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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】自動車のコンソールボックス
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
B60R7/04 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018134835
(22)【出願日】2018-07-18
(65)【公開番号】P2020011595
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇裕
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/043579(WO,A1)
【文献】特開2008-024099(JP,A)
【文献】特開2008-279891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/00 - 7/14
E06B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口に沿って形成された一対のガイドを有するボックス本体と、ボックス本体の一対のガイドに沿ってスライド移動可能に組み付けられたシャッタ式のリッドを備えている自動車のコンソールボックスであって、
一対のガイドは、ボックス本体の開口を閉じた状態のリッドのスライド位置に対応する直線部と、ボックス本体の開口を開けた状態のリッドのスライド位置に対応する湾曲部を成すように構成されており、
リッドは、その内部に薄板状の弾性部材を備えており、
弾性部材の弾性係数は、リッドのスライド位置が一対のガイドの直線部から湾曲部に到達すると、リッドに作用する重力の接線方向の分力より、弾性部材からリッドに作用する復元力の接線方向の分力の方が大きくなるように設定されており、
弾性部材は、薄板状の一枚もので、且つその厚みが一定に形成されている自動車のコンソールボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のコンソールボックスに関し、詳しくは、自動車の車室に配置される自動車のコンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車室における運転席と助手席との間の床フロアには、内部に物品を収納可能なコンソールボックスが配置されている。このようなコンソールボックスにおいて、ボックス本体の開口を開閉するリッドがシャッタ式(蛇腹式)のものが既に知られている(特許文献1参照)。このようなリッド120がシャッタ式のコンソールボックス106において、例えば、図7に示すように、ワイヤ130aとゼンマイ130bとを有するアシスト機構130を備えており、ゼンマイ130bがワイヤ130aを介してリッド120に繋がれているものも既に知られている。これにより、ボックス本体110の開口110bを開けたリッド120の戻し作業をゼンマイ130bのばね力によってアシスト(サポート)できる。したがって、このリッド120の戻し作業に必要な操作荷重を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-24099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、図7からも明らかなように、アシスト機構130は、リッド120の外に備えられる構成となっている。すなわち、アシスト機構130は、ボックス本体110に備えられる構成となっている。そのため、ボックス本体110に嵩張りが生じてしまうことがあった。したがって、コンソールボックス106が大型化してしまうことがあった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、大型化することなく、リッドの戻し作業に必要な操作荷重を抑えることができる自動車のコンソールボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。請求項1に記載の発明は、開口に沿って形成された一対のガイドを有するボックス本体と、ボックス本体の一対のガイドに沿ってスライド移動可能に組み付けられたシャッタ式のリッドを備えている自動車のコンソールボックスである。一対のガイドは、ボックス本体の開口を閉じた状態のリッドのスライド位置に対応する直線部と、ボックス本体の開口を開けた状態のリッドのスライド位置に対応する湾曲部を成すように構成されている。リッドは、その内部に薄板状の弾性部材を備えている。弾性部材の弾性係数は、リッドのスライド位置が一対のガイドの直線部から湾曲部に到達すると、リッドに作用する重力の接線方向の分力より、弾性部材からリッドに作用する復元力の接線方向の分力の方が大きくなるように設定されている。弾性部材は、薄板状の一枚もので、且つその厚みが一定に形成されている。
【0007】
請求項1の発明によれば、弾性部材は薄板状であるため、リッドの厚みが実質的に増すこともない。したがって、コンソールボックスが大型化することもない。また、リッドのスライド位置が一対のガイドの直線部から湾曲部に到達すると、リッドには、推進力(リッドを前側(ボックス本体の開口を閉じる側)に向けてスライド移動させる力)が作用した状態となっている。そのため、リッドがボックス本体の開口を開けた状態から、リッドを前側に向けてスライド移動させていく作業(開けたリッドの戻し作業)を推進力によってアシスト(サポート)できる。したがって、この作業(開けたリッドの戻し作業)に必要な操作荷重を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るコンソールボックスを適用した自動車の車内の斜視図である。
図2】実施形態に係るコンソールボックスの全体斜視図である。
図3図2の分解図である。
図4図2の側面模式図である。
図5図4において、リッドが開口を開けた状態を示す図である。
図6図5において、リッドに作用する力を説明する図である。
図7】従来技術に係るコンソールボックスの側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を、図1~6を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、自動車1を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0010】
まず、図1~5を参照して、本発明の実施形態に係るコンソールボックス6の全体構成を説明する。このコンソールボックス6は、図1からも明らかなように、自動車1の車室2における運転席3と助手席4との間の床フロア5に配置されている内装ボックスである。このコンソールボックス6は、主として、ボックス本体10と、リッド20とから構成されている(図2~4参照)。以下に、これらボックス本体10と、リッド20とを個別に説明する。
【0011】
はじめに、ボックス本体10から説明していく(図2~3参照)。このボックス本体10は、前壁11と後壁12と底壁13とから略コ字状に形成されたコ字体14と、コ字体14の左側に固着される左壁15と、コ字体14の右側に固着される右壁17とから構成されている。そのため、ボックス本体10は、その上側に形成された矩形状の開口10aを介して物品(図示しない)を収納可能な収納部10bを備えるように構成されている。
【0012】
この左壁15の上縁と後縁には、後述するリッド20の左側の丸軸23aをガイド可能な略J字状のガイドレール16が組み付けられている。これと同様に、この右壁17の上縁と後縁には、後述するリッド20の右側の丸軸23aをガイド可能な略J字状のガイドレール18が組み付けられている。これらガイドレール16、18は、左右に対を成すように構成されている。これらの記載が、特許請求の範囲に記載の「開口に沿って形成された一対のガイドを有するボックス本体」に相当する。
【0013】
なお、このガイドレール16のうち、左壁15の上縁に対応する部位が直線部16aとなっており、左壁15の後縁に対応する部位が湾曲部16bとなっている。この直線部16aは、開口10aを閉じた状態の後述するリッド20のスライド位置に対応する部位となっている。また、この湾曲部16bは、開口10aを開けた状態の後述するリッド20のスライド位置に対応する部位となっている。
【0014】
これと同様に、このガイドレール18のうち、右壁17の上縁に対応する部位が直線部18aとなっており、右壁17の後縁に対応する部位が湾曲部18bとなっている。この直線部18aは、開口10aを閉じた状態の後述するリッド20のスライド位置に対応する部位となっている。また、この湾曲部18bは、開口10aを開けた状態の後述するリッド20のスライド位置に対応する部位となっている。ボックス本体10は、このように構成されている。
【0015】
次に、リッド20を説明する(図2~3参照)。このリッド20は、表皮体21と骨格体22とから構成されている。この表皮体21は、伸縮性のある表皮部材とクッション層から構成されている。一方、この骨格体22は、左右の両端が丸軸23aを成す複数のリブ23から構成されている(図3~4参照)。この骨格体22は、表皮体21の内面側に薄板状の樹脂パネル30とリブ23で構成されている。
【0016】
この記載が、特許請求の範囲に記載の「リッドは、その内部に薄板状の弾性部材を備えており、」に相当する。このように樹脂パネル30を介して貼り付けられていても、樹脂パネル30は薄板状であるため、リッド20の厚みが実質的に増すこともない。したがって、コンソールボックス6が大型化することもない。
【0017】
この樹脂パネル30の弾性係数は、後述するようにリッド20のスライド位置が一対のガイドレール16、18の直線部16a、18aから湾曲部16b、18bに到達すると、リッド20に作用する重力Gの接線方向の分力G1より、樹脂パネル30からリッド20に作用する復元力Fの接線方向の分力F1の方が大きくなるように設定されている(図6参照)。以下、単に、「リッド20に作用する重力Gの分力G1より復元力Fの分力F1の方が大きくなるように設定されている」と記す。
【0018】
また、この複数のリブ23は、互いが隙24を介して表皮体21の内面側に貼り付けられている(図4参照)。そのため、この骨格体22をリブ23の長手方向(左右方向)の軸回りに屈曲させることができる。すなわち、リッド20にシャッター(蛇腹)の作用を持たすことができる。この記載が、特許請求の範囲に記載の「シャッター式のリッド」に相当する。
【0019】
リッド20は、このように構成されている。このように構成されているリッド20は、その骨格体22の左右の各丸軸23aがボックス本体10の左右のガイドレール16、18にガイドされた状態でボックス本体10に組み付けられている(図3~4参照)。これにより、ボックス本体10に対して左右のガイドレール16、18に沿わせた状態でリッド20をスライド移動させることができる。
【0020】
続いて、図4~5を参照して、上述したコンソールボックス6の動作を説明する。図4に示すように、リッド20がボックス本体10の開口10aを閉じた状態(リッド20のスライド位置が一対のガイドレール16、18の直線部16a、18aに在る状態)から、リッド20を後側に向けてスライド移動させていく。すると、図5に示すように、リッド20のスライド位置が一対のガイドレール16、18の直線部16a、18aから湾曲部16b、18bに到達する。そのため、ボックス本体10の開口10aを開けることができる。したがって、開口10aを介して物品を収納部10bに収納できる。
【0021】
このとき、図5からも明らかなように、リッド20の樹脂パネル30は撓んだ状態となっており、このリッド20のリブ23の丸軸23aには、重力Gと復元力Fとが作用した状態となっている(図6参照)。この樹脂パネル30の弾性係数は、既に説明したように、リッド20に作用する重力Gの分力G1より復元力Fの分力F1の方が大きくなるように設定されている。そのため、リッド20には、推進力(リッド20を前側に向けてスライド移動させる力)が作用した状態となっている。
【0022】
したがって、リッド20がボックス本体10の開口10aを開けた状態から、リッド20を前側に向けてスライド移動させていく作業(リッド20の戻し作業)を推進力によってアシスト(サポート)できる。結果として、この作業(リッド20の戻し作業)に必要な操作荷重を抑えることができる。なお、図6において、G2は、リッド20に作用する重力Gの垂直方向の分力であり、F2は、樹脂パネル30からリッド20に作用する復元力Fの垂直方向の分力である。
【0023】
本発明の実施形態に係るコンソールボックス6は、上述したように構成されている。この構成によれば、骨格体22は、表皮体21の内面側に薄板状の樹脂パネル30とリブ23で構成されている。このように樹脂パネル30を介して貼り付けられていても、樹脂パネル30は薄板状であるため、リッド20の厚みが実質的に増すこともない。したがって、コンソールボックス6が大型化することもない。また、樹脂パネル30の弾性係数は、リッド20のスライド位置が一対のガイドレール16、18の直線部16a、18aから湾曲部16b、18bに到達すると、リッド20に作用する重力Gの分力G1より復元力Fの分力F1の方が大きくなるように設定されている。そのため、リッド20には、推進力(リッド20を前側に向けてスライド移動させる力)が作用した状態となっている。したがって、リッド20がボックス本体10の開口10aを開けた状態から、リッド20を前側に向けてスライド移動させていく作業(リッド20の戻し作業)を推進力によってアシスト(サポート)できる。結果として、この作業(リッド20の戻し作業)に必要な操作荷重を抑えることができる。
【0024】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
【0025】
実施形態では、『弾性部材』の例として、『樹脂パネル30』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、板ばね的な弾性作用(反発力)を得ることができる材料であれば、どのような材料であっても構わない。
【符号の説明】
【0026】
1 自動車
6 コンソールボックス
10 ボックス本体
10a 開口
16 ガイドレール(ガイド)
16a 直線部
16b 湾曲部
18 ガイドレール(ガイド)
18a 直線部
18b 湾曲部
20 リッド
30 樹脂パネル(弾性部材)
F 復元力
G 重力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7