第2空間に放熱される。
【0009】
前記取付ベースと前記電源基板の間に、前記第1空間の間隔を規制する第1スペーサが設けられ、
前記電源基板と前記LED基板の間に、前記第2空間の間隔を規制する第2スペーサが設けられていることが好ましい。
この手段では、第1スペーサにより第1空間の大きさが規定され、第2スペーサにより第2空間の大きさが規定される。また、電源基板の半導体部品で発生する熱は、第1スペーサを介して取付基板に熱伝導し、LED基板のLED部品で発生する熱は第2スペーサを介して電源基板に熱伝導し、電源基板から第1スペーサを介して取付基板に熱伝導する。
【0010】
前記放熱連結部材と前記半導体部品は、放熱シートを介して接触していることが好ましい。電源基板の中で熱からの劣化を受けやすい部品放熱性の確保、電源基板から取付基板への熱伝導を促す。
この手段によれば、放熱シートは絶縁性の確保も兼ねており放熱連結部材と半導体部品との間の電気的絶縁を確保することができる。
【0011】
前記半導体部品に接続される電源ケーブルの裸線部、前記電源基板の実装面、及び前記LED基板の実装面がコーティングされていることが好ましい。
この手段によれば、半導体部品に接続される電源ケーブルの内部を通してグローブの内部に侵入する湿気に対して耐水性が向上する。
【0012】
前記グローブは、前記本体に着脱可能に設けられていることが好ましい。
この手段によれば、グローブが本体に着脱可能であるので、グローブ内で結露が生じた場合は、グローブを取り外して内部の水分を除去してから本体に取り付けることで、照明装置を長期に使用することができる。
【0013】
前記本体の前記取付ベースを貫通する電源ケーブルのアース線が前記放熱基板に接続されていることが好ましい。
この手段によれば、雑音電圧が低くなり、船舶用電機器具として、十分に電磁環境適合性を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、外気に接触する部品に金属製のものを用いずに、LED基板及び電源基板から発生する熱を十分に放熱することができ、これらの部品の動作が安定し、耐久性が向上するという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る船舶用LED照明装置の分解斜視図。
【
図3】放熱基板、電源基板、放熱連結部材、放熱シートの斜め下方から見た分解斜視図。
【
図4】グローブ、LED基板を取り外した状態の本体の斜め上方から見た斜視図。
【
図5】電源ケーブルと電源基板の接続部を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る船舶用LED照明装置(以下、単に照明装置ということがある。)1を示す。照明装置1は、本体2と、グローブ3と、電源基板4と、LED基板5と、放熱連結部材6とを備えている。
【0018】
本体2は、ガラス繊維入りのポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等の合成樹脂からなり、円形の取付ベース7と、第1円筒部8と、第2円筒部9とからなっている。
【0019】
取付ベース7は、
図2に示すように、外周にパッキン10が装着される環状の溝11が形成されている。取付ベース7には、アルマイト材からなる円形の放熱基板12が設置されている。取付ベース7には、3芯のキャブタイヤケーブルからなる電源ケーブルAを第2円筒部9側から取付ベース7と放熱基板12を貫通して第1円筒部8側に導くためのゴムブッシング13が取り付けられている。取付ベース7の裏面すなわち第2円筒部9側の面には、ゴムブッシング13を囲むように、円筒状のコーミング7aが設けられている。コーミング7a内には、シリコン樹脂7bが充填されている。このシリコン樹脂7bは、電源ケーブルAのシースA
sとその端面から露出する3芯のコードA
1,A
2,A
3を覆っている。シリコン樹脂7bとゴムブッシング13により、電源ケーブルAの第1円筒部8側と第2円筒部9側は封止されている。放熱基板12には、第2円筒部9側から取付ベース7と放熱基板12に貫通挿入された取付ねじ14により、3個の六角支柱からなる第1スペーサ15が取り付けられている。また、放熱基板12には、第2円筒部9側から取付ベース7と放熱基板12を貫通挿入された取付ねじ16により、後述する放熱連結部材6が取り付けられている。取付けねじ14と取付ねじ16のねじ部には、防水コートを塗布することが好ましい。
【0020】
第1円筒部8は、内面に雌ねじ17が形成されている。第1円筒部8には、後述するグローブ3が取り付けられるようになっている。
【0021】
第2円筒部9は、第1円筒部8より外径が小さく、外面に雄ねじ18が形成されている。第2円筒部9は、図示しない取付台に取り付けられようになっている。
【0022】
グローブ3は、乳白色で、光を透過するポリカーボネート等の材料で形成されている。グローブ3は、円筒形であり、一端に開口部19、他端に球形ヘッド20を有している。開口部19は、本体の第1円筒部8に挿入される大きさで、外面に本体2の第1円筒部8の雌ねじ17に螺合する雄ねじ21が形成されている。開口部19の開口端は、グローブ3が本体2に取り付けられた時に、本体2のパッキン10を押し付けることで、グローブ3の内部は外部に対して封止されている。
【0023】
電源基板4は、本体2の第1円筒部8に収容可能な円形で、取付ベース7の放熱基板12と対向する面(図において下面)にトランジスタ等の半導体部品22を含む図示しない電源回路が実装されている。
図1中、符号23は、ゴムブッシング13を通して内部に配線された電源ケーブルAの2つの電源コードA
1,A
2とアース線A
3が接続される入力端子である。また、符号24は、LED基板5への出力端子である。電源基板4は、実装面すなわち半導体部品22を本体2の放熱基板12に向けて、第1スペーサ15の上に設置されることにより、本体2の取付ベース7に第1空間S1を隔てて配置されている。第1スペーサ15は、第1空間S1の間隔を所定間隔に規制している。電源基板4の外周縁には、半導体部品22を含む電源回路とグローブ3との間の沿面距離をとるための絶縁壁25が取付ベース7に向かって突出して設けられている。絶縁壁25は、後述する放熱連結部材6と干渉する部分は切り欠かれている。電源基板4の実装面と反対側、すなわち、グローブ3の球形ヘッド20側には、第1スペーサ15と同じ位置に3個の第2スペーサ26が配置される凹部4aが形成されている。
【0024】
第2スペーサ26は、六角支柱からなり、一端に雄ねじが形成され、他端にねじ孔が形成されている。第2スペーサ26は、雄ねじを電源基板4の凹部4aに貫通挿入して第1スペーサ15のねじ孔にねじ込むことにより、電源基板4を第1スペーサ15上に固定されている。
【0025】
LED基板5は、本体2の第1円筒部8に収容可能な円形で、グローブ3の球形ヘッド20と対向する側の面にLED部品27を含む図示しないLED駆動回路が実装されている。
図1中、符号28は、電源基板4の出力端子24に図示しないワイヤを介して接読される入力端子である。LED基板
5の実装面と反対側には、LED基板5と同径のアルマイト材からなる円形の放熱板29が重ねて配置されている。放熱板29には、電源基板4の出力端子24とLED基板5の入力端子28を接続する図示しないワイヤを通すための切欠き30が設けられている。LED基板5は、実装面すなわちLED部品27をグローブ3の球形ヘッド20側に向けて、放熱板29とともに第2スペーサの上に設置されることにより、本体2の取付ベース7に第2空間S2を隔てて配置されている。第2スペーサ26は、第2空間S2の間隔を所定間隔に規制している。第2スペーサ26は、第1スペーサ15より短く形成され、第2空間S2は第1空間S1より小さくなっている。
【0026】
LED基板5は、グローブ3の球形ヘッド20側からLED基板5及び放熱板29に貫通挿入された取付ねじ31を第2スペーサ26にねじ込むことにより、第2スペーサ26上に固定されている。
【0027】
放熱連結部材6は、アルマイト材からなり、
図3に示すように、平坦な接触部32と、接触部32の両側縁から90度屈曲して放熱基板12に直角に延びる両脚部33と、両脚部33から90度屈曲して放熱基板12に平行に延びる足部34とを有している。接触部32と両脚部33とで逆U字形を形成している。放熱連結部材6は、足部34が放熱基板12に載置され、接触部32が放熱シート35を介して電源基板4の半導体部品22に接触するように配置されて、第2円筒部9側から取付ベース7と放熱基板12に貫通挿入された取付ねじ16を足部34にねじ込むことにより、放熱基板12上に固定されている。放熱シート35は、絶縁性、熱伝導性及び難燃性を有するシリコンゴムであることが好ましい。脚部34は、
図4に示すように、放熱基板12との接触面積が大きくなるように、周囲の部材と干渉しない程度にできるだけ大きく形成されている。
【0028】
図5に示すように、電源基板4の入力端子23に接続される電源ケーブルAの裸線部、電源基板4の実装面、及びLED基板5の実装面は、防水性のコーティング剤36でコーティングされている。
【0029】
また、
図5に示すように、電源ケーブルAのアース線A
3は、電源基板4の入力端子23に接続され、さらに
図4に示すように、入力端子23からアース線A
4が第1スペーサ15と放熱基板12との間に接続されている。これにより、電源ケーブルAのアース線A
3は、放熱基板12と電気的に接続されている。
【0030】
図6に示すように、取付ベース7の裏面すなわち第2円筒部9側でコーミング7aのシリコン樹脂7bから出た電源コードAは、第2円筒部9の中心から偏心した位置にあるため、インシュロックタイ37で第2円筒部9の中心に集められ、図示しない取付部に配線される。
【0031】
本実施形態の船舶用LED照明装置1のような舶用電機器具には、IEC規格で規定されている防塵性(IP5X:粉塵からの保護)や、防水性(IPX6:全方向の噴流水によっても有害な影響を受けない)のほか、JIS F 0808:2009で規定されている電磁環境適合性(EMC)が要求される。本発明の実施形態において、防塵性はIP5X、防水性はIPX6に適合していることを確認した。伝導性エミッション試験では、疑似電源回路網が供試品(本実施形態の船舶用LED照明装置1)の電源と電源ポートの間に接続され、電源ポートとアース間の雑音電圧が測定される。
図7は、本実施形態の船舶用LED照明装置1における伝導性エミッション試験結果を示す。
図7において縦軸はノイズレベル、横軸は周波数を示している。
図7(a)は放熱基板12にアース接続しなかった場合、
図7(b)は放熱基板12にアース接続した場合を示す。この試験結果から明らかなように、放熱基板12にアース接続しなかった場合(
図7(a))は0.1MHz以上の高周波領域において測定値が判定基準を超えているのに対し、本実施形態の船舶用LED照明装置1は、電源基板4がアース線A
3、A
4、を介して放熱基板12に接続されているので、雑音電圧の測定値が判定基準を下回り(
図7(b))、十分に電磁環境適合性を有することが確認された。これは、放熱基板12にアース接続することで、電源基板4の例えばスイッチング素子から発生する放射性ノイズが放熱基板12に吸収された結果、ノイズレベルが低減されたことによる。
【0032】
次に、以上の構成からなる船舶用LED照明装置1の作用について説明する。
【0033】
LED基板5のLED部品27は、電源基板4から供給され制御される電力により、発光又は非発光状態となり、必要に応じて点滅や、明るさ又は色を調光することができる。LED部品27が発行する光はグローブ3を透過して外部を照明する。
【0034】
電源基板4の半導体部品22で発生する熱は、放熱シート35を経て放熱連結部材6に熱伝導し、放熱連結部材6の表面から第1空間S1に放熱するとともに、放熱連結部材6を通って本体2の取付ベース7に熱伝導し、本体2の外面から外部に放熱する。また、LED基板5のLED部品27で発生する熱は、グローブ3の内部空間Sと第2空間S2に放熱される。
【0035】
本体2の取付ベース7に放熱基板12が設けられ、放熱基板12は放熱連結部材6と接触しているので、電源基板4の半導体部品22で発生する熱は、放熱連結部材6を通って放熱基板12に熱伝導し、放熱基板12の全面から第1空間S1に放熱するとともに、本体2の取付ベース7に熱伝導し、本体2の外面から外部に放熱する。
【0036】
また、LED基板5に第2空間S2に面する放熱板29が設けられているので、LED基板5のLED部品27で発生する熱は、放熱板29に熱伝導し、放熱板29の全面から第2空間S2に放熱される。
【0037】
取付ベース7と電源基板4の間に第1スペーサ15が設けられ、電源基板4とLED基板5の間に第2スペーサ26が設けられているので、電源基板4の半導体部品22で発生する熱は、第1スペーサ15を介して取付ベース7に熱伝導し、LED基板5のLED部品27で発生する熱は第2スペーサ26を介して電源基板4に熱伝導し、電源基板4から第1スペーサ15を介して取付ベース7に熱伝導し、本体2の外面から外部に放熱する。
【0038】
このように、半導体部品22の熱は放熱連結部材6と放熱基板12の表面から第1空間S1に放熱され、またLED部品27の熱は放熱板29の表面から第2空間S2に放熱されるので、伝熱面積が大きく、放熱が十分に行われ、これらの部品の動作が安定し、耐久性が向上する。
【0039】
放熱連結部材6と半導体部品22は放熱シート35を介して接触しているので、放熱連結部材6と半導体部品22との間の電気的絶縁を確保することができる。
【0040】
電源基板4の入力端子23に接続される電源ケーブルAの裸線部、電源基板4の実装面、及びLED基板5の実装面は、防水性のコーティング剤でコーティングされているので、半導体部品22に接続される電源ケーブルAの内部を通してグローブ3の内部に侵入する湿気に対して耐水性が向上する。
【0041】
グローブ3は、本体2とねじで取り付けられて着脱可能であるので、グローブ3内で結露が生じた場合は、グローブ3を取り外して内部の水分を除去してから本体2に取り付けることで、照明装置1を長期に使用することができる。
【0042】
本発明は前記実施形態に限るものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、修正や変更を行うことができる。
【0043】
例えば、放熱連結部材6は、接触部32と両脚部33で逆U字形に形成しているが、T字形や逆L字形でもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…船舶用LED照明装置
2…本体
3…グローブ
4…電源基板
5…LED基板
6…放熱連結部材
7…取付ベース
12…放熱基板
15…第1スペーサ
22…半導体部品
26…第2スペーサ
27…LED部品
29…放熱板
35…放熱シート
A…電源ケーブル
A3…アース線
A4…アース線
S…内部空間
S1…第1空間
S2…第2空間
【要約】
【課題】外気に接触する部品に金属製のものを用いずに、LED基板及び電源基板から発生する熱を十分に放熱することができる船舶用LED照明装置を提供する。
【解決手段】本体2とグローブ3とで囲まれた内部空間Sに配置されたLED部品27から発光する光をグローブ3を透過させて外部に拡散する。本体2の取付ベース7に第1空間S1を隔てて配置され、半導体部品22が実装された電源基板4と、電源基板4に第2空間S2を隔てて配置され、LED部品27が実装されたLED基板5とを備える。第1空間S1に配置され、一端が本体2の取付ベース7に取り付けられ、他端が電源基板4に実装された半導体部品22に接触している放熱連結部材6が設けられている。本体2の取付ベース7に、第1空間S1に面する放熱基板12が設けられている。LED基板5に、第2空間S2に面する放熱板29が設けられている。
【選択図】
図2