(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】単一内視鏡血管採取装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/125 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
A61B17/125
(21)【出願番号】P 2017565115
(86)(22)【出願日】2016-06-16
(86)【国際出願番号】 US2016037873
(87)【国際公開番号】W WO2016205514
(87)【国際公開日】2016-12-22
【審査請求日】2019-06-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-18
(32)【優先日】2015-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515251746
【氏名又は名称】サフィナ・メディカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Saphena Medical, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【氏名又は名称】鮫島 睦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ジェイ・オーファノス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・グレノン
【合議体】
【審判長】村上 聡
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/158613(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0149983(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 18/14
A61B 17/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と遠位端とを有する細長い本体と、
前記細長い本体の前記遠位端に配置された膨張可能な先端であって、膨張して血管採取サイトまで前進するときに、円錐形状を維持
し、前記細長い本体内の1つ以上の内腔と連通する、内視鏡を進める内部空洞を有し、内視鏡観察を妨げないように光学的に透明であり、切開部を通るときに円錐形状を維持するのに十分な材料を含む、膨張可能な先端と、
第1の切断部を有する第1の切断部材と第2の切断部を有する第2の切断部材とを有する切断ユニットであって、前記第1の切断部と前記第2の切断部は、前記第1の切断部と前記第2の切断部との間の血管を捕らえるように、少なくとも一部が前記膨張可能な先端を超えて延在するように前記細長い本体の長手方向に移動可能であり、前記第1の切断部材と前記第2の切断部材は、捕らえた血管を切断するように前記先端の周囲を互いに回転可能である、切断ユニットと、を含む、血管採取装置。
【請求項2】
この血管採取装置によって行う採取手術に際して、内視鏡観察のために
、前記膨張可能な先端の前記内部空洞内に内視鏡を進め
る、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
内視鏡の遠位端が前記膨張可能な先端内に配置される場合に、前記膨張可能な先端が膨張していないとき、前記膨張可能な先端の壁が、前記内視鏡の視野を歪ませることなく、前記内視鏡の少なくとも遠位端に張り付く、請求項
2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の切断部と前記第2の切断部は、前記先端の近位側の後退位置から前記先端を超えて延在した位置まで移動する、請求項
2に記載の装置。
【請求項5】
前記膨張可能な先端は、
光学的透明性が向上した少なくとも1つの調整された表面を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記
膨張可能な先端は、機械的研磨技術または化学的研磨技術によって調整される、請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記機械的研磨技術は、バフ研磨を含む、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記化学的研磨技術は、蒸気研磨を含む、請求項
6に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の切断部と前記第2の切断部は、前記先端の近位側の後退位置から前記先端を超えて延在した位置まで移動する、請求項
5に記載の装置。
【請求項10】
前
記先端は、前
記先端の表面上にコーティングをさらに含み、前記コーティングは、前
記先端の表面張力及び潤滑性を増加させる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記コーティングは、パラレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、シリコンまたはテザード・リキッド・パーフルオロカーボンの1つから選択される、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前
記先端は、1つ以上の内腔と連通する内部空洞であって、この血管採取装置によって行う採取手術に際して、内視鏡観察のために内視鏡を進める内部空洞を有する、請求項
1に記載の装置。
【請求項13】
前
記先端は調整された先端であり、前記調整された先端は、光学的透明性が向上した少なくとも1つの調整された表面を含む、請求項
1に記載の装置。
【請求項14】
近位端と遠位端とを有する細長い本体と、
前記細長い本体の前記遠位端に配置された膨張可能な先端であって、膨張したときに円錐形状を維持
し、前記細長い本体内の1つ以上の内腔と連通する、内視鏡を進める内部空洞を有し、内視鏡観察を妨げないように光学的に透明であり、切開部を通るときに円錐形状を維持するのに十分な材料を含む、膨張可能な先端と、
第1の切断部を有する第1の切断部材と第2の切断部を有する第2の切断部材とを有する切断ユニットであって、前記第1の切断部と前記第2の切断部は、前記第1の切断部と前記第2の切断部との間の血管を捕らえるように、前記先端の近位側の後退位置から前記先端の少なくとも一部を超えて延在した位置まで前記細長い本体の長手方向に移動可能であり、前記第1の切断部材と前記第2の切断部材は、捕らえた血管を切断するように前記先端の周囲を互いに回転可能である、切断ユニットと、を含む、血管採取装置。
【請求項15】
この血管採取装置によって行う採取手術に際して、内視鏡観察のために
、前記膨張可能な先端の前記内部空洞内に内視鏡を進める、請求項
14に記載の装置。
【請求項16】
内視鏡の遠位端が前記膨張可能な先端内に配置される場合に、前記膨張可能な先端が膨張していないとき、前記膨張可能な先端の壁が、前記内視鏡の視野を歪ませることなく、前記内視鏡の少なくとも遠位端に張り付く、請求項
15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2015年6月17日に出願された米国仮出願第61/180,794号及び2016年6月16日に出願された米国実用特許出願第15/184,153号の優先権及び利益を主張するものであり、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施態様は、内視鏡カニューレとその利用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
血管採取は、冠動脈バイパス手術と共に一般的に利用される外科技術である。バイパス手術の間、心臓に向かう血流と酸素を回復及び改善するために、血液は、閉塞した動脈をバイパスするように別の経路を通る。血液は、バイパスグラフト(by-pass graft)を利用して迂回され、ここでバイパス移植の一端は閉塞領域の上流の血液源に取り付けられ、他端は閉塞領域の下流に取り付けられて、バイパス移植は閉塞領域をバイパスする「導管」経路又は新しい血流接続を形成する。一般的に、外科医は、バイパス移植を形成するために、体の別の部分から健康的な血管を取り出し又は「採取」する。冠動脈バイパス手術の成功は、導管の質や、移植前の血管採取と準備ステップ中においてそれをどのように操作又は取り扱うかに影響される。
【0004】
血管採取方法は、バイパス管として利用される血管、伝統的には足の大伏在静脈又は腕の橈骨動脈を選択すること、主血管から分岐するより細い血管を封閉して切断すること、及び体から主導管(main conduit)を採取することを含む。この実務は、残った血管ネットワークを害することがなく、これは治癒して手足への十分な血流を維持し、顕著な影響なしに患者に通常の機能を回復させることを可能とする。
【0005】
血管採取のための最小侵襲手技は内視鏡血管採取として知られており、小さな切開だけを要求する手術である。内視鏡血管採取手術は鼠径部から足首までの1本の長い切開を要求する伝統的な「切開」手術を改善するが、その一方、内視鏡手術は未だ煩雑かつ困難である。特に、現在の内視鏡採取システムは多数の道具を必要とし、これは手術時間を増大するのみならず、バイパス管への損傷の可能性を増加する。従って、内視鏡血管採取のためのシステムと方法の改善が未だ必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
単一内視鏡血管採取装置(Unitary endoscopic vessel harvesting devices)が開示されている。本開示の実施形態において、この装置は、近位端及び遠位端を有する細長い本体と、細長い本体の遠位端に配置された膨張可能な先端と、第1の切断部及び第2の切断部を有する切断ユニットであって、第1の切断部及び第2の切断部は、第1の切断部と第2の切断部との間の血管を捕らえるように細長い本体の長手方向に移動可能であり、かつ、捕らえられた血管を切断するように先端の周囲を互いに回転することができる切断ユニットとを含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、膨張可能な先端は、1つ以上の内腔と連通する内部空洞を有し、手術装置によって行われる採取手術の内視鏡観察のために内視鏡が進められる。膨張可能な先端は、十分に膨張したときに硬い円錐形状を有する。膨張可能な先端は、内視鏡観察を妨げないように光学的に透明であり、膨張可能な先端は、血管切開部を通るときに円錐形状を維持するのに十分な材料を含む。いくつかの実施形態において、膨張可能な先端が膨張していないとき、膨張可能な先端の壁が、内視鏡の視野を歪ませることなく、内視鏡に張り付く。
【0008】
いくつかの実施形態において、この装置は、近位端及び遠位端を有する細長い本体と、細長い本体の遠位端に配置された調整された先端と、第1の切断部及び第2の切断部を有する切断ユニットであって、第1の切断部及び第2の切断部は、第1の切断部と第2の切断部との間の血管を捕らえるように細長い本体の長手方向に移動可能であり、かつ、捕らえられた血管を切断するように先端の周囲を互いに回転することができる切断ユニットとを含む。いくつかの実施形態において、調整された先端は、機械的研磨技術または化学的研磨技術によって調整された表面をさらに含む。いくつかの実施形態において、機械的研磨技術はバフ研磨を含み、化学的研磨技術は蒸気研磨を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、この装置は、近位端及び遠位端を有する細長い本体と、細長い本体の遠位端に配置された被覆された先端と、第1の切断部及び第2の切断部を有する切断ユニットであって、第1の切断部及び第2の切断部は、第1の切断部と第2の切断部との間の血管を捕らえるように細長い本体の長手方向に移動可能であり、かつ、捕らえられた血管を切断するように先端の周囲を互いに回転することができる切断ユニットとを含む。いくつかの実施形態において、被覆された先端は、被覆された先端の表面上にコーティングをさらに含み、このコーティングは、被覆された先端の表面張力及び潤滑性を増加させる。このコーティングは、パラレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、シリコンまたはテザード・リキッド・パーフルオロカーボンの1つから選択されてもよい。さらなる実施形態において、このコーティングは、膨張可能な先端又は調整された先端に適用されてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、本装置は、近位端及び遠位端を有する細長い本体と、細長い本体の遠位端に配置された膨張可能な先端と、を含み、膨張可能な先端は、十分に膨張したときに円錐形状を有する。この装置は、第1の切断部と第2の切断部を有する切断ユニットであって、第1の切断部と前記第2の切断部は、第1の切断部と第2の切断部との間の血管を捕らえるように、先端の実質的に近位側の後退位置から先端上の延在位置まで細長い本体の長手方向に移動可能であり、捕らえられた血管を切断するように先端の周囲を互いに回転可能である、切断ユニットをさらに含んでもよい。
【0011】
本開示の実施形態は、添付された図面を参照すると更に説明され、複数の図面において、同様の構成は同様の番号によって参照される。示された図面は必ずしも寸法通りではなく、通常、本開示に係る実施形態の本質を説明することに重点を置いている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】
図1Aは、本開示の内視鏡カニューレの一実施形態の側面図を示す。
【
図1B】
図1Bは、本開示の遠位先端にくぼみを有する切開先端の一実施形態を示す。
【
図1C】
図1Cは、本開示の遠位先端にくぼみを有する切開先端の一実施形態を示す。
【
図1D】
図1Dは、遠位先端に膨張可能なバルーンを含む切開先端を有する内視鏡カニューレの代替の実施形態を示す。
【
図1E】
図1Eは、遠位先端に膨張可能なバルーンを含む切開先端を有する内視鏡カニューレの代替の実施形態を示す。
【
図2A】
図2Aは、本開示の内視鏡カニューレを用いた切開手術を示す。
【
図2B】
図2Bは、本開示の内視鏡カニューレを用いた切開手術を示す。
【
図2C】
図2Cは、本開示の内視鏡カニューレを用いた切開手術を示す。
【
図3A】
図3Aは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図3B】
図3Bは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図3C】
図3Cは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図4A】
図4Aは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図4B】
図4Bは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図4C】
図4Cは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図4D】
図4Dは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図5】
図5は、本開示の内視鏡カニューレと共に使用するのに適した制御ハンドルの一実施形態を示す。
【
図6A】
図6Aは、
図5の制御ハンドルによって制御された、動作中の本開示の内視鏡カニューレの一実施形態を示す。
【
図6B】
図6Bは、
図5の制御ハンドルによって制御された、動作中の本開示の内視鏡カニューレの一実施形態を示す。
【
図6C】
図6Cは、
図5の制御ハンドルによって制御された、動作中の本開示の内視鏡カニューレの一実施形態を示す。
【
図6D】
図6Dは、
図5の制御ハンドルによって制御された、動作中の本開示の内視鏡カニューレの一実施形態を示す。
【
図6E】
図6Eは、
図5の制御ハンドルによって制御された、動作中の本開示の内視鏡カニューレの一実施形態を示す。
【
図6F】
図6Fは、
図5の制御ハンドルによって制御された、動作中の本開示の内視鏡カニューレの一実施形態を示す。
【
図7A】
図7Aは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図7B】
図7Bは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図8】
図8は、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図9A】
図9Aは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図9B】
図9Bは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図9C】
図9Cは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図10A】
図10Aは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【
図10B】
図10Bは、本開示の内視鏡カニューレの切断ユニットの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述した図面は、ここに開示した実施形態を説明するが、議論中に述べるように、他の実施形態も予定される。本開示は描写の方法によって例示的な実施形態を示し、これに限定されるものではない。ここに開示した実施形態の原理の精神と範囲の中で、多数の他の変更及び実施形態が、当業者によって考案されうる。
【0014】
本開示は、内視鏡血管採取のための単一装置を提供する。内視鏡血管採取のための本願のシステムは、多数の構成要素を含む。典型的には、内視鏡切開装置は、周囲の結合組織から主血管を切開することによって周囲の結合組織から主血管を分離するために利用されている。そして、内視鏡カニューレを用いて、側枝を封閉及び切断するための内視鏡分岐封閉機器(endoscopic tributary sealing instrument)のような別の装置を挿入する。側枝を封閉したら、さらに別の装置を用いて、バイパスグラフトとして用いられる主血管の一部を採取する。本開示の単一装置は、切開機能と、側枝封閉及び切断機能と、任意で主血管封閉及び主血管切断機能とを兼ね備えており、これにより血管の操作を減少させ、手術のし易さを改善する。また、本開示の装置は、患者から封閉され切り離された主血管を患者から摘出するために利用されてもよい。
【0015】
血管の操作が減少すると、移植片(又はグラフト)を損傷する可能性を減少できる。採取器具が何度も通過して、繰り返し血管に接触すると、血管損傷の可能性が増加する。本開示の装置のような単一装置は、装置を前進させたときに、周囲の組織から主血管を切断、分離し、側枝及び主血管を焼灼及び横に切断(transect)する。血管は、多数の装置の挿入及び引き戻しではなく、装置の単一の通過によって採取されるだろう。減少した直径を備えたそのような装置は、側枝結紮(tributary ligation)だけでなく切開にも利用でき、外傷は減少するだろう。また、本装置の比較的小さな直径は、曲がりくねった血管、例えば、内胸動脈の採取を容易にすることができる。
【0016】
図1Aを参照すると、本開示の内視鏡カニューレ100は、近位端104と、切開先端120で終端する遠位端106とを有する細長い本体102を含む。カニューレ100は更に、遠位端106の周囲に配置された、血管を封閉及び切断するための切断ユニット150と、切断ユニット150を制御するための制御ハンドル160とを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、細長い本体102は、入口切開部を通って血管採取サイトまで、血管外を通過するように構成されている。採取サイトまで細長い本体102の移動を補助するために、細長い本体102は長さ方向に沿って軸方向に十分に固くてもよい。そのような特徴を備えた細長い本体102を提供するために、実施形態では、細長い本体102は、例えばプラスチック材料、エラストマー材料、金属材料、形状記憶材料、複合材料、又は所望の特徴を有するその他の材料などの、生体適合性材料から形成されてもよい。所望範囲で、細長い本体102は、用途に応じて、半径方向又は左右の横方向に動くように、所定の柔軟性を有していてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、カニューレ100の細長い本体102は固体でもよい。他の実施形態において、内視鏡カニューレ100は、そこを通して機器又は材料を前進するのに適した内腔を含む、1つ以上の内腔を含んでもよい。いくつかの実施形態において、内視鏡カニューレ100は、カニューレ100を使って行う手術を視覚化するために内視鏡116がそこを通って前進する内視鏡内腔103を含んでもよい。内視鏡カニューレ100は、内視鏡カニューレ100内に内視鏡116を前進させるために、近位端104にアダプター114を含んでもよい。カニューレ100の追加の内腔は以下に記載されている。
【0019】
いくつかの実施形態において、内視鏡カニューレ100は、内視鏡カニューレ100の遠位端106又はその周囲に配置された切開先端120を含んでもよい。内視鏡の観察先端(a viewing tip)は、切開先端120の内側に配置されていてもよい。いくつかの実施形態において、切開先端120は、内視鏡内腔103と流体連通する内部空洞を含むことができ、内視鏡116を切開先端120の中へ前進させることができる。いくつかの実施形態において、先端集積回路(chip-on-a-tip)のタイプの内視鏡は、切開先端120内に統合されていてもよい。
【0020】
また、カニューレ100を使用して手術を行っている間に、先端120を通して内視鏡で観察できるように、切開先端120は透明であってもよい。いくつかの実施形態に係る切開先端120は、そこを通して内視鏡による観察を容易にするのであればどのような形状であってもよく、組織の切開、すなわち分離中に、必要な制御を可能にする。いくつかの実施形態において、切開先端は略円錐状であってもよい。いくつかの実施形態において、切開先端120は、光学的透明性を向上し、内視鏡観察をさらに容易にするために処理されてもよい。いくつかの実施形態において、処理された切開先端120は、少なくとも1つの調整された表面134を有してもよい(
図1A)。調整された表面134は、切開先端120上の表面欠陥を除き得る機械的研磨技術及び/又は化学的研磨技術を介して調整されてもよい。機械的研磨技術はバフ研磨を含んでもよく、化学的研磨技術は蒸気研磨を含んでもよい。いくつかの実施形態において、切開先端120は、少なくとも1つの被覆された表面136を有してもよい。被覆された表面136は、バルーンまたは膨張可能な先端130(
図1D)または調整された表面134のいずれかが組み合わせられたコーティングを有してもよい。コーティングは、被覆された表面136の表面張力を増加させて、切開先端120の被覆された表面136上に残る流体及び組織により大きな抵抗を与えてもよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、切開先端120の潤滑性を高めて、流体及び組織が被覆された表面136上に残らないようにするだけでなく、手術中の摩擦を低減することによって切開負荷を低減してもよい。コーティングは、疎水性及び/又は疎油性材料であってもよい。いくつかの実施形態において、コーティングは非常に薄い層で塗られ、好ましい実施形態では、コーティングは厚さが0.001インチ未満であってもよい。いくつかの実施形態において、コーティングは装置100の全体に適用されて、装置100の全体の潤滑性を高めてもよい。コーティングは、パラレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、
シリコンまたは
テザード・リキッド・パーフルオロカーボン(tethered liquid perfluorocarbon)の1つから選択されてもよい。コーティングは、全ての利用可能な製造技術で塗られてもよい。コーティングは、切開先端120上にコーティングを浸漬(dipping)、噴霧(spraying)、蒸着またはワイピングによって塗られてもよい。コーティングは、コンポーネントメーカの段階、アセンブリメーカの段階、または医師によるベッドサイドで塗られてもよい。コーティングは、一度塗られてもよいし、又は装置100の寿命の間に塗られてもよいし、又は手術中に頻繁に再塗布することによって塗られてもよい。いくつかの実施形態において、コーティングは乾燥していてもよく、他の実施形態では濡れていてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、切開先端120は、略平坦な肩122と、内視鏡カニューレ100が血管セグメントに沿って進んでいるときに、近くの血管若しくは組織の破裂若しくは貫通を最小化若しくは防止しながら、周囲組織から採取される血管セグメントを外傷なく分離するために、鈍端126で終結するテーパ部124と、を含んでもよい。鈍いと説明したが、切開先端120の鈍端126は、当然ながら、カニューレ100の前進を向上させるために、所望範囲で比較的尖っていてもよい。
【0022】
図1B及び
図1Cを参照すると、いくつかの実施形態において、切開先端120は、円錐状であってもよい。また、切開先端120は、視覚的歪みの弊害を最小化するように、又は、光源及びカメラシステムを備え、カニューレ100の内部へ挿入された内視鏡を通して観察するときに内視鏡の観察領域の中心における眩しさを最小化するように、その遠位端で形作られていてもよい。
図1Cに示すように、切開先端120の内面121は、切開先端120の遠位端126に向かって比較的一定の傾きで先細にされて、内部頂点123で終端し、そこは鋭く尖っていてもよい。また、切開先端120の外面125は、切開先端120の遠位端126に向かって一定の傾きで先細にされている。しかしながら、切開中の組織損傷を最小化するように、遠位端126において、比較的丸みを帯びた鈍端が形成されていてもよい。図示したように、遠位端において、切開先端120の外面125は、それ自身近位方向に折り返されて、そして、鈍い外面(blunt exterior surface)を保つと共に切開先端120の遠位端に窪み129を形成する外部頂点127で終端してもよい。内部頂点123と外部頂点127の両方は、カニューレ100と、いくつかの実施形態では内視鏡116と、の長手方向の中心軸上にあってもよい。換言すると、内部頂点123及び外部頂点127の中心は、カニューレ100の長手方向の中心軸上に位置している。切開先端120の内面121及び外面125の各々に内視鏡116の軸と同一線上に頂点を設けることによって、(内視鏡の軸と平行な)光路に対して垂直となるそれらの面を排除できる。これは、垂直な面からカメラに戻ってしまう光の屈折を排除し、その結果、光源及びカメラシステムを備えた内視鏡116を通して観察するときに、視覚的な歪み又は眩しさを最小化若しくは排除することができる。
【0023】
切開処置中の外傷の可能性を抑制するように、いくつかの実施形態では、切開先端120は、力が加わったときに僅かにたわむように、半径方向にしなやかで、柔軟で又は変形可能であってもよい。いくつかの実施形態では、切開先端120の先端面に垂直な力が加わったときに切開先端120の壁が変形できるように、切開先端120は半径方向に圧縮可能にされている。この目的のために、切開先端が負荷によって曲がるように、切開先端120を薄い壁の樹脂材料から形成してもよい。適した材料は、これらに限定されないが、ポリカーボネート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及び負荷によって切開先端の屈曲を可能にしつつ十分な光学的透明度を備えた他の材料を含む。同時に、周囲結合組織から血管を切開できるように、切開先端120は、軸方向又は長手方向に十分な柱強度(column strength)を備えていてもよい。
【0024】
図2A~
図2Cを参照すると、バイパス移植術で用いられる血管(例えば、大伏在静脈又は橈骨動脈)は、皮膚表面直下の皮下腔(subcutaneous space)に横たわっている。
図2Aに示すように、血管200は、本幹(または主幹:main trunk)210と、本幹210から出る分岐血管(branch vessels)220とから成る。血管200及びその分岐210は、皮下脂肪の結合組織230に覆われており、主血管200を採取する前に、周囲の皮下脂肪結合組織230がなくなるように切開する必要がある。皮下脂肪結合組織230は、皮膚、筋肉、筋膜又は他の結合組織よりも柔らかい。皮下脂肪結合組織230は、血管200に付着してはいるが、血管200との間には、きれいに切り離すことのできる界面240が形成されている。つまり、血管200の外層(外膜)と周囲の皮下脂肪結合組織230との間には、自然の切開面が存在している。
【0025】
図2Bは、切開先端120により、血管200の本幹210を自然の切開面に沿って切開するのを図示しており、切開先端120は、血管200の外膜表面に沿って前進する。この面に沿って血管200を周囲の皮下脂肪結合組織230から分離するのに、一般的に、大きな切開力(dissection forces)は必要ではない。いくつかの実施形態では、切開先端120は、それらの間の自然の切開面に沿って周囲の皮下脂肪結合組織230から血管200を切開するのに十分な柱強度を備えている。
【0026】
一方、
図2Cに示すように、切開先端120が分岐血管220に接近すると、切開先端120は、分岐血管220と主血管200との分岐合流点(junction)250で分岐血管220を捕らえるかもしれない。切開先端220により過度の力が加わると、分岐血管が引き裂かれて、本幹血管(trunk vessel)から切断されるかもしれず、さもなければ、主血管200が損傷を受けるかもしれない。そのため、いくつかの実施形態では、切開先端120は、血管200を自然の切開面に沿って周囲組織230から切開するのに十分な柱強度を備えている一方で、分岐血管の周囲を切開中における移植血管の外傷の可能性を減少するように、切開先端120は、さらなる力を加えたときに変形するように又は分岐血管220からそれるように十分にしなやかである。当然ながら、手術の要求に応じて、切開先端120の固さを十分に柔軟なものから半硬質又は硬質まで変化させてもよいと理解されるべきである。
【0027】
図1D及び
図1Eを参照すると、切開先端120は、細長い本体102の遠位端106に配置された膨張可能な先端130であってもよい。膨張可能な先端130は、膨張したときに切開円錐(dissection cone)の形状をとる。膨張可能な先端130は、1つ以上の内腔103と連通する内部空洞131を有し、内視鏡116が、装置100によって行われる採取手術の内視鏡観察のために、その中へ進められる。内視鏡116は内腔103の端部を越えて延在してもよく、膨張可能な先端130は、例えば接着剤または熱接着のような通常の技術によって細長い本体102の外径に固定され封閉されてもよい。膨張可能な先端130は、内視鏡観察を妨げないように光学的に透明に構成され、光学的透明性を改善し、焼灼(cauterization)などの内視鏡処置の実行を可能にするように収縮されてもよい。そのために、膨張可能な先端130は、切開部を通るときに円錐形状を支持するのに必要な膨張圧に対処するのに十分な任意の材料で構成されてもよい。膨張可能な先端130は、膨張可能な先端130から流体を追加又は除去することによって膨張又は収縮されてもよく、これは可逆的で反復可能なプロセスであり、注射器、又は装置100のハンドル内部に含まれている例えば嚢(bladder)のような先端からの流体の注入、又は除去可能な任意の装置で行われもよい。膨張流体は、例えば空気などの気体、又は例えば生理食塩水などの液体であってもよい。
図1Eに示したように、膨張先端130が収縮したとき、収縮した膨張可能な先端130の壁132は、内視鏡の視野を歪ませることなく、内視鏡116
に張り付いてもよい。
壁132は、内視鏡116
に張り付くので、多量の流体又は組織の蓄積をさせずに、内視鏡116のカメラ(図示せず)の鮮明さの向上を可能とし、歪みなく観察することができる。さらに、壁132の表面上にあるものは、内視鏡116のカメラの焦点距離の近位にあり、画像に大きな影響を与えない。
【0028】
図1Dに示したように、膨張可能な先端130は、膨張したときに従来の切開円錐の形状をとり、そのため十分に硬い円錐形状を有するバルーンであってもよい。膨張可能な先端130のためにバルーンを製造するのに使用可能な多くの種類のバルーン材料がある。使用されるバルーン材料に応じて、膨張可能な先端130の厚さは、必要な強度を達成するように変化してもよい。したがって、より大きな厚さを必要とするバルーン材料は、光学特性を低下させ、光学特性を補助するために追加の処理を必要としてもよい。バルーン材料は、例えば、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、又はシリコーンであってもよく、0.0005インチから0.030インチまでの厚さの範囲であってもよい。さらなる実施形態において、膨張可能な先端130を含むバルーン材料は、疎水性及び/又は疎油性材料で光学的透明性を改善するようにコーティングされてもよい。コーティングは、バルーンの表面張力を増加させ、円錐上に付着する又は残る流体及び組織に抵抗することを可能にし、全体的な視認性を改善し得る。好ましい実施形態では、コーティングは非常に薄い層で塗布される。
【0029】
カニューレ100は更に、分岐血管又は主血管のいずれか一方の血管を焼灼または封閉し、そして切断するための1つ以上のエンドエフェクター(end-effectors)を含んでもよい。
【0030】
図3Aを参照すると、いくつかの実施形態では、カニューレ100の切断ユニット150は、第1の切断部材302と第2の切断部材304とを含み、各切断部材は、各々の遠位端から延びる切断部310、312を有することができる。
【0031】
第1の切断部材302と第2の切断部材304は、カニューレ100の細長い本体102の長手方向に移動可能であってもよい。このように、切断部310、312は、切開中の初期の後退位置(切開を妨げないように切断部310、312を切開先端120よりも実質的に近位側に十分に後退させた位置)から、封閉及び切断のための操作位置又は延在位置(ユーザが切断部を見られるように、そして血管に対して十分な捕獲長さ(capture length)を提供できるように、切断部310、312が遠位方向に前進した位置)まで、移動してもよい。いくつかの実施形態では、切断部310、312は、血管を捕らえるように、少なくとも部分的に、切開先端120を超えて延在してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、第1の切断部材302と第2の切断部材304は、互いに対して回転可能であってもよい。このように、切断部310、312は、
図3Bに示すように、切断部310、312が、それらの間に血管を捕らえられるように、互いに離間又は間隔を空けている開位置から、
図3Cに示すように、血管を封閉及び切断するように、切断部310、312が切開先端120の周囲で互いに近づいた閉位置まで、動くことができる。いくつかの実施形態では、第1の切断部材302と第2の切断部材304は、切断部310と切断部312の間に捕らえられた血管の位置によって、切断部310、312の両方を、切開先端120の周囲で時計回り及び反時計回りの両方向に、互いに向かって回転できるように構成されている。切断部310、312のそのような円周方向における両方向の移動により、ユーザは、カニューレ100のあらゆる方向(または、あらゆる側面:all sides)で血管を操作することができるので、ユーザは、血管に対するカニューレ100の方向及び位置に気を遣う必要がなく、手術中に時間を節約でき且つカニューレの操作量を減少できる。さらに、そのことは、切断部が側枝をねじって、それにより血管が引っ張られて、結果としてグラフト(または移植片)に損傷を与える、という可能性を低減できるだろう。また、両方向への移動は、ユーザにとってより直感的(more-intuitive)であり、どちら側が焼灼及び切断に有効側(active side)であるかを覚える必要がなくなるだろう。他の実施形態では、切断部310、312の操作及び視覚化を容易にするために、切断部310、312の一方は固定し、他方は、固定された切断部に向かって時計回り及び反時計回りの両方向に回転できるようにされてもよい。当然ながら、固定された切断部は、カニューレ100の移動によって所望の方向に動くようにされてもよい。
【0032】
切断部材302、304の切断部は、一般的に、丸くされた遠位端を備えた楕円形又はブレード状であるが、血管の切断及び封閉が可能な他の形状が用いられてもよい。血管の封閉を容易にするように、必要に応じて、切断部310、312の一方又は両方に、これに限定されないが抵抗加熱、超音波加熱、及び、複極式若しくは単極式RFエネルギーを含む種々のエネルギー源を利用して、エネルギーを与えることができる。いくつかの実施形態では、電極は、互いに独立して制御することができる。いくつかの実施形態では、切断部310、312は、切断部310、312自体にエネルギーを付与できる材料、例えば金属などから形成されることができる。加えて又は代わりに、エネルギーを付与できる構成要素(またはエネルギー付与要素:energizing elements)、例えば金属ワイヤなどを、切断部310、312の上に配置してもよい。エネルギーを付与したときに、エネルギー付与要素が切断部310、312によって血管に接触させられて、血管を封閉してもよい。いくつかの実施形態では、切断部材310、312の一方又は両方は、スポット焼灼に用いられる突起を含んでもよい。いくつかの実施形態では、血管に集中的にエネルギーを与えるために、切断部材310、312の一方又は両方は、鋭利で薄い縁部(sharpened, thin edge)を有してもよい。そのような集中的なエネルギー付与により、側枝に適用されることになる必要なエネルギーをより小さくできるので、それにより、血管の側枝から本幹への焼灼エネルギー(cauterizing energy)の拡大を最小化し、血管への外傷の可能性を排除できる。
【0033】
血管封閉後の血管切断を容易にするように、いくつかの実施形態では、それらの間で切断を生じさせる切断部310、312の対向する縁部318,320は、一方が平坦な面(leveled face)を有し、他方が鋭利で薄くされ又はとがって(pointed)いてもよく、これにより、組織は、鋏のような動き(または鋏動状:scissor-like motion)では切断されないが、平坦面と向かい合った薄い縁部では切断される。この目的のため、いくつかの実施形態では、切断部材310の両側の縁部が鋭利な縁部で、切断部312の両側の縁部が平坦でもよく、又はその逆でもよい。代わりに、切断部310、312は、1つの鋭利な縁部又はブレード状縁部と、1つの平坦な縁部とを有し、一方の切断部の鋭利な縁部は、他方の切断部の平坦な縁部と対向していてもよい。いくつかの実施形態では、上述したように、血管は、エネルギーを利用して封閉と切断の両方をされてもよいことに留意されるべきである。当然ながら、いくつかの実施形態では、切断部310、312の対向する縁部318,320は、両方が鋭利にされており、組織が鋏のような動きにより切断されてもよいと理解されるべきである。
【0034】
図3B及び
図3Cに示すように、いくつかの実施形態では、切断部材302、304は実質的にU形状であり、カニューレ本体102の同一面内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、切断部材302、304の互いに対する周方向の動きを可能とするように、切断部材302、304は、それぞれ、縁部に沿って切り欠き(cutouts)及び指部(fingers)314、316を含んでいてもよい。
【0035】
図4A及び
図4Bを参照すると、いくつかの実施形態では、切断部材302、304は実質的にチューブ状であり、カニューレ本体102の異なった面内に配置されている。
図4Aに示すように、いくつかの実施形態では、切断部材304は、切断部材302の内側で同軸に配置されていてもよい。
図4Bを参照すると、いくつかの実施形態では、カニューレ100の細長い本体102は、金属製及び樹脂製(またはプラスチック製:plastic)の一連の同軸チューブから構成されていてもよく、それらは構造上のメインシャフト(または主軸:main shaft)、電気的な導電及び絶縁経路、並びにエンドエフェクターすなわち切断部310,320として機能してもよい。いくつかの実施形態では、装置の全長にわたって、電気絶縁体として機能する3つの樹脂製(またはプラスチック製)シースと、2つの金属製の導電チューブの間に挟まれた機械軸受面(mechanical bearing surfaces)とが存在してもよい。最内部層は、内部ルーメンを規定する内側シース402(樹脂)であってもよい。内側シース402の外側には、内側電極チューブ404(金属)、中央シース406(樹脂)、外側電極チューブ408(金属)及び外側シース410(樹脂)、そして最後に、収縮被覆(shrink jacket)412が続いていてもよい。いくつかの実施形態では、3つの樹脂製シースの代わりに、非導電性コーティング又は同様の方法を用いて、電気絶縁(electrical insulation)が提供されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、電極404、408をフッ化ポリビニリデン(PVDF)でコーティングしてもよいが、他の非導電性コーティングを利用してもよい。
【0036】
内側電極チューブ404及び外側電極チューブ408は、第1の切断部材302及び第2の切断部材304を形成するために用いられて、切断部310、312は、内側電極チューブ404及び外側電極チューブ408の遠位端に形成されてもよい。切断部310、312が血管を捕らえて、封閉し及び切断できるようにするように、内側電極チューブ404及び外側電極チューブ408は、カニューレ100の長手方向にスライド可能で、かつ互いに対して回転可能であってもよい。さらに、切断部310、312は、内側電極チューブ404及び外側電極チューブ408から形成されるため、切断部310、312は、内側電極404及び外側電極408を通して容易にエネルギーを与えることができる。いくつかの実施形態では、内側電極チューブ404から形成された切断部(すなわち内側切断部411)は、それが同軸に沿って回転でき、かつ外側電極408に形成された切断部(すなわち、外側切断部413)と同一半径になるように、内側電極404の平面から外側に曲げられてもよい。いくつかの実施形態では、内側切断部411が内側切断部の片側に平坦面416を有し、外側切断部413が鋭利な又はブレード状の縁部418を両側に有していてもよく、又はその逆でもよい。他の実施形態では、上述したように、各切断部411、413は、1つの鋭利な縁部と1つの平坦な縁部とを有し、一方の切断部の平坦な縁部は、他方の切断部の鋭利な縁部と対向していてもよい。
【0037】
図4Cを参照すると、いくつかの実施形態では、内視鏡116が内部内腔403を通って切開先端の中へ前進できるように、切開先端120は、内側シース402に接続されていてもよい。スリーブ414又は遷移(transition)は、切開先端120とカニューレ本体102との間の形状を滑らかにすることによって、切開中に組織を損傷から保護するように利用されてもよい。
図4Dに示すように、切断部312、314がスリーブ414を通って遠位側に前進できるように、スリーブ414の遠位端は、切開先端120に取り付けられていなくても(または結合されていなくても:unattached)よい。いくつかの実施形態では、スリーブ414は可撓性材料で形成されていてもよく、それにより、切開中に、スリーブ414は切開先端と適合して、滑らかな遷移と、組織及び体液がカニューレ100に侵入することを防止する密封と、をもたらす。その一方で、可撓性スリーブは、切断部312、314がスリーブ414を通って遠位側に前進できるように、曲げること及び広げることができるだろう。いくつかの実施形態では、切断部312、314とスリーブ414との間の摩擦を低減することによって、切断部312、314が容易かつ滑らかにスリーブ414を通って延在できるように、スリーブの表面は潤滑物質(lubricious substance)で被覆されていてもよい。美観目的のため及び確実な遷移を支援するように、薄肉収縮チューブ(thin-walled shrink tube)412が、カニューレ本体の外側表面を覆っていてもよい。
【0038】
図5は、切断部材310、312を制御するための制御ハンドル160の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、制御ハンドル160は、切断部材310、312を前進及び後退(または格納:retract)するための移動制御部(translation control)502を含んでもよい。制御ハンドルは、切断部材を互いに対して回転するための回転制御部504を更に含む。最後に、制御ハンドル160は、切断部310、312に対してエネルギー(例えば双極性RFエネルギー等)を供給するためのエネルギー制御部(energy control)506を含む。内視鏡カニューレ100内へ内視鏡116を前進させるために、アダプター114が、制御ハンドル160の近位端に備えられていてもよい。
【0039】
操作では、対象の血管(例えば、伏在静脈)を露出するように、初期切開(または最初の切開:initial incision)を従来の方法で形成してもよい。カニューレ100は、その切開内へ挿入され、そして対象の血管へ案内されてもよい。いくつかの実施形態では、カニューレ102を患者内へ導入するポートの内部でカニューレ102を密封するために、カニューレ100は、細長い本体102の周りに滑らかな管状シースを含んでもよい。次に、周囲組織から対象の血管を切開するために、カニューレ100は、実質的に対象の血管に沿って前進させられてもよい。いくつかの実施形態では、周囲組織からの対象の血管の切開によって生じた空間に送気を可能とするように、カニューレ100は、切開を密封するのに用いられる封閉可能なポートを通って導入されてもよい。
【0040】
カニューレ100が前進しているとき、切断部品302、304の切断部310、312は、分岐血管に遭遇するまで切開先端を妨げないように、後退位置(retracted position)に保持されてもよい。分岐血管に遭遇したときに、切断部310、312は、切開先端120を越えて前進して、上述したように、分枝血管を捕捉し、封閉し、切断してもよい。
【0041】
図6A~
図6Fを参照すると、制御ハンドル160を使用するいくつかの実施形態では、切断部310、312は、ハンドル上の移動制御部504を前進することによって、
図6A~
図6Bに示すような後退位置から、
図6C~
図6Dに示すような遠位位置に、切開先端120を越えて遠位方向に移動させられてもよい。切断部310、312は、揃って前進し、切開先端120内の内視鏡の観察領域内へ入ってもよい。次に、分岐血管を封閉及び切断するために、
図6E~
図6Fに示したように、切断部310、312は、回転制御部(rotation control)504を用いて、互いに対して回転させられてもよい。切断部310、312は、円弧運動で、切開先端120の周囲を回転させられてもよい。内視鏡カニューレ100は、採取される主血管に対する分岐血管の方向に関わらず、対象の分岐血管が切断部310、312の一方を横切って置かれるように、位置されてもよい。内視鏡カニューレ100は、主血管に対する損傷を回避するように、ユーザが内視鏡カニューレ100及び切断部310、312を対象の主血管からできるだけ遠ざけて配置できるように、設計されてもよい。一旦所定の位置に来ると、ユーザは、分岐血管が捕捉されるまで、切断部310,312の一方を他方に向かって回転させてもよい。適切に配置された場合、回転は主血管から常に離れていることが好ましく、その結果、横方向の熱拡散の潜在的な負の影響を増大させ、さらに最大にさせる。次に、分岐血管が切断部310、312の間に配置されたときに、ユーザは、エネルギー制御部508を押して、分岐血管にエネルギーを与えて血管を封閉してもよい。封閉が完了して、エネルギー制御ボタン508を離した後に、ユーザは、切断部310、312が分岐血管を横に切断するまで、回転制御部504を進め続けてもよい。次に、ユーザは、移動制御部502により切断部312、314を後退させて、全ての分岐血管がうまく結紮され横に切断されるまで、次の分岐血管へと装置を前進させてもよい。
【0042】
分枝血管が止血された後、カニューレ100は、次の分枝血管に遭遇するまで前方に前進されてもよく、分枝血管に遭遇したときに、分枝血管は、切断ユニット300を用いて封閉され切断されてもよい。標的血管の所望の長さに沿った全ての分枝血管が封閉され切断されると、カニューレ100は、分岐血管を切断及び封閉するのに用いられる手順と同様の手順に従って、標的血管を封閉及び切断するのに用いられてもよい。あるいは、カニューレ100は引き抜かれてもよく、別の外科用装置が主血管を封閉及び切断するために用いられてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、本開示のカニューレ100は、小さな空洞内で血管の封閉及び切断を行うことを可能にしてもよい。その結果、本開示のカニューレ100を用いる場合、血管周囲腔(perivascular cavity)を拡張状態に維持する必要がなくてもよく、従って、血管周囲腔への気体送気なしに手術が行われてもよい。動作中、透明な切開先端120は、崩壊した組織トンネル(collapsed tissue tunnel)内の全ての構成要素の視覚化を維持しながら、切断ユニットの部材が血管を捕捉することができるように、血管を一方の側にそらす(deflect)ことができる。小さい又は崩壊された腔内で採取された血管は、内胸動脈(internal mammary artery)及び静脈などの血管の蛇行を特徴とする解剖学的状況において有用であってもよい。ガス送気をしない採取も、移植片に有益であってもよい。二酸化炭素ガスの送気によって維持される空洞の炭酸環境は、移植血管にとって有害になり得る。血管を取り囲んでいるより低いpH雰囲気は、移植片の細胞生存率を変える可能性があり、潜在的に早期移植片不全につながる。また、ガス送気によって生じる正の圧力は、血管を崩壊させ、止血を引き起こし、管腔内血塊(intraluminal clot)の形成の可能性を高め得る。管腔内血塊の存在は、移植片血栓症及び早期移植片不全を引き起こし得る。
【0044】
図7A及び
図7Bを参照して、切断ユニット150は、第1の部材702及び第2の部材704を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1の部材702及び第2の部材704は、切開中に、近位の位置からより遠位の位置へ、切開先端120に対して移動可能で、血管を捕らえて、封閉し、及び切断してもよい。さらに、第1の部材702及び第2の部材704はまた、互いに対して移動可能で、その結果、第1の部材702および第2の部材704は、互いから離れた空間にあってもよく、それらの間に血管を捕らえて、次いで互いに圧縮して血管を封閉及び切断してもよい。いくつかの実施形態において、第1の部材702および第2の部材704のこのような移動を可能にするように、第1の部材702および第2の部材704は、前進及び後退のための1つ以上の作動ロッドに取り付けられてもよい。当然ながら、第1の部材702及び第2の部材704を切開先端120に対して及び互いに対して移動するための他の機構が使用されてもよいことは理解されるべきである。
【0045】
第1の部材702は、バイポーラRF切断のための4つの円周方向に配置された近位電極セグメント706を含んでもよい。近位電極セグメントは、0.020インチの導体によって接続されてもよい。第2の部材704は、バイポーラRF切断のための2つの円周方向に配置された遠位電極セグメント708を含んでもよい。遠位電極セグメントは、0.020インチの導体によって接続されてもよい。また、第2の部材704は、遠位電極セグメントの遠位に配置された抵抗加熱焼灼用の2つのセグメント710と、単極焼灼用の遠位リング電極712とを含んでもよい。作動ロッドは、電極706~712に通電するために使用されてもよい。
【0046】
図8を参照して、いくつかの実施形態において、切断ユニット150は、第1の部材802及び第2の部材804を含んでもよい。第1の部材802及び第2の部材804は、上記したように、切開先端及び互いに対して移動可能である。切断ユニット150のこの実施形態において、第2の部材704の3つの電極708、710及び712(
図7A及び
図7B参照)は、1つのソリッドリングの中に統合される。バイポーラモードでは、リングの片側のみが能動近位セグメント(active proximal segment)と連動してもよい。モノポーラモードでは、リング全体が戻り電極の外側と連動してもよい。また、いくつかの実施形態において、2つの大きな断面導体(cross-section conductors)が、4つの電極セグメントと、RF切断のための2つと、抵抗加熱焼灼のための2つと、を置き換えて、遠位構造の剛性を高めてもよい。
【0047】
さらに、第1の部材702の4つの電極706は、個別に制御することができる2つの半球電極(hemispheric electrodes)806の中に統合されてもよい。このようにして、
図7A及び
図7Bに示された切断ユニットのように、4つの小さな導体の代わりに、2つの大きな断面導体(cross-section conductors)808のみが用いられてもよい。また、4つの電極を2つに統合させることによって、近位構造(proximal structure)の剛性が増加してもよい。
【0048】
図9Aを参照して、いくつかの実施形態において、切断ユニット150は、バイポーラRF切断のための近位電極916を有する第1の部材902を含んでもよい。また、切断ユニット150は、バイポーラRF切断のための遠位電極918を有する第2の部材904を含んでもよい。切断ユニット150は、切開先端120の上に配置された単極スポット焼灼のための電極914をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1の部材902及び第2の部材904は、任意のコーティングと共に、導電性材料から作製されてもよく、電極914,916,918は、切断部材902,904を通じてエネルギーを与えられてもよい。
【0049】
図9B及び
図9Cを参照して、いくつかの実施形態において、第1の部材902及び第2の部材904は管状であってもよく、第1の部材902は第2の部材904に対して摺動可能に配置され、第1の部材902及び第2の部材904を長手方向に互いに対して付勢されることを可能にしてもよい。いくつかの実施形態において、第1の部材902及び第2の部材904は、血管を捕捉し、切断し、及び封閉するために、
図9Aに示すような切開先端120の近位の非アクティブ位置と、
図9B及び
図9Cに示すような内視鏡の視野内のアクティブ位置との間で、遠位方向に移動されてもよい。
【0050】
第2の部材904は、第2の部材904の遠位領域に1つ以上のフック910,912を含んでもよい。
図9Bに示すように、フック910,912は、分枝血管を捕らえるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態において、第2の部材904は、分岐血管が少なくとも1つのフックと接触することができるように、互いに離間した2つのフック910及び912を含んでもよい。
【0051】
手術中に、カニューレ100は、切断ユニット150の第1の部材902及び第2の部材904が切開先端120の近位に配置された状態で、血管へ前進されてもよい。血管に遭遇すると、
図9Bに示すように、まず第2の部材904は、遠位方向に伸長されて、第2の部材904のフックによって分岐血管を捕らえてもよい。スポット焼灼電極914によって、所望により、スポット焼灼がこの位置で行われてもよい。続いて、第1の部材902を前進させて、分岐血管を第1の部材902の電極916,918と第2の部材904との間に挟み込み、切断ユニット150に捕らえられた分枝血管を封閉及び切断するために、RF電流が流されてもよい。
【0052】
図10A及び
図10Bは、第1の部材1002及び第2の部材1004を有する切断ユニット150のさらに別の実施形態を示す。
図9A~
図9Cに示す切断ユニットの実施形態と比較して、第2の部材1004は、第2の部材904上の2つのフック910,912に対して、第2の部材1004の一方の側に単一のフック1010のみを含んでもよい。フックの1つを除くことにより、カニューレ100内に配置された内視鏡116によって、処置の視覚化を改善することができる。そうでなければ、切断ユニット150のこの実施形態の構造及び動作は、
図9A~
図9Cに開示される切断ユニット150の実施形態の構造及び動作と同様であってもよい。
【0053】
種々の電極のための好ましいエネルギーの種類は本開示に示されているが、全ての電極は、これに限定されないが抵抗加熱、超音波加熱、及び、双極性又は単極性RFエネルギーを含む種々のエネルギー源を利用して、エネルギーを与えることが可能であることは留意されるべきである。いくつかの実施形態では、電極は互いに独立して制御することができる。また、必要に応じて、電極は絶縁被覆又は絶縁シースによって絶縁されてもよいことにも留意すべきである。
【0054】
全ての特許、特許出願及び公開された引用文献は、それらの全体を参照することによって組み込まれる。本開示の上述した実施形態は単に実施が可能な例であり、単に開示の原理の明確な理解のための説明であることは強調しておく。多くのバリエーション及び変更が、開示の精神及び原理から実質的に逸脱することなしに、上述した実施形態に対してなされてもよい。上記開示のいくつか、他の特徴及び機能又はそれらの代わりを、所望のとおりに組み合わせて、多くの他の異なったシステム又はアプリケーションにすることができると理解されるだろう。本明細書において、全てのそのような変更及びバリエーションは、添付したクレームの範囲内にある本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
近位端と遠位端とを有する細長い本体と、
前記細長い本体の前記遠位端に配置された膨張可能な先端と、
第1の切断部と第2の切断部とを有する切断ユニットであって、前記第1の切断部と前記第2の切断部は、前記第1の切断部と前記第2の切断部との間の血管を捕らえるように前記細長い本体の長手方向に移動可能であり、捕らえられた血管を切断するように前記先端の周囲を互いに回転可能である、切断ユニットと、を含む、手術装置。
(態様2)
前記膨張可能な先端は、1つ以上の内腔と連通する内部空洞を有し、手術装置によって行われる採取手術の内視鏡観察のために内視鏡が進められる、態様1に記載の装置。
(態様3)
前記膨張可能な先端は、十分に膨張したときに硬い円錐形状を有し、内視鏡による観察を妨げないように光学的に透明であり、切開部を通るときに円錐形状を維持するのに十分な材料を含む、態様1または2に記載の装置。
(態様4)
前記膨張可能な先端が膨張していないとき、前記膨張可能な先端の壁が、前記内視鏡の視野を歪ませることなく、前記内視鏡の上に緊張した襞が寄っている、態様3に記載の装置。
(態様5)
前記第1の切断部と前記第2の切断部は、前記先端の実質的に近位側の後退位置から前記先端上の延在位置まで移動する、態様3に記載の装置。
(態様6)
近位端と遠位端とを有する細長い本体と、
前記細長い本体の前記遠位端に配置された調整された先端と、
第1の切断部と第2の切断部とを有する切断ユニットであって、前記第1の切断部と前記第2の切断部は、前記第1の切断部と前記第2の切断部との間の血管を捕らえるように前記細長い本体の長手方向に移動可能であり、捕らえられた血管を切断するように前記先端の周囲を互いに回転可能である、切断ユニットと、を含む、手術装置。
(態様7)
前記調整された先端は、光学的透明性が向上した少なくとも1つの調整された表面をさらに含む、態様6に記載の装置。
(態様8)
前記調整された表面は、機械的研磨技術または化学的研磨技術によって調節される、態様6または7に記載の装置。
(態様9)
前記機械的研磨技術は、バフ研磨を含む、態様8に記載の装置。
(態様10)
前記化学的研磨技術は、蒸気研磨を含む、態様8に記載の装置。
(態様11)
前記第1の切断部と前記第2の切断部は、前記先端の実質的に近位側の後退位置から前記先端上の延在位置まで移動する、態様6に記載の装置。
(態様12)
近位端と遠位端とを有する細長い本体と、
前記細長い本体の前記遠位端に配置された被覆された先端と、
第1の切断部と第2の切断部とを有する切断ユニットであって、前記第1の切断部と前記第2の切断部は、前記第1の切断部と前記第2の切断部との間の血管を捕らえるように前記細長い本体の長手方向に移動可能であり、捕らえられた血管を切断するように前記先端の周囲を互いに回転可能である、切断ユニットと、を含む、手術装置。
(態様13)
前記被覆された先端は、前記被覆された先端の表面上にコーティングをさらに含み、前記コーティングは、前記被覆された先端の表面張力及び潤滑性を増加させる、態様11に記載の装置。
(態様14)
前記コーティングは、パラレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ケイ素または繋留液体パーフルオロカーボンの1つから選択される、態様12に記載の装置。
(態様15)
前記被覆された先端は膨張可能な先端をさらに含み、前記膨張可能な先端は、1つ以上の内腔と連通する内部空洞を有し、手術装置によって行われる採取手術の内視鏡観察のために内視鏡が進められる、態様12に記載の装置。
(態様16)
前記被覆された先端は調整された先端をさらに含み、前記調整された先端は、光学的透明性が向上した少なくとも1つの調整された表面を含む、態様12に記載の装置。
(態様17)
近位端と遠位端とを有する細長い本体と、
前記細長い本体の前記遠位端に配置された膨張可能な先端であって、十分に膨張したときに円錐形状を有する膨張可能な先端と、
第1の切断部と第2の切断部とを有する切断ユニットであって、前記第1の切断部と前記第2の切断部は、前記第1の切断部と前記第2の切断部との間の血管を捕らえるように、前記先端の本質的に近位側の後退位置から前記先端上の延在位置まで前記細長い本体の長手方向に移動可能であり、捕らえられた血管を切断するように前記先端の周囲を互いに回転可能である、切断ユニットと、を含む、手術装置。
(態様18)
前記膨張可能な先端は、1つ以上の内腔と連通する内部空洞を有し、手術装置によって行われる採取手術の内視鏡観察のために内視鏡が進められる、態様17に記載の装置。
(態様19)
前記膨張可能な先端は、十分に膨張したときに硬い円錐形状を有し、内視鏡による観察を妨げないように光学的に透明であり、切開部を通るときに円錐形状を維持するのに十分な材料を含む、態様17または18に記載の装置。
(態様20)
前記膨張可能な先端が膨張していないとき、前記膨張可能な先端の壁が、前記内視鏡の視野を歪ませることなく、前記内視鏡の上に緊張した襞が寄っている、態様19に記載の装置。