(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】光警報器制御システム、光警報器制御方法及び光警報器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20221031BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B23/00 520B
G08B23/00 510B
(21)【出願番号】P 2018120440
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】岡戸 朋紘
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05559492(US,A)
【文献】特開2018-190097(JP,A)
【文献】特開2017-037433(JP,A)
【文献】特開2017-041160(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0064786(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B1/00-9/20
17/00
23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地区音響回線に接続され、当該地区音響回線を介して電源供給を受けた場合に鳴動する地区音響装置と、
前記地区音響回線に接続され、当該地区音響回線の電圧変化が所定パターンの電圧変化である場合に同期発光する複数の光警報器と、
火災感知器を接続する感知器回線と前記地区音響回線とに接続され、前記感知器回線を介して前記火災感知器から火災検出信号を受信した場合に、前記地区音響装置の鳴動と前記光警報器の発光とによって警報を実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記地区音響装置の鳴動による警報の実行中に前記所定パターンの電圧変化と前記電源供給の再開を交互に繰り返し、
前記所定パターンの電圧変化が生じる期間の長さは、前記地区音響装置の鳴動が継続可能な長さ、あるいは前記地区音響装置の鳴動が継続しているように聞こえる長さに設定されて
おり、
前記所定パターンの電圧変化によって、発光させるグループを指定する情報が含まれる所定のバイナリコードを前記光警報器に供給し、
前記光警報器は、
複数のグループのうちのいずれかに属し、
当該光警報器が属するグループを発光させるグループとして指定する情報を含む前記所定のバイナリコードの供給を受けた場合に発光することを特徴とする光警報器制御システム。
【請求項2】
前記所定パターンの電圧変化は、所定時間の電源断制御によることを特徴とする請求項1に記載の光警報器制御システム。
【請求項3】
火災感知器から火災検出信号を受信した場合に複数の光警報器を制御する光警報器制御方法において、
地区音響回線に接続された地区音響装置を鳴動させるために当該地区音響回線を介して電源供給を行う電源供給ステップと、
前記地区音響回線に接続された前記複数の光警報器を同期発光させるために前記地区音響回線の電圧を所定パターンで変化させる電圧変化ステップと、を有し、
前記電源供給ステップと前記電圧変化ステップとを交互に行い、
前記電源供給ステップの終了から次の電源供給ステップの開始までの期間の長さが、前記地区音響装置の鳴動が継続可能な長さ、あるいは前記地区音響装置の鳴動が継続しているように聞こえる長さに設定されて
おり、
前記地区音響回線の電圧を前記所定パターンで変化させることによって、発光させるグループを指定する情報が含まれる所定のバイナリコードを前記光警報器に供給し、
前記光警報器は、
複数のグループのうちのいずれかに属し、
当該光警報器が属するグループを発光させるグループとして指定する情報を含む前記所定のバイナリコードの供給を受けた場合に発光することを特徴とする光警報器制御方法。
【請求項4】
前記地区音響回線の電圧の前記所定パターンでの変化は、所定時間の電源断制御によることを特徴とする請求項
3に記載の光警報器制御方法。
【請求項5】
地区音響装置に電源電圧を供給するための地区音響回線に接続され、当該地区音響回線の電圧変化が所定パターンの電圧変化である場合に発光する光警報器であって、
前記地区音響回線の電圧変化のうち前記所定パターンの電圧変化を抽出するフィルタ手段と、
前記フィルタ手段を介して前記地区音響回線に接続され、駆動電力を生成する電力生成手段と、
前記電力生成手段によって生成された駆動電力を充電する充電手段と、
前記充電手段に充電された駆動電力を受けて、前記フィルタ手段によって抽出された所定パターンの電圧変化に基づき発光する発光手段と、を備え
、
複数のグループのうちのいずれかに属し、
前記所定パターンの電圧変化によって、発光させるグループを指定する情報が含まれる所定のバイナリコードが当該光警報器に供給され、
当該光警報器が属するグループを発光させるグループとして指定する情報を含む前記所定のバイナリコードの供給を受けた場合に発光することを特徴とする光警報器。
【請求項6】
前記所定パターンの電圧変化は、所定時間の電源断制御によることを特徴とする請求項
5に記載の光警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の点滅で火災の発生を知らせる光警報器を備えた光警報器制御システム、光の点滅で火災の発生を知らせる光警報器を制御する光警報器制御方法、及び光の点滅で火災の発生を知らせる光警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、警戒区域に配置した複数の光警報器と、火災時に複数の光警報器を所定の発光周期で同期発光するように制御する光警報制御装置と、を備えた警報システムが知られている(例えば特許文献1参照)。光警報器は、視認性の高いフラッシュ光を点滅させることで火災発生を報知するものであり、ベルや音声などの警報音で火災発生を報知する地区音響装置(地区ベルや非常放送装置など)に加えて、光警報器を用いることで、例えば聴覚不自由者にも、火災発生を早期かつ確実に認識させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フラッシュ光の点滅による光感受性発作の発生を抑制する等の観点から、複数の光警報器を所定の発光周期(例えば0.5Hzから2Hzの周期)で同期発光するように制御する必要がある。しかしながら、地区音響装置用の回線である地区音響回線に複数の光警報器を接続するだけでは、これら光警報器を同期発光させることができない。すなわち、地区音響回線に接続した複数の光警報器を同期発光させるためには、光警報器用の専用配線や専用装置が必要であるため、追加工事やリニューアル工事では光警報器の設置が難しかった。
本発明の目的は、光警報器用の専用配線や専用装置を用いることなく光警報器を地区音響回線に地区音響装置と混在させて接続することが可能な光警報器制御システム及び光警報器制御方法、並びに光警報器用の専用配線や専用装置を用いることなく地区音響回線に地区音響装置と混在させて接続することが可能な光警報器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、
光警報器制御システムであって、
地区音響回線に接続され、当該地区音響回線を介して電源供給を受けた場合に鳴動する地区音響装置と、
前記地区音響回線に接続され、当該地区音響回線の電圧変化が所定パターンの電圧変化である場合に同期発光する複数の光警報器と、
火災感知器を接続する感知器回線と前記地区音響回線とに接続され、前記感知器回線を介して前記火災感知器から火災検出信号を受信した場合に、前記地区音響装置の鳴動と前記光警報器の発光とによって警報を実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記地区音響装置の鳴動による警報の実行中に前記所定パターンの電圧変化と前記電源供給の再開を交互に繰り返し、
前記所定パターンの電圧変化が生じる期間の長さは、前記地区音響装置の鳴動が継続可能な長さ、あるいは前記地区音響装置の鳴動が継続しているように聞こえる長さに設定されており、
前記所定パターンの電圧変化によって、発光させるグループを指定する情報が含まれる所定のバイナリコードを前記光警報器に供給し、
前記光警報器は、
複数のグループのうちのいずれかに属し、
当該光警報器が属するグループを発光させるグループとして指定する情報を含む前記所定のバイナリコードの供給を受けた場合に発光するように構成したものである。
【0006】
上記のような構成を有する光警報器制御システムによれば、地区音響装置に電源供給を行うための地区音響回線の電圧を所定パターンで変化させることによって、複数の光警報器に発光タイミングを知らせることができるため、地区音響回線に接続する地区音響装置の鳴動に影響を与えることなく、当該地区音響回線に接続する複数の光警報器を同期発光させることができる。したがって、光警報器用の専用配線や専用装置を用いることなく光警報器を地区音響回線に地区音響装置と混在させて接続することができるため、追加工事やリニューアル工事での光警報器の設置が容易となり、工事費(配線コストや装置コストを含む)も抑えることができる。
また、地区音響装置に電源供給を行うための地区音響回線を介して、複数の光警報器に所定のバイナリコードを供給することができるため、地区音響回線に接続する地区音響装置の鳴動に影響を与えることなく、当該地区音響回線に接続する複数の光警報器を同期発光させることができる。
また、一の地区音響回線に接続されている複数の光警報器の発光タイミングをグループ毎にずらすことができるため、発光時に消費される消費電流を分散することが可能となる。よって、電源回路や制御回路や回線などの電気的な最大容量を下げることができるため、小回路化、低コスト化を実現することが可能となる。
【0007】
ここで、望ましくは、
前記所定パターンの電圧変化は、所定時間の電源断制御によるように構成する。
かかる構成によれば、電源のON/OFFだけで複数の光警報器に発光タイミングを知らせることができる。
【0011】
本出願の他の発明は、光警報器制御方法であって、
火災感知器から火災検出信号を受信した場合に複数の光警報器を制御する光警報器制御方法において、
地区音響回線に接続された地区音響装置を鳴動させるために当該地区音響回線を介して電源供給を行う電源供給ステップと、
前記地区音響回線に接続された前記複数の光警報器を同期発光させるために前記地区音響回線の電圧を所定パターンで変化させる電圧変化ステップと、を有し、
前記電源供給ステップと前記電圧変化ステップとを交互に行い、
前記電源供給ステップの終了から次の電源供給ステップの開始までの期間の長さが、前記地区音響装置の鳴動が継続可能な長さ、あるいは前記地区音響装置の鳴動が継続しているように聞こえる長さに設定されており、
前記地区音響回線の電圧を前記所定パターンで変化させることによって、発光させるグループを指定する情報が含まれる所定のバイナリコードを前記光警報器に供給し、
前記光警報器は、
複数のグループのうちのいずれかに属し、
当該光警報器が属するグループを発光させるグループとして指定する情報を含む前記所定のバイナリコードの供給を受けた場合に発光するように構成したものである。
【0012】
上記のような構成を有する光警報器制御方法によれば、地区音響装置に電源供給を行うための地区音響回線の電圧を所定パターンで変化させることによって、複数の光警報器に発光タイミングを知らせることができるため、地区音響回線に接続する地区音響装置の鳴動に影響を与えることなく、当該地区音響回線に接続する複数の光警報器を同期発光させることができる。したがって、光警報器用の専用配線や専用装置を用いることなく光警報器を地区音響回線に地区音響装置と混在させて接続することができるため、追加工事やリニューアル工事での光警報器の設置が容易となり、工事費(配線コストや装置コストを含む)も抑えることができる。
また、地区音響装置に電源供給を行うための地区音響回線を介して、複数の光警報器に所定のバイナリコードを供給することができるため、地区音響回線に接続する地区音響装置の鳴動に影響を与えることなく、当該地区音響回線に接続する複数の光警報器を同期発光させることができる。
また、一の地区音響回線に接続されている複数の光警報器の発光タイミングをグループ毎にずらすことができるため、発光時に消費される消費電流を分散することが可能となる。よって、電源回路や制御回路や回線などの電気的な最大容量を下げることができるため、小回路化、低コスト化を実現することが可能となる。
【0013】
ここで、望ましくは、
前記地区音響回線の電圧の前記所定パターンでの変化は、所定時間の電源断制御によるように構成する。
かかる構成によれば、電源のON/OFFだけで複数の光警報器に発光タイミングを知らせることができる。
【0015】
本出願の他の発明は、
地区音響装置に電源電圧を供給するための地区音響回線に接続され、当該地区音響回線の電圧変化が所定パターンの電圧変化である場合に発光する光警報器であって、
前記地区音響回線の電圧変化のうち前記所定パターンの電圧変化を抽出するフィルタ手段と、
前記フィルタ手段を介して前記地区音響回線に接続され、駆動電力を生成する電力生成手段と、
前記電力生成手段によって生成された駆動電力を充電する充電手段と、
前記充電手段に充電された駆動電力を受けて、前記フィルタ手段によって抽出された所定パターンの電圧変化に基づき発光する発光手段と、を備え、
複数のグループのうちのいずれかに属し、
前記所定パターンの電圧変化によって、発光させるグループを指定する情報が含まれる所定のバイナリコードが当該光警報器に供給され、
当該光警報器が属するグループを発光させるグループとして指定する情報を含む前記所定のバイナリコードの供給を受けた場合に発光するように構成したものである。
【0016】
上記のような構成を有する光警報器によれば、地区音響装置に電源供給を行うための地区音響回線を介して、電源供給と発光指示とを受けることができる。したがって、光警報器は、光警報器用の専用配線や専用装置を用いることなく地区音響回線に地区音響装置と混在させて接続することができるため、追加工事やリニューアル工事での光警報器の設置が容易となり、工事費(配線コストや装置コストを含む)も抑えることができる。
また、地区音響装置に電源供給を行うための地区音響回線を介して、光警報器に所定のバイナリコードを供給することで、光警報器に発光タイミングを知らせることができる。
また、一の地区音響回線に接続されている複数の光警報器の発光タイミングをグループ毎にずらすことができるため、発光時に消費される消費電流を分散することが可能となる。よって、電源回路や制御回路や回線などの電気的な最大容量を下げることができるため、小回路化、低コスト化を実現することが可能となる。
【0017】
ここで、望ましくは、
前記所定パターンの電圧変化は、所定時間の電源断制御によるように構成する。
かかる構成によれば、電源のON/OFFだけで光警報器に発光タイミングを知らせることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光警報器を地区音響回線に地区音響装置と混在させて接続することができるため、追加工事やリニューアル工事での光警報器の設置が容易となり、工事費(配線コストや装置コストを含む)も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態の光警報器制御システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】(a)は地区警報回路の一例を示すブロック図であり、(b)は地区ベルによる警報(鳴動)と光警報器による警報(発光)のタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図4】地区ベル光警報制御回路による制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】(a)は第2実施形態について説明する図であり、(b)は第2実施形態の光警報器の一例を示すブロック図である。
【
図6】第2実施形態における、地区ベルによる警報(鳴動)と光警報器による警報(発光)のタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図7】第2実施形態における、地区ベル光警報制御回路による制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第1変形例の光警報器制御システムの一例を示すブロック図である。
【
図9】第1変形例の地区ベル光警報制御中継器の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を適用した光警報器制御システム、光警報器制御方法及び光警報器の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
本実施形態の光警報器制御システム1は、火災警報システムであり、例えば
図1に示すように、火災受信機10と、火災受信機10に接続された感知器回線20及び地区ベル回線30と、感知器回線20に接続された複数の火災感知器40と、地区ベル回線30に接続された複数の地区ベル50及び複数の光警報器60とを備えて構成される。
【0022】
火災感知器40は、例えば、熱、煙、炎、有害ガスなどの異常現象の発生を検出すると、火災検出信号を、感知器回線20を介して火災受信機10に送信する。
火災受信機10は、例えば、光警報器制御システム1が設備されている建物の管理室等に設置され、当該建物に設置された火災感知器40からの火災検出信号を受信して、当該建物に設置された地区ベル50及び光警報器60によって火災の発生を報知する。
【0023】
例えば
図1に示すように、火災受信機10は、CPU(中央処理装置)とROMやRAMなどのメモリとを内蔵しROMに格納されているプログラムに従って動作するMCU(マイクロコンピュータユニット)などからなる制御回路11と、感知器回線20と接続するm個の地区感知回路12と、地区ベル回線30と接続するn個の地区警報回路13と、制御回路11からの表示信号に従って各種情報を図示しない表示手段(液晶ディスプレイ、7セグ表示器、ランプ等)に表示するとともに図示しない操作手段(タッチパネル、操作ボタン等)に対するユーザの各種入力操作を受け付けて操作信号を制御回路11に出力する表示・操作回路14と、外部電源からの電力を受けて火災受信機10の各部の動作電力を生成する電源回路15とを備える。
【0024】
制御回路11は、地区感知回路12が火災感知器40からの火災検出信号を受信したことに基づいて、地区警報回路13に警報するよう指示する警報コマンドを送信する。
地区感知回路12は、感知器回線20を介して当該感知器回線20に接続する各火災感知器40に電源電圧を供給するとともに、感知器回線20を介して火災感知器40からの火災検出信号を受信して制御回路11に出力する。
地区警報回路13は、地区ベル回線30を介して当該地区ベル回線30に接続する各地区ベル50及び各光警報器60に電源電圧を供給するとともに、地区ベル回線30を介して光警報器60に発光するよう指示する発光コマンドを送信する。なお、地区ベル50は、地区ベル回線30を介して電源電圧(例えば24Vの直流電圧)が供給されると鳴動し、電源電圧の供給が停止すると鳴動が停止するよう構成されているため、地区ベル50には鳴動するよう指示するコマンドは送信されない。
【0025】
図2(a)は、地区警報回路13の一例を示すブロック図であり、
図3は、光警報器60の一例を示すブロック図である。
地区警報回路13は、例えば
図2(a)に示すように、地区ベル光警報制御回路13aと、電源回路15からの電力を受けて地区ベル50及び光警報器60の電源を生成する地区ベル光警報電源回路13bと、発光コマンドの送信を制御するコマンド送信回路13cと、地区ベル光警報電源回路13bからの電源に発光タイミングを指定する情報を重畳する重畳回路13dとを備える。
地区ベル光警報制御回路13aは、例えば、制御回路11からの警報コマンドに基づいて、地区ベル光警報電源回路13bとコマンド送信回路13cとを制御する。
【0026】
光警報器60は、例えば
図3に示すように、地区ベル回線30の出力(電源電圧や発光コマンド)からノイズを除去するとともに地区ベル回線30の出力から発光コマンドを抽出するフィルタ回路61と、フィルタ回路61を介して地区ベル回線30からの電圧を受けて制御回路65や発光回路66の駆動電力を生成する電源回路62と、電源回路62によって生成された駆動電力を充電して制御回路65や発光回路66に供給する充電回路63と、フィルタ回路61によって抽出された発光コマンドを受信して制御回路65に出力するコマンド受信回路64と、コマンド受信回路64からの発光コマンドに基づいて発光回路66を制御する制御回路65と、発光素子67を発光させる発光回路66と、発光素子67とを備える。
【0027】
すなわち、フィルタ回路61が、地区音響回線(地区ベル回線30)の電圧変化のうち所定パターンの電圧変化(発光コマンド)を抽出するフィルタ手段をなす。
また、電源回路62が、フィルタ手段を介して地区音響回線に接続され、駆動電力を生成する電力生成手段をなす。
また、充電回路63が、電力生成手段によって生成された駆動電力を充電する充電手段をなす。
また、発光回路66及び発光素子67が、充電手段に充電された駆動電力を受けて、フィルタ手段によって抽出された所定パターンの電圧変化(発光コマンド)に基づき発光する発光手段をなす。
【0028】
次に、本実施形態における、地区ベル50による警報(鳴動)と光警報器60による警報(発光)のタイミングの一例について、
図2(b)のタイミングチャートを用いて説明する。
図2(b)に示すように、地区警報回路13の地区ベル光警報制御回路13aは、制御回路11からの警報コマンドの入力が開始すると(t11)、地区ベル光警報電源回路13bを制御して各地区ベル50への電源供給を開始する。すなわち、地区ベル光警報電源回路13bによる電源電圧(例えば24Vの直流電圧)の生成を開始する。これにより、地区ベル光警報電源回路13bによって生成された電源電圧が重畳回路13dを介して地区ベル回線30に出力されることとなるため、各地区ベル50の鳴動が開始する。また、光警報器60も地区ベル回線30に接続されているため、光警報器60にも電源電圧(例えば24Vの直流電圧)が供給される。したがって、各地区ベル50の鳴動の開始とともに、各光警報器60の充電が開始する。
【0029】
次いで、電源供給を開始してから所定の供給期間が経過すると(t12)、電源供給を中断し、所定の中断期間が経過すると(t13)、電源供給を再開し、電源供給を再開してから所定の供給時間が経過すると(t14)、電源供給を中断し、所定の中断期間が経過すると(t15)、電源供給を再開する。すなわち、電源供給の中断と再会を繰り返し行う。
【0030】
中断期間の長さは、例えば30m秒から50m秒までの範囲内から選択される。本実施形態の地区ベル50は、DCモータで鳴動させているため、50m秒程度の瞬断であれば反応せず、例えば
図2(b)に示すように連続的に鳴動する。あるいは、瞬断に反応して地区ベル50の鳴動が一時停止したとしても、50m秒程度の鳴動停止であれば気付かれないため、連続的に鳴動しているように聞こえる。また、鳴動停止に気付かれたとしても、50m秒程度の鳴動停止であれば火災が収まったと勘違いされる虞は少ない。
そして、制御回路11からの警報コマンドの入力が停止すると(t16)、各地区ベル50への電源供給を終了する。これにより、各地区ベル50の鳴動が停止するとともに、各光警報器60の充電が停止する。
【0031】
さらに、地区ベル光警報制御回路13aは、中断期間(t12~t13、t14~t15)になると、コマンド送信回路13cを制御して発光コマンドとしての同期パルスを各光警報器60へ送信する。すなわち、地区ベル光警報電源回路13bによって生成された電源電圧(例えば24Vの直流電圧)をコマンド送信回路13c及び重畳回路13dによってパルス化する。これにより、発光コマンドとしての同期パルスが地区ベル回線30に出力されることとなるため、各光警報器60が同期発光する。
【0032】
具体的には、例えば、重畳回路13dは、地区ベル光警報電源回路13bと地区ベル回線30との接続のオン状態(接続状態)とオフ状態(非接続状態)とを切り替える回路であり、常態ではオン状態となっている。コマンド送信回路13cは、重畳回路13dにオフ状態に切り替わる旨のオフ指示を行う回路であり、中断期間になると、重畳回路13dに対してオフ指示を複数回繰り返し行うことによって、地区ベル光警報電源回路13bからの電源電圧をもとに発光コマンドとして機能するパルス信号を生成させる。すなわち、中断期間になると、所定時間の電源断制御を複数回行うことによって、パルス信号を生成させる。そして、光警報器60の制御回路65は、コマンド受信回路64が受信したパルス信号が発光コマンドとして機能するパルス信号であると判定した場合に、発光回路66を制御して発光素子67を発光させる。
【0033】
なお、光警報器60の発光周期、すなわち発光開始から次の発光開始までの時間は、例えば0.5秒から2秒までの範囲内から選択される。
また、地区ベル50も地区ベル回線30に接続されているため、地区ベル50にも発光コマンド(同期パルス)は送信される。しかし、前述したように、本実施形態の地区ベル50には、DCモータで鳴動させているため、発光コマンドには反応しない。
【0034】
次に、本実施形態における、地区ベル光警報制御回路13aによる制御手順の一例について、
図4のフローチャートを用いて説明する。
図4に示すように、火災受信機10の電源が投入されて制御が開始されると、地区ベル光警報制御回路13aは、まず、制御回路11からの入力状態に基づいて警報を開始するかを判定し(ステップS11)、警報を開始しないと判定した場合(ステップS11;No)、すなわち火災が発生していない場合には、ステップS11の処理を繰り返し行う。
一方、警報を開始すると判定した場合(ステップS11;Yes)、すなわち火災が発生している場合には、地区ベル光警報電源回路13bに電源供給の開始を指示する(ステップS12)。これにより、地区ベル光警報電源回路13bがON状態となって、各地区ベル50では鳴動が開始され、各光警報器60では充電が開始される。
【0035】
次いで、電源供給を行う供給期間を計時する供給期間タイマを+1更新して(ステップS13)、供給期間タイマがタイムアップしたかを判定する(ステップS14)。供給時間タイマがタイムアップしていないと判定した場合(ステップS14;No)には、ステップS13の処理に戻る。
一方、供給時間タイマがタイムアップしたと判定した場合(ステップS14;Yes)には、供給時間タイマをクリアして(ステップS15)、コマンド送信回路13cに発光コマンドの送信を指示する(ステップS16)。これにより、地区ベル光警報電源回路13bからの電源電圧がコマンド送信回路13c及び重畳回路13dによってパルス化されて、各光警報器60が同期発光する。
【0036】
次いで、電源供給を中断する中断期間を計時する中断期間タイマを+1更新して(ステップS17)、中断期間タイマがタイムアップしたかを判定する(ステップS18)。中断期間タイマがタイムアップしていないと判定した場合(ステップS18;No)には、ステップS17の処理に戻る。
一方、中断時間タイマがタイムアップしたと判定した場合(ステップS18;Yes)には、中断時間タイマをクリアして(ステップS19)、制御回路11からの入力状態に基づいて警報を終了するかを判定する(ステップS20)。
【0037】
警報を終了しないと判定した場合(ステップS20;No)、すなわち火災が継続している場合には、ステップS13の処理に戻る。
一方、警報を終了すると判定した場合(ステップS20;Yes)、すなわち火災が収まった場合には、地区ベル光警報電源回路13bに電源供給の終了を指示する(ステップS21)。これにより、地区ベル光警報電源回路13bがOFF状態となって、各地区ベル50では鳴動が終了し、各光警報器60では充電が終了する。
【0038】
このように本実施形態の光警報器制御システム1は、地区音響回線(地区ベル回線30)に接続され、当該地区音響回線を介して電源供給を受けた場合に鳴動する地区音響装置(地区ベル50)と、地区音響回線に接続され、当該地区音響回線の電圧変化が所定パターンの電圧変化である場合に同期発光する複数の光警報器60と、火災感知器40を接続する感知器回線20と地区音響回線とに接続され、感知器回線20を介して火災感知器40から火災検出信号を受信した場合に、地区音響装置の鳴動と光警報器60の発光とによって警報を実行する制御手段(火災受信機10)と、を備え、制御手段は、地区音響装置の鳴動による警報の実行中に前記所定パターンの電圧変化と前記電源供給の再開を交互に繰り返し、所定パターンの電圧変化が生じる期間(中断期間)の長さは、地区音響装置の鳴動が継続可能な長さ、あるいは地区音響装置の鳴動が継続しているように聞こえる長さ(例えば50m秒以下)に設定されるよう構成されている。
【0039】
また、本実施形態の光警報器制御方法は、火災感知器40から火災検出信号を受信した場合に複数の光警報器60を制御する光警報器制御方法において、地区音響回線(地区ベル回線30)に接続された地区音響装置(地区ベル50)を鳴動させるために当該地区音響回線を介して電源供給を行う電源供給ステップ(
図2におけるt11~t12、t13~t14、t15~t16。
図4におけるステップS12~S15)と、地区音響回線に接続された複数の光警報器60を同期発光させるために地区音響回線の電圧を所定パターンで変化させる電圧変化ステップ(
図2におけるt12~t13、t14~t15。
図4におけるステップS16~S19)と、を有し、電源供給ステップと電圧変化ステップとを交互に行い、電源供給ステップの終了から次の電源供給ステップの開始までの期間(中間期間)の長さが、地区音響装置の鳴動が継続可能な長さ、あるいは前記地区音響装置の鳴動が継続しているように聞こえる長さ(例えば50m秒以下)に設定されるよう構成されている。
さらに、本実施形態の光警報器制御システム1及び光警報器制御方法は、地区音響回線(地区ベル回線30)の電圧を所定パターンで変化させることによって、光警報器60にバイナリコード(発光コマンド)を供給するよう構成されている。
【0040】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、ここでは、第1実施形態と共通する構成についての説明は省略する。第2実施形態では、一の地区ベル回線30に接続されている各光警報器60がグループ分けされている。
光警報器60の発光タイミングを同期させる理由は、複数の光警報器60の点滅による光感受性発作の発生を抑制するためである。したがって、例えば、第1の光警報器60と第2の光警報器60とが異なる部屋や異なるフロア(階)に設置されている場合には、第1の光警報器60の点滅と第2の光警報器60の点滅とは同時に視認されることがないため、第1の光警報器60の発光タイミングと第2の光警報器60の発光タイミングとを同期させる必要がない。すなわち、同一エリアに設置されている光警報器60、すなわち点滅を同時に視認可能な光警報器60のみを同期発光させれば良い。
【0041】
具体的には、例えば
図5(a)に示すように、本実施形態の光警報器制御システム1が設備されている建物の所定フロア(例えば2階)には、部屋Aと部屋Bと部屋Cと共用部Dとが設けられており、当該所定フロアに設置されている各光警報器60は、同一の地区ベル回線30に接続されている。部屋Aと部屋Bと部屋Cとはそれぞれ、出入り口に設けられたドアを閉めることで、部屋の外部から内部及び部屋の内部から外部を視認できない状態になる。したがって、部屋Aに設置されている光警報器60は、他のエリア(部屋B、部屋C、共用部D)に設置されている光警報器60と同期発光させる必要がない。同様に、部屋Bに設置されている光警報器60、部屋Cに設置されている光警報器60、共用部Dに設置されている光警報器60も、他のエリアに設置されている光警報器60と同期発光させる必要がない。
【0042】
一の地区ベル回線30に接続されている光警報器60の発光タイミングをずらすことで、発光時に消費される消費電流を分散できるため、電源回路や制御回路や回線などの電気的な最大容量を下げることができ、小回路化、低コスト化を実現することが可能となる。そこで、本実施形態では、一の地区ベル回線30に接続されている各光警報器60をグループ分けして、発光タイミングをグループ毎にずらすこととする。
具体的には、例えば
図5(a)に示す例において、当該所定フロアに設置されている各光警報器60を、部屋Aに設置されている第1グループと、部屋Bに設置されている第2グループと、部屋Cに設置されている第3グループと、共用部Dに設置されている第4グループとにグループ分けする。
【0043】
さらに、例えば
図5(b)に示すように、光警報器60に、当該光警報器60が属するグループを設定するためのディップスイッチ等からなるグループ設定回路68を設ける。そして、部屋Aに設置する光警報器60(
図5(a)における光警報器A1,A2)のグループ設定回路68に第1グループ用の設定を行い、部屋Bに設置する光警報器60(
図5(a)における光警報器B1,B2)のグループ設定回路68に第2グループ用の設定を行い、部屋Cに設置する光警報器60(
図5(a)における光警報器C1,C2)のグループ設定回路68に第3グループ用の設定を行い、共用部Dに設置する光警報器60(
図5(a)における光警報器D1,D2,D3)のグループ設定回路68に第4グループ用の設定を行う。
なお、グループ設定回路68は、属するグループを識別するグループ識別情報(例えばグループ番号)を記憶した不揮発性メモリ等であっても良い。
【0044】
また、地区警報回路13の重畳回路13dは、地区ベル光警報電源回路13bからの電源電圧に、発光タイミングを指定する情報と、発光させるグループを指定する情報とを重畳して発光コマンドを生成する。すなわち、本実施形態の場合、地区ベル回線30に出力される発光コマンドとしての同期パルスには、発光タイミングを指定する情報だけでなく、発光させるグループを指定する情報(例えばグループ番号)も含まれている。
【0045】
次に、本実施形態における、地区ベル50による警報(鳴動)と光警報器60による警報(発光)のタイミングの一例について、
図6のタイミングチャートを用いて説明する。
図6に示すように、地区警報回路13の地区ベル光警報制御回路13aは、制御回路11からの警報コマンドの入力が開始すると(t21)、地区ベル光警報電源回路13bを制御して各地区ベル50への電源供給を開始する。これにより、各地区ベル50の鳴動が開始するとともに、各光警報器60の充電が開始する。
【0046】
次いで、電源供給を開始してから所定の供給期間が経過すると(t22)、電源供給を中断する。そして、地区ベル光警報制御回路13aは、コマンド送信回路13cを制御して第1グループに属する各光警報器60を発光させるための第1グループ用の発光コマンド(第1波形パターンの同期パルス)を各光警報器60へ送信する。
光警報器60の制御回路65は、グループ設定回路68の設定状態を読み込んで当該光警報器60の属するグループが第1グループであると判定し、かつ、コマンド受信回路64が受信したパルス信号が第1グループ用の発光コマンドとして機能するパルス信号であると判定した場合に、発光回路66を制御して発光素子67を発光させる。これにより、第1グループに属する各光警報器60、すなわち部屋Aに設置されている各光警報器60が同期発光する。
【0047】
次いで、所定の中断期間が経過すると(t23)、電源供給を再開し、電源供給を再開してから所定の供給時間が経過すると(t24)、電源供給を中断する。そして、地区ベル光警報制御回路13aは、コマンド送信回路13cを制御して第2グループに属する各光警報器60を発光させるための第2グループ用の発光コマンド(第1波形パターンとは異なる第2波形パターンの同期パルス)を各光警報器60へ送信する。
光警報器60の制御回路65は、グループ設定回路68の設定状態を読み込んで当該光警報器60の属するグループが第2グループであると判定し、かつ、コマンド受信回路64が受信したパルス信号が第2グループ用の発光コマンドとして機能するパルス信号であると判定した場合に、発光回路66を制御して発光素子67を発光させる。これにより、第2グループに属する各光警報器60、すなわち部屋Bに設置されている各光警報器60が同期発光する。
【0048】
次いで、所定の中断期間が経過すると(t25)、電源供給を再開し、電源供給を再開してから所定の供給時間が経過すると(t26)、電源供給を中断する。そして、地区ベル光警報制御回路13aは、コマンド送信回路13cを制御して第3グループに属する各光警報器60を発光させるための第3グループ用の発光コマンド(第1波形パターン及び第2波形パターンとは異なる第3波形パターンの同期パルス)を各光警報器60へ送信する。
光警報器60の制御回路65は、グループ設定回路68の設定状態を読み込んで当該光警報器60の属するグループが第3グループであると判定し、かつ、コマンド受信回路64が受信したパルス信号が第3グループ用の発光コマンドとして機能するパルス信号であると判定した場合に、発光回路66を制御して発光素子67を発光させる。これにより、第3グループに属する各光警報器60、すなわち部屋Cに設置されている各光警報器60が同期発光する。
【0049】
次いで、所定の中断期間が経過すると(t27)、電源供給を再開し、電源供給を再開してから所定の供給時間が経過すると(t28)、電源供給を中断する。そして、地区ベル光警報制御回路13aは、コマンド送信回路13cを制御して第4グループに属する各光警報器60を発光させるための第4グループ用の発光コマンド(第1波形パターン、第2波形パターン及び第3波形パターンとは異なる第4波形パターンの同期パルス)を各光警報器60へ送信する。
光警報器60の制御回路65は、グループ設定回路68の設定状態を読み込んで当該光警報器60の属するグループが第4グループであると判定し、かつ、コマンド受信回路64が受信したパルス信号が第4グループ用の発光コマンドとして機能するパルス信号であると判定した場合に、発光回路66を制御して発光素子67を発光させる。これにより、第4グループに属する各光警報器60、すなわち共用部Dに設置されている各光警報器60が同期発光する。
次いで、所定の中断期間が経過すると(t29)、電源供給を再開し、以降、制御回路11からの警報コマンドの入力が停止するまで、電源供給の中断と再会を繰り返し行い、中断期間になる度に、第1~第4グループ用の発光コマンドのうちのいずれか一つを送信する。
【0050】
次に、本実施形態における、地区ベル光警報制御回路13aによる制御手順の一例について、
図7のフローチャートを用いて説明する。本実施形態のフローチャートは、ステップS16に替えてステップS16a~S16dの処理を行う点が、第1実施形態のフローチャート(
図4)と異なる。
図7に示すように、地区ベル光警報制御回路13aは、供給時間タイマをクリアする処理(ステップS15)を行った後、番号N(番号記憶領域に記憶している値)が4であるかを判定する(ステップS16a)。そして、番号Nが4でない場合(ステップS16a;No)、すなわち番号Nが1、2又は3である場合には、番号Nを+1更新して(ステップS16c)、コマンド送信回路13cに第N(更新後のN)グループ用の発光コマンドの送信を指示する(ステップS16d)。これにより、地区ベル光警報電源回路13bからの電源電圧がコマンド送信回路13c及び重畳回路13dによってパルス化されて、第Nグループ(この場合、第2グループ、第3グループ、又は第4グループ)に属する各光警報器60が同期発光する。
【0051】
一方、番号Nが4である場合(ステップS16a;Yes)には、番号Nを0クリアする(ステップS16b)。その後、番号Nを+1更新して(ステップS16c)、コマンド送信回路13cに第N(更新後のN)グループ用の発光コマンドの送信を指示する(ステップS16d)。これにより、地区ベル光警報電源回路13bからの電源電圧がコマンド送信回路13c及び重畳回路13dによってパルス化されて、第Nグループ(この場合、第1グループ)に属する各光警報器60が同期発光する。
なお、本実施形態では、例えば
図5(a)に示すように、光警報器60が4つのグループのうちのいずれかに属するため、番号Nの上限を4としているが、番号Nの上限は、グループの数に応じて適宜変更可能である。
【0052】
このように本実施形態の光警報器制御システム1において、所定のバイナリコード(発光コマンド)には、発光させるグループを指定する情報が含まれており、光警報器60は、複数のグループのうちのいずれかに属し、当該光警報器60が属するグループを発光させるグループとして指定する情報を含む所定のバイナリコードを受信した場合に発光するよう構成されている。
したがって、一の地区音響回線(地区ベル回線30)に接続されている複数の光警報器60の発光タイミングをグループ毎にずらすことができるため、発光時に消費される消費電流を分散することが可能となる。よって、電源回路や制御回路や回線などの電気的な最大容量を下げることができるため、小回路化、低コスト化を実現することが可能となる。
【0053】
<変形例1>
次に、上述した実施形態の光警報器制御システム1の変形例について説明する。なお、基本的には、上述の実施形態の光警報器制御システム1と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本変形例の光警報器制御システム1では、火災受信機10と地区ベル回線30とが地区ベル光警報制御中継器80(以下、単に「中継器80」という)を介して接続されている。
具体的には、本変形例の光警報器制御システム1は、例えば
図8に示すように、火災受信機10と、火災受信機10に接続された感知器回線(伝送回線)20及び地区ベル・光警報電力線70と、感知器回線20に接続された複数の火災感知器40と、感知器回線20及び地区ベル・光警報電力線70に接続された中継器80と、中継器80に接続された地区ベル回線30と、地区ベル回線30に接続された複数の地区ベル50及び複数の光警報器60とを備えて構成される。
【0054】
本変形例の火災受信機10は、例えば
図8に示すように、地区感知回路12及び地区警報回路13に替えて伝送回路16を備えている。伝送回路16は、地区感知回路12と同等の機能を有する。すなわち、伝送回路16は、感知器回線20を介して当該感知器回線20に接続する各火災感知器40に電源電圧を供給するとともに、感知器回線20を介して火災感知器40からの火災検出信号を受信して制御回路11に出力する。
さらに、伝送回路16は、地区ベル・光警報電力線70を介して電源回路15により生成された動作電力を中継器80に供給するとともに、地区ベル・光警報電力線70を介して制御回路11からの警報コマンドを中継器80に送信する。
【0055】
図9は、中継器80の一例を示すブロック図である。
中継器80は、地区ベル回線30を介して当該地区ベル回線30に接続する各地区ベル50及び各光警報器60に電源電圧を供給するとともに、地区ベル回線30を介して光警報器60に発光するよう指示する発光コマンドを送信する。すなわち、中継器80は、地区警報回路13と同等の機能を有する。
具体的には、中継器80は、例えば
図9に示すように、地区ベル光警報制御回路13aと、地区ベル・光警報電力線70を介して供給された電源回路15からの電力を受けて地区ベル50及び光警報器60の電源を生成する地区ベル光警報電源回路13bと、発光コマンドの送信を制御するコマンド送信回路13cと、地区ベル光警報電源回路13bからの電源に発光タイミングを指定する情報を重畳する重畳回路13dとを備える。
地区ベル光警報制御回路13aは、例えば、地区ベル・光警報電力線70を介して送信された制御回路11からの警報コマンドに基づいて、地区ベル光警報電源回路13bとコマンド送信回路13cとを制御する。
【0056】
本変形例の場合、火災受信機10及び中継器80が、火災感知器40を接続する感知器回線20と地区音響回線(地区ベル回線30)とに接続され、感知器回線20を介して火災感知器40から火災検出信号を受信した場合に、地区音響装置(地区ベル50)の鳴動と光警報器60の発光とによって警報を実行する制御手段をなす。
【0057】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態のものに限定されるものではない。
例えば、地区音響装置は、地区ベル50に限定されず、例えば非常放送装置であっても良い。
また、所定のバイナリコード(発光コマンド)は、発光タイミングを指定する情報を含まないものであっても良い。この場合、第2実施形態において、所定のバイナリコード(発光コマンド)は、発光させるグループを指定する情報のみを含むものとなる。
また、
図2(b)及び
図6のタイミングチャートでは、電源供給の再開と同時に光警報器60が発光(瞬間発光)しているが、光警報器60の発光タイミングは、電源供給の再開と同時に限定されず、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 光警報器制御システム
10 火災受信機(制御手段)
20 感知器回線
30 地区ベル回線(地区音響回線)
40 火災感知器
50 地区ベル(地区音響装置)
60 光警報器
61 フィルタ回路(フィルタ手段)
62 電源回路(電力生成手段)
63 充電回路(充電手段)
66 発光回路(発光手段)
67 発光素子(発光手段)
80 地区ベル光警報制御中継器(制御手段)