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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】パーソナルモビリティ
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20221031BHJP
   A61G 5/04 20130101ALI20221031BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
G05D1/02 H
A61G5/04 707
B60L15/20 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018112524
(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2019215699
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】増子 薫
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩道
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-004102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0129217(US,A1)
【文献】国際公開第2018/074069(WO,A1)
【文献】特開2011-054082(JP,A)
【文献】山口 祐樹,人追従を利用した移動ロボットのナビゲーション,精密工学会学術講演会講演論文集,2012年,日本,公益社団法人精密工学会,2012年03月01日,p.647-648
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定されたルートに従って走行する自動運転を行うパーソナルモビリティであって、
少なくとも前記パーソナルモビリティの前方の歩行者の位置と移動方向とを検出する歩行者検出手段と、
前記パーソナルモビリティの前方の混雑を検出する混雑検出手段と、
前記混雑検出手段が、前記混雑を検出したときに、前記歩行者検出手段が位置と移動方向とを検出している歩行者のうちから、検出された移動方向が前記ルートが進む方向と整合している歩行者を選定して先導者に設定する先導者設定手段と、
前記パーソナルモビリティを、前記先導者設定手段が設定した先導者に後続して走行させる後続走行制御手段とを有し、
前記先導者設定手段は、
前記歩行者検出手段が検出した、前記先導者として設定している歩行者の移動方向が前記ルートが進む方向から所定レベル以上逸脱するまでは、前記先導者を変更せず、
前記歩行者検出手段が検出した、前記先導者として設定している歩行者の移動方向が前記ルートが進む方向から前記所定レベル以上逸脱したならば、前記歩行者検出手段が検出している人間のうちから、検出された移動方向が前記ルートが進む方向と整合している歩行者を選定して新たな先導者に設定し、
前記後続走行制御手段は、
前記先導者設定手段によって新たな先導者が設定されたならば、前記パーソナルモビリティを、当該新たな先導者に後続して走行させることを特徴とするパーソナルモビリティ。
【請求項2】
請求項1記載のパーソナルモビリティであって、
前記後続走行制御手段は、前記パーソナルモビリティを、前記先導者に所定の距離以内の間隔で後続するように走行させることを特徴とするパーソナルモビリティ。
【請求項3】
請求項1または2記載のパーソナルモビリティであって、
前記歩行者検出手段は、前記パーソナルモビリティの前方の人間の位置と移動方向とを検出し、
前記混雑検出手段は、前記歩行者検出手段が検出した人間の位置に基づいて、前記パーソナルモビリティの前方の人間による混雑を検出することを特徴とするパーソナルモビリティ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式車椅子などのパーソナルモビリティの自動運転を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナルモビリティの自動運転を行う技術としては、設定したルートに従って目的地まで障害物を回避しながら走行するように、パーソナルモビリティの走行を制御する技術が知られている(たとえば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/091611号
【文献】国際公開第2012/039280号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動式車椅子などの歩行者と同じ空間を走行するパーソナルモビリティにおいて、設定したルートに従って目的地まで走行する自動運転を行う場合、駅構内や商店街やスクランブル交差点や歩行者天国などの人々が様々な方向に行き交う混雑した空間にパーソナルモビリティが入り込むと、多数の動く障害物に囲まれた状態となり、障害物を回避しつつルートの進む方向に進行することが困難となる。
【0005】
そこで、本発明は、歩行者等で混雑した空間においても、設定されたルートに従って進行できるパーソナルモビリティを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、設定されたルートに従って走行する自動運転を行うパーソナルモビリティに、少なくとも前記パーソナルモビリティの前方の歩行者の位置と移動方向とを検出する歩行者検出手段と、前記パーソナルモビリティの前方の混雑を検出する混雑検出手段と、前記混雑検出手段が、前記混雑を検出したときに、前記歩行者検出手段が位置と移動方向とを検出している歩行者のうちから、検出された移動方向が前記ルートが進む方向と整合している歩行者を選定して先導者に設定する先導者設定手段と、前記パーソナルモビリティを、前記先導者設定手段が設定した先導者に後続して走行させる後続走行制御手段とを備えたものである。
【0007】
ここで、このようなパーソナルモビリティは、前記後続走行制御手段において、前記先導者に所定の距離以内の間隔で後続するように走行させるように構成してもよい。
【0008】
また、以上のようなパーソナルモビリティは、前記歩行者検出手段において、前記パーソナルモビリティの前方の人間の位置と移動方向とを検出し、前記混雑検出手段において、前記歩行者検出手段が検出した人間の位置に基づいて、前記パーソナルモビリティの前方の人間による混雑を検出するように構成してもよい。
【0009】
また、以上のパーソナルモビリティは、前記先導者設定手段において、前記歩行者検出手段が検出した、前記先導者として設定している歩行者の移動方向が前記ルートが進む方向から所定レベル以上逸脱したならば、前記歩行者検出手段が検出している人間のうちから、検出された移動方向が前記ルートが進む方向と整合している歩行者を選定して新たな先導者に設定し、前記後続走行制御手段において、前記先導者設定手段によって新たな先導者が設定されたならば、前記パーソナルモビリティを、当該新たな先導者に後続して走行させるように構成してもよい。
【0010】
また、以上のパーソナルモビリティは、前記先導者設定手段において、当該パーソナルモビリティが、設定している前記先導者に後続して走行できなくなったときに、前記歩行者検出手段が検出している人間のうちから、検出された移動方向が前記ルートが進む方向と整合している歩行者を選定して新たな先導者に設定し、前記後続走行制御手段において、前記先導者設定手段によって新たな先導者が設定されたならば、前記パーソナルモビリティを、当該新たな先導者に後続して走行させるように構成してもよい。
【0011】
このようなパーソナルモビリティによれば、前方が混雑しているときに、移動方向がルートが進む方向と整合している他の歩行者を自動的に先導者に設定し、混雑の中でも、設定した先導者に先導してもらいながら、ルートに従った進行を行うことができるようになる。
【0012】
また、前記課題達成のために、本発明は、設定されたルートに従って走行する自動運転を行うパーソナルモビリティに、少なくとも前記パーソナルモビリティの前方の歩行者の位置を検出する歩行者検出手段と、前記パーソナルモビリティの前方の混雑を検出する混雑検出手段と、前記混雑検出手段が前記混雑を検出したときに、前記歩行者検出手段が位置を検出している歩行者のうちからの特定の歩行者の選択を当該パーソナルモビリティの利用者から受け付け、選択を受け付けた歩行者を先導者に設定する先導者設定手段と、前記パーソナルモビリティを、前記先導者設定手段が設定した先導者に後続して走行させる後続走行制御手段とを備えたものである。
【0013】
このようなパーソナルモビリティによれば、前方が混雑しているときに、利用者が移動方向がルートが進む方向と整合している他の歩行者を選択して先導者に設定することにより、混雑の中でも、設定した先導者に先導してもらいながら、ルートに従った進行を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、歩行者等で混雑した空間においても、設定されたルートに従って進行できるパーソナルモビリティを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る電動式車椅子を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る電動式車椅子の走行システムの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る自動運転制御処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る自動運転制御処理の処理例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る他の自動運転の例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る先導者指定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、電動式車椅子への適用を例にとり説明する。
図1に本実施形態に係る電動式車椅子を示す。
図1aは電動式車椅子を側方から見たようすを、図1bは電動式車椅子の上方から見たようすを表している。
図示するように、本実施形態に係る電動式車椅子は、利用者が着座する椅子を備えた四輪の装置であり、人力によらずに走行するための走行システムを備えている。
そして、走行システムは、図2に示すように、自走システム1と自動運転制御装置2とを備えている。
自走システム1は、電動式車椅子をユーザの運転操作や自動運転制御装置2の制御に応じて走行させるシステムであり、バッテリや、バッテリを電源として用いて電動式車椅子の駆動輪を回転させるモータや、ユーザの運転操作を受け付けるレバーやスイッチや、ブレーキなどより構成される。
【0017】
また、自動運転制御装置2は、自走システム1を制御して電動式車椅子の自動運転を行う装置である。そして、自動運転制御装置2は、ディスプレイ101、ディスプレイ101の表示面上に配置されたタッチパネル102、ナビゲーションシステム103、電動式車椅子の現在位置や進行方位の衛星測位を行うGPS受信器などのGNNS受信器104、ビーコン受信器105、複数のレーダ106、複数のカメラ107、周辺状況監視部108、目標追尾処理部109、個人認識部110、走行制御部111を備えている
ここで、図1に示すように、ディスプレイ101とタッチパネル102は、電動式車椅子の利用者が視認、操作できる位置に配置されている。また、複数のレーダ106と複数のカメラ107は、各カメラ107によって電動式車椅子の全方位の周辺を撮影でき、各レーダ106によって自動車の全方位の周辺の物体を検出できるように配置されている。
【0018】
次に、ナビゲーションシステム103は、GNNS受信器104が測位している電動式車椅子の現在位置から、利用者等によって設定された目的地までの経路を探索し誘導ルートとして設定する。
【0019】
周辺状況監視部108は、各カメラ107が撮影した画像を解析して得られる電動式車椅子の周辺の物体の大きさや形状や位置や移動ベクトルや、各レーダ106で捉えた電動式車椅子の周辺の物体の大きさや形状や位置や移動ベクトルに基づいて、電動式車椅子の周辺の各物体の種別を識別すると共に、各物体の位置や移動ベクトルを算定する。ここで、物体の種別としては、人間、自転車、自動車、構造物、その他の物体などを識別する。
【0020】
また、目標追尾処理部109は、周辺状況監視部108が算定した電動式車椅子の周辺の物体のうちから、走行制御部111が選定して先導者として設定された物体の追尾を行う。すなわち、目標追尾処理部109は、周辺状況監視部108が先導者として設定した物体について算定した位置や移動ベクトルを、先導者の位置や位置や移動ベクトルとして継続的に識別する処理を行う。
【0021】
また、個人認識部110は、各カメラ107が撮影した画像と、予め設定された認識対象者の顔や身体的特徴とを照会し、認識対象者の位置を算定する。
また、ビーコン受信器105は、ビーコン受信器105とペアとなっているビーコン送信機から送信されるビーコンを受信し、ビーコン送信器の位置や方向を検出する。
そして、走行制御部111は、ナビゲーションシステム103が誘導ルートを設定したならば、電動式車椅子が目的地に到着するまで、以下に示す走行制御処理を行って、自走システム1を制御し電動式車椅子の自動運転を行う。
【0022】
図3に、この走行制御処理の手順を示す。
図示するように、走行制御部111は、走行制御処理において、電動式車椅子の前方が人間で混雑しているかどうかを、周辺状況監視部108が算定している人間の位置に基づいて判定する(ステップ302)。
【0023】
そして、周辺が人間で混雑していない場合には、誘導ルートに沿った走行を制御し(ステップ318)、ステップ302の処理に戻る。ここで、誘導ルートに沿った走行の制御は、前方に接近した障害物がない場合には、誘導ルートに沿った方向に所定速度で進むように自走システム1を制御し、前方に接近した障害物がある場合には、接近した障害物と接触しない速度までの減速や停車や障害物の迂回を行うように自走システム1を制御することにより行う。
【0024】
なお、前方に接近した障害物の有無は、周辺状況監視部108が算定した電動式車椅子の周辺の物体の位置や移動ベクトルに基づいて判定する。
一方、周辺が人間で混雑している場合には(ステップ302)、周辺状況監視部108が算定した電動式車椅子の前方の歩行者のうちに、おおよそ誘導ルートの進む方向に移動中の歩行者が存在するかどうかを調べる(ステップ304)。ここでは、たとえば、歩行者が進んでいる方位と、当該歩行者の最寄りの誘導ルート上の位置における誘導ルートの進む方位との方位差が10度以内であれば、当該歩行者をおおよそ誘導ルートの進む方向に移動中の歩行者と判定する。なお、周辺状況監視部108が算定した物体のうちの、種別が人間であり位置が電動式車椅子の前方であり移動ベクトルが示す速度が低速である物体が、電動式車椅子の前方の歩行者に該当する。
【0025】
そして、前方の歩行者のうちに、おおよそ誘導ルートの進む方向に移動中の歩行者が存在しない場合には、ステップ318に進んで誘導ルートに沿った走行を制御し、ステップ302の処理に戻る。
【0026】
一方、前方の歩行者のうちに、おおよそ誘導ルートの進む方向に移動中の歩行者が存在する場合には、存在した歩行者のうちの電動式車椅子に最も近い位置にいる一人を先導者に設定する(ステップ306)。
【0027】
そして、短い距離(たとえば、1m)間隔で先導者に後続して走行するように自走システム1を制御する後続走行制御を開始する(ステップ308)。なお、後続走行制御では、目標追尾処理部109が識別する先導者の位置や移動ベクトルに基づいて、所定の距離よりも短い距離間隔で先導者に後続して走行することとなる速度や進行方向を算定し、算定した進行方向に算定した速度で電動式車椅子を走行させるよう自走システム1を制御する。ただし、後続走行制御においても、前方に接近した障害物がある場合には、接近した障害物と接触しない速度までの減速や停車を行うように自走システム1を制御する。なお、所定の距離よりも短い距離間隔で先導者に後続するのは、電動式車椅子と先導者との間に他の者が入り込まないようにするためである。
【0028】
そして、先導者の進行方向の、誘導ルートの進む方向からの所定レベル以上の逸脱の発生(ステップ310)と、先導者に後続した走行の不可の発生(ステップ312)と、前方が人間で混雑していない状況の発生(ステップ316)とを監視する。
【0029】
なお、先導者に後続した走行の不可は、先導者の移動速度が電動車椅子が安全走行可能な最大速度より大きくなった場合や、先導者との距離が大きくなりすぎた場合や、先導者が階段などの電動車椅子が進行できない構造部分に進んだときや、先導者と電動車椅子との間に他の歩行者が割り込んだ場合等に発生する。
【0030】
そして、誘導ルートの進む方向からの所定レベル以上の逸脱(ステップ310)と、先導者に後続した走行の不可(ステップ312)とのいずれかが発生した場合には、後続走行制御を一旦終了し(ステップ320)、ステップ304からの処理に戻って、周辺状況監視部108が算定した電動式車椅子の前方の歩行者のうちに、おおよそ誘導ルートの進む方向に移動中の歩行者が存在するかどうかを調べ、存在する場合には、存在した歩行者のうちの電動式車椅子に最も近い位置にいる一人を先導者を設定し直した上で、後続走行制御を再開し(ステップ308)、存在しない場合には、ステップ318に進んで誘導ルートに沿った走行を制御し、ステップ302の処理に戻る。
【0031】
一方、前方が人間で混雑していない状況が発生した場合には(ステップ316)、後続走行制御を終了し(ステップ316)、ステップ302からの処理に戻る。
以上、走行制御部111が行う走行制御処理について説明した。
ここで、このような走行制御処理の処理例を図4に示す。
いま、図4aに示すように、電動式車椅子Sの誘導ルートRが設定されており、誘導ルートRに従って走行してきた電動式車椅子Sの前方が歩行者で混雑しているときには、電動式車椅子Sの前方の歩行者のうちから、おおよそ誘導ルートRが進む方向に移動している歩行者が先導者Tに設定される。
【0032】
そして、その後は、図4b、cに示すように、電動式車椅子Sが、短い距離間隔で先導者Tに後続して走行するように、電動式車椅子Sの自動運転が行われる。
この結果、電動式車椅子Sは、人混みの中でも、他の歩行者Tに先導してもらいながら、他の歩行者Tが開いた道を通って、誘導ルートRに従った進行を行うことができる。
なお、以上の実施形態では、歩行者を先導者として設定したが、走行制御処理においては、歩行者以外の任意の低速な移動体も先導者として設定するようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明した。
また、以上の実施形態は、自動運転制御装置2に以上のような走行制御処理を行うモードの他に、他の形態で自走システム1の制御を行うモードを設け、利用者が各モードを任意に切り替えられるようにしてもよい。
【0033】
すなわち、たとえば、同伴者追従モードを設け、同伴者追従モードでは、図5a、b、cに示したように、電動式車椅子Sが、同伴者Cに短い距離間隔で後続して進行するように自走システム1を制御するようにしてもよい。
【0034】
ここで、このような電動式車椅子Sを同伴者Cに短い距離間隔で後続して進行させる自走システム1の制御は、同伴者Cにビーコン送信機を携帯してもらい、ビーコン受信器105が検出したビーコン送信機の位置や方向から同伴者の位置を算定し、算定した位置に基づいて、同伴者Cに短い距離間隔で後続して進行するように自走システム1を制御することにより行うことができる。
【0035】
または、このような電動式車椅子Sを同伴者Cに短い距離間隔で後続して進行させる自走システム1の制御は、個人認識部110に、認識対象者として同伴者Cを設定し、個人認識部110によって認識された同伴者Cの位置に基づいて、同伴者Cを先導者に設定して、上述した走行制御処理と同様の処理によって、先導者に短い距離間隔で後続して進行するように自走システム1を制御することにより行うこともできる。
【0036】
ここで、このような同伴者追従モードを設ける場合には、走行制御部111において、同伴者Cまたは電動式車椅子Sが誘導ルートRから所定レベル以上逸脱したならば、当該逸脱の旨の知らせるメッセージを音声や表示により出力するようにしてもよい。
【0037】
また、たとえば、自動運転制御装置2に、先導者指定モードを設け、先導者指定モードでは、少なくとも電動式車椅子の前方が人間で混雑しているときに、電動式車椅子の利用者から前方の歩行者の指定を受け付け、指定を受け付けた歩行者を先導者に設定し、上述した走行制御処理と同様の処理によって、設定した先導者に短い距離間隔で後続して進行するように自走システム1を制御するようにしてもよい。
【0038】
ここで、このような先導者指定モードを設ける場合において、電動式車椅子の利用者からの先導者とする歩行者の指定は、たとえば、図6aに示すように、カメラ107が撮影した電動式車椅子の前方のようすを表す画像をディスプレイ101に表示すると共に、表示画像中の歩行者の指定をタッチパネル102を用いて利用者から受け付け、指定を受け付けた歩行者を先導者として設定するようにしてもよい。なお、この場合には、先導者が設定されているときには、たとえば、図6bに示すように先導者に設定されている歩行者にマークMを付して表示するなどして、ディスプレイ101に表示されている画像から、利用者が先導者として設定されている歩行者を識別できるようにしてもよい。
【0039】
このような先導者指定モードによれば、前方が混雑しているときに、利用者が移動方向がルートが進む方向と整合している歩行者を選択して先導者に設定することにより、混雑の中で設定した先導者に先導してもらいながら、ルートに従った進行を行うことができるようになる。
なお、以上の実施形態は、電動式車椅子以外の任意のパーソナルモビリティに同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…自走システム、2…自動運転制御装置、101…ディスプレイ、102…タッチパネル、103…ナビゲーションシステム、104…GNNS受信器、105…ビーコン受信器、106…レーダ、107…カメラ、108…周辺状況監視部、109…目標追尾処理部、110…個人認識部、111…走行制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6