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  • 特許-メモリセルおよびデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】メモリセルおよびデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11507 20170101AFI20221031BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
H01L27/11507
H01L29/78 371
H01L29/28 250G
H01L29/28 100B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018090012
(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公開番号】P2018207099
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-07
(31)【優先権主張番号】15/611,732
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】リン・マ
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-518454(JP,A)
【文献】特表2011-507983(JP,A)
【文献】特開昭56-123478(JP,A)
【文献】国際公開第2008/082046(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0327250(US,A1)
【文献】特表2006-501326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/11507
H01L 21/336
H01L 51/30
H01L 51/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性基板層と、平坦化層と、前記平坦化層と接続する第1の電極と、前記第1の電極と強誘電体メモリ層に接続している第2の電極との間に配置される強誘電体メモリ層と、前記第2の電極と接続するバッファー層と、前記バッファー層と接続する保護層とをこの順に含み、前記平坦化層は、アクリルポリオール、アルキレン尿素-グリオキサール樹脂および酸触媒の架橋混合物で構成され、前記アクリルポリオールは、約300から約1500のOH当量、及び約-20℃から約90℃のガラス転移点を有することを特徴とする、メモリセル。
【請求項2】
前記アルキレン尿素-グリオキサール樹脂のアルキレン部分が1~約18個の炭素原子を含む、請求項1に記載のメモリセル。
【請求項3】
前記アルキレン尿素-グリオキサール樹脂のアルキレン部分が、エチレン、プロピレンおよびブチレンからなる群から選択される、請求項1に記載のメモリセル。
【請求項4】
前記アクリルポリオール、前記アルキレン尿素-グリオキサール樹脂および前記酸触媒の前記架橋混合物を含む前記平坦化層は、前記可撓性基板層上のコーティングとして存在する、請求項1に記載のメモリセル。
【請求項5】
前記アクリルポリオール、前記アルキレン尿素-グリオキサール樹脂および前記酸触媒の架橋混合物と接続する第1の電極と、前記第1の電極と接続する強誘電体メモリ層と、前記強誘電体メモリ層と接続する第2の電極と、前記第2の電極と接続するバッファー層と、前記バッファー層と接続する保護ポリマー層と、前記可撓性基板層の上に並べられたスペーサーとをさらに含み、前記強誘電体メモリ層が、ポリフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンのコポリマー、ポリ(フッ化ビニリデンおよびトリフルオロエチレン)のコポリマーおよびポリフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンのコポリマーで構成され、前記可撓性基板層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載のメモリセル。
【請求項6】
可撓性基板層と、接着層と、前記接着層と接続する第1の電極と、前記第1の電極と強誘電体メモリ層に接続している第2の電極との間に配置される強誘電体メモリ層と、前記第2の電極と接続するバッファー層と、前記バッファー層と接続する保護層とをこの順に含み、前記接着層は、アクリルポリオール、アルキレン尿素-グリオキサール樹脂および酸触媒の架橋混合物で構成され、前記アクリルポリオールは、約300から約1500のOH当量、及び約-20℃から約90℃のガラス転移点を有することを特徴とする、メモリセル。
【請求項7】
前記アルキレン尿素-グリオキサール樹脂が、エチレン尿素-グリオキサール樹脂、ブチル化エチレン尿素-グリオキサール樹脂、エチル化エチレン尿素-グリオキサール、およびエチル化4,5-ジヒドロキシエチレン尿素グリオキサールからなる群から選択される、請求項6に記載のメモリセル。
【請求項8】
複数のメモリセルを含み、各メモリセルが、可撓性基板層と、接着層と、前記接着層と接続する第1の電極と、前記第1の電極と接続する強誘電体メモリ層と、前記強誘電体メモリ層と接続する第2の電極と、前記第2の電極と接続するバッファー層と、前記バッファー層と接続する保護層とを含み、前記接着層は、アクリルポリオール、エチレン尿素-グリオキサール樹脂、ブチル化エチレン尿素-グリオキサール樹脂、あるいはこれらの混合物、及び酸触媒の架橋混合物で構成され、前記アクリルポリオールは、約300から約1500のOH当量、及び約-20℃から約90℃のガラス転移点を有することを特徴とする、メモリデバイス。
【請求項9】
全固形分を基準として、存在するアクリルポリオールの量が約50重量%~約95重量%であり、アルキレン尿素-グリオキサール樹脂の量が、約5重量%~約50重量%であり、酸触媒が、約0.5重量%~約5重量%存在し、第1の電極が金属で構成され、第2の電極が金属で構成され、強誘電体メモリ層が、ポリフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンのコポリマー、ポリ(フッ化ビニリデンおよびトリフルオロエチレン)のコポリマーおよびポリフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンのコポリマーで構成され、前記可撓性基板層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載のメモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、アクリルポリオール、アルキレン尿素-グリオキサール樹脂および酸触媒の架橋混合物を含むメモリセルおよびそれに由来するメモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
「フレキシブルエレクトロニクス」との用語は、ポリイミドまたは特定の透明導電性ポリエステルフィルムなどの可撓性プラスチック基板上に電子デバイスを作製するか、または他の方法で提供することによって電子回路を組み立てるためのプロセスを指し、回路は、そのような基板上または他の特定の基板上にスクリーン印刷することができる。したがって、フレキシブル電子アセンブリは、剛性プリント回路基板の製造に使用されるのと同じ部品の多くを用いて製造することができ、この可撓性により、これらのアセンブリが所望の形状に適合するか、または使用中に曲がることが可能になる。また、フレキシブルエレクトロニクスは、既知の薄いシリコン基板を形成するための様々なエッチング技術を指していてもよい。フレックス回路としても知られているフレキシブルプリント回路(FPC)は、例えば0.05ミリメートルの厚さのポリエステルポリエチレンテレフタレート(PET)の2つの層の間に非常に薄い銅片を積層することによって、フォトリソグラフィー技術によって製造することができ、この場合、例えば、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレンナフタレートまたはポリエーテルイミドのベース材料または基板が存在し、回路経路が通常エッチングされる導電性要素として、銅のような金属の箔が使用される。
【0003】
電子デバイスに関連して、例えば、製造するのに費用がかかる、存在する層が分離してしまう傾向があるため、意図した目的のために操作することができなくなり、例えば、いくつかの層が露出した材料を含むか、その表面に突起を含み、関与する層の特徴に悪影響を与え、これらの層の機能を破壊するなど、多くの欠点がある。さらに、これらのデバイスは、主に、オリゴマーのような化学物質がメモリセル表面のような電子デバイス表面に移動し、デバイスの光学的性能および電気的性能を劣化させるため、望ましくない表面粗さを有する可能性がある。既知のメモリデバイスの多くは、段階的なシーケンスによって製造され、歩留まりが低下し、コストが増大し、許容できない表面粗さを引き起こす。
【0004】
本明細書に示された欠点を最小限に抑え、または実質的になくす、メモリセルおよびメモリデバイス、およびその組成物が必要とされている。
【0005】
また、分離が起こらないか、または実質的に起こらない層を含むデバイスも必要とされている。
【0006】
接着層の下および上のデバイス層を接着する組成物も必要とされている。
【0007】
さらに別の必要性は、許容可能な表面粗さを有し、その表面が平滑な特性を有するデバイスおよびその組成物を提供することにある。
【0008】
さらに、優れた化学的安定性を有する接着層が必要とされている。
【0009】
さらに、熱的に安定であり、存在する電極(例えば銀電極)がその導電性を保持するメモリデバイス接着層が必要とされる。
【0010】
また、接着特性を有する熱硬化された平坦化コーティングが必要であり、このコーティングはメモリデバイス内に存在する基板および電極に永久的に接着させることができる。
【0011】
さらに、ロールツーロールプロセスによって生成された接着剤コーティングを含むデバイスの製造が望まれている。
【0012】
さらに、適切な可撓性基板上に存在する熱硬化した平坦化接着剤コーティングが必要であり、このコーティングは、ポリエステルのような可撓性基板に、ロールツーロール法によって塗布され、平滑な基板表面をもたらすことができる。
【0013】
これらの必要性および利点ならびに他の必要性および利点は、本明細書に開示されるプロセスおよび組成物を用いた実施形態において達成可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
アクリルポリオール、アルキレン尿素-グリオキサール樹脂および酸触媒の架橋混合物で構成されるメモリセルが開示される。
【0015】
また、可撓性基板層と、導電性接着層と、前記接着層と電気的に接続する第1の電極と、前記第1の電極から空間的に離れた第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、電気的に接続する強誘電体メモリ層と、前記第2の電極と接続するバッファー層と、前記バッファー層と接続する保護層とをこの順に含み、前記接着層が、アクリルポリオール、アルキレン尿素-グリオキサール樹脂および酸触媒の架橋混合物を含む、メモリセルも開示される。
【0016】
さらに、複数のメモリセルを含み、各メモリセルが、可撓性基板層と、接着層と、前記接着層と接続する第1の電極と、前記第1の電極と接続する強誘電体メモリ層と、前記強誘電体メモリ層と接続する第2の電極と、前記第2の電極と接続するバッファー層と、前記バッファー層と接続する保護層とを含み、前記接着層が、アクリルポリオール、エチレン尿素-グリオキサール樹脂、ブチル化エチレン尿素-グリオキサール樹脂またはこれらの混合物、酸触媒の架橋混合物で構成される、メモリデバイスが開示される。
【0017】
さらに、ポリエステル基板用の熱硬化する平坦化メモリセルコーティングが開示されており、ロールツーロールプロセスを使用し、可撓性プリンテッドエレクトロニクスを製造し、メモリセルコーティングが、ポリエステル基板のようなポリマーおよび銀電極のような電極への優れた接着性を有し、優れた化学的安定性、許容可能な熱安定性を有し、デバイス電極の導電性への望ましくない悪影響がないように設計されている。
【0018】
さらに、アクリルポリオール、アルキレン尿素-グリオキサール樹脂(例えば、エチレン尿素-グリオキサール樹脂)、ブチル化エチレン尿素-グリオキサール樹脂、またはこれらの混合物と酸触媒との架橋混合物の平坦化層で構成され、コーティングが、支持基板に対して平滑な特徴を付与する、メモリセルおよびそのメモリデバイスが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本開示のシステム、デバイス、組成物およびプロセスの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、メモリセル1が示されており、メモリセル1は、可撓性基板3と、層が接着剤として機能することができ、可撓性基板3と第1の電極または底部電極5(パターニングされた電極であってもよい)との間に配置される平坦化層4と、強誘電体メモリ材料層7と、第2の電極または上部電極9(これもパターニングされた電極であってもよい)と、バッファー層13と、可撓性基板3の上に並べられ、導電性要素層4aの反対側の端に隣接するスペーサー14とを備えており、バッファー層13は、主に、保護層11を導電性要素層4aに対して離れた関係になるように所定の位置に浮かせ、保持する機能を有し、スペーサー14は、例えば、メモリデバイスの電極に平行に並べられた市販のテープ片によって、またはその上に印刷された縞または点によって与えられてもよく、複数のこのような種類および/または形態のメモリセルは、動作的に、また機能的に、例示的なメモリデバイスを与えるように電気的に接続させることができる。
【0021】
したがって、開示された各メモリデバイスは、開示されたメモリセルのアレイを備え、個々のメモリセルの分極状態は、例えば、メモリセルに含まれる電極またはいくつかのメモリセルに適切な電圧を印加することによって与えることができ、メモリセルおよびメモリセルに由来する種々のデバイスは、このようなフレキシブルプリンテッドエレクトロニクスによって作成することができる。
【0022】
開示されたセルは、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スタンプ印刷、凹版印刷、オフセット印刷、フレキソグラム印刷、レーザー印刷、電子写真印刷、ワックスジェット印刷、リソグラフィーなどのうちの少なくとも1つによって生成することができ、データ記憶デバイス、メモリデバイス、薄膜トランジスタ、半導体、光ディスク、磁気テープ、および一般に検索のための情報を保持するデバイスのために選択することができる。したがって、開示されたフレキシブルメモリセルは、メモリの材料が2つの電極間に位置する強誘電性ポリマーであり、メモリセルが電極を電子ドライバに接続する導体によってアクセスされるコンデンサ様構造と呼ぶことができる。パターニングされたメモリデバイスは、それぞれ、1個の個々のメモリセルから数百万個までの個々のセル、例えば、例えばマトリックスアレイに並べられた約1個のセルから約1,000,000個のセルを含んでいてもよく、その層、例えば、平坦化層、強誘電体メモリ層、第2の電極または上部電極は、市販のインクジェットシステムおよびプロセスを用いて印刷することができる。また、開示されたメモリセルおよび開示されたメモリデバイスは、包装材料、ラベル、タグ、および書籍、瓶、衣類、電子機器、紙製品などを含むがそれらに限定されない種々の製品に印刷されてもよい。
【0023】
基板
開示されたメモリセルのために選択される可撓性基板、特に、少なくとも約200℃までの熱安定性を有するものの例には、ポリエステルのような種々のポリマーが挙げられ、より具体的には、MYLAR(登録商標)、E.I.DuPont Chemical Companyから入手可能なポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン、例えば、TEFLON(登録商標)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドおよびこれらの混合物などが挙げられる。
【0024】
基板は、種々の有効な適した厚さを有していてもよく、Permascopeで測定すると、また、電子顕微鏡のような他の既知の方法によって測定すると、例えば、約1mil~約10mil、約1mil~約5mil、または約2mil~約4milであってもよい。
【0025】
可撓性とは、例えば、剛性であり、通常は損傷を受けずに湾曲させるか、または成形することができず、すなわち、曲げようとすると壊れるか、またはひどい亀裂が入り得るシリコン基板に対し、例えば、損傷を受けずに湾曲させるか、または成形することができ、ドラムのような湾曲した物体の湾曲に、壊れることなく、比較的簡単に追随するような著しい曲げが可能であり、その元々の形状(例えば、平坦な形状)に容易に戻すことができる材料、例えば、開示された基板を指す。
【0026】
コーティング
粗さが最小限であるか、またはまったく粗さがない平坦な基板表面を可能とし、接着特徴を有し、優れた熱安定性および改善された化学的安定性を有し、メモリセルおよびメモリデバイスの電極の導電性に悪影響を与えるのを避ける、開示された基板上に存在する平坦化コーティングの例は、アクリルポリオール、ホルムアルデヒドを含まない架橋剤(例えば、アルキレン尿素-グリオキサール樹脂)および酸触媒を含む熱硬化する組成物、およびその混合物を含む。開示されたメモリセルに対して、例えば約1~約15ミクロン、約2~約10ミクロン、約2~約5ミクロン、複数の実施形態では、約2ミクロンのような様々な厚さのコーティングを選択することができる。
【0027】
アクリルポリオール
開示される以下のパーセント値は、他に示されない限り、重量パーセントである。開示された混合物中に存在するアクリルポリオールの例は、BASFから入手することができ、JONCRYL(登録商標)942(酢酸n-ブチル中73.2%、ガラス転移点(T)が26℃、-OH当量が400)、JONCRYL(登録商標)910(メチルアミルケトン中7%、Tが9℃、-OH当量が600)、JONCRYL(登録商標)934(酢酸n-ブチル中77%、Tが7℃、-OH当量が800)、JONCRYL(登録商標)500(メチルアミルケトン中80%、Tが-7℃、-OH当量が400)、JONCRYL(登録商標)550(PMアセテート/トルエン中62%、65/35、Tが49℃、-OH当量が620)、JONCRYL(登録商標)902(酢酸n-ブチル中75%、Tが20℃、-OH当量が500)、これらの混合物など;およびDow Chemical Companyから入手可能なアクリルポリオール、例えば、PARALOID AT-400(メチルアミルケトン中75%、Tが15℃、-OH当量が652)、AT-410(メチルアミルケトン中73%、Tが30℃、-OH当量が877)、AT-63(キシレン中50%、Tが25℃、-OH当量が1305)、AT-746(キシレン中50%、Tが83℃、-OH当量が1753)、-OH当量が約300~約1,500であり、Tが約-20℃~約90℃であるもの、およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0028】
ホルムアルデヒドを含まない架橋剤
ホルムアルデヒドを含まないか、または実質的にホルムアルデヒドを含まない架橋成分としては、例えば、アルキレンが、例えば1~約18個の炭素原子、2~約12個の炭素原子、2~約6個、または2~約4個の炭素原子の炭素原子を含む(例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタレン、および他の公知のアルキレンである)、アルキレン尿素-グリオキサール樹脂である。
【0029】
開示されたメモリセルおよび開示されたメモリデバイスのために選択されたアルキレン尿素-グリオキサール樹脂の例としては、これらの樹脂はAllnex Belgium SA/NV、Brussels、Belgium(ブリュッセル、ベルギー)から入手可能であるが、エチレン尿素-グリオキサール樹脂、プロピレン尿素-グリオキサール樹脂、ブチル化エチレン尿素-グリオキサール樹脂、例えば、以下の反応スキームに従って調製されるCYMEL(登録商標)NF3041、エチル化エチレン尿素-グリオキサール樹脂、エチル化4,5-ジヒドロキシエチレン尿素-グリオキサール樹脂、これらの混合物などが挙げられる。
【0030】
【化1】
【0031】
尿素-グリオキサール樹脂は、少なくとも1個のヒドロキシル基と約1~約10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールAと少なくとも2個のアルデヒド基-CHOを有する少なくとも1種の多官能性アルデヒドC(例えば、グリオキサール)との混合物ACを提供し、混合物(AC)’を生成し、混合物(AC)’に、少なくとも1種の環状尿素Uまたは系中で環状尿素Uを生成するための遊離体(合成のための出発反応物)を添加し、ここで、環状尿素Uは、少なくとも1個の不飽和アミドNH-基を有し、次いで、このようにして得られた混合物を反応させ、少なくとも1種の環状尿素Uの少なくとも1個の不飽和アミドNH-基の窒素原子と、多官能性アルデヒドCの少なくとも1個のアルデヒド基-CHOの炭素原子との間に化学結合を生成し、アルデヒド基が、アルコールAとの反応、または多価アルコールとの反応によってヘミアセタール基、アセタール基、またはこれらの混合物に変換されることによって、調製することができる。
【0032】
脂肪族アルコールの例は、アルコールが直鎖、分枝鎖または環状であってもよいが、通常、少なくとも1個のヒドロキシル基と、約1~約10個の炭素原子、または1~約8個の炭素原子を有し、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールおよび異性体のブタノール、特に、n-ブタノール、イソブタノール、n-ヘキサノール、または2-エチルヘキサノールである。多価アルコールとしては、単独で使用されてもよく、または一価アルコールとの混合物で使用されてもよいが、エチレングリコール、1,2-および1,3-プロパンジオール、1,2-および1,4-ブタンジオール、1,2-および1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、マンニトール、ソルビトールが挙げられる。また、メタノールとイソブタノールの混合物、多価アルコールの混合物、または一価アルコールとこれらの混合物などの一価アルコールとの混合物を利用することもできる。
【0033】
少なくとも2個のアルデヒド基を有する多官能性アルデヒドCの例としては、グリオキサール、コハク酸ジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、およびそれらの混合物のような脂肪族アルデヒドが挙げられる。
【0034】
選択可能な環状尿素Uは、少なくとも1個の非置換アミド-NH-基を有し、例えば、環構造内に-NH-CO-NH-という要素を有する環状脂肪族または二環脂肪族化合物を含み、環原子の総数は、例えば、約5~約7であり、例えば、エチレン尿素、1,3-プロピレン尿素、1,4-ブチレン尿素およびテトラメチレン尿素である。二環式化合物の場合、グリコール尿素またはアセチレンジ尿素を選択することができる。環状尿素は、例えば、N、C原子の少なくとも1つの上にあるアルキル基によって、ヒドロキシ基によって、または環のC原子の上にあるアルコキシ基によって置換されていてもよく、アルキル残基またはアルコキシ残基は、例えば、1個~約4個の炭素原子を有する。窒素原子の少なくとも1つは、例えば、アルデヒドまたは(ヘミ)アセタール官能性分子とのその反応を可能にするために、置換されていないままでなければならない。
【0035】
選択された環状尿素はまた、1個以上の炭素原子の上に置換基としてヒドロキシル基を有していてもよく(例えば、4,5-ジヒドロキシエチレン)、またはエチレン尿素とジヒドロキシエチレン尿素の混合物のような環状尿素の少なくとも2種類の混合物であってもよい。これらの混合物と、少なくとも部分的にエーテル化されていてもよいグリオキサールとの付加物は、周囲温度で優れた反応性を有する。これらの混合物は、環状尿素を個々にグリオキサールと反応させ、次いで反応生成物を混合することによって調製することができる。環状尿素は、尿素自体、ジ尿素またはポリ尿素の反応によって系中で生成されてもよく、これらは、場合により、分子中の1個、2個、または2個より多い-NH-CO-NH-基が、その分子中の1個より多いアルデヒド基を有する多官能性アルデヒドで置換されていてもよい。
【0036】
触媒
開示された混合物のために選択される触媒例としては、p-トルエンスルホン酸(p-TSA)およびそのブロック化された形態、例えば、CYCAT(登録商標)4040、CYCAT(登録商標)4045(両方ともAllnex Belgium SA/NVから入手可能);K-CURE(登録商標)1040;K-CURE(登録商標)1040W、NACURE(登録商標)XP-357(メタノール中でブロック化されたp-トルエンスルホン酸、pH2~4、解離温度が約65℃)、2107、2500、2501、2522、2530、2547、2558(全てKing Industries,Inc.、Science Road、CTから入手可能);ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)およびこれらのブロックされた形態、例えば、CYCAT(登録商標)500(全てAllnex Belgium SA/NVから入手可能);NACURE(登録商標)155、X49-110、3525、3327、3483(全てKing Industries,Inc.、Science Road、CTから入手可能);ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)型およびこれらのブロックされた形態、例えば、NACURE(登録商標)1051、1323、1419、1557、1953(全てKing Industries,Inc.、Science Road、CTから入手可能);ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)およびこれらのブロックされた形態、例えば、CYCAT(登録商標)600(Allnex Belgium SA/NVから入手可能)、およびNACURE(登録商標)5076、5225、5414、5528、5925(全てKing Industries,Inc.、Science Road、CTから入手可能);酸ホスフェートおよびこれらのブロックされた形態、例えば、CYCAT(登録商標)296-9(Allnex Belgium SA/NVから入手可能)、およびNACURE(登録商標)4054、XC-C207、4167、XP-297、4575(全てKing Industries,Inc.、Science Road、CTから入手可能)が挙げられる。
【0037】
硬化プロセスを助け、開示された混合物の架橋反応を促進するために選択される酸触媒の具体例としては、p-トルエンスルホン酸(p-TSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、アルキル酸ホスフェート、フェニル酸ホスフェート、シュウ酸、マレイン酸、石炭酸、アスコルビン酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
触媒の存在下で開示されたコーティング混合物を硬化させた後、ここで、硬化は、迅速に、例えば約5~約60分、約10~約45分、より具体的には約10分で達成することができ、架橋生成物が得られ、硬化は、約80℃以上の温度で長時間にわたって加熱することによって達成することができる。より具体的には、開示された混合物の硬化は、触媒の存在下で、種々の適切な温度、例えば、約80℃~約220℃、約100℃~約180℃、または約125℃~約140℃で、例えば、約1~約40分、約3~約30分、約5~約20分、約10~約15分の間で完結させることができ、さらにより具体的には、硬化時間または乾燥時間は、約5~約10分である。
【0039】
理論によって限定されることを望まないが、アクリルポリオール、アルキレン尿素-グリオキサール樹脂および触媒の混合物の架橋率は、硬化後に、例えば、本明細書に示されるように、約40%~約100%、約90%~約100%、約95%~約99%、約50%~約99%、約75%~約98%、約80%~約100パーセント、約77パーセント~約97パーセント、または約70パーセント~約90パーセントであると考えられ、架橋率は、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって決定された。
【0040】
開示されているコーティング混合物の各成分の架橋範囲の量は様々であってもよく、例えば、所望の架橋率のような多くの要因に依存する。
【0041】
一般に、混合物中に存在するアクリルポリオールの量は、例えば、約30重量パーセント~約95重量パーセント、約60重量パーセント~約80重量パーセント、約50重量パーセント~約95重量%、または約50重量%~約80重量%である。アルキレン尿素-グリオキサールのホルムアルデヒドを含まない架橋剤の量は、例えば、約5重量%~約70重量%、約20重量%~約60重量%、約20重量%~約40重量%、または約5重量%~約50重量%である。酸触媒の量は、例えば、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.5重量%~約5重量%、約0.5重量%~約3重量%、約0.7重量%~約4重量%、約1重量%~約3重量%、または約1重量%~約5重量%である。ここで、重量%は、コーティング混合物中に存在する3つの成分の全固形分に基づく。
【0042】
強誘電体層の要素
開示されたメモリセルおよびメモリデバイスのための強誘電体メモリの要素の例は、例えば、オリゴマー、コポリマー、ターポリマー、ポリマーブレンド、またはそれらの混合物の少なくとも1つのような有機物であってもよい。より具体的には、強誘電体層は、既知の強誘電体メモリの要素、例えば、ポリフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンのコポリマー(P(VDF-TrFE))、フッ素含有ポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PFVD)、ポリ(フッ化ビニリデントリフルオロエチレン)のコポリマー、ポリフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンのコポリマー(P(VDF-TrFE))、ポリビニリデンシアニド(PVCN)のポリマー、コポリマー、ターポリマー、およびポリメタクリル酸メチルを含有するブレンド、これらの混合物、分極性末端基を有する関連ポリマーが挙げられ、また、いくつかの場合には、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛、PbTiO、および鉛ランタンジルコン酸チタン酸鉛(PLZT)を、開示された強誘電体層のために選択することができる。
【0043】
強誘電体層の要素、例えば、開示されたポリマーおよび他の公知の適切な材料は、通常、100%の量で存在するが、例えば、約75%~約99%、約75%~約95%、約85%~約95%などの100%未満の適切な量が選択されてもよく、強誘電体層の成分の量を100%にするために、不活性フィラーを添加する。
【0044】
強誘電体層の厚さは、例えば、電子顕微鏡で測定すると、約75ナノメートル~約225ナノメートル、約125ナノメートル~約200ナノメートル、または約125ナノメートル~約150ナノメートルである。
【0045】
バッファー層
保護層、電極、または外部供給源のような、接続する層によって生成され得る力を部分的に吸収するように主に機能するバッファー層は、末端がシランのポリマー、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアルキレン、ポリメタクリレート、ポリエステル、これらの混合物などの種々の適切なポリマーを含む。この層は、例えば、厚さが約1ミクロン~約25ミクロン、約3ミクロン~約15ミクロン、約5ミクロン~約10ミクロン、または他の適切な厚さであり、層の厚さは、電子顕微鏡を用いて決定することができる。
【0046】
開示されたポリマーおよび他の公知の適切な材料のようなバッファー層の要素は、通常、100%の量で存在するが、例えば、約50%~約99%、約75%~約95%、約85%~約95%などの100%未満の適切な量が選択されてもよく、これと共に、合計で約100%にするために、不活性フィラーを添加する。
【0047】
保護層
バッファー層と接続し、接着剤またはクランプ接合によって接着された保護層または保護剛性フィルムとしては、スマートフォンのタッチスクリーンを保護するために一般的に使用される保護フィルム、例えば、本明細書に開示されているポリマー、Kaptonテープ、Sun Chemicalから入手可能なUV硬化性ワニス、例えば、(グローバル層として)スクリーン印刷し、その後硬化させることができるSun Chemical UV6630が挙げられる。
【0048】
保護層の厚さは、例えば、電子顕微鏡で測定すると、約1ミクロン~約20ミクロン、約5ミクロン~約15ミクロン、または約6ミクロン~約10ミクロンである。
【0049】
電極
開示されたメモリセルのために選択される電極は、通常、銀などの適切な導電性金属から構成される。しかし、銅、金、アルミニウム、グラフェン、カーボンナノチューブ、グラファイトおよび他の適切な炭素形態のような他の公知の適切な電極物質を選択してもよい。
【0050】
ロールツーロールプロセス
ロールツーロール(R2R)は、開示された基板が2つの移動するロールの間で移動される、ある範囲のプロセスを包含し、これらのプロセスは、所望の処理結果を達成するための特定のカスタマイズ化を伴う時間的発生および空間的発生の両方を有する。the NIST-NNN Workshopからの「Nanofabrication Technologies for Roll to Roll Processing Report」、2011年9月27~28日、Jeffery D. Morse,Ph.D編集を参照。このワークショップの論文の開示内容は、全体的に参考として組み込まれる。米国特許第9,076,975号および第9,058,981号も参照のこと。その両方が、全体的に本明細書に組み込まれる。
【0051】
ロールツーロールプロセスは、ユニットコストが低く、生産量が高く、連続した層を順次適用することによる処理効率、エネルギーおよび材料の効率、および生成可能なデバイスの種類の多様性のため、有利である。
【0052】
開示されたメモリセルを製造するためのロールツーロールプロセスでは、開示された平坦化層を最初に基板上に押出しコーティングした後、底部の銀電極をグラビアコーティングし、強誘電体層を押出しコーティングし、上部銀電極をグラビアコーティングし、バッファー層をスクリーンコーティングし、保護層をスクリーンコーティングする。
【0053】
開示されたデバイスのコーティングおよび他の層は、例えば、インクジェットプロセスでそれらを印刷することによって形成することもできる。
【0054】
ここで、具体的な実施形態を詳細に記載する。これらの実施例は、具体例であることを意図しており、ここに示される材料、条件または処理パラメータに限定されない。全ての部は、特に指示のない限り、固形分の重量パーセントである。架橋率(%)は、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって測定した。
【0055】
実施例I
JONCRYL(登録商標)942(BASFから入手可能なアクリルポリオール)、CYMEL(登録商標)NF3041(Allnex Companyから入手可能なブチル化エチレン尿素-グリオキサール樹脂)およびNACURE(登録商標)XP-357(King Industriesから入手可能なブロック化p-TSA触媒)を塩化メチレン溶媒(固形分の20重量%)中で混合することによって、2種類のコーティング溶液を調製した。JONCRYL(登録商標)942/CYMEL(登録商標)NF3041/NACURE(登録商標)XP-357の74/25/1(1番)および70/29/1(2番)の組成物を有する2種類の透明なコーティング溶液が、それぞれ塩化メチレン中で得られた(固形分約20%)。
【0056】
上で調製した2種類のコーティング溶液を、それぞれ厚さ2milのポリエチレンナフタレート(PEN)基板上にそれぞれドローバーコーティングし、続いて140℃で10分間硬化させた。架橋したコーティング層が得られ、厚さはそれぞれ約2ミクロンであり、コーティングの架橋値は、コーティング(1番)は約98%、コーティング(2番)は約99%であり、目視観察によって決定すると、それぞれのコーティングされたPEN基板は、曲がらず平らなままであった。
【0057】
Rough Surface Tester(RST)は、よく知られている。Western Michigan University Manufacturing Research Centerから、WYKO Rough Surface Tester(RST)として知られるRSTの1つ(光干渉計とも呼ばれる)は、非常に感度が高い3D表面形状測定および表面粗さの特性決定を行うことができる非接触型光学プロファイラーであることを学ぶだろう。このRST光干渉計は、2つの測定モードで動作することがさらに知られており、このモードは、すなわち、光位相シフトモードと垂直走査モードである。光位相シフトモードは、反射する鏡面状のサンプルに使用され、垂直走査モードは、粗い表面を有するサンプルの測定に使用される。上のコーティングされた基板の表面粗さを、WYKO表面粗さ計によって測定した。ここで、Rは、WYKO表面粗さ計によって測定される、表面の山と谷の個々の測定値20セットの平均値であり、Rは、5つの連続するサンプル長さ(それぞれ1ミクロン)の山から谷への最大の平均値である。結果を表1に示す。コーティングされたPEN基板は、著しく滑らかであり、基板はコーティングに強く接着し、基板は、コーティングされていないPEN基板と比較して、実質的に粗さ特徴を有していなかった。
【0058】
以下の測定は全て、WYKO表面粗さ計によって達成された。ここでは、装置の分解能は、下限が約1ナノメートルであり、粗さの上限は1,000ナノメートル以上である。65および608のように、WYKO測定の数値が大きいほど(表1を参照)、(PEN)基板表面が粗かった。3.2および25のように、WYKO表面粗さ測定について、この数が小さいほど、(PEN)基板が平滑であった。
【0059】
【表1】
【0060】
PEN基板間の接着特徴を試験するために、上の実施例Iは、架橋された平坦化コーティング(1番)および(2番)と、銀電極(社内でのScotchテープ接着試験に使用した)を開示し、Scotchテープを、PEN基板の上に存在するコーティング(1番)および(2番)それぞれの上に配置し、次いで、個々がScotchテープを剥がし、互いに接着したコーティングと基板を得る。また、目視観察から、Scotchテープ上に物質がないことを実証した。すなわち、例えば、銀電極材料がScotchテープ上に剥がされていない。
【0061】
実施例II
実施例Iのコーティング(1番)またはコーティング(2番)があらかじめコーティングされ、厚さ100ナノメートルの(パターニングされた)底部銀電極がグラビア印刷された、厚さが50μmのPEN基板を与えることによって、複数の積み重ねられたメモリセルを含むメモリデバイスを調製する。続いて、厚さが150nmの(P(VDF-TrFE))強誘電体メモリ材料層が、底部銀電極層上に(グローバル層として)押出しコーティングされ、次に厚さ100nmの(パターニングされた)上部銀電極が、強誘電体層にグラビア印刷される。上部電極層に、末端がシランのPPGの厚さ10μmのバッファー層がスクリーン印刷される。続いて、それぞれの別個のバッファー層を厚さ5μmのUV硬化性ワニス(Sun Chemical UV6630)の保護層でコーティングし、次いで、硬化させる。
【0062】
銀電極の導電性に対し、開示された層コーティング(1番)および(2番)による負の影響はないと考えられる。基板は平滑であり、層は長時間にわたって互いに接着している。
【0063】
元々存在している特許請求の範囲および修正され得るような特許請求の範囲は、現時点で予期されていないか、または理解されていないもの、例えば、出願人/特許権者およびその他から生じ得るものを含め、本明細書に開示される実施形態および教示の変形例、代替例、改変例、改善、均等物および実質的な均等物を包含する。特許請求の範囲に具体的に列挙されていない限り、特許請求の範囲の工程および要素は、任意の特定の順序、数、位置、大きさ、形状、角度、色、または材料に関して、明細書または他の請求項から暗示されたり、持ち込まれたりすべきではない。
図1