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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】監視システム及び監視方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20221031BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20221031BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20221031BHJP
   B61B 1/02 20060101ALI20221031BHJP
   B61D 19/02 20060101ALI20221031BHJP
   B61D 37/00 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B61L25/02 Z
G08B25/00 510M
B61B1/02
B61D19/02 Q
B61D37/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017221536
(22)【出願日】2017-11-17
(65)【公開番号】P2019092136
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】直井 寛典
(72)【発明者】
【氏名】小西 健太
(72)【発明者】
【氏名】我妻 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山下 大輔
(72)【発明者】
【氏名】坂本 幹太
(72)【発明者】
【氏名】松川 朋樹
【審査官】吉田 千裕
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2009-0076424(KR,A)
【文献】特開2003-300462(JP,A)
【文献】特開2002-281488(JP,A)
【文献】特開2006-311025(JP,A)
【文献】特開2012-129907(JP,A)
【文献】国際公開第2015/145736(WO,A1)
【文献】特開2011ー119912(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010ー0013481(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015ー0075508(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/222-5/257
B61L 25/02
G08B 25/00
B61B 1/02
B61D 19/02
B61D 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車に設置され、当該列車が有する複数のドアを車外から撮影する複数のドアカメラと、前記複数のドアを車内から撮影する複数の車内カメラと、前記ドアカメラによって撮影されドアカメラ映像を少なくとも表示するモニタとを備えた監視システムにおいて、
開閉する側の各ドアを撮影した複数のドアカメラ映像を前記モニタのディスプレイ領域を分割した複数のエリアにそれぞれ割り当てて表示させる表示制御部と、を更に備え、
前記表示制御部は、各ドアの開閉を制御するドア制御部から送信された、ドアの閉扉の失敗を示す信号に基づいて、前記ドアに異常が発生したと判断された場合に、異常が発生したと判断したドアのドアカメラ映像を拡大表示させる共に、当該異常に係るドアに対する前記車内カメラによって撮影された車内カメラ映像を前記モニタに更に表示させることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
請求項に記載の監視システムにおいて、
前記表示制御部は、前記異常に係るドアのドアカメラ映像の拡大表示と、前記異常に係るドアの車内カメラ映像の表示とを、別々のモニタを使用して行うことを特徴とする監視システム。
【請求項3】
請求項に記載の監視システムにおいて、
前記表示制御部は、前記異常に係るドアのドアカメラ映像の拡大表示と、前記異常に係るドアの車内カメラ映像の表示とを、同一のモニタを使用して行うことを特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項に記載の監視システムにおいて、
前記表示制御部は、前記ディスプレイ領域を分割した複数のエリアのうち、前記異常に係るドアのドアカメラ映像の表示に用いるエリアを除く2つ以上のエリアを用いて前記拡大表示を行うと共に、他の2つ以上のエリアを用いて前記車内カメラ映像の表示を行うことを特徴とする監視システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の監視システムにおいて、
前記ドア制御部は、ドアの閉扉に失敗したことに応じて、ドアの閉扉の失敗を示す信号を出力すると共に閉扉をリトライし、閉扉の失敗回数が所定値以上となった場合に、前記信号を連続的に送信し、
前記表示制御部は、前記信号の連続的な受信が所定時間継続した場合に、その送信元のドア制御部に対応するドアに閉扉の異常が発生したと判断することを特徴とする監視システム。
【請求項6】
列車に設置され、当該列車が有する複数のドアを車外から撮影する複数のドアカメラと、前記複数のドアを車内から撮影する複数の車内カメラと、前記ドアカメラによって撮影されたドアカメラ映像を少なくとも表示するモニタとを備えた監視システムによる監視方法において、
開閉する側の各ドアを撮影した複数のドアカメラ映像を前記モニタのディスプレイ領域を分割した複数のエリアにそれぞれ割り当てて表示し、
各ドアの開閉を制御するドア制御部から送信された、ドアの閉扉の失敗を示す信号に基づいて、前記ドアに異常が発生したと判断された場合に、異常が発生したと判断したドアのドアカメラ映像を拡大表示する共に、当該異常に係るドアに対する前記車内カメラによって撮影された車内カメラ映像を前記モニタに更に表示することを特徴とする監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転士や乗務員が列車のドア周辺の乗客の動きを効率よく確認できるよう支援する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車システムでは、運転士又は乗務員(以下では、単に「乗務員」と称する)が、プラットフォームを移動する乗客を映像で確認して乗客の安全をチェックし、ドアの開閉制御を行う。乗客の映像は、車両本体かプラットフォームに設置したカメラによって撮像される。例えば日本では、プラットフォームに設置したカメラを用いて、プラットフォームのモニタか列車の運転室のモニタに映像を表示するシステムが一般的である。一方、例えばイギリスでは、車両本体の側面に設置されたカメラを用いて、運転室のモニタに映像を表示するシステムが一般的である。これらの違いは、列車運行とインフラを互いに同じ事業者が管理しているか異なる事業者が管理しているかの違いに起因している。
以下では、車両本体にカメラを設置した車載カメラ型の監視システムについて言及する。例えば、特許文献1には、車両の各ドアにカメラを隣接させて配置した監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/145736号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、モニタの表示領域を複数のエリアに分割し、複数のカメラにより撮影された複数のカメラ映像を各エリアに表示している。ここで、列車のドアを閉扉する際に、何らかの障害物によってドアの閉扉が阻害された場合、乗務員は、そのドアを映したカメラ映像を確認して乗客の安全を確認する必要がある。しかしながら、上記のような分割表示では、1台のモニタに多数のカメラ映像が表示されるため、閉扉できないドアを乗務員がモニタを見ながら特定して安全性を確認する作業を短時間に行うことは容易ではない。
【0005】
また、近年では、監視のためのカメラの数が増加する傾向にあるため、乗務員が両方のモニタを確認する際の負担が増大している。そして、カメラの数が増加すると、乗務員が乗客の安全をチェックするのに要する時間が長くなる。さらに、カメラの数の増加に伴って各カメラに割り当てられるモニタ上の領域が小さくなるため、例えばドアに障害物が挟まっている場合、その障害物の映像を確認しづらくなる。モニタのサイズを大きくできればよいが、運転室のスペースは限られているので実現は困難である。
【0006】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑みて為されたものであり、閉扉に異常が検出されたドアの様子を映像で確認する作業の負担を軽減できる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る監視システム及び監視方法は、以下のように構成される。
(1) 列車に設置され、当該列車が有する複数のドアを撮影する複数のカメラと、前記カメラによって撮影されたドアカメラ映像を表示するモニタとを備えた監視システムにおいて、開閉する側の各ドアを撮影した複数のドアカメラ映像を前記モニタのディスプレイ領域を分割した複数のエリアにそれぞれ割り当てて表示させる表示制御部を備え、前記表示制御部は、いずれかのドアで閉扉の異常が検出されたことに応じて、前記異常に係るドアのドアカメラ映像を拡大表示させることを特徴とする。
【0008】
(2) 上記(1)に記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記ディスプレイ領域の全体を用いて前記拡大表示を行うことを特徴とする。
【0009】
(3) 上記(1)に記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記ディスプレイ領域を分割した複数のエリアのうち、前記異常に係るドアのドアカメラ映像の表示に用いるエリアを除く2つ以上のエリアを用いて前記拡大表示を行うことを特徴とする。
【0010】
(4) 上記(1)に記載の監視システムにおいて、前記複数のドアをそれぞれ車内から撮影する複数の車内カメラを更に備え、前記表示制御部は、前記異常に係るドアのドアカメラ映像の拡大表示と共に、前記異常に係るドアの車内カメラ映像を表示させることを特徴とする。
【0011】
(5) 上記(4)に記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記異常に係るドアのドアカメラ映像の拡大表示と、前記異常に係るドアの車内カメラ映像の表示とを、別々のモニタを使用して行うことを特徴とする。
【0012】
(6) 上記(4)に記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記異常に係るドアのドアカメラ映像の拡大表示と、前記異常に係るドアの車内カメラ映像の表示とを、同一のモニタを使用して行うことを特徴とする。
【0013】
(7) 上記(6)に記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記ディスプレイ領域を分割した複数のエリアのうち、前記異常に係るドアのドアカメラ映像の表示に用いるエリアを除く2つ以上のエリアを用いて前記拡大表示を行うと共に、他の2つ以上のエリアを用いて前記車内カメラ映像の表示を行うことを特徴とする。
【0014】
(8) 上記(1)~(7)のいずれかに記載の監視システムにおいて、前記列車には、ドアの開閉を制御するドア制御部がドア毎に設けられており、前記ドア制御部は、ドアの閉扉に失敗したことに応じて、ドアの閉扉の失敗を示す信号を出力すると共に閉扉をリトライし、閉扉の失敗回数が所定値以上となった場合に、前記信号を連続的に送信し、前記表示制御部は、前記信号の連続的な受信が所定時間継続した場合に、その送信元のドア制御部に対応するドアに閉扉の異常が発生したと判断することを特徴とする。
【0015】
(9) 列車に設置され、当該列車が有する複数のドアを撮影する複数のカメラと、前記カメラによって撮影されたドアカメラ映像を表示するモニタとを備えた監視システムによる監視方法において、開閉する側の各ドアを撮影した複数のドアカメラ映像を前記モニタのディスプレイ領域を分割した複数のエリアにそれぞれ割り当てて表示し、いずれかのドアで閉扉の異常が検出されたことに応じて、前記異常に係るドアのドアカメラ映像を拡大表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、閉扉に異常が検出されたドアの様子を映像で確認する作業の負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施例に係る監視システムの構成例を示す図である。
図2図1の監視システムにおけるカメラ配置の例を示す図である。
図3図1の監視システムにおける分割表示の例を示す図である。
図4図1の監視システムにおけるTMSモニタの表示例を示す図である。
図5図1の監視システムにおいてドアの閉扉に異常が発生した際のシーケンスの例を示す図である。
図6図1の監視システムにおいてドアの閉扉に異常が発生した際の処理フローの例を示す図である。
図7図1の監視システムによる拡大表示の例を示す図である。
図8図1の監視システムによる拡大表示の別の例を示す図である。
図9図1の監視システムにおけるCCTVモニタのディスプレイ領域の分割の例を示す図である。
図10】本発明の第2実施例に係る監視システムの構成例を示す図である。
図11図10の監視システムにおけるカメラ配置の例を示す図である。
図12図10の監視システムによる拡大表示及び車内表示の例を示す図である。
図13図10の監視システムによる拡大表示及び車内表示の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る監視システムについて、図面を参照して説明する。
本発明は、例えば図1図2に示すように、列車に搭載され、当該列車が有する複数のドア(121~124)を撮影する複数のカメラ(141~144)と、カメラによって撮影されたドアカメラ映像を表示するモニタ(146)とを備えた監視システムにおいて、開閉する側の各ドアを撮影した複数のドアカメラ映像をモニタのディスプレイ領域を分割した複数のエリアにそれぞれ割り当てて表示させる表示制御部(145)を備え、表示制御部は、いずれかのドアで閉扉の異常が検出されたことに応じて、異常に係るドアのドアカメラ映像を拡大表示させるよう制御するものである。
以下、実施例を用いて、本発明の一実施形態に係る監視システムについて具体的に説明する。
【0019】
(第1実施例)
図1は、第1実施例に係る監視システムの構成例を示す図である。また、図2は、図1の監視システムにおけるカメラ配置の例を示す図である。
第1実施例に係る監視システムは、車両101~106の6両で編成された列車に適用されている。本例の列車は、例えば、1両目~3両目の車両と4両目~6両目の車両を同じ構造にして、1両目~3両目の車両に対して4両目~6両目の車両を前後反転して連結して構成される。各車両は、一方の側面に2つのドア121,122を備えると共に、他方の側面に2つのドア123,124を備える。また、各車両には、ドア121~124のそれぞれに対応させて、ドアを制御するドア制御部(図中の“Door C.U.”)131~134と、ドア及びその周辺を車外から撮影するドアカメラ141~144を設置してある。なお、図1では、説明の便宜のために、車両の一方の側面にあるドア121,122(又は123,124)、ドア制御部131,132(又は133,134)、ドアカメラ141,142(又は143,144)のみを示してある。
【0020】
本例の監視システムは、CCTV(Closed-circuit Television)システムが列車管理システム(TMS:Train Monitoring System)と接続された構成となっている。CCTVシステムは、各車両のドア毎に設けられたドアカメラ141~144と、ドアカメラ141~144により撮影されたドアカメラ映像を表示するCCTVモニタ146と、CCTVモニタ146の表示を制御するCCTV制御部(図中の“CCTV C.U.”)145と、各車両に搭載されてドアカメラ映像を伝送するスイッチングハブ(図中の“HUB”)161とを有する。列車管理システムは、各車両のドア毎に設けられたドア制御部(図中の“Door C.U.”)131~134と、ドア状態を含む列車の動作状態を表示するTMSモニタ136と、TMSモニタ136の表示を制御するTMS制御部(図中の“TMS C.U.”)135とを有する。TMSモニタ136やCCTVモニタ146は、先頭又は末尾となる車両にある運転室に設置される。また、先頭又は末尾となる車両には、TMS制御部135やCCTV制御部145も設置される。
【0021】
各車両のドアカメラ141~144は、ドア、プラットフォーム、及び列車とプラットフォームの間のギャップを撮影できるように配置される。本例では、図2に示すように、各車両の両側それぞれにある前後2つのドアの間に、2台のドアカメラを互いに異なる方向に向けて配置してある。また、各ドアカメラを、ドアと車両の中央との間に、車両の中央側に向けて配置してある。すなわち、後方のドア側に向けて車体に取り付けた前方側のドアカメラで、それより後方の監視エリアを監視する。また、前方のドア側に向けて車体に取り付けた後方側のドアカメラで、それより前方の監視エリアを監視する。
【0022】
ドアカメラ141~144によって撮影されたドアカメラ映像は、CCTV制御部145による制御の下で、CCTVモニタ146に分割表示される。図3には、CCTVモニタ146における分割表示の例を示してある。CCTVモニタ146のディスプレイ領域は、列車の一方の側面に設けられたドアカメラにより撮影された複数のカメラ映像を同時に表示できるように、複数のエリアに分割してある。本例では、ディスプレイ領域を上下2分割、左右6分割することで、合計12のエリアを設けている。
【0023】
CCTV制御部145は、列車の一方の側面に設けられたドアカメラにより撮影された複数のドアカメラ映像を、乗務員が各ドアカメラ映像に対応する監視エリアを簡単に認識できるような順番で、ディスプレイ領域の各エリアに配置する。一例として、列車の進行方向の前方から後方に向かう順の各ドアのカメラ映像を、モニタの左上から右下に順に割り当てるロジックで、ディスプレイ領域の各エリアにドアカメラ映像を配置する。また、CCTV制御部145は、各エリアのドアカメラ映像に、その映像に映るドアの位置を示すドア位置情報を重畳する。図3では、車両番号を表す数字部(“1”~“6”)と、ドアの位置が車両の前方か後方かを表す文字部(“A”又は“B”)とを含むドア位置情報を、各ドアカメラ映像に重畳してある。例えば、「3-B」は、3両目の車両の後方側のドアを映したドアカメラ映像であることを示す。
【0024】
TMS制御部135は、ドア制御部131~134と通信して、ドアの状態を示す信号(例えば、障害物による閉扉の失敗を示すドア障害物検出信号)の受信や、ドアの開閉を指示するコマンド(例えば、閉扉を指示する閉扉コマンド)の送信を行う。ドア制御部131~134は、閉扉コマンドに応じてドアの閉扉を実行する際に、ドアを閉扉できなかった場合には、ドア識別情報を含むドア障害物検出信号をTMS制御部135に送信する。TMS制御部135は、ドア障害物検出信号に基づいて、図4に示すように、閉扉の異常が検出されたドアを認識可能な情報を、TMSモニタ136に表示させる。また、ドア制御部131~134から送信されるドア障害物検出信号は、TMS制御部135を通じてCCTV制御部145にも提供される。CCTV制御部145は、ドア障害物検出信号に基づいて、閉扉の異常が検出されたドアのドアカメラ映像をCCTVモニタ上で自動的に拡大して表示させる。
【0025】
なお、図4のTMSモニタ136の表示例では、列車の各車両のドアの配置が表示されると共に、各ドアが開状態と閉状態とで区別して表示される。同図では、5両目の前方側のドアが開状態となっている。乗務員は、TMSモニタ136の表示を見ることで、閉扉に失敗したドアを特定することができる。なお、従来、乗務員はTMSモニタ136の表示を見て閉扉の異常が検出されたドアを特定し、そのドアの映像をCCTVモニタ146から探し出して確認しなければならず、ドア数が多いと時間が掛かり、手間であった。しかし、上述のように本発明の一実施形態に係る監視システムでは、CCTV制御部145が、TMS制御部135と連携して、閉扉の異常が検出されたドアのドアカメラ映像を自動的に拡大表示するので、乗務員の手間を省きつつ、異常を確認するための時間を短縮できる。
【0026】
図5には、ドアの閉扉に異常が発生した際のシーケンスの例を示してある。また、図6には、ドアの閉扉に異常が発生した際の処理フローの例を示してある。
乗務員により閉扉コマンドが入力されると、TMS制御部135により各車両のドア制御部131~134に閉扉コマンドが伝達されて、全てのドアの閉扉が実施される(ステップS11,S12)。ドア制御部131~134は、ドアの状態を監視し、ドアの閉扉の成否を判定する(ステップS13)。ドアの閉扉に失敗したことを検出したドア制御部131~134は、ドア識別情報を含むドア障害物検出信号をTMS制御部135に出力し、ドアの閉扉をリトライしてその成否を判定することを繰り返す(ステップS14~S17)。なお、全てのドアの閉扉が成功した場合には、閉扉動作完了となる(ステップS18)。
【0027】
また、ドア制御部131~134は、ドアの閉扉を3回連続で失敗した場合には、ドアの閉扉をキャンセルして開扉し、ドア障害物検出信号のTMS制御部135への送信を連続的に送信する(ステップS19,S20)。CCTV制御部145は、TMS制御部135からのドア障害物検出信号の連続的な受信が所定時間(例えば、1秒)継続した場合に、ドア障害物検出信号に含まれるドア識別情報により識別されるドアに閉扉の異常が発生したと判断し、該当するドアのドアカメラ映像の拡大映像をCCTVモニタ146に表示させる(ステップS21)。本例では、1回のドア障害物検出信号の時間長は200ミリ秒となっており、5連続のドア障害物検出信号に相当する1秒を上記の所定時間として設定してある。なお、CCTV制御部145で2連続以上のドア障害検出信号を検出できればよいので、上記の所定時間としては、例えば0.4秒が設定されてもよく、運用上支障の無い時間長であればよい。
【0028】
なお、ドアカメラ映像の拡大表示は、乗務員の操作により終了し、再開させることができる。乗務員は、閉扉に異常が検出されたドアのドアカメラ映像の拡大映像を監視し、ドアの閉扉を妨げる障害物が無くなったことを確認すると、閉扉コマンドを再入力する。これにより、ドアの閉扉が行われ、上記の拡大表示も自動的に終了される。
ここで、上記の例では、CCTV制御部145が、各ドア制御部131~134からのドア障害物検出信号を、TMS制御部135を介して受信しているが、TMS制御部135を介さずに直接受信するように構成してもよい。あるいは、TMS制御部135が、各ドア制御部131~134からのドア障害物検出信号に基づいてドアの閉扉の異常について判定し、その判定結果をCCTV制御部145に提供するように構成してもよい。
【0029】
図7には、ドアの閉扉に異常が発生した際の拡大表示の例を示してある。同図では、CCTVモニタのディスプレイ領域の全体を用いて、異常に係るドアのドアカメラ映像の拡大表示を行っている。なお、左側の画面例は、ドアの閉扉に異常が検出される直前の表示例であり、右側の画面例は、ドアの閉扉に異常が検出された直後の表示例である。直前の表示例において、異常ドアを強調表示(ここでは太線表示)している。
このように、CCTVモニタのディスプレイ領域の全体を用いて拡大表示することで、乗務員はどのような原因でドアを閉扉できなかったのかを容易に確認できるようになる。なお、複数のCCTVモニタを用意しておき、そのうちの一方を拡大表示に用いるようにしてもよい。
【0030】
図8には、ドアの閉扉に異常が発生した際の拡大表示の別の例を示してある。同図では、CCTVモニタのディスプレイ領域を分割した複数のエリアのうち、閉扉に異常が検出されたドアのドアカメラ映像の表示に用いるエリアを除く6つのエリアを用いて、異常に係るドアのドアカメラ映像の拡大表示を行っている。また、異常に係るドアのドアカメラ映像には、ドアの閉扉に異常があることを認識可能な強調表示も付される。ドアの閉扉に異常があることを示す強調表示は、文字、記号、図形、色、枠線等、またはそれらの組み合わせであってもよく、例えば図8に示すように、他のドアカメラ映像の枠線よりも視覚的に強調された枠線(例えば、赤線、太線など)を付してもよく、視覚的に容易に確認できればよい。
このように、分割表示のレイアウトを使用しつつ拡大表示を行うことで、乗務員は閉扉できなかったドアがいずれであるかを容易に把握できると共に、どのような原因でドアを閉扉できなかったのかの確認も容易となる。なお、図8の例は、6つのエリアを用いて拡大表示しているが、2つ以上のエリアを用いて拡大表示を行うことができる。
【0031】
図8のような表示態様は、CCTVモニタのディスプレイ領域を分割したエリア毎に、そのエリアに表示されたドアカメラ映像の拡大表示に用いるエリアを予め設定しておくことで、容易に実現できる。例えば、図9に示すように、CCTVモニタのディスプレイ領域が12の小エリアA1~A12に分割されているとする。また、左側にある6つの小エリアA1~A3,A7~A9で中エリアB1が構成され、右側にある6つの小エリアA4~A6,A10~A12で中エリアB2が構成されるとする。このような分割形態の場合、小エリアと、該小エリアに表示されたドアカメラ映像の拡大表示に用いる中エリアとの対応を予め設定したテーブルを用意しておく。そして、CCTV制御部145が、このテーブルに基づいて、小エリアA1~A3、A7~A9のいずれかに対応するドアで開扉異常が起こると中エリアB2で拡大表示し、小エリアA4~A6、A10~A12のいずれかに対応するドアで開扉異常が起こると中エリアB1で拡大表示する。
【0032】
以上のように、第1実施例に係る監視システムは、列車の各車両が有するドア121~124をそれぞれ車外から撮影するドアカメラ141~144と、ドアカメラ141~144によって撮影されたドアカメラ映像を表示するCCTVモニタ146と、開閉する側の各ドアを撮影した複数のドアカメラ映像をCCTVモニタ146のディスプレイ領域を分割した複数のエリアにそれぞれ割り当てて表示する分割表示を行うよう制御するCCTV制御部145とを備える。また、CCTV制御部145は、いずれかのドアで閉扉の異常が検出されたことに応じて、異常に係るドアのドアカメラ映像を拡大表示させるよう制御する。
このような構成により、従来のように、乗務員はTMSモニタの表示を見て閉扉に失敗したドアを特定し、そのドアの映像をCCTVモニタの表示から探し出して確認する必要がない。従って、閉扉に異常が検出されたドアの様子を映像で確認する作業の負担が軽減される。
【0033】
(第2実施例)
図10は、第2実施例に係る監視システムの構成例を示す図である。また、図11は、図10の監視システムにおけるカメラ配置の例を示す図である。以下では、第1実施例に係る監視システムと相違する構成について主に説明し、第1実施例に係る監視システムと同様な構成についての説明は適宜省略される。
【0034】
第2実施例に係る監視システムは、車両101~112の12両で編成された列車に適用されている。本例の列車は、例えば、1両目~6両目の車両と7両目~12両目の車両を同じ構造にして、1両目~6両目の車両に対して7両目~12両目の車両を前後反転して連結して構成される。各車両は、一方の側面に2つのドア121,122を備えると共に、他方の側面に2つのドア123,124を備える。また、各車両には、ドア121~124のそれぞれに対応させて、ドアを制御するドア制御部131~134と、ドア及びその周辺を車外から撮影するドアカメラ141~144と、ドア及びその周辺を車内から撮影する車内カメラ151~154を設置してある。また、第2実施例に係る監視システムでは、12両編成の列車に対応するために、CCTVモニタを2台(146,147)にしてある。なお、図10では、説明の便宜のために、車両の一方の側面にあるドア121,122(又は123,124)、ドア制御部131,132(又は133,134)、ドアカメラ141,142(又は143,144)、車内カメラ151,152(又は153,154)のみを示してある。
【0035】
各車両の車内カメラ151~154は、ドア及びその周辺の車内の様子を撮影できるように配置される。本例では、図11に示すように、撮影対象となるドアに対向する側のドアの上部に配置して、各ドアを正面方向から捉えたカメラ映像を撮影できるように構成してある。車内カメラ151~154によって撮影された車内カメラ映像は、スイッチングハブ161を介してCCTV制御部145に伝送され、CCTVモニタ146,147による表示に供される。
【0036】
上述した第1実施例では、ドアの閉扉の異常が検出されたことに応じて、そのドアを車外から撮影したドアカメラ映像を自動的に拡大して表示していた。これに対し、第2実施例では、閉扉の異常が検出されたドアを車内から撮影した車内カメラ映像もCCTVモニタに表示する。
【0037】
図12には、ドアの閉扉に異常が発生した際の拡大表示及び車内表示の例を示してある。同図では、CCTV制御部135が、2つあるCCTVモニタのうちの一方のディスプレイ領域の全体を用いて、異常に係るドアのドアカメラ映像の拡大表示を行うと共に、他方のCCTVモニタのディスプレイ領域の全体を用いて、異常に係るドアの車内カメラ映像の拡大表示を行っている。なお、左側の画面例は、ドアの閉扉に異常が検出される直前の表示例であり、右側の画面例は、ドアの閉扉に異常が検出された直後の表示例である。
このように、ドアカメラ映像の拡大表示に用いるCCTVモニタと、車内カメラ映像の拡大表示に用いるCCTVモニタとを別々にすることで、乗務員はどのような原因でドアを閉扉できなかったのかをより正確に確認できるようになる。
【0038】
図13には、ドアの閉扉に異常が発生した際の拡大表示及び車内表示の別の例を示してある。同図では、CCTVモニタのディスプレイ領域を分割した複数のエリアのうち、閉扉に異常が検出されたドアのドアカメラ映像の表示に用いるエリアを除く4つのエリアを用いて、異常に係るドアのドアカメラ映像の拡大表示を行っている。また、他の4つのエリアを用いて、異常に係るドアの車内カメラ映像の拡大表示を行っている。また、異常に係るドアのドアカメラ映像には、ドアの閉扉に異常があることを認識可能な強調表示も付される。ドアの閉扉に異常があることを示す強調表示は、文字、記号、図形、色、枠線等、またはそれらの組み合わせであってもよく、例えば図13に示すように、他のドアカメラ映像の枠線よりも視覚的に強調された枠線(例えば、赤線、太線など)を付してもよく、視覚的に容易に確認できればよい。
このように、分割表示のレイアウトを使用しつつドアカメラ映像及び車内カメラ映像の拡大表示を行うことで、乗務員は閉扉できなかったドアがいずれであるかを容易に把握できると共に、どのような原因でドアを閉扉できなかったのかの確認をより正確に行えるようになる。なお、図8の例は、それぞれ4つのエリアを用いて各映像の拡大表示しているが、2つ以上のエリアを用いて拡大表示を行うことができる。
【0039】
図13のような表示態様は、CCTVモニタのディスプレイ領域を分割したエリア毎に、そのエリアに表示されたドアカメラ映像の拡大表示及び対応する車内カメラ映像の拡大表示に用いるエリアを予め設定しておくことで、容易に実現できる。例えば、図9に示すように、CCTVモニタのディスプレイ領域が12の小エリアA1~A12に分割されているとする。また、左側にある4つの小エリアA1~A2,A7~A8で中エリアC1が構成され、中央にある4つの小エリアA3~A4,A9~A10で中エリアC2が構成され、右側にある4つの小エリアA5~A6,A11~A12で中エリアC3が構成されるとする。このような分割形態の場合、小エリアと、該小エリアに表示されたドアカメラ映像の拡大表示に用いる中エリアと、該小エリアに表示されたドアカメラ映像に対応する車内カメラ映像の拡大表示に用いる中エリアとの対応を予め設定したテーブルを用意しておけばよい。
【0040】
以上のように、第2実施例に係る監視システムは、列車の各車両が有するドア121~124をそれぞれ車外から撮影するドアカメラ141~144と、ドアカメラ141~144によって撮影されたドアカメラ映像を表示するCCTVモニタ146と、開閉する側の各ドアを撮影した複数のドアカメラ映像をCCTVモニタ146のディスプレイ領域を分割した複数のエリアにそれぞれ割り当てて表示する分割表示を行うよう制御するCCTV制御部145とを備える。また、ドア121~124をそれぞれ車内から撮影する車内カメラ151~154を更に備え、CCTV制御部145は、いずれかのドアで閉扉の異常が検出されたことに応じて、異常に係るドアのドアカメラ映像を拡大表示させると共に、異常に係るドアの車内カメラ映像も併せて表示させるよう制御する。
このような構成により、乗務員は、閉扉に失敗したドアを車外から見た様子だけでなく、車内から見た様子も確認できるため、どのような原因でドアを閉扉できなかったのかをより正確に判断することが可能となる。
【0041】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。例えば、各車両の両側それぞれに設けるドアの数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、上記の例では、1つのドアカメラが1つのドアを撮影する場合を説明したが、1つのドアカメラが複数のドア及びその付近を撮影し、その映像を切り出して図3のように表示するよう構成してもよい。さらに、上記の例では、CCTV制御部をCCTVモニタとは別体の装置に実装してあるが、CCTVモニタに内蔵する構成としてもよい。また、ドアカメラ及び車内カメラは、ドアを撮影できる任意の位置に配置してもよい。
【0042】
なお、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法や方式、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。一例として、CCTVモニタの表示を制御する表示制御部は、コンピュータ上で所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。すなわち、例えば、メモリやプロセッサ等のハードウェア資源を有するコンピュータが、ハードディスクやフラッシュメモリ等のデータ記憶装置に記憶されているプログラムをメモリ上に読み出し、プロセッサにより実行することで、表示制御部を実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、列車が有する複数のドアを撮影する複数のカメラと、前記カメラによって撮影されたドアカメラ映像を表示するモニタとを備えた監視システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
101~112:車両、 121~124:ドア、 131~134:ドア制御部、 135:TMS制御部、 136:TMSモニタ、 141~144:ドアカメラ、 145:CCTV制御部、 146,147:CCTVモニタ、 151~154:車内カメラ、 161:スイッチングハブ
図1
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13